JP2023133741A - 半導体封止用樹脂組成物、および半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】信頼性が向上できる半導体封止用樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明の半導体封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、イオン捕捉剤(C)と、を含み、前記イオン捕捉剤(C)は、2,6位にヒンダード基を有するフェノール化合物(C-1)を含み、以下の条件1で測定されるpHが4.0~7.0である。条件1:前記半導体封止用樹脂組成物を175℃、4時間の条件により熱硬化させて得られる硬化物を粉砕し、粉砕物を得る。次いで、粉砕直後の前記粉砕物5gを純水50ml中に入れた後、この純水に対し125℃、24時間の条件下で熱水抽出処理を行い、得られた抽出液のpH(25℃)を測定する。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体封止用樹脂組成物、および半導体装置に関する。
エポキシ樹脂や硬化剤には、製造工程に起因する加水分解性の塩素、硫黄等のアニオン性イオン、ナトリウム、カリウム等のカチオン性イオンといったイオン性不純物が存在することが知られている。そのため、これらを含む電子部品封止材においては、加湿及び加熱下のエージングによってイオン性不純物が遊離し、電子部品の接続部分の金属パターンを腐食させたり、信頼性を低下させる要因となることが知られていた。
そのため、電子部品封止材にはイオン性不純物による影響を抑制するため、いわゆるイオン捕捉剤が用いられている。例えば、特許文献1には、電子部品半導体封止用樹脂組成物にイオン捕捉剤としてハイドロタルサイト化合物を用いることが開示されている。
一方で、光半導体用の封止材は、高い透明性が求められる。そのため、透明性を保持し耐候性・変色抑制能を得る観点から、酸化防止剤としてフェノール系化合物が用いられることが知られている(たとえば特許文献2)。
国際公開第2008/136272号 特開2016-117798号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1,2に記載の半導体パッケージは高温多湿下における信頼性の点で改善の余地があることが判明した。また、特許文献2に記載されるフェノール系化合物は、その酸化防止能に着目したものにとどまるものであった。
これに対し、本発明は、新たにフェノール系化合物のイオン捕捉剤として用いることに着眼し、特定の条件で測定されるpHまたはイオン濃度を指標としてこれを制御することでかかるフェノール系化合物のイオン捕捉剤能を有効に引き出せることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の半導体封止用樹脂組成物、半導体装置が提供される。
[1]
エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、イオン捕捉剤(C)と、を含む半導体封止用樹脂組成物であって、
前記イオン捕捉剤(C)は、2,6位にヒンダード基を有するフェノール化合物(C-1)を含み、
以下の条件1で測定されるpHが4.0~7.0である、半導体封止用樹脂組成物。
条件1:前記半導体封止用樹脂組成物を175℃、4時間の条件により熱硬化させて得られる硬化物を粉砕し、粉砕物を得る。次いで、粉砕直後の前記粉砕物5gを純水50ml中に入れた後、この純水に対し125℃、24時間の条件下で熱水抽出処理を行い、得られた抽出液のpH(25℃)を測定する。
[2]
エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、イオン捕捉剤(C)と、を含む半導体封止用樹脂組成物であって、
前記イオン捕捉剤(C)は、2,6位にヒンダード基を有するフェノール化合物(C-1)を含み、
以下の条件2で測定されるアンモニウムイオン濃度が6ppm以下および/または硫酸イオン濃度が20ppm以下である、半導体封止用樹脂組成物。
条件2:前記半導体封止用樹脂組成物を175℃、4時間の条件により熱硬化させて得られる硬化物を粉砕し、粉砕物を得る。次いで、粉砕直後の前記粉砕物5gを純水50ml中に入れた後、この純水に対し125℃、24時間の条件下で熱水抽出処理を行い、得られた抽出液をイオンクロマトグラフにより分析することにより、前記半導体封止用樹脂組成物中のアンモニウムイオンおよび硫酸イオンの濃度(ppm)を測定する。
[3]
[1]または[2]に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記フェノール化合物(C-1)の前記ヒンダード基が、t-ブチル基、1,1-ジメチル-プロピル基、およびメシチル基の中から選ばれる1種または2種以上である、半導体封止用樹脂組成物。
[4]
[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記イオン捕捉剤(C)が、ハイドロタルサイト(C-2)をさらに含む、半導体封止用樹脂組成物。
[5]
[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記イオン捕捉剤(C)の含有量は、前記半導体封止用樹脂組成物全量に対し、0.05~5.0質量%である、半導体封止用樹脂組成物。
[6]
[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
エポキシ樹脂(A)は、トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型多官能エポキシ樹脂、オルソクレゾール型二官能エポキシ樹脂、ビフェニル型二官能エポキシ樹脂およびビスフェノール型二官能エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上を含む、半導体封止用樹脂組成物。
