JP2023120885A - 磁気記憶装置 - Google Patents

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JP2023120885A JP2022024004A JP2022024004A JP2023120885A JP 2023120885 A JP2023120885 A JP 2023120885A JP 2022024004 A JP2022024004 A JP 2022024004A JP 2022024004 A JP2022024004 A JP 2022024004A JP 2023120885 A JP2023120885 A JP 2023120885A
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Tadaaki Oikawa
健一 吉野
Kenichi Yoshino
和也 澤田
Kazuya Sawada
拓也 島野
Takuya Shimano
永ミン 李
Youngmin Eeh
大河 磯田
Taiga Isoda
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Abstract

【課題】メモリセルの特性を維持し且つ不良の発生を抑制すること。【解決手段】実施形態の磁気記憶装置は、第1強磁性層32と、第1強磁性層32の上の第1非磁性層33と、第1非磁性層33の上の第2強磁性層34と、第2強磁性層34の上の酸化物層35と、酸化物層の上の第2非磁性層36と、を含む。酸化物層35は、希土類元素の酸化物を含む。第2非磁性層36は、コバルト(Co)と、鉄(Fe)と、ボロン(B)と、モリブデン(Mo)とのそれぞれを含む。【選択図】図4

Description

実施形態は、磁気記憶装置に関する。
磁気抵抗効果素子を記憶素子として用いた記憶装置(MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory)が知られている。
特開2019-165158号公報 特開2020-150217号公報 特開2021-145075号公報
メモリセルの特性を維持し且つ不良の発生を抑制させること。
実施形態の磁気記憶装置は、第1強磁性層と、第1強磁性層の上の第1非磁性層と、第1非磁性層の上の第2強磁性層と、第2強磁性層の上の酸化物層と、酸化物層の上の第2非磁性層と、を含む。酸化物層は、希土類元素の酸化物を含む。第2非磁性層は、コバルト(Co)と、鉄(Fe)と、ボロン(B)と、モリブデン(Mo)とのそれぞれを含む。
実施形態に係るメモリシステムの構成の一例を示すブロック図。 実施形態に係る磁気記憶装置が備えるメモリセルアレイの回路構成の一例を示す回路図。 実施形態に係る磁気記憶装置が備えるメモリセルアレイの立体構造の一例を示す斜視図。 実施形態に係る磁気記憶装置のメモリセルに含まれた可変抵抗素子の断面構造の一例を示す断面図。 トップ層の積層構造の違いに基づく特性の変化の一例を示す模式図。 トップ層の材料の違いに基づく特性の変化の一例を示すテーブル。 トップ層で使用される材料のエッチングレートの一例を示すテーブル。 トップ層のコバルト鉄ボロンの層に含まれたモリブデンの含有率とエッチングレートとの関係性の一例を示すグラフ。 トップ層のコバルト鉄ボロンの層に含まれたモリブデンの含有率と記憶層の異方性磁界との関係性の一例を示すグラフ。
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。図面は、模式的又は概念的なものである。各図面の寸法及び比率等は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一の符号が付されている。参照符号を構成する文字の後の数字等は、同じ文字を含んだ参照符号によって参照され、且つ同様の構成を有する要素同士を区別するために使用される。同じ文字を含んだ参照符号で示される要素を相互に区別する必要がない場合、これらの要素は文字のみを含んだ参照符号により参照される。
[実施形態]
以下に、実施形態に係るメモリシステムMSについて説明する。
[1]構成
[1-1]メモリシステムMSの構成
図1は、実施形態に係るメモリシステムMSの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、メモリシステムMSは、磁気記憶装置1及びメモリコントローラ2を含む。磁気記憶装置1は、メモリコントローラ2の制御に基づいて動作する。メモリコントローラ2は、外部のホスト機器からの要求(命令)に応答して、磁気記憶装置1に対して、読み出し動作、書き込み動作などの実行を命令し得る。
磁気記憶装置1は、MTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子をメモリセルに使用したメモリデバイスであり、抵抗変化型メモリの一種である。MTJ素子は、磁気トンネル接合による磁気抵抗効果(Magnetoresistance effect)を利用する。MTJ素子は、磁気抵抗効果素子(Magnetoresistance effect element)とも呼ばれる。磁気記憶装置1は、例えば、メモリセルアレイ11、入出力回路12、制御回路13、ロウ選択回路14、カラム選択回路15、書き込み回路16、及び読み出し回路17を含む。
メモリセルアレイ11は、複数のメモリセルMC、複数のワード線WL、及び複数のビット線BLを含む。図1には、1組のメモリセルMC、ワード線WL、及びビット線BLが示されている。メモリセルMCは、データを不揮発に記憶し得る。メモリセルMCは、1本のワード線WLと、1本のビット線BLとの間に接続され、行(row)、及び列(column)の組に対応付けられる。ワード線WLには、ロウアドレスが割り当てられる。ビット線BLには、カラムアドレスが割り当てられる。1つ又は複数のメモリセルMCが、1つの行の選択、及び1つ又は複数の列の選択により特定され得る。
