JP2023107107A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス薄膜を含んでいながら、耐屈曲性に優れ、かつ、耐衝撃性に優れた積層体。【解決手段】厚みが25μm以上75μm以下であるガラス薄膜と、25℃における貯蔵弾性率が0.3GPa以上3GPa以下である硬質層と、25℃における貯蔵弾性率が0.0001GPa以上0.1GPa以下である柔軟層とを、この順に含む、積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体に関する。
ガラスで形成された膜は、樹脂と比較して、通常高い透明性、耐引っ掻き性などの優れた特性を有するため、画像表示装置などの光学要素の部材として用いられている。
ところで、近年、光学要素に含まれる電子回路などを折り曲げ可能とする技術の開発が進み、折り曲げ可能な画像表示装置も出現している。
折り曲げ可能な画像表示装置にも、その優れた特性からガラス膜が使用される場合があり、ガラス膜に柔軟性及び耐衝撃性を付与するために、所定のガラス膜と所定の樹脂層とを組み合わせる技術が知られている(特許文献1参照)。
国際公開第2019/066078号
ガラス膜は、通常樹脂層と比較して硬いが脆く、ガラス膜を折り曲げ可能とするために薄くすると、十分な耐衝撃性が得られない場合があった。例えば、ペンなどによるタッチ入力方式の画像表示装置は、入力の際に衝撃が与えられて、含まれるガラス膜が破損することがありえる。
そのため、ガラス薄膜を含んでいながら、耐屈曲性に優れ、かつ、耐衝撃性に優れた積層体が求められる。
本発明者は、前記課題を解決するべく、鋭意検討した結果、所定の厚み範囲のガラス薄膜と、25℃における貯蔵弾性率がそれぞれ所定の範囲にある、硬質層及び柔軟層とを組み合わせることにより、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下を提供する。
[1] 厚みが25μm以上75μm以下であるガラス薄膜と、
25℃における貯蔵弾性率が0.3GPa以上3GPa以下である硬質層と、
25℃における貯蔵弾性率が0.0001GPa以上0.1GPa以下である柔軟層とを、この順に含む、積層体。
[2] 前記ガラス薄膜と前記硬質層とが直接し、前記硬質層と前記柔軟層とが直接する、[1]に記載の積層体。
[3] 前記硬質層が、ケイ素原子を含有する基を有する重合体を含む熱可塑性樹脂、又は、有機ケイ素化合物を含む熱可塑性樹脂を含む、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 前記ケイ素原子を含有する基を有する重合体が、水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体の、ケイ素原子を含有する化合物による変性体である、[3]に記載の積層体。
[5] 前記有機ケイ素化合物が、シランカップリング剤である、[3]に記載の積層体。
[6] 前記硬質層がフィラーを含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載の積層体。
[7] 前記硬質層の50℃における貯蔵弾性率が0.25GPa以上3GPa以下である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の積層体。
[8] 前記硬質層のtanδが25℃以上で極大値をもち、ここで、tanδは、損失弾性率の貯蔵弾性率に対する比率(損失弾性率/貯蔵弾性率)を表す、[1]~[7]のいずれか一項に記載の積層体。
[9] 前記硬質層の厚み及び前記柔軟層の厚みの合計が100μm未満である、[1]~[8]のいずれか一項に記載の積層体。
本発明によれば、ガラス薄膜を含んでいながら、耐屈曲性に優れ、かつ、耐衝撃性に優れた積層体を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。以下に示す実施形態の構成要素は、適宜組み合わせうる。
以下の説明において、「(メタ)アクリル」の文言は、「アクリル」、「メタクリル」及びこれらの組み合わせを包含する。
層の貯蔵弾性率、損失弾性率、及び損失正接tanδ(損失弾性率/貯蔵弾性率)は、動的粘弾性測定装置により測定しうる。動的粘弾性測定の条件は、測定温度範囲20℃~130℃、昇温速度3℃/min、周波数1Hzとしうる。
[1.積層体の概要]
本発明の一実施形態に係る積層体は、厚みが25μm以上75μm以下であるガラス薄膜と、25℃における貯蔵弾性率が0.3GPa以上3GPa以下である硬質層と、25℃における貯蔵弾性率が0.0001GPa以上0.1GPa以下である柔軟層とを、この順に含む。本実施形態に係る積層体が、前記の構成を有することにより、積層体が、優れた耐屈曲性及び優れた耐衝撃性を同時に備えうる。
積層体は、ガラス薄膜、硬質層、及び柔軟層に加えて、任意の層を含みうる。
積層体を薄くする観点、また、積層体を曲げやすくする観点から、積層体は、ガラス薄膜と硬質層との間に、任意の層を備えないことが好ましい。また積層体は、硬質層と柔軟層との間に、任意の層を備えないことが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層体100を模式的に示す断面図である。
積層体100は、ガラス薄膜110、硬質層120、柔軟層130を、厚み方向にこの順で含む。ガラス薄膜110の二つの主面のうち一方の主面110Uと、硬質層120の二つの主面のうち一方の主面120Dとは、直接している。硬質層120の二つの主面のうち、他方の主面120Uと、柔軟層130の二つの主面のうち一方の主面130Dとは、直接している。このように、積層体100のガラス薄膜110と硬質層120とが直接し、硬質層120と柔軟層130とが直接していることにより、積層体100を屈曲させた場合にガラス薄膜110がより破損しにくくなる。
別の実施形態では、積層体は、ガラス薄膜と硬質層との間に、接着性を有する接着層などの任意の層を備えていてもよい。また別の実施形態では、積層体は、硬質層と柔軟層との間に、任意の層を備えていてもよい。
更に別の実施形態では、積層体は、ガラス薄膜の二つの主面のうち、硬質層と対向していない主面上に、樹脂層が設けられていてもよい。この樹脂層は、損失正接tanδの極大が、(20℃-15℃)以上(20℃+15℃)以下の範囲にあることが好ましい。ガラス薄膜の主面上に、tanδの極大が前記温度範囲にある樹脂層が設けられていることにより、積層体に加わる衝撃を和らげることができ、また積層体に衝撃の跡が残りにくい。
[2.ガラス薄膜]
ガラス薄膜の厚みは、通常75μm以下、好ましくは70μm以下、より好ましくは65μm以下である。本実施形態の積層体は、ガラス薄膜の厚みがこのように薄くても、耐衝撃性に優れる。また積層体が優れた耐屈曲性を備え、ガラス薄膜の破損が抑制されうる。
ガラス薄膜の厚みは、通常25μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは35μm以上である。ガラス薄膜の厚みが、前記下限値以上であることにより、積層体が優れた耐衝撃性を備えうる。
ガラス薄膜を形成するガラスの例としては、特に限定されないが、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。
ガラス薄膜には、洗浄処理、表面処理、ガラス薄膜を薬液に浸漬する化学強化処理などの処理がされていてもよい。
[3.硬質層]
[3.1.硬質層の物性]
硬質層は、25℃における貯蔵弾性率が、通常0.3GPa以上、好ましくは0.35GPa以上、より好ましくは0.4GPa以上である。硬質層の25℃における貯蔵弾性率が前記下限値以上であることによって、ガラス薄膜のたわみを低減して、ガラス薄膜の破損を抑制できる。
硬質層は、25℃における貯蔵弾性率が、通常3GPa以下、好ましくは2.5GPa以下、より好ましくは2GPa以下である。硬質層の25℃における貯蔵弾性率が前記上限値以下であることによって、耐屈曲性に優れた積層体としうる。
硬質層は、50℃における貯蔵弾性率が、好ましくは0.25GPa以上、より好ましくは0.3GPa以上、更に好ましくは0.35GPa以上である。硬質層は、50℃における貯蔵弾性率が、通常3GPa以下、好ましくは2.5GPa以下、より好ましくは2GPa以下である。硬質層の50℃における貯蔵弾性率が前記範囲内にあることによって、室温よりも高い温度においても、ガラス薄膜のたわみを低減してガラス薄膜の破損を抑制でき、また耐屈曲性に優れた積層体としうる。
硬質層の25℃における貯蔵弾性率は、硬質層を形成する材料の成分及び配合を調整することにより、調整できる。例えば、硬質層に含まれうる重合体の弾性率に応じて、フィラーを硬質層を形成する材料に添加することにより、調整できる。通常、硬質層を形成する材料に含まれるフィラーの重量割合を大きくすることにより、硬質層の25℃における貯蔵弾性率をより大きくしうる。
