JP2023110012A - ビナフタレン骨格を有する化合物およびその結晶多形体、ならびにその製造方法 - Google Patents

ビナフタレン骨格を有する化合物およびその結晶多形体、ならびにその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高純度のビナフタレン化合物の製造方法、ならびにその製造方法によって得られる加工性、生産性に優れる高純度のビナフタレン化合物およびその結晶多形体を提供する。【解決手段】高速液体クロマトグラフ分析による純度が93%以上である下記式(2)で表される化合物。JPEG2023110012000014.jpg4179(式(2)中、X1~X4はハロゲン原子であり、n1~n2は1~4の整数であり、n3~n4は0~2の整数である。)【選択図】なし

Description

本発明は、ビナフタレン骨格を有する化合物およびその結晶多形体、ならびにその製造方法に関する。
2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-1,1’-ビナフタレンなどのビナフタレン類を原料モノマーとするポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリウレタン、エポキシなどの樹脂材料は、光学特性、耐熱性等に優れることから、近年、光学レンズや光学シートなどの新たな光学材料として注目されている。また、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-1,1’-ビナフタレンの6,6’位を置換した化合物は光学特性がさらに優れることが記載されている(特許文献1)。特許文献1には2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-6,6’-ジブロモ-1,1’-ビナフタレンの合成方法が開示されている。しかしながら、該文献に記載の合成方法では純度が低いこと、収率が低いことに課題があった。また、エバポレーターで濃縮して得た固体であるため加工性が悪いことも課題であった。
国際公開第2019/043060号公報
本発明は、高純度のビナフタレン化合物の製造方法、ならびに加工性、生産性に優れる高純度のビナフタレン化合物およびその結晶多形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、以下の態様を有する本発明により、上記課題を解決できることを見出した。
《態様1》
下記式(1)で表される化合物とエチレンカーボネートとを反応させて、下記式(2)で表される化合物を製造する方法において、下記工程1および下記工程2を含む式(2)で表される化合物の製造方法。
工程1:式(1)で表される化合物とエチレンカーボネートとを、1:1.9~1:2.9の使用量(モル比)で反応させる工程
工程2:上記工程1の反応終了後、得られた反応混合物溶液に3重量%以上のアルカリ水溶液を添加し、50℃以上の温度で加熱攪拌する工程
(式(1)および式(2)中、X~Xはハロゲン原子であり、n1~n2は1~4の整数であり、n3~n4は0~2の整数である。)
《態様2》
式(1)および式(2)中のX~Xが臭素原子である態様1に記載の化合物の製造方法。
《態様3》
式(1)および式(2)中のn1およびn2が1であり、n3およびn4が0である態様1または態様2に記載の化合物の製造方法。
《態様4》
式(2)が下記式(2-A)である態様1~3のいずれかに記載の化合物の製造方法。
《態様5》
高速液体クロマトグラフ分析による純度が93%以上である下記式(2)で表される化合物。
(式(2)中、X~Xはハロゲン原子であり、n1~n2は1~4の整数であり、n3~n4は0~2の整数である。)
《態様6》
式(2)中のX~Xが臭素原子である態様5に記載の化合物。
《態様7》
式(2)中のn1およびn2が1であり、n3およびn4が0である態様5または態様6に記載の化合物。
《態様8》
式(2)が式(2-A)である態様5~7のいずれかに記載の化合物。
《態様9》
175~180℃の範囲に示差走査熱量分析による吸熱ピークを有する態様8に記載の化合物の結晶多形体。
《態様10》
Cu-Kα線による粉末X線回折パターンにおける回折角2θが16.8±0.2°、22.6±0.2°および25.0±0.2°にピークを有する態様8に記載の化合物の結晶多形体。
《態様11》
181~190℃の範囲に示差走査熱量分析による吸熱ピークを有する態様8に記載の化合物の結晶多形体。
《態様12》
Cu-Kα線による粉末X線回折パターンにおける回折角2θが16.1±0.2°、18.0±0.2°、24.4±0.2°、25.0±0.2°および25.3±0.2°にピークを有する態様8に記載の化合物の結晶多形体。
本発明によれば、高純度のビナフタレン化合物を収率良く得ることができる。また、加工性、生産性に優れるビナフタレン化合物の結晶を得ることができる。
