JP2000007877A - 塗装性に優れる熱可塑性樹脂組成物及び自動車用成形品 - Google Patents

塗装性に優れる熱可塑性樹脂組成物及び自動車用成形品

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JP2000007877A JP17598798A JP17598798A JP2000007877A JP 2000007877 A JP2000007877 A JP 2000007877A JP 17598798 A JP17598798 A JP 17598798A JP 17598798 A JP17598798 A JP 17598798A JP 2000007877 A JP2000007877 A JP 2000007877A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 塗装性に優れ、特に低温環境下におけるブリ
スター現象及び吸い込み現象が抑制され、耐衝撃性及び
加工性のバランスも良好な熱可塑性樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 ジエン系ゴム質重合体の存在下に芳香族
ビニル及びシアン化ビニルを含む単量体混合物を共重合
させてなる重量平均分子量が250000〜45000
0であるゴム含有グラフト共重合体(A):15〜50
重量部と、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量
体を含む硬質重合体であって、重量平均分子量が100
000〜200000で、シアン化ビニル単量体を20
〜30重量%含む硬質重合体(B−I)と、重量平均分
子量が100000未満で、シアン化ビニル単量体を3
5〜50重量%含む硬質重合体(B−II)とを含む硬質
重合体混合物(B):85〜50重量部とを含むことを
特徴とする塗装性に優れる熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた塗装性を有
し、耐衝撃性及び加工性のバランスも良好な、自動車用
外装部品の成形材料として好適な熱可塑性樹脂組成物及
びこのような熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる自
動車用成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂は、優れた加工性、耐衝撃
性、機械特性、耐薬品性を有していることから、車両分
野、家電分野など、広範な分野において各種構成部材の
成形材料として使用されている。例えば、近年、車両分
野では、ABS樹脂の優れた2次加工性、特に、塗装性
に着目して、ドアミラー等の車両外装用途に使用展開が
図られている。
【0003】しかし、塗装性は、樹脂組成物の特性や成
形条件、塗装方法、塗装環境などの因子により影響を受
け易く、著しい塗装不良を起こす場合がある。この塗装
不良の中でも、塗料に含まれるシンナー等の溶媒が作用
して起こるブリスター現象(塗装面に小さな穴が多数個
発生する現象。)及び吸い込み現象(塗装面に微細な凹
凸が発生し、光沢むらとして観察される現象。)は代表
的な塗装不良に挙げられ、最終製品の商品価値を著しく
損なわせる。
【0004】塗装後のブリスター現象は、経験的に近年
のハイサイクル化や成形品の薄肉化に伴い発生し易く、
特に冬場などの低温環境時に著しく発生し易いことか
ら、塗装現場においてこの点の改良が強く望まれてい
る。一方で、ブリスター現象は、一般的に吸い込み現象
と相反する傾向にあり、これが改良対策を複雑化させて
いる。
【0005】このような状況において、ブリスター現象
と吸い込み現象を同時に改良するべく、従来、樹脂中の
シアン化ビニル化合物の含有量を増やしたり、樹脂の分
子量を高めたり、更には、使用するジエン系ゴムのゲル
含有量、粒子径、グラフト構造の最適化が試みられてき
たが、低温環境下におけるブリスター現象と吸い込み現
象とを同時に改良し、しかも樹脂そのものの基本物性と
して要求される耐衝撃性及び加工性とのバランスを高く
維持することは極めて困難であった。
【0006】特開平4−25555号公報には、特定の
シアン化ビニル化合物単位を含む樹脂と特定のゴム質共
重合体を用い、かつ低分子量成分含有率を小さくするこ
とで、ブリスター現象と吸い込み現象とを同時に解消し
た樹脂組成物が開示されている。
【0007】また、特開平9−216920号公報に
は、ジエン系ゴム質重合体の平均粒子径とその分布、組
成物中の溶剤可溶分の還元粘度、及び該ゴム質重合体へ
の単量体のグラフト率とグラフト層の厚みを規定するこ
とで、耐衝撃性、加工性及び塗装性を改善した樹脂組成
物が開示されている。
【0008】しかしながら、本発明者等が追試した結
果、上記いずれの樹脂組成物においても、夏場を想定し
た環境温度での塗装性には優れるものの、冬場を想定し
た低温環境下では、ブリスター現象が多数発生し、年間
を通じての使用に耐えないことが判明した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題を解決し、塗装性に優れ、特に低温環境下における
ブリスター現象及び吸い込み現象が抑制され、かつ耐衝
撃性及び加工性のバランスも良好で、自動車用外装部品
