JP2023131119A - セメント組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な強度発現性を有するとともに、優れた流動性を発現することのできるセメント組成物に関する。【解決手段】モンモリロナイトの含有量が60質量%以上である粘土(a)をか焼してなるか焼粉末(A)、石灰石粉末(B)、セメントクリンカ粉末(C)、及び石こう粉末(D)を含むセメント組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、良好な強度発現性を有するとともに、優れた流動性を発現するセメント組成物に関する。
近年、世界的に温室効果ガスの排出量の低減が提唱されるなか、多大なエネルギー消費を伴うセメント産業においても、CO2排出量の削減を試みることが要求されている。セメントの生産過程にて、効果的にCO2排出量の削減する一策としては、セメント組成物のクリンカ含有量を低減することが挙げられる。ところが、かかるクリンカの代替材料として、スラグやフライアッシュ等が挙げられるものの、その枯渇も懸念されるため、優良な代替材料を実現するための開発が日々活発化している。
例えば、非特許文献1には、か焼粘土のか焼カオリン含有量が50%のクリンカを含む石灰石か焼粘土に関する研究内容が開示されており、セメント組成物の原料用粘土としての有用性が記されている。
Avet francois etc.,"Investigation of the calcined kaolinite content on the hydration of Limestone Calcined Clay Cement (LC3)", Cement and Concrete Reserch, vol. 107, 2018, p.124-135
しかしながら、か焼カオリン粘土を用いると、一般的に混和剤吸着量が増大してしまうおそれがあるとともに、流動性も低下してしまうため、依然として優良な代替材料の実現が強く望まれている。
したがって、本発明の課題は、良好な強度発現性を有するとともに、優れた流動性を発現することのできるセメント組成物に関する。
そこで本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、モンモリロナイトの含有量が高い粘土をか焼したか焼粘土を用いることにより、良好な強度発現性を保持したまま流動性を高めることのできるセメント組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、モンモリロナイトの含有量が60質量%以上である粘土(a)をか焼してなるか焼粉末(A)、石灰石粉末(B)、セメントクリンカ粉末(C)、及び石こう粉末(D)を含むセメント組成物を提供するものである。
本発明によれば、カオリン粘土に代えて、入手容易な粘土を活用しつつ、良好な強度発現性を有するとともに優れた流動性を発現することができ、CO2排出量の削減への寄与が大いに期待される。
実施例において用いた粘土(a1)のX線粉末回折パターン図である。 比較例において用いた粘土(x)のX線粉末回折パターン図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のセメント組成物は、モンモリロナイトの含有量が60質量%以上である粘土(a)をか焼してなるか焼粉末(A)を含有する。
粘土(a)は、粘土鉱物であるモンモリロナイトを主成分とする、いわゆる「ベントナイト」と称される弱アルカリ性粘土岩である。ベントナイトは、モンモリロナイトのほか、石英、α-クリストバライト、オパール等の珪酸鉱物を副成分として含み、さらに長石、マイカ、ゼオライト等の珪酸塩鉱物;カルサイト、ドロマイト、ジプサムなどの炭酸塩鉱物や硫酸塩鉱物;パイライト等の硫化鉱物も含み得る粘土である。かかる粘土(a)は、カオリン粘土よりも入手容易でもあり、活用性の高い原料である。
なお、粘土(a)中におけるモンモリロナイトの同定は、X線粉末回折を用いて求めることができる。
