JP7243068B2 - タイヤ - Google Patents
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Description
この点について、本発明者が鋭意検討した結果、従来のゴムは、水に濡れていないドライ状態から水に濡れた所謂ウェット状態に変化した場合において硬度は変化しないか、または、水に冷やされて硬くなる性質があるため、路面との接触面積が低下し、その結果、ウェットグリップ性能はドライグリップ性能に対して低下する傾向があることが判明した。
また、トレッドの厚みと溝深さは相関関係があり、厚みが大きくなると溝深さも大きくなる傾向がある。そこで、トレッドの厚みの観点において、ウェットグリップ性能を向上させる方法として、トレッドの溝深さを大きくする、すなわちトレッドの厚みを大きくする方法があるが、この方法ではブロック剛性が低下するため、ウェットグリップ性能の高い柔らかいゴムを使用できない場合がある。
このように、従来の技術では、ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能の総合性能を改善するという点では改善の余地があることが判明した。
本発明は、前記課題を解決し、ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能の総合性能を改善できるタイヤを提供することを目的とする。
前記トレッドの厚みが4mm以上であるタイヤに関する。
乾燥時の硬度-水湿潤時の硬度≧1 (1)
(式中、硬度は、ゴム組成物の25℃におけるJIS-A硬度である。)
乾燥時の硬度-水湿潤時の硬度≧1 (1)
(式中、硬度は、ゴム組成物の25℃におけるJIS-A硬度である。)
上記タイヤのトレッドを構成するゴム組成物は、水によって可逆的に硬度が変化し、上記式(1)を満たす。ここで、上記式(1)は、乾燥時の硬度に比べて、水湿潤時の硬度が小さいことを意味する。すなわち、上記ゴム組成物は、水によって可逆的に硬度が変化し、上記式(1)を満たすものであるが、これは、乾燥時の硬度に比べて、水湿潤時の硬度が小さく、かつ、硬度が水の存在によって可逆的に変化することを意味する。
従って、ドライ路面からウェット路面へ変化すると、ゴム組成物が水によって湿潤されてゴム組成物の硬度が低下し、グリップ性能(ウェットグリップ性能)の低下を抑制でき、良好なグリップ性能(ウェットグリップ性能)が得られる。これは、ウェット路面ではスリップしやすいためにドライ路面にとって好適な硬度のままでは充分なグリップ性能が得られないが、硬度が低下することにより、路面との接触面積が増大し、グリップ性能(ウェットグリップ性能)の低下を抑制でき、良好なグリップ性能(ウェットグリップ性能)が得られるものと推測される。
一方、ウェット路面からドライ路面へ変化すると、水によって湿潤されたゴム組成物が乾燥されてゴム組成物の硬度が上昇し、グリップ性能(ドライグリップ性能)の低下を抑制でき、良好なグリップ性能(ドライグリップ性能)が得られる。これは、ドライ路面ではスリップしにくいためにウェット路面にとって好適な硬度のままでは充分なグリップ性能が得られないが、硬度が上昇することにより、ドライ路面にとって好適な硬度となり、グリップ性能(ドライグリップ性能)の低下を抑制でき、良好なグリップ性能(ドライグリップ性能)が得られるものと推測される。
このように、水によって可逆的に硬度が変化し、かつ、上記式(1)を満たすことにより、路面の水の状態(ウェット路面、ドライ路面)に応じた適切な硬度が得られるため、ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能の総合性能を改善できる。
更に、トレッドは、厚みを大きくすることでウェットグリップ性能が向上するが、上記タイヤは、上記ゴム組成物で作製したトレッドの厚みが所定の範囲内であることで、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能の総合性能が改善できる。
従って、上記タイヤは、トレッドを構成するゴム組成物が、水によって可逆的に硬度が変化し、かつ上記式(1)を満たし、更に、トレッドの厚みが所定の範囲内であることにより、ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能の総合性能を改善できる。
また、水によって可逆的に硬度変化するゴムを使用することで、路面状態に応じたグリップ性能を得ることが可能となるとともに、トレッドに使用できるゴムの硬さの範囲が広がるため、トレッド設計の自由度を向上させることができる。
なお、本明細書において、ゴム組成物の硬度は、加硫後のゴム組成物の硬度を意味する。
本明細書において、水湿潤時の硬度とは、水によって湿潤している状態のゴム組成物(加硫後)の硬度を意味し、具体的には、実施例に記載の方法により、水によって湿潤したゴム組成物(加硫後)の硬度を意味する。
