JP2023130060A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたウェットグリップ性能とドライグリップ性能とを両立させたタイヤを提供する。【解決手段】少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備えたタイヤであって、前記周方向溝部が溝部形成ゴム組成物で形成され、前記溝部形成ゴム組成物の水湿潤時のE*(MPa)、乾燥時のE*(MPa)、水湿潤時のtanδ及び乾燥時のtanδ、前記周方向溝部の溝深さD(mm)が、下記式(1-1)及び/又は下記式(1-2)と、下記式(2)とを満たすタイヤ。水湿潤時のE*/乾燥時のE*≦0.90 (1-1)水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ≧1.10 (1-2)D/(水湿潤時のE*/乾燥時のE*)>9.0 (2)(式中、E*及びtanδは、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モード、測定時間30分の条件下で測定した測定開始から30分後の複素弾性率(MPa)及び損失正接である。Dは、前記周方向溝部溝深さ(mm)である。)【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤに関する。
近年、自動車共通の課題として、安全性に対する意識がますます高まっており、ウェットグリップ性能や操縦安定性の更なる改善が要求されている。これまで、ウェットグリップ性能改善のために様々な研究がなされており、シリカを配合したゴム組成物の発明が種々報告されている(例えば、特許文献1)。ウェットグリップ性能は、特に路面に接するトレッド部分のゴム組成物の性能に大きく左右されるため、トレッドなどのタイヤ用ゴム組成物の技術的改良が広く検討され、実用化されている。
特開2008-285524号公報
シリカを用いたトレッド用ゴム組成物の改良により、タイヤのウェットグリップ性能は大幅な進歩を遂げているが、ドライ路面からウェット路面、又はウェット路面からドライ路面への路面変化などが起こった場合のグリップ性能の変化については、重要な技術課題として残っており、改善の余地がある。
このように、従来の技術では、優れたウェットグリップ性能とドライグリップ性能とを両立するという点で改善の余地がある。
本開示は、前記課題を解決し、優れたウェットグリップ性能とドライグリップ性能とを両立させたタイヤを提供することを目的とする。
本開示は、少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備えたタイヤであって、
前記周方向溝部が溝部形成ゴム組成物で形成され、
前記溝部形成ゴム組成物の水湿潤時のE*(MPa)、乾燥時のE*(MPa)、水湿潤時のtanδ及び乾燥時のtanδ、前記周方向溝部の溝深さD(mm)が、下記式(1-1)及び/又は下記式(1-2)と、下記式(2)とを満たすタイヤ。
水湿潤時のE*/乾燥時のE*≦0.90 (1-1)
水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ≧1.10 (1-2)
D/(水湿潤時のE*/乾燥時のE*)>9.0 (2)
(式中、E*及びtanδは、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モード、測定時間30分の条件下で測定した測定開始から30分後の複素弾性率(MPa)及び損失正接である。Dは、前記周方向溝部溝深さ(mm)である。)
本開示によれば、上記構成としたタイヤであるので、優れたウェットグリップ性能とドライグリップ性能とを両立することができる。
空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図1のタイヤ2のトレッド4の近辺が示された拡大断面図である。
本開示は、少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備えたタイヤであって、前記周方向溝部が溝部形成ゴム組成物で形成され、前記溝部形成ゴム組成物の水湿潤時のE*(MPa)、乾燥時のE*(MPa)、水湿潤時のtanδ及び乾燥時のtanδ、前記周方向溝部の溝深さD(mm)が、下記式(1-1)及び/又は下記式(1-2)と、下記式(2)とを満たすタイヤである。これにより、優れたウェットグリップ性能とドライグリップ性能とを両立させることができる。
水湿潤時のE*/乾燥時のE*≦0.90 (1-1)
水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ≧1.10 (1-2)
D/(水湿潤時のE*/乾燥時のE*)>9.0 (2)
(式中、E*及びtanδは、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モード、測定時間30分の条件下で測定した測定開始から30分後の複素弾性率(MPa)及び損失正接である。Dは、前記周方向溝部溝深さ(mm)である。)
本開示の課題(目的)は、優れたウェットグリップ性能とドライグリップ性能とを両立することであり、この課題を解決する手段が、少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備えたタイヤであって、前記周方向溝部が溝部形成ゴム組成物で形成され、前記溝部形成ゴム組成物の水湿潤時のE*(MPa)、乾燥時のE*(MPa)、水湿潤時のtanδ及び乾燥時のtanδ、前記周方向溝部の溝深さD(mm)が、前記式(1-1)及び/又は前記式(1-2)と、前記式(2)とを満たすタイヤとすることである。すなわち、本開示の本質的特徴は、少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備えたタイヤであって、前記周方向溝部が溝部形成ゴム組成物で形成され、前記溝部形成ゴム組成物の水湿潤時のE*(MPa)、乾燥時のE*(MPa)、水湿潤時のtanδ及び乾燥時のtanδ、前記周方向溝部の溝深さD(mm)が、前記式(1-1)及び/又は前記式(1-2)と、前記式(2)とを満たすタイヤとすることである。
前述の効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のようなメカニズムによるものと推察される。
局所的な雨天の影響により、ドライ路面とウェット路面が混在した状態で走行することも珍しくない昨今において、路面の状態をドライバーが瞬時に判断して対応することは難しい。その為、ドライ路面、ウェット路面によらず安定してグリップ性能を発揮することが望まれている。
前記溝部形成ゴム組成物は、水湿潤時に乾燥時から複素弾性率が10%以上低下する(式(1-1))、及び/又は、損失正接が10%以上上昇する(式(1-2))、ことにより、瞬時にウェット路面において追従性及び発熱性が得られるので、ドライグリップ性能に加えて、優れたウェット路面におけるグリップ性能も発揮されると考えられる。また、本開示のタイヤは、少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備え、前記式(2)を満たす。前記溝部形成ゴム組成物で形成された前記周方向溝部の溝深さDが大きくなるほど、ウェット路面において、路面とタイヤとの間に存在する水を十分に排水することが可能となる。そのため、Dを大きくするに伴って、水湿潤時のE*/乾燥時のE*を小さくし、水に濡れた際の追従性を高くすることで、ドライ路面及びウェット路面の双方で良好なグリップ性能が得られると考えられる。以上により、ドライ路面とウェット路面が混在した状態で走行する場合においても瞬時に該組成物の状態が変化し安定してグリップ性能が発揮されることから、前記タイヤは、優れたウェットグリップ性能とドライグリップ性能とを両立できると推察される。
なお、本明細書において、ゴム組成物の複素弾性率(E*)、損失正接(tanδ)は、加硫後のゴム組成物のE*、tanδを意味する。また、E*、tanδは、加硫後のゴム組成物に対し、粘弾性試験を実施することで得られる値である。
前記ゴム組成物は、前記式(1-1)及び/又は前記式(1-2)を満たし、水によって可逆的に複素弾性率(E*)及び損失正接(tanδ)が変化するが、本明細書において、水によって可逆的に複素弾性率(E*)及び損失正接(tanδ)が変化とは、水の存在によって、ゴム組成物(加硫後)のE*及びtanδが可逆的に大きくなったり、小さくなったりすることを意味する。なお、例えば、乾燥時→水湿潤時→乾燥時と変化した場合に、E*及びtanδが可逆的に変化すればよく、先の乾燥時と、後の乾燥時において、同一のE*及びtanδを有さなくてもよいし、先の乾燥時と、後の乾燥時において、同一のE*及びtanδを有していてもよい。
