JP2023110550A - 圧電薄膜共振器およびその製造方法、フィルタ並びにマルチプレクサ - Google Patents

圧電薄膜共振器およびその製造方法、フィルタ並びにマルチプレクサ Download PDF

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裕太 津田
Yuta Tsuda
守 石田
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Abstract

【課題】スプリアスを抑制することができる圧電薄膜共振器、その製造方法、フィルタ及びマルチプレクサを提供する。【解決手段】圧電薄膜共振器は、基板10と、基板10上に設けられた下部電極12と、下部電極上に設けられた圧電層14と、圧電層上に、下部電極との間に圧電層の少なくとも一部を挟み設けられた上部電極16と、基板と下部電極との間に設けられた複数の低インピーダンス層31a~31cと、複数の低インピーダンス層の音響インピーダンスより大きな音響インピーダンスを有し、複数の低インピーダンス層と交互に設けられた複数の高インピーダンス層32a、32bと、を備える。最も下部電極に近い第1高インピーダンス層32aにおける下部電極側の面34aの粗さは、第1高インピーダンス層32a以外の少なくとも1つの第2高インピーダンス層32bの第1電極側の面34bの粗さより小さい音響反射膜と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、圧電薄膜共振器およびその製造方法、フィルタ並びにマルチプレクサに関する。
携帯電話等の無線端末の高周波回路用のフィルタおよびデュプレクサとして、SMR(Solid Mounted Resonator)等のBAW(Bulk Acoustic Wave)共振器が用いられている。BAW共振器は圧電薄膜共振器とよばれている。圧電薄膜共振器は、圧電層を挟み下部電極と上部電極とを設ける構造を有し、圧電層の少なくとも一部を挟み下部電極と上部電極とが対向する共振領域は弾性波が共振する領域である。下部電極下に弾性波を反射する音響反射膜として低音響インピーダンス層と高インピーダンス層が積層された音響反射膜において、少なくとも一部の面を粗面とすることが知られている(例えば特許文献1および2)。
国際公開第2018/154950号 特開2020-113954号公報
特許文献1では、高インピーダンス層の基板側の面を粗面とすることで、スプリアスを抑制する。しかし、スプリアスの抑制は不十分である。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、スプリアスを抑制することを目的とする。
本発明は、基板と、前記基板上に設けられた第1電極と、前記第1電極上に設けられた圧電層と、前記圧電層上に、前記第1電極との間に前記圧電層の少なくとも一部を挟み設けられた第2電極と、前記基板と前記第1電極との間に設けられた複数の低インピーダンス層と、前記複数の低インピーダンス層の音響インピーダンスより大きな音響インピーダンスを有し、前記複数の低インピーダンス層と交互に設けられた複数の高インピーダンス層と、を備え、前記複数の高インピーダンス層のうち最も前記第1電極に近い第1高インピーダンス層における前記第1電極側の面の粗さは、前記複数の高インピーダンス層のうち前記第1高インピーダンス層以外の少なくとも1つの第2高インピーダンス層の前記第1電極側の面の粗さより小さい音響反射膜と、を備える圧電薄膜共振器である。
上記構成において、前記第1高インピーダンス層の前記基板側の面の粗さは、前記第2高インピーダンス層の前記基板側の面の粗さより小さい構成とすることができる。
上記構成において、前記第2高インピーダンス層は、前記複数の高インピーダンス層のうち2番目に前記第1電極に近い構成とすることができる。
上記構成において、前記第1高インピーダンス層の前記基板側の面の粗さは、前記第1高インピーダンス層の前記第1電極側の面の粗さより大きく、前記第2高インピーダンス層の前記第1電極側の面の粗さは、前記第1高インピーダンス層の前記基板側の面の粗さより大きく、前記第2高インピーダンス層の前記基板側の面の粗さは前記第2高インピーダンス層の前記第1電極側の面の粗さより大きい構成とすることができる。
上記構成において、前記第1高インピーダンス層の前記第1電極側の面の算術平均粗さは10nmより小さい構成とすることができる。
上記構成において、前記第2高インピーダンス層の前記第1電極側の面の算術平均粗さは10nm以上である構成とすることができる。
上記構成において、前記圧電層は、回転Yカットニオブ酸リチウム基板またはXカットタンタル酸リチウム基板である構成とすることができる。
本発明は、上記圧電薄膜共振器を含むフィルタである。
本発明は、上記フィルタを含むマルチプレクサである。
本発明は、圧電層の第1電極が設けられた面に、第1低インピーダンス層を形成する工程と、前記第1低インピーダンス層上に、前記第1低インピーダンス層の音響インピーダンスより高い音響インピーダンスを有し、前記第1電極と反対側の面の粗さが前記第1電極側の面の粗さより大きい第1高インピーダンス層を形成する工程と、前記第1高インピーダンス層上に、前記第1高インピーダンス層の音響インピーダンスより低い音響インピーダンスを有する第2低インピーダンス層を形成する工程と、前記第2低インピーダンス層上に、前記第2低インピーダンス層の音響インピーダンスより高い音響インピーダンスを有し、前記第1電極側の面の粗さが前記第1高インピーダンス層の前記第1電極の反対側の面の粗さより大きく、前記第1電極と反対側の面の粗さが前記第1電極側の面の粗さより大きい第2高インピーダンス層を形成する工程と、前記第2高インピーダンス層上に、前記第2高インピーダンス層の音響インピーダンスより低い音響インピーダンスを有する第3低インピーダンス層を形成する工程と、前記基板上に前記第3低インピーダンス層を接合する工程と、前記圧電層の前記第1電極が設けられた面と反対の面に第2電極を形成する工程と、を含む圧電薄膜共振器の製造方法である。
本発明によれば、スプリアスを抑制することができる。