また、トレッドを構成する上記ゴム組成物は、トレッドの厚みが4mm~8mmの場合、乾燥時の硬度60~75、水湿潤時の硬度55~70が好ましく、トレッド厚みが9mm~35mmの場合、乾燥時の硬度55~70、水湿潤時の硬度30~55が好ましい。
更には、上記併用により、加硫の際に炭素-炭素2重結合によりポリマーがゴム成分に架橋されてゴム成分に固定されるため、ゴム成分からの上記ポリマーの遊離を抑制でき、ゴム表面に上記ポリマーが析出することを抑制でき、グリップ性能(ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能)の低下も抑制できる。
炭素-炭素2重結合を持たない場合、ゴム組成物が水に触れた際に水中へ遊離してしまい、可逆的な硬度変化が得られない場合がある。
変性SBRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するSBRであればよく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端に上記官能基を有する末端変性SBR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性SBRや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性SBR等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、シス量(シス-1,4-結合ブタジエン単位量)、ビニル量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定でき、スチレン量は、1H-NMR測定によって測定できる。
窒素原子を含む構造、基としては、アミノ基(第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基)、アミド基、ニトリル基、ニトロ基等が挙げられる。なかでも、アミノ基が好ましく、第三級アミノ基がより好ましい。
ケイ素原子を含む構造、基としては、シリル基、アルコキシシリル基、シラノール基等が挙げられる。なかでも、シリル基が好ましく、アルコキシシリル基がより好ましい。
硫黄原子を含む構造、基としては、スルフィド基、硫酸基、硫酸エステル、スルホ基等が挙げられる。
リン原子を含む構造、基としては、リン酸基、リン酸エステル等が挙げられる。
ハロゲン原子を含む構造、基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲノ基等が挙げられる。
オキシアルキレン基AO中のアルキレン基Aの炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。上記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
効果がより好適に得られるという理由から、AOは、炭素数2~3のオキシアルキレン基(オキシエチレン基(EO)、オキシプロピレン基(PO))、炭素数2~3のオキシアルキレン基に分岐鎖R4(R4は、ヘテロ原子を有してもよい炭化水素基を表す。)が結合した基であることが好ましく、炭素数2~3のオキシアルキレン基、炭素数2~3のオキシアルキレン基に分岐鎖R4が結合した基を併用することがより好ましい。なお、分岐鎖R4は、酸素原子に隣接する炭素原子に結合していることが好ましい。
R4のヘテロ原子を有してもよい炭化水素基としては、下記式で表される基が好ましい。
上記ポリマー100mol%中の上記式(B)で表される基(構造単位)の含有量は、好ましくは2mol%以上、より好ましくは5mol%以上であり、好ましくは50mol%以下、より好ましくは40mol%以下、更に好ましくは30mol%以下、特に好ましくは20mol%以下である。
上記不溶分は、実施例に記載の方法により測定できる。
上記不溶分が多いほど、ゴムを水に湿潤した場合に、上記ポリマーが水に溶出する量を低減でき、可逆的な硬度変化をより好適に達成できる。
上記不溶分は、実施例に記載の方法により測定できる。
ジエン系ゴムはテトラヒドロフランに対し、溶解性を有するため、上記ポリマーのテトラヒドロフランに対する不溶分が多いほど、ジエン系ゴムに相容せずに水湿潤時の硬度低下効果を十分に得られる傾向がある。
ヘテロ原子を有するモノマーとしては、特に限定されるわけではないが、酸素原子を有するモノマーの例としては、ビニルエーテル、アルコキシスチレン、アリルグリシジルエーテル、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどのエーテル類、(メタ)アクリル酸およびそれらのエステル類、酸無水物、窒素原子を有するモノマーとしては、アクリロニトリル、N-ビニルカルバゾール、カルバミン酸、カプロラクタム、ケイ素原子を有するモノマーとしては、アルコキシシリルスチレン、アルコキシシリルビニル類などが挙げられる。
