JP2023131917A - 自動車連携バックアップ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】交流電力の供給が必要な負荷に対してV2Xを行うことができる自動車連携バックアップ装置を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係る自動車連携バックアップ装置は、系統10からの交流を負荷50に供給するとともに、直流に変換して蓄電池21に充電し、系統10が遮断されたときに蓄電池11からの直流を変換器22で交流に変換して負荷50へ供給する無停電電源装置20と、走行用バッテリー31を搭載する自動車30と、着脱可能に走行用バッテリー31を蓄電池23と並列に接続する充放電器40と、を備え、系統10が遮断されたとき、且つ走行用バッテリー31を蓄電池23と並列に接続されたときに、走行用バッテリー31からの直流で蓄電池23を充電すること、及び走行用バッテリー31からの直流を変換器22に供給すること、の少なくとも一方を電力バックアップとして行うことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本開示は、無停電電源装置(UPS)に関する。
電気自動車などの大容量バッテリーを搭載する電動車から、家電機器などに直流の給電を行うこと(V2X)が検討されている。このV2XとUPSとを組み合わせて、系統が遮断されたときに負荷への給電時間の延長と、消費電力の大きな負荷に対しても適正な直流電力の供給を可能とすることも開示される(例えば、特許文献1を参照。)。
なお、V2Xとは、V2L(Vehicle to Load)、V2H(Vehicle to Home)、V2G(Vehicle to Grid)、V2V(Vehicle to Vehicle)などの総称である。
特開2020-102916号公報
しかし、バックアップが必要な負荷は交流電力を要求するものもある。特許文献1のようなシステムは、出力が直流であり、交流電力の供給が必要な負荷に対してV2Xを行うことができなかった。そこで、本発明は、交流電力の供給が必要な負荷に対してV2Xを行うことができる自動車連携バックアップ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る自動車連携バックアップ装置は、充放電器で自動車の走行用バッテリーの電力をUPSに供給でき、且つUPSで直流を交流に変換して給電することとした。
具体的には、本発明に係る自動車連携バックアップ装置は、
系統からの交流を負荷に供給するとともに、直流に変換して蓄電池に充電し、前記系統が遮断されたときに前記蓄電池からの直流を変換器で交流に変換して前記負荷へ供給する無停電電源装置と、
走行用バッテリーを搭載する自動車と、
前記走行用バッテリーを前記蓄電池と並列に接続する充放電器と、
を備え、
任意時に、前記充放電器を介して前記走行用バッテリーを前記蓄電池と並列に接続することと、前記走行用バッテリーを前記蓄電池から切り離すことが可能であり、
前記系統が遮断されたとき、且つ前記走行用バッテリーを前記蓄電池と並列に接続されたときに、前記走行用バッテリーからの直流で前記蓄電池を充電すること、及び前記走行用バッテリーからの直流を前記変換器に供給すること、の少なくとも一方を電力バックアップとして行うことを特徴とする。
本自動車連携バックアップ装置は、交流出力のUPSの蓄電池に充放電器を介して自動車の走行用バッテリーを接続する。従って、本発明は、交流電力の供給が必要な負荷に対してV2Xを行うことができる自動車連携バックアップ装置を提供することができる。
本発明は、交流電力の供給が必要な負荷に対してV2Xを行うことができる自動車連携バックアップ装置を提供することができる。
本発明に係る自動車連携バックアップ装置を説明する図である。 関連する自動車連携バックアップ装置を説明する図である。 本発明に係る自動車連携バックアップ装置が備える変換器を説明する図である。 本発明に係る自動車連携バックアップ装置が備える放電器を説明する図である。
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
