JP2023128657A - 水処理システム及び水処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低い運転圧力で良好な水質の処理水を高い回収率で安定して得ることのできる水処理システム及び方法を提供する。【解決手段】被処理水を第一の分離膜により処理して第一の濃縮水及び第一の透過水を得た後、第一の透過水を第二の分離膜により処理して第二の濃縮水及び第二の透過水を得る水処理システムであって、第一の膜分離処理装置の運転圧力と第二の膜分離処理装置の運転圧力とを特定値以下とし、第一の分離膜の塩除去率と第二の分離膜の塩除去率とを特定の関係とし、第一の分離膜及び第二の分離膜が、ナノ濾過膜及び逆浸透膜から選択される少なくとも一であり、水処理システムは、下記A及びBの少なくとも一方を該被処理水に返送する返送手段を備え、水処理システムは、下記A及びBの少なくとも一方を排出する排出手段を備える水処理システムにより、課題を解決する。A:該第一の濃縮水の少なくとも一部B:該第二の濃縮水の少なくとも一部【選択図】図1
Description
本開示は、水処理システム及び水処理方法に関する。
被処理水を、逆浸透膜(RO膜)など膜分離処理装置に通水して、濃縮水及び透過水を得る手段が、海水の淡水化、純水及び超純水の製造、並びに排水処理など様々な分野で採用されている。処理水の水質を十分なものとするために、二段階で逆浸透膜による処理を行う手段が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
イオン類などが高濃度、すなわち総溶解固形物:TDS(Total Dissolved Solids)が高い被処理水を処理する場合、例えば特許文献2における海水淡水化用の逆浸透膜などのようにTDS除去率の高い膜が採用される。しかし、TDS除去率の高い膜を用いる設備では、ろ過に要する運転圧力が非常に高くなってしまう。その結果、濃縮水が非常に高濃度になり、溶存物質が析出して付着するスケーリングを引き起こしやすい。
スケーリングは、供給水流路を狭めることによる運転圧力のさらなる上昇や膜表面を傷つけることによるろ過機能低下の原因となる。スケーリングを抑制するため、最終的な透過水の回収率の低減やスケール防止剤の投入が一般的に行われるが、例えば、海水淡水化設備における水回収率は、スケール防止剤を併用しても20体積%程度である。設備全体としてさらに回収率を上げるためには、排出される濃縮水を再度、逆浸透膜で2段、3段と処理する必要があり、その場合、さらに運転圧力を高める必要が生じる。
また、排出される濃縮水を3段以上処理する場合、必要となる運転圧力がさらに高くなり、逆浸透膜の強度が足りず適用が困難となる。その場合、濃縮水を回収するために電気透析などの異なる処理方式を組み合わせる必要があり、システムの複雑化から必要コストが高くなる。
以上の通り、TDSがある程度高い被処理水の処理を行う場合、従来の方法では、低い運転圧力で良好な水質の処理水を高い回収率で安定して得るという点で未だ課題を有している。本開示は、低い運転圧力で良好な水質の処理水を高い回収率で安定して得ることのできる水処理システム及び水処理方法を提供する。
[1] 被処理水を第一の分離膜により膜分離処理して第一の濃縮水及び第一の透過水を得る第一の膜分離処理装置と、
該第一の透過水を第二の分離膜により膜分離処理して第二の濃縮水及び第二の透過水を得る第二の膜分離処理装置と、
を少なくとも備える水処理システムであって、
該第一の膜分離処理装置の運転圧力(MPa)をP1とし、該第二の膜分離処理装置の
運転圧力(MPa)をP2としたとき、P1及びP2が、2.0MPa以下であり、
該第一の分離膜の塩除去率(重量%)をS1とし、該第二の分離膜の塩除去率(重量%)をS2としたとき、S1<S2の関係を満たし、
該第一の分離膜及び該第二の分離膜が、ナノ濾過膜及び逆浸透膜から選択される少なくとも一であり、
