JP2023110181A - 樹脂組成物、成形物及び成形物の製造方法 - Google Patents

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Eiji Ichihara
智史 園田
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哲也 島田
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Abstract

【課題】環境負荷及び臭気を低減し、かつ、表面の凹凸発生を抑制した成形物を提供する。【解決手段】デンプンを含有する植物由来粉体及びポリウレタン樹脂を含む樹脂組成物であって、樹脂組成物の重量に基づく、植物由来粉体の含有量が5~70重量%、ポリウレタン樹脂の含有量が30~95重量%であり、ポリウレタン樹脂が有機ポリイソシアネート成分(A)及びポリオール成分(B)を構成原料として含む樹脂であり、有機ポリイソシアネート成分(A)及びポリオール成分(B)はそれぞれ25℃で液状であり、植物由来粉体の体積平均粒子径が5~100μmである樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は樹脂組成物、成形物及び成形物の製造方法に関する。
環境負荷を低減する観点から、木粉及び米粉等に由来するバイオマス粉を樹脂成形品用材料として用いることが検討されている。例えば、特許文献1においては、木粉等のバイオマス粉をポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂に添加してなる樹脂組成物が成形品用の材料として提案されている。
特開2018-119048号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているバイオマス粉を含む組成物を用いて成形品を製造すると、成形品を製造する際に、バイオマス粉が熱により変成して独特の臭気が発生することがあり、成形物にも臭気が残存することがある。さらに、特許文献1に記載の組成物を用いて成形品を製造すると、成形品の表面に目視で認められる大きさの凹凸が発生することがあり、改善が求められていた。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、環境負荷、及び臭気を低減し、表面の凹凸発生を抑制可能な成形物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、デンプンを含む植物由来粉体及びポリウレタン樹脂を含む樹脂組成物であって、樹脂組成物の重量に基づく、植物由来粉体の含有量が5~70重量%、ポリウレタン樹脂の含有量が30~95重量%であり、ポリウレタン樹脂が有機ポリイソシアネート成分(A)及びポリオール成分(B)を構成原料として含む樹脂であり、有機ポリイソシアネート成分(A)及びポリオール成分(B)はそれぞれ25℃で液状であり、植物由来粉体の体積平均粒子径が5~100μmである樹脂組成物;前記樹脂組成物を成形してなる成形物;前記樹脂組成物を用いる成形物の製造方法であって、植物由来粉体として、カールフィッシャー法により測定した水分含有量Wbが8000ppm以下である植物由来粉体を用いる成形物の製造方法である。
本発明によれば、環境負荷及び臭気を低減し、表面の凹凸発生を抑制した成形物を提供することができる。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、デンプンを含有する植物由来粉体(C)及びポリウレタン樹脂を含む。
「デンプンを含有する植物由来粉体」とは、植物から生まれた有機性資源のうち、デンプンを含有しかつ粉状のものをいう。デンプンを含有する植物由来粉体(C)としては、穀類の粉(例えば米粉、小麦粉及びトウモロコシ粉等)、豆類の粉(緑豆粉及び小豆の粉等)、いも類(馬鈴薯、甘藷及びタピオカ等)を粉状にしたもの、野草(葛、カタクリ及び蕨等)から抽出したデンプンのうち粉状のもの並びにヤシ類(サゴヤシ等)から抽出した粉体等が挙げられる。これらのうち、成形体としたときの臭気低減効果が高いという観点から、穀類の粉及びいも類を粉状としたものが好ましく、穀類の粉がより好ましく、米粉が特に好ましい。本発明において、植物由来粉体(C)は一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。以下において植物由来粉体(C)を「(C)成分」と呼ぶことがある。
植物由来粉体(C)に含まれるデンプンの含有量は、特に限定はないが、水分含有量を少なくすることができ、ポリウレタン樹脂と混合しやすいという観点から、植物由来粉体の重量に基づき、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上であり、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。
植物由来粉体(C)としては、成形体を製造する際の発泡量をより少なくし成形体における気泡量をより低減できるという観点から、水分含有量が少ないものが好ましい。具体的には、植物由来粉体のカールフィッシャー法により測定した水分含有量Wbは8000ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましく、500ppm以下がさらに好ましい。本発明において、カールフィッシャー法による水分含有量の測定は、JIS K 0068に従って行う(実施例においても同様)。
植物由来粉体(C)の水分含有量は、乾燥処理を行うことにより調整可能である。乾燥処理方法としては、風乾(直射日光を避け室温で空気中の湿度と平衡になるまで乾燥させる方法)、水分を吸収する薬剤(例えば五酸化二リン、シリカゲル及びゼオライト等)を用いた乾燥方法、加熱手段(オーブン等)を用いて加熱乾燥させる方法及び減圧下で乾燥させる方法等が挙げられる。
植物由来粉体(C)は、体積平均粒子径が5~100μmである。植物由来粉体(C)の体積平均粒子径が5~100μmであることにより、成形体としたときに大きな凹凸(目視可能な大きさの凹凸)の発生を抑制することができる。植物由来粉体の体積平均粒子径が100μmを超えると、成形体としたときに大きな凹凸が発生しやすくなり、体積平均粒子径が5μm未満では二次凝集しやすくなり、水分を含みやすくなる。(C)成分が水分を多く含むと、成形体を製造する際に発泡量が多くなり、得られる成形体中の気泡量が多くなることがある。
