JP2023135652A - ブロック共重合体並びに該ブロック共重合体を含有する樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents

ブロック共重合体並びに該ブロック共重合体を含有する樹脂組成物及び硬化物 Download PDF

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裕太 松岡
Yuta Matsuoka
圭史 武田
Keiji Takeda
敬 助川
Takashi Sukegawa
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Abstract

【課題】本発明は、金属箔(特に、例えば、銅箔)との接着性、及び/又は有機絶縁層の熱硬化性樹脂(特に、例えば、ポリイミド系樹脂)との接着性を維持しつつ、低誘電率、低誘電正接化及び高強度な硬化物が得られる変性ブロック共重合体を提供することを目的とする。【解決手段】ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)及び共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)を有する共重合体であって、0.01質量%以上の極性基を含有し、<条件(i)>前記変性ブロック共重合体中のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)の合計量が35質量%以上であり、<条件(ii)>Co、Ti、Ni及びLiの合計含有量が90ppm以下であり、<条件(iii)>重量平均分子量が3.5万~11.5万である、変性ブロック共重合体。【選択図】なし

Description

本発明は、ブロック共重合体並びに該ブロック共重合体を含有する樹脂組成物及び硬化物に関する。
近年、情報ネットワーク技術の著しい進歩又は情報ネットワークを活用したサービスの拡大に伴い、電子機器には情報量の大容量化、及び処理速度の高速化が求められている。これらの要求に応えるため、プリント基板やフレキシブル基板等の基板用材料には、誘電損失の小さい材料が求められている。このような材料について、誘電損失低下のため低誘電率及び/又は低誘電正接であり、強度、耐熱性等の機械物性を満たすエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂やポリフェニレンエーテル系樹脂等の熱可塑性樹脂を主成分とした樹脂硬化物が検討されている。しかしながら、このような樹脂硬化物は、低誘電率及び低誘電正接の面では改良の余地があり、情報量及び処理速度が限定されることがある。
そこで、この課題を改良する目的でゴム成分を前述の樹脂組成物に添加及びゴム成分を主成分とする硬化物が数多く提案されているが、ゴム成分の添加による低誘電率及び低誘電正接化に伴って、基板として使用される金属箔、特に銅箔との接着性低下、強度低下が課題となっている。
また、フレキシブルプリント基板においては、熱硬化性樹脂及び/又は金属箔との接着に、通常、接着剤が使用される。該接着剤には有機絶縁層の熱硬化性樹脂及び/又は基板導体部の金属箔との強接着性を維持しつつ、前述の情報量の大容量化、処理速度の高速化に伴い、基板材料と同様に低誘電率及び低誘電正接化、高強度化が課題となっている。
例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂組成物の低誘電正接化、低誘電率化及び金属箔及び/又は熱硬化性樹脂との接着性向上のためにカルボキシル基を含有するアクリロニトリルブタジエンゴムを少なくとも含むエラストマーが開示されている。
国際公開第2008/136096号
しかしながら、特許文献1に開示されている樹脂組成物は、未だ低誘電正接及び低誘電率化が十分ではなく、改質剤の添加により硬化物の強度や、金属箔及び/又は熱硬化性樹脂との接着性が低下するという課題を有している。
そこで、本発明は、上述した事情に鑑み、金属箔(特に、例えば、銅箔)との接着性、及び/又は有機絶縁層の熱硬化性樹脂(特に、例えば、ポリイミド系樹脂)との接着性を維持しつつ、低誘電率、低誘電正接化及び高強度な硬化物が得られる変性ブロック共重合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定の構造及び極性基を含有し、所定の条件を満たす変性ブロック共重合体が、金属箔及び/又は熱硬化性樹脂との接着性に優れ、硬化物において強度を維持しつつ低誘電率及び低誘電正接化の点で優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)及び共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)を有する共重合体であって、
0.01質量%以上の極性基を含有し、
下記の条件(i)~(iii)を満たす変性ブロック共重合体;
<条件(i)>
前記変性ブロック共重合体中のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)の合計量が35質量%以上である、
<条件(ii)>
Co、Ti、Ni及びLiの合計含有量が90ppm以下である、
<条件(iii)>
重量平均分子量が3.5万~11.5万である。
[2]
前記変性ブロック共重合体が水素添加されている[1]に記載の変性ブロック共重合体。
[3]
前記重合体ブロック(B)中の、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の量を100%とした場合に、前記単位(a)が水素添加されたアルケニル単量体単位(a1)の量が、80%以上である[1]又は[2]に記載の変性ブロック共重合体。
[4]
前記重合体ブロック(B)が、前記アルケニル単量体単位(a1)と、1,4-結合に由来する単位(b)が水素添加されたアルケニル単量体単位(b1)とを含み、
前記重合体ブロック(B)の総含有量を100%としたとき、前記アルケニル単量体単位(a1)と、前記アルケニル単量体単位(b1)との総含有量が、90%以上である[3]に記載の変性ブロック共重合体。
[5]
前記極性基が前記重合体ブロック(B)に結合している[1]~[4]のいずれかに記載の変性ブロック共重合体。
[6]
前記極性基が、カルボキシル基、ジカルボキシル基及び酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種である[1]~[5]のいずれかに記載のブロック共重合体。
[7]
成分(I):[1]~[6]のいずれかに記載の変性ブロック共重合体と、下記成分(II)~(IV)からなる群より選ばれる少なくとも一種とを含む樹脂組成物;
成分(II):ラジカル開始剤、
成分(III)極性樹脂(ただし、成分(I)を除く)、
成分(IV)硬化剤(ただし、成分(II)を除く)。
[8]
前記成分(III)が、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、液晶ポリエステル系樹脂及びフッ素系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である[7]に記載の樹脂組成物。
[9]
前記成分(III)がエポキシ系樹脂である[7]又は[8]に記載の樹脂組成物。
[10]
[1]~[6]のいずれかに記載の変性ブロック共重合体を含む硬化物。
[11]
[1]~[6]のいずれかに記載の変性ブロック共重合体を含む接着剤。
[12]
[7]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物。
[13]
[7]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む接着剤。
[14]
[7]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む樹脂フィルム。
[15]
基材と、[7]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物との複合体であるプリプレグ。
[16]
前記基材がガラスクロスである[15]に記載のプリプレグ。
[17]
[7]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物、及び/又は、[15]又は[16]に記載のプリプレグと、
金属箔及び/又は熱硬化性樹脂と、
を積層した積層体。
[18]
前記金属箔が銅箔であり、前記熱硬化性樹脂がポリイミド系樹脂である[17]に記載の積層体。
[19]
[7]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物、及び/又は、[15]又は[16]に記載のプリプレグの硬化物と、
金属箔と、
を積層した積層体。
[20]
[10]又は[12]に記載の硬化物を含むプリント配線板。
本発明の変性ブロック共重合体によれば、金属箔との接着性や、有機絶縁層を構成する熱硬化性樹脂との接着性に優れ、高強度、低誘電率及び低誘電正接である硬化物が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではなく、本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
(1)変性ブロック共重合体
本実施形態の変性ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)及び共役ジエン化合物を主とする重合体ブロック(B)を有する共重合体であって、0.01質量%以上の極性基を含有し、
下記の条件(i)~(iii)を満たす。
<条件(i)>
前記変性ブロック共重合体中のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)の合計量が35質量%以上である。
<条件(ii)>
Co、Ti、Ni及びLiの合計含有量が90ppm以下である。
<条件(iii)>
重量平均分子量が3.5万~11.5万である。
本実施形態の変性ブロック共重合体は、このような特徴を有することにより、金属箔及び/又は熱硬化性樹脂との接着性に優れ、硬化物において強度を維持しつつ低誘電率及び低誘電正接化の点で優れている。
共役ジエン化合物は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。
共役ジエン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-シクロヘキサジエン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは1,3-ブタジエン、イソプレンであり、より好ましくは1,3-ブタジエンである。1,3-ブタジエンやイソプレンは、汎用されており入手が容易である他、コストの点でも有利であり、ビニル芳香族化合物として汎用されるスチレンとの共重合も容易である。
これらは一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前述の共役ジエン化合物としてはバイオ由来の化合物であってもよい。
本明細書における共役ジエン化合物単位とは、共役ジエン化合物が重合して生成する重合体中の当該共役ジエン化合物に由来する構成単位を指す。
ビニル芳香族化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルエチレン、N,N-ジメチル-p-アミノエチルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン等が挙げられる。
これらは一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書におけるビニル芳香族化合物単位とは、ビニル芳香族化合物が重合して生成する重合体中の当該ビニル芳香族化合物に由来する構成単位を指す。
本実施形態の変性ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロック(A)及び共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロック(B)を有する変性ブロック共重合体である。
本実施形態の変性ブロック共重合体(以下「成分(I)」とも記す)を構成する重合体ブロック(A)は、ビニル芳香族化合物を主体とする。
ここで、「主体とする」とは、ビニル芳香族化合物単位が、重合体ブロック(A)の全質量に対して70質量%以上であることを指す。
重合体ブロック(A)におけるビニル芳香族化合物単位の含有量は、重合体ブロック(A)の全質量に対し、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%(他のモノマーは、意図的に添加されていない)である。
成分(I)を構成する重合体ブロック(B)は、共役ジエン化合物を主体とする。
ここで、「主体とする」とは、共役ジエン化合物単位が、重合体ブロック(B)の全質量に対し、硬化性の観点から70質量%以上であることを指す。
重合体ブロック(B)における共役ジエン化合物単位の含有量は、重合体ブロック(B)の全質量に対し、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。共役ジエン化合物単位を含む重合体ブロックがビニル芳香族化合物単位も含む場合、共役ジエン化合物単位が70質量%以上であれば重合体ブロック(B)と分類し、70質量%未満であれば重合体ブロック(C)と分類する。
成分(I)中の重合体ブロック(A)の含有量は、水素添加前のブロック共重合体や水素添加後の水添ブロック共重合体を検体として、核磁気共鳴装置(NMR)を用いた方法(Y.Tanaka,et al.,RUBBER CHEMISTRY and TECHNOLOGY 54,685(1981)に記載の方法。以後「NMR法」と呼ぶ。)で測定できる。
成分(I)は、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)を基本骨格とし、これら基本骨格が繰り返し構造を有するブロック共重合体であってもよい。
また、本実施形態の変性ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物及び共役ジエン化合物の共重合体から成る重合体ブロック(C)を有していてもよい。
前記重合体ブロック(C)に含まれるビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を形成するために用いるビニル芳香族化合物、及び共役ジエン化合物は、前記重合体ブロック(A)、及び重合体ブロック(B)に用いることができる化合物であればよい。
前記重合体ブロック(C)におけるビニル芳香族単量体単位の分布状態に関しては特に限定は無く、(c)ランダム共重合体ブロック中のビニル芳香族単量体単位が均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。また、ビニル芳香族単量体単位が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよく、ビニル芳香族単量体単位の含有量が異なるセグメントが複数個存在していてもよい。
本実施形態の変性ブロック重合体においては、共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物と共重合可能な他の化合物を用いることもできる。
本実施形態の変性ブロック共重合体の構造は特に限定されるものではないが、例えば、下記式で表されるような構造を有するものが挙げられる。
(a-b)n、b-(a-b)n、a-(b-a)n、(a-b)m-X、(b-a)m-X、[(a-b)n]m-X、[(b-a)n]m-X、[b-(a-b)n]m-X、[a-(b-a)n]m-X、[(a-b)n-a]m-X、[(b-a)n-b]m-X、
c-(b-a)n、c-(a-b)n、
c-(a-b-a)n、c-(b-a-b)n、
a-c-(b-a)n、a-c-(a-b)n、
a-c-(b-a)n-b、[(a-b-c)n]m-X、
[a-(b-c)n]m-X、[(a-b)n-c]m-X、
[(a-b-a)n-c]m-X、
[(b-a-b)n-c]m-X、[(c-b-a)n]m-X、
[c-(b-a)n]m-X、[c-(a-b-a)n]m-X、[c-(b-a-b)n]m-X
