JP2023109924A - ジヒドロイミダゾピラジノン化合物、該化合物を含む組成物およびその使用 - Google Patents

ジヒドロイミダゾピラジノン化合物、該化合物を含む組成物およびその使用 Download PDF

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Abstract

【課題】RAS/RAF/MEK/ERKキナーゼによって調節される増殖性疾患を治療するための化合物を提供する。【解決手段】式(I)の化合物であり、具体的には、例えば化合物I-1が示される。TIFF2023109924000043.tif4390TIFF2023109924000044.tif3067【選択図】なし

Description

本発明は、医薬技術分野に属し、特に、ジヒドロイミダゾピラジノン化合物、該化合物を含む組成物およびそれらの使用に関する。具体的に、本発明は、一部の重水素化(R)-7-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オンに関し、これらの重水素化化合物およびそれらの組成物は、RAS/RAF/MEK/ERKキナーゼによって調節される増殖性疾患を治療することができ、且つこれらの重水素化化合物は、より優れた薬物動態学的特性を有する。
プロテインキナーゼは、細胞生物学のほぼすべての面で調節作用を果たしている。哺乳類のMAPキナーゼは、原形質膜から細胞核への細胞シグナル伝達に関与する細胞質タンパク質セリン/スレオニンキナーゼからなる。それぞれがMAP3K、MAP2K、MAPKの3つの成分からなるMAPKシグナル伝達カスケードは複数存在する。活性化されたMAPキナーゼは、他のプロテインキナーゼ、プロテインホスファターゼ、転写因子、および他の機能性タンパク質を含む多数の基質をリン酸化する。RAS-RAF-MEK-ERKシグナル伝達カスケードは、細胞周期、細胞増殖、生存、代謝および転写の調節に関与している。
ERK1およびERK2は、RAS-RAF-MEK-ERKシグナル伝達カスケードに関与する遍在的に発現するMAPKキナーゼであり、追加の機能的特異性を提供するキナーゼドメインにおける31アミノ酸残基の挿入に加えて、シグナル伝達特異性を提供する独特のN末端およびC末端の伸長部を含む。さまざまな種類の細胞において、ERK1およびERK2は、マイトジェンおよびその他の刺激によって活性化され、その結果、RASの複数のアイソフォーム(HRAS、NRASおよびKRAS)が活性化される。RASの活性化は、RAFのアイソフォーム(ARAF、BRAFおよびCRAF)の動員と活性化を引き起こし、それに続く、ERK1とERK2のチロシンとスレオニンのリン酸化を媒介する二重特異性プロテインキナーゼであるMEK1とMEK2の活性化につながる。ERK1およびERK2には、多数の同定された細胞質および細胞核の基質がある(Yoon S,Seger R.The extracellular signal-regulated kinase:multiple substrates regulate diverse cellular functions;Growth Factors 2006,24,21-44)。
RAS-RAF-MEK-ERKシグナル伝達カスケードは、脳損傷、癌、心肥大、糖尿病および炎症を含むさまざまな疾患で脱調節(deregulate)されている。例えば、膵臓癌の約58%、結腸直腸癌の33%、胆道癌の31%にKRASの変異が認められ、黒色腫の18%にNRAS変異が認められる。RASの発癌性変異は、複数の腫瘍においてERK活性の上昇をもたらす。また、黒色腫の約40~60%、甲状腺癌の40%、結腸直腸癌の20%にBRAF変異が認められる。これらの観察結果は、広範囲のヒト腫瘍に対する抗癌療法について、RAS-RAF-MEK-ERKシグナル伝達カスケードが期待されている方法であることを示している。
国際特許公開第WO2017/080979号に開示されているAZD0364(化学名が(R)-7-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オンであり、以下の構造式で表われる)は、アストラゼネカ社が開発したERK1/2阻害剤であり、RAS-RAF-MEK-ERKシグナル伝達カスケードにおいて、他のキナーゼに比べて、ERKに対するより高い阻害選択性を有する。
Figure 2023109924000001
多くの薬剤候補について、それらの吸収、分布、代謝および/または排泄(ADME)特性が乏しいことが、臨床試験の失敗の主な原因であることは知られている。現在、多くの市販薬は、乏しいADME特性によって適用範囲が限られている。薬物の急速な代謝は、そもそも効率的に疾患を治療できる多くの薬物が体内からあまりにも早く代謝、除去されるため、薬物として使用できないことにつながる。また、頻繁または高用量の投与により、急速な薬物クリアランスの問題を解決できる可能性があるが、この方法は、患者のコンプライアンスの低下、高用量投与による副作用、および治療コストの増加などの問題につながる可能性がある。さらに、急速に代謝される薬物は、患者を有害な毒性または反応性代謝物にさらす可能性もある。
したがって、当技術分野では、ERK媒介疾患の治療に使用するための、選択的阻害活性またはより優れた薬力学/薬物動態の特性を有する化合物を開発する必要が依然としてある。本発明は、AZD0364を親化合物として重水素化修飾を行った新規のERK阻害剤を提供し、重水素化により、望ましくない代謝物を低減または排除し;親化合物の半減期を延長し;所望の効果を得るために必要な投与回数を減らし;望ましい効果を達成するために必要な投与回数を減らし;活性代謝物(生成する場合)の生成を増加させ;特定の組織における有害な代謝物の生成を減少させ;多剤投与(多剤投与が意図的であるかどうかにかかわらず)に対してより効果的および/またはより安全な薬剤を提供する。
上記の技術的問題を考慮して、本発明は、より高いERKキナーゼ(特にERK2キナーゼ)に対する阻害活性および選択性、またより少ない副作用、より良好な薬物動態特性を有し、RAS/RAF/MEK/ERKキナーゼによって調節される増殖性疾患の治療および/または予防に用いられる新規の重水素化ジヒドロイミダゾピラジノン化合物、該化合物を含む組成物およびその使用を提供する。
本発明において、「本発明の化合物」という用語は、式(I)~(IV)で表われる化合物(各式のサブセットを含む)を指す。また、この用語は、式(I)~(IV)で表われる化合物の互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物を含む。
これに対して、本発明は、以下の技術的解決策を採用する。
本発明の第1の態様では、式(I)で表れる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物を提供する。
Figure 2023109924000002
ただし、
、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択され;
、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
、XおよびXは、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1つの重水素原子を含むことである。
別の態様において、本発明は、本発明化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。特定的な実施形態において、本発明の化合物は、有効量で上記の医薬組成物に提供される。特定的な実施形態において、本発明の化合物は、治療有効量で提供される。特定的な実施形態において、本発明の化合物は、予防有効量で提供される。特定的な実施形態において、前記の医薬組成物は、MEK阻害剤から選択される他の治療剤をさらに含む。
別の態様において、本発明は、薬学的に許容される賦形剤と本発明の化合物とを混合して医薬組成物を形成する工程を含む、上記の医薬組成物の調製方法を提供する。
別の態様において、本発明は、増殖性疾患の治療および/または予防のための医薬品の調製における本発明の化合物または前記の組成物の使用を提供する。特定的な実施形態において、前記の増殖性疾患は、RAS/RAF/MEK/ERKキナーゼ調節を特徴とする疾患である。特定的な実施形態において、前記の増殖性疾患は、ERKキナーゼによって媒介されることを特徴とする疾患である。特定的な実施形態において、前記の増殖性疾患は、ERK2キナーゼによって媒介されることを特徴とする疾患である。特定的な実施形態において、前記の増殖性疾患は、KRASキナーゼによって媒介されることを特徴とする疾患である。特定的な実施形態において、前記の増殖性疾患は、BRAF変異型キナーゼによって媒介されることを特徴とする疾患である。特定的な実施形態において、前記の増殖性疾患は、BRAF V600E変異型キナーゼによって媒介されることを特徴とする疾患である。特定的な実施形態において、前記の化合物は、経口、皮下、静脈内または筋肉内で投与される。特定的な実施形態において、前記の化合物は長期投与される。
本発明の他の目的および利点は、後記の特定的な実施形態、実施例、および特許請求の範囲から当業者には明らかであろう。
定義
本明細書において、特に明記しない限り、「重水素化」とは、化合物または基における1つまたは複数の水素が重水素で置換されていることを意味する。「重水素化」は、重水素によって一置換、二置換、多置換、または完全に置換されていてもよい。「1つ以上の重水素で置換された」および「重水素で1回以上置換された」という用語は互換的に使用できる。
本明細書において、特に明記しない限り、「非重水素化化合物」とは、重水素原子の含有割合が天然重水素同位体含有量(0.015%)を超えない化合物である。
本明細書において、用語「薬学的に許容される塩」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、およびアレルギー応答などなしで、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するために適切であり、そして合理的な利益/危険比に釣り合う、塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該分野において周知である。例えば、Bergeらは、薬学的に許容される塩を、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19において詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、適切な無機酸や有機酸と塩基に由来するものが含まれる。
本発明の化合物は、アモルファスまたは結晶形態であってもよい。また、本発明の化合物は、1種または複数の結晶形で存在し得る。従って、本発明は、本発明の化合物の全てのアモルファス又は結晶形態をその範囲内に含む。「結晶形」という用語は、薬物分子の異なる配置を指し、一般に、薬物原料が固体状態で存在する形態として現される。1つの薬物は、複数の結晶形で存在し得る。同じ薬物の異なる結晶形は、体内での溶解や吸収が異なり、製剤の溶解および放出に影響を与える可能性がある。
「結晶形」という用語は、化学薬物分子の異なる配置を指し、一般に、薬物原料が固体状態で存在する形態として現される。薬物は、複数の結晶形で存在する可能性があり、同一薬物の異なる結晶形は、体内での溶解や吸収が異なり、それによって製剤の溶解および放出に影響を与える可能性がある。
本明細書において、「被験者」という用語とは、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男性または女性、例えば、小児被験者(例えば、乳児、小児、青年)または成人被験者(例えば、若年成人、中年成人または高齢成人))および/または非ヒト動物、例えば、哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ネコおよび/またはイヌ)が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、被験者は、ヒトである。一部の実施形態において、被験者は、非ヒト動物である。
「疾患」、「障害」および「病状」は、本明細書中で交換可能に使用される。
他に特定されない限り、本明細書中で使用される用語「治療」は、被験者が特定の疾患、障害または病状を罹患している間に行われ、その疾患、障害または病状の重篤度を低下させるか、あるいは疾患、障害または病状の進行を遅延させるかまたは遅くする行為(「治療性治療」)を想定し、そしてまた、被験者が特定の疾患、障害または病状を罹患し始める前に行われる行為(「予防性治療」)を想定する。
一般に、化合物の「有効量」とは、所望の生物学的応答を惹起するために充分な量を指す。当業者によって理解されるように、本発明の化合物の有効量は、所望の生物学的目標、化合物の薬物動態学、治療される疾患、投与様式、ならびに被験者の年齢、健康状態、および病状などの要因に依存して、変わり得る。有効量とは、治療有効量および予防性治療有効量を含む。
他に特定されない限り、本明細書中で使用される化合物の「治療有効量」とは、疾患、障害または病状の治療において治療上の利点を提供するか、あるいはその疾患、障害または病状に関連する1つまたは複数の症状を遅延させるかまたは最小にするために充分な量である。化合物の治療有効量とは、その疾患、障害または病状の治療において治療上の利点を提供する、単独でまたは他の治療法と組み合わせる時の治療剤の量を意味する。用語「治療有効量」は、治療全体を改善させる量、疾患または病状の症状または原因を減少させるかまたは回避する量、あるいは別の治療剤の治療効果を増強する量を含む。
他に特定されない限り、本明細書中で使用される化合物の「予防有効量」とは、疾患、障害もしくは病状、またはその疾患、障害もしくは病状に関連する1つもしくは複数の症状を予防するため、あるいはその再発を予防するために充分な量である。化合物の予防有効量とは、その疾患、障害または病状の予防において予防上の利点を提供する、単独でまたは他の薬剤と組み合わせる時の治療剤の量を意味する。用語「予防有効量」は、予防全体を改善させる量、または別の予防剤の予防効果を増強する量を含む。
「組み合わせ」及び関連用語は、本発明の治療剤を同時に又は順次投与することを意味する。例えば、本発明の化合物は、別々の単位製剤として他の治療剤と同時に又は順次に投与したり、単一の単位製剤として他の治療剤と同時に投与したりすることができる。
化合物
一実施形態において、本発明は、式(I)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
Figure 2023109924000003
ただし、
、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択され;
、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
、XおよびXは、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1つの重水素原子を含むことである。
特定の実施形態において、重水素は、重水素に置換された位置における重水素同位体含有量が、少なくとも天然重水素同位体含有量である0.015%より多く、好ましくは30%超、より好ましくは50%超、さらにより好ましくは75%超、さらにより好ましくは95%超、さらにより好ましくは99%超である。
