JP2023137217A - アンギュラ玉軸受用保持器及びアンギュラ玉軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】円周方向に隣り合うポケット同士の円周方向距離を短くすることができ、保持できる玉数を増やすことができるとともに、玉とポケットとの間で発生する摩擦を低減できる、アンギュラ玉軸受用保持器を実現する。【解決手段】アンギュラ玉軸受用保持器5を構成する複数本の柱部25のそれぞれの軸方向一方側の端部から軸方向中間部にわたる範囲に、円周方向に隣り合う1対のポケット26同士を連通する切り欠き28を形成する。柱部25の円周方向側面25aのうちでポケット26の側面を構成するポケット側面26aを、曲率半径の異なる複数の凹面部を含む複合面から構成し、柱部25の円周方向側面25aに開口した切り欠き28の開口縁部とポケット26内に保持される玉4の転動面の赤道部分とを非接触とする。【選択図】図2

Description

本発明は、アンギュラ玉軸受用保持器、及び、アンギュラ玉軸受用保持器を備えたアンギュラ玉軸受に関する。
たとえば、自動車用のハブユニット軸受に用いられるアンギュラ玉軸受においては、冠型のアンギュラ玉軸受用保持器を用いて、複数個の玉を円周方向等間隔に配置し、それぞれの玉を転動自在に保持することが行われている。冠型のアンギュラ玉軸受用保持器は、円環状のリム部と、リム部の円周方向複数箇所から軸方向一方側にそれぞれ伸長した複数本の柱部と、円周方向に隣り合う1対の柱部とリム部とにより三方が囲まれた、玉を保持するための複数のポケットとを備える。
アンギュラ玉軸受などの転がり軸受は、基本動定格荷重Crを表す下記の式(1)を利用して、軸受の選定に必要な定格荷重を求めることが行われている。
Cr=b(icоsα)0.72/3Dw1.8・・・(1)
ここで、式(1)中、b及びfは、軸受の材料、形状、製造品質で定まる定数であり、iは、1個の軸受内の転動体の列数であり、αは、接触角であり、Zは、1列に含まれる転動体の数であり、Dwは、転動体の直径である。
上記式(1)によれば、1列に含まれる玉数(Z)を増やすことで、アンギュラ玉軸受の基本動定格荷重Crを向上することが可能になり、軸受寿命を延長できることになる。
このような事情に鑑みて、特開2019-173966号公報(特許文献1)には、1列に含まれる玉数を増やすことができる、アンギュラ玉軸受用保持器の構造が開示されている。図9は、特開2019-173966号公報に記載された、従来構造のアンギュラ玉軸受用保持器100を備えたハブユニット軸受101を示している。
ハブユニット軸受101は、車体側部材に対して固定される外輪102の径方向内側に、車輪とともに回転するハブ103を、複数の玉104を介して回転自在に支持している。玉104は、外輪102の内周面に備えられた外輪軌道102aと、ハブ103の外周面に配置された内輪軌道103aとの間に、アンギュラ玉軸受用保持器100により保持された状態で転動自在に配置されている。
アンギュラ玉軸受用保持器100は、円環状のリム部105と、複数本の柱部106と、複数のポケット107とを備える。複数本の柱部106のそれぞれは、凹曲面状の円周方向側面を有し、リム部105の円周方向複数箇所から軸方向一方側(図9の右側)に伸長している。複数個のポケット107のそれぞれは、円周方向に隣り合う1対の柱部106とリム部105とにより三方が囲まれた部分に形成されており、玉104を転動自在に保持する。ポケット107の内面は、部分球状凹面に構成されており、玉104の転動面の曲率半径よりもわずかに(通常3%程度)大きい曲率半径を有する。ポケット107の中心は、ポケット107内に保持される玉104の中心と実質的に一致している。
アンギュラ玉軸受用保持器100は、柱部106の軸方向一方側の端部から軸方向中間部にわたる範囲に、円周方向に隣り合うポケット107同士を連通する切り欠き108を備えている。これにより、柱部に切り欠きを備えない構造に比べて、円周方向に隣り合う玉104同士の距離を縮めることが可能になる。このため、アンギュラ玉軸受用保持器100により保持できる玉104の数を増やすことができ、アンギュラ玉軸受の基本動定格荷重Crの向上を図ることができる。
特開2019-173966号公報
特開2019-173966号公報に記載された従来構造のアンギュラ玉軸受用保持器100は、玉104とポケット107との間で発生する摩擦を低減する面から、改良の余地がある。
ハブユニット軸受101の運転時に、円周方向に公転する玉104は、アンギュラ玉軸受用保持器100を円周方向に押して回転させる。具体的には、玉104が図9の表面側から裏面側に向けて公転する場合、ポケット107の内面の曲率半径は玉104の転動面の曲率半径よりもわずかに大きいため、玉104の転動面は、玉104の公転方向に関して前方側に存在する柱部106の円周方向側面を、円周方向(図9の裏面側)に押す。
特に、従来構造のアンギュラ玉軸受用保持器100においては、柱部106に切り欠き108が備えられているため、図9中に一点鎖線で示した玉104の転動面の赤道部分(E)は、柱部106の円周方向側面に開口した切り欠き108の開口縁部のうちで、玉104の転動面の赤道部分(E)に対向する、2箇所の対向部α及びβを円周方向に押すことになる。