入出力回路12は、メモリコントローラ2に接続され、磁気記憶装置1とメモリコントローラ2との間の通信を司る。入出力回路12は、メモリコントローラ2から受け取った制御信号CNT及びコマンドCMDを、制御回路13に転送する。入出力回路12は、メモリコントローラ2から受け取ったアドレス信号ADDに含まれたロウアドレス及びカラムアドレスを、ロウ選択回路14及びカラム選択回路15にそれぞれ転送する。入出力回路12は、メモリコントローラ2から受け取ったデータDAT(書き込みデータ)を、書き込み回路16に転送する。入出力回路12は、読み出し回路17から受け取ったデータDAT(読み出しデータ)を、メモリコントローラ2に転送する。
制御回路13は、磁気記憶装置1の全体の動作を制御する。例えば、制御回路13は、制御信号CNTにより指示される制御とコマンドCMDとに基づいて、読み出し動作や書き込み動作などを実行する。例えば、制御回路13は、書き込み動作において、データの書き込みに使用される電圧を書き込み回路16に供給する。また、制御回路13は、読み出し動作において、データの読み出しに使用される電圧を読み出し回路17に供給する。
ロウ選択回路14は、複数のワード線WLに接続される。そして、ロウ選択回路14は、ロウアドレスにより特定された1つのワード線WLを選択する。選択されたワード線WLは、例えば、図示が省略されたドライバ回路と電気的に接続される。
カラム選択回路15は、複数のビット線BLに接続される。そして、カラム選択回路15は、カラムアドレスにより特定された1つ又は複数のビット線BLを選択する。選択されたビット線BLは、例えば、図示が省略されたドライバ回路と電気的に接続される。
書き込み回路16は、制御回路13の制御と、入出力回路12から受け取ったデータDAT(書き込みデータ)とに基づいて、データの書き込みに使用される電圧をカラム選択回路15に供給する。書き込みデータに基づいた電流がメモリセルMCを介して流れると、メモリセルMCに所望のデータが書き込まれる。
読み出し回路17は、センスアンプを含む。読み出し回路17は、制御回路13の制御に基づいて、データの読み出しに使用される電圧をカラム選択回路15に供給する。そして、センスアンプが、選択されたビット線BLの電圧又は電流に基づいて、メモリセルMCに記憶されているデータを判定する。それから、読み出し回路17は、判定結果に対応するデータDAT(読み出しデータ)を、入出力回路12に転送する。
[1-2]メモリセルアレイ11の回路構成
図2は、実施形態に係る磁気記憶装置1が備えるメモリセルアレイ11の回路構成の一例を示す回路図である。図2は、複数のワード線WLのうちWL0及びWL1と、複数のビット線BLのうちBL0及びBL1とを抽出して示している。図2に示すように、1つのメモリセルMCが、WL0とBL0との間と、WL0とBL1との間と、WL1とBL0との間と、WL1とBL1との間とのそれぞれに接続されている。メモリセルアレイ11内で、複数のメモリセルMCは、例えば、マトリクス状に配置される。
各メモリセルMCは、可変抵抗素子VRとスイッチング素子SEとを含む。可変抵抗素子VR及びスイッチング素子SEは、関連付けられたビット線BL及びワード線WLの間に直列に接続される。例えば、可変抵抗素子VRの一端が、ビット線BLに接続される。可変抵抗素子VRの他端が、スイッチング素子SEの一端に接続される。スイッチング素子SEの他端が、ワード線WLに接続される。なお、ビット線BL及びワード線WLの間における可変抵抗素子VRとスイッチング素子SEとの接続関係は、逆であってもよい。
可変抵抗素子VRは、MTJ素子に対応する。可変抵抗素子VRは、その抵抗値に基づいて、データを不揮発に記憶し得る。例えば、高抵抗状態の可変抵抗素子VRを含むメモリセルMCは、“1”データを記憶する。低抵抗状態の可変抵抗素子VRを含むメモリセルMCは、“0”データを記憶する。可変抵抗素子VRの抵抗値に関連付けられたデータの割り当ては、その他の設定であってもよい。可変抵抗素子VRの抵抗状態は、可変抵抗素子VRを介して流れる電流に応じて変化し得る。
スイッチング素子SEは、例えば、双方向ダイオードである。スイッチング素子SEは、関連付けられた可変抵抗素子VRへの電流の供給を制御するセレクタとして機能する。具体的には、あるメモリセルMCに含まれたスイッチング素子SEは、当該メモリセルMCに印加された電圧が、スイッチング素子SEの閾値電圧を下回っている場合にオフ状態となり、スイッチング素子SEの閾値電圧以上である場合にオン状態となる。オフ状態のスイッチング素子SEは、抵抗値の大きい絶縁体として機能する。スイッチング素子SEがオフ状態である場合、当該メモリセルMCに接続されたワード線WL及びビット線BLの間で電流が流れることが抑制される。オン状態のスイッチング素子SEは、抵抗値の小さい導電体として機能する。スイッチング素子SEがオン状態である場合、当該メモリセルMCに接続されたワード線WL及びビット線BLの間で電流が流れる。すなわち、スイッチング素子SEは、電流が流れる方向に依らずに、メモリセルMCに印加される電圧の大きさに応じて、電流を流すか否かを切り替えることが可能である。なお、スイッチング素子SEとしては、トランジスタなど、その他の素子が使用されてもよい。
[1-3]メモリセルアレイ11の構造
以下に、実施形態におけるメモリセルアレイ11の構造の一例について説明する。以下の説明では、xyz直交座標系が使用される。X方向は、ビット線BLの延伸方向に対応する。Y方向は、ワード線WLの延伸方向に対応する。Z方向は、磁気記憶装置1の形成に使用される半導体基板の表面に対する鉛直方向に対応する。“下”との記述及びその派生語並びに関連語は、z軸上のより小さい座標の位置を示している。“上”との記述及びその派生語並びに関連語は、z軸上のより大きい座標の位置を示している。斜視図には、ハッチングが適宜付加されている。斜視図に付加されたハッチングは、ハッチングが付加された構成要素の素材や特性とは必ずしも関連していない。斜視図及び断面図では、層間絶縁膜などの構成の図示が省略されている。
