JP2019028127A - 光学系、それを備える撮像装置及び投影装置 - Google Patents

光学系、それを備える撮像装置及び投影装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 小型でありながら高い結像性能を有する光学系を提供すること。【解決手段】 光学系100は、拡大側に向かって凸形状の屈折面である第1面21、凸形状の反射面である第2面22、拡大側に向かって凸形状の屈折面である第3面23、及び屈折面である第4面24を含む反射屈折素子2と、凹形状の反射面31を含む反射部材3とを有し、拡大側からの光は、第1面21、第2面22、第3面23、反射部材の反射面31、第3面23、第4面24、を順に介して縮小側へ向かい、第2面22及び第4面24の曲率半径は互いに異なる。【選択図】 図1

Description

本発明は、屈折面及び反射面を有する光学系に関し、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、車載カメラ、携帯電話用カメラ、監視カメラ、ウェアラブルカメラ、医療用カメラ等の撮像装置や、プロジェクタ等の投影装置に好適なものである。
撮像装置や投影装置に用いられる光学系として、反射面及び屈折面を用いることで小型化を図った反射屈折光学系が知られている。特許文献1には、裏面鏡部分及びレンズ部分を含む反射屈折部材と反射面を含む反射部材とを有する反射屈折光学系が開示されている。また、特許文献2には、複数の屈折面及び複数の反射面を含むプリズムから成る反射屈折光学系が開示されている。
特開2003−215458号公報 特開2000−066105号公報
しかしながら、特許文献1では、反射屈折部材の屈折面と反射面とが同一の面(同一の形状)であるため、各光学面の形状を適切に設計することが難しく、高い結像性能が得られていなかった。また、特許文献2では、全ての反射面がプリズムの内部で光を反射させるものであるため、コマ収差の補正が難しく、高い結像性能が得られていなかった。
本発明は、小型でありながら高い結像性能を有する光学系を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明の一側面としての光学系は、拡大側に向かって凸形状の屈折面である第1面、凸形状の反射面である第2面、拡大側に向かって凸形状の屈折面である第3面、及び屈折面である第4面を含む反射屈折素子と、凹形状の反射面を含む反射部材とを有し、拡大側からの光は、前記第1面、前記第2面、前記第3面、前記反射部材の反射面、前記第3面、前記第4面、を順に介して縮小側へ向かい、前記第2面及び前記第4面の曲率半径は互いに異なることを特徴とする。
本発明によれば、小型でありながら高い結像性能を有する光学系を提供することができる。
本発明の実施例1に係る光学系の要部概略図。 実施例1に係る反射部材の非球面形状を表す図。 実施例1に係る光学系の縦収差図。 実施例1に係る光学系の横収差図。 本発明の実施例2に係る光学系の要部概略図。 実施例2に係る光学系の縦収差図。 実施例2に係る光学系の横収差図。 本発明の実施例3に係る光学系の要部概略図。 実施例3に係る反射部材の非球面形状を表す図。 実施例3に係る光学系の縦収差図。 実施例3に係る光学系の横収差図。 本発明の実施形態に係る車載カメラシステムの機能ブロック図。 実施形態に係る車両の要部概略図。 実施形態に係る車載カメラシステムの動作例を示すフローチャート。 本発明の実施形態に係る測距光学系の要部概略図。 実施形態に係る測距光学系の反射部の要部概略図。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面は、便宜的に実際とは異なる縮尺で描かれている場合がある。また、各図面において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明を省略する。本実施形態において、「光学面」とは屈折面や反射面のことを指し、「光軸」とは光学系における各光学面の中心(面頂点)を通る軸を指し、「間隔」とは光軸上での面間隔のことを指すものとする。
図1(a)は、本発明の実施形態に係る光学系100の光軸1を含むYZ断面(垂直断面)における要部概略図であり、図1(b)は、Y方向(垂直方向)における+Y側から見たときの光学系100の要部概略図である。ただし、図1(b)では、Y方向における中心像高に向かう光束を示している。また、図1では、左側(−Z側)が拡大側であり、右側(+Z側)が縮小側である。本実施形態に係る光学系100は、不図示の物体(被写体)からの光束を集光して物体の像を形成するための結像光学系であり、撮像装置や投影装置に適用可能なものである。
光学系100が撮像光学系として撮像装置に適用される場合は、光学系100の縮小面が像面となり、その位置にCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子の撮像面(受光面)が配置される。また、光学系100が投影光学系として投影装置に適用される場合は、縮小面が物体面となり、その位置に液晶パネル(空間変調器)等の表示素子の表示面が配置される。すなわち、撮像光学系と投影光学系とでは、物体側と像側とが反転し、光路が逆向きになる。なお、以下の説明では、光学系100が撮像装置に適用される場合を想定している。
本実施形態に係る光学系100は、反射屈折素子としてのプリズム2と反射部材としてのミラー3とを有する反射屈折光学系である。プリズム2は、拡大側(物体側)から縮小側(像側)へ順に、拡大側に向かって凸形状の屈折面である第1面21、凸形状の反射面である第2面22、拡大側に向かって凸形状の屈折面である第3面23、及び屈折面である第4面24を含む。また、ミラー3は、凹形状の反射面31を含む。
拡大側からの光は、第1面21、第2面22、第3面23、反射面31、第3面23、第4面24、を順に介して縮小側へ向かい、撮像素子5の撮像面に入射する。このように、光学系100は、第2面22及び反射面31の2つの反射面によって光路を折り畳むことにより小型化を実現している。そして、本実施形態に係る第2面22及び第4面24は、互いに異なる曲率半径を有している。このように、プリズム2の反射面及び屈折面の形状を互いに異ならせることにより、光学系100を小型化しつつ諸収差を良好に補正することが可能になる。
[実施例1]
以下、本発明の実施例1に係る光学系100について説明する。なお、本実施例に係る光学系100は、上述した実施形態に係る光学系100と同様の構成を採っているため、重複する説明を省略する。