植物由来粉体(C)の体積平均粒子径は、成形体を製造する際の発泡を抑制する観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、成形体としたときの凹凸発生を抑制する観点から、好ましくは80μm以下、より好ましくは70μm以下である。本発明において体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法により測定する。
樹脂組成物に含まれるポリウレタン樹脂は、有機ポリイソシアネート成分(A)及びポリオール成分(B)を構成原料として含む樹脂である。本発明において、有機ポリイソシアネート成分(A)[以下「(A)成分」ともいう]及びポリオール成分(B)[以下「(B)成分」ともいう]はそれぞれ25℃で液状である。(A)成分及び(B)成分が、それぞれ25℃で液状であることにより、臭気を低減することができる。
このような効果を奏するメカニズムは、以下のように推察される。(A)成分及び(B)成分のそれぞれが25℃で液状であると、両成分が低温で硬化が可能となり、円滑にウレタン化反応が進むことにより臭気を低減できると推測される。
本発明において、「25℃で液状」とは、25℃で測定した粘度(mPa・s)が、100000mPa・s以下であることをいう。前記25℃で測定した粘度は、JIS K7117-1:1999「プラスチック-液状,乳濁状又は分散状の樹脂-ブルックフィールド形回転粘度計による見掛け粘度の測定方法」に準拠して、回転粘度計(東京計器製作所製B型粘度計等)を用いて、25℃の温度条件で測定される(実施例においても同様)。
(A)成分の25℃で測定した粘度は、好ましくは1~80000mPa・s、より好ましくは10~50000mPa・sである。また、(B)成分の25℃で測定した粘度は、好ましくは1~80000mPa・s、より好ましくは10~50000mPa・sである。
(A)成分が2種以上の成分及び/又は化合物を混合してなるものである場合、(A)成分を構成する成分及び/又は化合物の一部が25℃での粘度が100000mPa・sを超えるものであってもよい。また(B)成分が2種以上の成分及び/または化合物を混合してなるものである場合、(B)成分を構成する成分及び/又は化合物の一部が25℃での粘度が100000mPa・sを超えるものであってもよい。
有機ポリイソシアネート成分(A)は有機ポリイソシアネート(a)を含む。
有機ポリイソシアネート(a)としては、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する有機ポリイソシアネート(a1)及び前記有機ポリイソシアネート(a1)とポリオールとを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a2)等が挙げられる。(A)成分は、有機ポリイソシアネート(a)を1種単独で含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。以下において、「有機ポリイソシアネート(a1)とポリオールとを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a2)」を、「末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a2)」または「ウレタンプレポリマー(a2)」と呼ぶことがある。
有機ポリイソシアネート(a1)としては、例えば炭素数4~22の鎖状脂肪族ポリイソシアネート(a11)、炭素数8~18の脂環式ポリイソシアネート(a12)、炭素数8~26の芳香族ポリイソシアネート(a13)、炭素数10~18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(a14)及びこれらのポリイソシアネートの変性物(a15)が挙げられる。
炭素数4~22の鎖状脂肪族ポリイソシアネート(a11)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略記)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート及び2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
炭素数8~18の脂環式ポリイソシアネート(a12)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、水添MDIと略記)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート及び2,5-又は2,6-ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
炭素数8~26の芳香族ポリイソシアネート(a13)としては、例えば1,3-又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート(以下、TDI略記)、粗製TDI、2,2’-、2,4’-又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記)、粗製MDI、ポリアリールポリイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート及びm-又はp-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
炭素数10~18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(a14)としては、例えばm-又はp-キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
上記(a11)~(a14)のポリイソシアネートの変性物(a15)としては、上記ポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロハネート基、ウレア基、ビウレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物等)が挙げられる。(a15)としては、具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI及びイソシアヌレート変性IPDI等のポリイソシアネートの変性物が挙げられる。
