JP2023137104A - 弾性波デバイス、フィルタ、およびマルチプレクサ - Google Patents

弾性波デバイス、フィルタ、およびマルチプレクサ Download PDF

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Abstract

【課題】電気機械結合係数を向上させることが可能な弾性波デバイスを提供する。【解決手段】弾性波デバイスは、基板と、基板上に設けられた下部電極と、下部電極上に設けられ、単結晶ニオブ酸リチウム層であり、右手系のXYZ座標系において上面の面方向で互いに直交する方向をX方向およびY方向、上面の法線方向をZ方向としたときのオイラー角が(0°±5°、105°±5°、11°~28°)、または、(90°±5°、105°±5°、11°~28°)である圧電層と、圧電層を挟んで下部電極と対向する共振領域を形成するように圧電層上に設けられた上部電極とを備える。【選択図】図5

Description

本発明は、弾性波デバイス、フィルタ、およびマルチプレクサに関する。
携帯電話等の無線端末の高周波回路用のフィルタおよびデュプレクサとして、圧電薄膜共振器を用いたフィルタおよびデュプレクサが知られている。圧電薄膜共振器には、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)タイプとSMR(Solidly Mounted Resonator)タイプがある。FBARタイプの圧電薄膜共振器は、基板上に圧電層と圧電層を挟む下部電極および上部電極とを備え、圧電層を挟み下部電極と上部電極が対向する領域において基板と下部電極との間に空隙が形成されている。SMRタイプの圧電薄膜共振器は、空隙の代わりに、音響インピーダンスの高い膜と低い膜が交互に積層された音響反射膜が設けられている。圧電層を挟み下部電極と上部電極が対向する領域は、弾性波が共振する共振領域である。
圧電層にニオブ酸リチウム層またはタンタル酸リチウム層を用いることが知られている。この場合に、高いQ値を得るために、ニオブ酸リチウム層またはタンタル酸リチウム層のオイラー角を特定の角度範囲内とすることが知られている(例えば特許文献1)。
国際公開第2020/203092号
近年、フィルタの高性能化の要望が大きく、例えばフィルタ特性の広帯域化が求められている。フィルタ特性の広帯域化は、電気機械結合係数の大きな弾性波デバイスを用いることで実現できる。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、電気機械結合係数を向上させることを目的とする。
本発明は、基板と、前記基板上に設けられた下部電極と、前記下部電極上に設けられ、単結晶ニオブ酸リチウム層であり、右手系のXYZ座標系において上面の面方向で互いに直交する方向をX方向およびY方向、上面の法線方向をZ方向としたときのオイラー角が(0°±5°、105°±5°、11°~28°)または、(90°±5°、105°±5°、11°~28°)である圧電層と、前記圧電層を挟んで前記下部電極と対向する共振領域を形成するように前記圧電層上に設けられた上部電極と、を備える弾性波デバイスである。
上記構成において、前記共振領域において前記基板と前記下部電極との間に設けられた音響反射膜を備え、前記圧電層のオイラー角は(0°±5°、105°±5°、11°~23°)、または、(90°±5°、105°±5°、11°~23°)である構成とすることができる。
上記構成において、前記圧電層のオイラー角は(0°±5°、105°±5°、11°~17°)、または、(90°±5°、105°±5°、11°~17°)である構成とすることができる。
上記構成において、前記共振領域において前記下部電極は前記基板との間に空隙を挟んで前記基板上に設けられ、前記圧電層のオイラー角は(0°±5°、105°±5°、11°~21°)、または、(90°±5°、105°±5°、11°~21°)である構成とすることができる。
上記構成において、前記圧電層のオイラー角は(0°±5°、105°±5°、11°~16°)、または、(90°±5°、105°±5°、11°~16°)である構成とすることができる。
