JP2023128467A - カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

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涼一 勝見
Ryoichi Katsumi
慎吾 榊原
Shingo Sakakibara
真也 福地
Shinya Fukuchi
翼 井上
Tasuku Inoue
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Abstract

【課題】再利用基板を用いても所定の品質が確保されたカーボンナノチューブを得ることが可能なカーボンナノチューブの製造方法を提供すること。【解決手段】基板上にカーボンナノチューブを化学気相成長法により成長させる工程と、成長した前記カーボンナノチューブを前記基板から剥離する工程と、前記カーボンナノチューブを剥離した使用済みの前記基板を用いた再利用基板の作製工程とを含み、前記再利用基板の作製工程が、前記使用済みの基板を酸素含有雰囲気下で600度以上1100度以下の温度にて加熱処理することと、前記使用済みの基板を有機溶媒中に浸した状態で洗浄することとを含む、カーボンナノチューブの製造方法が提供される。【選択図】図3

Description

本開示は、カーボンナノチューブの製造方法に関する。
カーボンナノチューブ(以下、「CNT」とも称する)は、熱伝導性、導電性、及び機械的強度等に優れることから、広範囲にわたる分野における様々な用途での利用が期待されている。
CNTの合成プロセスとしては、アーク放電法、レーザー蒸発法、及び化学気相成長法(以下、「CVD法」とも称する)等が挙げられる。これらのうち、量産性の観点から主としてCVD法が工業的には用いられる。
CVD法が用いられる場合において、カーボンナノチューブ製造装置は、反応炉、原料ガス供給部、およびガス排気部を備える。反応炉は、反応室内部を加熱可能な加熱部と、反応室内部に固定配置された基板と、反応室内部に供されかつ原料ガスと気相反応可能な触媒とを有して成る。原料ガス供給部は、反応炉の供給口側に配置され、かつ炭素原子を含む原料ガスを反応室内部に供給可能となっている。ガス排気部は、反応炉の排気端側に配置され、かつ原料ガス供給前にて反応室内部のガスを外部に排気可能となっている。
上記構成下において、カーボンナノチューブ製造装置では、反応室内部にて、炭素原子を含む原料ガスと触媒とを気相反応させ、それによって、反応室内部に固定配置された基板上にCNTを成長可能となっている。又、反応室がその内部に筒状管を更に有して成る場合、当該筒状管の内壁にもCNTを成長させることができる。CNT成長完了後、基板および筒状管からCNTを剥離して所定の用途に用いることができる。
又、使用済みの上記基板からCNT剥離後に使用済みの基板を再利用する試みがなされている(特許文献1~3参照)。基板の再利用実現のための一例として、カーボンナノチューブが剥離された使用済みの基板をブラスト処理により物理的に洗浄する態様がある(特許文献1参照)。別例として、カーボンナノチューブが剥離された使用済みの基板を残存する触媒を取り除くために酸洗浄する態様がある(特許文献2参照)。更なる別例として、基板と基板に担持させた触媒とから構成される使用済みの担持型触媒を焼成する態様がある(特許文献3参照)。
特開2016-172204号公報 特開2007-91485号公報 特開2006-27948号公報
しかしながら、従前の基板を再利用する手法には、依然として改善すべき事項がある。具体的には、使用済みの基板に対するブラスト処理による物理的な洗浄態様では炭素成分を完全に除去できず、使用済みの基板に対する酸洗浄態様では酸化膜付基板を用いる場合に酸化膜が溶出する虞があり、使用済みの担持型触媒の焼成態様では基板に加え触媒自体も再利用されることが前提であるため、触媒の質低下が懸念される。その結果として、得られるカーボンナノチューブの品質が低下する虞がある。
そこで、本発明は、再利用基板を用いても所定の品質が確保されたカーボンナノチューブを得ることが可能なカーボンナノチューブの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、
基板上にカーボンナノチューブを化学気相成長法により成長させる工程と、
成長した前記カーボンナノチューブを前記基板から剥離する工程と、
前記カーボンナノチューブを剥離した使用済みの前記基板を用いた再利用基板の作製工程と
を含み、
前記再利用基板の作製工程が、前記使用済みの基板を酸素含有雰囲気下で600度以上1100度以下の温度にて加熱処理することと、前記使用済みの基板を有機溶媒中に浸した状態で洗浄することとを含む、カーボンナノチューブの製造方法が提供される。
本発明の一実施形態によれば、再利用基板を用いても所定の品質が確保されたカーボンナノチューブを得ることが可能である。
本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法実施のためのカーボンナノチューブ製造装置を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法を模式的に示す断面図である(未使用基板を用いる場合)。 本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法(使用済みの基板を用いた再利用基板の作製工程)を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法を模式的に示す断面図である(再利用基板を用いる場合)。 本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法により得られるカーボンナノチューブ端部のSEM写真である。