有機ポリイソシアネート(a1)を(A)成分として用いる場合、25℃で液状のもの(例えば、カルボジイミド変性MDI、4,4’-MDIと2,4‘-MDIとの混合物及びポリメリックMDI等)が好ましい。
有機ポリイソシアネート(a1)を後述のウレタンプレポリマー(a2)の材料として用いる場合、ポリオールとの反応性の観点から、好ましいのは芳香族ポリイソシアネート及びその変性体、より好ましいのは4,4’-、2,4’-又は2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれらの変性体である。
末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a2)は、上記有機ポリイソシアネート(a1)とポリオールとを反応させることにより得ることができる。(A)成分として用いうるウレタンプレポリマー(a2)は、当量比(イソシアネート基/水酸基)が1以上のものであり、前記当量比が1未満のウレタンプレポリマー(b2)(水酸基を有するウレタンプレポリマー)は(B)成分とする。
ウレタンプレポリマー(a2)を構成するポリオールとしては、ポリオール成分(B)に含まれるポリオール(b1)と同様のものを用いることができる。
ポリオール(b1)としては、数平均分子量(以下、「Mn」と記載)又は化学式量が300未満の低分子ポリオール(b11)及びMnが300以上の高分子ポリオール(b12)等が挙げられる。本明細書において、「Mn又は化学式量が300未満の低分子ポリオール(b11)」を「低分子ポリオール(b11)」と呼ぶことがあり、「Mnが300以上の高分子ポリオール(b12)」を「高分子ポリオール(b12)」と呼ぶことがある。
本発明において、ポリオールのMnは、テトラヒドロフランを溶剤として用い、ポリオキシプロピレングリコールを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定しうる。サンプル濃度は0.25重量%、カラム固定相はTSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの、カラム温度は40℃とすればよい。
低分子ポリオール(b11)としては、炭素数2~24のポリオールの1種又は2種以上の混合物を出発物質とした炭素数2~12のアルキレンオキシド(以下、AOと略記)[例えばエチレンオキシド(以下、EOと略記)、プロピレンオキシド(以下、POと略記)、ブチレンオキシド(以下、BOと略記)及びこれらの2種類以上の混合物]付加物であってMn又は化学式量が300未満のもの等が挙げられる。
炭素数2~24のポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、水添ビスフェノールA及びこれらのポリオールが挙げられる。低分子ポリオール(b11)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
低分子ポリオール(b11)としては、市販のポリオールを用いることができる。市販のポリオールとしては、例えば、三洋化成工業(株)製の「サンニックスGP-250」(Mnが250のグリセリンのプロピレンオキサイド付加物)等があげられる。
低分子ポリオール(b11)の水酸基価は、得られるポリウレタン樹脂成形物の機械特性の観点から、好ましくは380~2000mgKOH/g、更に好ましくは400~1500mgKOH/gである。本発明における水酸基価は、JIS K 1557-1に準拠して測定される。
低分子ポリオール(b11)の官能基数は、得られるポリウレタン樹脂成形物の機械特性の観点から、好ましくは2~8、更に好ましくは2~4である。
高分子ポリオール(b12)としては、Mnが300以上のポリエーテルポリオール(b121)及びMnが300以上のポリエステルポリオール(b122)等が挙げられる。高分子ポリオール(b12)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
Mnが300以上のポリエーテルポリオール(b121)としては、上述の低分子ポリオール(b11)の1種又は2種以上の混合物を出発物質としたAO付加物が挙げられ、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(以下、PPGと略記)及びポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。ポリエーテルポリオール(b121)としては、市販のポリエーテルポリオールを用いることができる。市販のポリエーテルポリオールとしては、例えば、三洋化成工業(株)製の「サンニックスPK-1000」(Mnが1000のポリプロピレングリコール)、三洋化成工業(株)製の「ニューポール80-4000」(Mnが4000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)等があげられる。
Mnが300以上のポリエステルポリオール(b122)としては、ポリ(n=2~3又はそれ以上)カルボン酸[脂肪族飽和又は不飽和ポリカルボン酸(炭素数2~40、例えばシュウ酸、アジピン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及び二量化リノール酸)、芳香環含有ポリカルボン酸(炭素数8~15、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸)及び脂環含有ポリカルボン酸(炭素数7~15、例えば1,3-ペンタンジカルボン酸及び1,4-ヘキサンジカルボン酸)等]と、ポリオール(前記Mn又は化学式量が300未満の低分子ポリオール及び/又はポリエーテルポリオール)から形成される線状又は分岐状ポリエステルポリオール;ポリラクトンポリオール[例えば前記Mn又は化学式量が300未満の低分子ポリオール(2~3価)の1種又は2種以上の混合物を開始剤としてこれに(置換)カプロラクトン(炭素数6~10、例えばε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、ε-メチル-ε-カプロラクトン)を触媒(有機金属化合物、金属キレート化合物、脂肪酸金属アシル化合物等)の存在下に付加重合させたポリオール(例えばポリカプロラクトンポリオール)];末端にカルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリエステルにAO(EO及びPO等)を付加重合させて得られるポリエーテルエステルポリオール;ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