の成形材料として好適な熱可塑性樹脂組成物を提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の熱可塑性樹脂組
成物は、ジエン系ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル
及びシアン化ビニルを含む単量体混合物を共重合させて
なるゴム含有グラフト共重合体であって、該芳香族ビニ
ル及びシアン化ビニルを含む単量体混合物がグラフトし
た硬質重合体成分の重量平均分子量が250000〜4
50000であるゴム含有グラフト共重合体(A):1
5〜50重量部と、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビ
ニル単量体を含む硬質重合体であって、重量平均分子量
が100000〜200000で、シアン化ビニル単量
体を20〜30重量%含む硬質重合体(B−I)と、重
量平均分子量が100000未満で、シアン化ビニル単
量体を35〜50重量%含む硬質重合体(B−II)とを
含む混合物であり、かつ該混合物中の硬質重合体(B−
II)含有量が20〜50重量%である硬質重合体混合物
(B):85〜50重量部とを含むことを特徴とする。
【0011】ただし、本発明の熱可塑性樹脂組成物にお
いて、ゴム含有グラフト共重合体(A)と硬質重合体混
合物(B)とは、合計で100重量部とする。
【0012】一般に、ブリスター現象は、射出成形時に
成形品が冷却される過程で発生する残留応力の大きい部
位にシンナー等の溶媒がアタックし、成形品表面にクラ
ックを生じると共に溶媒がそのクラックに残留し、乾燥
工程で膨張して塗装膜を突き破る現象であると考えられ
る。一方、吸い込み現象は、射出成形の過程で成形品に
発生する樹脂の表層配向によりゴムが変形し、シンナー
等の溶剤により応力緩和されるに伴い、塗装面に微細な
クレーズが発生し光沢の低下をもたらす現象と考えられ
る。
【0013】特に、冬場の低温環境時にブリスター現象
が起こりやすい原因の明確な因果関係は詳かではない
が、成形品が急激に冷却され特定部位に残留応力が発生
しやすいこと、塗料の溶剤が揮発しにくく樹脂をアタッ
クしやすいことなどが挙げられる。
【0014】本発明者らは、上記知見に基き、塗装性、
特に低温環境下におけるブリスター現象及び吸い込み現
象を抑制し、かつ耐衝撃性及び加工性のバランスも良好
な熱可塑性樹脂組成物を開発するべく鋭意研究を重ねた
結果、特定のグラフト構造を持つジエン系ゴム質共重合
体と、分子量、組成の規制された2種類の硬質共重合体
を特定量ブレンドすることで、低温環境下でもブリスタ
ー現象及び吸い込み現象の発生しない塗装性に優れた樹
脂組成物を得ることができ、同時に実用的な耐衝撃性及
び加工性を達成することができることを見出し、本発明
を完成させた。
【0015】本発明においては、特に、硬質重合体混合
物(B)が硬質重合体(B−I)と硬質重合体(B−I
I)とからなり、硬質重合体(B−I)/硬質重合体(B
−II)の重量比が1〜4であることが好ましく、とりわ
け、硬質重合体混合物(B)が芳香族ビニル単量体とシ
アン化ビニル単量体とからなることが好ましい。
【0016】本発明の自動車用成形品は、このような本
発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0018】本発明に係るゴム含有グラフト共重合体
(A)は、ジエン系ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニ
ル、シアン化ビニルを含む単量体混合物を共重合させて
なるジエン系ゴム含有グラフト重合体である。
【0019】ゴム含有グラフト共重合体(A)中のジエ
ン系ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、スチレン
−ブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエンなどのブ
タジエンとこれと共重合可能なビニル単量体との共重合
体、ポリイソプレンなどが挙げられ、これらのうちの1
種又は2種以上を用いることができる。
【0020】ゴム含有グラフト共重合体(A)中のジエ
ン系ゴム質重合体の含有量は、40〜70重量%である
ことが好ましく、この含有量が40重量%未満では耐衝
撃性に劣り、70重量%を超えてもグラフト率が低下す
ることから耐衝撃性に劣るものとなる。
【0021】ゴム含有グラフト共重合体(A)中の芳香
族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げら
れ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましく、ま
た、シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等が挙げられ、特にアクリロニ
トリルが好ましい。これらの単量体についても、1種又
は2種以上を用いることができる。
【0022】ゴム含有グラフト共重合体(A)中の芳香
族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体と共に用いるこ
とができる他の共重合可能な単量体としては、メタクリ