[1-3-1]メモリセルアレイ11の立体構造
図3は、実施形態に係る磁気記憶装置1が備えるメモリセルアレイ11の構造の一例を示す斜視図である。図3に示すように、メモリセルアレイ11は、複数の導電体層20と複数の導電体層21とを含む。
複数の導電体層20のそれぞれは、X方向に延伸した部分を有する。複数の導電体層20は、Y方向に並んで設けられ、互いに離れている。各導電体層20は、ビット線BLとして使用される。
複数の導電体層21のそれぞれは、Y方向に延伸した部分を有する。複数の導電体層21は、X方向に並んで設けられ、互いに離れている。各導電体層21は、ワード線WLとして使用される。
複数の導電体層21が設けられた配線層は、複数の導電体層20が設けられた配線層の上方に設けられる。複数の導電体層20と複数の導電体層21とが交差した部分のそれぞれに、1つのメモリセルMCが設けられる。言い換えると、各メモリセルMCは、関連付けられたビット線BLとワード線WLとの間に柱状に設けられる。本例では、導電体層20の上に、可変抵抗素子VRが設けられる。可変抵抗素子VRの上に、スイッチング素子SEが設けられる。スイッチング素子SEの上に、導電体層21が設けられる。
なお、可変抵抗素子VRがスイッチング素子SEの下方に設けられる場合について例示したが、メモリセルアレイ11の回路構成に依っては、可変抵抗素子VRがスイッチング素子SEの上方に設けられてもよい。
[1-3-2]可変抵抗素子VRの断面構造
図4は、実施形態に係る磁気記憶装置1のメモリセルMCに含まれた可変抵抗素子VRの断面構造の一例を示す断面図である。図4に示すように、可変抵抗素子VRは、例えば、強磁性層30、非磁性層31、強磁性層32、非磁性層33、強磁性層34、非磁性層35~39を含む。なお、図4では、磁性層の磁化方向が矢印で示されている。両方向の矢印は、磁化方向が可変であることを示している。
強磁性層30、非磁性層31、強磁性層32、非磁性層33、強磁性層34、非磁性層35~39は、導電体層20(ビット線BL)側から導電体層21(ワード線WL)側に向かって、この順番に積層されている。具体的には、強磁性層30は、導電体層20の上方に設けられる。非磁性層31は、強磁性層30の上に設けられる。強磁性層32は、非磁性層31の上に設けられる。非磁性層33は、強磁性層32の上に設けられる。強磁性層34は、非磁性層33の上に設けられる。非磁性層35は、強磁性層34の上に設けられる。非磁性層36は、非磁性層35の上に設けられる。非磁性層37は、非磁性層36の上に設けられる。非磁性層38は、非磁性層37の上に設けられる。非磁性層39は、非磁性層38の上に設けられる。導電体層21は、非磁性層39の上方に設けられる。
強磁性層30は、強磁性の導電体である。強磁性層30は、膜面に垂直な方向に磁化容易軸方向を有する。図4に示された一例では、強磁性層30の磁化方向は、強磁性層32側を向いている。強磁性層30の磁化方向を反転させるために必要な磁界の大きさは、例えば、強磁性層32よりも大きい。強磁性層30からの漏れ磁場は、強磁性層32からの漏れ磁場が強磁性層34の磁化方向に与える影響を低減させる。すなわち、強磁性層30は、シフトキャンセル層SCL(Shift cancelling layer)として機能する。強磁性層30は、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む。また、強磁性層30は、不純物として、ボロン(B)、リン(P)、炭素(C)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ハフニウム(Hf)、タングステン(W)、及びチタン(Ti)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含み得る。具体的には、強磁性層30は、コバルト鉄ボロン(CoFeB)を含み得る。強磁性層30は、ホウ化鉄(FeB)、コバルト白金(CoPt)、コバルトニッケル(CoNi)、及びコバルトパラジウム(CoPd)からなる群から選択される少なくとも1つの二元化合物を含み得る。
非磁性層31は、非磁性の導電体である。非磁性層31は、スペーサ層SP(Spacer layer)として使用され、強磁性層30と反強磁性的に結合される。これにより、強磁性層30の磁化方向が、強磁性層32の磁化方向に対して反平行な方向に固定される。このような強磁性層30、非磁性層31、及び強磁性層32の結合構造は、SAF(Synthetic Anti-Ferromagnetic)構造と呼ばれる。非磁性層31は、例えば、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、バナジウム(V)、及びクロム(Cr)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む。
強磁性層32は、強磁性の導電体である。強磁性層32は、膜面に垂直な方向に磁化容易軸方向を有する。強磁性層32の磁化方向は、強磁性層30側、又は強磁性層34側に固定される。図4に示された一例では、強磁性層32の磁化方向は、強磁性層30側に固定されている。これにより、強磁性層32は、MTJ素子の参照層RL(Reference layer)として使用される。参照層RLは、“ピン層”、又は“固定層”と呼ばれてもよい。強磁性層32は、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む。また、強磁性層32は、不純物として、ボロン(B)、リン(P)、炭素(C)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ハフニウム(Hf)、タングステン(W)、及びチタン(Ti)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含み得る。具体的には、強磁性層32は、コバルト鉄ボロン(CoFeB)を含み得る。強磁性層32は、ホウ化鉄(FeB)、コバルト白金(CoPt)、コバルトニッケル(CoNi)、及びコバルトパラジウム(CoPd)からなる群から選択される少なくとも1つの二元化合物を含み得る。
