JP2023130946A - 排気ガス浄化用触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】排気ガス浄化用触媒の排気ガス浄化性能を向上させる。【解決手段】触媒はRh担持CeZr系複合酸化物5とPd担持CeZr系複合酸化物7を含有し、Rh担持用のCeZr系複合酸化物は、フレッシュ状態では、BJH法に基づく細孔分布におけるピーク細孔径が20~70nm、全細孔容量が0.6~0.8cm3/g、Pd担持用のCeZr系複合酸化物は、フレッシュ状態では、ピーク細孔径が40~90nm、全細孔容量が0.25~0.5cm3/gである。【選択図】図1

Description

本発明は排気ガス浄化用触媒に関する。
自動車等の排気ガス浄化用触媒として、ストイキ近傍においてHC(炭化水素),CO,NOx(窒素参加物)を同時に浄化する三元触媒が知られている。三元触媒は、触媒金属としてのPt,Pd,Rh等の貴金属が、Ceを含有する酸素吸蔵放出材等のサポート材粒子表面に担持されたものである。その三元触媒は、バインダ機能を有する微細粒子材を介してハニカム担体のセル壁に担持されている。
三元触媒の技術的課題の一つに低温活性の向上がある。貴金属を担持する酸素吸蔵放出材は熱安定性が低いために長期間にわたって触媒の低温活性を維持できないという問題である。酸素吸蔵放出材が高温の排気ガスに晒されることによって比表面積や細孔容量が減少し、さらに、貴金属が酸素吸蔵放出材に埋没して触媒の活性点が減少することが低温活性を悪化させる一因となっている。
このような課題に対して、特許文献1は触媒金属の担持に適した細孔径を有し、且つ細孔径のばらつきが小さく、1000℃で12時間の熱処理後においても十分な比表面積を有するジルコニア系多孔質体を開示する。それは、具体的には、BJH法に基づく細孔分布において、20~100nmの細孔径にピークを有し、測定した細孔分布曲線から求められるピークの半価幅をWとしピークの高さをPとしたときのP/W比が0.05以上であり、全細孔容量が0.5cm3/g以上であり、1000℃で12時間の熱処理後において、20~100nmの細孔径にピークを有し、P/W比が0.03以上であり、少なくとも40m2/gの比表面積を有し、全細孔容量が0.3cm3/g以上であるジルコニア系多孔質体である。
特許5744274号公報
ところで、三元触媒に採用される代表的な触媒金属としてRh及びPdがあり、この両者が組み合わされて使用されている。本発明者は、この組み合わせにおいて、各々を担持する酸素吸蔵放出材の細孔径を同様に制御しても、必ずしも期待する効果が得られないことを見出した。すなわち、同じ酸素吸蔵放出材にRhを担持したときは優れた低温活性を示すが、Pdを担持したときは期待するほどの低温活性が得られない、逆に、Pdを担持したときは低温活性向上の効果が高いが、Rhを担持したときはその効果が低いという現象である。
本発明の課題は、触媒金属としてRhとPdを組み合わせるケースおいて、触媒の排気ガス浄化性能を向上させることにある。
本発明は、上記課題を解決するために、Rh及びPd各々を担持するサポート材の物性を異なるものにした。
ここに開示する排気ガス浄化用触媒は、Rh担持CeZr系複合酸化物とPd担持CeZr系複合酸化物を含有し、
上記Rh担持用のCeZr系複合酸化物は、製造後未使用のフレッシュ状態では、BJH法に基づく細孔分布において20nm以上70nm以下の細孔径にピークを有し、全細孔容量が0.6cm/g以上0.8cm/g以下であり、
上記Pd担持用のCeZr系複合酸化物は、製造後未使用のフレッシュ状態では、上記細孔分布において40nm以上87nm以下の細孔径にピークを有し、全細孔容量が0.25cm/g以上0.48cm/g未満であることを特徴とする。
好ましい実施形態では、上記Rh担持用のCeZr系複合酸化物は、800℃以上950℃以下で10時間以上100時間以下の熱処理後、上記細孔分布において20nm以上70nm以下の細孔径にピークを有し、比表面積が44m/g以上であり、全細孔容量が0.3cm/g以上である。
好ましい実施形態では、上記Rh担持用のCeZr系複合酸化物は、上記熱処理後の全細孔容量が0.3cm/g以上0.5cm/g以下である。
