以下に、本発明の一つの実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
図1は、本発明の一つの実施形態に係る内燃機関10の一部を示す断面図である。内燃機関10は、例えば、車両に搭載されるレシプロエンジンである。なお、内燃機関10は、他の種類の内燃機関であっても良いし、他の装置に搭載されても良い。
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、内燃機関10の幅に沿って設けられる。Y軸は、内燃機関10の奥行に沿って設けられる。Z軸は、内燃機関10の高さに沿って設けられる。また、本実施形態において、Z軸は、鉛直方向に沿って設けられる。
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向とを含む。+Z方向は、上方向である。-Z方向は、下方向である。
内燃機関10は、二つのカム軸11と、シリンダブロック12と、カムキャップ13と、二つのオイルコントロールバルブ(OCV)14と、ヘッドカバー15とを有する。なお、内燃機関10は、一つ又は三つ以上のカム軸11を有しても良いし、一つ又は三つ以上のOCV14を有しても良い。
二つのカム軸11は、Y方向に延びている。カム軸11は、それぞれの中心軸Axまわりに回転することができる。中心軸Axは、回転軸の一例であり、カム軸11の回転の中心となる仮想的な直線である。なお、カム軸11の回転軸は、カム軸11の中心軸Axと異なっても良い。
本明細書において、便宜上、軸方向、径方向、及び周方向が定義される。軸方向は、中心軸Axに沿う方向である。本実施形態において、軸方向はY方向である。径方向は、中心軸Axと直交する方向である。本実施形態において、径方向は、X方向及びZ方向を含む。周方向は、中心軸Axまわりに回転する方向である。
二つのカム軸11は、略平行に配置される。二つのカム軸11は、それぞれの中心軸Axと交差(直交)するX方向に互いに離間している。なお、二つのカム軸11は、他の方向に互いに離間しても良い。
二つのカム軸11のうち一方は、給気弁用カム軸11Aである。給気弁用カム軸11Aは、回転することで、給気弁の弁軸を移動させることができる。二つのカム軸11のうち他方は、排気弁用カム軸11Bである。排気弁用カム軸11Bは、回転することで、排気弁の弁軸を移動させることができる。
二つのカム軸11はそれぞれ、カムジャーナル21を有する。カムジャーナル21は、例えば、軸方向におけるカム軸11の一方の端部に設けられる。カムジャーナル21は、Y方向に延びるとともに-Y方向に開放された略円筒状に形成される。
カムジャーナル21は、外周面21aと、内周面21bとを有する。外周面21aは、径方向の外側に向く略円筒状の曲面である。内周面21bは、外周面21aの反対側に位置し、径方向の内側に向く略円筒状の曲面である。なお、内周面21bの形状は、この例に限られない。
カムジャーナル21に、嵌合口25と、溝26と、複数の供給孔27とが設けられる。嵌合口25は、-Y方向におけるカムジャーナル21の端部に開口する穴である。カムジャーナル21の内周面21bは、嵌合口25を形成(規定、区画)する。溝26は、外周面21aから径方向の内側に窪むとともに、周方向における外周面21aの全域に亘って設けられる。溝26は、嵌合口25から径方向の外側に離間している。供給孔27は、略径方向に延び、嵌合口25と溝26とを連通する。カムジャーナル21に、複数の溝26が設けられても良い。
本実施形態のシリンダブロック12は、ピストンを収容するシリンダボアが設けられるとともに、給気弁、排気弁、イグニッション装置、及び他の部品を保持する。なお、シリンダブロック12は、シリンダボアが設けられるシリンダブロックと、給気弁、排気弁、及びイグニッション装置を保持するシリンダヘッドとに分割されても良い。
図2は、本実施形態のシリンダブロック12を示す斜視図である。図2に示すように、内燃機関10の内部に、上部室Rが設けられる。上部室Rは、カムが設けられた空間の一例である。上部室Rは、例えば、シリンダブロック12とヘッドカバー15とに囲まれた空間である。上部室Rに、カム軸11のカムが配置される。
図1に示すように、上方向(+Z方向)におけるシリンダブロック12の端部に、第1の上面41と、二つの第1の凹面42とが設けられる。第1の上面41は、略X方向に延びる略平坦な面であり、上方向に向く。二つの第1の凹面42は、第1の上面41から下方向(-Z方向)に窪む。
