JP2023133878A - 絶縁紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、芳香族ポリアミドのフィブリッド及び芳香族ポリアミドのフロックを原材料とする絶縁紙を、湿式抄紙法で安定して製造することができる絶縁紙の製造方法を提供することである。【解決手段】芳香族ポリアミドのフィブリッド及び芳香族ポリアミドのフロックを原材料とする絶縁紙の製造方法において、原材料を水に分散した分散液から、表面の開口部と裏面の開口部が一致している抄紙用プラスチックワイヤーを用いた湿式抄紙法によって製造することを特徴とする絶縁紙の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は絶縁紙の製造方法に関する。
車載用モーター、産業用モーター、トランス、発電機などに使用される電気絶縁材料の一つである絶縁紙は、耐熱性、耐燃性、電気絶縁性、強靭性等の性能を高いレベルで求められている。
電気絶縁性、耐熱性、耐燃性に優れた素材として、芳香族ポリアミド(アラミド)が知られている。芳香族ポリアミドとしては、繊維状又はフィルム状であるフィブリッド、短繊維であるフロックがあるが、このフィブリッドとフロックを任意の割合で均一に水に混合することで分散液を調成し、この分散液から湿式抄紙法によってシート化することで、絶縁紙が製造される。この絶縁紙は、耐熱性、耐燃性、電気絶縁性等を有していることに加えて、加工的適性も備えている。また、高い電気絶縁性が必要な用途にあっては、より高坪量の絶縁紙が求められている(特許文献1)。
フィブリッドは、微小性及び柔軟性を有することから、一般的な紙の木材パルプのように、物理的に絡みあった構造で堆積することができる。絶縁破壊を起こす欠陥の無い絶縁紙を得るためには、木材パルプと同様に、芳香族ポリアミドのフィブリッドに解繊、叩解処理を施すことが有効である。一方、解繊、叩解処理によって、フィブリッドの濾水度が低下するため、湿式抄紙法において安定して絶縁紙を製造できない場合があり、生産性を向上させる必要があった。
特許第6405583号公報
本発明の目的は、芳香族ポリアミドのフィブリッド及び芳香族ポリアミドのフロックを原材料とする絶縁紙を、湿式抄紙法で安定して製造することができる絶縁紙の製造方法を提供することである。
上記課題は下記手段によって解決することができた。
(1)芳香族ポリアミドのフィブリッド及び芳香族ポリアミドのフロックを原材料とする絶縁紙の製造方法において、原材料を水に分散した分散液から、表面の開口部と裏面の開口部が一致している抄紙用プラスチックワイヤーを用いた湿式抄紙法によって製造することを特徴とする絶縁紙の製造方法。
本発明によれば、芳香族ポリアミドのフィブリッド及び芳香族ポリアミドのフロックを原材料とする絶縁紙を、湿式抄紙法で安定して製造することができる。
実施例、参考例及び比較例で使用した抄紙用ワイヤーの光学顕微鏡写真である。
本発明は、芳香族ポリアミドのフィブリッド及び芳香族ポリアミドのフロックを原材料とする絶縁紙の製造方法であり、原材料を水に分散した分散液から、表面の開口部と裏面の開口部が一致している抄紙用プラスチックワイヤーを用いた湿式抄紙法によって製造することを特徴とする。
絶縁破壊を起こす欠陥の無い均一な絶縁紙を得るためには、フィブリッドを一般的な紙の木材パルプのように、解繊、叩解処理することが有効である。湿式抄紙法では、原材料を水に分散した分散液(スラリー)から水を除去して、ウエッブを形成する工程がある。具体的には、真空力によって水を吸引除去する装置によって、分散液を載せた抄紙用ワイヤーの裏側から脱水し、坪量、地合、微細な繊維の歩留まり、脱水速度をコントロールしている。
解繊、叩解処理したフィブリッドは、電気絶縁性に関して好ましい反面、湿式抄紙法におけるウエッブの脱水性を悪化させる問題、抄紙用ワイヤーの交差部分に絡みやすい問題、抄紙用ワイヤーの開口部を塞いでしまう問題等を引き起こす原因ともなっている。