ハブユニット軸受101においては、玉104が配置される空間内にグリースが封入されるため、玉104の転動面にはグリースが付着するが、玉104の転動面が柱部106の円周方向側面を押す際に、玉104の転動面は、回転しながら、切り欠き108の開口縁部のうちの対向部αに接触する。ここで、切り欠き108の開口縁部は、微分不能な角部からなる稜部であるため、玉104の転動面(赤道部分E)に付着しているグリースは、切り欠き108の開口縁部のうちの対向部αにて掻き取られる。そして、玉104の転動面は、対向部αにてグリースを掻き取られた後、稜部である対向部βと接触するため、玉104の転動面と対向部βとの間で生じる摩擦が大きくなりやすくなる。この結果、発熱によってアンギュラ玉軸受用保持器100に変形や損傷が生じたり、ハブユニット軸受101の動トルクが増加したりするなどの問題を生じる可能性がある。さらに、玉104の転動面と外輪軌道102a及び内輪軌道103aとの転がり接触部を潤滑するグリースが不足し、軸受寿命の低下を招く可能性もある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、円周方向に隣り合うポケット同士の円周方向距離を縮め、保持できる玉数を増やすことができるだけでなく、玉とポケットとの間で発生する摩擦を低減できる、アンギュラ玉軸受用保持器を提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかるアンギュラ玉軸受用保持器は、円環状のリム部と、複数本の柱部と、複数のポケットとを備える。
前記柱部は、前記リム部の円周方向複数箇所から軸方向一方側にそれぞれ伸長している。
前記ポケットは、玉を転動自在に保持する部分であり、円周方向に隣り合う1対の前記柱部と前記リム部とにより三方が囲まれた部分に備えられている。
前記柱部は、円周方向に隣り合う1対の前記ポケット同士を連通する切り欠きを有している。
前記柱部の円周方向側面のうちで前記ポケットの側面を構成するポケット側面は、曲率半径の異なる複数の凹面部を含む複合面から構成されており、前記柱部の円周方向側面に開口する前記切り欠きの開口縁部と前記ポケット内に保持される玉の転動面の赤道部分とが非接触とされている。
本発明の一態様にかかるアンギュラ玉軸受用保持器では、前記切り欠きを、円周方向視で略矩形の開口形状を有し、前記ポケットの中心よりも径方向外側に配置され、軸方向に略直線状に伸長した外径側開口縁部と、前記ポケットの中心よりも径方向内側に配置され、軸方向に略直線状に伸長した内径側開口縁部と、前記外径側開口縁部と前記内径側開口縁部とをつなぐ奥側開口縁部とを有するものとすることができる。
そして、前記切り欠きの開口縁部のうち、前記外径側開口縁部又は前記奥側開口縁部のいずれか一方、及び、前記内径側開口縁部と、前記ポケット内に保持される前記玉の転動面の赤道部分とを非接触とすることができる。
本発明の一態様にかかるアンギュラ玉軸受用保持器では、前記ポケット側面を、前記切り欠きの開口縁部のうちで前記玉の転動面の赤道部分と対向する部分を含む範囲に、当該範囲から外れた部分よりも曲率半径の大きい大径凹面部を有するものとすることができる。
この場合には、前記ポケット側面を、前記柱部の円周方向側面の径方向外端縁と前記玉の転動面の赤道部分とが対向する部分、及び、前記柱部の円周方向側面の径方向内端縁と前記玉の転動面の赤道部分とが対向する部分のそれぞれを含む軸方向範囲に、前記大径凹面部を有するものとすることができる。
この場合には、前記大径凹面部の曲率中心及び前記大径凹部から外れた部分の曲率中心を、前記ポケット内に保持される前記玉の中心と一致させることができる。
本発明の一態様にかかるアンギュラ玉軸受用保持器では、前記ポケット側面を、前記切り欠きの開口縁部と前記玉の転動面の赤道部分とが対向する部分を含む範囲に基準凹面部を有し、かつ、前記基準凹面部から外れた部分に前記基準凹面部よりも曲率半径の小さい小径凹面部を有するものとすることができる。
この場合には、前記基準凹面部及び前記小径凹面部のそれぞれの曲率中心を、前記ポケット内に保持される前記玉の中心と一致させることができる。
本発明の一態様にかかるアンギュラ玉軸受は、内周面にアンギュラ型の複列の外輪軌道を有する外輪部材と、外周面にアンギュラ型の複列の内輪軌道を有する内輪部材と、前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に配置された複数個の玉と、前記玉を転動自在に保持する保持器と、を備え、前記保持器が、本発明の一態様にかかるアンギュラ玉軸受用保持器である。
本発明の一態様にかかるアンギュラ玉軸受は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するためのハブユニット軸受として用いることができる。
本発明のアンギュラ玉軸受用保持器によれば、円周方向に隣り合うポケット同士の円周方向距離を縮め、保持できる玉数を増やすことができるだけでなく、玉とポケットとの間で発生する摩擦を低減することができる。
