JP2023119285A - 人工毛髪用繊維束及び人工毛髪用繊維束の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、従来に比べて、編み込んだときのボリュームや、編み込んだときに毛先の解けにくさ、編み込む際の櫛通り性のバランスが良好な人工毛髪用繊維束及び人工毛髪用繊維束の製造方法を提供する。【解決手段】捲縮を有する複数の繊維が束ねられたものであり、捲縮は、波状であって、最小ピッチが1.5mm超過7mm未満であり、複数の繊維は、90%以上がアクリル繊維であり、繊維は、外郭形状が円形状であって、第1溝部と、第2溝部を有し、第1溝部は、長手方向に延び、外面から中心軸に向かって深さをもっており、第2溝部は、長手方向に延び、外面から中心軸に向かって深さをもっており、第2溝部は、中心軸を挟んで第1溝部とは反対側に位置している構成とする。【選択図】図1
Description
本発明は、人工毛髪用繊維束及び人工毛髪用繊維束の製造方法に関する。
従来から、ブレードヘアなどの頭飾製品の素材として人の毛髪に模した人工毛髪用繊維束が使用されている(例えば、特許文献1)。
ところで、ブレードヘアやドレッドヘア、コーンロウヘア等の毛を編み込んだ髪型に使用される人工毛髪用繊維束は、被施術者の頭部で編み込んだときのボリュームの大きさや、毛先の編み止まり(毛先の解けにくさ)、編み込む際に櫛で解いたときの毛のさばき(櫛通り性)といった機能をバランス良く満たすことが求められる。
そこで、本発明は、従来に比べて、編み込んだときのボリュームや、編み込んだときに毛先の解けにくさ、編み込む際の櫛通り性のバランスが良好な人工毛髪用繊維束及び人工毛髪用繊維束の製造方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するための本発明の一つの様相は、捲縮を有する複数の繊維が束ねられた人工毛髪用繊維束であって、前記捲縮は、波状であって、最小ピッチが1.5mm超過7mm未満であり、前記複数の繊維は、90%以上がアクリル繊維であり、前記繊維は、外郭形状が円形状であって、第1溝部と、第2溝部を有し、前記第1溝部は、長手方向に延び、外面から中心軸に向かって深さをもっており、前記第2溝部は、長手方向に延び、外面から前記中心軸に向かって深さをもっており、前記第2溝部は、前記中心軸を挟んで前記第1溝部とは反対側に位置している、人工毛髪用繊維束である。
本様相によれば、従来に比べて、編み込んだときのボリュームや、編み込んだときに毛先の解けにくさ、編み込む際の櫛通り性のバランスが良好となる。
好ましい様相は、前記第1溝部と前記第2溝部は、径方向において直線上に並んでいることである。
好ましい様相は、全数の90%以上の前記繊維がモダクリル繊維である。
ここでいう「モダクリル繊維」とは、アクリル繊維のうち、アクリルニトリルの重量割合が35%以上85%未満の繊維をいう。
好ましい様相は、櫛歯の長さが80mmで櫛歯の間隔が1mmの櫛で、前記人工毛髪用繊維束を85mm/秒で解いたときに、櫛に加わる平均荷重が1.0N以下である。
好ましい様相は、三つ編みにしたときの毛先から10cmの位置における平均飛び出し毛率が26%以下である。
ここでいう「飛び出し毛」とは、まとめた繊維束の表面から短い繊維が跳ねて出ている状態をいう。
すなわち、「飛び出し毛率」とは、繊維束の飛び出し毛がどの程度あるかを示す指標であり、光を照射したときに透過光の割合が50%未満となるバルクと、50%以上となる飛び出し毛と、に分類したときの全体に占める飛び出し毛の割合をいう。
すなわち、「飛び出し毛率」とは、繊維束の飛び出し毛がどの程度あるかを示す指標であり、光を照射したときに透過光の割合が50%未満となるバルクと、50%以上となる飛び出し毛と、に分類したときの全体に占める飛び出し毛の割合をいう。
本発明の一つの様相は、上記した人工毛髪用繊維束の製造方法であって、原料繊維束をギヤの全歯たけが1.5mm超過7mm未満のギヤクリンプを通過させる工程を含む。
本様相によれば、上記したピッチの捲縮を付与しやすい。
好ましい様相は、前記原料繊維束を三つ編みにし、基端位置から10cmの基準位置における断面積に対する、前記人工毛髪用繊維束を三つ編みしたときの前記基準位置における断面積の変化率が135%以上である。