図1は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の断面図である。 図2(a)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の共振領域付近の拡大平面図、図2(b)は、図2(a)のA-A断面図である。 図3は、シミュレーションにおける共振器Cの断面図である。 図4は、シミュレーションにおける共振器Cの周波数に対するアドミッタンスの絶対値|Y|を示す図である。 図5(a)および図5(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A1およびB1の断面図である。 図6(a)および図6(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A1およびB1の周波数に対するアドミッタンスの絶対値|Y|を示す図である。 図7(a)および図7(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A2およびB2の断面図である。 図8(a)および図8(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A2およびB2の周波数に対するアドミッタンスの絶対値|Y|を示す図である。 図9(a)および図9(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A3およびB3の断面図である。 図10(a)および図10(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A3およびB3の周波数に対するアドミッタンスの絶対値|Y|を示す図である。 図11(a)および図11(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A4およびB4の断面図である。 図12(a)および図12(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A4およびB4の周波数に対するアドミッタンスの絶対値|Y|を示す図である。 図13(a)および図13(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A5およびB5の断面図である。 図14(a)および図14(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A5およびB5の周波数に対するアドミッタンスの絶対値|Y|を示す図である。 図15(a)から図15(d)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造方法を示す断面図である。 図16(a)から図16(c)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造方法を示す断面図である。 図17(a)から図17(c)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造方法を示す断面図である。 図18(a)および図18(b)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造方法を示す断面図である。 図19(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図である。図19(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。
以下、図面を参照し本発明の実施例について説明する。
図1は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の断面図である。圧電層14の厚さ方向から見た表面に対する法線方向をZ方向、圧電層14の平面方向のうち上部電極16の引き出し方向を+X方向、X方向に直交する方向をY方向とする。左側の圧電薄膜共振器は、例えばラダー型フィルタの直列共振器Sであり、右側の圧電薄膜共振器は、並列共振器Pである。
図1に示すように、基板10上に下部電極12(第1電極)が設けられている。下部電極12上に圧電層14が設けられている。圧電層14上に上部電極16(第2電極)が設けられている。共振領域50は、圧電層14の少なくとも一部を挟み下部電極12と上部電極16とが対向する領域により定義される。並列共振器Pにおいては下部電極12下および上部電極16上にそれぞれ付加膜20aおよび20bが設けられている。付加膜20aおよび20bを設けることで、並列共振器Pの共振周波数は直列共振器Sの共振周波数より低くなる。付加膜20aおよび20bはいずれか一方が設けられていればよい。
共振領域50の周縁領域における上部電極16上に付加膜22が設けられている。付加膜22はスプリアスを抑制するために設けられている。付加膜22は、共振領域50の周縁領域の少なくとも一部に設けられていればよく、設けられていなくてもよい。下部電極12と上部電極16との間に高周波電力を印加すると、共振領域50内の圧電層14に弾性波が励振する。弾性波の波長は下部電極12、圧電層14および上部電極16の厚さの合計のほぼ2倍である。基板10と音響反射膜30との界面はほぼ平坦であり、圧電層14の上面および下面はほぼ平坦である。
基板10と下部電極12との間における共振領域50に、音響反射膜30が設けられている。音響反射膜30では、複数の低インピーダンス層31と、複数の高インピーダンス層32と、が交互に積層されている。高インピーダンス層32の音響インピーダンスは低インピーダンス層31の音響インピーダンスより高い。平面視において音響反射膜30は、共振領域50に重なりかつ大きい。低インピーダンス層31の個数および高インピーダンス層32の個数は適宜設定できる。共振領域50およびその近傍以外の領域には高インピーダンス層32は設けられておらず、低インピーダンス層31が設けられている。
共振領域50外において下部電極12下に金属層24が設けられている。圧電層14を貫通し金属層24に接触する金属層26が設けられている。共振領域50外において上部電極16に接触する金属層28が設けられている。金属層26および28は、それぞれ下部電極12および上部電極16を外部と電気的に接続するためのパッド、および/または下部電極12および上部電極16を他の圧電薄膜共振器と電気的に接続するための配線として機能する。