[7]
[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂(A)の含有量は、前記半導体封止用樹脂組成物全量に対して、2~40質量%である、半導体封止用樹脂組成物。
[8]
[1]乃至[7]のいずれか一つに記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記硬化剤(B)は、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、及び、メルカプタン系硬化剤から選択される1種または2種以上を含む、半導体封止用樹脂組成物。
[9]
[1]乃至[8]のいずれか一つに記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
硬化剤(B)の反応基のモル数に対するエポキシ樹脂(A)のエポキシ基のモル数(エポキシ基/反応性基:モル当量)が、0.5~2.0である、半導体封止用樹脂組成物。
[10]
[1]乃至[9]のいずれか一つに記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
無機フィラー(D)をさらに含む、半導体封止用樹脂組成物。
[11]
[1]乃至[10]のいずれか一つに記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
着色剤(E)をさらに含む、半導体封止用樹脂組成物。
[12]
[1]乃至[11]のいずれか一つに記載の半導体封止用樹脂組成物を硬化することにより形成された封止樹脂を備える半導体装置。
本発明によれば、半導体装置の信頼性を向上できる半導体封止用樹脂組成物および信頼性が向上した半導体装置を提供できる。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。また、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」の意である。
<半導体封止用樹脂組成物>
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、イオン捕捉剤(C)と、を含み、かつ、イオン捕捉剤(C)は、2,6位にヒンダード基を有するフェノール化合物(C-1)(以下、「フェノール化合物(C-1)」とも表記する)を含む。さらに、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、以下の条件1で測定されるpHが4.0~7.0である。
条件1:前記半導体封止用樹脂組成物を175℃、4時間の条件により熱硬化させて得られる硬化物を粉砕し、粉砕物を得る。次いで、粉砕直後の前記粉砕物5gを純水50ml中に入れた後、この純水に対し125℃、24時間の条件下で熱水抽出処理を行い、得られた抽出液のpH(25℃)を測定する。
ここで、本発明者は、フェノール化合物(C-1)がイオンキャッチャーとして効果的に作用する条件について鋭意検討を行い、条件1で測定されるpHという新たな指標を考案するとともにこれをpH4.0~7.0に制御することが有効であることを見出した。かかるメカニズムの詳細は明らかではないが、半導体封止用樹脂組成物を所定の条件で処理したときのpHを特定の数値範囲に制御することで、フェノール化合物(C-1)のフェノール性水酸基が半導体封止用樹脂組成物中に遊離したラジカルを持つ物質と効果的に反応できるようになり、ラジカルを持つ物質を不活性な物質に変える結果、半導体封止用樹脂組成物中のイオン性不純物を低減できると推測される。また、フェノール性ヒドロキシ基に隣接する2つの置換位置(2位と6位)に嵩高いヒンダード基があることで、耐熱性が向上し、高温高湿下においても遊離したイオンを適度に捕捉できると推測される。これにより、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物を用いた半導体装置の信頼性を向上できる。なかでも、イオン性不純物は、半導体装置を高温多湿下で使用・保管した場合に発生しやすい。そのため、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物によれば、半導体装置を高温高湿下で使用・保管した場合であっても、高い信頼性を得ることができる。
条件1において、pH(25℃)は4.0~7.0であり、好ましくは4.5~6.5であり、より好ましくは5.0~6.0である。
また、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、イオン捕捉剤(C)と、を含み、かつ、イオン捕捉剤(C)は、2,6位にヒンダード基を有するフェノール化合物(C-1)(以下、「フェノール化合物(C-1)」とも表記する)を含む。さらに、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、以下の条件2で測定されるアンモニウムイオン濃度が6ppm以下および/または硫酸イオン濃度が20ppm以下である。
条件2:前記半導体封止用樹脂組成物を175℃、4時間の条件により熱硬化させて得られる硬化物を粉砕し、粉砕物を得る。次いで、粉砕直後の前記粉砕物5gを純水50ml中に入れた後、この純水に対し125℃、24時間の条件下で熱水抽出処理を行い、得られた抽出液をイオンクロマトグラフにより分析することにより、前記半導体封止用樹脂組成物中のアンモニウムイオンおよび硫酸イオンの濃度(ppm)を測定する。