以下において、図面を参照して本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法について説明する。図面における各種の要素は、本発明の説明のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。
さらに、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語を用いる。しかしながら、これらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、これらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面の同一符号の部分は、同一または同等の部分を指す。
[カーボンナノチューブ製造装置の全体的構成]
まず、本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法の特徴部分を説明する前に、カーボンナノチューブ製造装置の全体的構成および同装置を用いたカーボンナノチューブの製造方法(特徴部分以外)について説明する。その後、本発明の特徴部分について説明する。
カーボンナノチューブ製造装置100は、化学気相成長法にて用いられる装置である。図1に示すように、かかるカーボンナノチューブ製造装置100は、反応炉10、反応炉10のガス供給側に位置付けられた原料ガス供給部20、および反応炉10のガス排気側に位置付けられたガス排気部30を備える。
(反応炉)
反応炉10は、反応室11と、反応室11の内部を加熱可能に反応室11上に配置された加熱部12とを有して成る。反応室11は、反応室内部に固定配置された少なくとも1枚の基板50と、反応室内部に供されかつ原料ガスGと気相反応可能な触媒とを有して成る。原料ガスと触媒との気相反応により、反応室11内の基板50の表面に垂直に配向したCNTを成長させることができる。特に限定されるものではないが、加熱部12は例えば抵抗加熱式ヒーターから構成され得る。
反応室11は、例えばガラス、セラミック、又はSiC等を用いることができる。反応室11自体の形状としては、基板50を収容できる形状であれば特に限定されないが、円筒状、箱状等であることができる。反応室11は、同室内に導入されたガスが外部に拡散しないように密閉され得ることが好ましい。
なお、反応室11は、内部に筒状管を更に有して成り得る。この場合、基板50は当該筒状管内にて固定配置され得る。加熱部12は制御部に接続されており、それによって、反応室11内部の温度がカーボンナノチューブの成長可能な温度にし得るように加熱部12は制御部により制御され得る。
加熱部12の加熱による反応室11内の温度としては、反応室11内の昇華性の触媒と反応室11内に供給されるガスとが気相反応可能な温度、即ちカーボンナノチューブの成長反応が進行可能な温度であることが好ましい。一例としては、カーボンナノチューブを効率良く成長させる観点から、反応室11内の温度は、500度以上1200度以下、好ましくは700度以上1000度以下、より好ましくは800度以上900度以下であることができる。反応室11内の温度が所定の上限値を超えると、反応速度が速くなり、得られるカーボンナノチューブの密度が小さくなるおそれがある。一方、反応室11内の温度が所定の下限値を下回ると、カーボンナノチューブの成長速度が遅くなり生産性が低下する可能性がある。
(基板)
基板50は、反応室11内にて基板支持部40により支持されている。基板50は、基板50は、その表面にて垂直に配向したカーボンナノチューブが成長可能な基板であり、かかる成長温度以上の融点を有する。後述するが、基板50は、その表面にて触媒を担持可能に構成され得る。
基板50は、全体としてプレート状を有し、平面が円形(真円又は楕円)、矩形、又は多角形であり得る。特に限定されるものではないが、基板50は、シリコン基板などの半導体基板、アルミナ、サファイア、MgO、ガラスなどの絶縁性基板等を用いることができる。好ましくは、カーボンナノチューブの成長核となる炭化物を好適に形成する観点から、例えば石英ガラス、酸化膜付きシリコン等から構成することができる。酸化膜としては、特に限定されるものではないが、膜厚10nm~1000nm、例えば100nm~500nm程度を有するものを用いることができる。
基板50の厚みは100μm以上3000μm以下、好ましくは200μm以上2500μm以下、より好ましくは300μm以上2000μm以下、更により好ましくは400μm以上1500μm以下、更により好ましくは500μm以上1000μm以下、例えば550μmであり得る。
(触媒)
CNTの成長反応に用いる触媒の種類は限定されないが、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、W、Ag、Au、Pt等の第3族~第12族の遷移金属元素を含有することが好ましい。触媒はこれらの元素のハロゲン化物(例えばフッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、又は酸化物などであってもよい。
成長速度の観点から、触媒はハロゲン化物であってよく、特にハロゲン化鉄を用いることが好ましい。ハロゲン化物をさらに具体的に例示すれば、フッ化鉄、フッ化コバルト、フッ化ニッケル、塩化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、臭化鉄、臭化コバルト、臭化ニッケル、ヨウ化鉄、ヨウ化コバルト、ヨウ化ニッケルなどが挙げられる。ここで、ハロゲン化物は、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)のように、2価、3価又は多価であってよい。
一例として、反応室内部に供される触媒として、気相触媒であり得る昇華性の触媒(例えば塩化鉄)を反応室中に存在させることができる。気相触媒の反応室中への導入方法は特に限定されないが、反応室11に気相触媒供給部を設けた上で供給してもよいし、反応室の内部に気相触媒を与える気相以外の物理状態(典型的には固相状態)にある材料(触媒源)を設置し、反応室の内部を加熱することおよび/または負圧することにより触媒源から気相触媒を生成して、気相触媒を反応室11の内部に存在させてもよい。更には、反応室11内で触媒生成反応を生じさせてもよい。