硬質層は、損失正接tanδ(すなわち、損失弾性率の貯蔵弾性率に対する比率(損失弾性率/貯蔵弾性率))が、25℃以上で極大値をもつことが好ましい。硬質層の損失正接tanδが、複数の極大を有している場合には、複数の極大のうち少なくとも一つの極大における温度が、25℃以上であることが好ましい。
硬質層のtanδが、25℃以上で極大値を持つことにより、硬質層に復元性を付与することができ、その結果、屈曲の跡が残りにくい積層体としうる。
硬質層のtanδが極大値を示す温度は、好ましくは25℃以上、より好ましくは40℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、上限は、例えば4000℃以下であってもよい。
硬質層の破断伸び(引張破壊伸び)は、好ましくは110%以上、より好ましくは120%以上、更に好ましくは125%以上であり、大きいほど好ましいが、1000%以下であってもよい。硬質層の破断伸びは、JIS K7127に従い測定しうる。
硬質層の破断伸びが、前記下限値以上であることにより、積層体の耐屈曲性をより優れたものとしうる。また、曲げた際ガラス薄膜にかかる応力が局部的に集中しにくい。
[3.2.硬質層の材料]
硬質層を形成するための材料は、前記25℃における貯蔵弾性率の条件を満たしうる限り、任意である。硬質層を形成するための材料の例としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は通常重合体と必要に応じて含まれる任意成分とを含む。
硬質層を形成するための熱可塑性樹脂に含まれうる重合体の例としては、脂環式構造を含有する重合体;ポリスチレンなどの、ビニル芳香族化合物の重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリフェニレンサルファイド等のポリアリーレンサルファイド;ポリビニルアルコール;ポリカーボネート;ポリアリレート;セルロースエステル重合体;ポリエーテルスルホン;ポリスルホン;ポリアリールスルホン;ポリ塩化ビニル;棒状液晶ポリマー;ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系重合体;これらの多元共重合ポリマーなどが挙げられる。
重合体は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。また、熱可塑性樹脂は、重合体を一種単独で含んでいてもよく、重合体を二種以上の組み合わせで含んでいてもよい。
(ケイ素原子を含有する基を有する重合体を含む熱可塑性樹脂)
一実施形態において、硬質層は、好ましくは、ケイ素原子を含有する基を有する重合体を含む熱可塑性樹脂を含む。
以下の説明において、「ケイ素原子を含有する基」を、適宜「Si含有基」ということがある。また、ケイ素原子を含有する基を有する重合体を、適宜「Si重合体」ということがある。
一実施形態において、硬質層は、Si重合体を含む熱可塑性樹脂のみを含むことが好ましい。硬質層に含まれる熱可塑性樹脂は、Si重合体と有機ケイ素化合物とを組み合わせて含んでいてもよい。
Si重合体は、ガラスに対して高い親和性を有する。そのため、Si重合体を含む熱可塑性樹脂を含む硬質層は、ガラス薄膜に対して高い接着力を有することができる。また、この硬質層は、屈曲に対する積層体の耐性を向上させることができる。
Si含有基は、通常極性を有する極性基でありうる。よって、Si含有基が有する極性により、Si重合体とガラスとは、高い親和性を有することができる。したがって、Si重合体を含む硬質層は、ガラス薄膜と高い接着強度で貼り合わされうる。
Si含有基としては、アルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基は、ガラス薄膜の表面に一般に存在する水酸基と反応して結合を生じることができる。したがって、前記の結合によってガラス薄膜と硬質層との接着強度を効果的に高めることができる。
アルコキシシリル基としては、例えば、トリアルコキシシリル基、アルキルジアルコキシシリル基、アリールジアルコキシシリル基などが挙げられる。
トリアルコキシシリル基の炭素原子数は、3~9が好ましい。トリアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
アルキルジアルコキシシリル基の炭素原子数は、3~20が好ましい。アルキルジアルコキシシリル基としては、例えば、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、プロピルジメトキシシリル基、プロピルジエトキシシリル基等が挙げられる。
アリールジアルコキシシリル基の炭素原子数は、8~16が好ましい。アリールジアルコキシシリル基としては、例えば、フェニルジメトキシシリル基、フェニルジエトキシシリル基等が挙げられる。
中でも、ガラス薄膜と硬質層との接着強度を効果的に高める観点から、トリメトキシシリル基が好ましい。Si含有基は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
Si重合体は、Si含有基を導入される前の重合体に、Si含有基が導入された構造を有しうる。Si含有基が導入される前の重合体は、通常、Si含有基を含まない。以下の説明では、Si含有基を導入される前の重合体を、Si重合体と区別するため、「反応前重合体」ということがある。例えば、Si含有基としてアルコキシシリル基を有するSi重合体は、反応前重合体に、アルコキシシリル基が導入された構造を有しうる。
Si重合体は、Si含有基を有するグラフト重合体であってもよい。Si含有基を有するグラフト重合体の例としては、Si含有基を含む構造単位を含むグラフト重合体が挙げられる。Si含有基を含む構造単位とは、Si含有基を有する単量体を重合して得られる構造を有する単位を表す。Si含有基を含む構造単位を含むグラフト重合体は、ある反応前重合体と、Si含有基を有する単量体とのグラフト重合により得られる構造を有する重合体でありうる。ただし、前記のグラフト重合体は、その製造方法によっては限定されない。
反応前重合体としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体などのエチレン-α-オレフィン共重合体;エチレン-α-オレフィン-ポリエン共重合体;エチレン-メチルメタクリレート、エチレン-ブチルアクリレートなどのエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン-酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルなどのアクリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ブタジエン-イソプレン共重合体、ブタジエン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ブタジエン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル-アクリロニトリル-スチレン共重合体などのジエン系共重合体;ブチレン-イソプレン共重合体;スチレン-ブタジエンランダム共重合体、スチレン-イソプレンランダム共重合体、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体などの芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体;水素化スチレン-ブタジエンランダム共重合体、水素化スチレン-イソプレンランダム共重合体、水素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、水素化スチレン-イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体などの、水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体;並びに低結晶性ポリブタジエン、スチレングラフトエチレン-プロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、及びエチレン系アイオノマーを挙げることができる。反応前重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、反応前重合体としては、芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体、水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体、及びこれらの組み合わせから選ばれる重合体が好ましい。よって、Si重合体は、芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体、水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体、及びこれらの組み合わせから選ばれる重合体に、Si含有基が導入された構造を有することが好ましく、水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体に、Si含有基が導入された構造を有することがより好ましい。