ル酸メチル、アクリル酸メチル等のメタクリル酸又はア
クリル酸エステル、N−フェニルマレイミド、N−シク
ロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和カ
ルボン酸化合物が挙げられ、それぞれ1種又は2種以上
用いることができる。
【0023】本発明に係るゴム含有グラフト共重合体
(A)において、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル
単量体を含む混合物がグラフトした硬質重合体成分の重
量平均分子量は、250000〜450000である。
この重量平均分子量が250000未満では、吸い込み
現象が発生し、450000を超えるとブリスター現象
及び吸い込み現象が発生し易くなる。なお、本発明にお
いて、該硬質重合体成分の重量平均分子量は、ゴム含有
グラフト共重合体(A)をアセトンに溶解し、その不溶
分を取り出してオゾン分解処理行い、硬質重合体成分を
抽出し、これをG.P.C(ゲル・パーミエーション・
クロマトグラフィー)を用いて標準ポリスチレン換算法
にて算出した値である。
【0024】本発明の硬質重合体混合物(B)は、芳香
族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体と、更に必要に
応じて用いられる共重合可能な他の単量体を共重合して
なる硬質重合体からなり、ここで芳香族ビニル単量体と
シアン化ビニル単量体と、更に必要に応じて用いられる
共重合可能な他の単量体は、上述のゴム含有グラフト共
重合体(A)にグラフトさせる単量体と同様な単量体を
使用することができる。
【0025】本発明の硬質重合体混合物(B)は、上記
単量体を用いて、特定構造を有する2つの硬質重合体を
含む。
【0026】即ち、重量平均分子量が100000〜2
00000で、シアン化ビニル単量体を20〜30重量
%含む硬質重合体(B−I)と、重量平均分子量が10
0000未満で、シアン化ビニル単量体を35〜50重
量%含む硬質重合体(B−II)とを有する混合物であ
り、かつ該硬質重合体混合物(B)中の硬質重合体(B
−II)含有量が20〜50重量%のものである。
【0027】硬質重合体(B−I)の重量平均分子量が
100000未満では吸い込み現象が発生しやすく、2
00000を超えるとブリスター現象が発生しやすく、
吸い込み現象も発生する。更に、流動性も悪化する。ま
た、硬質重合体(B−II)の重量平均分子量が1000
00以上ではブリスター現象が発生しやすい。硬質重合
体(B−II)の好ましい重量平均分子量は50000〜
80000である。更に、硬質重合体(B−I)中のシ
アン化ビニル単量体含有量が20重量%未満では吸い込
み現象が発生しやすく、30重量%を超えるとブリスタ
ー現象が発生する。また、硬質重合体(B−II)中のシ
アン化ビニル単量体含有量が35重量%未満では吸い込
み現象が激しく、なおかつブリスター現象も発生し、5
0重量%を超えるとブリスター現象が激しく発生する。
また、硬質重合体混合物(B)中の硬質重合体(B−I
I)の含有量が20重量%未満では吸い込み現象及びブ
リスター現象が発生し、50重量%を超えると吸い込み
現象が著しく発生する。
【0028】なお、各硬質重合体中のシアン化ビニルの
含有量は、C.H.N.コーダを用いて、各元素分析値
より算出した。
【0029】本発明においては、特に、硬質重合体混合
物(B)が硬質重合体(B−I)と硬質重合体(B−I
I)とからなり、硬質重合体(B−I)/硬質重合体(B
−II)の重量比が1〜4であることが好ましく、とりわ
け硬質重合体混合物(B)は芳香族ビニル単量体とシア
ン化ビニル単量体とからなることが好ましい。
【0030】なお、硬質重合体(B−I)と硬質重合体
(B−II)とに使用される単量体及びその製造方法は、
同一でも、異なっていても良い。製造方法としては、乳
化、懸濁、塊状又はこれらを複合化した公知の重合方法
をいずれも適用できる。
【0031】本発明の熱可塑性樹脂組成物を調製する方
法として、特に制限はないが、溶融混練りが好ましく、
例えば、押出機、バンバリーミキサー等を用いて実施す
ることができる。
【0032】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に
応じて更に、顔料、染料、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、帯電防止剤、補強剤、充填剤など各種添加剤を、
その物性等を損なわない範囲内において配合することが
できる。
【0033】なお、上記ゴム含有グラフト共重合体
(A)と硬質重合体混合物(B)とを混合してなる本発
明の熱可塑性樹脂組成物において、ゴム含有グラフト共
重合体(A)の含有量が15重量部未満で硬質重合体混
合物(B)の含有量が85重量部を超えると塗装性、耐
衝撃性が劣るものとなり、ゴム含有グラフト共重合体
(A)の含有量が50重量部を超え、硬質重合体混合物
(B)の含有量が50重量部未満であると塗装性が低下
する。
【0034】本発明の自動車用成形品は、このような本
発明の熱可塑性樹脂組成物を常法に従って成形して得ら
れるものである。
【0035】
【実施例】以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて
本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を
超えない限り以下の実施例により何ら限定されるもので
はない。
【0036】なお、以下において、「部」は「重量部」
を意味するものとする。また、ゴム含有グラフト共重合
体(A成分)中のゴム質重合体に共重合した硬質重合体
成分と、各硬質重合体(B成分)の重量平均分子量は、
東ソー(株)製:G.P.C(ゲル・パーミエーション
・クロマトグラフィー)を用いた標準ポリスチレン換算
法にて算出した。また、各硬質重合体中のシアン化ビニ
ル単量体含有量は、C.H.N.コーダ(Yanaco
社製:CHN CORDER MT−3)を用いて、各元素の分
析値より算出した。
【0037】合成例1:ゴム含有グラフト共重合体(A
−1)の製造 以下の配合にて、乳化重合法によりABS共重合体を合
成した。
【0038】 [配合] スチレン(ST) :35部 アクリロニトリル(AN) :15部 ポリブタジエン・ラテックス :50部 不均化ロジン酸カリウム :1部 水酸化カリウム :0.03部 クメンハイドロパーオキサイド :0.3部 ターシャリ−ドデシルメルカプタン(t−DM) :0.05部 硫酸第一鉄 :0.007部 ピロリン酸ナトリウム :0.1部 結晶ブドウ糖 :0.3部 蒸留水 :190部 オートクレーブに蒸留水、不均化ロジン酸カリウム、水
酸化カリウム及びポリブタジエン・ラテックスを仕込
み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウ
ム、結晶ブドウ糖を添加し、60℃に保持したままS
T、AN、t−DM及びクメンハイドロパーオキサイド
を2時間かけて連続添加した。その後、70℃に昇温し
て1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得
たラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸により
凝固し、十分水洗後、乾燥してグラフト共重合体(A−
1)を得た。得られたグラフト共重合体中のグラフトさ
れた硬質重合体成分の重量平均分子量を測定したとこ
ろ、350000であった。
【0039】合成例2:ゴム含有グラフト重合体(A−
2)の製造 以下の原料配合で、合成例1と同様にしてグラフト共重
合体(A−2)を得た。
【0040】 [配合] スチレン(ST) :25部 アクリロニトリル(AN) :10部 ポリブタジエン・ラテックス :65部 不均化ロジン酸カリウム :1部 水酸化カリウム :0.03部 クメンハイドロパーオキサイド :0.3部 ターシャリ−ドデシルメルカプタン(t−DM) :0.1部 硫酸第一鉄 :0.007部 ピロリン酸ナトリウム :0.1部 結晶ブドウ糖 :0.3部 蒸留水 :190部 得られたグラフト共重合体中のグラフトされた硬質重合
体成分の重量平均分子量を測定したところ、11000
0であった。
【0041】合成例3:ゴム含有グラフト共重合体(A
−3)の製造 t−DMを加えなかったこと以外は合成例2と同様にし
てグラフト共重合体(A−3)を得た。得られたグラフ
ト共重合体中のグラフトされた硬質重合体成分の重量平
均分子量を測定したところ、490000であった。
【0042】合成例4:硬質重合体(B−I−1)の合
成 窒素置換した反応器に水120部、アルキルベンゼンス
ルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール
0.5部、アゾイソブチロニトリル0.3部、ターシャ
リ−ドデシルメルカプタン(t−DM)0.5部と、ア
クリロニトリル27部、スチレン73部からなる単量体
混合物を加え、開始温度60℃として5時間加熱後、1
20℃に昇温し、4時間反応後、重合物を取り出した。
転化率は96%で、得られた硬質重合体(B−I−1)
の重量平均分子量は130000、アクリロニトリル含
有量は26.3%であった。
【0043】合成例5:硬質重合体(B−I−2)の合
成 t−DMを1.0部としたこと以外は合成例4と同様に
して重合を行った。転化率は98%で、得られた硬質重
合体(B−I−2)の重量平均分子量は60000、ア
クリロニトリル含有量は25.7%であった。
【0044】合成例6:硬質重合体(B−I−3)の合
成 t−DMを0.01部としたこと以外は合成例4と同様
にして重合を行った。転化率は97%で、得られた硬質
重合体(B−I−3)の重量平均分子量は24000
0、アクリロニトリル含有量は26.2%であった。
【0045】合成例7:硬質重合体(B−I−4)の合
成 アクリロニトリル15部、スチレン85部からなる単量
体を使用したこと以外は、合成例4と同様にして重合を
行った。転化率は96%で、得られた硬質重合体(B−
I−4)の重量平均分子量は140000、アクリロニ
トリル含有量は15.5%であった。
【0046】合成例8:硬質重合体(B−I−5)の合
成 アクリロニトリル35部、スチレン65部からなる単量
体を使用し、スチレンの一部を逐次添加したこと以外
は、合成例4と同様にして重合を行った。転化率は96
%で、得られた硬質重合体(B−I−5)の重量平均分
子量は160000、アクリロニトリル含有量は35.
