JP2021020857A - 化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子機器 - Google Patents

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JP2021020857A JP2019136298A JP2019136298A JP2021020857A JP 2021020857 A JP2021020857 A JP 2021020857A JP 2019136298 A JP2019136298 A JP 2019136298A JP 2019136298 A JP2019136298 A JP 2019136298A JP 2021020857 A JP2021020857 A JP 2021020857A
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圭一 安川
Keiichi Yasukawa
圭一 安川
拓史 塩見
Takushi Shiomi
拓史 塩見
俊成 荻原
Toshinari Ogiwara
俊成 荻原
中野 裕美
Hiromi Nakano
裕美 中野
祐一郎 河村
Yuichiro Kawamura
祐一郎 河村
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

【課題】一重項励起子に加えて三重項励起子を利用して、有機EL素子をさらに効率的に発光させることが可能な、熱活性化遅延蛍光性(TADF性)を示し、有機エレクトロルミネッセンス素子を長寿命化できる化合物の提供。【解決手段】一般式(1)で表される化合物。[mは、1以上の整数;nは、2以上の整数;kは、0以上の整数;Lは、置換/無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環;CNはシアノ基;CZ1及びCZ2は、それぞれ独立に、重水素化されていてもよい縮合カルバゾールを表す]【選択図】なし

Description

本発明は、化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子機器に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」という場合がある。)に電圧を印加すると、陽極から正孔が発光層に注入され、また陰極から電子が発光層に注入される。そして、発光層において、注入された正孔と電子とが再結合し、励起子が形成される。このとき、電子スピンの統計則により、一重項励起子が25%の割合で生成し、及び三重項励起子が75%の割合で生成する。
一重項励起子からの発光を用いる蛍光型の有機EL素子は、携帯電話及びテレビ等のフルカラーディスプレイへ応用されつつあるが、内部量子効率25%が限界といわれている。そのため、有機EL素子の性能を向上するための検討が行われている。
例えば、一重項励起子に加えて三重項励起子を利用して、有機EL素子をさらに効率的に発光させることが期待されている。このような背景から、熱活性化遅延蛍光(以下、単に「遅延蛍光」という場合がある。)を利用した高効率の蛍光型の有機EL素子が提案され、研究がなされている。
TADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence、熱活性化遅延蛍光)機構(メカニズム)は、一重項準位と三重項準位とのエネルギー差(ΔST)の小さな材料を用いた場合に、三重項励起子から一重項励起子への逆項間交差が熱的に生じる現象を利用するメカニズムである。熱活性化遅延蛍光については、例えば、『安達千波矢編、「有機半導体のデバイス物性」、講談社、2012年4月1日発行、261−268ページ』に記載されている。
熱活性化遅延蛍光性(TADF性)を示す化合物(以下、TADF性化合物とも称する)としては、例えば、分子内に、ドナー部位とアクセプター部位とが結合した化合物が知られている。
有機EL素子並びに有機EL素子に用いる化合物に関する文献として、特許文献1及び特許文献2が挙げられる。
米国特許出願公開第2018/0010040号明細書 国際公開第2014/208698号
ディスプレイ等の電子機器の性能を向上させるために、有機EL素子の性能の更なる向上が要望されている。
本発明の目的は、高性能化、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子を長寿命化できる化合物、当該化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子並びに当該有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器を提供することである。
本発明の一態様によれば、下記一般式(1)で表される化合物が提供される。
(前記一般式(1)において、
mは、1以上の整数であり、
nは、2以上の整数であり、
kは、0以上の整数であり、
Lは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環であり、
CNは、シアノ基であり、
CZ及びCZは、それぞれ独立に、下記一般式(2)、下記一般式(3)及び下記一般式(3x)のいずれかで表される基であり、
CzとCzとは、互いに同一であるか、又は異なり、
mが2以上の整数である場合、複数のCzは、互いに同一であるか、又は異なり、
kが2以上の整数である場合、複数のCzは、互いに同一であるか、又は異なる。)
(前記一般式(2)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であるか、又はR及びRの組、R及びRの組、R及びRの組、R及びRの組、R及びRの組、並びにR及びRの組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
前記一般式(3)におけるR11〜R18は、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であるか、又はR11及びR12の組、R12及びR13の組、R13及びR14の組、R15及びR16の組、R16及びR17の組、並びにR17及びR18の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
前記一般式(3x)におけるR111〜R118は、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であるか、又はR111及びR112の組、R112及びR113の組、R113及びR114の組、R115及びR116の組、R116及びR117の組、並びにR117及びR118の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのR〜R、置換基としてのR11〜R18、並びに置換基としてのR111〜R118は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールシリル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルキルアミノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールアミノ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルチオ基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基であり、
前記一般式(2)におけるR〜R、前記一般式(3)におけるR11〜R18、並びに前記一般式(3x)におけるR111〜R118の内、少なくとも1つが重水素原子であり、
前記一般式(3)及び前記一般式(3x)において、
A、B及びCは、それぞれ独立に、下記一般式(131)及び下記一般式(132)のいずれかで表される環構造であり、
この環構造A、環構造B及び環構造Cは、隣接する環構造と任意の位置で縮合し、
p、px及びpyは、それぞれ独立に、1、2、3又は4であり、
pが2、3又は4の場合、複数の環構造Aは、互いに同一であるか、又は異なり、
pxが2、3又は4の場合、複数の環構造Bは、互いに同一であるか、又は異なり、
pyが2、3又は4の場合、複数の環構造Cは、互いに同一であるか、又は異なり、
*は、Lとの結合位置を示す。)
(前記一般式(131)において、
19及びR20は、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であるか、又はR19及びR20の組が互いに結合して環を形成し、
前記一般式(132)において、
は、CR130131、NR132、硫黄原子、又は酸素原子であり、
130〜R132は、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であるか、又はR130及びR131の組が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのR19、R20、R130、R131及びR132は、それぞれ独立に、置換基としてのR〜Rと同義である。)
本発明の一態様によれば、陽極と、陰極と、有機層と、を有し、前記有機層は、前述の本発明の一態様に係る化合物を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
本発明の一態様によれば、前述の本発明の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器が提供される。
本発明の一態様によれば、高性能化、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子を長寿命化できる化合物、当該化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子並びに当該有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器を提供できる。
過渡PLを測定する装置の概略図である。 過渡PLの減衰曲線の一例を示す図である。 本発明の第三実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の概略構成を示す図である。 本発明の第三実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の発光層における第一の化合物及び第二の化合物のエネルギー準位、並びにエネルギー移動の関係を示す図である。 本発明の第四実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の発光層における第一の化合物、第二の化合物及び第三の化合物のエネルギー準位、並びにエネルギー移動の関係を示す図である。
〔第一実施形態〕
(化合物)
本実施形態に係る化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。
(前記一般式(1)において、
mは、1以上の整数であり、
nは、2以上の整数であり、
kは、0以上の整数であり、
Lは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環であり、
CNは、シアノ基であり、
Cz及びCzは、それぞれ独立に、下記一般式(2)、下記一般式(3)及び下記一般式(3x)のいずれかで表される基であり、
CzとCzとは、互いに同一であるか、又は異なり、
mが2以上の整数である場合、複数のCzは、互いに同一であるか、又は異なり、
kが2以上の整数である場合、複数のCzは、互いに同一であるか、又は異なる。)
(前記一般式(2)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であるか、又はR及びRの組、R及びRの組、R及びRの組、R及びRの組、R及びRの組、並びにR及びRの組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
前記一般式(3)におけるR11〜R18は、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であるか、又はR11及びR12の組、R12及びR13の組、R13及びR14の組、R15及びR16の組、R16及びR17の組、並びにR17及びR18の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
前記一般式(3x)におけるR111〜R118は、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であるか、又はR111及びR112の組、R112及びR113の組、R113及びR114の組、R115及びR116の組、R116及びR117の組、並びにR117及びR118の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのR〜R、置換基としてのR11〜R18、並びに置換基としてのR111〜R118は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールシリル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルキルアミノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールアミノ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルチオ基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基であり、
前記一般式(2)におけるR〜R、前記一般式(3)におけるR11〜R18、並びに前記一般式(3x)におけるR111〜R118の内、少なくとも1つが重水素原子であり、
前記一般式(3)及び前記一般式(3x)において、
A、B及びCは、それぞれ独立に、下記一般式(131)及び下記一般式(132)のいずれかで表される環構造であり、
この環構造A、環構造B及び環構造Cは、隣接する環構造と任意の位置で縮合し、
p、px及びpyは、それぞれ独立に、1、2、3又は4であり、
pが2、3又は4の場合、複数の環構造Aは、互いに同一であるか、又は異なり、
pxが2、3又は4の場合、複数の環構造Bは、互いに同一であるか、又は異なり、
pyが2、3又は4の場合、複数の環構造Cは、互いに同一であるか、又は異なり、
*は、Lとの結合位置を示す。)
(前記一般式(131)において、
19及びR20は、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であるか、又はR19及びR20の組が互いに結合して環を形成し、
前記一般式(132)において、
は、CR130131、NR132、硫黄原子、又は酸素原子であり、
130〜R132は、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であるか、又はR130及びR131の組が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのR19、R20、R130、R131及びR132は、それぞれ独立に、置換基としてのR〜Rと同義である。)
本実施形態に係る化合物において、Czは、少なくとも1つの重水素原子を含む。
Czが前記一般式(2)で表される基である場合、R〜Rの内、少なくとも1つが重水素原子である。
Czが前記一般式(3)で表される基である場合、R11〜R18の内、少なくとも1つが重水素原子である。
Czが前記一般式(3x)で表される基である場合、R111〜R118の内、少なくとも1つが重水素原子である。
本実施形態に係る化合物において、Lが置換基を有する場合、当該置換基は、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数6〜30の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、または置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールシリル基であることが好ましい。Lが複数の置換基を有する場合、複数の置換基同士は、互いに同一でも異なっていてもよい。
本実施形態に係る化合物において、Lは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14の芳香族炭化水素環であることが好ましい。Lとしての環形成炭素数6〜14の芳香族炭化水素環は、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環及びフェナントレン環等が挙げられる。本実施形態に係る化合物において、Lは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であることがより好ましく、置換もしくは無置換のベンゼン環であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る化合物において、nは、2、3又は4であることが好ましく、2であることがより好ましい。
本実施形態に係る化合物において、nは、2、3又は4であり、Lは、置換もしくは無置換のベンゼン環であることが好ましく、nが2であり、Lは、置換もしくは無置換のベンゼン環であることがより好ましい。
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(11)〜(13)のいずれかで表されることが好ましい。
(前記一般式(11)〜(13)において、
Czは、それぞれ独立に、前記一般式(2)、前記一般式(3)及び前記一般式(3x)のいずれかで表される基であり、
40は、軽水素原子、重水素原子、又は置換基であり、
置換基としてのR40は、それぞれ独立に、
ハロゲン原子、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールシリル基であり、
mは、1、2、3又は4であり、
mが2、3又は4の場合、複数のCzは、互いに同一であるか、又は異なり、
qは、0、1、2又は3であり、
qが2又は3の場合、複数のR40は、互いに同一であるか、又は異なり、
m+q=4である。)
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(1)で表される化合物は、前記一般式(13)で表されることがより好ましい。
本実施形態において、前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(110)、一般式(120)又は一般式(130)で表される化合物であることが好ましい。