すなわち、Si重合体は、芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体、水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体、及びこれらの組み合わせから選ばれる重合体の、ケイ素原子を含有する化合物による変性体であることが好ましく、水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体の、ケイ素原子を含有する化合物による変性体がより好ましい。
ここで、ケイ素原子を含有する化合物による変性体は、ケイ素原子を含有する化合物により変性されて得られる構造を有し、変性体は、その製造方法により限定されない。
芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体としては、芳香族ビニル化合物-共役ジエンブロック共重合体が好ましい。芳香族ビニル化合物-共役ジエンブロック共重合体は、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、及びこれらの混合物から選ばれるものであることが好ましい。
水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体は、芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体の水素化物を表す。即ち、水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体は、芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体の主鎖及び側鎖の炭素-炭素不飽和結合、芳香環の炭素-炭素結合、又はこれらの両方の、一部又は全部を水素化して得られる構造を有するものである。ただし、共重合体及び水素化物は、その製造方法によっては限定されない。
水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体の水素化率は、通常90%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上である。水素化率が高いほど、樹脂の耐熱性及び耐光性を良好にできる。ここで、水素化物の水素化率は、1H-NMRによる測定により求めることができる。
水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体の主鎖及び側鎖の炭素-炭素不飽和結合の水素化率は、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上である。水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体の主鎖及び側鎖の炭素-炭素不飽和結合の水素化率を高めることにより、樹脂の耐光性及び耐酸化性を更に高くできる。
また、水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体の芳香環の炭素-炭素不飽和結合の水素化率は、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上、特に好ましくは95%以上である。芳香環の炭素-炭素不飽和結合の水素化率を高めることにより、水素化物のガラス転移温度が高くなるので、樹脂の耐熱性を効果的に高めることができる。さらに、樹脂の光弾性係数を下げて、硬質層のレターデーションの発現を低減することができる。
水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体としては、水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエンブロック共重合体が好ましい。水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエンブロック共重合体は、水素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、水素化スチレン-イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、及びこれらの混合物から選ばれるものであることが好ましい。これらのより具体的な例としては、特開平2-133406号公報、特開平2-305814号公報、特開平3-72512号公報、特開平3-74409号公報、及び国際公開第2015/099079号などの技術文献に記載されているものが挙げられる。
水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエンブロック共重合体としては、共役ジエンの不飽和結合及び芳香環の両方を水素化してなる構造を有するものが好ましい。
水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエンブロック共重合体の特に好ましいブロックの形態は、共役ジエン重合体水素化物のブロック[B]の両端に芳香族ビニル重合体水素化物のブロック[A]が結合したトリブロック共重合体;重合体ブロック[A]の両端に重合体ブロック[B]が結合し、更に、該両重合体ブロック[B]の他端にそれぞれ重合体ブロック[A]が結合したペンタブロック共重合体である。特に、[A]-[B]-[A]のトリブロック共重合体であることが、製造が容易であり且つ当該ブロック共重合体の物性を好ましい範囲にできるため、特に好ましい。
水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエンブロック共重合体において、全重合体ブロック[A]がブロック共重合体全体に占める重量分率wAと、全重合体ブロック[B]がブロック共重合体全体に占める重量分率wBとの比(wA/wB)は、通常20/80以上、好ましくは30/70以上であり、通常60/40以下、好ましくは55/45以下である。前記の比wA/wBが前記範囲の下限値以上である場合、樹脂の耐熱性を向上させることができる。また、上限値以下である場合、樹脂の柔軟性を高めることができる。さらに、比wA/wBが前記範囲にある場合、ガラス薄膜の屈曲による破損を特に効果的に抑制できる。
前記の反応前重合体とSi含有基を有する化合物とを反応させることにより、反応前重合体にSi含有基を導入して、Si重合体を得ることができる。具体例を挙げると、反応前重合体と、Si含有基を有する単量体とを反応させることにより、Si含有基を有するグラフト重合体を得ることができる。単量体として用いうるSi含有基を有する化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、p-スチリルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び2-ノルボルネン-5-イルトリメトキシシランなどの、アルコキシシリル基を有するエチレン性不飽和シラン化合物が挙げられる。Si含有基を有する化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
アルコキシシリル基を導入する場合、アルコキシシリル基の導入量は、反応前重合体100重量部に対し、通常0.1重量部以上、好ましくは0.2重量部以上、より好ましくは0.3重量部以上であり、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下である。アルコキシシリル基の導入量が前記範囲にある場合、水分によって分解されたアルコキシシリル基同士の架橋度が過剰に高くなることを抑制できるので、接着性を高く維持することができる。アルコキシシリル基の導入方法の例としては、国際公開第2015/099079号に記載されているものが挙げられる。また、Si含有基の量は、H-NMRスペクトルにて計測しうる。Si含有基の量の計測の際、Si含有基の量が少ない場合は、積算回数を増やして計測しうる。
