JP2023132149A - 熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂成形品及び塗装部品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂成形品及び塗装部品 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、耐衝撃性、流動性に優れ、さらに、得られる熱可塑性樹脂成形品の塗装性、耐久性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】ゴム質重合体(a1)の存在下、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(A)10~50質量部と、シアン化ビニル系単量体(b1)5~30質量%、マレイミド系単量体(b2)20~60質量%及び他のビニル系単量体(b3)10~75質量%を共重合してなるシアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)5~90質量部と、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体を共重合してなるシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)0~45質量部とを含む熱可塑性樹脂組成物。熱可塑性樹脂組成物中のマレイミド系単量体単位の含有量が、成分(A)~(C)の100質量部して10~45質量部。【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性、耐衝撃性、成形性としての流動性に優れ、塗装性や耐久性に優れた成形品を提供することができる熱可塑性樹脂組成物と、この熱可塑性樹脂組成物を用いた熱可塑性成形品に関する。本発明はまた、この熱可塑性成形品に塗装を施した塗装部品に関する。
ABS系樹脂に代表されるゴム強化スチレン系樹脂は、耐衝撃性、機械強度、及び耐薬品性が優れていることから、事務関連機器、情報・通信機器、電子・電気機器、家庭電化機器、自動車の内外装部品、二輪車などの外装部品、鉄道車両の内装部品、建築材料等として広い分野に使用されている。
特に、車両用途では、耐熱性の向上と軽量化が求められており、ポリカーボネート樹脂(比重1.14~1.17)に比べて低比重であることから、ABS系樹脂(比重1.07)の適用が期待されている。さらに、車両用スポイラーでは、高い耐熱性(90℃以上)と、優れた塗装性、高い耐久性(疲労特性)も重要になってきている。
従来、耐熱性・塗装性に優れた熱可塑性樹脂組成物としては、特許文献1、2に提案がなされている。
特開2012-36384号公報 国際公開第2018/116850号
特許文献1には、マレイミド系の耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物について開示されている。しかし、特許文献1の熱可塑性樹脂組成物では、成形品表面など応力が掛かる部位での塗装性(ワキ)が不十分である;成形時にガス発生する;耐久性が不十分である;といった問題がある。
また、特許文献2には、2種類以上の共重合体を配合した耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物について開示がされている。この特許文献2の熱可塑性樹脂組成物においても、成形品表面など応力が掛かる部位での塗装性(ワキ)が不十分である;耐熱性が不十分である;耐久性が不十分である;といった問題がある。
本発明は、上記従来技術の問題点を改善し、耐熱性、耐衝撃性、流動性に優れ、さらに、得られる熱可塑性樹脂成形品の塗装性、耐久性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく検討を重ね、特定のゴム含有グラフト共重合体(A)、シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)及びシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)を所定の割合で含み、これらの合計中のマレイミド系単量体単位の含有量が所定の範囲内である熱可塑性樹脂組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下を容易とする。
[1] ゴム質重合体(a1)の存在下、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物(a2)をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(A)10~50質量部と、
シアン化ビニル系単量体(b1)5~30質量%、マレイミド系単量体(b2)20~60質量%及び、これらと共重合可能な他のビニル系単量体(b3)10~75質量%(ただし、(b1)と(b2)と(b3)の合計で100質量%)を共重合してなるシアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)5~90質量部と、
シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物(c1)を共重合してなるシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)0~45質量部と
を合計で100質量部となるように含む熱可塑性樹脂組成物であって、
該熱可塑性樹脂組成物中のマレイミド系単量体単位の含有量が、ゴム含有グラフト共重合体(A)、シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)及びシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)の合計100質量部に対する割合で、10~45質量部である熱可塑性樹脂組成物。
[2] 前記ゴム含有グラフト共重合体(A)、シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)及びシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)の合計100質量部に対し、更にオレフィン系樹脂(D)を0.1~15質量部含む[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3] 前記ゴム含有グラフト共重合体(A)、シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)及びシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)の合計100質量部に対し、更にエチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(E)を0.1~15質量部含む[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4] [1]~[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる熱可塑性樹脂成形品。
[5] [4]に記載の熱可塑性成形品に塗装を施した塗装部品。
本発明によれば、耐熱性、耐衝撃性、流動性に優れ、さらに、得られる熱可塑性樹脂成形品の塗装性、耐久性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物よりなる成形品は、耐熱性、耐衝撃性、塗装性、耐久性に優れることから、事務関連機器、情報・通信機器、電子・電気機器、家庭電化機器、自動車の内外装部品、二輪車などの外装部品、鉄道車両の内装部品、建築材料などの広い分野に適用することができ、特に車両用途として好適に用いられる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、これらの説明は本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定はされない。
〔熱可塑性樹脂組成物〕
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、
ゴム質重合体(a1)の存在下、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物(a2)をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(A)(以下、「成分(A)」と称す場合がある。)10~50質量部と、
