JP2023136751A - 多孔質樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機溶剤や活性エネルギー線を用いることなく、多孔質樹脂粒子が有する多数の孔の径を容易に制御可能にする。【解決手段】硫酸塩水溶液を(メタ)アクリル酸系の重合性単量体からなる油相に分散させることで得られたW/Oエマルションをさらに水相に分散させることで、硫酸塩を含む水相が油相内に分散したW/O/Wエマルションを作製するエマルション作製工程の後、重合工程を経ることで、複数の硫酸塩水溶液を含んだ水滴を内部に含んだ重合体粒子を作製し、次いで、重合体粒子を乾燥させることで内部に複数の孔を有する多孔質樹脂粒子を得る。【選択図】図1

Description

本開示は、内部に多数の孔を有する多孔質樹脂粒子の製造方法に関する。
多孔質樹脂粒子は、表面部分に存在する孔や、内部に存在する多数の孔を有している。この孔は、例えば薬剤の担持や気体の吸着剤などに利用されている。また、内部に多数の孔を有する多孔質樹脂粒子は、例えば光拡散材、軽量化材、断熱材などとして利用されており、その利用範囲は多岐に亘る。
多孔質樹脂粒子を得る既存の製造方法としては、例えば、高分子微粒子が分散した媒体に、不飽和モノマーと有機溶剤を加えて重合し、その後有機溶剤を除去する方法(例えば特許文献1参照)がある。
また、水が分散した重合性単量体をさらに水に分散させることで、W/O/Wエマルションを作製し、該重合性単量体を加熱により重合し、得られた粒子を乾燥することで多孔質粒子を得る方法も知られている(例えば特許文献2参照)。この方法では、重合前の該重合性単量体の油滴に含まれる水の液滴部分が乾燥後の多孔質粒子内部の孔となる。
また、W/O/Wエマルションを作製し、油滴中に存在する水滴を安定的に保った状態で粒子を重合する方法も知られている(例えば特許文献3参照)。この方法では、光重合性開始剤と熱重合性開始剤を含有した重合性単量体を使用して前記W/O/Wエマルションを作製し、活性エネルギー線を照射することで該重合性単量体を重合させ、さらに熱による重合を行うことで反応を完結させる。この重合条件では、活性エネルギー線による重合速度が熱による重合速度より早いため、重合過程で油滴内部の水の液滴が合着しにくく、得られる粒子が重合開始前のW/O/Wエマルションの状態を反映させやすい。
特開2002-179708号公報 特開2006-96971号公報 特開2010-265433号公報
ところが、特許文献1に記載されている方法では、特定の有機溶剤と高分子微粒子、不飽和性モノマーを使用した場合にのみ多孔質樹脂粒子を得ることができるものであり、有機溶剤の使用が必須となっている。この有機溶剤は環境上、好ましくない場合があるので、できるだけ使用を控えたい。
また、特許文献2に記載されている方法では、重合過程で油滴に含まれる水の液滴が合着することで、粒子の内部から表面まで連続した連続孔が形成されてしまうことがある。このため、安定的な孔径の制御が困難である。
また、特許文献3に記載されている方法では、活性エネルギー線の照射工程と、加熱工程とが必要であるとともに、活性エネルギー線の照射工程では、粒子内部まで十分に重合が進行する条件で活性エネルギー線を照射しなければならないため、工程が複雑化するという課題がある。
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、有機溶剤や活性エネルギー線を用いることなく、多孔質樹脂粒子が有する多数の孔の径を容易に制御可能にすることにある。
上記目的を達成するために、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち、硫酸塩水溶液を(メタ)アクリル酸系の重合性単量体からなる油相に分散させることで得られたW/Oエマルションをさらに水相に分散させることで、硫酸塩を含む水相が油相内に分散したW/O/Wエマルションを作製するエマルション作製工程の後、重合工程を経ることで、複数の硫酸塩水溶液を含んだ水滴を内部に含んだ重合体粒子を作製することができる。次いで、作製された重合体粒子を乾燥させて水を蒸発させることで内部に複数の孔を有する多孔質樹脂粒子を得ることができる。
この方法では、多孔質樹脂粒子の製造時に有機溶剤を使用しないため、環境上好ましい。また、(メタ)アクリル酸系の重合性モノマーを油相とするW/O/Wエマルションを作製する際、硫酸塩を含む水滴を油相中に内包させることで油滴中に存在する水滴の安定性が保たれるため、重合工程で起こる水滴の合着が抑制され、孔の径が所望の大きさとなるように容易に制御できる。また、重合の際に活性エネルギー線は不要であり、工程がシンプルになる。
前記エマルション作製工程では、前記硫酸塩水溶液の硫酸塩の濃度を0.1質量%以上10質量%以下の範囲で調整することができる。