上記構成において前記下部電極および前記上部電極はアルミニウムを含む膜である構成とすることができる。
本発明は、上記に記載の弾性波デバイスを含むフィルタである。
本発明は、上記に記載のフィルタを含むマルチプレクサである。
本発明によれば、電気機械結合係数を向上させることができる。
図1(a)は、実施例1に係る弾性波デバイスの平面図、図1(b)は、図1(a)のA-A断面図である。 図2(a)から図2(c)は、オイラー角で(0°、105°、11°~28°)と表される圧電層の結晶方位を説明するための図である。 図3(a)から図3(d)は、オイラー角で(90°、105°、11°~28°)と表される圧電層の結晶方位を説明するための図である。 図4(a)および図4(b)は、実施例1に係る弾性波デバイスの周波数に対するアドミッタンスの実部Real(Y)および絶対値|Y|のシミュレーション結果である。 図5は、実施例1において、結晶方位がオイラー角で(0°、105°、γ)と表される圧電層のオイラー角γに対する電気機械結合係数k2およびスプリアス強度のシミュレーション結果である。 図6は、実施例2に係る弾性波デバイスの断面図である。 図7は、実施例2において、結晶方位がオイラー角で(90°、105°、γ)と表される圧電層のオイラー角γに対する電気機械結合係数k2およびスプリアス強度のシミュレーション結果である。 図8は、実施例2において、結晶方位がオイラー角で(0°、105°、γ)と表される圧電層のオイラー角γに対する電気機械結合係数k2およびスプリアス強度のシミュレーション結果である。 図9は、実施例3に係るフィルタの回路図である。 図10は、実施例4に係るデュプレクサのブロック図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
図1(a)は、実施例1に係る弾性波デバイス100の平面図、図1(b)は、図1(a)のA-A断面図である。図1(a)では、図の明瞭化のために、付加膜28にハッチングを付している。図1(a)および図1(b)に示すように、弾性波デバイス100は、圧電薄膜共振器であり、基板10上に音響反射膜31が設けられ、音響反射膜31上に圧電層14が設けられている。圧電層14の上面および下面は略平坦である。圧電層14の上下に上部電極16と下部電極12が設けられている。圧電層14の少なくとも一部を挟み下部電極12と上部電極16とが平面視において重なる領域は共振領域50である。
共振領域50の平面形状は略矩形である。矩形はほぼ直線の4つの辺を有する。4つの辺の延伸方向をX方向およびY方向とする。音響反射膜31、下部電極12、圧電層14、および上部電極16が積層された方向をZ方向とする。
下部電極12と上部電極16との間に高周波電力を印加すると、共振領域50内の圧電層14に弾性波の変位がZ方向に交差する方向(すなわち厚さ方向に対して歪み方向)に振動する弾性波が励振される。この振動を厚みすべり振動という。厚みすべり振動の変位の最も大きい方向(厚みすべり振動の変位方向)を厚みすべり振動の方向60とする。例えば、厚みすべり振動の方向60はY方向からZ方向に少し傾いた方向である。弾性波の波長は圧電層14の厚さのほぼ2倍である。下部電極12および上部電極16は、厚みすべり振動の方向60に交差(例えば直交)する方向に共振領域50から引き出されている。
共振領域50は、中央領域54と、中央領域54に対してX方向両側のエッジ領域52と、を有する。エッジ領域52はほぼY方向に延伸する。エッジ領域52のX方向の幅はY方向においてほぼ一定である。エッジ領域52の上部電極16上に付加膜28が設けられている。共振領域50のうちエッジ領域52に挟まれた中央領域54には付加膜28は設けられていない。
付加膜28、上部電極16、圧電層14、および下部電極12の厚さをそれぞれT28、T16、T14、およびT12とする。
