JP2023128955A - 化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子機器 - Google Patents

化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子機器 Download PDF

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真依子 飯田
Maiko Iida
圭一 安川
Keiichi Yasukawa
一輝 寺田
Kazuki Terada
尚人 松本
Naohito Matsumoto
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

【課題】発光効率を向上させることができる化合物を提供すること。【解決手段】具体的には、下記A1、A6等の化合物である。TIFF2023128955000221.tif44141【選択図】なし

Description

本発明は、化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子機器に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」という場合がある。)に電圧を印加すると、陽極から正孔が発光層に注入され、また陰極から電子が発光層に注入される。そして、発光層において、注入された正孔と電子とが再結合し、励起子が形成される。このとき、電子スピンの統計則により、一重項励起子が25%の割合で生成し、及び三重項励起子が75%の割合で生成する。
一重項励起子からの発光を用いる蛍光型の有機EL素子は、携帯電話及びテレビ等のフルカラーディスプレイへ応用されつつあるが、内部量子効率25%が限界といわれている。そのため、有機EL素子の性能を向上するための検討が行われている。
例えば、一重項励起子に加えて三重項励起子を利用して、有機EL素子をさらに効率的に発光させることが期待されている。このような背景から、熱活性化遅延蛍光(以下、単に「遅延蛍光」という場合がある。)を利用した高効率の蛍光型の有機EL素子が提案され、研究がなされている。
TADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence、熱活性化遅延蛍光)機構(メカニズム)は、一重項準位と三重項準位とのエネルギー差(ΔST)の小さな材料を用いた場合に、三重項励起子から一重項励起子への逆項間交差が熱的に生じる現象を利用するメカニズムである。熱活性化遅延蛍光については、例えば、『安達千波矢編、「有機半導体のデバイス物性」、講談社、2012年4月1日発行、261-268ページ』に記載されている。
熱活性化遅延蛍光性(TADF性)を示す化合物(以下、TADF性化合物とも称する)としては、例えば、分子内に、ドナー部位とアクセプター部位とが結合した化合物が知られている。
有機EL素子並びに有機EL素子に用いる化合物に関する文献として、特許文献1及び特許文献2が挙げられる。
国際公開第2014/208698号 国際公開第2021/066059号
ディスプレイ等の電子機器の性能を向上させるために、有機EL素子の性能の更なる向上が要望されている。有機EL素子の性能としては、例えば、輝度、発光波長、色度、発光効率、駆動電圧、及び寿命が挙げられる。
本発明の目的は、発光効率を向上させることができる化合物を提供することである。また、本発明の別の目的は、当該化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を提供することである。また、本発明の別の目的は、高効率化を実現できる有機エレクトロルミネッセンス素子を提供すること、並びに当該有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器を提供することである。
本発明の一態様によれば、下記一般式(1)で表される化合物が提供される。
Figure 2023128955000001
(前記一般式(1)において、
CNは、シアノ基であり、
11は、下記一般式(11)、(12)又は(13)で表される基であり、但し、少なくとも1つのD11は、下記一般式(12)又は(13)で表される基であり、
12は、下記一般式(16)で表される基であり、
Rは、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
但し、少なくとも1つのRは、置換基であり、少なくとも1つの置換基としてのRは、前記一般式(1)中のベンゼン環との炭素-炭素結合により結合し、
kは、1又は2であり、
mは、1又は2であり、
nは、1又は2であり、
k+m+nは、4であり、
kが2のとき、2つのD11は、互いに同一であるか、又は異なり、
mが2のとき、2つのD12は、互いに同一であるか、又は異なり、
nが2のとき、2つのRは、互いに同一であるか、又は異なる。)
Figure 2023128955000002
Figure 2023128955000003
Figure 2023128955000004
(前記一般式(12)におけるR11~R18のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記一般式(13)におけるR111~R118のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記一般式(11)におけるR~R、前記一般式(12)における置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR11~R18、並びに前記一般式(13)における置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR111~R118は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
前記一般式(12)及び前記一般式(13)において、
環A、環B及び環Cは、それぞれ独立に、下記一般式(14)及び一般式(15)で表される環構造からなる群から選択されるいずれかの環構造であり、
環A、環B及び環Cは、隣接する環と任意の位置で縮合し、
p、px及びpyは、それぞれ独立に、1、2、3又は4であり、
pが2、3又は4の場合、複数の環Aは、互いに同一であるか、又は異なり、
pxが2、3又は4の場合、複数の環Bは、互いに同一であるか、又は異なり、
pyが2、3又は4の場合、複数の環Cは、互いに同一であるか、又は異なり、
前記一般式(11)~(13)中の*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。)
Figure 2023128955000005
(前記一般式(14)において、
rは、0、2又は4であり、
複数のR19からなる組が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記一般式(15)において、Xは、硫黄原子又は酸素原子であり、
置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR19は、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
複数のR19は、互いに同一であるか又は異なり、
複数のXは、互いに同一であるか又は異なる。)
Figure 2023128955000006
(前記一般式(16)におけるR132~R135のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
131、及び置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR132~R135は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
ただし、R131は、水素原子ではない。
前記一般式(16)中の*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。)
(一般式中、R901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R908、R909、R931、R932、R933、R934、R935、R936及びR937は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、
902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、
903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、
904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、
905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、
906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、
907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、
908が複数存在する場合、複数のR908は、互いに同一であるか又は異なり、
909が複数存在する場合、複数のR909は、互いに同一であるか又は異なり、
931が複数存在する場合、複数のR931は、互いに同一であるか又は異なり、
932が複数存在する場合、複数のR932は、互いに同一であるか又は異なり、
933が複数存在する場合、複数のR933は、互いに同一であるか又は異なり、
934が複数存在する場合、複数のR934は、互いに同一であるか又は異なり、
935が複数存在する場合、複数のR935は、互いに同一であるか又は異なり、
936が複数存在する場合、複数のR936は、互いに同一であるか又は異なり、
937が複数存在する場合、複数のR937は、互いに同一であるか又は異なる。)
本発明の一態様によれば、本発明の一態様に係る化合物を含有する、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料が提供される。
本発明の一態様によれば、陽極と、陰極と、有機層と、を有し、前記有機層は、本発明の一態様に係る化合物を第一の化合物として含む、有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
本発明の一態様によれば、本発明の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した、電子機器が提供される。
本発明の一態様によれば、発光効率を向上させることができる化合物を提供できる。また、本発明の一態様によれば、当該化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を提供できる。また、本発明の一態様によれば、高効率化を実現できる有機エレクトロルミネッセンス素子を提供すること、並びに当該有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器を提供することができる。
過渡PLを測定する装置の概略図である。 過渡PLの減衰曲線の一例を示す図である。 本発明の第三実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の概略構成を示す図である。 本発明の第三実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の発光層における第一の化合物及び第二の化合物のエネルギー準位、並びにエネルギー移動の関係を示す図である。 本発明の第四実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の発光層における第一の化合物、第二の化合物及び第三の化合物のエネルギー準位、並びにエネルギー移動の関係を示す図である。 本発明の第五実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の発光層における第一の化合物及び第三の化合物のエネルギー準位、並びにエネルギー移動の関係を示す図である。
[定義]
本明細書において、水素原子とは、中性子数が異なる同位体、即ち、軽水素(protium)、重水素(deuterium)、及び三重水素(tritium)を包含する。
本明細書において、化学構造式中、「R」等の記号や重水素原子を表す「D」が明示されていない結合可能位置には、水素原子、即ち、軽水素原子、重水素原子、又は三重水素原子が結合しているものとする。
本明細書において、環形成炭素数とは、原子が環状に結合した構造の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、及び複素環化合物)の当該環自体を構成する原子のうちの炭素原子の数を表す。当該環が置換基によって置換される場合、置換基に含まれる炭素は環形成炭素数には含まない。以下で記される「環形成炭素数」については、別途記載のない限り同様とする。例えば、ベンゼン環は環形成炭素数が6であり、ナフタレン環は環形成炭素数が10であり、ピリジン環は環形成炭素数5であり、フラン環は環形成炭素数4である。また、例えば、9,9-ジフェニルフルオレニル基の環形成炭素数は13であり、9,9’-スピロビフルオレニル基の環形成炭素数は25である。
また、ベンゼン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、ベンゼン環の環形成炭素数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているベンゼン環の環形成炭素数は、6である。また、ナフタレン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、ナフタレン環の環形成炭素数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているナフタレン環の環形成炭素数は、10である。
本明細書において、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造(例えば、単環、縮合環、及び環集合)の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、及び複素環化合物)の当該環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子(例えば、環を構成する原子の結合を終端する水素原子)や、当該環が置換基によって置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。以下で記される「環形成原子数」については、別途記載のない限り同様とする。例えば、ピリジン環の環形成原子数は6であり、キナゾリン環の環形成原子数は10であり、フラン環の環形成原子数は5である。例えば、ピリジン環に結合している水素原子、又は置換基を構成する原子の数は、ピリジン環形成原子数の数に含めない。そのため、水素原子、又は置換基が結合しているピリジン環の環形成原子数は、6である。また、例えば、キナゾリン環の炭素原子に結合している水素原子、又は置換基を構成する原子については、キナゾリン環の環形成原子数の数に含めない。そのため、水素原子、又は置換基が結合しているキナゾリン環の環形成原子数は10である。
本明細書において、「置換もしくは無置換の炭素数XX~YYのZZ基」という表現における「炭素数XX~YY」は、ZZ基が無置換である場合の炭素数を表し、置換されている場合の置換基の炭素数を含めない。ここで、「YY」は、「XX」よりも大きく、「XX」は、1以上の整数を意味し、「YY」は、2以上の整数を意味する。
本明細書において、「置換もしくは無置換の原子数XX~YYのZZ基」という表現における「原子数XX~YY」は、ZZ基が無置換である場合の原子数を表し、置換されている場合の置換基の原子数を含めない。ここで、「YY」は、「XX」よりも大きく、「XX」は、1以上の整数を意味し、「YY」は、2以上の整数を意味する。
本明細書において、無置換のZZ基とは「置換もしくは無置換のZZ基」が「無置換のZZ基」である場合を表し、置換のZZ基とは「置換もしくは無置換のZZ基」が「置換のZZ基」である場合を表す。
本明細書において、「置換もしくは無置換のZZ基」という場合における「無置換」とは、ZZ基における水素原子が置換基と置き換わっていないことを意味する。「無置換のZZ基」における水素原子は、軽水素原子、重水素原子、又は三重水素原子である。
また、本明細書において、「置換もしくは無置換のZZ基」という場合における「置換」とは、ZZ基における1つ以上の水素原子が、置換基と置き換わっていることを意味する。「AA基で置換されたBB基」という場合における「置換」も同様に、BB基における1つ以上の水素原子が、AA基と置き換わっていることを意味する。
「本明細書に記載の置換基」
以下、本明細書に記載の置換基について説明する。
本明細書に記載の「無置換のアリール基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30、より好ましくは6~18である。
本明細書に記載の「無置換の複素環基」の環形成原子数は、本明細書に別途記載のない限り、5~50であり、好ましくは5~30、より好ましくは5~18である。
本明細書に記載の「無置換のアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~6である。
本明細書に記載の「無置換のアルケニル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、2~50であり、好ましくは2~20、より好ましくは2~6である。
本明細書に記載の「無置換のアルキニル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、2~50であり、好ましくは2~20、より好ましくは2~6である。
本明細書に記載の「無置換のシクロアルキル基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、3~50であり、好ましくは3~20、より好ましくは3~6である。
本明細書に記載の「無置換のアリーレン基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30、より好ましくは6~18である。
本明細書に記載の「無置換の2価の複素環基」の環形成原子数は、本明細書に別途記載のない限り、5~50であり、好ましくは5~30、より好ましくは5~18である。
本明細書に記載の「無置換のアルキレン基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~6である。
・「置換もしくは無置換のアリール基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」の具体例(具体例群G1)としては、以下の無置換のアリール基(具体例群G1A)及び置換のアリール基(具体例群G1B)等が挙げられる。(ここで、無置換のアリール基とは「置換もしくは無置換のアリール基」が「無置換のアリール基」である場合を指し、置換のアリール基とは「置換もしくは無置換のアリール基」が「置換のアリール基」である場合を指す。)本明細書において、単に「アリール基」という場合は、「無置換のアリール基」と「置換のアリール基」の両方を含む。
「置換のアリール基」は、「無置換のアリール基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアリール基」としては、例えば、下記具体例群G1Aの「無置換のアリール基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び下記具体例群G1Bの置換のアリール基の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のアリール基」の例、及び「置換のアリール基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアリール基」には、下記具体例群G1Bの「置換のアリール基」におけるアリール基自体の炭素原子に結合する水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び下記具体例群G1Bの「置換のアリール基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
・無置換のアリール基(具体例群G1A):
フェニル基、
p-ビフェニル基、
m-ビフェニル基、
o-ビフェニル基、
p-ターフェニル-4-イル基、
p-ターフェニル-3-イル基、
p-ターフェニル-2-イル基、
m-ターフェニル-4-イル基、
m-ターフェニル-3-イル基、
m-ターフェニル-2-イル基、
o-ターフェニル-4-イル基、
o-ターフェニル-3-イル基、
o-ターフェニル-2-イル基、
1-ナフチル基、
2-ナフチル基、
アントリル基、
ベンゾアントリル基、
フェナントリル基、
ベンゾフェナントリル基、
フェナレニル基、
ピレニル基、
クリセニル基、
ベンゾクリセニル基、
トリフェニレニル基、
ベンゾトリフェニレニル基、
テトラセニル基、
ペンタセニル基、
フルオレニル基、
9,9’-スピロビフルオレニル基、
ベンゾフルオレニル基、
ジベンゾフルオレニル基、
フルオランテニル基、
ベンゾフルオランテニル基、
ペリレニル基、及び
下記一般式(TEMP-1)~(TEMP-15)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価のアリール基。
・置換のアリール基(具体例群G1B):
o-トリル基、
m-トリル基、
p-トリル基、
パラ-キシリル基、
メタ-キシリル基、
オルト-キシリル基、
パラ-イソプロピルフェニル基、
メタ-イソプロピルフェニル基、
オルト-イソプロピルフェニル基、
パラ-t-ブチルフェニル基、
メタ-t-ブチルフェニル基、
オルト-t-ブチルフェニル基、
3,4,5-トリメチルフェニル基、
9,9-ジメチルフルオレニル基、
9,9-ジフェニルフルオレニル基、
9,9-ビス(4-メチルフェニル)フルオレニル基、
9,9-ビス(4-イソプロピルフェニル)フルオレニル基、
9,9-ビス(4-t-ブチルフェニル)フルオレニル基、
シアノフェニル基、
トリフェニルシリルフェニル基、
トリメチルシリルフェニル基、
フェニルナフチル基、
ナフチルフェニル基、及び
前記一般式(TEMP-1)~(TEMP-15)で表される環構造から誘導される1価の基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基。
・「置換もしくは無置換の複素環基」
本明細書に記載の「複素環基」は、環形成原子にヘテロ原子を少なくとも1つ含む環状の基である。ヘテロ原子の具体例としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、及びホウ素原子が挙げられる。
本明細書に記載の「複素環基」は、単環の基であるか、又は縮合環の基である。
本明細書に記載の「複素環基」は、芳香族複素環基であるか、又は非芳香族複素環基である。
本明細書に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」の具体例(具体例群G2)としては、以下の無置換の複素環基(具体例群G2A)、及び置換の複素環基(具体例群G2B)等が挙げられる。(ここで、無置換の複素環基とは「置換もしくは無置換の複素環基」が「無置換の複素環基」である場合を指し、置換の複素環基とは「置換もしくは無置換の複素環基」が「置換の複素環基」である場合を指す。)本明細書において、単に「複素環基」という場合は、「無置換の複素環基」と「置換の複素環基」の両方を含む。
「置換の複素環基」は、「無置換の複素環基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換の複素環基」の具体例は、下記具体例群G2Aの「無置換の複素環基」の水素原子が置き換わった基、及び下記具体例群G2Bの置換の複素環基の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換の複素環基」の例や「置換の複素環基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換の複素環基」には、具体例群G2Bの「置換の複素環基」における複素環基自体の環形成原子に結合する水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G2Bの「置換の複素環基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
具体例群G2Aは、例えば、以下の窒素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A1)、酸素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A2)、硫黄原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A3)、及び下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基(具体例群G2A4)を含む。
具体例群G2Bは、例えば、以下の窒素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B1)、酸素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B2)、硫黄原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B3)、及び下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基(具体例群G2B4)を含む。
・窒素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A1):
ピロリル基、
イミダゾリル基、
ピラゾリル基、
トリアゾリル基、
テトラゾリル基、
オキサゾリル基、
イソオキサゾリル基、
オキサジアゾリル基、
チアゾリル基、
イソチアゾリル基、
チアジアゾリル基、
ピリジル基、
ピリダジニル基、
ピリミジニル基、
ピラジニル基、
トリアジニル基、
インドリル基、
イソインドリル基、
インドリジニル基、
キノリジニル基、
キノリル基、
イソキノリル基、
シンノリル基、
フタラジニル基、
キナゾリニル基、
キノキサリニル基、
ベンゾイミダゾリル基、
インダゾリル基、
フェナントロリニル基、
フェナントリジニル基、
アクリジニル基、
フェナジニル基、
カルバゾリル基、
ベンゾカルバゾリル基、
モルホリノ基、
フェノキサジニル基、
フェノチアジニル基、
アザカルバゾリル基、及びジアザカルバゾリル基。
・酸素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A2):
フリル基、
オキサゾリル基、
イソオキサゾリル基、
オキサジアゾリル基、
キサンテニル基、
ベンゾフラニル基、
イソベンゾフラニル基、
ジベンゾフラニル基、
ナフトベンゾフラニル基、
ベンゾオキサゾリル基、
ベンゾイソキサゾリル基、
フェノキサジニル基、
モルホリノ基、
ジナフトフラニル基、
アザジベンゾフラニル基、
ジアザジベンゾフラニル基、
アザナフトベンゾフラニル基、及び
ジアザナフトベンゾフラニル基。
・硫黄原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A3):
チエニル基、
チアゾリル基、
イソチアゾリル基、
チアジアゾリル基、
ベンゾチオフェニル基(ベンゾチエニル基)、
イソベンゾチオフェニル基(イソベンゾチエニル基)、
ジベンゾチオフェニル基(ジベンゾチエニル基)、
ナフトベンゾチオフェニル基(ナフトベンゾチエニル基)、
ベンゾチアゾリル基、
ベンゾイソチアゾリル基、
フェノチアジニル基、
ジナフトチオフェニル基(ジナフトチエニル基)、
アザジベンゾチオフェニル基(アザジベンゾチエニル基)、
ジアザジベンゾチオフェニル基(ジアザジベンゾチエニル基)、
アザナフトベンゾチオフェニル基(アザナフトベンゾチエニル基)、及び
ジアザナフトベンゾチオフェニル基(ジアザナフトベンゾチエニル基)。
・下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基(具体例群G2A4):
前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)において、X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、NH、又はCHである。ただし、X及びYのうち少なくとも1つは、酸素原子、硫黄原子、又はNHである。
前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)において、X及びYの少なくともいずれかがNH、又はCHである場合、前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基には、これらNH、又はCHから1つの水素原子を除いて得られる1価の基が含まれる。
・窒素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B1):
(9-フェニル)カルバゾリル基、
(9-ビフェニリル)カルバゾリル基、
(9-フェニル)フェニルカルバゾリル基、
(9-ナフチル)カルバゾリル基、
ジフェニルカルバゾール-9-イル基、
フェニルカルバゾール-9-イル基、
メチルベンゾイミダゾリル基、
エチルベンゾイミダゾリル基、
フェニルトリアジニル基、
ビフェニリルトリアジニル基、
ジフェニルトリアジニル基、
フェニルキナゾリニル基、及び
ビフェニリルキナゾリニル基。
・酸素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B2):
フェニルジベンゾフラニル基、
メチルジベンゾフラニル基、
t-ブチルジベンゾフラニル基、及び
スピロ[9H-キサンテン-9,9’-[9H]フルオレン]の1価の残基。
・硫黄原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B3):
フェニルジベンゾチオフェニル基、
メチルジベンゾチオフェニル基、
t-ブチルジベンゾチオフェニル基、及び
スピロ[9H-チオキサンテン-9,9’-[9H]フルオレン]の1価の残基。
・前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基(具体例群G2B4):
前記「1価の複素環基の1つ以上の水素原子」とは、該1価の複素環基の環形成炭素原子に結合している水素原子、X及びYの少なくともいずれかがNHである場合の窒素原子に結合している水素原子、及びX及びYの一方がCHである場合のメチレン基の水素原子から選ばれる1つ以上の水素原子を意味する。
・「置換もしくは無置換のアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」の具体例(具体例群G3)としては、以下の無置換のアルキル基(具体例群G3A)及び置換のアルキル基(具体例群G3B)が挙げられる。(ここで、無置換のアルキル基とは「置換もしくは無置換のアルキル基」が「無置換のアルキル基」である場合を指し、置換のアルキル基とは「置換もしくは無置換のアルキル基」が「置換のアルキル基」である場合を指す。)以下、単に「アルキル基」という場合は、「無置換のアルキル基」と「置換のアルキル基」の両方を含む。
「置換のアルキル基」は、「無置換のアルキル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルキル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルキル基」(具体例群G3A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び置換のアルキル基(具体例群G3B)の例等が挙げられる。本明細書において、「無置換のアルキル基」におけるアルキル基は、鎖状のアルキル基を意味する。そのため、「無置換のアルキル基」は、直鎖である「無置換のアルキル基」、及び分岐状である「無置換のアルキル基」が含まれる。尚、ここに列挙した「無置換のアルキル基」の例や「置換のアルキル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアルキル基」には、具体例群G3Bの「置換のアルキル基」におけるアルキル基自体の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G3Bの「置換のアルキル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
・無置換のアルキル基(具体例群G3A):
メチル基、
エチル基、
n-プロピル基、
イソプロピル基、
n-ブチル基、
イソブチル基、
s-ブチル基、及び
t-ブチル基。
・置換のアルキル基(具体例群G3B):
ヘプタフルオロプロピル基(異性体を含む)、
ペンタフルオロエチル基、
2,2,2-トリフルオロエチル基、及び
トリフルオロメチル基。
・「置換もしくは無置換のアルケニル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルケニル基」の具体例(具体例群G4)としては、以下の無置換のアルケニル基(具体例群G4A)、及び置換のアルケニル基(具体例群G4B)等が挙げられる。(ここで、無置換のアルケニル基とは「置換もしくは無置換のアルケニル基」が「無置換のアルケニル基」である場合を指し、「置換のアルケニル基」とは「置換もしくは無置換のアルケニル基」が「置換のアルケニル基」である場合を指す。)本明細書において、単に「アルケニル基」という場合は、「無置換のアルケニル基」と「置換のアルケニル基」の両方を含む。
「置換のアルケニル基」は、「無置換のアルケニル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルケニル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルケニル基」(具体例群G4A)が置換基を有する基、及び置換のアルケニル基(具体例群G4B)の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のアルケニル基」の例や「置換のアルケニル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアルケニル基」には、具体例群G4Bの「置換のアルケニル基」におけるアルケニル基自体の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G4Bの「置換のアルケニル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
・無置換のアルケニル基(具体例群G4A):
ビニル基、
アリル基、
1-ブテニル基、
2-ブテニル基、及び
3-ブテニル基。
・置換のアルケニル基(具体例群G4B):
1,3-ブタンジエニル基、
1-メチルビニル基、
1-メチルアリル基、
1,1-ジメチルアリル基、
2-メチルアリル基、及び
1,2-ジメチルアリル基。
・「置換もしくは無置換のアルキニル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキニル基」の具体例(具体例群G5)としては、以下の無置換のアルキニル基(具体例群G5A)等が挙げられる。(ここで、無置換のアルキニル基とは、「置換もしくは無置換のアルキニル基」が「無置換のアルキニル基」である場合を指す。)以下、単に「アルキニル基」という場合は、「無置換のアルキニル基」と「置換のアルキニル基」の両方を含む。
「置換のアルキニル基」は、「無置換のアルキニル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルキニル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルキニル基」(具体例群G5A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基等が挙げられる。