シアン化ビニル系単量体(b1)5~30質量%、マレイミド系単量体(b2)20~60質量%及び、これらと共重合可能な他のビニル系単量体(b3)10~75質量%(ただし、(b1)と(b2)と(b3)の合計で100質量%)を共重合してなるシアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)(以下、「成分(B)」と称す場合がある。)5~90質量部と、
シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物(c1)を共重合してなるシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)(以下、「成分(C)」と称す場合がある。)0~45質量部と
を合計で100質量部となるように含む熱可塑性樹脂組成物であって、
該熱可塑性樹脂組成物中のマレイミド系単量体単位の含有量が、ゴム含有グラフト共重合体(A)、シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)及びシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)の合計100質量部に対する割合で、10~45質量部であることを特徴とする。
[ゴム含有グラフト共重合体(A)]
ゴム含有グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体(a1)の存在下に、ビニル系単量体混合物(a2)をグラフト重合してなるものである。
<ゴム質重合体(a1)>
ゴム含有グラフト共重合体(A)を構成するゴム質重合体(a1)(以下、「成分(a1)」と称す場合がある。)としては、特に制限はないが、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴムなどが例示され、具体的にはポリブタジエン、ポリ(ブタジエン-スチレン)、ポリ(ブタジエン-アクリロニトリル)、ポリイソプレン、ポリ(ブタジエン-アクリル酸ブチル)、ポリ(ブタジエン-アクリル酸メチル)、ポリアクリル酸ブチル、ポリ(ブタジエン-メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン-アクリル酸エチル)、エチレン-プロピレンラバー、エチレン-プロピレン-ジエンラバー、ポリ(エチレン-イソブチレン)、ポリ(エチレン-アクリル酸メチル)、ポリ(エチレン-アクリル酸エチル)などが挙げられる。これらのゴム質重合体は、1種又は2種以上の混合物で使用される。なかでもポリブタジエン、ポリアクリル酸ブチル、ポリ(ブタジエン-スチレン)(スチレン-ブタジエン共重合ゴム)が、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性向上の点から好ましく用いられる。
ゴム質重合体(a1)の体積平均粒子径は、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、成形加工性、流動性、外観の観点から、50~500nmであることが好ましく、より好ましくは180~440nm、さらに好ましくは280~380nmである。
ここで、ゴム質重合体(a1)の体積平均粒子径は、後掲の実施例の項に記載される方法で測定された値である。
<ビニル系単量体混合物(a2)>
ビニル系単量体混合物(a2)(以下、「成分(a2)」と称す場合がある。)は、少なくとも芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物である。
芳香族ビニル系単量体としてはスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、o-エチルスチレン、o-クロロスチレン、o,p-ジクロロスチレンが挙げられる。これらは1種のみで用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、エタアクリロニトリル等が挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。シアン化ビニル系単量体についても、1種のみで用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ビニル系単量体混合物(a2)100質量%中の芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体との割合は、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性、成形品外観の観点から、好ましくは芳香族ビニル系単量体/シアン化ビニル系単量体=60~90質量%/10~40質量%、より好ましくは65~80質量%/20~35質量%、さらに好ましくは67~76質量%/24~33質量%である。
ビニル系単量体混合物(a2)は、芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体以外に、これらと共重合可能な他のビニル系単量体を0~30質量%の範囲で含んでいてもよい。これらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル系単量体、N-メチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物、アクリルアミド等の不飽和アミドなどの1種又は2種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なかでも(メタ)アクリル酸メチル、N-フェニルマレイミド、無水マレイン酸が好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸とメタクリル酸の一方又は双方を示す。
<ゴム質重合体(a1)とビニル系単量体混合物(a2)の割合>
ゴム含有グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体(a1)20~75質量%の存在下に、ビニル系単量体混合物(a2)25~80質量%をグラフト重合してなるものであることが好ましい。ただし、ゴム質重合体(a1)とビニル系単量体混合物(a2)との合計で100質量%である。
ゴム質重合体(a1)が、20質量%未満で、ビニル系単量体混合物(a2)が80質量%を超えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性に劣る傾向があり、ゴム質重合体(a1)が75質量%を超え、ビニル系単量体混合物(a2)が25質量%未満では、耐衝撃性、成形性が低下する傾向がある。ゴム質重合体(a1)の割合は、好ましくは30~70質量%、より好ましくは40~65質量%であり、ビニル系単量体混合物(a2)の割合は好ましくは30~70質量%、より好ましくは35~60質量%である。
ゴム含有グラフト共重合体(A)は、ビニル系単量体混合物(a2)の全量がグラフトしている必要はなく、通常はグラフトしていない共重合体との混合物として得られたものを使用する。この混合物は本来、組成物であるが、本発明においては、ゴム含有グラフト共重合体(A)に含まれる。
<グラフト率>
ゴム含有グラフト共重合体(A)のグラフト率に制限はないが、耐衝撃性の点から好ましくは10~150質量%、より好ましくは15~100質量%、さらに好ましくは20~60質量%である。
ゴム含有グラフト共重合体(A)のグラフト率は、後掲の実施例の項に記載される方法で測定される。
<グラフトしていない共重合体の分子量>
ゴム含有グラフト共重合体(A)中のグラフトしていない共重合体については、その組成は単量体成分の配合割合の範囲に属する。
グラフトしていない共重合体の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは20,000~400,000であり、より好ましくは30,000~200,000、さらに好ましくは40,000~100,000である。また、分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.5~4.0、より好ましくは1.7~3.6、さらに好ましくは1.8~3.2である。質量平均分子量(Mw)や分子量分布(Mw/Mn)が、上記範囲内にあることで、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性や耐衝撃性、塗装性がより優れる傾向がある。
ここで、グラフトしていない共重合体の質量平均分子量、分子量分布は、GPCによるポリスチレン換算の値として測定することができる。その詳細は、後掲の実施例の項に記載される通りである。