音響反射膜31は、音響インピーダンスの低い膜31bと音響インピーダンスの高い膜31aとが交互に積層されている。音響インピーダンスの高い膜31aおよび音響インピーダンスの低い膜31bの膜厚は、例えばそれぞれほぼλ/4(λは弾性波の波長)である。これにより、音響反射膜31は弾性波を反射する。音響インピーダンスの高い膜31aおよび音響インピーダンスの低い膜31bの積層数は任意に設定できる。音響反射膜31は、音響特性の異なる少なくとも2種類の層が積層されていればよい。また、基板10が音響反射膜31の音響特性の異なる少なくとも2種類の層のうちの1層であってもよい。例えば、音響反射膜31は、基板10中に音響インピーダンスの異なる1種類の層が設けられている構成でもよい。平面視において、音響反射膜31は共振領域50に重なり、音響反射膜31は共振領域50と同じ大きさまたは共振領域50より大きい。
基板10は、例えばシリコン基板、サファイア基板、アルミナ基板、スピネル基板、石英基板、水晶基板、ガラス基板、セラミック基板、またはGaAs基板である。下部電極12および上部電極16は、例えばルテニウム(Ru)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、またはイリジウム(Ir)等の単層膜またはこれらの積層膜である。付加膜28は、下部電極12および上部電極16において例示した金属膜、もしくは酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜、または酸化ニオブ膜等の絶縁膜である。付加膜28の材料は下部電極12および上部電極16の材料と同じでもよいし、異なっていてもよい。
圧電層14は、単結晶ニオブ酸リチウム層である。圧電層14の結晶方位は、オイラー角表示で(0°±5°、105°±5°、11°~28°)、または、(90°±5°、105°±5°、11°~28°)である。オイラー角をこのような角度とする理由については後述する。
オイラー角(α、β、γ)は以下のように定義される。右手系のXYZ座標系において、圧電層14の上面の法線方向をZ方向とし、Z方向に直交する方向であって圧電層14の上面の面方向で互いに直交する方向をX方向およびY方向とする。まず、X方向、Y方向、およびZ方向をそれぞれ結晶方位のX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向とする。次に、Z軸方向を中心に+X軸方向から+Y軸方向にα回転させる。α回転後のX軸方向を中心に+Y軸方向から+Z軸方向にβ回転させる。β回転後のZ軸方向を中心に+X軸方向から+Y軸方向にγ回転させる。このように結晶方位を回転させた結晶のオイラー角が(α、β、γ)である。なお、本実施例では、α、β、およびγとして0°~180°を用い表現するが、(α、β、γ)を用い表現されるオイラー角は、等価なオイラー角を含む。
図2(a)から図2(c)を用いて、オイラー角が(0°、105°、11°~28°)と表される圧電層14の結晶方位について説明する。図2(a)から図2(c)では、下部電極12、圧電層14、および上部電極16を図示している。図2(a)に示すように、+X方向、+Y方向、および+Z方向をそれぞれ圧電層14の結晶方位の+X軸方向、+Y軸方向、および+Z軸方向とする。図2(b)に示すように、図2(a)の状態から、X軸方向を中心に+Y軸方向および+Z軸方向を+Y軸方向から+Z軸方向に105°回転させる。次に、図2(c)に示すように、図2(b)の状態から、Z軸方向を中心に+X軸方向および+Y軸方向を+X軸方向から+Y軸方向に11°~28°回転させる。このように回転させると、+Z方向は+Z軸方向を105°回転させた方向となる。圧電層14の結晶方位のX軸に対して垂直方向が厚みすべり振動の方向60となるため、Y方向に対してZ方向に11°~28°傾いた方向が厚みすべり振動の方向60となる。オイラー角では(0°、105°、11°~28°)となる。
圧電層14に厚みすべり振動を励振させる点から、結晶方位のX軸方向は、+X方向から圧電層14の上面の面方向に±5°の範囲内とすることが好ましく、±1°の範囲内とすることが好ましい。+Z方向は、+Z軸方向から105°回転した方向から±5°の範囲内とすることが好ましく、±1°の範囲内とすることが好ましい。したがって、圧電層14の結晶方位としては(0°±5°、105°±5°、11°~28°)となる。