図2(a)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の共振領域付近の拡大平面図、図2(b)は、図2(a)のA-A断面図である。図2(a)および図2(b)に示すように、低インピーダンス層は、下部電極12側から低インピーダンス層31a、31bおよび31cであり、高インピーダンス層は、下部電極12側から高インピーダンス層32aおよび32bである。
高インピーダンス層32aの下部電極12側の面は面34aであり、高インピーダンス層32aの基板10側の面は面34bである。高インピーダンス層32bの下部電極12側の面は面34cであり、高インピーダンス層32bの基板10側の面は面34dである。共振領域50内の面34aおよび34bは平坦面であり、共振領域50内の面34cおよび34dは粗面である。
低インピーダンス層31a~31cの1つの層の厚さと高インピーダンス層32aおよび32bの1つの層の厚さとの合計を弾性波の波長の約1/2とする。例えば低インピーダンス層31a~31cの1つの層の厚さを弾性波の波長の約1/4とし、高インピーダンス層32aおよび32bの1つの層の厚さを弾性波の波長の約1/4とする。これにより、圧電層14において励振された弾性波は音響反射膜30により反射される。
基板10は、例えばシリコン基板、サファイア基板、アルミナ基板、スピネル基板、石英基板、水晶基板、ガラス基板、セラミック基板またはGaAs(ガリウム砒素)基板等である。圧電層14は、例えば単結晶タンタル酸リチウム層、単結晶ニオブ酸リチウム層または単結晶水晶基板である。圧電層14が単結晶タンタル酸リチウムまたは単結晶ニオブ酸リチウムの場合、圧電層14には、厚みひずみ振動の弾性波が励振される。圧電層14は、例えば多結晶窒化アルミニウム層、酸化亜鉛層、チタン酸ジルコン酸鉛層(PZT)、チタン酸鉛(PbTiO3)層でもよい。この場合、圧電層14には厚み縦振動が励振される。
下部電極12および上部電極16は、例えばアルミニウム(Al)膜であり、例えばルテニウム(Ru)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)またはイリジウム(Ir)等の単層膜またはこれらの積層膜である。付加膜22は、下部電極12および上部電極16において例示した金属膜または酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜または酸化ニオブ膜等の絶縁膜でもよい。
低インピーダンス層31a~31cは、例えば酸化シリコン、窒化シリコン等の音響インピーダンスの小さい材料である。音響インピーダンスの小さい材料は主に絶縁体である。高インピーダンス層32aおよび32bは、例えばタングステン、タンタル、モリブデン、ルテニウム等の音響インピーダンスの大きい材料により形成される。音響インピーダンスの大きい材料は密度が大きく、例えば高融点金属(例えば融点が白金の融点より高い金属)である。金属層24は、例えばアルミニウム層、金層または銅層等の低抵抗層である。金属層26および28は例えば、金層、銅層またはアルミニウム層等の低抵抗層である。金属層24、26および28は、下部電極12または上部電極16と接触するチタン膜、クロム膜またはニッケル膜等の密着膜を含んでもよい。
圧電層14に励振する弾性波が厚みすべり振動させる例を説明する。圧電層14を回転Yカットニオブ酸リチウム基板とする。このとき、圧電層14の上面の法線方向(Z方向)は結晶方位のYZ平面内の方向となる。これにより、圧電層14の平面方向に厚みすべり振動が生じる。また、X方向を結晶方位でX軸方向とし、Z方向を、結晶方位のYZ平面内においてX軸方向を中心にZ軸方向からY軸方向に105°回転させた方向とする。これにより、厚みすべり振動の方向はY方向となる。
別の例として、圧電層14をXカットタンタル酸リチウム基板とする。このとき、圧電層14の上面の法線方向(Z方向)は結晶方位のX軸方向である。これにより、圧電層14の平面方向では厚みすべり振動が生じる。また、X軸方向を中心にY方向を結晶方位の+Y軸方向から-Z軸方向に42°回転させた方向とする。これにより、厚みすべり振動の方向はY方向となる。
例えば、共振周波数を3.7GHzとする場合、圧電層14の厚さが440nmの回転Yカットニオブ酸リチウム基板とし、下部電極12および上部電極16を各々厚さが44nmのアルミニウム層とする。下部電極12および上部電極16の厚さは各々圧電層14の厚さの1%~20%である。共振領域50のX方向の幅は例えば10μm~500μmである。
共振領域50の平面形状として、矩形を例に説明したが、共振領域50の平面形状は、五角形状等の多角形状または楕円形状等でもよい。
[シミュレーション]
[共振器C]
2次元の有限要素法を用い、圧電薄膜共振器のアドミッタンスの絶対値をシミュレーションした。図3は、シミュレーションにおける共振器Cの断面図である。図3に示すように、共振器Cでは、基板10上に低インピーダンス層31a~31cと高インピーダンス層32aおよび32bが交互に積層され音響反射膜30が形成されている。音響反射膜30上に下部電極12が設けられ、下部電極12上に圧電層14が設けられ、圧電層14上に上部電極16が設けられている。高インピーダンス層32aおよび32bの面34a~34dは平坦である。
共振器Cのシミュレーション条件は以下である。
基板10:シリコン基板
低インピーダンス層31a~31c:厚さが200nmのタングステン層
高インピーダンス層32a、32b:厚さが150nmの酸化シリコン層
下部電極12:厚さが44nmのアルミニウム層
圧電層14:厚さが440nmの単結晶ニオブ酸リチウム基板
上部電極16:厚さが44nmのアルミニウム層
面34a~34dの算術平均粗さRa:0nm
圧電層14は、X方向、Y方向およびZ方向をそれぞれ結晶方位の+X軸方向、+Y軸方向および+Z軸方向とし、X軸方向を中心に+Y軸方向から+Z軸方向に105°回転させた結晶方位を有するとした。