ここで、本発明者は、フェノール化合物(C-1)がイオンキャッチャーとして効果的に作用する条件について鋭意検討を行い、条件2で測定されるイオン濃度という新たな指標を考案した。すなわち、半導体封止用樹脂組成物中のイオンバランスを制御することによって、遊離しやすいイオンを効果的に低減でき、これにより、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物を用いた半導体装置の信頼性を向上できる。
本実施形態において、条件2で測定されるアンモニウムイオン濃度は6ppm以下であり、かつ硫酸イオン濃度が20ppm以下であることが好ましい。
上記の条件1によって特定されるpH、および条件2によって特定されるイオン濃度である半導体封止用樹脂組成物は、たとえば半導体封止用樹脂組成物に含まれる各成分の種類や含有量、および半導体封止用樹脂組成物の調製方法等を適切に調整することにより制御することが可能である。なかでも、イオン捕捉剤の種類の選択および組み合わせ、含有量を制御することが効果的な方法の一つとして挙げられる。
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度は、好ましくは140℃以上250℃以下であり、より好ましくは150℃以上230℃以下である。なお、半導体封止用樹脂組成物の硬化物とは、140℃2分の条件で成形し、140℃4時間の条件で後硬化させたものを意図する。
以下、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物に含まれる各成分について詳述する。
[エポキシ樹脂(A)]
エポキシ樹脂(A)は、半導体封止用樹脂組成物の熱硬化性樹脂として用いられるものであり、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。
エポキシ樹脂(A)としては、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;オルソクレゾール型二官能エポキシ樹脂、ビフェニル型二官能エポキシ樹脂およびビスフェノール型二官能エポキシ樹脂等の二官能エポキシ樹脂;トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型多官能エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂等のナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
なかでも、トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型多官能エポキシ樹脂、オルソクレゾール型二官能エポキシ樹脂、ビフェニル型二官能エポキシ樹脂およびビスフェノール型二官能エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上が好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂(A)の含有量は、半導体封止用樹脂組成物全量に対し、2~40質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましく、4~20質量%がさらに好ましい。
エポキシ樹脂(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、適度な流動性による良好な加工性を保持しつつ、信頼性を向上できる。一方エポキシ樹脂(A)の含有量を上記上限値以下とすることにより、保存性を良好にし、高い信頼性を維持できる。
[硬化剤(B)]
本実施形態における硬化剤(B)は、半導体封止用樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、例えば、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、及びメルカプタン系硬化剤が挙げられ、これらから選択される少なくとも1種を含むことができる。これらの中でも、耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、保存安定性等のバランスの点からフェノール系硬化剤を含むことが好ましい。
<フェノール系硬化剤>
フェノール系硬化剤としては、半導体封止用樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール、α-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール類とホルムアルデヒドやケトン類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂、上記したフェノール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂などのフェノールアラルキル樹脂、トリスフェニルメタン骨格を有するフェノール樹脂、などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<アミン系硬化剤>
アミン系硬化剤としては、ジエチレントリアミン(DETA)やトリエチレンテトラミン(TETA)やメタキシリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)やm-フェニレンジアミン(MPDA)やジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)や有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<酸無水物系硬化剤>