例えば、塩化鉄の場合、塊、平板、スチールウールまたは粉状の鉄等の鉄族元素含有材料を反応室内で所定の温度とし、反応室内の鉄族元素含有材料と反応させるハロゲン含有物質を供給することにより、気相触媒を生成してもよい。
触媒源を用いて気相触媒を生成する場合の具体例を示せば、反応室の内部に触媒源として塩化鉄(II)の無水物を配置し、反応室の内部を加熱するとともに負圧して塩化鉄(II)の無水物を昇華させると、塩化鉄(II)の蒸気からなる気相触媒を反応室内に存在させることができる。
又、反応室内部に供される触媒としては、基板50の表面に担持されたものを用いることができる。この場合、基板50の表面には、支持体層と触媒層とからなる積層構造が形成されていてよく、又は支持体層に触媒が分散されていてよい。触媒層は例えばスパッタ法により触媒粒子を付着させることで、形成させることができる。
この場合、CNTの成長性の観点から触媒粒子を付着させる部分と付着させない部分を交互に形成しておくことが好ましい。このような島状の触媒層は、例えば、メッシュを基板上に設置しこの上からスパッタリング法で触媒粒子を一定のパターンで付着させたり、微分型静電分級器を用いてあらかじめ触媒粒子のサイズを制御したりすることにより作製することができる。
又、触媒の支持体としては、Mo、Ti、Hf、Zr、Nb、V、TaN、TiSi(例えばx=1~2)、Al、Al、TiO(例えばx=1~2)、Ta、W、Cu、Au、Pt、Pd、TiN又はこれらのうち少なくとも一を含む支持体を有していてよい。支持体はその厚みが0.1nm以上、0.5nm以上、又は1nm以上であってよく、10nm以下、7.5nm以下、又は5nm以下であってよい。
(原料ガス供給部)
原料ガス供給部20は、反応炉10のガス供給口10a側に配置され、ガス供給管60を介して反応室11の内部と連通可能に構成されている。かかる構成により、原料ガス供給部20は、炭素原子を含む原料ガスGを反応室11内部に供給可能に構成されている。炭素原子を含む原料ガスとしては炭化水素ガスを用いることができる。原料ガス供給部20からのガス供給方向は、特に限定されるものではなく、任意の方向を採ることができる。一例としては、略水平方向(重力方向に対して略垂直な方向)、略重力方向、又はこれら略水平方向と略重力方向の間に位置する方向であってもよい。
一例としては、原料ガスGとしては、脂肪族飽和炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、又はこれらの混合物等が挙げられる。脂肪族飽和炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン及び/又はヘキサン等を挙げることができる。脂肪族不飽和炭化水素としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン及び/又はアセチレン等を挙げることができる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及び/又はナフタレン等を挙げることができる。アルコールとしては、メタノール及び/又はエタノール等を挙げることができる。なお、熱分解反応が自発的に継続できる性質をふまえ、好ましくはアセチレン等の有機化合物のガスを用いることができる。
(ガス排気部)
ガス排気部30は、反応炉10の排気口10b側に配置され、ガス排気管70を介して反応室11の内部と連通可能に構成されている。かかる構成により、ガス排気部30は、原料ガス供給前にて反応室11内部のガスを外部に排気可能に構成されている。ガス排気部30としては、ロータリーポンプ等の真空ポンプを用いることができる。
[カーボンナノチューブの製造方法]
以下、上記のカーボンナノチューブ製造装置100を用いたカーボンナノチューブの製造方法について説明する(図2参照)。
上記カーボンナノチューブの製造方法は、大きく分けて少なくとも1.基板上にカーボンナノチューブを成長させる工程と2.成長したカーボンナノチューブを基板から剥離する工程とを含む。
(1.カーボンナノチューブ成長工程)
基板設置
まず、基板50(未使用基板50Aに相当)を反応炉10の反応室11内に固定配置する(図2(a)参照)。
反応室内のガス排気
基板50の設置工程後、原料ガス供給前にて、排気部30により反応室11内のガスを排出して真空状態にする。
反応室の加熱
排気工程後、加熱部12により、反応室11内の昇華性の触媒と反応室11内に供給されるガスとが気相反応可能な温度、即ちカーボンナノチューブの成長反応が進行可能な温度となるように、反応室11内を加熱する。一例としては、既述のように、カーボンナノチューブを効率良く成長させる観点から、反応室11内の温度は、500度以上1200度以下、好ましくは700度以上1000度以下、より好ましくは800度以上900度以下であることができる。
原料ガス供給
反応室11内の加熱工程後、原料ガス供給部20よりガス供給管60を介して反応室11内に所定流量の原料ガスを供給する。この際、圧力調整部(図示せず)により、反応室11内の原料ガス圧がカーボンナノチューブの成長可能な圧力となるように調整する。
原料ガス圧は、1Torr以上、3Torr以上、5Torr以上、10Torr以上、25Torr以上、又は50Torr以上であってよく、好ましくは1Torr以上である。又、原料ガス圧は、300Torr以下、200Torr以下、150Torr以下、100Torr以下、50Torr以下、25Torr以下、又は12.5Torr以下であってよく、好ましくは100Torr以下である。