上述したように反応前重合体にアルコキシシリル基を導入することは、シラン変性と呼ばれる。シラン変性に際しては、反応前重合体にアルコキシシリル基を直接結合させてもよく、例えばアルキレン基などの2価の有機基を介して結合させてもよい。以下、反応前重合体のシラン変性により得られた重合体を「シラン変性重合体」ともいうことがある。シラン変性重合体としては、水素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体のシラン変性物、水素化スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体のシラン変性物、水素化スチレン-イソプレンブロック共重合体のシラン変性物、及び水素化スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体のシラン変性物から選ばれる一種以上の重合体が好ましい。
Si重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20000以上、より好ましくは30000以上、特に好ましくは35000以上であり、好ましくは200000以下、より好ましくは100000以下、特に好ましくは70000以下である。また、Si重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、特に好ましくは2以下であり、好ましくは1以上である。ここで、Mnは、数平均分子量を表す。Si重合体の重量平均分子量Mw及び分子量分布Mw/Mnが前記の範囲にある場合、樹脂の機械強度及び耐熱性を向上させることができる。重合体の重量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒としたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう。)により、ポリスチレン換算の値で測定しうる。
Si重合体のガラス転移温度Tgは、特段の制限は無いが、好ましくは40℃以上、より好ましくは70℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは160℃以下である。ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置を用いて測定される損失正接tanδ(損失弾性率/貯蔵弾性率)のピークから測定できる。
熱可塑性樹脂に含まれるSi重合体の量は、熱可塑性樹脂100重量%に対して、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上であり、通常100重量%以下、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下、特に好ましくは85重量%以下である。
(有機ケイ素化合物を含む熱可塑性樹脂)
別の実施形態において、硬質層は、好ましくは、有機ケイ素化合物を含む熱可塑性樹脂を含む。一実施形態において、硬質層は、有機ケイ素化合物を含む熱可塑性樹脂のみを含むことが好ましい。
有機ケイ素化合物は、ガラスに対して高い親和性を有する。そのため、有機ケイ素化合物を含む熱可塑性樹脂を含む硬質層は、ガラス薄膜に対して高い接着力を有することができる。また、この硬質層は、屈曲に対する積層体の耐性を向上させることができる。
有機ケイ素化合物を含む熱可塑性樹脂は、通常、重合体と有機ケイ素化合物とを組み合わせて含む。重合体としては、例えば、アクリル系重合体、ウレタン系重合体、ポリエステル系重合体、ゴム系重合体、エポキシ系重合体が挙げられる。また、重合体としては、例えば、上述したSi重合体を用いてもよく、その反応前重合体を用いてもよい。重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
有機ケイ素化合物を含む熱可塑性樹脂が含む重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に制限は無いが、Si重合体の重量平均分子量(Mw)の範囲と同じ範囲にあることが好ましい。また、有機ケイ素化合物を含む熱可塑性樹脂が含む重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、Si重合体の分子量分布(Mw/Mn)の範囲と同じ範囲にあることが好ましい。さらに、有機ケイ素化合物を含む熱可塑性樹脂が含む重合体のガラス転移温度は、Si重合体のガラス転移温度の範囲と同じ範囲にあることが好ましい。
有機ケイ素化合物を含む熱可塑性樹脂に含まれる重合体の量は、Si重合体を含む熱可塑性樹脂に含まれるSi重合体の量の範囲と同じ範囲にあることが好ましい。
有機ケイ素化合物は、有機基とケイ素原子とを組み合わせて含む。熱可塑性樹脂が含む重合体等の有機成分に対して、有機ケイ素化合物の有機基は、高い親和性を発揮できる。また、ガラス薄膜に対して、有機ケイ素化合物が有するケイ素原子は、高い親和性を発揮できる。したがって、有機ケイ素化合物を含む硬質層は、ガラス薄膜に対する高い接着性を有する。
有機ケイ素化合物としては、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤によれば、ガラス薄膜と硬質層との接着強度を特に効果的に高めることができる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、及び3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
有機ケイ素化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
有機ケイ素化合物の量は、重合体100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.03重量部以上、特に好ましくは0.05重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、特に好ましくは3重量部以下である。
(脂環式構造含有重合体を含む熱可塑性樹脂)
別の実施形態において、硬質層を形成するための熱可塑性樹脂は、好ましくは、重合体として脂環式構造含有重合体を含む。
脂環式構造含有重合体とは、繰り返し単位中に脂環式構造を含有する重合体である。脂環式構造含有重合体は、通常、機械的強度、透明性、低吸水性、耐湿性、寸法安定性及び軽量性に優れる。脂環式構造含有重合体は、非晶性でもよいし、結晶性であってもよい。
脂環式構造含有重合体の例としては、環状オレフィンを単量体として用いた重合反応によって得られうる重合体又はその水素化物などが挙げられる。また、前記の脂環式構造含有重合体としては、主鎖中に脂環式構造を含有する重合体、及び、側鎖に脂環式構造を含有する重合体のいずれも用いることができる。中でも、脂環式構造含有重合体は、主鎖に脂環式構造を含有することが好ましい。脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
1つの脂環式構造に含まれる炭素原子の数は、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上、より好ましくは6個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下である。1つの脂環式構造に含まれる炭素原子の数が前記範囲内にあることで、機械的強度、耐熱性、及び成形性が高度にバランスされる。
脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位の割合を前記のように多くすることにより、耐熱性を高めることができる。
また、脂環式構造含有重合体において、脂環式構造を有する繰り返し単位以外の残部は、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択しうる。
脂環式構造含有重合体の例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン重合体、(3)環状共役ジエン重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。これらの中でも、透明性及び成形性の観点から、ノルボルネン系重合体及びこの水素化物が好ましい。