酸無水物系硬化剤としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)やメチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)や無水マレイン酸などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)や無水ピロメリット酸(PMDA)やベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)、無水フタル酸などの芳香族酸無水物などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<メルカプタン系硬化剤>
メルカプタン系硬化剤としては、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<その他硬化剤>
その他の硬化剤としては、イソシアネートプレポリマーやブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物、カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記のうち異なる系の硬化剤の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
封止用樹脂組成物は、硬化剤(B)を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
本実施形態において、硬化剤(B)の量は、エポキシ樹脂(A)の量との関係で適切に調整されることが好ましい。具体的には、いわゆる「モル当量」(反応性基のモル比)が適切に調整されることが好ましい。
例えば、硬化剤(B)の含有量に対するエポキシ樹脂(A)の含有量は、官能基のモル比に応じて適宜設定されるが、それぞれの官能基のモル当量(エポキシ基/反応性基)で、好ましくは0.5~2.0であり、より好ましくは0.8~1.5であり、さらに好ましくは0.9~1.3であり、ことさらに好ましくは1.0~1.2である。
例えば、硬化剤(B)がフェノール系硬化剤である場合、フェノール系硬化剤に対するエポキシ樹脂(A)の量は、官能基のモル当量(エポキシ基/ヒドロキシ基)で、好ましくは0.9~1.5、より好ましくは1.0~1.4、さらに好ましくは1.0~1.3、ことさらに好ましくは1.01~1.20である。
このような数値範囲とすることにより、耐湿信頼性や耐リフロー性を向上させつつ、信頼性を向上できる。
また、本実施形態の硬化剤(B)の含有量は、半導体封止用樹脂組成物全量に対し、0.5~15質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましく、2~8質量%がさらに好ましい。
硬化剤(B)の含有量を上記下限値以上とすることにより樹脂組成物の流動性を良好なものとし、成形性の向上を図ることができる。一方、硬化剤(B)の含有量を上記上限値以下とすることにより封止材層の耐湿特性を向上させることができる。
[イオン捕捉剤(C)]
イオン捕捉剤(C)は、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物中に含まれる不純物イオンをイオン交換するために用いられる。これにより、耐リフロー性、耐湿信頼性および高温動作特性という観点において信頼性に優れることができる。
<フェノール化合物(C-1)>
本実施形態のイオン捕捉剤(C)は、2,6位にヒンダード基を有するフェノール化合物(C-1)を含むものである。これにより、効果的に不純物イオンを低減できる。当該ヒンダード基は、少なくとも1つの第三級炭素を含んでおり、各ヒンダード基は、第三級炭素の1つが、上記の2位または6位に結合している。これにより、耐熱性が向上し、高温でも分解が抑制されるため、高温耐湿下においてもイオン捕捉能が発揮されやすくなる。
各ヒンダード基は、嵩高く、立体障害が大きな置換基であり、1つまたは2つ以上の第三級炭素を含んでいればよい。各ヒンダード基としては、t-ブチル基、1,1-ジメチル-プロピル基、メシチル基などが挙げられる。なかでも、2,6位に位置するヒンダード基がいずれもt-ブチル基であることが好ましい。
フェノール化合物(C-1)としては、例えば、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H、3H,5H)-トリオン、4,4’,4’’-(1-メチルプロパニル-3-イリデン)トリス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、6,6’-ジ-tert-ブチル-4,4’-ブチリデンジ-m-クレゾール、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、2,2’-チオジエチルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、N,N’-(1,6-ヘキサンジイル)ビス[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパンアミド]、ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
フェノール化合物(C-1)の含有量は、イオン捕捉剤(C)全量に対して、100質量%であってもよいが、50~90質量%であることが好ましく、60~90質量%であることがより好ましく、70~90質量%であることがさらに好ましい。これにより、フェノール化合物(C-1)によるイオン捕捉能を効果的に発揮できる。
フェノール化合物(C-1)の含有量は、半導体封止用樹脂組成物全量に対して、0.1~5.0質量%であることが好ましく、0.2~4.0質量%であることがより好ましく、0.5~3.0質量%であることがさらに好ましく、0.7~2.5質量%であることがことさらに好ましい。
<ハイドロタルサイト(C-2)>
本実施形態のイオン捕捉剤(C)は、さらにハイドロタルサイト(C-2)を含むことができる。ハイドロタルサイト(C-2)は結晶構造が層状構造をしており、2価および3価の金属の複合水酸化物からなる基本層と、その基本層間にアニオンと水を有する中間層からなる。これにより、基本層の表層および層間にアニオンを吸着することができる。