本発明のセメント組成物では、モンモリロナイトの含有量が60質量%以上である粘土(a)を用い、これをか焼して得られるか焼粉末(A)を含有させる。
モンモリロナイトの含有量は、か焼カオリン粘土の代替技術としての有用性を高める観点、及び優れた流動性を発現させる観点から、粘土(a)中に、60質量%以上であって、好ましくは65質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは75質量%以上である。かかる含有量の上限値は特に制限されないが、通常90質量%以下である。
なお、粘土(a)中におけるモンモリロナイトの含有量は、熱重量測定(Thermogravimetry、TG)を用いて求めることができる。
粘土(a)の平均粒径は、優れた流動性の発現を確保する観点から、好ましくは7μm~25μmであり、より好ましくは10μm~20μmである。
なお、粘土(a)における「平均粒径」とは、レーザー回折・散乱法に基づく体積基準の粒度分布により得られるD50値(累積50%での粒径(メジアン径))であり、実施例にも記載するとおり、溶媒として炭酸ナトリウム水溶液(2N)を用いることにより測定される値を意味する。
粘土(a)のBET比表面積は、上記と同様の観点、及びさらに強度も良好とする観点から、好ましくは10m2/g~50m2/gであり、より好ましくは25m2/g~40m2/gである。
なお、粘土(a)のBET比表面積とは、窒素吸着法による吸着等温線から求められる値を意味し、例えば流動式比表面積自動測定装置(FlowSorbIII2305、島津製作所社製)を用いて、窒素を30%含有する窒素・ヘリウム混合ガスとする条件で測定することができる。
粘土(a)中のK2Oの含有率は、か焼によるか焼粉末の品質変動を抑制する観点から、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上である。かかる含有量の上限値は特に制限されないが、通常5質量%以下である。
粘土(a)の強熱減量は、セメント組成物の強度発現性及び流動性を高める観点から、好ましくは5質量%~20質量%であり、より好ましくは7.5質量%~15質量%である。
なお、粘土(a)の強熱減量とは、「JIS R 5202(セメントの化学分析方法)」に準拠して測定される値を意味する。
本発明のセメント組成物は、上記粘土(a)をか焼してなるか焼粉末(A)を含有する。
かかるか焼粉末(A)の強熱減量は、か焼カオリン粘土の代替技術としての有用性を高める観点、及び優れた流動性を発現させる観点から、好ましくは3.0質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上2.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.3質量%以上1.8質量%以下であり、またさらに好ましくは0.5質量%以上1.5質量%以下である。
なお、か焼粉末(A)の強熱減量とは、熱重量測定(Thermogravimetry(TG))により得られる値を意味する。
か焼粉末(A)の累積熱量(R3)は、セメント組成物の強度を保持する観点から、好ましくは10J/g以上であり、より好ましくは13J/g~50J/gであり、さらに好ましくは20J/g~50J/gであり、また23J/g~40J/gであり、よりさらに好ましくは25J/g~38J/gである。
なお、累積熱量(R3)とは、ASTM規格 C1897-20に準拠し、10.1.3の記載にしたがって、混合から168時間(7日間)経過後の累積熱量(J/g)の値を意味する。
か焼粉末(A)の平均粒径は、優れた流動性の発現を確保する観点から、好ましくは2μm~20μmであり、より好ましくは3μm~10μmである。
なお、か焼粉末(A)における「平均粒径」とは、粘土(a)における「平均粒径」と同様の方法により得られるD50値(累積50%での粒径(メジアン径))であり、実施例にも記載するとおり、溶媒として炭酸ナトリウム水溶液(2N)を用いることにより測定される値を意味する。