該水処理システムは、下記A及びBの少なくとも一方を該被処理水に返送する返送手段を備え、
該水処理システムは、下記A及びBの少なくとも一方を排出する排出手段を備える、水処理システム。
A:該第一の濃縮水の少なくとも一部
B:該第二の濃縮水の少なくとも一部
[2] 前記被処理水の総溶解固形物TDSの値が、1000mg/L以上である[1]に記載の水処理システム。
[3] 前記S1及び前記S2が、70重量%以上である[1]又は[2]に記載の水処理システム。
[4] 前記P1及び前記P2が、P1≦P2の関係を満たす[1]~[3]のいずれかに記載の水処理システム。
[5] 前記水処理システムは、前記Bを前記被処理水に返送する返送手段を備え、
前記水処理システムは、前記Aを排出する排出手段を備える[1]~[4]のいずれかに記載の水処理システム。
[6] 被処理水を第一の分離膜により膜分離処理して第一の濃縮水及び第一の透過水を得る第一の膜分離処理工程と、
該第一の透過水を第二の分離膜により膜分離処理して第二の濃縮水及び第二の透過水を得る第二の膜分離処理工程と、
を少なくとも有する水処理方法であって、
該第一の膜分離処理の運転圧力(MPa)をP1とし、該第二の膜分離処理の運転圧力(MPa)をP2としたとき、P1及びP2が、2.0MPa以下であり、
該第一の分離膜の塩除去率(重量%)をS1とし、該第二の分離膜の塩除去率(重量%)をS2としたとき、S1<S2の関係を満たし、
該第一の分離膜及び該第二の分離膜が、ナノ濾過膜及び逆浸透膜から選択される少なくとも一であり、
下記A及びBの少なくとも一方を該被処理水に返送し、
下記A及びBの少なくとも一方を排出する、水処理方法。
A:該第一の濃縮水の少なくとも一部
B:該第二の濃縮水の少なくとも一部
該第一の透過水を第二の分離膜により膜分離処理して第二の濃縮水及び第二の透過水を得る第二の膜分離処理装置と、
を少なくとも備える水処理システムであって、
該第一の膜分離処理装置の運転圧力(MPa)をP1とし、該第二の膜分離処理装置の
運転圧力(MPa)をP2としたとき、P1及びP2が、2.0MPa以下であり、
該第一の分離膜の塩除去率(重量%)をS1とし、該第二の分離膜の塩除去率(重量%)をS2としたとき、S1<S2の関係を満たし、
該第一の分離膜及び該第二の分離膜が、ナノ濾過膜及び逆浸透膜から選択される少なくとも一であり、
該水処理システムは、下記A及びBの少なくとも一方を該被処理水に返送する返送手段を備え、
該水処理システムは、下記A及びBの少なくとも一方を排出する排出手段を備える、水処理システム。
A:該第一の濃縮水の少なくとも一部
B:該第二の濃縮水の少なくとも一部
[2] 前記被処理水の総溶解固形物TDSの値が、1000mg/L以上である[1]に記載の水処理システム。
[3] 前記S1及び前記S2が、70重量%以上である[1]又は[2]に記載の水処理システム。
[4] 前記P1及び前記P2が、P1≦P2の関係を満たす[1]~[3]のいずれかに記載の水処理システム。
[5] 前記水処理システムは、前記Bを前記被処理水に返送する返送手段を備え、
前記水処理システムは、前記Aを排出する排出手段を備える[1]~[4]のいずれかに記載の水処理システム。
[6] 被処理水を第一の分離膜により膜分離処理して第一の濃縮水及び第一の透過水を得る第一の膜分離処理工程と、
該第一の透過水を第二の分離膜により膜分離処理して第二の濃縮水及び第二の透過水を得る第二の膜分離処理工程と、
を少なくとも有する水処理方法であって、
該第一の膜分離処理の運転圧力(MPa)をP1とし、該第二の膜分離処理の運転圧力(MPa)をP2としたとき、P1及びP2が、2.0MPa以下であり、
該第一の分離膜の塩除去率(重量%)をS1とし、該第二の分離膜の塩除去率(重量%)をS2としたとき、S1<S2の関係を満たし、
該第一の分離膜及び該第二の分離膜が、ナノ濾過膜及び逆浸透膜から選択される少なくとも一であり、
下記A及びBの少なくとも一方を該被処理水に返送し、