フィブリッドを原材料とする絶縁紙を長時間製造する場合には、抄紙用プラスチックワイヤーの交差部分に絡まった原材料や開口部に詰まった原材料を、抄紙用ワイヤーの裏面からの洗浄装置を使って除去しなければならない。
抄紙用ワイヤーには、抄紙用金属製ワイヤー、抄紙用プラスチックワイヤーがある。抄紙用プラスチックワイヤーは、ポリアミド、ポリエステル等を素材としたフィラメントが使われている。そのため、抄紙用プラスチックワイヤーは、ブロンズやステンレスを素材としたフィラメントを使った抄紙用金属製ワイヤーに比べて、軽く扱いやすく、表面性、脱水性、摩耗性等の向上という要求に対する設計自由度の高さから、長網抄紙機、傾斜型抄紙機、傾斜短網抄紙機、ツインワイヤー型抄紙機などに幅広く用いられている。
抄紙用プラスチックワイヤーは、設計の自由度が高く、例えば、原材料が直接接する表面には細い糸を使って、ワイヤーマークが出にくい織り方とし、裏面には太い糸を使い、摩耗性を向上させる設計とすることができる。また、2重織り、3重織りの構造とすることによって、脱水性を向上させる設計とすることができる。しかしながら、表面と裏面の開口率と開口位置は不同であることが多く、表面の開口部と裏面の開口部が全く一致していないか、一部だけ一致していて、直線的に脱水できる面積が小さくなっている場合が多い。それゆえに、交差部分に絡まった原材料や開口部に詰まった原材料を、シャワー等の洗浄装置を使って水を当てて除去するためには、適切な空隙構造の抄紙用プラスチックワイヤーを選定しなければならない。
本発明に係わる抄紙用プラスチックワイヤーは、表面の開口部と裏面の開口部が一致している。そのため、厚みのある抄紙用金属製ワイヤーのメッシュのような構造となり、抄紙用金属製ワイヤーのメッシュに匹敵する脱水性と洗浄性を有している。
本発明に係わる抄紙用プラスチックワイヤーは、分散液から脱水する工程において、濾過抵抗が小さくなるので真空度は下がり、交差部分への原料の絡まりや開口部への原料の詰まりを抑えることが可能になる。さらに、裏面からのシャワーが有効に作用し、原料の絡まり及び詰まりによるワイヤーの目詰まりを防止でき、長時間の運転を可能にするものである。
本発明の実施例で使用した抄紙用プラスチックワイヤー(商品名:FUJI80XDII、日本フィルコン株式会社製)は、3重織りであるが、表面の開口部と裏面の開口部が一致していて、ほぼ同じである。そのため、抄紙用プラスチックワイヤー(商品名:FUJI80XDII、日本フィルコン株式会社製)の通気度(JIS L1096:2010 A法(フラジール形法))275cm/cm・sであり、参考例で使用した抄紙用金属製ワイヤーよりも通気性は劣るものの、同等の脱水性を有し、汚れにくく、洗浄性にも優れている。
芳香族ポリアミドとは、アラミドと呼ばれることがある。本発明において、芳香族ポリアミドとは、化学構造的には、アミド結合の60モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上が、芳香環に直接結合した線状高分子化合物のことである。
芳香族ポリアミドは、ベンゼン環へのアミド基の置換位置によって、パラ系芳香族ポリアミド、メタ系芳香族ポリアミド、パラ系芳香族ポリアミドの共重合体、メタ系芳香族ポリアミドの共重合体に大別される。
パラ系芳香族ポリアミドとしては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド及びその共重合体、ポリ(パラフェニレン)-コポリ(3,4′-ジフェニルエーテル)テレフタルアミド(コポリパラフェニレン・3,4′-オキシジフェニレンテレフタルアミド)等が挙げられる。
メタ系芳香族ポリアミドとしては、ポリメタフェニレンイソフタルアミド及びその共重合体、ポリメタフェニレンテレフタルアミド及びその共重合体等が例示される。これらの芳香族ポリアミドは、例えば、公知の界面重合法、溶液重合法等により工業的に製造されており、市販品として入手することが可能であるが、これに限定されるものではない。