本明細書において、乾燥時のE*、tanδとは、乾燥している状態のゴム組成物のE*、tanδを意味し、具体的には、実施例に記載の方法により乾燥したゴム組成物のE*、tanδを意味する。
本明細書において、水湿潤時のE*、tanδとは、水によって湿潤している状態のゴム組成物のE*、tanδを意味し、具体的には、実施例に記載の方法により、水によって湿潤したゴム組成物のE*、tanδを意味する。
本明細書において、ゴム組成物のE*、tanδは、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モード、測定時間30分の条件下で測定した測定開始から30分後のE*、tanδである。
前記ゴム組成物は、下記式(1-1)を満たすことが望ましい。
水湿潤時のE*/乾燥時のE*≦0.90 (1-1)
(式中、E*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モード、測定時間30分の条件下で測定した測定開始から30分後の複素弾性率(MPa)である。)
水湿潤時のE*/乾燥時のE*は、好ましくは0.85以下、より好ましくは0.80以下、更に好ましくは0.75以下、特に好ましくは0.70以下である。水湿潤時のE*/乾燥時のE*の下限は特に限定されないが、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.30以上、特に好ましくは0.35以上である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
前記ゴム組成物は、乾燥時のE*が好ましくは2.5MPa以上、より好ましくは3.5MPa以上、更に好ましくは4.0MPa以上、特に好ましくは4.5MPa以上、最も好ましくは5.0MPa以上である。乾燥時のE*の上限は特に限定されないが、好ましくは20.0MPa以下、より好ましくは15.0MPa以下、更に好ましくは13.0MPa以下、特に好ましくは12.0MPa以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
前記ゴム組成物は、下記式(1-2)を満たすことが望ましい。
水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ≧1.10 (1-2)
(式中、tanδは、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モード、測定時間30分の条件下で測定した測定開始から30分後の損失正接である。)
水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδは、好ましくは1.15以上、より好ましくは1.20以上、更に好ましくは1.25以上、特に好ましくは1.30以上である。水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδの上限は特に限定されないが、好ましくは1.80以下、より好ましくは1.70以下、更に好ましくは1.65以下、特に好ましくは1.60以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
前記ゴム組成物は、乾燥時のtanδが好ましくは0.15以上、より好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.25以上、特に好ましくは0.30以上である。乾燥時のtanδの上限は特に限定されないが、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.5以下、更に好ましくは5.2以下、特に好ましくは5.0以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
なお、前記ゴム組成物の前記式(1-1)及び/又は前記式(1-2)で表される水による可逆的なE*変化、tanδ変化は、例えば、カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を分子中に有する変性ゴムと、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸ベリリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド、ルビジウムフェノキシド、セシウムフェノキシド、ベリリウムジフェノキシド、マグネシウムジフェノキシド、カルシウムジフェノキシド、ストロンチウムジフェノキシド、及びバリウムジフェノキシドからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを配合することにより達成できる。具体的には、例えば、カルボン酸変性SBRなどのカルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を分子中に有する変性ゴムと、酢酸リチウムなどのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを併用することにより、前記ゴム組成物の前記式(1-1)及び/又は前記式(1-2)で表される水による可逆的なE*変化、tanδ変化を実現できる。これは、該併用により、例えば、カルボン酸、スルホン酸、又はこれらの塩由来のアニオンと、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩由来のカチオンとにより、前記変性ゴムと、前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩との間で、イオン結合が形成され、そして、その間において、水の添加によるイオン結合の開裂、水の乾燥によるイオン結合の再結合が生じる結果、水湿潤時にはE*低下及び/又はtanδ上昇、乾燥時にはE*上昇及び/又はtanδ低下が起きることにより実現できると考えられる。
乾燥時のE*は、ゴム組成物に配合される薬品(特に、ゴム成分、充填材、オイルなどの軟化剤)の種類や量によって調整することが可能であり、例えば、軟化剤の量を減量したり、充填材の量を増量したりすることにより、乾燥時のE*は大きくなる傾向がある。
乾燥時のtanδは、ゴム組成物に配合される薬品(特に、ゴム成分、充填材、軟化剤、樹脂、硫黄、加硫促進剤、シランカップリング剤)の種類や量によって調整することが可能であり、例えば、ゴム成分と相溶性の低い軟化剤(例えば、樹脂)を使用したり、非変性ゴムを使用したり、充填材量を増量したり、可塑剤としてのオイルを増やしたり、硫黄を減らしたり、加硫促進剤を減らしたり、シランカップリング剤を減らしたりすることにより、乾燥時のtanδは大きくなる傾向がある。
また、乾燥時のE*、tanδについて、例えば、前記変性ゴムの酸性官能基含有量や、前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の含有量(言い換えれば、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩由来の金属含有量)により、乾燥時のE*、tanδを調整することが可能である。具体的には、前記変性ゴムの酸性官能基含有量や前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の含有量を増加させると、乾燥時のE*が大きくなる傾向、乾燥時のtanδが大きくなる傾向、がある。
水湿潤時のE*、tanδは、例えば、前記変性ゴムと、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩との間の一部又は全部がイオン結合により架橋されたゴム組成物とすることで、乾燥時に比べて、水湿潤時のE*を低下させること及び/又はtanδを上昇させることができ、乾燥時、水湿潤時のE*、tanδの調整が可能となる。具体的には、前記変性ゴムと、前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを併用することで、イオン結合で架橋されたゴム組成物となり、乾燥時に比べて、水湿潤時のE*を低下させること及び/又はtanδを上昇させることができる。また、水湿潤時のE*、tanδは、ゴム組成物に配合される薬品の種類や量によって調整することが可能であり、例えば、前述の乾燥時のE*、乾燥時のtanδの調整方法と同様の手法を用いることで、水湿潤時のE*、tanδにおいても同様の傾向を得ることができる。