下記A及びBの少なくとも一方を排出する、水処理方法。
A:該第一の濃縮水の少なくとも一部
B:該第二の濃縮水の少なくとも一部
本開示により、低い運転圧力で良好な水質の処理水を高い回収率で安定して得ることのできる水処理システム及び水処理方法を提供できる。
数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
[水処理システム]
本発明の一形態の水処理システムは、被処理水を第一の分離膜により膜分離処理して第一の濃縮水及び第一の透過水を得る第一の膜分離処理装置と、該第一の透過水を第二の分離膜により膜分離処理して第二の濃縮水及び第二の透過水を得る第二の膜分離処理装置と、を少なくとも備える水処理システムである。
本形態の水処理システムによれば、低い運転圧力で良好な水質の処理水を高い回収率で安定して得ることができる。
以下、本形態の水処理システムの好ましい態様について説明する。
本発明の一形態の水処理システムは、被処理水を第一の分離膜により膜分離処理して第一の濃縮水及び第一の透過水を得る第一の膜分離処理装置と、該第一の透過水を第二の分離膜により膜分離処理して第二の濃縮水及び第二の透過水を得る第二の膜分離処理装置と、を少なくとも備える水処理システムである。
本形態の水処理システムによれば、低い運転圧力で良好な水質の処理水を高い回収率で安定して得ることができる。
以下、本形態の水処理システムの好ましい態様について説明する。
図1は、本形態の水処理システムの一例を示す概略構成図である。図1に示した水処理システム100は、被処理水を第一の分離膜に通水して第一の濃縮水および第一の透過水を得る第一の膜分離処理装置10と、第一の透過水を第二の分離膜に通水して第二の濃縮水および第二の透過水を得る第二の膜分離処理装置20と、を備える。
第一の膜分離処理装置10の被処理水入口には、送液配管11が接続されている。被処理水は、送液配管11を通して第一の膜分離処理装置10へと送液され、第一の膜分離処理装置10において第一の分離膜12に通水されて、第一の分離膜12を透過しなかった第一の濃縮水と、第一の分離膜12を透過した第一の透過水に分離される。
第一の膜分離処理装置10の第一の透過水出口と、第二の膜分離処理装置20の第一の透過水入口とは、送液配管21により接続されている。第一の透過水は、送液配管21を通して第一の膜分離処理装置10から第二の膜分離処理装置20へと送液され、第二の膜分離処理装置20において第二の分離膜22に通水されて、第二の分離膜22を透過しなかった第二の濃縮水と、第二の分離膜22を透過した第二の透過水に分離される。第二の透過水は、最終透過水配管25を通して系から排出され、最終透過水が得られる。
第一の膜分離処理装置10の第一の透過水出口と、第二の膜分離処理装置20の第一の透過水入口とは、送液配管21により接続されている。第一の透過水は、送液配管21を通して第一の膜分離処理装置10から第二の膜分離処理装置20へと送液され、第二の膜分離処理装置20において第二の分離膜22に通水されて、第二の分離膜22を透過しなかった第二の濃縮水と、第二の分離膜22を透過した第二の透過水に分離される。第二の透過水は、最終透過水配管25を通して系から排出され、最終透過水が得られる。
第一の濃縮水出口には、返送配管13及び排出配管14が接続され、第二の濃縮水出口には、返送配管23及び排出配管24が接続される。第一の濃縮水及び第二の濃縮水の少なくとも一部は、返送配管13及び返送配管23を通して被処理水として返送される。また、第一の濃縮水及び第二の濃縮水の一方又は両方の一部は、排出配管14及び排出配管24の一方又は両方の一部を通して系から排出される。
上記第一の膜分離処理装置の運転圧力(MPa)をP1としたとき、P1は2.0MPa以下であり、1.75MPa以下であることが好ましく、1.5MPa以下であることがより好ましい。また、P1は0.25MPa以上であることが好ましく、0.5MPa以上であることがより好ましい。