好ましい実施形態では、上記Rh担持用のCeZr系複合酸化物は、上記熱処理後、上記細孔分布において30nm以上65nm以下の細孔径にピークを有し、全細孔容量が0.35cm3/g以上である。
好ましい実施形態では、上記Pd担持用のCeZr系複合酸化物は、800℃以上950℃以下で10時間以上100時間以下の熱処理後、上記細孔分布において30nm以上90nm以下の細孔径にピークを有し、比表面積が41m/g以上であり、全細孔容量が0.25cm/g以上である。
好ましい実施形態では、上記Pd担持用のCeZr系複合酸化物は、上記熱処理後の全細孔容量が0.25cm/g以上0.3cm/g未満である。
好ましい実施形態では、上記Pd担持用のCeZr系複合酸化物は、上記熱処理後、上記細孔分布において35nm以上85nm以下の細孔径にピークを有する。
好ましい実施形態では、上記Pd担持用のCeZr系複合酸化物は、上記熱処理後の比表面積が41m/g以上48m/g以下である。
本発明によれば、Rh及びPdを各々に適したCeZr系複合酸化物に担持したことにより、高温の排気ガスに長時間晒された後でも排気ガス浄化性能の高い状態が維持される。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒の一例を模式的に示す断面図。 Rh担持用の10nm乃至30nmの各細孔制御材のフレッシュでの細孔分布を示すグラフ図。 Rh担持用の40nm乃至60nmの各細孔制御材のフレッシュでの細孔分布を示すグラフ図。 Rh担持用の70nm細孔制御材、80nm細孔制御材及び比較例複合酸化物のフレッシュでの細孔分布を示すグラフ図。 Rh担持用の10nm乃至30nmの各細孔制御材の熱処理後の細孔分布を示すグラフ図。 Rh担持用の40nm乃至60nmの各細孔制御材の熱処理後の細孔分布を示すグラフ図。 Rh担持用の70nm細孔制御材、80nm細孔制御材及び比較例複合酸化物の熱処理後の細孔分布を示すグラフ図。 Pd担持用の40nm乃至60nmの各細孔制御材のフレッシュでの細孔分布を示すグラフ図。 Pd担持用の70nm乃至90nmの各細孔制御材のフレッシュでの細孔分布を示すグラフ図。 Pd担持用の100nm細孔制御材及び比較例複合酸化物のフレッシュでの細孔分布を示すグラフ図。 Pd担持用の40nm乃至60nmの各細孔制御材の熱処理後の細孔分布を示すグラフ図。 Pd担持用の70nm乃至90nmの各細孔制御材の熱処理後の細孔分布を示すグラフ図。 Pd担持用の100nm細孔制御材及び比較例複合酸化物の熱処理後の細孔分布を示すグラフ図。 Rh担持用CeZr系複合酸化物が相違する各触媒のHC浄化に関するライトオフ温度を示すグラフ図。 Pd担持用CeZr系複合酸化物が相違する各触媒のHC浄化に関するライトオフ温度を示すグラフ図。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒は、車両のエンジンから排出される排気ガス中のHC、CO及びNOxを浄化することに適する。
<触媒構成例>
図1に示す排気ガス浄化用触媒は、担体1の上に、上側触媒層2と、この上側触媒層2で覆われた下側触媒層3とを備えている。担体1はハニカム担体であり、触媒層2,3は、該ハニカム担体1のセル壁面に層状に形成されている。上側触媒層2の表面が排気ガスに晒される。上側触媒層2は、各々触媒金属としてRhを有する第1Rh触媒5及び第2Rh触媒6と、触媒金属を担持しない活性アルミナ(Al)を含有する。下側触媒層3は、各々触媒金属としてPdを有する第1Pd触媒7及び第2Pd触媒8と、触媒金属を担持しない酸素吸蔵放出材(CeZrNdLaYOx)を含有する。
第1Rh触媒5は酸素吸蔵放出能を有するCeZr系複合酸化物(酸素吸蔵放出材)にRhが担持されてなる触媒である。第2Rh触媒6は活性アルミナにRhが担持されてなる触媒である。第1Pd触媒7は酸素吸蔵放出能を有するCeZr系複合酸化物(酸素吸蔵放出材)にPdが担持されてなる触媒である。第2Pd触媒8は活性アルミナにPdが担持されてなる触媒である。
すなわち、実施形態に係る排気ガス浄化用触媒は、Rh担持CeZr系複合酸化物(第1Rh触媒5)とPd担持CeZr系複合酸化物(第1Pd触媒7)を含有する。
<Rh及びPd各々を担持するCeZr系複合酸化物>