又、反応室11へと供給される原料ガスの流量については、反応室11の大きさ、設置する基板50の枚数等によるが、反応室11内に原料ガスを好適に滞留させる観点から、20sccm(Standard cc per 分、標準状態(25度、1気圧)における体積流量、以下同じ)以上3000sccm以下、40sccm以上2000sccm以下、80sccm以上1000sccm以下、例えば500sccmに設定してよい。
なお、上記原料ガスと同時に第二ガスを反応室11内に供給してよい。第二ガスは、原料ガスとは異なるガスであって、酸素原子を有する炭化水素及び水素からなる群から選択される少なくとも一のガスである。第二ガスは、触媒のエッチング作用を有し得る。また、第二ガスは還元性物質であってもよい。具体例には、一酸化炭素、アセトン、エタノール、メタノール、及び/又は水素等が挙げられ、好ましくは一酸化炭素及び/又はアセトンであり得る。
原料ガスと同時に第二ガスを供給することで、CNTの成長性を高めたり、製造されたCNTの紡績性を向上させ得る。更に、CNTアレイの成長に係る反応の活性化エネルギーの低下、CNTアレイの成長速度の向上、CNTアレイの成長安定性の向上、失活原因であるアモルファスカーボン除去に起因する気相触媒の長寿命化、及び成長長さの均一性の向上等を奏することができる。
第二ガスを供給するために、第二ガスそのものを供給することに加えて又は供給することに代えて、第二ガスを形成可能な原料を供給することもできる。例えば、第二ガスとしての一酸化炭素を供給するために、上述した一酸化炭素そのものを供給することに加えて又は供給することに代えて、一酸化炭素を形成可能な原料を供給することもできる。一酸化炭素を形成可能な原料としては、例えば、二酸化炭素やカルボニル錯体等が挙げられる。これら原料は、反応室内において一酸化炭素を形成(生成)して、一酸化炭素を供給した場合と同様の効果を奏することができる。
上記原料ガス圧に対する第二ガス圧比(第二ガス圧/原料ガス圧)は、0.1%以上、1%以上、2%以上、3%以上、5%以上、10%以上、又は20%以上であってよく、好ましくは1%以上である。又、第二ガス圧に対する原料ガス圧は、500%以下、300%以下、100%以下、50%以下、30%以下、20%以下、10%以下、又は5%以下であってよく、好ましくは30%以下である。
原料ガスの第一排出
所定時間にわたる原料ガス供給工程後、原料ガスの供給を停止し、原料ガスを部分的に排出して、原料ガス圧を成長圧力の5%以上95%以下である低減圧力にまで低減させてよい。かかる低減圧力は、成長工程における原料ガス圧の5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上又は60%以上であってよく、好ましくは30%以上又は50%以上である。低減圧力は、成長工程における原料ガス圧の95%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下又は40%以下であってよく、好ましくは80%以下である。
原料ガス排気工程の時間は、300秒以下、200秒以下、100秒以下、60秒以下、又は30秒以下であってよく、例えば25秒以下、20秒以内、15秒以内、10秒以内、又は5秒以内であってよい。
原料ガス圧の保持
原料ガスの第一排出工程後、原料ガス圧を上記低減圧力の範囲で所定時間保持する。かかる保持工程の間、原料ガス圧を一定に保持する観点から、反応室11内への原料ガスの供給及び反応室11内からのガスの排出を遮断してよい。
保持工程の上記の所定時間としては、例えば5秒以上、10秒以上、20秒以上、30秒以上、40秒以上、50秒以上、又は60秒以上であってよく、300秒以下、250秒以下、200秒以下、150秒以下、100秒以下、又は50秒以下であってよい。かかる保持工程においては、反応室11の雰囲気温度を一定の範囲に保持しておいてよく、好ましくは反応室雰囲気温度を成長温度に保持しておく。保持工程の間、反応室雰囲気温度は一定に保持されていてよい。
反応室雰囲気温度の降温
原料ガス圧の保持工程後、反応室11の雰囲気温度を降下させてよい。反応室11の雰囲気温度の降温速度は3度/分以上、5度/分以上、7度/分以上、9度/分以上、又は12度/分以上であってよく、50度/分以下、40度/分以下、30度/分以下、又は20度/分以下であってよい。
かかる反応室雰囲気温度の降温工程については、反応室雰囲気温度が、空気中の酸素でCNTの酸化がなされない温度に達するまで行われてよい。例えば、反応室雰囲気温度が、500度未満、400度以下、又は300度以下であってよい。反応室雰囲気温度が、CNTが空気中の酸素で酸化されない温度に達すると、基板50を大気圧下に解放してよい。
原料ガスの第二排出
更に、原料ガス圧の保持工程後、原料ガスを更に排出して原料ガス圧を上記低減圧力から更に低減させる。この原料ガスの更なる排出工程(原料ガスの第二工程に相当)については、反応室雰囲気温度の降温工程と同時に行われてよい。この場合、上記の反応室雰囲気温度の降温工程において、所望の反応室11の雰囲気温度に達していない場合、原料ガスの第二排出工程終了後も降温工程を継続してよい。
原料ガスの第二排出工程後の原料ガス圧については、0.1Torr以下、0.08Torr以下、0.05Torr以下、0.03Torr以下、又は0.01Torr以下であってよく、好ましくは0.05Torr以下である。
原料ガスの第二排出工程後の原料ガス圧は、上記低減圧力の50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下又は1%以下であってよく、好ましくは10%以下である。原料ガスの第二排出工程の時間は、300秒以下、200秒以下、100秒以下、60秒以下、又は30秒以下であってよく、例えば25秒以下、20秒以内、15秒以内、10秒以内、又は5秒以内であってよい。
以上により、基板50に略垂直に成長したCNT形成が完了する(図2(b)参照)。
(2.基板からのCNT剥離工程)