・無置換のアルキニル基(具体例群G5A):
エチニル基。
・「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」の具体例(具体例群G6)としては、以下の無置換のシクロアルキル基(具体例群G6A)、及び置換のシクロアルキル基(具体例群G6B)等が挙げられる。(ここで、無置換のシクロアルキル基とは「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」が「無置換のシクロアルキル基」である場合を指し、置換のシクロアルキル基とは「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」が「置換のシクロアルキル基」である場合を指す。)本明細書において、単に「シクロアルキル基」という場合は、「無置換のシクロアルキル基」と「置換のシクロアルキル基」の両方を含む。
「置換のシクロアルキル基」は、「無置換のシクロアルキル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のシクロアルキル基」の具体例としては、下記の「無置換のシクロアルキル基」(具体例群G6A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び置換のシクロアルキル基(具体例群G6B)の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のシクロアルキル基」の例や「置換のシクロアルキル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のシクロアルキル基」には、具体例群G6Bの「置換のシクロアルキル基」におけるシクロアルキル基自体の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び具体例群G6Bの「置換のシクロアルキル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
・無置換のシクロアルキル基(具体例群G6A):
シクロプロピル基、
シクロブチル基、
シクロペンチル基、
シクロヘキシル基、
1-アダマンチル基、
2-アダマンチル基、
1-ノルボルニル基、及び
2-ノルボルニル基。
・置換のシクロアルキル基(具体例群G6B):
4-メチルシクロヘキシル基。
・「-Si(R901)(R902)(R903)で表される基」
本明細書に記載の-Si(R901)(R902)(R903)で表される基の具体例(具体例群G7)としては、
-Si(G1)(G1)(G1)、
-Si(G1)(G2)(G2)、
-Si(G1)(G1)(G2)、
-Si(G2)(G2)(G2)、
-Si(G3)(G3)(G3)、及び
-Si(G6)(G6)(G6)
が挙げられる。ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
-Si(G1)(G1)(G1)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G1)(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G1)(G1)(G2)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G2)(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G3)(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G6)(G6)(G6)における複数のG6は、互いに同一であるか、又は異なる。
・「-O-(R904)で表される基」
本明細書に記載の-O-(R904)で表される基の具体例(具体例群G8)としては、
-O(G1)、
-O(G2)、
-O(G3)、及び
-O(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
・「-S-(R905)で表される基」
本明細書に記載の-S-(R905)で表される基の具体例(具体例群G9)としては、
-S(G1)、
-S(G2)、
-S(G3)、及び
-S(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
・「-N(R906)(R907)で表される基」
本明細書に記載の-N(R906)(R907)で表される基の具体例(具体例群G10)としては、
-N(G1)(G1)、
-N(G2)(G2)、
-N(G1)(G2)、
-N(G3)(G3)、及び
-N(G6)(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
-N(G1)(G1)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G6)(G6)における複数のG6は、互いに同一であるか、又は異なる。
・「ハロゲン原子」
本明細書に記載の「ハロゲン原子」の具体例(具体例群G11)としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。
・「置換もしくは無置換のフルオロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のフルオロアルキル基」は、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子がフッ素原子と置き換わった基を意味し、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している全ての水素原子がフッ素原子で置き換わった基(パーフルオロ基)も含む。「無置換のフルオロアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。「置換のフルオロアルキル基」は、「フルオロアルキル基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。尚、本明細書に記載の「置換のフルオロアルキル基」には、「置換のフルオロアルキル基」におけるアルキル鎖の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び「置換のフルオロアルキル基」における置換基の1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。「無置換のフルオロアルキル基」の具体例としては、前記「アルキル基」(具体例群G3)における1つ以上の水素原子がフッ素原子と置き換わった基の例等が挙げられる。
・「置換もしくは無置換のハロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のハロアルキル基」は、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子と置き換わった基を意味し、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している全ての水素原子がハロゲン原子で置き換わった基も含む。「無置換のハロアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。「置換のハロアルキル基」は、「ハロアルキル基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。尚、本明細書に記載の「置換のハロアルキル基」には、「置換のハロアルキル基」におけるアルキル鎖の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び「置換のハロアルキル基」における置換基の1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。「無置換のハロアルキル基」の具体例としては、前記「アルキル基」(具体例群G3)における1つ以上の水素原子がハロゲン原子と置き換わった基の例等が挙げられる。ハロアルキル基をハロゲン化アルキル基と称する場合がある。
・「置換もしくは無置換のアルコキシ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルコキシ基」の具体例としては、-O(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。「無置換のアルコキシ基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。
・「置換もしくは無置換のアルキルチオ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキルチオ基」の具体例としては、-S(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。「無置換のアルキルチオ基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。
・「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」の具体例としては、-O(G1)で表される基であり、ここで、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。「無置換のアリールオキシ基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
・「置換もしくは無置換のアリールチオ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリールチオ基」の具体例としては、-S(G1)で表される基であり、ここで、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。「無置換のアリールチオ基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
・「置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基」
本明細書に記載の「トリアルキルシリル基」の具体例としては、-Si(G3)(G3)(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。-Si(G3)(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。「トリアルキルシリル基」の各アルキル基の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~6である。
・「置換もしくは無置換のアラルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアラルキル基」の具体例としては、-(G3)-(G1)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」であり、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。従って、「アラルキル基」は、「アルキル基」の水素原子が置換基としての「アリール基」と置き換わった基であり、「置換のアルキル基」の一態様である。「無置換のアラルキル基」は、「無置換のアリール基」が置換した「無置換のアルキル基」であり、「無置換のアラルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、7~50であり、好ましくは7~30であり、より好ましくは7~18である。
「置換もしくは無置換のアラルキル基」の具体例としては、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルイソプロピル基、2-フェニルイソプロピル基、フェニル-t-ブチル基、α-ナフチルメチル基、1-α-ナフチルエチル基、2-α-ナフチルエチル基、1-α-ナフチルイソプロピル基、2-α-ナフチルイソプロピル基、β-ナフチルメチル基、1-β-ナフチルエチル基、2-β-ナフチルエチル基、1-β-ナフチルイソプロピル基、及び2-β-ナフチルイソプロピル基等が挙げられる。
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアリール基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはフェニル基、p-ビフェニル基、m-ビフェニル基、o-ビフェニル基、p-ターフェニル-4-イル基、p-ターフェニル-3-イル基、p-ターフェニル-2-イル基、m-ターフェニル-4-イル基、m-ターフェニル-3-イル基、m-ターフェニル-2-イル基、o-ターフェニル-4-イル基、o-ターフェニル-3-イル基、o-ターフェニル-2-イル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基、9,9’-スピロビフルオレニル基、9,9-ジメチルフルオレニル基、及び9,9-ジフェニルフルオレニル基等である。
本明細書に記載の置換もしくは無置換の複素環基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、ベンゾイミダゾリル基、フェナントロリニル基、カルバゾリル基(1-カルバゾリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、4-カルバゾリル基、又は9-カルバゾリル基)、ベンゾカルバゾリル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ナフトベンゾフラニル基、アザジベンゾフラニル基、ジアザジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、ナフトベンゾチオフェニル基、アザジベンゾチオフェニル基、ジアザジベンゾチオフェニル基、(9-フェニル)カルバゾリル基((9-フェニル)カルバゾール-1-イル基、(9-フェニル)カルバゾール-2-イル基、(9-フェニル)カルバゾール-3-イル基、又は(9-フェニル)カルバゾール-4-イル基)、(9-ビフェニリル)カルバゾリル基、(9-フェニル)フェニルカルバゾリル基、ジフェニルカルバゾール-9-イル基、フェニルカルバゾール-9-イル基、フェニルトリアジニル基、ビフェニリルトリアジニル基、ジフェニルトリアジニル基、フェニルジベンゾフラニル基、及びフェニルジベンゾチオフェニル基等である。
本明細書において、カルバゾリル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
本明細書において、(9-フェニル)カルバゾリル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
前記一般式(TEMP-Cz1)~(TEMP-Cz9)中、*は、結合位置を表す。
本明細書において、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
前記一般式(TEMP-34)~(TEMP-41)中、*は、結合位置を表す。
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアルキル基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及びt-ブチル基等である。
・「置換もしくは無置換のアリーレン基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリーレン基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換のアリール基」からアリール環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換のアリーレン基」の具体例(具体例群G12)としては、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」からアリール環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
・「置換もしくは無置換の2価の複素環基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換の2価の複素環基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換の複素環基」から複素環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換の2価の複素環基」の具体例(具体例群G13)としては、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」から複素環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
・「置換もしくは無置換のアルキレン基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキレン基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換のアルキル基」からアルキル鎖上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換のアルキレン基」の具体例(具体例群G14)としては、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」からアルキル鎖上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアリーレン基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは下記一般式(TEMP-42)~(TEMP-68)のいずれかの基である。
前記一般式(TEMP-42)~(TEMP-52)中、Q~Q10は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
前記一般式(TEMP-42)~(TEMP-52)中、*は、結合位置を表す。
前記一般式(TEMP-53)~(TEMP-62)中、Q~Q10は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
式Q及びQ10は、単結合を介して互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式(TEMP-53)~(TEMP-62)中、*は、結合位置を表す。
前記一般式(TEMP-63)~(TEMP-68)中、Q~Qは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
前記一般式(TEMP-63)~(TEMP-68)中、*は、結合位置を表す。
本明細書に記載の置換もしくは無置換の2価の複素環基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは下記一般式(TEMP-69)~(TEMP-102)のいずれかの基である。
前記一般式(TEMP-69)~(TEMP-82)中、Q~Qは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
前記一般式(TEMP-83)~(TEMP-102)中、Q~Qは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
以上が、「本明細書に記載の置換基」についての説明である。
・「結合して環を形成する場合」
本明細書において、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず」という場合は、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合と、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合と、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合しない」場合と、を意味する。
本明細書における、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、及び「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合(以下、これらの場合をまとめて「結合して環を形成する場合」と称する場合がある。)について、以下、説明する。母骨格がアントラセン環である下記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物の場合を例として説明する。
例えば、R921~R930のうちの「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、環を形成する」場合において、1組となる隣接する2つからなる組とは、R921とR922との組、R922とR923との組、R923とR924との組、R924とR930との組、R930とR925との組、R925とR926との組、R926とR927との組、R927とR928との組、R928とR929との組、並びにR929とR921との組である。
上記「1組以上」とは、上記隣接する2つ以上からなる組の2組以上が同時に環を形成してもよいことを意味する。例えば、R921とR922とが互いに結合して環Qを形成し、同時にR925とR926とが互いに結合して環Qを形成した場合は、前記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物は、下記一般式(TEMP-104)で表される。
「隣接する2つ以上からなる組」が環を形成する場合とは、前述の例のように隣接する「2つ」からなる組が結合する場合だけではなく、隣接する「3つ以上」からなる組が結合する場合も含む。例えば、R921とR922とが互いに結合して環Qを形成し、かつ、R922とR923とが互いに結合して環Qを形成し、互いに隣接する3つ(R921、R922及びR923)からなる組が互いに結合して環を形成して、アントラセン母骨格に縮合する場合を意味し、この場合、前記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物は、下記一般式(TEMP-105)で表される。下記一般式(TEMP-105)において、環Q及び環Qは、R922を共有する。
形成される「単環」、又は「縮合環」は、形成された環のみの構造として、飽和の環であっても不飽和の環であってもよい。「隣接する2つからなる組の1組」が「単環」、又は「縮合環」を形成する場合であっても、当該「単環」、又は「縮合環」は、飽和の環、又は不飽和の環を形成することができる。例えば、前記一般式(TEMP-104)において形成された環Q及び環Qは、それぞれ、「単環」又は「縮合環」である。また、前記一般式(TEMP-105)において形成された環Q、及び環Qは、「縮合環」である。前記一般式(TEMP-105)の環Qと環Qとは、環Qと環Qとが縮合することによって縮合環となっている。前記一般式(TMEP-104)の環Qがベンゼン環であれば、環Qは、単環である。前記一般式(TMEP-104)の環Qがナフタレン環であれば、環Qは、縮合環である。
「不飽和の環」とは、芳香族炭化水素環、又は芳香族複素環を意味する。「飽和の環」とは、脂肪族炭化水素環、又は非芳香族複素環を意味する。
芳香族炭化水素環の具体例としては、具体例群G1において具体例として挙げられた基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
芳香族複素環の具体例としては、具体例群G2において具体例として挙げられた芳香族複素環基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
脂肪族炭化水素環の具体例としては、具体例群G6において具体例として挙げられた基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
「環を形成する」とは、母骨格の複数の原子のみ、あるいは母骨格の複数の原子とさらに1以上の任意の元素で環を形成することを意味する。例えば、前記一般式(TEMP-104)に示す、R921とR922とが互いに結合して形成された環Qは、R921が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、R922が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、1以上の任意の元素とで形成する環を意味する。具体例としては、R921とR922とで環Qを形成する場合において、R921が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、R922とが結合するアントラセン骨格の炭素原子と、4つの炭素原子とで単環の不飽和の環を形成する場合、R921とR922とで形成する環は、ベンゼン環である。
ここで、「任意の元素」は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは、炭素元素、窒素元素、酸素元素、及び硫黄元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素である。任意の元素において(例えば、炭素元素、又は窒素元素の場合)、環を形成しない結合は、水素原子等で終端されてもよいし、後述する「任意の置換基」で置換されてもよい。炭素元素以外の任意の元素を含む場合、形成される環は複素環である。
単環または縮合環を構成する「1以上の任意の元素」は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは2個以上15個以下であり、より好ましくは3個以上12個以下であり、さらに好ましくは3個以上5個以下である。
本明細書に別途記載のない限り、「単環」、及び「縮合環」のうち、好ましくは「単環」である。
本明細書に別途記載のない限り、「飽和の環」、及び「不飽和の環」のうち、好ましくは「不飽和の環」である。
本明細書に別途記載のない限り、「単環」は、好ましくはベンゼン環である。
本明細書に別途記載のない限り、「不飽和の環」は、好ましくはベンゼン環である。
「隣接する2つ以上からなる組の1組以上」が、「互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、又は「互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは、隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、母骨格の複数の原子と、1個以上15個以下の炭素元素、窒素元素、酸素元素、及び硫黄元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素とからなる置換もしくは無置換の「不飽和の環」を形成する。
上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基は、例えば後述する「任意の置換基」である。上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基である。
上記の「飽和の環」、又は「不飽和の環」が置換基を有する場合の置換基は、例えば後述する「任意の置換基」である。上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基である。
以上が、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、及び「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合(「結合して環を形成する場合」)についての説明である。
・「置換もしくは無置換の」という場合の置換基
本明細書における一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基(本明細書において、「任意の置換基」と呼ぶことがある。)は、例えば、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)、
-O-(R904)、
-S-(R905)、
-N(R906)(R907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び
無置換の環形成原子数5~50の複素環基
からなる群から選択される基等であり、
ここで、R901~R907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
901が2個以上存在する場合、2個以上のR901は、互いに同一であるか、又は異なり、
902が2個以上存在する場合、2個以上のR902は、互いに同一であるか、又は異なり、
903が2個以上存在する場合、2個以上のR903は、互いに同一であるか、又は異なり、
904が2個以上存在する場合、2個以上のR904は、互いに同一であるか、又は異なり、
905が2個以上存在する場合、2個以上のR905は、互いに同一であるか、又は異なり、
906が2個以上存在する場合、2個以上のR906は、互いに同一であるか、又は異なり、
907が2個以上存在する場合、2個以上のR907は、互いに同一であるか又は異なる。
一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、
炭素数1~50のアルキル基、
環形成炭素数6~50のアリール基、及び
環形成原子数5~50の複素環基
からなる群から選択される基である。
一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、
炭素数1~18のアルキル基、
環形成炭素数6~18のアリール基、及び
環形成原子数5~18の複素環基
からなる群から選択される基である。
上記任意の置換基の各基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基の具体例である。
本明細書において別途記載のない限り、隣接する任意の置換基同士で、「飽和の環」、又は「不飽和の環」を形成してもよく、好ましくは、置換もしくは無置換の飽和の5員環、置換もしくは無置換の飽和の6員環、置換もしくは無置換の不飽和の5員環、又は置換もしくは無置換の不飽和の6員環を形成し、より好ましくは、ベンゼン環を形成する。
本明細書において別途記載のない限り、任意の置換基は、さらに置換基を有してもよい。任意の置換基がさらに有する置換基としては、上記任意の置換基と同様である。
本明細書において、「AA~BB」を用いて表される数値範囲は、「AA~BB」の前に記載される数値AAを下限値とし、「AA~BB」の後に記載される数値BBを上限値として含む範囲を意味する。
〔第一実施形態〕
(化合物)
本実施形態に係る化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2023128955000028
(前記一般式(1)において、
CNは、シアノ基であり、
11は、下記一般式(11)、(12)又は(13)で表される基であり、但し、少なくとも1つのD11は、下記一般式(12)又は(13)で表される基であり、
12は、下記一般式(16)で表される基であり、
Rは、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
但し、少なくとも1つのRは、置換基であり、少なくとも1つの置換基としてのRは、前記一般式(1)中のベンゼン環との炭素-炭素結合により結合し、
kは、1又は2であり、
mは、1又は2であり、
nは、1又は2であり、
k+m+nは、4であり、
kが2のとき、2つのD11は、互いに同一であるか、又は異なり、
mが2のとき、2つのD12は、互いに同一であるか、又は異なり、
nが2のとき、2つのRは、互いに同一であるか、又は異なる。)
Figure 2023128955000029
Figure 2023128955000030
Figure 2023128955000031
(前記一般式(12)におけるR11~R18のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記一般式(13)におけるR111~R118のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記一般式(11)におけるR~R、前記一般式(12)における置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR11~R18、並びに前記一般式(13)における置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR111~R118は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
前記一般式(12)及び前記一般式(13)において、
環A、環B及び環Cは、それぞれ独立に、下記一般式(14)及び一般式(15)で表される環構造からなる群から選択されるいずれかの環構造であり、
環A、環B及び環Cは、隣接する環と任意の位置で縮合し、
p、px及びpyは、それぞれ独立に、1、2、3又は4であり、
pが2、3又は4の場合、複数の環Aは、互いに同一であるか、又は異なり、
pxが2、3又は4の場合、複数の環Bは、互いに同一であるか、又は異なり、
pyが2、3又は4の場合、複数の環Cは、互いに同一であるか、又は異なり、
前記一般式(11)~(13)中の*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。)
Figure 2023128955000032
(前記一般式(14)において、
rは、0、2又は4であり、
複数のR19からなる組が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記一般式(15)において、Xは、硫黄原子又は酸素原子であり、
置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR19は、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
複数のR19は、互いに同一であるか又は異なり、
複数のXは、互いに同一であるか又は異なる。)
Figure 2023128955000033
(前記一般式(16)におけるR132~R135のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
131、及び置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR132~R135は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
ただし、R131は、水素原子ではない。
前記一般式(16)中の*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。)
(一般式中、R901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R908、R909、R931、R932、R933、R934、R935、R936及びR937は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、
902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、
903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、
904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、
905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、
906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、
907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、
908が複数存在する場合、複数のR908は、互いに同一であるか又は異なり、
909が複数存在する場合、複数のR909は、互いに同一であるか又は異なり、