a-(b-c)n、a-(c-b)n、
a-(c-b-c)n、a-(b-c-b)n、
c-a-(b-c)n、c-a-(c-b)n、
c-a-(b-c)n-b、[(c-b-a)n]m-X、
[c-(b-a)n]m-X、[(c-b)n-a]m-X、
[(c-b-c)n-a]m-X、
[(b-c-b)n-a]m-X、[(a-b-c)n]m-X、
[a-(b-c)n]m-X、[a-(c-b-c)n]m-X、[a-(b-c-b)n]m-X
b-(a-c)n、b-(c-a)n、
b-(c-a-c)n、b-(a-c-a)n、
c-b-(a-c)n、c-b-(c-a)n、
c-b-(a-c)n-a、[(c-a-b)n]m-X、
[c-(a-b)n]m-X、[(c-a)n-b]m-X、
[(c-a-c)n-b]m-X、
[(b-c-b)n-b]m-X、[(b-a-c)n]m-X、
[b-(a-c)n]m-X、[b-(c-a-c)n]m-X、[b-(a-c-a)n]m-X
なお、上記各一般式において、aは、前記重合体ブロック(A)、bは、前記重合体ブロック(B)、cは、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロック(重合体ブロック(C))を示す。
nは1以上の整数であり、好ましくは1~5の整数である。
mは2以上の整数であり、好ましくは2~11の整数である。
Xはカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を示す。
本実施形態の変性ブロック共重合体は、0.01質量%以上の極性基を含有する変性ブロック共重合体である。本実施形態の変性ブロック共重合体は、極性基を0.01質量%以上含有することで金属箔及び熱硬化性樹脂との優れた接着性が得られる。また、後述する成分(II)、成分(III)及び成分(IV)は極性基を有することが知られている。本実施形態の変性ブロック共重合体が0.01質量%以上極性基を含有することで成分(II)、成分(III)及び成分(IV)との相溶性が向上し、本実施形態の変性ブロック共重合体を含む硬化物の強度が向上し、誘電正接及び誘電率が良化する。
「極性基」とは、共有結合している原子間に電荷の偏りが存在する原子団である。
炭素-酸素、炭素-窒素、炭素-ハロゲン、酸素-水素、窒素-水素、ケイ素-水素のような異種原子間の共有結合においては、原子ごとの電気陰性度の違いから電荷の偏りが生じるため、一般的には、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン等のヘテロ原子を含む原子団が極性を示す。
本実施形態の変性ブロック共重合体において、結合した極性基の付加量(含有量)は、前述の金属箔及び熱硬化性樹脂への接着性の観点から、好ましくは0.01質量%~10質量%であり、より好ましくは0.01質量%~8.0質量%、さらに好ましくは0.05質量%~6.0質量%、さらにより好ましくは0.05質量%~5.0質量%、よりさらに好ましくは0.05質量%~4質量%である。
本発明者らの知見によると、極性基の付加量が10質量%以下であることは、変性ブロック共重合体を含む組成物、硬化物、金属箔との多層体の性能を向上させ、また、10質量%以下の変性ブロック共重合体の作製を試みる際、変性時に架橋等の副反応を抑制できる。
変性工程における副反応やゲルの発生を抑制する観点で、極性基の付加量を10質量%以下にするのが好ましい。副生物及び/又はゲルの抑制により、後述する成分(II)、成分(III)及び成分(IV)と混合して樹脂組成物、硬化物、金属箔との多層体とした場合に十分な強度を示しやすい、傾向にある。
前記「極性基」としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボン酸基、チオカルボン酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、ボロン酸基、ホウ素含有基、ボロン酸塩基、アルコキシスズ基、及びフェニルスズ基等からなる群より選ばれる官能基を少なくとも1種含有する原子団が挙げられる。
特に、極性基としては、酸無水物基、カルボキシル基、ジカルボキシル基及び酸無水物基、アミノ基からなる群より選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団が前述の金属箔との接着性の観点からより好ましく、保存安定性の観点からカルボキシル基、ジカルボキシル基及び酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがさらに好ましい。極性基の形成工程で、ブロック共重合体に酸無水物を結合させた場合、空気中の水分等と酸無水物が反応し、一部がカルボン酸基となって形成される可能性があるが、その量について特に限定されるものではない。すなわち、本明細書中、「酸無水物基、カルボン酸基、水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基」は、変性工程において、酸無水物基を極性基として付加した後、積極的に、又は意図せずして酸無水物が水和し、カルボン酸基や水酸基に変化する態様を包含する趣旨である。
本実施形態の変性ブロック共重合体において、極性基としてアミノ基を有する場合は、保存安定性の観点から、アミノ基の付加量は、0.01質量%~5質量%が好ましく、より好ましくは0.01質量%~1質量%、さらに好ましくは0.01質量%~0.8質量%、よりさらに好ましくは0.01質量%~0.5質量%である。
なお、本実施形態において、極性基の付加量(含有量)は後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
極性基は、ブロック共重合体の重合時の活性末端及び/又は重合後のビニル芳香族化合物及び/又は共役ジエン化合物と反応し得る化合物(以下、変性剤と記載する場合がある)を用いて形成できる。
変性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、4-メトキシベンゾフェノン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、ビス(γ-グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、N,N’-ジメチルプロピレンウレア、N-メチルピロリドン、マレイン酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸イミド、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジルメタクリル酸エステル、クロトン酸等が挙げられる。
本実施形態の変性ブロック共重合体が極性基を含有するようにする方法としては、公知の方法が適用でき、特に限定されるものではない。例えば、溶融混練方法や、各成分を溶媒等に溶解又は分散混合して反応させる方法等が挙げられる。また、アニオンリビング重合により、官能基を有する重合開始剤や官能基を有する不飽和単量体を用いて重合する方法、リビング末端に官能基を形成する方法、官能基を含有する変性剤を付加反応させる方法も適用できるが、溶融混練方法が好ましい。
本実施形態の変性ブロック共重合体に「極性基」を形成するその他の方法としては、特に限定されないが、例えば、ブロック共重合体に有機リチウム化合物等の有機アルカリ金属化合物を反応(メタレーション反応)させ、有機アルカリ金属が付加したブロック重合体に官能基を有する変性剤を付加反応させる方法も挙げられる。
本実施形態の変性ブロック共重合体は、極性基が重合体ブロック(B)に結合していることが好ましい。
極性基が重合体ブロック(B)に結合しているとは、重合体ブロック(B)に含まれる二重結合に、極性基が付加反応により結合した状態をいう。重合体ブロック(B)には、水添反応後も、共役ジエンに由来する二重結合が含まれるが、溶融混練工程において、極性基を有する化合物をブロック共重合体と混練する方法等を実施することによって、重合体ブロック(B)に極性基を含む変性ブロック共重合体が得られる。
重合体ブロック(B)がブロック共重合体の末端に存在する場合、官能基を有する重合開始剤を反応させたり、ブロック共重合体のリビング末端に官能基を含有する変性剤を反応させたりした場合も、重合体ブロック(B)が極性基を有するものとなるが、本実施形態においては、このような末端の共役ジエン化合物単位に極性基が結合した状態は含まれない。
「極性基」がブロック共重合体の重合体ブロック(B)に結合していることにより、前述の金属箔との接着性が向上するだけでなく、後述する成分(III)極性樹脂との相溶性が向上し、耐熱性に優れた樹脂組成物、硬化物、接着剤、金属箔との多層体、プリプレグが得られる傾向にある。
「極性基」が結合している位置を確認する方法としては、核磁気共鳴装置を用いて解析する方法や、重合体ブロック(B)の残存二重結合を適当な方法で分解し、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法等で測定する方法が挙げられる。
本実施形態の変性ブロック共重合体は、下記の条件(i)、(ii)及び(iii)を満たす。
<条件(i)>
前記変性ブロック共重合体中のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)の合計量が35質量%以上である。
ビニル芳香族化合物から成る重合体は非晶性であることが知られている。本実施形態の変性ブロック共重合体において、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)の合計量を35質量%以上とすることでビニル芳香族化合物が後述する樹脂組成物及び/又は硬化物中で凝集し、絡み合うため、前記ブロック共重合体を含む樹脂組成物及び該樹脂組成物から成る硬化物及び前記ブロック共重合体及び/又は前記ブロック共重合体を含む樹脂組成物及び/又は硬化物と金属箔の多層体及び/又はプリプレグの強度が向上し、誘電正接及び誘電率が良化する。また、溶解パラメーターの観点で共役ジエン化合物よりもビニル芳香族化合物は基材である金属箔及び熱硬化性樹脂との相互作用が強いため、本実施形態の変性ブロック共重合体において、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)の合計量を35質量%以上とすることで接着性が向上する。
前述の観点で本実施形態の変性ブロック共重合体中のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)の合計量としては35質量%以上が好ましく、前述の強度向上の観点からより好ましくは37質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、とりわけ好ましくは43質量%以上、特に好ましくは45質量%以上である。上限は特に限定されないが、極性基を0.01質量%以上含有させる観点から好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましく85質量%以下、とりわけ好ましくは80質量%以下、特に好ましくは75質量%以下である。
変性ブロック共重合体中のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)の合計量は、単量体の添加量、添加のタイミング、重合温度等の重合条件を調整することにより、上記数値範囲に制御することができ、後述の実施例に記載の方法で算出できる。
重合体ブロック(A)はビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックであるため、非晶性であることが知られている。共役ジエン化合物単位は、前記ブロック共重合体単独及び/又は後述する成分(III)、成分(IV)と反応し硬化する機能を有することが知られている。共役ジエン化合物単位が単独及び/又は成分(III)、成分(IV)と橋掛け構造を成し、硬化物が得られるが、ビニル芳香族化合物を主とする重合体ブロック(A)を有することで反応していないブロック共重合体同士の重合体ブロック(A)が密に絡みあうことで強度が向上する。
<条件(ii)>
本実施形態の変性ブロック共重合体中に含まれるCo、Ti、Ni及びLi合計含有量が90ppm以下である。当該含有量は質量比であり、すなわち質量ppmを意味する。本明細書において同様である。
後述するようなブロック共重合体の製造方法では、ブロック共重合体をアニオンリビング重合で製造する際の重合開始剤、後述の水素添加反応における水添触媒に含まれる金属原子を含む化合物、及び/又は重合の脱溶剤工程等で空気中の水分等と金属原子とが反応すること等により生成する化合物等が、ブロック共重合体中に残存する場合がある。上記条件(ii)はそのような化合物、特にTi、Ni、Li、Coを含む化合物の含有量の上限値を定めるものである。
そのようなTi、Ni、Li、Coを含む化合物としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、非晶性酸化チタン、オルトチタン酸やメタチタン酸、水酸化チタン、水酸化ニッケル、一酸化ニッケル、酸化リチウム、水酸化リチウム、酸化コバルト、水酸化コバルト等の各原子の酸化物、チタン酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ニッケル、ニッケル・鉄酸化物等の各原子と異種金属との複合酸化物等が挙げられる。
ここで、金属原子換算とは、一般に、上述の金属原子を含む化合物のブロック共重合体中の残存重量を、当該化合物の分子量を用いて金属原子当りの質量に換算した値である。なお、上記の金属原子を含む化合物が特定できる場合であれば上記の方法で算出してもよいが、多くの場合にはそのような特定は困難である。そのような場合は、ブロック共重合体の総量に対するTi、Ni、Li、及びCoの合計含有量の金属原子換算値は、後述の実施例に記載の方法で測定すればよい。すなわち、条件(ii)において、Ti、Ni、Li、及びCoの合計含有量の金属原子換算値は、ブロック共重合体をICP元素分析したときの当該金属原子の測定値の合計であってよい。
Ti、Ni、Li、Coのブロック共重合体に残存する量を金属原子換算(以下「金属量」とも記す)で90ppm以下にすることで、変性ブロック共重合体の熱安定性を維持し、前述の溶融混錬によりブロック共重合体に極性基を結合する際のゲル成分生成を抑制、及び後述する樹脂組成物のワニス状態での保存安定性を向上することができる。
該現象の詳細なメカニズムは不明であり、以下に限定されるものではないが、例えば以下のことが推察される。一般的にポリマーが高温下にさらされると炭素ラジカルが生成し、空気中の酸素とそれが反応することでヒドロペルオキシドが生成することが知られている。上述の金属化合物の存在下では、上記の状況において、レドックス反応によるフリーラジカルへの分解が促進され、及び/又は、水添ブロック共重合体自体と上述の金属化合物が反応し、フリーラジカルが生成する。また、上述の金属化合物由来の金属イオンと空気中の酸素間で電荷移動錯体及び/又は活性酸素を生成し、該活性種が水添ブロック共重合体と反応することで、炭素ラジカルが生成する。上述の金属量が多い場合、上述の反応機構に限定されるものではないが、上述の反応機構等により、ブロック共重合体中に炭素ラジカル及び/又はヒドロペルオキシド等の活性種が生成しやすくなる。そのような活性種が多く発生すると、水添ブロック共重合体同士の結合が生じやすくなると考えられ、ゲル成分量が増大し、金属箔との接着性、低誘電率化、低誘電正接化及び強度が悪化する。
また、電子材料用途において前記金属量が90ppm以下であると本実施形態の変性ブロック共重合体を含む樹脂組成物及び該樹脂組成物から成る硬化物、本実施形態の変性ブロック共重合体及び/又は本実施形態の変性ブロック共重合体を含む樹脂組成物及び/又は硬化物と金属箔との多層体、プリプレグにおける誘電率、誘電正接が向上するだけでなく、イオンマイグレーションを抑制することができる。
本実施形態の変性ブロック共重合体において、上記金属量は、好ましくは85ppm以下であり、より好ましくは80ppm以下であり、さらに好ましくは70ppm以下であり、特に好ましくは60ppm以下である。