図1は、実施の形態の第1例にかかるハブユニット軸受の断面図である。 図2は、図1のA部に相当する部分の拡大模式図である。 図3は、玉をポケットに保持した状態のアンギュラ玉軸受用保持器を取り出して示す、部分拡大斜視図である。 図4は、アンギュラ玉軸受用保持器を取り出し、軸方向一方側から見た部分拡大端面図である。 図5は、アンギュラ玉軸受用保持器を取り出して示す半部断面図である。 図6は、アンギュラ玉軸受用保持器を取り出して示す、部分拡大斜視図である。 図7は、実施の形態の第2例を示す、図2に相当する図である。 図8は、実施の形態の第3例を示す、図2に相当する図である。 図9は、従来構造のアンギュラ玉軸受用保持器を備えたハブユニット軸受を示す、図2に相当する図である。
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1~図6を用いて説明する。
本例では、本発明のアンギュラ玉軸受用保持器を備えたアンギュラ玉軸受を、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するためのハブユニット軸受(複列のアンギュラ玉軸受)に適用した例である。以下、先ず、ハブユニット軸受1の全体構造を説明した後、アンギュラ玉軸受用保持器5の詳細について説明する。
〔ハブユニット軸受の全体構造〕
ハブユニット軸受1は、内輪回転型で、かつ、駆動輪用のいわゆる第3世代のハブユニット軸受であって、外輪部材に相当する外輪2と、内輪部材に相当するハブ3と、複数個の玉4と、1対のアンギュラ玉軸受用保持器5とを備えている。
なお、ハブユニット軸受1に関して、軸方向外側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向外側となる図1及び図2の左側であり、軸方向内側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向中央側となる図1及び図2の右側である。また、軸方向、径方向、及び、円周方向とは、特に断らない限り、ハブ3に関する軸方向、径方向、及び、円周方向をいう。
外輪2は、中炭素鋼などの硬質金属製で、略円筒形状を有する。外輪2は、内周面に、アンギュラ型の複列の外輪軌道6a、6bを有しており、外周面の軸方向中間部に、径方向外側に向けて突出した静止フランジ7を有している。静止フランジ7は、円周方向複数箇所に、軸方向に貫通する支持孔8を有する。外輪2は、支持孔8へ挿通したボルトにより、車体側部材である懸架装置に対し支持固定され、車輪が回転する際にも回転しない。
ハブ3は、外輪2の径方向内側に外輪2と同軸に配置されている。ハブ3は、車輪を構成するホイール及び制動用回転体が固定され、使用時に回転する。ハブ3は、中炭素鋼などの硬質金属製のハブ輪9と、高炭素クロム鋼などの硬質金属製の内輪10とを組み合わせてなる。ハブ3は、外周面のうち、複列の外輪軌道6a、6bと対向する部分に、アンギュラ型の複列の内輪軌道11a、11bを有している。
ハブ輪9は、内輪10を外嵌保持する軸部材である。本例のハブユニット軸受1は、駆動輪用であるため、ハブ輪9は、等速ジョイントに接続される。
ハブ輪9は、軸部12と、回転フランジ13と、パイロット部14とを有する。
軸部12は、ハブ輪9の軸方向内側部から軸方向中間部にわたる範囲に備えられている。軸部12は、中心部に、軸方向に貫通したスプライン孔15を有する。スプライン孔15には、等速ジョイントを構成する駆動軸がスプライン係合される。駆動軸は、エンジンや電動モータなどの駆動源により直接回転駆動されるか、又は、トランスミッションを介して回転駆動される。自動車の走行時には、駆動軸によりハブ3を回転駆動することで、ハブ3の回転フランジ13に結合固定された車輪及び制動用回転体を回転駆動する。ただし、本発明を、従動輪用のハブユニット軸受に適用する場合には、軸部12として貫通孔を備えない中実状のものを使用することができる。
軸部12は、外周面の軸方向中間部に、外側列の内輪軌道11aを有している。軸部12は、外周面のうちで、外側列の内輪軌道11aよりも軸方向内側に位置する部分に、軸方向内側を向いた段差面16を有する。段差面16には、内輪10の軸方向外側の端面が突き当てられる。軸部12は、軸方向内側部に、内輪10を外嵌固定するための固定筒部17を有している。固定筒部17の軸方向内側の端部には、径方向外側に向けて折れ曲がったかしめ部18が備えられている。かしめ部18は、内輪10の軸方向内側の側面を抑え付けている。
回転フランジ13は、ハブ輪9のうちで、外輪2の軸方向外側の端部よりも軸方向外側に位置する部分に備えられており、略円輪形状を有している。回転フランジ13は、径方向中間部の円周方向複数箇所に、軸方向に貫通する取付孔19を有する。取付孔19のそれぞれには、スタッド20が圧入されている。スタッド20の先端部には、図示しないナットが螺合される。これにより、車輪を構成するホイール及び制動用回転体を、回転フランジ13の軸方向外側に固定する。本発明を実施する場合には、回転フランジに雌ねじ孔を形成し、該雌ねじ孔にハブボルトを直接螺合することにより、ホイール及び制動用回転体を、回転フランジの軸方向外側に固定することもできる。