931が複数存在する場合、複数のR931は、互いに同一であるか又は異なり、
932が複数存在する場合、複数のR932は、互いに同一であるか又は異なり、
933が複数存在する場合、複数のR933は、互いに同一であるか又は異なり、
934が複数存在する場合、複数のR934は、互いに同一であるか又は異なり、
935が複数存在する場合、複数のR935は、互いに同一であるか又は異なり、
936が複数存在する場合、複数のR936は、互いに同一であるか又は異なり、
937が複数存在する場合、複数のR937は、互いに同一であるか又は異なる。)
本実施形態に係る化合物(一般式(1)で表される化合物)は、前記一般式(16)で表される基のようなベンズイミダゾール骨格を有することで、基底状態と最低励起一重項状態とのバンドギャップが広がる。有機EL素子の有機層に本実施形態に係る化合物を含有させることで、励起子を有機層中に封じ込める効果が向上し、その結果、有機EL素子の発光効率が向上する。
本実施形態に係る化合物において、少なくとも1つのD11は、下記一般式(121)、(122)又は(131)で表される基であることが好ましい。
Figure 2023128955000034
Figure 2023128955000035
Figure 2023128955000036
(前記一般式(121)及び(122)において、R11~R18は、それぞれ、前記一般式(12)におけるR11~R18と同義であり、
環A1、環A、環A及び環Aの内、2つが前記一般式(14)で表される環構造であり、残りの2つが前記一般式(15)で表される環構造であり、
前記一般式(131)において、R111~R118は、それぞれ、前記一般式(13)におけるR111~R118と同義であり、
環B及び環Bの一方が、前記一般式(14)で表される環構造であり、環B及び環Bの他方が、前記一般式(15)で表される環構造であり、
環C及び環Cの一方が、前記一般式(14)で表される環構造であり、環C及び環Cの他方が、前記一般式(15)で表される環構造であり、
前記一般式(121)、(122)及び(131)中の*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。)
本実施形態に係る化合物において、環A及び環Aが、前記一般式(14)で表される環構造であり、環A及び環Aが前記一般式(15)で表される環構造であることが好ましい。
本実施形態において、環Bが、前記一般式(14)で表される環構造であり、環Bが、前記一般式(15)で表される環構造であり、環Cが、前記一般式(14)で表される環構造であり、環Cが、前記一般式(15)で表される環構造であることが好ましい。
本実施形態に係る化合物において、少なくとも1つのD11が、前記一般式(131)で表される基であることも好ましい。
本実施形態に係る化合物において、少なくとも1つのD11が、下記一般式(123)、(124)、(125)又は(132)で表される基であることも好ましい。
Figure 2023128955000037
Figure 2023128955000038
Figure 2023128955000039
Figure 2023128955000040
(前記一般式(123)、(124)及び(125)において、R11~R18は、それぞれ、前記一般式(12)におけるR11~R18と同義であり、R191~R194は、それぞれ独立に、前記一般式(14)におけるR19と同義であり、
前記一般式(132)において、R111~R118は、それぞれ、前記一般式(13)におけるR111~R118と同義であり、R195~R198は、それぞれ独立に、前記一般式(14)におけるR19と同義であり、
前記一般式(123)、(124)、(125)及び(132)において、X11及びX12は、それぞれ独立に、前記一般式(15)におけるXと同義であり、*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。)
本実施形態に係る化合物において、X11が硫黄原子であることが好ましい。
本実施形態に係る化合物において、少なくとも1つのD11が、前記一般式(132)で表される基であることも好ましい。
本実施形態に係る化合物において、少なくとも1つのD11が、下記一般式(12A)、(12B)、(12C)、(12D)、(12E)及び(12F)で表される基からなる群から選択されるいずれかの基であることも好ましい。
Figure 2023128955000041
Figure 2023128955000042
Figure 2023128955000043
Figure 2023128955000044
Figure 2023128955000045
Figure 2023128955000046
(前記一般式(12A)、(12B)、(12C)、(12D)、(12E)及び(12F)において、
11~R18は、それぞれに、前記一般式(12)におけるR11~R18と同義であり、
19及びR20は、それぞれ独立に、前記一般式(14)におけるR19と同義であり、
は、前記一般式(15)におけるXと同義であり、
前記一般式(12A)、(12B)、(12C)、(12D)、(12E)及び(12F)中の*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。)
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(110)、一般式(120)又は一般式(130)で表されることが好ましい。
Figure 2023128955000047
(前記一般式(110)、一般式(120)及び一般式(130)において、D11、D12、R、k、m及びnは、それぞれ、前記一般式(1)におけるD11、D12、R、k、m及びnと同義である。)
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(1)中のkが1であり、mが1であり、nが2であることが好ましい。
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(101)で表されることが好ましい。
Figure 2023128955000048
(前記一般式(101)において、D11は、前記一般式(1)におけるD11と同義であり、R101及びR102は、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるRと同義であり、R131~R135は、それぞれ、前記一般式(16)におけるR131~R135と同義である。)
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(112)又は(113)で表されることが好ましい。
Figure 2023128955000049
(前記一般式(112)及び(113)において、
12は、前記一般式(1)におけるD12と同義であり、
101及びR102は、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるRと同義であり、
前記一般式(112)において、
11~R18は、それぞれ、前記一般式(12)におけるR11~R18と同義であり、
19及びR20は、それぞれ独立に、前記一般式(14)におけるR19と同義であり、
は、前記一般式(15)におけるXと同義であり、
前記一般式(113)において、
111~R118は、それぞれ、前記一般式(13)におけるR111~R118と同義であり、
195~R198は、それぞれ独立に、前記一般式(14)におけるR19と同義であり、
11及びX12は、それぞれ独立に、前記一般式(15)におけるXと同義である。)
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(102)又は(103)で表されることが好ましい。
Figure 2023128955000050
Figure 2023128955000051
(前記一般式(102)及び(103)において、
101及びR102は、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるRと同義であり、
131~R135は、それぞれ、前記一般式(16)におけるR131~R135と同義であり、
前記一般式(102)において、
11~R18は、それぞれ、前記一般式(12)におけるR11~R18と同義であり、
19及びR20は、それぞれ独立に、前記一般式(14)におけるR19と同義であり、
は、前記一般式(15)におけるXと同義であり、
前記一般式(103)において、
111~R118は、それぞれ、前記一般式(13)におけるR111~R118と同義であり、
195~R198は、それぞれ独立に、前記一般式(14)におけるR19と同義であり、
11及びX12は、それぞれ独立に、前記一般式(15)におけるXと同義である。)
本実施形態に係る化合物において、R131は、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、-S-(R905)で表される基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であることが好ましい。
本実施形態に係る化合物において、R131は、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~18のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~18の複素環基であることが好ましい。
本実施形態に係る化合物において、R132~R135のうちの隣接する2つ以上からなる組は、いずれも、互いに結合しないことも好ましい。
本実施形態に係る化合物において、R132及びR133からなる組、R133及びR134からなる組、並びにR134及びR135からなる組のいずれか1組が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、又は互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成することも好ましい。
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(16)で表される基は、下記一般式(161)~(169)で表される基からなる群から選択される1つ以上の基であることも好ましい。
Figure 2023128955000052
(前記一般式(161)~(169)において、
131は、前記一般式(16)におけるR131と同義であり、
132~R135並びにR161~R164は、それぞれ独立に、前記一般式(16)におけるR132~R135と同義であり、
は、硫黄原子、酸素原子又はC(R165)(R166)であり、
165及びR166からなる組が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR165及びR166は、それぞれ独立に、前記一般式(16)におけるR132~R135と同義であり、
*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。)
本実施形態に係る化合物において、R11~R18のうちの隣接する2つ以上からなる組は、いずれも互いに結合せず、R111~R118のうちの隣接する2つ以上からなる組は、いずれも互いに結合しないことが好ましい。
本実施形態に係る化合物において、隣接する2つのRからなる組は、互いに結合しない。
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(1)におけるRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基であることが好ましい。
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(1)におけるRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~18のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~18の複素環基であることが好ましい。
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(1)中のRは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のフェニル基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数6の複素環基であることが好ましい。
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(11)におけるR~R、前記一般式(12)におけるR11~R18、前記一般式(13)におけるR111~R118並びに前記一般式(14)におけるR19は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基であることが好ましい。
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(11)におけるR~R、前記一般式(12)におけるR11~R18、前記一般式(13)におけるR111~R118並びに前記一般式(14)におけるR19は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~18のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~18の複素環基であることが好ましい。
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(1)におけるRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基であり、
前記一般式(11)におけるR~R、前記一般式(12)におけるR11~R18、前記一般式(13)におけるR111~R118並びに前記一般式(14)におけるR19は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基であることが好ましい。
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(1)におけるRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~18のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~18の複素環基であり、
前記一般式(11)におけるR~R、前記一般式(12)におけるR11~R18、前記一般式(13)におけるR111~R118並びに前記一般式(14)におけるR19は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~18のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~18の複素環基であることが好ましい。
本実施形態に係る化合物は、遅延蛍光性の化合物であることが好ましい。
・遅延蛍光性
遅延蛍光については、「有機半導体のデバイス物性」(安達千波矢編、講談社発行)の261~268ページで解説されている。その文献の中で、蛍光発光材料の励起一重項状態と励起三重項状態のエネルギー差ΔE13を小さくすることができれば、通常は遷移確率が低い励起三重項状態から励起一重項状態への逆エネルギー移動が高効率で生じ、熱活性化遅延蛍光(ThermallyActivated delayed Fluorescence,TADF)が発現すると説明されている。さらに、当該文献中の図10.38で、遅延蛍光の発生メカニズムが説明されている。本実施形態に係る化合物は、このようなメカニズムで発生する熱活性化遅延蛍光を示す化合物であることが好ましい。
一般に、遅延蛍光の発光は過渡PL(Photo Luminescence)測定により確認できる。
過渡PL測定から得た減衰曲線に基づいて遅延蛍光の挙動を解析することもできる。過渡PL測定とは、試料にパルスレーザーを照射して励起させ、照射を止めた後のPL発光の減衰挙動(過渡特性)を測定する手法である。TADF材料におけるPL発光は、最初のPL励起で生成する一重項励起子からの発光成分と、三重項励起子を経由して生成する一重項励起子からの発光成分に分類される。最初のPL励起で生成する一重項励起子の寿命は、ナノ秒オーダーであり、非常に短い。そのため、当該一重項励起子からの発光は、パルスレーザーを照射後、速やかに減衰する。
一方、遅延蛍光は、寿命の長い三重項励起子を経由して生成する一重項励起子からの発光のため、ゆるやかに減衰する。このように最初のPL励起で生成する一重項励起子からの発光と、三重項励起子を経由して生成する一重項励起子からの発光とでは、時間的に大きな差がある。そのため、遅延蛍光由来の発光強度を求めることができる。
図1には、過渡PLを測定するための例示的装置の概略図が示されている。図1を用いた過渡PLの測定方法、及び遅延蛍光の挙動解析の一例を説明する。
図1の過渡PL測定装置100は、所定波長の光を照射可能なパルスレーザー部101と、測定試料を収容する試料室102と、測定試料から放射された光を分光する分光器103と、2次元像を結像するためのストリークカメラ104と、2次元像を取り込んで解析するパーソナルコンピュータ105とを備える。なお、過渡PLの測定は、図1に記載の装置に限定されない。
試料室102に収容される試料は、マトリックス材料に対し、ドーピング材料が12質量%の濃度でドープされた薄膜を石英基板に成膜することで得られる。
試料室102に収容された薄膜試料に対し、パルスレーザー部101からパルスレーザーを照射してドーピング材料を励起させる。励起光の照射方向に対して90度の方向へ発光を取り出し、取り出した光を分光器103で分光し、ストリークカメラ104内で2次元像を結像する。その結果、縦軸が時間に対応し、横軸が波長に対応し、輝点が発光強度に対応する2次元画像を得ることができる。この2次元画像を所定の時間軸で切り出すと、縦軸が発光強度であり、横軸が波長である発光スペクトルを得ることができる。また、当該2次元画像を波長軸で切り出すと、縦軸が発光強度の対数であり、横軸が時間である減衰曲線(過渡PL)を得ることができる。
例えば、マトリックス材料として、下記参考化合物H1を用い、ドーピング材料として下記参考化合物D1を用いて上述のようにして薄膜試料Aを作製し、過渡PL測定を行った。
ここでは、前述の薄膜試料A、及び薄膜試料Bを用いて減衰曲線を解析した。薄膜試料Bは、マトリックス材料として下記参考化合物H2を用い、ドーピング材料として前記参考化合物D1を用いて、上述のようにして薄膜試料を作製した。
図2には、薄膜試料A及び薄膜試料Bについて測定した過渡PLから得た減衰曲線が示されている。
上記したように過渡PL測定によって、縦軸を発光強度とし、横軸を時間とする発光減衰曲線を得ることができる。この発光減衰曲線に基づいて、光励起により生成した一重項励起状態から発光する蛍光と、三重項励起状態を経由し、逆エネルギー移動により生成する一重項励起状態から発光する遅延蛍光との、蛍光強度比を見積もることができる。遅延蛍光性の材料では、素早く減衰する蛍光の強度に対し、緩やかに減衰する遅延蛍光の強度の割合が、ある程度大きい。
具体的には、遅延蛍光性の材料からの発光としては、Prompt発光(即時発光)と、Delay発光(遅延発光)とが存在する。Prompt発光(即時発光)とは、当該遅延蛍光性の材料が吸収する波長のパルス光(パルスレーザーから照射される光)で励起された後、当該励起状態から即座に観察される発光である。Delay発光(遅延発光)とは、当該パルス光による励起後、即座には観察されず、その後観察される発光である。
Prompt発光とDelay発光の量とその比は、“Nature 492,234-238,2012”(参考文献1)に記載された方法と同様の方法により求めることができる。なお、Prompt発光とDelay発光の量の算出に使用される装置は、前記参考文献1に記載の装置、または図1に記載の装置に限定されない。
また、本実施形態に係る化合物の遅延蛍光性の測定には、次に示す方法により作製した試料を用いる。例えば、本実施形態に係る化合物をトルエンに溶解し、自己吸収の寄与を取り除くため励起波長において吸光度が0.05以下の希薄溶液を調製する。また酸素による消光を防ぐため、試料溶液を凍結脱気した後にアルゴン雰囲気下で蓋付きのセルに封入することで、アルゴンで飽和された酸素フリーの試料溶液とする。
上記試料溶液の蛍光スペクトルを分光蛍光光度計FP-8600(日本分光社製)で測定し、また同条件で9,10-ジフェニルアントラセンのエタノール溶液の蛍光スペクトルを測定する。両スペクトルの蛍光面積強度を用いて、Morris et al. J.Phys.Chem.80(1976)969中の(1)式により全蛍光量子収率を算出する。
本実施形態においては、測定対象化合物のPrompt発光(即時発光)の量をXとし、Delay発光(遅延発光)の量をXとしたときに、X/Xの値が0.05以上であることが好ましい。
本明細書における本実施形態に係る化合物以外の化合物のPrompt発光とDelay発光の量とその比の測定も、本実施形態に係る化合物のPrompt発光とDelay発光の量とその比の測定と同様である。
・ΔST
本実施形態では、最低励起一重項エネルギーSと、77[K]におけるエネルギーギャップT77Kとの差(S-T77K)をΔSTとして定義する。
本実施形態に係る化合物の最低励起一重項エネルギーS(M1)と、本実施形態に係る化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M1)との差ΔST(M1)は、好ましくは0.3eV未満、より好ましくは0.2eV未満、さらに好ましくは0.1eV未満である。すなわち、ΔST(M1)は、下記数式(数10)、(数11)、(数12)又は(数13)の関係を満たすことが好ましい。
ΔST(M1)=S(M1)-T77K(M1)<0.3eV …(数10)
ΔST(M1)=S(M1)-T77K(M1)<0.2eV …(数11)
ΔST(M1)=S(M1)-T77K(M1)<0.1eV …(数12)
ΔST(M1)=S(M1)-T77K(M1)<0.01eV…(数13)
・三重項エネルギーと77[K]におけるエネルギーギャップとの関係
ここで、三重項エネルギーと77[K]におけるエネルギーギャップとの関係について説明する。本実施形態では、77[K]におけるエネルギーギャップは、通常定義される三重項エネルギーとは異なる点がある。
三重項エネルギーの測定は、次のようにして行われる。まず、測定対象となる化合物を適切な溶媒中に溶解した溶液を石英ガラス管内に封入した試料を作製する。この試料について、低温(77[K])で燐光スペクトル(縦軸:燐光発光強度、横軸:波長とする。)を測定し、この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値に基づいて、所定の換算式から三重項エネルギーを算出する。
ここで、本実施形態に係る化合物の内、熱活性化遅延蛍光性の化合物は、ΔSTが小さい化合物であることが好ましい。ΔSTが小さいと、低温(77[K])状態でも、項間交差、及び逆項間交差が起こりやすく、励起一重項状態と励起三重項状態とが混在する。その結果、上記と同様にして測定されるスペクトルは、励起一重項状態、及び励起三重項状態の両者からの発光を含んでおり、いずれの状態から発光したのかについて峻別することは困難であるが、基本的には三重項エネルギーの値が支配的と考えられる。
そのため、本実施形態では、通常の三重項エネルギーTと測定手法は同じであるが、その厳密な意味において異なることを区別するため、次のようにして測定される値をエネルギーギャップT77Kと称する。測定対象となる化合物をEPA(ジエチルエーテル:イソペンタン:エタノール=5:5:2(容積比))中に、濃度が10μmol/Lとなるように溶解し、この溶液を石英セル中に入れて測定試料とする。この測定試料について、低温(77[K])で燐光スペクトル(縦軸:燐光発光強度、横軸:波長とする。)を測定し、この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]に基づいて、次の換算式(F1)から算出されるエネルギー量を77[K]におけるエネルギーギャップT77Kとする。
換算式(F1):T77K[eV]=1239.85/λedge
燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線は以下のように引く。燐光スペクトルの短波長側から、スペクトルの極大値のうち、最も短波長側の極大値までスペクトル曲線上を移動する際に、長波長側に向けて曲線上の各点における接線を考える。この接線は、曲線が立ち上がるにつれ(つまり縦軸が増加するにつれ)、傾きが増加する。この傾きの値が極大値をとる点において引いた接線(すなわち変曲点における接線)が、当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とする。
なお、スペクトルの最大ピーク強度の15%以下のピーク強度をもつ極大点は、上述の最も短波長側の極大値には含めず、最も短波長側の極大値に最も近い、傾きの値が極大値をとる点において引いた接線を当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とする。
燐光の測定には、(株)日立ハイテクノロジー製のF-4500形分光蛍光光度計本体を用いることができる。なお、測定装置はこの限りではなく、冷却装置、及び低温用容器と、励起光源と、受光装置とを組み合わせることにより、測定してもよい。
・最低励起一重項エネルギーS
溶液を用いた最低励起一重項エネルギーSの測定方法(溶液法と称する場合がある。)としては、下記の方法が挙げられる。
測定対象となる化合物の10μmol/Lトルエン溶液を調製して石英セルに入れ、常温(300K)でこの試料の吸収スペクトル(縦軸:吸収強度、横軸:波長とする。)を測定する。この吸収スペクトルの長波長側の立ち下がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]を次に示す換算式(F2)に代入して最低励起一重項エネルギーを算出する。
換算式(F2):S[eV]=1239.85/λedge
吸収スペクトル測定装置としては、例えば、日立社製の分光光度計(装置名:U3310)が挙げられるが、これに限定されない。
吸収スペクトルの長波長側の立ち下がりに対する接線は以下のように引く。吸収スペクトルの極大値のうち、最も長波長側の極大値から長波長方向にスペクトル曲線上を移動する際に、曲線上の各点における接線を考える。この接線は、曲線が立ち下がるにつれ(つまり縦軸の値が減少するにつれ)、傾きが減少しその後増加することを繰り返す。傾きの値が最も長波長側(ただし、吸光度が0.1以下となる場合は除く)で極小値をとる点において引いた接線を当該吸収スペクトルの長波長側の立ち下がりに対する接線とする。
なお、吸光度の値が0.2以下の極大点は、上記最も長波長側の極大値には含めない。
(本実施形態に係る化合物の製造方法)
本実施形態に係る化合物は、後述する実施例に記載の合成方法に従って、又は当該合成方法に倣い、目的物に合わせた既知の代替反応及び原料を用いることで、製造できる。
(本実施形態に係る化合物の具体例)
本実施形態に係る化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。ただし、本発明は、これら具体例に限定されない。本明細書において、重水素原子は、化学式中でDと表記し、軽水素原子は、Hと表記するか又は記載を省略する。
Figure 2023128955000055
Figure 2023128955000056
Figure 2023128955000057
Figure 2023128955000058
Figure 2023128955000059
Figure 2023128955000060
Figure 2023128955000061
Figure 2023128955000062
Figure 2023128955000063
Figure 2023128955000064
Figure 2023128955000065
Figure 2023128955000066
Figure 2023128955000067
Figure 2023128955000068
Figure 2023128955000069
Figure 2023128955000070
Figure 2023128955000071
Figure 2023128955000072
Figure 2023128955000073
Figure 2023128955000074
Figure 2023128955000075
Figure 2023128955000076
Figure 2023128955000077
Figure 2023128955000078
Figure 2023128955000079
〔第二実施形態〕
(有機エレクトロルミネッセンス素子用材料)
本実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、第一実施形態に係る化合物(前記一般式(1)で表される化合物)を含有する。有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を有機EL素子用材料と略記する場合がある。一態様としては、第一実施形態に係る化合物のみを含む有機EL素子用材料が挙げられ、別の一態様としては、第一実施形態に係る化合物と、第一実施形態における化合物とは異なる他の化合物とを含む有機EL素子用材料が挙げられる。
本実施形態の有機EL素子用材料において、第一実施形態に係る化合物がホスト材料であることが好ましい。この場合、有機EL素子用材料は、ホスト材料としての第一実施形態に係る化合物と、例えば、ドーパント材料等の他の化合物とを含んでいてもよい。
また、本実施形態の有機EL素子用材料において、第一実施形態に係る化合物が熱活性化遅延蛍光性材料であることが好ましい。
〔第三実施形態〕
(有機エレクトロルミネッセンス素子)
本実施形態に係る有機EL素子について説明する。
本実施形態に係る有機EL素子は、陽極及び陰極の両電極間に有機層を備える。この有機層は、有機化合物で構成される層を少なくとも一つ含む。あるいは、この有機層は、有機化合物で構成される複数の層が積層されてなる。有機層は、無機化合物をさらに含んでいてもよい。
本実施形態に係る有機EL素子は、陽極と、陰極と、有機層と、を有し、有機層は、第一実施形態に係る化合物を第一の化合物として含む。
本実施形態に係る有機EL素子において、有機層は、少なくとも1つの発光層を有し、発光層が第一実施形態に係る化合物を第一の化合物として含むことが好ましい。
有機層は、例えば、一つの発光層で構成されていてもよいし、有機EL素子に採用され得る層を含んでいてもよい。有機EL素子に採用され得る層としては、特に限定されないが、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子障壁層、正孔障壁層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択される少なくともいずれかの層が挙げられる。
一実施形態において、発光層は、金属錯体を含んでもよい。
また、一実施形態において、発光層は、金属錯体を含まないことも好ましい。
また、一実施形態において、発光層は、燐光発光性材料(ドーパント材料)を含まないことが好ましい。
また、一実施形態において、発光層は、重金属錯体及び燐光発光性の希土類金属錯体を含まないことが好ましい。重金属錯体としては、例えば、イリジウム錯体、オスミウム錯体、及び白金錯体等が挙げられる。
図3に、本実施形態に係る有機EL素子の一例の概略構成を示す。
有機EL素子1は、透光性の基板2と、陽極3と、陰極4と、陽極3と陰極4との間に配置された有機層10と、を含む。有機層10は、陽極3側から順に、正孔注入層6、正孔輸送層7、発光層5、電子輸送層8及び電子注入層9が、この順番で積層されて構成される。本発明は、図3に示す有機EL素子の構成に限定されない。
(発光層)
本実施形態の有機EL素子において、発光層は、第一の化合物及び第二の化合物を含む。発光層における第一の化合物は、第一実施形態に係る化合物であることが好ましい。この態様の場合、第一の化合物は、ホスト材料(マトリックス材料と称する場合もある。)であることが好ましく、第二の化合物は、ドーパント材料(ゲスト材料、エミッター、又は発光材料と称する場合もある。)であることも好ましい。
本実施形態において、発光層が第一実施形態に係る化合物を含む場合、当該発光層は、燐光発光性の金属錯体を含まないことが好ましく、燐光発光性の金属錯体以外の金属錯体も含まないことが好ましい。
(第一の化合物)
第一の化合物は、第一実施形態に係る化合物である。本実施形態の第一の化合物は、熱活性化遅延蛍光性の化合物であることが好ましい。
(第二の化合物)
第二の化合物は、蛍光発光性の化合物であることが好ましい。第二の化合物は、熱活性化遅延蛍光性を示さない化合物であることが好ましい。
本実施形態の第二の化合物は、燐光発光性の金属錯体ではない。第二の化合物は、重金属錯体ではないことが好ましい。また、第二の化合物は、金属錯体ではないことが好ましい。
本実施形態の第二の化合物としては、蛍光発光性材料を用いることができる。蛍光発光性材料としては、具体的には、例えば、ビスアリールアミノナフタレン誘導体、アリール置換ナフタレン誘導体、ビスアリールアミノアントラセン誘導体、アリール置換アントラセン誘導体、ビスアリールアミノピレン誘導体、アリール置換ピレン誘導体、ビスアリールアミノクリセン誘導体、アリール置換クリセン誘導体、ビスアリールアミノフルオランテン誘導体、アリール置換フルオランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、アセナフトフルオランテン誘導体、ホウ素原子を含む化合物、ピロメテンホウ素錯体化合物、ピロメテン骨格を有する化合物、ピロメテン骨格を有する化合物の金属錯体、ジケトピロロピロール誘導体、ペリレン誘導体、及びナフタセン誘導体などが挙げられる。
第二の化合物は、最大ピーク波長が、400nm以上700nm以下の発光を示す化合物であることが好ましい。
本明細書において、最大ピーク波長とは、測定対象化合物が10-6モル/リットル以上10-5モル/リットル以下の濃度で溶解しているトルエン溶液について、測定した蛍光スペクトルにおける発光強度が最大となる蛍光スペクトルのピーク波長をいう。測定装置は、分光蛍光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、F-7000)を用いる。
第二の化合物は、赤色の発光又は緑色の発光を示すことが好ましい。
本明細書において、赤色の発光とは、蛍光スペクトルの最大ピーク波長が600nm以上660nm以下の範囲内である発光をいう。
第二の化合物が赤色の蛍光発光性の化合物である場合、第二の化合物の最大ピーク波長は、好ましくは600nm以上660nm以下、より好ましくは600nm以上640nm以下、さらに好ましくは610nm以上630nm以下である。
本明細書において、緑色の発光とは、蛍光スペクトルの最大ピーク波長が500nm以上560nm以下の範囲内である発光をいう。
第二の化合物が緑色の蛍光発光性の化合物である場合、第二の化合物の最大ピーク波長は、好ましくは500nm以上560nm以下、より好ましくは500nm以上540nm以下、さらに好ましくは510nm以上540nm以下である。
本明細書において、青色の発光とは、蛍光スペクトルの最大ピーク波長が430nm以上480nm以下の範囲内である発光をいう。
第二の化合物が青色の蛍光発光性の化合物である場合、第二の化合物の最大ピーク波長は、好ましくは430nm以上480nm以下、より好ましくは440nm以上480nm以下である。
有機EL素子からから発光する光の最大ピーク波長の測定は、以下のようにして行う。
電流密度が10mA/cmとなるように有機EL素子に電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ社製)で計測する。
得られた分光放射輝度スペクトルにおいて、発光強度が最大となる発光スペクトルのピーク波長を測定し、これを最大ピーク波長(単位:nm)とする。
(一般式(D1)で表される化合物)
本実施形態において、第二の化合物は、下記一般式(D1)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2023128955000080
