JP2023121663A - 吸収体及び吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】外力が加わっても繊維塊の位置ずれが起こりにくい吸収体を提供すること。【解決手段】吸収体10は、合成繊維を含む複数の繊維塊11と吸水性繊維12Fとを少なくとも含む。繊維塊11は二つの対向する基本面111と、該二つの基本面111を連結する骨格面112とを備えている。少なくとも一部の繊維塊11が基本面111に凹部15を有する。凹部15は二つの端点15a,15bを有する線状のものであり、一方の端点15aから他方の端点15bまで凹部15が連続していることが好適である。凹部15が位置する部位における繊維密度が、凹部15が位置する部位以外の部位の繊維密度よりも高いことも好適である。【選択図】図4

Description

本発明は吸収体及び吸収性物品に関する。
使い捨ておむつ及び生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられる吸収体は、木材パルプ等の吸水性繊維と粒子状の吸水性ポリマーとで構成されることが多い。この種の吸収体に要求される特性の一つに、着用者の身体へのフィット性や保形性の向上がある。
前記の特性を向上させることを目的として、本出願人は先に、合成繊維を含む複数の繊維塊と複数の吸水性繊維により構成される吸収体を提案した(特許文献1参照)。この吸収体は、前記繊維塊と前記吸水性繊維が交絡により結合され、まとまった一つの塊となって機能することから、クッション性、圧縮回復性、及び外力に対する応答性に優れたものになる。
特開2019-63469号公報
特許文献1に記載の吸収体を備えた吸収性物品は、繊維塊を含んでいない従来の吸収体を備えた吸収性物品に比べて、吸収体に要求される各種特性が向上する。しかし、吸収性物品の性能向上に対する要求は依然として高く、その要求の一つとして、フィット性や装着感を一層高めたいという要求がある。
したがって本発明の課題は、繊維塊を含む吸収体において、該吸収体に外力が加わった場合でも該繊維塊の移動が起こりにくい吸収体を提供することにある。
本発明は、合成繊維を含む複数の繊維塊と吸水性繊維とを少なくとも含む吸収体であって、
前記繊維塊は二つの対向する基本面と、該二つの基本面を連結する骨格面とを備えており、
少なくとも一部の前記繊維塊が前記基本面に凹部を有する吸収体を提供するものである。
本発明の吸収体は、外力が加わっても繊維塊の位置ずれが起こりにくいことから、該吸収体を備えた吸収性物品は、長時間の着用にわたり良好なフィット性や快適な装着感が維持される。
図1は、本発明の吸収体の一実施形態の模式的な斜視図である。 図2(a)及び図2(b)はそれぞれ、本発明の吸収体に含まれる繊維塊の模式的な斜視図である。 図3は、繊維塊の製造方法の説明図である。 図4は、繊維塊の一実施形態を示す斜視図である。 図5(a)ないし(d)は、隣り合う繊維塊どうしの固定の態様を示す模式図である。 図6(a)及び(b)は、繊維塊の別の実施形態を示す平面図である。 図7は、本発明の吸収体に含まれる繊維塊を製造するために用いられる好適な装置を示す斜視図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の吸収体の一実施形態である吸収体10が示されている。吸収体10は、複数の繊維を含む繊維塊11と、吸水性繊維12Fとを含む。
本明細書において「繊維塊」とは、複数の繊維がまとまって一体となった繊維集合体のことである。繊維塊の形態としては、例えば一定の大きさを有する合成繊維シートから分割されたシート片が挙げられる。特に、合成繊維シートとして不織布を選択し、該不織布から所定の大きさ及び形状に切り出した不織布片が繊維塊として好ましい。
このように、本発明に係る繊維塊の好ましい一実施形態であるシート片状の繊維塊は、複数の繊維を集積させて該シート片を形作るように構成されたものではなく、該シート片よりも寸法の大きな繊維シート(好ましくは不織布)の切断により製造されるものである(図3参照)。
吸収体10において、複数の繊維塊11どうし、又は繊維塊11と吸水性繊維12Fとが交絡している。本実施形態の吸収体10においては、複数の繊維塊11が吸収体10中の構成繊維との絡み合いによって結合して一つの繊維塊連続体を形成している。また、複数の繊維塊11どうしが交絡していると共に、繊維塊11と吸水性繊維12Fとが交絡して結合していてもよい。更に通常は、複数の吸水性繊維12Fどうしも互いに交絡している。吸収体10に含有されている複数の繊維塊11の少なくとも一部は、他の繊維塊11あるいは吸水性繊維12Fと交絡している。吸収体10においては、それに含有されている複数の繊維塊11の全部が互いに交絡して一つの繊維塊連続体を形成している場合があり得るし、複数の繊維塊連続体が互いに非結合の状態で混在している場合があり得る。
繊維塊11は、柔軟性などに優れるものであるから、これを吸収体に含有させることで、その吸収体は潜在的に柔軟性等に優れたものとなる。本発明の吸収体10では、このような繊維塊11が含有されていることに加え、繊維塊11どうし又は繊維塊11と吸水性繊維12Fとの間も互いに交絡によって結合しているため、吸収体10は外力への応答性が一層優れ、柔軟性、クッション性、圧縮回復性に優れる。例えば本発明の吸収体10が吸収性物品に組み込まれた場合に、様々な方向から受ける外力(例えば吸収性物品着用者の体圧)に対してしなやかに変形し、該吸収性物品を着用者の身体にフィット性よく密着させ得る。
前述したように、吸収体10においては繊維塊11どうし又は繊維塊11と吸水性繊維12Fとが交絡しているところ、ここでいう、繊維塊11どうし等の「交絡」には、下記形態A及びBが包含される。
形態A:繊維塊11どうし等が、融着ではなく、繊維塊11の構成繊維どうしの絡み合いによって結合している形態。
形態B:吸収体10の自然状態(外力が加わっていない状態)では、繊維塊11どうし等は結合していないが、吸収体10に外力が加わった状態では、繊維塊11どうし等が構成繊維どうしの絡み合いによって結合し得る形態。ここでいう、「吸収体10に外力が加わった状態」とは、例えば、吸収体10が適用された吸収性物品の着用中において、吸収体10に変形力が加わった状態である。