実施例1で得られた結晶多形体Aの示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す図である。 実施例1で得られた結晶多形体Aの粉末X線回折パターンを示す図である。 実施例2で得られた結晶多形体Bの示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す図である。 実施例2で得られた結晶多形体Bの粉末X線回折パターンを示す図である。
《ビナフタレン化合物の製造方法》
(工程1)
本発明では、下記式(1)で表される化合物と所定量のエチレンカーボネートとを反応させ、下記式(2)で表される化合物を得る。
(式(1)および式(2)中、X~Xはハロゲン原子であり、n1~n2は1~4の整数であり、n3~n4は0~2の整数である。)
式(1)および式(2)中のX~Xはハロゲン原子であり、特に好ましくは臭素原子である。また、式(1)および式(2)中のn1~n2は1~4の整数であり、好ましくは1~2の整数であり、特に好ましくは1である。また、式(1)および式(2)中のn3~n4は0~2の整数であり、好ましくは0~1の整数であり、特に好ましくは0である。すなわち、式(2)で表される化合物は下記式(2-A)で表される化合物であると特に好ましい。
本発明において、式(1)で表される化合物とエチレンカーボネートの使用量(モル比)は、1:1.9~1:2.9であり、好ましくは1:2~1:2.7であり、より好ましくは1:2.1~1:2.5である。エチレンカーボネートの使用量が1:1.9より少ないと、反応時間が長くなることがある。また、式(1)で表される化合物が未反応のまま残ることや、式(1)で表される化合物1モルとエチレンカーボネート1モルが反応した副生物が多くなることにより、収率や純度が低下するので好ましくない。エチレンカーボネートの使用量が1:2.9より多いと、式(1)で表される化合物1モルとエチレンカーボネート3モル以上が反応した副生物が多くなることにより、収率や純度が低下し好ましくない。
本発明において、反応時に所定量の非反応性溶媒を共存させることが好ましい。非反応性溶媒とは反応を阻害しないものであれば特に限定されるものではなく、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。好ましくはトルエン、ジメチルホルムアミドであり、より好ましくはジメチルホルムアミドである。所定量の非反応性溶媒が共存しない場合、攪拌困難となり反応が進行しないか、反応が著しく遅延する場合がある。この場合、反応を進行させるには温度を高くするか、所定量以上の多量の溶媒で希釈し、反応系内を溶解または攪拌可能なスラリー状態とする必要がある。しかしながら反応温度が高いと多量体などの副生物の増加により、収率や純度が低下することや着色により色相が悪化することがある。
本発明において、反応時に共存させる非反応性有機溶媒の使用量は式(1)で表される化合物に対して好ましくは0.1~4重量倍、より好ましくは0.5~2重量倍である。溶媒の使用量が0.1重量倍より少ないと式(1)で表される化合物や生成した式(2)で表される化合物が攪拌困難となることがある。溶媒の使用量が4重量倍より多いと反応時間の遅延や容積効率が低下するなど、生産効率が悪化し経済的に不利である。また、長期の加熱操作は副反応物の増加や着色原因となることがある。本発明においては、好適には前記所定量のエチレンカーボネートと所定量の非反応性有機溶媒を用いて反応を行うことにより融点が高く、エチレンカーボネートや有機溶媒への溶解度が低い式(1)で表される化合物を溶液または攪拌可能なスラリー状態で最も効率よく反応を行うことができ、高収率でかつ高純度な式(2)で表される化合物を得ることができる。
本発明において、式(1)で表される化合物と所定量のエチレンカーボネートとを反応させる方法は、特に限定されるものではないが、通常、式(1)で表される化合物、エチレンカーボネート、溶媒および触媒を反応容器に仕込み、空気中又は窒素、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下、加熱攪拌することにより行うことができる。反応は液体クロマトグラフィーなどの分析手段で追跡することができる。
本発明において、反応温度は特に限定されるものではないが、通常、150℃以下、好ましくは140~40℃、より好ましくは130~70℃である。反応温度が高すぎると副反応物の増加による収率低下や色相悪化の原因となる場合がある。反応温度が低すぎると反応が速やかに進行しない場合がある。
