JP2023136953A - 視標提示装置及び眼科装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被検眼に対して、位置及び姿勢を自在に変化させて視標を提示することを目的とする。
【解決手段】眼科装置100は、測定光学系を有する測定ヘッド16、測定ヘッド駆動部15及び主制御部20を備える眼科装置本体10と、視標提示装置40とを備える。測定光学系は、被検眼に視標を提示する視標投影系を有する。視標提示装置40は、検査用レンズが前方に配置された被検眼に視標を提示する視標表示機41と、視標表示機41を移動可能に保持する視標駆動機構50と、視標駆動機構50を駆動制御する主制御部20とを備える。主制御部20は、被検眼に対して位置及び姿勢を所望に変更可能に視標表示機41を移動させるように視標駆動機構50を駆動制御する。
【選択図】図1
【解決手段】眼科装置100は、測定光学系を有する測定ヘッド16、測定ヘッド駆動部15及び主制御部20を備える眼科装置本体10と、視標提示装置40とを備える。測定光学系は、被検眼に視標を提示する視標投影系を有する。視標提示装置40は、検査用レンズが前方に配置された被検眼に視標を提示する視標表示機41と、視標表示機41を移動可能に保持する視標駆動機構50と、視標駆動機構50を駆動制御する主制御部20とを備える。主制御部20は、被検眼に対して位置及び姿勢を所望に変更可能に視標表示機41を移動させるように視標駆動機構50を駆動制御する。
【選択図】図1
Description
本開示は、視標提示装置及び眼科装置に関する。
被検眼に遠用検査用の視標を提示する視標提示装置と、近点棒によって吊り下げられて被検眼に近用検査用の視標を提示する視標板とを備えた眼科装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来の眼科装置では、近点棒に沿って視標板を移動させることで、被検眼と視標までの距離を調節可能となっており、被検者は所望の近用検査距離で、加齢等による被検眼の調節力の変化を検査する近用検査を行うことができる。
そして、遠用検査と近用検査によって矯正の処方が決定すると、被検者は、処方に基づくテストレンズを取り付けたトライアルフレームを装着して、上下左右を確認したり、雑誌や新聞の切り抜きを視認したりして、見え方の最終確認をしている。
ところで、眼鏡等で被検眼が矯正された状態で、実生活で近用距離にて視認する対象物は、パーソナルコンピュータ(PC)に接続した大型ディスプレイ、ノート型PC、タブレット端末、スマートフォン、新聞、本等、様々なものがある。これらの対象物を視認する際の視線も方向も異なる。特に累進レンズ等の遠近両用レンズは、レンズの領域によって矯正度数等が異なり、頭の位置や視線の方向によっても見え方が異なる。このため、眼科店等の限られた環境での見え方の確認では不十分であり、実生活により近い状態で、見え方を確認できることが望ましい。
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、被検眼に対して、位置及び姿勢を自在に変化させて視標を提示することを目的とする。
上記目的を達成するため、本開示の視標提示装置は、検査用レンズが前方に配置された被検眼に視標を提示する視標表示機と、前記視標表示機を移動可能に保持する視標駆動機構と、前記視標駆動機構を駆動制御する駆動制御部と、を備える。前記駆動制御部は、前記被検眼に対して位置及び姿勢を所望に変更可能に前記視標表示機を移動させるように前記視標駆動機構を駆動制御する。
このように構成された視標提示装置では、被検眼に対して、位置及び姿勢を自在に変化させて視標を提示することができる。このため、日常生活に近い状態で視標の見え方を適切に把握することができ、被検眼の矯正をより適切に行うことができる。
以下、本開示の視標提示装置及びこの視標提示装置を備えた眼科装置を実施するための形態を、実施例1~実施例4に基づいて説明する。
(実施例1)
実施例1に係る眼科装置について、図1~図7を参照して説明する。実施例1の眼科装置100は、被検者H(図4~図6、図9等参照)が両眼を開放した状態で、被検眼Eの特性測定を両眼同時に実行可能な両眼開放タイプの眼科装置である。なお、実施例1の眼科装置100は、片眼を遮蔽したり、固視標を消灯したりすることで、片眼ずつ検査等することも可能となっている。また、眼科装置は、両眼開放タイプに限定されるものではなく、片眼ずつ特性測定する眼科装置であってもよい。
実施例1に係る眼科装置について、図1~図7を参照して説明する。実施例1の眼科装置100は、被検者H(図4~図6、図9等参照)が両眼を開放した状態で、被検眼Eの特性測定を両眼同時に実行可能な両眼開放タイプの眼科装置である。なお、実施例1の眼科装置100は、片眼を遮蔽したり、固視標を消灯したりすることで、片眼ずつ検査等することも可能となっている。また、眼科装置は、両眼開放タイプに限定されるものではなく、片眼ずつ特性測定する眼科装置であってもよい。
実施例1の眼科装置100は、任意の自覚検査を行うものであり、さらに他覚検査を行うこともできる。なお、自覚検査では、眼科装置100は、被検者Hに所定の提示位置で視標等を提示し、この視標等に対する被検者Hの応答に基づいて検査結果を取得する。この自覚検査には、遠用検査、中用検査、近用検査、コントラスト検査、グレア検査等の自覚屈折測定や、視野検査等がある。また、他覚検査では、眼科装置100は、被検眼に光を照射し、その戻り光の検出結果に基づいて被検眼に関する情報(眼特性)を測定する。この他覚検査には、被検眼の特性を取得するための測定と、被検眼の画像を取得するための撮影とが含まれる。さらに、他覚検査には、他覚屈折測定(レフ測定)、角膜形状測定(ケラト測定)、眼圧測定、眼底撮影、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:以下、「OCT」という)を用いた断層像撮影(OCT撮影)、OCTを用いた計測等がある。
以下では、被検者Hが居る場所とは離れた場所(遠隔地)に居る検者K(以下、「外部検者K」という。)が、遠隔操作によって実施例1の眼科装置100を操作するものとして説明する。しかし、実施例1の眼科装置100の操作者は、遠隔地に居る外部検者Kに限定されることはなく、被検者Hが居る建物と同じ建物の異なる部屋に居る検者や、被検者Hと同じ部屋に居る検者(以下、「内部検者」という。)であってもよい。また、外部検者Kと内部検者とが各々操作して、互いに協力して検査を行うものであってもよい。
[眼科装置の全体構成]
実施例1の眼科装置100は、図1、図2に示すように、眼科装置本体10と、視標提示装置40と、外部検者用コントローラ60とを備える。また、実施例1の眼科装置100は、被検者用操作部70と、内部検者用コントローラ71を更に備える。
実施例1の眼科装置100は、図1、図2に示すように、眼科装置本体10と、視標提示装置40と、外部検者用コントローラ60とを備える。また、実施例1の眼科装置100は、被検者用操作部70と、内部検者用コントローラ71を更に備える。
眼科装置本体10は、基台11と、検眼用テーブル12と、支柱13と、支持腕14と、一対の測定ヘッド駆動部15と、一対の測定ヘッド16と、主制御部(制御装置)20とを備える。眼科装置本体10は、検眼用テーブル12と正対する被検者Hが、両測定ヘッド16の間に設けられた額当部17に額を当てた状態で、被検者Hの被検眼Eの情報を取得する。なお、本明細書を通じて図1に記すようにX軸、Y軸及びZ軸を取り、眼科装置本体10に対峙する被検者Hから見て、左右方向をX方向とし、上下方向(鉛直方向)をY方向とし、X方向及びY方向と直交する方向(測定ヘッド16の奥行き方向)をZ方向とする。
検眼用テーブル12は、基台11により支持されている。検眼用テーブル12は、Y方向での位置(高さ位置)を調節可能に基台11に支持されていてもよい。検眼用テーブル12は、視標提示装置40が取り付けられている。検眼用テーブル12は、被検者用操作部70や内部検者用コントローラ71を置いたり、検眼に用いるトライアルフレームや検眼レンズセット等を置いたりするための机でもある。
支柱13は、検眼用テーブル12の後端部でY方向に延びるように基台11により支持されており、先端に梁状の支持腕14が設けられている。支持腕14は、検眼用テーブル12上で測定ヘッド駆動部15を介して両測定ヘッド16を吊り下げるもので、支柱13から手前側(Z方向)に延びている。支持腕14は、支柱13に対してY方向に移動可能とされていてもよいし、支柱13に対してX方向及びZ方向に移動可能とされていてもよい。支持腕14は、先端に一対の測定ヘッド駆動部15が吊り下げられている。各測定ヘッド駆動部15に、測定ヘッド16が各々移動可能に吊り下げられている。すなわち、支持腕14は、一対の測定ヘッド駆動部15及び一対の測定ヘッド16を吊り下げて支持している。
測定ヘッド駆動部15及び測定ヘッド16は、被検者Hの左右の被検眼Eに個別に対応すべく対を為して設けられる。測定ヘッド駆動部15及び測定ヘッド16は、個別に述べる際には、左眼用測定ヘッド駆動部15L及び右眼用測定ヘッド駆動部15R、並びに左眼用測定ヘッド16L及び右眼用測定ヘッド16Rという。左眼用測定ヘッド16Lは、被験者の左側の被検眼Eの情報を取得し、右眼用測定ヘッド16Rは、被験者の右側の被検眼Eの情報を取得する。左眼用測定ヘッド駆動部15L及び右眼用測定ヘッド駆動部15Rは、X方向で双方の中間に位置する鉛直面に関して面対称な構成とされている。左眼用測定ヘッド16Lと右眼用測定ヘッド16Rとは、X方向で双方の中間に位置する鉛直面に関して面対称な構成とされている。
測定ヘッド駆動部15は、鉛直駆動部、水平駆動部、回旋駆動部を有する。測定ヘッド駆動部15は、主制御部20からの指示信号に基づいて、各測定ヘッド16を個別に又は連動させて、X方向、Y方向及びZ方向に移動させ、被検眼Eの眼球回旋軸を中心にX方向及びY方向に回旋させる。
また、測定ヘッド駆動部15は、両測定ヘッド16をX方向(左右方向)に回旋させることで、被検眼Eを開散(開散運動)させたり輻輳(輻輳運動)させたりすることができる。また、測定ヘッド駆動部15は、両測定ヘッド16をY方向(上下方向)に回旋させることで、被検眼Eの視線を下方向に向けさせたり、元の位置に戻したりすることができる。これにより、実施例1の眼科装置100では、被検者Hは、開散運動及び輻輳運動のテストを行うことや、両眼視の状態で遠点距離での遠用検査から近点距離での近用検査まで様々な検査距離での検査を行って両被検眼Eの各種特性を測定することができる。
各測定ヘッド16は、偏向部材であるミラー18(個別に述べる際には左眼用ミラー18L及び右眼用ミラー18Rという。)が設けられ、ミラー18を通じて後述する測定光学系21により対応する被検眼Eの情報が取得される。
各測定ヘッド16は、被検眼Eの眼情報を取得する測定光学系21(個別に述べる際には右眼用測定光学系21R及び左眼用測定光学系21Lという。)が設けられている。
各測定光学系21は、それぞれ提示する視標を切り替えながら視力検査を行う視力検査装置、矯正用レンズを切換え配置しつつ被検眼Eの適切な矯正屈折力を取得するフォロプタ、屈折力を測定するレフラクトメータや波面センサ、眼底の画像を撮影する眼底カメラ、網膜の断層画像を撮影する断層撮影装置、角膜内皮画像を撮影するスペキュラマイクロスコープ、角膜形状を測定するケラトメータ、眼圧を測定するトノメータ等が、単独又は複数組み合わされて構成されている。
各測定光学系21は、図2に示すように、観察光学系31、視標投影系32、自覚式検査光学系33、アライメント光学系34、並びに他覚測定光学系35を有する。
観察光学系31は被検眼Eの前眼部を観察すべく、撮像素子によって前眼部の画像を撮影する。撮影された画像は、主制御部20の制御の下、外部検者用コントローラ60の外部検者表示部63の表示面63aに表示される。視標投影系32は、被検眼Eに視標を提示する。自覚式検査光学系33は、被検眼Eに視標を提示するものであり、光学系を構成する光学素子を視標投影系32と共用する。