また、体積平均粒子径が30μm以上300μm以下の多孔質樹脂粒子を得ることが可能である。
以上説明したように、有機溶剤や活性エネルギー線を用いることなく、多数の孔の径を容易に制御し、所望の径の孔を有する多孔質樹脂粒子を得ることができる。
本開示の実施形態に係る多孔質樹脂粒子の製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。 実施例1に係る多孔質樹脂粒子の断面状態を示すSEM写真である。 実施例2に係る多孔質樹脂粒子の断面状態を示すSEM写真である。 実施例3に係る多孔質樹脂粒子の断面状態を示すSEM写真である。 実施例4に係る多孔質樹脂粒子の断面状態を示すSEM写真である。 実施例5に係る多孔質樹脂粒子の断面状態を示すSEM写真である。 比較例1に係る多孔質樹脂粒子の断面状態を示すSEM写真である。 比較例2に係る多孔質樹脂粒子の断面状態を示すSEM写真である。 比較例3に係る多孔質樹脂粒子の断面状態を示すSEM写真である。 比較例4に係る多孔質樹脂粒子の断面状態を示すSEM写真である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る多孔質樹脂粒子の製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す手順に従って製造した多孔質樹脂粒子のSEM写真を図2~図6に示している。SEM写真とは、走査電子顕微鏡で拡大した検査面を撮像したものである。
本発明の実施形態に係る製造方法で製造された多孔質樹脂粒子の利用範囲は多岐に亘るが、その一部の例を示すと、例えば薬剤を担持させたり、気体を吸着させることができ、また、光拡散材、軽量化材、断熱材などとして利用することもできる。特に、空気で満たされた多数の孔を有しているので、軽量化材、断熱材として利用する場合に優れた効果を発揮する。
多孔質樹脂粒子の体積平均粒子径は、30μm以上300μm以下である。また、多孔質樹脂粒子の体積平均粒子径は、50μm以上250μm以下とすることもできる。多孔質樹脂粒子の体積平均粒子径の調整は、例えば、重合性単量体を水性媒体中で懸濁重合させて、多孔質樹脂粒子を含有する懸濁液を得る重合工程の場合、攪拌羽の回転数を変更することで可能である。体積平均粒子径の測定方法については後述する。
多孔質樹脂粒子の内部に形成されている孔の平均孔径は、0.40μm以上3.00μmである。また、多孔質樹脂粒子の内部に形成されている孔の平均孔径は、0.60μm以上2.30μmである。孔の平均孔径の測定方法については後述する。
次に、図1に基づいて多孔質樹脂粒子の製造方法について説明する。スタート後のステップSA1では、W/Oエマルション作製工程を行う。W/Oエマルション作製工程では、硫酸塩を溶解させた水性成分(硫酸塩水溶液)を重合性単量体(a)に分散させ、W/Oエマルションを得る。
その後、ステップSA2に進み、W/O/Wエマルション作製工程を行う。W/O/Wエマルション作製工程では、ステップSA1のW/Oエマルション作製工程で得られたW/Oエマルションを水性成分に分散させることで、W/O/Wエマルションを得る。
次いで、ステップSA3に進み、スラリー生成工程を行う。スラリー生成工程では、W/O/Wエマルション作製工程で得られたW/O/Wエマルション中の重合性単量体(a)を重合し、内部に水滴を有する粒子のスラリーを得る。
しかる後、ステップSA4に進み、分離工程を行う。分離工程では、スラリー生成工程で得られたスラリーより樹脂粒子を分離する。
最後に、ステップSA5に進み、乾燥工程を行う。乾燥工程では、分離工程で分離された樹脂粒子を乾燥させる。
以下、各工程について詳細に説明する。まず、ステップSA1のW/Oエマルション作製工程について詳細に説明する。ステップSA2のW/O/Wエマルション作製工程で用いるW/O/Wマルションの中で、W/Oエマルションは重合性単量体(a)中に、硫酸塩が溶解した水性成分が分散した状態である。重合性単量体(a)と水性成分の比率は任意に調整可能であるが、該重合性単量体(a)に含まれる水性成分が増加すると、得られる樹脂粒子中の孔の割合が増加するため、得られた樹脂粒子の強度は低下する傾向にある。このため、例えば該重合性単量体(a)100重量部に含まれる水性成分の量は10重量部以上150重量部以下にする。また、重合性単量体(a)100重量部に含まれる水性成分の量は30重量部以上100重量部以下とすることができ、また、50重量部以上100重量部以下としてもよい。つまり、樹脂粒子に要求される強度に応じて、重合性単量体(a)100重量部に含まれる水性成分の量を調整できる。