<グラフト重合方法>
ゴム含有グラフト共重合体(A)のグラフト重合の方法としては特に制限はなく、ゴム含有グラフト共重合体(A)は、公知の乳化重合法、懸濁重合法、連続塊状重合法、連続溶液重合法等の任意の方法により製造することができる。ゴム含有グラフト共重合体(A)は、好ましくは乳化重合法又は塊状重合法で製造される。ゴム含有グラフト共重合体(A)中の乳化剤含有量、水分量を調整しやすいという点から、ゴム含有グラフト共重合体(A)は乳化重合法で製造されることが最も好ましい。
ゴム含有グラフト共重合体(A)は、目的に応じて、ゴムの粒子径が異なるものや、組成の異なるものなど別々に製造したゴム含有グラフト共重合を複数ブレンドして用いてもよい。
<ゴム含有グラフト共重合体(A)の含有量>
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、成分(A)~成分(C)の合計100質量部中の成分(A)の含有量は、10~50質量部であり、好ましくは20~40質量部、より好ましくは25~35質量部、さらに好ましくは26~34質量部である。成分(A)の含有量が上記下限以上であれば、耐衝撃性や塗装性が良好となり、上記上限以下であれば、成形性、耐熱性が良好となる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量%中のゴム質重合体(a1)の含有量は、好ましくは10~30質量%であり、より好ましくは12~28質量%、さらに好ましくは15~25質量%である。ゴム質重合体(a1)の含有量が、上記下限以上であれば、耐衝撃性が良好となり、上記上限以下であれば成形性、光沢が良好となる。
[シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)]
シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)は、シアン化ビニル系単量体(b1)(以下、「成分(b1)」と称す場合がある。)5~30質量%、マレイミド系単量体(b2)(以下、「成分(b2)」と称す場合がある。)20~60質量%及び、これらと共重合可能な他のビニル系単量体(b3)(以下、「成分(b3)」と称す場合がある。)10~75質量%(ただし、成分(b1)と成分(b2)と成分(b3)の合計で100質量%)を共重合してなるシアン化ビニル-マレイミド系共重合体である。
シアン化ビニル系単量体(b1)としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、エタアクリロニトリル等が挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。シアン化ビニル系単量体は、1種のみで用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
マレイミド系単量体(b2)としては、N-メチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド等が挙げられ、この中でもN-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミドが好ましく、特にN-フェニルマレイミドが好ましい。マレイミド系単量体についても、1種のみで用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
成分(b1)及び成分(b2)と共重合可能な他のビニル系単量体(b3)としては、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル系単量体、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物又はアクリルアミド等の不飽和アミドなどの1種又は2種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なかでも芳香族ビニル系単量体が好ましい。
芳香族ビニル系単量体としてはスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、o-エチルスチレン、o-クロロスチレン、o,p-ジクロロスチレンが挙げられる。これらは1種のみで用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)の製造に用いる原料ビニル系単量体混合物100質量%中の各単量体の割合は、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性、塗装性、耐久性の観点から、シアン化ビニル系単量体(b1)5~30質量%、マレイミド系単量体(b2)20~60質量%及び、これらと共重合可能な他のビニル系単量体(b3)10~75質量%(ただし、成分(b1)と成分(b2)と成分(b3)の合計で100質量%)であり、好ましくはシアン化ビニル系単量体(b1)6~28質量%、マレイミド系単量体(b2)25~58質量%及び、これらと共重合可能な他のビニル系単量体(b3)14~69質量%であり、より好ましくはシアン化ビニル系単量体(b1)7~25質量%、マレイミド系単量体(b2)30~57質量%及び、これらと共重合可能な他のビニル系単量体(b3)18~63質量%であり、さらに好ましくはシアン化ビニル系単量体(b1)8~22質量%、マレイミド系単量体(b2)40~55質量%及び、これらと共重合可能な他のビニル系単量体(b3)23~52質量%であり、最も好ましくはシアン化ビニル系単量体(b1)9~19質量%、マレイミド系単量体(b2)41~53質量%及び、これらと共重合可能な他のビニル系単量体(b3)28~50質量%である。
シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは50,000~300,000であり、より好ましくは、80,000~200,000である。
ここで、シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)の質量平均分子量は、GPCによるポリスチレン換算の値として測定することができる。その詳細は、後掲の実施例の項に記載される通りである。
シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)は1種のみを用いてもよく、単量体組成や分子量等の異なるものを2種類以上混合して用いてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、成分(A)~成分(C)の合計100質量部中の成分(B)の含有量は、5~90質量部であり、好ましくは20~70質量部、より好ましくは40~60質量部、さらに好ましくは42~58質量部である。成分(B)の含有量が上記下限以上であれば、耐熱性、塗装性、及び耐久性に優れ、上記上限以下であれば、流動性、耐衝撃性に優れる。
[シアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)]
シアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)は、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物を共重合してなる共重合体である。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、エタアクリロニトリル等が挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。シアン化ビニル系単量体は、1種のみで用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族ビニル系単量体としてはスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、o-エチルスチレン、o-クロロスチレン、o,p-ジクロロスチレンが挙げられる。これらは1種のみで用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ビニル系単量体混合物(c1)100質量%中のシアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体との割合は、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性、塗装性の観点から、好ましくはシアン化ビニル系単量体/芳香族ビニル系単量体=20~40質量%/60~80質量%、より好ましくは22~38質量%/62~78質量%、さらに好ましくは24~35質量%/65~76質量%、最も好ましくは25~29質量%/71~75質量%である。