第1の凹面42は、対応するカム軸11のカムジャーナル21を中心軸Axまわりに回転可能に保持する。第1の凹面42は、対応するカム軸11の中心軸Axの周方向に略円弧状に延びる曲面である。二つの第1の凹面42は、X方向に互いに離間している。すなわち、シリンダブロック12は、二つのカム軸11を回転可能に且つX方向に互いに離間した位置で保持する。
第1の凹面42は、カムジャーナル21の外周面21aに当接するとともに、溝26を覆う(塞ぐ)。これにより、カムジャーナル21の溝26の内面と、シリンダブロック12の第1の凹面42と、の間に通路43が形成される。
図2に示すように、上方向におけるシリンダブロック12の端部に、第2の上面45と、二つの第2の凹面46とが設けられる。第2の上面45は、略X方向に延びる略平坦な面であり、上方向に向く。第2の上面45と、対応する第1の上面41とは、間隔を介してY方向に並ぶ。
二つの第2の凹面46は、第2の上面45から下方向に窪む。このため、第2の凹面46と、対応する第1の凹面42とは、間隔を介してY方向に並ぶ。第2の凹面46は、対応するカム軸11を中心軸Axまわりに回転可能に保持する。第2の凹面46は、対応するカム軸11の中心軸Axの周方向に略円弧状に延びる曲面である。二つの第2の凹面46は、X方向に互いに離間している。
内燃機関10は、複数のハイドロリックラッシュアジャスタ(HLA)49をさらに有する。図2は、HLA49を模式的に示している。HLA49は、シリンダブロック12の内部の上部室Rに配置され、例えばシリンダブロック12に保持される。HLA49は、シリンダブロック12に保持されたボデーと、当該ボデーに進退可能に嵌められたプランジャとを有する。
図1に示すように、カムキャップ13は、ブロック部材51と、ボール52とを有する。ブロック部材51は、例えば金属製の単一の部材であり、分解不可能である。ボール52は、金属製の球である。なお、カムキャップ13は、この例に限られない。
ブロック部材51は、略X方向に延び、第1の上面41上に配置される。このため、カムキャップ13の少なくとも一部は、シリンダブロック12の上方に位置する。カムキャップ13のブロック部材51は、例えば、ボルトによりシリンダブロック12に取り付けられる。なお、カムキャップ13は、他の手段によりシリンダブロック12に取り付けられても良い。また、カムキャップ13とシリンダブロック12との間に、他の部材が介在しても良い。
カムキャップ13は、外面60を有する。外面60は、カムキャップ13の外部に向く面である。外面60は、下面61と、二つの上凹面62と、上接続面63と、側面64と、外球面65とを有する。上凹面62は、保持面の一例である。下面61、上凹面62、上接続面63、及び側面64は、ブロック部材51に設けられる。外球面65は、ボール52に設けられる。
本実施形態において、下面61は、下方向におけるブロック部材51の端部に設けられる。下面61は、略X方向に延びる略平坦な面であり、下方向に向く。下面61は、第1の上面41に当接する。なお、下面61と第1の上面41との間に他の部材が介在しても良い。
二つの上凹面62は、下面61から上方向に窪む。上凹面62は、対応するカム軸11のカムジャーナル21を回転可能に保持する。上凹面62は、対応するカム軸11の中心軸Axの周方向に延びる略円弧状の曲面である。
二つの上凹面62は、X方向に互いに離間している。すなわち、カムキャップ13は、二つのカム軸11を回転可能に且つX方向に互いに離間した位置で保持する。これにより、シリンダブロック12は、カムキャップ13と共に二つのカム軸11を回転可能に保持する。
上凹面62の直径は、シリンダブロック12の第1の凹面42の直径と略等しい。このため、第1の凹面42と上凹面62とは、実質的に一続きの円筒形の曲面を形成する。第1の凹面42と上凹面62とのそれぞれの直径は、カムジャーナル21の外周面21aの直径よりも僅かに長い。
上凹面62は、カムジャーナル21の外周面21aに当接するとともに、溝26を覆う(塞ぐ)。これにより、カムジャーナル21の溝26の内面と、カムキャップ13の上凹面62と、の間に通路66が形成される。通路66は、対応する通路43に連通する。
本実施形態において、上接続面63は、上方向におけるブロック部材51の端部に設けられる。上接続面63は、略平坦な面であり、上方向に向く。上接続面63は、ヘッドカバー15に向く。
側面64は、+X方向におけるブロック部材51の端部に設けられ、+X方向に向く。なお、側面64は、他の方向に向いても良い。外球面65は、カムキャップ13の外部に向くボール52の外面である。