本工程におけるW/Oエマルションを得る方法としては、例えば水性成分に水を使用し、前記水に分散剤(b)として硫酸塩を含有させて、重合性単量体(a)に分散させる方法である。このとき、水に含有させる分散剤(b)の割合としては、例えば0.1重量部以上10重量部以下することができる。また、水に含有させる分散剤(b)の割合としては、1重量部以上5重量部以下としてもよい。また、水に含有させる分散剤(b)の割合としては、1重量部以上5重量部以下の場合、良好な分散性を示しやすく、水滴の安定化も良好である。分散剤(b)の割合が0.1重量部未満の場合、分散剤としての機能が十分に発揮されず、W/Oエマルション作製の際、水滴同士で合着が起こる恐れがある。一方、水に含有させる分散剤(b)の割合が10重量部を超える場合、水温の低下と共に分散剤(b)が析出する恐れがある。
W/Oエマルションを作製する方法としては、例えば高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波式等の既知の分散機を使用する方法を挙げることができる。このとき、W/Oエマルション中に含まれる水性成分の水滴径が、樹脂粒子に含まれる孔の径に対応するため、安定的に前記水滴が該重合性単量体(a)に内包されるようにするために、水滴径は0.1μm以上30μm以下とする。また、水滴径は0.1μm以上15μm以下としてもよい。
本工程において使用する重合性単量体(a)および分散剤(b)については、例えば以下のものを使用することができる。
重合性単量体(a)
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2-クロルエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、等が挙げられる。
この他に、前記重合性単量体(a)として用いることができる(メタ)アクリル酸系単量体の中で、例えば、多官能重合性単量体であれば、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3- ブタンジオールジ(メタ) アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。尚、本発明は、上記例示のみに限定されるものではない。これらの(メタ)アクリル系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分散剤(b)
W/Oエマルションの作製において使用する分散剤(b)は、例えば例えば硫酸アンモニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、二硫酸カリウム、二硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。これらの分散剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
次に、W/O/Wエマルション作製工程の詳細について説明する。本工程では、前記W/Oエマルション作製工程で作製したW/Oエマルションを、さらに水性媒体に分散させることでW/O/Wエマルションを得る。この工程において、上記W/Oエマルションを水性媒体に分散させる際、前記水性媒体には水と共に、界面活性剤(S)や水溶性ポリマー(T)等を用いることができる。
界面活性剤(S)及び水溶性ポリマー(T)の合計量は、前記水性媒体100重量部に対して0.01重量部以上10重量部以下とする。また、界面活性剤(S)及び水溶性ポリマー(T)の合計量は、前記水性媒体100重量部に対して0.1重量部以上5重量部以下とすることができ、また1重量部以上3重量部以下とすることができる。
前記界面活性剤(S)及び水溶性ポリマー(T)の割合が0.01重量部未満の場合、多孔質樹脂粒子同士の合着が起こる恐れがある。一方、前記界面活性剤(S)及び水溶性ポリマー(T)の割合が10重量部を超える場合、含有量の増加に見合う樹脂粒子の分散安定化効果が得られない。
本工程で使用することができる界面活性剤(S)及び水溶性ポリマー(T)には、例えば以下のようなものが挙げられる。
界面活性剤(S)
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩としてラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸塩としてドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸アンモニウム、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、アルキルアリルスルホン酸塩としてドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。