高分子ポリオール(b12)のMnは得られるポリウレタン樹脂成形物の機械特性の観点から、好ましくは300~5,000、更に好ましくは500~3,000である。
高分子ポリオール(b12)の水酸基価は、得られるポリウレタン樹脂成形物の機械特性の観点から、好ましくは20~350mgKOH/g、更に好ましくは40~300mgKOH/gである。
高分子ポリオール(b12)の官能基数は、得られるポリウレタン樹脂成形物の機械特性の観点から、好ましくは2~8、更に好ましくは2~4である。
ウレタンプレポリマー(a2)を構成するポリオールとしては、ヒマシ油及びヒマシ油由来のポリオール(b13)を用いてもよい。ヒマシ油は、構成脂肪酸としてリシノール酸(水酸基を含む不飽和脂肪酸)を多く含むのでポリオール成分として用いうる。
ヒマシ油由来のポリオール(b13)としては、部分脱水ヒマシ油、及び、前記低分子ポリオール(b11)又は前記ポリエーテルポリオール(b121)とヒマシ油とのエステル交換反応又はヒマシ油脂肪酸とのエステル化反応により得られるヒマシ油脂肪酸エステル等が挙げられる。ヒマシ油由来のポリオール(b13)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ウレタンプレポリマー(a2)を構成するポリオールとしては、(A)成分の低粘度化の観点から、好ましくは高分子ポリオール(b12)、ヒマシ油及びヒマシ油由来のポリオール(b13)であり、より好ましくはポリエーテルポリオール(b121)及びヒマシ油である。
ウレタンプレポリマー(a2)の製造方法は、特に限定されないが、有機ポリイソシアネート(a1)とポリオール(b1)とを窒素雰囲気下で反応させる方法等が挙げられる。
ウレタンプレポリマー(a2)の製造に当たっては、有機ポリイソシアネート(a1)とポリオール(b1)とを、当量比(イソシアネート基/水酸基)が1.1/1~50/1となるように用いることが好ましい。前記当量比が大きいほど(A)成分の粘度は低くなるが、硬化時の収縮が大きくなる傾向にあることから、前記当量比は好ましくは1.5/1~30/1、更に好ましくは2/1~10/1である。前記当量比が大きい場合、有機ポリイソシアネート(a1)とイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a2)の混合物が得られる。
有機ポリイソシアネート(a1)とポリオール(b1)とを反応させる際の反応温度は、反応性の観点及び副反応防止の観点から、好ましくは30~140℃であり、より好ましくは50~120℃である。また、反応は、溶剤を用いずに行うことが好ましいが、必要によりイソシアネート基と反応性を有しない不活性な溶剤[例えば芳香族炭化水素(トルエン及びキシレン等)、ケトン(メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)及びこれら2種類以上の混合物]中で行ってもよい。前記溶剤を用いた場合、(a1)と(b1)とを反応させた後に、前記溶剤を蒸留等の方法により除去してもよい。
(A)成分としては、好ましくはウレタンプレポリマー(a2)を含むものであり、さらに好ましくは、高分子ポリオール(b13)またはヒマシ油と、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートとの反応により得られるウレタンプレポリマー及び2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物であって25℃で液状のものを混合してなるものである。
本発明におけるポリオール成分(B)は、ポリオール(b)を含む。当該ポリオール(b)としては、前記ポリオール(b1)、前記ポリオール(b1)と前記有機ポリイソシアネート(a1)とを当量比(イソシアネート基/水酸基)1未満で反応させて得られる水酸基を有するウレタンプレポリマー(b2)、アミンポリオール(b3)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
(B)成分に含まれるポリオール(b1)及び水酸基を有するウレタンプレポリマー(b2)を構成するポリオール(b1)としては、それぞれ、上述のウレタンプレポリマー(a2)を構成するポリオール(b1)として例示したものと同じものが挙げられる。
水酸基を有するウレタンプレポリマー(b2)を構成する有機ポリイソシアネート(a1)としては(A)成分に含まれる有機ポリイソシアネート(a1)として例示したものと同じものが挙げられる。
アミンポリオール(b3)としては、ポリ(n=2~6)アルキレンポリ(n=2~6)アミン(炭素数2~20)のAO付加物[炭素数10以上かつMn2,000以下、例えばN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタキス(2-ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン];N,N-ジアルキル(アルキル基は炭素数1~3)(ポリ)アルキレン(アルキレン基は炭素数2~3)ポリアミンのAO付加物(例えば、N,N-ジメチルプロピレンジアミンのPO付加物);N-アミノアルキル(炭素数2~3)イミダゾールのAO付加物(例えば特開平11-322881号公報に記載のもの);アルカノールアミン(炭素数4~12、例えばジエタノールアミン及びトリエタノールアミン);アルキレンジアミンのAO付加物(エチレンジアミンのAO付加物等)等が挙げられる。
ポリオール成分(B)としては、低粘度化の観点から、好ましくは低分子ポリオール(b11)、ヒマシ油及びアミンポリオール(b3)から選ばれるポリオールを二種以上含むものであり、より好ましくは、低分子ポリオール(b11)を二種以上含むもの、ヒマシ油及びアミンポリオール(b3)をそれぞれ含むものである。
ポリオール成分(B)の水酸基価は、得られるポリウレタン樹脂成形物の機械特性の観点から、好ましくは200~2000mgKOH/g、更に好ましくは210~1500mgKOH/gである。