本発明に用いられる触媒は、アルカリ触媒、酸触媒のいずれであってもよいが、反応の進行が速く、不純物が少なくなる点からアルカリ触媒が好ましい。アルカリ触媒としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。中でも水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。酸触媒を使用する場合も特に限定されるものではなく、硫酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などが挙げられる。触媒の使用量は特に限定されるものではないが、通常、式(1)で表される化合物1モルに対して好ましくは0.01~0.5モル、より好ましくは0.05~0.2モルである。触媒量が少ないと反応が進行しないか、反応が遅延することがある。触媒量が多いと副生物の増加による収率や純度の低下、着色原因となることがある。
(工程2)
本発明において、式(1)で表される化合物と所定量のエチレンカーボネートとを反応させ得られた、式(2)で表される化合物を含む反応混合物溶液に、濃度3重量%以上のアルカリ水溶液を添加し、50℃以上の温度で加熱攪拌する工程(以下、アルカリ精製工程と称する)を行う。
本発明において、式(2)で表される化合物を含む反応混合物溶液に添加するアルカリ水溶液の濃度は3重量%以上であり、6重量%が好ましく、8重量%以上がさらに好ましい。3重量%以上の濃度のアルカリ水溶液を添加し50℃以上の温度で加熱攪拌することにより、式(1)で表される化合物1モルとエチレンカーボネート3モル以上が反応した副生物を除去することができる。また、着色成分をアルカリ水溶液中に除去することができることから高純度で着色の少ない式(2)で表される化合物を得ることができる。アルカリ水溶液の濃度が3重量%より低いと副生物や着色成分を効率よく除去することできなくなり好ましくない。アルカリ濃度は3重量%以上であれば特に限定されるものではないが、アルカリの溶解度や取り扱い易さから、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下の濃度が好ましい。
アルカリ水溶液を加熱攪拌する温度は、50℃以上であり、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上であり、好ましくは使用する溶媒の沸点以下の温度、より好ましくは130℃以下で行われる。温度が50℃より低いと副生物が除去できないか、効率よく除去することができないため好ましくない。また、温度が130℃より高いと、不純物が増え純度が低下することや色相が悪化するため好ましくない。また、攪拌時間は特に限定されないが、好ましくは0.5~10時間であり、より好ましくは1~9時間であり、さらに好ましくは2~8時間である。
本発明のアルカリ水溶液に用いられるアルカリは、特に限定されるものではないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。アルカリの使用量は、特に制限されるものではないが、副生物の除去や着色成分の除去を効率よく行うためには、通常、式(1)で表される化合物1モルに対して0.1~20モルであると好ましく、0.2~10モルであるとより好ましく、0.3~5モルであるとよりいっそう好ましい。アルカリ量が0.1モルより少ないと副生物を効率よく除去できない場合がある。また着色成分を効率よく除去することできない場合が有り好ましくない。アルカリ量が20モルより多いと純度が低下することや色相が悪化することがあり好ましくない。
本発明において、アルカリ精製工程は式(2)で表される化合物を含む反応混合物溶液にアルカリ水溶液を添加し加熱攪拌してもよいし、反応混合物溶液を有機溶媒で希釈した後にアルカリ水溶液を添加し加熱攪拌してもよい。通常、有機溶媒希釈後に実施される。希釈する有機溶媒は、特に限定されるものではないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどなどが挙げられる。好ましくはトルエン、ジメチルホルムアミドであり、より好ましくはジメチルホルムアミドである。アルカリ精製操作後は、アルカリ水溶液を分液除去することができる。また、アルカリ精製操作後に水洗、吸着処理、濾過などの他の精製操作を付加してもよい。
一般的に、式(2)で表される化合物は、エチレンカーボネートが3モル以上付加した副生物が多いほど結晶化し難いが、本発明においてはこれらの副生物が少ないため容易に結晶化ができ、従来公知の溶媒を留去し濃縮乾固することにより得られた固体と比べ、取扱性に優れ、かつ、結晶を容易に取り出すことが可能となる。また、色相、純度とも良好な式(2)で表される化合物の結晶を得ることができる。
本発明において、式(2)で表される化合物を晶析精製するなどしてさらに純度を高くしても良い。晶析精製に用いられる有機溶媒は、特に限定されるものではないが、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これら有機溶媒は単独または二種類以上の組み合わせで使用できる。これらの溶媒は新たに添加することも可能であるし、あるいは新たに添加することなく、前記アルカリ精製工程で用いた溶媒をそのまま用いても良い。有機溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、経済性の点から、通常、式(2)で表される化合物に対して、1重量倍以上、好ましくは1~50重量倍、更に好ましくは3~20重量倍程度である。