図3(a)から図3(d)を用いて、オイラー角が(90°、105°、11°~28°)と表される圧電層14の結晶方位について説明する。図3(a)から図3(d)では、下部電極12、圧電層14、および上部電極16を図示している。図3(a)に示すように、+X方向、+Y方向、および+Z方向をそれぞれ圧電層14の結晶方位の+X軸方向、+Y軸方向、および+Z軸方向とする。図3(b)に示すように、図3(a)の状態から、Z軸方向を中心に+X軸方向および+Y軸方向を+X軸方向から+Y軸方向に90°回転させる。図3(c)に示すように、図3(b)の状態から、X軸方向を中心に+Y軸方向および+Z軸方向を+Y軸方向から+Z軸方向に105°回転させる。次に、図3(d)に示すように、図3(c)の状態から、Z軸方向を中心に+X軸方向および+Y軸方向を+X軸方向から+Y軸方向に11°~28°回転させる。このように回転させると、+Z方向は+Z軸方向を105°回転させた方向となる。圧電層14の結晶方位のX軸に対して垂直方向が厚みすべり振動の方向60となるため、X方向に対してZ方向に11°~28°傾いた方向が厚みすべり振動の方向60となる。オイラー角では(90°、105°、11°~28°)となる。
圧電層14に厚みすべり振動を励振させる点から、結晶方位のX軸方向は、+X方向から圧電層14の上面の面方向に±5°の範囲内とすることが好ましく、±1°の範囲内とすることが好ましい。+Z方向は、+Z軸方向から105°回転した方向から±5°の範囲内とすることが好ましく、±1°の範囲内とすることが好ましい。したがって、圧電層14の結晶方位としては(90°±5°、105°±5°、11°~28°)となる。
[シミュレーション]
実施例1の弾性波デバイス100に対して、結晶方位がオイラー角で(0°、105°、γ)と表される単結晶ニオブ酸リチウム層を圧電層14に用い、γの大きさを変えることによる電気機械結合係数k2およびスプリアス強度の変化についてシミュレーションを行った。シミュレーション条件は以下である。
弾性波の波長λ:圧電層14の厚さT14×2
X方向の条件:X方向の幅を30λとし、境界条件は無限に連続とする。
Y方向の条件:共振領域50のY方向の幅を0.5λとする。
付加膜28:厚さT28が90nmの酸化シリコン膜
上部電極16:厚さT16が46nmのアルミニウム膜
圧電層14:厚さT14が460nmで、結晶方位がオイラー角で(0°、105°、γ)と表される単結晶ニオブ酸リチウム層
下部電極12:厚さT12が46nmのアルミニウム膜
音響インピーダンスの高い膜31a:厚さが194nmのタングステン膜
音響インピーダンスの低い膜31b:厚さが152nmの酸化シリコン膜
基板10:シリコン基板
図4(a)および図4(b)は、実施例1に係る弾性波デバイス100の周波数に対するアドミッタンスの実部Real(Y)および絶対値|Y|のシミュレーション結果である。図4(a)には、結晶方位がオイラー角で(0°、105°、0°)と表されるニオブ酸リチウム層を圧電層14に用いた場合のシミュレーション結果が示されている。図4(b)には、結晶方位がオイラー角で(0°、105°、20°)と表されるニオブ酸リチウム層を圧電層14に用いた場合のシミュレーション結果が示されている。アドミッタンス|Y|では、共振周波数frおよび反共振周波数faのピークが観察される。アドミッタンスの実部Real(Y)では、絶対値|Y|に比べスプリアス応答が大きく観察される。
図4(a)および図4(b)に示すように、結晶方位がオイラー角で(0°、105°、0°)と表されるニオブ酸リチウム層を圧電層14に用いた場合(図4(a))と、(0°、105°、20°)と表されるニオブ酸リチウム層を圧電層14に用いた場合(図4(b))とでは、共振周波数frと反共振周波数faの周波数間隔が異なる結果となった。反共振周波数faと共振周波数frとの差は電気機械結合係数k2に比例する。結晶方位がオイラー角で(0°、105°、0°)と表されるニオブ酸リチウム層を圧電層14に用いた場合(図4(a))の電気機械結合係数k2は32.63%であり、(0°、105°、20°)と表されるニオブ酸リチウム層を圧電層14に用いた場合(図4(b))の電気機械結合係数k2は34.94%であった。このことから、結晶方位がオイラー角で(0°、105°、γ)と表されるニオブ酸リチウム層を圧電層14に用いた場合に、γの大きさを変えることで電気機械結合係数k2が変化すると考えられる。