ヘテロ原子を有するモノマーに不飽和結合が含まれていない場合は、ヘテロ原子を有するモノマーと共に、炭素-炭素2重結合を有するモノマー(例えば、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンモノマー、スチレンなどのビニルポリマー)を重合すればよい。
重合方法は特に限定されず、公知の方法により行うことができる。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、シリカのN2SAは、ASTM D3037-81に準じてBET法で測定される値である。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販されているものとしては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより良好に得られる傾向がある点から、スルフィド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤が好ましく、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドなどのジスルフィド結合を有するジスルフィド系シランカップリング剤がより好ましい。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、カーボンブラックのN2SAは、JIS K6217-2:2001に準拠して測定される値である。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果が良好に得られるという理由から、プロセスオイルが好ましく、アロマ系プロセスオイルがより好ましい。
樹脂としては、タイヤ工業で汎用されているものであれば特に限定されず、ロジン系樹脂、クマロンインデン樹脂、α-メチルスチレン系樹脂、テルペン系樹脂、p-t-ブチルフェノールアセチレン樹脂、アクリル系樹脂、C5樹脂、C9樹脂等が挙げられる。市販品としては、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)、東亞合成(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックスなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、石油系ワックスが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、和光純薬工業(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより好適に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば ”Design Rim”、或いはETRTOであれば”Measuring Rim”を意味する。
「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES” に記載の最大値、ETRTOであれば”INFLATION PRESSURE”を意味するが、乗用車用タイヤの場合には180kPaとする。
「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES” に記載の最大値、ETRTOであれば”LOAD CAPACITY”に、夫々0.88を乗じた荷重を意味する。
接地形状は、正規リムに組み付け、正規内圧を加え、25℃で24時間静置した後、タイヤトレッド表面に墨を塗り、正規荷重を負荷して厚紙に押しつけ(キャンバー角は0°)、紙に転写させることで得られる。
タイヤを周方向に72°ずつ回転させて、5か所で転写させる。すなわち、5回、接地形状を得る。
5つの接地形状について、タイヤ軸方向の最大長さの平均値をL、軸方向に直交する方向の長さの平均値をWとする。
ランド比は、厚紙の転写された5つの接地形状(墨部分)の平均面積/(L×W)×100(%)で計算される。
ここで、長さや面積の平均値は、5つの値の単純平均である。
窒素置換されたオートクレーブ反応器に、ヘキサン、1,3-ブタジエン、スチレン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテルを投入した。次に、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン及びn-ブチルリチウムを、それぞれ、シクロヘキサン溶液及びn-ヘキサン溶液として投入し、重合を開始した。
