JP2020088680A - 弾性波デバイス、フィルタおよびマルチプレクサ - Google Patents

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Abstract

【課題】スプリアスを抑制すること。【解決手段】圧電基板と、前記圧電基板を挟み、前記圧電基板に厚みすべり振動を励振する一対の電極と、前記圧電基板の少なくとも一部を挟み前記一対の電極が対向する共振領域の中央領域を囲み前記共振領域の端部の領域であるエッジ領域と、前記エッジ領域の一部であり、前記圧電基板における主モードである厚みすべり振動の変位方向に略平行な第1方向において前記中央領域の両側に位置し、前記圧電基板内の弾性波の音速が前記中央領域における前記圧電基板内の弾性波の音速より遅い第1領域と、前記エッジ領域の一部であり、前記第1方向に略直交する第2方向において前記中央領域の両側に位置し、前記第2方向において前記第1領域の前記第1方向の幅とは異なる幅を有し、前記圧電基板内の弾性波の音速が前記中央領域における前記圧電基板内の弾性波の音速より遅い第2領域と、を備える弾性波デバイス。【選択図】図9

Description

本発明は、弾性波デバイス、フィルタおよびマルチプレクサに関し、例えば、圧電薄膜共振器を有する弾性波デバイス、フィルタおよびマルチプレクサに関する。
携帯電話等の無線端末の高周波回路用のフィルタおよびデュプレクサとして、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)およびSMR(Solid Mounted Resonator)等のBAW(Bulk Acoustic Wave)共振器が用いられている。BAW共振器は圧電薄膜共振器とよばれている。圧電薄膜共振器は、圧電膜を挟み一対の電極を設ける構造を有し、圧電膜の少なくとも一部を挟み一対の電極が対向する共振領域は弾性波が共振する領域である。
圧電薄膜共振器を入力端子と出力端子との間に直列および並列に接続するラダー型フィルタが知られている(例えば特許文献1)。圧電薄膜共振器では共振領域の周辺部において弾性波が反射し、共振領域内に定在波が形成されると不要なスプリアスとなる。そこで、共振領域内のエッジ領域に付加構造を追加し音速をコントロールすることでスプリアスを抑制することが知られている(例えば特許文献2、3)。
圧電薄膜共振器の圧電膜には、例えばスパッタリング法を用い成膜された多結晶の窒化アルミニウム(AlN)が用いられる。この場合、共振領域内の振動は圧電膜の厚さ方向の振動(厚み縦振動)となる。圧電薄膜共振器の圧電膜にタンタル酸リチウム(LiTaO)またはニオブ酸リチウム(NbLiO)等の単結晶圧電体を用いることが知られている(例えば非特許文献1)。
特開2004−146861号公報 特開2007−6501号公報 特開2008−42871号公報
Proceedings of Symposium on Ultrasonic Electronics, Vol. 28, (2007), pp151-152
圧電膜にタンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウム等の単結晶圧電体を用いると、共振領域内の振動は厚みすべり振動となる。厚みすべり振動を用いた弾性波デバイスにおいて、共振領域のエッジ領域に付加構造を追加しても、共振領域内に生成される定在波に起因するスプリアスの抑制が十分ではない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、スプリアスを抑制することを目的とする。
本発明は、圧電基板と、前記圧電基板を挟み、前記圧電基板に厚みすべり振動を励振する一対の電極と、前記圧電基板の少なくとも一部を挟み前記一対の電極が対向する共振領域の中央領域を囲み前記共振領域の端部の領域であるエッジ領域と、前記エッジ領域の一部であり、前記圧電基板における主モードである厚みすべり振動の変位方向に略平行な第1方向において前記中央領域の両側に位置し、前記圧電基板内の弾性波の音速が前記中央領域における前記圧電基板内の弾性波の音速より遅い第1領域と、前記エッジ領域の一部であり、前記第1方向に略直交する第2方向において前記中央領域の両側に位置し、前記第2方向において前記第1領域の前記第1方向の幅とは異なる幅を有し、前記圧電基板内の弾性波の音速が前記中央領域における前記圧電基板内の弾性波の音速より遅い第2領域と、を備える弾性波デバイスである。
上記構成において、前記第2領域の前記第2方向の幅は前記第1領域の前記第1方向の幅より小さい構成とすることができる。
上記構成において、前記第1領域における前記圧電基板内の弾性波の音速と前記第2領域における前記圧電基板内の弾性波の音速とは略同じである構成とすることができる。
本発明は、圧電基板と、前記圧電基板を挟み、前記圧電基板に厚みすべり振動を励振する一対の電極と、前記圧電基板の少なくとも一部を挟み前記一対の電極が対向する共振領域の中央領域を囲み前記共振領域の端部の領域であるエッジ領域と、前記エッジ領域の一部であり、前記圧電基板における主モードである厚みすべり振動の変位方向に略平行な第1方向において前記中央領域の両側に位置し、前記圧電基板内の弾性波の音速が前記中央領域における前記圧電基板内の弾性波の音速より遅い第1領域と、前記エッジ領域の一部であり、前記第1方向に略直交する第2方向において前記中央領域の両側に位置し、前記圧電基板内の弾性波の音速が前記中央領域における前記圧電基板内の弾性波の音速より遅くかつ前記第1領域における前記圧電基板内の弾性波の音速と異なる第2領域と、を備える弾性波デバイスである。
上記構成において、前記第2領域における前記圧電基板内の弾性波の音速は前記第1領域における前記圧電基板内の弾性波の音速より速い構成とすることができる。
上記構成において、前記第1領域の前記第1方向の幅と前記第2領域の前記第2方向の幅とは略同じである構成とすることができる。