また、共振周波数frと反共振周波数faの間の周波数においてスプリアス40が発生している。このスプリアス40は、結晶方位がオイラー角で(0°、105°、20°)と表されるニオブ酸リチウム層を圧電層14に用いた場合(図4(b))では、(0°、105°、0°)と表されるニオブ酸リチウム層を圧電層14に用いた場合(図4(a))に比べて大きくなっている。このことから、結晶方位がオイラー角で(0°、105°、γ)と表されるニオブ酸リチウム層を圧電層14に用いた場合に、γの大きさを変えることでスプリアス40の大きさも変化すると考えられる。以下において、スプリアス40の最大強度と最小強度の差hをスプリアス強度とする。
図5は、実施例1において、結晶方位がオイラー角で(0°、105°、γ)と表される圧電層14のオイラー角γに対する電気機械結合係数k2およびスプリアス強度のシミュレーション結果である。図5に示すように、電気機械結合係数k2は、オイラー角γが11°のときに33.8%となり、オイラー角γが23°のときに34.93%となり、オイラー角γが23°まではほとんど減少しない結果であった。オイラー角γが28°のときの電気機械結合係数k2は34.02%となり、オイラー角γが11°のときの電気機械結合係数k2と同等の大きさであった。このことから、オイラー角γを11°~28°の範囲内の値とすることで、電気機械結合係数k2を向上させることができる。
一方、スプリアス40のスプリアス強度は、オイラー角γが11°~14°の間では角度が大きくなるに従い減少し、14°で最も小さくなった後、14°より大きくなると角度が大きくなるに従い増加している。オイラー角γが11°のときのスプリアス強度は12.4dBで、オイラー角γが17°のときのスプリアス強度はオイラー角γが11°のときと同等の13.2dBであった。このことから、オイラー角γを11°~17°の範囲内の値とすることで、スプリアス強度が大きくなることを抑制できる。
なお、上記シミュレーションでは、下部電極12および上部電極16にアルミニウム膜を用いたが、ルテニウム、クロム、アルミニウム、チタン、銅、モリブデン、タングステン、タンタル、白金、ロジウム、またはイリジウム等の単層膜またはこれらの積層膜を用いた場合でも、オイラー角γの好ましい範囲は変わらないと考えられる。
図6は、実施例2に係る弾性波デバイス200の断面図である。実施例2の弾性波デバイス200は、実施例1の弾性波デバイス100と同じく圧電薄膜共振器である。図6に示すように、弾性波デバイス200では、音響反射膜31の代わりに空隙30が設けられている。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。実施例2においても、圧電層14は、結晶方位がオイラー角で(0°±5°、105°±5°、11°~28°)、または、(90°±5°、105°±5°、11°~28°)と表される単結晶ニオブ酸リチウム層である。
[シミュレーション]
実施例2の弾性波デバイス200に対して、実施例1と同じく、結晶方位がオイラー角で(0°、105°、γ)と表される単結晶ニオブ酸リチウム層を圧電層14に用い、γの大きさを変えることによる電気機械結合係数k2およびスプリアス強度の変化についてシミュレーションを行った。また、結晶方位がオイラー角で(90°、105°、γ)と表される単結晶ニオブ酸リチウム層を圧電層14に用い、γの大きさを変えることによる電気機械結合係数k2およびスプリアス強度の変化についてもシミュレーションを行った。シミュレーション条件は以下である。
弾性波の波長λ:圧電層14の厚さT14×2
X方向の条件:X方向の幅を30λとし、境界条件は無限に連続とする。
Y方向の条件:共振領域50のY方向の幅を0.5λとする。
付加膜28:厚さT28が70nmの酸化シリコン膜
上部電極16:厚さT16が44nmのアルミニウム膜
圧電層14:厚さT14が440nmで、結晶方位がオイラー角で(0°、105°、γ)または(90°、105°、γ)と表される単結晶ニオブ酸リチウム層
下部電極12:厚さT12が44nmのアルミニウム膜