本実施例に係る光学系100は、プリズム2とミラー3とで構成される。プリズム2は、第1面21、第2面22、第3面23、及び第4面24の4つの光学面を含む反射屈折素子である。なお、本実施例に係る第2面22は、結像に寄与する有効光を反射する反射部と、それ以外の光を遮光する遮光部とで構成されており、開口絞りの役割を果たしている。反射部は例えば反射膜(蒸着膜)により構成され、遮光部は例えば吸光部材により構成される。また、本実施例に係る第4面24は、拡大側に向かって凹形状の屈折面である。
不図示の物体からの光束は、第1面21からプリズム2の内部へ入射し、第2面22の反射部で反射される。このとき、光の一部は第2面22の遮光部により遮光される。第2面22の反射部で反射された光は、第3面23を透過して一旦プリズム2の外部へ出射し、ミラー3の反射面31で反射される。そして、光は第3面23から再びプリズム2の内部へ入射し、第4面24から出射してカバーガラス4を透過し、平面形状の像面を形成する。
図1(b)に示すように、X方向(水平方向)において光学系100は光軸1に対して対称な形状であり、拡大側からの光は光軸1に対して両側からプリズム2に入射する。すなわち、Y方向の各位置でのZX断面(水平断面)において、光学系100は光軸1に対して対称な形状である。一方、図1(a)に示す垂直断面においては、光学系100は光軸1に対して非対称な形状であり、拡大側からの光は光軸1に対して下側(−Y側)のみからプリズム2に入射し、光軸1に対して上側(+Y側)に像面が形成される。このように、光学系100は、垂直断面において光が光軸1に対して一方の側のみからプリズム2に入射する構成、すなわち光が各光学面に斜入射する構成を採っている。
具体的に、垂直断面では、第1面21の有効部(結像に寄与する部分)は光軸1に対して下側にのみ配置されており、第3面23、第4面24、及び反射面31の有効面は光軸1に対して上側にのみ配置されている。また、第2面22の反射部は、光軸1を挟んで上下に略対称となるように配置されている。すなわち、垂直断面においては、入射面である第1面21から開口絞りまでが光軸1より下側に配置され、開口絞りから出射面である第4面24までが光軸1より上側に配置されている。
このとき、撮像装置では、撮像面を光軸1に対してY方向に偏心させ、撮像面が光軸1に対して撮像面とは反対側から光学系100に入射する光束のみを受光するように構成することができる。また、投影装置では、表示面を光軸1に対してY方向に偏心させ、表示面からの光束が光軸1に対して表示面とは反対側から光学系100の外部に出射するように構成することができる。これにより、光路を折り畳んで小型化を図りつつ、撮像素子や表示素子を各光学素子や各光路と干渉しないように配置することができる。
本実施例に係る光学系100の光軸1を含む水平断面での画角(水平画角)は50°である。光軸1を基準(0°)として+X側を正、−X側を負とするとき、水平画角内の角度θxの範囲は−25°≦θx≦+25°である。また、光学系100の光軸1を含む垂直断面での画角(垂直画角)は36°である。第1面21に入射する光線のうち中心像高に到達するものを基準(0°)として+Y側を正、−Y側を負とするとき、垂直画角内の角度θyの範囲は−18°≦θy≦+18°である。
本実施例に係る光学系100では、水平画角が光軸1の両側に対称に設定されているのに対して、垂直画角は光軸1に対して−Y側にのみ設定されている。そして、光学系100では、光軸を含む水平断面(第1断面)での画角よりも、光軸を含み水平断面に垂直な垂直断面(第2断面)での画角の方が小さくなっている。
なお、本実施例に係る光学系100は、全ての光学面の曲率中心が光軸1の上に存在する共軸系である。また、本実施例に係る光学系100は、全ての光学面が光軸1に対して回転対称な形状である回転対称系となっている。ただし、図1(a)に示すように、各光学面は有効光が入射しない不要な部分がカットされた形状となっているが、そのベース面は回転対称な形状であり、ベース面の面頂点は光軸1の上に配置される。このように、光学系100を共軸系かつ回転対称系とすることで、水平断面及び垂直断面の夫々で諸収差を良好に補正することができる。
表1に、本実施例に係る光学系100の諸元値を示す。表1における面間隔dの値は、光路に沿って縮小側に向かうときに正、拡大側に向かうときに負としている。屈折率Nd及びアッベ数νdの夫々は、d線に対する屈折率及びアッベ数を示している。また、光学系100の全長Laは、光軸方向(Z方向)において像面から最も離れた光学面と像面との間隔を指している。すなわち、本実施例においては、反射面31と像面との間隔が光学系100の全長である。なお、「E±N」は「×10±N」を意味する。
Figure 2019028127
本実施例において、非球面形状の各光学面は、光軸1を中心とした回転対称形状であり、以下の非球面式で表現される。
Figure 2019028127
ここで、zは非球面形状の光軸方向のサグ量(mm)、cは光軸1上における曲率(1/mm)、kは円錐定数(コーニック定数)、rは光軸1からの半径方向の距離(mm)、A〜Gの夫々は4次項〜16次項の非球面係数、である。上記の非球面式において、第1項はベース球面のサグ量を示しており、このベース球面の曲率半径はR=1/cである。また、第2項以降の項は、ベース球面上に付与される非球面成分のサグ量(非球面量)を示している。なお、本実施例では4次項〜16次項の非球面係数を用いたが、18次以上の項の非球面係数を用いてもよい。
本実施例においては、光学面が非球面形状である場合、ベース球面の曲率半径をその光学面の曲率半径としており、その曲率半径が後述する各条件式を満足している。ただし、ベース球面の曲率半径の特定が困難である場合は、非球面の近軸曲率半径を光学面の曲率半径としてもよい。
次に、本実施例に係るミラー3の反射面31の特徴について説明する。
一般的に、光学系において像面湾曲を補正するためには、正のパワーと負のパワーとの打ち消し合いによって各光学面のペッツバール和を小さくし、ペッツバール像面が平面に近づくように光学設計が行われる。それに対して、本実施例に係る光学系100では、ミラー3の反射面31のサグ量を適切に設定することで像面湾曲を補正している。これについて、以下で詳細に説明する。
本実施例に係る光学系100は、全体として正のパワーを有しているため、像面近傍に結像した際のペッツバール像面は、光軸1から周辺部へ向かうに従って拡大側に変位した湾曲形状となる傾向がある。一方、ミラー3の反射面31は、凹形状、すなわち光軸1から周辺部へ向かうに従って縮小側に変位した形状であるため、反射面31と像面との間隔は光軸1から周辺部へ向かうに従って短くなる。