本発明によれば、従来に比べて、編み込んだときのボリュームや、編み込んだときに毛先の解けにくさ、編み込む際の櫛通り性のバランスが良好となる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の第1実施形態の人工毛髪用繊維束1は、ブレードヘアやドレッドヘア、コーンロウヘアなどの編み込んだ髪型の頭装飾品に好適に使用されるものである。
人工毛髪用繊維束1は、図1(a)のように、複数の繊維2が束ねられた繊維束であり、各繊維2が所定の方向に延びたものである。
人工毛髪用繊維束1は、図1(a)のように、複数の繊維2が束ねられた繊維束であり、各繊維2が所定の方向に延びたものである。
繊維2は、図1(a)の拡大図のように、長手方向の全体に亘って波状の捲縮5が形成されている。
捲縮5は、複数の山部と複数の谷部が交互に繰り返されて構成されている。
捲縮5は、最小ピッチ(山部と山部の間の距離D1又は谷部と谷部の間の距離D2)が1.5mm超過7mm未満であり、2mm以上6mm以下であることが好ましい。
捲縮5は、平均ピッチが3mm超過14.1mm未満であることが好ましく、3.3mm以上6mm以下であることがより好ましい。
捲縮5は、複数の山部と複数の谷部が交互に繰り返されて構成されている。
捲縮5は、最小ピッチ(山部と山部の間の距離D1又は谷部と谷部の間の距離D2)が1.5mm超過7mm未満であり、2mm以上6mm以下であることが好ましい。
捲縮5は、平均ピッチが3mm超過14.1mm未満であることが好ましく、3.3mm以上6mm以下であることがより好ましい。
繊維2は、図1(b)のように、外郭形状が略円形状であって、断面形状が略「H」字状となっている。
繊維2は、略円形状の本体部10と、本体部10の径方向に延びた溝部11,12を備えている。
溝部11,12は、繊維2の長手方向に長さをもって延び、繊維2の外周面から中心軸Cに向かって深さを持った溝である。
溝部11,12は、クランク状となっており、外側円弧部15,16と、内側円弧部17を備えている。
外側円弧部15,16は、本体部10の外周面から延び、本体部10の周方向に互いに対向するような円弧を形成している。
内側円弧部17は、本体部10の外周面よりも中心軸C側にあって、外側円弧部15の端部(本体部10との接続部分とは反対側の端部)と外側円弧部16の端部(本体部10との接続部分とは反対側の端部)を結ぶように円弧状に延びる部位である。
繊維2は、略円形状の本体部10と、本体部10の径方向に延びた溝部11,12を備えている。
溝部11,12は、繊維2の長手方向に長さをもって延び、繊維2の外周面から中心軸Cに向かって深さを持った溝である。
溝部11,12は、クランク状となっており、外側円弧部15,16と、内側円弧部17を備えている。
外側円弧部15,16は、本体部10の外周面から延び、本体部10の周方向に互いに対向するような円弧を形成している。
内側円弧部17は、本体部10の外周面よりも中心軸C側にあって、外側円弧部15の端部(本体部10との接続部分とは反対側の端部)と外側円弧部16の端部(本体部10との接続部分とは反対側の端部)を結ぶように円弧状に延びる部位である。
第1溝部11は、第2溝部12と中心軸Cを挟んで対向する位置にあり、深さ方向が第2溝部12の深さ方向と互いに近接する方向を向いている。すなわち、第1溝部11と第2溝部12は、本体部10の径方向において直線上に並んでいる。
第1溝部11の内側円弧部17aは、第2溝部12の内側円弧部17bとは逆向きに円弧を形成している。
第1溝部11の内側円弧部17aは、第2溝部12の内側円弧部17bとは逆向きに円弧を形成している。
繊維2は、90%以上がアクリル繊維(AC繊維)で構成されており、95%以上がアクリル繊維で構成されていることが好ましく、全てがアクリル繊維で構成されていることがより好ましい。
繊維2は、しなやかさを持たせる観点から、アクリル繊維の中でもモダクリル繊維で構成されていることが好ましい。
繊維2は、しなやかさを持たせる観点から、アクリル繊維の中でもモダクリル繊維で構成されていることが好ましい。