パイロット部14は、ホイール及び制動用回転体をがたつきのない隙間嵌めで外嵌するためのもので、ハブ輪9の軸方向外側の端部に備えられており、略円筒形状を有している。
内輪10は、円環形状を有しており、外周面に内側列の内輪軌道11bを有する。内輪10は、軸部12に備えられた固定筒部17に締り嵌めで外嵌され、段差面16とかしめ部18との間で、軸方向両側から挟持されている。これにより、ハブ輪9と内輪10とを結合して、ハブ3を構成している。また、玉4に、適正な予圧を付与している。
玉4は、高炭素クロム鋼又はセラミック製で、複列の外輪軌道6a、6bと複列の内輪軌道11a、11bとの間に、それぞれの列ごとに複数個ずつ、アンギュラ玉軸受用保持器5により保持された状態で転動自在に配置されている。複列に配置された玉4には、背面組み合わせ型(DB型)の接触角が付与されている。このため、図2中に一点鎖線で示した玉4の転動面の赤道部分(E)は、ハブ3の中心軸に直交する仮想平面に対して、接触角の大きさだけ傾斜している。本例では、軸方向内側列の玉4のピッチ円直径と、軸方向外側列の玉4のピッチ円直径とを互いに同じとしているが、本発明は、軸方向内側列の玉のピッチ円直径と、軸方向外側列の玉のピッチ円直径とが互いに異なる、異径PCD型のハブユニット軸受に適用することもできる。
本例のハブユニット軸受1は、外輪2の内周面とハブ3の外周面との間に存在し、かつ、玉4が配置された、環状空間21の軸方向両側の開口を塞ぐシール装置22a、22bをさらに備える。すなわち、シール装置22a、22bにより、環状空間21内に封入したグリースの漏洩を防止し、かつ、環状空間21内に、泥水などの異物が侵入することを防止している。なお、環状空間21の軸方向内側の端部開口を塞ぐシール装置22bに、エンコーダを備えることもできる。この場合には、懸架装置などに支持固定した図示しない回転速度センサを、エンコーダに対向させることで、車輪の回転速度を検出することが可能になり、ABSなどの車両制御装置の制御に利用することができる。
〔アンギュラ玉軸受用保持器の構造〕
次に、本例のアンギュラ玉軸受用保持器5について、図2~図6を参照して詳しく説明する。なお、アンギュラ玉軸受用保持器5に関して、軸方向、径方向、及び、円周方向とは、特に断らない限り、アンギュラ玉軸受用保持器5を構成するリム部24の軸方向、径方向、及び、円周方向をいう。また、軸方向に関して、ポケット26の開口側(柱部25の先端側)を一方側といい、ポケット26の奥側(柱部25の基端側)を他方側という。
本例のハブユニット軸受1に組み込まれる1対のアンギュラ玉軸受用保持器5は、軸方向に関して互いに逆向きに組み付けられている。換言すれば、図1中で右側に位置する軸方向内側のアンギュラ玉軸受用保持器5は、図1中で左側に位置する軸方向外側のアンギュラ玉軸受用保持器5と、同一形状のアンギュラ玉軸受用保持器5を軸方向に関して反転させて使用している。すなわち、軸方向内側のアンギュラ玉軸受用保持器5に関しては、軸方向内側が軸方向一方側に相当し、かつ、軸方向外側が軸方向他方側に相当する。これに対し、軸方向外側のアンギュラ玉軸受用保持器5に関しては、軸方向外側が軸方向一方側に相当し、かつ、軸方向内側が軸方向他方側に相当する。
アンギュラ玉軸受用保持器5は、合成樹脂を射出成形(アキシアルドロー成形)することにより全体が一体に造られた、いわゆる冠型のアンギュラ玉軸受用保持器であって、全体として円環形状を有している。
アンギュラ玉軸受用保持器5を構成する合成樹脂としては、ポリアミド66(PA66)の他、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール(POM)、フェノール樹脂(PF)などの各種の合成樹脂を採用することができる。これらの合成樹脂には、必要に応じて、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維などの各種の強化繊維を混入することができる。
アンギュラ玉軸受用保持器5は、円環形状を有するリム部24と、リム部24の円周方向複数個所から軸方向一方側にそれぞれ伸長した複数本の柱部25と、複数個のポケット26とを備える。
複数個のポケット26のそれぞれは、玉4を転動自在に保持する部分であり、円周方向に隣り合う1対の柱部25とリム部24とにより三方が囲まれた部分に備えられている。ポケット26の内面は、円周方向に対向したポケット側面26aとポケット底面26bとにより、おおよそ部分球状凹面又は部分円筒凹面に構成されている。ポケット側面26a及びポケット底面26bは、玉4の転動面を包み込むように保持する機能を有し、ポケット26の中心Cと玉4の中心Oとを一致させた状態で、玉4の転動面に対して微小隙間を介して対向する。
リム部24は、円筒面状の内周面を有し、かつ、ハブ3の外周面のうちの複列の内輪軌道11a、11b同士の間部分の外径よりも大きい内径を有する。また、リム部24は、円筒面状の外周面を有し、かつ、外輪2の内周面のうちの複列の外輪軌道6a、6b同士の間部分の内径よりも小さい外径を有する。