ポリウレタン樹脂の構成原料は、(A)成分および(B)成分以外に、さらに無機多孔質体(D)を含んでいてもよい。本明細書において無機多孔質体(D)を(D)成分と呼ぶことがある。(D)成分としては、ポリウレタン樹脂を構成する材料に含まれる水分を吸収する機能を有するものであることが好ましい。
(D)成分としては、ゼオライト、シリカゲル及び活性炭などが挙げられる。これらのうちゼオライト及びシリカゲルが好ましく、ゼオライトがより好ましい。ポリウレタン樹脂の構成原料が(D)成分を含む場合、ポリウレタン樹脂の構成原料の総重量に基づく(D)成分の割合は、水分吸収効果の観点から好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上であり、成形体の強度の観点から、好ましくは5重量%以下、より好ましくは4重量%以下である。
ポリウレタン樹脂の構成原料は、(A)成分、(B)成分及び必要に応じ用いる(D)成分以外の他の成分(E)を含んでいてもよい。他の成分(E)としては例えば、ウレタン化触媒が挙げられる。ウレタン化触媒としては、金属触媒及びアミン触媒等が挙げられる。
金属触媒としては、錫系触媒[トリメチルチンラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド、ジメチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート及びジブチルチンマレエート等]、鉛系触媒[オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン鉛、ナフテン酸鉛及びオクテン酸鉛等]、ビスマス系触媒[ビスマスカルボキシレート、ビスマスアルコキシド及びジカルボニル基を有する化合物とビスマスとのキレート化合物等]、チタン系触媒[イソプロポキシトリN-エチルアミノエチルアミナートチタン、テトラブチルチタネート及びテトライソプロポキシビスジオクチルホスファイトチタン等]、鉄系触媒[鉄のカルボキシレート化合物(乳酸鉄、リシノール酸鉄等)、フェロセン系化合物(フェロセン、アセチルフェロセン等)及びフタロシアニン鉄等]、その他の金属触媒[ナフテン酸コバルト等のナフテン酸金属塩及びフェニル水銀プロピオン酸塩等]が挙げられる。アミン触媒としては、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアザビシクロアルケン〔1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7[DBU(サンアプロ(株)製、登録商標)]等〕、ジアルキル(炭素数1~3)アミノアルキル(炭素数2~4)アミン[ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン及びジプロピルアミノプロピルアミン等]、複素環式アミノアルキル(炭素数2~6)アミン[2-(1-アジリジニル)エチルアミン及び4-(1-ピペリジニル)-2-ヘキシルアミン等]及びN-メチル又は-エチルモルホリン等が挙げられる。触媒としては市販の触媒[例えば日東化成(株)製「ネオスタンU-600」;ビスマス系触媒]等が挙げられる
ウレタン化触媒のうち、反応性の観点から、好ましいのはジアザビシクロアルケン、ビスマス系触媒及び錫系触媒であり、更に好ましいものはビスマス系触媒である。
ウレタン化触媒を用いる場合、その使用量は、成形体の用途により適宜調整することが可能であるが、構成材料の重量に基づき1000ppm以下、より好ましくは10~100ppmである。
ウレタン化触媒を用いる場合、(A)成分及び(B)成分のいずれか一方または両方に含有させてもよいし、(A)成分と(B)成分とを混合する際にウレタン化触媒を混合してもよい。
ポリウレタン樹脂を構成する(A)成分及び(B)成分からポリウレタン樹脂を形成させる際の、イソシアネート基/水酸基の当量比は、未反応物低減の観点から、好ましくは0.5/1~2.0/1であり、より好ましくは0.7/1~1.5/1、特に好ましくは0.8/1~1.2/1である。
本発明の樹脂組成物は、ポリウレタン樹脂を構成する構成原料[(A)成分、(B)成分、必要に応じて用いる(D)成分及び(E)成分等]ならびに植物由来粉体(C)[(C)成分]をそれぞれ調製する工程(調製工程)を行った後、これらの成分を混合する工程(混合工程)を行うことより製造することができる。調製工程における各成分の調製方法には特に限定はないが、例えば、各成分を構成する化合物(または成分)を窒素気流下で、30~70℃で30分~2時間撹拌混合することにより調製することができる。
ポリウレタン樹脂の構成原料及び植物由来粉体(C)を混合する混合工程は混合装置(各種撹拌装置、ミキサー等)を用いて行いうる。混合工程においては、各成分を所定温度(例えば25~80℃)に温調してもよい。(A)成分と(B)成分との混合を開始すると、通常、混合開始とほぼ同時に両成分の(硬化)反応が開始しポリウレタン樹脂が形成される。よって、均一な樹脂組成物を得ることができるという観点から、混合工程においてはすべての成分を同時に混合することが好ましい。混合工程における混合時間は、用いる材料とその量、成形体の形状および用途等を考慮し適宜設定することができるが、例えば10秒~20分等とすることができる。
混合工程においては、(B)成分と(C)成分とをあらかじめ混合しておき、当該(B)成分および(C)成分の混合物と、(B)成分及び(C)成分以外の成分[(A)成分及び必要に応じ用いる成分]とを混合してもよい。
本発明の樹脂組成物中の各成分の含有量は以下の通りである。
樹脂組成物の重量に基づくポリウレタン樹脂の含有量は30~95重量%である。前記ポリウレタン樹脂の含有量が30~95重量%以上であることにより、環境負荷を低減しかつ、表面の凹凸発生を抑制することができる。前記ポリウレタン樹脂の含有量が30重量%未満であると、表面の凹凸発生を充分に抑制できなくなることがあり、前記ポリウレタン樹脂の含有量が95重量%超であると、環境負荷低減効果が不充分である。前記ポリウレタン樹脂の含有量は、表面の凹凸発生を抑制するという観点から、好ましくは31重量%以上、より好ましくは40重量%以上である。前記ポリウレタン樹脂の含有量は環境負荷を低減するという観点から、好ましくは70重量%以下、より好ましくは65重量%以下である。
