JP2023135906A - 樹脂組成物、プリプレグ、硬化体、樹脂基板、および炭素繊維強化プラスチック - Google Patents

樹脂組成物、プリプレグ、硬化体、樹脂基板、および炭素繊維強化プラスチック Download PDF

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Abstract

【課題】強度が高く、製品信頼性に優れるとともに、さらに成形体表面が平滑であり外観に優れた硬化物が得られる樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明の樹脂組成物は、繊維織布に含侵させる樹脂組成物であって、(A)レゾール型フェノール樹脂と、(B)球状フェノール樹脂硬化物と、を含み、レゾール型フェノール樹脂(A)100質量部に対して、球状フェノール樹脂硬化物(B)を10質量部以上95質量部以下の量で含む。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、プリプレグ、硬化体、樹脂基板、および炭素繊維強化プラスチックに関する。
フェノール樹脂の硬化物は、耐熱性等の物理的特性が優れていることから、従来から、機械構造部品、自動車用部品、電気機器部品、通信機器部品等の各種製品に広く採用されている。
また、近年では、フェノール樹脂の硬化物(プラスチック)の強度を向上させる目的で、繊維強化プラスチック(FRP)が開発されている。繊維強化プラスチックは、埋設される繊維でプラスチックが補強されることから、プラスチック単体では到底に実現できない、極めて優れた強度を実現することができることから、多種多様な用途、たとえば、自動車、航空機等に使用されている。
特許文献1には、未硬化の樹脂と、硬化された粒状樹脂とを含む材料溶液を、炭素繊維等の繊維で形成された基材に含浸させ、次いで未硬化の樹脂を硬化させて得られたアブレータが開示されている。当該文献には、未硬化の樹脂、および硬化された粒状樹脂として、フェノール樹脂が挙げられている。
国際公開第2015/156368号
しかしながら、特許文献1に記載の材料溶液を硬化させて得られた成形体は、強度が低いため、使用時に破断するなど製品信頼性に改善の余地があり、さらに成形体表面が粗く外観に改善の余地があった。
本発明者らは、フェノール樹脂は硬化時に縮合水を発生し、この縮合水が抜けた跡が樹脂成形体中および表面にボイドとして残ることから上記課題が発生することを見出し、さらにレゾール型フェノール樹脂に、所定量の球状フェノール樹脂を加えることでこれらの課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
本発明によれば、
繊維織布に含侵させる樹脂組成物であって、
(A)レゾール型フェノール樹脂と、
(B)球状フェノール樹脂硬化物と、
を含み、
レゾール型フェノール樹脂(A)100質量部に対して、球状フェノール樹脂硬化物(B)を10質量部以上95質量部以下の量で含む、樹脂組成物が提供される。
本発明によれば、
繊維織布に、前記樹脂組成物を含侵してなるプリプレグが提供される。
本発明によれば、
前記プリプレグの硬化体が提供される。
本発明によれば、
前記プリプレグの硬化体を含む樹脂基板が提供される。
本発明によれば、
繊維織布が炭素繊維織布であり、前記プリプレグの硬化体または前記プリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の硬化体からなる炭素繊維強化プラスチックが提供される。
本発明によれば、強度が高く、製品信頼性に優れるとともに、さらに成形体表面が平滑であり外観に優れた硬化物が得られる樹脂組成物を提供することができ、さらに当該樹脂組成物を含むプリプレグ、硬化体、樹脂基板、および炭素繊維強化プラスチックを提供することができる。
実施例1と比較例1で得られた成形物(CFRP)の表面と断面の光学顕微鏡写真である。 実施例および比較例で得られた荷重-変位曲線である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。また、例えば「1~10」は特に断りがなければ「1以上」から「10以下」を表す。
本実施形態の樹脂組成物は、繊維織布に含侵させる樹脂組成物であって、
レゾール型フェノール樹脂(A)と、球状フェノール樹脂硬化物(B)と、を含む。
[レゾール型フェノール樹脂(A)]
本実施形態の接着剤組成物に用いられるレゾール型フェノール樹脂(A)は、塩基性触媒下、フェノール類と、アルデヒド類とを、反応溶媒中で、以下で説明する所定の条件で反応させて得られる樹脂である。