非磁性層33は、非磁性の絶縁体である。非磁性層33は、強磁性層32及び34と共に磁気トンネル接合を形成する。すなわち、非磁性層33は、MTJ素子のトンネルバリア層(Tunnel barrier layer)として機能する。また、非磁性層33は、磁気記憶装置1の製造工程に含まれた強磁性層32及び34の結晶化処理において、シード材として機能する。このシード材は、強磁性層32及び34の界面から結晶質の膜を成長させるための核となる材料に対応する。非磁性層33は、例えば、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、及びLSM(Lanthanum-strontium-manganese)からなる群から選択される少なくとも1つの元素又は化合物の酸化物を含む。
強磁性層34は、強磁性の導電体である。強磁性層34は、膜面に垂直な方向に磁化容易軸方向を有する。強磁性層34の磁化方向は、強磁性層32側及び非磁性層35側のいずれかに向かう方向である。強磁性層34の磁化方向は、強磁性層32と比較して容易に反転するように構成される。これにより、強磁性層34は、MTJ素子の記憶層SL(storage layer)として使用される。記憶層SLは、“フリー層”と呼ばれてもよい。強磁性層34は、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む。また、強磁性層34は、不純物として、ボロン(B)、リン(P)、炭素(C)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ハフニウム(Hf)、タングステン(W)、及びチタン(Ti)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含み得る。具体的には、強磁性層34は、コバルト鉄ボロン(CoFeB)、又はホウ化鉄(FeB)を含み得る。
非磁性層35は、希土類元素(Rare-earth element)の酸化物である。希土類元素の酸化物は、“希土類酸化物(RE-O:Rare-earth oxide)”とも呼ばれる。非磁性層35は、強磁性層34(記憶層SL)に対するキャップ層として使用される。非磁性層35に含まれた希土類元素は、結合(例えば、共有結合)の格子間隔が他の元素と比較して大きい結晶構造を有する。このため、非磁性層35は、隣り合う層が不純物を含む非晶質(アモルファス状態)である場合に、高温環境下(例えば、アニーリング処理下)において当該不純物を非磁性層35内に拡散させる機能を有する。具体的には、非磁性層35は、アニーリング処理によって、アモルファス状態の強磁性層34から不純物を取り除き、高配向な結晶状態にする機能を有する。非磁性層35は、例えば、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物を含む。
非磁性層36は、非磁性の導電体である。非磁性層36は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びボロン(B)のそれぞれを含む。また、非磁性層36は、三元化合物であるコバルト鉄ボロン(CoFeB)を含み得る。具体的には、非磁性層36は、もともと強磁性体であるCoFeBに、強磁性の性質がなくなり非磁性を示すまで、非磁性元素が添加された構成を有する。例えば、非磁性層36において、非磁性のCoFeBとするための非磁性元素の添加量は、40at%以上とされる。非磁性層36は、非磁性元素の不純物として、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む。つまり、非磁性層36は、不純物としてモリブデン(Mo)を含むコバルト鉄ボロン(CoFeB-Mo)を含み得る。又は、非磁性層36は、不純物としてタングステン(W)を含むコバルト鉄ボロン(CoFeB-W)を含み得る。非磁性層36がCoFeB-Moを含む場合、非磁性層36におけるモリブデン(Mo)の含有率は、50at%以上80at%以下に設計されることが好ましい。
非磁性層37は、非磁性の導電体である。非磁性層37は、例えば、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びタングステン(W)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む。また、非磁性層37は、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びタングステン(W)からなる群から選択される2以上の元素を含む合金を含み得る。また、非磁性層37は、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びタングステン(W)からなる群から選択される1つの元素の窒化物又はホウ化物を含み得る。
非磁性層38は、非磁性の導電体である。非磁性層38は、例えば、白金(Pt)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む。非磁性層36、非磁性層37、及び非磁性層38の組は、トップ層TL(Top layer)として使用される。トップ層TLは、例えば、MTJ素子の特性を向上させる機能や、ハードマスクとしての機能や電極としての機能を有し得る。
非磁性層39は、非磁性の導電体である。非磁性層39は、トップ層TLに対するキャップ層CAPとして使用される。キャップ層CAPは、可変抵抗素子VRと上方の素子(例えば、スイッチング素子SE)又は配線(例えば、ビット線BL)との電気的な接続性を向上させる電極として使用され得る。非磁性層39は、例えば、白金(Pt)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)から選択される少なくとも1つの元素を含む。
