JP2023028918A - ポリマー組成物及びタイヤ - Google Patents

ポリマー組成物及びタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2023028918A
JP2023028918A JP2021134900A JP2021134900A JP2023028918A JP 2023028918 A JP2023028918 A JP 2023028918A JP 2021134900 A JP2021134900 A JP 2021134900A JP 2021134900 A JP2021134900 A JP 2021134900A JP 2023028918 A JP2023028918 A JP 2023028918A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tan
wet
water
dry
oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021134900A
Other languages
English (en)
Inventor
大和 市本
Yamato Ichimoto
秀一朗 大野
Shuichiro Ono
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2021134900A priority Critical patent/JP2023028918A/ja
Publication of JP2023028918A publication Critical patent/JP2023028918A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/80Technologies aiming to reduce greenhouse gasses emissions common to all road transportation technologies
    • Y02T10/86Optimisation of rolling resistance, e.g. weight reduction 

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Tires In General (AREA)

Abstract

【課題】ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能の総合性能を向上するポリマー組成物、及びこれを用いたタイヤを提供する。【解決手段】親水性を有し、かつ酸又は塩基で変性された変性ポリマーと、金属酸化物、及び塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカからなる群より選択される少なくとも1種とを含み、25°における水との接触角が90°以下であり、水によって可逆的に複素弾性率(E*)及び損失正接(tanδ)が変化し、下記式(1)及び/又は下記式(2)を満たすポリマー組成物。水湿潤時のE*/乾燥時のE*≦0.90 (1)水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ≧1.10 (2)(式中、E*及びtanδは、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率及び損失正接である。)【選択図】なし

Description

本開示は、ポリマー組成物及びタイヤに関する。
タイヤのグリップ性能は、安全性に直結するという点で重要であり、グリップ性能(ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能)を改善するための種々の検討が行われ、改善が求められている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008-285524号公報
本開示は、前記課題を解決し、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能の総合性能を向上するポリマー組成物、及びこれを用いたタイヤを提供することを目的とする。
本開示は、親水性を有し、かつ酸又は塩基で変性された変性ポリマーと、
金属酸化物、及び塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカからなる群より選択される少なくとも1種とを含み、
25°における水との接触角が90°以下であり、
水によって可逆的に複素弾性率(E*)及び損失正接(tanδ)が変化し、下記式(1)及び/又は下記式(2)を満たすポリマー組成物に関する。
水湿潤時のE*/乾燥時のE*≦0.90 (1)
水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ≧1.10 (2)
(式中、E*及びtanδは、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率及び損失正接である。)
本開示によれば、親水性を有し、かつ酸又は塩基で変性された変性ポリマーと、金属酸化物、及び塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカからなる群より選択される少なくとも1種とを含み、25°における水との接触角が90°以下であり、前記式(1)及び/又は前記式(2)を満たすポリマー組成物であるので、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能の総合性能を向上できる。
空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図1のタイヤ2のトレッド4の近辺が示された拡大断面図である。
<ポリマー組成物>
本開示は、親水性を有し、かつ酸又は塩基で変性された変性ポリマーと、金属酸化物及び/又は塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカとを含み、25℃における水との接触角が90°以下であり、前記式(1)及び/又は前記式(2)を満たすポリマー組成物である。前記ポリマー組成物は、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能の総合性能が向上する。
前述の効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のようなメカニズムによるものと推察される。
局所的な雨天の影響により、ドライ路面とウェット路面が混在した状態で走行することも珍しくない昨今において、路面の状態をドライバーが瞬時に判断して対応することは難しい。その為、ドライ路面、ウェット路面によらず安定してグリップ性能を発揮することが望まれている。
前記ポリマー組成物は、親水性を有しかつ酸又は塩基で変性された変性ポリマーと、金属酸化物及び/又は塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカとを含んでいる。そのため、これらの材料の間でイオン結合が生じ、乾燥状態では結合しているので、良好な弾性率が発揮され、優れたドライ路面におけるグリップ性能を維持できると考えられる。一方、ウェット路面では、前記変性ポリマーが親水性であること、及び前記ポリマー組成物の水との接触角が90°以下という親水性であることにより、該組成物表面から該組成物内部へと水が取り込まれやすい状態となる。そして、該組成物内部に水が取り込まれることでウェット路面において前記イオン結合が乖離し、複素弾性率が10%以上低下する(式(1))、及び/又は、損失正接が10%以上上昇する(式(2))、ことにより、瞬時にウェット路面において追従性及び発熱性が得られるので、優れたウェット路面におけるグリップ性能も発揮されると考えられる。以上により、ドライ路面とウェット路面が混在した状態で走行する場合においても瞬時に該組成物の状態が変化し安定してグリップ性能が発揮されることから、前記ポリマー組成物は、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能の総合性能が向上すると推察される。
(ポリマー成分)
前記ポリマー組成物は、親水性を有し、かつ酸又は塩基で変性された変性ポリマーを含む。
前記ポリマー組成物において、ポリマー成分100質量%中の前記変性ポリマーの含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましく、70質量%以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましく、80質量%以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
前記変性ポリマーは親水性を持つものであるが、本明細書において、「親水性」とは、有機溶剤と比較して、水に対してより大きな親和性を有することを意味する。例えば、水(又は緩衝化水溶液)と、オクタノール、酢酸エチル、塩化メチレン又はメチルtert-ブチルエーテルのような水非混和性有機溶剤との間の分配係数を測定することにより、ポリマーの親水性を定量化できる。平衡化の後に、有機溶剤中よりも水中により高い濃度のポリマーが存在する場合、そのポリマーは親水性であると考えられる。変性ポリマーの「親水性」は、親水性の付与が可能な種々の方法を採用でき、例えば、後述の酸性官能基、塩基性官能基をポリマーに導入することにより、親水性を付与できる。
酸で変性された変性ポリマー(以下、「酸変性ポリマー」とも称する)における酸性官能基(酸性基)としては、カルボン酸基(カルボキシ基)、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。酸性官能基における水素原子は、金属原子等で置換されていてもよく、解離していてもよい。なかでも、カルボン酸基(-COOH)、スルホン酸基(-SOH)、これらの塩(カルボン酸イオン(-COO)及び/又はスルホン酸イオン(-SO )と、これらのカウンターカチオンとからなる塩)が望ましい。カウンターカチオンは塩の形成が可能なカチオンであれば特に限定されず、例えば、Na+、K+等が挙げられる。
塩基で変性された変性ポリマー(以下、「塩基変性ポリマー」とも称する)における塩基性官能基(塩基性基)としては、アミノ基、イミノ基(=NH)、アンモニウム塩基、塩基性窒素原子を有する複素環基等が例示される。
前記アミノ基は、第1級アミノ基(-NH)、第2級アミノ基(-NHR)、第3級アミノ基(-NRR’)のいずれでもよい。
前記R、R’としては、置換若しくは非置換の1価炭化水素基が挙げられ、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記R、R’は、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基のいずれでもよく、酸素などのヘテロ原子を有していてもよい。
前記R、R’の置換若しくは非置換の1価炭化水素基の炭素数は、1~10が好ましく、1~8がより好ましく、1~6が更に好ましい。
前記R、R’の置換若しくは非置換の1価炭化水素基としては、ヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の脂肪族、脂環族、芳香族の炭化水素基が挙げられ、具体的には、ヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基、アリール基、アラルキル基等が列挙される。