(前記一般式(D1)において、
環Ax、環Bx、環Dx、環Ex及び環Fxは、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール環、及び
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環
からなる群から選択される環構造であり、
環Bx及び環Dxの一方が存在するか、又は環Bx及び環Dxの両方が存在し、
環Bx及び環Dxの両方が存在する場合、環Bx及び環Dxは、ZcとZhとを繋ぐ結合を共有し、
環Ex及び環Fxの一方が存在するか、又は環Ex及び環Fxの両方が存在し、
環Ex及び環Fxの両方が存在する場合、環Ex及び環Fxは、ZfとZiとを繋ぐ結合を共有し、
Zaは、窒素原子又は炭素原子であり、
Zbは、
環Bxが存在する場合、窒素原子又は炭素原子であり、
環Bxが存在しない場合、酸素原子、硫黄原子、NRb、C(Rb)(Rb)又はSi(Rb)(Rb)であり、
Zcは、窒素原子又は炭素原子であり、
Zdは、
環Dxが存在する場合、窒素原子又は炭素原子であり、
環Dxが存在しない場合、酸素原子、硫黄原子又はNRdであり、
Zeは、
環Exが存在する場合、窒素原子又は炭素原子であり、
環Exが存在しない場合、酸素原子、硫黄原子又はNReであり、
Zfは、窒素原子又は炭素原子であり、
Zgは、
環Fxが存在する場合、窒素原子又は炭素原子であり、
環Fxが存在しない場合、酸素原子、硫黄原子、NRg、C(Rg)(Rg)又はSi(Rg)(Rg)であり、
Zhは、窒素原子又は炭素原子であり、
Ziは、窒素原子又は炭素原子であり、
Yは、ホウ素原子、リン原子、SiRh、P=O又はP=Sであり、
Rb、Rb、Rb、Rb、Rb、Rd、Re、Rg、Rg、Rg、Rg、Rg及びRhは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基であり、
置換基としてのRb、Rb、Rb、Rb、Rb、Rd、Re、Rg、Rg、Rg、Rg、Rg及びRhは、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~30のシクロアルキル基、
-Si(R911)(R912)(R913)で表される基、
-O-(R914)で表される基、
-S-(R915)で表される基、又は
-N(R916)(R917)で表される基であり、
ただし、YとZaとの結合、YとZdとの結合、並びにYとZeとの結合は、いずれも単結合である。)
第二の化合物において、YとZaとの結合、YとZdとの結合、並びにYとZeとの結合は、いずれも単結合であり、この単結合は、共有結合であり、配位結合ではない。
本明細書において、複素環としては、例えば、前述の「本明細書に記載の置換基」で例示した「複素環基」から結合手を除いた環構造(複素環)が挙げられる。これらの複素環は置換基を有していてもよいし、無置換でもよい。
本明細書において、アリール環としては、例えば、前述の「本明細書に記載の置換基」で例示した「アリール基」から結合手を除いた環構造(アリール環)が挙げられる。これらのアリール環は置換基を有していてもよいし、無置換でもよい。
(一般式(D11)で表される化合物)
本実施形態に係る有機EL素子において、第二の化合物は、下記一般式(D11)で表される化合物であることも好ましい。前記一般式(D1)で表される化合物は、下記一般式(D11)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2023128955000081
(前記一般式(D11)において、
環Ax、環Dx及び環Exは、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール環、及び
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環
からなる群から選択される環構造であり、
Zaは、窒素原子又は炭素原子であり、
Zbは、酸素原子、硫黄原子、NRb、C(Rb)(Rb)又はSi(Rb)(Rb)であり、
Zcは、窒素原子又は炭素原子であり、
Zdは、窒素原子又は炭素原子であり、
Zeは、窒素原子又は炭素原子であり、
Zfは、窒素原子又は炭素原子であり、
Zgは、酸素原子、硫黄原子、NRg、C(Rg)(Rg)又はSi(Rg)(Rg)であり、
Zhは、窒素原子又は炭素原子であり、
Ziは、窒素原子又は炭素原子であり、
Yは、ホウ素原子、リン原子、SiRh、P=O又はP=Sであり、
Rb、Rb、Rb、Rb、Rb、Rg、Rg、Rg、Rg、Rg及びRhは、それぞれ独立に、前記一般式(D1)におけるRb、Rb、Rb、Rb、Rb、Rg、Rg、Rg、Rg、Rg及びRhと同義である。)
(一般式(D10)で表される化合物)
本実施形態に係る有機EL素子において、第二の化合物は、下記一般式(D10)で表される化合物であることも好ましい。前記一般式(D1)で表される化合物は、下記一般式(D10)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2023128955000082
(前記一般式(D10)において、
は、CRまたは窒素原子であり、
は、CRまたは窒素原子であり、
は、CRまたは窒素原子であり、
は、CRまたは窒素原子であり、
は、CRまたは窒素原子であり、
は、CRまたは窒素原子であり、
は、CRであるか、窒素原子であるか、またはXと単結合で結合する炭素原子であり、
は、CRであるか、窒素原子であるか、またはXと単結合で結合する炭素原子であり、
は、CRまたは窒素原子であり、
10は、CR10または窒素原子であり、
11は、CR11または窒素原子であり、
12は、CR12または窒素原子であり、
Qは、CRまたは窒素原子であり、
Yは、NRY1、酸素原子、硫黄原子、C(RY2)(RY3)またはSi(RY4)(RY5)であり、
~R並びにR~R11のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
3、およびRY1のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
3、およびRY1のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が互いに結合して形成された単環又は縮合環における少なくとも一つの水素は、
炭素数1~50のアルキル基、
環形成炭素数6~50のアリール基、
環形成原子数5~50の複素環基、
-O-(R920)で表される基、および
-N(R921)(R922)で表される基からなる群から選択される少なくともいずれかの置換基で置換されていているか、もしくは置換されておらず、
当該置換基における少なくとも一つの水素は、環形成炭素数6~50のアリール基または炭素数1~50のアルキル基で置換されているか、もしくは置換されておらず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR~R11、並びにR12~R13、およびRは、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R911)(R912)(R913)で表される基、
-O-(R914)で表される基、
-S-(R915)で表される基、
-N(R916)(R917)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R918で表される基、
-COOR919で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないRY1は、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
Y2およびRY3からなる組が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないRY2およびRY3、並びにRY4およびRY5は、それぞれ独立に、
水素原子、
ハロゲン原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
911~R922は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
911が複数存在する場合、複数のR911は、互いに同一であるか又は異なり、
912が複数存在する場合、複数のR912は、互いに同一であるか又は異なり、
913が複数存在する場合、複数のR913は、互いに同一であるか又は異なり、
914が複数存在する場合、複数のR914は、互いに同一であるか又は異なり、
915が複数存在する場合、複数のR915は、互いに同一であるか又は異なり、
916が複数存在する場合、複数のR916は、互いに同一であるか又は異なり、
917が複数存在する場合、複数のR917は、互いに同一であるか又は異なり、
918が複数存在する場合、複数のR918は、互いに同一であるか又は異なり、
919が複数存在する場合、複数のR919は、互いに同一であるか又は異なり、
920が複数存在する場合、複数のR920は、互いに同一であるか又は異なり、
921が複数存在する場合、複数のR921は、互いに同一であるか又は異なり、
922が複数存在する場合、複数のR922は、互いに同一であるか又は異なる。)
前記一般式(D10)で表される化合物において、XがXと単結合で結合する炭素原子であり、XがXと単結合で結合する炭素原子である場合、例えば、前記一般式(D10)は、下記一般式(D10A)で表される。
Figure 2023128955000083
(前記一般式(D10A)において、X~X、X~X12、Y、Q、及びR13は、それぞれ独立に、前記一般式(1)で定義した通りである。)
前記一般式(D10)で表される化合物は、下記一般式(D12)で表されることも好ましい。
Figure 2023128955000084
(前記一般式(D12)において、R~R13、RY1、Rは、それぞれ独立に、前記一般式(D10)で定義した通りである。)
前記一般式(D10)で表される化合物は、下記一般式(D12A)で表されることも好ましい。
Figure 2023128955000085
(前記一般式(D12A)において、R~R、R~R13、RY1、Rは、それぞれ独立に、前記一般式(D10)で定義した通りである。)
前記一般式(D10)で表される化合物は、下記一般式(D13)で表されることも好ましい。
Figure 2023128955000086
(前記一般式(D13)において、
~R、R~R13およびRは、それぞれ独立に、前記一般式(D10)で定義した通りであり、
x1~Rx4のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないRX1~Rx4は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-Si(R931)(R932)(R933)で表される基、
-O-(R934)で表される基、
-S-(R935)で表される基、
-N(R936)(R937)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R938で表される基、
-COOR939で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
931~R939は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
931が複数存在する場合、複数のR931は、互いに同一であるか又は異なり、
932が複数存在する場合、複数のR932は、互いに同一であるか又は異なり、
933が複数存在する場合、複数のR933は、互いに同一であるか又は異なり、
934が複数存在する場合、複数のR934は、互いに同一であるか又は異なり、
935が複数存在する場合、複数のR935は、互いに同一であるか又は異なり、
936が複数存在する場合、複数のR936は、互いに同一であるか又は異なり、
937が複数存在する場合、複数のR937は、互いに同一であるか又は異なり、
938が複数存在する場合、複数のR938は、互いに同一であるか又は異なり、
939が複数存在する場合、複数のR939は、互いに同一であるか又は異なる。)
なお、前記一般式(D13)において、例えば、R及びRからなる組が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合しない。
前記一般式(D10)で表される化合物は、下記一般式(D13A)で表されることも好ましい。
Figure 2023128955000087
(前記一般式(D13A)において、R~R、R~R、R~R13およびRは、それぞれ独立に、前記一般式(1)で定義した通りであり、Rx1~Rx4は、それぞれ独立に、前記一般式(D13)で定義した通りである。)
前記一般式(D10)で表される化合物において、R~R13及びRは、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50のヘテロアリール基であることも好ましい。
前記一般式(D10)で表される化合物において、R~R13及びRは、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~25のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~25のアリール基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5~25のヘテロアリール基であることも好ましい。
前記一般式(D10)で表される化合物において、R~R、R~R13、R及びRx1~Rx4は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50のヘテロアリール基であることも好ましい。
前記一般式(D10)で表される化合物において、R~R、R~R13、R及びRx1~Rx4は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~25のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~25のアリール基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5~25のヘテロアリール基であることも好ましい。
前記一般式(D10)で表される化合物において、R~R13、R及びRx1~Rx4は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50のヘテロアリール基であることが好ましい。
前記一般式(D10)で表される化合物において、R~R13、R及びRx1~Rx4は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~25のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~25のアリール基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5~25のヘテロアリール基であることが好ましい。
前記一般式(D10)で表される化合物は、下記一般式(D14)で表されることも好ましい。
Figure 2023128955000088
(前記一般式(D14)において、R、R6、13、およびRx2は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~10のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~12のアリール基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5~18のヘテロアリール基である。)
前記一般式(D10)で表される化合物は、下記一般式(D15)で表されることも好ましい。
Figure 2023128955000089
(前記一般式(D15)において、R、R6、13、およびRx2は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~10のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~12のアリール基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5~18のヘテロアリール基である。)
前記一般式(D10)で表される化合物において、R13およびRは、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~10のアルキル基、
置換もしくは無置換のフェニル基、
置換もしくは無置換のナフチル基、または
置換もしくは無置換のジベンゾフラニル基であることが好ましい。
前記一般式(D10)で表される化合物において、RおよびRx2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1~10のアルキル基であることが好ましい。
(一般式(D20)で表される化合物)
本実施形態に係る有機EL素子において、第二の化合物は、下記一般式(D20)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2023128955000090
前記一般式(D20)において、
Xは、窒素原子、又はYと結合する炭素原子であり、
Yは、水素原子又は置換基であり、
21~R26は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、又はR21及びR22の組、R22及びR23の組、R24及びR25の組、並びにR25及びR26の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのY、及びR21~R26は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のハロゲン化アルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~30のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のハロゲン化アルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルチオ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリールチオ基、
置換もしくは無置換の炭素数2~30のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数7~30のアラルキル基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30のヘテロアリール基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
置換もしくは無置換のエステル基、
置換もしくは無置換のカルバモイル基、
置換もしくは無置換のアミノ基、
ニトロ基、
シアノ基、
置換もしくは無置換のシリル基、及び
置換もしくは無置換のシロキサニル基からなる群から選択され、
21及びZ22は、それぞれ独立に、置換基であるか、又はZ21及びZ22が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのZ21及びZ22は、それぞれ独立に、
ハロゲン原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のハロゲン化アルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のハロゲン化アルコキシ基、及び
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群から選択される。
本実施形態に係る第二の化合物において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基が、
無置換の炭素数1~25のアルキル基、
無置換の炭素数2~25のアルケニル基、
無置換の炭素数2~25のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~25のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
-S(=O)941で表される基、
-P(=O)(R942)(R943)で表される基、
-Ge(R944)(R945)(R946)で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
無置換の環形成炭素数6~25のアリール基、又は
無置換の環形成原子数5~25の複素環基であり、
901~R909、並びにR941~R946は、それぞれ独立に、
水素原子、
無置換の炭素数1~25のアルキル基、
無置換の環形成炭素数6~25のアリール基、又は
無置換の環形成原子数5~25の複素環基であることが好ましい。
本実施形態に係る第二の化合物において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基が、
ハロゲン原子、
無置換の炭素数1~25のアルキル基、
無置換の環形成炭素数6~25のアリール基、又は
無置換の環形成原子数5~25の複素環基であることが好ましい。
本実施形態に係る第二の化合物において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基が、
無置換の炭素数1~10のアルキル基、
無置換の環形成炭素数6~12のアリール基、又は
無置換の環形成原子数5~12の複素環基であることが好ましい。
本実施形態に係る第二の化合物において、「置換もしくは無置換」と記載された基は、いずれも「無置換」の基であることも好ましい。
(一般式(D1)、(D11)、(D10)又は(D20)で表される化合物の具体例)
前記一般式(D1)、(D11)、(D10)又は(D20)で表される化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。ただし、本発明は、これら具体例に限定されない。
Figure 2023128955000091
Figure 2023128955000092
Figure 2023128955000093
Figure 2023128955000094
Figure 2023128955000095
Figure 2023128955000096
Figure 2023128955000097
Figure 2023128955000098
Figure 2023128955000099
Figure 2023128955000100
Figure 2023128955000101
Figure 2023128955000102
Figure 2023128955000103
Figure 2023128955000104
Figure 2023128955000105
なお、ピロメテン骨格中におけるホウ素原子と窒素原子との配位結合は、実線、破線、矢印、もしくは省略するなど、種々の表記方法がある。本明細書においては、実線で表すか、破線で表すか、又は記載を省略する。
Figure 2023128955000107
(発光層における第一の化合物及び第二の化合物の関係)
本実施形態に係る有機EL素子において、発光層は、第一の化合物と、さらに第二の化合物とを含み、第二の化合物は、蛍光発光性の化合物であり、第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)と、第二の化合物の一重項エネルギーS(M2)とが、下記数式(数1)の関係を満たすことが好ましい。
(M1)>S(M2) …(数1)
第一の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M1)は、第二の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M2)よりも大きいことが好ましい。すなわち、下記数式(数5)の関係を満たすことが好ましい。
77K(M1)>T77K(M2)…(数5)
本実施形態の有機EL素子を発光させたときに、発光層において、主に第二の化合物が発光していることが好ましい。
(TADF機構(メカニズム))
図4は、発光層における第二の化合物M2及び第一の化合物M1のエネルギー準位の関係の一例を示す図である。図4において、S0は、基底状態を表す。S1(M1)は、第一の化合物M1の最低励起一重項状態を表す。T1(M1)は、第一の化合物M1の最低励起三重項状態を表す。S1(M2)は、第二の化合物M2の最低励起一重項状態を表す。T1(M2)は、第二の化合物M2の最低励起三重項状態を表す。
図4中のS1(M1)からS1(M2)へ向かう破線の矢印は、第一の化合物M1の最低励起一重項状態から第二の化合物M2へのフェルスター型エネルギー移動を表す。
図4に示すように、第一の化合物M1としてΔST(M1)の小さな化合物を用いると、最低励起三重項状態T1(M1)は、熱エネルギーにより、最低励起一重項状態S1(M1)に逆項間交差が可能である。そして、第一の化合物M1の最低励起一重項状態S1(M1)から第二の化合物M2へのフェルスター型エネルギー移動が生じ、最低励起一重項状態S1(M2)が生成する。この結果、第二の化合物M2の最低励起一重項状態S1(M2)からの蛍光発光を観測することができる。このTADF機構による遅延蛍光を利用することによっても、理論的に内部量子効率を100%まで高めることができると考えられている。
本実施形態の有機EL素子は、赤色発光または緑色発光することが好ましい。
本実施形態の有機EL素子が緑色発光する場合、有機EL素子から発光する光の最大ピーク波長は、500nm以上560nm以下であることが好ましい。
本実施形態の有機EL素子が赤色発光する場合、有機EL素子から発光する光の最大ピーク波長は、600nm以上660nm以下であることが好ましい。
本実施形態の有機EL素子が青色発光する場合、有機EL素子から発光する光の最大ピーク波長は、430nm以上480nm以下であることが好ましい。
有機EL素子から発光する光の最大ピーク波長の測定は、以下のようにして行う。
電流密度が10mA/cmとなるように有機EL素子に電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ社製)で計測する。
得られた分光放射輝度スペクトルにおいて、発光強度が最大となる発光スペクトルのピーク波長を測定し、これを最大ピーク波長(単位:nm)とする。
(発光層の膜厚)
本実施形態の有機EL素子における発光層の膜厚は、好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは7nm以上50nm以下、最も好ましくは10nm以上50nm以下である。5nm以上であると、発光層形成及び色度の調整が容易になりやすく、50nm以下であると、駆動電圧の上昇が抑制されやすい。
(発光層における化合物の含有率)
発光層に含まれている第一の化合物及び第二の化合物の含有率は、例えば、以下の範囲であることが好ましい。
第一の化合物の含有率は、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、10質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましい。また、第一の化合物の含有率は、90質量%以上99.9質量%以下でもよく、95質量%以上99.9質量%以下でもよく、99質量%以上99.9質量%以下でもよい。
第二の化合物の含有率は、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上1質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、本実施形態は、発光層に、第一の化合物及び第二の化合物以外の材料が含まれることを除外しない。
発光層は、第一の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。発光層は、第二の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
(基板)
基板は、有機EL素子の支持体として用いられる。基板としては、例えば、ガラス、石英、プラスチックなどを用いることができる。また、可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニルからなるプラスチック基板等が挙げられる。また、無機蒸着フィルムを用いることもできる。
(陽極)
基板上に形成される陽極には、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム-酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム-酸化スズ、酸化インジウム-酸化亜鉛、酸化タングステン、および酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、グラフェン等が挙げられる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
これらの材料は、通常、スパッタリング法により成膜される。例えば、酸化インジウム-酸化亜鉛は、酸化インジウムに対し1質量%以上10質量%以下の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いることにより、スパッタリング法で形成することができる。また、例えば、酸化タングステン、および酸化亜鉛を含有した酸化インジウムは、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5質量%以上5質量%以下、酸化亜鉛を0.1質量%以上1質量%以下含有したターゲットを用いることにより、スパッタリング法で形成することができる。その他、真空蒸着法、塗布法、インクジェット法、スピンコート法などにより作製してもよい。
陽極上に形成されるEL層のうち、陽極に接して形成される正孔注入層は、陽極の仕事関数に関係なく正孔(ホール)注入が容易である複合材料を用いて形成されるため、電極材料として可能な材料(例えば、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物、その他、元素周期表の第1族または第2族に属する元素も含む)を用いることができる。
仕事関数の小さい材料である、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(例えば、MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等を用いることもできる。なお、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびこれらを含む合金を用いて陽極を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。さらに、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることができる。
(陰極)
陰極には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(例えば、MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。
なお、アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金を用いて陰極を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。また、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることができる。
なお、電子注入層を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、グラフェン、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム-酸化スズ等様々な導電性材料を用いて陰極を形成することができる。これらの導電性材料は、スパッタリング法やインクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することができる。
(正孔注入層)
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。
また、正孔注入性の高い物質としては、低分子の有機化合物である4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’-ビス(N-{4-[N’-(3-メチルフェニル)-N’-フェニルアミノ]フェニル}-N-フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等も挙げられる。
また、正孔注入性の高い物質としては、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。例えば、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることもできる。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送層には、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体等を使用する事ができる。具体的には、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(略称:TPD)、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BAFLP)、4,4’-ビス[N-(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’-ビス[N-(スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-イル)-N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。
正孔輸送層には、CBP、CzPA、PCzPAのようなカルバゾール誘導体や、t-BuDNA、DNA、DPAnthのようなアントラセン誘導体を用いても良い。ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外の物質を用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層であっても、上記物質からなる層が二層以上積層された層であってもよい。
(電子輸送層)
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層には、1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、亜鉛錯体等の金属錯体、2)イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、アジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントロリン誘導体等の複素芳香族化合物、3)高分子化合物を使用することができる。具体的には低分子の有機化合物として、Alq、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、BAlq、Znq、ZnPBO、ZnBTZなどの金属錯体等を用いることができる。また、金属錯体以外にも、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-ビス[5-(ptert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、3-(4-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-5-(4-ビフェニリル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、3-(4-tert-ブチルフェニル)-4-(4-エチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,2,4-トリアゾール(略称:p-EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4’-ビス(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。ここに述べた物質は、主に10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔輸送性よりも電子輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いてもよい。また、電子輸送層は、単層であっても、上記物質からなる層が二層以上積層された層であってもよい。