Rh担持用CeZr系複合酸化物は、製造後未使用のフレッシュ状態では、BJH法に基づく細孔分布において20nm以上70nm以下の細孔径にピークを有し、全細孔容量が0.6cm/g以上0.8cm/g以下である。
また、限定する意図ではないが、好ましくは、Rh担持用CeZr系複合酸化物は、800℃以上950℃以下で10時間以上100時間以下、好ましくは930℃×50時間の熱処理後、上記細孔分布において20nm以上70nm以下、好ましくは30nm以上65nm以下の細孔径にピークを有し、比表面積が44m/g以上、好ましくは46m/g以上60m/g以下であり、全細孔容量が0.3cm/g以上、好ましくは0.3cm/g以上0.5cm/g以下、より好ましくは0.35cm/g以上0.5cm/g以下である。
BJH(Barrett-Joyner-Halenda)法は、Kelvinの毛細管凝縮理論に基づきメソ孔がシリンダー形状であると仮定したメソ細孔分布の解析法である。
Pd担持用CeZr系複合酸化物は、製造後未使用のフレッシュ状態では、上記細孔分布において40nm以上87nm以下の細孔径にピークを有し、全細孔容量が0.25cm/g以上0.48cm/g未満、好ましくは0.25cm/g以上0.47cm/g以下である。
また、限定する意図ではないが、好ましくは、Pd担持用CeZr系複合酸化物は、上記熱処理後、上記細孔分布において30nm以上90nm以下、好ましくは35nm以上85nm以下の細孔径にピークを有し、比表面積が41m/g以上、好ましくは41m/g以上48m/g以下、より好ましくは41m/g以上47m/g以下であり、全細孔容量が0.25cm/g以上、好ましくは0.25cm/g以上0.3cm/g未満、より好ましくは0.25cm/g以上0.28cm/g以下である。
Rh担持用及びPd担持用各々のフレッシュ状態のCeZr系複合酸化物は次の方法によって調製することができる。
硫酸塩溶液(例えば硫酸ナトリウム水溶液)及びジルコニウム塩溶液(例えばオキシ塩化ジルコニウム水溶液)を95℃以上に加熱した後、両溶液を混合して塩基性硫酸ジルコニウム含有反応液を得る。その混合は、反応液のSO 2-/ZrO質量比が0.4~0.6となるように、且つ95℃以上の温度を維持して数時間かけて行なう。得られた反応液を95℃以上の温度に数時間保持することにより熟成する。
熟成した反応液を室温まで冷却した後、これに、硝酸セリウム水溶液、並びに必要に応じて硝酸ネオジム水溶液、硝酸ランタン水溶液、硝酸イットリウム水溶液等の希土類元素の塩の溶液を添加して均一に混合する。得られた混合溶液にアルカリ溶液を添加して水酸化物沈澱を得る。得られた水酸化物沈澱をろ過し、水洗する。得られた水酸化物を乾燥させ焼成して目的のCeZr系複合酸化物を得る。
<CeZr系複合酸化物の物性評価>
(評価サンプルの調製)
硫酸塩溶液として硫酸ナトリウム水溶液を用い、ジルコニウム塩溶液としてオキシ塩化ジルコニウム水溶液を用い、希土類元素塩溶液として硝酸セリウム水溶液、硝酸ネオジム水溶液、硝酸ランタン水溶液及び硝酸イットリウム水溶液を用いて、上記調製方法によってRh担持用及びPd担持用の各CeZr系複合酸化物を調製した。
Rh担持用CeZr系複合酸化物の組成比は、CeO2:ZrO2:Nd2O3:La2O3:Y2O3=10:75:5:5:5(質量%)となるようにした。Pd担持用CeZr系複合酸化物の組成比は、CeO2:ZrO2:Nd2O3:La2O3:Y2O3=35:50:8:2:5(質量%)となるようにした。
Rh担持用CeZr系複合酸化物については、BJH法に基づく細孔分布においてピークが現れる細孔径(本明細書において、「ピーク細孔径」ともいう。)の目標値を10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm及び80nmとする8種類(製造例A1~A8)を調製した。以下では、当該製造例A1~A8の8種類のRh担持用CeZr系複合酸化物を、Rh担持用の10nm細孔制御材、20nm細孔制御材のように、目標細孔径と細孔制御材を結合した名前で称する。