前記R、R’がヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状アルキル基の場合、炭素数は1~8が好ましく、1~4がより好ましく、1~2が更に好ましい。前記R、R’がヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の環状アルキル基の場合、炭素数は3~12が好ましい。前記R、R’がヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換のアリール基の場合、炭素数は6~10が好ましい。前記R、R’がヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換のアラルキル基の場合、炭素数は7~10が好ましい。
前記ヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、及びこれらのヘテロ原子を含む基等が挙げられる。前記ヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換の環状アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンチル基、1-エチルシクロペンチル基、1-エチルシクロヘキシル基等が挙げられる。前記ヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、及びこれらのヘテロ原子を含む基等が挙げられる。前記ヘテロ原子を含んでもよい置換若しくは非置換のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、及びこれらのヘテロ原子を含む基等が挙げられる。
前記アンモニウム塩基としては、第3級アンモニウム塩基、第4級アンモニウム塩基等が挙げられる。
前記塩基性窒素原子を有する複素環基としては、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、イミダゾール基、チオールを含むイミダゾール基、トリアゾール基、チアゾール基等の含窒素ヘテロ環基等が挙げられる。複素環基の場合、二重結合を有することで、ゴム中に分散しやすい。
前記塩基性官能基のなかでも、ピリジン基、イミダゾール基、チアゾール基、アミノ基(第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基)が好ましく、アミノ基がより好ましい。
前記変性ポリマーの骨格を構成するポリマーとしては、例えば、炭素-炭素二重結合を持つポリマー等が挙げられる。炭素-炭素二重結合を持つポリマーとしては、例えば、ジエン系ゴム;ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の熱硬化性樹脂;などのポリマー成分などが挙げられる。なかでも、より効果が得られる観点から、ジエン系ゴムが望ましい。
ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなども挙げられる。なかでも、より効果が得られる観点から、SBR、BR、イソプレン系ゴムが好ましく、SBR、BRがより好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。また、該スチレン含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、H-NMR測定により算出される。
SBRのビニル含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。上記ビニル含有量は、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、ビニル含有量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
前記ポリマー組成物が、前記変性ポリマーとして酸又は塩基で変性された変性SBRを含む場合、ポリマー成分100質量%中の該変性SBRの含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましく、70質量%以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましく、80質量%以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐摩耗性が向上するという理由から、シス含量が90質量%以上のハイシスBRが好ましい。
前記ポリマー組成物が、前記変性ポリマーとして酸又は塩基で変性された変性BRを含む場合、ポリマー成分100質量%中の該変性BRの含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましく、70質量%以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましく、80質量%以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリマー組成物が、前記変性ポリマーとして酸又は塩基で変性された変性イソプレン系ゴムを含む場合、ポリマー成分100質量%中の該変性イソプレン系ゴムの含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、20質量%以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下が更に好ましく、30質量%以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
より効果が得られる観点から、前述の変性ポリマーのなかでも、酸変性SBR、酸変性BRが好ましく、カルボン酸変性SBR、スルホン酸変性SBR、カルボン酸変性BR、スルホン酸変性BR、これらの塩がより好ましく、カルボン酸変性SBR、カルボン酸変性BR、これらの塩が更に好ましい。
前記ポリマー組成物は、前記変性ポリマー以外の他のポリマー成分を含んでもよい。他のポリマー成分としては、例えば、前記変性SBR、前記変性BR、前記変性イソプレン系ゴム以外のジエン系ゴムなど(非変性のSBR、BR、イソプレン系ゴム)が挙げられる。また、前記ポリマー組成物は、前記変性ポリマー以外の変性されたポリマーを含んでもよい。なかでも、非変性のイソプレン系ゴム、非変性のBRが好ましい。
前記ポリマー組成物が前記変性ポリマー以外の他のポリマー成分を含む場合、ポリマー成分100質量%中の該他のポリマー成分の含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、20質量%以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下が更に好ましく、30質量%以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。なお、該他のポリマー成分として、非変性のイソプレン系ゴムや非変性のBRを用いる場合、非変性のイソプレン系ゴムの含有量、非変性のBRの含有量も同様の範囲が好適である。
(金属酸化物)
前記ポリマー組成物は、効果がより良好に得られる観点から、金属酸化物を含むことが好ましい。
金属酸化物は、金属の単独酸化物、複合酸化物などが挙げられ、例えば、MxOy(Mは金属原子を表す。x及びyは、各々独立して、1~6の整数を表す。)で示される化合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、前記金属酸化物は、酸化亜鉛以外のものであることが好ましい。
前記ポリマー組成物において、金属酸化物の含有量は、ポリマー成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上、特に好ましくは2.2質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは4.0質量部以下、特に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
具体的な金属酸化物としては、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウムなどのアルカリ金属の酸化物;酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物;酸化スカンジウム、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化テクネチウム、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化パラジウム、酸化銀、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化オスミウム、酸化イリジウム、酸化白金、酸化金などの遷移金属の酸化物;酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化タリウム、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化ポロニウムなどの卑金属の酸化物;などが挙げられる。金属酸化物は、単独又は2種以上の混合物として使用することもできる。
なかでも、効果が好適に得られる観点から、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び酸化バリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び酸化バリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、酸化マグネシウムを含むことが更に好ましい。
前記ポリマー組成物において、前記金属酸化物の含有量(前記金属酸化物の総量)は、ポリマー成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上、特に好ましくは2.2質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは4.0質量部以下、特に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び酸化バリウムからなる群より選択される少なくとも1種の総量、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び酸化バリウムからなる群より選択される少なくとも1種の総量、並びに、酸化マグネシウムの含有量についても、それぞれ同様の範囲が好適である。
前記金属酸化物の見かけ比重は、好ましくは0.4g/ml未満、より好ましくは、0.3g/ml以下、更に好ましくは0.25g/ml以下であり、また、好ましくは0.05g/ml以上、より好ましくは0.15g/ml以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。また、酸化マグネシウムの見かけ比重も同様の範囲であることが好適である。
なお、上記金属酸化物の見かけ比重は、50mlメスシリンダーに見かけ容積で30ml量り取り、その質量から算出して求めた値である。