基板10:シリコン基板
図7は、実施例2において、結晶方位がオイラー角で(90°、105°、γ)と表される圧電層14のオイラー角γに対する電気機械結合係数k2およびスプリアス強度のシミュレーション結果である。図7に示すように、電気機械結合係数k2は、オイラー角γが11°のときに40.46%となり、オイラー角γが21°のときに41.82%となり、オイラー角γが21°までは角度が大きくなるに従い大きくなっている。オイラー角γが28°のときの電気機械結合係数k2は40.68%となり、オイラー角γが11°のときの電気機械結合係数k2と同等の大きさとなっている。このことから、オイラー角γを11°~28°の範囲内の値とすることで、電気機械結合係数k2を向上させることができる。
一方、スプリアス40のスプリアス強度は、オイラー角γが11°~15°の間では角度が大きくなるに従い減少し、15°より大きくなると21°までは角度が大きくなるに従い増加している。オイラー角γが11°のときのスプリアス強度は19.8dBで、オイラー角γが16°のときのスプリアス強度はオイラー角γが11°のときと同等の大きさであった。このことから、オイラー角γを11°~16°の範囲内の値とすることで、スプリアス強度が大きくなることを抑制できる。
図8は、実施例2において、結晶方位がオイラー角で(0°、105°、γ)と表される圧電層14のオイラー角γに対する電気機械結合係数k2およびスプリアス強度のシミュレーション結果である。図8に示すように、電気機械結合係数k2は、オイラー角γが21°までは角度が大きくなるに従い大きくなっている。電気機械結合係数k2は、オイラー角γが11°のときと28°のときとで同等の大きさとなっている。このことから、オイラー角γを11°~28°の範囲内の値とすることで、電気機械結合係数k2を向上させることができる。
一方、スプリアス40のスプリアス強度は、オイラー角γが11°~14°の間では角度が大きくなるに従い減少し、14°より大きくなると22°までは角度が大きくなるに従い増加している。オイラー角γが11°のときのスプリアス強度とオイラー角γが17°より少し小さいときのスプリアス強度とが同等の大きさであった。このことから、オイラー角γを11°~16°の範囲内の値とすることで、スプリアス強度が大きくなることを抑制できる。
なお、上記シミュレーションでは、下部電極12および上部電極16にアルミニウム膜を用いたが、ルテニウム、クロム、アルミニウム、チタン、銅、モリブデン、タングステン、タンタル、白金、ロジウム、またはイリジウム等の単層膜またはこれらの積層膜を用いた場合でも、オイラー角γの好ましい範囲は変わらないと考えられる。
なお、実施例2において、圧電層14の結晶方位のオイラー角が(90°、105°、γ)の場合のシミュレーション結果である図7と、(0°、105°、γ)の場合のシミュレーション結果である図8と、では、電気機械結合係数k2およびスプリアス強度の観点から好ましいオイラー角γの範囲はほぼ同じであった。したがって、実施例1においても、圧電層14の結晶方位のオイラー角が(90°、105°、γ)の場合の好ましいオイラー角γの好ましい範囲は、(0°、105°、γ)の場合のシミュレーション結果である図5の場合とほぼ同じと考えられる。
以上のように、実施例1および実施例2によれば、圧電層14にオイラー角が(0°±5°、105°±5°、11°~28°)、または、(90°±5°、105°±5°、11°~28°)の単結晶ニオブ酸リチウム層を用いている。これにより、電気機械結合係数k2を向上させることができる。
実施例1の図5のように、共振領域50において基板10と下部電極12との間に音響反射膜31が設けられたSMR(Solidly Mounted Resonator)タイプの圧電薄膜共振器の場合、電気機械結合係数k2を向上させる点から、圧電層14に用いる単結晶ニオブ酸リチウム層のオイラー角は、(0°±5°、105°±5°、11°~23°)の場合が好ましく、(0°±5°、105°±5°、12°~22°)の場合がより好ましく、(0°±5°、105°±5°、13°~22°)の場合が更に好ましく、(0°±5°、105°±5°、14°~22°)の場合がより更に好ましい。また、上述したように、オイラー角が(90°、105°、γ)の場合の好ましいオイラー角γの範囲は、(0°、105°、γ)の場合とほぼ同じと考えられる。したがって、電気機械結合係数k2を向上させる点から、圧電層14に用いる単結晶ニオブ酸リチウム層のオイラー角は、(90°±5°、105°±5°、11°~23°)の場合が好ましく、(90°±5°、105°±5°、12°~22°)の場合がより好ましく、(90°±5°、105°±5°、13°~22°)の場合が更に好ましく、(90°±5°、105°±5°、14°~22°)の場合がより更に好ましい。