アライメント光学系34は、被検眼Eに対する光学系の位置合わせ(アライメント)を行う。すなわち、アライメント光学系34は、観察光学系31の光軸に沿う方向(前後方向、Z方向)における光学系のアライメントと、当該光軸に直交する方向(上下方向及び左右方向;Y方向及びX方向)における光学系のアライメントを行う。
他覚測定光学系35は、眼屈折力測定系、ケラト系等からなる。眼屈折力測定系は、被検眼Eの眼屈折力の測定を行うものであり、例えば被検眼Eの眼底に所定の測定パターンを投影し、眼底に投影した測定パターンの像を検出する。ケラト系は、検眼(角膜)にケラトリング光束を投光する。角膜で反射された光束は、撮像素子上に結像され、画像信号が主制御部20に入力される。主制御部20は、撮入力された画像を外部検者表示部63の表示面63aに表示させ、かつ当画像に基づき角膜形状(曲率半径)を周知の手法により測定する。
視標投影系32(自覚式検査光学系33)は、被検眼Eを固視、雲霧させるために視標を投影し、眼底に提示する光学系である。視標投影系32は、第1の視標表示部であるディスプレイ32aと、ハーフミラー、合焦レンズ、フィルタ、グレア光源等を有する投影光学系32bとを有する。
ディスプレイ32aは、他覚検査を行う際等に被検眼Eの視線を固定する視標としての固視標や点状視標を提示したり、被検眼Eの特性(視力値や矯正度数(遠用度数、近用度数)等)を自覚的に検査するための自覚検査視標を所定の提示条件で提示したりする。提示条件は、視力値、検査距離、検査の種類、視標の種類、視標の拡大倍率、視標の表示態様(視標の形状、形態、大きさ、数、色、コントラスト等)等が挙げられる。ディスプレイ32aは、EL(エレクトロルミネッセンス)や液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display(LCD))を用いることができ、主制御部20の制御下で任意の画像を表示する。ディスプレイ32aは、視標投影系32(自覚式検査光学系33)の光路上において、被検眼Eの眼底と共役となる位置に設けられる。
投影光学系32bは、例えば駆動モータによって光軸に沿って合焦レンズを移動させることで、被検眼Eの屈折力をマイナス側又はプラス型に変位させることができる。投影光学系32bは、この合焦レンズの移動により、ディスプレイ32aに表示された視標の提示位置から被検眼Eまでの検査距離を、遠用検査距離から近用検査距離まで任意に変更可能となっている。一般的には、遠用検査距離は5.0m、近用検査距離は30cm或いは50cmであるが、実施例1の眼科装置本体10では、視標投影系32は、10cm~6.0mまでの間で検査距離を任意に変更可能となっている。また、ここでは、1.0m以下の検査距離を遠用検査距離とし、1.0m未満の検査距離を近用検査距離としている。なお、実施例1の眼科装置本体10における検査距離は、被検者H(被検眼E)と視標との実際の距離ではなく、あたかもこの距離の位置に視標が提示されているように、視標投影系32が作り出す、見かけの距離である。
自覚検査等でディスプレイ32aに表示する視標は、検眼に用いられるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ランドルト環、スネレン視標、Eチャート等が好適に挙げられる。また、視標は、ひらがなやカタカナ等の文字、動物や指等の絵等からなる視標、十字視標等の両眼視機能検眼用の特定の図形や風景画や風景写真等からなる視標等、様々な視標を用いることができる。また、視標は静止画であってもよいし、動画であってもよい。本実施の形態では、視標投影系32は、LCD等からなるディスプレイ32aを備えているため、所望の形状、形態及びコントラストの視標を、所望の検査距離で表示することができ、多角的で綿密な検眼が可能となる。また、眼科装置本体10は、左右の被検眼Eに対応して2つのディスプレイ32aを備えているため、視差を与える視標を、所定の検査距離(提示位置)に対応して表示することができ、立体視検査も自然な視軸の向きで、容易かつ精密に行うことが可能となる。
なお、測定光学系21は、例えば特開2021-146184号公報に記載の測定光学系と同様のものを用いることができる。測定光学系21の詳細な構成及び測定原理等は、特開2021-146184号公報に記載の測定光学系と同様であるため、詳細な説明は省略する。
主制御部20は、眼科装置100全体の動作を制御する制御部として機能する。主制御部20は、測定光学系21と、測定ヘッド駆動部15に接続され、これらを駆動制御する。また、主制御部20は、視標提示装置40の視標制御部42及び視標駆動機構50と、被検者用操作部70と、内部検者用コントローラ71に、有線又は近距離無線通信等により互いに信号やデータを送受信可能に接続されている。さらに、主制御部20は、外部検者用コントローラ60と、インターネット等の通信ネットワークNを介して互いに信号やデータを送受信可能に接続されている。
主制御部20は、マイクロプロセッサと、RAM、ROM、EEPROM、ハードディスクドライブ等からなる主記憶部20aとを有する。主制御部20は、眼科装置100の各部の制御を行うためのコンピュータプログラムを予め主記憶部20aに記憶させており、そのコンピュータプログラムを例えばRAM上に展開して実行することにより、眼科装置100の動作を統括的に制御する。また、主記憶部20aには、コンピュータプログラムの他、検眼のための各種検眼パラメータ、検眼結果などが記憶される。また、主記憶部20aには、視標提示装置40の視標表示機41の視標表示部43を、視認対象物を模して配置する際の位置情報及び姿勢情報が、視認対象物ごとに記憶されている。
主制御部20は、外部検者用コントローラ60(又は内部検者用コントローラ71)から入力される指示信号やパラメータに応じて、眼科装置本体10の測定光学系21を制御して、眼特性の測定を行わせる。また、主制御部20は、表示制御部として機能し、外部検者用コントローラ60から入力される視標の選択指示信号や提示条件に応じて、視標投影系32を制御して、選択された視標を所定の提示条件でディスプレイ32aに表示させる。このとき、主制御部20は、外部検者用コントローラ60から入力される外部検者カメラ64で撮影した画像(主に外部検者Kの画像)や、自覚検眼を補助する補助標示を、ディスプレイ32aに表示させてもよい。補助標示は、例えば、矢印やアイコン等によって、表示させている視標や注目すべき位置を指し示すことや、文字を表示して説明すること等が挙げられる。
また、主制御部20は、被検者用操作部70からの操作信号(応答信号)に基づき、視力値等の測定結果を取得し、この測定結果を外部検者用コントローラ60へ送出して外部検者表示部63の表示面63aに表示させる。または、主制御部20は、被検者Hが被検者マイク45を通して口頭で行った応答を外部検者用コントローラ60に送出してもよい。外部検者Kは、外部検者スピーカ66を通して応答を聞き取り、外部検者操作部62から応答を入力する。この入力結果を主制御部20が取得し、測定結果を外部検者表示部63に表示させるものとすることもできる。
主制御部20は、外部検者用コントローラ60から入力される指示信号やパラメータに応じて、視標表示機41の視標制御部42に指示して、視標表示部43の表示面43aに視標を表示させる。このとき、主制御部20は、自覚検眼を補助する矢印等の補助標示mを視標表示部43に表示させてもよい。また、主制御部20は、外部検者用コントローラ60から入力される外部検者カメラ64で撮影した画像(主に外部検者Kの画像)、被検者カメラ44で撮影した画像(主に被検者Hの画像)を、視標表示部43及び外部検者表示部63に表示させる。また、実施例1では、主制御部20は、被検眼Eの適切なアイポイントの位置を示すためのアイポイント標示Mを、被検者Hの画像に重畳して表示してもよい(以上、図5、図6参照)。
また、主制御部20は、被検者Hの画像を解析して、被検眼Eの実際の瞳孔(アイポイント)を検出し、検出したアイポイントと、アイポイント標示Mの位置関係が不適切であるときに、警告音やメッセージを被検者スピーカ46や外部検者スピーカ66から出力してもよい。
また、主制御部20は、視標制御部42及び外部側制御部61を介して、被検者カメラ44、被検者マイク45及び被検者スピーカ46を制御し、外部検者カメラ64、外部検者マイク65及び外部検者スピーカ66を制御する。主制御部20は、被検者カメラ44からの画像データや被検者マイク45からの音声データを取得して外部検者用コントローラ60へ送信し、外部検者スピーカ66から被検者Hの音声を出力させ、外部検者表示部63に被検者Hの画像を表示させることができる。また、主制御部20は、外部検者カメラ64からの画像データや外部検者マイク65からの音声データを取得して視標提示装置40へ送信し、視標表示部43に外部検者Kの画像を表示させ、被検者スピーカ46から外部検者Kの音声を出力させることができる。
また、主制御部20は、視標提示装置40の視標駆動機構50を駆動制御して、視標表示機41の被検眼Eに対する位置と姿勢を所望に変更させる。主制御部20による視標提示装置40の視標表示機41及び視標駆動機構50の制御については、後に詳細に説明する。
以下、視標提示装置40について詳細に説明する。図2に示すように、視標提示装置40は、視標表示機41と、視標駆動機構50と、駆動制御部としての主制御部20とを備える。実施例1では、主制御部20は、視標駆動機構50の駆動制御部としての機能を兼ね備えているが、主制御部20の制御の下、後述する視標表示機41の視標制御部42を駆動制御部として機能させてもよい、また、主制御部20は、視標表示機41の視標制御部42と協同して、視標表示部43に視標を表示させる表示制御部として機能するとともに、被検者カメラ44、被検者マイク45、被検者スピーカ46及びセンサ47の動作を制御する制御部として機能する。
主制御部20は、主記憶部20aに記憶している視標駆動機構50の起点(原点)となる位置座標等に基づいて、視標駆動機構50を制御し、視標表示機41(より詳細には、視標表示部43の表示面43aに表示される視標)の被検眼Eに対する位置及び姿勢を所望に変更可能としている。視標提示装置40は、この視標表示機41の位置及び姿勢を三次元で変化させることによって、被検眼Eから視標までの検査距離、視標の上下方向(Y方向)の高さ、左右方向(X方向)の位置(方向)、視標の傾き(向き)を変化させることができる。
ここで、「位置」は、被検眼Eに対する視標表示機41のXYZ方向の位置(位置座標)、つまり視標表示部43の表示面43aに表示される視標の位置である、主制御部20は、所定の基準点(例えば、表示面43aの中心位置や被検者カメラ44のレンズ中心位置)の初期位置における位置座標を原点とし、外部検者用コントローラ60から指定される検査距離や視認対象物に基づいて、視標駆動機構50を駆動制御することで、日常生活でその視認対象物が配置されるXYZ方向(左右方向、上下方向及び前後方向)の所定の位置に視標表示機41を配置することができる。
また、「姿勢」とは、被検眼Eに対する視標表示機41の傾き(向き)、つまり視標表示部43の表示面43aの傾き(向き)である。例えば、正面を向いた被検者Hに表示面43aが対峙する姿勢、つまり表示面43aをXY平面に平行に配置した状態を基準姿勢として、主制御部20は、外部検者用コントローラ60から指定される視認対象物に基づいて、視標駆動機構50を駆動制御することで、その視認対象物に対応する傾き(向き)(X軸及びY軸に対する表示面43aの角度)で、視標を配置することができる。
「検査距離」は、視標表示部43の表示面43aに表示された視標から被検眼Eまでの距離(直線距離)である。視標表示機41のXYZ方向の位置と姿勢によって、検査距離が決まる。実施例1では、視標提示装置40は、近用検査距離で視標を提示する装置とされ、30cm~70cmの範囲で検査距離を任意に変更可能となっている。