ハイドロタルサイト(C-2)の含有量は、イオン捕捉剤(C)全量に対して、1~50質量%であることが好ましく、5~45質量%であることがより好ましく、10~30質量%であることがさらに好ましい。
また、本実施形態のイオン捕捉剤(C)はさらに多価金属酸性塩等の無機イオン交換体を含んでもよい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のイオン捕捉剤(C)の含有量は、半導体封止用樹脂組成物全量に対し、0.05~5.0質量%が好ましく、0.1~3.0質量%がより好ましく、0.2~2.5質量%がさらに好ましく、0.3~2.0質量%がことさらに好ましい。
イオン捕捉剤(C)の含有量を上記下限値以上とすることにより高温高湿保管特性をより効果的に向上させることができる。イオン捕捉剤(C)の含有量を上記上限値以下とすることにより高温高湿耐性を保持しつつ、良好な封止特性が得られ、耐リフロー性を向上させることができる。
[無機フィラー(D)]
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、無機フィラー(D)を含むことができる。
無機フィラー(D)として具体的には、たとえば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスなどのケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカなどの酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素などの窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどのチタン酸塩などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なかでも、無機フィラー(D)としては、シリカが好ましい。
上記のシリカとしては、例えば、結晶性シリカ(破砕状の結晶性シリカ)、溶融シリカ(破砕状のアモルファスシリカ、球状のアモルファスシリカ)、および液状封止シリカ(液状封止用の球状のアモルファス止シリカ)が挙げられる。なかでも、電気的信頼性を向上し、封止を実現しやすくする観点から、溶融球状シリカであることが好ましい。
無機フィラー(D)の体積基準の粒度分布による累積50%値、すなわち平均粒径D50は、好ましくは0.1~100μmであり、より好ましくは0.2~80μmであり、さらに好ましくは0.3~50μmであり、ことさらに好ましくは0.4~15μmである。
無機フィラー(D)の平均粒径D50を、上記下限値以上とすることにより、無機フィラー(D)の機械的強度を高めることができる。一方、無機フィラー(D)の平均粒径D50を、上記上限値以下とすることにより、充填性を高めることができる。
なお、無機フィラー(D)の体積基準粒度分布は、市販のレーザー式粒度分布計(たとえば、株式会社島津製作所製、SALD-7000)で測定することができる。これにより、無機フィラー(D)の外径を測定できる。
無機フィラー(D)には、シランカップリング剤などのカップリング剤による表面修飾が行われていてもよい。これにより、無機フィラー(D)の凝集が抑制され、より良好な流動性を得ることができる。また、無機フィラー(D)と他の成分との親和性が高まり、無機フィラー(D)の分散性が向上する。このことは、硬化物の機械的強度を向上するとともに良好な信頼性が得られると考えられる。
表面修飾のためのカップリング剤としては、後述のカップリング剤として挙げているもの等を用いることができる
本実施形態の無機フィラー(D)の含有量は、半導体封止用樹脂組成物全量に対し、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、85質量%がことさらに好ましい。一方、無機フィラー(D)の含有量は、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
無機フィラー(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより高温高湿耐性等を向上させることができる。
無機フィラー(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより成形時の良好な流動性を保持し成形性を良好にできる。
[着色剤(E)]
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は着色剤(E)を含むことができる。着色剤(E)としては、所望の着色力が得られる着色剤であれば特に限定されず、使用することができる。例えば、黒色系着色剤、青色系着色剤、黄色系着色剤、緑色系着色剤、赤色系着色剤、白色系着色剤、橙色系着色剤、紫色系着色剤、褐色系着色剤等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
黒色系着色剤としては、例えば、黒色酸化チタン、ピッチ、カーボンブラック等が挙げられる。これらは一種または二種以上を用いることができる。なかでも、カーボンブラック、黒色酸化チタンが好ましい。
青色系着色剤としては、群青、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー、インジゴ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、メチレンブルー等の青色顔料または青色染料等が挙げられる。