樹脂組成物中の重量に基づく植物由来粉体(C)の含有量は5~70重量%である。前記植物由来粉体(C)の含有量が5~70重量%であることにより、環境負荷を低減し、かつ、表面の凹凸発生を抑制することができる。前記植物由来粉体(C)の含有量が5重量%未満であると、環境負荷低減効果が不充分であり、前記植物由来粉体(C)の含有量が70重量%超であると表面の凹凸発生を充分に抑制できなくなることがある。前記植物由来粉体(C)の含有量は、環境負荷低減の観点から好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上である。前記植物由来粉体(C)の含有量は表面の凹凸発生を抑制するという観点から、好ましくは65重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
[成形物及びその製造方法]
本発明の成形物は、本発明の樹脂組成物を成形してなる。
本発明の成形物の製造方法は本発明の樹脂組成物を用いる製造方法である。本発明の成形物の製造方法においては、成形体を製造する際の発泡量を低減するという観点から、植物由来粉体として、カールフィッシャー法により測定した水分含有量Wbが8000ppm以下である植物由来粉体を用いることが好ましく、前記植物由来粉体の水分含有量Wbは1000ppm以下がより好ましく、500ppm以下がより好ましい。
本発明の樹脂組成物を成形する成形工程は、混合工程を行った後、樹脂組成物が完全硬化するよりも前に開始することが好ましい。「完全硬化」とは樹脂の硬度に変化が認められなくなった時点を「完全硬化」とする。樹脂の硬度は、JIS K 7312に準じて測定できる。
本発明の成形物の製造方法は、混合工程を行った後、成形工程を行う前に、混合工程により得られた混合物を脱泡する脱泡工程を含んでいることが好ましい。脱泡工程を行うことにより発泡量をより少なくすることができ、成形体の気泡量をより低減することができる。脱泡工程は、例えば遠心分離機を用いて行うことができる。脱泡を行う時間は、好ましくは10秒~1分間である。
成形工程は、ポリウレタン樹脂の構成原料及び植物由来粉体(C)を混合する混合工程を行うことにより得られる混合物を所定形状に成形する工程である。成形工程は、成形機(プレス成型機及び成形型等)等を用いて行うことができる。
成形工程は、所定形状に成形した混合物を養生する工程を含んでいてもよい。養生工程における養生時間及び養生温度は、ポリウレタン樹脂の構成原料の種類及び量、ならびに植物由来粉体の種類及び量等を考慮して適宜設定することができる。養生工程は、養生温度および/又は養生時間が相違する2段階以上の工程を含んでいてもよい。養生工程は、例えば、室温(25℃)~50℃で30分~5時間養生させる第一養生工程と、第一養生工程後に50℃~100℃で3時間~40時間養生させる第二養生工程と、を含んでいてもよい。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において部は重量部を、%は重量%を示す。
[製造例及び比較製造例で使用した材料]
製造例及び比較製造例で使用した材料の商品名及びその組成は以下の通りである。
・「サンニックスPK-1000」:ポリプロピレングリコール[三洋化成工業(株)製、水酸基価=112mgKOH/g、Mn=1,000]
・「ニューポール80-4000」:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール[三洋化成工業(株)製、水酸基価=28mgKOH/g、Mn=4000]
・「ニューポールNP-300」:エチレンジアミンのプロピレンオキサイド付加物[三洋化成工業(株)製、水酸基価=748mgKOH/g、Mn=400]
(イソシアネート)
・「ミリオネートMT」:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート[日本ポリウレタン(株)製]
・「ルプラネートMI」:2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物[BASFイノアックポリウレタン(株)製]
・「ネオスタンU-600」:無機ビスマス[日東化成(株)製、触媒]
[イソシアネート基含有量の測定方法]
イソシアネート基含有量は、JIS K 1603-1に規定する方法に準じて測定した。
[製造例1:有機ポリイソシアネート成分(A-1)の製造]
攪拌機、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、「サンニックスPK-1000」35部、「ミリオネートMT」27部及び「ルプラネートMI」27部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら加熱して70~80℃で、4時間反応させ、有機ポリイソシアネート成分(A-1)を得た。有機ポリイソシアネート成分(A-1)のイソシアネート基含有量は16.7%、25℃における粘度は2,000mPa・s(液状)であった。成分(A-1)の製造に用いた、イソシアネートとポリオールの当量比(イソシアネート基/水酸基)は6.1であった。
[製造例2:有機ポリイソシアネート成分(A-2)の製造]
攪拌機、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、「ニューポール80-4000」26部及び「ミリオネートMT」5部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら加熱し、70~80℃で4時間反応させて末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含む反応物を得た。当該反応物に、「ルプラネートMI」19部を加え、30分間攪拌して混合し、有機ポリイソシアネート成分(A-2)を得た。有機ポリイソシアネート成分(A-2)のイソシアネート基含有量は15.2%、25℃における粘度は2,500mPa・s(液状)であった。成分(A-2)の製造に用いた、イソシアネートとポリオールの当量比(イソシアネート基/水酸基)は15.2であった。
[製造例3:有機ポリイソシアネート成分(A-3)の製造]