そして、具体的には、乾燥時のE*、tanδを所望の範囲内に調整した上で、カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を分子中に有する変性ゴムと、前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを併用することにより、ゴム組成物の前記式(1-1)及び/又は前記式(1-2)で表される水による可逆的なE*変化及び/又はtanδ変化を実現できる。
(ゴム成分)
前記ゴム組成物は、ゴム成分として、カルボン酸(カルボン酸基(-COOH))、スルホン酸(スルホン酸基(-SOH))、及びこれらの塩(カルボン酸イオン(-COO)及び/又はスルホン酸イオン(-SO )と、これらのカウンターカチオンとからなる塩)からなる群より選択される少なくとも1種を分子中に有する変性ゴムを含むことが好ましい。前記塩としては特に限定されず、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)などの1価の金属塩、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、ストロンチウム塩など)などの2価の金属塩などが挙げられる。なかでも、より効果が得られる観点から、カルボン酸基が好ましく、(メタ)アクリル酸基、マレイン酸基がより好ましく、メタクリル酸基、マレイン酸基が特に好ましい。
前記変性ゴムは、カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種のイオン性官能基1を分子中に有するものであるが、該ゴム100質量%(イオン性官能基1を分子中に有するゴム100質量%)中の該イオン性官能基1の含有量は、0.5質量%以上が好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上が更に好ましい。上限は特に限定されないが、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましい。
なお、イオン性官能基1の含有量は、NMR測定を行い、イオン性官能基1に該当するピークに基いて含有量(質量%)を算出することにより、測定できる。
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中の前記変性ゴムの含有量は、5質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましく、50質量%以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましく、75質量%以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
前記変性ゴムの骨格を構成するゴムは、効果が好適に得られる観点から、スチレン、ブタジエン及びイソプレンからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーを構成単位とするものが好ましい。該ゴムの具体例としては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)等が挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、タイヤ物性の観点からは、SBR、BR、イソプレン系ゴムが好ましく、SBR、BRがより好ましい。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。また、該スチレン含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、H-NMR測定により算出される。
SBRのビニル含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。上記ビニル含有量は、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、ビニル含有量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
前記ゴム組成物が前記変性ゴムとして、カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種のイオン性官能基1を分子中に有する変性SBRを含む場合、ゴム成分100質量%中の該変性SBRの含有量は、5質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましく、50質量%以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましく、75質量%以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐摩耗性が向上するという理由から、シス含量が90質量%以上のハイシスBRが好ましい。
前記ゴム組成物が前記変性ゴムとして、カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種のイオン性官能基1を分子中に有する変性BRを含む場合、ゴム成分100質量%中の該変性BRの含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、20質量%以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましく、75質量%以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物が前記変性ゴムとして、カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種のイオン性官能基1を分子中に有する変性イソプレン系ゴムを含む場合、ゴム成分100質量%中の該変性イソプレン系ゴムの含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、20質量%以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましく、35質量%以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
前記変性ゴムとしては、具体的には、例えば、メタクリル酸を分子中に有する乳化重合スチレンブタジエンゴムが本開示の好適な実施形態の1つとして挙げられる。
前記ゴム組成物は、前記変性ゴム以外の他のゴム成分を含んでもよい。他のゴム成分としては、例えば、SBR、BR及びイソプレン系ゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。該SBR、該BR、該イソプレン系ゴムは、前記変性ゴム以外の変性ゴムでも、非変性ゴムでもよいが、非変性のSBR、非変性のBR、非変性のイソプレン系ゴムが好ましく、非変性BR、非変性イソプレン系ゴムがより好ましい。
前記ゴム組成物が前記変性ゴム以外の他のゴム成分を含む場合、ゴム成分100質量%中の該他のゴム成分の含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、20質量%以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましく、35質量%以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。なお、該他のゴム成分として、非変性イソプレン系ゴムや非変性BRを用いる場合も、非変性イソプレン系ゴムの含有量、非変性BRの含有量も同様の範囲が好適である。
(アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩)
前記ゴム組成物は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸ベリリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド、ルビジウムフェノキシド、セシウムフェノキシド、ベリリウムジフェノキシド、マグネシウムジフェノキシド、カルシウムジフェノキシド、ストロンチウムジフェノキシド、及びバリウムジフェノキシドからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を含むことが好ましい。これらのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なかでも、より効果が好適に得られる観点から、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが更に好ましく、酢酸カリウム及び/又は酢酸カルシウムを含むことが特に好ましい。
これらのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を用いた場合に、前述の効果がより得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のようなメカニズムによるものと推察される。
カルボン酸などを分子中に有する変性ゴムと、これらの特定のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とにより、該カルボン酸などと該アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の金属とでイオン結合物が形成され、水応答性を示し、特に該特定のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は、補強性と水応答性が高いと考えられる。また、該特定のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は水で解離しやすいため、水応答性が更に向上すると考えられる。従って、該特定のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を用いたゴム組成物の場合、より優れたウェットグリップ性能とドライグリップ性能とを両立することができると推察される。
前記ゴム組成物において、前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の含有量(前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上、より更に好ましくは2.2質量部以上、特に好ましくは5.0質量部以上であり、また、好ましくは20.0質量部以下、より好ましくは17.0質量部以下、更に好ましくは12.0質量部以下、特に好ましくは10.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の見かけ比重は、好ましくは0.4g/ml未満、より好ましくは、0.3g/ml以下、更に好ましくは0.25g/ml以下であり、また、好ましくは0.05g/ml以上、より好ましくは0.15g/ml以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、上記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の見かけ比重は、50mlメスシリンダーに見かけ容積で30ml量り取り、その質量から算出して求めた値である。
前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のd50は、好ましくは10μm未満、より好ましくは4.5μm以下、更に好ましくは1.5μm以下、特に好ましくは0.75μm未満であり、また、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.45μm以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、上記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のd50は、レーザー回折散乱法によって得られた質量基準の粒度分布曲線における積算値50%の粒子径である。
前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは100m/g以上、より好ましくは115m/g以上であり、また、好ましくは250m/g以下、より好ましくは225m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、上記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のNSAは、JIS Z8830:2013に準拠してBET法で測定される値である。
前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の市販品としては、共和化学工業(株)、富士フイルム和光純薬(株)、キシダ化学(株)、協和化学工業(株)、タテホ化学工業(株)、(株)JHE、日本化学工業(株)、赤穂化成(株)等の製品を使用できる。
(フィラー)
前記ゴム組成物は、フィラー(充填材)を含むことが望ましい。フィラーとしては、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー;難分散性フィラー等のゴム分野で公知の材料を使用できる。なかでも、シリカ、カーボンブラックが好ましい。
シリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは30m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは125m/g以上である。また、シリカのNSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
シリカとしては、例えば、デグサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは45質量部以上、特に好ましくは50質量部以上である。該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは90質量部以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販されているものとしては、例えば、デグサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは5.0質量部以上、更に好ましくは8.0質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは20.0質量部以下、より好ましくは15.0質量部以下、更に好ましくは10.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
使用可能なカーボンブラックとしては、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。市販品としては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましく、100m/g以上が更に好ましい。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。上限は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(可塑剤)
前記ゴム組成物は、可塑剤を含むことが好ましい。ここで、可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、例えば、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)、樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)等が挙げられる。
ゴム組成物において、可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは25質量部以上、特に好ましくは30質量部以上である。上限は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは90質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物に使用可能な液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、液状ポリマー(液状樹脂、液状ジエン系ポリマー、液状ファルネセン系ポリマーなど)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは8質量部以上、特に好ましくは10質量部以上である。上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、液体可塑剤の含有量には、油展ゴムに含まれるオイルの量も含まれる。また、オイルの含有量も同様の範囲が好適である。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましい。
液状樹脂としては、テルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、これらの水素添加物も使用可能である。
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