リム部24の軸方向一方側の側面の円周方向等間隔複数箇所には、柱部25の軸方向他方側の端部が接続されている。リム部24の軸方向一方側の側面のうち、柱部25から円周方向に外れた部分のそれぞれは、ポケット底面26bを構成し、凹曲面状に構成されている。ポケット底面26bは、ポケット26の中心Cを中心とし、かつ、玉4の転動面の曲率半径よりも3%程度大きい曲率半径を有する、凹曲面(球状凹面)である。リム部24の軸方向他方側の側面は、リム部24の中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面により構成されている。
複数本の柱部25のそれぞれは、円周方向側面25aを有し、リム部24の円周方向複数箇所から軸方向一方側に伸長している。柱部25の円周方向側面25aは、一部を除いてポケット側面26aを構成する。柱部25の径方向内側面は、リム部24の内周面から軸方向一方側に伸長しており、軸方向一方側の端部を除き、リム部24の内周面と同一の仮想円筒面上に存在している。柱部25の径方向外側面は、軸方向一方側に向かうほど径方向外側に伸長した円弧状の母線形状を有する軸方向他方側部と、リム部24の中心軸と略平行に配置された直線状の母線形状を有する軸方向一方側部とからなる。このため、柱部25は、軸方向他方側部において、軸方向一方側に向かうほど径方向幅が大きくなっている。柱部25は、円周方向側面25aの径方向外側部と径方向内側部との境界に、パーティングライン27を有する。パーティングライン27は、射出成形時における、上型と下型との突き合わせ部に形成される。
柱部25は、玉4のピッチ円P(図4参照)が通過する部分を含む軸方向一方側の端部から軸方向中間部にわたる範囲に、円周方向に隣り合うポケット26同士を連通する切り欠き28を有する。換言すれば、切り欠き28は、柱部25の軸方向一方側の端面及び円周方向両側面25aに開口している。切り欠き28は、図2に示す、円周方向視で、略矩形の開口形状を有している。柱部25は、切り欠き28を径方向両側から挟むように、外径側爪部29及び内径側爪部30を有している。
柱部25の円周方向側面25aに開口した切り欠き28の開口縁部は、円周方向視で略U字形状(コ字形状)を有しており、外径側開口縁部28aと、内径側開口縁部28bと、奥側開口縁部28cとを備える。切り欠き28の開口縁部は、柱部25の円周方向側面25aと切り欠き28の内面との接続部と言い換えることができる。外径側開口縁部28a、内径側開口縁部28b、及び、奥側開口縁部28cのそれぞれは、微分不能な角部からなる稜部である。
外径側開口縁部28aは、ポケット26の中心Cよりも径方向外側に配置され、軸方向に略直線状に伸長している。内径側開口縁部28bは、ポケット26の中心Cよりも径方向内側に配置され、軸方向一方側に向かうほど径方向内側に向かう方向に略直線状に伸長している。奥側開口縁部28cは、径方向外側部が略円弧状に湾曲し、かつ、径方向内側部が径方向に略直線状に伸長しており、外径側開口縁部28aの軸方向他方側の端部と内径側開口縁部28bの軸方向他方側の端部とをつないでいる。
図示の例では、柱部25の円周方向側面25aのうちで、パーティングライン27よりも径方向外側に存在する部分の軸方向他方側半部(図2、図3、図5及び図6中に記号Dを付した部分)は、当該部分の径方向内側に配置された部分(後述する大径凹面部32)よりも円周方向に大きく凹んでいる。このため、柱部25の円周方向側面25aのうちで、パーティングライン27よりも径方向外側に存在する部分の軸方向他方側半部は、ポケット側面26aを構成しない。換言すれば、本例では、柱部25の円周方向側面25aのうちで、パーティングライン27よりも径方向外側に存在する部分の軸方向他方側半部を除いた部分が、ポケット側面26aを構成する。
ポケット側面26aは、径方向中間部(中央部)から径方向両側に向かうほど、ポケット26の内側に張り出すように湾曲している。これにより、円周方向に関するポケット26の開口幅は、ポケット26の径方向外側の端部及びポケット26の径方向内側の端部において、玉4の直径よりも小さくなっている。このため、玉4が、ポケット26の内側から径方向外側及び径方向内側に抜け出ることが防止される。
ポケット側面26aは、軸方向中間部から軸方向両側に向かうほど、ポケット26の内側に張り出すように湾曲している。これにより、円周方向に関するポケット26の開口幅は、ポケット26の軸方向一方側の端部及びポケット26の軸方向他方側の端部において、玉4の直径よりも小さくなっている。このため、玉4が、ポケット26の内側から軸方向一方側に抜け出ることが防止される。
本例では、切り欠き28の開口縁部と、ポケット26内に保持された玉4の転動面の赤道部分(E)とが非接触となるように、柱部25の円周方向側面25aのうちで、ポケット側面26aを構成する部分の形状を工夫している。本例では、図2に示すように、切り欠き28の開口縁部は、内径側開口縁部28bの軸方向中間部に位置する対向部α、及び、奥側開口縁部28cの径方向外側部に位置する対向部βにおいて、玉4の転動面の赤道部分(E)と対向する。そこで、2箇所の対向部α及びβが、玉4の転動面の赤道部分(E)と接触することを防止するために、ポケット側面26aの形状を工夫している。
