JP2023128310A - 広角レンズユニット、カメラモジュール、撮像システムおよび移動体 - Google Patents

広角レンズユニット、カメラモジュール、撮像システムおよび移動体 Download PDF

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Abstract

【課題】リングゴーストの強度を低減できる広角レンズユニット、カメラモジュール、撮像システムおよび移動体を提供する。【解決手段】第1レンズL1のレンズ面R2に蒸着膜m1が形成され、蒸着膜の膜厚Tは以下の(1)式によって設計されている。T=T0/(cosθ1) ・・・(1)但し、Tは第1レンズL1のレンズ面R2の中心Cにおける蒸着膜m1の膜厚、T0は第1レンズL1のレンズ面R2の中心Cにおける蒸着膜m1でかつ反射率が最良のときの設計膜厚、θ1=sin-1(h1/h0×sinθ0)、0.45≦h1/h0≦0.75θ0は第1レンズL1のレンズ面R2の有効径の位置における傾斜角度である。【選択図】図9

Description

本発明は、特に自動車等の車両に搭載される車載カメラを構成する広角レンズユニット、カメラモジュール、撮像システムおよび撮像システムを搭載した移動体に関する。
自動車に車載カメラを搭載し、駐車をサポートしたり、画像認識により衝突防止を図ったりすることが行なわれており、さらにそれを自動運転に応用する試みもなされている。また、このような車載カメラのカメラモジュールは、一般に、複数のレンズが光軸に沿って並べられて成るレンズ群と、このレンズ群を収容保持する鏡筒と、レンズ群の少なくとも一個所のレンズ間に配置される絞り部材とを有するレンズユニットを備える(例えば、特許文献1参照)。
特開2013-231993号公報
近年、自動運転の実現に向けて、先進運転支援システム(ADAS:AdvancedDriver-Assistance Systems)の開発が進められているが、ADASではゴーストが問題になる。ゴーストとは、物体として存在しない像がセンサ面に結像する、いわゆる「偽像」である。ゴーストは、レンズユニットに入射した光がレンズや部品で反射して、センサ面に結像することにより発生する。人間はゴーストを存在する物体ではないと認識できるが、ADASはゴーストを存在する物体として誤認識してしまう。ADASが誤認識を起こすとそれに応じた誤った判断と制御を行い、事故を引き起こす恐れがある。
ADASの機能によって様々な種類の車載カメラが使われる。例えば、自動駐車では、広い範囲を撮影する(超)広角カメラが車両後方に設置される。(超)広角カメラには、解像性能が良好な(超)広角レンズが必要とされるが、(超)広角レンズはゴーストが発生し易い。
そこで、本発明者等は、(超)広角カメラのADASへの適用に向けて、ゴースト対策のためのレンズコートの設計と解析を行った。
なお、一般的に、広角レンズは38~24mmの焦点距離と60~84度の画角をサポートし、超広角レンズは20~13mmの焦点距離と94~118度の画角をサポートし、魚眼レンズは180度程度の画角をサポートするものであるが、以下では、広角レンズ、超広角レンズおよび魚眼レンズを広角レンズとして説明する。
ビューカメラ用(超)広角レンズの構成の一例を図1に示す。当該広角レンズは、5枚のレンズで構成される。ここで、以降の説明の便宜のためにレンズの表記を以下のように定義する。すなわち、物体側から像(センサ)側に向かってレンズをそれぞれ第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5とする。また、各レンズの物体側のレンズ面をレンズ面R1、像側のレンズ面をレンズ面R2とする。
図1に示すように、広い画角の光を取り込むために、像側に深い凹曲面を向けた第1レンズL1が配置される。また、周辺までにわたって明るい像を得るために、物体側に凸曲面形状の第2レンズL2が配置される。この構成は超広角レンズの典型的な構成である。この構成では、センサの像周辺付近にリング状の強いゴースト(リングゴースト)が発生することがある。
図2にビューカメラ用(超)広角レンズの実写画像を示す。これは暗室でファイバー光源を撮影した画像である。この画像において、実際に物体として存在するのは中心の光源像のみである。しかし、画像には周辺付近にリング状の像が写っている。これがリングゴーストである。
図3にリングゴーストの発生光路を実線で示す。リングゴーストは第2レンズL2のレンズ面R1と第1レンズL1のレンズ面R2のレンズ周辺部の対向する面間で生じる反射光に起因する。このような面間反射に起因するゴースト対策は、センサの像面に反射光が結像しないようにするか、もしくは反射光を弱くしてセンサの感度よりゴースト強度を低減してセンサが認識しないようにすることで行われる。反射光を結像させないためにはレンズ面の形状や間隔の変更が行われる。反射光を弱くするためには、レンズ面に反射防止膜(ARコート:Anti-Reflection coating)(以下コートと記す)が施される。レンズの形状を変更すると結像性能に大きく影響するため、コートにより反射光の強度を低減する必要がある。
レンズ面にコートを施したとき、光が空気中からレンズに入射すると、コートとレンズの表面で反射する光が発生する。コートが反射率を低減する原理は、この2つの反射光が打ち消し合い、反射光の強度が低減するというものである。
光がレンズへ垂直入射するとき、以下の条件式で反射光の強度が低減する。
T=((2m-1)λ)/4
ここで、n:コートの屈折率、T:コートの膜厚、λ:入射光の波長、m:自然数である。
この条件式のようにレンズ表面(レンズ面)での反射率は膜厚設計により低減することができる。
また、コートの種類には一つの層で構成された単層膜と複数の層で構成された多層膜がある。