なお、前記ゴム組成物の前記式(1-1)及び/又は前記式(1-2)で表される水による可逆的なE*変化、tanδ変化は、前記変性ゴムと、前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを併用する代わりに、カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を分子中に有する変性液状ジエン系ポリマーと、前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを併用することによっても達成できる。前記変性液状ジエン系ポリマーと、前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを併用することによっても、前記変性ゴムと、前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを併用した場合と同様のメカニズムにより同様の効果を得ることができる。
前記変性液状ジエン系ポリマーの変性は、前記変性ゴムの変性と同様である。
前記変性液状ジエン系ポリマーは、カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種のイオン性官能基を分子中に有するものであるが、1分子あたりの官能基の数は、1~100個が好ましく、2~50個がより好ましく、5~25個が更に好ましい。
なお、1分子あたりの官能基の数は、赤外吸収スペクトル分析を行い、官能基に該当するピークに基づいて算出することができる。
前記変性液状ジエン系ポリマーの数平均分子量は、1000~50000が好ましく、1500~40000がより好ましく、2000~35000が更に好ましい。
なお、数平均分子量は、標準ポリスチレンを用いた検量線による換算で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
前記変性液状ジエン系ポリマーを用いる場合、ゴム成分としては、前記変性ゴムは用いずに、前記変性ゴム以外の他のゴム成分を用い、前記変性液状ジエン系ポリマーと、前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを併用してもよいし、ゴム成分として、前記変性ゴムを用い、更に前記変性液状ジエン系ポリマーと、前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを併用してもよい。
前記変性液状ジエン系ポリマーとしては、効果が好適に得られる観点から、なかでも、カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を分子中に有する変性液状IRが好ましく、メタクリル酸又はマレイン酸を分子中に有する液状IRがより好ましい。
前記ゴム組成物が前記変性液状ジエン系ポリマーを含む場合、前記変性液状ジエン系ポリマーの含有量は、ゴム成分100質量部対して、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上が更に好ましく、20質量部以上が特に好ましい。また、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、35質量部以下が更に好ましく、30質量部以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
液状ファルネセン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
ゴム組成物に使用可能な前記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂が好ましい。
ゴム組成物において、前記樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上、特に好ましくは20質量部以上である。上限は、好ましくは60質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記樹脂の軟化点は、50℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、145℃以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
前記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
前記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
前記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
前記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
前記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
前記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
前記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。なかでも、DCPD樹脂、水添DCPD樹脂が好ましい。
前記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり。例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂、テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、テルペン化合物としては、α-ピネン、β-ピネンなど、フェノール系化合物としては、フェノール、ビスフェノールAなど、芳香族化合物としては、スチレン系化合物(スチレン、α-メチルスチレンなど)が挙げられる。
前記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、RutgersChemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
(他の成分)
前記ゴム組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。
前記ゴム組成物は、ステアリン酸を含んでもよい。前記ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部以上、より好ましくは0.5~5質量部である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含んでもよい。前記ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物には、ワックスを配合してもよい。前記ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物には、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な前記性能バランスを付与するという点で、硫黄を配合してもよい。
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上である。該含有量は、好ましくは6.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含んでもよい。
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、通常、0.3~10質量部、好ましくは0.5~7質量部である。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
加硫促進剤のなかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。スルフェンアミド系加硫促進剤の含有量は特に限定されないが、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3~4.0質量部、好ましくは0.5~2.5質量部、更に好ましくは0.7~1.6質量部である。グアニジン系加硫促進剤の含有量は特に限定されないが、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~5.0質量部、好ましくは0.8~3.0質量部、更に好ましくは1.0~2.3質量部である。
前記ゴム組成物には、上記成分以外にも、離型剤や顔料等の応用分野に従って、それらの使用に使われる通常の添加物を適宜配合してもよい。