図1は、本実施形態の自動車連携バックアップ装置を説明する図である。本自動車連携バックアップ装置は、
系統10からの交流を負荷50に供給するとともに、直流に変換して蓄電池23に充電し、系統10が遮断されたときに蓄電池23からの直流を変換器22で交流に変換して負荷50へ供給する無停電電源装置20と、
走行用バッテリー31を搭載する自動車30と、
着脱可能に走行用バッテリー31を蓄電池23と並列に接続する充放電器40と、
を備え、
系統10が遮断されたとき、且つ走行用バッテリー31を蓄電池23と並列に接続されたときに、走行用バッテリー31からの直流で蓄電池23を充電すること、及び走行用バッテリー31からの直流を変換器22に供給すること、の少なくとも一方を電力バックアップとして行うことを特徴とする。
系統10は、例えば商用の交流電源である。系統10の相数、電圧、及び周波数は任意である。
負荷50は、交流電力を要求する機器である。
無停電電源装置(UPS)20は、整流器21、変換器22、蓄電池23、切替器24、及びバイパス経路26を有する。バイパス経路26に備わるMCCBは遮断機である。ここで、整流器21、変換器22及び蓄電池23の3方を接続している経路を「DCバス27」と呼ぶ。UPS20は、外部の直流電源とDCバス27と接続する接続端28をさらに備える。接続端28とDCバス27との間には、安全用のスイッチ25が配置される。スイッチ25は、充放電器40を接続する際の活線接続の回避およびDCバス27の短絡等による異常時の保護協調の役割がある。但し、スイッチ25は必須ではない。
切替器24は、通常時にはバイパス経路26を選択しており、系統10の交流を直接的に負荷50に供給する。切替器24は、系統10に異常が発生して停電した場合(非常時)、変換器22側に切り替える。整流器21は、通常時に系統10の交流を直流に変換してDCバス27を介して蓄電池23に電力を供給する。
蓄電池23は、通常時に整流器21からの直流電力を蓄積しておき、非常時に蓄積した電力を放電する。また、蓄電池23は、接続端28に外部の直流電源が接続されたときには、外部の直流電源からも直流電力を蓄積することができる。変換器22は、蓄電池23が放電した直流や接続端28から入力された外部の直流電源からの直流がDCバス27を介して入力され、これを交流に変換して負荷50へ供給する。
図1のUPS20は常時商用給電方式であるが、UPS20の方式は常時INV給電やラインインタラクティブでもよい。
充放電器40は、自動車30の走行用バッテリー31に接続できるインターフェース(例えば、CHAdeMO)を備える。充放電器40は、走行用バッテリー31の直流電圧を変換器22が要求する入力電圧に変換する。自動車30、走行用バッテリー31、及び充放電器40は前記外部の直流電源である。なお、充放電器40は、自動車30とともに可搬できる型であってもよいし、UPS20内部(接続端28とスイッチ25との間)に配置された埋め込み型でもよい。
本自動車連携バックアップ装置は、次のような特徴がある。
本自動車連携バックアップ装置は、バックアップ電源装置において自動車30の蓄電能力を活用してバックアップの長時間化を可能とすることができる。自動車30の走行用バッテリー31の電圧をUPS20内の蓄電池23の電圧(DCバス27の電圧)に変換する充放電器40を介し、走行用バッテリー31の電力をUPS20に給電する。
UPS20の蓄電池23は、非常時に拠点からUPS20まで自動車30で駆け付ける時間で決定すれば良いので蓄電容量を小さくできてUPS20のコストを下げる効果がある。また、蓄電池23の容積も小さくでき、UPS20の小型化と軽量化を図ることができる。自動車30が移動手段を兼ね備えた蓄電池のため、一緒に持ち運ぶ充放電器40は、UPS20の設置数より少ない台数で運用が可能である。充放電器40の出力電力を負荷50の電力とUPS20内の蓄電池23の充電電力以上にすることで、負荷50に給電しながら蓄電池23にも充電が可能である。
特許文献1のシステムの場合、系統と直流との絶縁が低周波トランスであり、システムが大型化する。一方、本自動車連携バックアップ装置は、整流器21が有する高周波トランスで系統と直流とを絶縁するため、UPS20の小型化が可能である。