本発明では、耐熱性、耐燃性、電気絶縁性に優れ、熱融着性も有していることから、メタ系芳香族ポリアミドが好ましい。メタ系芳香族ポリアミドの中でも、ポリメタフェニレンイソフタルアミドがより好ましい。
本発明において、芳香族ポリアミドのフィブリッドは、芳香族ポリアミドからなるフィルム状又は繊維状の小片であり、アラミドパルプと呼ばれる場合がある。フィブリッドは、多数の微小なフィブリル部を有する薄葉状、燐片状等のフィルム状又は繊維状の小片であり、フィブリッドを原材料とすると、湿式抄紙法によって紙に似た構造物を作ることができる。メタ系芳香族ポリアミドのフィブリッドは、結晶構造内に存在する水分子又は水分が加熱・減圧などにより除去される際に大きく収縮し、バインダーとしても優れた特性を有していて、繊維ネットワークを強固にするため、絶縁紙の強度を高めることができ、また、原材料歩留まりが良好となり、絶縁紙内でメタ系芳香族ポリアミドのフィブリッドが層状に重なり、貫通孔を減少させるため、電気絶縁性が向上する。
芳香族ポリアミドのフィブリッドは、繊維形成性高分子重合体溶液を水系凝固浴に導入して得られた形成物を、乾燥しないで回収し、必要に応じて叩解等のフィブリル化をすることにより得られる。芳香族ポリアミドのフィブリッドは、例えば、ポリマー重合体溶液をその沈殿剤とせん断力の存在する系において混合することにより製造されるフィブリッドや、光学的異方性を示す高分子重合体溶液から形成した分子配向性を有する非晶質含水形成物である。フィブリッドの製造方法は、例えば、特公昭35-11851号公報、特公昭37-5732号公報などに記載されている。フィブリッドには、必要に応じて解繊、叩解処理を施すことができる。
解繊、叩解処理としては、フィブリッドをリファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃によりせん断力を与える回転式ホモジナイザー、高速の回転する円筒の内刃と固定された外刃との間でせん断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより、繊維にせん断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー、高速回転する細かなスリットを持つリング状刃物(ローター)と、固定された細かなスリットを持つリング状刃物(ステーター)とが、噛み合うように配置された離解機等の解繊、叩解装置を用いた処理が挙げられる。
叩解処理した芳香族ポリアミドのフィブリッドは、抄紙用ワイヤーでのウエッブの脱水性を悪化すること、抄紙用プラスチックワイヤーの交差部分に絡む問題及び開口部を塞いでしまう問題を引き起こす原因ともなっている。また、これらの問題があるため、メタ系芳香族ポリアミドのフィブリルを原材料とする絶縁紙は、高坪量になればなるほど、製造することが難しい。本発明に係わる、表面の開口部と裏面の開口部が一致している抄紙用プラスチックワイヤーを用いることによって、これらの問題を解決することができ、高坪量(例えば、30g/m以上)であっても、安定的に長時間の製造が可能となる。
フィブリッドとしては、Toray Advanced Materials Korea(TAK)社の「Arawin(登録商標)」などの商品名で販売されているが、これらに限定されるものではない。
本発明において、芳香族ポリアミドのフィブリッドの変法濾水度は0~300mlであることが好ましく、より好ましくは50~200mlであり、さらに好ましくは80~150mlである。変法濾水度が300mlを超えた場合、フィブリッドの繊維幅が太く、フィブリル化があまり進んでいないため、フロックとの緻密なネットワークが少なくなるため、引張強度が低下する場合がある。一方、変法濾水度が0ml未満の場合、芳香族ポリアミドのフィブリッドのファイン分が増え過ぎて、ウエッブから脱落する割合が増え、歩留まりが低下する場合がある。また、解繊、叩解処理に時間が掛かり過ぎ、非常に高価なものになる。芳香族ポリアミドのフィブリッドの解繊、叩解処理が進むと、変法濾水度は下がり続ける。そして、変法濾水度が0mlに達した後も、さらに解繊、叩解処理を続けると、フィブリッドがメッシュ金網を通りすぎるようになり、変法濾水度が逆に上昇し始める。本発明では、このように、変法濾水度が逆上昇し始めた状態を「変法濾水度が0ml未満」と称している。