設計レンズの試作前に、ゴーストを確認するゴーストシミュレーション(以下ゴーストSIMと記す)が行われる。ゴーストSIMはコートの反射率特性を加味したレンズモデルを作成して行われる。このゴーストSIM結果から実用上問題のない強度であることを確認してからレンズユニットが試作される。
ある機種のリングゴーストのシミュレーション結果を図4に示す。左側のグラフは強度の分布図である。グラフ中心の点は光源である。ゴースト強度の強い部分がリング状になっているのが確認できる。右側のグラフは左の線Sでの断面強度を対数スケールで示したグラフである。ゴーストの強度は光源像の強度を1としたときのゴースト強度の比を指標として評価する。リングゴーストの強度比は7.9×10-5であった。この機種はゴースト強度の要求仕様が1.8×10-4だったため、リングゴーストは実用上問題にはならないと予想されていた。
しかし、事前のゴーストSIMで問題ないことを確認したにも関わらず、試作レンズではリングゴーストが予想より強く、問題になった。図2で示すように、試作レンズの実写評価で10-4台の強いリングゴーストが確認された。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、リングゴーストの強度を低減できる広角レンズユニット、カメラモジュール、撮像システムおよび移動体を提供することを目的とする。
本発明者等は、ゴーストSIMと実写評価結果との相違はコートの反射率が想定より高いためだと推測し検証した。
コートの反射率は膜厚によって変化する。実物のコートの反射率が想定より高い原因は、実物の膜厚が設計値と異なっているためと考えられる。従来のゴーストSIMモデルでは、図5(a)に矢印で示すように、コートの膜厚はレンズ面の法線方向に均一と仮定している。以降の説明では、膜厚が均一な従来のゴーストSIMモデルを「膜厚均一SIMモデル」と記す。コートの成膜は真空蒸着によって行う。レンズ面にコートを蒸着するとき、治具にセットされたレンズに対し図5(b)の矢印のように蒸着粒子の入射方向に均一にコートが形成される。レンズ周辺部では蒸着方向に対してレンズ面が傾斜している。このため、図5(b)の点線矢印のように、レンズ面の法線方向の膜厚は周辺部で薄くなる。膜厚均一SIMモデルでは、レンズ面周辺部での膜厚の違いは製造誤差ととらえて考慮していなかった。しかし、超広角レンズの第1レンズL1のレンズ面R2のように曲率半径が小さなレンズ面の周辺部では傾斜が大きく、膜厚の違いが顕著になる。
そこで、レンズ面の周辺部で膜厚が薄くなることを考慮したゴーストSIMモデルを作成し、解析を行った。
図6に示すようにレンズ中心Cからの高さをh、高さhのときの膜厚をT(h)としたとき、T(h)=T(0)cosθ(h) となる。
ここで、θ(h)=sin-1(h/r)、rは第1レンズL1のレンズ面R2の曲率半径である。
反射率が最良のときの膜厚をTとし、第1レンズL1のレンズ中心(h=0)の膜厚T(0)=Tとして検証する。
上式から、中心膜厚Tに対して膜厚を等間隔に分割して図7に示すような輪帯状に膜厚が変化するゴーストSIMモデルを作成して解析を行った。以降の説明では、膜厚が変化する新しいゴーストSIMモデルを「膜厚変化SIMモデル」と記す。
図8にそれぞれのモデルのゴーストSIM結果を示す。膜厚変化SIMモデルのゴースト強度比は図8(b)に示すとおり1.6×10-4となった。これは、図8(a)の膜厚均一SIMモデルの結果に比べ約2倍に強くなり、膜厚変化SIMモデルが実機と近い正確な結果になることを確認した。正確なSIMを行うためこれ以後は膜厚変化SIMモデルを使用して検証した。
図9に示すように、ゴースト光路の第1レンズL1のレンズ面R2の反射光を低減するために、ゴースト光路のレンズ面R2の反射部分(以下L1反射部と記す)の反射率を下げることが必要だと考えられる。L1反射部の膜厚がTになるよう膜厚を設計すると、L1反射部の反射率を下げることができる。一方で、レンズ面R2の中心の膜厚が厚くなり反射率が高くなるため他のゴーストが強くなる可能性がある。このため、中心部と周辺部で反射率のバランスがとれた膜厚にする必要がある。
図9(a)に第1レンズL1のレンズ面R2中心部の膜厚をTに設計したコート、図9(b)にレンズ面R2の中心部と周辺部のバランスのとれた膜厚に変換したコートの模式図を示す。図9(a)のθはレンズの有効径(最周辺の高さ)をh0としたときのθ(h)である。
いくつかの機種で検証を行った結果、有効径の45%~75%の高さの膜厚をTとすると、レンズ面R2の中心Cと周辺の反射率の乖離が少なくなることが分かった。図9(b)のθはレンズ面R2の中心Cからの高さhのときのθ(h)である。
以上をふまえ、中心Cからの高さhのときに膜厚がTになるときの中心膜厚Tを求める変換式を以下に示す。
θ=sin-1(h/h×sinθ
T=T/cosθ
0.45≦h/h≦0.75
は変換前のレンズ面R2の中心Cの膜厚、Tは変換後のレンズ面R2の中心Cの膜厚である。また、多層膜より単層膜のほうが膜厚変化による反射率の変化が少ないため、単層膜を用いる。
以降の説明では、変換前の従来のコート設計を「中心ベスト設計」、変換後の第1レンズL1のレンズ面R2の新設計コートを「周辺ベスト設計」と記す。また、この変換式を「周辺ベスト変換式」と記す。
第1レンズL1のレンズ面R2の中心ベスト設計コートと周辺ベスト設計コートについて、図10(a)に示すレンズ面R2の中心部と、図10(b)に示すレンズ面R2のL1反射部の反射率のグラフをそれぞれ示す。グラフ横軸は光の波長である。なお、図10(a)および図10(b)では、周辺ベスト設計コートとして、h/h=0.70を採用している。したがって、h/h=0.70の場合、「周辺ベスト設計」を「7割ベスト設計」と称する場合もある。