8%であった。
【0047】合成例9:硬質重合体(B−II−1)の合
成 窒素置換した反応器に水120部、アルキルベンゼンス
ルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール
0.5部、アゾイソブチロニトリル0.3部、ターシャ
リ−ドデシルメルカプタン(t−DM)0.75部と、
アクリロニトリル41部、スチレン59部からなる単量
体を加え、スチレンの一部は逐次添加した。重合は、開
始温度60℃として5時間加熱後、120℃に昇温し、
4時間反応後、重合物を取り出した。転化率は96%
で、得られた硬質重合体(B−II−1)の重量平均分子
量は54000、アクリロニトリル含有量は41.3%
であった。
【0048】合成例10:硬質重合体(B−II−2)の
合成 t−DMを0.01部としたこと以外は合成例9と同様
にして重合を行った。転化率は97%で、得られた硬質
重合体(B−II−2)の重量平均分子量は15000
0、アクリロニトリル含有量は40.5%であった。
【0049】合成例11:硬質重合体(B−II−3)の
合成 アクリロニトリル30部、スチレン70部からなる単量
体を使用したこと以外は、合成例9と同様にして重合を
行った。転化率は96%で、得られた硬質重合体(B−
II−3)の重量平均分子量は60000、アクリロニト
リル含有量は31.4%であった。
【0050】合成例12:硬質重合体(B−II−4)の
合成 アクリロニトリル55部、スチレン45部からなる単量
体を使用したこと以外は、合成例9と同様にして重合を
行った。転化率は95%で、得られた硬質重合体(B−
II−4)の重量平均分子量は650000、アクリロニ
トリル含有量は54.6%であった。
【0051】実施例1〜3、比較例1〜11 上記方法にて得られた重合体を表1に示す割合にて、
0.5重量部の滑剤(「PRN−208」日本油脂
(株)製)と共にヘンシリングさせた後、220℃で2
軸押出機(東芝(株)製:TEX−44)にて溶融混合
し、ペレット化した。このペレットを4オンス射出成形
機(日本製鋼(株)製)で240℃にて成形し、必要な
テストピースを作成し、それぞれ次のような評価を行
い、結果を表1に示した。
【0052】[塗装性]図1に示す平板テストピース
(160mm×60mm、肉厚2.5mm)1に対し、
5℃の環境温度下、ウレタン系塗料をスプレー塗装し
た。得られた塗装成形品のサイド2点のゲート2付近と
端の部分に発生するブリスター現象及びゲート付近に主
に現れる吸い込み現象を肉眼で観察し、ブリスター現
象、吸い込み現象ともに以下の判断基準で評価した。 ○ :全く発生せず △ :一部発生 × :著しい発生 [耐衝撃性]アイゾット衝撃強度(Kg−cm/c
m):ASTM−D256 厚み:1/4’’(常温) [成形加工性]メルトフローインデックス(g/10m
in):ASTM−D1238(220℃/10Kg)
【0053】
【表1】
【0054】表1に示す結果より、次のことが明らかで
ある。
【0055】即ち、実施例1〜3の結果から、本発明の
範囲内であれば、ブリスター現象と吸い込み現象が抑制
され、しかも、良好な耐衝撃性と成形加工性が得られる
ことが分かる。
【0056】比較例1,2の結果から、グラフト重合体
中のゴム質重合体に供重合した硬質重合体成分の分子量
が本発明の範囲外では、耐衝撃性、成形加工性は良好で
あるものの、ブリスター現象及び/又は吸い込み現象が
発生し、塗装性に劣るものとなることが分かる。
【0057】比較例3〜6の結果から、硬質重合体混合
物(B)中の硬質重合体(B−I)の分子量又はシアン
化ビニル単量体であるアクリロニトリルの含有量が本発
明の範囲外であると、ブリスター現象及び/又は吸い込
み現象が発生し、塗装性に劣るものとなり、特に比較例
4においては、成形加工性が悪化することが分かる。
【0058】比較例7〜9の結果から、硬質重合体混合
物(B)中の硬質重合体(B−II)の分子量又はシアン
化ビニル単量体であるアクリルニトリルの含有量が本発
明の範囲外であると、ブリスター現象及び/又は吸い込
み現象が発生し、塗装性に劣るものとなり、特に比較例
7においては成形加工性が著しく悪化することが分か
る。
【0059】比較例10,11の結果から、ゴム含有グ
ラフト共重合体の含有量が本発明の範囲外であるとブリ