ビニル系単量体混合物(c1)は、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体以外に、これらと共重合可能な他のビニル系単量体単位を0~30質量%の範囲で含んでいてもよい。これらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル系単量体、N-メチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物又はアクリルアミド等の不飽和アミドなどの1種又は2種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なかでも(メタ)アクリル酸メチル、N-フェニルマレイミド、無水マレイン酸が好ましい。
シアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは50,000~300,000であり、より好ましくは65,000~200,000、さらに好ましくは80,000~150,000である。また、分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.3~2.8、より好ましくは1.8~2.6、さらに好ましくは1.7~2.4である。
ここで、シアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)の質量平均分子量、分子量分布は、GPCによるポリスチレン換算の値として測定することができる。その詳細は、後掲の実施例の項に記載される通りである。
シアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)は1種のみを用いてもよく、単量体組成や分子量等の異なるものを2種類以上混合して用いてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、成分(A)~成分(C)の合計100質量部中の成分(C)の含有量は、0~45質量部であり、好ましくは10~40質量部、より好ましくは15~25質量部、さらに好ましくは16~24質量部である。成分(C)は、流動性、耐熱性、耐衝撃性を調整するために必要に応じて用いられるものである。成分(C)の含有量が上記下限以上であれば、流動性、耐熱性を調整することができ、上記上限以下であれば、耐熱性、耐衝撃性を調整することができる。
[成分(B)と成分(C)の重合方法]
シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)及びシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)の重合方法としては、特に制限はなく、公知の乳化重合法、懸濁重合法、連続塊状重合法、連続溶液重合法等の任意の方法により製造することができる。本発明における塗装性、耐久性の向上、更には成形時のガスを抑制するためには、好ましくは懸濁重合法、連続塊状重合法、連続溶液重合法で製造される。この理由は以下の通りである。
成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計100質量部のうち、成分(B)及び成分(C)の合計の配合量が50~90質量部を占めることになるため、これら成分(B)及び成分(C)の製造方法が占める熱可塑性樹脂組成物の製造工程全体への影響が大きい。
成分(A)は乳化重合によるグラフト構造を採る必要があるが、その他の成分(B)及び成分(C)を乳化重合で生産する場合、ガス抑制などのためには、洗浄工程が必要となり、後工程での排水処理などのエネルギーの消費につながるだけでなく、環境負荷の影響も大きくなる。
このため、成分(B)と成分(C)については、乳化重合法以外の懸濁重合法、連続塊状重合法、連続溶液重合法で製造することが好ましい。
[マレイミド系単量体単位の含有量]
本発明の熱可塑性樹脂組成物中のマレイミド系単量体単位の含有量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量部に対する割合(以下、この割合を単に「マレイミド系単量体単位含有量」と称す場合がある。)として10~45質量部である。
マレイミド系単量体単位含有量が上記下限以上であれば、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐熱性、耐久性を発現させることができ、上記上限以下であれば、流動性、耐衝撃性を発現させることができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物のマレイミド系単量体単位含有量は、好ましくは13~30質量部、より好ましくは16~28質量部、さらに好ましくは18~26質量部、特に好ましくは20~24質量部である。
ここで、マレイミド系単量体単位としては、各共重合体の原料として用いたマレイミド系単量体に由来して共重合体に含まれる構成単位であり、成分(B)の原料単量体混合物のマレイミド系単量体(b2)に限らず、ゴム含有グラフト共重合体(A)のビニル系単量体混合物(a2)やシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)のビニル系単量体混合物(c1)に含まれてゴム含有グラフト共重合体(A)、シアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)の構成単位として熱可塑性樹脂組成物中に含有されるものも含まれる。更に、後述のその他の樹脂成分にマレイミド系単量体単位が含まれる場合は、当該マレイミド系単量体単位も熱可塑性樹脂組成物中のマレイミド系単量体単位として合計される。
熱可塑性樹脂組成物中のマレイミド系単量体単位含有量は、窒素元素及び酸素元素の含有量を元素分析により測定することで確認することができるが、熱可塑性樹脂組成物を構成する各共重合体の製造原料中のマレイミド系単量体の含有量として算出することもできる。後掲の実施例では、成分(B)中のマレイミド系単量体の含有量を元素分析装置にて測定し、成分(A)~(C)合計100質量部となる成分(B)の割合から熱可塑性樹脂組成物中のマレイミド系単量体単位含有量を算出した。
[オレフィン系樹脂(D)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)に加えて、オレフィン系樹脂(D)(以下、「成分(D)」と称す場合がある。)を含むものであってもよい。ここで、オレフィン系樹脂(D)としてはポリオレフィン樹脂(d1)及び/又は変性ポリオレフィン樹脂(d2)が挙げられる。
<ポリオレフィン樹脂(d1)>
ポリオレフィン樹脂(d1)(以下、「成分(d1)」と称す場合がある。)は、好ましくは、炭素原子数が2以上のα-オレフィンに由来する構造単位の少なくとも一種からなる非変性の(共)重合体である。本発明において、特に好ましい成分(d1)は、炭素原子数2~10のα-オレフィンに由来する構造単位の少なくとも一種からなるポリオレフィン系樹脂である。
上記α-オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、3-メチルブテン-1、4-メチルペンテン-1、3-メチルヘキセン-1等が挙げられる。これらのうち、エチレン、プロピレン、ブテン-1、3-メチルブテン-1及び4-メチルペンテン-1が好ましく、プロピレンが特に好ましい。
上記成分(d1)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリブテン-1、エチレン・ブテン-1共重合体等が挙げられる。これらのうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体が好ましく、得られる熱可塑性樹脂成形品の外観及び機械的強度の観点から、プロピレン単位を全構造単位に対して85質量%以上含むポリプロピレン系樹脂、即ち、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体がより好ましい。上記エチレン・プロピレン共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体等があるが、ランダム共重合体が特に好ましい。
上記成分(d1)は、結晶性であってよいし、非晶性であってもよい。好ましくは、室温下、X線回折により、20%以上の結晶化度を有するものである。