また、実施例1の図5のように、SMRタイプの圧電薄膜共振器の場合、電気機械結合係数k2を向上させつつ、スプリアス強度が大きくなることを抑制する点から、圧電層14に用いる単結晶ニオブ酸リチウム層のオイラー角は、(0°±5°、105°±5°、11°~17°)の場合が好ましく、(0°±5°、105°±5°、12°~16°)の場合がより好ましく、(0°±5°、105°±5°、13°~15°)の場合が更に好まく、(0°±5°、105°±5°、14°~15°)の場合がより更に好ましい。また、上述したように、オイラー角が(90°、105°、γ)の場合の好ましいオイラー角γの範囲は、(0°、105°、γ)の場合とほぼ同じと考えられる。したがって、スプリアス強度が大きくなることを抑制する点から、圧電層14に用いる単結晶ニオブ酸リチウム層のオイラー角は、(90°±5°、105°±5°、11°~17°)の場合が好ましく、(90°±5°、105°±5°、12°~16°)の場合がより好ましく、(90°±5°、105°±5°、13°~15°)の場合が更に好ましく、(90°±5°、105°±5°、14°~15°)の場合がより更に好ましい。
実施例2の図7のように、共振領域50において基板10と下部電極12との間に空隙30が設けられたFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)タイプの圧電薄膜共振器の場合、電気機械結合係数k2を向上させる点から、圧電層14に用いる単結晶ニオブ酸リチウム層のオイラー角は、(90°±5°、105°±5°、11°~21°)の場合が好ましく、(90°±5°、105°±5°、12°~21°)の場合がより好ましく、(90°±5°、105°±5°、13°~21°)の場合が更に好まく、(90°±5°、105°±5°、14°~21°)の場合がより更に好ましい。また、実施例2の図8のように、(0°±5°、105°±5°、11°~21°)の場合が好ましく、(0°±5°、105°±5°、12°~21°)の場合がより好ましく、(0°±5°、105°±5°、13°~21°)の場合が更に好まく、(0°±5°、105°±5°、14°~21°)の場合がより更に好ましい。
また、実施例2の図7のように、FBARタイプの圧電薄膜共振器の場合、電気機械結合係数k2を向上させつつ、スプリアス強度が大きくなることを抑制する点から、圧電層14に用いる単結晶ニオブ酸リチウム層のオイラー角は、(90°±5°、105°±5°、11°~16°)の場合が好ましく、(90°±5°、105°±5°、12°~15°)の場合がより好ましく、(90°±5°、105°±5°、13°~15°)の場合が更に好ましく、(90°±5°、105°±5°、14°~15°)の場合がより更に好ましい。また、実施例2の図8のように、(0°±5°、105°±5°、11°~16°)の場合が好ましく、(0°±5°、105°±5°、12°~15°)の場合がより好ましく、(0°±5°、105°±5°、13°~15°)の場合が更に好まく、(0°±5°、105°±5°、14°~15°)の場合がより更に好ましい。
図9は、実施例3に係るフィルタ300の回路図である。図9に示すように、フィルタ300は、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に、1または複数の直列共振器S1からS3が直列に接続されている。入力端子Tinと出力端子Toutとの間に、1または複数の並列共振器P1、P2が並列に接続されている。並列共振器P1、P2は、入力端子Tinと出力端子Toutとの間の経路とグランド端子との間に接続されている。1または複数の直列共振器S1からS3、および、1または複数の並列共振器P1、P2の少なくとも1つの共振器に実施例1または実施例2に係る弾性波デバイスを用いることができる。ラダー型フィルタの共振器の個数は適宜設定できる。