周辺ベスト設計コートは、中心ベスト設計に比べ全体的に膜厚が厚くなるため、矢印のように全体的に長波長側へシフトしたグラフになる。周辺ベスト設計コートは、中心部では長波長側での反射率が低く、短波長側では高くなる。L1反射部では周辺ベスト設計コートの反射率が低減している。
周辺ベスト設計(7割ベスト設計)コートをモデルへ適用してゴーストSIMを行った。結果を図11に示す。周辺ベスト設計コートでは、ゴースト強度比は4.0×10-5に低減した。また、周辺ベスト設計コートを成膜したレンズユニットの実写評価を行った。図12に示すように、ゴーストSIMと同様に実機でもゴースト強度が低減することが確認された。
以上により、本発明に係るレンズユニットは、複数のレンズが当該レンズの光軸に沿って並べられたレンズ群と、このレンズ群を収容保持する鏡筒とを備えたレンズユニットにおいて、
像側を向くレンズ面が凹曲面となっている物体側(例えば最も像側に位置する第1レンズ)レンズの像側に、
物体側を向くレンズ面周辺部が凸曲面となっている像側レンズ(例えば第1レンズに像側で隣り合う第2レンズ)が配置されている構成が含まれ、
前記物体側レンズの凹曲面となっているレンズ面に蒸着膜が形成され、
前記蒸着膜の膜厚Tは以下の(1)式によって設計されていることを特徴とする。
T=T/(cosθ) ・・・(1)
但し、
Tは第1レンズの凹曲面となっているレンズ面の中心における前記蒸着膜の膜厚、
は第1レンズの凹曲面となっているレンズ面の中心における蒸着膜でかつ反射率が最良のときの設計膜厚、
θ=sin-1(h/h×sinθ
0.45≦h/h≦0.75
θは第1レンズの凹曲面となっているレンズ面の有効径の位置(最周辺)における傾斜角度(第1レンズの凹曲面となっているレンズ面の有効径の位置とレンズ面の曲率中心Оとを結ぶ直線と、曲率中心Oとレンズ面の中心Cとを結ぶ直線とのなす角度)である。
周辺ベスト設計コートにより、リングゴーストはビューカメラ用超広角レンズで実用上問題にならない強度まで低減された。
しかし、今後センシング用途のADASに適用するにはゴースト強度をさらに低減する必要がある。そこで、第1レンズL1のレンズ面R2の周辺ベスト設計コートに加え、第2レンズのレンズ面R1のコートについても新しい膜厚設計モデルを作成した。
ADAS用途の超広角レンズの構成を図13に示す。当該超広角レンズは、7枚のレンズL1~L7で構成される。
超広角レンズについて、まず膜厚変化SIMモデルを用いて第1レンズL1のレンズ面R2が中心ベスト設計モデルのゴーストSIMを行った。図14(a)に示すように、視野角70°で1.3×10-4の高強度のリングゴーストが確認された。
リングゴーストの対策として、周辺ベスト設計(7割ベスト設計)モデルのゴーストSIMを行った。図14(b)に示すように視野角70°での強度比は1.0×10-4に低減された。
図15にリングゴーストの光路と第2レンズL2のレンズ面R1への光線入射部の拡大図を示す。光線の第2レンズL2のレンズ面R1コートへの入射角の平均はおよそ57°である。
コートの反射率は光線の入射角によって変わる。図16に第2レンズL2のレンズ面R1コートへの入射角がそれぞれ(a)0°、(b)45°、(c)57°のときの反射率の計算値のグラフを示す。通常、コートの膜厚は入射角が0°のときに反射率が最良になるように設計されている。図16に示すように、入射角が大きくなると反射率が高くなっている。
リングゴーストを低減するには入射角57°で反射率が低くなるように膜厚を設計する必要がある。しかしながら、入射角57°で膜厚を最適化した場合、入射角0°で反射率が高くなる。入射角0°と57°でのバランスをとるために、入射角45°で最適化した膜厚に設計した。
膜厚の変換式を以下に示す。第2レンズL2のレンズ面R1の周辺部は傾斜が小さく中心と膜厚はあまり変わらないため、第2レンズL2のレンズ面R1は多層膜を使用することができる。また、この変換式では周辺部の膜厚の違いは考慮していない。
=T0i×1/cos(sin-1((sinθ)×N/N))
ここで、図17の多層膜の模式図に示すように、Tは変換後の多層膜のi番目の層の膜厚、T0iは変換前のi番目の層の膜厚(0°入射で反射率が低くなる膜厚)、θは最適化したいコートへの入射角度、Nは媒質の屈折率、Nはi番目の層の屈折率である。ここでのθは45°である。
以降の説明では、入射角度0°で最適化した設計を「0°ベスト設計」、入射角度θで最適化した設計を「入射角ベスト設計」と記す。
図18に0°ベスト設計コートと入射角ベスト設計コートそれぞれについて、入射角(a)0°、(b)45°、(c)57°のときの反射率のグラフを示す。入射角ベスト設計コートは、0°ベスト設計に対して矢印のように全体的に長波長側へシフトしたグラフになる。入射角0°では、入射角ベスト設計コートは、0°ベスト設計コートに比べ、短波長側での反射率が高く、長波長側での反射率が低くなった。入射角45°、57°のとき、入射角ベスト設計コートは、長波長側での反射率が0°ベスト設計コートと比べて低くなった。
第1レンズL1のレンズ面R2に周辺ベスト設計コートを適用したモデルにおいて、第2レンズL2のレンズ面R1に入射角ベスト設計コートを適用して、ゴーストSIMを実施した。結果、ゴースト強度比は図19(b)に示すように7.9×10-5となった。図19(a)に示す、第2レンズL2のレンズ面R1に対し、0°ベスト設計コートを適用したモデルに比べ約0.8倍に低減することが確認された。
以上により、本発明に係るレンズユニットは、上述した物体側レンズ(例えば第1レンズL1)のレンズ面R2に周辺ベスト設計コートを適用し、さらに、像側レンズ(例えば第2レンズL2)のレンズ面R1に入射角ベスト設計コートを適用したものであり、
第2レンズの凸曲面であるレンズ面に多層膜が形成され、
前記多層膜の膜厚Tiは以下の(2)式によって設計されていることを特徴とする。