晶析精製は一般的な方法で実施可能であり特に限定されないが、通常、晶析を行う混合物中の結晶が溶解する温度、例えば60℃以上、好ましくは80℃以上に加熱した後、この溶液を適当な温度、例えば-10~30℃に冷却することにより目的物の結晶を得ることができる。析出した結晶は濾過などにより回収され、必要により洗浄し、乾燥することにより単離できる。また必要に応じて、単離された結晶を精製してもよい。精製方法としては、再晶析(再結晶)や活性炭等の吸着剤を用いた不純物除去処理を挙げることができる。
《ビナフタレン化合物》
本発明において、式(2)で表される化合物の純度は、93%以上であり、95%以上が好ましく、97%以上がより好ましい。本発明の純度について、%は高速液体クロマトグラフ(HPLC)測定における溶媒を除いた面積百分率値である。
本発明において、式(2)中のX~Xはハロゲン原子であり、特に好ましくは臭素原子である。また、式(2)中のn1~n2は1~4の整数であり、好ましくは1~2の整数であり、特に好ましくは1である。また式(2)中のn3~n4は0~2の整数であり、好ましくは0~1の整数であり、特に好ましくは0である。すなわち、式(2)で表される化合物は上記式(2-A)で表される化合物であると特に好ましい。
《ビナフタレン化合物の結晶多形体》
本発明で得られた式(2-A)で表される化合物の結晶は、示差走査熱量分析による吸熱ピークを175~180℃の範囲に有することが好ましい。これを本願において結晶多形体Aと称する。結晶多形体Aは、Cu-Kα線による粉末X線回折パターンにおける回折角2θが16.8±0.2°、22.6±0.2°および25.0±0.2°に特徴的なピークを有することが好ましい。また、回折角2θが22.6±0.2°に最大ピークを有することが好ましい。また、それぞれの回折角2θにおいて±0.2°の範囲としているが、より好ましくは±0.1°の範囲である。本発明の結晶多形体Aは、従来公知の溶媒を留去し濃縮乾固することにより得られた固体と比べ、取扱性に優れ、かつ、色相、純度とも良好な結晶である。
本発明で得られた式(2-A)で表される化合物の結晶は、示差走査熱量分析による吸熱ピークを181~190℃の範囲に有することが好ましい。これを本願において結晶多形体Bと称する。結晶多形体Bは、Cu-Kα線による粉末X線回折パターンにおける回折角2θが16.1±0.2°、18.0±0.2°、24.4±0.2°、25.0±0.2°および25.3±0.2°に特徴的なピークを有することが好ましい。また、回折角2θが24.4±0.2°に最大ピークを有することが好ましい。また、それぞれの回折角2θにおいて±0.2°の範囲としているが、より好ましくは±0.1°の範囲である。本発明の結晶多形体Bは、従来公知の溶媒を留去し濃縮乾固することにより得られた固体と比べ、取扱性に優れ、かつ、色相、純度とも良好な結晶である。
上述した結晶多形体Aと結晶多形体Bは、結晶化時に使用する溶媒の違いで、それぞれ製造することができる。すなわち、結晶多形体Aは式(2-A)で表される化合物をジメチルホルムミドに溶解させた後、結晶化させることにより製造することができ、結晶多形体Bは式(2-A)で表される化合物を酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンなどに溶解させた後、結晶化させることにより製造することができる。また、結晶多形体Aを60~170℃で加熱し、結晶転移させることで結晶多形体Bを製造することもできる。
また、本発明の式(2-A)で表される化合物の結晶はラセミ体であるが、上述した本願の効果が発現する範囲でいずれかの光学活性体が多く含まれていても良い。R体とS体の比率はR体/S体=45/55~55/45であることが好ましい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において、各種測定は以下のように行った。
(1)高速液体クロマトグラフ(HPLC)測定
日立製高速液体クロマトグラフL-2350を用い、表1の測定条件で測定した。実施例中、特に断らない限り%はHPLCにおける溶媒を除いて補正した面積百分率値である。
(2)示差走査熱量測定(DSC)
TA Instruments製Discovery DSC25を用い、窒素フロー下、昇温速度:20℃/minで測定した。
(3)粉末X線回折測定
RIGAKU RINT TTR IIIを用い、下記測定条件で測定した。
X線源:Cu-Kα、出力:50kV-300mA(15kW)
DS:1/2°、HS:10mm、SS:1/2°、RS:0.15°、Step:0.01°、スキャン速度:1.0°/min
[実施例1]