このように、吸収体10においては、形態Aのように、繊維塊11は、他の繊維塊11又は吸水性繊維12Fと、繊維どうしの絡み合いすなわち「交絡」によって結合している他、形態Bのように、他の繊維塊11又は吸水性繊維12Fと交絡し得る状態でも存在しており、斯かる繊維の交絡による結合が、前述した吸収体10の作用効果を一層有効に発現するのに重要なポイントの一つとなっている。しかしながら、吸収体10は、形態Aの「交絡」を有している方が保形性の点から好ましい。繊維の交絡による結合は、接着成分や融着がなく、繊維どうしの絡み合いのみによってなされているため、交絡している個々の要素(繊維塊11、吸水性繊維12F)の動きの自由度が高く、そのためその個々の要素は、それらからなる集合体としての一体性を維持し得る範囲で移動し得る。このように、吸収体10は、それに含有されている複数の繊維塊11どうしあるいは繊維塊11と吸水性繊維12Fとが比較的緩く結合していることで、外力を受けたときに変形が可能な、緩やかな保形性を有しており、保形性とクッション性及び圧縮回復性等とが高いレベルで両立されている。
尤も、吸収体10においては、形態Bのように、吸収体10における繊維塊11を介した結合態様のすべてが「交絡」である必要はなく、吸収体10の一部に交絡以外の他の結合態様、例えば接着剤による接合などが含まれていてもよい。
前述した吸収体10の作用効果をより一層確実に発現させる観点から、形態Aである「交絡によって結合している繊維塊11」と形態Bである「交絡し得る状態の繊維塊11」との合計数は、吸収体10中の繊維塊11の全数に対して、好ましくは半数以上、更に好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。
同様の観点から、形態Aの「交絡」を有する繊維塊11の数は、他の繊維塊11又は吸水性繊維12Fとの結合部を有する繊維塊11の全数の70%以上、特に80%以上あることが好ましい。
吸収体10の主たる特徴の一つとして、繊維塊11の外形形状が挙げられる。図2(a)及び(b)には、繊維塊11の典型的な外形形状が二つ示されている。図2(a)に示す繊維塊11Aは四角柱形状、より具体的には直方体形状をなし、図2(b)に示す繊維塊11Bは円盤形状をなしている。繊維塊11A,11Bは、相対向する二つの基本面(base plane)111と、該二つの基本面111を連結する骨格面(body plane)112とを備えている点で共通する。
図2(a)の直方体形状の繊維塊11Aは、六つの平坦面を有しているところ、その六面のうち、最大面積を有する相対向する2面がそれぞれ基本面111であり、残りの四面がそれぞれ骨格面112である。基本面111と骨格面112とは互いに交差、より具体的には直交している。
図2(b)の円盤形状の繊維塊11Bは、平面視円形状の相対向する二つの平坦面と、両平坦面を連結する湾曲した周面とを有しているところ、該二つの平坦面がそれぞれ基本面111であり、該周面が骨格面112である。
繊維塊11A,11Bは、骨格面112が平面視において四角形形状、より具体的には長方形形状をなしている点でも共通する。
吸収体10に含有される複数の繊維塊11は、それぞれ、図2(a)及び(b)に示す繊維塊11A,11Bのような、二つの対向する基本面111と両基本面111を連結する骨格面112とを備えた「定形の繊維集合体」である。換言すれば、吸収体10中の任意の1個の繊維塊11を透視した場合(例えば電子顕微鏡で観察した場合)、その繊維塊11の透視形状はその観察角度によって異なり、1個の繊維塊11につき多数の透視形状が存在するところ、吸収体10中の複数の繊維塊11それぞれは、その多数の透視形状の一つとして、二つの対向する基本面111と両基本面111を連結する骨格面112とを備えた特定透視形状を有する。
このように、吸収体10に含まれている複数の繊維塊11が、基本面111と骨格面112とで画成された「定形の繊維集合体」であると、吸収体10における繊維塊11の均一分散性が向上するため、繊維塊11の如き繊維集合体を吸収体10に配合することで期待される効果(吸収体の柔軟性、クッション性、圧縮回復性などの向上効果)が安定的に発現するようになる。また特に、図2(a)に示す如き直方体形状の繊維塊11の場合、その外面が二つの基本面111と4つの骨格面112との六つの面からなるため、図2(b)に示す如き三つの外面を持つ円盤形状の繊維塊11に比して、他の繊維塊11あるいは吸水性繊維12Fとの接触機会を比較的多く持つことが可能となり、交絡性が高まって、保形性等の向上にも繋がり得る。
繊維塊11において、二つの基本面111の総面積は、骨格面112の総面積よりも大きいことが好ましい。すなわち、図2(a)の直方体形状の繊維塊11Aにおいては、二つの基本面111それぞれの面積の総和は、4つの骨格面112それぞれの面積の総和よりも大きく、また、図2(b)の円盤形状の繊維塊11Bにおいては、二つの基本面111それぞれの面積の総和は、円盤形状の繊維塊11Bの周面を形成する骨格面112の面積よりも大きい。繊維塊11A,11Bのいずれにおいても、基本面111は、繊維塊11A,11Bが有する複数の面のうちで面積が最大の面である。
このような、二つの基本面111と両基本面111に交差する骨格面112とで画成された「定形の繊維集合体」である繊維塊11は、従来技術とは製造方法を異にすることで実現できるものである。好ましい繊維塊11の製造方法は、図3に示すように、原料となる原料繊維シート10bs(繊維塊11と同組成で且つ繊維塊11よりも寸法が大きいシート)を、カッターなどの切断手段を用いて定形に切断するものである。図3は、図2(a)の直方体形状の繊維塊11Aの製造方法を説明した図であり、図3中の点線は切断線を示している。吸収体10には、このように繊維シートを定形に切断して得られた、形状及び寸法が均一な複数の繊維塊11が配合されている。前述したとおり、原料繊維シート10bsとしては不織布が好ましい。
図2(a)の直方体形状の繊維塊11Aは、図3に示すように原料繊維シート10bsを、第1方向D1と該第1方向D1に交差(より具体的には直交)する第2方向D2とに所定の長さで切断することで製造される。両方向D1,D2は、それぞれ、シート10bsの面方向における所定の一方向であり、シート10bsは該面方向と直交する厚み方向Zに沿って切断される。このように、原料繊維シート10bsをいわゆる賽の目状に切断して得られる複数の直方体形状の繊維塊11Aにおいては通常、その切断面すなわちシート10bsの切断時においてカッターなどの切断手段と接触する面が、骨格面112であり、非切断面すなわち該切断手段と接触しない面が、基本面111である。基本面111は、シート10bsにおける表裏面(厚み方向Zと直交する面)であり、また前述したとおり、繊維塊11Aが有する複数の面のうちで面積が最大の面である。