本発明において、変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度を0.1%にした以外はJIS P 8121-2:2012に準拠して測定した値である。
芳香族ポリアミドのフロックとは、芳香族ポリアミドの短繊維(ステープル)である。フロックとしては、TAK社の「Arawin(登録商標)」などの商品名で入手することができるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
芳香族ポリアミドのフロックの長さは、好ましくは1mm以上20mm未満であり、より好ましくは2~10mmである。フロックの長さが1mmよりも小さいと、絶縁紙の力学特性や加工性が低下する恐れがある。一方、該長さが20mm以上である場合、原材料同士の絡みや結束が発生しやすく、原材料が均一な分散し難くなり、絶縁紙に欠陥が発生しやすくなる。
芳香族ポリアミドのフロックの繊維径は、特に限定されないが、好ましくは0.1~25μmであり、より好ましくは1~20μmである。該繊維径が0.1μmよりも小さいと、水中での絡み合いが大きくなり絶縁紙の性能の低下を招く恐れがある。一方、該繊維径が25μmを上回ると、絶縁紙の力学特性や均一性が低下する恐れがある。
芳香族ポリアミドのフィブリッド/芳香族ポリアミドのフロックの質量比は、30/70~80/20であることが好ましく、40/60~70/30であることがより好ましく、45/55~60/40であることがさらに好ましい。該質量比は、所望とする絶縁紙の性能に応じて適宜選択すれば良い。
本発明において、絶縁紙は、湿式抄紙法(湿式抄造法)によって製造される。湿式抄紙法は原材料を水に分散して均一な分散液(スラリー)とし、この分散液を抄紙機で抄いて絶縁紙を製造する。抄紙機としては、円網抄紙機、長網抄紙機、傾斜型抄紙機、傾斜短網抄紙機、ツインワイヤー型抄紙機、これらの複合機が挙げられる。また、複数のヘッドボックスを有し、ワイヤー上で湿紙を重ね合わせる抄紙機にて製造することができる。分散液には、フィブリッド、フロック等の繊維系原材料の他に、必要に応じて、分散剤、紙力増強剤、増粘剤、無機填料、有機填料、消泡剤などの添加剤を適宜添加することができる。分散液の固形分濃度は、0.5~0.001質量%程度であることが好ましい。この分散液を、さらに所定濃度に希釈してから抄造し、ウエッブを得る。ついで、ウエッブは、プレスロールなどでニップされ、ついで、ヤンキードライヤー、多筒式ドライヤー等を使用し、乾燥及びフィブリッド及びフロックを熱溶融させて強度を発現させ、絶縁紙を得る。その他、補助乾燥として、熱風乾燥機、加熱ロール、赤外線ヒーターなどの加熱装置を併用することもできる。
湿式抄紙法によって得られた絶縁紙には、例えば、一対のロール間にて高温高圧で熱圧する熱カレンダー処理が施されても良い。熱カレンダー処理によって、密度、結晶化度、耐熱性、寸法安定性、機械強度、電気絶縁性等の性能が向上する場合がある。熱カレンダー処理により、芳香族ポリアミドのフィブリッド及び芳香族ポリアミドのフロックの少なくとも一部をさらに熱融着させることができる。熱カレンダー処理の条件としては、例えば金属製ロールを使用する場合の好ましい条件は、温度100~350℃であり、線圧50~400kN/mであり、速度1~100m/分である。熱カレンダー処理において、絶縁紙を複数枚積層することもできるし、また、熱カレンダー処理を複数回実施することもできる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において百分率(%)及び部は、断りの無い限り全て質量基準である。