本実施形態で用いられるレゾール型フェノール樹脂(A)の合成のために使用されるフェノール類としては、フェノール;o-ジヒドロキシベンゼン(すなわち、カテコール)、m-ジヒドロキシベンゼン(すなわち、レゾルシノール、すなわち、レゾルシン)、p-ジヒドロキシベンゼン(すなわち、ヒドロキノン)などのジヒドロキシベンゼン;1,2,3-トリヒドロキシベンゼン(すなわち、ピロガロール)などのトリヒドロキシベンゼン;o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、オキソクレゾールなどのクレゾール;エチルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノールなどのアルキルフェノール;キシレノール;3-ペンタデシルフェノール、3-ペンタデシルフェノールモノエン、3-ペンタデシルフェノールジエン、3-ペンタデシルフェノールトリエンなどのカシューオイルの含有成分;1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼンモノエン、1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼンジエン、1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼントリエンといったカルドールの含有成分;2-メチル-1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼン、2-メチル-1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼンモノエン、2-メチル-1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼンジエン、2-メチル-1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼントリエンといったメチルカルドールの含有成分;ウルシオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSといったビスフェノール類;p-フェニルフェノール;スチレン化フェノールなどが挙げられる。これらを単独あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
本実施形態で用いられるレゾール型フェノール樹脂(A)の合成のために使用されるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n-ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o-トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上組み合わせて使用してもよい。また、これらアルデヒド類の前駆体あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を使用することも可能である。中でも、製造コストの観点から、ホルムアルデヒド水溶液を使用することが好ましい。
本実施形態で用いられるレゾール型フェノール樹脂(A)の合成のために使用される塩基性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;石灰等の酸化物;亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;リン酸ナトリウム等のリン酸塩;二価金属塩触媒の酢酸亜鉛、蟻酸亜鉛;アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン等のアミン類など等が挙げられる。
本実施形態で用いられるレゾール型フェノール樹脂(A)の合成のために使用される反応溶媒としては、水が一般的であるが、有機溶媒を使用してもよい。このような有機溶媒の具体例としては、アルコール類、ケトン類、芳香族類等が挙げられる。またアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。芳香族類の具体例としてはとしては、トルエン、キシレン等が挙げられる。
レゾール型フェノール樹脂(A)の形態としては、固形、水溶液、溶剤溶液、および水分散液が挙げられる。中でも、作業性が良好となる点から、メタノール、エタノール、プロパノール、メチルエチルケトン、およびアセトンの溶剤溶液であることが好ましい。
本実施形態で用いられるレゾール型フェノール樹脂(A)は、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)とを、配合モル比(F/P)が1.0以上、好ましくは1.1以上3.0以下、より好ましくは1.2以上2.0以下となるような比率で混合し、さらに重合化触媒としての上述の塩基性触媒を添加して、適当な時間(例えば、3~6時間)還流を行うことにより得られる。反応温度は、例えば、40℃~120℃であり、好ましくは60℃~100℃である。これにより、ゲル化を抑制して、目的の分子量のレゾール型フェノール樹脂(A)を得ることができる。
[球状フェノール樹脂硬化物(B)]
本実施形態の接着剤組成物に用いられる球状フェノール樹脂硬化物(B)としては、本発明の効果を奏する範囲で公知の球状フェノール樹脂硬化物を用いることができるが、レゾール樹脂の硬化物であることが好ましい。
前記レゾール樹脂は含窒素構造を含むことが好ましく、具体的には、分子中に、下記の化学式(1)で表されるアルキレンアミン由来の構造単位を、少なくとも1個以上有する。
Figure 2023135906000001
上記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立して、炭素数1~10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。Rのアルキレン基の炭素数は、例えば、1~10、好ましくは2~6、より好ましくは2~4ある。上記範囲内とすることで、硬化体の曲げ強度や曲げ弾性率等の機械的強度を向上することができる。