黄色系着色剤としては、黄鉛、亜鉛華、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、チタンイエロー、ベンジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントイエロー、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、不溶性アゾ、縮合アゾ、アゾレーキ等のアゾ系顔料等の黄色顔料または黄色染料等が挙げられる。
緑色系着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、エメラルドグリーン、ナフトールグリーン、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ポリクロルブロム銅フタロシアニン等の緑色顔料または緑色染料等が挙げられる。
赤色系着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、アンチモンレッド、パーマネントレッド、イルガジンレッド、ペリレンレッド、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、チオインジゴレッド、PVカーミン、モノライトフェーストレッド、キナクリドン、ウオッチングレッド、リソールレッド、ブリリアンカーミン、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ、アントラキノン系、インジゴ、イソインドリンジケトピロロピロール系、クロモファインレッド等の縮合多環系顔料等の赤色顔料または赤色染料を用いることができる。
白色系着色剤としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトボン、酸化アンチモン等の白色顔料または白色染料を用いることができる。
橙色系着色剤としては、クロームバーミロオン、パーマネントオレンジ、バルカンファーストオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジ等の橙色顔料または橙色染料を用いることができる。
紫色系着色剤としては、コバルト紫、マンガン紫、ファーストバイオレット、メチルバイオレットレーキ、インダンスレンブリリアントバイオレット、ジオキサジンバイオレット等の紫色顔料または紫色染料を用いることができる。
褐色系着色剤としては、酸化鉄、パーマネントブラウン、パラブラウン等の褐色顔料または褐色染料を用いることができる。
これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
本実施形態の半導体用封止組成物は、さらに以下の成分を含むことができる。
[硬化促進剤]
本実施形態の硬化促進剤は、触媒として作用する。硬化促進剤としては、たとえば、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、または、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、イミダゾール等のアミジン系化合物;ベンジルジメチルアミン等の3級アミン、アミジニウム塩、またはアンモニウム塩等の窒素原子含有化合物;フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール、2,3-ジヒドロキシナフタレン等のフェノール化合物等が挙げられる。また、上記有機ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、1,2-ビス-(ジフェニルホスフィノ)エタン等が挙げられる。
なかでも、硬化促進剤が、有機ホスフィンまたはフェノール化合物であることが好ましい。
硬化促進剤の含有量は、半導体封止用樹脂組成物全量に対して、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上2質量%以下であることがより好ましい。
硬化促進剤の含有量を上記下限値以上とすることにより、半導体封止用樹脂組成物を適切に硬化しやすくなる。一方、硬化促進剤の含有量を上記上限値以下とすることにより、溶融状態を長くし、より低粘度状態を長くできる。
[カップリング剤]
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、カップリング剤を含むことができる。カップリング剤としては、たとえば、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を用いることができる。
より具体的には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-[ビス(β-ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(β-アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N-(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルーブチリデン)プロピルアミンの加水分解物等のシラン系カップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カップリング剤の含有量は、半導体封止用樹脂組成物全量に対して、0.05質量%以上3質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることがより好ましい。カップリング剤の含有量を上記下限値以上とすることにより、半導体封止用樹脂組成物中における無機フィラー(D)の分散性を良好なものとすることができる。また、カップリング剤の含有量を上記上限値以下とすることにより、半導体封止用樹脂組成物の流動性を良好なものとし、成形性の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、上記成分の他に、たとえば、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸もしくはその金属塩類、パラフィン、酸化ポリエチレン等の離型剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力剤;水酸化アルミニウム等の難燃剤等の各種添加剤を含むことができる。