なお、視標提示装置40が視標を提示する検査距離は、30cm~70cmに限定されることはない。例えば、検査距離は、近用検査距離であれば、下限値は10cm、20cm、30cm、40cm等とすることができ、上限値は、50cm、1.0m、2.0m等とすることができる。また、視標提示装置40における検査距離が、近用検査距離に限定されることもなく、遠用検査距離であってもよく、視標提示装置40は、例えば1.0m~6.0mの範囲で遠用検査距離を変更可能としてもよい。また、検査距離が近用検査距離から遠用検査距離までを含む検査距離でもよく、視標提示装置40は、10cm~6.0mの範囲内で、検査距離を変更可能としてもよい。
視標表示機41は、視標制御部42と、視標表示部43と、被検者カメラ44と、被検者マイク45と、被検者スピーカ46と、各種のセンサ47とを備える。被検者カメラ44と、被検者マイク45と、各種のセンサ47は、被検者情報取得部や検知部として機能する。視標表示機41は、視標表示部43と、被検者カメラ44と、被検者マイク45と、センサ47とが一体的に備えられた(内蔵された)タブレット端末から構成される。なお、視標表示機41は、少なくとも視標を被検眼Eに提示でき、視標駆動機構50で自在に移動できればよく、スマートフォン等、タブレット端末以外の携帯情報機器でもよいし、LCDや有機EL等の比較的小型の電子表示デバイスでもよいし、視標が印刷された視標板等でもよい。
視標制御部42は、視標表示機41の動作を制御する機能を有し、マイクロプロセッサと、RAM、ROM及びハードディスクドライブ等からなる視標記憶部42a等を備えて構成される。視標制御部42は、主制御部20と信号やデータの送受信が可能となっている。視標制御部42は、主制御部20からの指示信号に応じて、視標表示部43の表示内容や被検者スピーカ46からの出力内容を制御する。さらに、視標制御部42は、主制御部20からの指示信号に応じて、被検者カメラ44で取得した画像データや被検者マイク45で取得した音声データを主制御部20へ送出する。また、視標制御部42は、主制御部20からの指示信号に応じて、各種のセンサ47で取得した検出データを主制御部20へ送出する。
視標表示部43は、視標制御部42の制御下で(より詳細には、主制御部20の指示を受けた視標制御部42の制御下で)、視標を表示する。また、視標表示部43は、被検者カメラ44で撮影した被検者Hの画像、外部検者カメラ64で取得した外部検者Kの画像を表示する。視標表示部43は、被検者Hの画像及び/又は外部検者Kの画像を、視標と並べて(例えば図6参照)表示する。なお、視標表示部43は、被検者Hと外部検者Kとが互いを確認したり、挨拶したりできるように、検査前や眼科装置本体10での検査中は、外部検者Kのみの画像を表示してもよい。また、視標表示部43は、眼科装置本体10で取得した眼特性の結果等を表示してもよい。視標表示部43は、LCDや有機EL等の電子表示デバイスにより構成することができる。
被検者カメラ44は、視標制御部42の制御の下、被検者H側の動画像又は静止画像を取得し、取得した画像データを視標制御部42に送出する。この画像データは、視標制御部42から主制御部20に送出され、主制御部20から外部検者用コントローラ60の外部側制御部61に送出される。被検者カメラ44は、主に被検者Hの画像を取得することを目的としている。なお、視標表示機41の位置や姿勢によっては、被検者Hを撮影しにくいことがあるので、被検者カメラ44として広角カメラを用いることも好ましい。また、被検者カメラ44とは別に、眼科装置本体10、壁面、天井等に設置した定点カメラで被検者H側の画像を取得し、主制御部20から外部検者用コントローラ60に送出してもよい。
被検者マイク45は、視標制御部42の制御の下、視標提示装置40が備えられた部屋の音を取得し、その音声データを視標制御部42に送出する。この音声データは、視標制御部42から主制御部20に送出され、主制御部20から外部検者用コントローラ60に送出される。被検者マイク45は、主に被検者H、さらには内部検者等の音声を取得することを目的としている。
被検者スピーカ46は、視標制御部42の制御の下、外部検者マイク65で取得されて主制御部20から入力されてくる音声を、視標提示装置40が備えられた部屋に出力する。被検者スピーカ46は、外部検者Kの音声を被検者Hや内部検者等に届けることを目的としている。
センサ47は、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ、GPS、測距センサ等が挙げられる。被検者カメラ44もセンサ47として機能することもできる。このようなセンサは、タブレット端末やスマートフォンに備えられている。主制御部20は、視標制御部42を介してこれらのセンサ47で取得した情報、例えば、加速度、角速度、方角、位置座標、被検者Hとの距離、被検者Hの顔の角度等に基づいて、視標表示機41(より具体的には視標表示部43の視標の表示面43a)の現在の位置情報及び姿勢情報を求め、この位置情報及び姿勢情報に基づいて視標駆動機構50の駆動を制御する構成とすることもできる。また、主制御部20は、この位置情報及び姿勢情報に基づく被検者Hと視標表示機41との位置関係(顔の位置、顔の方向、視線方向等)を外部検者用コントローラ60に提示する構成とすることもできる。
なお、被検者カメラ44、被検者マイク45、被検者スピーカ46及びセンサ47は、前述のとおり視標表示機41であるタブレット端末に一体的に備えられたものを用いているが、これらに限定されず、視標表示機41に外付けしたカメラ、マイク、スピーカ、センサを用いることもできる。
視標駆動機構50は、主制御部20の制御の下で駆動し、視標表示機41をXYZ方向に三次元で移動させ、被検眼Eに対して、視標表示機41(視標表示部43の表示面43aに表示される視標)を、所望の位置(検査距離、高さ、左右の位置等)及び姿勢(傾き)で配置する。
視標駆動機構50は、支柱13に近接して検眼用テーブル12に固定されている。視標駆動機構50は、実施例1では、6軸のロボットアームから構成されるが、5軸、又は7軸以上のロボットアームから構成されてもよい。以下、視標駆動機構50の具体的な構成を、図3を参照して説明する。
この図3に示すように、視標駆動機構50は、2本のアームである第1のアーム部51a及び第2のアーム部51bと、6つの回転支持機構である第1~第6の回転支持機構52a,52b,52c,52d,52e,52fと、各回転支持機構を駆動するための6つの駆動部である第1~第6の駆動部53a,53b,53c,53d,53e,53fと、第1~第5の支持部55a,55b,55c,55d,55eを備える。第5の支持部55eは、エンドエフェクタ(ロボットハンド)であり、視標表示機41を把持している。以下、各部を区別しないときは、単にアーム部51、回転支持機構52、駆動部53、支持部55という。
第1~第6の回転支持機構52a,52b,52c,52d,52e,52fはアーム部51や支持部55に設けられ、それぞれ軸I1,I2,I3,I4,I5,I6を中心に、接続される他方のアーム部51や支持部55を回転可能とする機構である。具体的には、回転支持機構52は、2つの部材(アーム部51や支持部55)を接続する図示しない軸体を回転可能に保持する機構である。第1~第6の駆動部53a,53b,53c,53d,53e,53fは、第1~第6の回転支持機構52a,52b,52c,52d,52e,52fを回転させる駆動力を発生させるものであり、例えばモータである。このモータは、具体的には、例えばDCモータとエンコーダを組み合わせて、所定の回転角度に制御可能な機構である。なお、各駆動部53は、ステッピングモータ等であっても構わない。また、モータは減速機を一体として構成してもよい。この明細書では、駆動部53と回転支持機構52は一体で構成されるものとして図示する。例えば、図3では、第1の回転支持機構52aとこの第1の回転支持機構52aを駆動する第1の駆動部53aを52a(53a)のように示している。なお、各回転支持機構52と各駆動部53は別体で構成してもよい。例えば、回転支持機構52は、ベアリング等により軸体を保持する機構であり、駆動部53はベアリング等が保持するギヤ付きの軸体に減速ギヤ等を介して回転の駆動力を伝達するように構成してもよい。
以下、視標駆動機構50の構成をより詳細に説明する。第1のアーム部51aは、第1の支持部55a及び第2の支持部55bを介してベースである検眼用テーブル12に接続されている。より詳細には、第2の支持部55bは、検眼用テーブル12に固定される第1の支持部55aと、この第1の支持部55aに備えられる第1の回転支持機構52aにより、第1の軸I1を中心に回転可能に接続される。第1のアーム部51aは、第2の支持部55bと、この第2の支持部55bに備えられる第2の回転支持機構52bにより第2の軸I2を中心に回転可能に接続される。
第2のアーム部51bは、第3の支持部55cを介して第1のアーム部51aと接続される。より詳細には、第3の支持部55cは、第1のアーム部51aと、この第1のアーム部51aに備えられる第3の回転支持機構52cにより第3の軸I3を中心に回転可能に接続される。第2のアーム部51bは、第3の支持部55cと、この第3の支持部55cに備えられる第4の回転支持機構52dにより第4の軸I4を中心に回転可能に接続される。
また、視標表示機41と第2のアーム部51bとは、第4の支持部55d及び第5の支持部55eを介して接続される。より詳細には、第4の支持部55dは、第2のアーム部51bと、この第2のアーム部51bに備えられる第5の回転支持機構52eにより第5の軸I5を中心に回転可能に接続される。第5の支持部(エンドエフェクタ)55eは、視標表示機41を把持している。このため、視標表示機41及び第5の支持部55eは、第4の支持部55dと、この第4の支持部55dに備えられる第6の回転支持機構52fにより第6の軸I6を中心に回転可能に接続される。なお、上記では、各回転支持機構52は、接続元の部材側に備えられている例を示したが、この構成に限定されず、各回転支持機構52は、接続される部材側に備えられていてもよい。
図3において、第1の軸I1、第3の軸I3及び第6の軸I6は、Y方向すなわち鉛直方向を指向し得る軸である。これらの3本の第1の軸I1、第3の軸I3及び第6の軸I6は本開示の第一軸の一例に相当する。第2の軸I2、第4の軸I4及び第5の軸I5は、X方向すなわち水平方向を指向し得る軸である。これらの3本の第4の軸I4及び第5の軸I5は本開示の第二軸の一例に相当する。なお、各軸I1~I6は、視標駆動機構50が動作する過程において、必ずしも上記の関係を示すものではない。また、第1、第3、第6の回転支持機構53a,53c,53fは、本開示の第一の回転支持機構の一例に相当する。第2、第4、第5の回転支持機構53b,53d,53eは、本開示の第二の回転支持機構の一例に相当する。
実施例1及び後述の各実施例では、視標駆動機構50は、シリアルリンク型の一つである多関節型(垂直多関節型)のロボットアームから構成されているが、この構成に限定されず、水平関節型のロボットアームでもよいし、座標軸型(直角座標、円筒座標、曲座標等)のロボットアーム、パラレルリンク型のロボットアーム等から構成されてもよい。また、視標駆動機構50は、ロボットアームに限定されず、コンピュータ制御(主制御部20の制御)によって自動で駆動され、視標表示機41を三次元で移動させて、所望の位置及び姿勢に配置できるものであればよい。例えば、視標駆動機構50は、電動アーム、電動シリンダ等の電力を動力源とする電動式のアクチュエータであってもよいし、エアシリンダ(エアアクチュエータ)、油圧シリンダ(オイルアクチュエータ)等であってもよいし、回転型の駆動機器と直動型の駆動機器を組み合わせた駆動機構等であってもよい。