本例では、柱部25の円周方向側面25aのうちでポケット側面26aを構成する部分を、曲率半径の異なる複数の凹面部を含む複合面としている。具体的には、ポケット側面26aを、基準凹面部31と、干渉回避用の大径凹面部32とを含む、複合面としている。
基準凹面部31は、ポケット底面26bを構成する凹曲面の曲率中心と一致するポケット26の中心Cを中心とし、かつ、玉4の転動面の曲率半径よりも3%程度大きい曲率半径を有する、凹曲面(球状凹面)である。このため、基準凹面部31は、ポケット底面26bと同一の仮想球面上に存在する。
これに対し、大径凹面部32は、ポケット26の中心Cを中心とし、かつ、玉4の転動面の曲率半径よりも5%程度大きい曲率半径を有する、凹曲面(球状凹面)である。このため、大径凹面部32は、基準凹面部31よりも大きい曲率半径を有している。
したがって、ポケット26の中心Cと玉4の中心Oとを一致させた状態で、玉4の転動面と大径凹面部32との間の隙間は、玉4の転動面と基準凹面部31との間の隙間よりも大きくなる。換言すれば、玉4の転動面とポケット26の内面との間の隙間は、大径凹面部32が備えられた部分で、基準凹面部31が備えられた部分よりも大きくなる。
本例では、上述のような大径凹面部32の形成範囲内に、切り欠き28の開口縁部と玉4の転動面の赤道部分(E)とが対向する2箇所の対向部α及びβのそれぞれが含まれるように、大径凹面部32を、ポケット側面26aのうちで、柱部25の円周方向側面25aの径方向外端縁と玉4の転動面の赤道部分(E)とが対向する部分(図2中のX点)、及び、柱部25の円周方向側面25aの径方向内端縁と玉4の転動面の赤道部分(E)とが対向する部分(図2中のY点)のそれぞれを含む軸方向範囲(Z1)に設けている。
別の言い方をすれば、図2~図6に斜格子模様で示すように、柱部25の円周方向側面25aのうちで、パーティングライン27よりも径方向内側に存在する部分の、軸方向他方側部から軸方向中間部にわたる範囲に大径凹面部32を設け、かつ、図2~図6に斜線模様で示すように、柱部25の円周方向側面25aのうちで、パーティングライン27よりも径方向外側に存在する部分の軸方向中間部に大径凹面部32を設けている。
基準凹面部31は、ポケット側面26aのうちで、大径凹面部32から外れた部分に備えられている。具体的には、基準凹面部31は、柱部25の円周方向側面25aの軸方向一方側の端部に備えられている。基準凹面部31は、切り欠き28の軸方向一方側半部を径方向両側から挟むように配置されている。換言すれば、基準凹面部31は、外径側爪部29の円周方向側面の軸方向一方側部分及び内径側爪部30の円周方向側面の軸方向一方側部分のそれぞれに設けられている。
ポケット側面26aは、基準凹面部31と大径凹面部32とを接続する、段差面部33をさらに有する。段差面部33は、柱部25の円周方向側面25aのうちで、パーティングライン27よりも径方向外側に存在する基準凹面部31と大径凹面部32との間に備えられている。換言すれば、段差面部33は、外径側爪部29の円周方向側面の軸方向中間部に備えられている。段差面部33は、径方向に伸長し、帯状に構成されている。
本例では、ポケット側面26aのうちで、パーティングライン27よりも径方向内側に存在する部分の軸方向他方側部を、大径凹面部32により構成しているため、大径凹面部32とポケット底面26bとを、第2の段差面部34により接続している。第2の段差面部34は、凹曲面であるポケット底面26bの外周縁に沿って備えられており、軸方向視で略C字形状を有する。
玉4をポケット26の内側に挿入する作業は、円周方向に隣り合う1対の柱部25の軸方向一方側の端部同士の間隔を弾性的に拡げ、玉4をポケット26の内側に押し込むことによって行う。
本例のアンギュラ玉軸受用保持器5は、固定型と移動型とを用いた、アキシアルドローによる射出成形によって造ることができるが、従来から知られた各種の射出成形法により造ることもできる。
以上のような本例のアンギュラ玉軸受用保持器5によれば、円周方向に隣り合うポケット26同士の円周方向距離を短くすることができて、保持できる玉4の数を増やすことができるとともに、玉4とポケット26との間で発生する摩擦を低減できる。
すなわち、本例では、柱部25のうちで、玉4のピッチ円Pが通過する部分を含む、軸方向一方側の端部から軸方向中間部にわたる範囲に切り欠き28を形成している。このため、柱部に切り欠きを備えない構造に比べて、円周方向に隣り合うポケット26(玉4)同士の円周方向距離を短くすることができる。このため、アンギュラ玉軸受用保持器5により保持可能な玉4の数を増やすことが可能になり、ハブユニット軸受1の基本動定格荷重Crの向上を図れる。