なお、以上の繊維塊11Aについての説明は、図2(b)の円盤形状の繊維塊11Bにも基本的に当てはまる。繊維塊11Aとの実質的な違いは、原料繊維シート10bsの切断パターンのみであり、シート10bsを定形に切断して繊維塊11Bを得る際には、繊維塊11Bの平面視形状に合わせて、シート10bsを円形状に切断すればよい。
また、繊維塊11の外形形状は図2(a)及び(b)に示すものに限定されず、基本面111及び骨格面112はいずれも、図2(a)の各面111,112のように湾曲していない平坦面でもよく、あるいは図2(b)の骨格面112(円盤形状の繊維塊11Bの周面)のように湾曲面でもよい。また、基本面111と骨格面112とは互いに同形状同寸法であってもよく、具体的には例えば、繊維塊11Aの外形形状は立方体形状であってもよい。
吸収体10に含まれる繊維塊11はその少なくとも一部が、基本面111に凹部15を有することが好ましい。本明細書において「凹部」とは、該凹部が位置する部位における基本面111の厚みが、該凹部が位置する部位以外の部位における基本面111の厚み(以下、繊維塊11の厚みともいう)よりも減少している部位のことである。
図4に示すとおり、繊維塊11における凹部15は二つの端点15a,15bを有する線状のものであり得る。図4に示す凹部15は、二つの端点15a,15b間を最短で結ぶ直線になっているが、凹部15は直線に限られず、例えば波形の曲線であってもよい。あるいは凹部15は、直線と曲線とを含むものであってもよく、方向の異なる2種類の直線(例えば三角波状や鋸歯状)を含むものであってもよい。二つの繊維塊11どうしが、後述する図5(a)ないし(d)に示すように首尾よく係合するためには、凹部15は直線であることが好ましい。
図4に示す繊維塊11においては、二つの端点15a,15bはいずれも、繊維塊11の周縁に位置している。しかし端点15a,15bの位置はこれに限られず、例えば二つの端点15a,15bのうちのいずれか一方が、繊維塊11の周縁よりも内方に位置していてもよく、あるいは二つの端点15a,15bの双方が、繊維塊11の周縁よりも内方に位置していてもよい。
また、図4に示す繊維塊11においては、二つの端点15a,15bは、平面視して矩形の繊維塊11における対向する二辺上に位置している。しかし端点15a,15bの位置はこれに限られず、例えば平面視して矩形の繊維塊11における隣り合う二辺上に位置していてもよい。
繊維塊11が上述した凹部15を有することによって、該繊維塊11を含む吸収体10を備えた吸収性物品を着用した場合、該繊維塊11が前後方向に位置ずれが生じにくくなるという利点がある。この理由は、吸収体10に外力が加わった場合、凹部15を有する繊維塊11が他の繊維塊11又は吸水性繊維12Fと良好に絡み合い、吸収体10内における繊維塊11及び吸水性繊維12Fの位置ずれを抑制するからである。詳細には、繊維塊11が凹部15を起点に、他の繊維塊11(凹部15を有している繊維塊11及び/又は凹部15を有していない繊維塊11)を包み込むように変形し、繊維塊11どうしが固定される。また、凹部15が存在することで、繊維塊11の摩擦が大きくなることに起因して、繊維塊11どうしが動きにくくなる。なお「前後方向」とは吸収性物品の装着状態において、着用者の股下部を介して腹側と背側とを結ぶ方向のことである。
図5(a)ないし(d)には、隣り合う繊維塊11どうしの固定の態様が模式的に示されている。
図5(a)には、凹部15を起点とし、凹部15に沿って二つ折りに折れ曲がった状態の第1の繊維塊11aの間に、第2の繊維塊11bが挟持されて、二つの繊維塊11a,11bが固定されている状態が示されている。
図5(b)においては、第1の繊維塊11aが、凹部15を起点とし、凹部15に沿って二つ折りされた状態になっており、且つ第2の繊維塊11bも、凹部15を起点とし、凹部15に沿って二つ折りされた状態になっている。そして、二つ折りされた状態の第1の繊維塊11aの間に、第2の繊維塊11bの一部が挟持されて、二つの繊維塊11a,11bが固定されている。
図5(c)には、第1の繊維塊11aが、凹部15とそれに連設された切り込み部とを有し、該切り込み部に、第2の繊維塊11bが挿入されて、二つの繊維塊11a,11bが固定されている状態が示されている。
図5(d)には、第1の繊維塊11aにおける基本面111の四辺のうちの一辺が、第2の繊維塊11bの凹部15と係合して、二つの繊維塊11a,11bが固定されている状態が示されている。
本実施形態の吸収体に含まれる繊維塊11は、そのすべてが凹部15を有するものであってもよく、あるいは繊維塊11の一部が凹部15を有し、残部は凹部を有さない繊維塊11であってもよい。すべての繊維塊11のうち、一部の繊維塊11のみが凹部15を有する場合、すべての繊維塊11に対する、凹部15を有する繊維塊11の割合は、上述した凹部15の利点を顕著なものとする観点から、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、30質量%以上であることが一層好ましい。凹部15を有する繊維塊11の割合の上限値に特に制限はなく、吸収体10に含まれる繊維塊11のすべてが凹部15を有する繊維塊11であってもよい。
吸収体10が加圧されることによって生じる繊維塊11の位置ずれを一層抑制する観点から、凹部15は、二つの端点15a,15bを有する線状のものであることに加えて、一方の端点15aから他方の端点15bまで凹部15が連続していることが好ましい。凹部15が連続していることによって、図5(a)及び(b)に示すとおり、繊維塊が凹部に沿って二つ折りされやすくなり、また図5(c)に示すとおり、繊維塊の一辺が、他の繊維塊の凹部と係合しやすくなる。凹部15が連続しているとは、一方の端点15aから他方の端点15bまでの間において、凹部15が不連続になっている箇所が存在しないことをいう。
前記と同様の観点から、凹部15はその深さが、繊維塊11の厚みに対して25%以上95%以下であることが好ましく、30%以上90%以下であることが更に好ましく、35%以上85%以下であることが一層好ましい。