<半導体封止用樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、公知の方法を適切に組み合わせることにより得られるものであり、例えば、上述した成分を、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、または自転公転式分散方式などの各種混合機を用いて溶剤中に溶解、混合、撹拌することによりワニス状の組成物として調製することができる。
溶剤としては、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、およびN-メチルピロリドンなどが挙げられる。溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<半導体装置>
本実施形態の半導体装置は、上記の半導体封止用樹脂組成物の硬化物により構成される封止樹脂を備える。これにより、信頼性に優れた半導体装置が得られる。
本実施形態においては、半導体素子およびボンディングワイヤを、封止用樹脂組成物の硬化物により構成される封止樹脂により封止することにより、半導体パッケージが形成される場合が例示される。半導体素子は、たとえばリードフレームを構成するダイパッドもしくは有機基板等の基材上、または他の半導体素子上に搭載される。このとき、半導体素子は、ボンディングワイヤを介して、リードフレームを構成するアウターリード、有機基板または他の半導体素子と電気的に接続することとなる。ボンディングワイヤは、たとえば半導体素子に設けられる電極パッドに接続される。半導体素子の電極パッドは、たとえば少なくとも表面がAlを主成分とする金属材料により構成される。
本実施形態の半導体装置は、上記の半導体封止用樹脂組成物を用い、公知の方法であることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<原材料>
半導体封止用樹脂組成物の原材料としては、以下のものを用いた。
[エポキシ樹脂(A)]
・エポキシ樹脂1 トリフェニルメタン型エポキシ樹脂とビフェニル型エポキシ樹脂の混合物(三菱化学株式会社製、YL6677
[硬化剤(B)]
・硬化剤1 トリフェニルメタン骨格を有するフェノール樹脂(エア・ウォーター社製、HE910-20、水酸基当量101g/eq)
[イオン捕捉剤(C)]
・イオンキャッチャー1(C-1) ヒンダードフェノール系添加剤(BASFジャパン、Irganox 1010
・イオンキャッチャー2(C-2) ハイドロタルサイト(協和化学社製、DHT-4H)
[無機フィラー(D)]
・無機充填材1 球状シリカ(TS-6026、マイクロン社製、平均粒径9.0μm)
・無機充填材2 球状シリカ(株式会社アドマテックス製、平均粒子径d50:0.5μm)
[着色剤(E)]
・着色剤1 カーボンブラック(東海カーボン株式会社製)
[カップリング剤]
・カップリング剤1 N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製 CF-4083
・カップリング剤2 3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(チッソ株式会社製、S810)
[その他]
・硬化促進剤1 4-ヒドロキシ-2-(トリフェニルホスホニウム)フェノラート(ケイ・アイ化成株式会社製、TPP-BQ)
・離型剤1 酸化ポリエチレンワックス(リコワックス PED191、クラリアント・ジャパン社製)
<実施例・比較例>
各実施例・比較例について表1に示す固形分割合で各成分を混合し、混合物を得た。混合は、常温でヘンシェルミキサーを用いて行った。
その後、その混合物を、70~100℃でロール混練し、混練物を得た。
得られた混練物を冷却し、その後、粉砕し、封止用樹脂組成物を得た。
<測定・評価>
得られた各半導体封止用樹脂組成物について、以下の評価・測定を行った。結果を、表1に示す。
[条件1]
各半導体封止用樹脂組成物を、金型温度175℃、注入圧力10.0MPa、硬化時間2分の条件で成形し、その後、175℃、4時間の条件で後硬化して硬化物を得た。その硬化物を粉砕ミルにより3分間粉砕したものを、200メッシュの篩で篩分し、篩を通過した粉を試料として調製した。
得られた試料5gと純水50mlとを、テフロン(登録商標)製耐圧容器に入れて密閉し、温度125℃、相対湿度100%RH、24時間の処理(熱水抽出)を行なった。次に、室温まで冷却した後、遠心分離にかけ、20μmフィルターにてろ過し、ろ液を抽出液とした。
得られた抽出液のpH(25℃)を測定した。
[条件2]
各半導体封止用樹脂組成物を、金型温度175℃、注入圧力10.0MPa、硬化時間2分の条件で成形し、その後、175℃、4時間の条件で後硬化して硬化物を得た。その硬化物を粉砕ミルにより3分間粉砕したものを、200メッシュの篩で篩分し、篩を通過した粉を試料として調製した。
得られた試料5gと純水50mlとを、テフロン(登録商標)製耐圧容器に入れて密閉し、温度125℃、相対湿度100%RH、24時間の処理(熱水抽出)を行なった。次に、室温まで冷却した後、遠心分離にかけ、20μmフィルターにてろ過し、ろ液を抽出液とした。
得られた抽出液をイオンクロマト装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いたイオンクロマトグラフにより分析し、アンモニウムイオン濃度(ppm)および硫酸イオン濃度(ppm)を測定し、これを各半導体封止用樹脂組成物中のアンモニウムイオンおよび硫酸イオンの濃度(ppm)とした。