さらに上記第二の膜分離処理装置の運転圧力(MPa)をP2としたとき、P2は2.0MPa以下であり、1.75MPa以下であることが好ましく、1.5MPa以下であることがより好ましい。また、P2は0.25MPa以上であることが好ましく、0.5MPa以上であることがより好ましい。
加えて、上記P1及び上記P2は、P1≦P2の関係を満たすことが好ましい。P1及びP2が上記条件を満たすことによって、より良好な水質の処理水を得ることができる。
上記第一の分離膜の塩除去率(重量%)をS1としたとき、S1は70重量%以上であることが好ましく、75重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。また、S1は100重量%以下であればよい。
さらに上記第二の分離膜の塩除去率(重量%)をS2としたとき、S2は70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましい。また、S2は100%重量以下であればよい。
加えて、上記S1及びS2は、S1<S2の関係を満たす。S1及びS2が上記条件を満たすことによって、より良好な水質の処理水を高い回収率で安定して得ることができる。S1及びS2が上記関係を満たすために、適切な塩除去率を有する分離膜の市販品を選択すればよい。
上記分離膜の塩除去率は、JIS K 3805-2:1990「逆浸透エレメント及びモジュールの性能試験方法」に従って測定できる。
上記膜分離処理装置における透過水の回収率(体積%)を下記式(1)の通り定義した場合
回収率(体積%)=(透過水の量/膜分離処理装置に通水させる供給水量)×100 ・・・式(1)
上記第一の膜分離処理装置における上記第一の透過水の回収率(体積%)をR1としたとき、R1は50体積%以下であることが好ましく、40体積%以下であることがより好ましい。また、R1は5体積%以上であることが好ましく、15体積%以上であることがより好ましい。
回収率(体積%)=(透過水の量/膜分離処理装置に通水させる供給水量)×100 ・・・式(1)
上記第一の膜分離処理装置における上記第一の透過水の回収率(体積%)をR1としたとき、R1は50体積%以下であることが好ましく、40体積%以下であることがより好ましい。また、R1は5体積%以上であることが好ましく、15体積%以上であることがより好ましい。
さらに、上記第二の膜分離処理装置における上記第二の透過水の回収率(体積%)をR2としたとき、R2は70体積%であることが好ましく、50体積%以下であることがより好ましい。また、R2は5体積%以上であることが好ましく、15体積%以上であることがより好ましい。
加えて、上記R1及び上記R2は、R1<R2の関係を満たすことが好ましい。R1及びR2が上記条件を満たすことによって、より良好な水質の処理水を高い回収率で安定して得ることができる。R1及びR2が上記関係を満たすために、機械的もしくは電気的な制御方法でR1及びR2を制御すればよい。機械的な制御方法とは、定流量弁により一定流量となるよう制御する方法であり、電気的な制御方法とは、流量調節弁の開度を自動で調整する方法、もしくは供給ポンプの回転数を制御する方法である。
上記第一の分離膜および上記第二の分離膜は、ナノ濾過膜および逆浸透膜から選択される少なくとも一である。さらに、第一の分離膜の孔径は、第二の分離膜の孔径よりも大きいことが好ましい。
上記第一の分離膜及び上記第二の分離膜が上記条件を満たすことによって、より良好な水質の処理水を高い回収率で安定して得ることができる。
上記第一の分離膜及び上記第二の分離膜が上記条件を満たすことによって、より良好な水質の処理水を高い回収率で安定して得ることができる。