また、実施例1の視標駆動機構50は、検眼用テーブル12に取り付けられているが、取り付け位置が限定されることはない。例えば、視標駆動機構50は、支柱13、支持腕14、測定ヘッド16等、眼科装置本体10の何れかの部位に取り付けられてもよいし、眼科装置本体10が設置されている部屋の床面、壁面、天井等に取り付けられてもよい。
外部検者用コントローラ60は、外部検者Kが眼科装置100を操作するために用いられる。外部検者用コントローラ60は、外部検者Kによりなされる操作を受け付け、この操作に応じた信号を、主制御部20(眼科装置本体10及び視標提示装置40)へ送出する。外部検者用コントローラ60は、外部側制御部61と、外部検者操作部62と、外部検者表示部63と、外部検者カメラ64と、外部検者マイク65と、外部検者スピーカ66とを有する。
外部検者用コントローラ60は、ノート型PCから構成されるが、これに限定されず、例えば、デスクトップ型PCから構成されることや、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理装置(携帯情報機器)から構成されることや、眼科装置100専用のコントローラ等から構成されることもできる。
外部側制御部61は、外部検者用コントローラ60の動作を制御するもので、マイクロプロセッサと、RAM、ROM及びハードディスクドライブ等からなる外部側記憶部61a等を備えて構成される。外部側制御部61は、眼科装置本体10の主制御部20と信号やデータの送受信が可能となっている。外部側制御部61は、外部検者操作部62からの指示信号を受け付けて、その指示信号に応じた信号やデータを主制御部20に送出する。また、外部側制御部61は、外部検者操作部62への操作や、主制御部20から入力されたデータに応じて、外部検者表示部63の表示内容や外部検者スピーカ66からの出力内容を制御する。さらに、外部側制御部61は、外部検者操作部62への操作や、主制御部20からの指示信号に応じて、外部検者カメラ64で取得した画像データや外部検者マイク65で取得した音声データを主制御部20へ送出する。
外部検者操作部62は、外部検者Kによる各種の操作を受け付けるもので、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等から構成することができる。外部検者操作部62は、外部検者Kからなされた操作に応じた操作信号を、外部側制御部61へと出力する。外部検者操作部62は、眼科装置本体10で行われる検査の選択指示、パラメータ入力指示、視標提示装置40の視標表示機41に表示する視標、視標表示機41を所望の位置及び姿勢で配置するための検査距離や視認対象物の入力指示を受け付け、その入力指示に応じた信号を外部側制御部61に送信する。
外部検者表示部63は、外部側制御部61の制御の下、眼科装置本体10及び視標提示装置40を操作するための画面、眼科装置本体10で取得した眼特性の結果、眼科装置本体10のディスプレイ32aや視標提示装置40の視標表示機41に表示されている画像、被検者カメラ44で取得した被検者Hの画像等を表示する。また、外部検者表示部63は、被検者用操作部70や、内部検者用コントローラ71でなされた各種の操作を表示する。外部検者表示部63は、LCDや有機EL等の電子表示デバイスにより構成することができる。また、外部検者表示部63は、タッチパネル式であれば、その表示面を外部検者操作部62として機能させることもできる。
外部検者カメラ64は、外部側制御部61の制御の下、外部検者用コントローラ60側の動画像又は静止画像を取得するものであり、取得した画像データを外部側制御部61に送出する。外部検者カメラ64は、主に外部検者Kの画像を取得することを目的としており、外部検者Kを撮影できる位置に設けられている。なお、外部検者Kは、外部検者カメラ64で、被検者Hや内部検者に見せたいものを撮影することもできる。
外部検者マイク65は、外部側制御部61の制御の下、外部検者用コントローラ60が設けられた部屋の音を取得して、その音声データを外部側制御部61に送出する。外部検者マイク65は、主に外部検者Kの音声を取得することを目的としており、外部検者Kの音声を取得できる位置に設けられている。
外部検者スピーカ66は、外部側制御部61の制御の下、被検者マイク45で取得されて主制御部20から入力されてくる音声を、外部検者用コントローラ60が備えられた部屋に出力する。外部検者スピーカ66は、被検者Hや内部検者の音声を外部検者Kに届けることを目的としており、外部検者用コントローラ60を操作している外部検者Kに音声を届けることのできる位置に設けられている。
なお、外部検者カメラ64、外部検者マイク65及び外部検者スピーカ66は、外部検者用コントローラ60であるノート型PCに一体的に備えられたものを用いているが、これらに限定されず、外部検者用コントローラ60に外付けしたカメラ、マイク、スピーカを用いることもできる。
被検者用操作部70は、ディスプレイ32a及び視標表示機41により被検眼Eに提示された視標に対する見え方に関する応答等、被検眼Eの各種の眼情報の取得の際に、被検者Hが応答操作するために用いられる。被検者用操作部70は、例えばキーボード、マウス、ジョイスティック、タッチパッド、タッチパネル等からなる。被検者用操作部70は、眼科装置本体10の主制御部20と有線又は無線の通信路を介して接続されており、被検者用操作部70でなされた操作に応じた操作信号を主制御部20に送出する。主制御部20は、取得した操作信号及び視標の提示条件に基づいて被検眼Eの眼特性を取得する。
内部検者用コントローラ71は、内部側制御部72と、内部検者操作部73と、内部検者表示部74とを有する。内部検者用コントローラ71は、有線又は無線により通信可能に眼科装置本体10と接続されている。
内部検者用コントローラ71は、図1に示すような外観の眼科装置100専用のコントローラから構成されるが、これに限定されず、ノート型PC又はデスクトップ型PCから構成することや、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理装置(携帯情報機器)で構成することもできる。また、内部検者用コントローラ71は、カメラ、マイク、スピーカ等を備えてもよく、外部検者用コントローラ60と同様の動作(処理)を行えるものとすることもできる。
内部側制御部72は、内部検者用コントローラ71の動作を制御するもので、マイクロプロセッサと、RAM、ROM及びハードディスクドライブ等からなる内部側記憶部72a等を備えて構成される。内部側制御部72は、眼科装置本体10の主制御部20と信号やデータの送受信が可能となっている。内部側制御部72は、内部検者操作部73からの操作信号を受け付けて、その操作信号に応じた指示信号やデータを主制御部20に送出する。また、内部側制御部72は、内部検者操作部73になされた操作や、主制御部20から入力されたデータに応じて、内部検者表示部74の表示内容を制御する。
内部検者操作部73は、内部検者による各種の操作を受け付けるもので、例えば、ダイヤル、各種操作ボタン等から構成することができる。内部検者操作部73は、内部検者からなされた操作に応じた操作信号を、内部側制御部72へと出力する。内部検者操作部73は、眼科装置本体10で行われる検査の選択指示、パラメータ入力指示、視標提示装置40の視標表示機41に表示する視標、視標表示機41を所望の位置及び姿勢で配置するための検査距離や視認対象物の入力指示(操作)を受け付け、その入力指示に応じた操作信号を内部側制御部72に送信する。
内部検者表示部74は、内部側制御部72の制御下で、眼科装置本体10及び視標提示装置40を操作するための操作画面、眼科装置本体10で取得した眼特性の結果、眼科装置本体10のディスプレイ32aや視標提示装置40の視標表示機41に表示されている画像をその表示面74aに表示する。また、内部検者表示部74は、被検者用操作部70や、外部検者用コントローラ60でなされた各種の操作をその表示面74a表示する。内部検者表示部74は、LCDや有機EL等の電子表示デバイスにより構成することができる。また、内部検者表示部74は、タッチパネル式であれば、その表示面74aを内部検者操作部73として機能させることもできる。
(眼科装置の動作例)
上述のような構成の本実施の形態の眼科装置100の動作の一例を、図7のフローチャート及び図4~図6の画面表示例に従って説明する。以下では、被検者Hは眼科装置本体10及び視標提示装置40が備えられた眼科店に居て、眼科店の本部に居るベテランの検者(外部検者、操作者)が、外部検者用コントローラ60を操作し、通信ネットワークNを通じて遠隔で眼科装置本体10及び視標提示装置40を操作して、被検者Hの被検眼Eの眼特性を取得するものとして説明する。
上述のような構成の本実施の形態の眼科装置100の動作の一例を、図7のフローチャート及び図4~図6の画面表示例に従って説明する。以下では、被検者Hは眼科装置本体10及び視標提示装置40が備えられた眼科店に居て、眼科店の本部に居るベテランの検者(外部検者、操作者)が、外部検者用コントローラ60を操作し、通信ネットワークNを通じて遠隔で眼科装置本体10及び視標提示装置40を操作して、被検者Hの被検眼Eの眼特性を取得するものとして説明する。
また、図7のフローチャートでは、眼科装置本体10を用いて両眼視で他覚検査を行い、次いで検査距離を変えつつ自覚検査を行った後、視標提示装置40を用いて近用検査距離での自覚検査(最終確認)を行う場合について説明する。なお、眼科装置100の動作が図7のフローチャートに示す工程に限定されることはない。
まず、外部検者Kは、外部検者用コントローラ60を操作して、検査モードとして例えば遠隔操作モードを指定する。この操作入力を受けて、主制御部20は、検査モードを遠隔操作モードに設定するとともに、ステップS1で、被検者カメラ44での被検者Hの画像の取得、被検者マイク45での被検者Hの音声の取得、外部検者カメラ64での外部検者Kの画像の取得、外部検者マイク65での外部検者Kの音声の取得を開始する。
次に、ステップS2で、主制御部20は、視標表示部43に外部検者カメラ64からの外部検者Kの画像を表示し、外部検者表示部63に被検者Hの画像を表示するとともに、被検者スピーカ46、外部検者スピーカ66を制御して、各々外部検者Kと被検者Hの音声を出力する。これにより、被検者Hは、外部検者Kと互いの顔を見ながら挨拶したり、外部検者Kからの測定に関する説明、指示等を受けたりすることができる。
次のステップS3~S5の工程は、眼科装置本体10を用いて行われる。まず、ステップS3で、主制御部20は、左右の視標投影系32を制御して、ディスプレイ32aの中央位置に固視標(例えば、点光源視標)を表示させる。そして、被検者Hに固視標を固視させた状態で、主制御部20は、アライメント光学系34を制御し、アライメント光学系34からの結果に基づき左右の測定ヘッド駆動部15を駆動制御し、左右の測定ヘッド16のX方向、Y方向及びZ方向のアライメント(オートアライメント)を行う。
ステップS4では、他覚検査を実行する。すなわち、外部検者Kによる外部検者操作部62からの他覚検査の指示入力を受けて(又は自動で)、主制御部20の制御の下、他覚測定光学系35は、眼屈折力(レフ)測定や角膜形状(ケラト)測定等の他覚検査を実行する。
次いで、ステップS5では、眼科装置本体10は自覚検査を実行する。すなわち、外部検者操作部62からの自覚検査の指示入力に基づき、主制御部20は、所定の提示条件(視力値、検査距離、検査の種類、視標の種類、視標の拡大倍率、視標の表示態様等)でディスプレイ32aに視標を表示する。視力値は、ステップS5の他覚検査で取得した眼屈折力等に基づき、被検者Hの被検眼Eの屈折力の度合いに応じて設定できる。被検者Hは、このディスプレイ32aに表示された視標の見え方を、被検者用操作部70の操作又は口頭により応答することで、被検眼Eの眼特性を取得することができる。この自覚検査では、外部検者Kの指示に応じて、眼科装置本体10は、被検者Hに対して、視力検査の他にも、コントラスト検査、夜間検査、グレア検査、立体視検査を行わせることができる。