図10は、実施例4に係るデュプレクサ400のブロック図である。図10に示すように、デュプレクサ400は、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ70が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ72が接続されている。送信フィルタ70は、送信端子Txから入力された高周波信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ72は、共通端子Antから入力された高周波信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ70および受信フィルタ72の少なくとも一方を、実施例3のフィルタとすることができる。マルチプレクサとしてデュプレクサを例に説明したが、トリプレクサ又はクワッドプレクサでもよい。
以上、本願発明の実施形態について詳述したが、本願発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本願発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 基板
12 下部電極
14 圧電層
16 上部電極
28 付加膜
30 空隙
31 音響反射膜
31a 音響インピーダンスの高い膜
31b 音響インピーダンスの低い膜
40 スプリアス
50 共振領域
52 エッジ領域
54 中央領域
60 厚みすべり振動の方向
70 送信フィルタ
72 受信フィルタ
100、200 弾性波デバイス
300 フィルタ
400 デュプレクサ
S1~S3 直列共振器
P1、P2 並列共振器

Claims (8)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられた下部電極と、
    前記下部電極上に設けられ、単結晶ニオブ酸リチウム層であり、右手系のXYZ座標系において上面の面方向で互いに直交する方向をX方向およびY方向、上面の法線方向をZ方向としたときのオイラー角が(0°±5°、105°±5°、11°~28°)、または、(90°±5°、105°±5°、11°~28°)である圧電層と、
    前記圧電層を挟んで前記下部電極と対向する共振領域を形成するように前記圧電層上に設けられた上部電極と、を備える弾性波デバイス。
  2. 前記共振領域において前記基板と前記下部電極との間に設けられた音響反射膜を備え、
    前記圧電層のオイラー角は(0°±5°、105°±5°、11°~23°)、または、(90°±5°、105°±5°、11°~23°)である、請求項1に記載の弾性波デバイス。
  3. 前記圧電層のオイラー角は(0°±5°、105°±5°、11°~17°)、または、(90°±5°、105°±5°、11°~17°)である、請求項2に記載の弾性波デバイス。
  4. 前記共振領域において前記下部電極は前記基板との間に空隙を挟んで前記基板上に設けられ、
    前記圧電層のオイラー角は(0°±5°、105°±5°、11°~21°)、または、(90°±5°、105°±5°、11°~21°)である、請求項1に記載の弾性波デバイス。
  5. 前記圧電層のオイラー角は(0°±5°、105°±5°、11°~16°)、または、(90°±5°、105°±5°、11°~16°)である、請求項4に記載の弾性波デバイス。
  6. 前記下部電極および前記上部電極はアルミニウムを含む膜である、請求項1から5のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の弾性波デバイスを含むフィルタ。
  8. 請求項7に記載のフィルタを含むマルチプレクサ。
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