図4は、シミュレーションにおける共振器Cの周波数に対するアドミッタンスの絶対値|Y|を示す図である。図4に示すように、共振周波数frにおける|Y|と反共振周波数faにおける|Y|との差をΔYとする。ΔYはメインの共振応答の大きさに対応し、大きい方がよい。共振器CではΔYは約82dBである。メインの共振応答は厚みすべり振動によるものである。共振周波数frと反共振周波数faとの間にスプリアス応答Spが観察される。スプリアス応答Spにおける極大61と極小62との差が大きい。スプリアス応答Spは、主にX方向に伝搬する弾性波(横モード)に起因すると考えられる。
[共振器A1、B1]
図5(a)および図5(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A1およびB1の断面図である。図5(a)に示すように、共振器A1では、下部電極12側の高インピーダンス層32aの面34aおよび34bは平坦面である。基板10側の高インピーダンス層32bの面34cおよび34dは凹凸を有する粗面である。面34cでは、共振領域50において下部電極12側に凸部35cが突出している。面34dでは、共振領域50において下部電極12側に凹部36dが凹んでいる。凸部35cと凹部36dとは対応するように設けられている。凸部35cの周期は一定であり、凹部36dの周期は一定である。
図5(b)に示すように、共振器B1では、下部電極12側の高インピーダンス層32aの面34aおよび34bは凹凸を有する粗面である。基板10側の高インピーダンス層32bの面34cおよび34dは平坦面である。面34aでは、下部電極12側に凸部35aが突出している。面34bでは、下部電極12側に凹部36bが凹んでいる。凸部35aと凹部36bとは対応するように設けられている。
共振器A1およびB1のシミュレーション条件は以下である。
共振器A1
面34aの算術平均粗さRa:0nm
面34bの算術平均粗さRa:0nm
面34cの算術平均粗さRa:47.7nm
面34dの算術平均粗さRa:47.7nm
共振器B1
面34aの算術平均粗さRa:47.7nm
面34bの算術平均粗さRa:47.7nm
面34cの算術平均粗さRa:0nm
面34dの算術平均粗さRa:0nm
その他のシミュレーション条件は共振器Cと同じである。
図6(a)および図6(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A1およびB1の周波数に対するアドミッタンスの絶対値|Y|を示す図である。図6(a)に示すように、共振器A1では、ΔYは約86dBであり、共振器Cよりやや大きい。スプリアス応答Spにおける極大61と極小62との差は図4の共振器Cより小さくなっている。このように、共振器A1は共振器Cとメイン応答は同程度であり、スプリアス応答Spが小さくなっている。
図6(b)に示すように、共振器B1では、ΔYは約75dBであり、共振器Cより小さい。また、反共振周波数faの極小は共振器Cより急峻でなくなっている。これは、反共振周波数fa付近におけるQ値が低下していることを示している。Q値が低下すると損失が大きくなる。スプリアス応答Spにおける極大61と極小62との差は図4の共振器Cと同程度であるが、スプリアス応答Sp内に大きな応答64が観察される。さらに、反共振周波数faより高周波数の箇所に大きな応答63が観察される。
[共振器A2、B2]
図7(a)および図7(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A2およびB2の断面図である。図7(a)に示すように、共振器A2では、面34cにおいて、基板10側に凹部36cが凹んでいる。面34dにおいて、基板10側に凸部35dが突出している凹部36cと凸部35dとは対応するように設けられている。その他の構成は共振器A1と同じである。
図7(b)に示すように、共振器B2では、面34aにおいて、基板10側に凹部36aが凹んでいる。面34bでは、基板10側に凸部35bが突出している。凹部36aと凸部35bとは対応するように設けられている。その他の構成は共振器B1と同じである。
共振器A2およびB2のシミュレーション条件は以下である。
共振器A2
面34aの算術平均粗さRa:0nm
面34bの算術平均粗さRa:0nm
面34cの算術平均粗さRa:47.7nm
面34dの算術平均粗さRa:47.7nm
共振器B2
面34aの算術平均粗さRa:47.7nm
面34bの算術平均粗さRa:47.7nm
面34cの算術平均粗さRa:0nm
面34dの算術平均粗さRa:0nm
その他のシミュレーション条件は共振器Cと同じである。
図8(a)および図8(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A2およびB2の周波数に対するアドミッタンスの絶対値|Y|を示す図である。図8(a)に示すように、共振器A2では、ΔYは約82dBであり、共振器Cとほぼ同じである。スプリアス応答Spは共振器A1と同程度であり、共振器Cより小さくなっている。
図8(b)に示すように、共振器B2では、ΔYは約77dBであり、共振器Cより小さく、Q値も小さい。共振器B1と同様に、応答63および64が観察される。
[共振器A3、B3]
図9(a)および図9(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A3およびB3の断面図である。図9(a)に示すように、共振器A3では、面34a~34dは粗面である。面34aおよび34cでは凸部35aおよび35cが下部電極12側に突出し、面34bおよび34dでは、凹部36bおよび36dが下部電極12側に凹んでいる。凸部35a、凹部36b、凸部35cおよび凹部36dは対応するように設けられている。面34aから面34dに行くにしたがい凹凸が大きくなる。その他の構成は共振器A1と同じである。
図9(b)に示すように、共振器B3では、面34aから面34dに行くにしたがい凹凸が小さくなる。その他の構成は共振器A3と同じである。
共振器A3およびB3のシミュレーション条件は以下である。
共振器A3
面34aの算術平均粗さRa:6.4nm
面34bの算術平均粗さRa:19.1nm