OCV14は、可変バルブタイミング機構(VVT)に含まれる。OCV14は、例えば、カムジャーナル21の嵌合口25に嵌められる。このため、OCV14は、カムジャーナル21とともに、シリンダブロック12とカムキャップ13との間に位置する。なお、OCV14は、他の位置に設けられても良い。
図3は、本実施形態のヘッドカバー15を示す底面図である。ヘッドカバー15は、カバー部材71と、バッフルプレート72と、カムシャワー73とを有する。カバー部材71、バッフルプレート72、及びカムシャワー73の材料は、例えば、合成樹脂である。なお、カバー部材71、バッフルプレート72、及びカムシャワー73のうち少なくとも一つの材料は、他の材料であっても良い。
カバー部材71は、例えば、ボルトによりシリンダブロック12に取り付けられる。カバー部材71の少なくとも一部は、二つのカム軸11及びカムキャップ13の上方に位置する。カバー部材71は、二つのカム軸11、カムキャップ13、及び上部室Rを覆う。
バッフルプレート72は、上部室Rにおいてカバー部材71の天板に取り付けられる。カムシャワー73は、上部室Rにおいてカバー部材71及びバッフルプレート72に取り付けられる。なお、カムシャワー73は、カバー部材71及びバッフルプレート72のうち少なくとも一方と一体に形成されても良い。
カムシャワー73は、例えば、接続部材75と、二つの配管76とを有する。接続部材75は、カバー部材71の天板に取り付けられる。二つの配管76のそれぞれの一方の端部は、接続部材75に接続される。二つの配管76は、接続部材75から延びている。配管76は、例えば、バッフルプレート72に設けられたフックに保持される。なお、配管76は、他の手段により保持されても良い。
図1に示すように、カムキャップ13に、横通路81と、導入通路82と、複数の分岐通路83,84,85とが設けられる。横通路81は、第1の通路の一例である。分岐通路83,84は、第2の通路の一例である。分岐通路85は、第5の通路の一例である。図2は、理解のため、横通路81、導入通路82、及び分岐通路83,84,85の形状を模式的に示している。
横通路81は、X方向に略直線状に延びている。すなわち、横通路81は、カム軸11の中心軸Axと交差する方向に延びている。なお、横通路81は、X方向に対して斜めに延びていても良い。
横通路81は、外面60から離間している。言い換えると、横通路81は、カムキャップ13の内部に設けられる。横通路81は、例えば、ブロック部材51に設けられた加工穴Hの一部である。
加工穴Hは、例えばドリルによってブロック部材51に形成され、側面64から-X方向に延びている。加工穴Hが、当該加工穴Hに圧入されたボール52によって塞がれることで、カムキャップ13に横通路81が形成される。すなわち、加工穴Hは外面60に連通するが、横通路81はボール52によって外面60から隔てられる。ボール52の外面のうち、カムキャップ13の外部に露出される部分が、外球面65となる。
横通路81が延びる方向(横通路81の長手方向、X方向)と直交する横通路81の断面は、略円形に形成される。なお、横通路81の断面は、この例に限られない。横通路81の長手方向における横通路81の長さは、横通路81の長手方向と直交する方向における横通路81の長さ(幅、直径)よりも長い。
横通路81は、上凹面62から上方向に離間している。横通路81の長手方向において、二つのカム軸11のそれぞれの少なくとも一部は、横通路81の両端81a,81bの間に位置する。本実施形態では、横通路81の長手方向において、二つのカム軸11は、横通路81の両端81a,81bの間に位置する。すなわち、横通路81は、二つのカム軸11を跨いで延びている。
カムキャップ13は、横通路81の内周面81cをさらに有する。内周面81cは、X方向に延びる略円筒状の曲面であり、横通路81を形成(規定、区画)する。すなわち、内周面81cは、横通路81の長手方向と交差する方向に向く。
導入通路82は、横通路81から略下方向に延び、下面61と横通路81とを連通する。例えば、導入通路82の一方の端は、二つの上凹面62から-X方向に離間した位置で、下面61に開口する。導入通路82の他方の端は、横通路81の内周面81cに開口する。導入通路82は、端81aの近傍において、横通路81に接続される。
分岐通路83は、横通路81から略下方向に延び、対応する上凹面62と横通路81とを連通する。例えば、分岐通路83の一方の端は、一方の上凹面62の上方向の頂部に開口する。分岐通路83の他方の端は、横通路81の内周面81cに開口する。分岐通路83は、上凹面62と横通路81との間でZ方向に略直線状に延びている。