(前記一般式(110)、一般式(120)及び一般式(130)において、
CNは、シアノ基であり、
Czは、それぞれ独立に、前記一般式(2)、前記一般式(3)及び前記一般式(3x)のいずれかで表される基であり、
複数のCzは、互いに同一であるか、又は異なる。)
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(1)で表される化合物は、前記一般式(130)で表されることがより好ましい。
本実施形態に係る化合物において、Cz及びCzは、それぞれ独立に、前記一般式(3)で表される基であることが好ましい。
前記一般式(11)〜(13)、(110)、(120)又は(130)において、Czは、前記一般式(3)で表される基であることが好ましい。
本実施形態に係る化合物において、前記一般式(3)で表される基は、下記一般式(133)〜(138)のいずれかで表される基であることが好ましい。
(前記一般式(133)〜(138)において、
11〜R18は、それぞれ独立に、前記一般式(3)におけるR11〜R18と同義であり、
19及びR20は、それぞれ独立に、前記一般式(131)におけるR19及びR20と同義であり、
11〜R20の内、少なくとも1つが重水素原子であり、
は、前記一般式(132)におけるXと同義であり、
*は、Lとの結合位置を示す。)
前記一般式(133)〜(138)において、R15〜R20が重水素原であることも好ましい。
前記一般式(133)〜(138)において、R11〜R20が重水素原であることも好ましい。
前記一般式(133)〜(138)において、R11〜R14が軽水素原であり、かつR15〜R20が重水素原であることも好ましい。
本実施形態に係る化合物において、Cz及びCzは、それぞれ独立に、前記一般式(133)〜(138)のいずれかで表される基であることが好ましく、前記一般式(136)で表される基であることがより好ましい。
前記一般式(11)〜(13)、(110)、(120)又は(130)において、Czは、前記一般式(133)〜(138)のいずれかで表される基であることが好ましく、前記一般式(136)で表される基であることがより好ましいい。
本実施形態に係る化合物は、下記一般式(100)で表される化合物であることが好ましい。
(前記一般式(100)において、
121〜R160は、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であり、
置換基としてのR121〜R160は、それぞれ独立に、置換基としてのR11〜R18と同義であり、
121〜R160の内、少なくとも1つが重水素原子であり、
11、X12、X13及びX14は、それぞれ独立に、Xと同義である。)
本実施形態に係る化合物において、Xは、酸素原子又は硫黄原子であることが好ましい。
前記一般式(100)で表される化合物において、X11、X12、X13及びX14は、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子であることが好ましい。
本実施形態に係る化合物は、遅延蛍光性の化合物であることが好ましい。
・遅延蛍光性
遅延蛍光については、「有機半導体のデバイス物性」(安達千波矢編、講談社発行)の261〜268ページで解説されている。その文献の中で、蛍光発光材料の励起一重項状態と励起三重項状態のエネルギー差ΔE13を小さくすることができれば、通常は遷移確率が低い励起三重項状態から励起一重項状態への逆エネルギー移動が高効率で生じ、熱活性化遅延蛍光(ThermallyActivated delayed Fluorescence,TADF)が発現すると説明されている。さらに、当該文献中の図10.38で、遅延蛍光の発生メカニズムが説明されている。本実施形態に係る化合物は、このようなメカニズムで発生する熱活性化遅延蛍光を示す化合物であることが好ましい。
一般に、遅延蛍光の発光は過渡PL(Photo Luminescence)測定により確認できる。
過渡PL測定から得た減衰曲線に基づいて遅延蛍光の挙動を解析することもできる。過渡PL測定とは、試料にパルスレーザーを照射して励起させ、照射を止めた後のPL発光の減衰挙動(過渡特性)を測定する手法である。TADF材料におけるPL発光は、最初のPL励起で生成する一重項励起子からの発光成分と、三重項励起子を経由して生成する一重項励起子からの発光成分に分類される。最初のPL励起で生成する一重項励起子の寿命は、ナノ秒オーダーであり、非常に短い。そのため、当該一重項励起子からの発光は、パルスレーザーを照射後、速やかに減衰する。
一方、遅延蛍光は、寿命の長い三重項励起子を経由して生成する一重項励起子からの発光のため、ゆるやかに減衰する。このように最初のPL励起で生成する一重項励起子からの発光と、三重項励起子を経由して生成する一重項励起子からの発光とでは、時間的に大きな差がある。そのため、遅延蛍光由来の発光強度を求めることができる。
図1には、過渡PLを測定するための例示的装置の概略図が示されている。図1を用いた過渡PLの測定方法、及び遅延蛍光の挙動解析の一例を説明する。
図1の過渡PL測定装置100は、所定波長の光を照射可能なパルスレーザー部101と、測定試料を収容する試料室102と、測定試料から放射された光を分光する分光器103と、2次元像を結像するためのストリークカメラ104と、2次元像を取り込んで解析するパーソナルコンピュータ105とを備える。なお、過渡PLの測定は、図1に記載の装置に限定されない。
試料室102に収容される試料は、マトリックス材料に対し、ドーピング材料が12質量%の濃度でドープされた薄膜を石英基板に成膜することで得られる。
試料室102に収容された薄膜試料に対し、パルスレーザー部101からパルスレーザーを照射してドーピング材料を励起させる。励起光の照射方向に対して90度の方向へ発光を取り出し、取り出した光を分光器103で分光し、ストリークカメラ104内で2次元像を結像する。その結果、縦軸が時間に対応し、横軸が波長に対応し、輝点が発光強度に対応する2次元画像を得ることができる。この2次元画像を所定の時間軸で切り出すと、縦軸が発光強度であり、横軸が波長である発光スペクトルを得ることができる。また、当該2次元画像を波長軸で切り出すと、縦軸が発光強度の対数であり、横軸が時間である減衰曲線(過渡PL)を得ることができる。
例えば、マトリックス材料として、下記参考化合物H1を用い、ドーピング材料として下記参考化合物D1を用いて上述のようにして薄膜試料Aを作製し、過渡PL測定を行った。
ここでは、前述の薄膜試料A、及び薄膜試料Bを用いて減衰曲線を解析した。薄膜試料Bは、マトリックス材料として下記参考化合物H2を用い、ドーピング材料として前記参考化合物D1を用いて、上述のようにして薄膜試料を作製した。
図2には、薄膜試料A及び薄膜試料Bについて測定した過渡PLから得た減衰曲線が示されている。
上記したように過渡PL測定によって、縦軸を発光強度とし、横軸を時間とする発光減衰曲線を得ることができる。この発光減衰曲線に基づいて、光励起により生成した一重項励起状態から発光する蛍光と、三重項励起状態を経由し、逆エネルギー移動により生成する一重項励起状態から発光する遅延蛍光との、蛍光強度比を見積もることができる。遅延蛍光性の材料では、素早く減衰する蛍光の強度に対し、緩やかに減衰する遅延蛍光の強度の割合が、ある程度大きい。
具体的には、遅延蛍光性の材料からの発光としては、Prompt発光(即時発光)と、Delay発光(遅延発光)とが存在する。Prompt発光(即時発光)とは、当該遅延蛍光性の材料が吸収する波長のパルス光(パルスレーザーから照射される光)で励起された後、当該励起状態から即座に観察される発光である。Delay発光(遅延発光)とは、当該パルス光による励起後、即座には観察されず、その後観察される発光である。
Prompt発光とDelay発光の量とその比は、“Nature 492,234−238,2012”(参考文献1)に記載された方法と同様の方法により求めることができる。なお、Prompt発光とDelay発光の量の算出に使用される装置は、前記参考文献1に記載の装置、または図1に記載の装置に限定されない。
また、本実施形態に係る化合物の遅延蛍光性の測定には、次に示す方法により作製した試料を用いる。例えば、本実施形態に係る化合物をトルエンに溶解し、自己吸収の寄与を取り除くため励起波長において吸光度が0.05以下の希薄溶液を調製する。また酸素による消光を防ぐため、試料溶液を凍結脱気した後にアルゴン雰囲気下で蓋付きのセルに封入することで、アルゴンで飽和された酸素フリーの試料溶液とする。
上記試料溶液の蛍光スペクトルを分光蛍光光度計FP−8600(日本分光社製)で測定し、また同条件で9,10−ジフェニルアントラセンのエタノール溶液の蛍光スペクトルを測定する。両スペクトルの蛍光面積強度を用いて、Morris et al. J.Phys.Chem.80(1976)969中の(1)式により全蛍光量子収率を算出する。
Prompt発光とDelay発光の量とその比は、“Nature 492,234−238,2012”(参考文献1)に記載された方法と同様の方法により求めることができる。なお、Prompt発光とDelay発光の量の算出に使用される装置は、前記参考文献1に記載の装置、または図1に記載の装置に限定されない。
本実施形態においては、測定対象化合物のPrompt発光(即時発光)の量をXとし、Delay発光(遅延発光)の量をXとしたときに、X/Xの値が0.05以上であることが好ましい。
本明細書における本実施形態に係る化合物以外の化合物のPrompt発光とDelay発光の量とその比の測定も、本実施形態に係る化合物のPrompt発光とDelay発光の量とその比の測定と同様である。
ΔST
本実施形態では、最低励起一重項エネルギーSと、77[K]におけるエネルギーギャップT77Kとの差(S−T77K)をΔSTとして定義する。
本実施形態に係る化合物の最低励起一重項エネルギーS(M1)と、本実施形態に係る化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M1)との差ΔST(M1)は、好ましくは0.3eV未満、より好ましくは0.2eV未満、さらに好ましくは0.1eV未満である。すなわち、ΔST(M1)は、下記数式(数10)、(数11)又は(数12)の関係を満たすことが好ましい。
ΔST(M1)=S(M1)−T77K(M1)<0.3eV …(数10)
ΔST(M1)=S(M1)−T77K(M1)<0.2eV …(数11)
ΔST(M1)=S(M1)−T77K(M1)<0.1eV …(数12)
・三重項エネルギーと77[K]におけるエネルギーギャップとの関係
ここで、三重項エネルギーと77[K]におけるエネルギーギャップとの関係について説明する。本実施形態では、77[K]におけるエネルギーギャップは、通常定義される三重項エネルギーとは異なる点がある。
三重項エネルギーの測定は、次のようにして行われる。まず、測定対象となる化合物を適切な溶媒中に溶解した溶液を石英ガラス管内に封入した試料を作製する。この試料について、低温(77[K])で燐光スペクトル(縦軸:燐光発光強度、横軸:波長とする。)を測定し、この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値に基づいて、所定の換算式から三重項エネルギーを算出する。
ここで、本実施形態に係る化合物の内、熱活性化遅延蛍光性の化合物は、ΔSTが小さい化合物であることが好ましい。ΔSTが小さいと、低温(77[K])状態でも、項間交差、及び逆項間交差が起こりやすく、励起一重項状態と励起三重項状態とが混在する。その結果、上記と同様にして測定されるスペクトルは、励起一重項状態、及び励起三重項状態の両者からの発光を含んでおり、いずれの状態から発光したのかについて峻別することは困難であるが、基本的には三重項エネルギーの値が支配的と考えられる。
そのため、本実施形態では、通常の三重項エネルギーTと測定手法は同じであるが、その厳密な意味において異なることを区別するため、次のようにして測定される値をエネルギーギャップT77Kと称する。測定対象となる化合物をEPA(ジエチルエーテル:イソペンタン:エタノール=5:5:2(容積比))中に、濃度が10μmol/Lとなるように溶解し、この溶液を石英セル中に入れて測定試料とする。この測定試料について、
低温(77[K])で燐光スペクトル(縦軸:燐光発光強度、横軸:波長とする。)を測定し、この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]に基づいて、次の換算式(F1)から算出されるエネルギー量を77[K]におけるエネルギーギャップT77Kとする。
換算式(F1):T77K[eV]=1239.85/λedge
燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線は以下のように引く。燐光スペクトルの短波長側から、スペクトルの極大値のうち、最も短波長側の極大値までスペクトル曲線上を移動する際に、長波長側に向けて曲線上の各点における接線を考える。この接線は、曲線が立ち上がるにつれ(つまり縦軸が増加するにつれ)、傾きが増加する。この傾きの値が極大値をとる点において引いた接線(すなわち変曲点における接線)が、当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とする。
なお、スペクトルの最大ピーク強度の15%以下のピーク強度をもつ極大点は、上述の最も短波長側の極大値には含めず、最も短波長側の極大値に最も近い、傾きの値が極大値をとる点において引いた接線を当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とする。
燐光の測定には、(株)日立ハイテクノロジー製のF−4500形分光蛍光光度計本体を用いることができる。なお、測定装置はこの限りではなく、冷却装置、及び低温用容器と、励起光源と、受光装置とを組み合わせることにより、測定してもよい。
・最低励起一重項エネルギーS
溶液を用いた最低励起一重項エネルギーSの測定方法(溶液法と称する場合がある。)としては、下記の方法が挙げられる。
測定対象となる化合物の10μmol/Lトルエン溶液を調製して石英セルに入れ、常温(300K)でこの試料の吸収スペクトル(縦軸:吸収強度、横軸:波長とする。)を測定する。この吸収スペクトルの長波長側の立ち下がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]を次に示す換算式(F2)に代入して最低励起一重項エネルギーを算出する。
換算式(F2):S[eV]=1239.85/λedge
吸収スペクトル測定装置としては、例えば、日立社製の分光光度計(装置名:U3310)が挙げられるが、これに限定されない。
吸収スペクトルの長波長側の立ち下がりに対する接線は以下のように引く。吸収スペクトルの極大値のうち、最も長波長側の極大値から長波長方向にスペクトル曲線上を移動する際に、曲線上の各点における接線を考える。この接線は、曲線が立ち下がるにつれ(つまり縦軸の値が減少するにつれ)、傾きが減少しその後増加することを繰り返す。傾きの値が最も長波長側(ただし、吸光度が0.1以下となる場合は除く)で極小値をとる点において引いた接線を当該吸収スペクトルの長波長側の立ち下がりに対する接線とする。
なお、吸光度の値が0.2以下の極大点は、上記最も長波長側の極大値には含めない。
・本実施形態に係る化合物の製造方法
本実施形態に係る化合物は、後述する実施例に記載の合成方法に従って、又は当該合成方法に倣い、目的物に合わせた既知の代替反応及び原料を用いることで、製造できる。
・本実施形態に係る化合物の具体例
本実施形態に係る化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。ただし、本発明は、これら具体例に限定されない。本明細書において、重水素原子は、化学式中でDと表記し、軽水素原子は、Hと表記するか又は記載を省略する。
本実施形態に係る化合物によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子の寿命を延ばすことができる。
〔第二実施形態〕
(有機エレクトロルミネッセンス素子用材料)
本実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、第一実施形態に係る化合物を含有する。有機エレクトロルミネッセンス素子材料は、第一実施形態に係る化合物単独で構成されていてもよいし、他の化合物を含んで構成されていても良い。
本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子材料において、第一実施形態に係る化合物がホスト材料であることが好ましい。この場合、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、ホスト材料としての第一実施形態に係る化合物と、例えば、ドーパント材料等の他の化合物とを含んでいてもよい。
また、本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料において、第一実施形態に係る化合物が遅延蛍光性材料であることが好ましい。
〔第三実施形態〕
〔有機エレクトロルミネッセンス素子〕
本実施形態に係る有機EL素子について説明する。
本実施形態に係る有機EL素子は、陽極及び陰極の両電極間に有機層を備える。この有機層は、有機化合物で構成される層を少なくとも一つ含む。あるいは、この有機層は、有機化合物で構成される複数の層が積層されてなる。有機層は、無機化合物をさらに含んでいてもよい。
本実施形態に係る有機EL素子は、有機層として第一の有機層を有する。
本実施形態の有機EL素子において、有機層のうち少なくとも一層は、発光層である。
有機層は、例えば、一つの発光層で構成されていてもよいし、有機EL素子に採用され得る層を含んでいてもよい。有機EL素子に採用され得る層としては、特に限定されないが、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、及び障壁層からなる群から選択される少なくともいずれかの層が挙げられる。
一実施形態において、発光層としての第一の有機層は、金属錯体を含んでもよい。
また、一実施形態において、発光層としての第一の有機層は、発光層は、金属錯体を含まないことも好ましい。
また、一実施形態において、発光層は、燐光発光性材料(ドーパント材料)を含まないことが好ましい。
また、一実施形態において、発光層は、重金属錯体及び燐光発光性の希土類金属錯体を含まないことが好ましい。重金属錯体としては、例えば、イリジウム錯体、オスミウム錯体、及び白金錯体等が挙げられる。