=T0i×1/cos(sin-1((sinθ)×N/N))・・・(2)
但し、
は多層膜のi番目(iは自然数)の層の膜厚、
0iは多層膜のi番目の層の設計膜厚、
θは最適化したい入射角度、Nは媒質の屈折率、Nはi番目の層の屈折率である。
また、本発明は、前記レンズユニットを有するカメラモジュール、当該カメラモジュールを有する撮像システム、および、撮像システムを搭載して成る移動体も提供する。このようなカメラモジュール、撮像システムおよび移動体によっても上述した広角レンズユニットと同様の作用効果を得ることができる。なお、「移動体」とは、移動できる物体の全てを指し、例えば車両等を挙げることができる。
本発明によれば、リングゴーストの強度を低減できる。
本発明の第1の実施形態に係る広角レンズユニットの概略構成を示す図である。 リングゴーストの実写画像を示す図である。 リングゴーストの発生光路を示す図である。 リングゴーストのシミュレーション結果を示す図である。 蒸着膜を有する第1レンズを示すもので、(a)はゴースト解析で想定していた膜厚の蒸着膜を有する第1レンズを示す図、(b)は実際の膜厚の蒸着膜を有する第1レンズを示す図である。 第1レンズの周辺部の膜厚を示す図である。 第1レンズの周辺部の膜厚を考慮した膜厚変化ゴーストSIMモデルを示す図である。 リングゴーストのシミュレーション結果を示すもので、(a)は膜厚均一SIMモデルの結果を示す図、(b)は膜厚変化SIMモデルの結果を示す図である。 蒸着膜を有する第1レンズを示すもので、(a)は中心ベスト設計による蒸着膜を有する第1レンズを示す図、(b)は第1の実施形態に係る周辺ベスト設計による蒸着膜を有する第1レンズを示す図である。 第1レンズのレンズ面の反射率を示すもので、(a)はレンズ面中心部の反射率を示すグラフ、(b)はレンズ面反射部の反射率を示すグラフである。 リングゴーストのシミュレーション結果を示すもので、(a)は中心ベスト設計モデルの結果を示す図、(b)は第1の実施形態に係る周辺ベスト設計モデルの結果を示す図である。 リングゴーストの実写画像を示すもので、(a)は中心ベスト設計コートによるリングゴーストの実写画像を示す図、(b)は第1の実施形態に係る周辺ベスト設計コートによるリングゴーストの実写画像を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る広角レンズユニットの概略構成を示す図である。 リングゴーストのシミュレーション結果を示すもので、(a)は中心ベスト設計モデルの結果を示す図、(b)は周辺ベスト設計モデルの結果を示す図である。 リングゴーストの発生光路と拡大した光線入射部を示す図である。 第2レンズのレンズ面の反射率の計算値を示すもので、(a)は入射角0°の場合の計算値のグラフ、(b)は入射角45°の場合の計算値のグラフ、(c)は入射角57°の場合の計算値のグラフである。 第2レンズのレンズ面に設けた多層膜(蒸着膜)を模式的に示す図である。 第2レンズのレンズ面の反射率を示すもので、(a)は入射角0°の場合のグラフ、(b)は入射角45°の場合のグラフ、(c)はは入射角57°の場合のグラフである。 リングゴーストのシミュレーション結果を示すもので、(a)はベスト設計モデルの結果を示す図、(b)は第2の実施形態に係る入射角ベスト設計モデルの結果を示す図である。 本発明の実施形態に係るカメラモジュールの概略構成を模式的に示す図である。 本発明の実施形態に係るカメラモジュールを備える撮像システム(車載システム)が搭載される移動体としての車両の概略図である。 図21に示す撮像システムを構成する撮像装置の構成を示すブロック図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明するが、本実施形態は、国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」の、「9.1 すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靭(レジリエント)なインフラを開発する。」に貢献する。
なお、以下で説明する本実施形態の(超)広角レンズユニットは、特に車載カメラ等のカメラモジュール用のものであり、例えば、自動車の外表面側に固定して設置され、配線は自動車内に引き込まれてディスプレイやその他の装置に接続される。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る(超)広角レンズユニット11の概略構成を示す図である。図示のように、本実施形態の広角レンズユニット11は、例えば樹脂製の円筒状の鏡筒(図示略)と、鏡筒内に配置される複数のレンズ、例えば、物体側から、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4および第5レンズL5から成る5つのレンズと、絞りとを備えている。絞りは、本実施の形態では、第3レンズL3と第4レンズL4との間に介挿されており、透過光量を制限し、明るさの指標となるF値を決定する「開口絞り」またはゴーストの原因となる光線や収差の原因となる光線を遮光する「遮光絞り」である。このような広角レンズユニット11を備える車載カメラは、広角レンズユニット11と、イメージセンサ(撮像素子)を有する基板と、当該基板を自動車等の車両に設置する図示しない設置部材とを備えるものである。
鏡筒内に組み込まれて収容保持される複数のレンズL1,L2,L3,L4,L5は、それぞれの光軸を一致させた状態で積み重ねられて配置されており、1つの光軸Oに沿って各レンズL1,L2,L3,L4,L5が並べられた状態となって、撮像に用いられる一群のレンズ群を構成している。この場合、レンズ群を構成する最も物体側に位置する第1レンズL1は、物体側を向くレンズ面が凸曲面、像側を向くレンズ面が凹曲面となっており、第2レンズL2は、物体側を向くレンズ面が凸曲面となっている。