分岐通路84は、横通路81から略下方向に延び、対応する上凹面62と横通路81とを連通する。例えば、分岐通路84は、分岐通路83から+X方向に離間している。分岐通路84の一方の端は、他方の上凹面62の上方向の頂部に開口する。分岐通路84の他方の端は、横通路81の内周面81cに開口する。分岐通路84は、上凹面62と横通路81との間でZ方向に略直線状に延びている。すなわち、二つの分岐通路83,84は、略平行に延びている。
分岐通路85は、横通路81から略上方に延び、上接続面63と横通路81とを連通する。例えば、分岐通路85の一方の端は、上接続面63に開口する。分岐通路85の他方の端は、横通路81の内周面81cに開口する。分岐通路85は、上接続面63と横通路81との間でZ方向に略直線状に延びている。X方向において、分岐通路85は、二つの分岐通路83,84の間に位置する。なお、分岐通路83,84,85の位置は、この例に限られない。
図2に示すように、シリンダブロック12に、供給通路91と、二つのHLA供給通路92,93と、二つのジャーナル供給通路94,95とが設けられる。HLA供給通路92,93は、第4の通路の一例である。図2は、理解のため、供給通路91、HLA供給通路92,93、及びジャーナル供給通路94,95の形状を模式的に示している。
供給通路91は、内燃機関10のメインギャラリと側壁31の第1の上面41とを連通する。すなわち、図1に示すように、供給通路91の一方の端は、第1の上面41に開口する。供給通路91は、カムキャップ13の導入通路82に向き、導入通路82に連通する。
HLA供給通路92は、一方の第1の凹面42と、対応する複数のHLA49とを連通する。HLA供給通路92は、導入部92aと、供給部92bとを有する。導入部92a及び供給部92bは、シリンダブロック12の内部に設けられる。導入部92aは、一方の第1の凹面42に開口する。導入部92aは、第1の凹面42から斜め下方に延びている。供給部92bは、下方向における導入部92aの端部に接続される。
HLA供給通路93は、他方の第1の凹面42と、対応する複数のHLA49とを連通する。HLA供給通路93は、導入部93aと、供給部93bとを有する。導入部93a及び供給部93bは、シリンダブロック12の内部に設けられる。導入部93aは、他方の第1の凹面42に開口する。導入部93aは、第1の凹面42から斜め下方に延びている。二つの導入部92a,93aは、互いに異なる方向に延びるが、平行に延びても良い。供給部93bは、下方向における導入部93aの端部に接続される。
図2に示すように、供給部92b,93bは、X方向に互いに離間し、Y方向に延びている。すなわち、二つの供給部92b、93bは、略平行に延びている。複数のHLA49は、Y方向に二列に並べられる。供給部92b,93bは、対応するHLA49に連通する。
ジャーナル供給通路94は、HLA供給通路92の供給部92bと、一方の第2の凹面46とを連通する。ジャーナル供給通路95は、HLA供給通路93の供給部93bと、他方の第2の凹面46とを連通する。
上述のように、カムジャーナル21の溝26の内面と、シリンダブロック12の第1の凹面42と、の間に通路43が形成される。また、カムジャーナル21の溝26の内面と、カムキャップ13の上凹面62と、の間に通路66が形成される。通路43と通路66とは、互いに連通し、略円環状のジャーナル通路99を形成する。なお、ジャーナル通路99は、他の部分を含んでも良い。ジャーナル通路99は、第3の通路の一例である。図2は、理解のため、ジャーナル通路99の形状を模式的に示している。カムジャーナル21の供給孔27は、ジャーナル通路99に連通する。
二つのカム軸11のそれぞれの周りに、ジャーナル通路99が設けられる。ジャーナル通路99は、カムキャップ13及びシリンダブロック12と、第1の凹面42及び上凹面62に保持されるカム軸11と、の間に設けられる。
一方のジャーナル通路99は、分岐通路83に連通するとともに、HLA供給通路92の導入部92aに連通する。このため、HLA供給通路92は、一方のジャーナル通路99と、対応する複数のHLA49とを連通する。
他方のジャーナル通路99は、分岐通路84に連通するとともに、HLA供給通路93の導入部93aに連通する。このため、HLA供給通路93は、他方のジャーナル通路99と、対応する複数のHLA49とを連通する。