レゾール樹脂は、分子中に、下記の化学式(2)で表されるエチレンアミン由来の構造単位を、少なくとも1個以上有するものを含んでもよい。
Figure 2023135906000002
本実施形態において、前記レゾール樹脂は、化学式(2)で表されるエチレンアミン由来の構造単位で架橋されていることが好ましく、すなわちエチレン架橋体であることが好ましい。
レゾール樹脂中におけるエチレンアミン由来の構造単位の含有比率の下限は、例えば、3重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。これにより、球状フェノール樹脂硬化物とレゾール樹脂との界面接着が良好となり曲げ強度や曲げ弾性率等の機械的強度を損なうことなくボイド量や外観を改善することができる。一方、フェノール樹脂中におけるエチレンアミン由来の構造単位の含有比率の上限は、例えば、50重量%以下、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下でもよい。これにより、球状フェノール樹脂硬化物の固さを適当に調整することができる。
エチレンアミン由来構造の含有率は、以下の式に基づいて算出できる。式中の含窒素量(重量%)は、元素分析法により測定できる。
エチレンアミン由来構造の含有率=含窒素量×(43/14)
本実施形態の球状フェノール樹脂硬化物(B)の平均粒子径は、用途によってその最適な範囲が異なり、用途に応じて適宜選択することができる。
本実施形態の球状フェノール樹脂硬化物(B)の平均粒子径の下限値は、例えば、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の球状フェノール樹脂硬化物(B)の平均粒子径の上限値は、例えば、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
球状フェノール樹脂硬化物(B)の平均粒子径が上記数値範囲内であることで、フェノール樹脂組成物中および硬化体中の球状フェノール樹脂硬化物(B)の分散性を改善することができ、硬化体の曲げ強度や曲げ弾性率等の機械的強度に優れる。
球状フェノール樹脂硬化物(B)の平均粒子径はレーザー散乱式粒度分布計で測定することができる。
球状フェノール樹脂硬化物(B)のかさ比重の下限値は、例えば、0.10g/ml以上が好ましく、0.15g/ml以上がより好ましく、0.20g/ml以上が更に好ましい。
球状フェノール樹脂硬化物(B)のかさ比重の上限値は、例えば、1.00g/ml以下が好ましく、0.90g/ml以下がより好ましく、0.80g/ml以下が更に好ましい。
なお、本実施形態において、球状フェノール樹脂硬化物(B)のかさ比重は、例えば、ホソカワミクロン株式会社製パウダーテスターPT-Xを用いて評価することができる。
本実施形態においては、レゾール型フェノール樹脂(A)100質量部に対して、球状フェノール樹脂硬化物(B)を10質量部以上95質量部以下、好ましくは15質量部以上80質量部以下、より好ましくは20質量部以上70質量部以下の量で含むことができる。
球状フェノール樹脂硬化物(B)が上記範囲で含まれることにより、強度が高く、製品信頼性に優れるとともに、さらに成形体表面が平滑であり外観に優れた硬化物を得ることができる。当該効果が得られる理由は明らかではないものの、所定量含まれる球状フェノール樹脂硬化物(B)を含むことにより、フェノール樹脂の硬化時における縮合水の発生が抑制され、さらに成形時における樹脂の流出が低減されるためであると推定される。
[球状フェノール樹脂硬化物(B)の製造方法]
球状フェノール樹脂硬化物(B)は以下の方法で製造することができる。
本実施形態の球状フェノール樹脂硬化物(B)の製造方法は、
フェノール類と、アルデヒド類と、親水性高分子とを含む混合液を作製する準備工程と、
混合液を撹拌し、フェノール類と、アルデヒド類とを反応させ、懸濁粒子を形成する(反応工程)とともに、得られた懸濁粒子を硬化する工程と、を含む。
以下、各工程について詳細を説明する。
(準備工程)
準備工程では、フェノール類と、アルデヒド類と、親水性高分子と、親水性溶媒とを含む混合液を作製する。
以下、混合液の各成分について詳細を説明する。
(フェノール類)
フェノール類としては限定されず、レゾール型フェノール樹脂(A)の合成に用いた化合物と同様の化合物を用いることができる。
フェノール類としては、上記具体例のうち例えば、フェノール、クレゾール及びアルキルフェノールからなる群から選択される1種以上を用いることが好ましく、フェノールを用いることがより好ましい。これにより、硬化体の曲げ強度や曲げ弾性率等の機械的強度を向上することができる。
(アルデヒド類)
アルデヒド類としては限定されず、レゾール型フェノール樹脂(A)の合成に用いた化合物と同様の化合物を用いることができる。アルデヒド類としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、ヘキサメチレンテトラミンといったアルデヒド化合物の発生源となる化合物を用いてもよい。アルデヒド類としては、上記具体例のうち例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドからなる群から選択される1種以上を用いることが好ましく、ホルムアルデヒドを用いることがより好ましい。これにより、硬化の程度を制御しやすくなる。