前記金属酸化物のd50は、好ましくは10μm未満、より好ましくは4.5μm以下、更に好ましくは1.5μm以下、特に好ましくは0.75μm未満であり、また、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.45μm以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。また、酸化マグネシウムのd50も同様の範囲であることが好適である。
なお、上記金属酸化物のd50は、レーザー回折散乱法によって得られた質量基準の粒度分布曲線における積算値50%の粒子径である。
前記金属酸化物の窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは100m/g以上、より好ましくは115m/g以上であり、また、好ましくは250m/g以下、より好ましくは225m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。また、酸化マグネシウムのNSAも同様の範囲であることが好適である。
なお、上記金属酸化物のNSAは、JIS Z8830:2013に準拠してBET法で測定される値である。
金属酸化物の市販品としては、共和化学工業(株)、富士フイルム和光純薬(株)、キシダ化学(株)、協和化学工業(株)、タテホ化学工業(株)、(株)JHE、日本化学工業(株)、赤穂化成(株)等の製品を使用できる。
(塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカ)
前記ポリマー組成物は、効果がより良好に得られる観点から、塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカを含むことが好ましい。
前記表面修飾シリカを構成するシリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは30m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは125m/g以上である。また、シリカのNSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
シリカとしては、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
前記表面修飾シリカを構成する塩基性分子は、塩基性を持つ分子であれば使用可能であり、例えば、塩基性官能基を有する化合物を好適に使用できる。該塩基性官能基としては、例えば、前述の塩基性官能基が挙げられる。塩基性官能基のなかでも、ピリジン基、イミダゾール基、チアゾール基、アミノ基(第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基)が好ましく、アミノ基がより好ましい。
塩基性化合物としてのアミノ基を有する化合物は、特に限定されないが、例えば、1分子内に、第1級~第3級のアミノ基とアルコキシシリル基とを有する化合物を好適に使用できる。アミノ基を有する化合物として、具体的には、下記式(I)、(II)で示される化合物が好適である。
(R11O)12 3-n-Si-R13-NR1415 (I)
(式中、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換若しくは非置換の1価炭化水素基を表す。R13は、置換若しくは非置換の2価炭化水素基を表す。nは、1~3を表す。)
(R21O)22 3-p-Si-R23-NR24-R25-Si-(R26O)27 3-q (II)
(式中、R21、R22、R24、R26及びR27は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換若しくは非置換の1価炭化水素基を表す。R23及びR25は、それぞれ独立に、置換若しくは非置換の2価炭化水素基を表す。p及びqは、それぞれ独立に、1~3を表す。)
式(I)、(II)のR11~R15、R21~R27の置換若しくは非置換の1価及び2価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。R11~R15の置換若しくは非置換の1価及び2価炭化水素基は、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基のいずれでもよく、酸素などのヘテロ原子を有していてもよい。
式(I)のR11、R12、R14及びR15、式(II)R21、R22、R24、R26及びR27の置換若しくは非置換の1価炭化水素基の炭素数は、1~10が好ましく、1~8がより好ましく、1~6が更に好ましい。R13の置換若しくは非置換の2価炭化水素基の炭素数は、1~10が好ましく、1~8がより好ましく、1~6が更に好ましい。
式(I)のR11、R12、R14及びR15、式(II)R21、R22、R24、R26及びR27の置換若しくは非置換の1価炭化水素基の具体例としては、前述のR、R’の置換若しくは非置換の1価炭化水素基と同様のものが挙げられる。
式(I)のR13、式(II)のR23及びR25の置換若しくは非置換の2価炭化水素基は、具体的には、ヘテロ原子を含んでもよい置換又は非置換の炭素数1~18のアルキレン基、炭素数5~18のシクロアルキレン基等が挙げられる。具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、1,2-プロピレン基などが挙げられる。
上記式(I)で示されるアミノ基を有する化合物の具体例としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-ブタンアミン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノブチル)-3-アミノブチルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリメトキシシランなどが例示される。
上記式(II)で表されるアミノ基を有する化合物の具体例としては、例えば、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)アミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)アミン、ビス(6-トリメトキシシリルヘキシル)アミンなどが例示される。
上記以外のアミノ基を有する化合物の具体例としては、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有芳香族系化合物;3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)アミンなどのアミノ基含有ジアルコキシシラン系化合物;N,N´-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N-(2-アミノエチル)-N´-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミンなどのエチレンジアミン系化合物;などが例示される。
前記塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカの製造方法(シリカ表面に塩基性分子を処理(被覆)する方法)は、塩基性分子と、シリカとを接触させることが可能な方法を使用できる。例えば、塩基性化合物、シリカを公知の方法で混合することにより調製できる。具体的には、塩基性分子及びシリカと、ポリマー成分等の他の成分とをオープンロール、バンバリーミキサーなどの混練装置を用いて混練する方法などにより、混練物中に前記塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカが生成させることで製造できる。また、塩基性化合物及びシリカのみを公知の方法で混合することにより製造することも可能である。
前記ポリマー組成物において、前記表面修飾シリカの含有量は、ポリマー成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上、特に好ましくは50質量部以上である。該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。前記表面修飾シリカの含有量は、ポリマー組成物中のポリマー成分100質量部に対する前記シリカと前記塩基性分子との合計配合量であり、シリカ表面に付着していない塩基性分子も含む量である。なお、塩基性分子がアミノ基を有する化合物の場合、該アミノ基を有する化合物を表面に有するシリカの含有量も同様の範囲が好適である。
前記ポリマー組成物において、前記塩基性分子の含有量は、該ポリマー組成物中に含まれる全シリカ100質量部に対して、2.0質量部以上が好ましく、4.0質量部以上がより好ましく、6.0質量部以上が更に好ましい。また、上記含有量は、30.0質量部以下が好ましく、20.0質量部以下がより好ましく、15.0質量部以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
前記ポリマー組成物は、前記塩基性分子以外に、更にシランカップリング剤を含んでもよい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販されているものとしては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、前記塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカのシリカ量、塩基性分子量、別途配合するシリカ量などを考慮し、適宜選択すればよい。
(他のフィラー)
前記ポリマー組成物は、フィラー(充填材)として、前記金属酸化物、前記表面修飾シリカ以外の他のフィラーを含んでもよい。他のフィラーとしては、未処理シリカ(表面に塩基性分子を有しないシリカ)、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー;難分散性フィラー等のゴム分野で公知の材料を使用できる。なかでも、カーボンブラックが好ましい。
使用可能なカーボンブラックとしては、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。市販品としては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましく、100m/g以上が更に好ましい。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
前記ポリマー組成物において、カーボンブラックの含有量は、ポリマー成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上である。上限は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(可塑剤)
前記ポリマー組成物は、可塑剤を含むことが好ましい。ここで、可塑剤とは、ポリマー成分に可塑性を付与する材料であり、例えば、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)、樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)等が挙げられる。