また、上記8種類のRh担持用細孔制御材とは別に、一般的な共沈法にて比較例に係るRh担持用CeZr系複合酸化物を調製した。具体的には、硝酸セリウム6水和物、オキシ硝酸ジルコニウム、硝酸ネオジム6水和物、硝酸ランタン及び硝酸イットリウムをイオン交換水に溶かした溶液にアンモニア水を混合して中和させることにより、共沈物を得た。この共沈物を遠心分離法で水洗した後、乾燥させ、粉砕した後、焼成して、Rh担持用比較例複合酸化物粉末を得た。その組成比は、上記Rh担持用細孔制御材と同じく、CeO2:ZrO2:Nd2O3:La2O3:Y2O3=10:75:5:5:5(質量%)である。
Pd担持用CeZr系複合酸化物については、BJH法に基づく細孔分布においてピークが現れる細孔径の目標値を40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm及び100nmとする7種類(製造例B1~B7)を調製した。以下では、当該製造例B1~B7の7種類のPd担持用CeZr系複合酸化物を、Pd担持用の10nm細孔制御材、20nm細孔制御材のように、目標細孔径と細孔制御材を結合した名前で称する。
また、上記7種類のPd担持用細孔制御材とは別に、上述の一般的な共沈法にてPd担持用の組成比がCeO2:ZrO2:Nd2O3:La2O3:Y2O3=35:50:8:2:5(質量%)である比較例に係るCeZr系複合酸化物(以下、「Pd担持用比較例複合酸化物」という。)を調製した。
(Rh担持用CeZr系複合酸化物の物性)
上記8種類のRh担持用細孔制御材及びRh担持用比較例複合酸化物各々のフレッシュでの細孔分布を図2乃至図4に示す。図2乃至図4の各グラフの縦軸はlog微分細孔容量(cm/g)である。この点は図5乃至図13も同じである。
上記8種類のRh担持用細孔制御材及びRh担持用比較例複合酸化物各々のフレッシュでのピーク細孔径、全細孔容量及び比表面積は表1のとおりである。
Figure 2023130946000002
ピーク細孔径はBJH法に基づく細孔分布より求めた。全細孔容量は吸着ガスとして窒素ガスを用いたBJH法によって求めた。比表面積はBET法によって求めた。
上記8種類のRh担持用細孔制御材及びRh担持用比較例複合酸化物各々の930℃×50時間の熱処理後の細孔分布を図5乃至図7に示す。また、これらサンプルの熱処理後のピーク細孔径、全細孔容量及び比表面積及びを表2に示す。
Figure 2023130946000003
上記熱処理は具体的には次のようにした。空燃比リーンの模擬排気ガスと空燃比リッチの模擬排気ガスが交互に流れる雰囲気下において、フレッシュの各サンプルを930℃の温度に50時間保持した。しかる後に、各サンプルの細孔分布をBJH法によって測定し、さらに、ピーク細孔径、全細孔容量及び比表面積を求めた。空燃比リーン及びリッチの各模擬排気ガスの組成は表3及び表4のとおりである。
Figure 2023130946000004
Figure 2023130946000005
(Pd担持用CeZr系複合酸化物の物性)
上記7種類のPd担持用細孔制御材及びPd担持用比較例CeZr系複合酸化物各々のフレッシュでの細孔分布を図8乃至図10に示す。
上記7種類のPd担持用細孔制御材及びPd担持用比較例複合酸化物各々のフレッシュでのピーク細孔径、全細孔容量及び比表面積は表5のとおりである。
Figure 2023130946000006
上記7種類のPd担持用細孔制御材及びPd担持用比較例複合酸化物各々の上述の930℃×50時間の熱処理後の細孔分布を図11乃至図13に示す。また、これらサンプルの当該熱処理後のピーク細孔径、全細孔容量及び比表面積を表6に示す。
Figure 2023130946000007
<触媒性能評価>
(Rh担持用細孔径制御材の物性の影響)
図1に示す二層構造の排気ガス浄化用触媒において、Rh担持用CeZr系複合酸化物の物性の違いが触媒性能に及ぼす影響を調べた。上側触媒層2及び下側触媒層3の配合は表7に示すとおりである。
Figure 2023130946000008
表7において、「g/L」は担体容量1L当たりの成分量である。「YSZ」はYを3mol%含むY安定化ジルコニアを表し、「La-Al2O3」はLaを4質量%含有する活性Alを表している。「Rh/CeZrNdLaYOx」はRh担持CeZr系複合酸化物、「Rh/Al2O3」はRh担持活性アルミナ、「Pd/CeZrNdLaYOx」はPd担持CeZr系複合酸化物、「Pd/Al2O3」はPd担持活性アルミナである。