図3に示すように、ヘッドカバー15に、共通通路101と、二つのシャワー供給通路102と、複数の噴出孔103とが設けられる。共通通路101は、第6の通路の一例である。シャワー供給通路102は、第7の通路の一例である。図2は、理解のため、共通通路101及びシャワー供給通路102の形状を模式的に示している。
図1に示すように、共通通路101は、カムシャワー73の接続部材75に設けられ、略Z方向に延びている。例えば、接続部材75がカムキャップ13の上接続面63に当接することで、共通通路101が分岐通路85に連通する。なお、接続部材75と上接続面63との間に、他の部材が介在しても良い。
シャワー供給通路102は、対応する配管76に設けられる。シャワー供給通路102は、配管76の内部の空間であり、配管76に沿って延びている。このため、複数のシャワー供給通路102のそれぞれが共通通路101に連通する。
図3に示すように、噴出孔103は、配管76に設けられる。噴出孔103は、配管76を、当該配管76が延びる方向と交差する方向に貫通する。複数の噴出孔103は、カム軸11のカムが設けられた上部室Rと、対応するシャワー供給通路102とを連通する。複数の噴出孔103のそれぞれの断面積は、シャワー供給通路102の断面積よりも小さい。噴出孔103は、例えば、対応するカムに向かって開口する。
上述のように、カムシャワー73の材料は、合成樹脂である。このため、カムシャワー73は、金属製のカムキャップ13よりも、複雑な形状の共通通路101、シャワー供給通路102、及び噴出孔103の形成を容易にすることができる。
以上の内燃機関10において、カムキャップ13の横通路81を経由して、カムジャーナル21、OCV14、HLA49、第2の凹面46、及びカムシャワー73にオイルが供給される。例えば、メインギャラリから、シリンダブロック12の供給通路91及びカムキャップ13の導入通路82を通じて、横通路81にオイルが供給される。オイルは、横通路81から分岐する複数の分岐通路83,84,85へ流れる。
横通路81のオイルの一部は、分岐通路83,84を通り、ジャーナル通路99(通路66)に供給される。オイルは、ジャーナル通路99に供給されることで、カムジャーナル21の外周面21aと、シリンダブロック12の第1の凹面42及びカムキャップ13の上凹面62と、の間を潤滑する。
ジャーナル通路99に供給されたオイルの一部は、供給孔27を通じて、嵌合口25に嵌められたOCV14に供給される。VVTは、OCV14に供給されたオイルの行き先を制御することで、カム軸11の進角制御又は遅角制御を行う。
ジャーナル通路99に供給されたオイルの他の一部は、HLA供給通路92,93を通じて、HLA49に供給される。HLA49は、供給されたオイルの圧力によりプランジャをロッカーアームに向かって押す。
HLA供給通路92,93に供給されたオイルの一部は、ジャーナル供給通路94,95を通じて第2の凹面46に供給される。オイルは、第2の凹面46とカム軸11との間に供給され、カム軸11を潤滑する。
一方、横通路81のオイルの一部は、分岐通路85を通り、共通通路101に供給される。オイルは、共通通路101で分岐し、二つのシャワー供給通路102へ流れる。シャワー供給通路102を流れるオイルは、複数の噴出孔103から、上部室Rに位置するカム軸11のカムに向かって噴出される。
カムキャップ13は、例えば、以下のように製造される。例えば、鋳造により、カムキャップ13のブロック部材51が製造される。ブロック部材51には、導入通路82及び分岐通路83,84,85を形成する複数の凹部が設けられる。
次に、カムキャップ13に、例えばドリルにより、加工穴Hが設けられる。加工穴Hは、上述の複数の凹部に連通する。これにより、導入通路82及び分岐通路83,84,85が形成される。導入通路82及び分岐通路83,84,85は、加工穴Hに連通する。
次に、上述のように、ボール52が加工穴Hに圧入され、加工穴Hを塞ぐ。これにより、加工穴Hの一部が、カムキャップ13の外面60から離間した横通路81を形成する。以上により、横通路81、導入通路82、及び分岐通路83,84,85が設けられたカムキャップ13が製造される。
カムキャップ13の製造方法は、以上の例に限られない。例えば、導入通路82及び分岐通路83,84,85がドリルにより設けられても良い。また、積層造形によって、横通路81、導入通路82、及び分岐通路83,84,85が設けられたカムキャップ13が製造されても良い。この場合、カムキャップ13は、ボール52を省略することができる。
