JP2023114963A - 回路基板用導電性フィルム、回路基板用導電性フィルムの製造方法 - Google Patents

回路基板用導電性フィルム、回路基板用導電性フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】薄膜銅層が酸化されにくく、電解めっきが行われるまでの間において薄膜銅層の抵抗値の上昇を防ぐことができ、かつ、回路基板用導電性フィルムの製造に際して防錆層を酸で容易に除去することができる回路基板用導電性フィルム、回路基板用導電性フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】基材と、基材の少なくとも一方の面側に設けられた積層体とを備え、積層体は、基材側から、薄膜銅層と、防錆層とをこの順に有し、防錆層は、銅とニッケルとの合金を含み、銅とニッケルとの合金のうち、銅の割合は、35~70質量%であり、防錆層の平均厚みは、1~9nmである、回路基板用導電性フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、回路基板用導電性フィルム、回路基板用導電性フィルムの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、薄膜銅層が酸化されにくく、電解めっきが行われるまでの間において薄膜銅層の抵抗値の上昇を防ぐことができ、かつ、回路基板用導電性フィルムの製造に際して防錆層を酸で容易に除去することができる、回路基板用導電性フィルム、回路基板用導電性フィルムの製造方法に関する。
従来、種々の分野において、積層体基板が用いられている。特許文献1には、メタルメッシュのタッチパネル用の積層体基板が開示されている。
特開2017-64939号公報
しかしながら、特許文献1に記載の積層体基板は、導電パターンでの反射によりメタルがメッシュ状に視認されてしまう。そのため、最表面側の低反射率合金層における反射率を充分に下げる必要があり、低反射率合金層の厚みは10nm以上である必要がある。
ところで、特許文献1に記載のような従来の積層体基板は、回路基板用(たとえば、FCCL、Flexible Copper Clad Laminate)として用いられる場合、銅めっき工程(電解めっき工程)においてめっき銅層を設ける前に、最表面の低反射率合金層を酸でエッチングをして除去しなければならない。しかしながら、特許文献1に記載の積層体基板は、低反射率合金層の厚みが大きく、酸でのエッチングで充分に除去することが困難である。その結果、特許文献1に記載の積層体基板は、低反射率合金層が残存したまま、めっき銅層が形成されるため、めっき銅層が上手く堆積されなかったり、めっき銅層が剥がれやすくなったりすることがあった。
本発明は、このような従来の発明に鑑みてなされたものであり、薄膜銅層が酸化されにくく、回路基板用導電性フィルムの製造に際して防錆層を酸で容易に除去することができ、かつ、電解めっきが行われるまでの間において薄膜銅層の抵抗値の上昇を防ぐことができる、回路基板用導電性フィルム、回路基板用導電性フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、薄膜銅層上に、所定の比率からなる銅-ニッケル合金を含み、かつ、厚みが調整された防錆層を設けることにより、薄膜銅層の酸化を防ぐことができ、電解めっきが行われるまでの間において薄膜銅層の抵抗値の上昇を防ぐことができ、かつ、そのような防錆層が、回路基板用導電性フィルムの製造に際して酸で容易に除去することができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、上記課題を解決する本発明の回路基板用導電性フィルム、回路基板用導電性フィルムの製造方法には、以下の構成が主に含まれる。
(1)基材と、前記基材の少なくとも一方の面側に設けられた積層体とを備え、前記積層体は、前記基材側から、薄膜銅層と、防錆層とをこの順に有し、前記防錆層は、銅とニッケルとの合金を含み、前記銅と前記ニッケルとの合金のうち、前記銅の割合は、35~70質量%であり、前記防錆層の平均厚みは、1~9nmである、回路基板用導電性フィルム。
このような構成によれば、回路基板用導電性フィルムは、防錆層によって、薄膜銅層の酸化が防がれ、電解めっきが行われるまでの間において薄膜銅層の抵抗値の上昇を防ぐことができる。また、回路基板用導電性フィルムは、製造に際して防錆層を酸で容易に除去することができる。
(2)前記基材と前記薄膜銅層との間に、中間層が設けられた、(1)記載の回路基板用導電性フィルム。
このような構成によれば、回路基板用導電性フィルムは、基材と薄膜銅層との密着性がより優れる。
(3)前記中間層は、銅とニッケルとの合金を含む、(2)記載の回路基板用導電性フィルム。
このような構成によれば、回路基板用導電性フィルムは、たとえば、スパッタFCCL用フィルムとして用いられる場合において、基材と薄膜銅層との密着性がより優れる。
(4)前記中間層は、メラミン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン化合物、アクリル樹脂、ポリエチレンワックスまたはマイクロクリスタリンワックスのうちの少なくともいずれか1種を含む、(2)記載の回路基板用導電性フィルム。
このような構成によれば、回路基板用導電性フィルムは、たとえば、薄膜銅層転写フィルムとして用いられる場合において、転写後に基材を剥離しやすい。