また、上記成分(d1)の分子量は、特に限定されないが、得られる熱可塑性樹脂成形品の外観及び機械的強度の観点から、JIS K7210に準ずるメルトマスフローレート(以下、「MFR」ともいう。)として、温度190℃、荷重2.16kgにおいて、好ましくは0.1~50g/10分、より好ましくは0.5~30g/10分であり、各値に相当する分子量を有するものが好ましい。
成分(d1)としては市販品も使用することができる。例えば、商品名「ノバテックFY6」、「ノバテックFY4」(いずれも日本ポリプロ(株)製)のポリプロピレン等を好適に用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる成分(d1)は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
<変性ポリオレフィン樹脂(d2)>
変性ポリオレフィン樹脂(d2)(以下、「d2」と称す場合がある。)としては、酸変性されたポリオレフィン樹脂であり、例えば、ポリオレフィン樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のような不飽和カルボン酸類、シロキサン等によりグラフトさせて得られる変性物を使用することができ、特に、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂(d2)のJIS K0070に準ずる酸価は20~70mgKOH/gであることが好ましく、160℃における溶融粘度は1,000~20,0000mPa・sであることが好ましく、2,000~12,0000mPa・sであることがより好ましい。
成分(d2)としては市販品も使用することができる。例えば、商品名「ユーメックス1001」、「ユーメックス1010」(いずれも三洋化成工業(株)製)等を好適に用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる成分(d2)は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
<オレフィン系樹脂(D)の含有量>
本発明の熱可塑性樹脂組成物がオレフィン系樹脂(D)を含む場合、オレフィン系樹脂(D)としてのポリオレフィン樹脂(d1)及び/又は変性ポリオレフィン樹脂(d2)の含有量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量部に対して、0.1~15質量部であることが好ましく、より好ましくは0.3~10質量部、さらに好ましくは0.5~5質量部、特に好ましくは0.8~3質量部である。
オレフィン系樹脂(D)の配合量が上記下限以上であれば、本発明の熱可塑性樹脂組成物よりなる成形品の塗装性を向上させることができ、上記上限以下であれば、より優れた耐熱性、耐久性、外観を発現させることができる。
[エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(E)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記成分(A)、成分(B)、成分(C)に加えて、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(E)(以下、「成分(E)」と称す場合がある。)を含むものであってもよい。エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(E)とは、少なくともエチレン、(メタ)アクリル酸エステル及び一酸化炭素を共重合して得られる共重合体であって、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよいが、好ましくはランダム共重合体である。また、これらと共重合可能な他の単量体をさらに共重合したものであってもよい。エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(E)を配合することによって、得られる熱可塑性樹脂成形品の塗装ワキの発生をさらに抑えることができる。
エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(E)における(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸と、炭素数1~8のアルコールとのエステルが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等が挙げられる。これらは2種以上用いてもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチルが好ましい。
エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(E)のガラス転移温度は-60℃~-20℃であることが好ましく、-48℃~-35℃であることが特に好ましい。また、融点は、30℃~80℃の範囲であることが好ましい。この範囲にあることで環境因子(例えば夏や冬)における塗装性のワキ性が優れるものになる。
成分(E)としては市販品も使用することができる。例えば、商品名「エルバロイHP661」(三井・デュポンポリケミカル社製)を好適に用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる成分(E)は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物がエチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(E)を含む場合、チレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(E)の含有量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量部に対して、0.1~15質量部であることが好ましく、より好ましくは0.3~10質量部、さらに好ましくは0.5~5質量部、特に好ましくは0.8~3質量部である。
エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(E)の含有量が上記下限以上であれば、本発明の熱可塑性樹脂組成物よりなる成形品の塗装性をさらに向上させることができ、上記上限以下であれば、より優れた耐熱性、耐久性、外観を発現させることができる。
[成分(D)と成分(E)の含有量]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記成分(D)と成分(E)とを併用して配合することにより、これらの相乗効果が得られる可能性があり、成分(D)と成分(E)とを併用して配合することにより、これらの合計の配合量を少なくした上で、上記効果を有効に得ることができる。
具体的には、本発明の熱可塑性樹脂組成物における成分(D)と成分(E)の合計の含有量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量部に対して、0.2~15質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.6~10質量部、さらに好ましくは1~6質量部、特に好ましくは1.5~4質量部、最も好ましくは0.8~3質量部である。
なお、成分(D)と成分(E)とを併用する場合、併用による相乗効果をより有効に得る観点から、成分(D)と成分(E)の含有量質量比は、成分(D):成分(E)=1:0.5~3であることが好ましく、成分(D):成分(E)=1:0.8~1.5であることがより好ましい。
[その他の添加剤]
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で成形用樹脂としての性能を改良する目的で、各種の添加剤を添加することができる。
例えば、必要に応じてヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リン有機化合物系等の酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系等の熱安定剤、モノステアリルアシッドホスフェ-トとジステアリルアシッドホスフェ-トの混合物等のエステル交換抑制剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系等の紫外線吸収剤、有機ニッケル系、ヒンダードアミン系等の光安定剤等の各種安定剤;高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類等の滑剤;フタル酸エステル類、リン酸エステル類等の可塑剤;ポリブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール-A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリカーボネートオリゴマー等の含ハロゲン系化合物、リン系化合物、三酸化アンチモン等の難燃剤・難燃助剤;カーボンブラック、顔料及び染料等を添加することができる。