人工毛髪用繊維束1は、後述する原料繊維束を三つ編みにしたときの根元(基端位置)から10cmの基準位置における断面積に対する、三つ編みにしたときの前記基準位置の断面積の割合が135%以上であることが好ましく、140%以上であることがより好ましい。
人工毛髪用繊維束1は、三つ編みにしたときの毛先から10cmの位置における平均飛び出し毛率(FA率)が0%超過30%以下であることが好ましく、26%以下であることがより好ましい。
人工毛髪用繊維束1は、櫛歯の長さが80mmで櫛歯の間隔が1mmの櫛で、85mm/秒で解いたときに、櫛に加わる平均荷重が1.0N以下であることが好ましく、0.8N以下であることがより好ましく、0.7N以下であることが特に好ましい。
人工毛髪用繊維束1は、三つ編みにしたときの毛先から10cmの位置における平均飛び出し毛率(FA率)が0%超過30%以下であることが好ましく、26%以下であることがより好ましい。
人工毛髪用繊維束1は、櫛歯の長さが80mmで櫛歯の間隔が1mmの櫛で、85mm/秒で解いたときに、櫛に加わる平均荷重が1.0N以下であることが好ましく、0.8N以下であることがより好ましく、0.7N以下であることが特に好ましい。
続いて、本実施形態の人工毛髪用繊維束1の製造方法について説明する。
原料繊維を束ねて原料繊維束を形成し、原料繊維束に対して対をなすギヤ部を一又は複数有するギヤクリンプ装置によって繊維2に捲縮5を付与して人工毛髪用繊維束1を形成する。
このときのギヤクリンプ装置のギヤ部の全歯たけサイズは、1.5mm超過7.0mm未満であることが好ましく、2mm以上5mm以下であることが好ましく、2.5mm以上4mm以下であることがより好ましい。
このときのギヤ部の温度は、90℃以上100℃以下であることが好ましい。
このときのギヤ部の回転速度は、0.5m/min以上10.0m/min以下であることが好ましい。
このときのギヤ部の温度は、90℃以上100℃以下であることが好ましい。
このときのギヤ部の回転速度は、0.5m/min以上10.0m/min以下であることが好ましい。
本実施形態の人工毛髪用繊維束1によれば、従来に比べて、編み込んだときのボリュームや、編み込んだときに毛先の解けにくさ、編み込む際の櫛通り性のバランスが良好となる。
本実施形態の人工毛髪用繊維束1によれば、第1溝部11と第2溝部12は、径方向において直線上に並んでいるので、捲縮5が規則的に形成されやすく、櫛通り性が向上できる。
本実施形態の人工毛髪用繊維束1によれば、繊維2の90%以上がモダクリル繊維で形成されているため、しなやかさに優れている。
本実施形態の人工毛髪用繊維束1の製造方法によれば、捲縮5のピッチを所定の範囲に収めやすい。
上記した実施形態では、繊維2は、2つの溝部11,12を備えていたが、本発明はこれに限定されるものではない。繊維2は、3つ以上の溝部を備えていてもよい。例えば、繊維2は、図2(a)のように3つの溝部11,12,111が形成されていてもよいし、図2(b)のように4つの溝部11,12,111,112が形成されていてもよい。
上記した実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる限り、各実施形態間で各構成部材を自由に置換や付加できる。
以下、本発明の実施例を実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
繊維として図1(b)のような外郭形状が円形状であって断面形状が中心軸を挟んで対向部位にそれぞれ溝部を有する「H」状のモダクリル(MODA)繊維を使用した。
長さ3000mm、合計重量が400gとなるように繊維を束ねて原料繊維束を形成し、圧力を一定とし、ギヤ温度100℃、1.5m/minの条件でギヤ部の全歯たけサイズが2.5mmのギヤクリンプ装置に原料繊維束を通過させて製品繊維束を形成し、これを実施例1とした。
繊維として図1(b)のような外郭形状が円形状であって断面形状が中心軸を挟んで対向部位にそれぞれ溝部を有する「H」状のモダクリル(MODA)繊維を使用した。
長さ3000mm、合計重量が400gとなるように繊維を束ねて原料繊維束を形成し、圧力を一定とし、ギヤ温度100℃、1.5m/minの条件でギヤ部の全歯たけサイズが2.5mmのギヤクリンプ装置に原料繊維束を通過させて製品繊維束を形成し、これを実施例1とした。