面34cの算術平均粗さRa:31.8nm
面34dの算術平均粗さRa:44.6nm
共振器B3
面34aの算術平均粗さRa:44.6nm
面34bの算術平均粗さRa:31.8nm
面34cの算術平均粗さRa:19.1nm
面34dの算術平均粗さRa:6.4nm
その他のシミュレーション条件は共振器Cと同じである。
図10(a)および図10(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A3およびB3の周波数に対するアドミッタンスの絶対値|Y|を示す図である。図10(a)に示すように、共振器A3では、ΔYは約82dBであり、共振器Cとほぼ同じである。スプリアス応答Spにおける極大61と極小62の差は、共振器Cより小さいが、共振器A1およびA2よりやや大きい。
図10(b)に示すように、共振器B3では、ΔYは約77dBであり、共振器Cより小さい。また、反共振周波数faの極小は共振器Cより急峻でなくなっており、Q値は小さい。共振器B1と同様に、応答63および64が観察される。
[共振器A4、B4]
図11(a)および図11(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A4およびB4の断面図である。図11(a)に示すように、共振器A4では、面34aおよび34cでは凹部36aおよび36cが基板10側に凹み、面34bおよび34dでは、凸部35bおよび35dが基板10側に突出する。凹部36a、凸部35b、凹部36cおよび凸部35dは対応するように設けられている。面34aから面34dに行くにしたがい凹凸が大きくなる。その他の構成は共振器A3と同じである。
図11(b)に示すように、共振器B4では、面34aから面34dに行くにしたがい凹凸が小さくなる。その他の構成は共振器A4と同じである。
共振器A4およびB4のシミュレーション条件は以下である。
共振器A4
面34aの算術平均粗さRa:6.4nm
面34bの算術平均粗さRa:19.1nm
面34cの算術平均粗さRa:31.8nm
面34dの算術平均粗さRa:44.6nm
共振器B4
面34aの算術平均粗さRa:44.6nm
面34bの算術平均粗さRa:31.8nm
面34cの算術平均粗さRa:19.1nm
面34dの算術平均粗さRa:6.4nm
その他のシミュレーション条件は共振器Cと同じである。
図12(a)および図12(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A4およびB4の周波数に対するアドミッタンスの絶対値|Y|を示す図である。図12(a)に示すように、共振器A4では、ΔYは約82dBであり、共振器Cとほぼ同じである。スプリアス応答Spにおける極大61と極小62の差は、共振器Cより小さいが、共振器A1およびA2よりやや大きく、共振器A3と同程度である。
図12(b)に示すように、共振器B4では、ΔYは約76dBであり、共振器Cより小さい。また、反共振周波数faの極小は共振器Cより急峻でなくなっており、Q値は小さい。共振器B1~B3と同様に、応答63が観察される。応答64は観測されないが、反共振周波数faの近くに応答65が観察される。
共振器A1~A4のように、基板10側の高インピーダンス層32bの面34cおよび34dの粗さ(算術平均粗さRa)を下部電極12側の高インピーダンス層32aの面34aおよび34bの粗さ(算術平均粗さ)より大きくすると、メイン応答は共振器Cとほぼ同じで、スプリアス応答Spを抑制できる。共振器A1およびA2のように、面34cおよび34dを粗面とすることで、スプリアス応答Spをより抑制できる。これは、横モード等の不要な弾性波が面34cおよび34dにおいて散乱されたためと考えられる。
一方、共振器B1~B4のように、下部電極12側の高インピーダンス層32aの面34aおよび34bの粗さを、基板10側の高インピーダンス層32bの面34cおよび34dの粗さより大きくすると、メイン応答は共振器Cより小さくなる。これは、主モードの弾性波が面34aおよび34bの影響を受けるためと考えられる。
[共振器A5、B5]
共振器A1~A4におけるスプリアス応答Spの抑制が、面34cと34dのいずれを凹凸面とすることによるものか調べた。図13(a)および図13(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A5およびB5の断面図である。図13(a)に示すように、共振器A5では、面34dは平坦面である。面34cは凹凸面であり、面34cには、共振器A2と同じ基板10側に凹む凹部36cが設けられている。その他の構成は共振器A2と同じである。
図13(b)に示すように、共振器B5では、面34cは平坦面である。面34dは凹凸面であり、面34dには、共振器A2と同じ基板10側に突出する凸部35dが設けられている。その他の構成は共振器A2と同じである。
共振器A5およびB5のシミュレーション条件は以下である。
共振器A5
面34aの算術平均粗さRa:0nm
面34bの算術平均粗さRa:0nm
面34cの算術平均粗さRa:47.7nm
面34dの算術平均粗さRa:0nm
共振器B5
面34aの算術平均粗さRa:0nm
面34bの算術平均粗さRa:0nm
面34cの算術平均粗さRa:0nm
面34dの算術平均粗さRa:47.7nm
その他のシミュレーション条件は共振器Cと同じである。
図14(a)および図14(b)は、シミュレーションにおけるそれぞれ共振器A5およびB5の周波数に対するアドミッタンスの絶対値|Y|を示す図である。図14(a)に示すように、共振器A5では、ΔYは約85dBであり、共振器A2およびCとほぼ同じである。スプリアス応答Spにおける極大61と極小62の差は、共振器A2とほぼ同じである。
図14(b)に示すように、共振器B5では、ΔYは約85dBであり、共振器A2およびCと同程度である。スプリアス応答Spにおける極大61と極小62の差は、共振器A2およびA5より大きく共振器Cと同程度である。
共振器A5とB5の比較より、スプリアス応答Spを抑制するのは、主に基板10側の高インピーダンス層32bの下部電極12側の面34cの凹凸と考えられる。これは、不要な弾性波が反射されるのは、主に低インピーダンス層から高インピーダンス層に入る面であり、高インピーダンス層から低インピーダンス層に入る面では不要な弾性波はあまり反射されないためと考えられる。