また、か焼粉末(A)におけるD50値について、実施例にも記載するとおり、溶媒としてエタノールを用いることにより測定される値を「D50エタノール値」と称した場合、かかるD50エタノール値は、好ましくは3μm~80μmであり、より好ましくは5μm~50μmである。
か焼粉末(A)のBET比表面積は、上記と同様の観点から、好ましくは0.5m2/g~30m2/gであり、より好ましくは0.6m2/g~20m2/gであり、さらに好ましくは0.8m2/g~10m2/gであり、またさらに好ましくは1.0m2/g~5m2/gである。
なお、か焼粉末(A)のBET比表面積とは、粘土(a)における「BET比表面積」と同様、窒素吸着法による吸着等温線から求められる値を意味し、例えば流動式比表面積自動測定装置(FlowSorbIII2305、島津製作所社製)を用いて、窒素を30%含有する窒素・ヘリウム混合ガスとする条件で測定することができる。
また、か焼粉末(A)のブレーン比表面積は、上記と同様の観点から、好ましくは1500cm2/g~10000cm2/gであり、より好ましくは2000cm2/g~8500cm2/gであり、さらに好ましくは3000cm2/g~5000cm2/gであり、またさらに好ましくは3500cm2/g~4600cm2/gである。
なお、か焼粉末(A)のブレーン比表面積とは、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準拠して測定される値を意味する。
か焼粉末(A)の含有量は、良好な強度発現性と優れた流動性の発現を確保する観点から、か焼粉末(A)、石灰石粉末(B)、セメントクリンカ粉末(C)、及び石こう粉末(D)の合計量100質量%中に、好ましくは5質量%~45質量%であり、より好ましくは10質量%~45質量%であり、さらに好ましくは15質量%~45質量%であり、またさらに好ましくは15質量%~40質量%であり、よりさらに好ましくは15質量%~35質量%である。
なお、粘土(a)をか焼してか焼粉末(A)を得るにあたっては、良好な強度発現性と優れた流動性の発現を確保する観点から、か焼温度を750℃~1200℃とするのが好ましく、775℃~1150℃とするのがより好ましく、800℃~1100℃とするのがさらに好ましい。また、かかるか焼温度の保持時間を、0.1時間~5時間とするのが好ましく、0.25時間~3時間とするのがより好ましい。
なお、か焼するにあたり、キルン、電気炉、流動床炉等の常法により用いられる設備を活用することができる。
具体的には、例えばか焼する設備として、熱履歴を一定に保持できる電気炉等を用いる場合、か焼温度を750℃~950℃とするのが好ましく、775℃~900℃とするのがより好ましく、800℃~850℃とするのがさらに好ましい。また、かかるか焼温度の保持時間を、0.1時間~5時間とするのが好ましく、0.25時間~3時間とするのがより好ましく、0.5時間~1時間とするのがさらに好ましい。
また、か焼する設備として、内燃式ロータリーキルン等のキルンを用いる場合、適切なか焼温度になるよう、炉内最高温度を適宜調整すればよく、さらに炉内最高温度に応じて窯尻ガス温度も適宜設定すればよい。かかる炉内最高温度は、800℃~1200℃とするのが好ましく、900℃~1150℃とするのがより好ましく、950℃~1100℃とするのがさらに好ましい。さらに炉内における滞留時間を、0.5時間~3時間とするのが好ましく、0.8時間~2.5時間とするのがより好ましい。
本発明のセメント組成物は、石灰石粉末(B)を含有する。かかる石灰石粉末(B)としては、石灰石を粉砕したものであってもよく、生コンスラッジやコンクリートの粉末を炭酸化したものであってもよい。
石灰石粉末(B)中のCaCO3の含有率は、良好な流動性を確保する観点から、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。
石灰石粉末(B)のブレーン比表面積は、上記と同様の観点から、好ましくは2500cm2/g~8000cm2/gであり、より好ましくは4000cm2/g~6000cm2/gである。