この他に、ポリオキシエチレンアルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アリルオキシメチルアルコキシエチルポリオキシエチレンの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム塩などが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えばアルキレンオキシド付加型として、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシアルキレンエーテルとポリエーテルポリオールの混合物等が挙げられる。また、エチレンオキシド付加型として、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテルなどが挙げられる。尚、本発明は、上記例示のみに限定されるものではない。また、これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
水溶性ポリマー(T)
水溶性ポリマー(T)としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系化合物、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
次に、スラリー生成工程の詳細について説明する。本工程では、前記W/O/Wエマルション作製工程で作製したW/O/Wエマルションを加熱することで、水性成分を内包した重合性単量体(a)から成る油滴を重合し、内部に水性成分を内包した樹脂粒子が分散したスラリーを得る。
重合性単量体(a)を反応させて樹脂粒子を得る場合、例えば重合性単量体(a)と油溶性開始剤を予め混合し、その後、加熱によりラジカル重合反応を行わせる方法等が挙げられる。
上記油溶性開始剤(I)としては、例えばパーオキサイド系重合開始剤、アゾ系重合開始剤等が挙げられる。この他に、レドックス系重合開始剤(II)を併用してもよい。また、前記重合開始剤(I)の内、任意の1種のみ用いてもよいし、任意の2種以上を併用してもよい。
熱重合を行う場合、使用する重合開始剤に合わせて適宜加熱温度を調整すればよいが、40℃以上95℃以下の温度で加熱する。また、熱重合を行う場合の加熱温度は、例えば50℃以上90℃以下に設定してもよい。上記設定温度を超えた温度で重合を行う場合、水性媒体が重合熱により沸点に到達し、突沸や暴走重合を引き起こす恐れがある。上記重合温度の範囲内で調整することにより、突沸や暴走重合が起こらない安定した条件で重合を行うことができる。
本工程で使用できる油溶性開始剤(I)及びレドックス系重合開始剤(II)としては、例えば、過酸化物系あるいはアゾ系開始剤を使用する事ができる。前記過酸化物系開始剤として、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、(2-エチルヘキサノイル)(t-ブチル)ペルオキシド、(2-エチルヘキサノイル)(t-ヘキシル)ペルオキシドなどが挙げられる。また、前記アゾ系開始剤としては、ジメチル-2,2’-アゾビス(2 -メチルプロピオネート)、ジメチル1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボキシレート)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2_4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)などが挙げられる。
本発明は、上記例示のみに限定されるものではない。また、これらの重合性開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
次に、分離工程の詳細について説明する。分離工程では、前記スラリー生成工程で得られたスラリーの中から樹脂粒子を分離する。スラリーの中から樹脂粒子を分離する方法としては特に限定されないが、例えばスラリーをフィルタープレス、スパクラーフィルター、遠心分離機等の公知の設備に投入し、樹脂粒子を他の成分から分離することができる。
次に、乾燥工程の詳細について説明する。乾燥工程では、分離工程でスラリーから分離された樹脂粒子を加熱することにより、該樹脂粒子中に内包された水性成分を樹脂粒子中から除去する。具体的には水を蒸発させる。これにより、水性成分が内包されていた箇所が空気で満たされた孔に置き換わるので、内部に多数の孔を有する球状の樹脂粒子を得ることができる。
樹脂粒子の乾燥方法としては、例えば循風乾燥機、スプレードライヤー、流動層式乾燥機等の公知の設備を用いて行うことができる。乾燥条件としては、例えば循風乾燥機を用いた場合50℃以上100℃以下の温度条件で、3時間以上30時間以下の任意の時間乾燥させればよい。