上記金属量を90ppm以下とする方法としては、従来公知のものを適用でき、特に限定されるものではないが、例えば、ブロック共重合体の水素添加反応後に水と炭酸ガスを添加し、水素添加触媒残渣を中和する方法、及び水、炭酸ガスに加えて酸を添加し、水素添加触媒残渣を中和する方法が用いられるが、より具体的には、例えば、国際公開第2014/112411号(特願2014-557427号)に記載の方法が挙げられる。これら除去方法を使用しても、該金属化合物の水酸化物を含んだ水が水添ブロック共重合体の脱溶剤工程に混入し、金属が1~15ppm程度含まれることが一般的である。したがって、本実施形態の変性ブロック共重合体は、製造時において、添加金属量を、好ましくは20%除去し、より好ましくは30%除去し、さらに好ましくは40%除去し、特に好ましくは50%除去し、より特に好ましくは60%除去する。また、添加する重合開始剤及び水素添加触媒量を低減することでも可能であるが、重合開始剤量の低減を行うとブロック共重合体の分子量が高くなり、後述する好ましい分子量範囲外となることで、加工性が低下する傾向にある。また、水素添加反応における触媒量を低減すると、前述の好ましい水素添加率の範囲内とするために必要な水素添加反応時間が長時間化し、及び/又は水素添加反応温度の高温化が生じるため、生産性が著しく低下する傾向にある。
<条件(iii)>
本実施形態の変性ブロック共重合体は、重量平均分子量が3.5万~11.5万である。
変性ブロック共重合体の重量平均分子量は、後述の実施例に記載の方法で測定でき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定で得られるクロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)に基づいて求めた重量平均分子量(Mn)である。
本実施形態の変性ブロック共重合体は、重量平均分子量が3.5万以上であることで変性ブロック共重合体を含む硬化物、前記ブロック共重合体を含む樹脂組成物と金属箔との多層体における接着力が向上する。本実施形態の変性ブロック共重合体は、重量平均分子量を11.5万以下にすることで、ブロック共重合体に極性基を溶融混錬下で結合させる際にせん断発熱を抑制し、ゲル成分の発生を防ぐことで、変性ブロック共重合体を含む樹脂組成物から成る硬化物と金属箔との多層体における接着性、強度、誘電率及び誘電正接が向上する。
前述の観点で変性ブロック共重合体の重量平均分子量としては3.5万~11万が好ましく、より好ましくは3.5万~10万、さらに好ましくは3.5万~9.5万、とりわけ好ましくは3.5万~9万である。
分子量分布は重量平均分子量(Mw)と重量平均分子量(Mn)との比率Mw/Mnである。
本実施形態の変性ブロック共重合体のGPCで測定される単一ピークの分子量分布は、5.0以下であることが好ましく、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.0以下であり、さらにより好ましくは2.5以下である。
本実施形態の変性ブロック共重合体の重量平均分子量は、3.5万以上11.5万以下であることが好ましい。
本実施形態の変性ブロック共重合体中の前記重合体ブロック(B)は、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)と、1,4-結合に由来する単位(b)を含むことが好ましい。前記重合体ブロック(B)の総含有量を100%とした場合に、前記1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量は、前述の硬化時のブロック共重合体同士及び/又は後述する成分(III)、成分(IV)との反応性の観点から10~95%が好ましく、より好ましくは15~90%、さらに好ましくは20~85%、特に好ましくは25~80%以下である。
前記単位(a)の含有量は、重合時に極性化合物等の調整剤の使用により制御でき、後述の実施例に記載の方法で算出できる。
調整剤としては、特に限定されないが、例えば、第3級アミン化合物又はエーテル化合物が挙げられ、第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
第3級アミン化合物は、一般式R1R2R3N(ただしR1、R2、R3は炭素数1から20の炭化水素基または第3級アミノ基を有する炭化水素基である)の化合物である。
第3級アミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-エチルピペリジン、N-メチルピロリジン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミン、1,2-ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’-ジオクチル-p-フェニレンジアミン等が挙げられる。
調整剤の量は、後述する重合開始剤1molに対して0.1mol以上が好ましく、さらに好ましくは0.5mol以上、より好ましくは1.0mol以上である。
本実施形態の変性ブロック共重合体は、水素添加されていることが好ましい。また、本実施形態の変性ブロック共重合体は、重合体ブロック(B)中の、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の量を100%とした場合に、前記単位(a)が水素添加されたアルケニル単量体単位(a1)の量が、80%以上であることが好ましい。変性ブロック共重合体が水素添加されていることで後述する樹脂組成物の硬化前のワニス状態での保存安定性が向上する傾向にあり、単位(a1)の量(以下「ビニル水添率」とも記す)が80%以上であることで保存安定性がより一層向上する傾向にある。ビニル水添率としては、さらに好ましくは83%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは87%以上である。また、前述の観点で、重合体ブロック(B)が、アルケニル単量体単位(a1)と、1,4-結合に由来する単位(b)が水素添加されたアルケニル単量体単位(b1)とを含み、重合体ブロック(B)の総含有量を100%としたとき、アルケニル単量体単位(a1)と、アルケニル単量体単位(b1)との総含有量(以下「Total水素添加率」とも記す)が、90%以上であることが好ましく、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは93%以上、特に好ましくは94%以上である。
ブロック共重合体を水素添加する方法としては、特に制限されず、従来から公知の方法を適用できる。
水添触媒としては、特に限定されないが、例えば、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニュウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒、が用いられる。
水添触媒としては、具体的には、特に限定されないが、例えば、特公昭42-8704号公報、特公昭43-6636号公報、特公昭63-4841号公報、特公平1-37970号公報、特公平1-53851号公報、特公平2-9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。
好ましい水添触媒としては、チタノセン化合物及び/又は還元性有機金属化合物が挙げられる。
チタノセン化合物としては、特に限定されないが、例えば、特開平8-109219号公報に記載された化合物が使用できる。チタノセン化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格、又はフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物が挙げられる。チタノセン化合物は、上記の骨格を1種単独又は2種組み合わせて含んでいてもよい。
還元性有機金属化合物としては、特に限定されないが、例えば、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、及び有機亜鉛化合物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水素添加方法における、反応温度、反応時間、水素供給量、触媒量等を適時調整することにより、水素添加率を制御することができる。水素添加反応時の温度は55~200℃で行うことが好ましく、より好ましくは60~170℃、さらに好ましくは65℃~160℃である。水添反応に使用される水素の圧力は、好ましくは0.1~15MPa、より好ましくは0.2~10MPa、さらに好ましくは0.3~5MPaである。水添反応時間は好ましくは3分~10時間、より好ましくは10分~5時間である。
水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
(2) 変性ブロック共重合体の製造方法
ブロック共重合体(I)は、特に限定されないが、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の重合開始剤を用いてリビングアニオン重合により得られる。
炭化水素溶媒としては、特に限定されないが、例えば、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;等が挙げられる。
重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、一般的に共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等の有機アルカリ金属化合物が挙げられる。アルカリ金属としては、特に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
有機アルカリ金属化合物としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1~20の脂肪族及び芳香族炭化水素リチウム化合物が挙げられ、1分子中に1個のリチウムを含む化合物、1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が含まれる。
有機アルカリ金属化合物としては、具体的には、特に限定されないが、例えば、n-プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、n-ペンチルリチウム、n-ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec-ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec-ブチルリチウムと少量の1,3-ブタジエンの反応生成物等が挙げられる。さらに、特に限定されないが、例えば、米国特許5,708,092号明細書に開示されている1-(t-ブトキシ)プロピルリチウム及びその溶解性改善のために1~数分子のイソプレンモノマーを挿入したリチウム化合物、英国特許2,241,239号明細書に開示されている1-(t-ブチルジメチルシロキシ)ヘキシルリチウム等のシロキシ基含有アルキルリチウム、米国特許5,527,753号明細書に開示されているアミノ基含有アルキルリチウム、ジイソプロピルアミドリチウムおよびヘキサメチルジシラジドリチウム等のアミノリチウム類も使用することができる。
重合開始剤として有機アルカリ金属化合物を用いて、ビニル芳香族化合物及び共役ジエン重合体を重合する方法としては、従来公知の方法を適用できる。
重合の方法としては、特に限定されないが、例えば、バッチ重合、連続重合、あるいはこれらの組み合わせのいずれであってもよい。特に、耐熱性に優れた共重合体を得るためにはバッチ重合が好適である。重合温度は、0℃~180℃が好ましく、30℃~150℃がより好ましい。重合時間は条件によって異なるが、好ましくは48時間以内であり、より好ましくは0.1~10時間である。また、重合系の雰囲気としては、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気が好ましい。重合圧力は、上記温度範囲においてモノマー及び溶媒を液相に維持することができる圧力範囲に設定すればよく、特に限定されるものではない。さらに、重合系内は触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば、水、酸素、炭酸ガス等が混入しないように留意することが好ましい。
また、上記重合工程の終了時に、2官能以上のカップリング剤を必要量添加してカップリング反応を行ってもよいが、カップリング率は40%以下が好ましく、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下、とりわけカップリング剤を含まないことが好ましい。
2官能カップリング剤としては、従来公知のものを適用でき、特に限定されるものではない。
2官能カップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、ジクロロジエトキシシラン、トリクロロメトキシシラン、トリクロロエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、ジクロロエタン、ジブロモエタン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。
また、3官能以上の多官能カップリング剤としては、従来公知のものを適用でき、特に限定されるものではない。3官能以上の多官能カップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA、1,3-ビス(N-N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の多価エポキシ化合物、一般式R4-nSiXn(ここで、Rは炭素数1~20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3~4の整数を示す)で表されるハロゲン化珪素化合物、例えば、メチルシリルトリクロリド、t-ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素及びこれらの臭素化物等、一般式R4-nSnXn(ここで、Rは炭素数1~20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3~4の整数を示す)で表されるハロゲン化錫化合物、例えば、メチル錫トリクロリド、t-ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物が挙げられる。また、炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等を使用してもよい。
上記のようにして得られたブロック共重合体(I)の溶液は、必要に応じて触媒残査を除去し、ブロック共重合体(I)を溶液から分離することができる。ブロック共重合体をアニオンリビング重合で製造する際の重合開始剤、前述した水素添加反応における水添触媒に含まれる該金属原子を含む化合物および/または重合の脱溶剤工程等で空気中の水分等と反応し、後述する該金属を含む化合物を生成し、成分(I)変性ブロック共重合体中に残存する傾向にある。これら化合物が硬化物中に含まれると誘電率及び誘電正接が増大及び/又は電子材料用途においてはイオンマイグレーションが生じやすい傾向にある。残存金属化合物は、前述の重合開始剤、水素添加を行う場合は水素添加初期倍に含まれる該金属、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、非晶性酸化チタン、オルトチタン酸やメタチタン酸、水酸化チタン、水酸化ニッケル、一酸化ニッケル、酸化リチウム、水酸化リチウム、酸化コバルト、水酸化コバルト等の各原子の酸化物、チタン酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ニッケル、ニッケル・鉄酸化物等の各原子と異種金属との複合酸化物を挙げることができる。
((3)樹脂組成物)
本実施形態の樹脂組成物は、前述の成分(I)変性ブロック共重合体と、下記成分(II)~(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含む。
成分(II):ラジカル開始剤。
成分(III)極性樹脂(成分(I)を除く)。
成分(IV)硬化剤(成分(II)を除く)をさらに含む樹脂組成物。
樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる硬化物の低誘電率化、低誘電正接化及び/又は柔軟性の観点から、