ノルボルネン系重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びその水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びその水素化物が挙げられる。また、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の開環単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の開環共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との開環共重合体が挙げられる。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の付加単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の付加共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との付加共重合体が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素化物は、成形性、耐熱性、低吸湿性、低透湿性、寸法安定性及び軽量性の観点から、特に好適である。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3,7-ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8-ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3-エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)を挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、及び極性基を挙げることができる。これらの置換基は、同一または相異なって、複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体は、例えば、単量体を開環重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体は、例えば、単量体を付加重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
前述した開環重合体及び付加重合体の水素化物は、例えば、開環重合体及び付加重合体の溶液において、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む水素化触媒の存在下で、炭素-炭素不飽和結合を、好ましくは90%以上水素化することによって製造しうる。
脂環式構造含有重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、更に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、更に好ましくは50,000以下である。このような重量平均分子量を有する脂環式構造含有重合体は、機械的強度、成形加工性及び耐熱性のバランスに優れる。
脂環式構造含有重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは1.8以上であり、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.4以下、更に好ましくは3.3以下である。分子量分布が前記範囲の下限値以上である場合、脂環式構造含有重合体の生産性を高め、製造コストを抑制できる。また、上限値以下である場合、低分子成分の量が小さくなるので、その脂環式構造含有重合体を含む層の安定性を高めることができる。
脂環式構造含有重合体の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、溶媒としてシクロヘキサンを用いたGPCにより、ポリイソプレン換算の値で測定しうる。樹脂がシクロヘキサンに溶解しない場合には、溶媒としてトルエンを用いたGPCにより、ポリスチレン換算の値で測定しうる。
脂環式構造含有重合体のガラス転移温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは65℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは170℃以下である。
(任意の成分)
硬質層を形成しうる熱可塑性樹脂は、前記の重合体に組み合わせて、任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
硬質層を形成しうる熱可塑性樹脂は、例えば、任意の成分として、水素化C9系石油樹脂を含んでもよい。水素化C9系石油樹脂とは、ナフサのクラッキングにより得られるC9留分をカチオン重合して得られるC9系石油樹脂を、水素化して得られる樹脂である。C9留分は、主として炭素原子数9の炭化水素を含む留分であり、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、インデン類等を含む。
水素化C9系石油樹脂に含まれるポリマーは、環状骨格を有し、その立体障害により、ポリマーの動きが制限されるので、水素化C9系石油樹脂を含む材料は剛直になりやすい。水素化C9系石油樹脂は、その製造方法によって限定されない。
硬質層を形成しうる熱可塑性樹脂が、水素化C9系石油樹脂を含むことにより、色相を変えずに硬質層の硬度を上昇させうる。そのため、水素化C9系石油樹脂を適宜熱可塑性樹脂に含ませることにより、硬質層の貯蔵弾性率を所望の範囲に調整することができる。
水素化C9系石油樹脂を含む市販品の例としては、荒川化学工業社製のアルコンP100、P115、P135、P140等が挙げられる。
水素化C9系石油樹脂の量は、硬質層を形成しうる熱可塑性樹脂中、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは15重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは45重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。水素化C9系石油樹脂を、熱可塑性樹脂、特にSi重合体を含む熱可塑性樹脂中に前記の割合で含有させることにより、硬質層の貯蔵弾性率を容易に所望の範囲に調整しうる。
硬質層を形成しうる熱可塑性樹脂は、フィラーを含んでいてもよい。硬質層を形成しうる熱可塑性樹脂が、重合体に加えて更にフィラーを含むことにより、硬質層の硬度を上昇させることができ、硬質層の貯蔵弾性率を所望の範囲に容易に調整しうる。
熱可塑性樹脂に含まれうるフィラーは、無機物質及び有機物質のいずれであってもよく、無機物質と有機物質との複合体であってもよい。フィラーの例としては、ゼオライト、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、タルク、ハイドロタルサイト、酸化チタン、酸化カルシウム等が挙げられる。
フィラーは、通常、粒子状である。フィラーの平均粒子径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、更に好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.3μm以下である。
ここで、フィラーの平均粒子径は、レーザ回折法により、堀場製作所社製レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置「LA-960Vシリーズ」により測定された、体積平均粒子径である。
フィラーの平均粒子径が、前記範囲内であることにより、フィラーが硬質層に良好に分散して、硬質層の貯蔵弾性率を所望の範囲に容易に調整しうる。
フィラーの量は、硬質層を形成しうる熱可塑性樹脂中、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは40重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは75重量%以下、更に好ましくは70重量%以下である。フィラーを前記の割合で熱可塑性樹脂に含有させることにより、硬質層の貯蔵弾性率を所望の範囲に容易に調整しうる。