撹拌機、冷却器、温度計を備え付けたフラスコに6,6’-ジブロモ-1,1’-ビ-2-ナフトール(以下、BN-6Brと略記することがある)200g(0.450モル)、エチレンカーボネート91.21g(1.036モル)、炭酸カリウム6.47g、ジメチルホルムアミド200mlを仕込み、120℃で7時間反応した。HPLCで測定した結果、BN-6Brは0.1%、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-6,6’-ジブロモ-1,1’-ビナフタレン(以下、BN2EO-6Brと略記することがある)は95.7%だった。得られた反応混合物溶液にジメチルホルムアミド280mlを加え希釈した後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液50mlを加え110℃で4時間撹拌後、反応液を2Lの蒸留水中に撹拌しながら滴下し、BN2EO-6Brを結晶化させた。この結晶を回収し、2Lの蒸留水でスラリー洗浄を3回行った。回収した結晶を90℃で7時間真空乾燥し、BN2EO-6Brの結晶を228g得た(収率:95%、純度:98.0%、DSCによる吸熱ピーク:177℃)。また、DSCチャートを図1に、粉末X線測定チャートを図2に、粉末X線測定の主なピークを表2に示す。
[実施例2]
撹拌機、冷却器、温度計を備え付けたフラスコにBN-6Br80g(0.180モル)、エチレンカーボネート41.24g(0.468モル)、炭酸カリウム1.69g、トルエン185mlを仕込み、110℃で18時間反応した。HPLCで測定した結果、BN-6Brは0.1%、BN2EO-6Brは85.4%だった。得られた反応混合物溶液にトルエン185mlを加え希釈した後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液200mlを加え85℃で5時間撹拌した。攪拌終了後、反応液を濃縮し酢酸エチル150ml加え、500mlの蒸留水で3回洗浄した。その後、BN2EO-6Brの酢酸エチル溶液にヘキサン150mlを加え、BN2EO-6Brを結晶化させた。回収した結晶を90℃で7時間真空乾燥し、BN2EO-6Brの結晶を60g得た。(収率:62%、純度:97.9%、DSCによる吸熱ピーク:185℃)。また、DSCチャートを図3に、粉末X線測定チャートを図4に、粉末X線測定の主なピークを表3に示す。
[比較例1]
特許文献1の実施例2.1に記載の方法(式(1)で表される化合物とエチレンカーボネートとを1:3の使用量(モル比)で反応させる条件であり、さらに、3重量%以上のアルカリ水溶液を添加し、50℃以上の温度で加熱攪拌する工程を実施していないため、本発明の請求項1を満足しない)で、BN2EO-6Brの固体を得た(収率:20%、純度:92.2%)。
[比較例2]
特許文献1の実施例3.2に記載の方法(エチレンカーボネートを使用しないため、本発明の請求項1を満足しない)で、BN2EO-6Brの固体を得た(収率:84%、純度:90.0%)。
[比較例3]
特許文献1の比較例3.4に記載の方法(エチレンカーボネートを使用しないため、本発明の請求項1を満足しない)で、BN2EO-6Brの固体を得た(収率:90%、純度:91.3%)。
本発明のビナフタレン化合物は高純度で、結晶物であることから加工性、生産性に優れ、かかるビナフタレン化合物の誘導体を原料とする樹脂は、高い屈折率、耐熱性、低い複屈折などの優れた特性を有することから、樹脂の原料として好適に使用される。

Claims (8)

  1. 高速液体クロマトグラフ分析による純度が93%以上である下記式(2)で表される化合物。
    (式(2)中、X~Xはハロゲン原子であり、n1~n2は1~4の整数であり、n3~n4は0~2の整数である。)
  2. 式(2)中のX~Xが臭素原子である請求項1に記載の化合物。
  3. 式(2)中のn1およびn2が1であり、n3およびn4が0である請求項1または請求項2に記載の化合物。
  4. 式(2)が式(2-A)である請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
  5. 175~180℃の範囲に示差走査熱量分析による吸熱ピークを有する請求項4に記載の化合物の結晶多形体。
  6. Cu-Kα線による粉末X線回折パターンにおける回折角2θが16.8±0.2°、22.6±0.2°および25.0±0.2°にピークを有する請求項4に記載の化合物の結晶多形体。
  7. 181~190℃の範囲に示差走査熱量分析による吸熱ピークを有する請求項4に記載の化合物の結晶多形体。
  8. Cu-Kα線による粉末X線回折パターンにおける回折角2θが16.1±0.2°、18.0±0.2°、24.4±0.2°、25.0±0.2°および25.3±0.2°にピークを有する請求項4に記載の化合物の結晶多形体。
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