(5)250℃の雰囲気下で加熱処理を2.5時間行った場合に、前記基材と反対側の最表面において、長さ10cmの間隔を空けた領域における電気抵抗値が30Ω以下である、(1)~(4)のいずれかに記載の回路基板用導電性フィルム。
このような構成によれば、回路基板用導電性フィルムは、薄膜銅層の抵抗値の上昇が防がれている。
(6)85℃85%RH(相対湿度)の雰囲気下で加熱加湿処理を500時間行った場合に、前記基材と反対側の最表面において、長さ10cmの間隔を空けた領域における最表面の電気抵抗値が4.0Ω以下である、(1)~(5)のいずれかに記載の回路基板用導電性フィルム。
このような構成によれば、回路基板用導電性フィルムは、薄膜銅層の抵抗値の上昇が防がれている。
(7)基材を準備する工程と、前記基材の少なくとも一方の面側に、前記基材側から、中間層、薄膜銅層、防錆層をこの順に有する積層体を形成する工程と、前記積層体を形成した後に、前記防錆層を除去する工程と、前記防錆層を除去した後に、前記薄膜銅層上に電解めっき法により、めっき銅層を形成する工程と、を有し、前記防錆層は、銅とニッケルとの合金を含み、前記中間層は、銅とニッケルとの合金を含み、前記防錆層における、前記銅と前記ニッケルとの合金のうち、前記銅の割合は、35~70質量%であり、前記防錆層の平均厚みは、1~9nmである、回路基板用導電性フィルムの製造方法。
このような構成によれば、回路基板用導電性フィルムは、防錆層によって、薄膜銅層の酸化が防がれ、電解めっきが行われるまでの間において薄膜銅層の抵抗値の上昇を防ぐことができ、かつ、回路基板用導電性フィルムは、防錆層が電解めっき前の酸洗い工程の酸で容易に除去されやすい。
(8)基材を準備する工程と、前記基材の少なくとも一方の面側に、前記基材側から、中間層、薄膜銅層、防錆層をこの順に有する積層体を形成する工程と、前記積層体を形成した後に、前記防錆層を除去する工程と、前記防錆層を除去した後に、前記薄膜銅層上に電解めっき法により、めっき銅層を形成する工程と、を有し、前記防錆層は、銅とニッケルとの合金を含み、前記中間層は、メラミン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン化合物、アクリル樹脂、ポリエチレンワックスまたはマイクロクリスタリンワックスのうち少なくともいずれか1種を含み、前記銅と前記ニッケルとの合金のうち、前記銅の割合は、35~70質量%であり、前記防錆層の平均厚みは、1~9nmである、回路基板用導電性フィルムの製造方法。
このような構成によれば、回路基板用導電性フィルムは、防錆層によって、薄膜銅層の酸化が防がれ、電解めっきが行われるまでの間において薄膜銅層の抵抗値の上昇を防ぐことができ、かつ、回路基板用導電性フィルムは、防錆層が電解めっき前の酸洗い工程の酸で容易に除去されやすい。
本発明によれば、薄膜銅層が酸化されにくく、電解めっきが行われるまでの間において薄膜銅層の抵抗値の上昇を防ぐことができ、かつ、回路基板用導電性フィルムの製造に際して防錆層を酸で容易に除去することができる回路基板用導電性フィルム、回路基板用導電性フィルムの製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態のフィルムの模式的な断面図である。 図2は、本発明の一実施形態のフィルムの模式的な断面図である。 図3は、本発明の一実施形態のフィルムの製造方法において、防錆層が除去された状態を表す模式的な断面図である。 図4は、本発明の一実施形態のフィルムの製造方法において、めっき銅層が形成された状態を表す模式的な断面図である。 図5は、本発明の一実施形態のフィルムの製造方法において、防錆層が除去された状態を表す模式的な断面図である。 図6は、本発明の一実施形態のフィルムの製造方法において、めっき銅層が形成された状態を表す模式的な断面図である。 図7は、本発明の一実施形態のフィルムの製造方法において、得られたフィルムが、接着層を介して被転写基材に転写され、その後、基材および中間層が剥離された状態を表す模式的な断面図である。
<回路基板用導電性フィルム>
本発明の一実施形態の回路基板用導電性フィルム(以下、単にフィルムともいう。)は、基材と、基材の少なくとも一方の面側に設けられた積層体とを備える。積層体は、基材側から、薄膜銅層と、防錆層とをこの順に有する。防錆層は、銅とニッケルとの合金を含む。銅とニッケルとの合金のうち、銅の割合は、35~70質量%である。防錆層の平均厚みは、1~9nmである。以下、それぞれについて説明する。
(基材)
基材は特に限定されない。一例を挙げると、基材は、PI(ポリイミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PMMA(メタクリル樹脂)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、COP(シクロオレフィンポリマー樹脂)、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)、PS(ポリスチレン樹脂)、フッ素樹脂(たとえば、PTFE、PFA、ETFE、FEP)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)等である。これらの基材が採用されることにより、本実施形態のフィルムは、ハンドリングされやすく、生産性が高められやすい。