上述した各工程を順番に行うことで内部に複数の孔を有する多孔質樹脂粒子を得ることができる。内部に複数の孔を有する多孔樹脂粒子は、フィラーとして成型品の材料の一部として用いることで、断熱性や遮音性の付与に有効である。また、多孔樹脂粒子は、光拡散剤として、化粧料や塗料への添加剤としても利用できる。この他に、樹脂粒子内部の孔に薬剤や香料等の拡散成分を封入し、圧力や温度等の条件を調節することで前記拡散成分を樹脂粒子外へ拡散させるといった、ドラッグデリバリーシステム、マイクロカプセルといった使用も可能である。
本実施形態によれば、多岐にわたる用途に使用できる樹脂粒子を作製することができる。また、W/O/Wエマルションを重合させる際、油滴に内包された水滴の合着が抑制されることで、有機溶剤や活性エネルギー線を用いることなく、所望の径となるように制御された孔を有する樹脂粒子を容易に得ることができる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。以下において、各測定方法について説明する。
<体積平均粒子径>
製造した球状の樹脂粒子の体積平均粒子径は、Multisizer3(ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。測定に使用するアパチャーのサイズは測定する粒子径に合わせて適宜使用する。具体的な測定方法は、JIS Z 8832「粒子径分布測定方法-電気的検知帯法」に基づいて決定した。
ISOTON 2(ベックマン・コールター社製:測定用電解液)を満たしたビーカーをゆっくり攪拌しながら、樹脂粒子の重合後スラリーをスポイドで滴下して、Multisizer3の本体画面に表示される濃度を10%前後に合わせた後測定を行う。
<SEM観察>
乾燥後の樹脂粒子の状態は走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。なお、走査型電子顕微鏡は、日本電子社製のJSM-6060を用いた。また、樹脂粒子断面の観察においては、スライス刃を使用して粒子をスライスすることで断面を露出させ、当該露出した断面をSEMにて観察した。
<粒子断面の孔径及び孔の標準偏差>
乾燥後の樹脂粒子の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)を取得し、得られた画像を解析ソフト「SMile View」(日本電子社製)に読み込み、1画面に映る粒子の孔径を60点測定し、粒子の平均孔径値ならびに標準偏差を求めた。1画面に60個の孔が無い場合、1画面に存在する孔全ての孔径を測定した。
実施例1<樹脂粒子の製造>
・油相の調製
ブチルアクリレー50重量部、トリメチロールトリプロパンアクリレート50重量部、及び、2,4-ジメチルバレロニトリル1重量部を溶解させて油相(A)を得た。
・W/Oエマルションの作製
イオン交換水 99重量部に、分散剤として硫酸カリウム1重量部を溶解させた水溶液を、前記油相(A)に加え、超音波ホモジナイザー(エスエムテー社製 「ULTRA SONIC HOMOGENIZER UH - 50」)を用いて、30分間、乳化分散させ、W/Oエマルション(B)を作製した。
・樹脂粒子の重合
イオン交換水1746重量部にゴーセノールGH-20 54重量部を溶解させた水溶液に、前記W/Oエマルションを添加した後、攪拌羽にて200rpmで30分間攪拌し、W/O/Wのエマルションを得た。このW/O/Wエマルションを60℃で5時間かけて重合を行った。
反応終了後、得られた樹脂粒子を濾過して分離し、100℃の循環乾燥機で16時間かけて乾燥して樹脂粒子100部を得た。得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は216μmであった。樹脂粒子の平均孔径は0.61μmであり、孔径の標準偏差は0.24μmであった。
実施例2<樹脂粒子の製造>
W/O/Wエマルションを得る工程で攪拌羽の回転数を400rpmに変更したこと以外、実施例1と同様の手順で樹脂粒子の重合を行った。得られた粒子の体積平均粒子径は76μmであった。樹脂粒子の平均孔径は1.19μmであり、孔径の標準偏差は0.52μmであった。
実施例3<樹脂粒子の製造>
W/O/Wエマルションを得る工程で攪拌羽の回転数を500rpmに変更したこと以外、実施例1と同様の手順で粒子の重合を行った。得られた粒子の体積平均粒子径は47μmであった。樹脂粒子の平均孔径は1.99μmであり、孔径の標準偏差は0.92μmであった。
実施例4<樹脂粒子の製造>
W/O/Wエマルションを得る工程で攪拌羽の回転数を600rpmに変更したこと以外、実施例1と同様の手順で樹脂粒子の重合を行った。得られた粒子の体積平均粒子径は32μmであった。樹脂粒子の平均孔径は1.59μmであり、孔径の標準偏差は1.04μmであった。
実施例5<樹脂粒子の製造>
W/O/Wエマルションを得る工程で使用する硫酸カリウムを0.1重量部に変更し、W/O/Wエマルションを得る工程で攪拌羽の回転数を400rpmに変更したこと以外、実施例1と同様の手順で樹脂粒子の重合を行った。得られた粒子の体積平均粒子径は77μmであった。樹脂粒子の平均孔径は1.42μmであり、孔径の標準偏差は0.66μmであった。