具体的に、本発明において、Y、Y、Y、Y、Y、Y、Y、R、R、R、R、R、R、X、XおよびXは、各重水素に置換された位置における重水素同位体含有量が、天然重水素同位体含有量より少なくとも5%、より好ましくは10%、より好ましくは15%、より好ましくは20%、より好ましくは25%、より好ましくは30%、より好ましくは35%、より好ましくは40%、より好ましくは45%、より好ましくは50%、より好ましくは55%、より好ましくは60%、より好ましくは65%、より好ましくは70%、より好ましくは75%、より好ましくは80%、より好ましくは85%、より好ましくは90%、より好ましくは95%、より好ましくは99%多い。
別の特定の実施形態において、本発明の化合物は、少なくとも1個の重水素原子、より好ましくは2個の重水素原子、より好ましくは3個の重水素原子、より好ましくは4個の重水素原子、より好ましくは5個の重水素原子、より好ましくは6個の重水素原子、より好ましくは7個の重水素原子、より好ましくは8個の重水素原子、より好ましくは9個の重水素原子、より好ましくは10個の重水素原子、より好ましくは11個の重水素原子、より好ましくは12個の重水素原子、より好ましくは13個の重水素原子、より好ましくは14個の重水素原子、より好ましくは15個の重水素原子、より好ましくは16個の重水素原子、より好ましくは17個の重水素原子、より好ましくは18個の重水素原子、より好ましくは19個の重水素原子、より好ましくは20個の重水素原子、より好ましくは21個の重水素原子、より好ましくは22個の重水素原子、より好ましくは23個の重水素原子を含む。
該実施形態において、「Y、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択される」とは、Yが水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択される技術構成、Yが水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択される技術構成、Yが水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択される技術構成、このように類推して、Yが水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択されるまでの技術構成を含む。より具体的に、Yが水素、Yが重水素、Yがハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはYがトリフルオロメチル、Yが水素、Yが重水素、Yがハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはYがトリフルオロメチル、Yが水素、Yが重水素、Yがハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはYがトリフルオロメチル、このように類推して、Yが水素、Yが重水素、Yがハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、或いはYがトリフルオロメチルであるまでの技術構成を含む。
該実施形態において、「R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素または重水素から選択される」とは、Rが水素または重水素から選択され、Rが水素または重水素から選択され、Rが水素または重水素から選択され、このように類推して、Rが水素または重水素から選択されるまでの技術構成を含む。より具体的に、Rが水素またはRが重水素、Rが水素またはRが重水素、Rが水素またはRが重水素、このように類推して、Rが水素またはRが重水素であるまでの技術構成を含む。
該実施形態において、「X、XおよびXは、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択される」とは、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択され、XがCH、CD、CHDまたはCHDから選択される技術構成を含む。より具体的に、XがCH、XがCD、XがCHDまたはXがCHD、XがCH、XがCD、XがCHDまたはXがCHD、XがCH、XがCD、XがCHDまたはXがCHDである技術構成を含む。
一実施形態において、Y、Y、Y、Y、Y、YおよびYは水素である。
別の実施形態において、RおよびRは水素である。
別の実施形態において、RおよびRは重水素である。
別の実施形態において、RおよびRは水素である。
別の実施形態において、RおよびRは重水素である。
別の実施形態において、RおよびRは水素である。
別の実施形態において、RおよびRは重水素である。
別の実施形態において、XはCHである。
別の実施形態において、XはCDである。
別の実施形態において、XはCHである。
別の実施形態において、XはCDである。
別の実施形態において、XはCHである。
別の実施形態において、XはCDである。
別の実施形態において、本発明は、式(II)で表われる化合物に関する。
Figure 2023109924000004
ただし、
、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
、XおよびXは、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1つの重水素原子を含むことである。
該実施形態において、好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XはCHであり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、前記の化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。
該実施形態において、好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCHであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、前記の化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。
該実施形態において、好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してから選択され、CH、CD、CHDまたはCHD;好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してから選択され、CHまたはCD;好ましくは、XはCHであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XおよびXはそれぞれ独立してから選択され、CHまたはCD;好ましくは、XはCHであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XはCHであり、XはCHまたはCDから選択され;好ましくは、前記の化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。
該実施形態において、好ましくは、XはCDであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、XはCDであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCDであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCDであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XはCHであり、XはCHまたはCDから選択される。該実施形態において、好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCHであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCHであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XはCHまたはCDから選択され、XはCHであり;好ましくは、前記の化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。
該実施形態において、好ましくは、XはCDであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、XはCDであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCDであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCDであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XはCHまたはCDから選択され、XはCHである。該実施形態において、好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRは水素であり、X、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRは水素であり、XはCHであり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、前記の化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。
該実施形態において、好ましくは、RおよびRは重水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、RおよびRは重水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、RおよびRは重水素であり、RおよびRは水素であり、X、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、RおよびRは重水素であり、RおよびRは水素であり、XはCHであり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
別の実施形態において、本発明は、式(III)で表われる化合物に関する。
Figure 2023109924000005
ただし、
、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
、XおよびXは、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1つの重水素原子を含むことである。
該実施形態において、好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XはCHであり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、前記の化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。
該実施形態において、好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCHであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、前記の化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。
該実施形態において、好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCHであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCHであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XはCHであり、XはCHまたはCDから選択され;好ましくは、前記の化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。
該実施形態において、好ましくは、XはCDであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、XはCDであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCDであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCDであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XはCHであり、XはCHまたはCDから選択される。該実施形態において、好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCHであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCHであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XはCHまたはCDから選択され、XはCHであり;好ましくは、前記の化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。
該実施形態において、好ましくは、XはCDであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、XはCDであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCDであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCDであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XはCHまたはCDから選択され、XはCHである。該実施形態において、好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRは水素であり、X、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRは水素であり、XはCHであり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、前記の化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。
該実施形態において、好ましくは、RおよびRは重水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、RおよびRは重水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、RおよびRは重水素であり、RおよびRは水素であり、X、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、RおよびRは重水素であり、RおよびRは水素であり、XはCHであり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