上側触媒層のバインダ「Rh-CeZrNdLaYOx」は酸素吸蔵放出材としても機能するRhドープCeZrNdLaYOxである。そのCeZrNdLaYOxの組成比は、CeO:ZrO:Nd:La:Y=10:75:5:5:5(質量%)であり、Rhドープ量は0.1質量%である。
RhドープCeZrNdLaYOxは、次のようにして調製した。硝酸セリウム6水和物、オキシ硝酸ジルコニウム、硝酸ネオジム6水和物、硝酸ランタン、硝酸イットリウム及び硝酸ロジウムをイオン交換水に溶かした溶液にアンモニア水を混合して中和させることにより、共沈物を得た。この共沈物を遠心分離法で水洗した後、空気中において乾燥させ、粉砕した後、焼成してRhドープCeZrNdLaYOxを得た。
得られたRhドープCeZrNdLaYOxの粉末を、1%CO環境下において600℃で60分の還元処理を行った。これにイオン交換水を添加してスラリー(固形分25質量%)とし、このスラリーをボールミルに投入して、0.5mmのジルコニアビーズで約3時間粉砕した。これにより、バインダ材として用いられ得る程度に粒径が小さくなったRhドープCeZrNdYOxの粉末が溶媒中に分散したゾルを得た。この操作でRhドープCeZrNdYOxの粉末の粒径をメディアン径で200nm以下にした。
下側触媒層の酸素吸蔵放出材「CeZrNdLaYOx」は、CeO:ZrO:Nd:La:Y=35:50:2:5:8(質量%)の組成比を有する複合酸化物CeZrNdLaYOxである。
表7に示す配合の排気ガス浄化用触媒において、上側触媒層の第1Rh触媒のCeZrNdLaYOxとして、Rh担持用の20nm、30nm、40nm、50nm、60nm及び80nmの各細孔制御材並びにRh担持用比較例複合酸化物各々を採用し、下側触媒層の第1Pd触媒のCeZrNdLaYOxとしてはいずれもPd担持用比較例複合酸化物を採用した7種類の触媒サンプルを調製した。担体1としては、セラミックス製ハニカム担体(容量約100cc)を用いた。
各触媒サンプルの調製法は次のとおりである。まず、下側触媒層の触媒材及びバインダ材をイオン交換水と混合してなるスラリーを担体1にコーティングし乾燥・焼成することによって、下側触媒層3を形成した。次に、上側触媒層の触媒材及びバインダ材をイオン交換水と混合してなるスラリーを下側触媒層3の上にコーティングし乾燥・焼成することによって、上側触媒層2を形成した。
そうして、各触媒サンプルにベンチエージング処理を施した。これは、各触媒サンプルをエンジンの排気管に取り付け、触媒温度が900℃となるようにエンジン回転数・負荷を設定し、当該エンジンの排気ガスに触媒サンプルを50時間晒すというものである。
しかる後、各触媒サンプルから担体容量約25mL(直径25.4mm,長さ50mm)のコアサンプルを切り出し、これを固定床流通式反応装置に取り付けた。そして、HCの浄化に関するライトオフ性能の評価試験を行なった。
すなわち、触媒サンプルに流入する模擬排気ガス温度を50℃から500℃まで昇温速度30℃/分で漸次上昇させ、次に500℃から100℃まで降温速度30℃/分で漸次低下させていく前処理を行なった後、模擬排気ガス温度を100℃から昇温速度30℃/分で漸次上昇させていき、HC浄化率が50%に達したときの触媒入口のガス温度T50(℃)を測定した。模擬排気ガスは、A/F=14.7とした。すなわち、A/F=14.7のメインストリームガスを定常的に流した。空間速度SVは60000h-1である。
ライトオフ温度(T50)の測定結果を図14に示す。Rhを20nm細孔制御材乃至80nm細孔制御材に担持した触媒ではRhを比較例複合酸化物に担持させた場合よりもライトオフ温度が低くなっている。Rhを30nm細孔制御材乃至60nm細孔制御材に担持したケースにおいて、ライトオフ温度が特に低くなっている。
Rh担持用の30nm細孔制御材乃至60nm細孔制御材は、フレッシュでは、20nm以上70nm以下の細孔径にピークを有し、全細孔容量が0.6cm/g以上0.8cm/g以下である。また、これらの細孔制御材は、930℃×50時間の熱処理後において、20nm以上70nm以下の細孔径にピークを有し、比表面積が44m/g以上であり、全細孔容量が0.3cm/g以上である。