また、通常、走行用バッテリー31と蓄電池23とで大きな電圧差がある場合などの異常時の保護機能を別途設ける必要があるが、本自動車連携バックアップ装置は、整流器21、変換器22、及び充放電器40の全てで高周波トランスを備え、絶縁されているため、異常時の保護機能を別途設ける必要がない。
次に、本自動車連携バックアップ装置が自動車30の走行用バッテリー31と充放電器40を備える有利な点を説明する。
(1)接続端28に太陽光発電装置や風力発電装置を接続する場合
UPS20に接続する2次電池を太陽光発電あるいは風力発電とした場合、UPS20内の蓄電池23の蓄電容量が枯渇した際、日中や晴天、あるいは風量が十分でないと発電量が負荷50の要求電力を上回らず、バックアップを維持することができない。また、太陽光パネルや風車は大型で搬送することが困難のため、UPS毎に設置が必要となり、設備が大型となる。本自動車連携バックアップ装置の場合、天候に関わらずバックアップを行うことができ、可搬性があるため充放電器40や走行用バッテリー31をUPS毎に設置が不要である。
(2)充放電器がAC出力である場合(従来のV2X装置)
図2は、従来のV2X装置を利用する構成を説明する図である。UPSに接続する充放電器45をDC/ACタイプにした場合、UPS20の出力部に手動切替えスイッチ51を追加する必要がある。このため、UPS20から自動車30の走行用バッテリー31からの電力に切替するときに瞬断が発生してしまう。系統10が復旧した際も同様である。本自動車連携バックアップ装置の場合、手動切替えスイッチが不要で瞬断は発生しない。
(3)発動発電機の場合
本システムは、図2のシステムブロック図の充放電器45が発動発電機に置き換わった構成である。本システムの場合、上記(2)の他に、騒音や二酸化炭素の排出量が増えて環境に悪いというデメリットもある。本自動車連携バックアップ装置の場合、手動切替えスイッチが不要で瞬断は発生しない上、バックアップ中には騒音や二酸化炭素の排出はない。
図3は、変換器22の構造を説明する図である。変換器22は、蓄電池23又は走行用バッテリー31側のDC/DC回路22a、及び負荷50側のDC/AC回路22bを有し、DC/DC回路22aの出力がDC/AC回路22bに入力される構造である。DC/DC回路22aは、変換器22に入力する直流電流に重畳する負荷50に起因する脈動電流を低減する。
前述のように変換器22は直流を交流に変換する。直流から交流への変換により交流周波数の2倍の周波数の脈動電流がインバータに入力される直流に重畳される。直流側が蓄電池23のみの場合、放電電流に制限がないため脈動電流があっても問題にならないが、図1の様にUPS20に走行用バッテリー31を接続する場合、この脈動電流を許容できる電力供給能力を持つ充放電器40が必要となり、充放電器40のサイズが大型化する。適切な電力供給能力として小型化するためにはインバータで発生する脈動電流を低減する必要がある。
変換器22は、インバータであるDC/AC回路22bの入力電流をDC/DC回路22aで直流化することで脈動電流を低減する。具体的な手法としては、DC/DC回路22aの前段又は後段に容量の大きい平滑コンデンサ22cを配置すること、及び/又は直流入力電圧22eを用いてDC/DC回路22aの脈動改善制御を行う脈動改善回路22dを有すること、等が挙げられる。このように、変換器22は、脈動電流を低減する機能を有するため、接続する充放電器40は負荷50の電力供給能力で良いため、サイズを小型化でき、可搬性を担保できる。
充放電器40として、双方向のDC/DCコンバータを利用することができる。また、充放電器40の代替として図4のような放電器41も利用することができる。
図4の放電器41は、DC/DC電力変換器であって、
少なくとも1つのスイッチング素子SWを有し、直流電圧源からの入力電圧Vinを直流のリンク電圧Vlinkに昇圧し、UPS20に出力電圧Voutを供給する絶縁型コンバータ111にリンク電圧Vlinkを入力する昇圧回路110と、