第1レンズL1はガラスレンズであり、その他のレンズL2,L3,L4,L5は樹脂レンズであるが、これに限定されない(例えば、第1レンズL1が樹脂レンズであっても構わない)。
第1レンズL1の物体側レンズ面R1は、正の曲率を有する球面形状であり、第1レンズL1の像側レンズ面R2は、正の曲率を有する球面形状である。また、物体側レンズ面R1は、物体側に凸面を向けており、像側レンズ面R2は、像側に凹面形状の曲面部分を有している。
第2レンズL2の物体側レンズ面R1は、正の曲率を有する非球面形状であるが、中央部で負の曲率、周辺部で正の曲率を有する非球面形状であってもよい。第2レンズL2の像側レンズ面R2は、正の曲率を有する非球面形状である。また、物体側レンズ面R1は、物体側に凸面を向けており、像側レンズ面R2は、像側に凹面形状の曲面部分を有している。
第3レンズL3の物体側レンズ面は、正の曲率を有する非球面形状であり、第3レンズL3の像側レンズ面は、負の曲率を有する非球面形状である。また、物体側レンズ面は、物体側に凸面を向けており、像側レンズ面は、像側に凸面を向けている。
第4レンズL4と第5レンズL5とは互いに接合された接合レンズである。
第4レンズL4の物体側レンズ面は、正の曲率を有する非球面形状であり、像側レンズ面は、正の曲率を有する非球面形状である。物体側レンズ面は、物体側に凸面を向けており、像側レンズ面は、像側に凹面を向けている。
第5レンズL5の物体側レンズ面は、正の曲率を有する非球面形状であり、像側レンズ面は、負の曲率を有する非球面形状である。物体側レンズ面は物体側に凸面を向けており、像側レンズ面は、像側に凸面を向けている。
カバーガラスは、撮像素子(イメージセンサ)を保護するためのガラス板である。また、カバーガラスと第5レンズL5との間に、赤外領域の光をカットするためのIRカットフィルタ(赤外線カットフィルタ)を配置してもよい。
IRカットフィルタおよびカバーガラスは、広角レンズ系の設計時には、広角レンズ系一体として扱われる。しかし、IRカットフィルタおよびカバーガラスは、広角レンズ系の必須の構成要素ではない。
図9(b)に示すように、本実施形態では、第1レンズL1のレンズ面R2に反射防止膜m(以下コートmと記す)が蒸着によって設けられている。
レンズ面R2にコートmを蒸着するとき、治具にセットされた第1レンズL1に対し矢印のように蒸着粒子の入射方向に均一にコートが形成される。第1レンズL1のレンズ周辺部では蒸着方向に対してレンズ面R2が傾斜している。このため、レンズ面R2の法線方向の膜厚は周辺部で薄くなる。従来、膜厚均一SIMモデルでは、レンズ面周辺部での膜厚の違いは製造誤差ととらえて考慮していなかった。しかし、超広角レンズの第1レンズL1のレンズ面R2のように曲率半径が小さなレンズ面の周辺部では傾斜が大きく、膜厚の違いが顕著になる。
図9(a)に、第1レンズL1のレンズ面R2にコートmが形成された従来例を示す。図9(a)に示すように、第1レンズL1のレンズ面R2の中心Cの膜厚をTに設計したコートmは、レンズ面R2の中心Cに対し周辺部では、膜厚は薄くなっている。
これに対し、本実施形態では、図9(b)に示すように、レンズ面R2の周辺部における膜厚をTに設計したコートmとなっており、バランスのとれた膜厚となっている。
図9(a)において、θは第1レンズL1のレンズ面R2の有効径(最周辺の高さ)をhとしたときのθ(h)である。
図9(b)において、θは第1レンズL1のレンズ面R2の中心Cからの高さhのときのθ(h)である。
以上をふまえ、中心Cからの高さhのときに膜厚がTになるときの中心膜厚Tを求める変換式を以下に示す。
T=T/cosθ (1)
θ=sin-1(h/h×sinθ
0.45≦h/h≦0.75
は変換前のレンズ面R2の中心Cのコートmの膜厚、Tは変換後のレンズ面R2の中心Cのコートmの膜厚である。また、多層膜より単層膜のほうが膜厚変化による反射率の変化が少ないため、単層膜を用いる。
変換前の従来のコート設計を「中心ベスト設計」、変換後の本実施形態の新設計コートの設計を「周辺ベスト設計」とすると、図10(b)に示すように、周辺ベスト設計コートは、中心ベスト設計に比べ全体的に膜厚が厚くなるため、矢印のように全体的に長波長側へシフトしたグラフになる。周辺ベスト設計コートは、中心部では長波長側での反射率が低く、短波長側では高くなる。L1反射部では周辺ベスト設計コートの反射率が低減している。
また、図11に示すように、本実施形態の周辺ベスト設計コートでは、ゴースト強度比は4.0×10-5に低減した。また、周辺ベスト設計コートを成膜したレンズユニットの実写評価を行ったところ、図12に示すように、従来の中心ベスト設計に比して、ゴースト強度が低減することが確認された。
次に、hとhとの比を、0.45≦h/h≦0.75に設定した理由つにいて説明する。
変換前の膜厚(T=T)モデルについて、すべてのレンズ面の反射率を考慮したゴーストSIMを行った。その結果を表1および表2に示す。
表1に示すモデルでは、レンズユニットへの光線入射角(最も物体側に位置する第1レンズへの光線入射角)が10°と80°の場合のそれぞれにおいて、h/hを0.5~0.80に変化させている。
Figure 2023128310000002
レンズユニットへの光線入射角が80°のとき、 最大の強度のゴーストが確認され、強度比は1.0×10-4であった。
前記h/hの値の検討のため、h/hの値を変化させて変換したコートの膜厚でゴーストSIMを行った。
レンズユニットへの光線入射角が80°のときのゴースト強度は、表1に示すように、h/h=0.55以上で低減されることが確認された。
しかし、レンズ周辺付近での膜厚を反射率が低くなるよう最適化した場合、レンズ中心付近では反射率が高くなり、レンズ中心部での反射起因のゴースト強度が強くなる。