混合液中のフェノール類と、アルデヒド類との仕込み量としては、例えば、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)が0.8以上4.0以下となるようにすることができる。これにより、フェノール類と、アルデヒド類とが反応することで、レゾール型フェノール樹脂、さらに、一部がレゾール型フェノール樹脂の架橋体となり、混合液中で、粒子状に分散できる。
(親水性高分子)
本実施形態の球状フェノール樹脂硬化物(B)の製造方法は湿式法である。親水性高分子は、フェノール類及びアルデヒド類の表面に付着し、フェノール類及びアルデヒド類を親水性溶媒中の中で球状に分散させ、あたかも、フェノール類及びアルデヒド類と、親水性溶媒とをO/Wエマルションのように分散させるために必要である。これにより、所望の形状の懸濁粒子を作製することができる。
親水性高分子としては限定されず、具体的には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースカチオン化物などの水溶性セルロース誘導体;ポリビニルアルコール;アルギン酸;グアガム:アラビアガムなどを挙げることができる。親水性高分子としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。親水性高分子としては、上記具体例のうち例えば、ヒドロキシエチルセルロース、グアガム及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上を用いることが好ましく、ヒドロキシエチルセルロースを用いることがより好ましい。これにより、球状フェノール樹脂硬化物(B)の粒径を所望の数値範囲内とすることができる。
(反応工程)
反応工程では、混合液を撹拌し、フェノール類と、アルデヒド類とを反応させ、懸濁粒子を形成する。
フェノール類と、アルデヒド類とを反応させ、懸濁粒子を形成する方法としては、混合液を撹拌することによって行うことができる。
フェノール類と、アルデヒド類との反応は、例えば、塩基性触媒下で行う。反応工程では、フェノール類と、アルデヒド類とが反応してレゾール型フェノール樹脂となり、さらに、レゾール型フェノール樹脂の一部が互いに架橋し架橋体となる。反応工程では架橋は完全には進行せず、後述する硬化工程においてさらに架橋が進行し、硬化する。すなわち、懸濁粒子は、例えば、レゾール型フェノール樹脂と、レゾール型フェノール樹脂の架橋体とを含む。
なお、懸濁粒子を形成した後、例えば、懸濁粒子を洗浄し、懸濁粒子表面の親水性高分子を除去してもよい。球状フェノール樹脂硬化物(B)の粒子同士の凝集、付着による取り扱い性をさらに向上させることができる。
洗浄する方法としては限定されないが、例えば、懸濁粒子を大量の純水といった親水性溶媒中に分散させる方法を用いることができる。これにより、懸濁粒子表面の親水性溶媒を除去できる。洗浄する方法としては、例えば、懸濁粒子の質量に対して、1倍以上2倍以下の親水性溶媒によって、3回以上の洗浄を行うことが好ましく、5回以上の洗浄を行うことがより好ましい。これにより、不純物の含有量を所望の数値範囲まで低減することができ、高いクリーン度の要求される用途にも展開できる点で好ましい。
なお、洗浄回数は生産工程が煩雑にならない範囲で多くすることが好ましいが、洗浄回数の上限値としては、例えば、10回以下としてもよい。
(塩基性触媒)
塩基性触媒としては、従来レゾール型フェノール樹脂を作製するために、フェノール類と、アルデヒド類との反応に用いられているものであれば限定されない。塩基性触媒としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム、マグネシウム、バリウムなどアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物;炭酸ナトリウム、アンモニア水、N-(2-アミノエチル)プロパノールアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンテトラミン(すなわち、ヘキサミン)などのアミン類などを用いることができる。塩基性触媒としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
塩基性触媒としては、アミン類が好ましく、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンテトラミンがより好ましい。
(硬化工程)
硬化工程では、懸濁粒子(フェノール樹脂粒子)を、温度50℃を越え200℃未満で熱処理することで、懸濁粒子を硬化して球状フェノール樹脂硬化物(B)を得る。
具体的には、熱処理によって、懸濁粒子中のレゾール型フェノール樹脂をさらに架橋し、架橋体とすることで硬化させる。なお、球状フェノール樹脂硬化物(B)を好適に低密度化させる観点から、例えば、一部のレゾール型フェノール樹脂は架橋しないで残存することが好ましい。すなわち、球状フェノール樹脂硬化物(B)は、例えば、レゾール型フェノール樹脂と、レゾール型フェノール樹脂の架橋体とを含むことが好ましい。