図3に、本実施形態に係る有機EL素子の一例の概略構成を示す。
有機EL素子1は、透光性の基板2と、陽極3と、陰極4と、陽極3と陰極4との間に配置された有機層10と、を含む。有機層10は、陽極3側から順に、正孔注入層6、正孔輸送層7、発光層5、電子輸送層8及び電子注入層9が、この順番で積層されて構成される。
(発光層)
本実施形態においては、第一の有機層が発光層である。発光層としての第一の有機層は、第一の化合物及び第二の化合物を含む。第一の有機層における第一の化合物は、第一実施形態に係る化合物であることが好ましい。
この態様の場合、第一の化合物は、ホスト材料(マトリックス材料と称する場合もある。)であることが好ましく、第二の化合物は、ドーパント材料(ゲスト材料、エミッター、発光材料と称する場合もある。)であることが好ましい。
本実施形態において、発光層に第一実施形態に係る化合物が含まれている場合、発光層は、燐光発光性の金属錯体を含まないことが好ましく、燐光発光性の金属錯体以外の金属錯体も含まないことが好ましい。
<第一の化合物>
第一の化合物は、第一実施形態に係る化合物である。
第一の化合物は、遅延蛍光性の化合物であることが好ましい。
<第二の化合物>
第二の化合物は、遅延蛍光性を示さない蛍光発光性の化合物であることが好ましい。
本実施形態に係る第二の化合物としては、蛍光発光性材料を用いることができる。蛍光発光性材料としては、具体的には、例えば、ビスアリールアミノナフタレン誘導体、アリール置換ナフタレン誘導体、ビスアリールアミノアントラセン誘導体、アリール置換アントラセン誘導体、ビスアリールアミノピレン誘導体、アリール置換ピレン誘導体、ビスアリールアミノクリセン誘導体、アリール置換クリセン誘導体、ビスアリールアミノフルオランテン誘導体、アリール置換フルオランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、アセナフトフルオランテン誘導体、ピロメテンホウ素錯体化合物、ピロメテン骨格を有する化合物、ピロメテン骨格を有する化合物の金属錯体、ジケトピロロピロール誘導体、ペリレン誘導体、およびナフタセン誘導体などが挙げられる。
本実施形態において、第二の化合物は、下記一般式(20)で表される化合物であることが好ましい。
第二の化合物は、下記一般式(20)で表される化合物である。
第二の化合物は、蛍光発光性を有する化合物であることが好ましい。
前記一般式(20)において、
前記一般式(20)において、
Xは、窒素原子、又はYと結合する炭素原子であり、
Yは、水素原子又は置換基であり、
21〜R26は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、又はR21及びR22の組、R22及びR23の組、R24及びR25の組、並びにR25及びR26の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのY、及びR21〜R26は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のハロゲン化アルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のハロゲン化アルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルチオ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
置換もしくは無置換のエステル基、
置換もしくは無置換のカルバモイル基、
置換もしくは無置換のアミノ基、
ニトロ基、
シアノ基、
置換もしくは無置換のシリル基、および
置換もしくは無置換のシロキサニル基からなる群から選択され、
21およびZ22は、それぞれ独立に、置換基であるか、又はZ21及びZ22が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのZ21及びZ22は、それぞれ独立に、
ハロゲン原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のハロゲン化アルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のハロゲン化アルコキシ基、および
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基からなる群から選択される。
前記一般式(20)において、例えば、R25及びR26の組が互いに結合して環を形成している場合、第二の化合物は、下記一般式(21)で表される。
前記一般式(21)において、X、Y、R21〜R24、Z21、およびZ22は、それぞれ、前記一般式(20)におけるX、Y、R21〜R24、Z21、およびZ22と同義であり、R27〜R30は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、R27〜R30が置換基である場合の置換基としては、R21〜R24について列挙した置換基と同義である。
前記一般式(20)において、Z21及びZ22が互いに結合して環を形成している場合、第二の化合物は、例えば、下記一般式(20A)、または下記一般式(20B)で表される。ただし、第二の化合物は、以下の構造に限定されない。
前記一般式(20A)において、X、Y、およびR21〜R26は、それぞれ、前記一般式(20)におけるX、Y、およびR21〜R26と同義であり、R1Aは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、R1Aが置換基である場合の置換基としては、R21〜R26について列挙した置換基と同義であり、n3は4である。
前記一般式(20B)において、X、Y、およびR21〜R26は、それぞれ、前記一般式(20)におけるX、Y、およびR21〜R26と同義であり、R1Bは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、R1Bが置換基である場合の置換基としては、R21〜R26について列挙した置換基と同義であり、n4は4である。
21及びZ22のうち少なくともいずれか(好ましくはZ21及びZ22)は、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のハロゲン化アルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のハロゲン化アルコキシ基、及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基からなる群から選択される基であることが好ましい。
21及びZ22のうち少なくともいずれかは、フッ素原子で置換された炭素数1〜30のアルコキシ基、フッ素原子で置換された環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、及び炭素数1〜30のフルオロアルキル基で置換された環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基からなる群から選択される基であることがより好ましい。
21及びZ22のうち少なくともいずれかは、フッ素原子で置換された炭素数1〜30のアルコキシ基であることがさらに好ましく、Z21及びZ22がフッ素原子で置換された炭素数1〜30のアルコキシ基であることがよりさらに好ましい。
21及びZ22が同じであることも好ましい。
一方、前記Z21および前記Z22のうち少なくともいずれかがフッ素原子であることも好ましく、前記Z21および前記Z22がフッ素原子であることもより好ましい。
前記Z21および前記Z22のうち少なくともいずれかは、下記一般式(20a)で表される基であることも好ましい。
前記一般式(20a)において、Aは、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、または置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基であり、Lは、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキレン基、または置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリーレン基であり、mxは、0、1、2、3、4、5、6、又は7であり、mxが2、3、4、5、6、又は7である場合、複数のLは、互いに同一または異なる。mxは、0、1、又は2であることが好ましい。mxが0の場合、Aは、O(酸素原子)に直接結合する。
前記一般式(20)において、Z21およびZ22が前記一般式(20a)で表される基である場合、第二の化合物は、下記一般式(22)で表される化合物である。
第二の化合物は、下記一般式(22)で表される化合物であることも好ましい。
前記一般式(22)において、X、XがYと結合する炭素原子であるときのY、R21〜R26は、それぞれ、前記一般式(20)におけるX、Y、R21〜R26と同義である。A21およびA22は、前記一般式(20a)におけるAと同義であり、互いに同一でも異なっていてもよい。L21およびL22は、前記一般式(20a)におけるLと同義であり、互いに同一でも異なっていてもよい。m1およびm2は、それぞれ独立に、0、1、2、3、4、5、6、又は7であり、0、1、又は2であることが好ましい。m1が2、3、4、5、6、又は7である場合、複数のL21は、互いに同一または異なり、m2が2、3、4、5、6、又は7である場合、複数のL22は、互いに同一または異なる。m1が0の場合、A21は、O(酸素原子)に直接結合し、m2が0の場合、A22は、O(酸素原子)に直接結合する。
前記一般式(20a)におけるAおよびLのうち少なくともいずれかが、ハロゲン原子で置換されていることが好ましく、フッ素原子で置換されていることがより好ましい。
前記一般式(20a)におけるAは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、または環形成炭素数6〜12のパーフルオロアリール基であることがより好ましく、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基であることがさらに好ましい。
前記一般式(20a)におけるLは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基、または環形成炭素数6〜12のパーフルオロアリーレン基であることがより好ましく、炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であることがさらに好ましい。
すなわち、前記第二の化合物は、下記一般式(22a)で表される化合物であることも好ましい。
前記一般式(22a)において、
Xは、前記一般式(20)におけるXと同義であり、XがYと結合する炭素原子であるときのYは、前記一般式(20)におけるYと同義であり、
21〜R26は、それぞれ独立に、前記一般式(20)におけるR21〜R26とそれぞれ同義であり、
m3は、0以上4以下であり、
m4は、0以上4以下であり、
m3及びm4は、互いに同一であるか又は異なる。
前記一般式(20)、(21)、(22)、及び(22a)において、
Xは、Yと結合する炭素原子であり、
Yは、水素原子又は置換基であり、
置換基としてのYは、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のハロゲン化アルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基からなる群から選択される置換基であることが好ましく、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であることがより好ましい。
前記一般式(20)、(21)、(22)、及び(22a)において、
より好ましい態様としては、
Xは、Yと結合する炭素原子であり、
Yは、水素原子又は置換基であり、
置換基としてのYは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、
置換基としてのYが置換基を有する環形成炭素数6〜30のアリール基である場合の当該置換基は、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のハロゲン化アルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のハロゲン化アルコキシ基、又は
炭素数1〜30のアルキル基で置換された環形成炭素数6〜30のアリール基である態様が挙げられる。
第二の化合物は、前記Z21と前記Z22とが互いに結合して環を形成してもよいが、前記Z21と前記Z22とが互いに結合して環を形成しないことが好ましい。
前記一般式(20)、(22)、及び(22a)において、R21、R23、R24、およびR26のうち少なくともいずれかが置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜30のハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
前記一般式(20)、(22)、及び(22a)において、R21、R23、R24、およびR26が置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜30のハロゲン化アルキル基であることがより好ましい。この場合、R22およびR25が水素原子であることが好ましい。
前記一般式(20)、(22)、及び(22a)において、R21、R23、R24、およびR26のうち少なくともいずれかが置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であることが好ましい。
前記一般式(20)、(22)、及び(22a)において、R21、R23、R24、およびR26が置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であることがより好ましい。この場合、R22およびR25が水素原子であることが好ましい。
前記一般式(20)で表される化合物は、下記一般式(23)で表される化合物であることが好ましい。
前記一般式(23)において、R211〜R215、R231〜R235、R241〜R245、R261〜R265並びにR271〜R275は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であり、
置換基としての、R211〜R215、R231〜R235、R241〜R245、R261〜R265並びにR271〜R275は、それぞれ独立に、置換基としてのR21〜R26と同義である。
前記一般式(23)において、置換基としてのR211〜R215、R231〜R235、R241〜R245、R261〜R265並びにR271〜R275は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であることが好ましい。
前記一般式(23)において、R211〜R215の少なくとも一つが置換基であり、R231〜R235の少なくとも一つが置換基であり、R241〜R245の少なくとも一つが置換基であり、R261〜R265の少なくとも一つが置換基であり、かつR271〜R275の少なくとも一つが置換基であることが好ましい。
前記一般式(20)、(22)、及び(22a)において、
より好ましい態様としては、
21、R23、R24、及びR26は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜6)のハロゲン化アルキル基、又は
炭素数1〜30のアルキル基で置換された環形成炭素数6〜30(好ましくは環形成炭素数6〜12)のアリール基であり、
22及びR25が水素原子である態様が挙げられる。
前記一般式(21)において、R21、R23、およびR24のうち少なくともいずれかが置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜30のハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
前記一般式(21)において、R21、R23、およびR24が置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜30のハロゲン化アルキル基であることがより好ましい。この場合、R22は水素原子であることが好ましい。
前記一般式(21)において、R21、R23、およびR24のうち少なくともいずれかが置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であることが好ましい。
前記一般式(21)において、R21、R23、およびR24が置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であることがより好ましい。この場合、R22は水素原子であることが好ましい。
前記一般式(21)において、
より好ましい態様としては、
21、R23、およびR24は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜6)のハロゲン化アルキル基、又は
炭素数1〜30のアルキル基で置換された環形成炭素数6〜30(好ましくは環形成炭素数6〜12)のアリール基であり、
22が水素原子である態様が挙げられる。
第二の化合物において、フッ素原子で置換されたアルコキシ基としては、例えば、2,2,2−トリフロオロエトキシ基、2,2−ジフロオロエトキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロポキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロポキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシ基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブチルオキシ基、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブチルオキシ基、ノナフルオロターシャリーブチルオキシ基、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンタノキシ基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキサノキシ基、2,3−ビス(トリフルオロメチル)−2,3−ブタンジオキシ基、1,1,2,2−テトラ(トリフルオロメチル)エチレングリコキシ基、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキサン−1,2−ジオキシ基、および4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノナン−1,2−ジオキシ基等が挙げられる。