以上説明された実施形態に係る内燃機関10において、カムキャップ13に、横通路81と、分岐通路83,84,85と、が設けられる。横通路81は、二つのカム軸11のうち一方の中心軸Axと交差する方向に延びるとともに、カムキャップ13の外面60から離間している。横通路81が延びる方向において、二つのカム軸11のそれぞれの少なくとも一部は、横通路81の両端81a,81bの間に位置する。すなわち、横通路81が延びる方向は、二つのカム軸11が互いに離間する方向におおよそ沿っている。分岐通路83,84,85は、横通路81と外面60とを連通する。例えば、分岐通路83,84,85は、横通路81から二つのカム軸11にオイルを供給する分岐通路83,84や、横通路81から他の部分にオイルを供給する通路を含むことができる。本実施形態の内燃機関10は、横通路81をカムキャップ13の外面60から離間させることで、横通路81からカムキャップ13の外部にオイルが漏れることを抑制できる。これにより、内燃機関10は、オイル漏れによりオイルポンプの負担が増大することを抑制できる。また、横通路81は、二つのカム軸11のうち一方の中心軸Axと交差する所定の方向に延びるため、一度の加工(加工穴Hの形成)によって形成され得る。これにより、内燃機関10は、カムキャップ13のコストを低減することができる。また、カムキャップ13は、形状が単純化され、質量及びコストを低減することができる。
外面60は、二つのカム軸11のうち一方を回転可能に保持する上凹面62を有する。分岐通路83,84,85は、上凹面62と横通路81とを連通する分岐通路83を有する。これにより、横通路81は、分岐通路83を通じて、上凹面62に保持されるカム軸11にオイルを供給することができる。さらに、内燃機関10は、上凹面62に形成された溝を通じてカム軸11にオイルを供給する場合に比べ、カムキャップ13の外部にオイルが漏れることを抑制でき、ひいてはオイル漏れによりオイルポンプの負担が増大することを抑制できる。
シリンダブロック12は、カムキャップ13とともに二つのカム軸11を回転可能に保持する。HLA49は、シリンダブロック12の内部に配置される。カムキャップ13及びシリンダブロック12と、二つのカム軸11のうち上凹面62に保持される一方と、の間に、分岐通路83に連通するジャーナル通路99が設けられる。シリンダブロック12に、ジャーナル通路99とHLA49とを連通するHLA供給通路92が設けられる。これにより、横通路81は、分岐通路83、ジャーナル通路99、及びHLA供給通路92を通じて、HLA49にオイルを供給することができる。従って、内燃機関10は、HLA49にオイルを供給するための分岐通路83から独立した通路が不要となり、コストを低減できるとともに小型化することができる。
ヘッドカバー15の少なくとも一部は、二つのカム軸11及びカムキャップ13の上方に位置する。分岐通路83,84,85は、分岐通路85を有する。ヘッドカバー15に、共通通路101と、複数のシャワー供給通路102と、複数の噴出孔103とが設けられる。共通通路101は、分岐通路85に連通する。複数のシャワー供給通路102はそれぞれ、共通通路101に連通する。複数の噴出孔103は、二つのカム軸11のカムが設けられた上部室Rと複数のシャワー供給通路102とを連通する。これにより、横通路81は、分岐通路85、共通通路101、及びシャワー供給通路102を通じて、複数の噴出孔103にオイルを供給することができる。噴出孔103は、例えば、二つのカム軸11のカムに向かってオイルのシャワーを噴出する。上述のように、共通通路101と、当該共通通路101から分岐する複数のシャワー供給通路102とが、ヘッドカバー15に設けられる。従って、本実施形態の内燃機関10は、カムキャップ13の内部で分岐する通路が設けられる場合に比べ、カムキャップ13の通路を単純化することができ、ひいてはカムキャップ13のコストを低減することができる。
以上の説明において、抑制は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。
上述の本発明の実施形態は、発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲に含まれる一例に過ぎない。本発明のある実施形態は、上述の実施形態に対して、例えば、具体的な用途、構造、形状、作用、及び効果の少なくとも一部について、発明の要旨を逸脱しない範囲において変更、省略、及び追加がされたものであっても良い。