よって、光学系100が発生させた像面湾曲と、反射面31のサグ量により生じた像高毎の光路差とを相殺することで、その像面湾曲を良好に補正することができる。さらに、反射面31を非球面とすることで、反射面31のサグ量の設計自由度を向上させることができ、像面湾曲をより良好に補正することが可能になる。
図2に、本実施例に係るミラー3の反射面31の形状を示す。図2において、横軸は光軸に垂直な方向における面頂点からの距離、縦軸は光軸方向におけるサグ量(非球面量)を示しており、実線は反射面31の形状、破線はベース球面の形状、点線は非球面成分のサグ量を示している。
図2に示すように、反射面31のベース球面は、面頂点から周辺部へ向うに従ってサグ量が大きくなる形状である。これにより、上述したように像面湾曲を良好に補正することができる。また、ベース球面と同様に、非球面量も面頂点から周辺部へ向うに従って大きくなっている。これにより、ベース球面だけでは補正しきれない像面湾曲を補正することができ、反射面31による像面湾曲の補正効果を向上させることが可能になる。
なお、光学系において発生した像面湾曲を補正するためには、光軸上と比較して周辺部の方でパワーが小さくなるように非球面を構成することが一般的である。一方、本実施例では、一般的な光学系とは異なり反射面31のサグ量により像面湾曲を補正しているため、反射面31の非球面量は光軸1上と比較して周辺部の方でパワーが大きくなるように設定されている。
ここで、ミラー3は、反射面31の曲率半径をRm(mm)、第2面22(開口絞り)と反射面31との間隔をLm(mm)とするとき、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
1.3≦Rm/|Lm|≦4.0・・・(1)
条件式(1)を満足することにより、像面に配置される撮像素子や表示素子と光路との干渉を回避しつつ、像面湾曲を良好に補正することが可能になる。条件式(1)の下限値を下回ると、像面に配置される撮像素子や表示素子が光路と干渉してしまう可能性が高くなる。また、条件式(1)の上限値を上回ると、像面湾曲の補正が不十分になり良好な結像性能を得ることが難しくなる。
更に、以下の条件式(1´)を満足することがより好ましい。本実施例においては、反射面31の曲率半径の絶対値はRm=36.6、第2面22と反射面31との間隔の絶対値は|Lm|=24.4、であり、Rm/|Lm|=1.50となるため、条件式(1)及び(1´)を満足する。
1.4≦Rm/|Lm|≦2.5・・・(1´)
次に、本実施例に係るプリズム2の各光学面の特徴について説明する。
上述したように、プリズム2の内部へ入射した光は、第3面23から一旦プリズム2の外部へ出射してミラー3に向かう。ここで、本実施例では、第3面23と反射面31との間の媒質をプリズム2とは異なる材料とすることで、第3面23とその媒質とに屈折率差を生じさせている。これにより、第3面23から出射する光の屈折角を、第1面21に入射する光の屈折角と同等にすることができ、コマ収差や倍率色収差を良好に補正することが可能になる。
具体的に、第1面21は拡大側に向かって凸形状の屈折面であるため、第1面21においては、光軸1の近傍を通過する光よりも、光軸1から離れた位置を通過する光の方が大きく屈折する。よって、第1面21に入射する各光の角度は不均一になり、コマ収差が発生してしまう。一方、第3面23も拡大側に向かって凸形状の屈折面であるため、第3面23においても、光軸1の近傍を通過する光よりも、光軸1から離れた位置を通過する光の方が大きく屈折する。
ここで、第1面21と第3面23との間の光路には反射面である第2面22が配置されているため、光束内の各光線の配置(光軸1からの距離の長短)は、第1面21に入射する時と第3面23から出射する時とで反対になる。よって、本実施例に係る光学系100は、拡大側に向かって凸形状の第1面21及び第3面23を備えることで、第1面21で発生したコマ収差や倍率色収差を第3面23によってキャンセルすることができる。このとき、第1面21及び第3面23の曲率半径を互いに異ならせることにより、より良好に各収差を補正することが可能になる。
なお、プリズム2のd線に対する屈折率をNp、第3面23と反射面31との間の媒質のd線に対する屈折率をNmとするとき、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
0.40≦Np−Nm≦1.5・・・(2)
条件式(2)を満足することにより、プリズム2とそれに隣接する媒質との屈折率差を大きくし、第3面23からプリズム2の外部へ出射する光の屈折角を大きくすることができるため、コマ収差の補正が容易になる。条件式(2)の下限値を下回ると、プリズム2とそれに隣接する媒質との屈折率差が小さくなり過ぎてしまい、コマ収差の補正が難しくなる。また、条件式(2)の上限値を上回ると、プリズム2とそれに隣接する媒質との屈折率差が大きくなり過ぎてしまい、他の収差の補正が難しくなる。
更に、以下の条件式(2´)を満足することがより望ましい。特に、空気の屈折率は1.00と非常に低いため、第3面23と反射面31との間の媒質を空気とすることがより好ましい。本実施例においては、第3面23と反射面31との間の媒質が空気であり、プリズム2の屈折率はNp=1.77、プリズム2と空気との屈折率差はNp−Nm=0.77であるため、条件式(2)及び(2´)を満足する。
0.50≦Np−Nm≦0.90・・・(2´)
また、第3面23を通過する光の屈折角は、水平断面よりも垂直断面の方が大きい。これにより、ミラー3で発生した非点収差を良好に補正することができる。なお、第3面23の曲率半径をR3、反射面31の曲率半径をRmとするとき、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
0.80≦R3/Rm≦2.0・・・(3)
条件式(3)を満足するように第3面23と反射面31のパワーの比を適切に設定することで、反射面31で発生した非点収差を第3面23によりキャンセルすることがき、非点収差をより良好に補正することが可能になる。条件式(2)を満たさない場合、第3面23のパワーが大きくなり過ぎるか小さくなり過ぎてしまい、非点収差の補正が難しくなる。
更に、以下の条件式(3´)を満足することがより望ましい。本実施例において、第3面23の曲率半径はR3=55.9mmであり、R3/Rm=1.53となるため、条件式(3)及び(3´)を満足する。
0.90≦R3/Rm≦1.7・・・(3´)