第二の化合物において、フッ素原子で置換されたアリールオキシ基、またはフルオロアルキル基で置換されたアリールオキシ基としては、例えば、ペンタフルオロフェノキシ基、3,4,5−トリフルオロフェノキシ基、4−トリフルオロメチルフェノキシ基、3,5−ビストリフルオロメチルフェノキシ基、3−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ基、4−フルオロカテコラート基、4−トリフルオロメチルカテコラート基、および3,5−ビストリフルオロメチルカテコラート基等が挙げられる。
第二の化合物が蛍光発光性の化合物である場合、第二の化合物は、主ピーク波長が、400nm以上700nm以下の発光を示すことが好ましい。
本明細書において、主ピーク波長とは、測定対象化合物が10−6モル/リットル以上10−5モル/リットル以下の濃度で溶解しているトルエン溶液について、測定した蛍光スペクトルにおける発光強度が最大となる蛍光スペクトルのピーク波長をいう。測定装置は、分光蛍光光度計(日立ハイテクサイエンス社製、F−7000)を用いる。
第二の化合物は、赤色の発光又は緑色の発光を示すことが好ましい。
本明細書において、赤色の発光とは、蛍光スペクトルの主ピーク波長が600nm以上660nm以下の範囲内である発光をいう。
第二の化合物が赤色の蛍光発光性の化合物である場合、第二の化合物の主ピーク波長は、好ましくは600nm以上660nm以下、より好ましくは600nm以上640nm以下、さらに好ましくは610nm以上630nm以下である。
本明細書において、緑色の発光とは、蛍光スペクトルの主ピーク波長が500nm以上560nm以下の範囲内である発光をいう。
第二の化合物が緑色の蛍光発光性の化合物である場合、第二の化合物の主ピーク波長は、好ましくは500nm以上560nm以下、より好ましくは500nm以上540nm以下、さらに好ましくは510nm以上530nm以下である。
本明細書において、青色の発光とは、蛍光スペクトルの主ピーク波長が430nm以上480nm以下の範囲内である発光をいう。
第二の化合物が青色の蛍光発光性の化合物である場合、第二の化合物の主ピーク波長は、好ましくは430nm以上480nm以下、より好ましくは445nm以上480nm以下である。
・第二の化合物の製造方法
第二の化合物は、公知の方法により製造することができる。
・第二の化合物の具体例
本実施形態に係る第二の化合物の具体例を以下に示す。なお、本発明における第二の化合物は、これらの具体例に限定されない。
なお、ピロメテン骨格中におけるホウ素原子と窒素原子との配位結合は、実線、破線、矢印、もしくは省略するなど、種々の表記方法がある。本明細書においては、実線で表すか、破線で表すか、又は記載を省略する。
<発光層における第一の化合物及び第二の化合物の関係>
本実施形態の有機EL素子において、第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)と、第二の化合物の一重項エネルギーS(M2)とが、下記数式(数3)の関係を満たすことが好ましい。
(M1)>S(M2) …(数3)
第一の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M1)は、第二の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M2)よりも大きいことが好ましい。すなわち、下記数式(数5)の関係を満たすことが好ましい。
77K(M1)>T77K(M2) …(数5)
本実施形態の有機EL素子を発光させたときに、発光層において、主に第二の化合物が発光していることが好ましい。
・TADF機構(メカニズム)
図4は、発光層における第二の化合物M2及び第一の化合物M1のエネルギー準位の関係の一例を示す図である。図4において、S0は、基底状態を表す。S1(M1)は、第一の化合物M1の最低励起一重項状態を表す。T1(M1)は、第一の化合物M1の最低励起三重項状態を表す。S1(M2)は、第二の化合物M2の最低励起一重項状態を表す。T1(M2)は、第二の化合物M2の最低励起三重項状態を表す。
図4中のS1(M1)からS1(M2)へ向かう破線の矢印は、第二の化合物M2の最低励起一重項状態から第一の化合物M1へのフェルスター型エネルギー移動を表す。
図4に示すように、第二の化合物M2としてΔST(M2)の小さな化合物を用いると、最低励起三重項状態T1(M2)は、熱エネルギーにより、最低励起一重項状態S1(M2)に逆項間交差が可能である。そして、第二の化合物M2の最低励起一重項状態S1(M2)から第一の化合物M1へのフェルスター型エネルギー移動が生じ、最低励起一重項状態S1(M1)が生成する。この結果、第一の化合物M1の最低励起一重項状態S1(M1)からの蛍光発光を観測することができる。このTADF機構による遅延蛍光を利用することによっても、理論的に内部効率を100%まで高めることができると考えられている。
本実施形態の有機EL素子は、赤色発光または緑色発光することが好ましい。
本実施形態の有機EL素子が緑色発光する場合、有機EL素子から発光する光の主ピーク波長は、500nm以上560nm以下であることが好ましい。
本実施形態の有機EL素子が赤色発光する場合、有機EL素子から発光する光の主ピーク波長は、600nm以上660nm以下であることが好ましい。
本実施形態の有機EL素子が青色発光する場合、有機EL素子から発光する光の主ピーク波長は、430nm以上480nm以下であることが好ましい。
有機EL素子から発光する光の主ピーク波長の測定は、以下のようにして行う。
電流密度が10mA/cmとなるように有機EL素子に電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)で計測する。
得られた分光放射輝度スペクトルにおいて、発光強度が最大となる発光スペクトルのピーク波長を測定し、これを主ピーク波長(単位:nm)とする。
・発光層の膜厚
本実施形態の有機EL素子における発光層の膜厚は、好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは7nm以上50nm以下、最も好ましくは10nm以上50nm以下である。5nm以上であると、発光層形成及び色度の調整が容易になりやすく、50nm以下であると、駆動電圧の上昇が抑制されやすい。
・発光層における化合物の含有率
発光層に含まれている第一の化合物及び第二の化合物の含有率は、例えば、以下の範囲であることが好ましい。
第一の化合物の含有率は、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、10質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましい。
第二の化合物の含有率は、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上1質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、本実施形態は、発光層に、第一の化合物及び第二の化合物以外の材料が含まれることを除外しない。
発光層は、第一の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。発光層は、第二の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
(基板)
基板は、有機EL素子の支持体として用いられる。基板としては、例えば、ガラス、石英、プラスチックなどを用いることができる。また、可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニルからなるプラスチック基板等が挙げられる。また、無機蒸着フィルムを用いることもできる。
(陽極)
基板上に形成される陽極には、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛、酸化タングステン、および酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、グラフェン等が挙げられる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
これらの材料は、通常、スパッタリング法により成膜される。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛は、酸化インジウムに対し1質量%以上10質量%以下の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いることにより、スパッタリング法で形成することができる。また、例えば、酸化タングステン、および酸化亜鉛を含有した酸化インジウムは、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5質量%以上5質量%以下、酸化亜鉛を0.1質量%以上1質量%以下含有したターゲットを用いることにより、スパッタリング法で形成することができる。その他、真空蒸着法、塗布法、インクジェット法、スピンコート法などにより作製してもよい。
陽極上に形成されるEL層のうち、陽極に接して形成される正孔注入層は、陽極の仕事関数に関係なく正孔(ホール)注入が容易である複合材料を用いて形成されるため、電極材料として可能な材料(例えば、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物、その他、元素周期表の第1族または第2族に属する元素も含む)を用いることができる。
仕事関数の小さい材料である、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(例えば、MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等を用いることもできる。なお、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびこれらを含む合金を用いて陽極を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。さらに、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることができる。
(陰極)
陰極には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(例えば、MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。
なお、アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金を用いて陰極を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。また、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることができる。
なお、電子注入層を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、グラフェン、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を用いて陰極を形成することができる。これらの導電性材料は、スパッタリング法やインクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することができる。
(正孔注入層)
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。
また、正孔注入性の高い物質としては、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等も挙げられる。
また、正孔注入性の高い物質としては、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることもできる。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送層には、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体等を使用する事ができる。具体的には、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BAFLP)、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。
正孔輸送層には、CBP、CzPA、PCzPAのようなカルバゾール誘導体や、t−BuDNA、DNA、DPAnthのようなアントラセン誘導体を用いても良い。ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外の物質を用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層であっても、上記物質からなる層が二層以上積層された層であってもよい。
(電子輸送層)
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層には、1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、亜鉛錯体等の金属錯体、2)イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、アジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントロリン誘導体等の複素芳香族化合物、3)高分子化合物を使用することができる。具体的には低分子の有機化合物として、Alq、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、BAlq、Znq、ZnPBO、ZnBTZなどの金属錯体等を用いることができる。また、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(ptert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔輸送性よりも電子輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いてもよい。また、電子輸送層は、単層であっても、上記物質からなる層が二層以上積層された層であってもよい。
また、電子輸送層には、高分子化合物を用いることもできる。例えば、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)などを用いることができる。
(電子注入層)
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。その他、電子輸送性を有する物質にアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を含有させたもの、具体的にはAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いてもよい。なお、この場合には、陰極からの電子注入をより効率良く行うことができる。
あるいは、電子注入層に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
(層形成方法)
本実施形態の有機EL素子の各層の形成方法としては、上記で特に言及した以外には制限されないが、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ法、イオンプレーティング法などの乾式成膜法や、スピンコーティング法、ディッピング法、フローコーティング法、インクジェット法などの湿式成膜法などの公知の方法を採用することができる。
(膜厚)
本実施形態の有機EL素子の各有機層の膜厚は、上記で特に言及した以外には制限されないが、一般に膜厚が薄すぎるとピンホール等の欠陥が生じやすく、逆に厚すぎると高い印加電圧が必要となり効率が悪くなるため、通常は数nmから1μmの範囲が好ましい。
第三実施形態に係る有機EL素子は、発光層に、第一の化合物としての第一実施形態の化合物と、第一の化合物よりも小さな一重項エネルギーを有する第二の化合物と、を含んでいる。
第三実施形態によれば、高性能な有機EL素子、特に長寿命な有機EL素子を実現できる。
第三実施形態に係る有機EL素子は、表示装置および発光装置等の電子機器に使用できる。
〔第四実施形態〕
第四実施形態に係る有機EL素子の構成について説明する。第四実施形態の説明において第三実施形態と同一の構成要素は、同一符号や名称を付す等して説明を省略もしくは簡略化する。また、第四実施形態では、特に言及されない材料や化合物については、第三実施形態で説明した材料や化合物と同様の材料や化合物を用いることができる。
第四実施形態に係る有機EL素子は、発光層が、さらに第三の化合物を含んでいる点で、第三実施形態に係る有機EL素子と異なる。その他の点については第三実施形態と同様である。
すなわち、第四実施形態において、第一の有機層としての発光層は、第一の化合物と、第二の化合物と、第三の化合物とを含む。
この態様の場合、第一の化合物は、ホスト材料であることが好ましく、第二の化合物は、ドーパント材料であることが好ましい。
<第三の化合物>
第三の化合物は、遅延蛍光性の化合物でもよいし、遅延蛍光性を示さない化合物でもよい。
第三の化合物としては、特に限定されないが、アミン化合物以外の化合物であることが好ましい。また、例えば、第三の化合物としては、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体を用いることができるが、これら誘導体に限定されない。
第三の化合物は、一つの分子中に下記一般式(31)で表される部分構造、下記一般式(32)で表される部分構造、下記一般式(33A)で表される部分構造、及び下記一般式(34B)で表される部分構造のうち少なくともいずれかを含む化合物であることも好ましい。
前記一般式(31)において、
31〜Y36は、それぞれ独立に、窒素原子、または第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
ただし、Y31〜Y36のうち少なくともいずれかは、第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