上記工程後、基板50上に形成されたCNTを基板50から剥離してよい(図2(c)参照)。なお、基板50上にはCNTが垂直配向状態となっている。CNTを基板50から剥離する方法としては、物理的、化学的あるいは機械的な剥離方法であり得る。例えば、電場、磁場、遠心力、表面張力等を用いて剥離する方法、機械的に基板50から剥離する方法、並びに、圧力又は熱を用いて基板50から剥離する方法等が挙げられる。また、真空ポンプを用いてCNTを吸引し、基板から剥ぎ取ることも可能である。機械的に基材から剥離する方法としては、CNTをピンセットで直接つまんで基板から剥がす方法や、鋭利部を備えたプラスチック製のヘラ又はカッターブレード等の薄い刃物を使用してCNTをから剥ぎ取る方法が挙げられる。
上記工程を経ることで、所定のCNTを得ることができる。なお、図5に示すように、CNT剥離後の使用済みの基板50BにはCNTの残存は殆ど確認されない。即ち、CNTを基板50へのCNTの残存を抑制でき、それによってCNT自体の損傷を抑制可能となっている。
[本発明の特徴部分]
上記のカーボンナノチューブ製造装置100の全体的構成および同装置を用いたカーボンナノチューブの製造方法(特徴部分以外)をふまえた上で、以下にて本発明の特徴部分について説明する。本発明の特徴部分は、上記の基板からのCNT剥離工程後にて、3.使用済みの基板を用いた再利用基板の作製工程を更に実施し、かつこの再利用基板の作製工程が従前の延長線上ではなく新たな観点からのプロセスを行うことにある(図3参照)。
本願発明者らは、従前よりカーボンナノチューブ製造装置の構成要素である基板を再利用する試みがなされているものの、再利用基板を用いて得られるカーボンナノチューブの品質が低下する虞があることを見出し、その結果として上記のとおり従前の延長線上ではなく新たなプロセスを含む再利用基板の作製手法について案出するに至った。
具体的には、本発明の特徴部分は、従前行われていた「使用済みの基板に対するブラスト処理による物理的な洗浄態様」、「使用済みの基板に対する酸洗浄態様」、および「使用済み触媒の再利用態様」を採用することなく、使用済みの基板に対する「加熱処理」と「有機溶媒中での洗浄」との組合せを少なくとも実施する点にある。
本発明の一実施形態に係る製造方法は、上記の再利用基板の作製工程において、成長完了したカーボンナノチューブを剥離した使用済みの基板を酸素含有雰囲気下で600度以上1100度以下の温度にて加熱処理することと、この使用済みの基板を有機溶媒中に浸した状態で洗浄することとを含むという特徴とする。
なお、本明細書でいう「再利用基板」とは、一度使用した使用済みの基板をカーボンナノチューブの成長のための支持部として再び利用する基板を指す。本明細書でいう「使用済みの基板」とは、カーボンナノチューブの成長のための支持部として一度使用した基板を指す。
かかる特徴によれば、使用済み基板の加熱処理により、使用済みの基板の表面にある炭素系不純物を二酸化炭素として大気放出させることができる共に、使用済み基板の洗浄により使用済みの基板の表面にある使用済み触媒等を同表面から有機溶媒中にて離隔させることができる。これにより、未使用基板と略同程度の状態を確保した再利用基板を得ることができる。その結果、再利用基板を用いても所定の品質が確保されたカーボンナノチューブを得ることが可能である。
(使用済みの基板を用いた再利用基板の作製工程)
以下、本発明の特徴部分である「再利用基板の作製工程」について、具体的に説明する(図3(a)~図3(c)参照)。
再利用基板の作製工程では、CNT剥離工程(図2(c)参照)後に、使用済みの基板50Bを反応炉10の反応室11から外部へと取り出す。取り出した使用済みの基板50Bを大気下(酸素含有雰囲気下)で加熱装置200により加熱処理を行う(図3(a)参照)。
具体的には、使用済みの基板50Bを加熱装置200内に設置し、同装置内を所定の昇温速度で600度以上1100度以下の温度にまで昇温させた後、同温度にて所定時間の間大気下で使用済み基板50Bの加熱処理を行う。かかる加熱処理により、使用済みの基板50Bの表面から炭素系不純物を除去し得る。
昇温速度については、20度/分以上、30度/分以上、40度/分以上、又は50度/分以上であってよく、100度/分以下、90度/分以下、80度/分以下、又は70度/分以下であってよい。
使用済みの基板50Bの加熱温度については、上記のとおり600度以上1100度以下であればよく、好ましくは700度以上1000度以下であり、より好ましくは800度以上900度以下であり、例えば850度であることができる。
使用済みの基板50Bの加熱時間については、5分以上20分以下であればよく、好ましくは6分以上18分以下、より好ましくは7分以上16分以下、更に好ましくは8分以上14分以下、より更に好ましくは9分以上13分以下であり、例えば10分であることができる。
その後、使用済みの基板50Bを室温まで放熱させ、放熱させた使用済みの基板50Bを、有機溶媒を収容可能なスペースを備える洗浄装置300を用いて、有機溶媒310中に浸した状態で洗浄処理を行う(図3(b)参照)。
具体的には、室温まで放熱させた使用済みの基板50Bを、洗浄装置300内に供された有機溶媒に浸した上で所定時間洗浄処理を行う。好ましくは、使用済みの基板50Bを、超音波振動を供することが可能な洗浄装置300を用いて、有機溶媒を介して使用済みの基板50Bの表面を超音波振動させる。即ち、使用済みの基板50Bの超音波洗浄を行う。かかる洗浄処理により、使用済みの基板50Bの表面にある炭素系不純物を更に除去させ、使用済みの触媒を同表面から有機溶媒310中にて離隔させることができる。即ち、使用済みの基板50Bの表面からの炭素系不純物の更なる除去、および同表面にある触媒の除去が可能となる。
使用済みの基板50Bの洗浄処理時間としては、3分以上30分以下であってよく、好ましくは5分以上25分以下、より好ましくは7分以上20分以下、更により好ましくは9分以上15分以下であり、例えば10分であることができる。