[その他の樹脂]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記成分(A)~(E)以外のその他の樹脂、例えば、フッ素樹脂、耐衝撃改質剤、質量平均分子量が50万以上のAS樹脂等の1種又は2種以上含有していてもよい。この場合、その他の樹脂は成分(A)~(E)とその他の樹脂の合計100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。
[熱可塑性樹脂組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前述の成分(A),(B)、又は成分(A)~(C)、又は成分(A)~(C)と成分(D)及び/又は成分(E)、更に必要に応じて用いられる上記添加剤やその他の樹脂を、バンバリーミキサー、ロール、及び単軸又は多軸押出機で溶融混練するなど種々の方法で製造することができる。
〔熱可塑性樹脂成形品〕
本発明の熱可塑性樹脂成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を公知の成形方法によって成形加工して得られる。
成形方法としては、例えば、射出成形法、プレス成形法、押出成形法、真空成形法、ブロー成形法等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる本発明の熱可塑性樹脂成形品は、塗装性に優れ、耐熱性も高く、外観に優れ、ポリカーボネート等のアロイ材料に比べて低比重で軽量化でき、しかも、振動などの疲労破壊にも優れた耐久性を発現するものであり、電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器、又は家電機器のハウジング部品、一般雑貨、住設建材などに使用可能であり、特に、自動車部品のスポイラーには軽量化材料として好適に使用することができる。
特に本発明の熱可塑性成形品は、その優れた塗装性から、表面に塗装を施した塗装部品として有用である。
本発明をさらに具体的に説明するため、以下に実施例及び比較例を挙げて説明するが、これら実施例は本発明を制限するものではない。なお、ここで特にことわりのない限り「%」は質量%を、「部」は質量部を表す。
以下において、ゴム質重合体(a1)の体積平均粒子径については、下記(1)により測定した。また、ゴム含有グラフト共重合体(A)のグラフト率については下記(2)により測定し、ゴム含有グラフト共重合体(A)のアセトン可溶分(グラフトしていない共重合体)及びシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)の質量平均分子量(Mw)とその分子量分布(Mw/Mn)については下記(3)により測定した。
(1)体積平均粒子径
ゴム質重合体(a1)のラテックス中の体積平均粒子径を、HONEYWELL社製「マイクロトラックUPA150」(商品名)を用い、室温で測定した。単位はnmである。なお、ゴム質重合体(a1)のラテックス粒子径と、これを用いた樹脂組成物中のゴム質重合体(a1)のゴム粒径との間には、実質的な差異は無いことが知られており、前者は後者に符合する。
(2)グラフト率
ゴム含有グラフト共重合体(A)のグラフト率は、下記式により算出される。
グラフト率(質量%)={[(n)-(m)×L]/[(m)×L]}×100
上記式中、nはゴム含有グラフト共重合体(A)を約1g〔秤量:m(g)〕をアセトン20mLに投入し、25℃の温度条件下で、振とう機により2時間振とうした後、5℃の温度条件下で、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、アセトン不溶分とアセトン可溶分とを分離して得られるアセトン不溶分の質量n(g)である。Lはゴム含有グラフト共重合体(A)に含まれるゴム質重合体(a1)の質量(g)である。このゴム質重合体(a1)の質量は、重合処方及び重合転化率から算出する方法、赤外線吸収スペクトルにより求める方法等により求めることができる。
(3)質量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)
質量平均分子量(Mw)及び、分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(GPC:Waters社製「GPC/V2000」、カラム:昭和電工株式会社製、「Shodex AT-G+AT-806MS」)を用い、o-ジクロロベンゼン(145℃)を溶媒として、ポリスチレン換算で測定して求めた。
グラフトしていない共重合体の測定用サンプルは、上記グラフト率のアセトン可溶分をメタノール中に滴下して、ポリマー成分を析出させ、その後、ろ過して取り出した固形分を真空乾燥機24時間乾燥したものをGPC測定に使用した。
成分(B)のGPC測定では、成分(B)をアセトンに溶解させた後、メタノール中にポリマー成分を析出させ、真空乾燥機で24時間乾燥させたものをGPC測定に使用した。
(4)マレイミド系単量体単位の含有量
GPC測定用サンプルと同様にして調整した成分(B)について、窒素元素(N)及び酸素元素(O)を以下の元素分析装置を用いて測定した。
・窒素元素分析:JM10 MICRO
CORDER(株式会社J-SCIENCE-LAB製)
・酸素元素分析:JMO12 MICRO
CORDER(株式会社J-SCIENCE-LAB製)
成分(B)中に存在する窒素元素(N)及び酸素元素(O)の比率から、成分(B)中のマレイミド系単量体単位の含有量を求めた。なお、残りの窒素元素(N)の量から、シアン化ビニル系単量体の含有量も求めた。
[ゴム含有グラフト共重合体(A)]
<合成例1:ゴム含有グラフト共重合体(A1)の製造>
窒素置換した反応器に、純水125部、ブドウ糖0.5部、ピロリン酸ナトリウム0.5部、硫酸第一鉄0.005部、ゴム質重合体(a1)として、体積平均粒子径340nmのポリブタジエン(BD)ラテックス60部(固形分換算)を仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、成分(a2)として、スチレン(ST)29部、アクリロニトリル(AN)11部を用い、これと連鎖移動剤t-ドデシルメルカプタン混合物0.25部を5時間掛けて連続添加した。同時に並行して、重合開始剤であるクメンハイドロパーオキサイド(0.2部)及びオレイン酸カリウムからなる水溶液を7時間かけて連続添加し、反応を完結させた。得られたラテックスに、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)をラテックス固形分100部に対して1部添加し、続いて、このラテックスを硫酸で凝固後、水酸化ナトリウムにて中和し、洗浄濾過後、乾燥させてパウダー状のゴム含有グラフト共重合体(A1)を得た。
このゴム含有グラフト共重合体(A1)の組成は、AN/BD/ST=27/60/73、ゴム(成分(a1))含有量は60%、グラフト率は48%であった。また、アセトン可溶分の質量平均分子量は58,000、分子量分布は3.1であった。
<合成例2:ゴム含有グラフト共重合体(A2)の製造>
合成例1において、連鎖移動剤t-ドデシルメルカプタン混合物の添加量を0.19部としたこと以外は同様に反応を行って、パウダー状のゴム含有グラフト共重合体(A2)を得た。
このゴム含有グラフト共重合体(A2)の質量組成比率は、AN/BD/ST=27/60/73、ゴム(成分(a1))含有量は60%、グラフト率は62%であった。また、アセトン可溶分の質量平均分子量は162,000、分子量分布は3.0であった。
[シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)]
<合成例3:シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B1)の製造>