入力電圧Vin、リンク電圧Vlink、及び前記直流電圧源から昇圧回路110に入力される直流電流Iinを検出し、出力電圧VoutをUPS20が要求する電圧値(設定出力電圧)Vorefに近づける前記リンク電圧の目標値である目標リンク電圧値Vrefを生成し、目標リンク電圧値Vrefを入力電圧Vinで除算した昇圧比αと直流電流Iinに基づいて、検出した出力電圧Voutが目標リンク電圧値Vrefに近づくように昇圧回路110のスイッチング素子SWに駆動信号を供給する制御回路120と、
を備える。
放電器41の入力端子T1には、自動車30の走行用バッテリー31が直流電源として接続される。このようなバッテリーは、電気自動車の種類や蓄電量により出力される電圧値が大きく異なる。また、充放電器40の出力端子T3は、UPS20の接続端28に接続される。出力端子T3から出力する出力電圧Voutは、接続するUPS20の仕様やUPS20内の蓄電池23の出力電圧により変更する必要がある。つまり、充放電器40には、変動幅の大きな入力電圧Vin、且つUPS20の要求に応じて変動幅の大きな出力電圧Voutを許容することが求められる。
放電器41は、制御回路120が昇圧回路110内のスイッチング素子SWの動作を制御することで、変動幅の大きな入力電圧Vin、且つUPS20の要求に応じて変動幅の大きな出力電圧Voutを許容する。
昇圧回路110は、一般的な昇圧回路である。図1の昇圧回路は、一例であり、インダクタL、スイッチング素子SW、ダイオードD、コンデンサCで構成される。制御回路120からの駆動信号により、昇圧回路110のスイッチング素子SWがオンオフ制御される。駆動信号は、パルス幅制御、周波数制御、その他の制御方法に基づくものであってもよい。
絶縁型コンバータ111は、入力される直流のリンク電圧Vlinkを直流の出力電圧Voutに変換し、この出力電圧Voutが、UPS20が要求する電圧値Vorefに近づくように動作する。しかし、入力電圧Vinや設定出力電圧Vorefの範囲が広い場合、絶縁型コンバータ111の回路構成ないし動作によっては、UPS20が要求する電圧値Vorefを安定して出力することが難しい場合がある。放電器41は、絶縁型コンバータ111に入力される直流のリンク電圧Vlinkを昇圧回路110で制御する。このことにより、絶縁型コンバータ111は、入力電圧Vinや設定出力電圧Vorefの範囲が広い場合であっても、回路構成ないし動作の制限無く、最適な動作を実現することができる。なお、「最適な動作」とは次を意味する。
絶縁型コンバータには、入力される入力電圧(図1の場合、リンク電圧Vlink)と出力する出力電圧により変換効率が変動する。この変換効率が高くなる入力電圧と出力電圧で動作させることを「最適な動作」という。
制御回路120には、入力電圧Vin、入力電流Iin及びリンク電圧Vlinkについてのそれぞれ検出値が入力される。なお、入力電流Iinを検出する箇所は、リンク端子T2より入力端子T1側であれば図1に示した場所に限らない。また、入力電圧Vin、入力電流Iin及びリンク電圧Vlinkの検出値は、検出値そのものではなく、例えば検出した値に係数を乗算等した演算値であってもよい。
以下に制御回路120の動作について説明する。
制御回路120は、
リンク電圧演算部121、昇圧比演算部122、リンク電圧可変制御部123、入力電流安定化制御部124、及びパルス生成部125を有しており、
リンク電圧演算部121は、少なくとも誤差演算係数αを用いてリンク電圧Vlinkが目標リンク電圧値Vrefに近づく制御信号Sig1を生成すること、
昇圧比演算部122は、目標リンク電圧値Vrefを入力電圧Vinで除算して昇圧比αを演算し、昇圧比αを誤差演算係数とすること、
リンク電圧可変制御部123は、絶縁型コンバータ111の変換率及びUPS20が要求する電圧値Vorefから目標リンク電圧値Vrefを生成すること、
入力電流安定化制御部124は、所定の関数f(Iin)に入力電流Iinの値を入力して電流安定化係数βを算出し、誤差演算係数αと電流安定化係数βとの乗算値を用いて入力電流Iinの値が制御信号Sig1の値に近づく操作量Sig2を生成すること、及び
パルス生成部125は、操作量Sig2から前記駆動信号を生成すること、
を特徴とする。