比較例1
W/Oエマルションを得る工程で硫酸カリウムを0.01重量部使用し、W/O/Wエマルションを得る工程で攪拌羽の回転数を400rpmに変更したこと以外、実施例1と同様の手順で樹脂粒子の重合を行った。得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は98μmであった。樹脂粒子の平均孔径は15.61μmであり、孔径の標準偏差は16.12μmであった。
比較例2
油相を調整する工程で、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルを1重量部使用し、W/O/Wエマルションを得る工程で攪拌羽の回転数を400rpmに変更したこと以外、実施例1と同様の手順で樹脂粒子の重合を行った。得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は111μmであった。樹脂粒子の平均孔径は12.33μmであり、孔径の標準偏差11.59μmであった。
比較例3
W/Oエマルションを作製する工程で、硫酸カリウムの代わりにドデシル硫酸ナトリウム1重量部を使用し、W/O/Wエマルションを得る工程で攪拌羽の回転数を400rpmに変更したこと以外、実施例1と同様の手順で樹脂粒子の重合を行った。得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は102μmであった。粒子の平均孔径は17.22μmであり、孔径の標準偏差は12.86μmであった。
比較例4
W/Oエマルションを作製する工程で、硫酸カリウムの代わりにノイゲン1重量部使用し、W/O/Wエマルションを得る工程で攪拌羽の回転数を400rpmに変更したこと以外、実施例1と同様の手順で樹脂粒子の重合を行った。得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は74μmであった。樹脂粒子の平均孔径は5.56μmであり、孔径の標準偏差は4.12μmであった。
表中の略号は下記の意味を表している。
BA : ブチルアクリレート
TMP-A : トリメチロールトリプロパンアクリレート
PD-420 : ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル
PS : 硫酸カリウム
SDS : ドデシル硫酸ナトリウム
PVA : ポリビニルアルコール
ABN-V : 2,4-ジメチルバレロニトリル
図2~6にそれぞれ実施例1~5の製造方法で製造された多孔質樹脂粒子の断面のSEM写真を示している。各図に示すように、多孔質樹脂粒子の内部には、大きさにばらつきの少なく多数の孔がきれいに分散した状態で存在している。すなわち、有機溶剤や活性エネルギー線を用いることなく、多孔質樹脂粒子が有する多数の孔の径及び孔の分散を容易に制御できていることが分かる。
一方、図7~10にそれぞれ比較例1~4の製造方法で製造された樹脂粒子の断面のSEM写真を示している。各図に示すように、樹脂粒子の内部には複数の孔が形成されているものの、それら孔は不均一に分散しているとともに、孔の径は大きくばらついている。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本開示に係る多孔質樹脂粒子の製造方法は、例えば薬剤の担持や気体の吸着剤、光拡散材、軽量化材、断熱材などとして利用される多孔質樹脂粒子を製造する場合に利用できる。

Claims (3)

  1. 硫酸塩水溶液を(メタ)アクリル酸系の重合性単量体からなる油相に分散させることで得られたW/Oエマルションをさらに水相に分散させることで、硫酸塩を含む水相が油相内に分散したW/O/Wエマルションを作製するエマルション作製工程を行い、
    エマルション作製工程の後、重合工程を経ることで、複数の硫酸塩水溶液を含んだ水滴を内部に含んだ重合体粒子を作製し、
    次いで、前記重合体粒子を乾燥させることで内部に複数の孔を有する多孔質樹脂粒子を得ることを特徴とする多孔質樹脂粒子の製造方法。
  2. 請求項1に記載の多孔質樹脂粒子の製造方法において、
    前記エマルション作製工程では、前記硫酸塩水溶液の硫酸塩の濃度を0.1質量%以上10質量%以下の範囲で調整することを特徴とする多孔質樹脂粒子の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の多孔質樹脂粒子の製造方法において、
    体積平均粒子径が30μm以上300μm以下の前記多孔質樹脂粒子を得ることを特徴とする多孔質樹脂粒子の製造方法。
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