石灰石粉末(B)の含有量は、良好な強度発現性と優れた流動性の発現を確保する観点から、か焼粉末(A)、石灰石粉末(B)、セメントクリンカ粉末(C)、及び石こう粉末(D)の合計量100質量%中に、好ましくは3質量%~30質量%であり、より好ましくは3質量%~25質量%であり、さらに好ましくは5質量%~25質量%であり、またさらに好ましくは10質量%~20質量%であり、よりさらに好ましくは12質量%~20質量%である。
石灰石粉末(B)の含有量とか焼粉末(A)の含有量との質量比((B)/(A))は、良好な強度発現性と優れた流動性の発現を確保する観点、及びCO2排出量の削減に大いに寄与させる観点から、好ましくは0.1~2.0であり、より好ましくは0.2~1.5であり、その他の材料、特にセメントクリンカ粉末(C)によっても変動し得るが、より好ましくは0.2~1であり、さらに好ましくは0.25~0.66である。
本発明のセメント組成物は、セメントクリンカ粉末(C)を含有する。セメントクリンカ粉末(C)とは、CaO原料やSiO2原料、Fe23原料等を用い、これらを粉砕及び混合した後、NSPキルンやSPキルン等の常法により用いられる設備にて、焼成することにより得られる粉末である。
なお、本明細書において、セメントクリンカ粉末とは、焼成後に混合される石こうやその他少量成分を含まないセメントクリンカのみから構成される粉末を意味する。
セメントクリンカとしては、普通ポルトランドセメントクリンカ、早強ポルトランドセメントクリンカ、超早強ポルトランドセメントクリンカ、中庸熱ポルトランドセメントクリンカ、低熱ポルトランドセメントクリンカ、耐硫酸塩ポルトランドセメントクリンカ、及びエコセメントクリンカから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、良好な強度発現性を確保する観点から、普通ポルトランドセメントクリンカ、及び早強ポルトランドセメントクリンカから選ばれる1種又は2種が好ましい。
セメントクリンカ粉末(C)の含有量は、良好な強度発現性と優れた流動性の発現を確保する観点から、か焼粉末(A)、石灰石粉末(B)、セメントクリンカ粉末(C)、及び石こう粉末(D)の合計量100質量%中に、好ましくは25質量%~90質量%であり、より好ましくは30質量%~80質量%であり、さらに好ましくは40質量%~70質量%である。
セメントクリンカ粉末(C)の含有量と、か焼粉末(A)及び石灰石粉末(B)の合計含有量との質量比((C)/((A)+(B)))は、良好な強度発現性と優れた流動性の発現を確保する観点から、好ましくは0.3~2であり、より好ましくは0.5~1.5であり、さらに好ましくは0.66~1.2である。
本発明のセメント組成物は、石こう粉末(D)を含有する。かかる石こう粉末(D)としては、二水石こう粉末、α型半水石こう粉末、β型半水石こう粉末、及び無水石こう粉末から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。成因別の石こうの種類としては、特に制限されず、例えば、天然石こう、排煙脱硫石こう、リン酸石こう、チタン石こう、フッ酸石こう、及び精錬石こう等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
石こう粉末(D)の含有量は、良好な強度発現性と優れた流動性の発現を確保する観点から、か焼粉末(A)、石灰石粉末(B)、セメントクリンカ粉末(C)、及び石こう粉末(D)の合計量100質量%中に、好ましくは2質量%~15質量%であり、より好ましくは3質量%~10質量%であり、さらに好ましくは5質量%~8質量%である。
なお、SO3換算値での石こう粉末(D)の含有量は、好ましくは0.5質量%~12質量%であり、より好ましくは1質量%~8質量%であり、さらに好ましくは3質量%~6質量%である。
なお、セメントクリンカ粉末(C)として、普通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセメント等の、セメントクリンカ粉末(C)と石こう粉末(D)との混合物を用いることもできる。この場合、かかる混合物中におけるセメントクリンカ粉末(C)、及び石こう粉末(D)の含有率を勘案し、セメントクリンカ粉末(C)及び石こう粉末(D)の含有量や質量比が各々上記範囲となるように調整すればよい。