別の実施形態において、本発明は、式(IV)で表われる化合物に関する。
Figure 2023109924000006
ただし、
、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
、XおよびXは、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
追加の条件は、前記化合物が少なくても1つの重水素原子を含むことである。
該実施形態において、好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XはCHであり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、前記の化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。
該実施形態において、好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCHであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、前記の化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。
該実施形態において、好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCHであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCHであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XはCHであり、XはCHまたはCDから選択され;好ましくは、前記の化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。
該実施形態において、好ましくは、XはCDであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、XはCDであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCDであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCDであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XはCHであり、XはCHまたはCDから選択される。該実施形態において、好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、XはCHであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCHであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCHであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XはCHまたはCDから選択され、XはCHであり;好ましくは、前記の化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。
該実施形態において、好ましくは、XはCDであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、XはCDであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCDであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、XはCDであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RおよびRは水素であり、XはCHまたはCDから選択され、XはCHである。該実施形態において、好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRは水素であり、X、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、RおよびRは水素であり、RおよびRは水素であり、XはCHであり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、前記の化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。
該実施形態において、好ましくは、RおよびRは重水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;好ましくは、RおよびRは重水素であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、X、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、RおよびRは重水素であり、RおよびRは水素であり、X、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択され;好ましくは、RおよびRは重水素であり、RおよびRは水素であり、XはCHであり、XおよびXはそれぞれ独立してCHまたはCDから選択される。
より好ましい実施形態において、本発明の化合物は以下の化合物からなる群から選択される。
Figure 2023109924000007
Figure 2023109924000008
Figure 2023109924000009
より好ましい実施形態において、本発明の化合物は以下の化合物からなる群から選択される。
Figure 2023109924000010
より好ましい実施形態において、本発明の化合物は以下の化合物からなる群から選択される。
Figure 2023109924000011
式(I)~(IV)で表われる化合物の一部は不斉中心を有する。また、このような式(I)~(IV)で表われる化合物は、式(I)~(IV)で表われる化合物の他の2つの可能なエナンチオマー異性体のうちの1つまたは複数を任意の相対比率で存在するかどうかにかかわらず、調製、単離および/または供給できることが明らかとなった。エナンチオマーに富む化合物/エナンチオマー的に純粋な化合物の調製は、例えば、エナンチオマーに富む出発物質/エナンチオマー的に純粋な出発物質から合成すること、合成中に適切なエナンチオマーに富む触媒/エナンチオマー的に純粋な触媒を使用すること、および/またはラセミ体である立体異性体混合物/部分的に濃縮された立体異性体混合物を分割(例えばキラルクロマトグラフィーによって)することなどの当技術分野で周知の有機化学の標準的な技術によって実施することができる。
薬学の分野では、他の立体異性体が大量に存在することなく、式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩を提供することが好ましい。
したがって、一実施形態において、式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩を含む組成物を提供する。該組成物は、必要に応じて式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩の他の立体異性体の1つまたは複数をさらに含む。ここで、該組成物に、この式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩は、90%以上のエナンチオマー過剰率(ee%)で存在する。
他の一実施形態において、上記の組成物の%eeは≧95%である。
他の一実施形態において、上記の組成物の%eeは≧98%である。
他の一実施形態において、上記の組成物の%eeは≧99%である。
当業者は、有機化合物が、溶媒中で反応するか、または溶媒から沈殿あるいは結晶化して、当該溶媒と複合体を形成し得ることを理解できる。これらの複合体は「溶媒和物」と呼ばれる。溶媒が水である場合、複合体は「水和物」と呼ばれる。本発明は、本発明の化合物のすべての溶媒和物を含む。
「溶媒和物」という用語とは、一般的に、加溶媒分解反応により形成された、溶媒と組み合わせた化合物またはその塩の形態を指す。この物理的な会合は、水素結合が含まれる。通常の溶媒は、水、メタノール、エタノール、酢酸、DMSO、THF、ジエチルエーテルなどが含まれる。本発明の化合物は、例えば結晶形態で調製され、且つ溶媒和されることができる。適切な溶媒和物は、薬学的に許容される溶媒和物が含まれ、さらに化学量論的溶媒和物および非化学量論的溶媒和物が含まれる。特定の実施形態において、例えば、1つまたは複数の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれている場合、前記の溶媒和物が単離される。「溶媒和物」は、溶液状態の溶媒和物と分離可能な溶媒和物が含まれる。代表的な溶媒和物として、水和物、エタノレート、およびメタノレートが挙げられる。
「水和物」という用語は、水と組み合わせた化合物を指す。通常、化合物の水和物に含まれる水分子の数の、該水和物中の該化合物分子の数に対する比率は、一定である。したがって、化合物の水和物は、たとえば、一般式ROで表れる。ここで、Rは該化合物であり、xは0より大きい数である。所定の化合物は、複数のタイプの水和物を形成する可能性がある。例えば、一水和物(xは1)、低次水和物(xは0より大きく1より小さい数、例えば、半水和物(R0.5O))、および多水和物(xは1より大きい数、例えば、二水和物(RO)および六水和物(RO))が挙げられる。
本発明の化合物は、非晶質または結晶質(結晶多形)のいずれでもよい。また、本発明の化合物は、1種または複数の結晶として存在してもよい。したがって、本発明は、本発明の化合物のすべての非晶質または結晶形をその範囲に含む。「結晶多形」という用語とは、特定の結晶が堆積して並んだ化合物の結晶形(あるいはその塩、水和物または溶媒和物)を指す。すべての多形体は同じ元素組成を有する。異なる結晶形は通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光電特性、安定性、および溶解度を有する。再結晶溶媒、結晶化速度、貯蔵温度、および他の要因により、優勢な結晶形が生じる可能性がある。化合物の様々な多形体は、異なる条件下で結晶化することによって調製できる。
また、本発明には、上記した化合物と同等の同位体標識化合物を含むが、1つ以上の原子は、原子質量または質量数が天然に典型的に見られる原子質量または質量数と異なる原子によって置換されている。本発明の化合物に導入できる同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体、例えばそれぞれH、H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clが挙げる。上記同位体および/または他の原子の他の同位体を含む本発明の化合物、そのプロドラッグ、および前記化合物または前記プロドラッグの薬学的に許容される塩は、本発明の範囲内にある。放射性同位体(例えばHおよび14C)を導入したものなどの一部の同位体標識された本発明の化合物は、薬物および/または基質の組織分布に関する測定に用いられる。トリチウム(即ち、H)と炭素-14(即ち、14C)の同位体は、その製造と検出が容易であるため特に好ましい。さらに、重水素、すなわちHのようなより重い同位体での置換は、代謝安定性が優れているため、治療で利点がある。例えば、インビボでの半減期の延長や投与量の削減ができるので、状況に応じて優先に考えられることがある。通常、同位体標識された本発明の式(I)の化合物およびそのプロドラッグは、以下のスキームおよび/または実施例および調製例で開示されるプロセスが行われる場合、非同位体標識試薬の代わりに、容易に入手可能な同位体標識試薬を使用することにより調製することができる。
さらに、プロドラッグも本発明の明細書に含まれる。本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、インビボで、例えば血液中での加水分解によって医学的な効果を有する活性形態に変換される化合物を指す。薬学的に許容されるプロドラッグは、T. HiguchiおよびV. Stella,Prodrugs as Novel Delivery Systems,A.C.S.Symposium SeriesのVol.14,Edward B.Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987、ならびにD.Fleisher、S.RamonおよびH.Barbra“Improved oral drug delivery:solubility limitations overcome by the use of prodrugs”,Advanced Drug Delivery Reviews(1996)19(2)115-130に記載されたが、それらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。
プロドラッグは、患者に投与されると、インビボで母体化合物を放出する、任意の共有結合の本発明の化合物である。プロドラッグは、典型的には、通常の操作またはインビボで切断されて母体化合物を生じることができるように官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグには、例えば、水酸基、アミノ基またはメルカプト基が任意の基に結合している本発明の化合物が含まれ、それらを患者に投与すると、切断されて、水酸基、アミノ基またはメルカプト基を形成することができる。したがって、プロドラッグの代表例としては、式(I)で表される化合物の水酸基、アミノ基またはメルカプト基とのアセテート/アセトアミド、ホルメート/ホルムアミドおよびベンゾエート/ベンズアミド誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。また、カルボン酸(-COOH)の場合は、メチルエステル、エチルエステル等のエステルを用いることができる。エステル自体は活性を有してもよく、および/またはヒトの体内の条件下で加水分解されてもよい。適切な薬学的に許容されるインビボで加水分解可能なエステル基には、人体中で容易に分解して母体酸またはその塩を放出する基が含まれる。
本発明の化合物を調製する方法
本発明の化合物(その塩を含む)は、既知の有機合成技術で調製され、以下のスキームのような様々な可能な合成経路のいずれかに従って合成することができる。本発明の化合物を調製する反応は、有機合成分野の技術者によって容易に選択される適切な溶媒中で実施される。適切な溶媒は、反応が行われる温度(例えば、溶媒の凍結温度から沸点までの範囲の温度)で、出発物質(反応物)、中間体または生成物と実質的に反応しない。所望の反応は、1種の溶媒または2種以上の溶媒の混合物中で実施しても良い。当業者は、特定の反応工程に応じて、特定の反応工程用の溶媒を選択することができる。