ポリマー組成物において、可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ポリマー成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ポリマー組成物に使用可能な液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、液状ポリマー(液状樹脂、液状ジエン系ポリマー、液状ファルネセン系ポリマーなど)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリマー組成物において、液体可塑剤の含有量は、ポリマー成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、液体可塑剤の含有量には、油展ゴムに含まれるオイルの量、硫黄に含まれるオイルの量も含まれる。また、オイルの含有量も同様の範囲が好適である。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましい。
液状樹脂としては、テルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、これらの水素添加物も使用可能である。
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
ポリマー組成物に使用可能な上記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂が好ましい。
ポリマー組成物において、上記樹脂の含有量は、ポリマー成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記樹脂の軟化点は、50℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、145℃以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
上記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
上記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
上記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
上記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
上記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
上記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。なかでも、DCPD樹脂、水添DCPD樹脂が好ましい。
上記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり。例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂、テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、テルペン化合物としては、α-ピネン、β-ピネンなど、フェノール系化合物としては、フェノール、ビスフェノールAなど、芳香族化合物としては、スチレン系化合物(スチレン、α-メチルスチレンなど)が挙げられる。
上記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、RutgersChemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
(他の成分)
前記ポリマー組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
前記ポリマー組成物において、老化防止剤の含有量は、ポリマー成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。
前記ポリマー組成物は、ステアリン酸を含んでもよい。前記ポリマー組成物において、ステアリン酸の含有量は、ポリマー成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部以上、より好ましくは0.5~5質量部である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
前記ポリマー組成物は、酸化亜鉛を含んでもよい。前記ポリマー組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ポリマー成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
前記ポリマー組成物には、ワックスを配合してもよい。前記ポリマー組成物において、ワックスの含有量は、ポリマー成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
前記ポリマー組成物には、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な前記性能バランスを付与するという点で、硫黄を配合してもよい。
前記ポリマー組成物において、硫黄の含有量は、ポリマー成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上である。該含有量は、好ましくは6.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリマー組成物は、加硫促進剤を含んでもよい。
前記ポリマー組成物において、加硫促進剤の含有量は、ポリマー成分100質量部に対して、通常、0.3~10質量部、好ましくは0.5~7質量部である。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
加硫促進剤のなかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。スルフェンアミド系加硫促進剤の含有量は特に限定されないが、ポリマー成分100質量部に対して、好ましくは0.3~4.0質量部、より好ましくは0.5~2.5質量部、更に好ましくは0.7~1.6質量部である。グアニジン系加硫促進剤の含有量は特に限定されないが、ポリマー成分100質量部に対して、好ましくは0.5~5.0質量部、より好ましくは0.8~3.0質量部、更に好ましくは1.0~2.3質量部である。
前記ポリマー組成物には、上記成分以外にも、離型剤や顔料等の応用分野に従って、それらの使用に使われる通常の添加物を適宜配合してもよい。
前記ポリマー組成物は、より効果が得られる観点から、ジエン系ゴムなどのゴム成分をポリマー成分として含むゴム組成物が望ましい。
前記ポリマー組成物は、25℃における水との接触角が90°以下である。該水との接触角は好ましくは80°以下、より好ましくは75°以下、更に好ましくは70°以下、特に好ましくは65°以下である。下限は特に限定されず、値は小さいほど望ましい。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。ここで、水との接触角とは、ポリマー組成物の表面に水を滴下した際において、水の液滴の接線とポリマー組成物の表面とのなす角度であり、例えば、実施例に記載の方法で測定できる。
なお、ポリマー組成物の「25°における水との接触角が90°以下」は、例えば、親水性を有し、かつ酸又は塩基で変性された変性ポリマーなどの親水性物質を用いること、などにより実現できる。
前記ポリマー組成物は、水によって可逆的に複素弾性率(E*)及び損失正接(tanδ)が変化するもので、前記式(1)及び/又は前記式(2)を満たす。
このように、本開示は、水との接触角が90°以上、上記式(1)及び/又は(2)のパラメータを満たすポリマー組成物の構成にすることにより、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能の総合性能の改善という課題(目的)を解決するものである。すなわち、当該パラメータは課題(目的)を規定したものではなく、本願の課題は、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能及び低燃費性の総合性能の改善であり、そのための解決手段として、水との接触角が90°以上、上記式(1)及び/又は(2)のパラメータを満たす構成にしたものである。
なお、本明細書において、ポリマー組成物のE*、tanδは、ポリマー組成物が架橋性である場合、架橋後のポリマー組成物のE*、tanδを意味し、例えば、ジエン系ゴム、硫黄等を含む架橋性のゴム組成物の場合、加硫後(架橋後)のゴム組成物のE*、tanδを意味する。また、E*、tanδは、ポリマー組成物(架橋後のポリマー組成物の場合は架橋後のポリマー組成物)に対し、粘弾性試験を実施することで得られる値である。
本明細書において、水によって可逆的に複素弾性率(E*)、損失正接(tanδ)が変化とは、水の存在によって、ポリマー組成物(加硫後)のE*、tanδが可逆的に大きくなったり、小さくなったりすることを意味する。なお、例えば、乾燥時→水湿潤時→乾燥時と変化した場合に、E*、tanδが可逆的に変化すればよく、先の乾燥時と、後の乾燥時において、同一のE*、tanδを有さなくてもよいし、先の乾燥時と、後の乾燥時において、同一のE*、tanδを有していてもよい。
本明細書において、乾燥時のE*、tanδとは、乾燥している状態のポリマー組成物のE*、tanδを意味し、具体的には、実施例に記載の方法により乾燥したポリマー組成物のE*、tanδを意味する。
本明細書において、水湿潤時のE*、tanδとは、水によって湿潤している状態のポリマー組成物のE*、tanδを意味し、具体的には、実施例に記載の方法により、水によって湿潤したポリマー組成物のE*、tanδを意味する。
本明細書において、ポリマー組成物のE*、tanδは、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定したE*、tanδである。
前記ポリマー組成物は、下記式(1)を満たすことが望ましい。
水湿潤時のE*/乾燥時のE*≦0.90 (1)
(式中、E*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率である。)
水湿潤時のE*/乾燥時のE*は、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.75以下、更に好ましくは0.70以下、特に好ましくは0.65以下である。水湿潤時のE*/乾燥時のE*の下限は特に限定されないが、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.30以上、特に好ましくは0.35以上である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
前記ポリマー組成物は、乾燥時のE*が好ましくは4.0MPa以上、より好ましくは4.5MPa以上、更に好ましくは5.0MPa以上、特に好ましくは5.5MPa以上、最も好ましくは6.0MPa以上である。乾燥時のE*の上限は特に限定されないが、好ましくは20.0MPa以下、より好ましくは15.0MPa以下、更に好ましくは13.0MPa以下、特に好ましくは12.0MPa以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