本発明のセメント組成物におけるか焼粉末(A)、石灰石粉末(B)、セメントクリンカ粉末(C)、及び石こう粉末(D)の各含有量は、X線回折リートベルト解析法を用いた晶質相の定量結果から換算して求めることができる。
本発明のセメント組成物は、上記か焼粉末(A)、石灰石粉末(B)、セメントクリンカ粉末(C)、及び石こう粉末(D)のほか、適宜必要に応じて、高炉スラグ粉末、石炭溶融スラグ粉末、フライアッシュ等のその他の材料を含有してもよい。
なお、本発明のセメント組成物全量100質量%中におけるか焼粉末(A)、石灰石粉末(B)、セメントクリンカ粉末(C)、及び石こう粉末(D)の合計含有量は、好ましくは75質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
本発明のセメント組成物の製造方法は、特に制限されず、常法により製造することができるが、粘土(a)を上記か焼温度にてか焼することにより、か焼粉末(A)を得る工程を含む。すなわち、予め粘土(a)を上記か焼温度にてか焼してか焼粉末(A)を得た後、例えば、別途個別に粉砕等により調製した石灰石粉末(B)、セメントクリンカ粉末(C)、石こう粉末(D)、及び必要に応じてその他の材料をかかるか焼粉末(A)とともに一括して混合してもよく、か焼粉末(A)、石灰石粉末(B)、セメントクリンカ粉末(C)、石こう粉末(D)、及び必要に応じてその他の材料を混合した後、一括してこれらを粉砕してもよい。なお、粉砕助剤として、ジエチレングリコール、トリイソプロパノールアミン等の公知のものを用いることができる。
このようにして得られた本発明のセメント組成物は、通常、水、細骨材や粗骨材等の骨材、、及び必要に応じてその他の材料を混合することにより、ペースト、モルタル、又はコンクリートを製造することができる。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[製造例1:電気炉を用いたか焼粉末(A)の製造]
か焼粉末(A)の原料とする粘土(a)として、表1に示す粘土(a1)(ベントナイト)、粘土(a2)(ベントナイト)又は粘土(x)(カオリン)を用いた。各粘土としては、常温風乾され、粉砕された市販品を用いた。
次いで、電気炉を用い、表2の記載にしたがって、各所定のか焼温度にて保持時間を1時間とすることにより、各粘土(a)をか焼し、か焼粉末(A1-1)~(A1-4)、(A2-1)~(A2-4)、及び(X-1)~(X-4)を得た。
なお、各粘土及びか焼粉末の物性等については、以下の方法にしたがって測定を行った。
各々の結果を表1~2に示す。
[製造例2:キルンを用いたか焼粉末(A)の製造]
か焼粉末(A)の原料とする粘土(a)として、製造例1と同様、表1に示す粘土(a1)を用いた。
次いで、内燃式ロータリーキルン(寸法:450Φ×8.340L(L/D=18.53)(mm)、傾斜角:勾配0.05(2.86°))を用い、原料送入量:40kg/h、キルン回転速度:30rphの条件を採用した。そして、表3の記載にしたがって窯尻ガス温度及び炉内最高温度を設定し、滞留時間を2時間とすることにより、粘土(a1)をか焼し、か焼粉末(A1-5)~(A1-9)を得た。
なお、か焼粉末の物性等については、製造例1と同様、以下の方法にしたがって測定を行った。
結果を表3に示す。
《粘土(a)の各物性》
密度は、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準拠して測定した。
BET比表面積は、流動式比表面積自動測定装置(FlowSorbIII2305、島津製作所社製)を用い、窒素を30%含有する窒素・ヘリウム混合ガスとする条件で測定し、窒素吸着法による吸着等温線から値を算出した。