表1に示すモデルでは、h/h=0.8では、レンズユニットへの光線入射角が10°で発生するゴーストがゴースト強度比は1.0×10-4に強くなることが確認された。このとき、総合的に見たゴーストの最大強度は膜厚変換前と同じ強度になってしまう。このように、表1に示すモデルでは、h/hが0.55~0.75のときゴースト強度が低減されることが確認された。
次に、表2に示すモデルでは、レンズユニットへの光線入射角(最も物体側に位置する第1レンズへの光線入射角)が10°と100°の場合のそれぞれにおいて、h/hを0.4~0.60に変化させている。
Figure 2023128310000003
表2に示すモデルも表1示すモデル同様、h/hによるゴースト強度はトレードオフになる。
表2に示すように、h/hの値が0.45~0.55のときゴースト強度が低減されることが確認された。
以上、表1および表2に示すモデルから、0.45≦h1/h0≦0.75のときゴースト強度を低減する効果があることが確認された。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施の形態における第1レンズL1のレンズ面R2の周辺ベスト設計コートに加え、第2レンズのレンズ面R1のコートについても新しい設計を行った。
図13に示すように、本実施形態の(超)広角レンズユニット12は、ADAS用途であり、例えば樹脂製の円筒状の鏡筒(図示略)と、鏡筒内に配置される複数のレンズ、例えば、物体側から、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6および第7レンズL7から成る7つのレンズと、絞りとを備えている。絞りは、本実施の形態では、第3レンズL3と第2レンズL4との間に介挿されており、透過光量を制限し、明るさの指標となるF値を決定する「開口絞り」またはゴーストの原因となる光線や収差の原因となる光線を遮光する「遮光絞り」である。このような超広角レンズユニット12を備える車載カメラは、超広角レンズユニット12と、イメージセンサ(撮像素子)を有する基板と、当該基板を自動車等の車両に設置する図示しない設置部材とを備えるものである。
第1レンズL1の物体側レンズ面R1は、正の曲率を有する球面形状であり、第1レンズL1の像側レンズ面R2は、正の曲率を有する球面形状である。また、物体側レンズ面R1は、物体側に凸面を向けており、像側レンズ面R2は、像側に凹面形状の曲面部分を有している。
第2レンズL2の物体側レンズ面R1は、正の曲率を有する非球面形状であるが、中央部で負の曲率、周辺部で正の曲率を有する非球面形状であってもよい。第2レンズL2の像側レンズ面R2は、正の曲率を有する非球面形状である。また、物体側レンズ面R1は、物体側に凸面を向けており、像側レンズ面R2は、像側に凹面を向けている。
第3レンズL3の物体側レンズ面は、正の曲率を有する非球面形状であり、第3レンズL3の像側レンズ面は、負の曲率を有する非球面形状である。また、物体側レンズ面は、物体側に凸面を向けており、像側レンズ面は、像側に凸面を向けている。
第4レンズL4の物体側レンズ面は、負の曲率を有する非球面形状であり、第4レンズL4の像側レンズ面は、負の曲率を有する非球面形状である。また、物体側レンズ面は、物体側に凹面を向けており、像側レンズ面は、像側に凸面を向けている。
第5レンズL5の物体側レンズ面は、正の曲率を有する非球面形状であり、第5レンズL5の像側レンズ面は、正の曲率を有する非球面形状である。また、物体側レンズ面は、物体側に凸面を向けており、像側レンズ面は、像側に凹面を向けている。
第6レンズL6の物体側レンズ面は、正の曲率を有する非球面形状であり、像側レンズ面は、負の曲率を有する非球面形状である。物体側レンズ面は、物体側に凸面を向けており、像側レンズ面は、像側に凸面を向けている。
第6レンズL6と第7レンズL7とは互いに接合された接合レンズである。
第7レンズL7の物体側レンズ面は、負の曲率を有する非球面形状であり、像側レンズ面は、負の曲率を有する非球面形状である。物体側レンズ面は物体側に凹面を向けており、像側レンズ面は、像側に凸面を向けている。
カバーガラスは、撮像素子(イメージセンサ)を保護するためのガラス板である。また、第7レンズL7とカバーガラスとの間に赤外領域の光をカットするためのIRカットフィルタ(赤外線カットフィルタ)を配置してもよい。
IRカットフィルタおよびカバーガラスは、超広角レンズ系の設計時には、超広角レンズ系一体として扱われる。しかし、IRカットフィルタおよびカバーガラスは、超広角レンズ系の必須の構成要素ではない。
図15にリングゴーストの光路と第2レンズL2のレンズ面R1への光線入射部の拡大図を示す。光線の第2レンズL2のレンズ面R1コートへの入射角の平均はおよそ57°である。
コートの反射率は光線の入射角によって変わるが、入射角が0°のときに反射率が最良となり、入射角が大きくなると反射率が高くなる。
リングゴーストを低減するには入射角57°で反射率が低くなるように膜厚を設計する必要がある。しかしながら、入射角57°で膜厚を最適化した場合、入射角0°で反射率が高くなる。入射角0°と57°でのバランスをとるために、入射角45°で最適化した膜厚に設計した。
膜厚の変換式を以下に示す。第2レンズL2のレンズ面R1の周辺部は傾斜が小さく中心と膜厚はあまり変わらないため、第2レンズL2のレンズ面R1は多層膜を使用することができる。また、この変換式では周辺部の膜厚の違いは考慮していない。

=T0i×1/cos(sin-1((sinθ)×N/N))

ここで、Tは変換後の多層膜のi番目の層の膜厚、T0iは変換前のi番目の層の膜厚(0°入射で反射率が低くなる膜厚)、θは最適化したいコートへの入射角度、Nは媒質の屈折率、Nはi番目の層の屈折率である。ここでのθは45°である。