本実施例に係る第2面22は、上述したように凸形状の反射面であり、かつ開口絞りの機能を備えている。このように、負のパワーの反射面に開口絞りを設けることにより、像面湾曲や非点収差への影響を抑えつつ、球面収差を良好に補正することができる。また、第2面22に負のパワーを持たせることによって、反射面31と像面との間隔を適切に確保することができ、光学系100と撮像素子5との干渉を回避することが容易になる。さらに、本実施例では、第2面22を、光軸1から離れるに従ってパワーが小さくなる非球面とすることによって、球面収差をより良好に補正することを可能にしている。
なお、本実施例に係る第2面22の反射部は楕円形状であり、その長軸は水平断面に平行、短軸は垂直断面に平行となっている。すなわち、第2面22の反射部の光軸1に垂直な第1の方向(水平方向)の直径は、反射部の光軸1及び第1の方向に垂直な第2の方向(垂直方向)の直径よりも大きくなっている。具体的に、本実施例に係る光学系100の絞り値(F値)は、水平方向(X方向)においてはF=1.5、垂直方向(Y方向)においてはF=3.1である。
このように、本実施例に係る光学系100の絞り値は、光学系100の形状が光軸1に対して対称である水平方向よりも、光学系100の形状が光軸1に対して非対称である垂直方向の方が大きく(暗く)なるように設定されている。これにより、水平方向において明るさと解像度を向上させつつ、垂直方向において光束幅を狭めて光路干渉を回避し易くすることができ、各光学面の配置の自由度を向上させることが可能になる。なお、第2面22の反射部は楕円形状に限られるものではなく、必要に応じて矩形などにしてもよい。
本実施例に係る第4面24は、上述したように拡大側に向かって凹形状の屈折面であり、かつ光学系100において最も縮小側に配置された光学面(最終面)である。このように、光学系100の最終面を拡大側に向かって凹形状の屈折面とすることで、第3面23や反射面31で補正しきれなかった像面湾曲や非点収差を良好に補正することができる。
また、本実施例に係るプリズム2は、上述したように第2面22及び第4面24の曲率半径を互いに異ならせることにより、光学面の数が少ない小型な構成であっても諸収差を良好に補正することができる。本実施例において、最終面である第4面24は、光軸方向において第2面22よりも縮小側に配置されている。これにより、第4面24が光軸方向において第2面22よりも拡大側に配置される場合と比較して、カバーガラス4や撮像素子5の配置自由度を高めることができる。
なお、光学系100について、全長をLa、全系の焦点距離をfとするとき、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。条件式(4)を満足するように、光学系100の焦点距離で正規化した全長を小さくすることにより、光学系100の小型化を実現する事ができる。本実施例に係る光学系100について、全長はLa=34.5mm、焦点距離はf=15.0mmであり、La/f=2.30となるため、条件式(4)を満足する。
La/f≦3.2・・・(4)
表2に、本実施例に係る光学系100についての各条件式の値を示す。
Figure 2019028127
図3は、本実施例に係る光学系100の縦収差図である。図3では、球面収差及び軸上色収差と、水平方向及び垂直方向における像面湾曲及び非点収差とを示している。ただし、図3における破線はC線(波長656.27nm)、実線はd線(波長587.56nm)、一点鎖線はF線(波長486.13nm)、二点鎖線はg線(波長435.83nm)、である。図3を見て分かる通り、球面収差は0.002mm、軸上色収差(C線、d線、F線、及びg線内の最大値と最小値の差)は0.028mmであり、何れも良好に補正されている。また、水平方向での像面湾曲の最大値(絶対値)は0.005mm、垂直方向での像面湾曲の最大値は0.006mm、非点収差の最大値は0.011mmであり、何れも良好に補正されている。
図4は、本実施例に係る光学系100の横収差図である。図4では、光学系100の5つの画角におけるC線、d線、F線、及びg線に対する横収差を示している。図4を見て分かる通り、コマ収差や倍率色収差も良好に補正されている。さらに、全画角において開口率(ビネッティング)は100%であり、第2面22によるケラレが生じておらず、軸上から軸外にかけて明るい光学系が実現できていることがわかる。
以上、本実施例に係る光学系100によれば、小型でありながら高い結像性能を有する光学系を実現することができる。
[実施例2]
以下、本発明の実施例2に係る光学系200について説明する。本実施例に係る光学系200において、上述した実施例1に係る光学系100と同等の構成については説明を省略する。
図5(a)は、本実施例に係る光学系200の光軸1を含む垂直断面における要部概略図であり、図5(b)は、Y方向における+Y側から見たときの光学系200の要部概略図である。本実施例に係る光学系200は、全ての光学面が球面形状であるという点で実施例1に係る光学系100とは異なる。
表3に、本実施例に係る光学系200の諸元値を示す。
Figure 2019028127
表3に示すように、本実施例に係る光学系200は、実施例1に係る光学系100よりも焦点距離が短い構成を採っている。一般的に、焦点距離が短くなると諸収差が補正し易くなるため、本実施例に係る光学系200では全ての光学面を形成が容易な球面形状としている。これにより、プリズム2及びミラー3の製造を容易にし、かつ各光学面の配置誤差による結像性能の変動を抑制することができる。
また、以下の表4に示すように、本実施例に係る光学系200は上述した各条件式を満足している。
Figure 2019028127
図6は、本実施例に係る光学系200の縦収差図である。球面収差は0.012mm、軸上色収差は0.025mm、水平方向での像面湾曲の最大値(絶対値)は0.001mm、垂直方向での像面湾曲の最大値は0.013mm、非点収差の最大値は0.014mmであり、何れも良好に補正されている。また、図7は、本実施例に係る光学系200の横収差図である。図7を見て分かる通り、コマ収差や倍率色収差も良好に補正されている。さらに、全画角において開口率は100%であり、軸上から軸外にかけて明るい光学系が実現できていることがわかる。
[実施例3]
以下、本発明の実施例3に係る光学系300について説明する。本実施例に係る光学系300において、上述した実施例1に係る光学系100と同等の構成については説明を省略する。