図4に、自覚検査中に外部検者用コントローラ60の外部検者表示部63の表示面63aに表示される自覚検査の第1の検査画面1の一例を示す。この図4に示すように、第1の検査画面1には、検査に使用する視標(チャート)一覧1a、ディスプレイ32aに表示中の視標1b、検査距離1c、測定結果1d、各種操作ボタン1e等が表示される。外部検者Kは、視標一覧1aから、ディスプレイ32aに表示する視標を選択できるとともに、図示しない検査距離一覧から所望の検査距離1cを選択することができる。これにより、被検者Hは、様々な種類又は態様の視標を視認して、様々な検査距離で自覚検査を行うことができる。
また、実施例1では、主制御部20の制御の下、外部検者表示部63は第1の検査画面1に被検者画像1fを表示させる。この被検者画像1fは、被検者カメラ44で取得した被検者Hの画像であれば、外部検者Kは、被検者Hが測定ヘッド16に適切に対峙しているか確認できる。この対峙時は、被検者カメラ44で被検眼Eを撮影しにくいため、外部検者表示部63は、被検者カメラ44で撮影した画像に、測定ヘッド16の撮像素子で撮影した前眼部の画像を合成した被検者画像1fを第1の検査画面1に表示させることが好ましい。これにより、外部検者Kは被検者Hが適切な姿勢と視線の方向で、視標を視認しているか等を確認することができる。また、外部検者表示部63は被検者Hが視認するディスプレイ32aにも、視標と並べて、外部検者カメラ64で撮影した外部検者Kの画像を表示させてもよい。
眼科装置本体10による自覚検査によって、被検眼Eの眼特性を取得し、眼特性に応じた矯正のための処方が決定したら、例えば、眼科店の店員等が、トライアルフレームT(図5、図10等参照)に、処方に応じた検査用レンズLを取り付け、被検者Hに装着させる。トライアルフレームTは、レンズ受部T1と、テンプルT2等を備えたメガネ型の器具であり、検者等が、手動でレンズ受部T1に検査用レンズLを選択的に配置することができる。トライアルフレームTを装着した被検者Hの様子は、図5、図6、図10に示されている。このトライアルフレームTを装着した状態で、被検者Hは、遠くや近くを視認したり、歩いたりすることで、矯正が適切であるかの最終確認をすることができる。
この最終確認の際に、従来は被検眼Eから30cm程度の近用検査距離に、近用検査用の視標を配置して見え方を確認していた。ところで、実生活では、眼鏡やコンタクトレンズを装着した状態で、ヒトは近くにある様々な物体(視認対象物)を視認する。また、この視認対象物までの距離は、30cmに限定されず、50cmを超えるものを視認する場合もある。このような視認対象物は、例えば、ノート型PCの画面、大型ディスプレイの画面、タブレット端末の画面、スマートフォンの画面、テレビの画面等の電子デバイス機器であったり、本、新聞、雑誌等の印刷物等であったりする。また、ノート型PCと大型ディスプレイを上下や左右に並べて配置したり、ディスプレイを上下左右に複数並べて配置したりする等、様々な位置や距離に視認対象物を配置して、これらを交互に視認することも日常的に行われている。また、会議室等では、1.0~2.0mの距離に配置されたディスプレイ、スクリーン、資料等を視認する状況もある。このため、トライアルフレームTを用いた最終確認は、被検者Hの実生活に近い状況で行われることが重要である。
特に、矯正レンズとして、遠用から近用まで様々な距離に焦点を合わせて視認対象物を視認することを可能とした遠近両用レンズ(例えば、近々ワイドレンズ、中近レンズ、遠近両用累進レンズ、二重焦点レンズ等)、マルチフォーカルコンタクトレンズ、マルチフォーカルIOL(眼内レンズ)等が使用されている。このような遠近両用レンズ等では、レンズの領域によって度数が異なるため、眼鏡やコンタクトレンズとして装着したときに、レンズに対する被検眼Eの位置や視線の方向によって、視認対象物の見え方が異なったり、視認対象物がゆがんで見えたりすることがある。また、見え方は、被検者Hの頭(顔)の向け方が不適切であったり、眼鏡等の装着が不適切であったりしたときも異なる。
そこで、実施例1の眼科装置100は、視標提示装置40により、近用視標を様々な検査距離、方向、角度で配置して、実生活で視認する様々な視認対象物を模擬的に作成し、見え方の最終確認を行うことを可能としている。以下、視標提示装置40を用いた最終確認(最終の近用検査)を行うときの、眼科装置100の動作を、図7に示すフローチャートのステップS6~S9に基づいて説明する。
まず、外部検者Kは、視標提示装置40を操作すべく、外部検者用コントローラ60を操作することで、主制御部20に、図5に示すような第2の検査画面2を外部検者表示部63に表示させる。図5に示すように、第2の検査画面2には、検査に使用する視標(チャート)一覧2a、視認対象物を選択するための視認対象物一覧2b、検査距離2c、視標表示部43に表示中の視標2d、被検者画像2e等が表示される。外部検者Kは、視標一覧2aから、視標表示部43の表示面43aに表示する視標を選択することができる。また、外部検者Kは、図示しない検査距離一覧から所定の検査距離を選択して、視標を提示する検査距離1cを所望に選択することができる。なお、外部検者Kによって、この検査距離2cが設定された場合、視標表示機41の姿勢を変更せずに(つまり表示面43aがXY平面に平行な状態で)、視標表示機41の検査距離(Z方向の位置)のみを変更することができる。
また、外部検者Kは、視認対象物一覧2bから、視認対象物を選択することができる。この視認対象物一覧2bは、図5に示すように、日常的によく視認される視認対象物及びその配置状態を示すアイコン(イラスト)で表されているが、これに限定されない。例えば、視認対象物一覧2bには、大型ディスプレイとその手前の下方に並べられたノート型PCとを示す第1のアイコン2b1、大型ディスプレイとその側方に並べられたノート型PCとを示す第2のアイコン2b2、上下左右に並べられた複数の大型ディスプレイを示す第3のアイコン2b3、本を示す第4のアイコン2b4、新聞を示す第5のアイコン2b5、会議室に配置された大型ディスプレイを示す第6のアイコン2b6が示されている。各アイコン2b1~2b6の視認対象物が実際に配置される位置及び姿勢に対応して模擬的に視標表示機41(視標表示部43)を配置するべく、各視認対象物ごとに、位置情報及び姿勢情報が、主記憶部20a等に予め設定されている。例えば、位置情報は、視認対象物のXYZ方向の位置座標であり、姿勢情報は、視認対象物のX軸、Y軸等に対する角度である。
図7のフローチャートに戻り、ステップS6で、この外部検者Kによる外部検者用コントローラ60の操作を受けて、主制御部20は、選択された視標対象物に対応する位置座標及び角度を、主記憶部20aから取得する。例えば、第1のアイコン2b1が選択された場合、ノート型PCが配置される位置及び姿勢に応じた位置座標及び角度、並びに大型ディスプレイが配置される位置及び姿勢に応じた位置座標及び角度が各々取得される。
そして、ステップS7で、主制御部20は、取得した位置座標及び角度に基づいて、視標駆動機構50を制御して、視認対象物に応じた位置及び姿勢に、視標表示部43を配置する。即ち、主制御部20は、視標表示機41の視標表示部43の表示面43aの中心が、取得したXYZ方向の位置座標に配置され、表示面43aの角度(X軸、Y軸に対する角度等)が、取得した角度で配置されるように、視標駆動機構50を駆動制御する。
具体的には、主制御部20は、第1の駆動部53aを制御することにより、第1の軸I1を中心として第2の支持部55b、及びそれに接続される第1のアーム部51aを回転させ、視標表示機41のY軸回りの傾き(向き)を変えることができる。主制御部20は、第2の駆動部53bを制御することにより、第2の軸I2を中心として第1のアーム部51aを回転させ、視標表示機41のXYZ方向の位置を変え、又、傾き(向き)を変えることができる。主制御部20は、第3の駆動部53cを制御することにより、第3の軸I3を中心として第2のアーム部51bを回転させ、視標表示機41のXYZ方向の位置を変え、又、傾き(向き)を変えることができる。主制御部20は、第4の駆動部53dを制御することにより、第4の軸I4を中心として第2のアーム部51bを回転させ、視標表示機41のXYZ方向の位置を変え、又、傾き(向き)を変えることができる。主制御部20は、第5の駆動部53eを制御することにより、第5の軸I5を中心として第4の支持部55dを回転させ、視標表示機41のXYZ方向の位置を変え、又、傾き(向き)を変えることができる。さらに、主制御部20は、第6の駆動部53fを制御することにより、第6の軸I6を中心として第5の支持部55eを回転させ、視標表示機41の傾き(向き)を変えることができる。なお、各駆動部53は、各軸Iを中心として視標表示機41(表示面43a)をX軸回り又はY軸回りに回転させるが、各支持部55及び各アーム部51の配置状態によっては、視標表示機41(表示面43a)をZ軸回りに回転させることもある。
このように、主制御部20は、第1~第6の駆動部53a~55fを制御することにより、視標表示機41を、指定された視認対象物に対応するXYZ空間内の所定の位置に移動させ、視標表示機41を、所定の姿勢で配置することができる。このため、視標提示装置40は、視標表示機41を、視認対象物に対応する検査距離、上下方向(Y方向)の高さ、左右方向(X方向)の位置(方向)、傾き(向き)で配置することができる。
次いで、ステップS8で、主制御部20は、外部検者Kにより選択された視標を、視標表示部43の表示面43aに表示させる。図6に、視標表示部43の表示面43aに表示される視標画面3の一例を示す。この視標画面3には、視標3aと、被検者画像3bと、外部検者画像3cが表示される。被検者画像3bは、被検者カメラ44で取得された画像である。外部検者画像3cは、外部検者カメラ64で取得された外部検者Kの画像であるが、外部検者Kのアバター像や、キャラクター像であってもよい。
次いで、ステップS9で、主制御部20は被検眼Eの適切なアイポイントの位置を示すためのアイポイント標示Mを、視標画面3の被検者画像3b及び外部検者表示部63の被検者画像1fに重畳して表示する。
被検者Hは、この視標画面3を視認することで、視認対象物と同様の位置に模擬的に配置された視標を、当該視認対象物を視認するときと同様の視線の方向や頭(顔)の向きで、視認することができる。したがって、被検者Hは実生活に即した見え方の最終確認をすることができる。また、被検者Hは、30cmのように固定的に決められた距離だけでなく、10~20cm等のより近い距離、さらには50cm以上の中間検査距離での見え方の最終確認をすることができる。特に、遠近両用レンズを装着した場合は、被検者Hの頭(顔)の位置、視線の方向によっても視標の見え方が異なることがある。被検者Hは、被検眼Eの位置や視線の方向を変えたり、頭(顔)の向きを変えたりして、視標を視認することで、近用中心やレンズ周辺など、レンズの各領域での見え方の最終確認をすることができる。
一方、外部検者Kは、外部検者表示部63に表示された被検者画像1fを視認することで、被検者HがトライアルフレームTを適切に装着しているか、被検者Hが適切な姿勢で視標を視認しているか(具体的には、頭が傾いていないか、視線や顔が適切に視標を向いているか等)等を確認することができる。実施例1では、被検者画像2eにアイポイント標示Mを重畳しているので、外部検者Kは、このアイポイント標示Mと被検眼Eとの位置が一致しているかずれているかで、被検者Hの姿勢の適否をより適切に確認することができる。そして、トライアルフレームTの装着状態や被検者Hの姿勢が適切でないときは、外部検者Kは外部検者マイク65を介して被検者Hに声がけをして、適切な姿勢等となるように指示することができる。これにより、被検者Hは、より適切に最終確認を行うことができる。