熱処理する方法としては限定されず、大気圧下、減圧下、気体中、液体中等、従来公知の方法で行うことができる。また、反応工程でそのまま加熱を継続し、硬化させても良い。
硬化工程における熱処理の温度の上限値としては、200℃未満であり、例えば、170℃未満であることが好ましく、150℃以下であることが好ましく、135℃以下であることがより好ましく、130℃以下であることが更に好ましい。これにより、球状フェノール樹脂硬化物(B)の酸化を抑制できる。球状フェノール樹脂硬化物(B)が酸化してしまう場合、炭化工程における低密度化が好適に生じないことがある。したがって、熱処理の温度は上記上限値以下であることが好ましい。また、球状フェノール樹脂硬化物(B)中のレゾール型フェノール樹脂同士が架橋し、硬化しすぎることを抑制できる。これにより、球状フェノール樹脂硬化物(B)が適切に低密度化できる程度まで硬化を進行できる。
また、硬化工程における熱処理の温度の下限値としては、50℃を越えるものであり、例えば、80℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい。これにより、フェノール樹脂粒子中のレゾール型フェノール樹脂同士が架橋し、フェノール樹脂粒子が適切に低密度化するまで硬化が進行する。したがって、炭化工程における低密度化を適切に生じ、炭化物粒子としたときに表面平滑性、平均粒径、かさ比重といった物性を所望の範囲内とできる。
硬化工程における熱処理の時間の上限値としては、例えば、24時間以下であり、12時間以下であることが好ましく、8時間以下であることが更に好ましく、6時間以下であることが一層好ましい。これにより、フェノール樹脂粒子中のレゾール型フェノール樹脂同士が架橋し、硬化しすぎることを抑制できる。したがって、フェノール樹脂粒子が適切に低密度化する程度まで硬化を進行できる。
硬化工程における熱処理時間の下限値としては、例えば、0分を超える時間であり、30分間以上であることが好ましく、1時間以上であることがより好ましく、2時間以上であることがさらに好ましい。これにより、フェノール樹脂粒子中のレゾール型フェノール樹脂同士が架橋し、球状フェノール樹脂硬化物(B)が適切に低密度化するまで硬化が進行する。
また、必要に応じて乾燥工程を設けてもかまわない。懸濁粒子(フェノール樹脂粒子)を、温度60℃以上150℃以下で熱処理することで、懸濁粒子から親水性溶媒を取り除く。熱処理する方法としては限定されず、大気圧下で気体中、または、減圧下で行う方法であれば、従来公知の方法で行うことができる。
上述したように硬化工程、乾燥工程は、連続して大気下で気体中、または、減圧下で行われる限り従来公知の方法を採用することができる。乾燥工程、硬化工程を連続して行う観点から、乾燥工程、硬化工程を行う方法としては、例えば、熱風乾燥機、減圧撹拌乾燥装置を用いることが好ましい。
また、組成物としたときの均一性を向上させるため、必要に応じて乾燥後の球状フェノール樹脂硬化物(B)をさらに解砕してもかまわない。解砕する方法としては、例えばピンミル、ナイフミル、ハンマーミル等の衝撃式の粉砕機、ジェットミル、カウンタージェットミル等の気流式粉砕機などが挙げられる。
[有機溶媒(C)]
本実施形態の樹脂組成物は、さらに有機溶媒(C)を含むことが好ましい。有機溶媒(C)を含むことにより樹脂組成物の基材への含浸性が向上する。
有機溶媒(C)としては、本発明の効果を奏する範囲で公知の有機溶媒を用いることができ、具体的には、アルコール類、ケトン類、グリコールエーテル類、グリコールエステル類からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングルコール、プロピレングリコール等を挙げることができ、
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン等を挙げることができ、
グリコールエーテル類としてはメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等を挙げることができ、
グリコールエステル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート等を挙げることができる。
有機溶媒(C)として、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルを用いることが好ましい。
本実施形態のフェノール樹脂組成物100質量%は、ハンドリング性および生産性の観点から、有機溶媒(C)を好ましくは5質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上60質量%以下の量で含むことができる。
[その他の成分]
本実施形態の樹脂組成物は、用途や必要に応じてその他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、充填材、硬化促進剤、その他の樹脂成分、離型剤、顔料、染料、難燃剤、密着向上剤、カップリング剤、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、靭性付与材等を挙げることができる。