成分(I):前記ブロック共重合体
成分(II):ラジカル開始剤からなる樹脂組成物及び該樹脂組成物の硬化物が好ましい。
ラジカル開始剤としては従来公知のものが使用でき、特に限定されないが、例えば;熱ラジカル開始剤として、ジイソピルベンゼンハイドロパーオキサイド(パークミルP)、クメンハイドロパーオキサイド(パークミルH)、t-ブチルハイドロパーオキサイド(パーブチルH)等のハイドロパーオキサイド類や、α,α―ビス(t-ブチルペルオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン(パーブチルP)、ジクミルパーオキサイド(パークミルD)、2,5-ジメチル―2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B)、t-ブチルクミルパーオキサイド(パ―ブチルC)、ジ―t-ブチルパーオキサイド(パーブチルD)、2,5-ジメチル―2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン―3(パーヘキシン25B)、t-ブチルパーオキシ―2―エチルヘキサノエート(パーブチルO)等のジアルキルパーオキサイド類や、ケトンパーオキサイド類や、n-ブチル4,4-ジ―(t-ブチルパーオキシ)バレレート(パーヘキサV)等のパーオキシケタール等や、ジアシルパーオキサイド類や、パーオキシジカーボネート類や、パーオキシエステル等の有機過酸化物や、2,2―アゾビスイソブチルニトリル、1,1‘-(シクロヘキサン―1-1カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2‘-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等を挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよく2種以上を使用してもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、その硬化物の誘電性能を損なわない範囲で耐熱性、基板との接着性等の性能を付与する目的で成分(III)極性樹脂(成分(I)を除く)を含有していてもよく、極性基を有することで耐熱性に優れる傾向にある。
成分(III)がラジカル反応性を有する樹脂の場合、反応性に応じて任意に成分(II)ラジカル開始剤量を調整又は添加しないことができる。
ラジカル反応性を有する樹脂とは、特に限定されないが、例えば、重合体に少なくとも一つのビニル基及び/又はハロゲン元素が含有されている化合物の単独重合体及び/又は任意の化合物との共重合体が挙げられ、誘電性能の観点からビニル基を有することが好ましい。ビニル基を有するとは、ビニル基を有する繰り返し単位からなる重合体でもよく、ビニル基及び極性基を有する化合物と極性基を有する樹脂の各極性基が反応することで得られたビニル基を有するポリマーであってもよい。極性基及びビニル基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸(本実施形態において「(メタ)アクリルとはメタクリルあるいはアクリルを意味する」)、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸等のカルボキシル基含有ビニルモノマー、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン基含有ビニルモノマー、ヒドロキシスチレン、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有ビニルモノマー、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル-2-アクリロイロキシエチルホスフェート、2-アクリロイルオキシエチルホスホン酸等のリン酸基含有ビニルモノマー、ヒドロキシスチレン、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1-ブテン-3-オール等のヒドロキシ基含有ビニルモノマー、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有ビニルモノマー、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド等のアミド基含有ビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等のニトリル期含有ビニルモノマー、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p-ビニルフェニルフェニルオキサイド等のエポキシ基含有ビニルモノマーが挙げられる。
ハロゲン元素含有モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジクロルスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン、クロロプレン等が挙げられる。
成分(III)のラジカル反応性が低い又は有しない場合、反応性の観点から成分(IV)硬化剤を含有することが好ましい。成分(IV)硬化剤は、通常成分(III)極性樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させる機能を有する。成分(III)と成分(IV)とが「反応」するとは、各成分の極性基同士が共有結合性を持つことを意味する。極性基同士が反応するとき、例えばカルボキシル基のOHが脱離すると、元の極性基が変化したり無くなったりするが、これによって共有結合が形成する場合には、極性基同士が「反応性」を示すという定義に含まれる。
成分(IV)硬化剤は成分(III)極性樹脂の官能基と反応し得る極性基を1分子鎖中に少なくとも2個以上有することが硬化機能の観点で好ましく、これらを1種単独で用いてもよく2種以上を併用して用いてもよい。成分(III)及び成分(IV)が有する極性基の種類としては特に限定されないが、例えば、
エポキシ基とカルボキシ基、カルボニル基、エステル基、イミダゾール基、水酸基、アミノ基、メルカプタン基、ベンゾオキサジン基、カルボジイミド基、フェノール系水酸基;
アミノ基とカルボンキシ基、カルボニル基、水酸基、酸無水物基、スルホン酸、アルデヒド基;
イソシアネート基と水酸基、カルボン酸、フェノール系水酸基;
酸無水物基とヒドロキシ基;
シラノール基とヒドロキシ基、カルボン酸基;
ハロゲンとカルボン酸基、カルボン酸エステル基、アミノ基、フェノール基、チオール基;
アルコキシ基とヒドロキシ基、アルコキシド基、アミノ基;
マレイミド基とシアネート基
等が挙げられる。これら極性基の結合が成分(III)、成分(IV)であるかは任意に選択できる。
また、成分(III)の極性基と成分(IV)の極性基とが直接反応しない場合に、触媒等の硬化促進剤を添加することで反応し得る場合も「反応性」を示すという定義に含まれる。
例えば、成分(III)がエポキシ基を有する樹脂であり、成分(IV)が酸無水物基を有する硬化剤である場合、通常、エポキシ基と酸無水物基の反応性は非常に低いが、アミノ基を有する化合物を硬化促進剤として添加することで成分(III)のエポキシ基とアミノ基が反応し、成分(III)のエポキシ基の一部又はすべてが水酸基となる。該水酸基と成分(IV)硬化剤の酸無水物基とが反応することで樹脂組成物が硬化する。
成分(III)極性樹脂と成分(IV)硬化剤との量比は、反応性の観点から極性基のmol比率で1:0.01~1:20が好ましく、より好ましくは1:0.05~1:15、さらに好ましくは1:0.1~1:10である。
硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、エステル基を有する硬化剤としてDIC社製のEXB9451、EXB9460、EXB、9460S、HPC8000-65T、HPC8000H-65TM、EXB8000L-65TM、EXB8150-65T、EXB9416-70BK、三菱ケミカル社製のYLH1026、DC808、YLH1026、YLH1030、YLH1048が挙げられる。
水酸基を有する硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、MEH-7700、MEH-7810、MEH-7851、日本化薬社製のNHN、CBN、GPH、新日鉄住金化学社製のSN170、SN170、SN180、SN190、SN475、SN485、SN495、SN-495V、SN375、DIC社製のTD-2090、LA-7052、LA-7054、LA-1356、LA-3018-50P、EXB-9500等が挙げられる。
ベンゾオキサジン基を有する硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、JFEケミカル社製のODA-BOZ、昭和高分子社製のHFB2006M、四国化成工業社製のP-d、F-aが挙げられる。
イソシアネート基を有する硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル、等の2官能シアネート樹脂;フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂;これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー;などが挙げられる。市販品としては、ロンザジャパン社製のPT30、PT60、ULL-950S、BA230、BA230S75等が挙げられる。
カルボジイミド基を有する硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、日清紡ケミカル社製のV-03、V-07が挙げられる。
アミノ基を有する硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、ジフェニルジアミノスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。市販品としては、日本化薬社製のKAYABOND C-200S、KAYABOND C-100、カヤハードA-A、カヤハードA-B、カヤハードA-S、三菱ケミカル社製のエピキュアW等が挙げられる。
また、反応性の観点からアミノ基としては第1級アミン及び/又は第2級アミンが好ましく、より好ましくは第1級アミンである。
酸無水物基を有する硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。
また、前述のラジカル反応性を有する構造を少なくとも2つ有する化合物も成分(III)と反応して樹脂組成物を硬化させる機能を有する。ラジカル反応性を有する構造を少なくとも2つ有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、トリアリルイソシアヌレート(三菱ケミカル社製 タイク)、イソシアヌル酸トリス(2-ヒドロキシエチル)、フマル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、クエン酸トリアリル、ヘキサヒドロフタル酸ジアリル等のアリルモノマー等が挙げられる。
成分(III)極性樹脂としては、前述の耐熱性、接着性の観点からエポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、液晶ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましく、より好ましくはエポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上であり、さらに好ましくはエポキシ系樹脂である。
耐熱性の観点からポリイミド系樹脂としては、繰り返し単位にイミド結合を有し、ポリイミド樹脂と称される範疇に属するものであればよく、特に限定されないが、例えば、テトラカルボン酸又はその二無水物とジアミンを重縮合(イミド結合)して得られる一般的なポリイミドの構造が挙げられ、硬化性の観点から前述のポリイミド構造の末端に不飽和基を有することが好ましく、末端に不飽和基を有するポリイミド樹脂としては、特に限定されないが、例えば、マレイミド型ポリイミド樹脂、ナジイミド型ポリイミド樹脂、アリルナジイミド型ポリイミド樹脂等が挙げられる。テトラカルボン酸又はその二無水物としては特に制限されることはないが、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物等を用いることができ、単独で用いてもよく2種以上を併用して用いてもよい。ジアミンとしては特に制限されることはないが、例えば、ポリイミドの合成に通常用いられる芳香族ジアミン類、脂環式ジアミン類、脂肪族ジアミン類等を用いることができる。これらを単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、上記テトラカルボン酸又はその二無水物、ジアミンの少なくとも一方において、低誘電率化及び低誘電正接化の観点でフッ素基、トリフルオロメチル基、水酸基、スルホン基、カルボニル基、複素環、長鎖アルキル基、アリル基、等からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を1つ又は複数有していてもよい。
また、市販のポリイミド系樹脂を用いてもよく、特に限定されないが、例えば、ネオプリム(登録商標)C-3650(三菱ガス化学(株)製、商品名)、同C-3G30(三菱ガス化学(株)製、商品名)、同C-3450(三菱ガス化学(株)製、商品名)、同P500(三菱ガス化学(株)製、商品名)、BT(ビスマレイミド・トリアジン)レジン(三菱ガス化学(株)製)、JL-20(新日本理化製、商品名)(これらのポ
リイミド樹脂のワニスには、シリカが含まれていてもよい)、新日本理化社製のリカコートSN20、リカコートPN20、I.S.T社製のPyre-ML、宇部興産社製のユピア―AT、ユピア―ST、ユピア―NF、ユピア―LB、日立化成社製のPIX-1400、PIX-3400、PI2525、PI2610、HD-3000、AS-2600、昭和電工株式会社製のHPC-5000、HPC-5012、HPC-1000、HPC-5020、HPC-3010、HPC-6000、HPC-9000、HCI-7000、HCI-1000S、HCI-1200E、HCI-1300、大和化成工業株式会社製のBMI-2300、新日本化薬株式会社製のMIR-3000が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、ポリフェニレンエーテル樹脂と称される範疇に属するものであればよく、フェニレンエーテル単位を繰り返し構造単位として含む。また、フェニレンエーテル単位以外のその他の構成単位を含んでいてもよい。
フェニレンエーテル単位を有する単独重合体としては、フェニレン単位中のフェニレン基は、置換基を有するかは特に制限されないが、置換基としては、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等のアクリル基、シクロへキシル基等の環状アルキル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、1-ペンテニル基、p-ビニルフェニル基、p-イソプロペニルフェニル基、m-ビニルフェニル基、m-イソプロペニルフェニル基、o-ビニルフェニル基、o-イソプロペニルフェニル基、p-ビニルベンジル基、p-イソプロペルベンジル基、m-ビニルベンジル基、m-イソプロペニルベンジル基、o-ビニルベンジル基、o-イソプロペニルベンジル基、p-ビニルフェニルエテニル基、p-ビニルフェニルプロペニル基、p-ビニルフェニルブテニル基、m-ビニルフェニルエテニル基、m-ビニルフェニルプロペニル基、m-ビニルフェニルブテニル基、o-ビニルフェニルエテニル基、o-ビニルフェニルプロペニル基、o-ビニルフェニルブテニル基、メタクリル基、アクリル基、2-エチルアクリル基、2-ヒドロキシメチルアクリル基等の不飽和結合含有置換基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボン酸基、チオカルボン酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、ボロン酸基、ホウ素含有基、ボロン酸塩基、アルコキシスズ基、及びフェニルスズ基等の官能基含有置換基が挙げられるが、硬化性の観点からラジカル反応性及び/又は成分(IV)硬化剤との反応性を有する目的で任意の極性基を有することが好ましい。