つまり、従来のDC/DC電力変換器に対し、本実施形態の放電器41は、昇圧比演算部122、リンク電圧可変制御部123、及び入力電流安定化制御部124を新たに有している。
(i)リンク電圧演算部121
リンク電圧演算部121は、昇圧回路110の出力電圧であるリンク電圧Vlinkの検出値が目標リンク電圧値Vrefに近づくようにフィードバック制御する。リンク電圧Vlinkは、UPS20が要求する電圧値Vorefに幅があるため、それに応じて可変対応できる必要がある。つまり、絶縁型コンバータ111の回路構成や動作に関わらず、絶縁型コンバータ111に入力される直流のリンク電圧Vlinkを、昇圧回路110によって、絶縁型コンバータ111にとって最適に動作させるように制御する。
リンク電圧演算部121は、フィードバック機能部である。
一例として、図4では、リンク電圧演算部121は、ゲイン演算回路121bで所定ゲインK1、K2、K3にそれぞれαを乗算してゲインKp1、Ki1、Kd1を求め、リンク電圧誤差演算回路121aでリンク電圧Vlinkと目標リンク電圧値Vrefとの差分及びゲインKp1、Ki1、Kd1を用いてPID制御を行い、制御信号Sig1を生成している。リンク電圧演算部121は、誤差演算係数αをフィードバック制御に用いるため、入力電圧Vinが大きく変動してもそれに追従してゲインを変更できる。つまり、本実施形態の放電器41は、変動幅の大きな入力電圧Vinを許容することができる。
なお、リンク電圧演算部121は、従来のDC/DC電力変換器のリンク電圧誤差演算部と異なり、リンク電圧Vlinkを検出して目標リンク電圧値Vrefとの差分から制御信号Sig1を生成し、これを後述する入力電流安定化制御部124に入力している。つまり、リンク電圧演算部121は、入力電流Iinが目標電流値に近づくような制御信号Sig1を出力する必要があり、その制御信号Sig1となるようにゲイン演算回路121bの誤差演算ゲインを設定している。
(ii)昇圧比演算部122
昇圧比演算部122は、入力電圧Vinを検出し、目標リンク電圧値Vrefとの比率である誤差演算係数αを計算する。つまり
α=Vref/Vin
である。
入力電圧Vinは、昇圧回路110の入力端子T1に接続される走行用バッテリー31によって異なり、さらにバッテリー状態によって変動(放電すれば電圧が下がる)する。誤差演算係数αは、入力電圧Vinが高ければ小さな値となり、入力電圧Vinが下がれば大きな値となる。つまり、本実施形態の放電器41は、入力電圧Vinにより昇圧回路110の昇圧比を可変することができる。
(iii)リンク電圧可変制御部123
放電器41は、絶縁型コンバータ111をUPS20側に備える。上述の通り、絶縁型コンバータ111の回路構成や動作によっては、UPS20が要求するすべての電圧値Vorefに対応しきれない場合がある。そこで、放電器41は、絶縁型コンバータ111に入力される直流のリンク電圧Vlinkを、昇圧回路110によって、絶縁型コンバータ111が対応可能な値になるよう制御することにより、絶縁型コンバータ111の回路構成や動作に制限を与えることなく、入力電圧や出力電圧の範囲が広い場合であっても、適切な制御を実現することができる。
そこで、放電器41は、UPS20が要求する電圧値Vorefで絶縁型コンバータ111が最適に動作できるように、UPS20が要求する電圧値Vorefに応じて昇圧回路110が出力するリンク電圧Vlinkを変化させる制御を行う。なお、例えば、電圧値Vorefは、放電器41を接続端28に接続した時にUPS20から通知される。
当該制御はリンク電圧可変制御部123が目標リンク電圧値Vrefを生成することで実現される。リンク電圧可変制御部123は次の計算を行って目標リンク電圧値Vrefを生成する。
UPS20が要求する出力電圧の最小値から最大値に応じたリンク電圧の最小値から最大値の間においては、所定の絶縁型コンバータ111の変換率(リンク電圧/出力電圧)を用いて目標リンク電圧値Vrefを求めることができる。例えば、Vlinkminを最小リンク電圧、Vorefminを最小設定出力電圧、VorefをUPS20が要求する電圧値(設定出力電圧)とした場合は、以下となる。
Vref