図8(a)は、本実施例に係る光学系300の光軸1を含む垂直断面における要部概略図であり、図8(b)は、Y方向における+Y側から見たときの光学系300の要部概略図である。本実施例に係る光学系300は、プリズム2及びミラー3に加えて他の光学素子を有するという点で実施例1に係る光学系100とは異なる。具体的に、本実施例に係る光学系300は、プリズム2の第1面21よりも拡大側に配置された第1レンズ6(第1光学素子)と、プリズム2の第4面24よりも縮小側に配置された第2レンズ7(第2光学素子)とを有する。
不図示の物体からの光は、第1レンズ6の第1面61に入射して第1レンズ6の第2面62を透過し、プリズム2の第1面21からプリズム2の内部へ入射する。第1面21を透過した光は第2面22の反射部で反射され、第3面23を透過して一旦プリズム2の外部へ出射し、ミラー3の反射面31で反射される。そして、光は第3面23から再びプリズム2の内部へ入射し、第4面24、第2レンズ7の第1面71及び第2面72、及びカバーガラス4を透過して平面形状の像面を形成する。
なお、第1レンズ6及び第2レンズ7はプリズム2と接合されており、第1レンズ6の第2面62及びプリズム2の第1面21、プリズム2の第4面24及び第2レンズ7の第1面71、の夫々が接合面となっている。このように、プリズム2と第1レンズ6及び第2レンズ7とを一体化することで、光学系300を小型化し、かつ各光学素子の相対的な位置ずれを抑制することが可能になる。
表5に、本実施例に係る光学系300の諸元値を示す。
Figure 2019028127
図9に、本実施例に係るミラー3の反射面31の形状を示す。図9に示すように、反射面31のベース球面及び非球面成分は、面頂点から周辺部へ向うに従ってサグ量が大きくなる形状である。これにより、実施例1に係る反射面31と同様に、像面湾曲を良好に補正することができる。
また、以下の表6に示すように、本実施例に係る光学系300は上述した各条件式を満足している。
Figure 2019028127
光学系300においては、第1レンズ6の第1面61が実施例1に係るプリズム2の第1面21の役割を果たしており、この第1面61に加えて、第1レンズ6の第2面62との第1面21との接合面によって球面収差を補正している。また、光学系300においては、第2レンズの第2面72が実施例1に係るプリズム2の第4面24の役割を果たしており、この第2面72に加えて、プリズム2の第4面24と第2レンズ7の第1面71との接合面によって軸上色収差を補正している。
このように、本実施例に係る光学系300によれば、実施例1に係る光学系100と比較して、より多くの光学面によって諸収差を補正することができるため、結像性能をさらに向上させることが可能になる。特に、光学系300の水平方向の絞り値はF=0.79であり、実施例1に係る光学系100と比較して非常に明るくなっている。
次に、本実施例に係る第1レンズ6の特徴について説明する。
第1レンズ6は、平面をベースとした非球面である第1面61と、拡大側に向かって凸形状の球面である第2面62とを含み、全体で負のパワーを有している。第1レンズ6は、有効光が入射しない不要な部分がカットされた形状となっており、光軸1に対して下側にのみ配置されている。ただし、第1レンズ6の第1面61及び第2面62は、他の光学面と同様に光軸1に対して回転対称な形状であり、その曲率中心は光軸1の上に存在している。
光学系300において最も拡大側の光学面である第1面61は、第2面62よりも大きい曲率半径を有しており、プリズム2の第3面23とコマ収差や倍率色収差をキャンセルし合っている。さらに、第1面61を非球面とすることで、コマ収差をより良好に補正することができる。プリズム2との接合面である第2面62は、プリズム2の第1面21との接合を容易にするために、球面形状となっている。
ここで、第1レンズ6のd線に対する屈折率をN6とするとき、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
N6<Np・・・(5)
条件式(5)を満足することにより、接合面に負のパワーを持たせて球面収差を良好に補正することが可能になる。本実施例では、第1レンズ6の屈折率はN6=1.54、プリズム2の屈折率はNp=1.69であり、条件式(5)を満足する。
また、第1レンズの第2面62の曲率半径をR6、第2面62とプリズム2の第2面22との間隔をd6とするとき、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
0.70≦R6/d6≦1.5・・・(6)
条件式(6)を満足することにより、第1レンズ6の第2面62の曲率中心が、プリズム2の開口絞りである第2面22の近傍に配置され、第2面62に対して各画角の光線が垂直に近い角度で入射するように構成することができる。このように、第1レンズ6の第2面62をコンセントリックな面とすることで、コマ収差や非点収差などに影響を与えること無く、第2面62によって球面収差を良好に補正することが可能になる。条件式(6)を満たさない場合、第2面62がコンセントリックな面ではなくなってしまい、コマ収差や非点収差などに影響を与えること無く球面収差を補正することが難しくなる。
更に、以下の条件式(6´)を満足することがより好ましい。本実施例においては、第2面62の曲率半径はR6=16.6、第2面62と第2面22との間隔はd6=19.6、であり、R6/d6=0.847となるため、条件式(6)及び(6´)を満足する。
0.70≦R6/d6≦1.5・・・(6´)
次に、本実施例に係る第2レンズ7の特徴について説明する。
第2レンズ7は、拡大側に向かって凸形状の球面である第1面71と、拡大側に向かって凸形状の球面をベースとした非球面である第2面72とを含み、全体で正のパワーを有している。プリズム2との接合面である第2面72は、プリズム2の第4面24との接合を容易にするために、球面形状となっている。また、第2レンズ7は、有効光が入射しない不要な部分がカットされた形状となっており、光軸1に対して上側にのみ配置されている。ただし、第2レンズ7の第1面71及び第2面72は、他の光学面と同様に光軸1に対して回転対称な形状であり、その曲率中心は光軸1の上に存在している。
ここで、第2レンズ7のd線に対する屈折率をN7とするとき、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
N7<Np・・・(7)
条件式(7)を満足することにより、接合面に負のパワーを持たせて軸上色収差を良好に補正することが可能になる。本実施例では、第2レンズ7の屈折率はN7=1.49であるため、条件式(7)を満足する。