前記一般式(32)において、
41〜Y48は、それぞれ独立に、窒素原子、または第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
ただし、Y41〜Y48のうち少なくともいずれかは、第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
30は、第三の化合物の分子中における他の原子と結合する窒素原子、または酸素原子、もしくは硫黄原子である。
前記一般式(33A)及び(34A)中、*は、それぞれ独立に、第三の化合物の分子中における他の原子又は他の構造との結合箇所を表す。
前記一般式(32)において、Y41〜Y48のうち少なくとも2つが第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、当該炭素原子を含む環構造が構築されていることも好ましい。
例えば、前記一般式(32)で表される部分構造が、下記一般式(321)、一般式(322)、一般式(323)、一般式(324)、一般式(325)、及び一般式(326)で表される部分構造からなる群から選択されるいずれかの部分構造であることが好ましい。
前記一般式(321)〜(326)において、
30は、それぞれ独立に、第三の化合物の分子中における他の原子と結合する窒素原子、または酸素原子、もしくは硫黄原子であり、
41〜Y48は、それぞれ独立に、窒素原子、または第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
31は、それぞれ独立に、第三の化合物の分子中における他の原子と結合する窒素原子、酸素原子、硫黄原子、または第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
61〜Y64は、それぞれ独立に、窒素原子、または第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子である。
本実施形態においては、第三の化合物は、前記一般式(321)〜(326)のうち前記一般式(323)で表される部分構造を有することが好ましい。
前記一般式(31)で表される部分構造は、下記一般式(33)で表される基、及び下記一般式(34)で表される基からなる群から選択される少なくともいずれかの基として第三の化合物に含まれることが好ましい。
第三の化合物は、下記一般式(33)、及び下記一般式(34)で表される部分構造のうち少なくともいずれかの部分構造を有することも好ましい。下記一般式(33)、及び下記一般式(34)で表される部分構造のように結合箇所が互いにメタ位に位置するため、第三の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M3)を高く保つことができる。
前記一般式(33)において、Y31、Y32、Y34、及びY36は、それぞれ独立に、窒素原子またはCR31である。
前記一般式(34)において、Y32、Y34、及びY36は、それぞれ独立に、窒素原子またはCR31である。
前記一般式(33)、及び(34)において、
31は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
置換基としてのR31は、それぞれ独立に、
置換または無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換または無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換または無置換の炭素数1〜30のフルオロアルキル基、
置換または無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
置換または無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、
置換または無置換のシリル基、
置換ゲルマニウム基、
置換ホスフィンオキシド基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、及び
置換または無置換のカルボキシ基
からなる群から選択される。
ただし、前記R31における置換または無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基は、非縮合環であることが好ましい。
前記一般式(33)、及び前記一般式(34)において、*は、それぞれ独立に、第三の化合物の分子中における他の原子または他の構造との結合箇所を表す。
前記一般式(33)において、Y31、Y32、Y34、及びY36は、それぞれ独立に、CR31であることが好ましく、複数のR31は、互いに同一であるか、または異なる。
また、前記一般式(34)において、Y32、Y34、及びY36は、それぞれ独立に、CR31であることが好ましく、複数のR31は、互いに同一であるか、または異なる。
置換ゲルマニウム基は、−Ge(R301で表されることが好ましい。R301は、それぞれ独立に、置換基である。置換基R301は、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、または置換または無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であることが好ましい。複数のR301は、互いに同一であるかまたは異なる。
前記一般式(32)で表される部分構造は、下記一般式(35)〜(39)、及び下記一般式(30a)で表される基からなる群から選択される少なくともいずれかの基として第三の化合物に含まれることが好ましい。
前記一般式(35)において、Y41乃至Y48は、それぞれ独立に、窒素原子またはCR32である。
前記一般式(36)、及び(37)において、Y41〜Y45、Y47、及びY48は、それぞれ独立に、窒素原子またはCR32である。
前記一般式(38)において、Y41、Y42、Y44、Y45、Y47、及びY48は、それぞれ独立に、窒素原子またはCR32である。
前記一般式(39)において、Y42〜Y48は、それぞれ独立に、窒素原子またはCR32である。
前記一般式(30a)において、Y42〜Y47は、それぞれ独立に、窒素原子またはCR32である。
前記一般式(35)〜(39)、及び(30a)において、
32は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
置換基としてのR32は、
置換または無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換または無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換または無置換の炭素数1〜30のフルオロアルキル基、
置換または無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
置換または無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、
置換または無置換のシリル基、
置換ゲルマニウム基、
置換ホスフィンオキシド基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、及び
置換または無置換のカルボキシ基
からなる群から選択され、
複数のR32は、互いに同一であるかまたは異なる。
前記一般式(37)〜(39),及び(30a)において、
30は、NR33、酸素原子、または硫黄原子であり、
33は、
置換または無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換または無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換または無置換の炭素数1〜30のフルオロアルキル基、
置換または無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
置換または無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、
置換または無置換のシリル基、
置換ゲルマニウム基、
置換ホスフィンオキシド基、
フッ素原子、
シアノ基、
ニトロ基、及び
置換または無置換のカルボキシ基
からなる群から選択され、
複数のR33は、互いに同一であるかまたは異なる。
ただし、前記R33における置換または無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基は、非縮合環であることが好ましい。
前記一般式(35)〜(39)、及び(30a)において、*は、それぞれ独立に、第三の化合物の分子中における他の原子または他の構造との結合箇所を表す。
前記一般式(35)において、Y41〜Y48は、それぞれ独立に、CR32であることが好ましく、前記一般式(36)、及び前記一般式(37)において、Y41〜Y45,Y47、及びY48は、それぞれ独立に、CR32であることが好ましく、前記一般式(38)において、Y41,Y42,Y44,Y45,Y47、及びY48は、それぞれ独立に、CR32であることが好ましく、前記一般式(39)において、Y42〜Y48は、それぞれ独立に、CR32であることが好ましく、前記一般式(30a)において、Y42〜Y47は、それぞれ独立に、CR32であることが好ましく、複数のR32は、互いに同一であるかまたは異なる。
第三の化合物において、X30は、酸素原子または硫黄原子であることが好ましく、酸素原子であることがより好ましい。
第三の化合物において、R31、及びR32は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であって、置換基としてのR31、及び置換基としてのR32は、それぞれ独立に、フッ素原子、シアノ基、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、及び置換または無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基からなる群から選択されるいずれかの基であることが好ましい。R31、及びR32は、水素原子、シアノ基、置換または無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、または置換または無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基であることがより好ましい。ただし、置換基としてのR31、及び置換基としてのR32が置換または無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基である場合、当該アリール基は、非縮合環であることが好ましい。
第三の化合物は、芳香族炭化水素化合物、または芳香族複素環化合物であることも好ましい。
・第三の化合物の製造方法
第三の化合物は、例えば、国際公開第2012/153780号、及び国際公開第2013/038650号等に記載の方法により製造することができる。また、例えば、目的物に合わせた既知の代替反応、及び原料を用いることで、第三の化合物を製造できる。
第三の化合物における置換基の例は、例えば、以下のとおりであるが、本発明は、これらの例に限定されない。
アリ−ル基(芳香族炭化水素基と称する場合がある。)の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ベンゾ[c]フェナントリル基、ベンゾ[g]クリセニル基、ベンゾアントリル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、フルオランテニル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基、及びフルオレニル基等を挙げることができる。
置換基を有するアリ−ル基としては、トリル基、キシリル基、及び9,9−ジメチルフルオレニル基等を挙げることができる。
具体例が示すように、アリール基は、縮合アリール基、及び非縮合アリール基の両方を含む。
アリ−ル基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基、またはフルオレニル基が好ましい。
ヘテロアリール基(複素環基、ヘテロ芳香族環基、または芳香族複素環基と称する場合がある。)の具体例としては、ピロリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピリジル基、トリアジニル基、インドリル基、イソインドリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、インダゾリル基、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、アザジベンゾフラニル基、チオフェニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、アザジベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ナフチリジニル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、フラザニル基、ベンズオキサゾリル基、チエニル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンズチアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基等が挙げられ、好ましくは、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、アザジベンゾフラニル基、及びアザジベンゾチエニル基等を挙げることができる。
ヘテロアリール基としては、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、アザジベンゾフラニル基、またはアザジベンゾチエニル基が好ましく、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、アザジベンゾフラニル基、またはアザジベンゾチエニル基がさらに好ましい。
第三の化合物において、置換シリル基は、置換または無置換のトリアルキルシリル基、置換または無置換のアリールアルキルシリル基、及び置換または無置換のトリアリールシリル基からなる群から選択されることも好ましい。
置換または無置換のトリアルキルシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、及びトリエチルシリル基を挙げることができる。
置換若しくは無置換のアリールアルキルシリル基の具体例としては、ジフェニルメチルシリル基、ジトリルメチルシリル基、及びフェニルジメチルシリル基等を挙げることができる。
置換または無置換のトリアリールシリル基の具体例としては、トリフェニルシリル基、及びトリトリルシリル基等を挙げることができる。
第三の化合物において、置換ホスフィンオキシド基は、置換または無置換のジアリールホスフィンオキシド基であることも好ましい。
置換または無置換のジアリールホスフィンオキシド基の具体例としては、ジフェニルホスフィンオキシド基、及びジトリルホスフィンオキシド基等を挙げることができる。
第三の化合物において、置換カルボキシ基としては、例えば、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
本実施形態に係る第三の化合物の具体例を以下に示す。なお、本発明における第三の化合物は、これらの具体例に限定されない。
<発光層における第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物の関係>
本実施形態の有機EL素子において、第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)と、第三の化合物の一重項エネルギーS(M3)とは、下記数式(数2)の関係を満たすことが好ましい。
(M3)>S(M1) (数2)
第三の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M3)は、第一の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M1)よりも大きいことが好ましい。
第三の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M3)は、第二の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M2)よりも大きいことが好ましい。
第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)と、第二の化合物の一重項エネルギーS(M2)と、第三の化合物の一重項エネルギーS(M3)とは、下記数式(数2A)の関係を満たすことが好ましい。
(M3)>S(M1)>S(M2) …(数2A)
第一の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M1)と、第二の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M2)と、第三の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M3)とは、下記数式(数2B)の関係を満たすことが好ましい。
77K(M3)>T77K(M1)>T77K(M2) …(数2B)
本実施形態の有機EL素子を発光させたときに、発光層において、主に蛍光発光性の化合物が発光していることが好ましい。
本実施形態の有機EL素子は、第三実施形態の有機EL素子と同様に、赤色発光または緑色発光することが好ましい。
有機EL素子から発光する光の主ピーク波長は、第三実施形態の有機EL素子と同様の方法で測定することができる。
・発光層における化合物の含有率
発光層に含まれている第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物の含有率は、例えば、以下の範囲であることが好ましい。
第一の化合物の含有率は、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、10質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上60質量%であることがさらに好ましい。
第二の化合物の含有率は、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上1質量%以下であることがさらに好ましい。