繊維塊11の厚み及び凹部15の深さは、デジタルマイクロスコープ(VHX(登録商標)-5000、キーエンス)を用いた高さ計測により測定される。
凹部15を有する繊維塊11においては、凹部15が位置する部位における繊維密度が、凹部15が位置する部位以外の部位の繊維密度よりも高くなっていることが好ましい。このような繊維密度の差があることによって、図5(a)及び(b)に示すとおり、繊維塊が凹部に沿って一層二つ折りされやすくなる。また図5(c)に示すとおり、繊維塊の一辺が、他の繊維塊の凹部と係合しやすくなる。この利点を一層顕著なものとする観点から、凹部15が位置する部位における繊維密度をρとし、凹部15が位置する部位以外の部位の繊維密度をρとしたとき、ρ/ρの値が1.3以上20以下であることが好ましく、1.4以上10以下であることが更に好ましく、1.5以上6.7以下であることが一層好ましい。
繊維密度ρは、不織布坪量を凹部15が位置する部位の厚みで除して算出される。繊維密度ρは、不織布坪量を凹部15が位置する部位以外の部位の厚みで除して算出される。
凹部15を有する繊維塊11においては、凹部15が位置する部位の繊維は非フィルム状態になっていることが好ましい。凹部15が位置する部位の繊維が非フィルム状態になっていると、凹部15において繊維塊11が二つ折りされやすくなり、図5(a)及び(b)に示す状態を実現させやすくなる。逆に、凹部15が位置する部位の繊維がフィルム状態になっている場合、凹部15の剛性が高くなるために繊維塊11が二つ折りされづらくなり、図5(a)及び(b)に示す状態を実現させにくくなる。
凹部15を有する繊維塊11においては、凹部15が位置する部位における繊維の端点の単位面積当たりの数が、凹部15が位置する部位以外の部位における繊維の端点の単位面積当たりの数よりも多いことが好ましい。繊維の端点の数にこのような差を設けることによって、例えば図5(c)に示す場合に、凹部15を介して他の繊維塊との摩擦力が高まるという利点がある。ここでいう「凹部15が位置する部位以外の部位」とは、基本面111内の該当部位のことであり、骨格面112は含まない。
凹部15が位置する部位又は凹部15が位置する部位以外の部位における繊維の端点の単位面積当たりの数は、以下の方法により測定される。
<繊維塊の基本面における繊維の端点の単位面積当たりの数の測定方法>
繊維塊を紙両面テープ(ニチバン株式会社製ナイスタック(登録商標)NW-15)を用いて試料台に貼り付ける。次いで繊維塊を白金コーティングする。コーティングには日立那珂精器株式会社製イオンスパッタ装置E-1030型(商品名)を用い、スパッタ時間は120秒とする。繊維塊の測定対象部位(凹部15が位置する部位及び凹部15が位置する部位以外の部位)を、JEOL(株)製のJCM-6000型の電子顕微鏡を用いて、倍率100倍にて観察する。この倍率100倍の観察画面においては、測定対象部位の任意の位置に縦1.2mm、横0.6mmの長方形領域を設定し、且つ該長方形領域の面積が、該観察画面の面積の90%以上を占めるように観察角度などを調整した上で、該長方形領域内に含まれる繊維の端点の個数を測定する。但し、倍率100倍の観察画面において、繊維塊の測定対象部位が1.2mm×0.6mmよりも小さく、該観察画面全体に占める前記長方形領域の面積の割合が90%未満となる場合には、観察倍率を100倍より大きくした上で、前記と同様に、該測定対象部位における前記長方形領域内に含まれる繊維の端点の数を測定する。個数測定の対象となる「繊維の端点」は、繊維塊の構成繊維の長さ方向の端点であり、測定対象部位から該構成繊維の長さ方向の端点以外の部分(長さ方向中間部)が延出していても、該長さ方向中間部は個数測定の対象としない。そして下記式により、繊維塊の測定対象部位(凹部15が位置する部位及び凹部15が位置する部位以外の部位)における繊維の端点の単位面積当たりの数を算出する。10個の繊維塊それぞれについて、前記手順に従って、基本面における繊維の端点の単位面積当たりの数を測定し、それら複数の測定値の平均値を、当該測定対象部位における繊維の端点の単位面積当たりの数とする。
繊維塊の測定対象部位(凹部15が位置する部位又は凹部15が位置する部位以外の部位)における繊維の端点の単位面積当たりの数(個数/mm)=長方形領域(1.2×0.6mm)に含まれる繊維の端点の個数/該長方形領域の面積(0.72mm
凹部15を有する繊維塊11においては、その基本面111の面積は、凹部15を有しない繊維塊11の基本面111の面積よりも大きいことが好ましい。こうすることには、凹部15を有する繊維塊11が第2の繊維塊を効率良く固定できるという利点がある。この利点を一層顕著なものとする観点から、凹部15を有する繊維塊11の基本面111の面積をS1とし、凹部15を有さない繊維塊11の基本面111の面積をS2としたとき、S1/S2の値が、2以上8以下であることが好ましく、3以上7以下であることが更に好ましく、4以上6以下であることが一層好ましい。
面積S1及びS2は、繊維塊11の平面視の状態で測定される。
図4に示す繊維塊11においては、基本面111に一本の線状の凹部15を有しているが、これに代えて基本面111に二本以上の線状の凹部15を有していてもよい。繊維塊11が基本面111に二本以上の線状の凹部15を有する場合、二本以上の凹部15は、交点を有するように配置されていてもよく、あるいは互いに交わらないように配置されていてもよい。
二本以上の凹部15が交点を有するように配置されている場合には、該交点が位置する部位が脆弱点となり、該脆弱点を起点として繊維塊11が折れ曲がりやすくなるため、効率よく他の繊維塊を固定できるという利点がある。
一方、二本以上の凹部15が互いに交わらないように配置されている場合には、二本以上の凹部を起点に繊維塊11が折れ曲がることで効率よく他の繊維塊を固定できる(一つの繊維塊が2段階折れる、凹部が一本だと1段階のみ折れる)という利点がある。
図4に示す繊維塊11においては、繊維塊11における二つの基本面111のうちの一方に凹部15が設けられていたが、これに代えて二つの基本面111,111の双方に、それぞれ独立に一本又は二本以上の凹部15を有していてもよい。
図6(a)及び(b)には、吸収体10に含まれる繊維塊11の別の実施形態が示されている。