攪拌機、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、ヒマシ油35部及び「ミリオネートMT」49部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら加熱し70~80℃で4時間反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含む反応物を得た。得られた反応物に「ルプラネートMI」14部を加え、30分間攪拌して混合し、有機ポリイソシアネート成分(A-3)を得た。有機ポリイソシアネート成分(A-3)のイソシアネート基含有量は16.9%、25℃における粘度は3,000mPa・s(液状)であった。成分(A-3)の製造に用いた、イソシアネートとポリオールの当量比(イソシアネート基/水酸基)は4.9であった。
[製造例4:ポリオール成分(B-1)の製造]
攪拌機、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、ヒマシ油88部と「ニューポールNP-300」12部を仕込み、窒素気流下で加熱し40~50℃で1時間撹拌混合し、ポリオール(B-1)を得た。ポリオール(B-1)の水酸基価は230mgKOH/g、25℃における粘度は900mPa・s(液状)であった。
[製造例5:ポリオール成分(B-2)の製造]
攪拌機、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、1,4-ブタンジオール80部及びトリメチロールプロパン20部および「ネオスタンU-600」0.1部を仕込み、窒素気流下加熱して60~70℃で1時間攪拌混合し、ポリオール成分(B-2)を得た。(B-2)の水酸基価は1247mgKOH/g、粘度は80mPa・s/25℃(液状)であった。
[比較製造例1:有機ポリイソシアネート成分(A’-1)の製造]
攪拌機、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、「サンニックスPK-1000」35部、「ミリオネートMT」54部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら加熱して、70~80℃で4時間反応させ、有機ポリイソシアネート成分(A’-1)を得た。有機ポリイソシアネート成分(A’-1)のイソシアネート基含有量は16.9%であった。当該成分の25℃での粘度は測定できなかった。なお、当該成分を25℃の温度条件下、容器に入れて傾けたときに流動性が認められなかったので固体状と判断した。成分(A’-1)の製造に用いた、イソシアネートとポリオールの当量比(イソシアネート基/水酸基)は5.0であった。
[比較製造例2:有機ポリイソシアネート成分(A’-2)の製造]
攪拌機、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、「ニューポール80-4000」26部及び「ミリオネートMT」24部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら70~80℃に加熱し、4時間反応させて末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含む有機ポリイソシアネート成分(A’-2)を得た。有機ポリイソシアネート成分(A’-2)のイソシアネート基含有量は15.4%であった。当該成分の25℃での粘度は測定できなかった。なお当該成分を25℃の温度条件下、容器に入れて傾けたときに流動性が認められなかったので固体状と判断した。成分(A’-2)の製造に用いた、イソシアネートとポリオールの当量比(イソシアネート基/水酸基)は15.6であった。
[比較製造例3:有機ポリイソシアネート成分(A’-3)の製造]
攪拌機、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、ヒマシ油35部及び「ミリオネートMT」63部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら70~80℃に加熱し、4時間反応させて、末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含む有機ポリイソシアネート成分(A’-3)を得た。有機ポリイソシアネート成分(A’-3)のイソシアネート基含有量は17.2%であった。当該成分の25℃での粘度は測定できなかった。なお、当該成分を25℃の温度条件下、容器に入れて傾けたときに流動性が認められなかったので、固体状と判断した。成分(A’-3)の製造に用いた、イソシアネートとポリオールの当量比(イソシアネート基/水酸基)は5.0であった。
[実施例1~9及び比較例1~8]
実施例および比較例において用いた各成分は以下の通りである。
(A)成分
・ポリイソシアネート成分(A-1):製造例1で製造した有機ポリイソシアネート成分(A-1)
・ポリイソシアネート成分(A-2):製造例2で製造した有機ポリイソシアネート成分(A-2)
・ポリイソシアネート成分(A-3):製造例3で製造した有機ポリイソシアネート成分(A-3)
(比較のポリイソシアネート成分)
・ポリイソシアネート成分(A’-1):比較製造例1で製造した有機ポリイソシアネート成分(A’-1)
・ポリイソシアネート成分(A’-2):比較製造例2で製造した有機ポリイソシアネート成分(A’-2)
・ポリイソシアネート成分(A’-3):比較製造例3で製造した有機ポリイソシアネート成分(A’-3)
(B)成分
・ポリオール成分(B-1):製造例4で製造したポリオール成分(B-1)
・ポリオール成分(B-1):製造例5で製造したポリオール成分(B-2)
(C)成分
・米粉(C-1):(株)OGURA社製「小町っ子」を、135℃で1時間、減圧(-0.098~-0.1MPa)して乾燥することにより得られた米粉(体積平均粒子径は30μm、水分量Wbは400ppm)
・米粉(C-2):(株)OGURA社製「小町っ子」(体積平均粒径は30μm、水分量は、水分量Wbは15重量%)
(比較の植物由来粉体:比較の米粉)
・米粉(C’-1):精米した秋田小町をミルで粉砕し、目開き105μmの篩で分級した後、目開き20μmの篩で分級し、篩を通過したものを微粒子として取り除き、篩を通過しなかったものを採取した。篩を通過しなかったものを135℃で1時間、減圧(-0.098~-0.1MPa)して乾燥することにより体積平均粒径が130μmの米粉(C’-1)(水分量は400ppm)を得た。
(D)成分
・ゼオライト:「ゼオラムA-4」[東ソー(株)製]
[実施例1]