第三の化合物の含有率は、10質量%以上80質量%以下であることが好ましい。
発光層における第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物の合計含有率の上限は、100質量%である。なお、本実施形態は、発光層に、第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物以外の材料が含まれることを除外しない。
発光層は、第一の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。発光層は、第二の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。発光層は、第三の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
図5は、発光層における第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物のエネルギー準位の関係の一例を示す図である。図5において、S0は、基底状態を表す。S1(M1)は、第一の化合物の最低励起一重項状態を表し、T1(M1)は、第一の化合物の最低励起三重項状態を表す。S1(M2)は、第二の化合物の最低励起一重項状態を表し、T1(M2)は、第二の化合物の最低励起三重項状態を表す。S1(M3)は、第三の化合物の最低励起一重項状態を表し、T1(M3)は、第三の化合物の最低励起三重項状態を表す。図5中のS1(M1)からS1(M2)へ向かう破線の矢印は、第一の化合物の最低励起一重項状態から第二の化合物の最低励起一重項状態へのフェルスター型エネルギー移動を表す。
図5に示すように、第一の化合物としてΔST(M1)の小さな化合物を用いると、最低励起三重項状態T1(M1)は、熱エネルギーにより、最低励起一重項状態S1(M1)に逆項間交差が可能である。そして、第一の化合物の最低励起一重項状態S1(M1)から第二の化合物へのフェルスター型エネルギー移動が生じ、最低励起一重項状態S1(M2)が生成する。この結果、第二の化合物の最低励起一重項状態S1(M2)からの蛍光発光を観測することができる。このTADFメカニズムによる遅延蛍光を利用することによっても、理論的に内部量子効率を100%まで高めることができると考えられている。
第四実施形態に係る有機EL素子は、発光層に、第一の化合物としての第一実施形態の化合物と、第一の化合物よりも小さな一重項エネルギーを有する第二の化合物と、第一の化合物よりも大きな一重項エネルギーを有する第三の化合物と、を含んでいる。
第四実施形態によれば、高性能な有機EL素子、特に長寿命な有機EL素子を実現できる。
第四実施形態に係る有機EL素子は、表示装置および発光装置等の電子機器に使用できる。
〔第五実施形態〕
(電子機器)
本実施形態に係る電子機器は、上述の実施形態のいずれかの有機EL素子を搭載している。電子機器としては、例えば、表示装置及び発光装置等が挙げられる。表示装置としては、例えば、表示部品(例えば、有機ELパネルモジュール等)、テレビ、携帯電話、タブレット、及びパーソナルコンピュータ等が挙げられる。発光装置としては、例えば、照明及び車両用灯具等が挙げられる。
〔その他の説明〕
本明細書において、Rx及びRyが互いに結合して環を形成するとは、例えば、Rx及びRyが炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又はケイ素原子を含み、Rxに含まれる原子(炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又はケイ素原子)と、Ryに含まれる原子(炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又はケイ素原子)とが、単結合、二重結合、三重結合、又は二価の連結基を介して結合し、環形成原子数が5以上の環(具体的には、複素環又は芳香族炭化水素環)を形成することを意味する。xは、数字、文字、又は、数字と文字との組み合わせである。yは、数字、文字、又は、数字と文字との組み合わせである。
二価の連結基としては特に制限されないが、例えば、−O−、−CO−、−CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−NRa−、及びこれらの連結基を2以上組み合わせた基等が挙げられる。
複素環の具体例としては、後述の「一般式中における各置換基についての説明」で例示した「ヘテロアリール基Sub」から結合手を除いた環構造(複素環)が挙げられる。これらの複素環は置換基を有していてもよい。
芳香族炭化水素環の具体例としては、後述の「一般式中における各置換基についての説明」で例示した「アリール基Sub」から結合手を除いた環構造(芳香族炭化水素環)が挙げられる。これらの芳香族炭化水素環は置換基を有していてもよい。
Raとしては、例えば、後述の「一般式中における各置換基についての説明」で例示した置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基Sub、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基Sub、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基Sub等が挙げられる。
例えば、Rx及びRyが互いに結合して環を形成するとは、下記一般式(E1)で表される分子構造において、Rxに含まれる原子と、Ryに含まれる原子とが、一般式(E2)で表される環(環構造)Eを形成すること;一般式(F1)で表される分子構造において、Rxに含まれる原子と、Ryに含まれる原子とが、一般式(F2)で表される環Fを形成すること;一般式(G1)で表される分子構造において、Rxに含まれる原子と、Ryに含まれる原子とが、一般式(G2)で表される環Gを形成すること;一般式(H1)で表される分子構造において、Rxに含まれる原子と、Ryに含まれる原子とが、一般式(H2)で表される環Hを形成すること;一般式(I1)で表される分子構造において、Rxに含まれる原子と、Ryに含まれる原子とが、一般式(I2)で表される環Iを形成すること;を意味する。
一般式(E1)〜(I1)中、*は、それぞれ独立に、一分子中の他の原子との結合位置を表す。一般式(E1)中の2つの*は一般式(E2)中の2つの*にそれぞれ対応し、一般式(F1)中の2つの*は一般式(F2)中の2つの*にそれぞれ対応し、一般式(G1)中の2つの*は一般式(G2)中の2つの*にそれぞれ対応し、一般式(H1)中の2つの*は一般式(H2)中の2つの*にそれぞれ対応し、一般式(I1)中の2つの*は一般式(I2)中の2つの*にそれぞれ対応する。
一般式(E2)〜(I2)で表される分子構造において、E〜Iはそれぞれ環構造(前記環形成原子数が5以上の環)を表す。一般式(E2)〜(I2)中、*は、それぞれ独立に、一分子中の他の原子との結合位置を表す。一般式(E2)中の2つの*は一般式(E1)中の2つの*にそれぞれ対応する。一般式(F2)〜(I2)中の2つの*についても同様に、一般式(F1)〜(I1)中の2つの*にそれぞれ対応する。
例えば、一般式(E1)において、Rx及びRyが互いに結合して一般式(E2)中の環Eを形成し、環Eが無置換のベンゼン環である場合、一般式(E1)で表される分子構造は、下記一般式(E3)で表される分子構造になる。ここで、一般式(E3)中の2つの*は、それぞれ独立に、一般式(E2)及び一般式(E1)中の2つの*に対応する。
例えば、一般式(E1)において、Rx及びRyが互いに結合して一般式(E2)中の環Eを形成し、環Eが無置換のピロール環である場合、一般式(E1)で表される分子構造は、下記一般式(E4)で表される分子構造になる。ここで、一般式(E4)中の2つの*は、それぞれ独立に、一般式(E2)及び一般式(E1)中の2つの*に対応する。一般式(E3)及び(E4)中、*は、それぞれ独立に、一分子中の他の原子との結合位置を表す。
本明細書において、環形成炭素数とは、原子が環状に結合した構造の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、複素環化合物)の当該環自体を構成する原子のうちの炭素原子の数を表す。当該環が置換基によって置換される場合、置換基に含まれる炭素は環形成炭素数には含まない。以下で記載される「環形成炭素数」については、特筆しない限り同様とする。例えば、ベンゼン環は環形成炭素数が6であり、ナフタレン環は環形成炭素数が10であり、ピリジニル基は環形成炭素数が5であり、フラニル基は環形成炭素数4である。また、ベンゼン環やナフタレン環に置換基として例えばアルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、環形成炭素数の数に含めない。また、フルオレン環に置換基として例えばフルオレン環が結合している場合(スピロフルオレン環を含む)、置換基としてのフルオレン環の炭素数は環形成炭素数の数に含めない。
本明細書において、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造(例えば単環、縮合環、環集合)の化合物(例えば単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、複素環化合物)の当該環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子や、当該環が置換基によって置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。以下で記載される「環形成原子数」については、特筆しない限り同様とする。例えば、ピリジン環は、環形成原子数が6であり、キナゾリン環は、環形成原子数が10であり、フラン環は、環形成原子数が5である。ピリジン環やキナゾリン環の炭素原子にそれぞれ結合している水素原子や置換基を構成する原子については、環形成原子数の数に含めない。また、フルオレン環に置換基として例えばフルオレン環が結合している場合(スピロフルオレン環を含む)、置換基としてのフルオレン環の原子数は環形成原子数の数に含めない。
・一般式中の各置換基についての説明(各置換基の説明)
次に、本明細書における一般式中の各置換基について説明する。
本明細書におけるアリール基(芳香族炭化水素基と称する場合がある。)は、例えば、アリール基Subであり、アリール基Subは、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、ピレニル基、クリセニル基、フルオランテニル基、ベンゾ[a]アントリル基、ベンゾ[c]フェナントリル基、トリフェニレニル基、ベンゾ[k]フルオランテニル基、ベンゾ[g]クリセニル基、ベンゾ[b]トリフェニレニル基、ピセニル基、及びペリレニル基からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。
本明細書におけるアリール基Subとしては、環形成炭素数が、6〜30であることが好ましく、6〜20であることがより好ましく、6〜14であることがさらに好ましく、6〜12であることがよりさらに好ましい。上記アリール基Subの中でもフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ターフェニル基、及びフルオレニル基が好ましい。1−フルオレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基及び4−フルオレニル基については、9位の炭素原子に、後述する本明細書における置換もしくは無置換のアルキル基Subや、置換もしくは無置換のアリール基Subが置換されていることが好ましい。
本明細書におけるヘテロアリール基(複素環基、ヘテロ芳香族環基、又は芳香族複素環基と称する場合がある。)は、例えば、複素環基Subである。複素環基Subは、ヘテロ原子として、窒素、硫黄、酸素、ケイ素、セレン原子、及びゲルマニウム原子からなる群から選択される少なくともいずれかの原子を含む基である。複素環基Subは、ヘテロ原子として、窒素、硫黄、及び酸素からなる群から選択される少なくともいずれかの原子を含む基であることが好ましい。
本明細書における複素環基Subは、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリル基、イソキノリニル基、ナフチリジニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、インダゾリル基、イミダゾピリジニル基、ベンズトリアゾリル基、カルバゾリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基、ピペラジニル基、モルホリル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、及びフェノキサジニル基からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。
本明細書における複素環基Subとしては、環形成原子数が、5〜30であることが好ましく、5〜20であることがより好ましく、5〜14であることがさらに好ましい。上記複素環基Subの中でも1−ジベンゾフラニル基、2−ジベンゾフラニル基、3−ジベンゾフラニル基、4−ジベンゾフラニル基、1−ジベンゾチエニル基、2−ジベンゾチエニル基、3−ジベンゾチエニル基、4−ジベンゾチエニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、及び9−カルバゾリル基がさらにより好ましい。1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基及び4−カルバゾリル基については、9位の窒素原子に、本明細書における置換もしくは無置換のアリール基Subや、置換もしくは無置換の複素環基Subが置換していることが好ましい。
また、本明細書において、複素環基Subは、例えば、下記一般式(XY−1)〜(XY−18)で表される部分構造から誘導される基であってもよい。
前記一般式(XY−1)〜(XY−18)において、X及びYは、それぞれ独立に、ヘテロ原子であり、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、又はゲルマニウム原子であることが好ましい。前記一般式(XY−1)〜(XY−18)で表される部分構造は、任意の位置で結合手を有して複素環基となり、この複素環基は、置換基を有していてもよい。
また、本明細書において、複素環基Subは、例えば、下記一般式(XY−19)〜(XY−22)で表される基であってもよい。また、結合手の位置も適宜変更され得る。
本明細書におけるアルキル基は、直鎖のアルキル基、分岐鎖のアルキル基又は環状のアルキル基のいずれであってもよい。
本明細書におけるアルキル基は、例えば、アルキル基Subである。
本明細書における直鎖のアルキル基は、例えば、直鎖のアルキル基Sub31である。
本明細書における分岐鎖のアルキル基は、例えば、分岐鎖のアルキル基Sub32である。
本明細書における環状のアルキル基は、例えば、環状のアルキル基Sub33である。
アルキル基Subは、例えば、直鎖のアルキル基Sub31、分岐鎖のアルキル基Sub32、及び環状のアルキル基Sub33からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。
直鎖のアルキル基Sub31又は分岐鎖のアルキル基Sub32は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、アミル基、イソアミル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、及び3−メチルペンチル基からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。
本明細書における直鎖のアルキル基Sub31又は分岐鎖のアルキル基Sub32の炭素数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜6であることがよりさらに好ましい。上記直鎖のアルキル基Sub31又は分岐鎖のアルキル基Sub32としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、アミル基、イソアミル基、及びネオペンチル基がさらにより好ましい。
本明細書における環状のアルキル基Sub33は、例えば、シクロアルキル基Sub331である。
本明細書におけるシクロアルキル基Sub331は、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、及びノルボルニル基からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。シクロアルキル基Sub331の環形成炭素数は、3〜30であることが好ましく、3〜20であることがより好ましく、3〜10であることがさらに好ましく、5〜8であることがよりさらに好ましい。シクロアルキル基Sub331の中でも、シクロペンチル基やシクロヘキシル基がさらにより好ましい。
本明細書におけるハロゲン化アルキル基は、例えば、ハロゲン化アルキル基Subであり、ハロゲン化アルキル基Subは、例えば、アルキル基Subが1以上のハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置換されたアルキル基である。
本明細書におけるハロゲン化アルキル基Subは、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、トリフルオロメチルメチル基、トリフルオロエチル基、及びペンタフルオロエチル基からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。
本明細書における置換シリル基は、例えば、置換シリル基Subであり、置換シリル基Subは、例えば、アルキルシリル基Sub51及びアリールシリル基Sub52からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。
本明細書におけるアルキルシリル基Sub51は、例えば、上記アルキル基Subを有するトリアルキルシリル基Sub511である。
トリアルキルシリル基Sub511は、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−n−オクチルシリル基、トリイソブチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジメチル−n−プロピルシリル基、ジメチル−n−ブチルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、及びトリイソプロピルシリル基からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。トリアルキルシリル基Sub511における3つのアルキル基Subは、互いに同一でも異なっていてもよい。