図6(a)に示す繊維塊11においては、基本面111が矩形をなしており、四辺のうちの一辺L1上に、凹部15の一方の端点15aを有している。凹部15の他方の端点15bは、基本面111の周縁よりも内側に位置している。繊維塊11には、切れ込み部16が形成されている。切れ込み部16は、基本面111の四辺のうちの一辺L2から基本面111の内側に向けて延びている。切れ込み部16は直線状であり、凹部15の延びる方向の延長線上に位置し、凹部15と連設している。したがって凹部15の他方の端点15bは、切れ込み部16の一方の端点と一致している。切れ込み部16の他方の端点は、基本面111の一辺L2上に位置している。当該一辺L2は、凹部15における一方の端点15aが位置する一辺L1と対向している。このような形状を有する繊維塊11を用いることで、繊維塊11どうしが、先に説明した図5(c)に示す状態で固定されやすくなるという利点がある。
図6(b)に示す繊維塊11は、四つのシート片P1,P2,P3,P4から構成されている。各シート片は同形・同寸法であり、いずれも矩形をしている。各シート片は、シート片P1とP2とがそれらの長辺を共有するように、且つ、シート片P3とP4とがそれらの長辺を共有するように配置され、更に、シート片P1とP4とがそれらの短辺を共有するように、且つ、シート片P2とP3とがそれらの短辺を共有するように配置されている。そして、シート片P1とP2との間が、第1凹部151を介して連結されており、シート片P2とP3との間が、第2凹部152を介して連結されており、シート片P3とP4との間が、第3凹部153を介して連結されている。四つのシート片は、各凹部151,152,153以外では互いに分離した状態になっている。
第1凹部151は、その一方の端点151aが、繊維塊11の基本面111の第1短辺N1の中点上に位置している。第1凹部151の他方の端点151bは、基本面111の周縁よりも内側に位置している。第1凹部151の延びる方向は、基本面111の第1長辺M1と平行な方向になっている。
第2凹部152は、その一方の端点152aが、繊維塊11の基本面111の第1長辺M1の中点上に位置している。第2凹部152の他方の端点152bは、基本面111の周縁よりも内側に位置している。第2凹部152の延びる方向は、基本面111の第1短辺N1と平行な方向になっている。
第3凹部153は、その一方の端点153aが、繊維塊11の基本面111の第1短辺N2の中点上に位置している。第3凹部153の他方の端点153bは、基本面111の周縁よりも内側に位置している。第3凹部153の延びる方向は、基本面111の第1長辺M1と平行な方向になっている。
このような形状を有する繊維塊11を用いることで、繊維塊11どうしが先に説明した図5(a)若しくは図5(b)又は図5(c)に示す状態で固定されやすくなるという利点がある。
以上の各実施形態の繊維塊11の各部の寸法等は以下のように設定することが好ましい。
基本面111が図2(a)に示す如き平面視長方形形状の場合、その短辺111aの長さL1は、好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは1mm以上、特に好ましくは2mm以上、そして、好ましくは30mm以下、更に好ましくは15mm以下、特に好ましくは10mm以下である。
平面視長方形形状の基本面111の長辺111bの長さL2は、好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは1mm以上、特に好ましくは2mm以上、そして、好ましくは30mm以下、更に好ましくは15mm以下、特に好ましくは10mm以下である。
基本面111が図2(a)及び(b)に示すように、繊維塊11が有する複数の面のうちで最大面積を有する面である場合、長辺111bの長さL2は、繊維塊11の最大差し渡し長さに一致し、該最大差し渡し長さは、円盤形状の繊維塊11Bにおける平面視円形状の基本面111の直径に一致する。
短辺111aの長さL1と長辺111bの長さL2との比率は、L1/L2として、好ましくは0.010以上、更に好ましくは0.067以上、そして、好ましくは1以下、更に好ましくは0.5以下である。なお、本発明において、基本面111の平面視形状は、図2(a)に示す如き長方形形状に限定されず、正方形形状でもよく、すなわち互いに直交する2辺の長さL1,L2の比率は、L1/L2として1でもよい。
繊維塊11の厚みT、すなわち二つの対向する基本面111間の長さTは、好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.3mm以上、そして、好ましくは10mm以下、更に好ましくは6mm以下である。
図7には、吸収体10に含まれる、凹部15を有する繊維塊11の製造に用いられる好適な装置100が示されている。この装置100は、図4に示す直方体形状の繊維塊11を製造するものであって、繊維塊11の構成繊維からなる帯状の原料繊維シート10bsを、互いに交差する2方向に所定の長さで切断する切断工程を実施する装置である。
装置100は、切断対象物である原料繊維シート10bsを第1方向D1に切断する第1のカッターローラ53と、切断対象物を第2方向D2に切断する第2のカッターローラ54とを有する。第2のカッターローラ54は、第1のカッターローラ53よりも下流に配置されている。
更に装置100は、第1のカッターローラ53と第2のカッターローラ54との間に設置されたアンビルローラ55、及びアンビルローラ55に対向する位置に設置されたガイドローラ56を有する。
以上の四本のローラは、それらの回転軸を平行に揃えた状態で設置されている。第1のカッターローラ53とアンビルローラ55とはそれらの周面が対向するように配置されている。第2のカッターローラ54とアンビルローラ55も、それらの周面が対向するように配置されている。更にガイドローラ56とアンビルローラ55も、それらの周面が対向するように配置されている。
カッターローラ53,54の外周面にはカッター刃51,52が配されているのに対し、アンビルローラ55の外周面は、カッター刃が配されておらず平滑である。カッター刃51は、原料繊維シート10bsの搬送方向と同方向に延びており、該搬送方向と直交する方向に距離を置いて複数配置されている。カッター刃52は、原料繊維シート10bsの搬送方向と直交する方向に延びており、該搬送方向に距離を置いて複数配置されている。
原料繊維シート10bsの切断方向の一つである「第1方向D1」は、原料繊維シート10bsの搬送方向に対応しており、第1方向D1と搬送方向とのなす角度は45度未満である。図示の形態においては、第1方向D1と搬送方向とは一致しており、両方向のなす角度はゼロである。