以上で説明された可変抵抗素子VRは、TMR(tunneling magnetoresistance)効果を利用した垂直磁化型のMTJ素子として機能する。可変抵抗素子VRは、強磁性層32及び34のそれぞれの磁化方向の相対関係に応じて、低抵抗状態と高抵抗状態とのいずれかになり得る。具体的には、可変抵抗素子VRは、参照層RLと記憶層SLの磁化方向が反平行状態(AP(Antiparallel)状態)である場合に高抵抗状態になり、参照層RLと記憶層SLの磁化方向が平行状態(P(parallel)状態)である場合に低抵抗状態になる。
磁気記憶装置1は、強磁性層34(記憶層SL)の磁化方向を変化させることによって、メモリセルMCに所望のデータを記憶させることができる。具体的には、磁気記憶装置1は、可変抵抗素子VRに書き込み電流を流すことによって、記憶層SL及び参照層RLにスピントルクを注入し、記憶層SLの磁化方向を制御する。このような書き込み方法は、“スピン注入書き込み方式”と呼ばれる。
本例において、可変抵抗素子VRは、強磁性層32から強磁性層34に向かう方向に書き込み電流が流された場合にAP状態になり、強磁性層34から強磁性層32に向かう方向に書き込み電流が流された場合にP状態になる。なお、可変抵抗素子VRは、強磁性層34の磁化方向を反転させ得る大きさの電流が可変抵抗素子VRに流された場合に、強磁性層32の磁化方向が変化しないように構成される。すなわち、“磁化方向が固定されている”とは、強磁性層34の磁化方向を反転させ得る大きさの電流によって、磁化方向が変化しないことを意味する。
なお、可変抵抗素子VRにおいて、強磁性層34と非磁性層36との間には、非磁性層35のみが設けられる。すなわち、強磁性層34と非磁性層36との間に形成されるキャップ構造は、希土類元素の酸化物である非磁性層35の1層で構成される。なお、可変抵抗素子VRは、その他の層を備えていてもよいし、非磁性層35を除く各磁性層が複数の層により構成されてもよい。例えば、強磁性層32は、複数の層からなる積層体であってもよい。強磁性層32を構成する積層体は、例えば、非磁性層33との界面層としてコバルト鉄ボロン(CoFeB)又はホウ化鉄(FeB)を含む層を有しつつ、当該界面層と非磁性層31との間に非磁性の導電体を介して更なる強磁性層を有し得る。
[2]可変抵抗素子VRにおけるSFRとMTJ特性
以下に、可変抵抗素子VRにおけるSFR(Shunt Fail Rate)とMTJ特性について説明する。SFRは、MJT素子(可変抵抗素子VR)における記憶層SLと参照層RLとの短絡に起因する不良(シャント不良)の発生率を示している。MTJ特性は、MTJ素子の特性に関連する少なくとも1つの指標である。本明細書では、MTJ特性として、熱安定性指数Δと、MR(Magnetoresistance)比とを用いて説明する。
Δは、MTJ素子が記憶するビット情報の熱的安定性を示し、例えば、数式“Δ=E/kT”により表される。本数式において、“E”は、磁化反転に要するエネルギー障壁である。“k”は、ボルツマン定数である。“T”は、絶対温度である。MTJ素子(可変抵抗素子VR)におけるΔの値は、大きい方が好ましい。
MR比は、磁気トンネル接合が反平行状態(AP状態)である場合の電気抵抗と、平行状態(P状態)で有る場合の電気抵抗との違いを示している。MR比は、例えば、高抵抗状態と低抵抗状態との比率(高抵抗状態の抵抗値/低抵抗状態の抵抗値)により示される。MTJ素子(可変抵抗素子VR)におけるMR比の値は、大きい方が好ましい。
なお、以下の説明で使用されるSFR、Δ、及びMR比のそれぞれの数値は、あくまで一例である。同じ図面に示されたSFR、Δ、及びMR比のそれぞれの数値は、当該図面に示された可変抵抗素子VRの構成を同じ条件で評価した結果に相当する。
[2-1]トップ層TLの積層構造の違いに基づく特性の変化
図5は、トップ層TLの積層構造の違いに基づく特性の変化の一例を示す模式図である。図5は、第1構成例、第2構成例、及び第3構成例のそれぞれにおけるトップ層TLのTL断面構造(トップ層TLの断面構造)とSFR(%)とを示している。図5に示された断面構造では、紙面の下側が非磁性層35側に対応し、紙面の上側が非磁性層39側に対応している。以下に、図5を参照して、トップ層TLの積層構造の違いに基づく特性の変化について説明する。
第1構成例におけるトップ層TLは、ルテニウム(Ru)と、タンタル(Ta)と、ルテニウム(Ru)とが、この順番に積層された構造を有する。すなわち、第1構成例におけるトップ層TLは、実施形態におけるトップ層TLの積層構造に対して、非磁性層36の位置にRuが設けられ、非磁性層37の位置にTaが設けられ、非磁性層38の位置にRuが設けられた構造を有する。第1構成例におけるトップ層TLでは、SFR=79.9であった。
第2構成例におけるトップ層TLは、ルテニウム(Ru)と、タンタル(Ta)と、ハフニウムホウ化物(Hf50B)と、ルテニウム(Ru)とが、この順番に積層された構造を有する。すなわち、第2構成例におけるトップ層TLは、第1構成例におけるトップ層TLの積層構造に対して、上層側のRuのうち、Taと隣り合った部分が、Hf50Bに置き換えられた構成を有する。Hf50Bは、ボロン(B)が50at%添加されたハフニウムホウ化物である。第2構成例におけるトップ層TLでは、SFR=3.4であった。つまり、第2構成例におけるトップ層TLでは、非磁性層37の上にHf50Bが設けられた結果、第1構成例よりもSFRが改善している。