基材の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、基材の厚みは、6μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましく、25μm以上であることがさらに好ましい。また、基材の厚みは、300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。基材の厚みが上記範囲内であることにより、フィルムは、加工時のハンドリング性、屈曲性が優れる。また、フィルムは、折り曲げ可能な回路基板用の用途に適しやすい。なお、基材の平均厚みは、フィルムの用途により適宜調整され得る。一例を挙げると、より薄膜、高い屈曲性が求められる用途では、基材の平均厚みは、6μmに近い厚みが選択され得る。また、絶縁性、高信頼性、ハンドリング性から、基材の平均厚みは、300μmに近い厚みが選択され得る。
(中間層)
中間層は、基材と薄膜銅層との間に、好適に設けられる層である。また、中間層は、フィルムの用途(たとえば、スパッタFCCL用フィルムまたは薄膜銅層転写フィルム等)によって、適宜材料が選択され得る。以下、一例として、本実施形態のフィルムがスパッタFCCL用フィルムであるか、または、薄膜銅層転写フィルムである場合について、説明する。
・スパッタFCCL用フィルムである場合
図1は、本実施形態のフィルム1aの模式的な断面図である。本実施形態のフィルム1aがスパッタFCCL用フィルムである場合、中間層3aは、基材2と薄膜銅層4との密着性を高めるための密着層として設けられる。なお、参照符号5は、防錆層である。
中間層3aは、銅とニッケルとの合金を含むことが好ましい。これにより、フィルム1aは、基材2と薄膜銅層4との密着性がより優れる。
銅とニッケルとの合金のうち、銅の含有量は、中間層3aにおける銅とニッケルとの全量に対し、32質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましい。また、銅とニッケルとの合金のうち、銅の含有量は、中間層3aにおける銅とニッケルとの全量に対し、70質量%以下であることが好ましく、56質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることがさらに好ましく、40質量%以下であることが特に好ましい。銅の含有量が上記範囲内であることにより、合金は、常温で強磁性体ではなくなり、透磁率を下げることができる。これにより、合金は、スパッタリングで成膜し易くなる。また、中間層3aは、基材2との界面の密着性が向上しやすく、優れた密着性が得られやすい。
一方、銅とニッケルとの合金のうち、ニッケルの含有量は、中間層3aにおける銅とニッケルとの全量に対し、30質量%以上であることが好ましく、44質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることがさらに好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。また、銅とニッケルとの合金のうち、ニッケルの含有量は、中間層3aにおける銅とニッケルとの全量に対し、68質量%以下であることが好ましい。
銅とニッケルとの合金の含有量は、中間層3aの全量に対し、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。中間層3aは、本実施形態の効果を奏する限り、目的に応じて適宜その他の成分を含んでもよい。
中間層3aの厚みは特に限定されない。一例を挙げると、中間層3aの厚みは、3nm以上であることが好ましく、4nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることがさらに好ましい。また、中間層3aの厚みは、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、25nm以下であることがさらに好ましい。中間層3aの厚みが上記範囲内であることにより、フィルム1aは、密着性が優れ、かつ、生産性が優れる。
・薄膜銅層転写フィルムである場合
図2は、本実施形態のフィルム1bの模式的な断面図である。本実施形態のフィルム1bが薄膜銅層転写フィルムである場合、中間層3bは、転写後に基材2を剥離する際の剥離層として設けられる。なお、参照符号5は、防錆層である。
中間層3bは、メラミン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン化合物、アクリル樹脂、ポリエチレンワックスまたはマイクロクリスタリンワックスのうちの少なくともいずれか1種を含むことが好ましい。これにより、フィルム1bは、転写後に基材2を剥離しやすい。
なお、本実施形態のフィルム1bが薄膜銅層転写フィルムであり、基材2がフッ素樹脂、オレフィン系樹脂である場合、中間層3bは省略されてもよい。
中間層3bの厚みは特に限定されない。一例を挙げると、中間層3bの厚みは、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがさらに好ましい。また、中間層3bの厚みは、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。中間層3bの厚みが上記範囲内であることにより、フィルム1bは、剥離性が優れ、かつ、生産性が優れる。