前記ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、必要に応じて架橋する方法などにより製造できる。なお、混練条件としては、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。
本開示のタイヤは、少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備え、前記周方向溝部が前記溝部形成ゴム組成物で形成されている。
以下、適宜図面を参照しつつ、好ましい実施形態の一例に基づいて本開示を詳細に説明するが、本例に制限されるものではない。
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のウィング8、一対のクリンチ10、一対のビード12、カーカス14、ベルト16、バンド18、インナーライナー20及び一対のチェーファー22を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面24を形成する。トレッド4には、周方向溝部26が刻まれている。周方向溝部26とは、タイヤの周方向に沿って設けられた溝である。周方向溝部26は、周方向に連通していれば、ジグザグ状でも、湾曲状でも、直線状でもよい。この周方向溝部26により、トレッドパターンが形成されている。トレッド4は、ベース層28とキャップ層30とを有している。キャップ層30は、ベース層28の半径方向外側に位置している。キャップ層30は、ベース層28に積層されている。
なお、図1では、キャップ層30及びベース層28からなる2層構造トレッド4の例が示されているが、単層構造トレッド4、3層以上の構造を有するトレッド4でもよい。
本開示において、トレッド4を構成するゴム層(架橋後のゴム組成物の層)のうち、少なくとも1つの周方向溝部が前記溝部形成ゴム組成物で形成されていればよいが、全ての周方向溝部が前記溝部形成ゴム組成物で形成されていることが好ましく、トレッド4を構成するゴム層のうち、少なくとも最表面の層が前記溝部形成ゴム組成物からなることがより好ましい。具体的には、単層構造トレッドの場合は単層構造トレッド、2層構造トレッドの場合は2層構造トレッドのキャップ層、3層以上の構造を有するトレッドの場合はキャップ層(最表面層)が該ゴム組成物で構成されることが望ましい。
図2は、図1のタイヤ2のトレッド4の近辺が示された拡大断面図である。図2において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。
図2の拡大断面図に示されるタイヤ2において、周方向溝部26の溝深さDは、好ましくは13.0mm以下、より好ましくは12.0mm以下、更に好ましくは11.5mm以下であり、また、好ましくは3.5mm以上、より好ましくは6.0mm以上、更に好ましくは8.0mm以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、周方向溝部26の溝深さとは、トレッド最表面の接地面を形成する面を延長した面の法線に沿って計測され、該接地面を形成する面を延長した面から最深の溝底までの距離を意味するものであり、図2では、周方向溝部26の溝深さは、Dの長さを意味する。
図1のタイヤ2は、周方向溝部26の溝深さD(mm)と、前述の水湿潤時のE*/乾燥時のE*とが、下記式(2)を満たす。
D/(水湿潤時のE*/乾燥時のE*)>9.0 (2)
(式中、E*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モード、測定時間30分の条件下で測定した測定開始から30分後の複素弾性率(MPa)である。Dは、周方向溝部26の溝深さ(mm)である。)
D/(水湿潤時のE*/乾燥時のE*)は、好ましくは9.2以上、より好ましくは9.5以上、更に好ましくは10.0以上、特に好ましくは11.0以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは16.0以下、より好ましくは15.0以下、更に好ましくは14.0以下、特に好ましくは13.0以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
図1のタイヤ2において、それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6の半径方向外側部分は、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6の半径方向内側部分は、クリンチ10と接合されている。
それぞれのウィング8は、トレッド4とサイドウォール6との間に位置している。ウィング8は、トレッド4及びサイドウォール6のそれぞれと接合している。
それぞれのクリンチ10は、サイドウォール6の半径方向略内側に位置している。クリンチ10は、軸方向において、ビード12及びカーカス14よりも外側に位置している。
それぞれのビード12は、クリンチ10の軸方向内側に位置している。ビード12は、コア32と、このコア32から半径方向外向きに延びるエイペックス34とを備えている。コア32はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーなどを含む。エイペックス34は、半径方向外向きに先細りである。
カーカス14は、カーカスプライ36を備えている。このタイヤ2では、カーカス14は1枚のカーカスプライ36からなるが、2枚以上で構成されてもよい。
このタイヤ2では、カーカスプライ36は、両側のビード12の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ36は、それぞれのコア32の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ36には、主部36aと一対の折り返し部36bとが形成されている。すなわち、カーカスプライ36は、主部36aと一対の折り返し部36bとを備えている。
図示されていないが、カーカスプライ36は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなるもの等が挙げられる。このカーカス14はラジアル構造を有することが好ましい。
ベルト16は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト16は、カーカス14と積層されている。ベルト16は、内側層38及び外側層40からなる。
図示されていないが、内側層38及び外側層40のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなるもの等が挙げられる。それぞれのコードは、例えば、赤道面に対して傾斜している。内側層38のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層40のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。
バンド18は、ベルト16の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド18はベルト16の幅と同等の幅を有している。このバンド18が、このベルト16の幅よりも大きな幅を有していてもよい。
図示されていないが、バンド18は、コードとトッピングゴムとからなるもの等が挙げられる。コードは、例えば、螺旋状に巻かれている。
ベルト16及びバンド18は、補強層を構成している。ベルト16のみから、補強層が構成されてもよい。
インナーライナー20は、カーカス14の内側に位置している。インナーライナー20は、カーカス14の内面に接合されている。
それぞれのチェーファー22は、ビード12の近傍に位置している。この実施形態では、チェーファー22は布とこの布に含浸したゴムとからなるもの等が挙げられる。このチェーファー22が、クリンチ10と一体とされてもよい。
図1に示されているように、タイヤ2のトレッド4には、複数本、詳細には、3本の周方向溝部26が刻まれている。これらの周方向溝部26は、軸方向に間隔をあけて配置されている。このトレッド4には、3本の周方向溝部26が刻まれることにより、周方向に延在する4本のリブ44が形成されている。つまり、リブ44とリブ44との間が周方向溝部26である。
それぞれの周方向溝部26は、周方向に延在している。周方向溝部26は、周方向に途切れることなく連続している。
タイヤ2の製造では、複数のゴム部材がアッセンブリーされて、ローカバー(未加硫タイヤ2)が得られる。このローカバーが、モールドに投入される。ローカバーの外面は、モールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのポリマー組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ2が得られる。そのキャビティ面に凸凹模様を有するモールドが用いられることにより、タイヤ2に凹凸模様が形成される。