第3構成例におけるトップ層TLは、不純物としてモリブデン(Mo)を含むコバルト鉄ボロン(CoFeB-80Mo)と、タンタル(Ta)と、ルテニウム(Ru)とが、この順番に積層された構造を有する。すなわち、第3構成例におけるトップ層TLは、第1構成例におけるトップ層TLの積層構造に対して、RuがCoFeB-80Moに置き換えられた構成を有する。CoFeB-80Moは、モリブデン(Mo)が80at%添加されたコバルト鉄ボロンである。第3構成例におけるトップ層TLでは、SFR=55.7であった。つまり、第3構成例におけるトップ層TLでは、非磁性層35及び37の間にCoFeB-80Moが設けられた結果、第1構成例よりもSFRが改善している。
[2-2]トップ層TLの材料の違いに基づく特性の変化
図6は、トップ層TLの材料の違いに基づく特性の変化の一例を示すテーブルである。図6は、第1比較例、第2比較例、及び実施形態のそれぞれにおけるトップ層TLのTL材料と、SFR(%)と、Δと、MR比(%)とを示している。なお、図6のTL材料は、図4を用いて説明された実施形態のトップ層TLの積層構造のうち、非磁性層36に対応する層の材料のことを示している。本例において、非磁性層37は、ボロン(B)が50at%添加されたハフニウムホウ化物(Hf50B)であり、非磁性層38は、ルテニウム(Ru)である。以下に、図6を参照して、非磁性層36の材料の違いに基づく特性の変化について説明する。
第1比較例におけるトップ層TLは、TL材料として、モリブデン(Mo)を備えている。すなわち、第1比較例におけるトップ層TLは、非磁性層35の上にモリブデンの層が設けられ、当該モリブデンの層の上に非磁性層37及び38が積層された構造を有する。第1比較例におけるトップ層TLでは、SFR=40.1であり、Δ=48であり、MR比=110であった。
第2比較例におけるトップ層TLは、TL材料として、タングステン(W)を備えている。すなわち、第2比較例におけるトップ層TLは、非磁性層35の上にタングステンの層が設けられ、当該タングステンの層の上に非磁性層37及び38が積層された構造を有する。第2比較例におけるトップ層TLでは、SFR=20.2であり、Δ=48であり、MR比=112であった。
実施形態におけるトップ層TLは、TL材料として、CoFeB-Mo(不純物としてモリブデンが添加されたコバルト鉄ボロン)を備えている。実施形態におけるトップ層TLでは、SFR=19.3であり、Δ=52であり、MR比=115であった。すなわち、実施形態におけるトップ層TLでは、第1比較例と第2比較例とのそれぞれよりもSFR、Δ、及びMR比のそれぞれが良好であった。このような可変抵抗素子VRの特性の変化は、例えば、トップ層TLで使用される材料のエッチングレート(すなわち、トップ層TLの硬さ)に依存していることが推測される。
(トップ層TLで使用される材料のエッチングレート)
図7は、トップ層TLで使用される材料のエッチングレートの一例を示すテーブルである。図7は、基板上に単膜で形成された材料を所定の条件のIBE(Ion Beam Etching)によりエッチングした場合のエッチングレートを示している。図7に示すように、Ruのエッチングレートは4.3(Å/sec)であり、Moのエッチングレートは4.0(Å/sec)であり、CoFeB-Moのエッチングレートは、3.2(Å/sec)であり、Hf50Bのエッチングレートは2.5(Å/sec)であり、Wのエッチングレートは、1.6(Å/sec)であった。
すなわち、本例において、IBEにおける加工速度は、Ru>Mo>CoFeB-Mo>Hf50B>Wである。IBEの条件が同一である場合、エッチングレートが低い方の材料が、より硬い層とみなされ得る。なお、本例では、コバルト鉄ボロン(CoFeB)にモリブデン(Mo)が添加されることによって、Moのみで構成される層よりもエッチングレートが低くなっている。同様に、単一のMoよりもエッチングレートが低いタングステン(W)が添加されたコバルト鉄ボロン(CoFeB-W)は、CoFeB-Mo層に対するエッチングレートよりも低くなり得る。
(非磁性層36のMo含有率とエッチングレートとの関係性)
図8は、トップ層TLのコバルト鉄ボロン(CoFeB)の層(例えば、非磁性層36)に含まれたモリブデンの含有率(Mo含有率)とエッチングレートとの関係性の一例を示すグラフである。図8に示されたグラフにおいて、横軸は、CoFeB-MoのMo含有率を示し、縦軸は、所定のIBEの条件におけるCoFeB-Moのエッチングレート(Å/sec)を示している。図8に示すように、CoFeB-Moのエッチングレートは、CoFeB-MoにおけるMo含有率が減るほど低下する傾向を有する。言い換えると、IBEの条件が同一である場合、CoFeBの硬さは、Mo添加量が減少するほど増加する傾向を有する。
[2-3]非磁性層36のMo含有率に基づく記憶層SLの異方性磁界の変化
図9は、トップ層TLのコバルト鉄ボロンの層(例えば、非磁性層36)に含まれたモリブデン(Mo)の含有率と記憶層SLの異方性磁界との関係性の一例を示すグラフである。図9に示されたグラフにおいて、横軸は、CoFeB-MoのMo含有率を示し、縦軸は、記憶層SLの異方性磁界(Oe)を示している。以下では、記憶層SLの異方性磁界のことを“SL_Hk”と呼ぶ。なお、“SL_Hk”は、記憶層SLの垂直磁気異方性磁界と呼ばれてもよい。
図9に示すように、SL_Hkは、CoFeB(非磁性層36)のMo含有率に応じて変化している。具体的には、SL_Hkは、Mo含有率が50at%未満である場合に、大きく低下している。一方で、SL_Hkは、Mo含有率が80at%を超える場合に、略一定の値になっている。言い換えると、実施形態において、可変抵抗素子VRのMTJ特性は、CoFeB-MoのMo含有率が50at%未満である場合に劣化が大きく、Mo含有率が多くなるほど良好になり、Mo含有率が80at%を超えると飽和している。
[3]実施形態の効果
以上で説明された実施形態に係る磁気記憶装置1によれば、メモリセルMCの特性を維持し且つ不良の発生を抑制させることができる。以下に、実施形態に係る磁気記憶装置1の効果の詳細について説明する。