また、原料繊維シート10bsの切断方向の他の一つである「第2方向D2」は、第1方向D1に交差する方向であり、図示の形態においては、第1方向D1と第2方向D2とは直交し、両方向D1,D2のなす角度は90度である。
図7に示すとおり、第1のカッターローラ53の外周面には、該ローラ53の周方向、すなわち第1方向D1に延びるカッター刃51が、該ローラ53の回転軸方向、すなわち第2方向D2に所定の間隔を置いて複数配されている。
また、第2のカッターローラ54の外周面には、該ローラ54の回転軸方向、すなわち第2方向D2に延びるカッター刃52が、該ローラ54の周方向、すなわち搬送方向(第1方向D1)に所定の間隔を置いて複数配されている。
装置100を用いた繊維塊11の製造においては、帯状の原料繊維シート10bsを、該原料繊維シート10bsの長手方向に沿う第1方向D1に切断して複数の帯状の細幅シート片10btを得、次いで、該複数の細幅シート片10btをそれぞれ第1方向D1に交差(図示の形態では「直交」)する第2方向D2に切断して繊維塊11を形成する。
装置100においては、帯状の原料繊維シート10bsを、先ず、第1のカッターローラ53とアンビルローラ55との間にて、該シート10bsの長手方向であり搬送方向でもある第1方向D1に切断して、同方向D1に延びる細幅シート片10btを複数製造する。細幅シート片10btは、分割部材(不図示)により互いに分離される。次いで、第2のカッターローラ54とアンビルローラ55との間にて、複数の帯状の細幅シート片10btを、それらの長手方向と直交する幅方向である第2方向D2に切断する。このように、帯状の原料繊維シート10bsを第1方向D1及びこれに直交する第2方向D2に順次切断することで、原料繊維シート10bsは複数の繊維塊11となる。
原料繊維シート10bs切断時の切断線の間隔L1a(第1方向D1の間隔、図3参照)及び間隔L2a(第2方向D2の間隔、図3参照)は、繊維塊11が所期の効果を発現する上で必要な寸法を確保する観点などから、好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.5mm以上、そして、好ましくは30mm以下、更に好ましくは15mm以下である。
装置100を用いた繊維塊11の製造においては、第1のカッターローラ53に備えられたカッター刃51及び/又は第2のカッターローラ54に備えられたカッター刃52に刃高の低い部位が部分的に形成されている。例えば、第1のカッターローラ53に備えられたカッター刃51について説明すると、第1のカッターローラ53の周方向に沿って延びるカッター刃51に、規則的に又は不規則に、刃高の低い部位が部分的に形成されている。カッター刃51における刃高の低い部位では、原料繊維シート10bsの切断は起こらず、それに代えて、原料繊維シート10bsの押圧及び高密度化が第1方向D1に沿って生じる。場合によっては、一部の繊維の切断も生じる。それらの結果、押圧及び高密度化が生じた部位に凹部15が形成される。
第2のカッターローラ54に備えられたカッター刃52についても同様であり、第2のカッターローラ54の軸方向に沿って延びるカッター刃52に、規則的に又は不規則に、刃高の低い部位が部分的に形成することができる。カッター刃52における刃高の低い部位では、原料繊維シート10bsの切断は起こらず、それに代えて、原料繊維シート10bsの押圧及び高密度化が第2方向D2に沿って生じる。場合によっては、一部の繊維の切断も生じる。それらの結果、押圧及び高密度化が生じた部位に凹部15が形成される。
以上のとおりの方法で凹部15を形成することによって、凹部15が位置する部位における繊維の端点の単位面積当たりの数は、凹部15が位置する部位以外の繊維の端点の単位面積当たりの数よりも多くなる。また、原料繊維シート10bsの圧縮によって凹部15が生じることに起因して、凹部15が位置する部位における繊維密度は、凹部15が位置する部位以外の繊維密度よりも高くなる。
凹部15の形成を首尾よく行う観点から、カッター刃51及びカッター刃52における刃高の低い部位での刃を、原料繊維シート10bsの厚みに対して70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上の割合で原料繊維シート10bsと接触させる。また、凹部15を確実に形成する観点から、刃高の低い部位での刃を、原料繊維シート10bsの厚みに対して100%未満の割合で原料繊維シート10bsと接触させる。なお、カッター刃51及びカッター刃52における刃高の高い部位での刃は、原料繊維シート10bsの厚みに対して100%の割合で原料繊維シート10bsと接触させる。
第1のカッターローラ53及び第2のカッターローラ54を用いた繊維塊11の製造においては、これらのローラ53,54は非加熱状態とすることが、繊維塊11における凹部15が位置する部位での繊維のフィルム化を抑制する観点から好ましい。非加熱状態とは、ローラ53,54を意図的に加熱しないことを意味する。
以上の方法に従い原料繊維シート10bsの切断によって製造された複数の繊維塊11は、常法によって吸水性繊維12Fと混合され、所定の形状を有する吸収体10となる。
吸収体10内において繊維塊11は平面視で均一に分布させてもよく、あるいは所定の部位に偏在させてもよい。繊維塊11を所定の部位に偏在させる場合、吸収性物品に高いクッション性やフィット性が要求される領域、例えば吸収性物品の装着状態において、着用者の股下部に対向する領域に繊維塊11を偏在させることが好ましい。
また吸収体10内において繊維塊11は厚み方向に均一に分布しているか、又は厚み方向に偏在している。繊維塊11を吸収体10の厚み方向に偏在させる場合、着用者の肌に相対的に遠い側の面が、着用者の肌に相対的に近い側の面よりも繊維塊11の単位体積当たりの数が多いことが好ましい。
吸収体10における繊維塊11の含有量は、乾燥状態の吸収体10に全質量に対して、好ましくは20質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、そして、好ましくは80質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