(実施例2)
実施例1において、ギヤ部の全歯たけサイズを3mmとしたこと以外は同様にして、これを実施例2とした。
実施例1において、ギヤ部の全歯たけサイズを3mmとしたこと以外は同様にして、これを実施例2とした。
(実施例3)
実施例1において、ギヤ部の全歯たけサイズを4mmとしたこと以外は同様にして、これを実施例3とした。
実施例1において、ギヤ部の全歯たけサイズを4mmとしたこと以外は同様にして、これを実施例3とした。
(実施例4)
実施例1において、繊維として実施例1と同様の形状のアクリル(AC)繊維を使用したこと以外は同様にして、これを実施例4とした。
実施例1において、繊維として実施例1と同様の形状のアクリル(AC)繊維を使用したこと以外は同様にして、これを実施例4とした。
(比較例1)
実施例1において、ギヤ部の全歯たけサイズを1.5mmとしたこと以外は同様にして、これを比較例1とした。
実施例1において、ギヤ部の全歯たけサイズを1.5mmとしたこと以外は同様にして、これを比較例1とした。
(比較例2)
実施例1において、ギヤ部の全歯たけサイズを7mmとしたこと以外は同様にして、これを比較例2とした。
実施例1において、ギヤ部の全歯たけサイズを7mmとしたこと以外は同様にして、これを比較例2とした。
(比較例3)
実施例1において、繊維としてポリ塩化ビニル(PVC)繊維を使用したこと以外は同様にして、これを比較例3とした。
実施例1において、繊維としてポリ塩化ビニル(PVC)繊維を使用したこと以外は同様にして、これを比較例3とした。
(比較例4)
実施例1において、繊維としてポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を使用したこと以外は同様にして、これを比較例4とした。
実施例1において、繊維としてポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を使用したこと以外は同様にして、これを比較例4とした。
(ボリューム増加率測定)
図3のように各実施例1~4及び各比較例1~4の製品繊維束において三つ編みにし、そのときの根元(基端位置)から10cmの部分における幅と厚みを測定した。同様に、各実施例1~4及び各比較例1~4の各原料繊維束を三つ編みにし、そのときの根元(基端位置)から10cmの部分における幅と厚みを測定した。
そして、各実施例1~4及び各比較例1~4の各原料繊維束の幅と厚みの積に対する各実施例1~4及び各比較例1~4の各製品繊維束の幅と厚みの積の割合をボリューム増加率として算出した。すなわち、ボリューム増加率は、三つ編み時の各実施例1~4及び各比較例1~4の各原料繊維束と各実施例1~4及び各比較例1~4の製品繊維束の断面積変化率である。
図3のように各実施例1~4及び各比較例1~4の製品繊維束において三つ編みにし、そのときの根元(基端位置)から10cmの部分における幅と厚みを測定した。同様に、各実施例1~4及び各比較例1~4の各原料繊維束を三つ編みにし、そのときの根元(基端位置)から10cmの部分における幅と厚みを測定した。
そして、各実施例1~4及び各比較例1~4の各原料繊維束の幅と厚みの積に対する各実施例1~4及び各比較例1~4の各製品繊維束の幅と厚みの積の割合をボリューム増加率として算出した。すなわち、ボリューム増加率は、三つ編み時の各実施例1~4及び各比較例1~4の各原料繊維束と各実施例1~4及び各比較例1~4の製品繊維束の断面積変化率である。
(飛び出し毛率測定)
図4のように、各実施例1~4及び各比較例1~4の製品繊維束を三つ編みにし、毛束ボリューム測定装置(BOSSA NOVA Vision社製、製品名:BOLERO)を使用し、閾値を50%として飛び出し毛(FLYAWAY)率(以下、FA率ともいう)を測定した。具体的には、三つ編みの毛先10cmの位置において、光を照射し、図4のように、透過率が50%未満の部分をバルク(Bulk)、50%以上の部分を飛び出し毛(FLYAWAY)と分類し、全体に対する飛び出し毛の割合を測定した。