上記構成において、前記第1領域に設けられた第1付加膜および前記第2領域に設けられた第2付加膜を備える構成とすることができる。
上記構成において、前記圧電基板はXカットタンタル酸リチウム基板である構成とすることができる。
上記構成において、前記圧電基板は回転Yカットニオブ酸リチウム基板である構成とすることができる。
本発明は、Xカットタンタル酸リチウム基板である圧電基板と、前記圧電基板を挟み、前記圧電基板に厚みすべり振動を励振する一対の電極と、前記圧電基板の少なくとも一部を挟み前記一対の電極が対向する共振領域の中央領域を囲み前記共振領域の端部に位置する付加膜と、前記付加膜の一部であり、オイラー角が(90±5、90±5、132±5)の範囲内のX方向である第1方向において前記中央領域の両側に位置する第1領域と、前記付加膜の一部であり、オイラー角が(90±5、90±5、42±5)の範囲内のX方向である第2方向において前記中央領域の両側に位置し、前記第2方向において前記第1領域の前記第1方向の幅より小さい幅を有する第2領域と、を備える弾性波デバイスである。
本発明は、回転Yカットニオブ酸リチウム基板である圧電基板と、前記圧電基板を挟み、前記圧電基板に厚みすべり振動を励振する一対の電極と、前記圧電基板の少なくとも一部を挟み前記一対の電極が対向する共振領域の中央領域を囲み前記共振領域の端部する付加膜と、前記付加膜の一部であり、オイラー角が(0±5、75±5、0±5)の範囲内のX方向である第1方向において前記中央領域の両側に位置する第1領域と、オイラー角が(90±5、75±5、0±5)の範囲内のX方向である第2方向において前記中央領域の両側に位置し、前記第2方向において前記第1領域の前記第1方向の幅より小さい幅を有する第2領域と、を備える弾性波デバイスである。
本発明は、上記弾性波デバイスを含むフィルタである。
本発明は、上記フィルタを含むマルチプレクサである。
本発明によれば、スプリアスを抑制することができる。
図1(a)は比較例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図1(b)および図1(c)は、図1(a)のそれぞれA−A断面図およびB−B断面図である。 図2(a)は、シミュレーション1におけるモードAモデルを示す斜視図、図2(b)は、厚みすべり振動を示す斜視図、図2(c)は、YX断面図である。 図3(a)は、シミュレーション1におけるモードBモデルを示す斜視図、図3(b)は、厚みすべり振動を示す斜視図である。 図4(a)および図4(b)は、シミュレーション1におけるそれぞれモードAモデルおよびモードBモデルにおけるアドミッタンス特性を示す図である。 図5(a)および図5(b)は、シミュレーション2におけるそれぞれモードAモデルおよびモードBモデルを示す斜視図である。 図6(a)から図6(f)は、シミュレーション2のモードAモデルにおけるアドミッタンス特性を示す図である。 図7(a)から図7(f)は、シミュレーション2のモードBモデルにおけるアドミッタンス特性を示す図である。 図8(a)から図8(f)は、シミュレーション2のモードBモデルにおけるアドミッタンス特性を示す図である。 図9(a)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図9(b)および図9(c)は、図9(a)のそれぞれA−A断面図およびB−B断面図である。 図10(a)は、実施例1の変形例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図10(b)および図10(c)は、図10(a)のそれぞれA−A断面図およびB−B断面図である。 図11(a)は、実施例1の変形例2に係る圧電薄膜共振器の平面図、図11(b)および図11(c)は、図11(a)のそれぞれA−A断面図およびB−B断面図である。 図12(a)は、実施例1の変形例3に係る圧電薄膜共振器の平面図、図12(b)および図12(c)は、図12(a)のそれぞれA−A断面図およびB−B断面図である。 図13(a)は、実施例1の変形例4に係る圧電薄膜共振器の平面図、図13(b)および図13(c)は、図13(a)のそれぞれA−A断面図およびB−B断面図である。 図14(a)および図14(b)は、実施例1の変形例5に係る圧電薄膜共振器の断面図である。 図15(a)および図15(b)は、実施例1の変形例6に係る圧電薄膜共振器の断面図である。 図16は、実施例1の変形例7に係る圧電薄膜共振器の平面図である。 図17(a)および図17(b)は、実施例1の変形例8に係る圧電薄膜共振器の断面図である。 図18(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図、図18(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。
弾性波デバイスとして圧電薄膜共振器を例に説明する。
[シミュレーション1]
比較例1についてシミュレーションを行った。図1(a)は比較例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図1(b)および図1(c)は、図1(a)のそれぞれA−A断面図およびB−B断面図である。圧電基板14の法線方向をZ方向、厚みすべり振動の方向をY方向、圧電基板14の平面方向であってY方向に直交する方向をX方向とする。なお、X方向、Y方向およびZ方向は、圧電基板14の結晶方位のX軸、Y軸およびZ軸とは必ずしも対応しない。結晶方位を示す場合は、「X軸方向」、「Y軸方向」および「Z軸方向」と記載し、「X方向」、「Y方向」および「Z方向」と区別する。
図1(a)から図1(c)に示すように、圧電基板14の上下に上部電極16および下部電極12が設けられている。圧電基板14の少なくとも一部を挟み下部電極12と上部電極16とが対向する領域は共振領域50である。下部電極12と上部電極16は駆動電極であり、下部電極12と上部電極16との間に高周波電力を印加すると、共振領域50内の圧電基板14に弾性波の変位がZ方向にほぼ直交する方向(すなわち厚さに対してすれ方向)に振動する弾性波が励起される。この振動を厚みすべり振動という。厚みすべり振動の変位の最も大きい方向(厚みすべり振動の変位方向)を厚みすべり振動の方向60とする。弾性波の波長は圧電基板14の厚さのほぼ2倍である。