(積層体)
積層体は、基材の少なくとも一方の面側に設けられる。積層体は、基材側から、薄膜銅層と、防錆層とをこの順に有する。
・薄膜銅層
薄膜銅層は、回路基板の電極形成の下地として設けられる。銅は、回路基板に用いられる他の金属等と比べて安価であり、比抵抗値が低いため、回路基板用の導電パターンを形成する際の金属種として好適である。また、薄膜銅層が設けられることにより、その後にめっき銅層を形成する際に、銅が堆積しやすい。薄膜銅層は、上記した中間層とともに、FPC(Flexible Printed Circuit)化される際に、フォトリソグラフィ工程によって所望のパターンにエッチングされる。
薄膜銅層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、薄膜銅層は、従来公知の真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法等により形成され得る。これらの中でも、本実施形態のフィルムは、成膜後の膜質が優れるという理由により、スパッタリング法により薄膜銅層を設けることが好ましい。スパッタリング条件は、所望する薄膜銅層の厚みに基づいて、従来公知の条件が適宜採用され得る。
薄膜銅層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、薄膜銅層の厚みは、50nm以上であることが好ましく、60nm以上であることがより好ましく、70nm以上であることがさらに好ましい。薄膜銅層の厚みが上記範囲内であることにより、フィルムは、銅電解めっきにより厚膜化されやすい。また、薄膜銅層の厚みは、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることがさらに好ましい。薄膜銅層の厚みが上記範囲内であることにより、フィルムは、生産性が優れる。
・防錆層
防錆層は、薄膜銅層上に設けられる。防錆層は、空気中の酸素によって優先的に酸化(腐食)される。これにより、防錆層は、薄膜銅層の酸化を防止する。
防錆層は、銅とニッケルとの合金を含む。銅とニッケルとの合金のうち、銅の含有量は、防錆層における銅とニッケルとの全量に対し、32質量%以上であればよく、35質量%以上であることが好ましい。また、銅とニッケルとの合金のうち、銅の含有量は、防錆層における銅とニッケルとの全量に対し、70質量%以下であればよく、55質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。銅の含有量が防錆層における銅とニッケルとの全量に対し、32質量%未満である場合、合金は、常温で強磁性体となり、透磁率を下げることができないため、スパッタリングで成膜しにくくなる。一方、銅の含有量が防錆層における銅とニッケルとの全量に対し、70質量%を超える場合、フィルムは、防錆層の酸化防止性能が低下して、薄膜銅層の抵抗値が上昇しやすくなるという問題がある。
一方、銅とニッケルとの合金のうち、ニッケルの含有量は、防錆層における銅とニッケルとの全量に対し、30質量%以上であればよく、45質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましい。ニッケルの含有量が上記範囲内であることにより、防錆層の酸化防止性能がより優れ、薄膜銅層の抵抗値の上昇が抑えられる。また、銅とニッケルとの合金のうち、ニッケルの含有量は、防錆層における銅とニッケルとの全量に対し、68質量%以下であればよく、65質量%以下であることが好ましい。ニッケルの含有量が上記範囲内であることにより、銅とニッケルとの合金は、常温で磁性がなくなり、防錆層をスパッタリングで成膜しやすくなる。
銅とニッケルとの合金の含有量は、防錆層の全量に対し、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。防錆層は、本実施形態の効果を奏する限り、目的に応じて適宜その他の成分を含んでもよい。
防錆層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、防錆層は、従来公知のスパッタリング法等の物理蒸着法等により形成され得る。
防錆層の厚み(平均厚み)は、1nm以上であればよく、3nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましい。また、防錆層の厚みは、9nm以下であればよく、7nm以下であることがより好ましい。防錆層の厚みが1nm未満である場合、フィルムは、薄膜銅層の酸化を防ぎにくい。一方、防錆層の厚みが9nmを超える場合、フィルムは、防錆層が酸で除去されにくく、その上から電解めっきが行われると、めっき銅層が堆積しにくくなったり、めっき銅層が剥がれやすくなる。
なお、本実施形態において、防錆層は、微細な凹凸を有する。そのため、防錆層の上記厚みは、平均厚みである。本実施形態において、防錆層の平均厚みは、蛍光X線測定装置を用いて測定し得る。具体的には、まず、複数の水準の所定の厚みの防錆層を形成した基板を用意し、複数の水準の所定の厚みの防錆層の物理膜厚を、接触式段差計により測定する。また、複数の水準の所定の厚みの防錆層における防錆層の量を、蛍光X線測定装置(XRF、Primini(卓上波長分散蛍光X線分析装置)、リガク社製)を用いて定量分析により測定する。接触式段差計により測定した膜厚と、XRFを用いた定量分析により測定した防錆層材料の量から、検量線を作成する。フィルムを、XRFを用いた定量分析によって、防錆層に由来するニッケルおよび銅を検出し、10箇所における測定値の平均値を平均厚みとする。防錆層の平均厚みは、上記微細な凹凸プロファイルにおける平均値と考えてよい。