また、プリズム2のアッベ数をνdp、第2レンズ7のアッベ数をνd7とするとき、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
νdp+10≦νd7≦100・・・(8)
条件式(8)を満足することにより、第2レンズ7のアッベ数をプリズム2のアッベ数よりも十分に大きくし、短波長の光よりも長波長の光の方を拡大側に集光させることができるため、軸上色収差を良好に補正することが可能になる。条件式(8)を満足しない場合、第2レンズ7によって軸上色収差を良好に補正することが難しくなる。本実施例において、プリズム2のアッベ数はνdp=52.3、第2レンズ7のアッベ数はνd7=70.2、であるため、条件式(8)を満足する。
図10は、本実施例に係る光学系300の縦収差図である。球面収差は−0.001mm、軸上色収差は0.003mm、水平方向での像面湾曲の最大値は0.001mm、垂直方向での像面湾曲の最大値(絶対値)は0.004mm、非点収差の最大値は0.004mmであり、何れも良好に補正されている。また、図11は、本実施例に係る光学系300の横収差図である。図11を見て分かる通り、コマ収差や倍率色収差も良好に補正されている。
[投影装置]
上述した各実施例に係る光学系を投影光学系として投影装置に適用する場合、光学系の縮小面の位置に液晶パネル(空間変調器)等の表示素子の表示面が配置される。ただし、光学系が投影装置に適用される場合は、物体側と像側とが反転して光路が逆向きになる。すなわち、物体側に配置された表示素子の表示面(縮小面)に表示される画像を、光学系により像側に配置されたスクリーン等の投影面(拡大面)に投影(結像)させる構成を採ることができる。この場合にも、光学系を撮像装置に適用した場合と同様に、各実施例における各条件式を満足することが望ましい。
[車載カメラシステム]
図12は、本実施形態に係る車載カメラ10及びそれを備える車載カメラシステム(運転支援装置)600の構成図である。車載カメラシステム600は、自動車等の車両に設置され、車載カメラ10により取得した車両の周囲の画像情報に基づいて、車両の運転を支援するための装置である。図13は、車載カメラシステム600を備える車両700の概略図である。図13においては、車載カメラ10の撮像範囲50を車両700の前方に設定した場合を示しているが、撮像範囲50を車両700の後方に設定してもよい。
図12に示すように、車載カメラシステム600は、車載カメラ10と、車両情報取得装置20と、制御装置(ECU:エレクトロニックコントロールユニット)30と、警報装置40と、を備える。また、車載カメラ10は、撮像部11と、画像処理部12と、視差算出部13と、距離算出部14と、衝突判定部15と、を備えている。画像処理部12、視差算出部13、距離算出部14、及び衝突判定部15で、処理部が構成されている。撮像部11は、上述した何れかの実施例に係る光学系と、撮像面位相差センサと、を有する。なお、本実施形態に係る撮像面位相差センサは、例えば図1に示した撮像素子5に対応する。
図14は、本実施形態に係る車載カメラシステム600の動作例を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って、車載カメラシステム600の動作を説明する。
まず、ステップS1では、撮像部11を用いて車両の周囲の対象物(被写体)を撮像し、複数の画像データ(視差画像データ)を取得する。
また、ステップS2では、車両情報取得装置20から車両情報の取得を行う。車両情報とは、車両の車速、ヨーレート、舵角などを含む情報である。
ステップS3では、撮像部11により取得された複数の画像データに対して、画像処理部12により画像処理を行う。具体的には、画像データにおけるエッジの量や方向、濃度値などの特徴量を解析する画像特徴解析を行う。ここで、画像特徴解析は、複数の画像データの夫々に対して行ってもよいし、複数の画像データのうち一部の画像データのみに対して行ってもよい。
ステップS4では、撮像部11により取得された複数の画像データ間の視差(像ズレ)情報を、視差算出部13によって算出する。視差情報の算出方法としては、SSDA法や面積相関法などの既知の方法を用いることができるため、本実施形態では説明を省略する。なお、ステップS2,S3,S4は、上記の順番に処理を行ってもよいし、互いに並列して処理を行ってもよい。
ステップS5では、撮像部11により撮像した対象物との間隔情報を、距離算出部14によって算出する。距離情報は、視差算出部13により算出された視差情報と、撮像部11の内部パラメータ及び外部パラメータと、に基づいて算出することができる。なお、ここでの距離情報とは、対象物との間隔、デフォーカス量、像ズレ量、などの対象物との相対位置に関する情報のことであり、画像内における対象物の距離値を直接的に表すものでも、距離値に対応する情報を間接的に表すものでもよい。
そして、ステップS6では、距離算出部14により算出された距離情報が予め設定された設定距離の範囲内に含まれるか否かの判定を、衝突判定部15によって行う。これにより、車両の周囲の設定距離内に障害物が存在するか否かを判定し、車両と障害物との衝突可能性を判定することができる。衝突判定部15は、設定距離内に障害物が存在する場合は衝突可能性ありと判定し(ステップS7)、設定距離内に障害物が存在しない場合は衝突可能性なしと判定する(ステップS8)。
次に、衝突判定部15は、衝突可能性ありと判定した場合(ステップS7)、その判定結果を制御装置30や警報装置40に対して通知する。このとき、制御装置30は、衝突判定部15での判定結果に基づいて車両を制御し、警報装置40は、衝突判定部15での判定結果に基づいて警報を発する。
例えば、制御装置30は、車両に対して、ブレーキをかける、アクセルを戻す、各輪に制動力を発生させる制御信号を生成してエンジンやモータの出力を抑制する、などの制御を行う。また、警報装置40は、車両のユーザ(運転者)に対して、音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与える、などの警告を行う。
以上、本実施形態に係る車載カメラシステム600によれば、上記の処理により、効果的に障害物の検知を行うことができ、車両と障害物との衝突を回避することが可能になる。特に、上述した各実施例に係る光学系を車載カメラシステム600に適用することで、車載カメラ10の全体を小型化して配置自由度を高めつつ、広画角にわたって障害物の検知及び衝突判定を行うことが可能になる。