吸収体10における吸水性繊維12Fの含有量は、乾燥状態の吸収体10の全質量に対して、好ましくは20質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、そして、好ましくは80質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
吸収体10における繊維塊11の坪量は、好ましくは32g/m以上、更に好ましくは80g/m以上、そして、好ましくは640g/m以下、更に好ましくは480g/m以下である。
吸収体10における吸水性繊維12Fの坪量は、好ましくは32g/m以上、更に好ましくは80g/m以上、そして、好ましくは640g/m以下、更に好ましくは480g/m以下である。
吸収体10は、繊維塊11及び吸水性繊維12F以外の他の成分を含有してもよく、他の成分として吸水性ポリマーを例示できる。吸水性ポリマーとしては、一般に粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでもよい。粒子状の高吸水性ポリマーを用いる場合、その形状は球状、塊状、俵状又は不定形のいずれでもよい。吸水性ポリマーの平均粒子径は、好ましくは10μm以上、更に好ましくは100μm以上、そして、好ましくは1000μm以下、更に好ましくは800μm以下である。吸水性ポリマーとしては、一般に、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を用いることができる。その例としては、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリメタクリル酸及びその塩が挙げられる。
吸収体10における吸水性ポリマーの含有量は、乾燥状態の吸収体10の全質量に対して、好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
吸収体10における吸水性ポリマーの坪量は、好ましくは10g/m以上、更に好ましくは30g/m以上、そして、好ましくは100g/m以下、更に好ましくは70g/m以下である。
吸収体10の坪量は、その用途などに応じて適宜調整すればよい。例えば吸収体10の用途が、使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品の吸収体である場合、吸収体10の坪量は、好ましくは100g/m以上、更に好ましくは200g/m以上、そして、好ましくは800g/m以下、更に好ましくは600g/m以下である。
吸収体10において、繊維塊11と吸水性繊維12Fとの含有質量比は特に限定されず、吸収体10の具体的な用途、繊維塊11の構成繊維及び吸水性繊維12Fの種類等に応じて適宜調整すればよい。本発明の所期の効果をより確実に奏させるようにする観点から、繊維塊11と吸水性繊維12Fとの含有質量比は、前者(繊維塊11)/後者(吸水性繊維12F)として、好ましくは20/80~80/20、更に好ましくは40/60~60/40である。
吸収体10は、吸収性物品の構成部材として好適に用いられる。ここでいう吸収性物品は、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品を広く包含し、止着テープを有するいわゆる展開型の使い捨ておむつ、パンツ型の使い捨ておむつ、生理用ナプキン、生理用ショーツ、失禁パッド等が包含される。吸収性物品における吸収体は、典型的には、液吸収性の吸収性コアと、該吸収性コアの外面を被覆する液透過性のコアラップシートとを具備し、本発明の吸収体はこの吸収性コアとして用いることができる。コアラップシートとしては紙、不織布などを用いることができる。なお、吸収体10はコアラップシートを含んでいなくてもよく、その場合は吸収性コアがそのまま吸収体10として吸収性物品に使用される。
吸収体10を具備する吸収性物品は、典型的には、着用時に着用者の肌と接触し得る液透過性の表面シートと、液不透過性ないし撥水性の裏面シートと、これら両シート間に介在配置された液保持性の吸収体とを具備している。表面シートとしては、各種の不織布又は多孔質の合成繊維シート等を用いることができ、裏面シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等からなる合成樹脂フィルム、又は合成樹脂フィルムと不織布との複合材料等を用いることができる。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
特に、吸収性物品には、表面シート及び吸収体10が一体となって圧搾された非貫通の凹陥部が、該吸収性物品の長手方向に離間して少なくとも一対形成されていることが、吸収性物品のクッション性やフィット性を高める観点、及び排泄された液が流れる方向を制御する観点から好ましい。この観点から、凹陥部は、吸収性物品の幅方向に沿って延びていることが好ましい。
前記の利点を一層顕著なものとする観点から、前記の凹陥部はその少なくとも一部が、着用者の排泄部に対向する領域(以下「排泄部対向領域」ともいう。)であって、且つ、繊維塊11が偏在する領域と厚み方向で重ならない位置に配置されていることが好ましい。この場合、繊維塊11が偏在する領域は、排泄部対向領域であり、前記凹陥部は、排泄部対向領域を挟んで吸収性物品の長手方向の前後に位置することが好ましい。吸収性物品がこのような構成を有することによって、該吸収性物品のクッション性やフィット性が一層高まる。また液漏れが一層起こりにくくなる。
次に、吸収体10を構成する繊維塊11及び吸水性繊維12Fの材料について説明する。
繊維塊11の構成繊維は合成繊維を含む。繊維として使用される合成繊維は、非吸水性の合成繊維が好ましい。繊維塊11の構成繊維が非吸水性繊維であることにより、吸収体10が乾燥状態である場合のみならず、水分(尿や経血などの体液)を吸収して湿潤状態にある場合でも、前述した繊維塊11の存在に起因する作用効果(保形性、柔軟性、クッション性、圧縮回復性、ヨレにくさなどの向上効果)が安定的に奏されるようになる。繊維塊11における構成繊維としての合成繊維の含有量は、繊維塊11の全質量に対して、好ましくは90質量%以上であり、100質量%すなわち繊維塊11が合成繊維のみから形成されていることが最も好ましい。特に、構成繊維としての合成繊維が非吸水性のものである場合に、前述した繊維塊11の存在に起因する作用効果が一層安定的に奏される。