本発明の化合物の調製は、異なる化学基の保護および脱保護を含んでも良い。当業者は、保護および脱保護の必要性ならびに適切な保護基の選択を容易に決定することができる。保護基の化学性質は、例えば、Wuts and Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、4th Ed.,John Wiley&Sons:New Jersey、(2006)に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の化合物は、化合物のラセミ混合物を光学異性体分離剤と反応させて一対のジアステレオマー化合物を形成した後、ジアステレオマーを分離し、光学純度のエナンチオマーを回収することにより、個々の立体異性体として調製することができる。エナンチオマーの分割は、本発明の化合物のジアステレオマー誘導体、好ましくは解離可能な複合体(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)を使用して実施することができる。ジアステレオマーは、物理特性(例えば、融点、沸点、溶解性、反応性など)が大きく異なるため、これらの非類似性を利用して簡単に分離することができる。ジアステレオマーは、クロマトグラフィー、好ましくは溶解度の差異に基づく分離/分割技術によって分離することができる。さらに、光学純度のエナンチオマーが、ラセミ化をしない実用的な手段によって、分割用試薬とともに回収される。ラセミ混合物の分離によって化合物の立体異性体を得ることに適用可能な技術のさらなる詳細な説明は、Jean Jacques、Andre Collet、Samue1 H. Wilen、「Enantiomers、Racemates and Resolutions」、John Wiley And Sons、Inc.,1981に記載されている。
反応は、当技術分野で知られている任意の適切な方法に従って監視することができる。例えば、生成物の形成は、分光学的手段(例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法(例えばHまたは13C)、赤外(IR)分光法、分光光度法(例えば、UV-可視光)、質量分析(MS))、またはクロマトグラフィー法(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または薄層クロマトグラフィー(TLC))によって監視することができる。
以下の汎用の調製経路によって本発明の式(I)で表われる構造の化合物を合成することができる。合成ルートは次のとおりである。
Figure 2023109924000012
式中、Y、Y、Y、Y、Y、Y、Y、R、R、R、R、R、R、X、XおよびXは、本発明の内容に定義された通りであり、Mは脱離基(例えば、ヨウ素、臭素、塩素、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基など)であり、Vは脱離基(例えば、ヨウ素、臭素、塩素、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基など)である。
式(I)で表われる化合物は、式(D)で表われる化合物を式(C)で表われる化合物と反応させることによって調製することができる。反応は、遷移金属触媒(例えば、XantPhos-Pd-G2)および適切な塩基(例えば、炭酸セシウム、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウム)の存在下で、適切な溶媒(例えば、DMEまたはジオキサン)中で約80℃~約150℃の範囲の温度で行われる。式(D)で表われる化合物は、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムなど)および適切な無水溶媒(例えば、DMFまたはDMAなど)の存在下で、式(A)で表われる化合物を式(B)で表われる化合物と反応させることによって調製することができる。反応は約20℃~60℃の範囲の温度で行われ、完了するまでに約2~4時間かかる場合がある。
医薬組成物、製剤およびキット
他の様態では、本発明は、本発明の化合物(「活性成分」とも呼ばれる)および医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態において、前記の医薬組成物は、有効量の活性成分を含む。一部の実施形態において、前記の医薬組成物は、治療有効量の活性成分を含む。一部の実施形態において、前記の医薬組成物は、予防有効量の活性成分を含む。
本発明の薬学的に許容される賦形剤とは、配合される化合物の薬理学的活性を無効にしない非毒性担体、アジュバントまたは媒体を指す。本発明の組成物に使用できる薬学的に許容される担体、アジュバントまたは媒体には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれるが、これらに限定されない。
本発明は、キット(例えば、医薬パック)も含む。提供されるキットは、本発明の化合物、他の治療剤、ならびに本発明の化合物、他の治療剤を含有する第1および第2の容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、および/または分散パッケージ、あるいは他の適切な容器)を含む。また、一部の実施形態において、提供されるキットは、本発明の化合物および/または他の治療薬を希釈または懸濁するための薬学的に許容される賦形剤を含む第3の容器も有しても良い。一部の実施形態において、第1の容器および第2の容器内の本発明の化合物を他の治療薬と組み合わせて単位製剤を形成して提供する。
本発明によって提供される医薬組成物は、経口投与、非経口投与、吸入投与、局所投与、直腸内投与、鼻腔投与、口腔投与、膣内投与、インプラントによる投与または他の投与方法などの様々な方式によって投与することができるが、これらに限定されない。例えば、本発明で用いる非経口投与として、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、関節内投与、動脈内投与、滑膜腔内投与、胸骨内投与、脳脊髄膜内投与、病巣内投与、頭蓋内の注射や輸液技術が挙げられる。
通常、有効量で本発明によって提供する化合物を投与する。治療される病状、選択される投与方式、実際に投与される化合物、患者の年齢、体重および反応、患者の症状の重篤度などを含む状況に応じて、実際に投与される化合物の量は医師によって決定される。
前記した本発明の病状を予防するために使用される場合、本発明によって提供される化合物は、前記の病状を発症するリスクのある被験者に投与され、典型的には、医師の推奨に基づいて上記の用量レベルで投与される。特定の病状を発症するリスクのある被験者には、典型的に、前記の病状の家族歴史を有する被験者、または遺伝子検査もしくはスクリーニングによって前記の病状を発症しやすい被験者が含まれる。
本発明によって提供される医薬組成物(「長期投与」)は長期的に投与することもできる。長期投与とは、例えば3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、5年などの長期間にわたって化合物またはその医薬組成物を投与できるか、または、例えば被験者の余生において無期限に連続的に投与できることを指す。一部の実施形態において、長期投与は、例えば治療ウィンドウ内で、長期間にわたって血液中に一定レベルの前記の化合物を提供することを意図している。
本発明の医薬組成物は、様々な投与方式を用いてさらに送達することができる。例えば、一部の実施形態において、医薬組成物は、例えば、血液中の化合物の濃度が有効レベルまで速く増加させるために、ボーラス注射によって投与することができる。ボーラス用量の配置は、身体全体で望まれる活性成分の全身レベルに依存し、例えば、筋肉内または皮下のボーラス用量は、活性成分のゆっくりとした放出を可能にし、一方で、静脈に直接送達されるボーラス(例えば、IV滴注による)は、より速い送達を可能にし、これは、血液中の活性成分の濃度を有効レベルまで迅速に上昇させる。他の実施形態において、この薬学組成物は、連続注入、例えば、IV滴注によって投与されて、被験者の身体内での、活性成分の定常状態濃度の維持を提供する。さらに、他の実施形態において、医薬組成物は、最初にボーラス用量で投与され、続いて連続して注入される。
経口投与用の組成物は、バルク液体の溶液もしくは懸濁液またはバルク粉末の形態をとり得る。しかしながら、一般的に、上記組成物は、精確な投薬量で投与できるために、単位投与量で提供される。用語「単位製剤」とは、ヒト被験者および他の哺乳動物への単位投与量に好適な物理的な不連続単位を指し、各単位は、好適な薬学賦形剤と、所望の治療効果をもたらすのに適合な活性物質とを所定量で含む。典型的な単位製剤としては、液体組成物が予め測定されて予め充填されたアンプルもしくは注射器、または固体組成物の場合は丸剤、錠剤、カプセルなどが挙げられる。そのような組成物において、上記の化合物は、通常、少量の成分(約0.1~約50重量%または好ましくは約1~約40重量%)であり、残りは、所望の投薬形態を形成するのに役立つ様々な担体または賦形剤および加工助剤である。
経口投与の用量について、1日あたり1~5回、特に2~4回、典型的には3回の経口投与量が、代表的なレジメンである。これらの投薬パターンを使用するとき、各用量は、約0.01~約20mg/kgの本発明の化合物を提供し、好ましい用量は、それぞれ約0.1~約10mg/kg、特に、約1~約5mg/kgを提供する。
一般に、経皮用量は、注射用量を使用して達成されるレベルと類似であるかまたはより低い血液中レベルを提供するように選択され、通常、約0.01重量%~約20重量%、好ましくは、約0.1重量%~約20重量%、好ましくは、約0.1重量%~約10重量%、そしてより好ましくは、約0.5重量%~約15重量%の範囲の量である。
注射剤の用量レベルは、約1~約120時間、特に、24~96時間にわたって約0.1mg/kg/時間~少なくとも10mg/kg/時間の範囲である。約0.1mg/kg~約10mg/kgまたはそれ以上の前負荷ボーラス(preloading bolus)も、適切な定常状態レベルを達成するために投与されてもよい。最大総用量は、40~80kgのヒト患者にとって約2g/日を超えない。
経口投与に適した液体の形態は、好適な水性または非水性の担体、および緩衝剤、懸濁剤、分散剤(dispensing agents)、着色剤、香料などを含み得る。固体の形態は、例えば、以下の成分または同様の性質の化合物のいずれかを含み得る:結合剤(例えば、微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、Primogelまたはトウモロコシデンプン);滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);滑剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン);または香味料(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバー)。
注射可能な組成物は、典型的には、注射可能な滅菌された食塩水もしくはリン酸緩衝食塩水または当該分野で公知の他の注射可能な賦形剤に基づくものである。以上のとおり、そのような組成物における活性化合物は、典型的には、約0.05~10重量%である少量の成分であり、残りは、注射可能な賦形剤などである。
経皮の組成物は、典型的には、活性成分を含む局所用軟膏またはクリームとして製剤化される。軟膏として製剤化される場合、活性成分は、典型的には、パラフィン軟膏基剤または水混合性軟膏基剤と混合される。あるいは、活性成分は、例えば、水中油型クリーム基剤とともに、クリームとして製剤化される。このような経皮的製剤は、当該分野で周知であり、一般に、活性成分または製剤の皮膚浸透力または安定性を高めるさらなる成分を含む。そのような公知の経皮の製剤および成分のすべてが、本発明の範囲内に含まれる。
本発明の化合物は、経皮的デバイスによっても投与され得る。従って、経皮的投与は、レザバー(reservoir)タイプもしくは多孔質膜タイプ、または多種の固体マトリックスのパッチを用いて実現される。
経口投与、注射、または局所的な投与のための組成物の上述の構成要素は、単に代表的なものである。他の材料ならびに加工手法などは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第17版,1985,Mack Publishing Company,Easton,PennsylvaniaのPart8(参照により本明細書中に組み入れられる)に示されている。
また、本発明の化合物は、徐放形態でまたは徐放薬物送達系から投与され得る。代表的な徐放材料の説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに見出すことができる。
本発明は、本発明の化合物の薬学的に許容される製剤にも関する。1つの実施形態において、上記の製剤は、水を含む。別の実施形態において、上記の製剤は、シクロデキストリン誘導体を含む。最も一般的なシクロデキストリンは、連結される糖部分上に必要に応じて1つ以上の置換基(メチル化、ヒドロキシアルキル化、アシル化およびスルホアルキルエーテル置換が挙げられるが、これらに限定されない)を含む、それぞれ6、7および8個のα-1,4-結合グルコース単位からなるα-、β-およびγ-シクロデキストリンである。一部の実施形態において、シクロデキストリンは、スルホアルキルエーテルβ-シクロデキストリン、例えば、Captisolとしても知られるスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンである。例えば、米国特許第5,376,645号を参照する。一部の実施形態において、上記の製剤は、ヘキサプロピル-β-シクロデキストリン(例えば、水において10~50%)を含む。
適応症
別の態様では、本発明は、増殖性疾患またはRAS/RAF/MEK/ERKキナーゼによって調節される疾患の予防および/または治療に使用するための、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様では、本発明は、増殖性疾患またはRAS/RAF/MEK/ERKキナーゼによって調節される疾患を予防および/または治療する医薬品の調製における、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩を、被験者に有效量で投与することを含む、増殖性疾患またはRAS/RAF/MEK/ERKキナーゼによって調節される疾患を予防および/または治療する方法を提供する。
別の態様では、本発明は、増殖性疾患またはERKによって媒介される疾患を予防および/または治療するための、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様では、本発明は、増殖性疾患またはERKによって媒介される疾患を予防および/または治療する医薬品の調製における、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩を、被験者に有效量で投与することを含む、増殖性疾患またはERKによって媒介される疾患を予防および/または治療する方法を提供する。
別の態様では、本発明は、ERKの阻害に感受性のある腫瘍を予防および/または治療するための、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様では、本発明は、ERKの阻害に感受性のある腫瘍を予防および/または治療する医薬品の調製における、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩を、被験者に有效量で投与することを含む、ERKの阻害に感受性のある腫瘍を予防および/または治療する方法を提供する。