本明細書におけるアリールシリル基Sub52は、例えば、ジアルキルアリールシリル基Sub521、アルキルジアリールシリル基Sub522、及びトリアリールシリル基Sub523からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。
ジアルキルアリールシリル基Sub521は、例えば、上記アルキル基Subを2つ有し、上記アリール基Subを1つ有するジアルキルアリールシリル基である。ジアルキルアリールシリル基Sub521の炭素数は、8〜30であることが好ましい。
アルキルジアリールシリル基Sub522は、例えば、上記アルキル基Subを1つ有し、上記アリール基Subを2つ有するアルキルジアリールシリル基である。アルキルジアリールシリル基Sub522の炭素数は、13〜30であることが好ましい。
トリアリールシリル基Sub523は、例えば、上記アリール基Subを3つ有するトリアリールシリル基である。トリアリールシリル基Sub523の炭素数は、18〜30であることが好ましい。
本明細書における置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基は、例えば、アルキルスルホニル基Subであり、アルキルスルホニル基Subは、−SOで表される。−SOにおけるRは、置換もしくは無置換の上記アルキル基Subを表す。
本明細書におけるアラルキル基(アリールアルキル基と称する場合がある)は、例えば、アラルキル基Subである。アラルキル基Subにおけるアリール基は、例えば、上記アリール基Sub及び上記ヘテロアリール基Subの少なくとも一方を含む。
本明細書におけるアラルキル基Subは、アリール基Subを有する基であることが好ましく、−Z−Zと表される。このZは、例えば、上記アルキル基Subに対応するアルキレン基等である。このZは、例えば、上記アリール基Subである。このアラルキル基Subは、アリール部分が炭素数6〜30(好ましくは6〜20、より好ましくは6〜12)、アルキル部分が炭素数1〜30(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6)であることが好ましい。このアラルキル基Subは、例えば、ベンジル基、2−フェニルプロパン−2−イル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルイソプロピル基、2−フェニルイソプロピル基、フェニル−t−ブチル基、α−ナフチルメチル基、1−α−ナフチルエチル基、2−α−ナフチルエチル基、1−α−ナフチルイソプロピル基、2−α−ナフチルイソプロピル基、β−ナフチルメチル基、1−β−ナフチルエチル基、2−β−ナフチルエチル基、1−β−ナフチルイソプロピル基、及び2−β−ナフチルイソプロピル基からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。
本明細書におけるアルコキシ基は、例えば、アルコキシ基Subであり、アルコキシ基Subは、−OZと表される。このZは、例えば、上記アルキル基Subである。アルコキシ基Subは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、及びヘキシルオキシ基からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。アルコキシ基Subの炭素数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましい。
本明細書におけるハロゲン化アルコキシ基は、例えば、ハロゲン化アルコキシ基Subであり、ハロゲン化アルコキシ基Subは、例えば、上記アルコキシ基Subが1以上のハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置換されたアルコキシ基である。
本明細書におけるアリールオキシ基(アリールアルコキシ基と称する場合がある)は、例えば、アリールアルコキシ基Sub10である。アリールアルコキシ基Sub10におけるアリール基は、アリール基Sub及びヘテロアリール基Subの少なくとも一方を含む。
本明細書におけるアリールアルコキシ基Sub10は、−OZと表される。このZのは、例えば、アリール基Sub又はヘテロアリール基Subである。アリールアルコキシ基Sub10の環形成炭素数は、6〜30であることが好ましく、6〜20であることがより好ましい。このアリールアルコキシ基Sub10としては、例えば、フェノキシ基が挙げられる。
本明細書における置換アミノ基は、例えば、置換アミノ基Sub11であり、置換アミノ基Sub11は、例えば、アリールアミノ基Sub111及びアルキルアミノ基Sub112からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。
アリールアミノ基Sub111は、−NHRV1、又は−N(RV1と表される。このRV1は、例えば、アリール基Subである。−N(RV1における2つのRV1は、同一又は異なる。
アルキルアミノ基Sub112は、−NHRV2、又は−N(RV2と表される。このRV2は、例えば、アルキル基Subである。−N(RV2における2つのRV2は、同一又は異なる。
本明細書におけるアルケニル基は、例えば、アルケニル基Sub12であり、アルケニル基Sub12は、直鎖又は分岐鎖のいずれかであり、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、スチリル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、及び2−フェニル−2−プロペニルからなる群から選択される少なくともいずれかの基である。
本明細書におけるアルキニル基は、例えば、アルキニル基Sub13であり、アルキニル基Sub13は、直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよく、例えば、エチニル、プロピニル、及び2−フェニルエチニルからなる群から選択される少なくともいずれかの基である。
本明細書におけるアルキルチオ基は、例えば、アルキルチオ基Sub14である。
アルキルチオ基Sub14は、−SRV3と表される。このRV3は、例えば、アルキル基Subである。アルキルチオ基Sub14の炭素数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましい。
本明細書におけるアリールチオ基は、例えば、アリールチオ基Sub15である。
アリールチオ基Sub15は、−SRV4と表される。このRV4は、例えば、アリール基Subである。アリールチオ基Sub15の環形成炭素数は、6〜30であることが好ましく、6〜20であることがより好ましい。
本明細書におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
本明細書における置換ホスフィノ基は、例えば、置換ホスフィノ基Sub16であり、置換ホスフィノ基Sub16は、例えば、フェニルホスファニル基である。
本明細書におけるアリールカルボニル基は、例えば、アリールカルボニル基Sub17であり、アリールカルボニル基Sub17は、−COY’と表される。このY’は、例えば、アリール基Subである。本明細書におけるアリールカルボニル基Sub17は、例えば、フェニルカルボニル基、ジフェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、及びトリフェニルカルボニル基からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。
本明細書におけるアシル基は、例えば、アシル基Sub18であり、アシル基Sub18は、−COR’と表される。このR’は、例えば、アルキル基Subである。本明細書におけるアシル基Sub18は、例えば、アセチル基及びプロピオニル基からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。
本明細書における置換ホスホリル基は、例えば、置換ホスホリル基Sub19であり、置換ホスホリル基Sub19は、下記一般式(P)で表される。
前記一般式(P)において、ArP1及びArP2は、上記アルキル基Sub、及び上記アリール基Subからなる群から選択されるいずれかの置換基である。
本明細書におけるエステル基は、例えば、エステル基Sub20であり、エステル基Sub20は、例えば、アルキルエステル基及びアリールエステル基 からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。
本明細書におけるアルキルエステル基は、例えば、アルキルエステル基Sub201であり、アルキルエステル基Sub201は、−C(=O)ORで表される。Rは、例えば、置換もしくは無置換の上記アルキル基Sub(好ましくは炭素数1〜10)である。
本明細書におけるアリールエステル基は、例えば、アリールエステル基Sub202であり、アリールエステル基Sub202は、−C(=O)ORArで表される。RArは、例えば、置換もしくは無置換の上記アリール基Subである。
本明細書におけるシロキサニル基は、例えば、シロキサニル基Sub21であり、シロキサニル基Sub21は、エーテル結合を介したケイ素化合物基である。シロキサニル基Sub21は、例えば、トリメチルシロキサニル基である。
本明細書におけるカルバモイル基は、−CONHで表される。
本明細書における置換のカルバモイル基は、例えば、カルバモイル基Sub22であり、カルバモイル基Sub22は、−CONH−Ar、又は−CONH−Rで表される。Arは、例えば、置換もしくは無置換の上記アリール基Sub(好ましくは環形成炭素数6〜10)及び上記ヘテロアリール基Sub(好ましくは環形成原子数5〜14)からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。Arは、アリール基Subとヘテロアリール基Subとが結合した基であってもよい。
は、例えば、置換もしくは無置換の上記アルキル基Sub(好ましくは炭素数1〜6)である。
本明細書において、「環形成炭素」とは飽和環、不飽和環、又は芳香環を構成する炭素原子を意味する。「環形成原子」とはヘテロ環(飽和環、不飽和環、及び芳香環を含む)を構成する炭素原子及びヘテロ原子を意味する。
本明細書において、「軽水素原子」又は「重水素原子」と特定していない場合の「水素原子」とは、中性子数の異なる同位体、すなわち、軽水素(Protium)、重水素(Deuterium)、及び三重水素(Tritium)を包含する。
以下、アルキル基Subとは、「各置換基の説明」で説明した直鎖のアルキル基Sub31、分岐鎖のアルキル基Sub32、及び環状のアルキル基Sub33のいずれか1以上の基を意味する。
同様に、置換シリル基Subとは、アルキルシリル基Sub51及びアリールシリル基Sub52のいずれか1以上の基を意味する。
同様に、置換アミノ基Sub11とは、アリールアミノ基Sub111及びアルキルアミノ基Sub112のいずれか1以上の基を意味する。
本明細書において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基としては、例えば置換基RF1であり、置換基RF1は、アリール基Sub、ヘテロアリール基Sub、アルキル基Sub、ハロゲン化アルキル基Sub、置換シリル基Sub、アルキルスルホニル基Sub、アラルキル基Sub、アルコキシ基Sub、ハロゲン化アルコキシ基Sub、アリールアルコキシ基Sub10、置換アミノ基Sub11、アルケニル基Sub12、アルキニル基Sub13、アルキルチオ基Sub14、アリールチオ基Sub15、置換ホスフィノ基Sub16、アリールカルボニル基Sub17、アシル基Sub18、置換ホスホリル基Sub19、エステル基Sub20、シロキサニル基Sub21、カルバモイル基Sub22、無置換のアミノ基、無置換のシリル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、ニトロ基、及びカルボキシ基からなる群から選択される少なくとも一種の基である。
本明細書において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基RF1は、ジアリールホウ素基(ArB1ArB2B−)であってもよい。このArB1及びArB2の例としては、上述のアリール基Subが挙げられる。ArB1ArB2B−におけるArB1及びArB2は同一又は異なる。
置換基RF1の具体例及び好ましい基としては、「各置換基の説明」中の置換基(例えば、アリール基Sub、ヘテロアリール基Sub、アルキル基Sub、ハロゲン化アルキル基Sub、置換シリル基Sub、アルキルスルホニル基Sub、アラルキル基Sub、アルコキシ基Sub、ハロゲン化アルコキシ基Sub、アリールアルコキシ基Sub10、置換アミノ基Sub11、アルケニル基Sub12、アルキニル基Sub13、アルキルチオ基Sub14、アリールチオ基Sub15、置換ホスフィノ基Sub16、アリールカルボニル基Sub17、アシル基Sub18、置換ホスホリル基Sub19、エステル基Sub20、シロキサニル基Sub21、及びカルバモイル基Sub22)の具体例及び好ましい基と同様の基が挙げられる。
「置換もしくは無置換の」という場合における置換基RF1は、アリール基Sub、ヘテロアリール基Sub、アルキル基Sub、ハロゲン化アルキル基Sub、置換シリル基Sub、アルキルスルホニル基Sub、アラルキル基Sub、アルコキシ基Sub、ハロゲン化アルコキシ基Sub、アリールアルコキシ基Sub10、置換アミノ基Sub11、アルケニル基Sub12、アルキニル基Sub13、アルキルチオ基Sub14、アリールチオ基Sub15、置換ホスフィノ基Sub16、アリールカルボニル基Sub17、アシル基Sub18、置換ホスホリル基Sub19、エステル基Sub20、シロキサニル基Sub21、カルバモイル基Sub22、無置換のアミノ基、無置換のシリル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、ニトロ基、及びカルボキシ基からなる群から選択される少なくとも一種の基(以下、置換基RF2とも称する)によってさらに置換されてもよい。また、これらの置換基RF2は複数が互いに結合して環を形成してもよい。
「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは前記置換基RF1で置換されておらず、水素原子が結合していることを意味する。
なお、本明細書において、「置換もしくは無置換の炭素数XX〜YYのZZ基」という表現における「炭素数XX〜YY」は、ZZ基が無置換である場合の炭素数を表し、置換されている場合の置換基RF1の炭素数は含めない。
本明細書において、「置換もしくは無置換の原子数XX〜YYのZZ基」という表現における「原子数XX〜YY」は、ZZ基が無置換である場合の原子数を表し、置換されている場合の置換基RF1の原子数は含めない。
本明細書において説明する化合物、又はその部分構造において、「置換もしくは無置換の」という場合についても、前記と同様である。
本明細書において、置換基同士が互いに結合して環が構築される場合、当該環の構造は、飽和環、不飽和環、芳香族炭化水素環、又は複素環である。
本明細書において、連結基における芳香族炭化水素基としては、例えば、上述した一価のアリール基Subから、1つ以上の原子を除いて得られる二価以上の基が挙げられる。
本明細書において、連結基における複素環基としては、例えば、上述した一価のヘテロアリール基Subから、1つ以上の原子を除いて得られる二価以上の基が挙げられる。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前に記載される数値を下限値とし、「〜」の後に記載される数値を上限値として含む範囲を意味する。
〔実施形態の変更〕
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変更、改良などは、本発明に含まれる。
例えば、発光層は、1層に限られず、複数の発光層が積層されていてもよい。有機EL素子が複数の発光層を有する場合、少なくとも1つの発光層が上記実施形態で説明した条件を満たしていればよい。例えば、その他の発光層が、蛍光発光型の発光層であっても、三重項励起状態から直接基底状態への電子遷移による発光を利用した燐光発光型の発光層であってもよい。
また、有機EL素子が複数の発光層を有する場合、これらの発光層が互いに隣接して設けられていてもよいし、中間層を介して複数の発光ユニットが積層された、いわゆるタンデム型の有機EL素子であってもよい。
また、例えば、発光層の陽極側、及び陰極側の少なくとも一方に障壁層を隣接させて設けてもよい。障壁層は、発光層に接して配置され、正孔、電子、及び励起子の少なくともいずれかを阻止することが好ましい。
例えば、発光層の陰極側で接して障壁層が配置された場合、当該障壁層は、電子を輸送し、かつ正孔が当該障壁層よりも陰極側の層(例えば、電子輸送層)に到達することを阻止する。有機EL素子が、電子輸送層を含む場合は、発光層と電子輸送層との間に当該障壁層を含むことが好ましい。
また、発光層の陽極側で接して障壁層が配置された場合、当該障壁層は、正孔を輸送し、かつ電子が当該障壁層よりも陽極側の層(例えば、正孔輸送層)に到達することを阻止する。有機EL素子が、正孔輸送層を含む場合は、発光層と正孔輸送層との間に当該障壁層を含むことが好ましい。
また、励起エネルギーが発光層からその周辺層に漏れ出さないように、障壁層を発光層に隣接させて設けてもよい。発光層で生成した励起子が、当該障壁層よりも電極側の層(例えば、電子輸送層及び正孔輸送層等)に移動することを阻止する。
発光層と障壁層とは接合していることが好ましい。
その他、本発明の実施における具体的な構造、及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
以下、本発明に係る実施例を説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
<化合物>
実施例1に係る有機EL素子の製造に用いた一般式(1)で表される化合物の構造を以下に示す。
比較例1に係る有機EL素子の製造に用いた比較例化合物の構造を以下に示す。
実施例1及び比較例1に係る有機EL素子の製造に用いた、他の化合物の構造を以下に示す。