積層体全体の説明に戻り、積層体は、基材の少なくとも一方の面側に設けられる。積層体は、基材の両面に設けられてもよい。
以上、本実施形態のフィルムは、防錆層によって、薄膜銅層の酸化が防がれ、電解めっきが行われるまでの間において薄膜銅層の抵抗値の上昇を防ぐことができ、かつ、フィルムは、製造に際して防錆層を酸で容易に除去することができる。
具体的には、本実施形態のフィルムは、250℃の雰囲気下で加熱処理を2.5時間行った場合に、基材と反対側の最表面において、長さ10cmの間隔を空けた領域における電気抵抗値が30Ω以下であることが好ましく、10Ω以下であることがより好ましい。このように、本実施形態のフィルムは、薄膜銅層の抵抗値の上昇が防がれ得る。
また、本実施形態のフィルムは、85℃85%RH(相対湿度)の雰囲気下で加熱加湿処理を500時間行った場合に、基材と反対側の最表面において、長さ10cmの間隔を空けた領域における最表面の電気抵抗値が4.0Ω以下であることが好ましい。このように、本実施形態のフィルムは、薄膜銅層の抵抗値の上昇が防がれ得る。
なお、防錆層は、薄膜銅層と比べて、非常に薄い。そのため、最表面の電気抵抗値は、防錆層と薄膜銅層との抵抗値を表し、実質的には薄膜銅層の電気抵抗値と捉え得る。したがって、最表面の電気抵抗値が30Ω以下であるということは、薄膜銅層の電気抵抗値がその程度の値であることを意味し、薄膜銅層の酸化が抑制されているといえる。
<回路基板用導電性フィルムの製造方法>
以下、本発明の一実施形態の回路基板用導電性フィルムの製造方法(以下、フィルムの製造方法ともいう。)について、フィルムの用途がスパッタFCCL用フィルムである場合、および、薄膜銅層転写フィルムである場合について、それぞれの製造方法を説明する。
(スパッタFCCL用フィルムである場合)
フィルムの用途がスパッタFCCL用フィルムである場合、本実施形態のフィルムの製造方法は、基材を準備する工程と、基材の少なくとも一方の面側に、基材側から、中間層、薄膜銅層、防錆層をこの順に有する積層体を形成する工程と、積層体を形成した後に、防錆層を除去する工程と、防錆層を除去した後に、薄膜銅層上に電解めっき法により、めっき銅層を形成する工程とを有する。防錆層は、銅とニッケルとの合金を含む。中間層は、銅とニッケルとの合金を含む。防錆層における、銅とニッケルとの合金のうち、銅の割合は、35~70質量%である。防錆層の平均厚みは、1~9nmである。以下、それぞれについて説明する。なお、以下の説明において、基材、中間層および積層体は、フィルムの実施形態において上記したものと同様である。
・基材を準備する工程および積層体を形成する工程
準備された基材の少なくとも一方の面側に、基材側から、中間層、薄膜銅層、防錆層をこの順に有する積層体が形成される。
基材に対して中間層を積層する方法は特に限定されない。一例を挙げると、中間層は、スパッタリングすること等により積層し得る。
中間層に薄膜銅層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、薄膜銅層は、フィルムの実施形態において上記したとおり、従来公知の真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法等により形成し得る。
薄膜銅層に防錆層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、防錆層は、フィルムの実施形態において上記したとおり、従来公知のスパッタリング法等の物理蒸着法等により形成し得る。
・防錆層を除去する工程
防錆層を除去する方法は特に限定されない。一例を挙げると、防錆層は、希硫酸、過酸化水素、塩化第二鉄等の酸を用いて洗浄することにより、除去され得る。本実施形態のフィルムは、防錆層の厚みが1~9nmである。そのため、防錆層は、充分に除去されやすく、薄膜銅層上に残存しにくい。図3は、本実施形態のフィルムの製造方法において、防錆層5(図1参照)が除去された状態を表す模式的な断面図である。
なお、このように酸を用いて洗浄する前に、積層体は、加熱処理される場合がある。このような場合であっても、本実施形態のフィルム1aは、防錆層が設けられていることにより、薄膜銅層4が酸化されることを防ぐことができる。
・めっき銅層を形成する工程
防錆層が除去された後、露出された薄膜銅層4上に、電解めっき法により、めっき銅層が形成される。電解めっき法の条件は特に限定されない。一例を挙げると、電解めっき法は、硫酸銅浴にフィルムを浸漬させるとともに、硫酸銅浴等に電極を浸漬させ、フィルム-電極間に電圧を印加させて、硫酸銅浴中の銅イオンをフィルムの薄膜銅層上で還元反応させることで実施され得る。
図4は、本実施形態のフィルムの製造方法において、めっき銅層6が形成された状態を表す模式的な断面図である。
薄膜銅層4に対してめっき銅層6を形成する電解めっき法は特に限定されない。一例を挙げると、電解めっき法は、電解液浴として、硫酸銅浴、シアン化銅浴、ピロリン酸銅浴等を用いるという条件を採用し得る。