また、本例では、柱部25の円周方向側面25aのうちでポケット側面26aを構成する部分を、曲率半径が互いに異なる基準凹面部31と大径凹面部32とを含む複合面とし、基準凹面部31よりも曲率半径の大きい大径凹面部32を、ポケット側面26aのうちで、切り欠き28の開口縁部と玉4の転動面の赤道部分(E)とが対向する2箇所の対向部α及びβを含む、軸方向範囲(Z1)に設けている。このため、玉4の転動面が柱部25の円周方向側面25aを押す際にも、玉4の転動面を、大径凹面部32に備えられた2箇所の対向部α及びβには接触させずに、基準凹面部31にのみ接触させることができる。したがって、稜部である切り欠き28の開口縁部が、玉4の転動面の赤道部分(E)と接触することを防止できる。この結果、玉4の転動面に付着したグリースが、切り欠き28の開口縁部(2箇所の対向部α及びβ)によって掻き取られることを防止できる。このため、玉4の転動面と外輪軌道6a、6b及び内輪軌道11a、11bとの転がり接触部を潤滑するグリースが不足することを防止でき、発熱によってアンギュラ玉軸受用保持器5に変形や損傷が生じたり、ハブユニット軸受1の動トルクが増加したりするなどの問題を生じることを防止できる。これにより、軸受寿命を十分に確保できる。
また、玉4の転動面が柱部25の円周方向側面25aを押す際に、玉4の凸曲面状の転動面を、凹曲面である基準凹面部31に接触させることができるため、玉4とポケット26との間で発生する摩擦を低減できる。さらに、玉4の転動面は、ポケット26の内面に対して、赤道部分(E)から離れた部分で接触し、玉4の転動面とポケット26の内面との接触部分の相対速度を低下させることができるため、この面からも、玉4とポケット26との間の摩擦を低減できる。特に本例では、大径凹面部32を、柱部25の円周方向側面25aの径方向外端縁と玉4の転動面の赤道部分(E)とが対向する部分(図2中のX点)、及び、柱部25の円周方向側面25aの径方向内端縁と玉4の転動面の赤道部分(E)とが対向する部分(図2中のY点)のそれぞれを含む、広い軸方向範囲(Z1)に設けているため、玉4の転動面とポケット26の内面との接触部分の相対速度を十分に低下させることができ、玉4とポケット26との間の摩擦を十分に低減できる。
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、図7を用いて説明する。
本例では、実施の形態の第1例の構造に比べて、ポケット側面26aに設ける大径凹面部32aの形成範囲、すなわち軸方向範囲(Z2)を小さくしている。
本例では、大径凹面部32aの形成範囲内に、切り欠き28の開口縁部と玉4の転動面の赤道部分(E)とが対向する2箇所の対向部α及びβのそれぞれが含まれるように、大径凹面部32aを、対向部αよりもわずかに軸方向一方側に位置する部分から対向部βよりもわずかに軸方向他方側に位置する部分にわたる軸方向範囲(Z2)に設けている。
別の言い方をすれば、図7に斜格子模様で示すように、内径側爪部30の円周方向側面の軸方向中間部に大径凹面部32aを設け、かつ、図7に斜線模様で示すように、外径側爪部29の円周方向側面の軸方向中間部に大径凹面部32aを設けている。
本例では、大径凹面部32aの形成範囲を小さくした分だけ、基準凹面部31の形成範囲を大きくしている。
以上のような構成を有する本例では、大径凹面部32aの形成範囲を実施の形態の第1例の構造に比べて小さくしているため、柱部25の剛性(肉厚)を確保することができる。また、ポケット26内に保持された玉4の姿勢を安定化させることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
[実施の形態の第3例]
実施の形態の第3例について、図8を用いて説明する。
本例では、実施の形態の第1例及び第2例とは異なり、ポケット側面26aに、基準凹面部31よりも曲率半径の大きい大径凹面部32(図2等参照)は設けていない。本例では、柱部25の円周方向側面25aのうちでポケット側面26aを構成する部分を、基準凹面部31と、小径凹面部35とを含む、複合面としている。
小径凹面部35は、基準凹面部31と同様にポケット26の中心Cを中心とし、玉4の転動面の曲率半径よりも1~2%程度大きい曲率半径を有する、凹曲面である。このため、小径凹面部35は、基準凹面部31よりも小さい曲率半径を有している。したがって、ポケット26の中心Cと玉4の中心Oとを一致させた状態で、玉4の転動面と小径凹面部35との間の隙間は、玉4の転動面と基準凹面部31との間の隙間よりも小さくなる。
基準凹面部31は、ポケット側面26aのうちで、切り欠き28の開口縁部と玉4の転動面の赤道部分(E)とが対向する2箇所の対向部α及びβを含む範囲に設けられている。これに対し、小径凹面部35は、ポケット側面26aのうちで、基準凹面部31から外れた部分に設けられている。具体的には、図8に梨子地模様で示すように、小径凹面部35は、ポケット側面26aのうち、パーティングライン27よりも径方向外側に存在する部分の軸方向一方側部分に設けられている。換言すれば、小径凹面部35は、外径側爪部29の円周方向側面の軸方向一方側部分に設けられている。
以上のような本例では、玉4の転動面が柱部25の円周方向側面25aを押す際に、玉4の転動面を、基準凹面部31に備えられた2箇所の対向面部α及びβには接触させずに、小径凹面部35にのみ接触させることができる。したがって、稜部である切り欠き28の開口縁部が、玉4の転動面の赤道部分(E)と接触することを防止できる。この結果、玉4の転動面に付着したグリースが、切り欠き28の開口縁部によって掻き取られることを防止できる。