また、電子輸送層には、高分子化合物を用いることもできる。例えば、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(ピリジン-3,5-ジイル)](略称:PF-Py)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(2,2’-ビピリジン-6,6’-ジイル)](略称:PF-BPy)などを用いることができる。
(電子注入層)
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。その他、電子輸送性を有する物質にアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を含有させたもの、具体的にはAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いてもよい。なお、この場合には、陰極からの電子注入をより効率良く行うことができる。
あるいは、電子注入層に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
(層形成方法)
本実施形態の有機EL素子の各層の形成方法としては、上記で特に言及した以外には制限されないが、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ法、イオンプレーティング法などの乾式成膜法や、スピンコーティング法、ディッピング法、フローコーティング法、インクジェット法などの湿式成膜法などの公知の方法を採用することができる。
(膜厚)
本実施形態の有機EL素子の各有機層の膜厚は、上記で特に言及した以外には制限されないが、一般に膜厚が薄すぎるとピンホール等の欠陥が生じやすく、逆に厚すぎると高い印加電圧が必要となり効率が悪くなるため、通常は数nmから1μmの範囲が好ましい。
第三実施形態に係る有機EL素子は、発光層に、第一の化合物としての第一実施形態の化合物と、第一の化合物よりも小さな最低励起一重項エネルギーを有する第二の化合物と、を含んでいる。
第三実施形態に係る有機EL素子は、第一実施形態に係る化合物(第一の化合物)を含むので、第三実施形態によれば、有機EL素子の発光効率を向上させることができる。
第三実施形態に係る有機EL素子は、表示装置および発光装置等の電子機器に使用できる。
〔第四実施形態〕
第四実施形態に係る有機EL素子の構成について説明する。第四実施形態の説明において第三実施形態と同一の構成要素は、同一符号や名称を付す等して説明を省略もしくは簡略化する。また、第四実施形態では、特に言及されない材料や化合物については、第三実施形態で説明した材料や化合物と同様の材料や化合物を用いることができる。
第四実施形態に係る有機EL素子は、発光層が、さらに第三の化合物を含んでいる点で、第三実施形態に係る有機EL素子と異なる。その他の点については第三実施形態と同様である。
すなわち、第四実施形態において、発光層は、第一の化合物と、第二の化合物と、第三の化合物とを含む。
この態様の場合、第一の化合物は、ホスト材料であることが好ましく、第二の化合物は、ドーパント材料であることが好ましい。
(第三の化合物)
本実施形態の有機EL素子の発光層において、第三の化合物は、熱活性化遅延蛍光性の化合物でもよいし、熱活性化遅延蛍光性を示さない化合物でもよいが、熱活性遅延蛍光性を示さない化合物であることが好ましい。
第三の化合物としては、特に限定されないが、アミン化合物以外の化合物であることが好ましい。また、例えば、第三の化合物としては、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体を用いることができるが、これら誘導体に限定されない。
(一般式(3)で表される化合物)
本実施形態の有機EL素子の発光層において、第三の化合物は、下記一般式(3)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2023128955000113
(前記一般式(3)において、
は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
は、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、及び置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基からなる群から選択される2つの基が結合して形成される2価の基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリーレン基及び置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の2価の複素環基からなる群から選択される3つの基が結合して形成される2価の基であり、
31~R38のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR31~R38は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基、又は
下記一般式(3A)で表される基である。)
Figure 2023128955000114
(前記一般式(3A)において、
は、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
が複数存在するとき、複数のRは、互いに同一であるか又は異なり、
31は、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、当該アリーレン基から誘導される3価の基、4価の基、5価の基もしくは6価の基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基、当該複素環基から誘導される、3価の基、4価の基、5価の基もしくは6価の基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、及び置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基からなる群から選択される2つの基が結合して形成される2価の基、当該2価の基から誘導される3価の基、4価の基、5価の基もしくは6価の基であり、
32は、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基であり、
は、1、2、3、4又は5であり、
31が単結合の場合、nは1であり、L32が前記一般式(3)中における六員環の炭素原子と結合し、
32が複数存在するとき、複数のL32は、互いに同一であるか又は異なり、
*は、前記一般式(3)中における六員環の炭素原子との結合部位である。)
(前記一般式(3)で表される化合物において、R901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R908、R909、R931、R932、R933、R934、R935、R936及びR937は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、
902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、
903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、
904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、
905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、
906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、
907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、
908が複数存在する場合、複数のR908は、互いに同一であるか又は異なり、
909が複数存在する場合、複数のR909は、互いに同一であるか又は異なり、
931が複数存在する場合、複数のR931は、互いに同一であるか又は異なり、
932が複数存在する場合、複数のR932は、互いに同一であるか又は異なり、
933が複数存在する場合、複数のR933は、互いに同一であるか又は異なり、
934が複数存在する場合、複数のR934は、互いに同一であるか又は異なり、
935が複数存在する場合、複数のR935は、互いに同一であるか又は異なり、
936が複数存在する場合、複数のR936は、互いに同一であるか又は異なり、
937が複数存在する場合、複数のR937は、互いに同一であるか又は異なる。)
前記一般式(3)で表される化合物は、下記一般式(31)~(36)のいずれかで表される化合物であることも好ましい。
Figure 2023128955000115
Figure 2023128955000116
Figure 2023128955000117
(前記一般式(31)~(36)において、
及びLは、それぞれ、前記一般式(3)におけるA及びLと同義であり、
341~R350のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
31は、硫黄原子、酸素原子、NR352又はCR353354であり、
353及びR354からなる組が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR341~R350と、R352と、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR353及びR354とは、それぞれ独立に、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR31~R38と同義である。)
前記一般式(3)で表される化合物において、R352は、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物において、R353及びR354からなる組が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR353及びR354は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物において、X31は、硫黄原子又は酸素原子であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物において、Aは、下記一般式(A31)~(A37)のいずれかで表される基であることが好ましい。
Figure 2023128955000118
Figure 2023128955000119
(前記一般式(A31)~(A37)において、
複数のR300のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR300、並びにR333は、それぞれ独立に、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR31~R38と同義であり、
前記一般式(A31)~(A37)中の*は、それぞれ、前記一般式(3)で表される化合物のLとの結合位置を示す。)
前記一般式(3)で表される化合物において、Aは、前記一般式(A34)、(A35)又は(A37)で表される基であることも好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物は、下記一般式(311)~(316)のいずれかで表される化合物であることも好ましい。
Figure 2023128955000120
Figure 2023128955000121
Figure 2023128955000122
Figure 2023128955000123
Figure 2023128955000124
Figure 2023128955000125
(前記一般式(311)~(316)において、
は、前記一般式(3)におけるLと同義であり、
複数のR300のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
341~R350のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR300、並びに、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR341~R350は、それぞれ独立に、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR31~R38と同義である。)
前記一般式(3)で表される化合物は、下記一般式(321)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2023128955000126
(前記一般式(321)において、
は、前記一般式(3)におけるLと同義であり、
31~R38、並びにR301~R308は、それぞれ独立に、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR31~R38と同義である。)
前記一般式(3)で表される化合物において、Lは、単結合又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物において、Lは、
単結合、
置換もしくは無置換のフェニレン基、
置換もしくは無置換のビフェニレン基、又は
置換もしくは無置換のターフェニレン基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物において、Lは、下記一般式(317)で表される基であることが好ましい。
Figure 2023128955000127
(前記一般式(317)において、
310は、それぞれ独立に、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR31~R38と同義であり、*は、それぞれ独立に、結合位置を示す。)
前記一般式(3)で表される化合物において、Lは、下記一般式(318)又は一般式(319)で表される2価の基を含むことも好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物において、Lは、下記一般式(318)又は一般式(319)で表される2価の基であることも好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物は、下記一般式(322)又は一般式(323)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2023128955000128
Figure 2023128955000129
(前記一般式(322)及び一般式(323)において、
31は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、及び置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基からなる群から選択される2つの基が結合して形成される2価の基であり、
但し、L31は、下記一般式(318)又は一般式(319)で表される2価の基を含み、
31~R38、R300、並びにR321~R328は、それぞれ独立に、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR31~R38と同義である。)
Figure 2023128955000130
(前記一般式(319)において、
複数のR304のうちの隣接する2つからなる組が、互いに結合して、前記一般式(320)で表される環を形成し、
前記一般式(320)において、1*及び2*は、それぞれ独立に、R304が結合している環との結合位置を示し、
前記一般式(318)におけるR302、前記一般式(318)におけるR303、前記一般式(319)におけるR303、前記一般式(320)で表される環を形成しないR304、並びに前記一般式(320)におけるR305は、それぞれ独立に、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR31~R38と同義であり、
前記一般式(318)~(320)における*は、それぞれ、結合位置を示す。)
前記一般式(3)で表される化合物において、L又はL31としての前記一般式(319)で表される基は、例えば、下記一般式(319A)で表される基である。
Figure 2023128955000131
(前記一般式(319A)において、R303、R304及びR305は、それぞれ独立に、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR31~R38と同義であり、前記一般式(319A)における*は、それぞれ、結合位置を示す。)
前記一般式(3)で表される化合物は、前記一般式(322)で表される化合物であり、L31は、前記一般式(318)で表される基であることも好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物は、下記一般式(324)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2023128955000132
(前記一般式(324)において、R31~R38、R300、並びにR302は、それぞれ独立に、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR31~R38と同義である。)
前記一般式(3)で表される化合物において、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR31~R38は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基、又は前記一般式(3A)で表される基であり、前記一般式(3A)におけるRは、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物において、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR31~R38は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は前記一般式(3A)で表される基であり、前記一般式(3A)におけるRは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物において、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR31~R38は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のフェニル基、又は前記一般式(3A)で表される基であり、前記一般式(3A)におけるRは、置換もしくは無置換のフェニル基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物は、ピリジン環、ピリミジン環、及びトリアジン環を有さない化合物であることも好ましい。
(一般式(MRX3)で表される化合物)
本実施形態の有機EL素子の発光層において、第三の化合物は、下記一般式(MRX3)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2023128955000133
(前記一般式(MRX3)において、
31~Y36は、それぞれ独立に、CR又は窒素原子であり、
但し、Y31~Y36のうち2つ以上が窒素原子であり、
が複数存在する場合、複数のRのうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないRは、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基、又は
下記一般式(MRX3A)で表される基である。)
Figure 2023128955000134
(前記一般式(MRX3A)において、
は、前記一般式(3)におけるRと同義であり、
が複数存在するとき、複数のRは、互いに同一であるか又は異なり、
31及びL32は、それぞれ、前記一般式(3)におけるL31及びL32と同義であり、
は、1、2、3、4又は5であり、
31が単結合の場合、nは1であり、L32が前記一般式(MRX3)中における六員環の炭素原子と結合し、
32が複数存在するとき、複数のL32は、互いに同一であるか又は異なり、
*は、前記一般式(MRX3)中における六員環の炭素原子との結合部位である。)
前記一般式(MRX3)で表される化合物は、分子中にピリジン環を含まないことが好ましい。
前記一般式(MRX3)で表される化合物は、下記一般式(MRX31)又は一般式(MRX32)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2023128955000135
(前記一般式(MRX32)において、
35~R37のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記一般式(MRX31)におけるR31~R33、並びに前記一般式(MRX32)におけるR34及び前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR35~R37は、それぞれ独立に、前記一般式(MRX3)におけるRと同義である。)
前記一般式(MRX3)で表される化合物は、前記一般式(MRX31)で表される化合物であることも好ましい。
前記一般式(MRX3)におけるRは、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基、又は
前記一般式(MRX3A)で表される基であることが好ましい。
前記一般式(MRX3)におけるRは、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
前記一般式(MRX3A)で表される基であることが好ましい。
前記一般式(MRX3)で表される化合物は、分子中に、下記一般式(MRXA31)~(MRXA44)で表される基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有することが好ましい。
Figure 2023128955000136
Figure 2023128955000137
(前記一般式(MRXA31)~(MRXA38)において、
複数のR300のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
331及びR332からなる組が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR300、R331及びR332、並びにR333は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
前記一般式(MRXA31)~(MRXA38)中の*は、それぞれ、前記一般式(MRX3)で表される化合物の分子中における他の原子との結合位置を示す。)
Figure 2023128955000138
Figure 2023128955000139
Figure 2023128955000140
(前記一般式(MRXA39)~(MRXA44)において、
341~R350のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
ただし、R341~R351のうちの少なくとも1つが、前記一般式(MRX3)で表される化合物の分子中における他の原子との結合位置を示し、
31は、硫黄原子、酸素原子、NR352又はCR353354であり、
353及びR354からなる組が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記一般式(MRX3)で表される化合物の分子中における他の原子との結合位置ではなく、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR341~R351と、R352と、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR353及びR354とは、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。)
前記一般式(MRX3)で表される化合物は、分子中に、前記一般式(MRXA38)~(MRXA44)で表される基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有することが好ましい。
前記一般式(MRX3)で表される化合物において、Y31~Y36のうち少なくとも1つがCRであり、
少なくとも1つのRが前記一般式(MRX3A)で表される基であり、Rが前記一般式(MRXA31)~(MRXA44)で表される基のいずれかであることが好ましい。
前記一般式(MRX3)で表される化合物において、Y31~Y36のうち少なくとも1つがCRであり、
少なくとも1つのRが前記一般式(MRX3A)で表される基であり、Rが前記一般式(MRXA38)~(MRXA44)で表される基のいずれかであることが好ましい。
前記一般式(MRX3)で表される化合物において、R352は、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であることが好ましい。
前記一般式(MRX3)で表される化合物において、R353及びR354からなる組が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR353及びR354は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物及び前記一般式(MRX3)で表される化合物において、L31は、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、当該アリーレン基から誘導される3価の基、4価の基、5価の基もしくは6価の基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基からなる群から選択される2つの基が結合して形成される2価の基、当該2価の基から誘導される3価の基、4価の基、5価の基もしくは6価の基であり、
32は、
単結合、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物及び前記一般式(MRX3)で表される化合物において、L31は、
単結合、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基であり、
は、1であり、
32は、
単結合、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物及び前記一般式(MRX3)で表される化合物において、L31は、
単結合、
置換もしくは無置換のフェニレン基、
置換もしくは無置換のビフェニレン基、又は
置換もしくは無置換のフェニレン基及び置換もしくは無置換のビフェニレン基からなる群から選択される2つの基が結合して形成される2価の基、当該2価の基から誘導される3価の基、4価の基、5価の基もしくは6価の基であり、
は、1であり、
32は、
単結合、
置換もしくは無置換のフェニレン基、又は
置換もしくは無置換のビフェニレン基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物及び前記一般式(MRX3)で表される化合物において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基が、
無置換の炭素数1~25のアルキル基、
無置換の炭素数2~25のアルケニル基、
無置換の炭素数2~25のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~25のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、
-S(=O)938で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
無置換の環形成炭素数6~25のアリール基、又は
無置換の環形成原子数5~25の複素環基であり、
901~R909、並びにR931~R938は、それぞれ独立に、
水素原子、
無置換の炭素数1~25のアルキル基、
無置換の環形成炭素数6~25のアリール基、又は
無置換の環形成原子数5~25の複素環基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物及び前記一般式(MRX3)で表される化合物において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基が、ハロゲン原子、無置換の炭素数1~25のアルキル基、無置換の環形成炭素数6~25のアリール基、又は無置換の環形成原子数5~25の複素環基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物及び前記一般式(MRX3)で表される化合物において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基が、無置換の炭素数1~10のアルキル基、無置換の環形成炭素数6~12のアリール基、又は無置換の環形成原子数5~12の複素環基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物及び前記一般式(MRX3)で表される化合物において、「置換もしくは無置換」と記載された基は、いずれも「無置換」の基であることも好ましい。
(第三の化合物の製造方法)
本実施形態に係る第三の化合物は、公知の方法により製造することができる。
(第三の化合物の具体例)
本実施形態の第三の化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。ただし、本発明は、これら化合物の具体例に限定されない。
Figure 2023128955000141
Figure 2023128955000142
Figure 2023128955000143
Figure 2023128955000144
Figure 2023128955000145
Figure 2023128955000146
Figure 2023128955000147
Figure 2023128955000148
Figure 2023128955000149
Figure 2023128955000150
Figure 2023128955000151
Figure 2023128955000152
Figure 2023128955000153
Figure 2023128955000154
Figure 2023128955000155
Figure 2023128955000156
Figure 2023128955000157
Figure 2023128955000158
Figure 2023128955000159
Figure 2023128955000160
Figure 2023128955000161
Figure 2023128955000162
Figure 2023128955000163
Figure 2023128955000164
Figure 2023128955000165
Figure 2023128955000166
Figure 2023128955000167
Figure 2023128955000168
Figure 2023128955000169
Figure 2023128955000170
Figure 2023128955000171
Figure 2023128955000172
Figure 2023128955000173
Figure 2023128955000174
Figure 2023128955000175
Figure 2023128955000176
Figure 2023128955000177
Figure 2023128955000178
Figure 2023128955000179
Figure 2023128955000180
(発光層における第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物の関係)
本実施形態に係る有機EL素子において、第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)と、第三の化合物の一重項エネルギーS(M3)とが、下記数式(数2)の関係を満たすことが好ましい。
(M3)>S(M1) …(数2)
本実施形態に係る有機EL素子において、発光層は、第一の化合物と、第二の化合物と、第三の化合物とを含み、第二の化合物は、蛍光発光性の化合物であり、第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)と、第二の化合物の一重項エネルギーS(M2)と、第三の化合物の一重項エネルギーS(M3)とが、下記数式(数3)の関係を満たすことが好ましい。
(M3)>S(M1)>S(M2) …(数3)
第三の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M3)は、第一の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M1)よりも大きいことが好ましい。
第三の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M3)は、第二の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M2)よりも大きいことが好ましい。
第一の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M1)と、第二の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M2)と、第三の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M3)とは、下記数式(数2B)の関係を満たすことが好ましい。
77K(M3)>T77K(M1)>T77K(M2) …(数2B)
本実施形態の有機EL素子を発光させたときに、発光層において、主に蛍光発光性の化合物が発光していることが好ましい。
本実施形態の有機EL素子は、第三実施形態の有機EL素子と同様に、赤色発光または緑色発光することが好ましい。
有機EL素子から発光する光の最大ピーク波長は、第三実施形態の有機EL素子と同様の方法で測定することができる。
(発光層における化合物の含有率)
発光層に含まれている第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物の含有率は、例えば、以下の範囲であることが好ましい。
第一の化合物の含有率は、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、10質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましい。
第二の化合物の含有率は、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上1質量%以下であることがさらに好ましい。
第三の化合物の含有率は、10質量%以上80質量%以下であることが好ましい。
発光層における第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物の合計含有率の上限は、100質量%である。なお、本実施形態は、発光層に、第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物以外の材料が含まれることを除外しない。