共振領域50の平面形状は略矩形である。矩形はほぼ直線の4つの辺を有する。4つの辺のうち対向する一対の辺は厚みすべり振動の方向60(すなわちY方向)と略平行である。矩形の4辺のうち残りの一対の辺は厚みすべり振動の方向60に略直交する方向(すなわちX方向)である。
比較例1の圧電基板をXカット単結晶タンタル酸リチウム基板としてシミュレーションを行った。Xカット単結晶タンタル酸リチウム基板はZ方向がX軸方向である。XY平面はY軸とZ軸とを有する平面である。Y軸方向から約42°Z軸方向に回転した方向が−X方向、X方向に直交する方向がY方向である。Y方向が厚みすべり振動の方向60となる。
共振領域50の平面形状を長方形としてシミュレーションを行うと計算規模が大きくなる。そこで、モードAモデルとモードBモデルとに分けてシミュレーションを行った。
図2(a)は、シミュレーション1におけるモードAモデルを示す斜視図である。図2(a)に示すように、モードAモデルでは、X方向に延伸する棒状の圧電基板14を仮定し、有限要素法を用いシミュレーションを行った。
図2(b)は、厚みすべり振動を示す斜視図であり、圧電基板14の変位を誇張して図示している。図2(c)は、YZ断面図である。図2(b)および図2(c)に示すように、厚みすべり振動により、ある瞬間において、圧電基板14の上部電極16側は矢印61aのように−Y方向に変位する。圧電基板14の下部電極12側は矢印61bのように+Y方向に変位する。半周期後では、圧電基板14は矢印61aおよび61bとは逆方向に変位する。
図3(a)は、シミュレーション1におけるモードBモデルを示す斜視図である。図3(a)に示すように、モードBモデルでは、Y方向に延伸する棒状を仮定し、有限要素法を用いシミュレーションを行った。
図3(b)は、厚みすべり振動を示す斜視図である。図3(b)に示すように、厚みすべり振動により、ある瞬間において、圧電基板14の上部電極16側は矢印61aのように−Y方向に変位する。圧電基板14の下部電極12側は矢印61bのように+Y方向に変位する。半周期後では、圧電基板14は矢印61aおよび61bとは逆方向に変位する。
シミュレーションの条件を以下に示す。
弾性波の波長λ:1640nm
圧電基板14:厚さT4が0.5λ=820nmのXカットタンタル酸リチウム基板
下部電極12:厚さが100nmのルテニウム(Ru)膜
上部電極16:厚さが100nmのルテニウム膜
共振領域50の幅X50:30λ=49.2μm
圧電基板14のY方向幅ΔY:0.5λ=820nm
Y方向の境界条件は無限に連続とする。
圧電基板14の結晶方位は、図2(a)および図3(a)内に示したX軸、Y軸およびZ軸となる。−X方向がY軸方向からZ軸方向に42°回転した方向となる。
図4(a)および図4(b)は、シミュレーション1におけるそれぞれモードAモデルおよびモードBモデルにおけるアドミッタンス特性を示す図である。図4(a)および図4(b)に示すように、2つの横波による共振がみられる。速い横波の共振周波数および反共振周波数はそれぞれfr1およびfa1である。遅い横波の共振周波数および反共振周波数はそれぞれfr2およびfa2である。共振周波数と反共振周波数との差は電気機械結合係数に対応する。遅い横波は電気機械結合係数が小さい。そこで、電気機械結合係数の大きい速い横波について検討する。
速い横波の共振周波数fr1と反共振周波数fa1との間および反共振周波数fa1より高周波数側に、共振領域50内に生成される定在波に起因するスプリアス62(縦矢印で示す)が生成されている。スプリアス62の周波数間隔および大きさがモードAとモードBとで異なる。このように、モードAとモードBとでスプリアス62の振る舞いが異なる。
[シミュレーション2]
共振領域50のエッジ領域に付加膜を設けシミュレーションを行った。共振領域のエッジ領域に付加膜を設け、中央領域より音速を遅くすることで、ピストンモードが実現される、これにより、定在波に起因するスプリアスが抑制されることが期待される。
図5(a)および図5(b)は、シミュレーション2におけるそれぞれモードAモデルおよびモードBモデルを示す斜視図である。図5(a)に示すように、モードAモデルでは圧電基板14をX方向に延伸する棒状とする。共振領域50は中央領域52と中央領域52の両側のエッジ領域54aを有する。エッジ領域54aには、下部電極12の下に付加膜22aが設けられ、上部電極16の上に付加膜26aが設けられている。エッジ領域54aのX方向の幅をWaとし、付加膜22aおよび26aの厚さをTaとする。
図5(b)に示すように、モードBモデルでは圧電基板14をY方向に延伸する棒状とする。共振領域50は中央領域52と中央領域52の両側のエッジ領域54bを有する。エッジ領域54bには、下部電極12の下に付加膜22bが設けられ、上部電極16の上に付加膜26bが設けられている。エッジ領域54bのY方向の幅をWbとし、付加膜22bおよび26bの厚さをTbとする。
モードAモデルおよびモードBモデルにおいて、付加膜22a、22b、26aおよび26bをルテニウム膜とした。その他のシミュレーション条件はシミュレーション1と同じであり説明を省略する。
モードAモデルにおいて、付加膜の厚さTa=40nmとし、エッジ領域54aの幅Waを変えてアドミッタンス特性をシミュレーションした。図6(a)から図6(f)は、シミュレーション2のモードAモデルにおけるアドミッタンス特性を示す図である。図6(a)から図6(f)において、点線はアドミッタンスの大きさ|Y|の周波数特性、実線はアドミッタンスの実数部分Real(Y)の周波数特性を示している。|Y|では、横波の共振周波数および反共振周波数のピークが観察される。Real(Y)/|Y|では、|Y|に比べスプリアスが大きく観察される。