本システムで処理する被処理水は、工場からの排水、海水、汽水、工場で再利用される回収水などが挙げられる。また、上記被処理水はナトリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛などの金属成分やキレート剤などを含んでいてもよい。上記被処理水の総溶解固形物TDS(Total Dissolved Solids)の値は、1000mg/L以上であることが好ましく、5000mg/L以上であることがより好ましい。また、TDSの値は100000mg/L以下であることが好ましく、50000mg/L以下であることがより好ましい。
総溶解固形物TDSは、JIS K 0102:2019「工業排水試験方法」に従って測定できる。
総溶解固形物TDSは、JIS K 0102:2019「工業排水試験方法」に従って測定できる。
本形態の水処理システムは、下記A及びBの少なくとも一方を上記被処理水として返送する返送手段を備えており、さらに、下記A及びBの少なくとも一方を排出する排出手段を備える。また、本形態の水処理システムは、下記Bを上記被処理水として返送する返送手段を備えることが好ましく、下記Aを排出する排出手段を備えることが好ましい。濃縮
水を返送すると、処理水の回収率が上がる一方で水質は悪化し、濃縮水を排出すると、処理水の回収率が下がる一方で水質は改善する。よりTDSの低い第二の濃縮水を返送し、よりTDSの高い第一の濃縮水を排出することで、処理水の回収率と水質を両立させることができる。
A:第一の濃縮水の少なくとも一部
B:第二の濃縮水の少なくとも一部
水を返送すると、処理水の回収率が上がる一方で水質は悪化し、濃縮水を排出すると、処理水の回収率が下がる一方で水質は改善する。よりTDSの低い第二の濃縮水を返送し、よりTDSの高い第一の濃縮水を排出することで、処理水の回収率と水質を両立させることができる。
A:第一の濃縮水の少なくとも一部
B:第二の濃縮水の少なくとも一部
[水処理方法]
本発明の一形態の水処理方法は、被処理水を第一の分離膜により膜分離処理して第一の濃縮水及び第一の透過水を得る第一の膜分離処理工程と、該第一の透過水を第二の分離膜により膜分離処理して第二の濃縮水及び第二の透過水を得る第二の膜分離工程と、を少なくとも有する水処理方法である。
本形態の水処理方法によれば、低い運転圧力で良好な水質の処理水を高い回収率で安定して得ることができる。
本発明の一形態の水処理方法は、被処理水を第一の分離膜により膜分離処理して第一の濃縮水及び第一の透過水を得る第一の膜分離処理工程と、該第一の透過水を第二の分離膜により膜分離処理して第二の濃縮水及び第二の透過水を得る第二の膜分離工程と、を少なくとも有する水処理方法である。
本形態の水処理方法によれば、低い運転圧力で良好な水質の処理水を高い回収率で安定して得ることができる。
上記第一の膜分離処理の運転圧力(MPa)をP1とし、該第二の膜分離処理の運転圧力(MPa)をP2としたとき、P1及びP2が、2.0MPa以下である。
上記第一の分離膜の塩除去率(重量%)をS1とし、上記第二の分離膜の塩除去率(重量%)をS2としたとき、S1<S2の関係を満たす。
上記第一の分離膜及び上記第二の分離膜が、ナノ濾過膜及び逆浸透膜から選択される少なくとも一である。
下記A及びBの少なくとも一方を上記被処理水として返送し、下記A及びBの少なくとも一方を排出する。
A:第一の濃縮水の少なくとも一部
B:第二の濃縮水の少なくとも一部
上記第一の分離膜の塩除去率(重量%)をS1とし、上記第二の分離膜の塩除去率(重量%)をS2としたとき、S1<S2の関係を満たす。
上記第一の分離膜及び上記第二の分離膜が、ナノ濾過膜及び逆浸透膜から選択される少なくとも一である。
下記A及びBの少なくとも一方を上記被処理水として返送し、下記A及びBの少なくとも一方を排出する。
A:第一の濃縮水の少なくとも一部
B:第二の濃縮水の少なくとも一部
その他の水処理方法の好ましい態様は、本発明の水処理システムの好ましい態様と同様である。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
本実施例及び比較例では、第一~第三の分離膜として、下記の分離膜を使用した。