発光層は、第一の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。発光層は、第二の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。発光層は、第三の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
図5は、発光層における第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物のエネルギー準位の関係の一例を示す図である。図5において、S0は、基底状態を表す。S1(M1)は、第一の化合物の最低励起一重項状態を表し、T1(M1)は、第一の化合物の最低励起三重項状態を表す。S1(M2)は、第二の化合物の最低励起一重項状態を表し、T1(M2)は、第二の化合物の最低励起三重項状態を表す。S1(M3)は、第三の化合物の最低励起一重項状態を表し、T1(M3)は、第三の化合物の最低励起三重項状態を表す。図5中のS1(M1)からS1(M2)へ向かう破線の矢印は、第一の化合物の最低励起一重項状態から第二の化合物の最低励起一重項状態へのフェルスター型エネルギー移動を表す。
図5に示すように、第一の化合物としてΔST(M1)の小さな化合物を用いると、最低励起三重項状態T1(M1)は、熱エネルギーにより、最低励起一重項状態S1(M1)に逆項間交差が可能である。そして、第一の化合物の最低励起一重項状態S1(M1)から第二の化合物へのフェルスター型エネルギー移動が生じ、最低励起一重項状態S1(M2)が生成する。この結果、第二の化合物の最低励起一重項状態S1(M2)からの蛍光発光を観測することができる。このTADFメカニズムによる遅延蛍光を利用することによっても、理論的に内部量子効率を100%まで高めることができると考えられている。
第四実施形態に係る有機EL素子は、発光層に、第一の化合物としての第一実施形態の化合物と、第一の化合物よりも小さな最低励起一重項エネルギーを有する第二の化合物と、第一の化合物よりも大きな最低励起一重項エネルギーを有する第三の化合物と、を含んでいる。
第四実施形態に係る有機EL素子は、第一実施形態に係る化合物(第一の化合物)を含むので、第四実施形態によれば、有機EL素子の発光効率を向上させることができる。
第四実施形態に係る有機EL素子は、表示装置および発光装置等の電子機器に使用できる。
〔第五実施形態〕
第五実施形態に係る有機EL素子の構成について説明する。第五実施形態の説明において第三実施形態又は第四実施形態と同一の構成要素は、同一符号や名称を付す等して説明を省略もしくは簡略化する。また、第五実施形態では、特に言及されない材料や化合物については、第三実施形態又は第四実施形態で説明した材料や化合物と同様の材料や化合物を用いることができる。
第五実施形態に係る有機EL素子は、発光層が、第一の化合物及び第三の化合物を含み、第二の化合物を含んでいない点で、第三実施形態又は第四実施形態に係る有機EL素子と異なる。その他の点については第三実施形態又は第四実施形態と同様である。
すなわち、第五実施形態において、第一の有機層としての発光層は、第一の化合物と、第三の化合物とを含む。
この態様の場合、第三の化合物は、ホスト材料であることが好ましく、第一の化合物は、ドーパント材料であることが好ましい。
本実施形態において、発光層が第一実施形態に係る化合物を含む場合、当該発光層は、燐光発光性の金属錯体を含まないことが好ましく、燐光発光性の金属錯体以外の金属錯体も含まないことが好ましい。
<第一の化合物>
第一の化合物は、第一実施形態に係る化合物である。
第一の化合物は、熱活性化遅延蛍光性の化合物であることが好ましい。
<第三の化合物>
第三の化合物は、第四実施形態において説明した第三の化合物と同様である。
(発光層における第一の化合物、及び第三の化合物の関係)
本実施形態に係る有機EL素子において、第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)と、第三の化合物の一重項エネルギーS(M3)とが、下記数式(数2)の関係を満たすことが好ましい。
(M3)>S(M1) …(数2)
第三の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M3)は、第一の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M1)よりも大きいことが好ましい。
図6は、本発明の実施形態に係る発光の原理を説明するための図である。
図6において、S0は、基底状態を表す。S1(M1)は、第一の化合物の最低励起一重項状態を表し、T1(M1)は、第一の化合物の最低励起三重項状態を表す。S1(M3)は、第三の化合物の最低励起一重項状態を表し、T1(M3)は、第三の化合物の最低励起三重項状態を表す。
図6に示すように、第一の化合物としてΔST(M1)の小さな化合物を用いると、第一の化合物の最低励起三重項状態T1(M1)は、熱エネルギーにより、最低励起一重項状態S1(M1)に逆項間交差が可能である。
この第一の化合物で生じる逆項間交差を利用することで、例えば、下記(i)又は下記(ii)に示すような発光を観測できる。
(i)発光層が、第一の化合物の最低励起一重項状態S1(M1)よりも小さい最低励起一重項状態S1の蛍光ドーパントを含まない場合は、第一の化合物の最低励起一重項状態S1(M1)からの発光を観測することができる。
(ii)発光層が、第一の化合物の最低励起一重項状態S1(M1)よりも小さい最低励起一重項状態S1の蛍光ドーパント(第三実施形態又は第四実施形態では蛍光発光性の第二化合物)を含む場合は、蛍光ドーパントからの発光を観測できる。
なお、本実施形態の有機EL素子においては、前記(i)に示す発光を観測できる。前述の第三実施形態又は第四実施形態の有機EL素子においては、前記(ii)に示す発光を観測できる。
(発光層における化合物の含有率)
本実施形態に係る有機EL素子において、発光層に含まれている第一の化合物及び第三の化合物の含有率は、例えば、以下の範囲であることが好ましい。
第一の化合物の含有率は、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、10質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましい。
第三の化合物の含有率は、10質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
発光層における第一の化合物及び第三の化合物の合計含有率の上限は、100質量%である。
本実施形態に係る有機EL素子において、発光層は、第一の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。発光層は、第三の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
第五実施形態に係る有機EL素子は、第一実施形態に係る化合物(第一の化合物)を含むので、第五実施形態によれば、有機EL素子の発光効率を向上させることができる。
第五実施形態に係る有機EL素子は、表示装置および発光装置等の電子機器に使用できる。
〔第六実施形態〕
(電子機器)
本実施形態に係る電子機器は、上述の実施形態のいずれかの有機EL素子を搭載している。電子機器としては、例えば、表示装置及び発光装置等が挙げられる。表示装置としては、例えば、表示部品(例えば、有機ELパネルモジュール等)、テレビ、携帯電話、タブレット、及びパーソナルコンピュータ等が挙げられる。発光装置としては、例えば、照明及び車両用灯具等が挙げられる。
〔実施形態の変更〕
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変更、改良などは、本発明に含まれる。
例えば、発光層は、1層に限られず、複数の発光層が積層されていてもよい。有機EL素子が複数の発光層を有する場合、少なくとも1つの発光層が上記実施形態で説明した条件を満たしていればよい。例えば、その他の発光層が、蛍光発光型の発光層であっても、三重項励起状態から直接基底状態への電子遷移による発光を利用した燐光発光型の発光層であってもよい。
また、有機EL素子が複数の発光層を有する場合、これらの発光層が互いに隣接して設けられていてもよいし、中間層を介して複数の発光ユニットが積層された、いわゆるタンデム型の有機EL素子であってもよい。
また、例えば、発光層の陽極側、及び陰極側の少なくとも一方に障壁層を隣接させて設けてもよい。障壁層は、発光層に接して配置され、正孔、電子、及び励起子の少なくともいずれかを阻止することが好ましい。
例えば、発光層の陰極側で接して障壁層が配置された場合、当該障壁層は、電子を輸送し、かつ正孔が当該障壁層よりも陰極側の層(例えば、電子輸送層)に到達することを阻止する。有機EL素子が、電子輸送層を含む場合は、発光層と電子輸送層との間に当該障壁層を含むことが好ましい。
また、発光層の陽極側で接して障壁層が配置された場合、当該障壁層は、正孔を輸送し、かつ電子が当該障壁層よりも陽極側の層(例えば、正孔輸送層)に到達することを阻止する。有機EL素子が、正孔輸送層を含む場合は、発光層と正孔輸送層との間に当該障壁層を含むことが好ましい。
また、励起エネルギーが発光層からその周辺層に漏れ出さないように、障壁層を発光層に隣接させて設けてもよい。発光層で生成した励起子が、当該障壁層よりも電極側の層(例えば、電子輸送層及び正孔輸送層等)に移動することを阻止する。
発光層と障壁層とは接合していることが好ましい。
その他、本発明の実施における具体的な構造、及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
以下、本発明に係る実施例を説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
<化合物>
実施例1-1~1-4、2-1~2-3の有機EL素子の製造に用いた、一般式(1)で表される化合物を以下に示す。
Figure 2023128955000181
比較例1-1及び比較例2-1の有機EL素子の製造に用いた、比較化合物の構造を以下に示す。
Figure 2023128955000182
実施例1-1~1-4、2-1~2-3、比較例1-1及び比較例2-1の有機EL素子の製造に用いた、他の化合物の構造を以下に示す。
Figure 2023128955000183
<有機EL素子の作製1>
有機EL素子を以下のように作製し、評価した。
(実施例1-1)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマテック株式会社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄を行った後、UVオゾン洗浄を1分間行った。ITOの膜厚は、130nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付き前記ガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HT-1と化合物HAとを共蒸着し、膜厚10nmの正孔注入層を形成した。正孔注入層における化合物HT-1の割合を97質量%とし、化合物HAの割合を3質量%とした。
次に、この正孔注入層上に、化合物HT-1を蒸着し、膜厚90nmの第1正孔輸送層を形成した。
次に、この第1正孔輸送層の上に、化合物HT-2を蒸着し、膜厚30nmの第2正孔輸送層を形成した。
次に、この第2正孔輸送層の上に、第三の化合物としての化合物M3-1と、第一の化合物としての化合物A2と、第二の化合物としての化合物GDと、を共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成した。発光層における化合物M3-1の割合を74質量%とし、化合物A2の割合を24質量%とし、化合物GDの割合を1質量%とした。
次に、この発光層の上に、化合物ET-1を蒸着し、膜厚5nmの正孔障壁層を形成した。
次に、この正孔障壁層の上に、化合物ET-2及びLiqを共蒸着し、膜厚50nmの電子輸送層を形成した。この電子輸送層中の化合物ET-2の割合を50質量%とし、Liqの割合を50質量%とした。なお、Liqは、(8-キノリノラト)リチウム((8-Quinolinolato)lithium)の略称である。
次に、電子輸送層の上に、イッテルビウム(Yb)を蒸着し、膜厚1nmの電子注入層を形成した。
そして、この電子注入層の上に、金属アルミニウム(Al)を蒸着し、膜厚80nmの金属Al陰極を形成した。
実施例1-1に係る有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HT-1:HA(10,97%:3%)/HT-1(90)/HT-2(30)/M3-1:A2:GD(25,74%:25%:1%)/ET-1(5)/ET-2(50):Liq(25,50%:50%)/Yb(1)/Al(80)
なお、上記素子構成中、括弧内の数字は、膜厚(単位:nm)を示す。
同じく、上記素子構成中、括弧内において、パーセント表示された数字(97%:3%)は、正孔注入層における化合物HT-1及び化合物HAの割合(質量%)を示し、パーセント表示された数字(74%:25%:1%)は、発光層における化合物M3-1、化合物A2及び化合物GDの割合(質量%)を示し、パーセント表示された数字(50%:50%)は、電子輸送層における化合物ET及びLiqの割合(質量%)を示す。以下、同様の表記とする。
(実施例1-2~1-4)
実施例1-2~1-4の有機EL素子は、それぞれ、実施例1-1の発光層に用いた第一の化合物としての化合物A2を表1に記載の第一の化合物に変更した以外、実施例1-1と同様にして作製した。
(比較例1-1)
比較例1-1の有機EL素子は、実施例1-1の発光層に用いた第一の化合物としての化合物A2を表1に記載の第一の化合物に変更した以外、実施例1-1と同様にして作製した。
<有機EL素子の評価1>
作製した有機EL素子について、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。また、各例の発光層で使用した化合物の評価結果も表1に示す。なお、比較化合物Ref-A7は、第一の化合物に該当しないが、表においては便宜的に第一の化合物と同じ列に表記する。
(電流効率L/J及び「L/J/CIEy」)
作製した有機EL素子に電流密度が10.00mA/cmとなるように電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを、分光放射輝度計CS-1000(コニカミノルタ株式会社製)で計測した。得られた分光放射輝度スペクトルから、CIE1931色度座標(CIEx及びCIEy)、電流効率L/J(単位:cd/A)及び「L/J/CIEy」を算出した。「L/J/CIEy」の値は、電流効率L/Jの値をCIEyの値で除することにより算出した。各例の「L/J/CIEy」の値(単位:cd/A)、並びに下記数式(数X1)に基づいて、「L/J/CIEy」の相対値(単位:%)を算出した。
「L/J/CIEy」の相対値=(各例の「L/J/CIEy」/比較例1-1の「L/J/CIEy」)×100…(数X1)
(外部量子効率EQE)
作製した有機EL素子に電流密度が10.00mA/cmとなるように電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ株式会社製)で計測した。得られた分光放射輝度スペクトルから、ランバシアン放射を行ったと仮定し外部量子効率EQE(単位:%)を算出した。
「EQE(相対値)」は、各例のEQEの測定値、並びに下記数式(数X2)に基づいて算出した。
EQE(相対値)=(各例のEQE/比較例1-1のEQE)×100…(数X2)
Figure 2023128955000184
実施例1-1~1-4は、比較例1-1に比べて、高効率で発光した。本発明の一般式(1)で表される化合物を有機EL素子に用いることで、発光効率が向上した。
<有機EL素子の作製2>
有機EL素子を以下のように作製し、評価した。
(実施例2-1)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマテック株式会社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄を行った後、UVオゾン洗浄を1分間行った。ITOの膜厚は、130nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付き前記ガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HT-1と化合物HAとを共蒸着し、膜厚10nmの正孔注入層を形成した。正孔注入層における化合物HT-1の割合を97質量%とし、化合物HAの割合を3質量%とした。
次に、この正孔注入層上に、化合物HT-1を蒸着し、膜厚90nmの第1正孔輸送層を形成した。
次に、この第1正孔輸送層の上に、化合物HT-2を蒸着し、膜厚30nmの第2正孔輸送層を形成した。
次に、この第2正孔輸送層の上に、第三の化合物としての化合物M3-1と、第一の化合物としての化合物A2と、を共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成した。発光層における化合物M3-1の割合を75質量%とし、化合物A2の割合を25質量%とした。
次に、この発光層の上に、化合物ET-1を蒸着し、膜厚5nmの正孔障壁層を形成した。
次に、この正孔障壁層の上に、化合物ET-2及びLiqを共蒸着し、膜厚50nmの電子輸送層を形成した。この電子輸送層中の化合物ET-2の割合を50質量%とし、Liqの割合を50質量%とした。なお、Liqは、(8-キノリノラト)リチウム((8-Quinolinolato)lithium)の略称である。
次に、電子輸送層の上に、イッテルビウム(Yb)を蒸着し、膜厚1nmの電子注入層を形成した。
そして、この電子注入層の上に、金属アルミニウム(Al)を蒸着し、膜厚80nmの金属Al陰極を形成した。
実施例2-1に係る有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HT-1:HA(10,97%:3%)/HT-1(90)/HT-2(30)/M3-1:A2(25,75%:25%)/ET-1(5)/ET-2(50):Liq(25,50%:50%)/Yb(1)/Al(80)
(実施例2-2~2-3)
実施例2-2~2-3の有機EL素子は、それぞれ、実施例2-1の発光層に用いた第一の化合物としての化合物A2を表2に記載の第一の化合物に変更した以外、実施例2-1と同様にして作製した。
(比較例2-1)
比較例2-1の有機EL素子は、実施例2-1の発光層に用いた第一の化合物としての化合物A2を表2に記載の第一の化合物に変更した以外、実施例2-1と同様にして作製した。
<有機EL素子の評価2>
作製した有機EL素子について、<有機EL素子の評価1>と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。表2に示す「L/J/CIEy」の相対値は、下記数式(数X3)に基づいて算出し、EQEの相対値は、下記数式(数X4)に基づいて算出した。
「L/J/CIEy」の相対値=(各例の「L/J/CIEy」/比較例2-1の「L/J/CIEy」)×100…(数X3)
EQE(相対値)=(各例のEQE/比較例2-1のEQE)×100…(数X4)
また、各例の発光層で使用した化合物の評価結果も表2に示す。
Figure 2023128955000185
実施例2-1~2-3は、比較例2-1に比べて、高効率で発光した。本発明の一般式(1)で表される化合物を有機EL素子に用いることで、発光効率が向上した。
<化合物の評価>
前述の化合物並びに下記化合物A1及びA6について以下の評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2023128955000186
(蛍光量子収率(PLQY))
測定対象となる化合物を、濃度が5μmol/Lになるように、トルエンに溶解し、トルエン溶液を調製した。その後、調液後の溶液を5分間窒素バブリングし、外気が混入しないように密閉した。
調製した測定対象化合物のトルエン溶液について、絶対PL(フォトルミネッセンス)量子収率測定装置 Quantaurus-QY(浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、フォトルミネッセンス量子収率(PLQY:photoluminescence quantum yield)を測定した。
(化合物の最大ピーク波長)
化合物の最大ピーク波長λは、以下の方法により測定した。
測定対象となる化合物の5μmol/Lトルエン溶液を調製して石英セルに入れ、常温(300K)でこの試料の発光スペクトル(縦軸:発光強度、横軸:波長とする。)を測定した。本実施例では、発光スペクトルを株式会社日立ハイテクサイエンス製の分光蛍光光度計(装置名:F-7000)で測定した。なお、発光スペクトル測定装置は、ここで用いた装置に限定されない。発光スペクトルにおいて、発光強度が最大となる発光スペクトルのピーク波長を最大ピーク波長λとした。
(化合物の遅延蛍光性)
遅延蛍光性は図2に示す装置を利用して過渡PLを測定することにより確認した。前記化合物A1をトルエンに溶解し、自己吸収の寄与を取り除くため励起波長において吸光度が0.05以下の希薄溶液を調製した。また酸素による消光を防ぐため、試料溶液を凍結脱気した後にアルゴン雰囲気下で蓋付きのセルに封入することで、アルゴンで飽和された酸素フリーの試料溶液とした。
上記試料溶液の蛍光スペクトルを分光蛍光光度計FP-8600(日本分光社製)で測定し、また同条件で9,10-ジフェニルアントラセンのエタノール溶液の蛍光スペクトルを測定した。両スペクトルの蛍光面積強度を用いて、Morris et al. J.Phys.Chem.80(1976)969中の(1)式により全蛍光量子収率を算出した。
化合物A1が吸収する波長のパルス光(パルスレーザーから照射される光)で励起された後、当該励起状態から即座に観察されるPrompt発光(即時発光)と、当該励起後、即座には観察されず、その後観察されるDelay発光(遅延発光)とが存在する。本実施例における遅延蛍光発光とは、Delay発光(遅延発光)の量がPrompt発光(即時発光)の量に対して5%以上を意味する。具体的には、Prompt発光(即時発光)の量をXとし、Delay発光(遅延発光)の量をXとしたときに、X/Xの値が0.05以上であることを意味する。
Prompt発光とDelay発光の量とその比は、“Nature 492, 234-238, 2012”(参考文献1)に記載された方法と同様の方法により求めることができる。なお、Prompt発光とDelay発光の量の算出に使用される装置は、前記参考文献1に記載の装置、または図2に記載の装置に限定されない。
化合物A2~A6及び比較化合物Ref-A7についても、化合物A1と同様に測定した。
化合物A1~A6及び比較化合物Ref-A7について、Delay発光(遅延発光)の量がPrompt発光(即時発光)の量に対して5%以上であることが確認された。具体的には、化合物A1~A6及び比較化合物Ref-A7について、X/Xの値が0.05以上であった。
(一重項エネルギーS
測定対象化合物の一重項エネルギーSは、前述の溶液法により測定した。
(エネルギーギャップT77K及びΔST)
測定対象化合物のエネルギーギャップT77Kは、前述の「三重項エネルギーと77[K]におけるエネルギーギャップとの関係」で記載したエネルギーギャップT77Kの測定方法により測定した。
化合物A1~A6及び比較化合物Ref-A7について、エネルギーギャップT77Kの値と上記の一重項エネルギーSの値からΔSTを確認した。表中の「<0.01」は、ΔSTが0.01eV未満であることを表す。
Figure 2023128955000187
<合成例>
(合成例1)
下記合成経路で、化合物A1を合成した。
Figure 2023128955000188
(S1)ベンゾイミダゾール誘導体(化合物A1)の合成
氷冷下、フラスコに2-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール0.78gとN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)11mLを加え、アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム0.09gを加えた。同温で30分間撹拌後、既知の方法に従い合成した3’-(14H-ベンゾ[4,5]チエノ[2,3-a]ベンゾ[4,5]チエノ[3,2-i]カルバゾール-14-イル)-5’-フルオロ-[1,1’:4’,1’’-ターフェニル]-2’,6’-ジカルボニトリル1gをフラスコに加え、室温に昇温して14時間撹拌した。反応液に水を加え、生じた固体をろ取し、ろ取した固体をメタノールとヘキサンで洗浄した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=33%:67%)にて精製し、黄橙色固体1.30g(収率:69%)を得た。この黄橙色固体は、マススペクトル分析の結果、化合物A1であり、分子量850.03に対し、m/e=850であった。
(合成例2)
下記合成経路で、化合物A2を合成した。
Figure 2023128955000189
(S2)ベンゾイミダゾール誘導体(化合物A2)の合成
氷冷下、フラスコに2-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール0.55gとN,N-ジメチルホルムアミド12mLを加え、アルゴン雰囲気下、フッ化セシウム0.72gを加えた。同温で30分間撹拌後、既知の方法に従い合成した3’-(12H-ベンゾ[4,5]チエノ[2,3-a]カルバゾール-12-イル)-5’-クロロ-[1,1’:4’,1’’-ターフェニル]-2’,6’-ジカルボニトリル1gをフラスコに加え、バス温を100℃に昇温して6時間撹拌した。室温に放冷後、反応液に水を加え、生じた固体をろ取し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=20%:80%)にて精製し、黄色固体1.48g(収率:84%)を得た。この黄色固体は、マススペクトル分析の結果、化合物A2であり、分子量743.89に対し、m/e=743であった。
(合成例3)
下記合成経路で、化合物A3を合成した。
Figure 2023128955000190
(S3)ベンゾイミダゾール誘導体(化合物A3)の合成
アルゴン雰囲気下、既知の方法で合成した3’-(14H-ベンゾ[4,5]チエノ[2,3-a]ベンゾ[4,5]チエノ[3,2-i]カルバゾール-14-イル)-5’-フルオロ-[1,1’:4’,1’’-ターフェニル]-2’,6’-ジカルボニトリル0.75g、2-(2,6-ジメチルフェニル)イミダゾール0.25g、フッ化セシウム0.50g、及びN,N-ジメチルホルムアミド10mLをフラスコに加え、室温で3時間撹拌後、8時間加熱還流した。室温まで冷却後、水を加えて析出した固体をろ取し、ろ取した固体をアセトニトリルで洗浄した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100%:0%-50%:50%)で精製し、アセトニトリルで洗浄することにより、黄色固体0.47g(収率:48%)を得た。この黄色固体は、マススペクトル分析の結果、化合物A3であり、分子量878.04に対し、m/e=878であった。
(合成例4)
下記合成経路で、化合物A4を合成した。
Figure 2023128955000191
(S4)ベンゾイミダゾール誘導体(化合物A4)の合成
氷冷下、フラスコに2-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール0.48gとN,N-ジメチルホルムアミド15mLを加え、アルゴン雰囲気下、フッ化セシウム1.35gを加えた。同温で30分間撹拌後、既知の方法に従い合成した3’-(14H-ベンゾ[4,5]チエノ[2,3-a]ベンゾ[4,5]チエノ[3,2-i]カルバゾール-14-イル)-5’-フルオロ-[1,1’:4’,1’’-ターフェニル]-2’,6’-ジカルボニトリル2gをフラスコに加え、バス温を100℃に昇温して3時間撹拌した。室温に放冷後、反応液に水を加え、生じた固体をろ取し、ろ取した固体をメタノールとヘキサンで洗浄した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)にて精製した。粗精製物をジクロロメタン70mLに溶解し、メタノール60mLを滴下して固体を析出させ、生じた固体をろ取することで、黄橙色固体1.42g(収率:60%)を得た。この黄橙色固体は、マススペクトル分析の結果、化合物A4であり、分子量801.99に対し、m/e=801であった。
(合成例5)
下記合成経路で、化合物A5を合成した。
Figure 2023128955000192
(S5)ベンゾイミダゾール誘導体(化合物A5)の合成
氷冷下、フラスコに2-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール0.66gとN,N-ジメチルホルムアミド20mLを加え、アルゴン雰囲気下、フッ化セシウム1.88gを加えた。同温で30分間撹拌後、既知の方法に従い合成した3’-(12H-ベンゾ[4,5]チエノ[2,3-a]カルバゾール-12-イル)-5’-ヨード-[1,1’:4’,1’’-ターフェニル]-2’,6’-ジカルボニトリル2.79gをフラスコに加え、バス温を100℃に昇温して5時間撹拌した。室温に放冷後、反応液に水を加え、生じた固体をろ取し、ろ取した固体をヘキサンで洗浄した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)にて精製し、黄色固体1.39g(収率:49%)を得た。この黄色固体は、マススペクトル分析の結果、化合物A5であり、分子量695.84に対し、m/e=695であった。
(合成例6)
下記合成経路で、化合物A6を合成した。
Figure 2023128955000193
Figure 2023128955000194
(S6-1)中間体(化合物I-1)の合成
アルゴン雰囲気下、1-ブロモ-2,4-ジフルオロ-3-ニトロベンゼン10g、(2-(メチルチオ)フェニル)ボロン酸7.20g、ビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)(PdCl(amphos))0.60g、炭酸ナトリウム6.50g、1,4-ジオキサン300mL及びイオン交換水30mLをフラスコに加え、6時間還流撹拌した。室温まで冷却後、水を加え、酢酸エチルで有機相を抽出した。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、不溶物をろ去後、溶媒を減圧下留去した。溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100%:0%-50%:50%)にて精製し、黄色油状物8.10g(収率:69%)を得た。この黄色油状物は、マススペクトル分析の結果、化合物I-1であり、分子量281.28に対し、m/e=281であった。
Figure 2023128955000195
(S6-2)ジベンゾチオフェン中間体(化合物I-2)の合成
窒素雰囲気・氷冷下、フラスコにて、工程(S6-1)で合成した(2’,4’-ジフルオロ-3’-ニトロ-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)(メチル)スルファン(化合物I-1)7.60gのジクロロメタン100mL溶液に、65%m-クロロ過安息香酸(mCPBA)7.20gを加え、同温で2時間撹拌した。不溶物をろ去し、水で洗浄後、有機相を減圧下留去した。有機相を留去した後、残渣に無水酢酸(AcO)20mLを加え、バス温130℃で2時間加熱撹拌した。スルホキシド消失を確認後、室温まで冷却し、氷冷下、トリエチルアミン(EtN)30mLとエタノール20mLの混合液を滴下し、室温で1時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで有機相を抽出した。抽出した有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、不溶物をろ去後、溶媒を減圧下留去した。溶媒を留去した後、残渣をエタノール20mLに溶解し、1.0M水酸化ナトリウム水溶液27mLを加えて室温で2時間撹拌した。不溶物をろ取し、固体を水で洗浄することで、淡黄色固体5.15g(収率:77%)を得た。この淡黄色固体は、マススペクトル分析の結果、化合物I-2であり、分子量247.24に対し、m/e=247であった。
Figure 2023128955000196
(S6-3)ジベンゾチオフェン中間体(化合物I-3)の合成
アルゴン雰囲気下、フラスコにて、工程(S6-2)で合成した3-フルオロ-4-ニトロジベンゾ[b,d]チオフェン(化合物I-2)4.50gの1,4-ジオキサン90mL懸濁液に30%アンモニア水5mLを加え、室温にて6時間撹拌した。30%アンモニア水を1.20mL追加し、さらに室温で8時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで有機相を抽出した。抽出した有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、不溶物をろ去後、溶媒を減圧下留去した。溶媒を留去後、残渣のジクロロメタン不溶物をろ取後、ろ液残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95%:5%-15%:85%)で精製し、不溶固体とカラム精製物を合わせてジクロロメタンで洗浄して、オレンジ色固体3.69g(収率:83%)を得た。このオレンジ色固体は、マススペクトル分析の結果、化合物I-3であり、分子量244.26に対し、m/e=244であった。
Figure 2023128955000197
(S6-4)ベンゾチエノイミダゾール中間体(化合物I-4)の合成
フラスコにて、工程(S6-3)で合成した4-ニトロジベンゾ[b,d]チオフェン-3-アミン(化合物I-3)3.69gの酢酸30mLおよびエタノール30mL溶液に、鉄粉2gを加え、バス温100℃で2時間撹拌した。セライトろ過後、1M水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和し、酢酸エチルで3回抽出した。抽出して得た有機相を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。溶媒を留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95%:5%-0%:100%)で精製し、ベージュ色固体0.93g(収率:26%)を得た。このベージュ色固体は、マススペクトル分析の結果、化合物I-4であり、分子量238.31に対し、m/e=238であった。
Figure 2023128955000198
(S6-5)ベンゾチエノイミダゾール誘導体(化合物A6)の合成
アルゴン雰囲気下、フラスコに既知の方法に従い合成した3’-(14H-ベンゾ[4,5]チエノ[2,3-a]ベンゾ[4,5]チエノ[3,2-i]カルバゾール-14-イル)-5’-フルオロ-[1,1’:4’,1’’-ターフェニル]-2’,6’-ジカルボニトリル0.50g、および工程(S6-4)で合成した2-メチル-3H-ベンゾ[4’,5’]チエノ[2’,3’:3,4]ベンゾ[1,2-d]イミダゾール(化合物I-4)0.18g、N,N-ジメチルホルムアミド7mLを加え、アルゴン雰囲気下、フッ化セシウム0.40gを加えた。室温で3時間撹拌した。反応液に水を加え、生じた固体をろ取し、ろ取した固体をメタノールで洗浄した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100%:0%-50%:50%)にて精製した。粗精製物をアセトニトリルで洗浄することで、黄色固体0.55g(収率:83%)を得た。この黄色固体は、マススペクトル分析の結果、化合物A6であり、分子量894.10に対し、m/e=894であった。
1…有機EL素子、2…基板、3…陽極、4…陰極、5…発光層、6…正孔注入層、7…正孔輸送層、8…電子輸送層、9…電子注入層。