用いる有機溶媒としては、例えば、アルコール、グリコール、エーテル、エステル、ケトン、および芳香族炭化水素から成る群から選択される少なくとも1種であることができる。好ましくは、揮発性等の観点から有機溶媒としてアルコール等を用いることができる。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール又はイソプロピルアルコールを用いることができる。
洗浄装置300を用いて有機溶媒を介して使用済みの基板50Bの表面を超音波振動させる場合、超音波振動のための周波数としては、例えば10KHz以上、20KHz以上、30KHz以上、又は40KHz以上であり、200KHz以下、190KHz以下、180KHz以下、又は170KHz以下であることができる。
更に、乾燥装置400を用いて20度以上50度以下の温度にて0.5分以上3分以下の間洗浄した使用済みの基板50Bを乾燥させてよい(図3(c)参照)。大気下で使用済み基板50Bを自然乾燥させてもよいため、洗浄した基板50の乾燥プロセスは必須ではなく任意である。
なお、使用済みの基板50Bの加熱処理と使用済みの基板50Bの有機溶媒中での洗浄の順番については、使用済みの基板50Bの表面からの炭素系不純物の更なる除去および同表面にある触媒の除去を両立させる観点から、使用済みの基板50Bの加熱処理後に加熱処理した使用済みの基板50Bの有機溶媒中での洗浄を行うことが好ましい。
以上により、再利用基板を作製することができる。
再利用基板の作製後、この再利用基板を用いてカーボンナノチューブを製造する(図4参照)。
なお、カーボンナノチューブの製法の点でいえば、基板50として未使用基板50Aに代えて作製した再利用基板50Cを反応室11内に固定配置する点以外については、未使用基板50Aを用いた既述のカーボンナノチューブ成長工程と基板からのカーボンナノチューブの剥離工程と同じ方法にて、カーボンナノチューブを繰り返して製造する。
即ち、一度作製した再利用基板50Cを固定配置したまま、既述のカーボンナノチューブ成長工程と基板からのカーボンナノチューブの剥離工程と同じ方法にて、カーボンナノチューブを繰り返して製造する。
又、カーボンナノチューブ製造装置の構成の点でいえば、構成要素である基板50として、未使用基板50Aに代えて作製した再利用基板50Cが用いられる点を除き、その他構成要素は同じである。
以下、再利用基板50Cを用いた場合のカーボンナノチューブ成長工程と基板からのカーボンナノチューブの剥離工程について具体的に説明する。なお、未使用基板50Aを用いた既述のカーボンナノチューブ成長工程と基板からのカーボンナノチューブの剥離工程の欄における説明と記載が重複する部分については、その説明を割愛又は省略する。
(1.カーボンナノチューブ成長工程)
基板設置
具体的には、まず、再利用基板50Cを反応炉10の反応室11内に固定配置する(図4(a)参照)。
反応室内のガス排気
再利用基板50Cの設置工程後、原料ガス供給前にて、排気部30により反応室11内のガスを排出して真空状態にする。
反応室の加熱
排気工程後、加熱部12により、カーボンナノチューブの成長反応が進行可能な温度となるように、反応室11内を加熱する。
原料ガス供給
反応室11内の加熱工程後、原料ガス供給部20よりガス供給管60を介して反応室11内に所定流量の原料ガスを供給する。なお、上記原料ガスと同時に第二ガスを反応室11内に供給してよい。
原料ガスの第一排出
所定時間にわたる原料ガス供給工程後、原料ガスの供給を停止し、原料ガスを部分的に排出して、原料ガス圧を成長圧力の5%以上95%以下である低減圧力にまで低減させてよい。
原料ガス圧の保持
原料ガスの第一排出工程後、原料ガス圧を上記低減圧力の範囲で所定時間保持する。
反応室雰囲気温度の降温
原料ガス圧の保持工程後、反応室11の雰囲気温度を降下させてよい。かかる反応室雰囲気温度の降温工程については、反応室雰囲気温度が、空気中の酸素でCNTの酸化がなされない温度に達するまで行われてよい。反応室雰囲気温度が、CNTが空気中の酸素で酸化されない温度に達すると、基板50を大気圧下に解放してよい。
原料ガスの第二排出
更に、原料ガス圧の保持工程後、原料ガスを更に排出して原料ガス圧を上記低減圧力から更に低減させる。この原料ガスの更なる排出工程(原料ガスの第二工程に相当)については、反応室雰囲気温度の降温工程と同時に行われてよい。この場合、上記の反応室雰囲気温度の降温工程において、所望の反応室11の雰囲気温度に達していない場合、原料ガスの第二排出工程終了後も降温工程を継続してよい。
以上により、再利用基板50Cに略垂直に成長したCNT形成が完了する(図4(b)参照)。
(再利用基板からのCNT剥離工程)
上記工程後、再利用基板50C上に形成されたCNTを再利用基板50Cから剥離してよい(図4(c)参照)。
これら工程を経ることで、所定のCNTを得ることができる。
なお、本発明の製造方法によれば、得られた再利用基板50Cを1回以上50回以下、例えば40回繰り返して用いることができる。これは、再利用基板50Cを繰り返して用いても、未使用基板50Aを用いた場合と略同程度のカーボンナノチューブの結晶性(G/D比)を確保することができることによる。具体的には、結晶性(G/D比)が1.0以上、1.5以上、2.0以上、又は2.5以上であり、6.0以下、5.5以下、5.0以下、4.5以下、4.0以下、又は3.5以下であるカーボンナノチューブを得ることができる。それ故、既術のように、本発明の製造方法によれば、再利用基板50Cを繰り返し用いても所定の品質が確保されたカーボンナノチューブを得ることが可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。
[実施例]
以下、工程を経てカーボンナノチューブを製造した。
(カーボンナノチューブ成長工程)
まず、表面に触媒を付着させた基板50(未使用基板に対応)をカーボンナノチューブ製造装置100の反応炉10の反応室11(容積38L)内に固定配置した。基板50としては、直径4インチの熱酸化膜付Si基板を用いた。又、触媒付き基板については、塩化鉄(II)を昇華温度以上に加熱してその微粒子を基板50上に蒸着させることで得た。基板50の設置工程後、原料ガス供給前にて、排気部30により反応室11内のガスを排出して真空状態にした。