タイヤ2としては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられる。なかでも、空気入りタイヤが好ましい。例えば、夏用タイヤ(サマータイヤ)、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤなど)として好適に使用できる。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。
以下では、実施をする際に好ましいと考えられる例(実施例)を示すが、本開示の範囲は実施例に限られない。
実施例及び比較例で使用する各種薬品について、まとめて説明する。
カルボン酸変性SBR:下記製造例1により合成(カルボン酸基の含有量:5質量%、スチレン含量:23質量%、ブタジエン含有量:72質量%)
カルボン酸変性BR:下記製造例2により合成(カルボン酸基の含有量:5質量%、ブタジエン含有量:95質量%)
NR:TSR20
SBR:ZEON(株)製のNipol 1502(E-SBR)
BR:JSR社製のBR730(ハイシスポリブタジエン、シス含量:96質量%)
マレイン酸液状IR:クラレ社製のLIR-410(1分子あたりの官能基数:10個、数平均分子量:30000)
カーボンブラック:三菱ケミカル(株)製のダイアブラックI(N220、NSA:114m/g、DBP:114ml/100g)
シリカ:エボニック・デグサ社製のウルトラシルVN3(NSA:175m/g)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酢酸カリウム:富士フイルム和光純薬(株)製の酢酸カリウム
酢酸カルシウム:富士フイルム和光純薬(株)製の酢酸カルシウム
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
オイル:H&R社製のVIVATEC400/500(TDAEオイル)
シランカップリング剤:EVONIK-DEGUSSA製のSi69(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
樹脂:Arizona chemical社製のSYLVARES SA85(α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、Tg:43℃、軟化点:85℃)
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(老化防止剤、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3-ジフェニルグアニジン)
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)
<製造例1:カルボン酸変性SBRの合成>
(ラテックスの調製)
攪拌機付き耐圧反応器に蒸留水2000g、乳化剤(1)45g、乳化剤(2)1.5g、電解質8g、スチレン250g、メタクリル酸50g、ブタジエン700g及び分子量調整剤2gを仕込む。反応器温度を5℃とし、ラジカル開始剤1g及びSFS1.5gを溶解した水溶液と、EDTA0.7g及び触媒0.5gを溶解した水溶液とを反応器に添加して重合を開始する。重合開始から5時間後、重合停止剤2gを添加して反応を停止させ、ラテックスを得る。
(ゴムの調製)
該ラテックスから、水蒸気蒸留により、未反応単量体を除去する。その後、該ラテックスをアルコールに添加し、飽和塩化ナトリウム水溶液又はギ酸でpH3~5になるように調整しながら、凝固させ、クラム状の重合体を得る。該重合体を40℃の減圧乾燥器で乾燥し、固形ゴム(乳化重合ゴム)を得る。
<製造例2:カルボン酸変性BRの合成>
(ラテックスの調製)
攪拌機付き耐圧反応器に蒸留水2000g、乳化剤(1)45g、乳化剤(2)1.5g、電解質8g、メタクリル酸50g、ブタジエン950g及び分子量調整剤2gを仕込む。反応器温度を5℃とし、ラジカル開始剤1g及びSFS1.5gを溶解した水溶液と、EDTA0.7g及び触媒0.5gを溶解した水溶液とを反応器に添加して重合を開始する。重合開始から5時間後、重合停止剤2gを添加して反応を停止させ、ラテックスを得る。
(ゴムの調製)
該ラテックスから、水蒸気蒸留により、未反応単量体を除去する。その後、該ラテックスをアルコールに添加し、飽和塩化ナトリウム水溶液又はギ酸でpH3~5になるように調整しながら、凝固させ、クラム状の重合体を得る。該重合体を40℃の減圧乾燥器で乾燥し、固形ゴム(乳化重合ゴム)を得る。
なお、製造例1、2の使用材料は、以下のとおりである。
乳化剤(1):ハリマ化成(株)製のロジン酸石鹸
乳化剤(2):富士フイルム和光純薬(株)製の脂肪酸石鹸
電解質:富士フイルム和光純薬(株)製のリン酸ナトリウム
スチレン:富士フイルム和光純薬(株)製のスチレン
メタクリル酸:富士フイルム和光純薬(株)製のメタクリル酸
ブタジエン:高千穂化学工業(株)製の1,3-ブタジエン
分子量調整剤:富士フイルム和光純薬(株)製のtert-ドデシルメルカプタン
ラジカル開始剤:日油(株)製のパラメンタンヒドロペルオキシド
SFS:富士フイルム和光純薬(株)製のソディウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート
EDTA:富士フイルム和光純薬(株)製のエチレンジアミン四酢酸ナトリウム
触媒:富士フイルム和光純薬(株)製の硫酸第二鉄
重合停止剤:富士フイルム和光純薬(株)製のN,N’-ジメチルジチオカルバメート
アルコール:関東化学(株)製のメタノール、エタノール
ギ酸:関東化学(株)製のギ酸
塩化ナトリウム:富士フイルム和光純薬(株)製の塩化ナトリウム
<NMR測定>
H-NMRを用いて、変性ゴム中のカルボン酸基の含有量を算出する。
(実施例及び比較例)
各表に示す配合処方及び溝深さDにしたがい、(株)神戸製鋼所製の16Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を160℃の条件下で4分間混練りし、混練り物を得る。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で4分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。該未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成した後、170℃で12分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造する。
各表に従って配合を変化させた組成物により得られる試験用タイヤを検討して、下記物性測定方法、評価方法に基づいて算出した結果を各表に示す。なお、表1の基準比較例は比較例1-1、表2の基準比較例は比較例2-1である。
<粘弾性試験>
各試験用タイヤのトレッドのゴム層内部からタイヤ周方向が長辺となる様に長さ40mm×幅3mm×厚さ0.5mmの粘弾性測定サンプルを採取し、トレッドゴムのtanδおよびE*を、TAインスツルメント社製のRSAシリーズを用いて、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モード、測定時間30分の条件下で測定し、測定開始から30分後の測定値を得る。
なお、サンプルの厚み方向はタイヤ半径方向とする。
<乾燥時のE*及びtanδ>
上記粘弾性測定サンプル(長さ40mm×幅3mm×厚さ0.5mm)を常温、常圧の条件で恒量になるまで乾燥させる。該乾燥時の加硫ゴム組成物(ゴム片)の複素弾性率E*、損失正接tanδを上記粘弾性試験の方法で測定し、乾燥時のE*、tanδとする。
<水湿潤時のE*及びtanδ>
RSAの浸漬測定治具を用いて、水中にて上記粘弾性試験の方法で粘弾性を測定することにより、水湿潤時のE*、tanδとする。なお、水温は30℃に設定する。
<ウェットグリップ性能>
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して、湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求める。基準比較例の制動距離を100とし、各配合を指数表示する。指数が大きいほどウェットグリップ性能が良好である。
<ドライグリップ性能>