本明細書において、合成繊維などの繊維の吸水性の程度は下記方法により測定される水分率の値によって判定される。斯かる水分率が6.0%未満の場合、当該繊維は非吸水性繊維と判定され、6.0%以上の場合、当該繊維は吸水性繊維と判定される。
<水分率の測定方法>
水分率は、JIS P8203:2010の水分率試験方法を準用して算出した。すなわち、繊維試料を温度40℃、相対湿度80%RHの試験室に24時間静置後、その室内にて絶乾処理前の繊維試料の質量W(g)を測定した。その後、温度105±2℃の電気乾燥機(例えば、株式会社いすゞ製作所製)内にて1時間静置し、繊維試料の絶乾処理を行った。絶乾処理後、温度20±2℃、相対温度65±2%の標準状態の試験室にて、旭化成(株)製サランラップ(登録商標)で繊維試料を包括した状態で、Siシリカゲル(例えば、豊田化工(株))をガラスデシケータ内(例えば、(株)テックジャム製)に入れて、繊維試料が温度20±2℃になるまで静置する。その後、繊維試料の恒量W’(g)を秤量して、次式により繊維試料の水分率を求める。
水分率(%)=(W-W’/W’)×100
また同様に、吸収体10が乾燥状態及び湿潤状態のいずれの状態でも保形性、柔軟性、クッション性、圧縮回復性、ヨレにくさなどにおいて優れた効果を発現し得るようにする観点から、繊維塊11は、熱可塑性繊維が互いに熱融着した三次元構造を有することが好ましい。
またこのような、複数の熱融着部が三次元的に分散した繊維塊11を得るために、繊維塊11の構成繊維として使用される合成繊維は、熱可塑性繊維を複数含むことが好ましく、熱可塑性繊維のみからなることが更に好ましい。
複数の熱融着部が三次元的に分散した繊維塊11を得るためには、その原料繊維シート10bs(図3参照)が同様に構成されていればよく、また、そのような複数の熱融着部が三次元的に分散した原料繊維シート10bsは、前述したように、熱可塑性繊維を主体とするウエブや不織布に、熱風処理などの熱処理を施すことによって製造することができる。
繊維塊11の構成繊維の素材として好適な非吸水性の合成樹脂(熱可塑性樹脂)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。繊維は、1種の合成樹脂(熱可塑性樹脂)又は2種以上の合成樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でもよく、あるいは複合繊維でもよい。ここでいう複合繊維は、成分の異なる2種類以上の合成樹脂を紡糸口金で複合し、同時に紡糸して得られる合成繊維(熱可塑性繊維)で、複数の成分がそれぞれ繊維の長さ方向に連続した構造で、単繊維内で相互接着しているものをいう。複合繊維の形態には、芯鞘型、サイドバイサイド型等があり、特に制限されない。
吸水性繊維12Fとしては、この種の吸収性物品の吸収体の形成材料として従来使用されている吸水性繊維を用いることができ、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。吸水性繊維の中でもセルロース系の吸水性繊維が特に好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。
10 吸収体
11 繊維塊
15 凹部
15a,15b 端点
111 基本面
112 骨格面
12F 吸水性繊維
10bs 繊維塊の原料繊維シート

Claims (11)

  1. 合成繊維を含む複数の繊維塊と吸水性繊維とを少なくとも含む吸収体であって、
    前記繊維塊は二つの対向する基本面と、該二つの基本面を連結する骨格面とを備えており、
    少なくとも一部の前記繊維塊が前記基本面に凹部を有する吸収体。
  2. 前記凹部は二つの端点を有する線状のものであり、一方の該端点から他方の該端点まで該凹部が連続している、請求項1に記載の吸収体。
  3. 前記凹部を有する前記繊維塊においては、該凹部が位置する部位における繊維密度が、該凹部が位置する部位以外の部位の繊維密度よりも高い、請求項1又は2に記載の吸収体。
  4. 前記凹部を有する前記繊維塊においては、該凹部が位置する部位の繊維は非フィルム状態になっている、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の吸収体。
  5. 前記凹部を有する前記繊維塊においては、該凹部が位置する部位に存在する繊維の端点の単位面積当たりの数が、該凹部が位置する部位以外の部位に存在する繊維の端点の単位面積当たりの数よりも多い、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の吸収体。
  6. 前記凹部を有する前記繊維塊の前記基本面の面積は、前記凹部を有しない前記繊維塊の前記基本面の面積よりも大きい、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の吸収体。
  7. 前記凹部を有する前記繊維塊はその少なくとも一部が、2本以上の線状の前記凹部を有し、該凹部が交点を有する、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の吸収体。
  8. 前記凹部を有する前記繊維塊はその少なくとも一部が、線状の前記凹部を有し、該繊維塊が該凹部を起点として折れ曲がった状態になっている、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の吸収体。
  9. 前記吸収体の平面視において、該吸収体は、前記繊維塊が偏在した領域を有する、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の吸収体。
  10. 前記吸収体は、その一方の面に比べて他方の面の方が、前記繊維塊の単位面積当たりの数が多い、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の吸収体。
  11. 表面シート及び請求項1ないし10のいずれか一項に記載の吸収体を備えた吸収性物品であって、
    前記表面シート及び前記吸収体が一体となって圧搾された非貫通の凹陥部が、前記吸収性物品の長手方向に離間して少なくとも一対形成されており、
    前記凹陥部の少なくとも一部が、着用者の排泄部に対向する領域であって、且つ、前記繊維塊が偏在する領域と厚み方向で重ならない位置に配置されている吸収性物品。
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