別の態様では、本発明は、ERKに対する阻害効果を発揮するための、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様では、本発明は、ERKに対する阻害効果を発揮する医薬品の調製における、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩を、被験者に有效量で投与することを含む、ERKに対する阻害効果を発揮する方法を提供する。
別の態様では、本発明は、ERK2に対する阻害効果を発揮するための、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様では、本発明は、ERK2に対する阻害効果を発揮する医薬品の調製における、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩を、被験者に有效量で投与することを含む、ERK2に対する阻害効果を発揮する方法を提供する。
式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩は、RAS/RAF/MEK/ERKキナーゼ経路が活性化されるあらゆる癌を効果的に治療することができる。このような活性化が報告された癌の例としては、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、乳癌、膀胱癌、頭頸部癌、脳癌、悪性神経膠腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、膵臓癌、卵巣癌、精巣癌、甲状腺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、黒色腫、神経線維腫症I型、または胆道癌が挙げられる。
一態様では、化合物は、非小細胞肺癌、膵臓癌、結腸直腸癌、黒色腫、ブドウ膜黒色腫、小児の神経線維腫症I型、甲状腺分化癌または胆道癌から選択される癌を効果的に治療することができる。
一態様では、化合物は、KRASまたはBRAF変異性癌を効果的に治療することができる。
一態様では、化合物は、例えば、非小細胞肺癌、膵臓癌および結腸直腸癌のようなMAPK経路依存性癌を効果的に治療することができる。
別の態様では、化合物は、BRAF変異性黒色腫を効果的に治療することができる。
別の態様では、化合物は、NRAS変異性黒色腫、ブドウ膜黒色腫、小児の神経線維腫症I型、甲状腺分化癌または胆道癌から選択される癌を効果的に治療することができる。
併用療法
本発明は、癌の併用療法に使用するための、式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩と、他の治療薬とを提供する。
他の治療薬には、以下の1つまたは複数が含まれる。
(i)腫瘍医学で使用される抗増殖剤・抗腫瘍剤およびそれらの組み合わせ、例えば、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン(melphalan)、クロラムブシル、ブスルファン、テモゾロミドおよびニトロソウレア);代謝拮抗剤(例えば、5-フルオロウラシルやテガフールなどのフルオロピリミジン、ラルチトレキサート、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素のようなゲムシタビンおよび葉酸拮抗薬);抗腫瘍抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン-C、ダクチノマイシン、ミトラマイシンのようなアントラサイクリン);有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビンのようなビンカアルカロイド、およびタキソール、タキソテール、ポロキナーゼ(polokinase)阻害剤などのタキソイド);ならびに、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、トポテカン、カンプトテシンのようなエピポドフィロトキシン);
(ii)抗ホルモン剤、例えは、抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンおよびヨードキシフェン)、抗アンドロゲン剤(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミドおよび酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン、リュープロレリンおよびブセレリン)、プロゲストゲン(例えば酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾール(virazole)およびエキセメスタン)、ならびに5αリダクターゼ阻害剤(例えばフィナステリド);
(iii)成長因子の機能およびそれらの下流のシグナル伝達経路の阻害剤:
Sternらのレビュー(Critical Reviews in Oncology/Haematology,2005,54,pp11-29)に記載された任意の成長因子または成長因子受容体標的のAbモジュレーターを含み;このような標的の小分子阻害剤をさらに含み、例えばキナーゼ阻害剤(例として、抗erbB2抗体トラスツズマブ[Hercepitn(商標)]、抗EGFR抗体パニツムマブ、抗EGFR抗体セツキシマブ[エルビタックス、C225]およびチロシンキナーゼ阻害剤が挙げられる)を含み、これらのチロシンキナーゼ阻害剤は、例えば上皮成長因子ファミリー受容体(EGFR/erbB1)チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、ゲフィチニブまたはエルロチニブ)、erbB2チロシンキナーゼ阻害剤(例えばラパチニブ)、および混合erb1/2阻害剤(例えばアファタニブ)などのerbB受容体ファミリーの阻害剤を含み;同様の戦略は、他のタイプの成長因子およびそれらの受容体にも利用可能であり、例えば、肝細胞成長因子ファミリーまたはそれらの受容体(c-metおよびRonを含む)の阻害剤;インスリンおよびインスリン成長因子ファミリーまたはそれらの受容体(IGFR、IR)の阻害剤、血小板由来成長因子ファミリーまたはそれらの受容体(PDGFR)の阻害剤、および例えばc-kit、AnLKおよびCSF-1Rなどの他の受容体チロシンキナーゼによって媒介されるシグナル伝達の阻害剤;
上記以外のセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤、例えば、ベムラフェニブなどのraf阻害剤、セルメチニブ(AZD6244ARRY-142886)、コビメチニブまたはGDC-0623(例えばWO2015/0832840を参照)などのMEK阻害剤、イマチニブまたはニロチニブなどのAbl阻害剤、イブルチニブなどのBtk阻害剤、フォスタマチニブなどのSyk阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤(例えばAZD1152)、JAK、STATおよびIRAK4などの他のser/thrキナーゼの阻害剤、およびサイクリン依存性キナーゼ阻害剤を含み;
(iv)DNA損傷シグナル伝達経路のモジュレーター、例えば、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ)、ATR阻害剤またはATM阻害剤;
(v)アポトーシスおよび細胞死経路のモジュレーター、例えば、Bclファミリーモジュレーター(例えば、ABT-263/Navitoclax、ABT-199);
(vi)抗血管新生剤、例えば、血管内皮増殖因子の効果を阻害するもの[例えば、抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ(Avastin(商標))、および例えばVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えはソラフェニブ、アキシチニブ、パゾパニブ、スニチニブ、バンデタニブ(および他のメカニズムで作用する化合物(例えば、リノミド、インテグリンανβ3機能の阻害剤およびアンギオスタチン))];
(vii)血管崩壊剤、例えば、コンブレタスタチンA4;
(viii)抗浸潤剤、例えばダサチニブ(J.Med.Chem.,2004,47,6658-6661)およびボスチニブ(SKI-606)のようなc-Srcキナーゼファミリー阻害剤、ならびにマリマスタットのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体機能の阻害剤またはヘパラナーゼに対する抗体];
(ix)免疫療法アプローチ:例えば、インターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子などのサイトカインによるトランスフェクションのような患者の腫瘍細胞の免疫原性を高めるex-vivoおよびin-vivoアプローチ、T細胞アネルギーを減少させるアプローチ、サイトカインをトランスフェクトした樹状細胞などのトランスフェクトした免疫細胞を使用するアプローチ、サイトカインをトランスフェクトした腫瘍細胞株を使用するアプローチ、および抗イディオタイプ抗体を使用するアプローチを含む。具体的な例としては、PD-1(例えばBMS-936558)、PDL-1またはCTLA4(例えばイピリムマブ、トレメリムマブ)を標的とするモノクローナル抗体が挙げられ;
(x)アンチセンスまたはRNAiに基づく治療法、例えば、記載された標的に関する治療法。
(xi)遺伝子治療法アプローチ:例えば、異常な遺伝子(例えば異常なp53または異常なBRCA1またはBRCA2)を置き換えるアプローチ;例えばシトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌ニトロレダクターゼを使用するアプローチのようなGDEPT(遺伝子指向酵素プロドラッグ療法)アプローチ;および、化学療法または放射線療法に対する患者の耐性を高めるアプローチ(例えば多剤耐性遺伝子治療法)を含む。
この態様によれば、本発明は、上記で定義される式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩と、別の抗腫瘍剤、特に上記の(i)~(xi)に記載されている抗腫瘍剤のいずれかとを含む、癌の治療に適する組合せを提供する。具体的に、上記(i)から(xi)に記載されている抗腫瘍剤は、治療される特定の癌の標準治療(standard of care)であり、当業者であれば、「標準治療」の意味を理解することができる。
したがって、別の態様において、本発明は、式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩と、別の抗腫瘍剤、特に上記の(i)~(xi)に記載されているものから選択される抗腫瘍剤との組合せを提供する。
別の態様によれば、式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩と上記の(i)~(xi)に記載されているものから選択される抗腫瘍剤との組合せを、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせた医薬組成物を提供する。
別の態様によれば、式(I)~(IV)で表われる化合物またはその薬学的に許容される塩と上記の(i)~(xi)に記載されているものから選択される抗腫瘍剤との組合せを、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせた、増殖性疾患の治療に使用する医薬組成物を提供する。
実施例
以下、特定的な実施形態によって本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためのみに使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解しべきである。以下の実施例において、特定の条件を明記しない実験方法は、一般に、通常の条件または製造業者が推奨する条件に従う。特に明記しない限り、部およびパーセンテージは、重量部および重量パーセントである。
本発明で使用される略語は、以下の意味を持つ。
Figure 2023109924000013
実施例1 (R)-2-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-6-(メトキシメチル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オン(中間体A-1)の調製。
Figure 2023109924000014
以下の経路で合成した。
Figure 2023109924000015
工程1 化合物2の合成
-15℃で、イソブチリルクロリド(14.96g,110mol)の無水THF(20mL)溶液を、化合物1(21.8g,99.54mmol)およびN-メチルモルホリン(11.2g,110mmol)の無水THF(100mL)溶液にゆっくりと滴下した後、-15℃でさらに20min反応させた。
NaBH(12.00g,318mmol)のHO(20mL)溶液を、上記の反応液にゆっくりと添加した後、-15℃で45min反応させた。EtOAc(700mL)を加えて反応液を希釈し、希塩酸(2M)で系を中性に調節し、有機層を分離し、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=20%)によって精製して、62.83%の収率で13gの淡黄色の油状物を得た。H NMR(300 MHz,CDCl) δ 5.19(s,1H),3.83-3.60(m,3H),3.59-3.44(m,2H),3.35(s,3H),2.96(s,1H),1.43(s,9H).
工程2 化合物3の合成
氷浴中で、MSCl(2.27g,19.83mmol)の無水DCM(20mL)溶液を、化合物2(3.4g,16.58mmol)およびTEA(2.06g,20.4mmol)の無水DCM(100mL)溶液にゆっくりと加え、室温で反応液を撹拌して2.5h反応させた。水(30mL)で反応をクエンチし、有機層を分離し、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して得られた淡黄色の油状物をそのまま次の工程に使用した。收率:100%。
工程3 化合物5の合成
氷浴中で、NaH(6.42g,160.5mmol)を、化合物4(15g,107.04mmol)の無水DMF(75mL)溶液に加え、30min撹拌した後、SEMCl(28.47mL,160.56mmol)を反応液に加え、室温で反応を一晩撹拌した。水(100mL)で反応をクエンチし、酢酸エチル(200mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水(100mL×4)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=10%)によって精製して、58.9%の収率で17gの淡黄色の油状物を得た。H NMR(500 MHz,CDCl) δ 7.26(d,J=1.0Hz,1H),7.20(d,J=1.0Hz,1H),5.79(s,2H),4.42(q,J=7.1Hz,2H),3.58-3.54(m,2H),1.43(t,J=7.1Hz,3H),0.94-0.90(m,2H),-0.03(s,9H).