前記充填材としては、例えば、繊維基材、有機充填材、無機充填材等を用いることができる。繊維基材は、繊維状の形態を有する充填材である。有機充填材および無機充填材は、それぞれ、粒状充填材または板状充填材のいずれでもよい。板状充填材はその形状が板状である充填材である。粒状充填材は、不定形状を含む繊維状・板状以外の形状の充填材である。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記粒状充填材としては、例えば、粒形の無機充填材を用いることができ、黒鉛、炭素、ガラスビーズ、ガラスパウダー、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、クレーおよびマイカなどを用いることができる。
前記繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、金属繊維、ワラストナイト、アタパルジャイト、セピオライト、ロックウール、ホウ酸アルミニウムウイスカー、チタン酸カリウム繊維、炭酸カルシウムウィスカー、酸化チタンウィスカー、セラミック繊維などの繊維状無機充填材;アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維などの繊維状有機充填材;が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
また、前記板状充填材、粒状充填材としては、例えば、タルク、カオリンクレー、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム水和物、マイカ、ガラスフレーク、ガラス粉、炭酸マグネシウム、シリカ、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、前記繊維状充填材の粉砕物などが挙げられる。
上記硬化促進剤としては、特に限定されず、通常の硬化促進剤を用いることが出来、例えば、酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物、コハク酸、サリチル酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸を例示することができる。
上記その他の樹脂成分としては、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂が挙げられる。また必要によりこれらの複数種を組み合わせて用いることもできる。
上記離型剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレンなどが挙げられる。
上記顔料としては、例えば、カーボンブラックなどが挙げられる。
<樹脂組成物>
本実施形態の樹脂組成物は、成分(A)および(B)を溶融させ従来公知の方法で混合して得ることができるが、好ましくは有機溶媒(C)を用いてワニス状の樹脂組成物として得ることができ、上述の各成分を、たとえば、撹拌翼を備えたバッチ式混合器、スクリューやパドル、スタティックミキサーなどの連続式混合器、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式などの各種混合機を用いて溶剤中に溶解、混合、撹拌することにより調製することができる。
実施形態の樹脂組成物が有機溶媒(C)を含む場合、本発明の効果の観点から、樹脂組成物100質量%中に、レゾール型フェノール樹脂(A)を好ましくは10質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは15質量%以上60質量%以下の量で含むことができる。
実施形態の樹脂組成物が有機溶媒(C)を含む場合、本発明の効果の観点から、樹脂組成物100質量%中に、球状フェノール樹脂硬化物(B)を好ましくは6質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上25質量%以下の量で含むことができる。
<プリプレグ>
本実施形態のプリプレグは、樹脂組成物中に繊維基材を含むように構成される。プリプレグは、上記樹脂組成物を繊維基材に含浸してなるものである。
例えば、プリプレグは、樹脂組成物を繊維基材に含浸させ、その後、半硬化させて得られるシート状の材料として利用できる。
本実施形態において、樹脂組成物を繊維織布に含浸させる方法としては、特に限定されないが、例えば、ワニス状の樹脂組成物を調製し、繊維織布を前記樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターにより上記樹脂ワニスを繊維織布に塗布する方法、スプレーにより上記樹脂ワニスを繊維織布に吹き付ける方法、樹脂組成物からなる上記樹脂膜で繊維織布の両面をラミネートする方法等が挙げられる。
前記繊維織布を構成する繊維としては、例えば、炭素繊維;ガラス繊維;アルミニウム繊維やステンレス繊維などの金属繊維;アラミド繊維やPBO繊維などの有機繊維;シリコンカーバイト繊維などの無機繊維等が挙げられ、炭素繊維が好ましく用いられる。
前記繊維織布の厚みは、とくに限定されないが、好ましくは5μm以上150μm以下であり、より好ましくは10μm以上100μm以下であり、さらに好ましくは12μm以上90μm以下である。このような厚みを有する繊維織布を用いることにより、プリプレグ製造時のハンドリング性がさらに向上する。