窒素置換した20リットルの撹拌装置を備えた重合反応器に、アクリロニトリル(AN)11部、N-フェニルマレイミド(PMI)46部、スチレン(ST)43部、メチルエチルケトン30部、1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)0.01部、t-ドデシルメルカプタン0.05部を連続的に供給し、110℃に重合器内の温度を一定に保持しながら、平均滞在時間が2時間になる様、重合反応器底部に備えたギヤポンプにより重合反応液を連続的に抜き取り、引き続き当該重合反応液を150℃に保持した熱交換器で約20分滞在させた。その後、シリンダー温度230℃である2ベントタイプ二軸押出機に導入し、第一ベント部を大気圧、第二ベント部を2.67kPaabsの減圧下で揮発成分を脱揮した。この際、第二ベント部手前よりジシクロペンタジエン0.38部を連続的に添加した。押出機より吐出したストランドをペレタイザーでペレット化し、シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B1)を得た。
得られたシアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B1)の質量組成比率は、AN/PMI/ST=11/46/43、質量平均分子量(Mw)は147,000であった。
<合成例4:シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B2)の製造>
アクリロニトリル、N-フェニルマレイミド、スチレンの配合量を変更した以外は合成例3と同様に製造して、シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B2)を得た。
得られたシアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B2)の質量組成比率は、AN/PMI/ST=17/29/54、質量平均分子量(Mw)は134,000であった。
<合成例5:シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B3)の製造>
アクリロニトリル、N-フェニルマレイミド、スチレンの配合量を変更した以外は合成例3と同様に製造して、シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B3)を得た。
得られたシアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B3)のと質量組成比率は、AN/PMI/ST=5/46/49、質量平均分子量(Mw)は176,000であった。
<合成例6:シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B4)の製造>
アクリロニトリル、N-フェニルマレイミド、スチレンの配合量を変更した以外は合成例3と同様に製造して、シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B4)を得た。
得られたシアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B4)の質量組成比率は、AN/PMI/ST=25/46/29、質量平均分子量(Mw)は124,000であった。
<合成例7:比較例用マレイミド系共重合体(B5)の製造>
アクリロニトリルを使用せず、N-フェニルマレイミド及びスチレンのみとし、t-ドデシルメルカプタン0.07とした以外は合成例3と同様に製造して、マレイミド系共重合体(B5)を得た。
得られたマレイミド系共重合体(B5)の質量組成比率は、AN/PMI/ST=0/55/45、質量平均分子量(Mw)は131,000であった。
<市販品:比較例用マレイミド系共重合体(B6)>
電気化学工業株式会社製「デンカIP MS-NIP(商品名)」(スチレン-N-フェニルマレイミド-無水マレイン酸共重合体)をマレイミド系共重合体(B6)として用いた。
<合成例8:比較例用シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B7)の製造>
アクリロニトリル、N-フェニルマレイミド、スチレンの配合量を変更した以外は合成例3と同様に製造して、シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B7)を得た。
得られた共重合体(B7)の組成比率は、AN/PMI/ST=35/46/29、質量平均分子量(Mw)は103,000であった。
<合成例9:参考実施例用シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B8)の製造>
アクリロニトリル10部、N-フェニルマレイミド40部、スチレン50部からなる単量体混合物を、ステアリン酸カリウム3部を使用して乳化重合を行い、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B8)を得た。
得られたシアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B8)の組成比率は、AN/PMI/ST=10/40/50、質量平均分子量(Mw)は144,000であった。
[シアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)]
<合成例10:シアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C1)の製造>
窒素置換した反応器に水120部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾイソブチルニトリル0.3部、t-ドデシルメルカプタン0.62部と、アクリロニトリル32部、スチレン68部からなる単量体混合物を使用し、スチレンの一部を逐次添加しながら開始温度60℃から5時間昇温加熱後、120℃に到達させた。更に、120℃で4時間反応した後、重合物を取り出し、アクリロニトリル/スチレン=32/68のシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C1)を得た。
得られたシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C1)の質量平均分子量(Mw)は96,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。
<合成例11:シアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C2)の製造>
t-ドデシルメルカプタン0.5部とし、アクリロニトリル27部、スチレン73部からなる単量体混合物を使用した以外は合成例7と同様にして、アクリロニトリル/スチレン=27/73のシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C2)を得た。
得られたシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C2)の質量平均分子量(Mw)は112,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
[オレフィン系樹脂(D)]
<オレフィン系樹脂(d1)>
日本ポリプロ社製ポリプロピレン「ノバテックFY4」(商品名)を用いた。JIS K7210に準ずるMFR(温度190℃、荷重2.16kg)は、5.0g/10分である。
<オレフィン系樹脂(d2)>
三洋化成社製無水マレイン酸変性ポリプロピレン「ユーメックス1010」(商品名)(160℃における溶融粘度:6000mPa・s、JIS K0070に準ずる酸価:52mgKOH/g(カタログ値))を用いた。。
[エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(E)]
三井・デュポンポリケミカル社製エチレン・アクリル酸n-ブチル・一酸化炭素共重合体「エルバロイHP661」(商品名)(ガラス転移温度:-42℃、融点:60℃(カタログ値))を用いた。
[実施例1~29、比較例1~10、及び参考例1,2]
表1~4に示す成分(A)、(B)、(C)、及び、成分(D)、(E)について、それぞれ表1~4中の配合割合(部)で混合し、さらに、ADEKA社製アデカスタブ「A-60(商品名)」(テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)を0.2部、花王株式会社製「カオーワックスEB-G(商品名)」(エチレン・ビスステアリン酸アマイド)を0.5部配合して混合し、スクリュー直径30mmの真空ベント付き2軸押出機(池貝社製「PCM30」)で、シリンダー温度200~260℃、93.325kPa真空にて溶融混練を行いストランドとして引き取りながら、ペレタイザー(創研社製「SH型ペレタイザー」)を用いてペレット化して各々熱可塑性樹脂組成物(I)を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物(I)のマレイミド系単量体単位含有量を、各共重合体の製造原料中のマレイミド系単量体含有量として算出し、その値を表1~4に示す。