工程4 化合物6の合成
氷浴中で、化合物5(6.8g,25.18mmol)の無水DMF(30mL)と無水DCM(30mL)との混合溶液に、NBS(4.93g,27.70mmol)を数回分けて加え、室温で24h反応させた。水(100mL)で反応をクエンチし、減圧下でDCMを除去し、酢酸エチル(150mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水(100mL×4)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=10%)によって精製して、57%の収率で5gの淡黄色の油状物を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d) δ 7.82(d,J=14.5Hz,1H),5.66(s,2H),4.30 (q,J=7.1Hz,2H),3.58-3.44(m,2H),1.30(t,J=7.1Hz,3H),0.89-0.74(m,2H),-0.06(s,9H).
工程5 化合物7の合成
窒素ガス保護下で、X-phos(410mg)およびPd(dba)CHCl(370mg)を、化合物6(5.00g,14.36mmol)、B(pin)(4.36g)および酢酸カリウム(4.20g)の無水ジオキサン(60mL)溶液に加え、80℃に加熱し、一晩反応させた。室温に冷却し、セライトで濾過し、ジオキサンでフィルターケーキを洗浄した。減圧下で濾液を濃縮し、得られた淡黄色の油状物をそのまま次の工程に使用した。
工程6 化合物8の合成
上記の化合物7を、ジオキサン(90mL)と水(15mL)との混合溶媒に加え、化合物2,4-ジクロロ-5-メチルピリミジン(2.60g,15.80mmol)およびCsCO(9.34g,28.72mmol)をさらに加え、大気を窒素に置き換え、窒素ガス保護下でPd(PPh(1.00g)を反応液に添加し、85℃で2.5h反応させた。室温に冷却し、セライトで濾過し、濾液を減圧してジオキサンを除去し、50mLの水で反応をクエンチし、酢酸エチル(200mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=5%)によって精製して、65.4%の収率で3.72gの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=397.0(M+1)H NMR(300 MHz,CDCl) δ 8.42(s,1H),8.13(s,1H),5.82(s,2H),4.45(q,J=7.1Hz,2H),3.71-3.50(m,2H),2.70(s,3H),1.45(t,J=7.1Hz,3H),0.98-0.91(m,2H),-0.01(s,9H).
工程7 化合物9の合成
TFA(13.0mL)を化合物8(3.7g,9.34mmol)のDCM(13mL)溶液に加え、室温で一晩反応させた。減圧下で反応液を除去し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(30mL)を添加し、2h撹拌した。固体を濾過し、水で洗浄し、真空で固体を乾燥して、91.0%の収率で2.25gの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=267.1(M+1)H NMR(300 MHz,DMSO-d) δ 13.96(s,1H),8.59(s,1H),8.11(s,1H),4.34(q,J=7.1Hz,2H),2.59(s,3H),1.32(t,J=7.1Hz,3H).
工程8 化合物10合成
CsCO(2.70,8.28mmol(2-3eq))を、化合物9(1.10g,4.14mmol,1eq.)および化合物3(3.0-4eq)の無水DMF(15mL)溶液に加え、窒素保護下、100℃で、反応液を20h反応した。室温に冷却し、水(30mL)で反応をクエンチし、酢酸エチル(50mL×4)で抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水(30mL×4)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=20%)によって精製して、40.0%の収率で820mgの淡黄色の固体を得た。LC-MS (APCI): m/z=454.1(M+1)H NMR(300 MHz,CDCl) δ 8.39(s,1H),7.95(s,1H),5.09(d,J=8.8Hz,1H),4.70(dd,J=13.4,4.3Hz,1H),4.60-4.33(m,3H),4.22(s,1H),3.49(dd,J=6.8,3.3Hz,2H),3.37(s,3H),2.69(s,3H),1.45(t,J=7.1Hz,3H),1.30(s,9H).
工程9 化合物11合成
HCl(15mL)のジオキサン溶液を、化合物10(770mg,1.70mmol)に加え、室温で一晩撹拌し、固体を濾過し、酢酸エチル(15mL)で洗浄し、固体を真空乾燥した。そのまま次の工程に使用した。LC-MS(APCI):m/z=354.1(M+1)
工程10 化合物A-1合成
上記の化合物11をMeOH/NH(30mL,7N)の溶液に加え、室温で一晩撹拌した。減圧下で反応液を濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=5%)によって精製して、465mgの淡黄色の固体を得た。2つの工程の収率:87.4%。LC-MS(APCI):m/z=308.0(M+1)
実施例2 2-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-6-((メトキシ-d)メチル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オン(中間体A-2)の調製。
Figure 2023109924000016
以下の経路で合成した。
Figure 2023109924000017
工程1 化合物13の合成
氷浴中で、NaH(2.67g,66.75mol)を化合物12(12.18g,63.69mmol)の無水THF(200mL)溶液に加え、滴下完了後、室温でさらに30min反応させた。
氷浴中で、重水素化ヨードメタン(8.70g,60.00mmol)の無水THF(20mL)溶液を、上記の反応液にゆっくり加え、室温で3h反応した。水(200mL)で反応をクエンチした。減圧下でTHFを除去し、EtOAc(700mL)を加えて反応液を希釈し、希塩酸(2M)で系を中性に調節し、有機層を分離し、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=20%)によって精製して、20.1%の収率で3.1gの淡黄色の油状物を得た。
工程2 化合物14の合成
氷浴中で、MsCl(1.40g)の無水DCM(10mL)溶液を、化合物13(2.1g,10.24mmol)およびTEA(1.27g)の無水DCM(70mL)溶液にゆっくりと加え、室温で反応液を撹拌し、2.5h反応させた。水(30mL)で反応をクエンチし、有機層を分離し、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して得られた淡黄色の油状物をそのまま次の工程に使用した。收率:100%。
工程3 化合物15の合成
CsCO(3.05g,9.38mmol)を、化合物9(1.00g,3.75mmol,1eq.)および上記の化合物14(10.24mmol)の無水DMF(15mL)溶液に加え、窒素ガス保護下、100℃で反応液を20h反応させた。室温に冷却し、水(30mL)で反応をクエンチし、酢酸エチル(50mL×4)で抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水(30mL×4)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=20%)によって精製して、44.4%の収率で760mgの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=457.1(M+1)
工程4 化合物16の合成
HCl(15mL)のジオキサン溶液を化合物15(760mg,1.66mol)に加え、室温で一晩撹拌し、固体を濾過し、酢酸エチル(15mL)で洗浄し、固体を真空乾燥した。そのまま次の工程に使用した。LC-MS(APCI):m/z=357.1(M+1)
工程5 化合物A-2の合成
上記の化合物16をMeOH/NH(30mL,7N)の溶液に加え、室温で一晩撹拌した。減圧下で反応液を濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=5%)によって精製して、530mgの淡黄色の固体を得た。2つの工程の収率:100%。LC-MS(APCI):m/z=311.1(M+1)
実施例3 4-(ブロモメチル-d)-1,2-ジフルオロベンゼン(中間体B-1)の調製。
Figure 2023109924000018
以下の経路で合成した。
Figure 2023109924000019
工程1 化合物(3,4-ジフルオロフェニル)メタン-d-オールの合成
氷浴中で、化合物3,4-ジフルオロ安息香酸メチル(2.00g,11.62mmol)の無水THF(10mL)溶液を、LiAlD(490mg,11.62mmol)の無水THF(40mL)溶液にゆっくりと滴下し、滴下完了後、室温でさらに60min反応させた。氷浴中で、上記の反応液に重水(3mL)を添加し、さらに30min撹拌した。セライトで濾過し、THFでフィルターケーキを洗浄し、無水硫酸ナトリウムで濾液を乾燥させ、減圧下で濃縮して淡黄色の液体を得た。そのまま次の工程に使用した。
工程2 化合物4-(ブロモメチル-d)-1,2-ジフルオロベンゼン(中間体B-1)の合成
HBr(33%,10mL)を上記の化合物(3,4-ジフルオロフェニル)メタン-d-オールに加え、反応液を還流して1h反応させた。室温に冷却し、DCM(50mL×2)で抽出し、有機層を飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=1%)によって精製して、80%の収率で1.7gの淡黄色の液体を得た。H NMR(300MHz,CDCl) δ 7.26-7.17(m,1H),7.15-7.08(m,2H).
実施例4 1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-5-アミン(中間体C-1)の調製。
Figure 2023109924000020
以下の経路で合成した。
Figure 2023109924000021
工程1 化合物1-(メチル-d)-5-ニトロ-1H-ピラゾールの合成
重水素化ヨードメタン(2.90g,20.0mmol)を、化合物5-ニトロ-1H-ピラゾール(1.13g,10.00mmol)およびKCO(4.14g,30.00mmol)の無水DMF(40mL)溶液に加え、窒素ガス保護下、45℃で反応液を24h反応させた。室温に冷却し、水(100mL)で反応をクエンチし、酢酸エチル(150mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(100mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=35%)によって精製して100mgの淡黄色の油状物を得た。
工程2 化合物1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-5-アミン(中間体C-1)の合成
5%のPt-C(50mg)を、化合物1-(メチル-d)-5-ニトロ-1H-ピラゾール(100mg)の無水メタノールに加え、水素ガス雰囲気で4h反応させた。反応液をセライトで濾過し、減圧下で濾液を濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10%)によって精製して70mgの淡黄色の固体を得た。H NMR(500MHz,DMSO-d) δ 6.96(d,J=1.7Hz,1H),5.22(d,J=1.8Hz,1H),5.08(s,2H).