膜A:超低圧逆浸透膜(東レ社製、TMGシリーズ)
膜B:低圧逆浸透膜(東レ社製、TMシリーズ)
膜C:海水淡水化用の逆浸透膜(東レ社製、TM800シリーズ)
膜A:超低圧逆浸透膜(東レ社製、TMGシリーズ)
膜B:低圧逆浸透膜(東レ社製、TMシリーズ)
膜C:海水淡水化用の逆浸透膜(東レ社製、TM800シリーズ)
[実施例1~4]
実施例1~4では、図1に記載の全体構成である水処理システムを用いて、下記の通り水処理を実施した。
自社工場内の排水処理施設の最終処理水に対して、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの市販試薬を添加し、TDS調整後に、限外濾過膜で前処理を行い、被処理水を得た。得られた被処理水に圧力をかけて、第一の分離膜(膜A)を透過させ、第一の濃縮水および第一の透過水を得た。得られた第一の透過水に圧力をかけて、第二の分離膜(膜B)を透過させ、第二の濃縮水および第二の透過水を得た。得られた第一の濃縮水のうち30体積%は排出し、第一の濃縮水のうち残りの70体積%と、第二の濃縮水は被処理水として返送して、再度上記の水処理を実施した。最終的に得られた第二の透過水の
全量を最終透過水とした。
実施例1~4では、図1に記載の全体構成である水処理システムを用いて、下記の通り水処理を実施した。
自社工場内の排水処理施設の最終処理水に対して、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの市販試薬を添加し、TDS調整後に、限外濾過膜で前処理を行い、被処理水を得た。得られた被処理水に圧力をかけて、第一の分離膜(膜A)を透過させ、第一の濃縮水および第一の透過水を得た。得られた第一の透過水に圧力をかけて、第二の分離膜(膜B)を透過させ、第二の濃縮水および第二の透過水を得た。得られた第一の濃縮水のうち30体積%は排出し、第一の濃縮水のうち残りの70体積%と、第二の濃縮水は被処理水として返送して、再度上記の水処理を実施した。最終的に得られた第二の透過水の
全量を最終透過水とした。
被処理水の総溶解固形物TDS(mg/L)、第一~第二の分離膜の種類、運転圧力P1~P2(MPa)、塩除去率S1~S2(重量%)、透過水回収率R1~R2(体積%)、被処理水量(m3/day)、最終透過水量(m3/day)、最終透過水のTDS(mg/L)は表1に記載の通りであった。
[比較例1~3]
比較例1~3では、図2に記載の全体構成である水処理システムを用いて、下記の通り水処理を実施した。
実施例1~4と同様の方法で得られた被処理水に圧力をかけて、第一の分離膜(膜C)を透過させ、第一の濃縮水および第一の透過水を得た。得られた第一の濃縮水に圧力をかけて、第二の分離膜(膜C)を透過させ、第二の濃縮水および第二の透過水を得た。得られた第一の透過水および第二の透過水を混合し、そのうちの50体積%に対して圧力をかけて、第三の分離膜(膜C)を透過させ、第三の濃縮水および第三の透過水を得た。第二の濃縮水のうち50体積%と第三の濃縮水は排出し、第二の濃縮水のうち残りの50体積%は被処理水として返送して、再度上記の水処理を実施した。最終的に得られた第一の透過水および第二の透過水の混合液のうち、第三の分離膜を透過させなかった残りの50体積%と、第三の透過水の全量を、合わせて最終透過水とした。
比較例1~3では、図2に記載の全体構成である水処理システムを用いて、下記の通り水処理を実施した。
実施例1~4と同様の方法で得られた被処理水に圧力をかけて、第一の分離膜(膜C)を透過させ、第一の濃縮水および第一の透過水を得た。得られた第一の濃縮水に圧力をかけて、第二の分離膜(膜C)を透過させ、第二の濃縮水および第二の透過水を得た。得られた第一の透過水および第二の透過水を混合し、そのうちの50体積%に対して圧力をかけて、第三の分離膜(膜C)を透過させ、第三の濃縮水および第三の透過水を得た。第二の濃縮水のうち50体積%と第三の濃縮水は排出し、第二の濃縮水のうち残りの50体積%は被処理水として返送して、再度上記の水処理を実施した。最終的に得られた第一の透過水および第二の透過水の混合液のうち、第三の分離膜を透過させなかった残りの50体積%と、第三の透過水の全量を、合わせて最終透過水とした。