前記ポリマー組成物は、下記式(2)を満たすことが望ましい。
水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ≧1.10 (2)
(式中、tanδは、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した損失正接である。)
水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδは、好ましくは1.25以上、より好ましくは1.30以上、更に好ましくは1.35以上、特に好ましくは1.40以上である。水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδの上限は特に限定されないが、好ましくは1.80以下、より好ましくは1.70以下、更に好ましくは1.65以下、特に好ましくは1.60以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
前記ポリマー組成物は、乾燥時のtanδが好ましくは2.2以上、より好ましくは2.5以上、更に好ましくは2.8以上、特に好ましくは3.0以上である。乾燥時のtanδの上限は特に限定されないが、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.5以下、更に好ましくは5.2以下、特に好ましくは5.0以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
なお、ポリマー組成物の上記式(1)及び/又は(2)で表される水による可逆的なE*変化、tanδ変化は、例えば、親水性を有し、かつ酸又は塩基で変性された変性ポリマーと、金属酸化物及び/又は塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカとを配合することにより達成できる。具体的には、例えば、カルボン酸変性SBRなどの変性ポリマーと、金属酸化物及び/又は塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカとを併用すると、カルボン酸由来のアニオンと、金属酸化物や塩基性分子由来のカチオンとにより、前記変性ポリマーと、金属酸化物及び/又は表面修飾シリカとの間でイオン結合が形成され、そして、その間において、水の添加によるイオン結合の開裂、水の乾燥によるイオン結合の再結合が生じる結果、水湿潤時にはE*低下及び/又はtanδ上昇、乾燥時にはE*上昇及び/又はtanδ低下が起きることにより実現できると考えられる。
乾燥時のE*は、ポリマー組成物に配合される薬品(特に、ポリマー成分、充填材、オイルなどの軟化剤)の種類や量によって調整することが可能であり、例えば、軟化剤の量を減量したり、充填材の量を増量することにより、乾燥時のE*は大きくなる傾向がある。
乾燥時のtanδは、ポリマー組成物に配合される薬品(特に、ポリマー成分、充填材、軟化剤、樹脂、硫黄、加硫促進剤、シランカップリング剤)の種類や量によって調整することが可能であり、例えば、ポリマー成分と相溶性の低い軟化剤(例えば、樹脂)を使用したり、非変性ポリマーを使用したり、充填材量を増量したり、可塑剤としてのオイルを増やしたり、硫黄を減らしたり、加硫促進剤を減らしたり、シランカップリング剤を減らしたりすることにより、乾燥時のtanδは大きくなる傾向がある。
また、乾燥時のE*、tanδについて、例えば、前記変性ポリマーの酸性官能基量や塩基性官能基量、前記金属酸化物量、前記表面修飾シリカの塩基性分子被覆量(言い換えれば、塩基性官能基被覆量)により、乾燥時のE*、tanδを調整することが可能である。具体的には、前記変性ポリマーの酸性官能基量や塩基性官能基量、前記金属酸化物量、前記シリカの塩基性分子被覆量を増加させると、乾燥時のE*が大きくなる傾向、乾燥時のtanδが小さくなる傾向、がある。
水湿潤時のE*、tanδは、例えば、前記変性ポリマーと、金属酸化物及び/又は表面修飾シリカとの間の一部又は全部がイオン結合により架橋されたイオン結合により架橋されたポリマー組成物とすることで、乾燥時に比べて、水湿潤時のE*を低下させること及び/又はtanδを上昇させることができ、乾燥時、水湿潤時のE*、tanδの調整が可能となる。具体的には、前記変性ポリマーと、前記金属酸化物及び/又は前記表面修飾シリカとを併用することで、イオン結合で架橋されたポリマー組成物となり、乾燥時に比べて、水湿潤時のE*を低下させること及び/又はtanδを上昇させることができる。また、水湿潤時のE*、tanδは、ポリマー組成物に配合される薬品の種類や量によって調整することが可能であり、例えば、前述の乾燥時のE*、乾燥時のtanδの調整方法と同様の手法を用いることで、水湿潤時のE*、tanδにおいても同様の傾向を得ることができる。
そして、具体的には、乾燥時のE*、tanδを所望の範囲内に調整した上で、親水性を有しかつ酸又は塩基で変性された変性ポリマーと、金属酸化物及び/又は塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカとを併用することにより、ポリマー組成物において、水との接触角が90°以下、上記式(1)及び/又は(2)で表される水による可逆的なE*変化及び/又はtanδ変化を実現できる。
前記ポリマー組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、必要に応じて架橋する方法などにより製造できる。なお、混練条件としては、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。
上記ポリマー組成物を用いるタイヤ部材としては特に限定されないが、トレッド(キャップトレッド)に好適に使用できる。
以下、適宜図面が参照しつつ、好ましい実施形態の一例に基づいて本開示を詳細に説明するが、本例に制限されるものではない。
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のウィング8、一対のクリンチ10、一対のビード12、カーカス14、ベルト16、バンド18、インナーライナー20及び一対のチェーファー22を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面24を形成する。トレッド4には、溝26が刻まれている。この溝26により、トレッドパターンが形成されている。トレッド4は、ベース層28とキャップ層30とを有している。キャップ層30は、ベース層28の半径方向外側に位置している。キャップ層30は、ベース層28に積層されている。
なお、図1では、キャップ層30及びベース層28からなる2層構造トレッド4の例が示されているが、単層構造トレッド4、3層以上の構造を有するトレッド4でもよい。
トレッド4を構成するゴム層(架橋後の前記ポリマー組成物の層)の少なくとも1つは、親水性を有しかつ酸又は塩基で変性された変性ポリマーと、金属酸化物及び/又は塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカとを含み、25℃における水との接触角が90°以下であり、前記式(1)及び/又は前記式(2)を満たすポリマー組成物からなる。単層構造トレッドの場合は単層構造トレッド、2層構造トレッドの場合は2層構造トレッドのキャップ層、3層以上の構造を有するトレッドの場合はキャップ層(最表面層)が該ポリマー組成物で構成されることが望ましい。
図2は、図1のタイヤ2のトレッド4の近辺が示された拡大断面図である。図2において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。
図2において、符号Pは、トレッド面24上の点である。点Pは、最も軸方向内側に位置する溝26よりも外側に位置する。両矢印Tは、点Pにおけるトレッド4の厚みである。厚みTは、点Pにおけるキャップ層30及びベース層28の厚みの合計である。この厚みTは、点Pにおけるトレッド面24の法線に沿って計測される。なお、図1、2では、キャップ層30及びベース層28からなる2層構造トレッド4の例が示されているが、単層構造トレッド4の場合、トレッドの厚みTはその点Pにおける単層構造トレッドの厚み、3層以上の構造を有するトレッドの場合、トレッドの厚みTはその点Pにおける3層以上の層の厚みの合計であり、その場合の点Pにおける厚みTもその点Pにおけるトレッド面24の法線に沿って計測される。
そして、トレッド4の最大厚みTは、好ましくは10.0mm、より好ましくは9.0mm以下、更に好ましくは8.0mm以下、特に好ましくは7.5mm以下である。下限は、5.5mm以上が好ましく、6.0mm以上がより好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。ここで、トレッド4の最大厚みTは、トレッド面24上の各点における各トレッドの厚み(図2では、キャップ層30及びベース層28の厚みの合計)のうち、最大寸法である。
図1のタイヤ2は、効果がより良好に得られる観点から、トレッド4の最大厚みT(mm)と、前述の水湿潤時のE*/乾燥時のE*とが、下記式を満たすことが望ましい。
T/(水湿潤時のE*/乾燥時のE*)>8.5
T/(水湿潤時のE*/乾燥時のE*)は、好ましくは10.0以上、より好ましくは10.5以上、更に好ましくは11.0以上、特に好ましくは11.5以上である。上限は、好ましくは22.0以下、より好ましくは20.0以下、更に好ましくは18.0以下、特に好ましくは17.0以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
このような効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のようなメカニズムによるものと推察される。
トレッド4の最大厚みTが小さくなるほど、トレッド部の剛性が高くなり、ドライ路面において、反力が発生しやすくなるが、同時に剛性が高くなることにより、ウェット路面でのトレッド部の追従性が低下すると考えられる。その為、Tを小さくするに伴って、水湿潤時のE*/乾燥時のE*を小さくし、水に濡れた際の追従性を高くすることで、ドライ路面及びウェット路面の双方で良好なグリップ性能が得やすくなると考えられる。従って、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能の総合性能がより向上すると推察される。
図1のタイヤ2は、効果がより良好に得られる観点から、トレッド4の最大厚みT(mm)と、前述の水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδとが、下記式を満たすことが望ましい。
T×(水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ)>8.5
T×(水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ)は、好ましくは9.5以上、より好ましくは10.0以上、更に好ましくは10.5以上、特に好ましくは11.0以上である。上限は、好ましくは21.0以下、より好ましくは19.0以下、更に好ましくは17.0以下、特に好ましくは16.0以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