実施例1
芳香族ポリアミドのフィブリッド(TAK製、商品名:Arawin FVG0001)を濃度1%でパルパーにて分散処理した後に、ビートファイナー(株式会社サトミ製作所)で変法濾水度が100mlになるまで、解繊、叩解処理した。芳香族ポリアミドのフロック(TAK製、商品名:Arawin、2dtex、7mm)をパルパーにて5分間攪拌して分散処理した。その後、フィブリッド/フロックの質量比が50/50となるように、フィブリッドとフロックとを混合して原材料の分散液を調成した。分散液から傾斜型抄紙機を用いて、脱水してウエッブを作製し、ウエッブを乾燥してシート化し、30g/mの絶縁紙を作製した。傾斜型抄紙機には、通気度275cm/cm・sであり、3重織りの抄紙用プラスチックワイヤー(日本フィルコン株式会社製、商品名:FUJI80XDII)を使い、サクションの真空圧は15cmHgであった。
実施例2
坪量を50g/mにした以外は実施例1と同一の方法で絶縁紙を作製した。この時の真空圧は18cmHgであった。
実施例3
坪量を15g/mにした以外は実施例1と同一の方法で絶縁紙を作製した。この時の真空圧は10cmHgであった。
実施例4
フィブリッド/フロックの質量比を80/20とした以外は実施例1と同一の方法で、30g/mの絶縁紙を作製した。この時の真空圧は25cmHgであった。抄紙用プラスチックワイヤー表面に原材料の堆積が僅かに認められたが、裏面からのシャワーによって除くことができた。
実施例5
フィブリッド/フロックの質量比を30/70とした以外は実施例1と同一の方法で、30g/mの絶縁紙を作製した。この時の真空圧は10cmHgであった。
比較例1
抄紙用プラスチックワイヤーを、通気度が275cm/cm・sであり、3重織りのプラスチックワイヤー(日本フィルコン株式会社製、商品名:TT800J)に変更し、30g/mの絶縁紙を作製したところ、原材料の脱水が不十分で、海島構造のような模様が発生した。この時の真空圧は30cmHgであった。
比較例2
坪量を50g/mにした以外は比較例1と同一の方法で絶縁紙を作製した。この時の真空圧は45cmHgであった。海島構造のような模様が発生し、抄紙用プラスチックワイヤー表面に多量の原材料が付着していた。
比較例3
抄紙用プラスチックワイヤーを、通気度が200cm/cm・sであり、3重織りのプラスチックワイヤー(日本フィルコン株式会社製、商品名:FUJI30XT)へ変更した以外は実施例1と同一の方法で、30g/mの絶縁紙を作製した。この時の真空圧は42cmHgであった。海島構造のような模様が発生し、抄紙用プラスチックワイヤー表面に多量の原材料が付着していた。
参考例1
ステンレス製、80メッシュ、通気度が520cm/cm・sであり、平織の抄紙用金属製ワイヤーを使った円網抄紙機で、30g/mの絶縁紙を作製した。この時の真空圧は10cmHgであった。参考例1で使った抄紙用金属製ワイヤーは、脱水性及び洗浄性にも優れており、裏面からのシャワーによって、清浄性が保持され、ロングラン適性(連続操業性)も良好である。
実施例6
ビートファイナーで解繊、叩解処理したフィブリッドの変法濾水度を295mlとした以外は実施例1と同一の方法で、30g/mの絶縁紙を作製した。この時の真空圧は12cmHgであった。
実施例7
ビートファイナーで解繊、叩解処理したフィブリッドの変法濾水度を50mlとした以外は実施例1と同一の方法で、30g/mの絶縁紙を作製した。この時の真空圧は23cmHgであった。
実施例、参考例及び比較例の絶縁紙について、下記物性の測定と評価を行い、結果を表1に示した。
<絶縁紙の坪量>
JIS P8124:2011に準拠して、絶縁紙の坪量を測定した。
<絶縁紙の厚み>