ここで、本実施形態では、車載カメラ10が撮像面位相差センサを有する撮像部11を1つのみ備える構成について説明したが、これに限られず、車載カメラ10として撮像部を2つ備えるステレオカメラを採用してもよい。この場合、撮像面位相差センサを用いなくても、同期させた2つの撮像部の夫々によって画像データを同時に取得し、その2つの画像データを用いることで、上述したものと同様の処理を行うことができる。ただし、2つの撮像部による撮像時間の差異が既知であれば、2つの撮像部を同期させなくてもよい。
なお、距離情報の算出については、様々な実施形態が考えられる。一例として、撮像部11が有する撮像素子として、二次元アレイ状に規則的に配列された複数の画素部を有する瞳分割型の撮像素子を採用した場合について説明する。瞳分割型の撮像素子において、1つの画素部は、マイクロレンズと複数の光電変換部とから構成され、光学系の瞳における異なる領域を通過する一対の光束を受光し、対をなす画像データを各光電変換部から出力することができる。
そして、対をなす画像データ間の相関演算によって各領域の像ずれ量が算出され、距離算出部14により像ずれ量の分布を表す像ずれマップデータが算出される。あるいは、距離算出部14は、その像ずれ量をさらにデフォーカス量に換算し、デフォーカス量の分布(撮像画像の2次元平面上の分布)を表すデフォーカスマップデータを生成してもよい。また、距離算出部14は、デフォーカス量から変換される対象物との間隔の距離マップデータを取得してもよい。
なお、本実施形態では、車載カメラシステム600を運転支援(衝突被害軽減)に適用したが、これに限られず、車載カメラシステム600をクルーズコントロール(全車速追従機能付を含む)や自動運転などに適用してもよい。また、車載カメラシステム600は、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。また、本実施形態に係る車載カメラ10、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
[測距装置]
以下、上述した各実施例に係る光学系を、測距光学系として車載カメラなどの測距装置に適用する場合について詳細に説明する。
上述したように、各実施例に係る光学系の垂直画角は、光軸1に対して片側にのみ設定されている。よって、光学系を車載カメラ10に適用し、その車載カメラ10を車両に設置する場合は、光学系の光軸1が水平方向に対して非平行となるように配置することが望ましい。例えば、図1に示した実施例1に係る光学系100を採用する場合、光軸1を水平方向に対して上側に傾け、垂直画角の中心が水平方向に近づくように配置すればよい。あるいは、光学系100をX軸周りに180°回転(上下反転)させてから、光軸1が水平方向に対して下側に傾くように配置してもよい。これにより、車載カメラ10の撮像範囲を適切に設定することができる。
ただし、各実施例に係る光学系においては、軸上での結像性能が最も高く、それに対して周辺画角での結像性能は低下するため、注目する被写体からの光が光学系における軸上付近を通過するように配置することがより好ましい。例えば、車載カメラ10によって道路上の標識や障害物などに注目する必要がある場合は、水平方向に対して上側(空側)よりも下側(地面側)の画角での結像性能を高めることが好ましい。このとき、実施例1に係る光学系100を採用する場合、上述したように光学系100を一旦上下反転させてから、光軸1を水平方向に対して下側に傾け、光軸1の近傍の画角が下側を向くように配置すればよい。
図15(a)は、実施例1に係る光学系100を測距光学系150とした場合の、光軸1を含む垂直断面における要部概略図であり、図15(b)は、Y方向における+Y側から見たときの測距光学系150の要部概略図である。図15(a)に示すように、測距光学系150は、光軸1が水平方向に対して上側に傾いて、垂直画角の中心が水平方向に近づくように配置されている。また、図15(b)に示すように、測距光学系150は水平断面において瞳を二分割している。なお、測距光学系150の構成は、光軸1を傾けた点及び瞳を二分割した点以外は、実施例1に係る光学系100と同様である。
図16は、Z方向における−Z側から見たときの第2面22の反射部の要部概略図である。図16において、実線は測距光学系150の第2面22における反射部を示し、破線は実施例1に係る第2面22における反射部を示している。図16に示すように、測距光学系150の第2面22には、光軸1に対してX方向に偏心した二つの反射部201,202が設けられている。この二つの反射部201,202によれば、測距光学系150の瞳を分割することができる。なお、反射部201,202は、実施例1と同様に反射膜などによって形成される。
測距光学系150を採用する場合、その像面に配置される撮像素子5としては、反射部201を通過した光束が形成した被写体の像と、反射部202を通過した光束が形成した被写体の像とを区別して光電変換できるものが採用される。このような撮像素子5と、測距光学系150と、上述した処理部とによって、車載カメラなどの測距装置を構成することができる。
被写体が測距光学系150の前側焦点面上にあるときは、測距光学系150の像面において、分割された二つの光束による像に位置ずれは発生しない。しかし、被写体が測距光学系150の前側焦点面以外の位置にあるときは、分割された二つの光束による像に位置ずれが発生する。このとき、各光束が形成する像の位置ずれは被写体の前側焦点面からの変位量に対応しているので、各光束による像の位置ずれ量及び位置ずれの方向を取得することで、被写体までの距離を測定することができる。
また、測距光学系150の各光学面を上述した実施例1と同様に構成することで、諸収差を良好に補正することができ、高い測距精度を実現することが可能になる。このとき、測距光学系150の開口率は全画角において100%となるため、この測距光学系150を測距装置に適用することで、全画角において安定した測距精度を確保することができる。ここでは実施例1に係る光学系100を測距光学系とする場合について説明したが、実施例2又は3に記載の光学系を測距光学系としても同様の効果を得ることができる。
なお、測距光学系150では二つの反射部をX方向に偏心させているが、必要に応じてY方向に偏心させてもよい。ただし、測距精度を向上させるためには、二つの反射部をX方向に偏心させることが望ましい。これは、これは、二つの反射部を適用する前の光学系100において、光軸1に対して非対称であるY方向における絞り値よりも、光軸1に対して対称であるX方向における絞り値の方が小さいためである。