ポリフェニレンエーテル系樹脂の分子量は、本実施形態の樹脂組成物の硬化性の観点から100000以下が好ましく、より好ましくは50000以下、さらに好ましくは10000以下である。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂は直鎖状であってもよく、架橋又は分岐構造であってもよい。
液晶ポリエステル系樹脂としては、異方性溶融相を形成するポリエステルであり、液晶ポリエステル樹脂と称される範疇に属するものであればよい。例えば、イ-ストマンコダック社製「X7G」、ダ-トコ社製Xyday(ザイダ-)、住友化学社製エコノール、セラニ-ズ社製ベクトラ等が挙げられる。
フッ素系樹脂としては、フッ素樹脂と称される範疇に属するものであればよく、フッ素基を含むオレフィン系重合体である。フッ素系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、パーフルオロエチレン-プロペンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー等が挙げられる。
エポキシ系樹脂としては、エポキシ樹脂と称される範疇に属するものであればよく、強度の観点から1分子中に2個以上のエポキシ基を有することが好ましい。エポキシ系樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。エポキシ系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等;が挙げられる。
また、反応性の観点で成分(III)としてエポキシ系樹脂を用いる場合は成分(IV)硬化剤を含有していることが好ましく、成分(IV)硬化剤が有する極性基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシ基、イミダゾール基、水酸基、アミノ基、メルカプタン基、ベンゾオキサジン基、カルボジイミド基が挙げられ、反応性の観点からカルボキシ基、イミダゾール基、水酸基、ベンゾオキサジン基、カルボジイミド基が好ましく、誘電性能の観点から水酸基、カルボキシ基、イミダゾール基、ベンゾオキサジン基、カルボジイミド基がより好ましく、さらに好ましくは水酸基、カルボキシ基、カルボジイミド基である。
また、成分(III)としてラジカル反応性が異なる極性樹脂を2種以上使用する場合は硬化性の観点から成分(II)ラジカル開始剤及び成分(IV)を併用することもできる。例えば、成分(III)としてラジカル反応性に優れるマレイミド型ポリイミド樹脂及びラジカル反応性を有さないビスフェノールAエポキシ樹脂を用いる場合、硬化性の観点から前述の成分(II)ラジカル開始剤と前述の成分(IV)硬化剤を添加することができる。
また、成分(III)として高融点及び高剛性の極性樹脂を使用する場合は成分(IV)を含まなくてもよい。高融点及び高剛性の樹脂としては、特に限定されないが、例えば、液晶ポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂が挙げられる。成分(III)が高融点及び高剛性であることで成分(IV)を含有しない場合でも実用上必要な耐熱性及び/又は強度を有することができる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、さらに成分(V)として、硬化促進剤、フィラー、難燃剤、その他添加剤を含んでいてもよい。また、成分(I)変性ブロック共重合体の添加剤として含まれるものも前記樹脂組成物の成分(V)と同義である。
硬化促進剤としては、前述の各成分間の反応性を促進する目的で添加され、従来公知のものが使用できる。特に限定されないが、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられる。硬化促進剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられ、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、特に限定されないが、例えば、三菱ケミカル社製のP200-H50等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-nオクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
フィラーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、グラファイト、酸化チタン、チタン酸カリウムウイスカー、炭素繊維、アルミナ、カオリンクレー、ケイ酸、ケイ酸カルシウム、石英、マイカ、タルク、クレー、ジルコニア、チタン酸カリウム、アルミナ、金属粒子等の無機充填剤;木製チップ、木製パウダー、パルプ、セルロースナノファイバー等の有機フィラーを挙げることができる。
これらは単独又は複数を組み合わせて使用することが可能である。
これらフィラーの形状としては、鱗片状、球状、粒状、粉体、不定形状等のいずれでもよく、特に制限は無い。
樹脂組成物又は硬化物は成形時等に高温下にさらされる場合が多いが、その温度変化により収縮し、成形体が変形してしまうことを防ぐため、線膨張係数が小さいことが好ましい。線膨張係数を低下させる観点からフィラーとしてはシリカが好ましく、シリカとしては、特に限定されないが、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。
難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、臭素化合物等のハロゲン系難燃剤、芳香族化合物等のリン系難燃剤、金属水酸化物、アルキルスルホン酸塩、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルエタン、4,4-ジブロモビフェニル、エチレンビステトラブロモフタルイミド等の芳香族臭素化合物を含む難燃剤等が挙げられる。これらの難燃剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。上記難燃剤の中には、それ自身の難燃性発現効果は低いが、他の難燃剤と併用することで相乗的により優れた効果を発揮する、いわゆる難燃助剤も含まれる。
フィラー、難燃剤は、シランカップリング剤等の表面処理剤であらかじめ表面処理を行ったタイプを使用することもできる。表面処理剤としては、特に限定されないが、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。これらは単独又は複数を組み合わせて使用することが可能である。
その他の添加剤としては、樹脂組成物及び/又は硬化物の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。当該その他の添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料及び/又は着色剤;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤;離型剤;有機ポリシロキサン、フタル酸エステル系やアジピン酸エステル化合物、アゼライン酸エステル化合物等の脂肪酸エステル系、ミネラルオイル等の可塑剤;ヒンダードフェノール系、リン系熱安定剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;帯電防止剤;有機充填剤;増粘剤;消泡剤;レベリング剤;密着性付与剤等の樹脂添加剤;その他添加剤あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
前述の低誘電率及び低誘電正接化の観点から顔料、着色剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤が含有されないことが好ましい傾向にある。
本実施形態における樹脂組成物とは、各成分を溶融混錬したものであってもよく、各成分を溶解可能な溶媒に溶解させ撹拌したもの(以下、「ワニス」)であってもよいが、取り扱性の観点からワニスが好ましい。溶媒としては、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート及びジエチルグリコールモノアセラート等の酢酸エステル類;セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN-メチルピロリドン等のアミド系溶剤等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(硬化物)
本実施形態の硬化物は、上述の変性ブロック共重合体を含む。また、本実施形態の硬化物は、上述の樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。
本明細書中、「硬化物」は、前述の樹脂組成物を任意の温度及び時間硬化反応させることで得られるものを表し、組成物全体が硬化した状態の他、樹脂成分の少なくとも一部が硬化した状態(半硬化)を包含する概念である。従って、半硬化状態の硬化物の場合、硬化物を加熱して未硬化成分を硬化させる工程が有ってよい。硬化工程の条件としては、具体的には反応温度は80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましい。反応時間としては、10~240分が好ましく。20~230分がより好ましく、30~220分がさらに好ましい。樹脂組成物がワニスの場合、溶剤を除去後に硬化反応を行うことが好ましい。乾燥方法としては、加熱、熱風吹つけ等の従来公知の方法により実施してもよく、硬化反応温度より低温で行うことが好ましく、樹脂組成物中の溶媒量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。
(接着剤)
本実施形態の接着剤は、上述の変性ブロック共重合体を含む。また、本実施形態の接着剤は、上述の樹脂組成物を含むことが好ましい。
(樹脂フィルム)
本実施形態の樹脂フィルムは、上述の樹脂組成物を含む。
本実施形態に係る樹脂フィルムは、特に限定されないが、例えば、前述のワニスを均一な薄膜上に伸ばし、前述の通り乾燥させることで溶媒を除去した後、ロール状に巻き取って保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合は、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
(プリプレグ)
本実施形態のプリプレグは、基材と、上述の樹脂組成物との複合体である。
本実施形態に係るプリプレグは、基材と、この基材に含浸又は塗布された上述の樹脂組成物とを含むことが好ましい。プリプレグは、特に限定されないが、例えば、ガラスクロス等の基材を上記ワニスに含浸させた後、前述の乾燥方法により溶剤を除去することにより得られる。基材としては、特に限定されないが、例えば、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマット等の各種ガラスクロス;アスベスト布、金属繊維布、及びその他の合成若しくは天然の無機繊維布;全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維等の液晶繊維から得られる織布又は不織布;綿布、麻布、フェルト等の天然繊維布;カーボン繊維布、クラフト紙、コットン紙、紙-ガラス混繊糸から得られる布等の天然セルロース系基材;ポリテトラフルオロエチレン多孔質フィルム等が挙げられるが、誘電性能の観点からガラスクロスが好ましい。これらの基材は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態のプリプレグ中の上述の樹脂組成物固形分の割合は、30~80質量%であることが好ましく、40~70質量%であることがより好ましい。上記割合が30質量%以上であることにより、プリプレグを電子基板用等に用いた場合に絶縁信頼性に一層優れる傾向にある。上記割合が80質量%以下であることにより、電子基板等の用途において、剛性等の機械特性に一層優れる傾向にある。
(積層体)
本実施形態の積層体は、上述のプリプレグ及び/又は上述の樹脂組成物の硬化物と、金属箔及び/又は熱硬化性樹脂とを積層した積層体である。前記金属箔が銅箔であり、前記熱硬化性樹脂がポリイミド系樹脂であることが好ましい。また、本実施形態の積層体は、上述のプリプレグの硬化物又は上述の樹脂組成物の硬化物と、金属箔とを積層した積層体であることが好ましい。
本実施形態に係る積層体は、特に限定されないが、例えば、ブロック共重合体の硬化物を用いて製造することができる。このような積層体は、特に限定されないが、例えば、
工程(a):基板に前記ブロック共重合体を含む樹脂フィルムを積層して樹脂層を形成する工程、
工程(b):樹脂層を加熱及び加圧して平坦化する工程、
工程(c):樹脂層上に配線層をさらに形成する工程、
等を経て製造することができる。
工程(a)において基板に樹脂層を積層する方法は特に限定されないが、例えば、多段プレス、真空プレス、常圧ラミネーター、真空下で加熱加圧するラミネーターを用いて積層する方法等が挙げられ、真空下で加熱加圧するラミネーターを用いる方法が好ましい。該方法では、回路用基板が表面に微細配線回路を有していてもボイドがなく回路間を樹脂で埋め込むことができる。また、ラミネートはバッチ式であってもよく、ロール等での連続式であってもよい。
基板としては特に限定されず、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、ポリフェニレンエーテル系基板、フッ素樹脂基板等を使用することができる。基板の樹脂層が積層される面は予め粗化処理されていてもよく、基板層数は限定されない。
工程(b)では、工程(a)で積層した樹脂フィルムと基板を加熱下加圧し、平坦化する。条件は、基板の種類や樹脂フィルムの組成で任意に調整することができるが、例えば、温度100~300°、圧力0.2~20MPa、時間30~180分の範囲が好ましい。
工程(c)では、樹脂フィルムと基板を加熱下加圧して作製した樹脂層上にさらに回路層を形成する。形成方法としては特に限定されず、従来公知の方法が挙げられるが、例えば、サブトラクティブ法等のエッチング法、セミアディティブ法等によって形成してもよい。
サブトラクティブ法は、金属層の上に、所望のパターン形状に対応した形状のエッチングレジスト層を形成し、その後の現像処理によって、レジストの除去された部分の金属層を薬液で溶解し除去することによって、所望の回路を形成する方法である。
セミアディティブ法は、無電解めっき法により樹脂層の表面に金属被膜を形成し、金属被膜上に所望のパターンに対応した形状のめっきレジスト層を形成し、次に、電解めっき法によって金属層を形成した後、不要な無電解めっき層を薬液等で除去し、所望の回路層を形成する方法である。
また、樹脂層には、必要に応じてビアホール等のホールを形成してもよく、ホールの形成方法としては特に限定されず、従来公知の方法を使用することができる。ホールの形成方法としては、特に限定されないが、例えば、NCドリル、炭酸ガスレーザー、UVレーザー、YAGレーザー、プラズマ等を使用できる。
また、本実施形態の積層体は、可撓性を有するフレキシブル体でもよいし、積層板であってもよい。積層板は金属張積層板であってもよい。金属張積層板は、例えば、上述の樹脂組成物又は上述のプリプレグと、金属箔とを積層して硬化して得られ、金属張積層板から金属箔の一部が除去されている。金属張積層板は、プリプレグの硬化物(「硬化物複合体」ともいう。)と金属箔とが積層して密着している形態を有することが好ましく、電子回路基板用材料として好適に用いられる。金属箔としては、特に限定されないが、例えば、アルミ箔、及び銅箔が挙げられ、これらの中でも銅箔は電気抵抗が低いため好ましい。金属箔と組合せる硬化物複合体は、1枚でも複数枚でもよく、用途に応じて複合体の片面又は両面に金属箔を重ねて積層板に加工する。積層板の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂組成物と基材とから構成される複合体(例えば、前述のプリプレグ)を形成し、これを金属箔と重ねた後、熱硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、硬化物積層体と金属箔とが積層されている積層板を得る方法が挙げられる。前記積層板の特に好ましい用途の1つはプリント配線板である。プリント配線板は、金属張積層板から金属箔の少なくとも一部が除去されていることが好ましい。本実施形態のプリト配線板は、典型的には、上述のプリプレグを用いて、加圧加熱成型する方法で形成できる。基材としてはプリプレグに関して前述したのと同様のものが挙げられる。本実施形態のプリント配線板は、上述の樹脂組成物を含むことにより、優れた強度及び電気特性(低誘電率、及び低誘電正接)を有し、更には環境変動に伴う電気特性の変動を抑制可能であり、更には優れた絶縁信頼性、及び機械特性を有する。