図14によれば、ライトオフ特性向上の観点からRh担持用のより好ましい細孔制御材は30nm細孔制御材乃至50nm細孔制御材であり、それらはフレッシュでの全細孔容量0.6cm/g以上0.75cm/g以下である。また、これらの細孔制御材は、熱処理後の比表面積が46m/g以上、熱処理後の全細孔容量が0.34cm/g以上0.5cm/g以下である。
(Pd担持用細孔制御材の物性の影響)
表7に示す配合の排気ガス浄化用触媒において、下側触媒層の第1Pd触媒のCeZrNdLaYOxとして、Pd担持用の40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm及び100nmの各細孔制御材並びにPd担持用比較例複合酸化物各々を採用し、上側触媒層の第1Rh触媒のCeZrNdLaYOxとしてはいずれもRh担持用40nm細孔制御材を採用した8種類の触媒サンプルを調製した。担体1としては、セラミックス製ハニカム担体(容量約100cc)を用いた。
各触媒サンプルの調製法は、先に説明したRh担持用細孔径制御材の物性の影響を調べたときの触媒サンプルの調製法と同じである。そうして、各触媒サンプルに先の触媒サンプルの場合と同じベンチエージング処理を施し、各触媒サンプルから担体容量約25mLのコアサンプルを切り出し、これを固定床流通式反応装置に取り付けて、HCの浄化に関するライトオフ性能の評価試験を行なった。その試験方法は先に説明した触媒サンプルの評価試験と同じである。
ライトオフ温度(T50)の測定結果を図15に示す。Pdを40nm細孔制御材乃至100nm細孔制御材に担持した触媒ではPdを比較例複合酸化物に担持させた場合よりもライトオフ温度が低くなっている。Pdを60nm細孔制御材乃至90nm細孔制御材に担持したケースにおいて、ライトオフ温度が特に低くなっている。
Pd担持用の60nm細孔制御材乃至90nm細孔制御材は、フレッシュでは、40nm以上87nm以下の細孔径にピークを有し、全細孔容量が0.25cm/g以上0.48cm/g未満である。また、これらの細孔制御材は、930℃×50時間の熱処理後において、30nm以上90nm以下の細孔径にピークを有し、比表面積が41m/g以上であり、全細孔容量が0.25cm/g以上である。
表6によれば、Pd担持用の60nm細孔制御材乃至90nm細孔制御材は、上記熱処理後において、全細孔容量が0.25cm/g以上0.3cm/g未満である。
(考察)
上述の如く、Rhの場合は、特に表1,2、図2~図7及び図14に示すように、上述の物性を有する30nm乃至60nmの細孔制御材に担持したときに触媒のライトオフ特性が良くなっている。
一方、Pdの場合は、特に表5,6、図8~図13及び図15に示すように、上述の物性を有する60nm乃至90nmの細孔制御材に担持したときに触媒のライトオフ特性が良くなっている。
このように、RhとPdではライトオフ特性の観点からサポート材として適切なCeZr系複合酸化物の物性が相違する。
Rh及びPd各々を上述の比較例複合酸化物に担持させて上記ベンチエージング処理をしたときの、その処理後のRh及びPdの平均粒子径を調べると、Rhは102nmであり、Pdは252nmであった。このように、RhとPdではエージング後の平均粒子径が大きく異なる。これは、Pdの方が熱に弱く、シンタリングし易いためである。
排気ガスの浄化には排気ガスが触媒金属の担持材を拡散して触媒金属に接触することが重要であるところ、図14に示す触媒性能の結果は、Rhを40nm細孔制御材に担持したときにRhと排気ガスの接触が効果的に行なわれることを示唆している。40nm細孔制御材の全細孔容量が最も大きいことから、排気ガスの拡散効率が高くなっていると考えられる。図14に示すように30nm乃至60nmの細孔制御材にRhを担持したときにライトオフ温度が低くなるのは、図5(C)、図6及び表2に示すように、熱処理後においても30nm乃至65nmの細孔径領域にlog微分細孔容量が0.05cm/g以上であるピークが現れていることから、Rhに対する排気ガスの拡散接触性が良いためと認められる。