撹拌速度を130rpm、反応器内温度を65℃とし、単量体を反応器内に連続的に供給しながら、1,3-ブタジエンとスチレンの共重合を3時間行った。次に、得られた重合体溶液を130rpmの撹拌速度で撹拌し、N-(3-ジメチルアミノプロピル)アクリルアミドを添加し、15分間反応を行った。重合反応終了後、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥して変性スチレンブタジエンゴム(SBR)を得た。
窒素置換したガラス製フラスコにジエチルエーテルを500mL添加し、内部温度を0℃以下に冷却した後、0.55mol/Lのトリイソブチルアルミニウム/ヘキサン溶液を10mL添加し、次いで0.55mol/Lのエタノール/ジエチルエーテル溶液を内部温度が10℃を超えないよう滴下した。次いで、エチレンオキサイドおよびアリルグリシジルエーテルをモル比で9/1、合計重量200gになるように混合した溶液を、内部温度が10℃を超えないように滴下した後、8時間撹拌させた。次いで、外部温度50℃/内部圧力1.0kPa以下で溶媒を減圧留去した後、残った残渣を水に懸濁させたものを濾過して、濾過残渣をTHFで洗浄した後、50℃/1kPa以下で恒量に達するまで減圧乾燥し、80%の収率で重合体1(赤外吸収スペクトルにて上記式(A)に由来するエーテル基および上記式(B)に由来する炭素-炭素のピークが確認された。重量平均分子量(Mw)は78万、ポリマー100mol%中の上記式(B)で表される基(構造単位)の含有量は8mol%であった)を得た。
エチレンオキサイドをトリグリシジルアミンに変更した点以外は、製造例2と同様に操作して、80%の収率でトリグリシジルアミンとアリルグリシジルエーテルの重合体2(製造例2と同様の分析を行いアミンの吸収と炭素-炭素2重結合由来のピークを確認し、重量平均分子量は98万、ポリマー100mol%中の上記式(B)で表される基(構造単位)の含有量は8mol%であった)を得た。
エチレンオキサイドをトリエトキシシリルグリシジルエーテルに変更した点以外は、製造例2と同様に操作して、80%の収率でトリエトキシシリルグリシジルエーテルとアリルグリシジルエーテルの重合体3(製造例2と同様の分析を行いシラノールの吸収と炭素-炭素2重結合由来のピークを確認し、重量平均分子量は64万、ポリマー100mol%中の上記式(B)で表される基(構造単位)の含有量は8mol%であった)を得た。
ガラス製フラスコにポリマーを1g計量し、水10mLを注ぎ、内部温度66℃で10分撹拌した後、内部温度25℃以下になるまで撹拌を続けた後、材質セルロース、メッシュサイズ5Cのろ紙により濾過し、濾紙に残った残渣を温度80℃、内圧0.1kPa以下で8時間乾燥し、重量を測定し、下記式により水不溶分を算出した。
水不溶分(質量%)=残渣の乾燥重量(g)/ポリマーの初期重量(g)x100
ガラス製フラスコにポリマーを1g計量し、テトラヒドロフラン10mLを注ぎ、内部温度66℃で10分撹拌した後、内部温度25℃以下になるまで撹拌を続けた後、材質セルロース、メッシュサイズ5Cのろ紙により濾過し、濾紙に残った残渣を温度80℃、内圧0.1kPa以下で8時間乾燥し、重量を測定し、下記式によりTHF不溶分を算出した。
THF不溶分(質量%)=残渣の乾燥重量(g)/ポリマーの初期重量(g)x100
SBR:上記方法で合成したSBR(変性S-SBR、スチレン量:25質量%、ビニル量:59モル%、非油展品)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス量:97質量%)
NR:TSR20
重合体1:上記方法で合成した重合体1(水不溶分:96質量%、THF不溶分:96質量%)
重合体2:上記方法で合成した重合体2(水不溶分:82質量%、THF不溶分:96質量%)
重合体3:上記方法で合成した重合体3(水不溶分:92質量%、THF不溶分:92質量%)
シリカ:ローデシア社製のZEOSIL 1165MP(N2SA:160m2/g)
カーボンブラック:東海カーボン(株)製のシースト9H(DBP吸油量115ml/100g、N2SA:110m2/g)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi75(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX-140(アロマ系プロセスオイル)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤:フレキシス(株)製のサントフレックス13(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン(6PPD))
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3-ジフェニルグアニジン)