図6(a)から図6(f)では、それぞれエッジ領域54aの幅Waを0.20λ、0.25λ、0.30λ、0.35λ、0.40λおよび0.45λとした。図6(d)のように、Wa=0.35λのとき、スプリアスが最も小さくなる。
モードBモデルにおいて、付加膜の厚さTb=40nmとし、エッジ領域の幅Wbを変えてアドミッタンス特性をシミュレーションした。図7(a)から図7(f)は、シミュレーション2のモードBモデルにおけるアドミッタンス特性を示す図である。図7(a)から図7(f)では、それぞれエッジ領域54bの幅Wbを0.50λ、0.55λ、0.60λ、0.65λ、0.70λおよび0.75λとした。図7(e)のように、Wb=0.70λのとき、スプリアスが最も小さくなる。
図6(a)から図7(f)のように、モードAモデルとモードBモデルでは、スプリアスが抑制されるエッジ領域54aの幅Waとエッジ領域54bの幅Wbが異なる。
モードBモデルにおいて、エッジ領域54bの幅Wb=0.35λとし、付加膜の厚さTbを変えてアドミッタンス特性をシミュレーションした。図8(a)から図8(f)は、シミュレーション2のモードBモデルにおけるアドミッタンス特性を示す図である。図8(a)から図8(f)では、それぞれ付加膜の厚さTbを40nm、50nm、60nm、70nm、80nmおよび90nmとした。図8(d)のように、Tb=70nmのとき、スプリアスが最も小さくなる。
モードAモデルでは、図6(d)のように、エッジ領域54aの幅Wa=0.35λでは最適な付加膜の厚さTa=40nmである。モードAモデルとモードBモデルでは、スプリアスが抑制される付加膜の厚さTaとTbが異なる。なお、シミュレーション2では、付加膜の厚さTaおよびTbを異ならせているが、付加膜を厚くすることは弾性波の音速を遅くすることに対応する。よって、エッジ領域54aと54bとで弾性波の音速を異ならせればよい。
シミュレーション2によれば、厚みすべり振動を用いる圧電薄膜共振器において、エッジ領域54aと54bに同じ付加構造を設けても、スプリアスの抑制が十分ではない。そこで、エッジ領域54aおよび54bの付加構造を異ならせる。これにより、スプリアスを抑制できる。以上の知見に基づき、実施例について説明する。
図9(a)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図9(b)および図9(c)は、図9(a)のそれぞれA−A断面図およびB−B断面図である。図9(a)から図9(c)に示すように、基板10の上面に空隙30が設けられている、基板10上に下部電極12が設けられている。下部電極12上に圧電基板14が設けられている。圧電基板14上に上部電極16が設けられている。共振領域50は平面視において空隙30と重なり、空隙30は共振領域50と同じ大きさまたは共振領域50より大きい。
共振領域50は平面形状が矩形であり、矩形の4つの辺のうち一対の辺はY方向(厚みすべり振動の変位方向)にほぼ延伸し、別の一対の辺はX方向(厚みすべり振動の変位方向にほぼ直交する方向)に延伸する。共振領域50の中央領域52に対し、X方向の両側にエッジ領域54aが設けられ、Y方向の両側にエッジ領域54bが設けられている。エッジ領域54aはほぼY方向に延伸し、エッジ領域54bはほぼX方向に延伸する。エッジ領域54aのX方向の幅はWaであり、エッジ領域54bのY方向の幅はWbである。幅WaはY方向においてほぼ一定であり、幅WbはX方向においてほぼ一定である。
エッジ領域54aの下部電極12の下には付加膜22aが設けられ、エッジ領域54aの上部電極16の上には付加膜26aが設けられている。付加膜22aおよび26aの厚さはTaである。エッジ領域54bの下部電極12の下には付加膜22bが設けられ、エッジ領域54bの上部電極16の上には付加膜26bが設けられている。付加膜22bおよび26bの厚さはTbである。実施例1では、幅Wbは幅Waより大きい、厚さTaとTbとは略同じである。
基板10は、例えばシリコン基板、サファイア基板、アルミナ基板、スピネル基板、石英基板、水晶基板、ガラス基板、セラミック基板またはGaAs基板等である。圧電基板14は、例えば単結晶タンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板である。下部電極12および上部電極16は、例えばルテニウム、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、Ti、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)またはイリジウム(Ir)等の単層膜またはこれらの積層膜である。付加膜22a、22b、26aおよび26bは、例えば下部電極12および上部電極16において例示した金属膜または酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等の絶縁膜である。付加膜22a、22b、26aおよび26bの材料は下部電極12および上部電極16の材料と同じでもよいし、異なっていてもよい。
実施例1の一例としては、圧電基板14を厚さが820nmのXカットタンタル酸リチウム基板とし、−X方向を、Y軸方向から約42°Z軸方向に回転した方向とする。弾性波の波長λは1640nmとなる。下部電極12および上部電極16を厚さが100nmのルテニウム膜とする。付加膜22a、22b、26aおよび26bをルテニウム膜とする。共振領域50の幅を30λとする。シミュレーション2のように、Ta=Tb=40nm、Wa=0.35λおよびWb=0.70λとする。これにより、モードAおよびモードBのいずれのスプリアスも抑制できる。
実施例1では、エッジ領域54aおよび54bの音速を中央領域52より遅くし、かつエッジ領域54aの幅Waとエッジ領域54bの幅Wbを異ならせる。これにより、X方向およびY方向のいずれにおいてもスプリアスを抑制できる。特に、エッジ領域54aの幅Waをエッジ領域54bの幅Wbより狭くする。これにより、X方向およびY方向のいずれにおいてもスプリアスを抑制できる。
