JP5880069B2 - 初期強度発現性に優れた高ビーライト系クリンカ組成物、その製造方法及び高ビーライト系セメント組成物 - Google Patents
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この点を改善するために、特開平7−215742号公報(特許文献1)や特開平8−175854号公報(特許文献2)には、初期強度発現性に優れたビーライト系セメント組成物の製造方法として、ビーライト系クリンカとエーライト系クリンカと石膏を任意の割合で配合し、混合粉砕する方法が提案されている。
また、特開平8−175854号公報(特許文献2)に例示されるような、ビーライト系クリンカとエーライト系クリンカと石膏とを混合粉砕する方法においては、ビーライト系クリンカ及びエーライト系クリンカそれぞれのクリンカの製造を行う必要があることから、多大なエネルギーを要し、また得られるセメントは、それぞれのクリンカの鉱物組成のばらつき等の影響を受ける。従って、調製には細心の注意を必要とする。
また、従来の耐発熱型セメントは、水和熱の低減効果には優れているものの、初期強度低下が大きく、またクリンカ等の混合材の種類が増加することからこれらの混合材の品質の影響を受けやすいという問題がある。
従って本発明の目的は、C2Sを50〜70質量%含む高ビーライト系セメントクリンカの鉱物組成量の変更することなく、高ビーライト系クリンカ及び該クリンカを用いた高ビーライト系セメント組成物の初期強度を増大するとともに、C2Sの水和活性を高めて、長期強度を増進することができる、高ビーライト系クリンカ組成物、その製造方法及び高ビーライト系セメント組成物を提供することである。
好適には、前記本発明の高ビーライト系クリンカ組成物の製造方法において籾殻灰は、セメントクリンカ送窯原料中のSiO2原料として10〜100質量%の割合で用いられることを特徴とする、高ビーライト系クリンカの製造方法である。
また、本発明の高ビーライト系セメント組成物は、上記本発明の高ビーライト系クリンカ組成物と石膏とを含有することを特徴とする、高ビーライト系セメント組成物である。
また、本発明の高ビーライト系クリンカ組成物の製造方法は、上記本発明の高ビーライト系クリンカ組成物を、簡便に、また経済的に製造することが可能となる。
更に、従来は廃棄物であった籾殻灰の有効利用の促進を図ることもできる。
コンクリートダムや部材寸法の大きなコンクリート構造物、いわゆるマスコンクリートでは、温度応力によるひび割れが発生しやすいために、水和熱が低く初期強度および長期強度が高いセメントが要求されており、特に高ビーライトセメント等の低熱ポルトランドセメントが用いられている。
一方、セメントには主として4種類、3CaO・SiO2(C3S)、2CaO・SiO2(C2S)、3CaO・Al2O3(C3A)および4CaO・Al2O3・Fe2O3(C4AF)のセメントクリンカ鉱物が含まれており、これら鉱物の含有量によって強度発現性および水和発熱特性が異なる。
また、セメント鉱物の1つであるC2Sは水和反応がエーライトに比べて強度発現が遅いため、長期強度を増加させるためにはC2Sの水和活性を高める必要がある。
このような構成とすることで、クリンカの鉱物組成を変えることなく、高ビーライト系セメントの初期強度を改善することができ、同時にC2Sの水和活性を高めて長期強度を増進させることも可能となる。
かかる高ビーライト系クリンカ組成物では、含有されるC3S中のM1相が12質量%以上、好ましく14質量%以上であり、更に、かかるM1相は、C3Sに対するM1相の質量比率(M1/C3S)が45質量%以上、好ましくは55質量%以上の比率を有することで、得られる高ビーライト系セメント組成物の初期強度発現性が増加し、長期高度にも優れることができる。
すなわち、初期強度に大きな影響を及ぼすのは、上記した主要4種類のクリンカ鉱物のうちC3Sであり、C3SのM1相の割合を、籾殻灰によって変えることによって初期強度発現性を増加させるとともに、長期強度に最も大きな影響を及ぼすのは、上記した主要4種類のクリンカ鉱物のうちC2Sであり、C2Sの水和反応性を、籾殻灰によって変えることによって長期強度を制御することができるものである。
これは、焼成キルン内でα’相であったC2Sが冷却とともに大部分β相へ転移してしまうのが通常であるが、本発明の籾殻灰利用により、かかる転移が抑制され、より多くのα’相が得られ、長期強度が増進すると考えられる。これにより水和活性を高めることができる。
該籾殻灰は、セメントクリンカを製造する際に、送窯原料として配合されるSiO2送窯原料として使用される。これは、該籾殻灰は非晶質シリカだからである。
通常、セメントクリンカを製造する際には、SiO2送窯原料として、例えば珪石等を使用するが、通常SiO2送窯原料として使用される珪石等一部または全部を、該籾殻灰に換えて使用する。
その割合は、SiO2送窯原料の10〜100質量%、好ましくは10〜100質量%、好適には、60〜80質量%を籾殻灰に置換する。
かかる焼成条件は特に限定されず、通常セメントクリンカを焼成する条件、任意の公知の条件で焼成して、セメントクリンカ組成物を製造する。
このようにしてセメントクリンカ組成物を製造することにより、得られるセメントクリンカ組成物中に生成するC3SのM1相の割合を高めるとともに、C2Sの水和活性を高めることができる。
得られた高ビーライト系クリンカ組成物と石膏とを含有することで、本発明の高ビーライト系セメント組成物が得られる。
セメントクリンカの製造に用いる各原料を化学組成とともに、下記表1に示す。