実施例5 (R)-7-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-((1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オン(化合物I-1)の調製。
Figure 2023109924000022
以下の経路で合成した。
Figure 2023109924000023
工程1 化合物D-1の合成
室温で化合物B-2(460mg,2.22mmol)を、化合物A-1(456mg,1.48mmol)およびNaH(152mg,3.82mmol)の無水DMF(10mL)溶液に加え、室温で2.5h反応させた。水(30mL)で反応をクエンチし、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水(30mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=4%)によって精製して、96.75%の収率で620mgの淡黄色の固体を得た。LC-MS (APCI): m/z=434.2(M+1)H NMR(500MHz,CDCl) δ 8.42(d,J=0.5Hz,1H),7.94(s,1H),7.25-7.19(m,1H),7.18-7.08(m,2H),5.33(d,J=15.0Hz,1H),4.42(dd,J=13.2,1.0Hz,1H),4.28-4.17(m,2H),3.85-3.78(m,1H),3.38(dd,J=9.4,4.9Hz,1H),3.31-3.25(m,4H),2.76(s,3H).
工程2 化合物I-1の合成
窒素ガス保護下で、XantPhos-Pd-G2(15mg,0.015mmol)を、化合物D-1(120mg,0.27mmol)、化合物C-1(64mg,0.64mmol)およびCsCO(190mg,0.58mmol)の無水ジオキサン(8mL)溶液に加え、100℃で一晩反応させた。室温に冷却し、セライトで濾過し、減圧下で濾液を濃縮させ、DCM(200mL)を添加し、飽和食塩水(50mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=5%)によって精製して、92.9%の収率で125mgの褐色の固体を得た。純度:96.78%(HPLC);LC-MS (APCI): m/z=498.3(M+1)H NMR(300MHz,DMSO-d) δ 9.20(s,1H),8.30(s,1H),7.92(s,1H),7.50-7.34(m,2H),7.31(d,J=1.9Hz,1H),7.25(d,J=4.2Hz,1H),6.28(d,J=1.8Hz,1H),5.06(d,J=15.4Hz,1H),4.56-4.29(m,3H),4.10-3.93(m,1H),3.42-3.34(m,2H),3.16(s,3H),2.49(s,3H).
実施例6 (R)-7-((3,4-ジフルオロフェニル)メチル-d)-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オン(化合物I-2)の調製。
Figure 2023109924000024
以下の経路で合成した。
Figure 2023109924000025
工程1 化合物D-2の合成
室温で、化合物B-1(205mg,0.98mmol)を、化合物A-1(200mg,0.65mmol)およびNaH(65mg,1.63mmol)の無水DMF(8mL)溶液に加え、室温で2.5h反応させた。水(30mL)で反応をクエンチし、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水(30mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=4%)によって精製して、67.2%の収率で190mgの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=436.2(M+1)
工程2 化合物I-2の合成
窒素ガス保護下で、XantPhos-Pd-G2(10mg)を、化合物D-2(95mg,0.22mmol)、化合物C-2(50mg,0.54mmol)およびCsCO(142mg,0.44mmol)の無水ジオキサン(6mL)溶液に加え、100℃で一晩反応させた。室温に冷却し、セライトで濾過し、減圧下で濾液を濃縮させ、DCM(100mL)を添加し、飽和食塩水(25mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=6%)によって精製して、83.2%の収率で90mgの褐色の固体を得た。純度:98.69%(HPLC);LC-MS(APCI):m/z=497.2(M+1)H NMR(300MHz,DMSO-d) δ 9.20(s,1H),8.30(s,1H),7.92(s,1H),7.51-7.34(m,2H),7.33-7.29(m,1H),7.29-7.17(m,1H),6.28(d,J=1.8Hz,1H),4.58-4.33(m,2H),4.07-3.92(m,1H),3.68(s,3H),3.41-3.36(m,1H),3.31-3.25(m,1H),3.16(s,3H),2.49(s,3H).
実施例7 (R)-7-((3,4-ジフルオロフェニル)メチル-d)-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-((1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オン(化合物I-3)の調製。
Figure 2023109924000026
以下の経路で合成した。
Figure 2023109924000027
窒素ガス保護下で、XantPhos-Pd-G2(20mg)を、化合物D-2(110mg,0.25mmol)、化合物C-1(60mg,0.63mmol)およびCsCO(165mg,0.50mmol)の無水ジオキサン(8mL)溶液に加え、100℃で一晩反応させた。室温に冷却し、セライトで濾過し、減圧下で濾液を濃縮させ、DCM(120mL)を添加し、飽和食塩水(25mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=6%)によって精製して、92.0%の収率で115mgの褐色の固体を得た。純度:99.19%(HPLC);LC-MS(APCI):m/z=500.2(M+1)H NMR(300MHz,DMSO-d) δ 9.21(s,1H),8.30(s,1H),7.92(s,1H),7.54-7.34(m,2H),7.31(s,1H),7.27-7.17(m,1H),6.28(s,1H),4.57-4.35(m,2H),4.09-3.94(m,1H),3.40-3.36(m,2H),3.15(s,3H),2.49(s,3H).
実施例8 7-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-((メトキシ-d)-メチル)-2-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オン(化合物I-4)、(R)-7-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-((メトキシ-d)-メチル)-2-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オン(化合物I-4-1)、および(S)-7-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-((メトキシ-d)-メチル)-2-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オン(化合物I-4-2)の調製。
Figure 2023109924000028
以下の経路で合成した。
Figure 2023109924000029
工程1 化合物D-3の合成
室温で、化合物B-2(536mg,2.59mmol)を、化合物A-2(530mg,1.72mmol)およびNaH(172mg,4.30mmol)の無水DMF(10mL)溶液に加え、室温で2.5h反応させた。水(30mL)で反応をクエンチし、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水(30mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=4%)によって精製して、87.8%の収率で660mgの淡黄色の固体を得た。LC-MS(APCI):m/z=437.1(M+1)
工程2 化合物I-4の合成
窒素ガス保護下で、XantPhos-Pd-G2(44mg)を、化合物D-3(220mg,0.50mmol)、化合物C-2(121.4mg,1.25mmol)およびCsCO(325mg,1.00mmol)の無水ジオキサン(10mL)溶液に加え、100℃で一晩反応させた。室温に冷却し、セライトで濾過し、減圧下で濾液を濃縮させ、DCM(200mL)を添加し、飽和食塩水(50mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=5%)によって精製して、褐色の固体として205mgのラセミ化合物I-4を得た。LC-MS(APCI):m/z=498.3(M+1)
工程3 化合物I-4-1および化合物I-4-2の合成
キラルカラムによってラセミ化合物I-4を分割して、化合物I-4-1および化合物I-4-2を得た。
実施例9 7-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-((メトキシ-d)-メチル)-2-(5-メチル-2-((1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オン(化合物I-5)、(R)-7-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-((メトキシ-d)-メチル)-2-(5-メチル-2-((1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オン(化合物I-5-1)、(S)-7-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-((メトキシ-d)-メチル)-2-(5-メチル-2-((1-(メチル-d)-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オン(化合物I-5-2)の調製。
Figure 2023109924000030
以下の経路で合成した。
Figure 2023109924000031
工程1 化合物I-5の合成
窒素ガス保護下で、XantPhos-Pd-G2(44mg)を、化合物D-3(220mg,0.50mmol)、化合物C-1(125mg,1.25mmol)およびCsCO(325mg,1.00mmol)の無水ジオキサン(10mL)溶液に加え、100℃で一晩反応させた。室温に冷却し、セライトで濾過し、減圧下で濾液を濃縮させ、DCM(200mL)を添加し、飽和食塩水(50mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=5%)によって精製して、褐色の固体として225mgのラセミ化合物I-5を得た。LC-MS(APCI):m/z=501.3(M+1)
工程2 化合物I-5-1および化合物I-5-2の合成
キラルカラムによってラセミ化合物I-5を分割して、化合物I-5-1および化合物I-5-2を得た。
生物活性試験
(1)代謝安定性の評価
ミクロソーム実験:ヒト肝臓ミクロソーム:0.5mg/mL,Xenotech;補酵素(NADPH/NADH):1mM,Sigma Life Science;塩化マグネシウム:5mM、100mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4)。
ストック溶液の調製:一定量の実施例化合物および対照化合物の粉末を正確に秤量し、それぞれDMSOで5mMに溶解した。
リン酸塩緩衝液(100mM,pH7.4)の調製:予め用意された0.5Mのリン酸二水素カリウム150mLと0.5Mのリン酸水素二カリウム溶液700mLとを混合し、更に0.5Mのリン酸水素二カリウム溶液で混合液のpH値を7.4に調整し、使用前に超純水で5倍に希釈し、塩化マグネシウムを加えて、リン酸カリウム100mM、塩化マグネシウム3.3mMを含む、pHが7.4であるリン酸塩緩衝液(100mM)を得た。
NADPH再生系溶液(6.5mMのNADP、16.5mMのG-6-P、3U/mLのG-6-PD、3.3mMの塩化マグネシウムを含む)を調製し、使用前に湿った氷上に置いた。
停止液の調製:50ng/mLの塩酸プロプラノロールと200ng/mLのトルブタミド(内部標準)を含むアセトニトリル溶液。25057.5μLのリン酸塩緩衝液(pH7.4)を50mLの遠心管に入れ、ヒト肝臓ミクロソームを812.5μL添加し、均一に混合して、タンパク質濃度が0.625mg/mLの肝臓ミクロソーム希釈液を得た。
サンプルのインキュベーション:対応する化合物のストック溶液を、70%アセトニトリルを含む水溶液でそれぞれ0.25mMに希釈し、作業溶液として使用した。398μLのヒト肝臓ミクロソームの希釈液を96ウェルのインキュベーションプレート(N=2)に加え、0.25mMの作業溶液2μLに添加して均一に混合した。