<硬化体>
本実施形態の硬化体は、前記プリプレグを所定の温度で硬化することにより得ることができる。
本実施形態の硬化体は、レゾール型フェノール樹脂(A)の硬化物(A1)と、球状フェノール樹脂硬化物(B)とを含み、前記硬化体中において、硬化物(A1)と球状フェノール樹脂硬化物(B)との界面が消失していることが好ましい。これにより硬化体に可撓性が付与され、より機械的強度に優れる。
<樹脂基板、その用途>
本実施形態の樹脂基板はプリプレグの硬化体を含む。当該硬化体に他の樹脂層や金属層が積層されていてもよい
本実施形態においては、前記プリプレグの硬化体(樹脂基板)または前記プリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の硬化体(樹脂基板)から繊維強化プラスチック(FRP)を得ることができる。
さらに、本実施形態においては、繊維織布が炭素繊維織布であることがより好ましく、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を得ることができる。
本実施形態の繊維強化プラスチック(FRP)は、強度が高く製品信頼性に優れ、外観にも優れており、さらに耐熱、難燃性等にも優れることから、これらの特性が求められる車両や航空機等の部材、日用品、宇宙用部品、建築部材、スポーツ用品、医療用筐体、産業機械の部品などに用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(製造例1)
まず、フェノール類であるフェノール1000質量部、アルデヒド類である37%ホルムアルデヒド水溶液1120質量部、親水性高分子である2%ヒドロキシエチルセルロース水溶液200質量部、親水性溶媒であるエチレングリコール41質量部及び純水235質量部を混合液の原料成分として準備した。次いで、上記原料成分を反応容器に投入し、均一に混合することで混合液を作製した。次いで、フェノールと、ホルムアルデヒドとを反応させるために、混合液に、温度40℃で塩基性触媒である33%トリエチレンテトラミン水溶液270質量部を60分間で逐次添加し、次いで、混合液を温度60℃に昇温して1時間反応させ、次いで、混合液を温度95℃に昇温し6時間反応させた。なお、フェノールと、ホルムアルデヒドとの反応は、混合液を撹拌しながら行った。これにより、フェノール及びホルムアルデヒドの懸濁粒子を作製した。
次いで、得られた懸濁粒子を熱風循環式箱型乾燥機にて110℃、16時間乾燥を行い、乾燥粒子を得た。これをさらに乾式粉砕機(ホソカワミクロン社製AP-1)で解砕を行い、球状フェノール樹脂硬化物Bを得た。
[実施例1]
(プリプレグ、CFRPの作製)
フラスコ中で、レゾール樹脂A(住友ベークライト株式会社製レゾール型固形フェノール樹脂PR―53529) 40質量部をメチルエチルケトン(MEK)40質量部に添加し、オイルバスで80℃に加熱しながら撹拌して溶解させた。その後、球状フェノール樹脂硬化物B 20質量部を加え、撹拌機で30分程撹拌して分散させ、樹脂組成物(ワニス)を調合した。レゾールA重量100に対して球状フェノール樹脂硬化物Bの重量が50の割合、ワニス100質量%には、球状フェノール樹脂硬化物Aが20質量%含まれていた。
作製したワニス中に炭素繊維織物(東レ株式会社製CO6343または帝人株式会社製W3101)を1分含浸させた後、20分間風乾した。熱風乾燥機で90℃3分間乾燥した後、空冷してプリプレグを得た。
プリプレグを15cm角に裁断し、10枚重ね、150℃、1時間、面圧5kgfの条件で、プレス機でプレスすることでCFRPを作製した。
得られたCFRPは熱風乾燥機でアフターベーキングした。アフターベーキングは、130℃1時間、150℃1時間、170℃2時間、190℃4時間の多段階で行った。
得られたCFRPの表面を触診し平滑性を確認した。また、表面と断面を光学顕微鏡で観察しボイドの有無を確かめた。光学顕微鏡写真を図1に示す。
SEM観察したところ、レゾール樹脂Aの硬化物と球状フェノール樹脂硬化物Aとの界面が消失していた。
[実施例2]
球状フェノール樹脂硬化物Bを35質量部、球状フェノール樹脂硬化物Bを30質量部、メチルエチルケトンを35質量部とした以外は実施例1と同様にしてワニスを調合した。レゾールA重量100に対して球状フェノール樹脂硬化物Bの重量が85.7の割合、ワニス100質量%には、球状フェノール樹脂硬化物Bが30質量%含まれていた。得られたワニスを用いて、実施例1と同様にしてプリプレグ、CFRPを作製した。
[実施例3]
レゾール樹脂Aを90質量部とし、メチルエチルケトンを90質量部とした以外は実施例1と同様にしてワニスを調合した。レゾールA重量100に対して球状フェノール樹脂硬化物Bの重量が22の割合、ワニス100質量%には、球状フェノール樹脂硬化物Bが10質量%含まれていた。得られたワニスを用いて、実施例1と同様にしてプリプレグ、CFRPを作製した。
[比較例1]
球状フェノール樹脂硬化物Bを用いず(0質量部)、レゾール樹脂Aを50質量部とし、メチルエチルケトンを50質量部とした以外は実施例1と同様にしてワニスを調合した。得られたワニスを用いて、実施例1と同様にしてプリプレグ、CFRPを作製した。