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
2 反射屈折素子
3 反射部材
21 第1面
22 第2面
23 第3面
24 第4面
31 反射面
100 光学系

Claims (24)

  1. 拡大側に向かって凸形状の屈折面である第1面、凸形状の反射面である第2面、拡大側に向かって凸形状の屈折面である第3面、及び屈折面である第4面を含む反射屈折素子と、
    凹形状の反射面を含む反射部材とを有し、
    拡大側からの光は、前記第1面、前記第2面、前記第3面、前記反射部材の反射面、前記第3面、前記第4面、を順に介して縮小側へ向かい、
    前記第2面及び前記第4面の曲率半径は互いに異なることを特徴とする光学系。
  2. 前記第2面は前記光の一部を遮光する遮光部を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
  3. 前記反射部材の反射面の曲率半径をRm、前記第2面と前記反射部材の反射面との間隔をLmとするとき、
    1.3≦Rm/|Lm|≦4.0
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項2に記載の光学系。
  4. 前記反射屈折素子のd線に対する屈折率をNp、前記第3面と前記反射部材の反射面との間の媒質のd線に対する屈折率をNmとするとき、
    0.40≦Np−Nm≦1.5
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学系。
  5. 前記第3面の曲率半径をR3、前記反射部材の反射面の曲率半径をRmとするとき、
    0.80≦R3/Rm≦2.0
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学系。
  6. 前記光学系の全長をLa、全系の焦点距離をfとするとき、
    La/f≦3.2
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の光学系。
  7. 前記第1面よりも拡大側に配置された負のパワーの第1光学素子を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光学系。
  8. 前記第1光学素子のd線に対する屈折率をN6、前記反射屈折素子のd線に対する屈折率をNpとするとき、
    N6<Np
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項7に記載の光学系。
  9. 前記第1光学素子の縮小側の光学面の曲率半径をR6、該光学面と前記第2面との間隔をd6とするとき、
    0.70≦R6/d6≦1.5
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項7又は8に記載の光学系。
  10. 前記第4面よりも縮小側に配置された正のパワーの第2光学素子を有することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の光学系。
  11. 前記第2光学素子のd線に対する屈折率をN7、前記反射屈折素子のd線に対する屈折率をNpとするとき、
    N7<Np
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項10に記載の光学系。
  12. 前記反射屈折素子のアッベ数をνdp、前記第2光学素子のアッベ数をνd7とするとき、
    νdp+10≦νd7≦100
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項10又は11に記載の光学系。
  13. 前記第4面は、拡大側に向かって凹形状の屈折面であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光学系。
  14. 前記第1面及び前記第3面の曲率半径は互いに異なることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載の光学系。
  15. 前記第1面、前記第2面、前記第3面、及び前記第4面の夫々の曲率中心は、光軸上に存在することを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載の光学系。
  16. 前記反射部材の反射面の曲率中心は、光軸上に存在することを特徴とする請求項15に記載の光学系。
  17. 前記第3面と前記反射部材の反射面との間の媒質は空気であることを特徴とする請求項1乃至16の何れか一項に記載の光学系。
  18. 光軸に垂直な第1の方向における前記第2面の反射部の直径は、光軸及び前記第1の方向に垂直な第2の方向における前記反射部の直径よりも大きく、前記第1面の有効部は、前記第2の方向において光軸に対して一方の側にのみ配置されていることを特徴とする請求項1乃至17の何れか一項に記載の光学系。
  19. 物体を撮像する撮像素子と、該撮像素子の撮像面に前記物体を結像する光学系とを備え、該光学系は請求項1乃至18の何れか1項に記載の光学系であることを特徴とする撮像装置。
  20. 物体の画像データを取得する撮像装置と、該画像データに基づいて前記物体までの距離情報を取得する距離算出部とを備え、前記撮像装置は請求項19に記載の撮像装置であることを特徴とする車載カメラシステム。
  21. 前記距離情報に基づいて自車両と前記物体との衝突可能性を判定する衝突判定部を備えることを特徴とする請求項20に記載の車載カメラシステム。
  22. 前記自車両と前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記自車両の各輪に制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置を備えることを特徴とする請求項21に記載の車載カメラシステム。
  23. 前記自車両と前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記自車両の運転者に対して警報を発する警報装置を備えることを特徴とする請求項21又は22に記載の車載カメラシステム。
  24. 画像を表示する表示素子と、該表示素子の表示面を結像する光学系とを備え、該光学系は請求項1乃至18の何れか1項に記載の光学系であることを特徴とする投影装置。
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