ところで、この例では視認対象物として第1のアイコン2b1が選択されているので、主制御部20は、視標駆動機構50を制御して、まずは大型ディスプレイに対応する位置及び姿勢で視標表示機41を配置する。その後、外部検者操作部62からの操作入力を受けて、又は所定時間の経過後に、主制御部20は、ノート型PCのディスプレイに対応する位置及び姿勢で視標表示機41を配置する。このように位置及び姿勢が変更された視標表示機41の視標表示部43に表示された視標を視認することで、被検者Hは、あたかも大型ディスプレイとノート型PCのディスプレイとを交互に視認しているような状態で、見え方を確認できる。
以上、実施例1の視標提示装置40及びこれを備えた眼科装置100は、駆動制御部である主制御部20が視標駆動機構50を駆動制御することで、視標駆動機構50に取り付けた視標表示機41の位置及び姿勢を所望に変更することができる。この結果、視標提示装置40及び眼科装置100は、視標を提示する検査距離、高さ、方向、被検眼Eに対する傾き(向き)等を所望に変化させることができる。また、眼科装置本体10、視標提示装置40(視標表示機41及び視標駆動機構50)は、主制御部20等(コンピュータ制御)によって自動で動作が制御される。このため、実施例1の視標提示装置40及びこれを備えた眼科装置100は、被検者Hの近傍に居る内部検者は勿論、遠隔地に居る外部検者Kによって操作されることが可能で、遠隔操作による眼特性の取得及び最終確認も、円滑かつ適切に行うことができる。
次に、実施例1の眼科装置100の変形例について説明する。実施例1では、主制御部20は、主記憶部20aに記憶した視標表示機41の基準位置及び基準姿勢並びに現在の視標表示機41の位置及び姿勢に基づいて、選択された検査距離や視認対象物に対応する位置及び姿勢となるように、視標駆動機構50の各部の移動量や回転角度を求め、視標駆動機構50を制御し、視標表示機41を所定の位置及び姿勢で配置している。
これに対して変形例として、例えば、被検者カメラ44を被検者Hの顔の位置や姿勢を検知する検知部として機能させ、主制御部20は、被検者カメラ44で撮影した被検者Hの画像や撮影情報に基づいて、被検眼Eに対する視標表示機41の位置及び姿勢を変更したり、位置及び姿勢を調整したりすることができる。具体的には、主制御部20は、被検者カメラ44のオートフォーカス機能を利用して被検眼Eまでの距離や被検眼Eの高さ等を算出したり、画像解析によって被検眼Eの虹彩の大きさを検出し、この虹彩の大きさに基づいて被検眼Eまでの距離や被検眼Eの高さ等を算出したりしてもよい。そして、主制御部20は、算出した距離や高さ等に応じて、視標駆動機構50の各部の移動量や回転角度を算出したり、補正したりすることができる。これにより、主制御部20は、視標駆動機構50の駆動制御をより簡易に行ったり、より高精度に行ったりすることができる。また、被検者Hによって顔の位置、顔の大きさ、被検眼Eの位置にばらつきがあっても、主制御部20は、より適切な位置及び姿勢で、被検眼Eに対して視標表示機41を提示することができる
また、実施例1では、主制御部20は、被検眼Eの適切なアイポイントの位置を示すためのアイポイント標示Mを被検者画像2eや被検者画像3bに重畳して表示している。これに対して、変形例として、主制御部20は、被検者Hの画像を解析して、被検眼Eの視線方向を検出し、この視線方向を示す十字等の視線標示M1を被検者画像3bに重畳したり(図8参照)、被検者画像2eに重畳したりしてもよい。さらには、主制御部20は、被検者Hの画像から、検査用レンズの近用中心、遠用中心、中点中心、近用度数測定位置、遠用度数測定位置等、所定の光学特性を示す特徴的な領域を検出し、図8に示すように、これらの領域を示す領域標示M2(図8では、近用中心を示すマルが表示されている)を、被検者画像3bや被検者画像2eに重畳してもよい。なお、検査用レンズによっては、近用中心等のマークが印刷等で付されていることがあるので、主制御部20は、検査用レンズの画像から、これらのマークを検出してもよい。
外部検者Kは、このような被検者画像2eを視認することで、近用検査距離での検査時に被検眼Eの視線の方向が近用中心と一致しているか、中間検査距離での検査時に被検眼Eの視線の方向が中点中心と一致しているか、正面を見たときに被検者Hの瞳孔(アイポイント)が遠用中心と一致しているか等をより明確に確認することができる。そして、外部検者Kは、被検者Hの視線の向け方やトライアルフレームTの装着の仕方が適切であるか否か、使用している検査用レンズLが適切であるか否か等を確認し、不適切であれば被検者Hへの声がけや、検査用レンズLの交換等の対応を図ることができる。
また、眼科装置100は、手動又は駆動装置によって上下動して高さ調整が可能な椅子と、この椅子の高さや上下の移動量を検出するセンサとを備えていてもよい。そして、主制御部20は、センサからの検出信号に基づいて、椅子の高さを検出し、この椅子の高さとヒトの標準的な腰から被検眼Eまでの高さに基づいて、被検眼Eの床面からの高さ(Y方向の位置)を算出し、算出した被検眼Eの高さに対応して、視標表示機41(視標)の高さを調整してもよい。または、主制御部20は、被検者カメラ44で撮影した被検者Hの画像に基づいて、被検眼Eの高さを検出し、同様の処理を行ってもよい。これにより、視標提示装置40は、被検眼Eの高さに応じた適切な位置に、視標表示機41(視標表示部43の表示面43aに表示された視標)を提示することができる。
また、実施例1では、被検者カメラ44で撮影した被検者Hの画像に基づいて、外部検者Kが被検者Hの頭(顔)の傾き(向き)を確認しているが、これに限定されない。例えば、主制御部20は、被検者Hの画像に基づいて被検者Hの頭(顔)の位置、傾き(向き)、視線の方向等を検出し、適否や是正のための情報を被検者Hや外部検者Kに通知してもよい。また、視標表示機41は、被検者情報取得部又は検知部としてTOF(Time of Flight)センサを備えてもよい。主制御部20は、TOFセンサでの検出結果に基づいて、被検者Hの頭(顔)の位置、傾き(向き)、視線の方向等を検出することで、検知精度を向上できるとともに、この検知結果を被検者Hや外部検者Kに通知したり、検知結果に基づいて視標駆動機構50を駆動制御したりすることもできる。
また、実施例1の眼科装置100は、被検者用操作部70、内部検者用コントローラ71を各々備えているが、この構成に限定されない。例えば、視標表示機41が、被検者用操作部70及び/又は内部検者用コントローラ71として機能してもよい。この場合、視標表示機41の視標表示部43の表示面43aに、応答画面や操作画面を、視標画面3と別個に又は視標画面3と並べて表示し、被検者Hや内部検者に操作させることができる。
(実施例2)
以下、本開示の実施例2の眼科装置100Aの構成を、図9に基づいて説明する。実施例2の眼科装置100A、後述の実施例3の眼科装置100B及び実施例4の眼科装置100Cは、自覚検査のための視標を被検眼Eに提示する第1の視標提示機(遠用視標提示機80,80A)と、第2の視標提示機(視標提示装置40を少なくとも備える装置である。以下では、実施例2~実施例4の眼科装置100A,100B,100Cが、被検者Hが居る場所とは離れた場所に居る外部検者Kにより遠隔操作される例を説明しているが、これに限定されず、被検者Hの近くに居る内部検者により操作されるものでもよい。
以下、本開示の実施例2の眼科装置100Aの構成を、図9に基づいて説明する。実施例2の眼科装置100A、後述の実施例3の眼科装置100B及び実施例4の眼科装置100Cは、自覚検査のための視標を被検眼Eに提示する第1の視標提示機(遠用視標提示機80,80A)と、第2の視標提示機(視標提示装置40を少なくとも備える装置である。以下では、実施例2~実施例4の眼科装置100A,100B,100Cが、被検者Hが居る場所とは離れた場所に居る外部検者Kにより遠隔操作される例を説明しているが、これに限定されず、被検者Hの近くに居る内部検者により操作されるものでもよい。
図9に示すように、実施例2の眼科装置100Aは、検眼用テーブル12A、第1の視標提示機である遠用視標提示機80、検眼光学系であるレフラクターヘッド90、第2の視標提示機である視標提示装置40、及び外部検者用コントローラ60を備えている。また、内部検者による操作を行う場合は、眼科装置100Aは、内部検者用コントローラや被検者用操作部を備えていてもよい。
検眼用テーブル12Aは、遠用視標提示機80、レフラクターヘッド90及び視標提示装置40等が載置される机である。また、検眼用テーブル12Aは、検査中の姿勢を適切に保つために被検者Hが肘や腕を載置するためにも用いられる。また、検眼用テーブル12Aは、手動又は適宜の駆動機構により上下方向(Y方向)に移動可能とすることもできる。この構成により、被検者Hの被検眼Eの床面からの高さに合わせて、遠用視標提示機80、レフラクターヘッド90及び視標提示装置40の高さ調整が可能となる。
レフラクターヘッド90は、被検眼Eに合うレンズを選択するために用いられる装置である。このレフラクターヘッド90は、複数の検査用レンズ91を備え、被検眼Eの前方に検査用レンズ91を選択的に配置する。そして、この検査用レンズ91を適宜交換しながら、被検者は屈折検査、その他の検査を行うことができる。レフラクターヘッド90は、図9に示すように、検眼用テーブル12Aに設けられた支持機構92と、この支持機構の先端に固定された左右一対の検眼ユニット93と、レフラクターヘッド90及び遠用視標提示機80を制御する主制御部94とを備えている。
一対の検眼ユニット93は、被検者Hの左右の被検眼Eに対応するように、左右に一対設けられた左眼用の検眼光学系と、右眼用の検眼光学系と、を各々有する機器である。一対の検眼ユニット93は、公知のスライド機構によって左右方向(X方向)へスライド可能となっている。これにより、一対の検眼ユニット93は、相対的に接近及び離反が可能である。また、レフラクターヘッド90は、支持機構92を円周方向へ回転させることで、一対の検眼ユニット93を、被検眼Eの前方に配置したり、被検眼Eの前方から退避させたりすることができる。
一対の検眼ユニット93の前方及び後方には、各々検眼窓が設けられ、内部には左右の被検眼Eに対応して複数の検査用レンズ91、偏光フィルタ、遮蔽板等の光学部材が、それぞれ配置されている。これらの光学部材は、各検眼窓に対向する位置に、図示しない公知の駆動機構によって選択的に配置されて検眼に用いられる。
検査用レンズ91は、被検眼Eの視機能を矯正するために用いられるものであり、例えば、球面レンズ、円柱レンズ、プリズム等が挙げられるが、裸眼での検査も可能とすべく、矯正の機能を持たないレンズ、ガラス板、又はプラスチック板等も検査用レンズ91として選択可能となっている。
主制御部94は、マイクロプロセッサと、RAM、ROM、EEPROM、ハードディスクドライブ等からなる主記憶部と、を有する。主制御部94は、眼科装置100Aの各部の制御を行うためのコンピュータプログラムを予め主記憶部に記憶させており、そのコンピュータプログラムを例えばRAM上に展開して実行することにより、眼科装置100Aの動作を統括的に制御する。また、主記憶部20aには、コンピュータプログラムの他、検眼のための各種検眼パラメータ、眼特性の取得結果などが記憶される。
主制御部94は、外部検者用コントローラ60からの指示信号に応じて、レフラクターヘッド90の駆動機構を駆動して、検査用レンズ91を入れ替えて、検眼窓に配置されるレンズの度数やプリズムの度数を変更する。主制御部94は、外部検者用コントローラ60からの指示信号に応じて、遠用視標提示機80を制御し、所定の表示態様で視標を提示させる。また、主制御部94は、実施例1の主制御部20と同様に、視標提示装置40の各部を制御する。主制御部94は、外部検者用コントローラ60からの指示信号に応じて、視標表示機41を制御し、所定の表示態様で視標表示部43に視標を提示させ、視標駆動機構50を制御して、所望の位置及び姿勢で視標提示機41(視標表示部43の表示面43aに表示される視標)を配置させる。