実施例1では、低インピーダンス層31a~31cが3層であり、高インピーダンス層32aおよび32bが2層の例を説明したが、低インピーダンス層および高インピーダンス層は各々複数層であればよい。複数の高インピーダンス層のうち最も下部電極12に近い第1高インピーダンス層32aの下部電極12側の面34aの粗さは、第1高インピーダンス層32a以外の少なくとも1つの第2高インピーダンス層32bの下部電極12側の面34cの粗さより小さい。これにより、メイン応答の劣化を抑制でき、かつスプリアス応答を抑制できる。面34a~34dの粗さとしては、例えば算術平均粗さRaを用いる。面34a~34dにおける算術平均粗さRaは、例えば弾性波デバイスの断面をSEM(Scanning Electron Microscope)等の電子顕微鏡で観察したときの面34a~34dの凹凸から算出できる。面34a~34dの粗さは他の表面粗さを用いてもよい。面34cの算術平均粗さRaは、面34aの算術平均粗さRaの2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましく、5倍以上がさらに好ましい。面34cの算術平均粗さRaは、例えば面34aの算術平均粗さRaの100倍以下である。
第1高インピーダンス層32aの基板10側の面34bの粗さは、第2高インピーダンス層32bの基板10側の面34dの粗さより小さい。これにより、メイン応答の劣化を抑制でき、かつスプリアス応答を抑制できる。高インピーダンス層32bの面34cおよび34dの両方の面に凹凸が形成される場合に、面34dを平坦化しなくてもよい。面34dの算術平均粗さRaは、面34bの算術平均粗さRaの2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましく、5倍以上がさらに好ましい。面34dの算術平均粗さRaは、例えば面34bの算術平均粗さRaの100倍以下である。
高インピーダンス層が3層以上の場合、2番目以降に下部電極12に近い高インピーダンス層の下部電極12側の面の粗さを第1高インピーダンス層32aの下部電極12側の面34aの粗さより大きくすればよい。凹凸面を下部電極12の近くに設けた方が不要な弾性波をより散乱できる。この観点から、第2高インピーダンス層32bは、複数の高インピーダンス層のうち2番目に下部電極12に近いことが好ましい。
第1高インピーダンス層32aの下部電極12側の面34aの算術平均粗さRaは10nmより小さいことが好ましく、5nm以下がより好ましい。これにより、面34aが主モードの弾性波に影響しにくくなり、メイン応答の劣化を抑制できる。
第2高インピーダンス層32bの下部電極12側の面34cの算術平均粗さは10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましく、20nm以上がさらに好ましい。これにより、面34cにおいて不要な弾性波が散乱され、スプリアス応答を抑制できる。
メインの共振応答が厚みすべり振動に起因し、スプリアス応答は横モードに起因する場合についてシミュレーションした。圧電層14は、回転Yカットニオブ酸リチウム基板またはXカットタンタル酸リチウム基板の場合、厚みすべり振動がメインの共振モードとなる。メインの共振応答が厚み縦振動に起因する場合にも、面34aの粗さを面34cの粗さより小さくすることで、メイン応答の劣化を抑制でき、かつスプリアス応答を抑制できる。
[実施例1の製造方法]
図15(a)から図18(b)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造方法を示す断面図である。図15(a)から図16(c)では、図1とは上下を逆転しZ方向を下方向に図示し、図17(a)から図18(b)では、図1と同様にZ方向を上方向に図示している。
図15(a)に示すように、圧電層14として圧電基板を準備する。圧電層14の-Z側の面はほぼ平坦面ある。圧電層14の-Z側の面の算術平均粗さRaは一例として1nm以下である。圧電層14上に下部電極12を形成する。下部電極12上に金属層24を形成する。下部電極12および金属層24の形成には、例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いる。フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い下部電極12および金属層24を所望形状にパターニングする。
図15(b)に示すように、下部電極12および金属層24を覆うように、圧電層14全体上に、低インピーダンス層31aを形成する。低インピーダンス層31aの形成には、例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用いる。低インピーダンス層31aが酸化シリコン膜または窒化シリコンの場合、低インピーダンス層31aの形成には、例えばCVD法を用いる。CVD法を用い厚さが150nmの酸化シリコン層を形成したときの低インピーダンス層31aの-Z側の面34aの算術平均粗さRaは一例として4nmである。
図15(c)に示すように、低インピーダンス層31a上に高インピーダンス層32aを形成する。高インピーダンス層32aの形成には、例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用いる。高インピーダンス層32aがタングステン、タンタル、モリブデン、ルテニウム等の高融点金属の場合、高インピーダンス層32aの形成には例えばスパッタリング法を用いる。フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い高インピーダンス層32aを所望形状にパターニングする。スパッタリング法を用い厚さが200nmのタングステン層を形成したときの高インピーダンス層32aの-Z側の面34bの算術平均粗さRaは一例として15nmである。