このような効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のようなメカニズムによるものと推察される。
トレッド4の最大厚みTが小さくなるほど、トレッド部の剛性が高くなり、ドライ路面において、反力が発生しやすくなるが、同時に剛性が高くなることにより、ウェット路面でのトレッド部の追従性が低下すると考えられる。その為、Tを小さくするに伴って、水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδを大きくし、水に濡れた際の追従性を高くすることで、ドライ路面及びウェット路面の双方で良好なグリップ性能が得やすくなると考えられる。従って、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能の総合性能がより向上すると推察される。
図1のタイヤ2において、それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6の半径方向外側部分は、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6の半径方向内側部分は、クリンチ10と接合されている。
それぞれのウィング8は、トレッド4とサイドウォール6との間に位置している。ウィング8は、トレッド4及びサイドウォール6のそれぞれと接合している。
それぞれのクリンチ10は、サイドウォール6の半径方向略内側に位置している。クリンチ10は、軸方向において、ビード12及びカーカス14よりも外側に位置している。
それぞれのビード12は、クリンチ10の軸方向内側に位置している。ビード12は、コア32と、このコア32から半径方向外向きに延びるエイペックス34とを備えている。コア32はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーなどを含む。エイペックス34は、半径方向外向きに先細りである。
カーカス14は、カーカスプライ36を備えている。このタイヤ2では、カーカス14は1枚のカーカスプライ36からなるが、2枚以上で構成されてもよい。
このタイヤ2では、カーカスプライ36は、両側のビード12の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ36は、それぞれのコア32の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ36には、主部36aと一対の折り返し部36bとが形成されている。すなわち、カーカスプライ36は、主部36aと一対の折り返し部36bとを備えている。
図示されていないが、カーカスプライ36は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなるもの等が挙げられる。このカーカス14はラジアル構造を有することが好ましい。
ベルト16は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト16は、カーカス14と積層されている。ベルト16は、内側層38及び外側層40からなる。
図示されていないが、内側層38及び外側層40のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなるもの等が挙げられる。それぞれのコードは、例えば、赤道面に対して傾斜している。内側層38のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層40のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。
バンド18は、ベルト16の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド18はベルト16の幅と同等の幅を有している。このバンド18が、このベルト16の幅よりも大きな幅を有していてもよい。
図示されていないが、バンド18は、コードとトッピングゴムとからなるもの等が挙げられる。コードは、例えば、螺旋状に巻かれている。
ベルト16及びバンド18は、補強層を構成している。ベルト16のみから、補強層が構成されてもよい。
インナーライナー20は、カーカス14の内側に位置している。インナーライナー20は、カーカス14の内面に接合されている。
それぞれのチェーファー22は、ビード12の近傍に位置している。この実施形態では、チェーファー22は布とこの布に含浸したゴムとからなるもの等が挙げられる。このチェーファー22が、クリンチ10と一体とされてもよい。
このタイヤ2では、トレッド4は溝26として主溝42を備えている。図1に示されているように、このトレッド4には、複数本、詳細には、3本の主溝42が刻まれている。これらの主溝42は、軸方向に間隔をあけて配置されている。このトレッド4には、3本の主溝42が刻まれることにより、周方向に延在する4本のリブ44が形成されている。つまり、リブ44とリブ44との間が主溝42である。
それぞれの主溝42は、周方向に延在している。主溝42は、周方向に途切れることなく連続している。
前記ポリマー組成物で構成されたトレッド4を有するタイヤ2は、トレッド4のネガティブ率(S)が50%以下であることが好ましい。
トレッド4のネガティブ率(S)は、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下、更に好ましくは30%以下である。該ネガティブ率は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
このような効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のようなメカニズムによるものと推察される。
既述のとおり、前記式(1)及び/又は(2)を満たすことで、水湿潤時に、路面との接触面積の増加及び/又はエネルギーロスの増加により湿潤路面での摩擦(μ)が向上し、ウェットグリップ性能が向上し、乾燥時には、再度イオン結合が起こり、複素弾性率E*が戻ることで、乾燥路面走行時の良好な摩擦(μ)や低燃費性を維持できると推察されるが、トレッドのネガティブ率が低いことで、湿潤路面での摩擦(μ)が更に向上し、ウェットグリップ性能が更に向上すると考えられる。従って、前記ポリマー組成物で構成されたトレッドを有するタイヤは、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能の総合性能がより向上すると推察される。
前記ポリマー組成物で構成されたトレッド4を有するタイヤ2において、該ポリマー組成物の水湿潤時のE*及び乾燥時のE*、トレッド4のネガティブ率S(%)は、下記式を満たすことが好ましい。
(水湿潤時のE*/乾燥時のE*)×S≦28.0
(水湿潤時のE*/乾燥時のE*)×Sは、好ましくは25.0(%)以下、より好ましくは22.0(%)以下、更に好ましくは20.5(%)以下、特に好ましくは19.5(%)以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは5.0(%)以上、より好ましくは10.0(%)以上、更に好ましくは12.0(%)以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
このような効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のようなメカニズムによるものと推察される。
既述のとおり、前記式(1)を満たすことで、水湿潤時に、路面との接触面積の増加の増加により湿潤路面での摩擦(μ)が向上してウェットグリップ性能が向上し、乾燥時に、再度イオン結合が起こり、E*が戻ることで、乾燥路面走行時の良好な摩擦(μ)や低燃費性を維持できると推察されるが、トレッドのネガティブ率が低いことで、湿潤路面での摩擦(μ)が更に向上し、ウェットグリップ性能が更に向上すると考えられる。従って、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能の総合性能がより向上すると推察される。
前記ポリマー組成物で構成されたトレッド4を有するタイヤ2において、該ポリマー組成物の水湿潤時のtanδ及び乾燥時のtanδ、トレッド4のネガティブ率S(%)は、下記式を満たすことが好ましい。
(水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ)/S≧0.035
(水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ)/Sは、好ましくは0.040(1/%)以上、より好ましくは0.043(1/%)以上、更に好ましくは0.045(1/%)以上、特に好ましくは0.047(1/%)以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは0.100(1/%)以下、より好ましくは0.080(1/%)以下、更に好ましくは0.070(1/%)以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
このような効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のようなメカニズムによるものと推察される。
既述のとおり、前記式(2)を満たすことで、水湿潤時に、エネルギーロスの増加により湿潤路面での摩擦(μ)が向上してウェットグリップ性能が向上し、乾燥時に、再度イオン結合が起こり、tanδが戻ることで、乾燥路面走行時の良好な摩擦(μ)や低燃費性を維持できると推察されるが、トレッドのネガティブ率が低いことで、湿潤路面での摩擦(μ)が更に向上し、ウェットグリップ性能が更に向上すると考えられる。従って、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能及び低燃費性の総合性能がより向上すると推察される。
なお、ネガティブ率(トレッド部の接地面内におけるネガティブ率)は、接地面の全面積に対する、接地面内の全溝面積の割合であり、以下の方法で測定される。
本明細書において、上記タイヤが空気入りタイヤの場合、ネガティブ率は、正規リム、正規内圧、正規荷重条件下における接地形状から計算される。非空気入りタイヤの場合、正規内圧を必要とせずに、同様に測定できる。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば ”Design Rim”、或いはETRTOであれば”Measuring Rim”を意味する。
「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば”INFLATION PRESSURE”を意味するが、乗用車用タイヤの場合には180kPaとする。
「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば”LOAD CAPACITY”に、夫々0.88を乗じた荷重を意味する。
接地形状は、正規リムに組み付け、正規内圧を加え、25℃で24時間静置した後、タイヤトレッド表面に墨を塗り、正規荷重を負荷して厚紙に押しつけ(キャンバー角は0°)、紙に転写させることで得られる。
タイヤを周方向に72°ずつ回転させて、5か所で転写させる。すなわち、5回、接地形状を得る。
5つの接地形状について、タイヤ軸方向の最大長さの平均値をL、軸方向に直交する方向の長さの平均値をWとする。