[実施例1の変形例1]
図10(a)は、実施例1の変形例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図10(b)および図10(c)は、図10(a)のそれぞれA−A断面図およびB−B断面図である。図10(a)から図10(c)に示すように、実施例1の変形例1では、エッジ領域54aの幅Waとエッジ領域54bの幅Wbはほぼ同じである。付加膜22bおよび26bの厚さTbは付加膜22aおよび26aの厚さTaより大きい。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1の変形例1の一例としては、圧電基板14を厚さが820nmのXカットタンタル酸リチウム基板とし、−X方向を、Y軸方向から約42°Z軸方向に回転した方向とする。弾性波の波長λは1640nmとなる。下部電極12および上部電極16を厚さが100nmのルテニウム膜とする。付加膜22a、22b、26aおよび26bをルテニウム膜とする。共振領域50の幅を30λとする。シミュレーション2のように、Ta=40nm、Tb=70nmおよびWa=Wb=0.35λとする。これにより、モードAおよびモードBのいずれのスプリアスも抑制できる。
実施例1の変形例1では、エッジ領域54aおよび54bの音速を中央領域52より遅くし、かつエッジ領域54aの付加膜22aおよび26aの厚さTaとエッジ領域54bの付加膜22bおよび26bの厚さTbを異ならせる。これにより、X方向およびY方向のいずれにおいてもスプリアスを抑制できる。特に、付加膜22aおよび26aの厚さTaを付加膜22bおよび26bの厚さTbより小さくする。これにより、エッジ領域54aの音速がエッジ領域54bの音速より速くなる。よって、X方向およびY方向のいずれにおいてもスプリアスを抑制できる。
[実施例1の変形例2]
図11(a)は、実施例1の変形例2に係る圧電薄膜共振器の平面図、図11(b)および図11(c)は、図11(a)のそれぞれA−A断面図およびB−B断面図である。図11(a)から図11(c)に示すように、実施例1の変形例2では、エッジ領域54bの幅Wbはエッジ領域54aの幅Waより大きい。付加膜22bおよび26bの厚さTbは付加膜22aおよび26aの厚さTaより大きい。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1の変形例2では、エッジ領域54aの幅Waとエッジ領域54bの幅Wbを異ならせ、かつエッジ領域54aの音速とエッジ領域54bの音速を異ならせる。これにより、X方向およびY方向のいずれにおいてもスプリアスを抑制できる。特に、エッジ領域54aの幅Waをエッジ領域54bの幅Wbより狭くし、かつエッジ領域54aの音速をエッジ領域54bの音速より速くする。これにより、X方向およびY方向のいずれにおいてもスプリアスを抑制できる。
[実施例1の変形例3]
図12(a)は、実施例1の変形例3に係る圧電薄膜共振器の平面図、図12(b)および図12(c)は、図12(a)のそれぞれA−A断面図およびB−B断面図である。図12(a)から図12(c)に示すように、実施例1の変形例3では、エッジ領域54bの幅Wbはエッジ領域54aの幅Waより大きい。付加膜22aおよび26aの厚さTaは付加膜22bおよび26bの厚さTbより大きい。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1の変形例3では、エッジ領域54aの幅Waとエッジ領域54bの幅Wbを異ならせ、かつエッジ領域54aの音速とエッジ領域54bの音速を異ならせる。これにより、X方向およびY方向のいずれにおいてもスプリアスを抑制できる。エッジ領域54aの幅Waをエッジ領域54bの幅Wbより狭くしかつエッジ領域54aの音速をエッジ領域54bの音速より遅くした場合であっても、幅Wa、Wb、厚さTaおよびTbを適宜設定することで、X方向およびY方向のいずれにおいてもスプリアスを抑制できる。
[実施例1の変形例4]
図13(a)は、実施例1の変形例4に係る圧電薄膜共振器の平面図、図13(b)および図13(c)は、図13(a)のそれぞれA−A断面図およびB−B断面図である。図13(a)から図13(c)に示すように、実施例1の変形例4では、エッジ領域54aの幅Waとエッジ領域54bの幅Wbはほぼ同じである。付加膜22aおよび26aの厚さTaと付加膜22bおよび26bの厚さTbとはほぼ同じである。付加膜22aおよび26aの材料と付加膜22bおよび26bの材料が異なる。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1の変形例4では、付加膜22bおよび26bの密度は付加膜22aおよび26aの密度より大きい。これにより、厚さTaとTbが同じでも、エッジ領域54bの音速をエッジ領域54aの音速より遅くできる。これにより、X方向およびY方向のいずれにおいてもスプリアスを抑制できる。
[実施例1の変形例5]
図14(a)および図14(b)は、実施例1の変形例5に係る圧電薄膜共振器の断面図である。図14(a)および図14(b)に示すように、幅WaとWbはほぼ同じであり、厚さTaとTbはほぼ同じである。エッジ領域54aの圧電基板14の厚さT4は中央領域52の圧電基板14の厚さと同じである。エッジ領域54bの圧電基板14の上面に凸部14aが設けられている。これにより、エッジ領域54bの圧電基板14の厚さT4bはエッジ領域54aの圧電基板14の厚さT4より大きい。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1の変形例5では、付加膜22aおよび26aの厚さTaと付加膜22bおよび26bの厚さTbが同じでも、エッジ領域54aと54bにおける圧電基板14の厚さを異ならせることで、エッジ領域54aと54bとの音速を異ならせることができる。エッジ領域54bの圧電基板14をエッジ領域54aの圧電基板14より厚くすることで、エッジ領域54bの音速をエッジ領域54aの音速より遅くできる。これにより、X方向およびY方向のいずれにおいてもスプリアスを抑制できる。