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して、ドライアスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求める。基準比較例の制動距離を100とし、各配合を指数表示する。指数が大きいほどドライグリップ性能が良好である。
Figure 2023130060000001
Figure 2023130060000002
以上のとおり、本開示(1)は、少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備えたタイヤであって、
前記周方向溝部が溝部形成ゴム組成物で形成され、
前記溝部形成ゴム組成物の水湿潤時のE*(MPa)、乾燥時のE*(MPa)、水湿潤時のtanδ及び乾燥時のtanδ、前記周方向溝部の溝深さD(mm)が、下記式(1-1)及び/又は下記式(1-2)と、下記式(2)とを満たすタイヤである。
水湿潤時のE*/乾燥時のE*≦0.90 (1-1)
水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ≧1.10 (1-2)
D/(水湿潤時のE*/乾燥時のE*)>9.0 (2)
(式中、E*及びtanδは、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モード、測定時間30分の条件下で測定した測定開始から30分後の複素弾性率(MPa)及び損失正接である。Dは、前記周方向溝部溝深さ(mm)である。)
本開示(2)は、前記溝部形成ゴム組成物が、下記式を満たす本開示(1)記載のタイヤである。
水湿潤時のE*/乾燥時のE*≦0.85
本開示(3)は、前記溝部形成ゴム組成物が、下記式を満たす本開示(1)又は(2)記載のタイヤである。
水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ≧1.15
本開示(4)は、前記溝部形成ゴム組成物は、カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を分子中に有する変性ゴムと、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸ベリリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド、ルビジウムフェノキシド、セシウムフェノキシド、ベリリウムジフェノキシド、マグネシウムジフェノキシド、カルシウムジフェノキシド、ストロンチウムジフェノキシド、及びバリウムジフェノキシドからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを含む本開示(1)~(3)のいずれかに記載のタイヤである。
本開示(5)は、前記カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を分子中に有する変性ゴムは、メタクリル酸を分子中に有する乳化重合スチレンブタジエンゴムである本開示(4)記載のタイヤである。
本開示(6)は、前記溝部形成ゴム組成物は、カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を分子中に有する変性液状ジエン系ポリマーと、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸ベリリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド、ルビジウムフェノキシド、セシウムフェノキシド、ベリリウムジフェノキシド、マグネシウムジフェノキシド、カルシウムジフェノキシド、ストロンチウムジフェノキシド、及びバリウムジフェノキシドからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを含む本開示(1)~(3)のいずれかに記載のタイヤである。
本開示(7)は、前記カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を分子中に有する変性液状ジエン系ポリマーは、メタクリル酸又はマレイン酸を分子中に有する液状イソプレン重合体である本開示(6)記載のタイヤである。
2 空気入りタイヤ
4 トレッド
6 サイドウォール
8 ウィング
10 クリンチ
12 ビード
14 カーカス
16 ベルト
18 バンド
20 インナーライナー
22 チェーファー
24 トレッド面
26 周方向溝部
27 溝底
28 ベース層
30 キャップ層
32 コア
34 エイペックス
36 カーカスプライ
36a 主部
36b 折り返し部
38 内側層
40 外側層
44 リブ
CL タイヤ2の赤道面
D 周方向溝部の溝深さ

Claims (7)

  1. 少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備えたタイヤであって、
    前記周方向溝部が溝部形成ゴム組成物で形成され、
    前記溝部形成ゴム組成物の水湿潤時のE*(MPa)、乾燥時のE*(MPa)、水湿潤時のtanδ及び乾燥時のtanδ、前記周方向溝部の溝深さD(mm)が、下記式(1-1)及び/又は下記式(1-2)と、下記式(2)とを満たすタイヤ。
    水湿潤時のE*/乾燥時のE*≦0.90 (1-1)
    水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ≧1.10 (1-2)
    D/(水湿潤時のE*/乾燥時のE*)>9.0 (2)
    (式中、E*及びtanδは、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モード、測定時間30分の条件下で測定した測定開始から30分後の複素弾性率(MPa)及び損失正接である。Dは、前記周方向溝部溝深さ(mm)である。)
  2. 前記溝部形成ゴム組成物が、下記式を満たす請求項1記載のタイヤ。
    水湿潤時のE*/乾燥時のE*≦0.85
  3. 前記溝部形成ゴム組成物が、下記式を満たす請求項1又は2記載のタイヤ。
    水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ≧1.15
  4. 前記溝部形成ゴム組成物は、カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を分子中に有する変性ゴムと、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸ベリリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド、ルビジウムフェノキシド、セシウムフェノキシド、ベリリウムジフェノキシド、マグネシウムジフェノキシド、カルシウムジフェノキシド、ストロンチウムジフェノキシド、及びバリウムジフェノキシドからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを含む請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 前記カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を分子中に有する変性ゴムは、メタクリル酸を分子中に有する乳化重合スチレンブタジエンゴムである請求項4記載のタイヤ。
  6. 前記溝部形成ゴム組成物は、カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を分子中に有する変性液状ジエン系ポリマーと、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸ベリリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド、ルビジウムフェノキシド、セシウムフェノキシド、ベリリウムジフェノキシド、マグネシウムジフェノキシド、カルシウムジフェノキシド、ストロンチウムジフェノキシド、及びバリウムジフェノキシドからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを含む請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ。
  7. 前記カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を分子中に有する変性液状ジエン系ポリマーは、メタクリル酸又はマレイン酸を分子中に有する液状イソプレン重合体である請求項6記載のタイヤ。
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