Claims (24)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物。
    Figure 2023128955000199

    (前記一般式(1)において、
    CNは、シアノ基であり、
    11は、下記一般式(11)、(12)又は(13)で表される基であり、但し、少なくとも1つのD11は、下記一般式(12)又は(13)で表される基であり、
    12は、下記一般式(16)で表される基であり、
    Rは、それぞれ独立に、
    水素原子、
    置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
    置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
    置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
    置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
    -Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
    -O-(R904)で表される基、
    -S-(R905)で表される基、
    -N(R906)(R907)で表される基、
    置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
    -C(=O)R908で表される基、
    -COOR909で表される基、
    シアノ基、
    ニトロ基、
    -P(=O)(R931)(R932)で表される基、
    -Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
    -B(R936)(R937)で表される基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
    置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
    但し、少なくとも1つのRは、置換基であり、少なくとも1つの置換基としてのRは、前記一般式(1)中のベンゼン環との炭素-炭素結合により結合し、
    kは、1又は2であり、
    mは、1又は2であり、
    nは、1又は2であり、
    k+m+nは、4であり、
    kが2のとき、2つのD11は、互いに同一であるか、又は異なり、
    mが2のとき、2つのD12は、互いに同一であるか、又は異なり、
    nが2のとき、2つのRは、互いに同一であるか、又は異なる。)
    Figure 2023128955000200

