JP5880069B2 - 初期強度発現性に優れた高ビーライト系クリンカ組成物、その製造方法及び高ビーライト系セメント組成物 - Google Patents

初期強度発現性に優れた高ビーライト系クリンカ組成物、その製造方法及び高ビーライト系セメント組成物 Download PDF

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本発明は、初期強度発現性に優れた高ビーライト系クリンカ組成物、その製造方法及び高ビーライト系セメント組成物に関し、特に、土木、建築分野で使用され、初期強度発現性に優れると共に、初期から長期に渡って所望するように強度が増進する、高ビーライト系クリンカ組成物、その製造方法及び高ビーライト系セメント組成物に関する。
ダムなどのマスコンクリートにおける水和熱抑制の観点から、高ビーライト系セメントや、高ビーライト系混合セメント等の種々の低発熱セメントが開発されているが、水和発熱量の抑制により初期強度が低下する問題が指摘されている。
この点を改善するために、特開平7−215742号公報(特許文献1)や特開平8−175854号公報(特許文献2)には、初期強度発現性に優れたビーライト系セメント組成物の製造方法として、ビーライト系クリンカとエーライト系クリンカと石膏を任意の割合で配合し、混合粉砕する方法が提案されている。
また、特開平6−287046号公報(特許文献3)には、高ビーライト系セメントに炭酸カルシウム、高炉スラグ粉末などを配合し、混合セメントとする方法が開示されており、特開平9−227128号公報(特許文献4)には、高ビーライト系セメントに高炉スラグ微粉末と凝結遅延剤から構成されるセメント組成物による初期強度発現型低熱セメントが例示されている。
さらに、特開2005−67905号公報(特許文献5)には、エーライトを含むセメントクリンカと二酸化珪素を主成分として含む物質とを1100℃以上の温度領域で接触反応させる製造方法が提案されており、かかる製造方法によりクリンカ中のエーライトが分解して生成したビーライトおよび、エーライトの分解によって生じた酸化カルシウムと二酸化珪素含有物との反応により生成したビーライトを含有するセメントクリンカ組成物が開示されている。
しかし例えば、上記特開平6−287046号公報(特許文献3)に開示されている方法は、高ビーライト系クリンカから調製した低熱セメント中に含まれる高炉スラグの配合比率が高く、調製されたセメントの初期強度発現性に問題があり、さらに混合材の品質により強度発現にバラツキを生じやすい。
また、特開平8−175854号公報(特許文献2)に例示されるような、ビーライト系クリンカとエーライト系クリンカと石膏とを混合粉砕する方法においては、ビーライト系クリンカ及びエーライト系クリンカそれぞれのクリンカの製造を行う必要があることから、多大なエネルギーを要し、また得られるセメントは、それぞれのクリンカの鉱物組成のばらつき等の影響を受ける。従って、調製には細心の注意を必要とする。
特開2005−67905号公報(特許文献5)に例示される、エーライトクリンカと二酸化珪素とを1100℃で接触反応させる方法は、エーライトクリンカを製造後、さらに高温での処理を行う等、製造に多くのエネルギーを必要とする。
従来の上記いずれの方法も、それぞれ性能の異なるクリンカや原材料を組み合わせることにより、所定の初期強度発現性能を満足しようとするものであり、クリンカそのもの自体の質を向上させて初期強度発現性を向上させたものではない。
また、従来の耐発熱型セメントは、水和熱の低減効果には優れているものの、初期強度低下が大きく、またクリンカ等の混合材の種類が増加することからこれらの混合材の品質の影響を受けやすいという問題がある。
特開平7−215742号公報 特開平8−175854号公報 特開平6−287046号公報 特開平9−227182号公報 特開2005−67905号公報
通常、低熱ポルトランドセメントは水和発熱量の抑制のためにCS、CAを減らして、CSを増加させているため初期強度が低下してしまう。