(THB試験:高温高湿バイアス耐性の評価)
定格電圧1200VのIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)素子を、パッケージ仕様:TO-247のフレームに半田を用いてダイボンディングし、そしてAlワイヤでワイヤボンディングした。これを、実施例または比較例の半導体封止用樹脂組成物で封止し、THB評価用のパッケージを作成した。なお、半導体封止用樹脂組成物の成形条件は175℃で2分、アフターキュア条件は175℃で4時間とした。
上述の方法で得られた各例の評価試料を、THB試験装置にて85℃、85%、960Vの電圧下、1000時間処理した。処理前後のリーク電流を測定し、以下の基準で評価した。試験数は10であった(n=10)。
○:処理後のリーク電流不良率 0%
△:処理後のリーク電流不良率 0%超、50%以下。
×:処理後のリーク電流不良率 50%超、100%以下。
Figure 2023133741000001

Claims (12)

  1. エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、イオン捕捉剤(C)と、を含む半導体封止用樹脂組成物であって、
    前記イオン捕捉剤(C)は、2,6位にヒンダード基を有するフェノール化合物(C-1)を含み、
    以下の条件1で測定されるpHが4.0~7.0である、半導体封止用樹脂組成物。
    条件1:前記半導体封止用樹脂組成物を175℃、4時間の条件により熱硬化させて得られる硬化物を粉砕し、粉砕物を得る。次いで、粉砕直後の前記粉砕物5gを純水50ml中に入れた後、この純水に対し125℃、24時間の条件下で熱水抽出処理を行い、得られた抽出液のpH(25℃)を測定する。
  2. エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、イオン捕捉剤(C)と、を含む半導体封止用樹脂組成物であって、
    前記イオン捕捉剤(C)は、2,6位にヒンダード基を有するフェノール化合物(C-1)を含み、
    以下の条件2で測定されるアンモニウムイオン濃度が6ppm以下および/または硫酸イオン濃度が20ppm以下である、半導体封止用樹脂組成物。
    条件2:前記半導体封止用樹脂組成物を175℃、4時間の条件により熱硬化させて得られる硬化物を粉砕し、粉砕物を得る。次いで、粉砕直後の前記粉砕物5gを純水50ml中に入れた後、この純水に対し125℃、24時間の条件下で熱水抽出処理を行い、得られた抽出液をイオンクロマトグラフにより分析することにより、前記半導体封止用樹脂組成物中のアンモニウムイオンおよび硫酸イオンの濃度(ppm)を測定する。
  3. 請求項1または2に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
    前記フェノール化合物(C-1)の前記ヒンダード基が、t-ブチル基、1,1-ジメチル-プロピル基、およびメシチル基の中から選ばれる1種または2種以上である、半導体封止用樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
    前記イオン捕捉剤(C)が、ハイドロタルサイト(C-2)をさらに含む、半導体封止用樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
    前記イオン捕捉剤(C)の含有量は、前記半導体封止用樹脂組成物全量に対し、0.05~5.0質量%である、半導体封止用樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
    エポキシ樹脂(A)は、トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型多官能エポキシ樹脂、オルソクレゾール型二官能エポキシ樹脂、ビフェニル型二官能エポキシ樹脂およびビスフェノール型二官能エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上を含む、半導体封止用樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
    前記エポキシ樹脂(A)の含有量は、前記半導体封止用樹脂組成物全量に対して、2~40質量%である、半導体封止用樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
    前記硬化剤(B)は、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、及び、メルカプタン系硬化剤から選択される1種または2種以上を含む、半導体封止用樹脂組成物。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
    硬化剤(B)の反応基のモル数に対するエポキシ樹脂(A)のエポキシ基のモル数(エポキシ基/反応性基:モル当量)が、0.5~2.0である、半導体封止用樹脂組成物。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
    無機フィラー(D)をさらに含む、半導体封止用樹脂組成物。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
    着色剤(E)をさらに含む、半導体封止用樹脂組成物。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物を硬化することにより形成された封止樹脂を備える半導体装置。
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