排気工程後、加熱部12により、反応室11内の触媒と反応室11内に供給されるガスとが気相反応可能な温度となるように、応室11内の温度を約800度まで加熱した。
反応室11内の加熱後、原料ガス供給部20よりガス供給管60を介して反応室11内に原料ガス(アセチレンガス)を流量:約10L/分で供給した。又、原料ガスと同時に第二ガス(一酸化炭素)を反応室11内に流量:1L/分以下で供給した。この際、圧力調整部(図示せず)により、反応室11内の原料ガス圧がカーボンナノチューブの成長可能な圧力(約5Torr)となるように調整した。その上で、10~30分間に基板50上にCNTを成長させた。
その後、原料ガスの供給を停止し、原料ガスを部分的に排出して、原料ガス圧を成長時の圧力から2Torr程度低減させた。その後、反応室11内への原料ガスの供給及び反応室11内からのガスの排出を遮断して、成長温度を維持したまま40秒間保持した。原料ガス圧の保持後、約20秒で略0Torrまでガスを排出すると共に、15~20度/分で反応室雰囲気温度を300度以下まで降温し、大気開放した。
以上により、基板50に略垂直に成長したCNT(G/D比:2.82、純度99%以上)を形成することができた。得られたCNT長さ及び直径についてはSEM写真から決定し、G/D比についてはラマン分析により決定し、純度については熱重量分析により決定した。

用いたラマン分析装置の具体的仕様は以下のとおりである。
・メーカー: HORIBA社製
・型式:XploRA-SDL

用いた熱重量分析の具体的仕様は以下のとおりである。
・メーカー: 島津製作所社製
・型式:DTG-60H

用いたSEM(走査電子顕微鏡)の具体的仕様は以下のとおりである。
・メーカー: 日立社製
・型式:SU8030
(基板からのカーボンナノチューブの剥離工程)
上記工程後、基板50上に形成されたCNTを基板50から剥離させた。剥離方法としては、基板50から成長完了したCNTをカッターブレードで基板50の表面から剥ぎ取る手法を用いた。これにより、CNTを得ることができた。
なお、図5に示すように、CNT剥離後の基板50にはCNTの残存は殆ど確認されなかった。即ち、CNTを基板50へのCNTの残存を抑制でき、それによってCNT自体の損傷を抑制可能であることが分かった。
(使用済みの基板を用いた再利用基板の作製工程)
基板50からのCNT剥離後、使用済みの基板50Bを反応炉10の反応室11から外部へと取り出した。取り出した使用済みの基板50Bを大気下(酸素含有雰囲気下)で加熱装置200により加熱処理を行った。具体的には、使用済みの基板50Bを加熱装置200内に設置し、同装置内を40度/分で850度まで昇温させた後、850度で10分間大気下にて使用済みの基板50Bの加熱処理を行った。
用いた加熱装置200の具体的仕様は以下のとおりである。
・メーカー:光洋サーモシステム社製
・型式:特注品
・加熱方式:電気抵抗過熱
・加熱時間:10分
上記の加熱処理により、使用済みの基板50Bの表面から炭素系不純物が除去されていることが分かった。この測定については、以下の方法にて行った。
その後、室温まで放熱させた使用済みの基板50Bを、有機溶媒を収容可能なスペースを備える洗浄装置300を用いて、有機溶媒310中に浸した状態で洗浄処理を行った。具体的には、室温まで放熱させた使用済みの基板50Bを、洗浄装置300内に供された有機溶媒(イソプロピルアルコール)に浸した上で10分間洗浄処理を行った。より具体的には、使用済みの基板50Bを、超音波振動を供することが可能な洗浄装置300を用いて、有機溶媒を介して使用済みの基板50Bの表面の超音波洗浄を行った。
用いた洗浄装置300の具体的仕様は以下のとおりである。
・メーカー:(株)エスエヌディ社製
・型式:US-108
・出力:300 W
・周波数:38 KHz
その後、使用済みの基板50Bの洗浄後、洗浄した使用済みの基板50Bを乾燥装置400で乾燥させた。具体的には、乾燥装置400を用いて20度の温度にて約1分間乾燥させた。なお、大気下で使用済みの基板を自然乾燥させてもよいため、洗浄した使用済みの基板50の乾燥プロセスは必須ではなく任意である。
用いた乾燥装置400の具体的仕様は以下のとおりである。
・メーカー:(株)サンエイ社製
・型式:KGA20001
・回転速度:800rpm
・処理時間:1min
上記の洗浄処理により、使用済みの基板50Bの表面から炭素系不純物が更に除去されていること、および同表面にある触媒の除去がされていることが分かった。この測定については、以下の方法にて行った。
以上により、再利用基板50Cを作製した。
以降、基板50として未使用基板に代えて作製した再利用基板50Cを反応室11内に固定配置する以外、既述の(カーボンナノチューブ成長工程)と(基板からのカーボンナノチューブの剥離工程)と同じ方法にて、カーボンナノチューブを繰り返して製造した。具体的には、一度作製した再利用基板50Cを固定配置したまま、既述の(カーボンナノチューブ成長工程)と(基板からのカーボンナノチューブの剥離工程)と同じ方法にて、カーボンナノチューブを再製造した。
その後、再利用基板50Cの使用1回目における、得られたカーボンナノチューブの結晶性をラマン分析によりG/D比を決定した。その結果、再利用基板50Cの使用1回目におけるG/D比は2.78であった。
同様に、一度作製した再利用基板50Cを固定配置したまま、既述の(カーボンナノチューブ成長工程)と(基板からのカーボンナノチューブの剥離工程)と同じ方法にて、カーボンナノチューブを繰り返して製造した。
その後、再利用基板50Cの使用20回目における、得られたカーボンナノチューブの結晶性をラマン分析によりG/D比を決定した。その結果、再利用基板50Cの使用20回目におけるG/D比は3.02であった。