絶縁紙の厚みは、JIS B7502:2016に規定された外側マイクロメーターを用いて、5N荷重時の厚みを測定した。
<脱水性>
目的の坪量のウエッブを形成する際の真空圧を脱水性の目安とした。坪量が30g/m以上の高坪量の絶縁紙を安定して製造するためには、真空圧が30cmHg以下であることが好ましく、10cmHg以下がより好ましい。
<汚れ・洗浄性>
操業性・ロングラン適性(連続操業性)を抄紙用ワイヤーの表面の『汚れ』で評価した。抄紙用ワイヤーとウエッブが分離した後の抄紙用ワイヤーの表面を観察し、下記基準にて評価した。
『汚れ』評価の基準
○:表面にフロックやフィブリッドによる汚れがほとんど無いもの。
△:表面の一部がフロックやフィブリッドにより汚れているもの。
×:表面の全面に汚れが発生しているもの。
さらに、上記『汚れ』評価の結果が△又は×である場合、シャワーによる洗浄後の抄紙用ワイヤーの表面を観察し、『洗浄性』評価を行った。評価基準は『汚れ』評価と同じである。『汚れ』評価が△又は×であっても、『洗浄性』評価が○であれば、長時間の製造にも耐えることが可能であり、操業性・ロングラン適性があると言える。
<引張強度>
絶縁紙の引張強度は、JIS P8113:2006に準拠し、試験片の幅(CD方向)50mm、試験片の長さ(MD方向)200mm、つかみ具間の初期試験長さ100mm、伸長速度10mm/minで測定した。
<破壊電圧>
絶縁紙の破壊電圧は、耐電圧試験機(菊水電子工業株式会社製、モデルTOS5301)を使って測定した。
図1は、実施例、参考例及び比較例で使用した抄紙用ワイヤーの光学顕微鏡写真である。実施例で使用したFUJI80XDIIは、表面の開口部と裏面の開口部が一致していて、金属製ワイヤーと同様に、開口部が貫通している。比較例で使用したTT800J及びFUJI30XTは、表面の開口部と裏面の開口部が一致しておらず、表面の開口部と裏面の糸が重なっていて、貫通していない開口部がある。
実施例1~3、5及び6では、表面の開口部と裏面の開口部が一致している抄紙用プラスチックワイヤーを用いた湿式抄紙法によって絶縁紙を製造していることから、80メッシュの抄紙用金属製ワイヤーを用いて湿式抄紙法によって絶縁紙を製造した参考例1と同様に、表面の汚れがほとんど無く、長時間の操業が可能であることが判る。
実施例4及び7では、表面の一部が汚れたが、洗浄性は良好であり、洗浄により表面の汚れは除去できるので、長時間の操業も可能であることが判る。
比較例1で用いた抄紙用プラスチックワイヤーは、実施例で用いた抄紙用プラスチックワイヤーと同じ通気度であるものの、表面の開口部と裏面の開口部が一致していないため、表面の一部が汚れ、洗浄によっても汚れが除去できず、長時間の操業は困難であった。比較例2では、比較例1よりも高坪量である50g/mの絶縁紙を作製したため、表面の汚れが悪化し、洗浄しても、汚れが除去できず、比較例1よりも短い時間で操業不能となった。
比較例3で用いた抄紙用プラスチックワイヤーは、通気度が小さく、3重織りであり、フィラメントが太く、開口部は小さく、表面の開口部と裏面の開口部が一致していないため、表面が汚れ、洗浄しても、汚れが除去できず、長時間の操業は困難であった。
本発明の絶縁紙の製造方法は、耐熱性、耐燃性、電気絶縁性、強靭性に優れており車載用モーター、産業用モーター、トランス、発電機等の分野で好適に使用できる絶縁紙を製造する際に利用できる。また、芳香族ポリアミドのフィブリッド及びフロック以外の微細な繊維を使用する紙を製造する際にも利用することができる。

Claims (1)

  1. 芳香族ポリアミドのフィブリッド及び芳香族ポリアミドのフロックを原材料とする絶縁紙の製造方法において、原材料を水に分散した分散液から、表面の開口部と裏面の開口部が一致している抄紙用プラスチックワイヤーを用いた湿式抄紙法によって製造することを特徴とする絶縁紙の製造方法。
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