=Vlinkmin/Vorefmin×Voref
“Vlinkmin/Vorefmin”が、本例の絶縁型コンバータ111の変換率である。
ここで、最小設定出力電圧とは、UPS20が要求する出力電圧値の中で最小の電圧値であり、最小リンク電圧とは、最小設定出力電圧値のときに絶縁型コンバータ111に入力するリンク電圧の最小値のことである。同様に、最大リンク電圧とは、最大設定出力電圧値のときに絶縁型コンバータ111に入力するリンク電圧の最大値のことであり、最大設定出力電圧とは、UPS20が要求する出力電圧値の中で最大の電圧値のことである。なお、絶縁型コンバータの変換率(リンク電圧/出力電圧)は、上記の例では、最小値を用いているが、最小リンク電圧から最大リンク電圧の間における、所定の設定出力電圧及びこれに対応するリンク電圧から求めることできる。なお、最小リンク電圧と最小設定出力電圧は、放電器41の仕様で予め定められた値である。
放電器41は、UPS20に応じて出力電圧Voutを変更することを、リンク電圧誤差演算部121で基準となる目標リンク電圧値Vrefを変更することで実現する。つまり、本実施形態の放電器41は、UPS20に接続した時の変動幅の大きな出力電圧Voutを許容することができる。
(iv)入力電流安定化制御部124
昇圧回路110の出力であるリンク電圧Vlinkの応答を高速化するため、リンク電圧演算部121のゲイン演算回路121bによって得られるゲインを上げると、入力電流Iinの変動も大きくなり動作が不安定となる。一方、リンク電圧ゲイン演算回路121bによって得られるゲインを下げ、入力電流Iinおよびリンク電圧Vlinkを安定化させようとすると、リンク電圧Vlinkの応答が遅くなり、UPS20の要求に対応ができなくなる。
そこで、本実施形態の放電器41は、リンク電圧Vlinkの応答の高速化と入力電流Iinおよびリンク電圧Vlinkの安定化を両立するために、検出した入力電流Iinを利用してリンク電圧誤差演算部121の制御信号Sig1の変動を入力電流安定化制御部124で緩衝することとした。
入力電流安定化制御部124は、入力電流Iin、制御信号Sig1及び昇圧比演算部122によって演算された誤差演算係数αが入力され、入力電流Iin、及び補正関数124cで演算した電流安定化係数βを用いて、パルス生成部125へ入力する操作量Sig2を生成する。一例として、図1では、入力電流安定化制御部124は、入力電流安定化誤差演算回路124a、ゲイン演算回路124b、及び補正関数124cを有する。ゲイン演算回路124bは、所定のゲインK4、K5、K6、昇圧比演算部122が算出した誤差演算係数α及び補正関数124cで計算した電流安定化係数βを乗算したゲインKp2、Ki2、Kd2を求める。入力電流安定化誤差演算回路124aは、制御信号Sig1と入力電流Iinとの差分及びゲインKp2、Ki2、Kd2を用いてPID制御を行い、操作量Sig2を生成する。補正関数124cは、入力電流Iinの関数f(Iin)である。例えば、
f(Iin)=1/(Iin)
である。
入力電流安定化制御部124は、誤差演算係数αとともに電流安定化係数βをフィードバック制御に用いるため、入力電圧Vinや入力電流Iinが大きく変動してもそれに追従してゲインを変更できる。つまり、本実施形態の放電器41は、リンク電圧Vlinkの応答の高速化と入力電流Iinおよびリンク電圧Vlinkの安定化を両立することができる。
(v)パルス生成部125
入力電流安定化制御部124が出力する操作量Sig2に基づき、昇圧回路110内のスイッチング素子SWの駆動信号を生成する。
充放電器40は、走行用バッテリー31の残量を把握し、前記残量が閾値を下回ったときに前記電力バックアップを停止する機能を備えていてもよい。例えば、自動車30は走行用バッテリー31の残量を把握する手段を有しており、制御回路120は、自動車30との通信で当該残量を把握することができる。また、制御回路120は、走行用バッテリー31の電圧をモニタしており、当該電圧から走行用バッテリー31の残量を把握してもよい。制御回路120は、自動車30が拠点へ戻れる分の電池容量を計算して絶縁型コンバータ111の動作を停止し、出力端子T3からの出力をOFFする。自動車30が拠点へ戻る途中で電欠による走行不能に陥ることを防止できる。