硬質層を形成しうる熱可塑性樹脂は、例えば、任意の成分として酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤としては、例えば、リン系酸化防止剤、フェノ-ル系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられ、着色がより少ないリン系酸化防止剤が好ましい。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、10-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシルホスファイト)、4,4’-イソプロピリデン-ビス(フェニル-ジ-アルキル(C12~C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物;6-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ〕-2,4,8,10-テトラキス-t-ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン、6-〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロポキシ〕-2,4,8,10-テトラキス-t-ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピンなどの化合物を挙げることができる。また、酸化防止剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤の量は、熱可塑性樹脂に含まれる重合体100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、特に好ましくは0.1重量部以上であり、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下、特に好ましくは0.3重量部以下である。
硬質層を形成しうる熱可塑性樹脂に含まれうる他の任意の成分としては、例えば、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、及び、前述の有機ケイ素化合物などが挙げられる。
[3.3.硬質層の厚み]
硬質層の厚みは、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下である。硬質層の厚みが前記範囲内にあることにより、積層体の耐屈曲性を効果的に向上させガラス薄膜の破損を抑制しつつ、積層体の耐衝撃性をより優れたものとしうる。
[4.柔軟層]
[4.1.柔軟層の物性]
柔軟層は、25℃における貯蔵弾性率が、通常0.0001GPa以上、好ましくは0.0002GPa以上、より好ましくは0.0003GPa以上である。柔軟層は、25℃における貯蔵弾性率が、通常0.1GPa以下、好ましくは0.05GPa以下、より好ましくは0.01GPa以下である。
柔軟層の25℃における貯蔵弾性率が前記範囲にあることにより、耐屈曲性に優れた積層体としうる。また、柔軟層が衝撃を吸収できる。
柔軟層の貯蔵弾性率は、例えば、柔軟層を形成するための材料に含まれる成分の種類及びその割合を調整することにより、調整できる。特に、柔軟層を形成するための材料に含まれる軟化剤の割合を調整することにより、貯蔵弾性率を容易に調整できる。
[4.2.柔軟層の材料]
柔軟層を形成する材料は、前記25℃における貯蔵弾性率の条件を満たしうる限り、任意である。柔軟層を形成する材料の例としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。
柔軟層を形成しうる熱可塑性樹脂は、通常重合体と必要に応じて含まれる任意成分とを含む。重合体の例としては、;芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体;水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体;前記のSi重合体(例、芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体、水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体、及びこれらの組み合わせから選ばれる重合体にSi含有基が導入された構造を有する重合体);アクリル系重合体;ウレタン重合体;ゴム系重合体;脂環式構造含有重合体;オレフィン系重合体等;が挙げられる。
重合体は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。また、柔軟層を形成しうる熱可塑性樹脂は、重合体を一種単独で含んでいてもよく、二種以上の組み合わせで含んでいてもよい。
柔軟層を形成しうる熱可塑性樹脂は、重合体に加えて、任意の成分を含みうる。任意成分の例としては、軟化剤が挙げられる。軟化剤により、熱可塑性樹脂の貯蔵弾性率を低下させることができる。
軟化剤として、それ自体が常温常圧の環境下で液体である化合物を用いてもよい。また、軟化剤としては、柔軟層を形成しうる熱可塑性樹脂に含まれる重合体と相溶可能な化合物がこの好ましい。軟化剤の好適な例としては、炭化水素系モノマーおよびオリゴマー;一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステルなどの有機酸エステル系軟化剤;有機リン酸エステル系、有機亜リン酸エステル系などのリン酸エステル系軟化剤;が挙げられる。また、軟化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、炭化水素系モノマーおよびオリゴマーが好ましい。
炭化水素系モノマーおよびオリゴマーの具体例としては、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリ-4-メチルペンテン、流動パラフィン、ポリ-1-オクテン、エチレン・α-オレフィン共重合体、ポリイソプレン、脂環族炭化水素、その他の脂肪族系炭化水素、芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体、前記の化合物の水素化物、及びインデン・スチレン共重合体水素化物が挙げられる。これらの中でも、ポリイソブチレン、ポリブテン、水素化ポリイソブチレン、及び水素化ポリブテンが好ましい。これらの炭化水素系モノマー及びオリゴマーの多くは、重合体との相溶性が良好であり、特に、前記Si重合体と良好に相溶できる。
炭化水素系モノマーおよびオリゴマーは、炭化水素化合物の重合体であって特定の範囲の分子量を有するものが、耐熱性を大きく損なうことがなく、接着層を構成する成分中によく分散するので、好ましい。炭化水素系オリゴマーの数平均分子量は、好ましくは200~5,000、より好ましくは300~3,000、さらにより好ましくは500~2,000である。例えば、上記範囲の数平均分子量のポリブテンは、アルコキシシリル基を有する重合体と、任意の割合で均一に混合しうる。
軟化剤の量は、柔軟層を形成しうる熱可塑性樹脂中、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは15重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。
柔軟層を形成しうる熱可塑性樹脂中のその他の任意成分の例としては、硬質層を形成しうる熱可塑性樹脂に含まれうる任意成分として例示した成分が挙げられる。例えば、柔軟層を形成しうる熱可塑性樹脂は、重合体に加えて、酸化防止剤を含んでいてもよい。
酸化防止剤の量は、熱可塑性樹脂に含まれる重合体100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、特に好ましくは0.1重量部以上であり、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下、特に好ましくは0.3重量部以下である。
柔軟層として、市販の光学透明粘着フィルム(OCAフィルム)を用いうる。市販品の例としては、日東電工製「CS9861US」、リンテック社製「NCF-D692」が挙げられる。
柔軟層の厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上であり、好ましくは70μm以下、より好ましくは60μm以下、更に好ましくは50μm以下である。
さらに、柔軟層の厚みと硬質層の厚みとの合計Tは、好ましくは100μm未満、より好ましくは80μm以下、更に好ましくは70μm以下であり、通常0μmより大きく、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上である。合計Tが、前記範囲にあることにより、積層体の耐屈曲性を効果的に向上させうる。
[5.積層体のその他の物性]
本実施形態の積層体は、耐衝撃性に優れ、かつ、耐屈曲性に優れる。
積層体の耐衝撃性は、以下のペンドロップ高さ試験により評価されうる。
積層体をステンレス鋼板に貼り付け、ガラス薄膜が上に向くように金属プレート上に置く。次に、直径0.7mmのペン先を有する5gのボールペンを、ペン先を下にして積層体試験片上に落下させる。積層体からペン先までの高さを、ガラス薄膜に割れが生じるまで1cmずつ高くする。ガラス薄膜に割れの生じない最も高い、積層体からペン先までの高さを、ペンドロップ試験高さ(cm)とする。
積層体のペンドロップ試験高さは、好ましくは10cm以上であり、より好ましくは12cm以上である。