ポリイソシアネート成分(A-1)およびポリオール成分(B-1)をそれぞれ25℃に温調した後、(A-1)34部、(B-1)31部、および米粉(C-1)35部を、成分回転式プロペラ羽根付き撹拌機で30秒間撹拌混合した後、遠心分離機[(株)コクサン社製、H-30R]で3000rpm、30秒間脱泡して液状の混合物を得た。当該液状の混合物をプレス成形機で、圧縮成型した後、室温で3時間養生して硬化させ、更に50℃のインキュベーターで24時間追加養生して樹脂組成物の成形体(厚さ150μmのシート状成形体)を得た。得られた成形体を用いて後述の評価試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例2~6及び実施例10]
実施例1において、(A)成分の種類及び量、(B)成分の種類及び量、(C)成分の種類及び量を表1に記載の通りとしたこと以外は、同じ操作を行い、樹脂組成物の成形体を得た。得られた成形体を用いて実施例1と同じ方法により評価試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
ポリイソシアネート成分(A-1)と、(D)成分を混合したポリオール成分(B-1)をそれぞれ25℃に温調した後、(A-1)15.5部、(B-1)13.5部、および米粉(C-1)70部を、成分回転式プロペラ羽根付き撹拌機で30秒間撹拌混合した後、遠心分離機[(株)コクサン社製、H-30R]で3000rpm、30秒間脱泡して液状の混合物を得た。当該液状の混合物をプレス成形機で、圧縮成型した後、室温で3時間養生して硬化させ、更に50℃のインキュベーターで24時間追加養生して樹脂組成物の成形体を得た。得られた成形体を用いて評価試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例8~9]
実施例7において、(A)成分の種類及び量、(B)成分の種類及び量を表1に記載の通りとしたこと以外は、同じ操作を行い、樹脂組成物の成形体を得た。得られた成形体を用いて実施例1と同じ方法により評価試験を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
ポリイソシアネート成分(A’-1)およびポリオール成分(B-1)をそれぞれ70℃に温調した後、(A’-1)52部および(B-1)48部を、回転式プロペラ羽根付き撹拌機で30秒間撹拌混合した後、遠心分離機[(株)コクサン社製、H-30R]で3000rpm、30秒間脱泡して混合物を得た。当該混合物をプレス成形機で、圧縮成型した後、130℃の循風乾燥機で30分間硬化させた後、更に120℃の循風乾燥機で3時間追加養生して成形体を得た。得られた成形体を用いて実施例と同様に評価試験を行った。結果を表2に示す。
[比較例2~9]
表2に記載の成分を表2に記載の量で用いたこと以外は、比較例1と同じ操作を行い、樹脂組成物の成形体を得た。得られた成形体を用いて実施例1と同じ方法により評価試験を行った。結果を表2に示す。
[評価試験]
実施例および比較例で得られた厚さ150μmのシート状成形体を用いて以下の評価試験を行った。
(1)臭気試験
各例のシート状成形体を1cm×1cmの正方形状に切りだした試料を10g分用意した。当該試料10gを蓋付きのガラス瓶(70ml)中に密閉し、60℃で1時間温調した後、モニター10人に臭気を嗅いでもらい、特異な臭気がしたと判断した人の数を計数した。特異な臭気がしたと判断した人の数が少ないほうが臭気の発生抑制効果が高い。臭気がしたと判断した人の数は2人以下が好ましい。
(2)発泡試験
各例のシート状成形体を1cm×1cmの正方形状に切り出した試料を1枚用意した。当該試料をマイクロスコープ[倍率40倍、オリンパス(株)製、DSX500]を使って発泡状態を観察し、観察面の面積の50%超に発泡が見られるものを×、観察面の面積の20%超50%以下に発泡がみられるものを△、観察面の面積の0%超20%以下に発泡が見られるものを○、発泡が認められないものを◎として評価した。発泡状態が認められる面積割合は小さいほうが好ましく、発泡状態が認められないことがより好ましい。
(3)表面状態の観察
各例のシート状成形体の表面状態を目視で観察し、凹凸が表面積の50%以上で認められたものを×、凹凸が表面積の50%未満で認められたものを△、凹凸が認められなかったものを○として評価した。凹凸は表面積の50%未満であることが好ましく、凹凸が認められないものが特に好ましい。
(4)引張強さおよび破断伸び
各例のシート状成形体の引張強さおよび破断伸びを、JIS―K-7161に規定する方法において、速度条件を100mm/分として測定した。引張強さは17MPa以上であることが好ましく、破断伸びは60%以上であることが好ましい。
Figure 2023110181000001
Figure 2023110181000002
上記結果から、本発明の樹脂組成物を用いた実施例の成形品においては、臭気及び気泡量を低減し、かつ、表面の凹凸発生を抑制することができるということがわかった。また、実施例の成形品を製造するための樹脂組成物には植物由来粉体が含まれているので、上記の効果に加えて環境負荷を低減することもできる。

Claims (4)

  1. デンプンを含む植物由来粉体及びポリウレタン樹脂を含む樹脂組成物であって、
    樹脂組成物の重量に基づく、植物由来粉体の含有量が5~70重量%、ポリウレタン樹脂の含有量が30~95重量%であり、
    ポリウレタン樹脂が有機ポリイソシアネート成分(A)及びポリオール成分(B)を構成原料として含む樹脂であり、有機ポリイソシアネート成分(A)及びポリオール成分(B)はそれぞれ25℃で液状であり、
    植物由来粉体の体積平均粒子径が5~100μmである樹脂組成物。
  2. ポリウレタン樹脂が、構成原料として、さらに無機多孔質体を含む請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂組成物を成形してなる成形物。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いる成形物の製造方法であって、
    植物由来粉体として、カールフィッシャー法により測定した水分含有量Wbが8000ppm以下である植物由来粉体を用いる成形物の製造方法。
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