遠用視標提示機80は、被検者Hが遠方の物体を目視するときの視機能を検査(遠用検査)するために用いられる。遠用視標提示機80は、レフラクターヘッド90の検査用レンズ91を通して、遠用検査用の視標(以下、「遠用視標」という。)を被検眼Eの前方の遠用検査距離に提示する。遠用視標提示機80は、直方体形状の筐体81と、筐体81に内蔵された遠用視標提示光学系82と、を備えている。筐体81の前面(被検者H側)には、被検者Hが遠用視標を目視するための窓部81aが設けられている。
遠用視標提示光学系82は、図9に示すように、第1の視標表示部であるディスプレイ83と、レンズ84と、反射ミラー85と、を備えている。ディスプレイ83は、LCDや有機EL等の電子表示デバイスから構成される。ディスプレイ83は、外部検者用コントローラ60の主制御部20からの指示信号に基づき、その表示面83aに遠用視標を表示する。遠用視標提示光学系82は、ディスプレイ83に表示された遠用視標からの光束をレンズ84によって屈折し、被検眼Eから遠用検査距離に視標像(虚像)Pを結像する。また、レンズ84を透過した光束は、反射ミラー85によって反射され、被検眼Eの前方の遠用検査距離に視標像(虚像)Pが提示される。この反射ミラー85は、その傾斜角度を変更可能とすることで、高さ調整機構としても機能する。つまり、被検眼Eの高さ方向の位置(床面からの高さ)に応じて、その傾斜角度を調節することで、身長等によって被検眼Eの高さにばらつきがあっても、被検眼Eに適切に遠用視力表を提示することができる。
実施例2の遠用視標提示機80は、被検眼Eから5mの遠用検査距離に、視標像(虚像)Pを提示する。なお、遠用検査距離が5mに限定されず、異なる距離であってもよく、例えば、1m~6mの範囲で設定することが好適であるが、上限が6mに限定されず、7m、8mであってもよいし、より長い距離であってもよい。また、遠用視標提示光学系82は、検査距離変更機構として拡大レンズ、その他の光学部材を備えてもよく、この検査距離変更機構により視標像(虚像)Pを提示する遠用検査距離を、検査目的や検査内容に応じて1.0m~6.0m(又は6.0mよりも長い距離でもよい。)の間で変更可能とすることもできる。
また、実施例2の眼科装置100Aは、視標提示装置40の視標表示機41(視標表示部43)により近用視標を提示する近用検査距離を10cm~1.0mの範囲で設定可能としている。このような範囲で遠用検査距離と近用検査距離とを自在に設定できることで、実施例2の眼科装置100Aは、様々な検査距離での検査を可能としている。
視標提示装置40は、被検者Hが近くの物体を目視するときの視機能を検査(近用検査)したり、遠用検査と近用検査で取得した処方データが適切であるか最終的な確認や微調整をしたりするために用いられる。
実施例2の視標提示装置40は、視標駆動機構50が遠用視標提示機80の筐体81の上面に取り付けられ、駆動制御部が主制御部94であること以外は、実施例1の視標提示装置40と同様の基本構成を備えている。このため、実施例2の視標提示装置40において、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施例2の視標提示装置40は、視標表示機41と、視標駆動機構50と、視標駆動機構50の駆動制御部としての主制御部94とを備える。視標表示機41は、視標制御部42と、視標表示部43と、被検者カメラ44と、被検者マイク45と、被検者スピーカ46と、各種のセンサ47とを備える。視標表示機41は、視標表示部43と、被検者カメラ44と、被検者マイク45と、センサ47とが一体的に備えられた(内蔵された)タブレット端末である。
視標駆動機構50は、遠用視標提示機80の筐体81の上面に設けられている。視標駆動機構50は、主制御部94の制御の下、被検眼Eに対して所望の位置及び姿勢で視標表示機41を配置する。なお、視標表示機41を使用しないときは、図9に実線で示すように、視標駆動機構50は、主制御部94の制御の下、視標表示機41を被検眼Eに対峙しない所定の退避位置に配置する。
視標駆動機構50は、実施例1と同様に、2本のアームである第1のアーム部51a及び第2のアーム部51bと、6つの回転支持機構である第1~第6の回転支持機構52a,52b,52c,52d,52e,52fと、各回転支持機構を駆動するための6つの駆動部である第1~第6の駆動部53a,53b,53c,53d,53e,53fと、第1~第5の支持部55a,55b,55c,55d,55eを備える。第1の支持部55aは、遠用視標提示機80の筐体81の上面に接続されている。また、エンドエフェクタ(ロボットハンド)である第5の支持部55eは、視標表示機41を把持している。実施例2の視標駆動機構50の各部の動作も、実施例1の視標駆動機構50の各部の動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。
実施例2の外部検者用コントローラ60は、実施例1の外部検者用コントローラ60と同様の基本構成を備えている。このため、実施例2の視標提示装置40において、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。すなわち、実施例2の外部検者用コントローラ60は、外部側制御部61と、外部検者操作部62と、外部検者表示部63と、外部検者カメラ64と、外部検者マイク65と、外部検者スピーカ66とを有する。外部検者用コントローラ60は、ノート型PCから構成されるが、これに限定されない。
外部検者用コントローラ60は、外部検者Kの操作入力に従って、遠用視標提示機80のディスプレイ83及び視標表示機41の視標表示部43に表示する各種視標の選択指示を主制御部94に送出する。また、外部検者用コントローラ60は、外部検者Kの操作入力に従って、プリズム度数、球面度数等の検眼パラメータを設定するための指示、被検眼Eを左眼若しくは右眼又は両眼に設定するための指示等を主制御部94に送出する。
上述のような構成の実施例2の眼科装置100Aを用いて、被検眼Eの遠用検査及び近用検査を行うことができる。まず、被検者Hは、図9に示すように被検眼Eと遠用視標提示機80との間に配置された一対の検眼ユニット93に対峙する。実施例2でも、被検者Hと外部検者Kとは、被検者マイク45、外部検者マイク65を通じて音声によって意思疎通を図ることができる。また、主制御部94は、外部検者表示部63に被検者Hの画像を表示させたり、ディスプレイ83や視標表示部43に外部検者Kの画像を表示させたりすることで、被検者Hと外部検者Kとは、互いを確認したり、被検者Hの検査姿勢等の確認をしたりすることができる。
そして、遠用検査を行う際には、外部検者Kは、外部検者用コントローラ60の外部検者操作部62を操作して、遠用視標を選択する。この操作により、遠用視標提示機80は、遠用視標をディスプレイ83の表示面83aに表示する。被検者Hは、遠用視標提示光学系82により被検眼Eに提示された遠用視標を、検眼ユニット93を通して目視することで、自覚の遠用検査を行うことができる。
また、外部検者Kは、被検者Hの見え方等に応じて外部検者用コントローラ60を操作することで、検査用レンズ91を適宜選択して検眼窓(被検眼Eの前方)に配置させ、被検者Hに遠用検査を繰り返させる。この結果、遠方の物体を目視する際の被検眼Eの調節状態や斜位等の矯正を行って、遠用の矯正のための処方を取得することができる。
次に、近用検査を実行すべく、外部検者Kは外部検者用コントローラ60を操作することで、視標駆動機構50が駆動して、視標表示機41を被検眼Eの高さに応じた位置に配置するとともに(例えば、図9に符号41-1で示す位置)、視標表示部43が表示面43aに近用視標を表示する。被検者Hは、被検眼Eに提示された近用視標を、検眼ユニット93を通して目視することで、自覚の近用検査を行うことができる。このとき、外部検者用コントローラ60を操作することで視標駆動機構50を駆動して、視標表示機41のZ方向の位置を変更し、近用検査距離を所望に変化させることができる(例えば、図9に符号41-2で示す位置)。
さらに、外部検者Kは、被検者Hの見え方等に応じて外部検者用コントローラ60を操作することで、検査用レンズ91を適宜選択して検眼窓(被検眼Eの前方)に配置させ、被検者Hに近用検査を繰り返させる。この結果、近方の物体を目視する際の被検眼Eの調節状態や斜位等の矯正を行って、近用の矯正のための処方を取得することができる。
遠用及び引用の処方が決定したら、見え方の最終確認を行うべく、外部検者Kは外部検者用コントローラ60を操作して、検査距離を指定したり、アイコン等を用いて視認対象物を指定したりする。この指定に応じて、視標駆動機構50は、検査距離又は視認対象物の位置及び姿勢に対応した位置及び姿勢で、視標表示機41を配置する(例えば、図9に符号41-3、41-4で示す位置)。被検者Hは、視標表示機41によって提示された近用視標の方向に対応して、視線を上下左右に移動させつつ、検眼ユニット93を通して近用視標を目視する。これにより、被検者Hは、実生活により近い状況で、見え方の最終確認を行うことができる。
なお、最終確認の際には、被検者Hは、レフラクターヘッド90に代えて、検査用レンズLを取り付けたトライアルフレームTや、仕上がったメガネ、コンタクトレンズを装着して最終確認を行うこともできる。
(実施例3)
以下、実施例3に係る眼科装置100Bの構成を、図10に基づいて説明する。実施例3の眼科装置100Bは、レフラクターヘッド90に代えて、トライアルフレームTを使用し、視標提示装置40を、筐体81の上面に代えて検眼用テーブル12Aに設けたこと以外は、実施例2の眼科装置100Aと同一の基本構成を備えている。このため、実施例2と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
以下、実施例3に係る眼科装置100Bの構成を、図10に基づいて説明する。実施例3の眼科装置100Bは、レフラクターヘッド90に代えて、トライアルフレームTを使用し、視標提示装置40を、筐体81の上面に代えて検眼用テーブル12Aに設けたこと以外は、実施例2の眼科装置100Aと同一の基本構成を備えている。このため、実施例2と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図10に示すように、実施例3に係る眼科装置100Aは、検眼用テーブル12A、第1の視標提示機である遠用視標提示機80、検眼光学系であるトライアルフレームT、第2の視標提示機である視標提示装置40、及び外部検者用コントローラ60(図9参照)を備えている。また、内部検者による操作を行う場合は、眼科装置100Bは、内部検者用コントローラや被検者用操作部を備えていてもよい。
実施例3の眼科装置100Bでは、被検者Hは、トライアルフレームTを装着し、遠用視標提示機80、並びに適宜の位置及び姿勢で配置された視標表示機41に対峙する。そして、視標の見え方に応じて店員等が適宜検査用レンズLを入れ替えつつ、被検者は、遠用視標提示機80により提示された遠用視標や視標表示機41により提示された近用視標を視認することで、遠用検査、近用検査及び最終確認を行うことができる。また、実施例3の眼科装置100Bは、レフラクターヘッド90に代えてトライアルフレームTを使って行うこと以外は、実施例2の眼科装置100Bと同様の手順により、遠用視標提示機80により遠用視標を提示し、所望の位置及び姿勢で配置した視標表示機41により近用視標を提示することができる。
(実施例4)
以下、実施例4に係る眼科装置100Cの構成を、図11に基づいて説明する。実施例4の眼科装置100Cは、第1の視標提示機である遠用視標提示機80A、検眼光学系であるトライアルフレームT(図10参照)、第2の視標提示機である視標提示装置40、及び外部検者用コントローラ60(図9参照)を備えている。また、内部検者による操作を行う場合は、眼科装置100Aは、内部検者用コントローラを備えていてもよい。実施例4では、外部検者用コントローラ60の外部側制御部61等が、主制御部として機能し、遠用視標提示機80A及び視標提示装置40を含む眼科装置100C全体を制御する。