ネガティブ率(%)は、[1-{厚紙の転写された5つの接地形状(墨部分)の平均面積/(L×W)}]×100(%)で計算される。
ここで、長さや面積の平均値は、5つの値の単純平均である。
このタイヤ2の製造では、複数のゴム部材がアッセンブリーされて、ローカバー(未加硫タイヤ2)が得られる。このローカバーが、モールドに投入される。ローカバーの外面は、モールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのポリマー組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ2が得られる。そのキャビティ面に凸凹模様を有するモールドが用いられることにより、タイヤ2に凹凸模様が形成される。
タイヤ2としては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられる。なかでも、空気入りタイヤが好ましい。例えば、夏用タイヤ(サマータイヤ)、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤなど)として好適に使用できる。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。
実施例に基づいて、本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらのみに限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
カルボン酸ナトリウム塩変性SBR:下記製造例1により合成(カルボン酸基の含有量5質量%、スチレン含量23質量%、ブタジエン含有量72質量%)
SBR:ZEON(株)製のNipol 1502(E-SBR)
カルボン酸ナトリウム塩変性BR:下記製造例2により合成(カルボン酸基の含有量5質量%、ブタジエン含有量95質量%)
BR:JSR社製のBR730(ハイシスポリブタジエン(シス含量96質量%)
NR:TSR20
カーボンブラック:三菱ケミカル(株)製のダイアブラックI(N220、NSA114m/g、DBP114ml/100g)
シリカ:エボニック・デグサ社製のウルトラシルVN3(NSA175m/g)
シランカップリング剤:EVONIK社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
酸化マグネシウム1:協和化学工業(株)製のキョーワマグ150(見かけ比重0.36g/ml、d50:4.46μm、NSA:145m/g)
酸化マグネシウム2:協和化学工業(株)製のキョーワマグ150MF(見かけ比重0.23g/ml、d50:0.72μm、NSA:119m/g)
酸化カルシウム:富士フイルム和光純薬(株)製の酸化カルシウム
塩基性分子1:信越化学製のKBE-903(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)
塩基性分子2:信越化学製のKBM-903 (3-アミノプロピルトリメトキシシラン)
塩基性分子3:信越化学製のKBM-603 (N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスNH-70S(アロマ系プロセスオイル)
及びスチレンの共重合体、軟化点:85℃)
樹脂:エクソンモビール社製のPR120(水添DCPD樹脂、軟化点120℃)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
老化防止剤2:大内新興化学工業(株)製のノクラックRD(ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン))
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄(5%オイル含有)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(ジフェニルグアニジン)
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(TBBS))
<製造例1:カルボン酸ナトリウム塩変性SBRの合成>
(ラテックスの調製)
攪拌機付き耐圧反応器に蒸留水2000g、乳化剤(1)45g、乳化剤(2)1.5g、電解質8g、スチレン250g、メタクリル酸ナトリウム50g、ブタジエン700g及び分子量調整剤2gを仕込んだ。反応器温度を5℃とし、ラジカル開始剤1g及びSFS1.5gを溶解した水溶液と、EDTA0.7g及び触媒0.5gを溶解した水溶液とを反応器に添加して重合を開始した。重合開始から5時間後、重合停止剤2gを添加して反応を停止させ、ラテックスを得た。
(ゴムの調製)
得られたラテックスから、水蒸気蒸留により、未反応単量体を除去した。その後、該ラテックスをアルコールに添加し、飽和塩化ナトリウム水溶液又はギ酸でpH3~5になるように調整しながら、凝固させ、クラム状の重合体を得た。該重合体を40℃の減圧乾燥器で乾燥し、固形ゴム(乳化重合ゴム)を得た。
<製造例2:カルボン酸ナトリウム塩変性BRの合成>
(ラテックスの調製)
攪拌機付き耐圧反応器に蒸留水2000g、乳化剤(1)45g、乳化剤(2)1.5g、電解質8g、メタクリル酸ナトリウム50g、ブタジエン950g及び分子量調整剤2gを仕込んだ。反応器温度を5℃とし、ラジカル開始剤1g及びSFS1.5gを溶解した水溶液と、EDTA0.7g及び触媒0.5gを溶解した水溶液とを反応器に添加して重合を開始した。重合開始から5時間後、重合停止剤2gを添加して反応を停止させ、ラテックスを得た。
(ゴムの調製)
得られたラテックスから、水蒸気蒸留により、未反応単量体を除去した。その後、該ラテックスをアルコールに添加し、飽和塩化ナトリウム水溶液又はギ酸でpH3~5になるように調整しながら、凝固させ、クラム状の重合体を得た。該重合体を40℃の減圧乾燥器で乾燥し、固形ゴム(乳化重合ゴム)を得た。
なお、前記製造例1、2の使用材料は、以下のとおりである。
乳化剤(1):ハリマ化成(株)製のロジン酸石鹸
乳化剤(2):富士フイルム和光純薬(株)製の脂肪酸石鹸
電解質:富士フイルム和光純薬(株)製のリン酸ナトリウム
スチレン:富士フイルム和光純薬(株)製のスチレン
メタクリル酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬(株)製のメタクリル酸ナトリウム
ブタジエン:高千穂化学工業(株)製の1,3-ブタジエン
分子量調整剤:富士フイルム和光純薬(株)製のtert-ドデシルメルカプタン
ラジカル開始剤:日油(株)製のパラメンタンヒドロペルオキシド
SFS:富士フイルム和光純薬(株)製のソディウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート
EDTA:富士フイルム和光純薬(株)製のエチレンジアミン四酢酸ナトリウム
触媒:富士フイルム和光純薬(株)製の硫酸第二鉄
重合停止剤:富士フイルム和光純薬(株)製のN,N’-ジメチルジチオカルバメート
アルコール:関東化学(株)製のメタノール、エタノール
ギ酸:関東化学(株)製のギ酸
塩化ナトリウム:富士フイルム和光純薬(株)製の塩化ナトリウム
(実施例及び比較例)
各表に示す配合処方にしたがい、(株)神戸製鋼所製の16Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を160℃の条件下で4分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で4分間練り込み、未加硫ポリマー組成物を得た。得られた未加硫ポリマー組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成した後、170℃で12分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
使用した材料(カルボン酸変性SBR、カルボン酸変性BR、表面修飾シリカ)、作製された試験用タイヤについて、下記により物性測定、評価を行った。結果を前記各種薬品、各表に示した。なお、表1の基準比較例は比較例1-1、表2の基準比較例は比較例2-1とした。
<塩基性分子の反応率>
以下の方法により、各表面修飾シリカの未反応の塩基性分子を水に溶出させ、滴定により塩基性分子の反応率を算出した。
(1)塩基性分子の検量線を作成する。
(2)表面修飾シリカを水に分散させ、未反応の塩基性分子を溶出させ、滴定を行う。
(3)滴定数値と検量線式により、未反応の塩基性分子の量を算出する。
(4)合成に使用した塩基性分子の量より、反応率を算出する。
上記により、実施例の各表面修飾シリカがシリカ表面に塩基性分子を有することが分かった。
<カルボン酸基の含有量>
カルボン酸変性SBR、カルボン酸変性BRのカルボン酸基の含有量を、H-NMRを用いて算出した。
<ネガティブ率>
得られた試験用タイヤについて、以下の方法でネガティブ率を測定した(測定されたネガティブ率を表1~2に記載)。
試験用タイヤのトレッドの接地形状を、正規リムに組み付け、正規内圧を加え、25℃で24時間静置した後、タイヤトレッド表面に墨を塗り、正規荷重を負荷して厚紙に押しつけ(キャンバー角は0°)、紙に転写させることで得た。タイヤを周方向に72°ずつ回転させて、5か所で転写させ、5回の接地形状を得た。5つの接地形状について、タイヤ軸方向の最大長さの平均値をL、軸方向に直交する方向の長さの平均値をWとし、下記式により、ネガティブ率(%)を測定した。長さや面積の平均値は、5つの値の単純平均とした。
ネガティブ率(%)=[1-{厚紙の転写された5つの接地形状(墨部分)の平均面積/(L×W)}]×100
<水との接触角>
各試験用タイヤのトレッドのゴム層内部から厚み2mmのシート(加硫ポリマー組成物)を採取し、25℃における水との接触角を測定した。
具体的には、厚み2mmのシートを水拭きした後、測定温度25℃に10分間保温してから、水滴20μLをシート表面に滴下し、15秒後の液滴の接触角を接触角測定機を用いて測定した。
なお、カルボン酸変性SBR、カルボン酸変性BRの水との接触角は、厚み2mmのシート(加硫ポリマー組成物)をカルボン酸変性SBR、カルボン酸変性BRに変更した以外は、同様にして測定した。
<粘弾性試験>
各試験用タイヤのトレッドのゴム層内部からタイヤ周方向が長辺となる様に長さ40mm×幅3mm×厚さ0.5mmの粘弾性測定サンプルを採取し、トレッドゴムのtanδおよびE*を、TAインスツルメント社製のRSAシリーズを用いて、温度30℃、初期歪10%、動的歪1%、周波数10Hz、伸長モード、測定時間30分の条件下で測定し、測定開始から30分後の測定値を得た。なお、サンプルの厚み方向はタイヤ半径方向とした。
<乾燥時のE*及びtanδ>
上記粘弾性測定サンプル(長さ40mm×幅3mm×厚さ0.5mm)を常温、常圧の条件で恒量になるまで乾燥した。得られた乾燥時の加硫ポリマー組成物(ゴム片)の複素弾性率E*、損失正接tanδを上記の方法で測定し、乾燥時のE*、tanδとした。
<水湿潤時のE*及びtanδ>
上記粘弾性測定サンプル(長さ40mm×幅3mm×厚さ0.5mm)を100mlの水に23℃で2時間浸漬させることにより、水湿潤時の加硫ポリマー組成物を得た。得られた水湿潤時の加硫ポリマー組成物(ゴム片)の複素弾性率E*、損失正接tanδを、RSAの浸漬測定治具を用いて、水中にて上記の方法で粘弾性を測定し、水湿潤時のE*、tanδとした。なお、水温は30℃に設定した。
<ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能の総合性能>
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着し、ドライ路面、ウェット路面が混在したコースを10周走行させ、その際のドライ路面領域及びウェット路面領域でのブレーキ性能を20人のテストドライバーが1点から5点の5段階で評価した。評点が大きいほど、性能が優れていることを示す。20人の評点の合計点を算出し、基準比較例の合計点を100とし、指数化した。指数が大きいほど、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能の総合性能が優れていることを示す。
Figure 2023028918000001
Figure 2023028918000002
各表から、親水性を有し、かつ酸又は塩基で変性された変性ポリマーと、金属酸化物及び/又は塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカとを含み、25℃における水との接触角が90°以下であり、前記式(1)及び/又は前記式(2)を満たすポリマー組成物からなるトレッドを備えた実施例のタイヤは、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に優れていた。
本開示(1)は親水性を有し、かつ酸又は塩基で変性された変性ポリマーと、
金属酸化物、及び塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカからなる群より選択される少なくとも1種とを含み、
25°における水との接触角が90°以下であり、
水によって可逆的に複素弾性率(E*)及び損失正接(tanδ)が変化し、下記式(1)及び/又は下記式(2)を満たすポリマー組成物である。
水湿潤時のE*/乾燥時のE*≦0.90 (1)
水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ≧1.10 (2)
(式中、E*及びtanδは、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率及び損失正接であるである。)
本開示(2)は下記式を満たす本開示(1)記載のポリマー組成物である。
水湿潤時のE*/乾燥時のE*≦0.70
本開示(3)は下記式を満たす本開示(1)又は(2)記載のポリマー組成物である。
水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ≧1.30
本開示(4)は、前記金属酸化物が酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び酸化バリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む本開示(1)~(3)のいずれかに記載のポリマー組成物である。
本開示(5)は本開示(1)~(4)のいずれかに記載のポリマー組成物で構成されたトレッドを有するタイヤである。
本開示(6)は前記トレッドの最大厚みTと、前記水湿潤時のE*/乾燥時のE*とが下記式を満たす本開示(5)記載のタイヤである。
T/(水湿潤時のE*/乾燥時のE*)>8.5
本開示(7)は前記トレッドの最大厚みTと、前記水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδとが下記式を満たす本開示(5)又は(6)記載のタイヤである。
T×(水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ)>8.5
本開示(8)は前記トレッドのネガティブ率Sが40%以下である本開示(5)~(7)のいずれかに記載のタイヤである。
本開示(9)は前記ポリマー組成物の水湿潤時のE*及び乾燥時のE*、前記トレッドのネガティブ率S(%)が下記式を満たす本開示(8)記載のタイヤである。
(水湿潤時のE*/乾燥時のE*)×S≦28.0
本開示(10)は前記ポリマー組成物の水湿潤時のtanδ及び乾燥時のtanδ、前記トレッドのネガティブ率S(%)が下記式を満たす本開示(8)又は(9)記載のタイヤである。
(水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ)/S≧0.035
2 空気入りタイヤ
4 トレッド
6 サイドウォール
8 ウィング
10 クリンチ
12 ビード
14 カーカス
16 ベルト
18 バンド
20 インナーライナー
22 チェーファー
24 トレッド面
26 溝
28 ベース層
30 キャップ層
32 コア
34 エイペックス
36 カーカスプライ
36a 主部
36b 折り返し部
38 内側層
40 外側層
42 主溝
44 リブ
CL タイヤ2の赤道面
P トレッド面24上の点
T トレッド4の厚み

Claims (10)

  1. 親水性を有し、かつ酸又は塩基で変性された変性ポリマーと、
    金属酸化物、及び塩基性分子を表面に有する表面修飾シリカからなる群より選択される少なくとも1種とを含み、
    25°における水との接触角が90°以下であり、
    水によって可逆的に複素弾性率(E*)及び損失正接(tanδ)が変化し、下記式(1)及び/又は下記式(2)を満たすポリマー組成物。
    水湿潤時のE*/乾燥時のE*≦0.90 (1)
    水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ≧1.10 (2)
    (式中、E*及びtanδは、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率及び損失正接である。)
  2. 下記式を満たす請求項1記載のポリマー組成物。
    水湿潤時のE*/乾燥時のE*≦0.70
  3. 下記式を満たす請求項1又は2記載のポリマー組成物。
    水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ≧1.30
  4. 前記金属酸化物は、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び酸化バリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1~3のいずれかに記載のポリマー組成物。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載のポリマー組成物で構成されたトレッドを有するタイヤ。
  6. 前記トレッドの最大厚みTと、前記水湿潤時のE*/乾燥時のE*とが下記式を満たす請求項5記載のタイヤ。
    T/(水湿潤時のE*/乾燥時のE*)>8.5
  7. 前記トレッドの最大厚みTと、前記水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδとが下記式を満たす請求項5又は6記載のタイヤ。
    T×(水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ)>8.5
  8. 前記トレッドのネガティブ率Sが40%以下である請求項5~7のいずれかに記載のタイヤ。
  9. 前記ポリマー組成物の水湿潤時のE*及び乾燥時のE*、前記トレッドのネガティブ率S(%)が下記式を満たす請求項8記載のタイヤ。
    (水湿潤時のE*/乾燥時のE*)×S≦28.0
  10. 前記ポリマー組成物の水湿潤時のtanδ及び乾燥時のtanδ、前記トレッドのネガティブ率S(%)が下記式を満たす請求項8又は9記載のタイヤ。
    (水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ)/S≧0.035
JP2021134900A 2021-08-20 2021-08-20 ポリマー組成物及びタイヤ Pending JP2023028918A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021134900A JP2023028918A (ja) 2021-08-20 2021-08-20 ポリマー組成物及びタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021134900A JP2023028918A (ja) 2021-08-20 2021-08-20 ポリマー組成物及びタイヤ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023028918A true JP2023028918A (ja) 2023-03-03

Family

ID=85331133

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021134900A Pending JP2023028918A (ja) 2021-08-20 2021-08-20 ポリマー組成物及びタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023028918A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN113474181B (zh) 橡胶组合物和轮胎
EP4177068A1 (en) Pneumatic tire
EP4177069A1 (en) Pneumatic tire
CN113905897A (zh) 充气轮胎
EP4190590A1 (en) Pneumatic tire
JP7215304B2 (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物及びタイヤ
EP4183596A1 (en) Pneumatic tire
JP7392356B2 (ja) タイヤ
US20230415516A1 (en) Tire
EP4056384B1 (en) Tire
JP2023088838A (ja) タイヤ
JP7500952B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物およびタイヤ
WO2020189100A1 (ja) タイヤ
EP4147881A1 (en) Pneumatic radial tire for passenger vehicle
JP2022063032A (ja) 重荷重用タイヤ
JP2023028918A (ja) ポリマー組成物及びタイヤ
WO2023171323A1 (ja) タイヤ
JP2023028916A (ja) ゴム組成物及びタイヤ
WO2023171320A1 (ja) タイヤ
WO2023171208A1 (ja) ゴム組成物及びタイヤ
JP2023028919A (ja) ポリマー組成物及びタイヤ
JP2023028917A (ja) ゴム組成物及びタイヤ
JP7501180B2 (ja) タイヤ
WO2023171310A1 (ja) タイヤ
JP7338209B2 (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物及びタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210820