図15(d)に示すように、低インピーダンス層31aおよび高インピーダンス層32a上に低インピーダンス層31bを形成する。低インピーダンス層31bの形成方法は低インピーダンス層31aの形成方法と同じである。CVD法を用い厚さが150nmの酸化シリコン層を形成したときの低インピーダンス層31bの-Z側の面34cの算術平均粗さRaは一例として16nmである。
図16(a)に示すように、低インピーダンス層31b上に高インピーダンス層32bを形成する。高インピーダンス層32bの形成方法は高インピーダンス層32aの形成方法と同じである。高インピーダンス層32bを所望形状にパターニングする。高インピーダンス層32bのパターニング方法は高インピーダンス層32aのパターニング方法と同じである。スパッタリング法を用い厚さが200nmのタングステン層を形成したときの高インピーダンス層32bの-Z側の面34dの算術平均粗さRaは一例として24nmである。
図16(b)に示すように、低インピーダンス層31bおよび高インピーダンス層32b上に低インピーダンス層31cを形成する。低インピーダンス層31cの形成方法は低インピーダンス層31aおよび31bの形成方法と同じである。
図16(c)に示すように、低インピーダンス層31cの上面を平坦化する。低インピーダンス層31cの平坦化には、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いる。これにより、高インピーダンス層32aおよび32bと低インピーダンス層31a~31cとが交互に積層された音響反射膜30が形成される。
図17(a)に示すように、上下を逆転させ、低インピーダンス層31cの下面を基板10の上面に接合させる。接合には例えば表面活性化法を用いる。基板10と低インピーダンス層31cとの間にはシリコン膜、酸化アルミニウム膜等の接合層を設けてもよい。
図17(b)に示すように、圧電層14を薄膜化する。薄膜化には、例えば研削法および/またはCMP法を用いる。例えば研削法を用い圧電層14をほぼ所望の厚さとし、CMP法を用い上面を平坦化する。これにより、圧電層14の上面は製造誤差程度に略平坦面となる。
図17(c)に示すように、圧電層14上に上部電極16を形成する。上部電極16の形成には、例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用いる。フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い上部電極16を所望形状にパターニングする。これにより、共振領域50が形成される。
図18(a)に示すように、共振領域50の周縁から共振領域50外にかけて付加膜22を形成する。付加膜22の形成には、例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用いる。フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い付加膜22を所望形状にパターニングする。付加膜22には上部電極16の上面が露出する開口23が設けられている。共振領域50外に圧電層14を貫通する貫通孔25を形成する。貫通孔25は下部電極12を貫通し金属層24に達する。貫通孔25の形成には例えばエッチング法を用いる。金属層24は貫通孔25を形成するときのエッチングストッパとして機能する。
図18(b)に示すように、その後、貫通孔25内に下部電極12おび金属層24に電気的に接続される金属層26を形成し、開口23内に上部電極16に電気的に接続する金属層28を形成する。これにより、実施例1に係る圧電薄膜共振器が製造される。
平坦面上に複数の層を積層していくと、上の層ほど上面の粗さは大きくなる。特に、スパッタリング法を用いて層を形成すると、層の上面の粗さは大きくなる。また、層の成膜条件により、層の上面の粗さを大きくすることができる。
実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造方法では、図15(b)のように、圧電層14の下部電極12が設けられた面に、第1低インピーダンス層31aを形成する。図15(c)のように、第1低インピーダンス層31a上に、第1低インピーダンス層31aの音響インピーダンスより高い音響インピーダンスを有し、下部電極12と反対側の面34bの粗さが下部電極12側の面34aの粗さより大きい第1高インピーダンス層32aを形成する。図15(d)のように、第1高インピーダンス層32a上に、第1高インピーダンス層32aの音響インピーダンスより低い音響インピーダンスを有する第2低インピーダンス層31bを形成する。
図16(a)のように、第2低インピーダンス層31b上に、第2低インピーダンス層31bの音響インピーダンスより高い音響インピーダンスを有し、下部電極12側の面34cの粗さが第1高インピーダンス層32aの下部電極12の反対側の面34bの粗さより大きく、下部電極12の反対側の面34dの粗さが下部電極12側の面34cの粗さより大きい第2高インピーダンス層32bを形成する。図16(b)のように、第2高インピーダンス層32b上に、第2高インピーダンス層32bの音響インピーダンスより低い音響インピーダンスを有する第3低インピーダンス層31cを形成する。図17(a)のように、基板10上に低インピーダンス層31cを接合する。図17(c)のように、圧電層14の下部電極12が設けられた面と反対の面に上部電極16(第2電極)を形成する。このように、圧電層14上に音響反射膜30を積層し、その後、音響反射膜30と基板10を接合する。これにより、面34aを粗くする工程を行わなくても面34cを面34aより粗くできる。
また、図15(a)から図18(b)の方法により製造された圧電薄膜共振器では、第1高インピーダンス層32aの基板10側の面34bの粗さは、第1高インピーダンス層32aの下部電極12側の面34aの粗さより大きくなる。第2高インピーダンス層32bの下部電極12側の面34cの粗さは、第1高インピーダンス層32aの基板10側の面34bの粗さより大きくなる。第2高インピーダンス層32bの基板10側の面34dの粗さは第2高インピーダンス層32bの下部電極12側の面34cの粗さより大きくなる。これにより、メイン応答の劣化を抑制でき、かつスプリアス応答を抑制できる。