従って本発明の目的は、CSを50〜70質量%含む高ビーライト系セメントクリンカの鉱物組成量の変更することなく、高ビーライト系クリンカ及び該クリンカを用いた高ビーライト系セメント組成物の初期強度を増大するとともに、CSの水和活性を高めて、長期強度を増進することができる、高ビーライト系クリンカ組成物、その製造方法及び高ビーライト系セメント組成物を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は、高ビーライト系セメントクリンカを構成するCS中のM1相の含有比率を高めることで、初期強度発現性が向上するとともに、CSのα’相を増加させて水和反応性を高め、セメントの長期強度をも増大することができることを見出し達成されたものである。
すなわち、本発明の高ビーライト系クリンカ組成物は、CSを50〜70質量%含む高ビーライト系クリンカ組成物であって、CS中のM1相が12質量%以上であり、CSに対するM1相の質量比率(M1/CS)が45質量%以上であり、含有されるSiO は籾殻灰由来のものを含むことを特徴とする、高ビーライト系クリンカ組成物である。
前記本発明の高ビーライト系クリンカ組成物の製造方法は、 Sを50〜70質量%含む高ビーライト系クリンカ組成物を1t製造するにあたり、セメントクリンカ送窯原料中のSiO 原料として籾殻灰を25〜250kg配合して焼成することにより、C S中のM1相を12質量%以上とし、C Sに対するM1相の質量比率(M1/C3S)を45質量%以上とし、C S中のα’相を、セメントクリンカ送窯原料中のSiO 原料として籾殻灰以外の非晶質シリカである珪石又はシリカゲル又はシリカヒュームを用いる場合と比較して増大させて調製することを特徴とする、高ビーライト系クリンカの製造方法である。
好適には、前記本発明の高ビーライト系クリンカ組成物の製造方法において籾殻灰は、セメントクリンカ送窯原料中のSiO原料として10〜100質量%の割合で用いられることを特徴とする、高ビーライト系クリンカの製造方法である。
また、本発明の高ビーライト系セメント組成物は、上記本発明の高ビーライト系クリンカ組成物と石膏とを含有することを特徴とする、高ビーライト系セメント組成物である。
本発明の高ビーライト系クリンカ組成物及び高ビーライト系セメント組成物は、従来のように種々のクリンカを組合せたり、種々の混合材を配合したりすることなく、廃棄物である籾殻灰を、セメントクリンカを製造する際の送窯原料として利用して、その結果としてクリンカ中に生成するCS中のM1相の比率を増大させて初期強度発現性を高めることができるとともに、CSの格子体積を増加させて水和活性を高めて、長期強度発現性をも増大させることが可能となる
また、本発明の高ビーライト系クリンカ組成物の製造方法は、上記本発明の高ビーライト系クリンカ組成物を、簡便に、また経済的に製造することが可能となる。
更に、従来は廃棄物であった籾殻灰の有効利用の促進を図ることもできる。
クリンカを製造するための焼成温度条件の一例を示す線図である。 クリンカのCS中のM1相の質量割合(質量%)と打設3日後のモルタル強度との関係の一例を示す線図である。
本発明を以下の好適例により説明するがこれらに限定されるものではない。
コンクリートダムや部材寸法の大きなコンクリート構造物、いわゆるマスコンクリートでは、温度応力によるひび割れが発生しやすいために、水和熱が低く初期強度および長期強度が高いセメントが要求されており、特に高ビーライトセメント等の低熱ポルトランドセメントが用いられている。
一方、セメントには主として4種類、3CaO・SiO(CS)、2CaO・SiO(CS)、3CaO・Al(CA)および4CaO・Al・Fe(CAF)のセメントクリンカ鉱物が含まれており、これら鉱物の含有量によって強度発現性および水和発熱特性が異なる。
セメント鉱物の1つであるCSは、特に短期強度発現性と深い関係にあり、セメント中に含有されるCSが多いと強度発現性が早く、逆に少ないと強度発現性が遅く、例えば普通ポルトランドセメントにはCSが55質量%程度、より強度発現を早めた早強ポルトランドセメントには65質量%、逆に強度発現および水和発熱量を抑えた中庸熱ポルトランドセメントは40質量%程度、低熱ポルトランドセメントは25質量%程度含有されている。