    Figure 2023128955000201

    Figure 2023128955000202

    (前記一般式(12)におけるR11~R18のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
    互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
    互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
    互いに結合せず、
    前記一般式(13)におけるR111~R118のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
    互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
    互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
    互いに結合せず、
    前記一般式(11)におけるR~R、前記一般式(12)における置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR11~R18、並びに前記一般式(13)における置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR111~R118は、それぞれ独立に、
    水素原子、
    置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
    置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
    置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
    置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
    -Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
    -O-(R904)で表される基、
    -S-(R905)で表される基、
    -N(R906)(R907)で表される基、
    置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
    -C(=O)R908で表される基、
    -COOR909で表される基、
    ハロゲン原子、
    シアノ基、
    ニトロ基、
    -P(=O)(R931)(R932)で表される基、
    -Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
    -B(R936)(R937)で表される基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
    置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
    前記一般式(12)及び前記一般式(13)において、
    環A、環B及び環Cは、それぞれ独立に、下記一般式(14)及び一般式(15)で表される環構造からなる群から選択されるいずれかの環構造であり、
    環A、環B及び環Cは、隣接する環と任意の位置で縮合し、
    p、px及びpyは、それぞれ独立に、1、2、3又は4であり、
    pが2、3又は4の場合、複数の環Aは、互いに同一であるか、又は異なり、
    pxが2、3又は4の場合、複数の環Bは、互いに同一であるか、又は異なり、
    pyが2、3又は4の場合、複数の環Cは、互いに同一であるか、又は異なり、
    前記一般式(11)~(13)中の*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。)
    Figure 2023128955000203

    (前記一般式(14)において、
    rは、0、2又は4であり、
    複数のR19からなる組が、
    互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
    互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
    互いに結合せず、
    前記一般式(15)において、Xは、硫黄原子又は酸素原子であり、
    置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR19は、
    水素原子、
    置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
    置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
    置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
    置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
    -Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
    -O-(R904)で表される基、
    -S-(R905)で表される基、
    -N(R906)(R907)で表される基、
    置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
    -C(=O)R908で表される基、
    -COOR909で表される基、
    ハロゲン原子、
    シアノ基、
    ニトロ基、
    -P(=O)(R931)(R932)で表される基、
    -Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
    -B(R936)(R937)で表される基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
    置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
    複数のR19は、互いに同一であるか又は異なり、
    複数のXは、互いに同一であるか又は異なる。)
    Figure 2023128955000204

    (前記一般式(16)におけるR132~R135のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
    互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
    互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
    互いに結合せず、
    131、及び置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ、置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR132~R135は、それぞれ独立に、
    水素原子、
    置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
    置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
    置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
    置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
    -Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
    -O-(R904)で表される基、
    -S-(R905)で表される基、
    -N(R906)(R907)で表される基、
    置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
    -C(=O)R908で表される基、
    -COOR909で表される基、
    ハロゲン原子、
    シアノ基、
    ニトロ基、
    -P(=O)(R931)(R932)で表される基、
    -Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
    -B(R936)(R937)で表される基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
    置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
    ただし、R131は、水素原子ではない。
    前記一般式(16)中の*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。)
    (一般式中、R901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R908、R909、R931、R932、R933、R934、R935、R936及びR937は、それぞれ独立に、
    水素原子、
    置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
    置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
    901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、
    902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、
    903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、
    904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、
    905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、
    906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、
    907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、
    908が複数存在する場合、複数のR908は、互いに同一であるか又は異なり、
    909が複数存在する場合、複数のR909は、互いに同一であるか又は異なり、
    931が複数存在する場合、複数のR931は、互いに同一であるか又は異なり、
    932が複数存在する場合、複数のR932は、互いに同一であるか又は異なり、
    933が複数存在する場合、複数のR933は、互いに同一であるか又は異なり、
    934が複数存在する場合、複数のR934は、互いに同一であるか又は異なり、
    935が複数存在する場合、複数のR935は、互いに同一であるか又は異なり、
    936が複数存在する場合、複数のR936は、互いに同一であるか又は異なり、
    937が複数存在する場合、複数のR937は、互いに同一であるか又は異なる。)
  2. 少なくとも1つのD11は、下記一般式(121)、(122)又は(131)で表される基である、
    請求項1に記載の化合物。
    Figure 2023128955000205

    Figure 2023128955000206

    Figure 2023128955000207

    (前記一般式(121)及び(122)において、R11~R18は、それぞれ、前記一般式(12)におけるR11~R18と同義であり、
    環A1、環A、環A及び環Aの内、2つが前記一般式(14)で表される環構造であり、残りの2つが前記一般式(15)で表される環構造であり、
    前記一般式(131)において、R111~R118は、それぞれ、前記一般式(13)におけるR111~R118と同義であり、
    環B及び環Bの一方が、前記一般式(14)で表される環構造であり、環B及び環Bの他方が、前記一般式(15)で表される環構造であり、
    環C及び環Cの一方が、前記一般式(14)で表される環構造であり、環C及び環Cの他方が、前記一般式(15)で表される環構造であり、
    前記一般式(121)、(122)及び(131)中の*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。)
  3. 環A及び環Aが、前記一般式(14)で表される環構造であり、環A及び環Aが前記一般式(15)で表される環構造であり、
    環Bが、前記一般式(14)で表される環構造であり、環Bが、前記一般式(15)で表される環構造であり、
    環Cが、前記一般式(14)で表される環構造であり、環Cが、前記一般式(15)で表される環構造である、
    請求項2に記載の化合物。
  4. 少なくとも1つのD11が、前記一般式(131)で表される基である、
    請求項2又は請求項3に記載の化合物。
  5. 少なくとも1つのD11が、下記一般式(123)、(124)、(125)又は(132)で表される基である、
    請求項2又は請求項3に記載の化合物。
    Figure 2023128955000208

    Figure 2023128955000209

    Figure 2023128955000210

    Figure 2023128955000211

    (前記一般式(123)、(124)及び(125)において、R11~R18は、それぞれ、前記一般式(12)におけるR11~R18と同義であり、R191~R194は、それぞれ独立に、前記一般式(14)におけるR19と同義であり、
    前記一般式(132)において、R111~R118は、それぞれ、前記一般式(13)におけるR111~R118と同義であり、R195~R198は、それぞれ独立に、前記一般式(14)におけるR19と同義であり、
    前記一般式(123)、(124)、(125)及び(132)において、X11及びX12は、それぞれ独立に、前記一般式(15)におけるXと同義であり、*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。)
  6. 11が硫黄原子である、請求項5に記載の化合物。
  7. 少なくとも1つのD11が、前記一般式(132)で表される基である、
    請求項5又は請求項6に記載の化合物。
  8. 少なくとも1つのD11が、下記一般式(12A)、(12B)、(12C)、(12D)、(12E)及び(12F)で表される基からなる群から選択されるいずれかの基である、
    請求項1に記載の化合物。
    Figure 2023128955000212

    Figure 2023128955000213

    Figure 2023128955000214

    Figure 2023128955000215

    Figure 2023128955000216

    Figure 2023128955000217

    (前記一般式(12A)、(12B)、(12C)、(12D)、(12E)及び(12F)において、
    11~R18は、それぞれに、前記一般式(12)におけるR11~R18と同義であり、
    19及びR20は、それぞれ独立に、前記一般式(14)におけるR19と同義であり、
    は、前記一般式(15)におけるXと同義であり、
    前記一般式(12A)、(12B)、(12C)、(12D)、(12E)及び(12F)中の*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。)
  9. 前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(101)で表される、
    請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の化合物。
    Figure 2023128955000218

    (前記一般式(101)において、D11は、前記一般式(1)におけるD11と同義であり、
    101及びR102は、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるRと同義であり、
    131~R135は、それぞれ、前記一般式(16)におけるR131~R135と同義である。)
  10. 前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(102)又は(103)で表される、
    請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の化合物。
    Figure 2023128955000219

    Figure 2023128955000220

    (前記一般式(102)及び(103)において、
    101及びR102は、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるRと同義であり、
    131~R135は、それぞれ、前記一般式(16)におけるR131~R135と同義であり、
    前記一般式(102)において、
    11~R18は、それぞれ、前記一般式(12)におけるR11~R18と同義であり、
    19及びR20は、それぞれ独立に、前記一般式(14)におけるR19と同義であり、
    は、前記一般式(15)におけるXと同義であり、
    前記一般式(103)において、
    111~R118は、それぞれ、前記一般式(13)におけるR111~R118と同義であり、
    195~R198は、それぞれ独立に、前記一般式(14)におけるR19と同義であり、
    11及びX12は、それぞれ独立に、前記一般式(15)におけるXと同義である。)
  11. 11~R18のうちの隣接する2つ以上からなる組は、いずれも互いに結合せず、
    111~R118のうちの隣接する2つ以上からなる組は、いずれも互いに結合しない、
    請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の化合物。
  12. 前記一般式(1)におけるRは、それぞれ独立に、
    置換もしくは無置換の炭素数1~20のアルキル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
    置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基である、
    請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の化合物。
  13. 前記一般式(1)におけるRは、それぞれ独立に、
    置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6~18のアリール基、又は
    置換もしくは無置換の環形成原子数5~18の複素環基である、
    請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の化合物。
  14. 前記一般式(11)におけるR~R、前記一般式(12)におけるR11~R18、前記一般式(13)におけるR111~R118並びに前記一般式(14)におけるR19は、それぞれ独立に、
    水素原子、
    置換もしくは無置換の炭素数1~20のアルキル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
    置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基である、
    請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の化合物。
  15. 前記一般式(11)におけるR~R、前記一般式(12)におけるR11~R18、前記一般式(13)におけるR111~R118並びに前記一般式(14)におけるR19は、それぞれ独立に、
    水素原子、
    置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6~18のアリール基、又は
    置換もしくは無置換の環形成原子数5~18の複素環基である、
    請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の化合物。
  16. 前記一般式(1)におけるRは、それぞれ独立に、
    置換もしくは無置換の炭素数1~20のアルキル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
    置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基であり、
    前記一般式(11)におけるR~R、前記一般式(12)におけるR11~R18、前記一般式(13)におけるR111~R118並びに前記一般式(14)におけるR19は、それぞれ独立に、
    水素原子、
    置換もしくは無置換の炭素数1~20のアルキル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
    置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基である、
    請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の化合物。
  17. 前記一般式(1)におけるRは、それぞれ独立に、
    置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6~18のアリール基、又は
    置換もしくは無置換の環形成原子数5~18の複素環基であり、
    前記一般式(11)におけるR~R、前記一般式(12)におけるR11~R18、前記一般式(13)におけるR111~R118並びに前記一般式(14)におけるR19は、それぞれ独立に、
    水素原子、
    置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6~18のアリール基、又は
    置換もしくは無置換の環形成原子数5~18の複素環基である、
    請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の化合物。
  18. 請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の化合物を含有する、
    有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
  19. 陽極と、陰極と、有機層と、を有し、
    前記有機層は、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の化合物を第一の化合物として含む、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  20. 請求項19に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記有機層は、少なくとも1つの発光層を有し、
    前記発光層が前記第一の化合物を含む、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  21. 前記発光層は、前記第一の化合物と、さらに第二の化合物とを含み、
    前記第二の化合物は、蛍光発光性の化合物であり、
    前記第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)と、前記第二の化合物の一重項エネルギーS(M2)とが、下記数式(数1)の関係を満たす、
    請求項20に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    (M1)>S(M2) …(数1)
  22. 前記発光層は、前記第一の化合物と、さらに第三の化合物とを含み、
    前記第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)と、前記第三の化合物の一重項エネルギーS(M3)とが、下記数式(数2)の関係を満たす、
    請求項20に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    (M3)>S(M1) …(数2)
  23. 前記発光層は、前記第一の化合物と、さらに第二の化合物と、第三の化合物とを含み、
    前記第二の化合物は、蛍光発光性の化合物であり、
    前記第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)と、前記第二の化合物の一重項エネルギーS(M2)と、前記第三の化合物の一重項エネルギーS(M3)とが、下記数式(数3)の関係を満たす、
    請求項20に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    (M3)>S(M1)>S(M2) …(数3)
  24. 請求項18から請求項23のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した、電子機器。
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