従来の入射角度0°で最適化した設計を「0°ベスト設計」、本実施形態の入射角度θで最適化した設計を「入射角ベスト設計」とすると、図18に示すように、入射角ベスト設計コートは、0°ベスト設計に対して矢印のように全体的に長波長側へシフトしたグラフになる。入射角0°では、入射角ベスト設計コートは、0°ベスト設計コートに比べ、短波長側での反射率が高く、長波長側での反射率が低くなった。入射角45°、57°のとき、入射角ベスト設計コートは、長波長側での反射率が0°ベスト設計コートと比べて低くなった。
第1レンズL1のレンズ面R2に周辺ベスト設計コートを適用したモデルにおいて、第2レンズL2のレンズ面R1に入射角ベスト設計コートを適用して、ゴーストSIMを実施したところ、ゴースト強度比は図19(b)に示すように7.9×10-5となった。図19(a)に示す、第2レンズL2のレンズ面R1に対し、0°ベスト設計コートを適用したモデルに比べ約0.8倍に低減することが確認された。
図20は、以上のような構成を成すレンズユニット11またはレンズユニット12を有する本実施形態のカメラモジュール300の概略構成を模式的に示す図である。なお、図20には、レンズユニット11を有するカメラモジュール300を示しているが、レンズユニット12を有するカメラモジュール300であってもよい。
図示のように、カメラモジュール300は、レンズユニット11を保持するマウント(台座)302を備えている。また、カメラモジュール300は、パッケージセンサ(撮像素子;イメージセンサ)304を備えている。
マウント302は、レンズユニット11,12の雄ねじ11aと螺合する雌ねじ302aを有する。
パッケージセンサ304は、赤外線カットフィルタ301と対向してマウント302の内部に配置されており、かつ、レンズユニット11により形成される物体の像を受光する位置に配置されている。また、パッケージセンサ304は、CCDやCMOS等を備えており、レンズユニット11を通じて集光されて到達する光を電気信号に変換する。変換された電気信号は、カメラにより撮影された画像データの構成要素であるアナログデータやデジタルデータに変換される。
図21には、図20に示すカメラモジュール300を含む撮像装置250を備える車載システム(撮像システム)が搭載される移動体としての車両240が概略的に示されている。図示のように、撮像装置250は車両240に搭載することができ、図21は、車両240における撮像装置250の搭載位置を例示する配置例である。車両240に搭載される撮像装置250は、車載カメラと呼ぶこともでき、車両240の種々の場所に設置することができる。例えば、第1の撮像装置250aは、車両240が走行する際の前方を監視するカメラとして、フロントバンパーまたはその近傍に配置されてもよい。また、前方を監視する第2の撮像装置250bは、車両240の車室内のルームミラー(Inner Rearview Mirror)の近傍に配置されてもよい。第3の撮像装置250cは、運転者の運転状況を監視するカメラとしてダッシュボード上またはインスツルメントパネル内等に配置されてもよい。第4の撮像装置250dは、車両240の後方モニター用に車両240の後部に設置されてもよい。撮像装置250a、250bはフロントカメラと呼ぶことができる。第3の撮像装置250cは、インカメラと呼ぶことができる。第4の撮像装置250dはリアカメラと呼ぶことができる。撮像装置250は、これらに限られず、左後ろ側方を撮像する左サイドカメラおよび右後ろ側方を撮像する右サイドカメラ等、種々の位置に設置される撮像装置を含む。
撮像装置250により撮像された画像の画像信号は、車両240内の情報処理装置242および/または表示装置243等に出力され得る。これらの情報処理装置242および表示装置243は、撮像装置250と共に車載システムを構成する。車両240内の情報処理装置242は、撮像装置250により取得される画像信号を処理し、画像を認識して運転者の運転を支援する装置を含む。また、情報処理装置242は、例えば、ナビゲーション装置、衝突被害軽減ブレーキ装置、車間距離制御装置、および、車線逸脱警報装置等を含むが、これらに限定されない。表示装置243は、情報処理装置242により処理されて出力される画像を表示するが、撮像装置250から直接に画像信号を受信することもできる。また、表示装置243は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、および、無機ELディスプレイを採用し得るが、これらに限定されない。表示装置243は、リアカメラ等の運転者から視認しづらい位置の画像を撮像する撮像装置250から出力された画像信号を、運転者に対して表示することができる(乗員への情報を出力できる)。
図22には、図21に示す車載システムを構成する撮像装置の構成が示される。図示のように、実施形態に係る撮像装置250は、制御部252と、記憶部254と、前述した図21に示すカメラモジュール300を備える。
制御部252は、カメラモジュール300を制御するとともに、カメラモジュール300の撮像素子304から出力される電気信号を処理する。この制御部252は例えばプロセッサとして構成されてもよい。また、制御部252は1つ以上のプロセッサを含んでもよい。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および、特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでもよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(Integrated Circuit)を含んでもよい。特定用途向けICは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)とも称される。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。プログラマブルロジックデバイスは、PLD(Programmable Logic Device)とも称される。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでもよい。制御部252は、1つ以上のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、および、SiP(System In a Package)のいずれかであってもよい。