(電子回路基板材料)
本実施形態の電子回路基板材料は、上述の変性ブロック共重合体を含む硬化物、又は、上述の樹脂組成物の硬化物を含む。
本実施形態に係る電子回路基板材料は、特に限定されないが、例えば、上記樹脂組成物及び/又はワニスを用いて形成される。本実施形態の電子回路基板材料は、具体的には、特に限定されないが、例えば、上記で説明された樹脂組成物を硬化して成る硬化物、上記で説明された樹脂組成物をその硬化物を含む樹脂フィルム、基材と樹脂との含浸複合体(本開示で、「プリプレグ」ともいう。)、若しくは樹脂付金属箔又はこれらの少なくとも1種を含むプリント配線板である。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態について具体的に説明するが、本実施形態は、以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例に用いたブロック共重合体(成分(I))の構造の同定及び物性の測定は、次のようにして行った。
〔重合体の構造の同定及び物性の測定方法〕
((1)ブロック共重合体のビニル芳香族化合物含有量)
水添前の、ブロック共重合体を用い、紫外分光光度計(島津製作所製、UV-2450)を用いて測定した。
((2)ブロック共重合体のビニル結合量)
水添前の、ブロック共重合体を用い、赤外分光光度計(日本分光社製、FT/IR-230)を用いて測定した。ブロック共重合体のビニル結合量はハンプトン法により算出した。
((3)ブロック共重合体の分子量及び分子量分布)
変性前かつ水添前のブロック共重合体の分子量をGPC〔装置:LC-10(島津製作所製)、カラム:TSKgelGMHXL(4.6mm×30cm)〕により測定した。
溶媒はテトラヒドロフランを用いた。測定条件は、温度35℃で行った。分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量とした。
なお、クロマトグラム中にピークが複数有る場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求める)から求めた平均分子量とした。また、分子量分布は、得られた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)である。
((4)ブロック共重合体の共役ジエン単量体単位の二重結合の水素添加率)
水素添加後の変性ブロック共重合体を用い、核磁気共鳴装置(BRUKER社製、DPX-400)を用いて、共役ジエン単量体単位の二重結合の水素添加率を測定した。
(4-1)Total水素添加率、ビニル水添率
Total水素添加率は、重合体ブロック(B)の総含有量を100%としたとき、上記単位(a)の水素添加された形態であるアルケニル単量体単位(a1)の含有量、及び共役ジエン化合物の1,4-結合に由来する単位(b)の水素添加された形態であるアルケニル単量体単位(b1)の含有量の合計量とした。水素添加後のブロック共重合体の水素添加率(%)を、核磁気共鳴装置(BRUKER社製「DPX-400」)を用いて測定した。
また、ビニル水添率(%)は、重合体ブロック(B)中の、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の量を100%とした場合に、上記単位(a)に対する上記単位(a1)の割合(ビニル水添率:(a1)/(a))として算出した。
(5)金属量
ブロック共重合体中の金属量(すなわち、Ti、Ni、Li、及びCoの合計含有量)を、誘導結合プラズマ(Inductivitycoupled plasm(ICP)、島津製作所社製「ICPS-7510」)を用いた元素分析で測定した。
(6)「極性基」が結合している位置
変性ブロック共重合体において「極性基」が結合している位置は、変性ブロック共重合体を、核磁気共鳴装置を用いて解析することにより確認した。
((7)水添末端アミノ基変性ブロック共重合体におけるアミノ基の付加量)
変性ブロック共重合体において、極性基としてアミノ基を末端に有する場合は、その付加量を以下のとおり測定した。
シリカゲルを充填材としたGPCカラムに、変性した成分が吸着する特性を応用し、水添末端アミノ基変性ブロック共重合体と低分子量内部標準ポリスチレン(PS)とを含む試料溶液について、上記(3)で測定したクロマトグラム中の標準ポリスチレンに対する水添末端アミノ基変性ブロック共重合体の割合と、シリカ系カラムGPC〔装置:LC-10(島津製作所製)、カラム:Zorbax(デュポン社製)〕で測定したクロマトグラム中の標準ポリスチレンに対する水添末端アミノ基変性ブロック共重合体の割合とを比較し、それらの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定し、この割合を変性率とした。末端アミノ基の付加量については、下記式により算出したアミノ基である比率(%)と、ブロック共重合体の分子量とから付加量(質量%)を算出した。
a:ポリスチレン系ゲル(PLgel)で測定した全重合体の面積(%)
b:ポリスチレン系ゲル(PLgel)で測定した低分子量内部標準PSの面積(%)
c:シリカ系カラム(Zorbax)で測定した全重合体の面積(%)
d:シリカ系カラム(Zorbax)で測定した低分子量内部標準PSの面積(%)
〔水添触媒の調製〕
後述する実施例及び比較例において、水添ブロック共重合体を作製する際に用いる水添触媒を、下記の方法により調製した。
攪拌装置を具備する反応容器を窒素置換しておき、これに、乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込んだ。
次に、ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加した。これを十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn-ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。これにより水添触媒を得た。
<成分(I)ブロック共重合体>
ビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体を、下記のようにして調製した。
各ブロック共重合体の構造値及び残金属量を表1~4に示す。
(水添ブロック共重合体(1))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン45質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、0.10質量部と、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn-ブチルリチウム1モルに対して0.2mоl添加し、70℃で30分間重合した。
次に、ブタジエン55質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で20分間重合した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
次に、得られたブロック共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で水素添加反応を約2時間行った。
さらに、得られた水添ブロック共重合体(1)の溶液を以下に示す脱灰操作を行うことで開始剤及び水添触媒起因の金属量低減を図った。すなわち、水添ブロック共重合体100質量部に対して30質量部の水/硫酸の混合溶液を添加した。なお、硫酸の添加量は、後工程でデカンターにより除去される水のpHが7.0になるように調整した。デカンターにより水の量が3質量部になるまで、該溶液の大部分の水を除去し、炭酸ガスを開始剤の金属1molに対し、0.4mol添加し混合した。その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加した。該溶液を特公平05-54845号公報に記載のスチームストリッピング法(90~98℃の水中で溶媒の大部分を除去した後、クラム濃度が約5重量%の水分散スラリーを二軸押出機に投入することで脱溶剤する方法)で処理することにより、水添ブロック共重合体(1)を得た。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(1)は、スチレン含有量45質量%、重量平均分子量8.0×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は35%、Total水素添加率は97%、ビニル水添率は94%であった。
(水添ブロック共重合体(2))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン22.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、0.10質量部と、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn-ブチルリチウム1モルに対して0.2mоl添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン55質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で20分間重合した。
次に、スチレン22.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、20分間重合した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
さらに得られたブロック共重合体をブロック共重合体(1)と同様の条件で水素添加及び脱灰を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(2)は、スチレン含有量45質量%、重量平均分子量8.0×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は36%、Total水素添加率は97%、ビニル水添率は94%であった。
(水添ブロック共重合体(3))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、ブタジエン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、0.10質量部と、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn-ブチルリチウム1モルに対して0.2mоl添加し、70℃で5分間重合した。
次に、スチレン45質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で30分間重合した。
次に、ブタジエン50質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、30分間重合した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
さらに得られたブロック共重合体をブロック共重合体(1)と同様の条件で水素添加水素添加及び脱灰を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(3)は、スチレン含有量45質量%、重量平均分子量8.0×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は36%、Total水素添加率は97%、ビニル水添率は94%であった。
(水添ブロック共重合体(4))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、ブタジエン12.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、0.10質量部と、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn-ブチルリチウム1モルに対して0.2mоl添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン75質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で40分間重合した。
次に、ブタジエン12・5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、15分間重合した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
さらに得られたブロック共重合体をブロック共重合体(1)と同様の条件で水素添加水素添加及び脱灰を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(4)は、スチレン含有量75質量%、重量平均分子量8.0×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は36%、Total水素添加率は97%、ビニル水添率は95%であった。
(水添ブロック共重合体(5))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、ブタジエン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、0.071質量部と、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn-ブチルリチウム1モルに対して1.3mоl添加し、70℃で5分間重合した。
次に、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン35質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、15分間重合した。
次に、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で20分間重合した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
さらに得られたブロック共重合体をブロック共重合体(1)と同様の条件で水素添加水素添加及び脱灰を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(5)は、スチレン含有量60質量%、重量平均分子量11.0×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は74%、Total水素添加率は97%、ビニル水添率は94%であった。
(水添ブロック共重合体(6))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン32.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、0.13質量部と、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn-ブチルリチウム1モルに対して0.3mоl添加し、70℃で30分間重合した。
次に、ブタジエン35質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で20分間重合した。
次に、スチレン32.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、30分間重合した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