[比較例2]
レゾール樹脂Aを20質量部とし、球状フェノール樹脂硬化物Bを40質量部とした以外は実施例1と同様にしてワニスを調合した。レゾールA重量100に対して球状フェノール樹脂硬化物Bの重量が200の割合、ワニス100質量%には、球状フェノール樹脂硬化物Bが40質量%含まれていた。得られたワニスを用いて、実施例1と同様にしてプリプレグを調製したが、CFRPを成型することができなかった。
[評価方法]
・平滑性
得られたCFRPの表面を手指で触診し、以下の基準で平滑性を評価した。
〇:凹凸が感じられなかった。
△:若干の凹凸を感じた。
×:明らかに凹凸を感じた。
レゾール樹脂がCFRPの表面に十分残っていれば平滑であると考えられる。レゾール樹脂が抜けた場合、CFRPの表面に基材由来の凹凸が現れると考えられる。
・ボイド、クラックの有無(断面観察)
CFRPの中心部分を切り出した。中心の断面が上方向を向くようにCFRPを固定して光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡で観察し、ボイドやクラックの有無を以下の基準で評価した。
〇:ボイドやクラックが確認されなかった。
×:ボイドやクラックが確認された。
・樹脂率(RC)測定
CFRPの重量を測定し、W(g)とする。次にCFRPの寸法をノギス、デジタルマイクロメーターを用いて計測する。積層させたプリプレグの面内方向のCFRP面積をS(mm)とする。炭素繊維織物の比重は約2.0×10―4g/mmである。
RC(%)は次式で算出した。
Figure 2023135906000003
・成形物の厚み測定
厚みはデジタルマイクロメーターを使用して測定する。CFRP面内の中心部及び端部の計3ヶ所で測定し、それぞれの平均値で表す。
・曲げ強度
曲げ強度は3点曲げ試験で試験する。得られたCFRPに対し、長さL=100.0mm、幅W=15.0mmの板状体を切り出し、曲げ試験片とした。この試験片について、支点間距離80mm、クロスヘッド5mm/minの速度で曲げ荷重を加え、破壊直前の最大荷重を求めることによって、厚み方向の曲げ強度(MPa)を測定した。
Figure 2023135906000004
図1に示すように、球状フェノール樹脂硬化物Bを適切な量で配合した実施例1のCFRPは、球状フェノール樹脂硬化物Bを含まない比較例1のCFRPと比較して断面および表面のボイドが少なく、かつ基材由来の表面凹凸が樹脂でコートされ、表面が平滑なCFRPが得られた。
図2に示すように、球状フェノール樹脂硬化物Bの割合を増やすことで曲線の傾きが増し、剛性が高くなった。
表1に示すように、曲げ強度は実施例と比較例1を比較してほぼ同程度の強度であった。実施例2の曲げ強度が少し低いのは、成形物の厚みが増したことによる影響であり、それは成形物の樹脂率が向上したことによる影響である。
以上のように、本発明の樹脂組成物によれば、ボイドの発生が抑制されており、強度が十分に高く製品信頼性に優れるとともに、さらに成形体表面が平滑であり外観に優れた硬化物が得られることが明らかになった。

Claims (10)

  1. 繊維織布に含侵させる樹脂組成物であって、
    (A)レゾール型フェノール樹脂と、
    (B)球状フェノール樹脂硬化物と、
    を含み、
    レゾール型フェノール樹脂(A)100質量部に対して、球状フェノール樹脂硬化物(B)を10質量部以上95質量部以下の量で含む、樹脂組成物。
  2. 球状フェノール樹脂硬化物(B)はレゾール樹脂の硬化物である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. さらに有機溶媒(C)を含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記樹脂組成物100質量%中に、球状フェノール樹脂硬化物(B)を6質量%以上30質量%以下の量で含む、請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 有機溶媒(C)は、アルコール類、ケトン類、グリコールエーテル類、グリコールエステル類からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項3に記載の樹脂組成物。
  6. 繊維織布に、請求項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物を含浸してなるプリプレグ。
  7. 請求項6に記載のプリプレグの硬化体。
  8. レゾール型フェノール樹脂(A)の硬化物(A1)と、球状フェノール樹脂硬化物(B)とを含み、
    前記硬化体中において、硬化物(A1)と球状フェノール樹脂硬化物(B)との界面が消失している、請求項7に記載の硬化体。
  9. 請求項7または8に記載のプリプレグの硬化体を含む樹脂基板。
  10. 繊維織布が炭素繊維織布であり、請求項7または8に記載のプリプレグの硬化体または請求項6に記載のプリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の硬化体からなる炭素繊維強化プラスチック。
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