図4のように、各実施例1~4及び各比較例1~4の製品繊維束を三つ編みにし、毛束ボリューム測定装置(BOSSA NOVA Vision社製、製品名:BOLERO)を使用し、閾値を50%として飛び出し毛(FLYAWAY)率(以下、FA率ともいう)を測定した。具体的には、三つ編みの毛先10cmの位置において、光を照射し、図4のように、透過率が50%未満の部分をバルク(Bulk)、50%以上の部分を飛び出し毛(FLYAWAY)と分類し、全体に対する飛び出し毛の割合を測定した。
(櫛通り測定)
コーミングテスター装置(株式会社テクノ・ハシモト製、型式SK-7A)を用いて、各実施例1~4及び各比較例1~4の製品繊維束に対して櫛(株式会社植原セル製、商品名「ニューデルリンスムーズ826」)を1回通し、櫛に加わる荷重を毛さばき(櫛通り性)として算出した。
コーミングテスター装置(株式会社テクノ・ハシモト製、型式SK-7A)を用いて、各実施例1~4及び各比較例1~4の製品繊維束に対して櫛(株式会社植原セル製、商品名「ニューデルリンスムーズ826」)を1回通し、櫛に加わる荷重を毛さばき(櫛通り性)として算出した。
各実施例1~4及び各比較例1~4においてボリューム変化率、FA率、及び手さばきの結果を表1に示す。
実施例1~4では、表1のように、平均ピッチが3.3mm~5.9mmとなり、ボリューム変化率が140%以上となり、FA率が26%以下となり、毛さばきが0.7N以下となった。
実施例1~3では、全歯たけサイズが大きくなるにつれて、ボリューム変化率が減少し、FA率が減少する傾向がみられた。
実施例1と比較例1を比較すると、全歯たけサイズが1.5mmの比較例1では、ボリューム変化率が133%となったのに対し、全歯たけサイズが2.5mmの実施例1では、ボリューム変化率が161%となり、全歯たけサイズを大きくすることで大きくボリュームが増加した。
すなわち、実施例1と比較例1との間では、上記の実施例1~3の全歯たけサイズが大きくなるにつれて、ボリューム変化率が減少する傾向と異なっていた。
また、比較例1では、FA率が27.5%となったのに対し、実施例1では、FA率が23.1%となり、全歯たけサイズを大きくすることでFA率が向上した。
比較例1では、毛さばきが1.6Nとなったのに対して実施例1では0.66Nとなり、全歯たけサイズを大きくすることで毛さばき率が大きく減少した。
実施例1と比較例1を比較すると、全歯たけサイズが1.5mmの比較例1では、ボリューム変化率が133%となったのに対し、全歯たけサイズが2.5mmの実施例1では、ボリューム変化率が161%となり、全歯たけサイズを大きくすることで大きくボリュームが増加した。
すなわち、実施例1と比較例1との間では、上記の実施例1~3の全歯たけサイズが大きくなるにつれて、ボリューム変化率が減少する傾向と異なっていた。
また、比較例1では、FA率が27.5%となったのに対し、実施例1では、FA率が23.1%となり、全歯たけサイズを大きくすることでFA率が向上した。
比較例1では、毛さばきが1.6Nとなったのに対して実施例1では0.66Nとなり、全歯たけサイズを大きくすることで毛さばき率が大きく減少した。
続いて、実施例3と比較例2を比較すると、全歯たけサイズが4mmの実施例3では、ボリューム変化率が149%となったのに対し、全歯たけサイズが7mmの比較例2では、ボリューム変化率が100%となり、全歯たけサイズを大きくすることでボリューム変化率が大きく減少した。
また、実施例3では、FA率が18.9%となったのに対し、比較例2では、FA率が48.1%となり、全歯たけサイズを大きくすることでFA率が大きく悪化した。
実施例3では、毛さばきが0.7Nとなったのに対し、比較例2では、毛さばきが0.5Nとなり、実施例3及び比較例2は毛さばきがともに1N以下に収まった。
これらのことから、全歯たけサイズを1.5mm超過7mm未満とすることで、ボリューム及びFA率を向上でき、毛さばきを1N以下にできることが示唆された。
また、実施例3では、FA率が18.9%となったのに対し、比較例2では、FA率が48.1%となり、全歯たけサイズを大きくすることでFA率が大きく悪化した。
実施例3では、毛さばきが0.7Nとなったのに対し、比較例2では、毛さばきが0.5Nとなり、実施例3及び比較例2は毛さばきがともに1N以下に収まった。