代謝安定性アッセイ:予め冷却された停止液300μLを96ウェルのディープウェルプレートの各ウェルに添加し、氷上に置いて停止プレートとした。96ウェルのインキュベーションプレートおよびNADPH再生系を37℃の水浴に置いて、100rpmで振とうし、5分間プレインキュベートした。インキュベーションプレートの各ウェルから80μLのインキュベーション溶液を取出し、停止プレートに加え、均一に混合し、NADPH再生系溶液20μLを補充して0分間サンプルとした。インキュベーションプレートの各ウェルに80μLのNADPH再生系溶液を更に添加し、反応を開始し、時間を計り始めた。対応する化合物の反応濃度は1μMで、タンパク濃度は0.5mg/mLである。反応の10分間、30分間、90分間に、それぞれ100μLの反応液を採取し、停止プレートに加え、3分間ボルテックス操作を行い、反応を停止させた。5000×g、4℃の条件下で停止プレートを10分間遠心分離した。予め100μLの蒸留水を入れた96ウェルプレートに、100μLの上清を加え、均一に混合し、LC-MS/MSを用いてサンプルを分析した。
データ分析:LC-MS/MSシステムによって対応する化合物および内部標準のピーク面積を検出し、化合物と内部標準のピーク面積の比を計算した。時間に対する化合物残存量の百分率の自然対数をプロットすることによって、傾きを測定して、以下の式に従ってt1/2及びCLintを計算した。ここで、V/Mは1/タンパク質濃度に等しい。
Figure 2023109924000032
1/2(min);CLint(μL/min/mg)
本発明の化合物および重水素化されていない化合物を同時に試験して比較することにより、ヒト肝臓ミクロソームにおける化合物の代謝安定性を評価した。なお、重水素化されていない化合物であるAZD0364を対照サンプルとして使用した。ヒト肝臓ミクロソームの実験において、重水素化されていない化合物であるAZD0364と比較して、本発明の化合物は、代謝安定性が大幅に改善された。代表的な実施例化合物の肝臓ミクロソーム実験結果を以下の表1に示す。
表1
Figure 2023109924000033
(2)ラットにおける薬物動態実験
6匹のSprague-Dawleyラット(オス、7-8週齢、体重約210g)を2グループに分け、各グループ3匹ずつ、それぞれに、経静脈または経口(経口10mg/kg)で単回投与量の化合物を投与し、その薬物動態学の差異を比較した。
標準飼料でラットを飼育し、水を与えた。試験の16時間前から絶食させた。薬物をPEG400およびジメチルスルホキシドで溶解した。投与した後の0.083時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間の時点で眼窩採血を行った。
ラットにエーテルを吸入させて一時麻酔を行い、眼窩から300μLの血液サンプルを採取して試験管に入れた。試験管中には1%のヘパリン塩溶液30μLがある。使用前に、試験管を60℃で一晩乾燥させた。最後の時点の血液サンプルの採取が完了した後、エーテルで麻酔した後にラットを殺処分した。
血液サンプルを採取した直後に、穏やかに試験管を少なくとも5回転倒させ、十分に混合し、氷上に置いた。血液サンプルを4℃、5000rpmで5分間遠心分離して、赤血球と血漿を分離した。100μLの血漿をピペットで清潔なプラスチック遠心管に入れ、化合物の名称と時点を表記した。分析まで血漿を-80℃で保存した。血漿中の本発明の化合物濃度をLC-MS/MSにより測定した。薬物動態パラメーターは、異なる時点における各動物の血中濃度に基づいて計算した。
実験は、本発明の化合物が動物の体内でより優れた薬物動態特性を有し、したがってより優れた薬力学および治療効果を有することを示す。
(3) ERK2キナーゼ抑制作用
試薬および材料:
ERK2キナーゼ(Promega、カタログ番号V1961)、RET(V804M)、Active(Signalchem、カタログ番号R02-12GG)、ADP-Glo TMキット(Promega、カタログ番号V9102)、GDC-0994(MCE、カタログ番号HY-15947)、ATP(Promega、カタログ番号V910B)、DMSO(Sigma、カタログ番号D8418)、DTT(Invitrogen、カタログ番号P2325)、384ウェルプレート(Greiner、カタログ番号784075)、ポリプロピレン製384ウェルプレート(Labcyte、カタログ番号P-05525-BC)、ポリプロピレン製96ウェルプレート(Nunc、カタログ番号249944)、プレートシェーカー(Thermo、カタログ番号4625-1 CECN/THZ Q)、遠心分離機(Eppendorf、カタログ番号5810R)、マルチラベルプレートリーダーEnvision 2104 multi-label Reader(PerkinElmer、カタログ番号74785)、Echo acoustic dispenser(Labcyte、カタログ番号550)。
具体的な実験法:
化合物の調製:試験化合物をDMSOに溶解して、10mMのストック溶液を調製した。次に、ストック溶液を3倍の勾配で10回希釈した。薬物を添加する場合、緩衝液で10倍希釈した。
ERK2キナーゼアッセイ:1×キナーゼ緩衝液で、ERK2キナーゼを、異なる濃度を事前に希釈した化合物と10分間混合した。実験は、各濃度ごとに2回ずつ行った。対応する基質およびATPを加え、室温で20分間反応させた(陰性対照と陽性対照の両方を設置し、陰性対照はブランク対照であり、陽性対照はGDC-0994である)。反応が完了した後に、検出試薬(ADP-Glo TMキット内の試薬)を添加し、室温で40分間インキュベートした後、Envision 2104 multi-label Readerマルチラベルプレートリーダーを使用して、異なる濃度の本発明化合物の存在下で酵素活性を検出し、酵素活性に対する異なる濃度の化合物の阻害活性を算出した。GraphPad Prism 6.0ソフトウェアによってデータ分析を行い、非線形曲線回帰でデータをフィットさせ、用量反応曲線を作成して、IC50値を算出した。
本発明の化合物は、上記のキナーゼ阻害実験で試験された。AZD0364に比較して、本発明の化合物は、ERK2キナーゼに対するより強い活性を示す。代表的な実施例化合物の結果を以下の表2にまとめた。
表2:
Figure 2023109924000034
(4) A375細胞アッセイ
対数増殖期の細胞を採取し、トリパンブルー色素排除法で細胞生存率を検出し、細胞生存率が90%以上であることを確保した。細胞濃度を調整し、150μLの細胞懸濁液を96ウェルプレートに加え、37℃、5%COで16時間インキュベートした。試験する薬物の最大濃度は10μMであり、3倍の勾配希釈で10濃度に希釈した。96ウェルプレートの各ウェルに50μLの薬物溶液をデュープリケート(in duplicate)で加え、インキュベーションを4時間続けた。培地を除去した後、0.2mlの細胞溶解溶液および1mlのPMSFを各ウェルに加え、氷上で30分間インキュベートし、4℃で10分間遠心分離して細胞溶解溶液を得た。PathScan(登録商標)Phospho-p90RSK(Thr359)サンドイッチELISAキット(CST、カタログ番号91959C)を使用して、本発明の化合物のphospho-p90RSKに対する阻害率を検出し、各ウェルに100μLの細胞溶解液を添加し、4℃で一晩インキュベートした。プレートを洗浄し、100μLの再構成検出抗体(reconstituted Detection Antibody)を加え、37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、100μLの西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識二次抗体(reconstituted HRP-Linked secondary antibody)を加え、37℃で30分間インキュベートした。プレートを洗浄し、100μLのTMB発色液(TMB Substrate)を添加し、25℃で30分間インキュベートした後、100μLのSTOP Solutionを添加し、EnVision(Perkin Elmer 2104)で蛍光値を検出し、さまざまな濃度の化合物の影響下での阻害率を算出した。IC50の計算は、Prism Graphpad8.0ソフトウェアを使用して実行された。
Phospho-p90RSK細胞アッセイは、A375細胞株で実施された。この細胞株は、MAPK経路をアップレギュレートしたBRAF V600E変異を伴うヒト悪性黒色腫を有し、したがって、phospho-ERKおよびphospho-p90RSKの内因性レベルを増加させた。実験の結果は、AZD0364と比較して、本発明の化合物は、phospho-p90RSKに対してより良好な阻害効果を有することを示している。代表的な実施例化合物の結果を以下の表3にまとめた。
表3:
Figure 2023109924000035
上記の内容は、特定の好ましい実施形態を参照して本発明に対するさらなる詳細な説明であるが、本発明の実施形態がこれらの記載に限定されない。当業者にとって明らかであるように、本発明の精神から逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは、すべてが本発明の保護範囲内にあるとみなされるべきである。

Claims (13)

  1. 式(I)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物であって、
    Figure 2023109924000036
    ただし、
    、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、またはトリフルオロメチルから選択され;
    、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
    、XおよびXは、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
    追加の条件は、前記化合物が少なくても1つの重水素原子を含むことである、
    式(I)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
  2. 前記の化合物が式(II)で表われる化合物であって、
    Figure 2023109924000037
    ただし、
    、R、RおよびRが、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
    、XおよびXが、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
    追加の条件は、前記化合物が少なくても1つの重水素原子を含むことである、
    請求項1に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
  3. 前記の化合物が式(III)で表われる化合物であって、
    Figure 2023109924000038
    ただし、
    、R、RおよびRが、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
    、XおよびXが、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
    追加の条件は、前記化合物が少なくても1つの重水素原子を含むことである、
    請求項2に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
  4. 前記の化合物が式(IV)で表われる化合物であって、
    Figure 2023109924000039
    ただし、
    、R、RおよびRが、それぞれ独立して水素または重水素から選択され;
    、XおよびXが、それぞれ独立してCH、CD、CHDまたはCHDから選択され;
    追加の条件は、前記化合物が少なくても1つの重水素原子を含むことである、
    請求項2に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
  5. およびRが水素である、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
  6. がCHである、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
  7. およびRがそれぞれ独立して水素である、
    請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
  8. がCDである、
    請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物。
  9. がCDである、
    請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
  10. 前記の化合物が、
    Figure 2023109924000040
    Figure 2023109924000041
    Figure 2023109924000042
    からなる群から選択される、
    請求項1に記載の化合物。
  11. 薬学的に許容される賦形剤と
    請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物と
    を含む、医薬組成物であって、
    好ましくは、他の治療剤をさらに含み、
    好ましくは、前記の他の治療剤がMEK阻害剤から選択される、医薬組成物。
  12. RAS/RAF/MEK/ERKキナーゼ、ERKキナーゼ、KARSキナーゼ、またはBRAF変異型キナーゼから選択されるキナーゼによって調節される増殖性疾患を治療および/または予防する医薬品の調製における、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物、若しくは請求項11に記載の医薬組成物の使用であって、
    好ましくは、前記のERKキナーゼがERK2キナーゼであり、
    好ましくは、前記のBRAF変異型キナーゼがBRAF V600E変異型キナーゼである、前記の使用。
  13. 前記の増殖性疾患が非小細胞肺癌、膵臓癌、または結腸直腸癌から選択される、
    請求項12に記載の使用。
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