平均粒径については、レーザー回折装置(マイクロトラックMT3000II、MicrotracBEL社製)を用いて粒度分布を求め、D50値(μm)を測定した(粒子透過性:透過、粒子形状:非球形、粒子屈折率:1.53、溶媒:炭酸ナトリウム水溶液(2N)、溶媒屈折率:1.33)。
強熱減量は、「JIS R 5202(セメントの化学分析方法)」に準拠して測定した。
《粘土(a)のモンモリロナイト含有量》
熱重量測定(Thermogravimetry(TG))により450℃~600℃の対理論減量に対する比を求め、モンモリロナイト含有量を算出した。理論減量は、モンモリロナイトをAl2212Si4とした場合の、H2Oの含有量とした。
なお、粘土鉱物がモンモリロナイトであることは、X線粉末回折により確認した。
粘土(a1)のX線粉末回折パターン図を図1に示すとともに、粘土(x)のX線粉末回折パターン図を図2に示す。図中、Mはモンモリロナイト、Iはイライト、Qは石英、Clは斜プチロル沸石、Kはカオリナイト、Caは炭酸カルシウム、Aは灰長石、Cはコランダム(標準試料)を表す。
《粘土(a)の化学組成》
蛍光X線装置(ZSX Primus II、リガク社製)を用いた検量線(セメント原料粘土)により解析した。
《か焼粉末(A)の強熱減量》
熱重量測定(TG-DTA2000SR、BrukerAXS社製)を用い、窒素ガス雰囲気中で20℃毎分の速度で、1000℃まで昇温したときの測定値から求めた。サンプル総質量に対する質量減少分を100分率で示した。
《か焼粉末(A)の累積熱量(ASTM規格 C1897-20準拠によるR3)》
ASTM規格 C1897-20に準拠し、10.1.3の記載にしたがって、混合から168時間(7日間)経過後の累積熱量(R3(J/g))を測定した。
《か焼粉末(A)の平均粒径》
レーザー回折装置(マイクロトラックMT3000II、MicrotracBEL社製)を用いて粒度分布を求め、D50値(μm)を測定した(粒子透過性:透過、粒子形状:非球形、粒子屈折率:1.53、溶媒:炭酸ナトリウム水溶液(2N)、溶媒屈折率:1.33)。
また、上記と同様のレーザー回折装置(マイクロトラックMT3000II、MicrotracBEL社製)を用い、粒子透過性:透過、粒子形状:非球形、粒子屈折率:1.53、溶媒:エタノール、溶媒屈折率:1.36としたときのD50値(μm)を、「D50エタノール値」として測定した。
《か焼粉末(A)のその他の物性》
BET比表面積は、流動式比表面積自動測定装置(FlowSorbIII2305、島津製作所社製)を用い、窒素を30%含有する窒素・ヘリウム混合ガスとする条件で測定し、窒素吸着法による吸着等温線から値を算出した。
ブレーン比表面積は、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準拠して測定した。
[実施例1~11]
普通ポルトランドセメント(セメント協会製研究用セメント)(セメントクリンカ(C)の含有量:96.5質量%、石こう粉末(D)の含有量:3.5質量%)を用い、製造例1で得られたか焼粉末(A)、石灰石粉末(B)(ブレーン比表面積5000cm2/g)、セメントクリンカ粉末(C)、及び石こう粉末(D)(火力発電所廃脱石膏)を均一に混合することにより、各成分が表4に示す含有量である各セメント組成物を得た。
[実施例12~13]
普通ポルトランドセメントの代わりに市販の早強ポルトランドセメント(セメントクリンカ(C)の含有量:96.5質量%、石こう粉末(D)の含有量:3.5質量%)を用いた以外、実施例1と同様にして各セメント組成物を得た。
なお、普通ポルトランドセメント及び市販の早強ポルトランドセメントの石膏含有量の値は、X線回折リートベルト解析法を用いた結果とした。
具体的には、まずX線回折装置(D8 ADVANCE A-25、ブルカー・エイエックスエス社製)によってX線回折パターンを測定した。次いで、解析ソフトウェア「DIFFRAC plus TOPAS(Ver.3.0)」(ブルカージャパン社製)を用いて、リードベルト法により解析した。かかる解析では、X線回折パターンの測定結果から得られた実測プロファイルに、C3S(エーライト)、C2S(ビーライト)、C3A(アルミネート相)、C4AF(フェライト相)、水酸化カルシウム、MgO、無水石膏、二水石膏、半水石膏、及びカルサイトの各鉱物の理論プロファイルをフィッティングして各晶質相の含有率を求め、上記各含有量に換算した。