[実施例1の変形例6]
図15(a)および図15(b)は、実施例1の変形例6に係る圧電薄膜共振器の断面図である。図15(a)および図15(b)に示すように、幅WaとWbはほぼ同じであり、厚さTaとTbはほぼ同じである。エッジ領域54bの上部電極16と付加膜26bとの間の別の付加膜27が設けられている。エッジ領域54aには別の付加膜27は設けられていない。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1の変形例6では、エッジ領域54bに別の付加膜27を設ける。付加膜22aおよび26aの厚さTaと付加膜22bおよび26bの厚さTbが同じでも、エッジ領域54bの音速をエッジ領域54aの音速より遅くできる。これにより、X方向およびY方向のいずれにおいてもスプリアスを抑制できる。付加膜27は、付加膜22bの下、付加膜22bと下部電極12との間、上部電極16と付加膜26bとの間、または付加膜26bの上の少なくとも1つの箇所に設ければよい。別の付加膜27は、複数の箇所に設けられていてもよい。
[実施例1の変形例7]
図16は、実施例1の変形例7に係る圧電薄膜共振器の平面図である。図16に示すように、付加膜22aと22bは分離しており、付加膜26aと26bとは分離している。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1の変形例1から6においても、付加膜22aと22bとは分離し、付加膜26aと26bとは分離していてもよい。
[実施例1の変形例8]
図17(a)および図17(b)は、実施例1の変形例8に係る圧電薄膜共振器の断面図である。図17(a)および図17(b)に示すように、共振領域50の下部電極12下に音響反射膜31が形成されている。音響反射膜31は、音響インピーダンスの低い膜31aと音響インピーダンスの高い膜31bとが交互に設けられている。膜31aおよび31bの膜厚は例えばそれぞれλ/4(λは弾性波の波長)である。膜31aと膜31bの積層数は任意に設定できる。例えば、音響反射膜31は、基板10中に音響インピーダンスの異なる膜が一層設けられている構成でもよい。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1の変形例1から7において、実施例1の変形例8と同様に空隙30の代わりに音響反射膜31を形成してもよい。共振領域50内において弾性波を反射する音響反射層は、空隙30または音響反射膜31を含めばよい。このように、圧電薄膜共振器は、空隙30を有するFBARでもよく、音響反射膜31を有するSMRでもよい。
実施例1およびその変形例では、下部電極12の下に付加膜22aおよび22bを設け、上部電極16の上に付加膜26aおよび26bを設けたが、付加膜22aおよび26aのいずれか一方のみを設けてもよい。付加膜22bおよび26bのいずれか一方のみを設けてもよい。付加膜22aおよび22bが金属膜であり下部電極12と接している場合は、付加膜22aおよび22bは実質的に下部電極12の一部である。付加膜26aおよび26bが金属膜であり上部電極16と接している場合は、付加膜26aおよび26bは実質的に上部電極16の一部である。
実施例1およびその変形例によれば、下部電極12および上部電極16(一対の電極)は、圧電基板14を挟み、圧電基板14に厚みすべり振動を励振する。エッジ領域54aおよび54bは、共振領域50の中央領域52を囲み共振領域50の端部に位置する。エッジ領域54b(第1領域)は、圧電基板14における主モードである厚みすべり振動の変位方向に略平行なY方向(第1方向)において中央領域52の両側に位置している。エッジ領域54a(第2領域)は、Y方向に略直交するX方向(第2方向)において中央領域52の両側に位置している。エッジ領域54aおよび54bにおける圧電基板14内の弾性波の音速は中央領域52における圧電基板14内の弾性波の音速より遅い。
このような構成において、実施例1およびその変形例2、3、7および8では、エッジ領域54b(第1領域)のY方向(第1方向)の幅Wbとエッジ領域54a(第2領域)のX方向(第2方向)の幅Waとは異なる。これにより、X方向とY方向との両方のスプリアスを抑制できる。
なお、主モードである厚みすべり振動は、複数の厚みすべり振動のうち共振特性を用いる振動であり、例えば図4(a)および図4(b)では、速い横波に相当する。また、厚みすべり振動の変位方向に略平行な第1方向は、厚みすべり振動の変位方向からスプリアスが抑制できる程度に傾いていることを許容する。第1方向と厚みすべり振動の変位方向とのなす角は例えば±20°の範囲であり、例えば±10°以下であり、例えば±5°である。第1方向と第2方向とが直交するとは、スプリアスが抑制できる程度の傾きを許容する。第1方向と第2方向との角度は例えば70°から110°であり、例えば80°から100°であり、例えば85°から95°である。
幅WaおよびWbは、ピストンモードを実現するため、0.1λ以上かつ3λ以下が好ましく、0.2λ以上かつ2λ以下がより好ましい。
また、エッジ領域54aのX方向の幅Waはエッジ領域54bのY方向の幅Wbより小さい。これにより、シミュレーション2のように、スプリアスをより抑制できる。
実施例1およびその変形例7および8のように、エッジ領域54bにおける圧電基板14内の弾性波の音速とエッジ領域54aにおける圧電基板14内の弾性波の音速とは製造誤差程度に略同じである。これにより、シミュレーション2のように、スプリアスをより抑制できる。
実施例1の変形例1から6のように、エッジ領域54bにおける圧電基板14内の弾性波の音速とエッジ領域54aにおける圧電基板14内の弾性波の音速とは異なる。これにより、X方向とY方向との両方のスプリアスを抑制できる。