さらに得られたブロック共重合体をブロック共重合体(1)と同様の条件で水素添加水素添加及び脱灰を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(6)は、スチレン含有量65質量%、重量平均分子量6.1×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は41%、Total水素添加率は97%、ビニル水添率は94%であった。
(水添ブロック共重合体(7))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン22.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、0.17質量部と、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn-ブチルリチウム1モルに対して0.3mоl添加し、70℃で40分間重合した。
次に、ブタジエン55質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で10分間重合した。
次に、スチレン22.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、40分間重合した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
さらに得られたブロック共重合体をブロック共重合体(1)と同様の条件で水素添加水素添加及び脱灰を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(7)は、スチレン含有量45質量%、重量平均分子量4.0×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は40%、Total水素添加率は97%、ビニル水添率は93%であった。
(水添ブロック共重合体(8))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン22.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、0.10質量部と、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn-ブチルリチウム1モルに対して1.3mоl添加し、55℃で40分間重合した。
次に、ブタジエン55質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて55℃で20分間重合した。
次に、スチレン22.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、40分間重合した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
さらに得られたブロック共重合体をブロック共重合体(1)と同様の条件で水素添加水素添加及び脱灰を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(8)は、スチレン含有量45質量%、重量平均分子量8.0×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は75%、Total水素添加率は97%、ビニル水添率は94%であった。
(水添ブロック共重合体(9))
n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、0.080質量部とすること以外は水添ブロック共重合体(7)と同様の操作を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(9)は、スチレン含有量45質量%、重量平均分子量11.0×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は35%、Total水素添加率は97%、ビニル水添率は94%であった。
(水添ブロック共重合体(10))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、0.13質量部と、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn-ブチルリチウム1モルに対して0.12mоl添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン55質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で20分間重合した。
次に、スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、20分間重合した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
さらに得られたブロック共重合体を反応時間を1時間とすること以外は水添ブロック共重合体(1)と同様の水素添加反応及び水添ブロック共重合体(1)と同様の条件で脱灰を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(10)は、スチレン含有量50質量%、重量平均分子量6.5×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は20%、Total水素添加率は50%、ビニル水添率は91%であった。
(ブロック共重合体(11))
水素添加反応を行わないこと以外は水添ブロック共重合体(10)と同様の操作を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(11)は、スチレン含有量50質量%、重量平均分子量6.5×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は20%、Total水素添加率は0.0%、ビニル水添率は0.0%であった。
(水添ブロック共重合体(12))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、0.080質量部と、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn-ブチルリチウム1モルに対して0.30mоl添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン35質量部、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で20分間重合した。
次に、スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、20分間重合した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
さらに得られたブロック共重合体を反応時間を1時間とすること以外は水添ブロック共重合体(1)と同様の水素添加反応及び水添ブロック共重合体(1)と同様の条件で脱灰を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(12)は、スチレン含有量65質量%、重量平均分子量11.0×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は41%、Total水素添加率は97%、ビニル水添率は94%であった。
(水添ブロック共重合体(13))
水添添加反応温度を60℃、水素添加反応時間を3時間行ったこと以外は水添ブロック共重合体(8)と同様の操作を行った。
上記の様にして得られた水添ブロック共重合体(13)は、スチレン含有量45質量%、重量平均分子量8.1×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は75%、Total水素添加率は97%、ビニル水添率は78%であった。
(水添ブロック共重合体(14))
水添触媒を80ppm添加、水素添加反応時間を1時間、脱灰操作を行わなかったこと以外は水添ブロック共重合体(6)と同様の操作を行った。
上記の様にして得られた水添ブロック共重合体(14)は、スチレン含有量65質量%、重量平均分子量6.0×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は41%、Total水素添加率は96%、ビニル水添率は84%であった。
(水添ブロック共重合体(15))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、0.10質量部と、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn-ブチルリチウム1モルに対して0.2mоl添加し、70℃で25分間重合した。
次に、ブタジエン70質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で20分間重合した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
さらに得られたブロック共重合体を水添ブロック共重合体(1)と同様の条件で水素添加反応及び脱灰を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(15)は、スチレン含有量30質量%、重量平均分子量8.0×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は35%、Total水素添加率は97%、ビニル水添率は94%であった。
(ブロック共重合体(16))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、0.10質量部と、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn-ブチルリチウム1モルに対して0.2mоl添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン70質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で20分間重合した。
次に、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、20分間重合した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
さらに得られたブロック共重合体をブロック共重合体(1)と同様の条件で水素添加及び脱灰を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(16)は、スチレン含有量30質量%、重量平均分子量8.0×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は35%、Total水素添加率は97%、ビニル水添率は94%であった。
(ブロック共重合体(17))
n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、0.29質量部とすること以外は水添ブロック共重合体(2)と同様の操作を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(17)は、スチレン含有量45質量%、重量平均分子量3.0×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は36%、Total水素添加率は97%、ビニル水添率は94%であった。
(ブロック共重合体(18))
n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、0.072質量部とすること以外は水添ブロック共重合体(2)と同様の操作を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(18)は、スチレン含有量45質量%、重量平均分子量12.1×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は36%、Total水素添加率は98%、ビニル水添率は95%であった。
(ブロック共重合体(19))
脱灰を行わないこと以外は水添ブロック共重合体(2)と同様の操作を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体(19)は、スチレン含有量45質量%、重量平均分子量8.0×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は36%、Total水素添加率は97%、ビニル水添率は95%であった。
(ブロック共重合体(20))
メタノールを添加する前に1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンをn-ブチルリチウム1モルに対して1.1モル添加し、70℃で15分反応させること以外はブロック共重合体(1)と同様の操作を行った。
上記のようにして得られた水添末端アミノ基変性ブロック共重合体(20)は、スチレン含有量45質量%、重量平均分子量8.1×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は36%、Total水素添加率は91%、ビニル水添率は95%、末端アミノ基の付加量は0.12質量%であった。
(ブロック共重合体(21))
ブロック共重合体(20)と同様の操作を行い、水添末端アミノ基変性ブロック共重合体を得た。
上記のようにして得られた水添末端アミノ基変性ブロック共重合体と無水マレイン酸とを混合した後、押出機の長さ全域の温度設定を150~200℃として二軸押出機に供給し、コンパウンドすることで、末端カルボキシル基変性ブロック共重合体(21)を得た。
上記のようにして得られた水添末端カルボキシル基変性ブロック共重合体(21)は、スチレン含有量45質量%、重量平均分子量8.0×104、分子量分布1.10、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は35%、Total水素添加率は90%、ビニル水添率は95%であった。
得られた末端カルボキシル基変性ブロック共重合体(21)を、前述の((7)水添末端アミノ基変性ブロック共重合体におけるアミノ基の付加量)の条件でGPC測定を行い、アミノ基のカラムへの吸着が生じないことを確認した。
すなわち、水添末端アミノ基変性ブロック共重合体におけるアミノ基が全量無水マレイン酸と反応したことを意味し、得られた末端カルボキシル基変性ブロック共重合体(21)において、カルボキシル基量はアミノ基と同様で、その付加量は0.12質量%であった。
(変性共重合体)
上記の水添ブロック共重合体(1)~(19)の変性水添ブロック共重合体M-(1)~M-(19)を以下のようにして調製した。
押出機の長さ全域の温度設定を150~200℃として二軸押し出し機でコンパウンドした。スクリュー回転速度は約250rpmであり、押出量は毎時5kgであった。水添ブロック共重合体(1)~(19)のそれぞれと無水マレイン酸とを、表5~8に示すとおりの配合で、概して押出機のスロートから供給し、また、有機過酸化物(パーオキサイド25B(日油株式会社製))を、表5~8に示すとおりの配合で、押出機下流の供給口から供給した。押出機から吐出したストランドをペレット化し、約80℃で3時間乾燥させて、変性水添ブロック共重合体M-(1)~M-(19)を得た。得られた変性水添ブロック共重合体M-(1)~M-(19)における極性基の付加量を表5~8に示した。
無水マレイン酸(極性基)の付加量は、無水マレイン酸変性水添ブロック共重合体をトルエンに溶解し、ファクターが1±0.05であるナトリウムメトキシドのメタノール溶液で滴定し、算出した。また、残存無水マレイン酸量は、以下のとおり算出した。無水マレイン酸変性水添ブロック共重合体をアセトン中に約1.5質量%の濃度で60℃/2時間還流後、十分に乾燥した。該サンプルを用いて上述と同様の滴定を行い、還流前後の滴定値から残存無水マレイン酸量を算出した。
<硬化物の物性測定方法>
((1)誘電正接及び誘電率)
10GHzでの誘電正接を、空洞共振法にて測定した。測定装置としてネットワークアナライザー(N5230A、AgilentTechnologies社製)、及び関東電子応用開発社製の空洞共振器(Cavity Resornator CPシリーズ)を用いた。測定サンプルは後述する硬化物フィルムから幅2.6mm×長さ80mmの試験片を切り出し、誘電正接及び誘電率を測定した。