めっき銅層6の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、めっき銅層6の厚みは、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましい。また、めっき銅層6の厚みは、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。めっき銅層6の厚みが上記範囲内であることにより、フィルムは、低抵抗化と生産性との両立化が可能という利点がある。
以上の工程が行われることにより、基材、中間層、薄膜銅層およびめっき銅層がこの順で積層されたフィルムが作製される。得られたフィルムは、その製造過程において、防錆層によって薄膜銅層が覆われている。これにより、フィルムは、電解めっきが行われる前に加熱される場合であっても、薄膜銅層の酸化が防がれる。そのため、電解めっきが行われるまでの間において薄膜銅層の抵抗値の上昇を防がれる。また、防錆層は、めっき銅層が形成される前に充分に除去され、薄膜銅層の表面が洗浄されている。また、めっき銅層は、薄膜銅層に対して形成される。この際、めっき銅層は、同じ金属種である銅からなる薄膜銅層に対して形成されるため、堆積されやすい。
(薄膜銅層転写フィルムである場合)
フィルムの用途が薄膜銅層転写フィルムである場合、本実施形態のフィルムの製造方法は、基材を準備する工程と、基材の少なくとも一方の面側に、基材側から、中間層、薄膜銅層、防錆層をこの順に有する積層体を形成する工程と、積層体を形成した後に、防錆層を除去する工程と、防錆層を除去した後に、薄膜銅層上に電解めっき法により、めっき銅層を形成する工程とを有する。防錆層は、銅とニッケルとの合金を含む。中間層は、メラミン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン化合物、アクリル樹脂、ポリエチレンワックスまたはマイクロクリスタリンワックスのうち少なくともいずれか1種を含む。銅とニッケルとの合金のうち、銅の割合は、35~70質量%である。防錆層の平均厚みは、1~9nmである。以下、それぞれについて説明する。なお、以下の説明において、基材、中間層および積層体は、フィルムの実施形態において上記したものと同様である。
・基材を準備する工程および積層体を形成する工程
準備された基材の少なくとも一方の面側に、基材側から、中間層、薄膜銅層、防錆層をこの順に有する積層体が形成される。
基材に対して中間層を積層する方法は特に限定されない。一例を挙げると、中間層は、スパッタリングすることにより積層し得る。
中間層に薄膜銅層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、薄膜銅層は、フィルムの実施形態において上記したとおり、従来公知の真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法等により形成し得る。
薄膜銅層に防錆層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、防錆層は、フィルムの実施形態において上記したとおり、従来公知のスパッタリング法等の物理蒸着法等により形成し得る。
・防錆層を除去する工程
防錆層を除去する方法は特に限定されない。一例を挙げると、防錆層は、スパッタFCCL用フィルムである場合において上記した方法により、除去され得る。図5は、本実施形態のフィルムの製造方法において、防錆層5(図2参照)が除去された状態を表す模式的な断面図である。
・めっき銅層を形成する工程
めっき銅層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、めっき銅層は、スパッタFCCL用フィルムである場合において上記した方法により、形成され得る。
図6は、本実施形態のフィルムの製造方法において、めっき銅層6が形成された状態を表す模式的な断面図である。
薄膜銅層4に対してめっき銅層6を形成する電解めっき法は特に限定されない。一例を挙げると、電解めっき法は、電解液浴として、硫酸銅浴、シアン化銅浴、ピロリン酸銅浴等を用いるという条件を採用し得る。
めっき銅層6の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、めっき銅層6の厚みは、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましい。また、めっき銅層6の厚みは、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。めっき銅層6の厚みが上記範囲内であることにより、フィルムは、低抵抗化と生産性との両立化が可能という利点がある。
以上の工程が行われることにより、基材、中間層、薄膜銅層およびめっき銅層がこの順で積層されたフィルムが作製される。得られたフィルムは、その製造過程において、防錆層によって薄膜銅層が覆われている。これにより、フィルムは、電解めっきが行われる前に加熱される場合であっても、薄膜銅層の酸化が防がれる。そのため、電解めっきが行われるまでの間において薄膜銅層の抵抗値の上昇を防がれる。また、防錆層は、めっき銅層が形成される前に充分に除去され、薄膜銅層の表面が洗浄されている。また、めっき銅層は、薄膜銅層に対して形成される。この際、めっき銅層は、同じ金属種である銅からなる薄膜銅層に対して形成されるため、堆積されやすい。得られたフィルムは、被転写基材に対して、接着層を介して転写され、その後、中間層および基材が剥離される。図7は、本実施形態のフィルムの製造方法において、得られたフィルムが、接着層7を介して被転写基材8に転写され、その後、基材2および中間層3bが剥離された状態を表す模式的な断面図である。