エッジ領域54aにおける圧電基板14内の弾性波の音速はエッジ領域54bにおける圧電基板14内の弾性波の音速より速い。これにより、シミュレーション2のように、スプリアスをより抑制できる。
エッジ領域54bの音速はエッジ領域54aの音速より遅いため、実施例1の変形例1のように、付加膜22bおよび26bの厚さTbを付加膜22aおよび26aの厚さTaより大きくしてもよい。なお、付加膜22bおよび26bの厚さの合計が付加膜22aおよび26aの厚さの合計より大きければよい。
実施例1の変形例4のように、付加膜22bおよび26bの密度を付加膜22aおよび26aの密度より大きくしてもよい。なお、付加膜22bおよび26bの少なくとも一方の密度を付加膜22aおよび26aの密度より大きくすればよい。
実施例1の変形例5のように、エッジ領域54bの圧電基板14の厚さT4bをエッジ領域54aの圧電基板14の厚さT4より厚くしてもよい。実施例1の変形例6のように、エッジ領域54bに別の付加膜27を設けてもよい。これらの方法を組み合わせてもよい。
実施例1の変形例1および4から6のように、エッジ領域54bのY方向の幅とエッジ領域54aのX方向の幅とは製造誤差程度に略同じである。これにより、シミュレーション2のように、スプリアスをより抑制できる。
実施例1の変形例1のように、エッジ領域54bに設けられた付加膜22bおよび26b(第1付加膜)およびエッジ領域54aに設けられた付加膜22aおよび26a(第2付加膜)を備える。これにより、厚さTaとTbとを異ならせることで、エッジ領域54bと54aの音速を異ならせることができる。
実施例1およびその変形例1から6および8のように、付加膜22aと22bとは一体の付加膜であり、付加膜26aと26bとは一体(1枚)の付加膜でもよい。実施例1の変形例7のように、付加膜22aと22bとは分離した別々の付加膜であり、付加膜26aと26bとは分離した別々の付加膜でもよい。
圧電基板14を単結晶タンタル酸リチウム基板とする場合、圧電基板14をXカットタンタル酸リチウム基板とする。このとき、圧電基板14の上面の法線方向(Z方向)はX軸方向である。これにより、圧電基板14では厚みすべり振動が生じる。−X方向をY軸方向からZ軸方向に42°回転させた方向とすることで、Y方向が厚みすべり振動の変位方向となる。圧電基板14の上面の法線方向はX軸方向から±5°の範囲内で傾いていてもよい。圧電基板14の上面の法線方向は、X軸方向から±1°の範囲内であることが好ましく、X軸方向から±0.3°の範囲内であることがより好ましい。Y軸方向からZ軸方向への回転角は42°から±5°の範囲内で傾いていてもよい。Y軸方向からZ軸方向への回転角は、42°から±1°の範囲内であることが好ましく、42°から±0.3°の範囲内であることがより好ましい。
オイラー角で示すと、−X方向はY軸方向からZ軸方向に42°回転した方向は(90、90、42)のX方向となる。−Y方向はオイラー角で(90、90、132)のX方向となる。−X方向は、オイラー角で(90±5、90±5、42±5)の範囲内の−X方向であることが好ましく、(90±1、90±1、42±1)の範囲内の−X方向であることがより好ましく、(90±0.3、90±0.3、42±0.3)の範囲内の−X方向であることがさらに好ましい。−X方向は、オイラー角で(90±5、90±5、132±5)の範囲内の−X方向であることが好ましく、(90±1、90±1、132±1)の範囲内の−X方向であることがより好ましく、(90±0.3、90±0.3、132±0.3)の範囲内の−X方向であることがさらに好ましい。
圧電基板14を単結晶ニオブ酸リチウム基板とする場合、圧電基板14を回転Yカットタンタル酸リチウム基板とする。このとき、圧電基板14の上面の法線方向(Z方向)はY軸Z軸平面内の方向である。これにより、圧電基板14では厚みすべり振動が生じる。+Z方向を+Y軸方向から−Z軸方向に15°回転させた方向(すなわち+Y軸方向から+Z軸方向に−15°回転させた方向)とし、X方向をX軸方向とする。これにより、Y方向が厚みすべり振動の変位方向となる。
オイラー角で示すと、回転角がrであるr回転Yカットニオブ酸リチウム基板では、圧電基板14の上面に平行な方向は(0、90+r、0)となり、−X方向は(0、90+165、0)すなわち(0、75、0)の−X方向となる。−Y方向はオイラー角で(90、75、0)の−X方向となる。−X方向は、オイラー角で(0±5、75±5、0±5)の範囲内の−X方向であることが好ましく、(0±1、75±1、0±1)の範囲内の−X方向であることがより好ましく、(0±0.3、75±0.3、0±0.3)の範囲内の−X方向であることがさらに好ましい。−Y方向は、オイラー角で(90±5、75±5、0±5)の範囲内の−X方向であることが好ましく、(90±1、75±1、0±1)の範囲内の−X方向であることがより好ましく、(90±0.3、75±0.3、0±0.3)の範囲内の−X方向であることがさらに好ましい。
実施例2は、実施例1およびその変形例の圧電薄膜共振器を用いたフィルタおよびデュプレクサの例である。図18(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図である。図18(a)に示すように、入力端子T1と出力端子T2との間に、1または複数の直列共振器S1からS4が直列に接続されている。入力端子T1と出力端子T2との間に、1または複数の並列共振器P1からP4が並列に接続されている。1または複数の直列共振器S1からS4および1または複数の並列共振器P1からP4の少なくとも1つの共振器に実施例1およびその変形例の圧電薄膜共振器を用いることができる。ラダー型フィルタの共振器の個数等は適宜設定できる。