また、本例のポケット26の内面形状は、無理抜き部や曲率が変化する部分が存在しないため、それぞれの先端部が球形状でかつ基端部が半円筒形状を有する上型及び下型をアキシアル方向に組み合わせて成る、一般的な射出成形型を使用して製造できる。このため、射出成形型の製造コストを低く抑えられるとともに、射出成形性を良好にできる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、発明の技術思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、実施の形態の各例の構造は、矛盾を生じない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。
本発明を実施する場合に、アンギュラ玉軸受用保持器の回転方向が一方向に限定される場合には、柱部の円周方向両側面のうち、玉によって円周方向に押される回転方向後方側を向いた円周方向側面のみを、曲率半径の異なる複数の凹面部を含む複合面から構成し、回転方向前方側を向いた円周方向側面については、単一面など、その他の形状を採用しても良い。
上述した実施の形態の各例では、柱部の円周方向側面のうちの一部が、ポケット側面を構成しない構造について説明したが、本発明は、柱部の円周方向側面の全体がポケット側面を構成する構造に適用することもできる。
本発明のアンギュラ玉軸受は、第3世代のハブユニット軸受に限らず、例えば、第1世代のハブユニット軸受、第2世代のハブユニット軸受などの、他の世代のハブユニット軸受に適用することもできる。また、本発明のアンギュラ玉軸受は、ハブユニット軸受に限らず、各種機械装置に組み込まれる単列又は複列のアンギュラ玉軸受に適用することができる。
1 ハブユニット軸受
2 外輪
3 ハブ
4 玉
5 アンギュラ玉軸受用保持器
6a、6b 外輪軌道
7 静止フランジ
8 支持孔
9 ハブ輪
10 内輪
11a、11b 内輪軌道
12 軸部
13 回転フランジ
14 パイロット部
15 スプライン孔
16 段差面
17 固定筒部
18 かしめ部
19 取付孔
20 スタッド
21 環状空間
22a、22b シール装置
24 リム部
25 柱部
26 ポケット
26a ポケット側面
26b ポケット底面
27 パーティングライン
28 切り欠き
28a 外径側開口縁部
28b 内径側開口縁部
28c 奥側開口縁部
29 外径側爪部
30 内径側爪部
31 基準凹面部
32、32a 大径凹面部
33 段差面部
34 第2の段差面部
35 小径凹面部
100 アンギュラ玉軸受用保持器
101 ハブユニット軸受
102 外輪
102a 外輪軌道
103 ハブ
103a 内輪軌道
104 玉
105 リム部
106 柱部
107 ポケット
108 切り欠き

Claims (4)

  1. 円環状のリム部と、
    前記リム部の円周方向複数箇所から軸方向一方側にそれぞれ伸長する複数本の柱部と、
    円周方向に隣り合う1対の前記柱部と前記リム部とにより三方が囲まれた、玉を保持するための複数のポケットと、を備え、
    前記柱部は、円周方向に隣り合う1対の前記ポケット同士を連通する切り欠きを有し、
    前記柱部の円周方向側面のうちで前記ポケットの側面を構成するポケット側面を、曲率半径の異なる複数の凹面部を含む複合面から構成し、前記柱部の円周方向側面に開口した前記切り欠きの開口縁部と前記ポケット内に保持される玉の転動面の赤道部分とを非接触とした、
    アンギュラ玉軸受用保持器。
  2. 前記ポケット側面は、前記切り欠きの開口縁部のうちで前記玉の転動面の赤道部分と対向する部分を含む範囲に、当該範囲から外れた部分よりも曲率半径の大きい大径凹面部を有する、請求項1に記載したアンギュラ玉軸受用保持器。
  3. 前記ポケット側面は、前記柱部の円周方向側面の径方向外端縁と前記玉の転動面の赤道部分とが対向する部分、及び、前記柱部の円周方向側面の径方向内端縁と前記玉の転動面の赤道部分とが対向する部分のそれぞれを含む軸方向範囲に、前記大径凹面部を有する、請求項2に記載したアンギュラ玉軸受用保持器。
  4. 内周面にアンギュラ型の複列の外輪軌道を有する外輪部材と、
    外周面にアンギュラ型の複列の内輪軌道を有する内輪部材と、
    前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に配置された複数個の玉と、
    前記玉を転動自在に保持するための保持器と、を備え、
    前記保持器が、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載したアンギュラ玉軸受用保持器であり、
    自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するためのハブユニット軸受として用いられる、
    アンギュラ玉軸受。
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