<有機EL素子の作製>
有機EL素子を以下のように作製し、評価した。
〔実施例1〕
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマテック株式会社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄を行った後、UVオゾン洗浄を1分間行った。ITOの膜厚は、130nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付き前記ガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HT−1と化合物HAとを共蒸着し、膜厚10nmの正孔注入層を形成した。正孔注入層における化合物HT−1の濃度を97質量%とし、化合物HAの濃度を3質量%とした。
次に、正孔注入層上に、化合物HT−1を蒸着し、正孔注入層上に膜厚200nmの第一正孔輸送層を形成した。
次に、この第一正孔輸送層上に、化合物HT−2を蒸着し、膜厚10nmの第二正孔輸送層を形成した。
次に、この第二正孔輸送層上に、第一の化合物としての化合物TADF−1と、第二の化合物としての化合物RD−1と、第三の化合物としての化合物CBPとを共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成した。発光層における化合物TADF−1の濃度を25質量%とし、化合物RD−1の濃度を1質量%とし、化合物CBPの濃度を74質量%とした。
次に、この発光層上に、化合物ET−1を蒸着し、膜厚10nmの第一電子輸送層を形成した。
次に、この第一電子輸送層上に、化合物ET−2を蒸着し、膜厚30nmの第二電子輸送層を形成した。
次に、この第二電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を蒸着し、膜厚1nmの電子注入性電極(陰極)を形成した。
そして、この電子注入性電極上に、金属アルミニウム(Al)を蒸着し、膜厚80nmの金属Al陰極を形成した。
実施例12Aの素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HT-1:HA(10,97%:3%)/HT-1(200)/HT-2(10)/CBP:TADF-1:RD-1(25,74%:25%:1%)/ET-1(10)/ET-2(30)/LiF(1)/Al(80)
なお、括弧内の数字は、膜厚(単位:nm)を示す。
同じく括弧内において、パーセント表示された数字(97%:3%)は、正孔注入層における化合物HT−1及び化合物HAの割合(質量%)を示し、パーセント表示された数字(74%:25%:1%)は、発光層における第三の化合物、第一の化合物、及び第二の化合物の割合(質量%)を示す。以下、同様の表記とする。
(比較例1)
比較例1の有機EL素子は、実施例1の発光層における化合物TADF−1に代えて、化合物Ref−1を用いたこと以外、実施例1と同様にして作製した。
<有機EL素子の評価>
実施例1及び比較例1で作製した有機EL素子について、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(有機EL素子の評価)
電流密度が50mA/cmとなるように有機EL素子に電圧を印加し、初期輝度に対して輝度が95%となるまでの時間(LT95:50mA/cm)を測定した。寿命LT95(hr)の結果を表1に示す。なお、表1においては、比較例1の有機EL素子の寿命LT95に対する実施例1又は比較例1の寿命LT95の相対値(単位は、%)で示した。
実施例1では、比較例1で用いた化合物Ref−1における軽水素原子が重水素原子に置換された化合物TADF−1を用いた結果、素子寿命が1.5倍に延びた。
<化合物の評価>
(遅延蛍光性)
・化合物TADF−1の遅延蛍光性
遅延蛍光性は図2に示す装置を利用して過渡PLを測定することにより確認した。前記化合物TADF−1をトルエンに溶解し、自己吸収の寄与を取り除くため励起波長において吸光度が0.05以下の希薄溶液を調製した。また酸素による消光を防ぐため、試料溶液を凍結脱気した後にアルゴン雰囲気下で蓋付きのセルに封入することで、アルゴンで飽和された酸素フリーの試料溶液とした。
上記試料溶液の蛍光スペクトルを分光蛍光光度計FP−8600(日本分光社製)で測定し、また同条件で9,10−ジフェニルアントラセンのエタノール溶液の蛍光スペクトルを測定した。両スペクトルの蛍光面積強度を用いて、Morris et al. J.Phys.Chem.80(1976)969中の(1)式により全蛍光量子収率を算出した。
前記化合物TADF−1が吸収する波長のパルス光(パルスレーザーから照射される光)で励起された後、当該励起状態から即座に観察されるPrompt発光(即時発光)と、当該励起後、即座には観察されず、その後観察されるDelay発光(遅延発光)とが存在する。本実施例における遅延蛍光発光とは、Delay発光(遅延発光)の量がPrompt発光(即時発光)の量に対して5%以上を意味する。具体的には、Prompt発光(即時発光)の量をXとし、Delay発光(遅延発光)の量をXとしたときに、X/Xの値が0.05以上であることを意味する。
Prompt発光とDelay発光の量とその比は、“Nature 492,234−238,2012” (参考文献1)に記載された方法と同様の方法により求めることができる。なお、Prompt発光とDelay発光の量の算出に使用される装置は、前記参考文献1に記載の装置、または図2に記載の装置に限定されない。
化合物TADF−1について、Delay発光(遅延発光)の量がPrompt発光(即時発光)の量に対して5%以上あることが確認された。具体的には、化合物TADF−1について、X/Xの値が0.05以上であることが確認された。
(一重項エネルギーS
測定対象化合物の一重項エネルギーSは、前述の溶液法により測定した。
化合物TADF−1の一重項エネルギーSは、2.44eVであった。
化合物CBPの一重項エネルギーSは、3.52eVであった。
化合物RD−1の一重項エネルギーSは、2.02eVであった。
(化合物の主ピーク波長)
測定対象となる化合物の5μmol/Lトルエン溶液を調製して石英セルに入れ、常温(300K)でこの試料の蛍光スペクトル(縦軸:蛍光発光強度、横軸:波長とする。)を測定した。本実施例では、蛍光スペクトルを日立社製の分光光度計(装置名:F−7000)で測定した。なお、蛍光スペクトル測定装置は、ここで用いた装置に限定されない。蛍光スペクトルにおいて、発光強度が最大となる蛍光スペクトルのピーク波長を主ピーク波長とした。化合物RD−1の主ピーク波長は、540nmであった。
<化合物の合成>
・合成実施例:化合物TADF−1の合成
(中間体Aの合成)
窒素雰囲気下、2−ブロモニトロベンゼン(25.0g、123.8mmol)、及び4−ジベンゾフランボロン酸(31.5g、148.5mmol)を混合し、この混合物に、2M 炭酸ナトリウム水溶液(124ml、248mmol)、1,2−ジメトキシエタン(DME)250ml、トルエン(250ml)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd[PPh)(7.2g、6.2mmol)を加えて試料を調製し、12時間、加熱還流攪拌した。
加熱還流攪拌による反応終了後、試料を室温まで冷却した。室温まで冷却した試料を分液ロートに移し、水500mlを加え、ジクロロメタンにて抽出した。抽出した試料をMgSOで乾燥後、ろ過し、ろ液を濃縮した。ろ液を濃縮して得た試料をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、24.0gの白色固体を得た。FD−MSにて分析した結果、この白色固体を中間体Aと同定した。(中間体Aの収率は、67%であった。)
(中間体Bの合成)
アルゴン雰囲気下、中間体A(24.0g、83.0mmol)、及びトリフェニルホスフィン(54.4g、207.4mmol)の混合物にオルトジクロロベンゼン166mlを加えて試料を調製し、20時間、加熱還流攪拌した。加熱還流攪拌による反応終了後、試料を室温まで冷却した。室温まで冷却した試料を分液ロートに移し、水400mlを加え、ジクロロメタンにて抽出した。抽出した試料をMgSOで乾燥後、ろ過、濃縮した。試料をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、14.5gの白色固体を得た。FD−MSにて分析した結果、この白色固体を中間体Bと同定した。(中間体Bの収率は、68%であった。)
(中間体Cの合成)
窒素雰囲気下、200mlの三口フラスコに、中間体B(10g、39mmol)、及び塩化アルミニウム(5.2g、39mmol)を入れ、次に、ベンゼン−d100ml入れ、24時間、加熱攪拌還流した。加熱攪拌還流後の反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し4.6gの白色固体を得た。ASAP−MS、及び1H−NMRの分析により、この白色固体を中間体Cと同定した。(中間体Cの収率は、44%であった。)
窒素雰囲気下、100mlの三口フラスコに、中間体C(4.0g、15mmol)、水素化ナトリウム(40%オイル含有)(0.6g、15mmol)、及びテトラヒドロフラン(THF)75mlを入れ、0℃で30分、攪拌した。次に、攪拌後の反応混合物にテトラフルオロイソフタロニトリル (0.7g、3.6mmol)を入れ、25℃で2時間、攪拌した。エバポレータを用いて、溶媒を反応混合物から留去し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、2.40gの橙色固体を得た。ASAP−MSの分析により、この橙色固体を実施例化合物1と同定した。(実施例化合物1の収率は、56%であった。)
1…有機EL素子、2…基板、3…陽極、4…陰極、5…発光層、6…正孔注入層、7…正孔輸送層、8…電子輸送層、9…電子注入層。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物。

    (前記一般式(1)において、
    mは、1以上の整数であり、
    nは、2以上の整数であり、
    kは、0以上の整数であり、
    Lは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環であり、
    CNは、シアノ基であり、
    CZ及びCZは、それぞれ独立に、下記一般式(2)、下記一般式(3)及び下記一般式(3x)のいずれかで表される基であり、
    CzとCzとは、互いに同一であるか、又は異なり、
    mが2以上の整数である場合、複数のCzは、互いに同一であるか、又は異なり、
    kが2以上の整数である場合、複数のCzは、互いに同一であるか、又は異なる。)



    (前記一般式(2)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であるか、又はR及びRの組、R及びRの組、R及びRの組、R及びRの組、R及びRの組、並びにR及びRの組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
    前記一般式(3)におけるR11〜R18は、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であるか、又はR11及びR12の組、R12及びR13の組、R13及びR14の組、R15及びR16の組、R16及びR17の組、並びにR17及びR18の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
    前記一般式(3x)におけるR111〜R118は、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であるか、又はR111及びR112の組、R112及びR113の組、R113及びR114の組、R115及びR116の組、R116及びR117の組、並びにR117及びR118の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
    置換基としてのR〜R、置換基としてのR11〜R18、並びに置換基としてのR111〜R118は、それぞれ独立に、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
    置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、
    置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
    置換もしくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールシリル基、
    置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、
    置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルキルアミノ基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールアミノ基、
    置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルチオ基、又は
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基であり、
    前記一般式(2)におけるR〜R、前記一般式(3)におけるR11〜R18、並びに前記一般式(3x)におけるR111〜R118の内、少なくとも1つが重水素原子であり、
    前記一般式(3)及び前記一般式(3x)において、
    A、B及びCは、それぞれ独立に、下記一般式(131)及び下記一般式(132)のいずれかで表される環構造であり、
    この環構造A、環構造B及び環構造Cは、隣接する環構造と任意の位置で縮合し、
    p、px及びpyは、それぞれ独立に、1、2、3又は4であり、
    pが2、3又は4の場合、複数の環構造Aは、互いに同一であるか、又は異なり、
    pxが2、3又は4の場合、複数の環構造Bは、互いに同一であるか、又は異なり、
    pyが2、3又は4の場合、複数の環構造Cは、互いに同一であるか、又は異なり、
    *は、Lとの結合位置を示す。)

    (前記一般式(131)において、
    19及びR20は、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であるか、又はR19及びR20の組が互いに結合して環を形成し、
    前記一般式(132)において、
    は、CR130131、NR132、硫黄原子、又は酸素原子であり、
    130〜R132は、それぞれ独立に、軽水素原子、重水素原子、もしくは置換基であるか、又はR130及びR131の組が互いに結合して環を形成し、
    置換基としてのR19、R20、R130、R131及びR132は、それぞれ独立に、置換基としてのR〜Rと同義である。)
  2. 請求項1に記載の化合物において、
    前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(11)〜(13)のいずれかで表される、
    化合物。
    (前記一般式(11)〜(13)において、
    Czは、前記一般式(3)で表される基であり、
    40は、軽水素原子、重水素原子、又は置換基であり、
    置換基としてのR40は、それぞれ独立に、
    ハロゲン原子、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
    置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
    置換もしくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、又は
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールシリル基であり、
    kは、1、2、3又は4であり、
    kが2、3又は4の場合、複数のCzは、互いに同一であるか、又は異なり、
    qは、0、1、2又は3であり、
    qが2又は3の場合、複数のR40は、互いに同一であるか、又は異なり、
    k+q=4である。)
  3. 請求項2に記載の化合物において、
    前記一般式(1)で表される化合物は、前記一般式(13)で表される、
    化合物。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の化合物において、
    Cz及びCzは、それぞれ独立に、下記一般式(133)〜(138)のいずれかで表される基である、
    化合物。






    (前記一般式(133)〜(138)において、
    11〜R18は、それぞれ独立に、前記一般式(3)におけるR11〜R18と同義であり、
    19及びR20は、それぞれ独立に、前記一般式(131)におけるR19及びR20と同義であり、
    は、前記一般式(132)におけるXと同義であり、
    *は、Lとの結合位置を示す。)
  5. 請求項4に記載の化合物において、
    Cz及びCzは、それぞれ独立に、前記一般式(136)で表される基である、
    化合物。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の化合物において、
    は、酸素原子又は硫黄原子である、
    化合物。
  7. 陽極と、陰極と、有機層と、を有し、
    前記有機層は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の化合物を含む、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器。
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WO2022168825A1 (ja) * 2021-02-04 2022-08-11 株式会社Kyulux 有機エレクトロルミネッセンス素子、発光組成物の設計方法およびプログラム
WO2022237668A1 (zh) * 2021-05-10 2022-11-17 清华大学 一种稠环化合物及其应用以及包含其的有机电致发光器件

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