また、セメント鉱物の1つであるCSは水和反応がエーライトに比べて強度発現が遅いため、長期強度を増加させるためにはCSの水和活性を高める必要がある。
本発明の高ビーライト系クリンカ組成物は、CSを50〜70質量%含む高ビーライト系クリンカ組成物であって、CS中のM1相が12質量%以上であり、CSに対するM1相の質量比率(M1/CS)が45質量%以上、好ましくは55質量%以上である。
このような構成とすることで、クリンカの鉱物組成を変えることなく、高ビーライト系セメントの初期強度を改善することができ、同時にCSの水和活性を高めて長期強度を増進させることも可能となる。
ここで、高ビーライト系クリンカとは、クリンカを構成するCS鉱物が50〜70質量%含むものをいうものである。
かかる高ビーライト系クリンカ組成物では、含有されるCS中のM1相が12質量%以上、好ましく14質量%以上であり、更に、かかるM1相は、CSに対するM1相の質量比率(M1/CS)が45質量%以上、好ましくは55質量%以上の比率を有することで、得られる高ビーライト系セメント組成物の初期強度発現性が増加し、長期高度にも優れることができる。
高ビーライト系クリンカ組成物中に、上記割合でM1相を含有させるために、本発明の高ビーライト系クリンカ組成物の製造方法は、高ビーライト系クリンカを1t製造するにあたり、籾殻灰を25〜250kg配合して焼成することにより調製する。
すなわち、初期強度に大きな影響を及ぼすのは、上記した主要4種類のクリンカ鉱物のうちCSであり、CSのM1相の割合を、籾殻灰によって変えることによって初期強度発現性を増加させるとともに、長期強度に最も大きな影響を及ぼすのは、上記した主要4種類のクリンカ鉱物のうちCSであり、CSの水和反応性を、籾殻灰によって変えることによって長期強度を制御することができるものである。
具体的には、セメントクリンカを1t製造するにあたり、原料として籾殻灰を25〜350kg、好ましくは62.5〜250kg、より好ましくは125〜250kgを配合して焼成することで、得られるセメントクリンカのCSのM1相を増加させることができるとともに、CSのα’相を増加させ、更にCSのβ相の格子体積を増加させることができ、長期強度の増進が可能となる。
これは、焼成キルン内でα’相であったCSが冷却とともに大部分β相へ転移してしまうのが通常であるが、本発明の籾殻灰利用により、かかる転移が抑制され、より多くのα’相が得られ、長期強度が増進すると考えられる。これにより水和活性を高めることができる。
利用できる籾殻灰としては、特に限定されず、従来より使用されている籾殻灰を本発明において使用することができる。
該籾殻灰は、セメントクリンカを製造する際に、送窯原料として配合されるSiO送窯原料として使用される。これは、該籾殻灰は非晶質シリカだからである。
通常、セメントクリンカを製造する際には、SiO送窯原料として、例えば珪石等を使用するが、通常SiO送窯原料として使用される珪石等一部または全部を、該籾殻灰に換えて使用する。
その割合は、SiO送窯原料の10〜100質量%、好ましくは10〜100質量%、好適には、60〜80質量%を籾殻灰に置換する。
該籾殻灰は非晶質シリカであるが、他の非晶質シリカであるシリカヒュームやシリカゲルを用いても、本件発明の効果は得られない。
上記配合割合で籾殻灰を配合したクリンカ送窯原料を、例えば実機にて焼成して、セメントクリンカを焼成する。
かかる焼成条件は特に限定されず、通常セメントクリンカを焼成する条件、任意の公知の条件で焼成して、セメントクリンカ組成物を製造する。
このようにしてセメントクリンカ組成物を製造することにより、得られるセメントクリンカ組成物中に生成するCSのM1相の割合を高めるとともに、CSの水和活性を高めることができる。
得られた高ビーライト系クリンカ組成物と石膏とを含有することで、本発明の高ビーライト系セメント組成物が得られる。