記憶部254は、撮像装置250の動作に係る各種情報またはパラメータを記憶する。記憶部254は、例えば半導体メモリ等で構成されてもよい。記憶部254は、制御部252のワークメモリとして機能してもよい。記憶部254は、撮像画像を記憶してもよい。記憶部254は、制御部252が撮像画像に基づく検出処理を行なうための各種パラメータ等を記憶してもよい。記憶部254は制御部252に含まれてもよい。
前述したように、カメラモジュール300は、レンズユニット11を介して結像する被写体像を撮像素子304で撮像し、撮像した画像を出力する。カメラモジュール300で撮像された画像は、撮像画像とも称される。
撮像素子304は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサまたはCCD(Charge Coupled Device)等で構成されてよい。撮像素子304は、複数の画素が並ぶ撮像面を有する。各画素は、入射した光量に応じて電流または電圧で特定される信号を出力する。各画素が出力する信号は、撮像データとも称される。
撮像データは、全ての画素についてカメラモジュール300で読み出され、撮像画像として制御部252に取り込まれてもよい。全ての画素について読み出された撮像画像は、最大撮像画像とも称される。撮像データは、一部の画素についてカメラモジュール300で読み出され、撮像画像として取り込まれてもよい。言い換えれば、撮像データは、所定の取り込み範囲の画素から読み出されてもよい。所定の取り込み範囲の画素から読み出された撮像データは、撮像画像として取り込まれてもよい。所定の取り込み範囲は、制御部252によって設定されてもよい。カメラモジュール300は、制御部252から所定の取り込み範囲を取得してもよい。撮像素子304は、レンズユニット11を介して結像する被写体像のうち所定の取り込み範囲の画像を撮像してもよい。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、本発明において、レンズ、鏡筒などの形状は、前述した実施形態の形状に限定されない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、前述した実施の形態の一部または全部を組み合わせてもよく、あるいは、前述した実施の形態のうちの1つから構成の一部が省かれてもよい。
1 広角レンズユニット
12 超広角レンズユニット
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
R1,R2 レンズ面
m1 蒸着膜
300 カメラモジュール
240 車両(移動体)

Claims (5)

  1. 複数のレンズが当該レンズの光軸に沿って並べられたレンズ群と、このレンズ群を収容保持する鏡筒とを備えたレンズユニットにおいて、
    像側を向くレンズ面が凹曲面となっている物体側レンズの像側に、
    物体側を向くレンズ面周辺部が凸曲面となっている像側レンズが配置されている構成が含まれ、
    前記物体側レンズの凹曲面となっているレンズ面に蒸着膜が形成され、
    前記蒸着膜の膜厚Tは以下の(1)式によって設計されていることを特徴とするレンズユニット。
    T=T/(cosθ) ・・・(1)
    但し、
    Tは物体側レンズの凹曲面となっているレンズ面の中心における蒸着膜の膜厚、
    は物体側レンズの凹曲面となっているレンズ面の中心における蒸着膜でかつ反射率が最良のときの設計膜厚、
    θ=sin-1(h/h×sinθ)、
    0.45≦h/h≦0.75
    θは物体側レンズの凹曲面となっているレンズ面の有効径の位置における傾斜角度である。
  2. 前記像側レンズの前記凸曲面に多層膜が形成され、
    前記多層膜の膜厚Tiは以下の(2)式によって設計されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
    =T0i×1/cos(sin-1((sinθ)×N/N)) ・・・(2)
    但し、
    は多層膜のi番目(iは自然数)の層の膜厚、
    0iは多層膜のi番目の層の設計膜厚、
    θは最適化したい入射角度、Nは媒質の屈折率、Nはi番目の層の屈折率である。
  3. 請求項1または2に記載のレンズユニットと、前記レンズユニットの前記レンズ群を通じて集光される光を電気信号に変換する撮像素子とを備えることを特徴とするカメラモジュール。
  4. 請求項3に記載のカメラモジュールと、前記カメラモジュールを制御するとともに前記カメラモジュールの撮像素子から出力される電気信号を処理する制御部とを有する撮像装置と、
    前記撮像装置により取得される画像信号を処理する処理装置と、
    前記処理装置により処理されて出力される画像を表示する表示装置と、
    を有することを特徴とする撮像システム。
  5. 請求項4に記載の撮像システムを搭載し、前記表示装置により乗員への情報を出力することを特徴とする移動体。
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