[比較例1]
実施例1で用いた普通ポルトランドセメント(セメント協会製研究用セメント)のみを用いることにより、セメント組成物を得た。
[比較例2~5]
実施例1で用いた普通ポルトランドセメント(セメント協会製研究用セメント)を用い、実施例1と同様にして各セメント組成物を得た。
[比較例6]
か焼粉末(A)の代わりに市販の高炉スラグ(塩基度1.90、ブレーン比表面積4390cm2/g)を用いた以外、実施例1と同様にして各セメント組成物を得た。
[比較例7]
か焼粉末(A)の代わりにフライアッシュ(JIS II種相当品)を用いた以外、実施例1と同様にして各セメント組成物を得た。
[実施例14~22]
製造例1で得られたか焼粉末(A)の代わりに、製造例2で得られたか焼粉末(A)を用いた以外、実施例1と同様にして各セメント組成物を得た。
[モルタルの製造及び評価]
得られた各セメント組成物を用い、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準拠して、モルタルを得た。ただし、混練時に高性能AE減水剤(PCE)(SP8SV、BASF社製)を表4に示す量で添加した。
次いで、得られたモルタルを用い、以下の方法にしたがって各測定を行った。
結果を表4に示す。
《圧縮強さ及びフロー値の測定》
「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準拠して、適宜材齢1日、3日、7日、28日、及び91日の圧縮強さ(MPa)及び15打フロー値(mm)を測定した。
上記結果から明らかなように、か焼粉末(A)を用いた本発明のセメント組成物であれば、カオリンのか焼粉末を用いた比較例2~5に比べ、良好な強度発現性を保持しつつ、高い流動性を示すことがわかる。また、一定の粘性を発現させるのに要する減水剤等の添加剤の量を低減することもできる。特に、比較例7のフライアッシュよりも強度発現性に優れることは、着目すべき点である。
さらに、実施例12~13が示すとおり、セメントクリンカ粉末(C)の含有量を低減しても、優れた流動性を発現することは無論、材齢28日あたりまで特に優れた強度を発現することがわかる。
このように、本発明のセメント組成物は、か焼カオリン粘土の代替技術として優れている上、CO2排出量の削減に大いに貢献できる材料であることを示している。

Claims (6)

  1. モンモリロナイトの含有量が60質量%以上である粘土(a)をか焼してなるか焼粉末(A)、石灰石粉末(B)、セメントクリンカ粉末(C)、及び石こう粉末(D)を含むセメント組成物。
  2. 石灰石粉末(B)の含有量とか焼粉末(A)の含有量との質量比((B)/(A))が、0.1~2.0である請求項1に記載のセメント組成物。
  3. セメントクリンカ粉末(C)の含有量と、か焼粉末(A)及び石灰石粉末(B)の合計含有量との質量比((C)/((A)+(B)))が、0.3~2である請求項1又は2に記載のセメント組成物。
  4. か焼粉末(A)の累積熱量(R3)が、10J/g以上である請求項1又は2に記載のセメント組成物。
  5. か焼粉末(A)、石灰石粉末(B)、セメントクリンカ粉末(C)、及び石こう粉末(D)の合計量100質量%中におけるか焼粉末(A)の含有量が、5質量%~45質量%である請求項1又は2に記載のセメント組成物。
  6. モンモリロナイトの含有量が60質量%以上である粘土(a)をか焼してなるか焼粉末(A)、石灰石粉末(B)、セメントクリンカ粉末(C)、及び石こう粉末(D)を含むセメント組成物の製造方法であって、
    粘土(a)を750℃~1200℃の温度にてか焼することにより、か焼粉末(A)を得る工程を含む、セメント組成物の製造方法。
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