熱可塑性樹脂組成物(I)を用いて以下の試験を行い、結果を表1~4に示した。
[評価試験試験片の作成及び試験方法]
<試験片(ア)の作製>
ペレット化した各熱可塑性樹脂組成物(I)について、東芝機械製の射出成形機「IS-100GN」(型式名)を用いて、150mm×70mm×3mmの試験片(ア)を射出成形した。射出成形時の樹脂温度は260℃と220℃の2条件とし、金型温度は5℃、射出速度は25mm/sとした。
射出成形時の樹脂温度を260℃とした試験片を「試験片(ア-1)」とし、射出成形時の樹脂温度を220℃とした試験片を「試験片(ア-2)」とする。
<塗装性の評価:ワキ評価>
試験片(ア-1)、(ア-2)について、以下の手順に従って、塗装を行い、その表面における、ワキ塗装不良の発生の有無を目視観察し、以下の評価基準に基づいて塗装性を判定した。
(1)状態調節
試験片(ア-1)、(ア-2)を5℃に調節された恒温槽内に12時間以上放置して状態調節を行った。
(2)塗装
試験片(ア-1)、(ア-2)の表面(突き出しピン跡の無い側)に、アクリル樹脂系塗料主剤80部、合成樹脂塗料用シンナー85部及び硬化剤10部からなる塗装用塗料の吹き付け塗装(塗膜厚さ:20~30μm)を行い、23℃で5分間放置した。
(3)乾燥
その後、80℃で、30分間乾燥し、塗装試験片を得た。
<塗装不良(ワキ)の評価>
◎:試験片表面にワキ不良は発生しなかった(好適に使用可能)
○:試験片表面に小さなワキ不良が1~3個発生した(使用可能)
△:試験片表面に小さなワキ不良が4~10個発生した(かろうじて使用可能)
×:試験片表面にワキ不良が11個以上発生した(使用不可)
<試験片(イ)の作製>
射出成型機(芝浦機械株式会社製、商品名「IS55FP-1.5A」)を用い、シリンダー温度220~250℃、金型温度60℃の条件で、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物(I)を射出成形し、縦80mm、横10mm、厚さ4mmの試験片(イ)を得た。試験片(イ)をシャルピー衝撃強度及び荷重たわみ温度の測定用として用いた。
<耐衝撃性の評価:シャルピー衝撃強度の測定>
試験片(イ)について、ISO 179規格に従い、23℃の条件でシャルピー衝撃試験(ノッチ付)を行い、シャルピー衝撃強度を測定した。数値が高いほど耐衝撃性に優れる。
<耐熱性の評価:荷重撓み温度(HDT)の測定>
試験片(イ)について、ISO 75規格に従い、荷重1.80MPa、フラットワイズ(4mm厚み)の条件で、HDTを測定した。HDTが高いほど耐熱性に優れる。
<流動性の評価:メルトボリュームレート(MVR)の測定>
ペレット化した熱可塑性樹脂組成物(I)について、ISO 1133規格に従い、温度220℃、荷重98N(10kg)の条件で、熱可塑性樹脂組成物(I)のMVR(cm/10分)を測定した。MVRは熱可塑性樹脂組成物の流動性の指標となり、MVRが高いほど、流動性に優れる。
<成形外観の評価>
試験片(ア-2)について、外観を目視観察し、下記基準で評価した。
○:異常なし(好適に使用可能)
△:フローマークやガス曇り等がわずかに発生(使用可能)
×:フローマークやガス曇り等が発生(使用不可)
<試験片(ウ)の作製>
射出成型機(芝浦機械株式会社製、商品名「IS55FP-1.5A」)を用い、シリンダー温度220~250℃、金型温度60℃の条件で、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物(I)を射出成形し、JIS K7119「プラスチック平板の平面曲げ疲れ試験法」のIII号型試験片(くさび形)に準じて、厚さ3.2mm、L=31.8mm、b=20.6mm、L/b=1.54の試験片(ウ)を得た。試験片(ウ)を疲労試験用として用いた。
<振動疲労試験>
試験片(ウ)について、以下の試験機を用い、以下の試験条件で破損までの繰り返し回数を測定した。この繰り返しの回数が多いほど、耐振動疲労性に優れる。
試験機:東洋精機製作所製 B-50型繰り返し振動疲労試験機
試験温度:80℃
試験応力:23MPa
試験条件:繰り返し速度1800回/min、周波数30Hz
Figure 2023132149000001
Figure 2023132149000002
Figure 2023132149000003
Figure 2023132149000004
[結果概要]
上記の評価結果から、本発明の熱可塑性樹脂組成物に該当する実施例1~29は優れた塗装性、耐熱性、流動性、衝撃性、外観を有し、さらに、疲労試験でも十分に優れた性能を発揮していることが分かる。
これに対して、比較例1~4は、成分(B)にアクリロニトリルが含まれないために、塗装性は、特に成形応力ひずみが生じる220℃で劣っていた。また、高温時の疲労特性も実施例1~4に比べて劣る傾向にあった。
比較例5、6は、成分(B)にアクリロニトリルが無いものに、成分(D)を配合することで、塗装性は改善される傾向にあるものの、疲労特性は比較例1~4よりも劣る傾向にある。
比較例7は成分(B)のアクリロニトリルが本発明の規定範囲よりも多いために、流動性に劣り、さらに、疲労特性も劣る傾向にあった。
比較例8、9、10は本発明の規定範囲よりもマレイミド系単量体単位含有量が少ないために、耐熱性が大きく劣り、特に、高温条件下での振動疲労試験に劣っていた。
なお、参考例1、2は、成分(D)、(E)を過剰に配合した場合であり、耐衝撃性や耐熱性、成形外観が劣るものであった。

Claims (5)

  1. ゴム質重合体(a1)の存在下、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物(a2)をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(A)10~50質量部と、
    シアン化ビニル系単量体(b1)5~30質量%、マレイミド系単量体(b2)20~60質量%及び、これらと共重合可能な他のビニル系単量体(b3)10~75質量%(ただし、(b1)と(b2)と(b3)の合計で100質量%)を共重合してなるシアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)5~90質量部と、
    シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物(c1)を共重合してなるシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)0~45質量部と
    を合計で100質量部となるように含む熱可塑性樹脂組成物であって、
    該熱可塑性樹脂組成物中のマレイミド系単量体単位の含有量が、ゴム含有グラフト共重合体(A)、シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)及びシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)の合計100質量部に対する割合で、10~45質量部である熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記ゴム含有グラフト共重合体(A)、シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)及びシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)の合計100質量部に対し、更にオレフィン系樹脂(D)を0.1~15質量部含む請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ゴム含有グラフト共重合体(A)、シアン化ビニル-マレイミド系共重合体(B)及びシアン化ビニル-芳香族ビニル系共重合体(C)の合計100質量部に対し、更にエチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(E)を0.1~15質量部含む請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる熱可塑性樹脂成形品。
  5. 請求項4に記載の熱可塑性成形品に塗装を施した塗装部品。
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