接着層7は特に限定されない。一例を挙げると、接着層7は、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、ウレタン変性ポリエステル樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)系、ビニル樹脂系(塩ビ、酢ビ、塩ビ-酢ビ共重合樹脂)、スチレン-エチレン-ブチレン共重合体樹脂系、ポリビニルアルコール樹脂系、ポリアクリルアミド樹脂系、ポリアクリルアミド樹脂系、ビスマレイミド樹脂、シアネートモノマー、イソブチレンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、SBR、NBR、シリコーンゴム、PPE、オレフィン系等の樹脂からなる。これらの樹脂は、適宜、溶剤に溶解されて使用されてもよく、無溶剤で使用されてもよい。
接着層7の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、接着層7の厚みは、0.5~5μm程度である。
接着層7を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、接着層7は、ロールコーター等を用いて、適宜溶剤に溶解した接着層7を構成する樹脂溶液を、めっき銅層6上に塗布し、乾燥させることにより形成し得る。
被転写基材8は特に限定されない。一例を挙げると、被転写基材8は、ガラス基板、エポキシ基板、金属基板、セラミック基板、シリコン基板、半導体封止樹脂基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。なお、特に制限のない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
<実施例1>
PIからなる基材(厚み25μm)を準備した。基材に対して、スパッタリング装置を用いて、膜厚が10nmとなるように、銅とニッケルとの合金を含む中間層を形成した。次いで、中間層に対して、スパッタリング装置を用いて、膜厚が120nmとなるように、薄膜銅層を形成した。その後、薄膜銅層に対して、スパッタリング装置を用いて、膜厚が1nmとなるように、防錆層を形成し、回路基板用導電性フィルムを作製した。
<実施例2~15、比較例1~6>
表1に示される処方にしたがって、各層の種類、厚みを調整した以外は、実施例1と同様の方法により、回路基板用導電性フィルムを作製した。なお、表1において、「Ni-35Cu」は、Cuが35質量%であり、Niが65質量%であるNi-Cu合金のスパッタリングターゲットを用いたことを示している。「Ni-55Cu」は、Cu(銅)が55質量%であり、Ni(ニッケル)が45質量%であるNi-Cu合金のスパッタリングターゲットを用いたことを示している。「Ni-70Cu」は、Cu(銅)が70質量%であり、Ni(ニッケル)が30質量%であるNi-Cu合金のスパッタリングターゲットを用いたことを示している。この際、Ni-35Cuのターゲットを用いて成膜したFCCLの中間層、防錆層におけるNi-Cu合金の組成比は、XPS分析を行ったところ、ターゲットの組成比とスパッタリング成膜した膜自体の組成比との間に実質的な差異がなかったことを確認した。よって、膜の組成比とターゲットの組成比とは、同じとみなし得る。同様に、Ni-55CuおよびNi-70Cuのそれぞれのターゲットを用いて成膜した防錆層におけるNi-Cu合金の組成比は、いずれも、ターゲットの組成比とスパッタリング成膜した膜自体の組成比との間に実質的な差異がないものとみなし得る。また、比較例4では、防錆層を設けなかった。
Figure 2023114963000002
実施例1~15および比較例1~6において得られたフィルムについて、以下の方法に従って、「250℃の雰囲気下で加熱処理を2.5時間行った場合に、基材と反対側の最表面において、長さ10cmの間隔を空けた領域における電気抵抗値」、「85℃85%RH(相対湿度)の雰囲気下で加熱加湿処理を500時間行った場合に、基材と反対側の最表面において、長さ10cmの間隔を空けた領域における最表面の電気抵抗値」、「防錆層のエッチング性」を評価した。結果を表1に示す。
<250℃の雰囲気下で加熱処理を2.5時間行った場合に、基材と反対側の最表面において、長さ10cmの間隔を空けた領域における電気抵抗値>
フィルムに対して、250℃の雰囲気下で加熱処理を2.5時間行った。その後、基材と反対側の最表面において、10cmの間隔を空けた領域における電気抵抗値を、市販のテスター(デジタルマルチメータ 日置電機(株)製、DT4222)を用いて測定した。具体的には、基材と反対側の最表面において、テスターの2つの端子同士を約10cmの間隔を空けて測定した。なお、初期の最表面の電気抵抗値は、いずれのサンプルも、0.8~0.9Ωであった。
<85℃85%RH(相対湿度)の雰囲気下で加熱加湿処理を500時間行った場合に、基材と反対側の最表面において、長さ10cmの間隔を空けた領域における最表面の電気抵抗値>