次に、図15に示す触媒性能の結果は、Pdを80nm細孔制御材に担持したときにPdと排気ガスの接触が効果的に行なわれることを示唆している。エージングによって粒子径が大きくなる(平均粒子径252nm)Pdの場合は、径が例えば約35nm未満の小さい細孔はPdに対する排気ガスの拡散接触への寄与が小さくなると考えられる。また、径が例えば約85nmを越える大きい細孔になると、エージングによる構造維持が困難になると考えられる。図15に示すように60nm乃至90nmの細孔制御材にPdを担持したときにライトオフ温度が低くなるのは、図11(C)、図12及び表6に示すように、熱処理後においても35nm以上85nm未満の細孔径領域にlog微分細孔容量が0.05cm/g以上である細孔が存在することから、Pdに対する排気ガスの拡散接触性が良いためと認められる。
なお、Rh担持CeZr系複合酸化物とPd担持CeZr系複合酸化物は、上記実施形態では前者を上側触媒層に配置し後者を下側触媒層に配置したが、前者を下側触媒層に配置し後者を上側触媒層に配置してもよく、或いは両者を混合して用いてもよい。
また、上記CeZr系複合酸化物は上記実施形態の組成に限らず、Ce及びZrを含有する複合酸化物であればよい。
1 担体
2 上側触媒層
3 下側触媒層
5 第1Rh触媒(Rh担持CeZr系複合酸化物)
7 第1Pd触媒(Pd担持CeZr系複合酸化物)

Claims (8)

  1. Rh担持CeZr系複合酸化物とPd担持CeZr系複合酸化物を含有する排気ガス浄化用触媒であって、
    上記Rh担持用のCeZr系複合酸化物は、製造後未使用のフレッシュ状態では、BJH法に基づく細孔分布において20nm以上70nm以下の細孔径にピークを有し、全細孔容量が0.6cm/g以上0.8cm/g以下であり、
    上記Pd担持用のCeZr系複合酸化物は、製造後未使用のフレッシュ状態では、上記細孔分布において40nm以上87nm以下の細孔径にピークを有し、全細孔容量が0.25cm/g以上0.48cm/g未満であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  2. 請求項1において、
    上記Rh担持用のCeZr系複合酸化物は、800℃以上950℃以下で10時間以上100時間以下の熱処理後、上記細孔分布において20nm以上70nm以下の細孔径にピークを有し、比表面積が44m/g以上であり、全細孔容量が0.3cm/g以上であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  3. 請求項2において、
    上記Rh担持用のCeZr系複合酸化物は、上記熱処理後の全細孔容量が0.3cm/g以上0.5cm/g以下であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  4. 請求項2又は請求項3において、
    上記Rh担持用のCeZr系複合酸化物は、上記熱処理後、上記細孔分布において30nm以上65nm以下の細孔径にピークを有し、全細孔容量が0.35cm3/g以上であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
    上記Pd担持用のCeZr系複合酸化物は、800℃以上950℃以下で10時間以上100時間以下の熱処理後、上記細孔分布において30nm以上90nm以下の細孔径にピークを有し、比表面積が41m/g以上であり、全細孔容量が0.25cm/g以上であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  6. 請求項5において、
    上記Pd担持用のCeZr系複合酸化物は、上記熱処理後の全細孔容量が0.25cm/g以上0.3cm/g未満であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  7. 請求項5又は請求項6において、
    上記Pd担持用のCeZr系複合酸化物は、上記熱処理後、上記細孔分布において35nm以上85nm以下の細孔径にピークを有することを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  8. 請求項5乃至請求項7のいずれか一において、
    上記Pd担持用のCeZr系複合酸化物は、上記熱処理後の比表面積が41m/g以上48m/g以下であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
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