上記表1に示す組成を有するポルトランドセメント用の送窯原料である、石灰石、珪石、カラミ、粘土(1)、粘土(2)及び珪石を用いて、得られるポルトランドセメントクリンカの化学成分が以下の表2に示すようになるように調整して配合し、焼成温度1000℃にて30分焼成し、次いで1000℃から15℃/分で温度を上昇させて1450℃で30分焼成する温度条件(図1に示す温度条件)にてカンタルスーパー炉にて焼成して、ポルトランドセメントクリンカを調製した。但し、珪石は、得られるポルトランドセメントクリンカ100質量部あたり、25.0質量部の割合で配合した。
当該石膏は、得られるポルトランドセメント中に含有されるSO3の量が2.4質量%になるように添加した。
得られたポルトランドセメントに含有されるCaO,SiO2、Al2O3及びFe2O3をJIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」にて分析し、ボーグ式を用いてC3S、C2S、C3A、C4AFを算出した(ボーグ鉱物組成)。
JIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」にて分析したSO3量(石膏)を含めて、その結果を下記表3に示す。
ポルトランドセメントクリンカを製造するにあたり比較例1で用いた珪石の5質量%(得られるクリンカ100質量部あたり、1.25質量部に相当)を、表1に示す籾殻灰で置換した以外には、比較例1と同様にして、ポルトランドセメントクリンカを製造し、更にポルトランドセメントを調製した。
ポルトランドセメントクリンカを製造するにあたり比較例1で用いた珪石の10質量%(得られるクリンカ100質量部あたり、2.5kgに相当)を、表1に示す籾殻灰で置換した以外には、比較例1と同様にして、ポルトランドセメントクリンカを製造し、更にポルトランドセメントを調製した。
ポルトランドセメントクリンカを製造するにあたり比較例1で用いた珪石の25質量%(得られるクリンカ100質量部あたり、6.25kgに相当)を、表1に示す籾殻灰で置換した以外には、比較例1と同様にして、ポルトランドセメントクリンカを製造し、更にポルトランドセメントを調製した。
ポルトランドセメントクリンカを製造するにあたり比較例1で用いた珪石の50質量%(得られるクリンカ100質量部あたり、12.5質量部に相当)を、表1に示す籾殻灰で置換した以外には、比較例1と同様にして、ポルトランドセメントクリンカを製造し、更にポルトランドセメントを調製した。
ポルトランドセメントクリンカを製造するにあたり比較例1で用いた珪石全量(得られるクリンカ100質量部あたり、25.0質量部に相当)を、表1に示す籾殻灰で置換した以外には、比較例1と同様にして、ポルトランドセメントクリンカを製造し、更にポルトランドセメントを調製した。
ポルトランドセメントクリンカを製造するにあたり比較例1で用いた珪石全量(得られるクリンカ100質量部あたり、25.0質量部に相当)を、表1に示すシリカゲルで置換した以外には、比較例1と同様にして、ポルトランドセメントクリンカを製造し、更にポルトランドセメントを調製した。
ポルトランドセメントクリンカを製造するにあたり比較例1で用いた珪石全量(得られるクリンカ100質量部あたり、25.0質量部に相当)を、表1に示すシリカヒュームで置換した以外には、比較例1と同様にして、ポルトランドセメントクリンカを製造し、更にポルトランドセメントを調製した。
上記実施例1〜4、比較例1〜3で得られた各クリンカ及び各セメントを下記試験により評価し、得られた結果を下記表4に示す。
(試験例1)
得られた各クリンカを、JCAS I−01に準拠して、クリンカ中のf−CaOを測定した。なお、f−CaOは一般に焼成の良・不良を判断する指標として用いられ、1質量%以下であると、焼成が「良」と判断される。
得られた各クリンカを、遊星ミルPM−400(Retsch製)を用いて、300rpm20分、ブレーン値が概ね6000cm2/g程度となるまで粉砕し、試験試料を調製した。各試験試料を粉末X線回折装置X’Pert MPD(パナリティカル製)を用いて管電流40mA−管電圧45kVで回折ピークを測定後、同社製の、解析ソフトHigh Score Plusにてリートベルト解析を行って、C3Sの結晶相のM1相の量(質量%)、C3S中のM1相の比率(質量%)及び、βC2Sの格子体積を測定し、その結果を表4及び図2に示す。
得られた各セメントについて、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠して、水/セメント比が50質量%となるように水を加え、各モルタルを調製した。
得られた各モルタルのモルタル強度を、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠して行い、各モルタル打設3日後、7日後、28日後、91日後の強度を測定し、その結果を表4に示す。
このように、非晶質シリカゲルである籾殻灰を一定の割合で配合して、セメントクリンカを製造することで、水和活性の高いα’C2Sが多く生成し、またβC2Sの格子体積も増大し、結果としてセメントの所望する長期強度の発現が可能となる。
Claims (2)
- C2Sを50〜70質量%含む高ビーライト系クリンカ組成物であって、
C3S中のM1相が12質量%以上であり、C3Sに対するM1相の質量比率(M1/C3S)が45質量%以上であり、含有されるSiO2は籾殻灰由来のものを含むことを特徴とする、高ビーライト系クリンカ組成物。 - 請求項1記載の高ビーライト系クリンカ組成物と石膏とを含有することを特徴とする、高ビーライト系セメント組成物。
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