[参考例1]
参考例1では、図1に記載の全体構成である水処理システムを用いて、下記の通り水処理を実施した。
実施例1~4と同様の方法で得られた被処理水に圧力をかけて、第一の分離膜(膜C)を透過させ、第一の濃縮水および第一の透過水を得た。得られた第一の透過水に圧力をかけて、第二の分離膜(膜B)を透過させ、第二の濃縮水および第二の透過水を得た。得られた第一の濃縮水のうち5体積%は排出し、第一の濃縮水のうち残りの95体積%と、第二の濃縮水は被処理水として返送して、再度上記の水処理を実施した。最終的に得られた第二の透過水の全量を最終透過水とした。
参考例1では、図1に記載の全体構成である水処理システムを用いて、下記の通り水処理を実施した。
実施例1~4と同様の方法で得られた被処理水に圧力をかけて、第一の分離膜(膜C)を透過させ、第一の濃縮水および第一の透過水を得た。得られた第一の透過水に圧力をかけて、第二の分離膜(膜B)を透過させ、第二の濃縮水および第二の透過水を得た。得られた第一の濃縮水のうち5体積%は排出し、第一の濃縮水のうち残りの95体積%と、第二の濃縮水は被処理水として返送して、再度上記の水処理を実施した。最終的に得られた第二の透過水の全量を最終透過水とした。
[参考例2]
参考例2では、図1に記載の全体構成である水処理システムを用いて、下記の通り水処理を実施した。
実施例1~4と同様の方法で得られた被処理水に圧力をかけて、第一の分離膜(膜B)を透過させ、第一の濃縮水および第一の透過水を得た。得られた第一の透過水に圧力をかけて、第二の分離膜(膜B)を透過させ、第二の濃縮水および第二の透過水を得た。得られた第一の濃縮水のうち10体積%は排出し、第一の濃縮水のうち残りの90体積%と、第二の濃縮水は被処理水として返送して、再度上記の水処理を実施した。最終的に得られた第二の透過水の全量を最終透過水とした。
参考例2では、図1に記載の全体構成である水処理システムを用いて、下記の通り水処理を実施した。
実施例1~4と同様の方法で得られた被処理水に圧力をかけて、第一の分離膜(膜B)を透過させ、第一の濃縮水および第一の透過水を得た。得られた第一の透過水に圧力をかけて、第二の分離膜(膜B)を透過させ、第二の濃縮水および第二の透過水を得た。得られた第一の濃縮水のうち10体積%は排出し、第一の濃縮水のうち残りの90体積%と、第二の濃縮水は被処理水として返送して、再度上記の水処理を実施した。最終的に得られた第二の透過水の全量を最終透過水とした。
被処理水の総溶解固形物TDS(mg/L)、第一~第三の分離膜の種類、運転圧力P1~P3(MPa)、塩除去率S1~S3(重量%)、透過水回収率R1~R3(体積%)、被処理水量(m3/day)、最終透過水量(m3/day)、最終透過水のTDS(mg/L)は表1に記載の通りであった。
表1に示されるように、実施例1~4では多くの透過水が得られ、かつ透過水TDSも良好な値であった。
一方、比較例1~3では実施例1~4よりも透過水量が少なく、かつ透過水TDSは高い値であった。比較例1~3では、最終透過水量を確保するために送液配管33をバイパスとして使用することで、一部の被処理水は第三の分離膜を透過させずに回収しているが、これにより透過水TDSが悪化したと考えられる。ここで、送液配管33を使用しない場合、透過水TDSは改善するが、最終透過水量は減少すると推察される。
参考例1~2では、透過水TDSは良好な値であったものの、運転圧力が高く動力費が高くなった。さらに、膜面での除去対象物の濃縮倍率が高くなることで透過水量が低下するため、最終透過水量を確保するために膜本数を増やす必要があった。