同様に、一度作製した再利用基板50Cを固定配置したまま、既述の(カーボンナノチューブ成長工程)と(基板からのカーボンナノチューブの剥離工程)と同じ方法にて、カーボンナノチューブを繰り返して製造した。
その後、再利用基板50Cの使用40回目における、得られたカーボンナノチューブの結晶性をラマン分析によりG/D比を決定した。その結果、再利用基板50Cの使用40回目におけるG/D比は2.86であった。
以上の事から、再利用基板を繰り返して40回用いた場合においても、未使用基板を用いた場合と略同程度のカーボンナノチューブの結晶性(G/D比)を確保することができると分かった。即ち、未使用基板と略同程度の状態を確保した再利用基板を得ることができると分かった。その結果、再利用基板を用いても所定の品質が確保されたカーボンナノチューブを得ることができると分かった。
以上、本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブ製造装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法は、電子デバイス材料、光学素子材料、導電性材料、および生体関連材料等で用いられ得るカーボンナノチューブを得るために好適に用いることができる。
400 乾燥装置
300 洗浄装置
310 有機溶媒
200 加熱装置
100 カーボンナノチューブ製造装置
10 反応炉
10a ガス供給口
10b 排気口
11 反応室
12 加熱部
20 原料ガス供給部
30 ガス排気部
40 基板支持部
50 基板
50A 未使用基板
50B 使用済みの基板
50C 再利用基板
60 ガス供給管
70 ガス排気管
C カーボンナノチューブ

Claims (13)

  1. 基板上にカーボンナノチューブを化学気相成長法により成長させる工程と、
    成長した前記カーボンナノチューブを前記基板から剥離する工程と、
    前記カーボンナノチューブを剥離した使用済みの前記基板を用いた再利用基板の作製工程と
    を含み、
    前記再利用基板の作製工程が、前記使用済みの基板を酸素含有雰囲気下で600度以上1100度以下の温度にて加熱処理することと、前記使用済みの基板を有機溶媒中に浸した状態で洗浄することとを含む、カーボンナノチューブの製造方法。
  2. 前記有機溶媒中にて前記使用済みの基板の超音波洗浄を行う、請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  3. 前記再利用基板の作製後に、作製した前記再利用基板上にカーボンナノチューブを化学気相成長法により成長させる工程を更に含む、請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  4. 前記使用済みの基板の加熱処理後に前記使用済みの基板の有機溶媒中での洗浄を行う、請求項1~3のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  5. 前記使用済みの基板の有機溶媒中での洗浄後に続いて洗浄した前記使用済みの基板を乾燥させることを更に含む、請求項1~4のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  6. 前記使用済みの基板の加熱処理を700度以上1000度以下で行う、請求項1~5のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  7. 前記有機溶媒が、アルコール、グリコール、エーテル、エステル、ケトン、および芳香族炭化水素から成る群から選択される少なくとも1種である、請求項1~6のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  8. 前記有機溶媒がアルコールである、請求項7に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  9. 前記アルコールが、メタノール、エタノール又はイソプロピルアルコールである、請求項8に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  10. 前記基板上にカーボンナノチューブを成長させる工程を、成長温度及び成長圧力の下、原料ガスの供給と内部ガスの排気とが可能でありかつ該原料ガスと気相反応する触媒を内部に位置付けることが可能な反応炉内に前記原料ガスを供給して行う、請求項1~9のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  11. 前記カーボンナノチューブを前記基板上に成長させた後、該成長した前記カーボンナノチューブを前記基板から剥離する前にて、前記原料ガスを排出して原料ガス圧を前記成長圧力の5%以上95%以下である低減圧力にまで低減させる排出する工程と、前記原料ガス圧を前記低減圧力の範囲で所定時間保持する保持工程とを更に含む、請求項10に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  12. 請求項1~11のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法により得られるカーボンナノチューブであって、G/D比が1.0以上6.0以下であるカーボンナノチューブ。
  13. 原料ガスの供給と内部ガスの排気とが可能であって、かつ前記原料ガスと気相反応する触媒を内部に位置付けることが可能な反応炉、および
    前記反応炉内に配置され、かつカーボンナノチューブが成長可能な基板
    を備え、前記基板が、請求項1~11のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法において作製した前記再利用基板又は未使用基板である、カーボンナノチューブ製造装置。
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