(〔実施例1~33〕、〔比較例1~20〕の評価方法)
ブロック共重合体を含まない比較例1と各組成との誘電正接及び誘電率の差(比較例1-各組成)で評価した。
誘電正接 ◎:0.010以上
○:0.0050以上、0.010未満
△:0.0030以上、0.0050未満
×:0.0030未満(同値及び正の差も含む)
誘電率 ◎:0.35以上
○:0.30以上、0.35未満
△:0.20以上、0.30未満
×:0.20未満(同値及び正の差も含む)
(〔実施例34~43〕、〔比較例21~33〕の評価方法)
ブロック共重合体を含まない比較例21と各組成との差(比較例21-各組成)で評価した。
誘電正接
◎:0.0012以上
○:0.0010以上、0.0012未満
△:0.00080以上、0.0010未満
×:0.00080未満(同値及び正の差も含む)
誘電率
◎:0.12以上
○:0.10以上、0.12未満
△:0.08以上、0.10未満
×:0.08未満(同値及び正の差も含む)
(〔実施例44~51〕、〔比較例34~43〕の評価方法)
ブロック共重合体を含まない比較例34と各組成との差(比較例34-各組成)で評価した。
誘電正接
◎:0.0012以上
○:0.0010以上、0.0012未満
△:0.00080以上、0.0010未満
×:0.00080未満(同値及び正の差も含む)
誘電率
◎:0.15以上
○:0.12以上、0.15未満
△:0.10以上、0.12未満
×:0.10未満(同値及び正の差も含む)
((2)強度(ガラス転移温度:Tg))
動的粘弾性を測定し、tanδが最大となる温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。Tgが高いことは広い温度領域で高強度であることを示す。測定装置にARES(ティーエイインスツルメントー社製商品名)を用いた。測定サンプルは後述する硬化物フィルムから長さ35mm、幅約12.5mm、及び厚さ0.3mmの大きさで切り出した試験片を用い、引張モードは、周波数10rad/s、測定温度-150~270℃の条件でTgの測定を行った。
((3)接着性)
35μm厚さの銅箔及びポリイミドフィルムに後述する各樹脂組成物を塗布し、溶剤を乾燥除去後、180℃で1時間加熱及び加圧することによって樹脂組成物-銅箔又はポリイミドフィルムの積層板を作製し、接着性サンプルに供した。
前記積層板に幅1cmの切り込みを入れ、銅箔又はポリイミドフィルムを90°方向に引張速度50mm/minで引き剥がし試験を行い、ピール強度を測定した。ピール強度の値が高い程、高い接着性を意味する。
((4)保存安定性)
後述するワニスを30℃/50%RH下で静置した際の状態を観察し、層分離及び/又はゲル状成分の析出までの日数及び有無で下記の通り評価した。
◎:120日以上(析出無含む)
○:90日以上120日未満
△:30日以上90日未満
×:30日未満
〔実施例1~33〕、〔比較例1~20〕
樹脂組成物は、表9~18に示すとおりの配合割合で、成分(I):上記調製した各変性水添ブロック共重合体と、以下の成分(II)~(IV)とを用いて、以下の調製方法にしたがって調製した。なお、本実施例において、「%」は、特段言及がない場合、質量基準とする。
<成分(II):ラジカル開始剤>
パーブチルP-90(日油株式会社製)
<成分(III):極性樹脂>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 EXA-850CRP(DIC株式会社製)
フェノキシ樹脂 YP-50S(日鉄ケミカルズ社製)
<成分(IV):硬化剤>
1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール(東京化成工業株式会社)
フェノール系硬化剤 KA-1163(DIC株式会社製)
(硬化物フィルムの作製)
硬化物フィルムの作製は、以下のとおり行った。まず、上記成分のうち、フェノール系硬化剤以外の成分はトルエンに添加し、撹拌、溶解させ濃度20質量%~50質量%のワニスを調製した。フェノール系硬化剤を使用する場合は、メチルエチルケトン(和光純薬株式会社製の特級品をそのまま使用した)を溶媒とし濃度50質量%のフェノール系硬化剤溶液を調製し、前記ワニスに添加、撹拌しワニス(樹脂組成物)を調製した。得られた各樹脂組成物の物性(接着性)を上記のとおり評価した。評価結果を下記表9~18に示す。該樹脂組成物を離形処理されたカプトンフィルム上に30mm/秒の速度で塗工した後、窒素気流下送風乾燥機で100℃、30分乾燥し、フィルムを得た。得られたフィルムを窒素気流下送風乾燥機で200℃、90分硬化反応を行い、硬化物フィルムを得た。該硬化物フィルムを上記のとおり評価サンプルに供し、各物性を評価した。各評価結果を表9~18に示す。接着用試験片は前述の方法で作製した。
実施例1~33及び比較例1~20より、本実施形態の変性ブロック共重合体は硬化物として誘電性能、強度及び耐熱性のバランスに優れていることが明らかとなり、特に本硬化物を用いたガラスクロス、金属積層板、樹脂積層板を用いたプリント配線板用とに好適である。
〔実施例34~43〕、〔比較例21~33〕
樹脂組成物は、表19~22に示すとおりの配合割合で、成分(I):上記調製した各変性水添ブロック共重合体と、さらに下記の成分(II)~(IV)とを用いて、以下の調製方法にしたがって調製した。
<成分(II):ラジカル開始剤>
パーブチルC(日油株式会社製)
パークミルD(日油株式会社製)
<成分(III):極性樹脂>
ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE):以下の通り重合を行って製造した。
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた1.5リットルのジャケット付き反応器に、0.2512gの塩化第二銅2水和物、1.1062gの35%塩酸、3.6179gのジ-n-ブチルアミン、9.5937gのN,N,N‘,N’-テトラメチルプロパンジアミン、211.63gのメタノール及び493.80gのn-ブタノール、5モル%の2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンを含む2,6-ジメチルフェノール180.0gを入れた。使用した溶媒の組成重量比はn-ブタノール:メタノール=70:30とした。次いで激しく攪拌しながら反応器へ180ml/minの速度で酸素をスパージャーより導入を始めると同時に、重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。重合液は次第にスラリーの様態を呈した。ポリフェニレンエーテルが所望の数平均分子量に達した時、酸素含有ガスの通気をやめ、得られた重合混合物を50℃に温めた。次いでハイドロキノン(和光純薬社製試薬)を少量ずつ添加し、スラリー状のポリフェニレンエーテルが白色となるまで、50℃での保温を続けた。次いで36質量%塩酸を6.5質量%の割合で含むメタノール溶液720gを添加し、濾過して更にメタノールで繰り返し洗浄し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。次いで、100℃で真空乾燥し、乾燥ポリフェニレンエーテルを得た。ηsp/cは0.103dl/g、収率は97%であった。
ηsp/cの測定は、前述のポリフェニレンエーテルを0.5g/dlのクロロホルム溶液として、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度(ηsp/c)を求めた。なお、還元粘度(ηsp/c)の単位はdl/gである。
得られたポリフェニレンエーテルを以下の通り変性した。
得られたポリフェニレンエーテル152.5g及び、トルエン152.5g及びを混合して約85℃に加熱した。次いでジメチルアミノピリジン2.1gを添加した。固体がすべて溶解した時点で、無水メタクリル酸18.28gを徐々に添加した。得られた溶液を連続混合しながら85℃に3時間維持した。次いで、溶液を室温に冷却して、メタクリレート封鎖ポリフェニレンエーテルのトルエン溶液を得た。得られたトルエン溶液を、撹拌にホモジナイザーを備えた円筒状3LのSUS容器に10℃のメタノールを1000mL、少量ずつ滴下した。得られた粉体をろ過し、メタノールで洗浄し、85℃窒素下で18時間乾燥させた。
<成分(IV):架橋剤>
トリアリルイソシアヌレート(TAICTM)(三菱ケミカル社製)
(硬化物フィルムの作製)
硬化物フィルムの作製は、以下のとおり行った。まず、上記各成分をトルエン(和光純薬株式会社製の特級品をそのまま使用した)に添加し、撹拌、溶解させ濃度20質量%~50質量%のワニス(樹脂組成物)を調製した。得られた各樹脂組成物の物性(接着性)を上記のとおり評価した。評価結果を下記表19~22に示す。該ワニスを離形処理されたカプトンフィルム上に30mm/秒の速度で塗工した後、窒素気流下送風乾燥機で100℃、30分乾燥し、フィルムを得た。得られたフィルムを窒素気流下送風乾燥機で200℃、90分硬化反応を行い、硬化物フィルムを得た。該硬化物フィルムを上記のとおり評価サンプルに供し、各物性を評価した。各評価結果を表19~22に示す。接着用試験片は前述の方法で作製した。
実施例34~43及び比較例21~33より、本実施形態の変性ブロック共重合体は硬化物として誘電性能、強度及び耐熱性のバランスに優れていることが明らかとなり、特に本硬化物を用いたガラスクロス、金属積層板、樹脂積層板を用いたプリント配線板用とに好適である。
〔実施例44~51〕、〔比較例34~43〕
樹脂組成物は、表23~26に示すとおりの配合割合で、成分(I):上記調製した各変性水添ブロック共重合体と、さらに下記の成分(II)~(IV)とを用いて、以下の調製方法にしたがって調製した。
<成分(II):ラジカル開始剤>
パークミルD(日油株式会社製)
<成分(III):極性樹脂>
ポリイミド系樹脂
ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70)(ケイ・アイ化成株式会社製)
4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン(BMI-H)(ケイ・アイ化成株式会社
製)
<成分(IV):硬化剤>
シアン酸エステル系硬化剤:2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパン(東京化成株式会社製)
ジアミン系硬化剤:4,4’-ジアミノジフェニルメタン (東京化成株式会社製)
(硬化物フィルムの作製)
硬化物フィルムの作製は、以下のとおり行った。まず、ポリイミド系樹脂とシアン酸エステル系硬化剤及び/又はジアミン系硬化剤を表23~26に記載の配合割合で160℃に溶解させ、撹拌しながら6時間反応させ、ビスマレイミドトリアジン樹脂オリゴマーを得た。
得られたビスマレイミドトリアジン樹脂オリゴマーをトルエンに溶解させ、残りの成分を添加し、撹拌、溶解させ濃度20質量%~50質量%のワニス(樹脂組成物)を調製した。得られた各樹脂組成物の物性(接着性)を上記のとおり評価した。評価結果を下記表23~26に示す。該ワニスを離形処理されたカプトンフィルム上に30mm/秒の速度で塗工した後、窒素気流下送風乾燥機で100℃、30分乾燥し、フィルムを得た。得られたフィルムを窒素気流下送風乾燥機で200℃、最大90分硬化反応を行い、硬化物フィルムを得た。該硬化物フィルムを上記のとおり評価サンプルに供し、各物性を評価した。各評価結果を表23~26に示す。
実施例44~51及び比較例34~43より、本実施形態の変性ブロック共重合体は硬化物として誘電性能、強度及び耐熱性のバランスに優れていることが明らかとなった。故に、特に本硬化物を用いたガラスクロス、金属積層板を用いたプリント配線板用途に好適である。
本発明の変性ブロック共重合体は、該ブロック共重合体を含む樹脂組成物及び/又はワニスを用いて作製した硬化物、フィルム、プリプレグ、特に該ブロック共重合体を含む樹脂組成物及び/又はワニス及び/又は硬化物を接着剤として使用し、誘電性、耐熱性、強度及び基材である金属箔及び樹脂との接着性に優れた電子回路基板が得られ、次世代通信用基板として産業上の利用可能性を有している。

Claims (20)

  1. ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)及び共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)を有する共重合体であって、
    0.01質量%以上の極性基を含有し、
    下記の条件(i)~(iii)を満たす変性ブロック共重合体;
    <条件(i)>
    前記変性ブロック共重合体中のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)の合計量が35質量%以上である、
    <条件(ii)>
    Co、Ti、Ni及びLiの合計含有量が90ppm以下である、
    <条件(iii)>
    重量平均分子量が3.5万~11.5万である。
  2. 前記変性ブロック共重合体が水素添加されている請求項1に記載の変性ブロック共重合体。
  3. 前記重合体ブロック(B)中の、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の量を100%とした場合に、前記単位(a)が水素添加されたアルケニル単量体単位(a1)の量が、80%以上である請求項1又は2に記載の変性ブロック共重合体。
  4. 前記重合体ブロック(B)が、前記アルケニル単量体単位(a1)と、1,4-結合に由来する単位(b)が水素添加されたアルケニル単量体単位(b1)とを含み、
    前記重合体ブロック(B)の総含有量を100%としたとき、前記アルケニル単量体単位(a1)と、前記アルケニル単量体単位(b1)との総含有量が、90%以上である請求項3に記載の変性ブロック共重合体。
  5. 前記極性基が前記重合体ブロック(B)に結合している請求項1又は2に記載の変性ブロック共重合体。
  6. 前記極性基が、カルボキシル基、ジカルボキシル基及び酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のブロック共重合体。
  7. 成分(I):請求項1に記載の変性ブロック共重合体と、下記成分(II)~(IV)からなる群より選ばれる少なくとも一種とを含む樹脂組成物;
    成分(II):ラジカル開始剤、
    成分(III)極性樹脂(ただし、成分(I)を除く)、
    成分(IV)硬化剤(ただし、成分(II)を除く)。
  8. 前記成分(III)が、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、液晶ポリエステル系樹脂及びフッ素系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項7に記載の樹脂組成物。
  9. 前記成分(III)がエポキシ系樹脂である請求項7に記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1に記載の変性ブロック共重合体を含む硬化物。
  11. 請求項1に記載の変性ブロック共重合体を含む接着剤。
  12. 請求項7に記載の樹脂組成物の硬化物。
  13. 請求項7に記載の樹脂組成物を含む接着剤。
  14. 請求項7に記載の樹脂組成物を含む樹脂フィルム。
  15. 基材と、請求項7に記載の樹脂組成物との複合体であるプリプレグ。
  16. 前記基材がガラスクロスである請求項15に記載のプリプレグ。
  17. 請求項7に記載の樹脂組成物の硬化物、及び/又は、請求項15に記載のプリプレグと、
    金属箔及び/又は熱硬化性樹脂と、
    を積層した積層体。
  18. 前記金属箔が銅箔であり、前記熱硬化性樹脂がポリイミド系樹脂である請求項17に記載の積層体。
  19. 請求項7に記載の樹脂組成物の硬化物、及び/又は、請求項15に記載のプリプレグの硬化物と、
    金属箔と、
    を積層した積層体。
  20. 請求項10又は12に記載の硬化物を含むプリント配線板。
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