図18(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。図18(b)に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ40が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ42が接続されている。送信フィルタ40は、送信端子Txから入力された信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ42は、共通端子Antから入力された信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ40および受信フィルタ42の少なくとも一方を実施例2のフィルタとすることができる。
マルチプレクサとしてデュプレクサを例に説明したがトリプレクサまたはクワッドプレクサでもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 基板
12 下部電極
14 圧電基板
16 上部電極
22a、22b、26a、26b 付加膜
30 空隙
31 音響反射膜
40 送信フィルタ
42 受信フィルタ
50 共振領域
52 中央領域
54a、54b エッジ領域
60 厚みすべり振動方向

Claims (13)

  1. 圧電基板と、
    前記圧電基板を挟み、前記圧電基板に厚みすべり振動を励振する一対の電極と、
    前記圧電基板の少なくとも一部を挟み前記一対の電極が対向する共振領域の中央領域を囲み前記共振領域の端部の領域であるエッジ領域と、
    前記エッジ領域の一部であり、前記圧電基板における主モードである厚みすべり振動の変位方向に略平行な第1方向において前記中央領域の両側に位置し、前記圧電基板内の弾性波の音速が前記中央領域における前記圧電基板内の弾性波の音速より遅い第1領域と、
    前記エッジ領域の一部であり、前記第1方向に略直交する第2方向において前記中央領域の両側に位置し、前記第2方向において前記第1領域の前記第1方向の幅とは異なる幅を有し、前記圧電基板内の弾性波の音速が前記中央領域における前記圧電基板内の弾性波の音速より遅い第2領域と、
    を備える弾性波デバイス。
  2. 前記第2領域の前記第2方向の幅は前記第1領域の前記第1方向の幅より小さい請求項1に記載の弾性波デバイス。
  3. 前記第1領域における前記圧電基板内の弾性波の音速と前記第2領域における前記圧電基板内の弾性波の音速とは略同じである請求項1または2に記載の弾性波デバイス。
  4. 圧電基板と、
    前記圧電基板を挟み、前記圧電基板に厚みすべり振動を励振する一対の電極と、
    前記圧電基板の少なくとも一部を挟み前記一対の電極が対向する共振領域の中央領域を囲み前記共振領域の端部の領域であるエッジ領域と、
    前記エッジ領域の一部であり、前記圧電基板における主モードである厚みすべり振動の変位方向に略平行な第1方向において前記中央領域の両側に位置し、前記圧電基板内の弾性波の音速が前記中央領域における前記圧電基板内の弾性波の音速より遅い第1領域と、
    前記エッジ領域の一部であり、前記第1方向に略直交する第2方向において前記中央領域の両側に位置し、前記圧電基板内の弾性波の音速が前記中央領域における前記圧電基板内の弾性波の音速より遅くかつ前記第1領域における前記圧電基板内の弾性波の音速と異なる第2領域と、
    を備える弾性波デバイス。
  5. 前記第2領域における前記圧電基板内の弾性波の音速は前記第1領域における前記圧電基板内の弾性波の音速より速い請求項4に記載の弾性波デバイス。
  6. 前記第1領域の前記第1方向の幅と前記第2領域の前記第2方向の幅とは略同じである請求項4または5に記載の弾性波デバイス。
  7. 前記第1領域に設けられた第1付加膜および前記第2領域に設けられた第2付加膜を備える請求項1から6のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
  8. 前記圧電基板はXカットタンタル酸リチウム基板である請求項1から7のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
  9. 前記圧電基板は回転Yカットニオブ酸リチウム基板である請求項1から7のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
  10. Xカットタンタル酸リチウム基板である圧電基板と、
    前記圧電基板を挟み、前記圧電基板に厚みすべり振動を励振する一対の電極と、
    前記圧電基板の少なくとも一部を挟み前記一対の電極が対向する共振領域の中央領域を囲み前記共振領域の端部に位置する付加膜と、
    前記付加膜の一部であり、オイラー角が(90±5、90±5、132±5)の範囲内のX方向である第1方向において前記中央領域の両側に位置する第1領域と、
    前記付加膜の一部であり、オイラー角が(90±5、90±5、42±5)の範囲内のX方向である第2方向において前記中央領域の両側に位置し、前記第2方向において前記第1領域の前記第1方向の幅より小さい幅を有する第2領域と、
    を備える弾性波デバイス。
  11. 回転Yカットニオブ酸リチウム基板である圧電基板と、
    前記圧電基板を挟み、前記圧電基板に厚みすべり振動を励振する一対の電極と、
    前記圧電基板の少なくとも一部を挟み前記一対の電極が対向する共振領域の中央領域を囲み前記共振領域の端部する付加膜と、
    前記付加膜の一部であり、オイラー角が(0±5、75±5、0±5)の範囲内のX方向である第1方向において前記中央領域の両側に位置する第1領域と、
    オイラー角が(90±5、75±5、0±5)の範囲内のX方向である第2方向において前記中央領域の両側に位置し、前記第2方向において前記第1領域の前記第1方向の幅より小さい幅を有する第2領域と、
    を備える弾性波デバイス。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の弾性波デバイスを含むフィルタ。
  13. 請求項12に記載のフィルタを含むマルチプレクサ。
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