一方、比較例1~3では実施例1~4よりも透過水量が少なく、かつ透過水TDSは高い値であった。比較例1~3では、最終透過水量を確保するために送液配管33をバイパスとして使用することで、一部の被処理水は第三の分離膜を透過させずに回収しているが、これにより透過水TDSが悪化したと考えられる。ここで、送液配管33を使用しない場合、透過水TDSは改善するが、最終透過水量は減少すると推察される。
参考例1~2では、透過水TDSは良好な値であったものの、運転圧力が高く動力費が高くなった。さらに、膜面での除去対象物の濃縮倍率が高くなることで透過水量が低下するため、最終透過水量を確保するために膜本数を増やす必要があった。
100…水処理システム、10…第一の膜分離処理装置、11…送液配管、12…第一の分離膜、13…返送配管、14…排出配管、20…第二の膜分離処理装置、21…送液配管、22…第二の分離膜、23…返送配管、24…排出配管、25…最終透過水配管、26…送液配管、30…第三の膜分離処理装置、31…送液配管、32…第三の分離膜、33…送液配管、34…排出配管
Claims (6)
- 被処理水を第一の分離膜により膜分離処理して第一の濃縮水及び第一の透過水を得る第一の膜分離処理装置と、
該第一の透過水を第二の分離膜により膜分離処理して第二の濃縮水及び第二の透過水を得る第二の膜分離処理装置と、
を少なくとも備える水処理システムであって、
該第一の膜分離処理装置の運転圧力(MPa)をP1とし、該第二の膜分離処理装置の運転圧力(MPa)をP2としたとき、P1及びP2が、2.0MPa以下であり、
該第一の分離膜の塩除去率(重量%)をS1とし、該第二の分離膜の塩除去率(重量%)をS2としたとき、S1<S2の関係を満たし、
該第一の分離膜及び該第二の分離膜が、ナノ濾過膜及び逆浸透膜から選択される少なくとも一であり、
該水処理システムは、下記A及びBの少なくとも一方を該被処理水に返送する返送手段を備え、
該水処理システムは、下記A及びBの少なくとも一方を排出する排出手段を備える、水処理システム。
A:該第一の濃縮水の少なくとも一部
B:該第二の濃縮水の少なくとも一部 - 前記被処理水の総溶解固形物TDSの値が、1000mg/L以上である請求項1に記載の水処理システム。
- 前記S1及び前記S2が、70重量%以上である請求項1又は2に記載の水処理システム。
- 前記P1及び前記P2が、P1≦P2の関係を満たす請求項1~3のいずれか一項に記載の水処理システム。
- 前記水処理システムは、前記Bを前記被処理水に返送する返送手段を備え、
前記水処理システムは、前記Aを排出する排出手段を備える請求項1~4のいずれか一項に記載の水処理システム。 - 被処理水を第一の分離膜により膜分離処理して第一の濃縮水及び第一の透過水を得る第一の膜分離処理工程と、
該第一の透過水を第二の分離膜により膜分離処理して第二の濃縮水及び第二の透過水を得る第二の膜分離処理工程と、
を少なくとも有する水処理方法であって、
該第一の膜分離処理の運転圧力(MPa)をP1とし、該第二の膜分離処理の運転圧力(MPa)をP2としたとき、P1及びP2が、2.0MPa以下であり、
該第一の分離膜の塩除去率(重量%)をS1とし、該第二の分離膜の塩除去率(重量%)をS2としたとき、S1<S2の関係を満たし、
該第一の分離膜及び該第二の分離膜が、ナノ濾過膜及び逆浸透膜から選択される少なくとも一であり、
下記A及びBの少なくとも一方を該被処理水に返送し、
下記A及びBの少なくとも一方を排出する、水処理方法。
A:該第一の濃縮水の少なくとも一部
B:該第二の濃縮水の少なくとも一部
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JP2022033165A JP2023128657A (ja) | 2022-03-04 | 2022-03-04 | 水処理システム及び水処理方法 |
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