以下、実施例4に係る眼科装置100Cの構成を、図11に基づいて説明する。実施例4の眼科装置100Cは、第1の視標提示機である遠用視標提示機80A、検眼光学系であるトライアルフレームT(図10参照)、第2の視標提示機である視標提示装置40、及び外部検者用コントローラ60(図9参照)を備えている。また、内部検者による操作を行う場合は、眼科装置100Aは、内部検者用コントローラを備えていてもよい。実施例4では、外部検者用コントローラ60の外部側制御部61等が、主制御部として機能し、遠用視標提示機80A及び視標提示装置40を含む眼科装置100C全体を制御する。
実施例4の遠用視標提示機80Aは、被検眼Eに対して遠用視標の実像を提示する機器である。この遠用視標提示機80Aは、第1の視標表示部としてLCD等からなる大型のディスプレイ83を備えている。このディスプレイ83は、壁面Wに取り付けられているが、ラック等に取り付けられてもよい。また、ディスプレイ83は、外部側制御部61の制御の下、表示面83aに遠用視標を表示する。
実施例4の視標提示装置40は、視標駆動機構50の取り付け場所が異なること以外は実施例1と同様の構成を備え、視標表示機41と視標駆動機構50とを備えている。実施例4の視標駆動機構50は、第1の支持部55aが、YZ平面に平行な壁面Wに、Z方向に延在して設けられた溝部56内に、Z方向に移動自在に取り付けられている。この溝部56内の第1の支持部55aは、外部側制御部61の制御の下、図示しない駆動機構によって溝部56内をZ方向に移動する。この構成により、実施例4の眼科装置100Cは、視標表示機41をZ方向に移動させ、視標表示部43の表示面43aに表示する視標の検査距離を、例えば10cm~5.0mの範囲で、近用検査距離から遠用検査距離まで、任意に変更することができる。そして、実施例4の眼科装置100Cは、視標駆動機構50を駆動することで、視標表示機41(視標表示部43の表示面43aに表示される視標)のXYZ方向の位置及び姿勢を所望に変更することができるので、被検者Hに所望の検査距離、高さ、方向、傾き(向き)で視標を提示することができる。
なお、上記実施例2~実施例4では、外部検者Kが外部検者用コントローラ60を用いて眼科装置100,100Aを操作する例を示したが、これに限定されず、内部検者が内部検者用コントローラを用いて眼科装置100Aを操作してもよい。この場合、内部検者は、被検者Hの傍らで被検者Hの補助をしながら操作してもよいし、被検者Hと同じ部屋であっても適宜の距離を介した位置やパーティションで隔てられた位置等、いわゆるソーシャルディスタンスを設けた位置で内部検者用コントローラを操作してもよい。また、内部検者は、近距離無線やケーブル接続等を利用して、異なる部屋で内部検者用コントローラを操作してもよい。
以上、本開示の眼科装置を実施例及び変形例に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、これらの実実施例及び変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、上記各実施例では、外部検者用コントローラ60は、外部検者表示部63に表示する第2の検査画面2に被検者画像2eを表示している。これに対して、外部検者用コントローラ60は、この被検者画像2eに代えて、又はこの被検者画像2eとともに、図9、図10に示されるような被検者H(被検眼E)と眼科装置100A,100B(特に視標表示機41)との位置関係を平面的に示す側面図を模したグラフィック画像や、被検者Hと眼科装置100等との位置関係を等角投影法や第三角法等によって立体的に示したグラフィック画像を、第2の検査画面2に表示してもよい。被検者Hと眼科装置100等との位置関係は、視標駆動機構50の駆動データや、被検者カメラ44で撮影した被検者Hの画像やセンサ47での検知結果に基づいて求めることができる。外部検者Kは、このグラフィック画像を視認することで、被検眼Eの位置、視線の方向(視角)、顔の位置及び傾き(向き)、視標表示機41の位置及び姿勢を確認することができ、適切な検査ができているか等を確認することができる。
10 :眼科装置本体 15 :測定ヘッド駆動部
16 :測定ヘッド 20 :主制御部(駆動制御部)
21 :測定光学系 32 :視標投影系
40 :視標提示装置 41 :視標表示機
44 :被検者カメラ(被検者情報取得部、検知部)
45 :被検者マイク(被検者情報取得部、検知部)
47 :センサ(被検者情報取得部、検知部)
50 :視標駆動機構 51 :アーム部
52 :回転支持機構 53 :駆動部
60 :外部検者用コントローラ 71 :内部検者用コントローラ
80,80A :遠用視標提示機(第1の視標提示機)
90 :レフラクターヘッド(検眼光学系)
94 :主制御部(駆動制御部)
100,100A,100B,100C :眼科装置
E :被検眼 H :被検者
T :トライアルフレーム(検眼光学系)
I :軸 K :外部検者(操作者)
N :通信ネットワーク
16 :測定ヘッド 20 :主制御部(駆動制御部)
21 :測定光学系 32 :視標投影系
40 :視標提示装置 41 :視標表示機
44 :被検者カメラ(被検者情報取得部、検知部)
45 :被検者マイク(被検者情報取得部、検知部)
47 :センサ(被検者情報取得部、検知部)
50 :視標駆動機構 51 :アーム部
52 :回転支持機構 53 :駆動部
60 :外部検者用コントローラ 71 :内部検者用コントローラ
80,80A :遠用視標提示機(第1の視標提示機)
90 :レフラクターヘッド(検眼光学系)
94 :主制御部(駆動制御部)
100,100A,100B,100C :眼科装置
E :被検眼 H :被検者
T :トライアルフレーム(検眼光学系)
I :軸 K :外部検者(操作者)
N :通信ネットワーク
Claims (11)
- 検査用レンズが前方に配置された被検眼に視標を提示する視標表示機と、
前記視標表示機を移動可能に保持する視標駆動機構と、
前記視標駆動機構を駆動制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記被検眼に対して位置及び姿勢を所望に変更可能に前記視標表示機を移動させるように前記視標駆動機構を駆動制御する
ことを特徴とする視標提示装置。 - 前記視標駆動機構は、
回転可能に接続される少なくとも2つのアームと、
前記視標表示機を移動可能とするための第一軸を中心に回転可能な少なくとも2つの第一の回転支持機構と、
前記第一軸の方向と異なる第二軸を中心に回転可能な少なくとも3つの第二の回転支持機構と、
前記第一及び第二の回転支持機構を駆動するための少なくとも5つの駆動部と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の視標提示装置。 - 操作者からの操作入力を受け付けるコントローラを備え、前記駆動制御部は、前記コントローラになされた操作指示に基づいて、所定の検査距離又は複数の異なる検査距離に、前記視標表示機を配置するように前記視標駆動機構を駆動制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の視標提示装置。 - 前記駆動制御部は、前記被検眼の上下方向の高さに応じて、前記視標表示機の高さを調整するように前記視標駆動機構を駆動制御する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の視標提示装置。 - 操作者の操作入力を受け付けるコントローラと、被検者が視認する複数の視認対象物の前記被検眼に対する位置情報及び姿勢情報が記憶されている記憶部と、を備え、前記駆動制御部は、前記コントローラになされた視認対象物の選択指示に基づいて、前記記憶部から当該視認対象物の前記位置情報及び前記姿勢情報を取得し、取得した前記位置情報及び前記姿勢情報に対応する位置及び姿勢で前記視標表示機が配置されるように、前記視標駆動機構を駆動制御する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の視標提示装置。 - 前記視標表示機の位置情報及び姿勢情報を検知する検知部を備え、前記駆動制御部は、前記検知部での検知結果に基づいて、前記視標表示機と被検者との位置関係を求め、前記視標駆動機構を駆動制御する
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の視標提示装置。 - 被検者の顔の位置、顔の方向及び視線の方向の少なくとも何れかを検知する検知部を備え、前記駆動制御部は、前記検知部での検知結果に基づいて、前記視標表示機と前記被検者との位置関係を求め、前記視標駆動機構を駆動制御する
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の視標提示装置。 - 操作者の操作入力を受け付けるコントローラと、被検者の情報を取得する被検者情報取得部と、を備え、前記コントローラは、前記駆動制御部と通信ネットワークを介して通信可能に接続されており、前記駆動制御部は、前記コントローラになされた操作指示に対応して、前記視標駆動機構を駆動制御し、前記被検者情報取得部は、取得した前記被検者の情報を、前記コントローラに送出する
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の視標提示装置。 - 被検眼に対して、所定の検査距離に視標を提示する第1の視標提示機と、
第2の視標提示機として、請求項1~8の何れか一項に記載の視標提示装置と、を備える
ことを特徴とする眼科装置。 - 前記被検眼の前方に配置され、前記被検眼の視機能を矯正するための複数の光学部材を有し、各光学部材を前記被検眼に対して選択的に配置する検眼光学系を備えた
ことを特徴とする請求項9に記載の眼科装置。 - 前記被検眼の情報を取得する測定光学系を収容する測定ヘッド、
前記測定ヘッドを吊り下げて移動可能に支持する測定ヘッド駆動部、及び
前記測定ヘッド駆動部の駆動を制御する制御部を備える眼科装置本体と、
請求項1~8の何れか一項に記載の視標提示装置と、を備え、
前記測定光学系は、前記被検眼に視標を提示する視標投影系を有する
ことを特徴とする眼科装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022042908A JP2023136953A (ja) | 2022-03-17 | 2022-03-17 | 視標提示装置及び眼科装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022042908A JP2023136953A (ja) | 2022-03-17 | 2022-03-17 | 視標提示装置及び眼科装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=88146341
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2022042908A Pending JP2023136953A (ja) | 2022-03-17 | 2022-03-17 | 視標提示装置及び眼科装置 |
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- 2022-03-17 JP JP2022042908A patent/JP2023136953A/ja active Pending
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