磁気記憶装置の記憶容量を大きくする方法としては、メモリセルMCを高密度に配置することが考えられる。しかしながら、メモリセルMCが高密度に配置される場合、メモリセルMCが狭ピッチで配置されるため、SFRが増加するおそれがある。SFRを低減するための施策とMTJ特性とは、トレードオフの関係にあるため、可能な限りMTJ特性を維持しつつSFRを改善することが好ましい。
MTJ素子のシャント不良は、メモリセルMCの加工時の影響により発生する不良と推測される。すなわち、メモリセルMCが加工される際に、メモリセルMCに対するダメージを低減することが、シャント不良の低減に有効であると考えられる。例えば、トップ層TLのエッチングレートを下げること、すなわち、トップ層TLに硬い材料が使用されることによって、SFRを改善(低減)可能であると考えられる。
また、MTJ素子の構造として、MTJ素子の磁気特性を向上させるために、記憶層SLの上に希土類酸化物RE-Oが設けられた構造が知られている。このような構造では、希土類酸化物RE-Oの上に設けられたトップ層TLの積層構造が、SFRとMTJ特性との両方に影響し得る。トップ層TLの積層構造としては、例えば、ハフニウムホウ化物(HfB)の上にルテニウム(Ru)が設けられた積層構造(Ru/HfB)が知られている。Ru/HfBの積層構造は、メモリセルMCの加工特性を重視した材料である。しかしながら、希土類酸化物RE-Oの直上にHfBが設けられた場合、MTJ特性(例えば、記憶層SLの磁気特性)が劣化する傾向がある。
そこで、実施形態に係る磁気記憶装置1のMTJ素子(可変抵抗素子VR)は、HfB(非磁性層37)と希土類酸化物RE-O(非磁性層35)との間に、加工特性とMTJ特性とを両立するための層(非磁性層36)が設けられた構成を有する。そして、実施形態の可変抵抗素子VRでは、非磁性層36として、モリブデンが添加されたコバルト鉄ボロン(CoFeB-Mo)、又は、タングステンが添加されたコバルト鉄ボロン(CoFeB-W)が使用される。
CoFeB-Mo及びCoFeB-Wのそれぞれは、非磁性層36がモリブデンの単層で構成される場合よりも硬い。その結果、可変抵抗素子VRの積層構造は、シャント不良の発生を抑制し、SFRを改善させることができる。また、希土類酸化物RE-Oの上に設けられたCoFeB-Mo及びCoFeB-Wのそれぞれは、MTJ特性を向上させることができる。すなわち、可変抵抗素子VRの積層構造は、MTJ特性の劣化を抑制することができる。従って、実施形態に係る磁気記憶装置1は、メモリセルMCの特性を維持し且つ不良の発生を抑制させることができる。
なお、CoFeB-Moは、図8及び図9を用いて説明されたように、添加された不純物の含有率に応じて、エッチングレートが変化し、記憶層SLの磁気特性(SL_Hk)が変化し得る。つまり、MTJ特性とSFRの低減とを両立可能なモリブデンの添加量には、加減がある。具体的には、トップ層TLがCoFeB-Mo、HfB、及びRuの積層構造で構成される場合に、非磁性層36においてSL_Hkが維持され且つMoの単層よりも硬くなるモリブデンの含有率は、50at%以上80at%以下であることが好ましい。
[4]その他
実施形態では、MTJ素子(可変抵抗素子VR)を備える磁気装置の一例として、磁気記憶装置1について説明したが、これに限られない。磁気装置は、センサやメディアなどの垂直磁気異方性を有する磁気素子を必要とする他のデバイスであってもよい。当該磁気素子は、少なくとも可変抵抗素子VRを使用していればよい。
本明細書において“接続”は、電気的に接続されている事を示し、間に別の素子を介することを除外しない。非磁性層31及び36~39のそれぞれは、“導電体層”と呼ばれてもよい。非磁性層33及び35のそれぞれは、“酸化物層”と呼ばれてもよい。本明細書において、“含有率”とは、原子パーセント(at%)のことである。含有率は、例えば、走査透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope, STEM)による電子エネルギー損失分光法(Electron Energy Loss Spectroscopy, EELS)を用いることによって測定可能である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…磁気記憶装置、2…メモリコントローラ、11…メモリセルアレイ、12…入出力回路、13…制御回路、14…ロウ選択回路、15…カラム選択回路、16…書き込み回路、17…読み出し回路、20,21…導電体層、30…強磁性層、31…非磁性層、32…強磁性層、33…非磁性層、34…強磁性層、35~39…非磁性層

Claims (20)

  1. 第1強磁性層と、
    前記第1強磁性層の上の第1非磁性層と、
    前記第1非磁性層の上の第2強磁性層と、
    前記第2強磁性層の上の酸化物層と、
    前記酸化物層の上の第2非磁性層と、
    を備え、
    前記酸化物層は、希土類元素の酸化物を含み、
    前記第2非磁性層は、コバルト(Co)と、鉄(Fe)と、ボロン(B)と、モリブデン(Mo)とのそれぞれを含む、
    磁気記憶装置。
  2. 前記第2非磁性層は、モリブデン(Mo)及びコバルト鉄ボロン(CoFeB)を含む層である、
    請求項1に記載の磁気記憶装置。
  3. 前記第2非磁性層におけるモリブデン(Mo)の含有率は、50at%以上80at%以下である、
    請求項1に記載の磁気記憶装置。
  4. 前記酸化物層は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物を含む、
    請求項1に記載の磁気記憶装置。
  5. 前記第2非磁性層の上の第3非磁性層と、
    前記第3非磁性層の上の第4非磁性層と、
    をさらに備え、