積層体の耐屈曲性は、以下の曲げ試験により評価されうる。
積層体を、50mm×120mmの長方形状に切り出し、曲げ試験片とする。曲げ試験片を、ガラス薄膜が内側となるように、かつ長辺に曲げが生じるようにして曲げ、互いに平行となるように配置された二枚の板状体の間(初期における板状体の間隙=100mm)に挟む。曲げ試験片が挟まれた二枚の板状体の間隙を、50mm/分の速度で狭めることにより、曲げ試験片を押し曲げる。
板状体の間隙を6mmとしても、曲げ試験片が破損しなかった場合、すなわち、曲げ試験片の曲率半径Rを3mmとしても、曲げ試験片が破損しなかった場合、積層体は優れた耐屈曲性を有するとしてよい。
積層体が、このように優れた耐屈曲性を有することにより、積層体を、折り曲げ可能な要素(例えば、折り曲げ可能な画像表示装置)と組み合わせうる。特に、積層体を折り曲げ可能な要素と積層体とを組み合わせて、積層体に含まれるガラス薄膜が大きな引張応力を受けるように使用する場合に、ガラス薄膜の破損を効果的に抑制しうる。
積層体のヘイズは、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下であり、小さいことが好ましく、通常0%以上であり、0.1%以上であってもよい。積層体のヘイズがこのように小さいことにより、積層体を、画像表示装置に組み合わせる要素として好適に用いうる。ヘイズは、濁度計により測定されうる。
[6.積層体の用途]
積層体は、優れた耐屈曲性及び耐衝撃性を備えているので、例えば、折り曲げ可能である画像表示装置のカバーガラスの代わりとして好適に用いられうる。特に、積層体を、ガラス薄膜が視認側となるように画像表示装置に設けることにより、積層体の耐屈曲性及び耐衝撃性を効果的に発揮させうる。
[7.積層体の製造方法]
積層体は、任意の方法により製造されうる。例えば、積層体は、ガラス薄膜と、硬質層と、柔軟層とを、貼り合わせることにより製造されうる。貼り合わせに際し、接着剤を必要に応じて用いてよい。本明細書において、接着剤には、感圧性接着剤が包含される。
また例えば、硬質層を形成するための材料と溶媒とを含む硬質層形成用溶液を調製し、ガラス薄膜の一方の主面に塗布して塗布層を形成し、塗布層を乾燥させることにより、ガラス薄膜上に硬質層を形成してもよい。本明細書において、用語「溶媒」には、分散媒が包含され、用語「溶液」には、分散液が包含される。
また例えば、前記硬質層形成用溶液を、基材に塗布して塗布層を形成し、塗布層を乾燥させることにより、基材上に硬質層を形成し、次いで、基材上の硬質層を、ガラス薄膜の一方の主面上に転写することにより(ガラス薄膜)/(硬質層)の層構成を含む中間積層体を製造し、次いで中間積層体の硬質層上に、柔軟層を積層してもよい。
また例えば、柔軟層を形成するための材料と溶媒とを含む柔軟層形成用溶液を調製し、この柔軟層形成用溶液を基材に塗布して塗布層を形成し、塗布層を乾燥させることにより、基材上に柔軟層を形成し、次いで、基材上の柔軟層を、ガラス薄膜と対向する主面とは別の硬質層の主面上に転写することにより、(ガラス薄膜)/(硬質層)/(柔軟層)の層構成を含む積層体を製造してもよい。
積層体の各層の積層順は特に限定されない。例えば、ガラス薄膜と硬質層とを積層し、次いで柔軟層を積層してもよい。また例えば、硬質層と柔軟層とを積層し、次いでガラス薄膜を積層してもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温(20℃±15℃)及び常圧(1atm)の条件において行った。
[評価方法]
(重合体の分子量の測定方法)
重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、別に断らない限り、テトラヒドロフランを溶媒としたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算の値で測定した。
ノルボルネン系重合体(b)の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、溶媒としてシクロヘキサンを用いたGPCにより、ポリイソプレン換算の値で測定した。
(水素化物の水素化率の測定方法)
水素化物の水素化率は、1H-NMRによる測定により求めた。
(フィラーの体積平均粒子径の測定)
フィラーの体積平均粒子径を、フィラーを含む硬質層形成用溶液をサンプルとして、レーザ回折法に基づき堀場製作所社製レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置「LA-960Vシリーズ」により測定した。
(層の厚み)
層の厚みは、ミツトヨ社製シックネスゲージにより測定した。
(ガラス転移温度)
重合体のガラス転移温度Tgの測定は、別に断らない限り、以下のようにして行った。
まず、重合体を、加熱によって融解させ、融解した重合体をドライアイスで急冷した。続いて、この重合体を試験体として用いて、示差走査熱量計(DSC)を用いて、10℃/分の昇温速度(昇温モード)で、重合体のガラス転移温度Tgを測定した。
(貯蔵弾性率、損失弾性率、tanδの測定)
表面に離型処理を施された厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「MRV38」、以下離型PETフィルムともいう。)を用意した。離型PETフィルムに、硬質層形成用溶液又は柔軟層形成用溶液を、乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布し、110℃のホットプレートにより乾燥させて、離型PETフィルム上にサンプルフィルムを形成した。
得られたサンプルフィルムを、離型PETフィルムから剥離し、サンプルフィルムから、幅10mm×長さ20mmの試験片を切り出した。
切り出された試験片について、硬質層の測定の場合は20℃~130℃、柔軟層の測定の場合は20℃~140℃の範囲を測定温度として、動的粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス社製「DMA7100」)を用いて、昇温速度3℃/min、周波数1Hzの条件で、貯蔵弾性率、損失弾性率、tanδ(損失弾性率/貯蔵弾性率)を測定した。測定結果から、測定温度25℃又は50℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率、tanδが極大値を示す温度(tanδピーク温度)を読み取った。
(ヘイズの測定)
積層体のヘイズを、濁度計(日本電色社製「NDH-2000」)を用いて測定した。
(破断伸び(引張破壊伸び)の測定)
離型PETフィルムに硬質層形成用溶液を乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布し、110℃のホットプレートにより乾燥させて、離型PETフィルム上にサンプルフィルムを形成した。得られたサンプルフィルムを、離型PETフィルムから剥離し、JIS K7127に則り、25℃における硬質層の破断伸び(%)を測定した。
(ペンドロップ高さ試験)
ペンドロップ高さ試験を、得られた積層体について行った。
積層体を50mm角に切断し、切断された積層体を、50mm角の厚み0.5mmであるステンレス鋼板にガラス薄膜が表面に露出するように貼り付けて積層体試験片を作製した。貼り付けは、ステンレス鋼板をホットプレート上で加熱しながら行った。
この積層体試験片を、表面に露出するガラス薄膜が上に向くように金属プレート上に置いた。次に、直径0.7mmのペン先を有する5gのボールペンを、ペン先を下にして積層体試験片上に落下させた。積層体試験片からペン先までの高さを、ガラス薄膜に割れが生じるまで1cmずつ高くした。ガラス薄膜に割れの生じない最も高い、積層体試験片からペン先までの高さを、ペンドロップ試験高さ(cm)とした。ペンドロップ試験高さが高いほど、積層体が耐衝撃性に優れる。
(二点曲げ試験)
二点曲げ試験を、得られた積層体について行った。
積層体を、50mm×120mmの長方形状に切り出し、曲げ試験片とした。曲げ試験片を、ガラス薄膜が内側となるように、かつ長辺に曲げが生じるようにして曲げ、互いに平行となるように配置された二枚の板状体の間(初期における板状体の間隙=100mm)に挟んだ。曲げ試験片が挟まれた二枚の板状体の間隙を、50mm/分の速度で狭めることにより、曲げ試験片を押し曲げた。板状体の間隙を6mmとしても、曲げ試験片が破損しなかった場合に、合格(A)とした。板状体の間隙が6mmの場合は、曲げ試験片の曲率半径Rが3mmであることを意味する。板状体の間隙が6mm未満で、曲げ試験片が破損した場合は、不合格(R)とした。
[製造例1:ケイ素原子を含有する極性基を有する重合体(a)の製造]
(水素化ブロック共重合体の製造)