このように、本発明によって、セメントの鉱物組成やブレーン比表面積を変更することなく、セメントクリンカを製造する際に一定量の籾殻灰を配合して調製することにより、CS中のM1相の割合を高め、かつCSの格子体積を増加させて、結果として初期強度及び長期強度を変化させることができるため、所望する初期強度発現性及び長期強度増進性を有するセメントを、廃棄物である籾殻灰を用いて製造することが可能となる。
なお、本発明のセメントの製造方法及び上記本発明のクリンカ組成物は、ビーライトの改質ができるので、高ビーライト含有クリンカ組成物及び高ビーライト系セメント組成物である低熱ポルトランドセメント及びその製造方法等に有効に適用することができるが、例えば、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント等の各種セメントの製造方法に適用することもできる。
本発明を次の実施例及び比較例により詳細に説明する。
セメントクリンカの製造に用いる各原料を化学組成とともに、下記表1に示す。
Figure 0005880069
(比較例1)
上記表1に示す組成を有するポルトランドセメント用の送窯原料である、石灰石、珪石、カラミ、粘土(1)、粘土(2)及び珪石を用いて、得られるポルトランドセメントクリンカの化学成分が以下の表2に示すようになるように調整して配合し、焼成温度1000℃にて30分焼成し、次いで1000℃から15℃/分で温度を上昇させて1450℃で30分焼成する温度条件(図1に示す温度条件)にてカンタルスーパー炉にて焼成して、ポルトランドセメントクリンカを調製した。但し、珪石は、得られるポルトランドセメントクリンカ100質量部あたり、25.0質量部の割合で配合した。
Figure 0005880069
得られたポルトランドセメントクリンカに、二水石膏を添加して、実機仕上げミルにて粉砕し、平均ブレーン比表面積3700cm/gの高ビーライト含有セメントである低熱ポルトランドセメントを得た。
当該石膏は、得られるポルトランドセメント中に含有されるSOの量が2.4質量%になるように添加した。
得られたポルトランドセメントに含有されるCaO,SiO、Al及びFeをJIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」にて分析し、ボーグ式を用いてCS、CS、CA、CAFを算出した(ボーグ鉱物組成)。
JIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」にて分析したSO量(石膏)を含めて、その結果を下記表3に示す。
Figure 0005880069
(比較例2)
ポルトランドセメントクリンカを製造するにあたり比較例1で用いた珪石の5質量%(得られるクリンカ100質量部あたり、1.25質量部に相当)を、表1に示す籾殻灰で置換した以外には、比較例1と同様にして、ポルトランドセメントクリンカを製造し、更にポルトランドセメントを調製した。
(実施例1)
ポルトランドセメントクリンカを製造するにあたり比較例1で用いた珪石の10質量%(得られるクリンカ100質量部あたり、2.5kgに相当)を、表1に示す籾殻灰で置換した以外には、比較例1と同様にして、ポルトランドセメントクリンカを製造し、更にポルトランドセメントを調製した。
(実施例2)
ポルトランドセメントクリンカを製造するにあたり比較例1で用いた珪石の25質量%(得られるクリンカ100質量部あたり、6.25kgに相当)を、表1に示す籾殻灰で置換した以外には、比較例1と同様にして、ポルトランドセメントクリンカを製造し、更にポルトランドセメントを調製した。
(実施例3)
ポルトランドセメントクリンカを製造するにあたり比較例1で用いた珪石の50質量%(得られるクリンカ100質量部あたり、12.5質量部に相当)を、表1に示す籾殻灰で置換した以外には、比較例1と同様にして、ポルトランドセメントクリンカを製造し、更にポルトランドセメントを調製した。
(実施例4)