    前記第3非磁性層は、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びタングステン(W)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含み、
    前記第4非磁性層は、白金(Pt)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む、
    請求項1に記載の磁気記憶装置。
  6. 第1強磁性層と、
    前記第1強磁性層の上の第1非磁性層と、
    前記第1非磁性層の上の第2強磁性層と、
    前記第2強磁性層の上の酸化物層と、
    前記酸化物層の上の第2非磁性層と、
    を備え、
    前記酸化物層は、ガドリニウム(Gd)の酸化物を含み、
    前記第2非磁性層は、コバルト(Co)と、鉄(Fe)と、ボロン(B)と、モリブデン(Mo)とのそれぞれを含む、
    磁気記憶装置。
  7. 前記第2非磁性層は、モリブデン(Mo)及びコバルト鉄ボロン(CoFeB)を含む層である、
    請求項6に記載の磁気記憶装置。
  8. 前記第2非磁性層におけるモリブデン(Mo)の含有率は、50at%以上80at%以下である、
    請求項6に記載の磁気記憶装置。
  9. 前記第2非磁性層の上の第3非磁性層と、
    前記第3非磁性層の上の第4非磁性層と、
    をさらに備え、
    前記第3非磁性層は、ハフニウム(Hf)のホウ化物を含み、
    前記第4非磁性層は、白金(Pt)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む、
    請求項6に記載の磁気記憶装置。
  10. 前記第4非磁性層は、ルテニウム(Ru)を含む、
    請求項9に記載の磁気記憶装置。
  11. 第1強磁性層と、
    前記第1強磁性層の上の第1非磁性層と、
    前記第1非磁性層の上の第2強磁性層と、
    前記第2強磁性層の上の酸化物層と、
    前記酸化物層の上の第2非磁性層と、
    を備え、
    前記酸化物層は、希土類元素の酸化物を含み、
    前記第2非磁性層は、コバルト(Co)と、鉄(Fe)と、ボロン(B)と、タングステン(W)とのそれぞれを含む、
    磁気記憶装置。
  12. 前記第2非磁性層は、タングステン(W)及びコバルト鉄ボロン(CoFeB)を含む層である、
    請求項11に記載の磁気記憶装置。
  13. 前記酸化物層は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物を含む、
    請求項11に記載の磁気記憶装置。
  14. 前記第2非磁性層の上の第3非磁性層と、
    前記第3非磁性層の上の第4非磁性層と、
    をさらに備え、
    前記第3非磁性層は、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びタングステン(W)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含み、
    前記第4非磁性層は、白金(Pt)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む、
    請求項11に記載の磁気記憶装置。
  15. 前記第1強磁性層の下方の第3強磁性層と、
    前記第3強磁性層と前記第1強磁性層との間の第5非磁性層と、
    をさらに備え、
    前記第5非磁性層は、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、バナジウム(V)、及びクロム(Cr)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む、
    請求項1乃至請求項14の何れか一項に記載の磁気記憶装置。
  16. 前記第5非磁性層は、前記第3強磁性層と反強磁性的に結合され、
    前記第3強磁性層の磁化方向が、前記第1強磁性層の磁化方向に対して反平行な方向に固定される、
    請求項15に記載の磁気記憶装置。
  17. 前記第3強磁性層からの漏れ磁場は、前記第1強磁性層からの漏れ磁場が前記第2強磁性層の磁化方向に与える影響を低減させる、
    請求項15に記載の磁気記憶装置。
  18. 前記第1強磁性層は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含み、
    前記第1非磁性層は、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、及びLSM(Lanthanum-strontium-manganese)からなる群から選択される少なくとも1つの元素又は化合物の酸化物を含み、
    前記第2強磁性層は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む、
    請求項1乃至請求項14の何れか一項に記載の磁気記憶装置。
  19. 前記第1強磁性層、及び前記第2強磁性層とのそれぞれは、膜面に垂直な方向に磁化容易軸方向を有し、
    前記第1強磁性層の磁化方向は、固定され、
    前記第2強磁性層は、磁化方向が前記第1強磁性層と比較して容易に反転するように構成される、
    請求項18に記載の磁気記憶装置。
  20. 第1方向に延伸して設けられた第1導電体層と、
    前記第1方向と交差する第2方向に延伸し、前記第1導電体層と離間して設けられた第2導電体層と、
    前記第1導電体層と前記第2導電体層との間に柱状に設けられたメモリセルと、
    をさらに備え、
    前記メモリセルは、前記第1強磁性層と、前記第1非磁性層と、前記第2強磁性層と、前記酸化物層と、前記第2非磁性層とを含む、
    請求項1乃至請求項14の何れか一項に記載の磁気記憶装置。
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