面34cおよび面34dを粗面にする方法として、エッチング法、研削法またはブラスト法を用いてもよい。面34aおよび面34bを平坦面とする方法としてCMP法等の研磨法を用いてもよい。
実施例2は、実施例1の圧電薄膜共振器を用いたフィルタおよびデュプレクサの例である。図19(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図である。図19(a)に示すように、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に、1または複数の直列共振器S1からS4が直列に接続されている。入力端子Tinと出力端子Toutとの間に、1または複数の並列共振器P1からP4が並列に接続されている。1または複数の直列共振器S1からS4および1または複数の並列共振器P1からP4の少なくとも1つの共振器に実施例1の圧電薄膜共振器を用いることができる。ラダー型フィルタの共振器の個数等は適宜設定できる。
図19(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。図19(b)に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ40が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ42が接続されている。送信フィルタ40は、送信端子Txから入力された信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ42は、共通端子Antから入力された信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ40および受信フィルタ42の少なくとも一方を実施例2のフィルタとすることができる。
マルチプレクサとしてデュプレクサを例に説明したがトリプレクサまたはクワッドプレクサでもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 基板
12 下部電極
14 圧電層
16 上部電極
24、26、28 金属層
30 音響反射膜
31、31a~31c 低インピーダンス層
32、32a、32b 高インピーダンス層
34a~34c 面
35a~35d 凸部
36a~36d 凹部
40 送信フィルタ
42 受信フィルタ
50 共振領域

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられた第1電極と、
    前記第1電極上に設けられた圧電層と、
    前記圧電層上に、前記第1電極との間に前記圧電層の少なくとも一部を挟み設けられた第2電極と、
    前記基板と前記第1電極との間に設けられた複数の低インピーダンス層と、前記複数の低インピーダンス層の音響インピーダンスより大きな音響インピーダンスを有し、前記複数の低インピーダンス層と交互に設けられた複数の高インピーダンス層と、を備え、前記複数の高インピーダンス層のうち最も前記第1電極に近い第1高インピーダンス層における前記第1電極側の面の粗さは、前記複数の高インピーダンス層のうち前記第1高インピーダンス層以外の少なくとも1つの第2高インピーダンス層の前記第1電極側の面の粗さより小さい音響反射膜と、
    を備える圧電薄膜共振器。
  2. 前記第1高インピーダンス層の前記基板側の面の粗さは、前記第2高インピーダンス層の前記基板側の面の粗さより小さい請求項1に記載の圧電薄膜共振器。
  3. 前記第2高インピーダンス層は、前記複数の高インピーダンス層のうち2番目に前記第1電極に近い請求項1または2に記載の圧電薄膜共振器。
  4. 前記第1高インピーダンス層の前記基板側の面の粗さは、前記第1高インピーダンス層の前記第1電極側の面の粗さより大きく、前記第2高インピーダンス層の前記第1電極側の面の粗さは、前記第1高インピーダンス層の前記基板側の面の粗さより大きく、前記第2高インピーダンス層の前記基板側の面の粗さは前記第2高インピーダンス層の前記第1電極側の面の粗さより大きい請求項3に記載の圧電薄膜共振器。
  5. 前記第1高インピーダンス層の前記第1電極側の面の算術平均粗さは10nmより小さい請求項1から4のいずれか一項に記載の圧電薄膜共振器。
  6. 前記第2高インピーダンス層の前記第1電極側の面の算術平均粗さは10nm以上である請求項5に記載の圧電薄膜共振器。
  7. 前記圧電層は、回転Yカットニオブ酸リチウム基板またはXカットタンタル酸リチウム基板である請求項1から6のいずれか一項に記載の圧電薄膜共振器。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の圧電薄膜共振器を含むフィルタ。
  9. 請求項8に記載のフィルタを含むマルチプレクサ。
  10. 圧電層の第1電極が設けられた面に、第1低インピーダンス層を形成する工程と、
    前記第1低インピーダンス層上に、前記第1低インピーダンス層の音響インピーダンスより高い音響インピーダンスを有し、前記第1電極と反対側の面の粗さが前記第1電極側の面の粗さより大きい第1高インピーダンス層を形成する工程と、
    前記第1高インピーダンス層上に、前記第1高インピーダンス層の音響インピーダンスより低い音響インピーダンスを有する第2低インピーダンス層を形成する工程と、
    前記第2低インピーダンス層上に、前記第2低インピーダンス層の音響インピーダンスより高い音響インピーダンスを有し、前記第1電極側の面の粗さが前記第1高インピーダンス層の前記第1電極の反対側の面の粗さより大きく、前記第1電極と反対側の面の粗さが前記第1電極側の面の粗さより大きい第2高インピーダンス層を形成する工程と、
    前記第2高インピーダンス層上に、前記第2高インピーダンス層の音響インピーダンスより低い音響インピーダンスを有する第3低インピーダンス層を形成する工程と、
    前記基板上に前記第3低インピーダンス層を接合する工程と、
    前記圧電層の前記第1電極が設けられた面と反対の面に第2電極を形成する工程と、
    を含む圧電薄膜共振器の製造方法。
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