ポルトランドセメントクリンカを製造するにあたり比較例1で用いた珪石全量(得られるクリンカ100質量部あたり、25.0質量部に相当)を、表1に示す籾殻灰で置換した以外には、比較例1と同様にして、ポルトランドセメントクリンカを製造し、更にポルトランドセメントを調製した。
(比較例3)
ポルトランドセメントクリンカを製造するにあたり比較例1で用いた珪石全量(得られるクリンカ100質量部あたり、25.0質量部に相当)を、表1に示すシリカゲルで置換した以外には、比較例1と同様にして、ポルトランドセメントクリンカを製造し、更にポルトランドセメントを調製した。
(比較例4)
ポルトランドセメントクリンカを製造するにあたり比較例1で用いた珪石全量(得られるクリンカ100質量部あたり、25.0質量部に相当)を、表1に示すシリカヒュームで置換した以外には、比較例1と同様にして、ポルトランドセメントクリンカを製造し、更にポルトランドセメントを調製した。
(試験例)
上記実施例1〜4、比較例1〜3で得られた各クリンカ及び各セメントを下記試験により評価し、得られた結果を下記表4に示す。
(試験例1)
得られた各クリンカを、JCAS I−01に準拠して、クリンカ中のf−CaOを測定した。なお、f−CaOは一般に焼成の良・不良を判断する指標として用いられ、1質量%以下であると、焼成が「良」と判断される。
(試験例2)
得られた各クリンカを、遊星ミルPM−400(Retsch製)を用いて、300rpm20分、ブレーン値が概ね6000cm/g程度となるまで粉砕し、試験試料を調製した。各試験試料を粉末X線回折装置X’Pert MPD(パナリティカル製)を用いて管電流40mA−管電圧45kVで回折ピークを測定後、同社製の、解析ソフトHigh Score Plusにてリートベルト解析を行って、CSの結晶相のM1相の量(質量%)、CS中のM1相の比率(質量%)及び、βCSの格子体積を測定し、その結果を表4及び図2に示す。
(試験例3)
得られた各セメントについて、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠して、水/セメント比が50質量%となるように水を加え、各モルタルを調製した。
得られた各モルタルのモルタル強度を、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠して行い、各モルタル打設3日後、7日後、28日後、91日後の強度を測定し、その結果を表4に示す。
Figure 0005880069
上記表4及び図2の結果から、籾殻灰をクリンカ原料100質量部中、2.5質量部〜25質量部含有する実施例1〜4は、高ビーライト系クリンカ中のCSのM1相が12質量%以上であり、C3SのM1相が(M1/CS)が45質量%以上であることとなり、これによりβCSの格子体積も増大することがわかる。それに伴い、得られるモルタルのモルタル強度も初期強度が増大し、一方、長期強度も増進している。一方、籾殻灰と同じ非晶質シリカであるシリカゲルやシリカヒュームを用いた比較例3および4では、モルタルの強度増進を図ることは難しいことがわかる。
このように、非晶質シリカゲルである籾殻灰を一定の割合で配合して、セメントクリンカを製造することで、水和活性の高いα’CSが多く生成し、またβCSの格子体積も増大し、結果としてセメントの所望する長期強度の発現が可能となる。
本発明により得られるセメントは、長期強度に優れ、セメントが使用される土木、建築分野、特に、コンクリートダムや部材寸法の大きなコンクリート構造物、いわゆるマスコンクリート等に有用に適用することができる。

Claims (2)

  1. Sを50〜70質量%含む高ビーライト系クリンカ組成物であって、
    S中のM1相が12質量%以上であり、CSに対するM1相の質量比率(M1/CS)が45質量%以上であり、含有されるSiOは籾殻灰由来のものを含むことを特徴とする、高ビーライト系クリンカ組成物。
  2. 請求項1記載の高ビーライト系クリンカ組成物と石膏とを含有することを特徴とする、高ビーライト系セメント組成物。
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