(他の実施形態)
本実施形態では、UPS20の出力容量が充放電器40の出力容量より大きく、充放電器40(走行用バッテリー31)の電力だけでは負荷50に十分な電力を供給できない場合を説明する。
この場合、本自動車連携バックアップ装置は、前記電力バックアップとして、充放電器40を定電力制御で動作させ、走行用バッテリー31からの直流と蓄電池23からの直流とを協調させて変換器22に供給することをさらに行うことを特徴とする。
ここで、例えば、作業者などにより、充放電器40の出力電圧を蓄電池23の電圧より高くしておく。初期段階として、充放電器40(走行用バッテリー31)から電流が変換器22に供給される。しかし、UPS20の出力容量が充放電器40の出力容量より大きい場合、充放電器40が定電力制御で動作することになり、垂下特性により充放電器40の出力電圧が下がる。そして、充放電器40の出力電圧が蓄電池23の電圧と同じになると、充放電器40は設定された定電力で給電し、残りの電力を蓄電池23が給電する状態で安定する。蓄電池23と充放電器40とが直流を並列に変換器22に給電するので、電力バックアップの延長が可能となる。
10:系統
20:UPS
21:整流器
22:変換器
22a:DC/DC回路
22b:DC/AC回路
22c:平滑コンデンサ
22d:脈動改善回路
22e:直流入力電圧
23:蓄電池
24:切替器
25:スイッチ
26:バイパス経路
27:DCバス
28:接続端
30:自動車
31:走行用バッテリー
40:充放電器
45:充放電器
50:負荷
51:手動切替えスイッチ
110:昇圧回路
111:絶縁型コンバータ
120:制御回路
121:リンク電圧演算部
121a:リンク電圧誤差演算回路
121b:リンク電圧ゲイン演算回路
122:昇圧比演算部
123:リンク電圧可変制御部
124:入力電流安定化制御部
124a:入力電流安定化誤差演算回路
124b:入力電流安定化ゲイン演算回路
124c:補正関数
125:パルス生成部

Claims (4)

  1. 系統からの交流を負荷に供給するとともに、直流に変換して蓄電池に充電し、前記系統が遮断されたときに前記蓄電池からの直流を変換器で交流に変換して前記負荷へ供給する無停電電源装置と、
    走行用バッテリーを搭載する自動車と、
    前記走行用バッテリーを前記蓄電池と並列に接続する充放電器と、
    を備え、
    任意時に、前記充放電器を介して前記走行用バッテリーを前記蓄電池と並列に接続することと、前記走行用バッテリーを前記蓄電池から切り離すことが可能であり、
    前記系統が遮断されたとき、且つ前記走行用バッテリーを前記蓄電池と並列に接続されたときに、前記走行用バッテリーからの直流で前記蓄電池を充電すること、及び前記走行用バッテリーからの直流を前記変換器に供給すること、の少なくとも一方を電力バックアップとして行うことを特徴とする自動車連携バックアップ装置。
  2. 前記変換器は、前記蓄電池又は前記走行用バッテリー側のDC/DC回路、及び前記負荷側のDC/AC回路を有し、前記DC/DC回路の出力が前記DC/AC回路に入力される構造であり、
    前記DC/DC回路は、前記変換器に入力する直流電流に重畳する前記負荷に起因する脈動電流を低減すること
    を特徴とする請求項1に記載の自動車連携バックアップ装置。
  3. 前記充放電器は、前記走行用バッテリーの残量を把握し、前記残量が閾値を下回ったときに前記電力バックアップを停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車連携バックアップ装置。
  4. 前記電力バックアップとして、前記充放電器を定電力制御で動作させ、前記走行用バッテリーからの直流と前記蓄電池からの直流とを協調させて前記変換器に供給することをさらに行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の自動車連携バックアップ装置。
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