スター現象及び/又は吸い込み現象が発生し、塗装性が
劣るものとなり、特に比較例10においては、耐衝撃性
が悪化することが分かる。
【0060】以上の結果から、本発明に従って、特定の
ゴム含有グラフト共重合体と、2種の特定硬質重合体と
を含む、特定樹脂組成比率の混合物とにすることによっ
て初めて、優れた塗装性と、耐衝撃性及び、成形加工性
とを兼ね揃える熱可塑性樹脂組成物が実現できることが
わかる。
【0061】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の熱可塑性樹
脂組成物は、優れた塗装性を有し、しかも、耐衝撃性、
成形加工性についても高度の状態でバランスが取れてい
ることから、本発明によれば、従来のABS樹脂に代表
されるゴム含有スチレン系樹脂の欠点を改良した画期的
な高特性成形材料が提供される。従って、本発明の熱可
塑性樹脂組成物は、自動車用部品等の成形材料として、
その工業的な実用価値は極めて大きい。
【0062】本発明の自動車用成形品は、このような本
発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものであり、
塗装性、耐衝撃性、成形加工性に優れ、ドアミラー等の
自動車用外装部品等に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】塗装性の評価に用いた平板テストピースの正面
図である。
【符号の説明】
1 平板テストピース 2 ゲート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/00 CER C08J 5/00 CER (72)発明者 酒井 賢郎 山口県宇部市大字沖宇部525−14 宇部サ イコン株式会社宇部工場内 Fターム(参考) 4D075 DB35 DB55 DC12 4F071 AA12X AA22B AA22X AA33X AA34B AA34X AA77B AH07 BA01 BB05 BC01 4J002 BC061 BN152 GH01 GN00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジエン系ゴム質重合体の存在下に芳香族
    ビニル及びシアン化ビニルを含む単量体混合物を共重合
    させてなるゴム含有グラフト共重合体であって、該芳香
    族ビニル及びシアン化ビニルを含む単量体混合物がグラ
    フトした硬質重合体成分の重量平均分子量が25000
    0〜450000であるゴム含有グラフト共重合体
    (A):15〜50重量部と、 芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体を含む硬
    質重合体であって、重量平均分子量が100000〜2
    00000で、シアン化ビニル単量体を20〜30重量
    %含む硬質重合体(B−I)と、重量平均分子量が10
    0000未満で、シアン化ビニル単量体を35〜50重
    量%含む硬質重合体(B−II)とを含む混合物であり、
    かつ該混合物中の硬質重合体(B−II)含有量が20〜
    50重量%である硬質重合体混合物(B):85〜50
    重量部とを含むことを特徴とする塗装性に優れる熱可塑
    性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1において、硬質重合体混合物
    (B)が硬質重合体(B−I)と硬質重合体(B−II)
    とからなり、硬質重合体(B−I)/硬質重合体(B−I
    I)の重量比が1〜4であることを特徴とする塗装性に
    優れる熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、硬質重合体混
    合物(B)が芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量
    体とからなることを特徴とする塗装性に優れる熱可塑性
    樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする
    自動車用成形品。
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