フィルムに対して、85℃85%RH(相対湿度)の雰囲気下で加熱加湿処理を500時間行った。その後、基材と反対側の最表面において、10cmの間隔を空けた領域における電気抵抗値を、市販のテスター(デジタルマルチメータ 日置電機(株)製、DT4222)を用いて測定した。具体的には、基材と反対側の最表面において、テスターの2つの端子同士を約10cmの間隔を空けて測定した。なお、初期の最表面の電気抵抗値は、いずれのサンプルも、0.8~0.9Ωであった。
<防錆層のエッチング性>
5cm×約10cmのPETフィルムに、上記実施例および比較例で採用した各種の防錆層のみをスパッタリングした。スパッタリング後のサンプルを、奥野製薬工業(株)製の希硫酸(酸性脱脂剤(DP-320クリーン))を10倍希釈した液を入れたビーカー内に、ピンセットを用いて半分程度、約10分間、浸漬させて、防錆層がエッチングされるかどうかを目視で観察し、以下の評価基準に従って評価した。なお、防錆層がNi-20Crであるサンプルについては、透明PIフィルム上に防錆層のみをスパッタリングして形成したサンプルを、上記と同じ希硫酸に半分程度を浸漬させて、エッチング性を目視で観察した。なお、本評価方法では、目視で観察しやすくするために、透明のPETフィルム単体に防錆層のみをスパッタリングしてサンプルを形成したが、実際の構成で作成したサンプルと比較して、防錆層のエッチング性については目視観察で差異がなかったから、上記実施例および比較例で作製したフィルムを用いる場合であっても、同様の結果が得られる。
(評価基準)
○:防錆層が完全に除去された。
△:防錆層が完全には除去されなかったが、実使用上、問題なかった。
×:防錆層が除去されずに残った。
表1に示されるように、本発明の実施例1~15のフィルムは、電気抵抗値の上昇を抑えることができ、かつ、防錆層を容易に除去することができた。
1a、1b フィルム
2 基材
3a、3b 中間層
4 薄膜銅層
5 防錆層
6 めっき銅層
7 接着層
8 被転写基材

Claims (8)

  1. 基材と、前記基材の少なくとも一方の面側に設けられた積層体とを備え、
    前記積層体は、前記基材側から、薄膜銅層と、防錆層とをこの順に有し、
    前記防錆層は、銅とニッケルとの合金を含み、
    前記銅と前記ニッケルとの合金のうち、前記銅の割合は、35~70質量%であり、
    前記防錆層の平均厚みは、1~9nmである、回路基板用導電性フィルム。
  2. 前記基材と前記薄膜銅層との間に、中間層が設けられた、請求項1記載の回路基板用導電性フィルム。
  3. 前記中間層は、銅とニッケルとの合金を含む、請求項2記載の回路基板用導電性フィルム。
  4. 前記中間層は、メラミン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン化合物、アクリル樹脂、ポリエチレンワックスまたはマイクロクリスタリンワックスのうちの少なくともいずれか1種を含む、請求項2記載の回路基板用導電性フィルム。
  5. 250℃の雰囲気下で加熱処理を2.5時間行った場合に、前記基材と反対側の最表面において、長さ10cmの間隔を空けた領域における電気抵抗値が30Ω以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の回路基板用導電性フィルム。
  6. 85℃85%RH(相対湿度)の雰囲気下で加熱加湿処理を500時間行った場合に、前記基材と反対側の最表面において、長さ10cmの間隔を空けた領域における最表面の電気抵抗値が4.0Ω以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の回路基板用導電性フィルム。
  7. 基材を準備する工程と、
    前記基材の少なくとも一方の面側に、前記基材側から、中間層、薄膜銅層、防錆層をこの順に有する積層体を形成する工程と、
    前記積層体を形成した後に、前記防錆層を除去する工程と、
    前記防錆層を除去した後に、前記薄膜銅層上に電解めっき法により、めっき銅層を形成する工程と、を有し、
    前記防錆層は、銅とニッケルとの合金を含み、
    前記中間層は、銅とニッケルとの合金を含み、
    前記防錆層における、前記銅と前記ニッケルとの合金のうち、前記銅の割合は、35~70質量%であり、
    前記防錆層の平均厚みは、1~9nmである、回路基板用導電性フィルムの製造方法。
  8. 基材を準備する工程と、
    前記基材の少なくとも一方の面側に、前記基材側から、中間層、薄膜銅層、防錆層をこの順に有する積層体を形成する工程と、
    前記積層体を形成した後に、前記防錆層を除去する工程と、
    前記防錆層を除去した後に、前記薄膜銅層上に電解めっき法により、めっき銅層を形成する工程と、を有し、
    前記防錆層は、銅とニッケルとの合金を含み、
    前記中間層は、メラミン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン化合物、アクリル樹脂、ポリエチレンワックスまたはマイクロクリスタリンワックスのうち少なくともいずれか1種を含み、
    前記銅と前記ニッケルとの合金のうち、前記銅の割合は、35~70質量%であり、
    前記防錆層の平均厚みは、1~9nmである、回路基板用導電性フィルムの製造方法。
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