これらのことから、全歯たけサイズを1.5mm超過7mm未満とすることで、ボリューム及びFA率を向上でき、毛さばきを1N以下にできることが示唆された。
実施例1、実施例4、比較例3、及び比較例4を比較すると、PVC繊維を使用した比較例3やPET繊維を使用した比較例4では、ボリューム変化率が100%未満となり、捲縮を付与することでボリュームが低下したのに対し、アクリル繊維を使用した実施例1や実施例4では捲縮を付与することでボリュームが増加した。
特にアクリル繊維の中でもモダクリル繊維を使用した実施例1では、160%以上となり、実施例4に比べても高いボリューム増加率となった。
特にアクリル繊維の中でもモダクリル繊維を使用した実施例1では、160%以上となり、実施例4に比べても高いボリューム増加率となった。
また、比較例3や比較例4ではFA率が30%以上となったのに対して、実施例1や実施例4ではFA率が25%以下となり、飛び出し毛の発生量が抑制された。特に実施例1では、23.1%となり、実施例4に比べても飛び出し毛の発生量が少なかった。
これらのことから、適切なサイズの捲縮を付与することによるボリュームの増加やFA率の低下は、アクリル繊維特有の効果であることが示唆された。
以上のことから、以下の(1)~(3)を満たすことで従来に比べてボリュームが大きく、毛先の解け及び櫛通り性が良好となることが示唆された。
(1)繊維の外郭形状が円形であり、断面形状が中心軸を挟んで対向部位にそれぞれ溝部を有する。
(2)全歯たけサイズが1.5mm超過7mm未満のギヤ部に通過させる。
(3)人工毛髪用繊維束を構成する繊維がアクリル繊維である。
(1)繊維の外郭形状が円形であり、断面形状が中心軸を挟んで対向部位にそれぞれ溝部を有する。
(2)全歯たけサイズが1.5mm超過7mm未満のギヤ部に通過させる。
(3)人工毛髪用繊維束を構成する繊維がアクリル繊維である。
1 人工毛髪用繊維束
2 繊維
5 捲縮
10 本体部
11 第1溝部
12 第2溝部
15,16 外側円弧部
17,17a,17b 内側円弧部
2 繊維
5 捲縮
10 本体部
11 第1溝部
12 第2溝部
15,16 外側円弧部
17,17a,17b 内側円弧部
Claims (7)
- 捲縮を有する複数の繊維が束ねられた人工毛髪用繊維束であって、
前記捲縮は、波状であって、最小ピッチが1.5mm超過7mm未満であり、
前記複数の繊維は、90%以上がアクリル繊維であり、
前記繊維は、外郭形状が円形状であって、第1溝部と、第2溝部を有し、
前記第1溝部は、長手方向に延び、外面から中心軸に向かって深さをもっており、
前記第2溝部は、長手方向に延び、外面から前記中心軸に向かって深さをもっており、
前記第2溝部は、前記中心軸を挟んで前記第1溝部とは反対側に位置している、人工毛髪用繊維束。 - 前記第1溝部と前記第2溝部は、径方向において直線上に並んでいる、請求項1に記載の人工毛髪用繊維束。
- 全数の90%以上の前記繊維がモダクリル繊維である、請求項1又は2に記載の人工毛髪用繊維束。
- 櫛歯の長さが80mmで櫛歯の間隔が1mmの櫛で、前記人工毛髪用繊維束を85mm/秒で解いたときに、櫛に加わる平均荷重が1.0N以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の人工毛髪用繊維束。
- 三つ編みにしたときの毛先から10cmの位置における平均飛び出し毛率が26%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の人工毛髪用繊維束。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の人工毛髪用繊維束の製造方法であって、
原料繊維束をギヤの全歯たけが1.5mm超過7mm未満のギヤクリンプを通過させる工程を含む、人工毛髪用繊維束の製造方法。 - 前記原料繊維束を三つ編みにし、基端位置から10cmの基準位置における断面積に対する、前記人工毛髪用繊維束を三つ編みしたときの前記基準位置における断面積の変化率が135%以上である、請求項6に記載の人工毛髪用繊維束の製造方法。
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