表1に示す配合処方にしたがい、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を160℃の条件下で4分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で4分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で12分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
JIS K6253-3(2012)の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方-第3部:デュロメータ硬さ」に従って、タイプAデュロメータにより、加硫ゴム組成物(試験片)のショア硬度(Hs)を測定した(JIS-A硬度)。測定は25℃で行った。
加硫ゴム組成物(30mm×30mm×4mmの直方体形状)を20mlの水に25℃で6時間浸漬させることにより、水湿潤後の加硫ゴム組成物を得た。得られた水湿潤後の加硫ゴム組成物の硬度を上記の方法で測定し、水湿潤時の硬度とした。
水湿潤後の加硫ゴム組成物を80℃、1kPa以下の条件で恒量になるまで減圧乾燥し、乾燥後の加硫ゴム組成物を得た。得られた乾燥後の加硫ゴム組成物の温度を25℃に戻した後、乾燥後の加硫ゴム組成物の硬度を上記の方法で測定し、乾燥時の硬度とした。
乾燥後の加硫ゴム組成物(30mm×30mm×4mmの直方体形状)を20mlの水に25℃で6時間浸漬させることにより、再水湿潤後の加硫ゴム組成物を得た。得られた再水湿潤後の加硫ゴム組成物の硬度を上記の方法で測定し、再水湿潤時の硬度とした。
得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に成形して、他のタイヤ部材と張り合わせ170℃/12分でプレス加硫することで、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を作成した。実施例1~18、比較例1~2は、ブロックパターンのタイヤであり、実施例19~36、比較例3~5は、ラグパターンのタイヤである。
上記試験用タイヤを車両に装着し、予め路面に散水した1周2kmのテストコースを8周走行して、グリップ性能を比較例1又は5を100として、200点満点でテストドライバーが評価した。評価結果を表2、3に示す。
上記試験用タイヤを車両に装着し、乾燥路面の1周2kmのテストコースを8周走行して、グリップ性能を比較例1又は5を100として、200点満点でテストドライバーが評価した。評価結果を表2、3に示す。
Claims (11)
- 水によって可逆的に硬度が変化し、下記式(1)を満たすゴム組成物によって構成されたトレッドを有し、
前記ゴム組成物が、イソプレン系ゴム及び/又はブタジエンゴムを含有するゴム成分を含み、
前記ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が30質量%以下であり、
前記ゴム成分100質量%中のブタジエンゴムの含有量が40質量%以下であり、
前記トレッドの厚みが4mm以上であるタイヤ。
乾燥時の硬度-水湿潤時の硬度≧1 (1)
(式中、硬度は、ゴム組成物の25℃におけるJIS-A硬度である。) - 前記式(1)において、乾燥時の硬度-水湿潤時の硬度が2以上である請求項1記載のタイヤ。
- 前記式(1)において、乾燥時の硬度-水湿潤時の硬度が3以上である請求項1記載のタイヤ。
- 前記式(1)において、乾燥時の硬度-水湿潤時の硬度が4以上である請求項1記載のタイヤ。
- 前記ゴム組成物が、ジエン系ゴムと、炭素-炭素2重結合とヘテロ原子を有するポリマーとを含む請求項1~4のいずれかに記載のタイヤ。
- 前記ヘテロ原子が、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子、リン原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子である請求項5記載のタイヤ。
- 前記ポリマーが、水10mLに対し、1gを懸濁した場合の不溶分が5質量%以上である請求項5又は6に記載のタイヤ。
- 前記ポリマーが、テトラヒドロフラン10mLに対し、1gを懸濁した場合の不溶分が5質量%以上である請求項5~7のいずれかに記載のタイヤ。
- 前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して、前記ポリマーを5質量部以上含む請求項5~8のいずれかに記載のタイヤ。
- 前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量が95質量%以下である請求項1~9のいずれかに記載のタイヤ。
- 前記トレッドが、タイヤ周方向に連続する溝及び/又はタイヤ周方向に非連続の溝を備える請求項1~10のいずれかに記載のタイヤ。
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