芳香族ビニル化合物としてスチレンを用い、鎖状共役ジエン化合物としてイソプレンを用いて、重合体ブロック[B]の両端に重合体ブロック[A]が結合したトリブロック構造を有する、ブロック共重合体の水素化物(水素化ブロック共重合体)を、以下の手順により製造した。
内部が充分に窒素置換された、攪拌装置を備えた反応器に、脱水シクロヘキサン256部、脱水スチレン25.0部、及びn-ジブチルエーテル0.615部を入れ、60℃で攪拌しながらn-ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)1.35部を加えて重合を開始させ、さらに、攪拌しながら60℃で60分反応させた。この時点での重合転化率は99.5%であった(重合転化率は、ガスクロマトグラフィーにより測定した。以下にて同じ。)。
次に、脱水イソプレン50.0部を加え、同温度で30分攪拌を続けた。この時点での重合転化率は99%であった。
その後、更に、脱水スチレンを25.0部加え、同温度で60分攪拌した。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。
次いで、反応液にイソプロピルアルコール0.5部を加えて反応を停止させて、ブロック共重合体を含む溶液(i)を得た。
得られた溶液(i)中のブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は44,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.03であった。
次に、溶液(i)を攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、溶液(i)に水素化触媒としてシリカ-アルミナ担持型ニッケル触媒(E22U、ニッケル担持量60%;日揮化学工業社製)4.0部及び脱水シクロヘキサン350部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度170℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行なうことによりブロック共重合体を水素化して、ブロック共重合体の水素化物(ii)を含む溶液(iii)を得た。溶液(iii)中の水素化物(ii)の重量平均分子量(Mw)は45,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。
水素化反応の終了後、溶液(iii)をろ過して水素化触媒を除去した。その後、ろ過された溶液(iii)に、リン系酸化防止剤である6-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ〕-2,4,8,10-テトラキス-t-ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン(住友化学社製「スミライザー(登録商標)GP」。以下、「酸化防止剤A」という。)0.1部を溶解したキシレン溶液1.0部を添加して溶解させ、溶液(iv)を得た。
次いで、溶液(iv)を、ゼータプラス(登録商標)フィルター30H(キュノー社製、孔径0.5μm~1μm)にて濾過し、更に別の金属ファイバー製フィルター(孔径0.4μm、ニチダイ社製)にて順次濾過して微小な固形分を除去した。ろ過された溶液(iv)から、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去した。そして、前記の濃縮乾燥器に直結したダイから、固形分を溶融状態でストランド状に押出し、冷却し、ペレタイザーでカットして、ブロック共重合体の水素化物及び酸化防止剤Aを含有する、ペレット(v)85部を得た。得られたペレット(v)中のブロック共重合体の水素化物(水素化ブロック共重合体)の重量平均分子量(Mw)は45,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。また、水素化率は99.9%であった。
(水素化ブロック共重合体のシラン変性物の製造)
ペレット(v)100部に対して、ビニルトリメトキシシラン2.0部及びジ-t-ブチルパーオキサイド0.2部を添加し、混合物を得た。この混合物を、二軸押出し機を用いて、バレル温度210℃、滞留時間80秒~90秒で混練した。混練された混合物を押し出し、ペレタイザーでカットして、ケイ素原子を含有する極性基を有する重合体(a)としての、水素化ブロック共重合体のシラン変性物のペレット(vi)を得た。このペレット(vi)からフィルム状の試験片を作製し、ガラス転移温度Tgを動的粘弾性測定装置のtanδピークで評価したところ、124℃であった。
[製造例2:ノルボルネン系重合体(b)の製造]
(ノルボルネン系重合体の製造)
乾燥し、窒素置換した重合反応器に、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3,7-ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)(DCP)30モル%、8-メチル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(TCD)26モル%、及びビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(慣用名:ノルボルネン)(NB)44モル%からなる単量体混合物7部(重合に使用するモノマー全量に対して1%)、脱水したシクロヘキサン1,600部、分子量調節剤として1-ヘキセン3.0部、ジイソプロピルエ-テル1.3部、イソブチルアルコール0.33部、トリイソブチルアルミニウム0.84部並びに六塩化タングステン0.66%シクロヘキサン溶液30部を入れ、55℃で10分間攪拌した。次いで、反応系を55℃に保持し、攪拌しながら、前記重合反応器中に前記単量体混合物693部と六塩化タングステン0.77%シクロヘキサン溶液72部を各々150分かけて連続的に滴下し、さらに滴下終了後30分間攪拌した後にイソプロピルアルコール1.0部を添加して重合反応を停止させた。ガスクロマトグラフィーによって重合反応溶液を測定したところ、モノマーの重合体への転化率は100%であった。
次いで、上記重合体を含有する重合反応溶液300部を攪拌器付きオートクレーブに移し、シクロヘキサン100部及び珪藻土担持ニッケル触媒(日揮化学社製、製品名「T8400RL」、ニッケル担持率58%)2.0部を加えた。オートクレーブ内を水素で置換した後、180℃、4.5MPaの水素圧力下で6時間反応させた。
水素化反応終了後、珪藻土(昭和化学工業社製、製品名「ラヂオライト(登録商標)♯500」)をろ過床として、加圧ろ過器(IHI社製、製品名「フンダバックフィルタ-」)を使用し、圧力0.25MPaで加圧ろ過して、無色透明な溶液を得た。
次いで、得られた溶液に、前記水素化物100部当り、酸化防止剤として、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、製品名「イルガノックス(登録商標)1010」)0.5部を加えて溶解させた。
この溶液をフィルター(キュノーフィルター社製、製品名「ゼータプラス(登録商標)30H」、孔径0.5~1μm)でろ過した後、ろ液を金属ファイバー製フィルター(ニチダイ社製、孔径0.4μm)にてろ過して異物を除去した。
次いで、上記で得られたろ液を、円筒型濃縮乾燥機(日立製作所製)を用いて、温度260℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去し、濃縮機に直結したダイから溶融状態でストランド状に押出し、水冷後、ペレタイザー(長田製作所製、型式「OSP-2」)でカッティングして脂環構造含有開環重合体の水素化物のペレットを得た。
この脂環構造含有開環重合体の水素化物(ノルボルネン系重合体(b))の分子量はMw=46,000、Mn=17,000、Mw/Mn=2.70であり、水素化率は99.9%、Tgは70℃であった。
[実施例1]
(1-1.硬質層の形成)
製造例1で製造した重合体(a)21部、水素化C9系石油樹脂「アルコンP140」(荒川化学工業社製)9部、及びエチルシクロヘキサン70部を混合し、硬質層形成用溶液H1を調製した。この溶液H1から得られた硬質層の25℃における貯蔵弾性率は0.55GPaであった。
次にこの溶液H1を、厚み50μmのガラス薄膜上に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗布し、塗布層を110℃のホットプレートにより乾燥させて、(硬質層)/(ガラス薄膜)の層構成を有する中間積層体1を得た。硬質層を形成する樹脂中、重合体(a)は70重量%、水素化C9系石油樹脂は30重量%である。
(1-2.柔軟層の形成)
重合体(a)24部、軟化剤としてポリブテン16部(日油株式会社製、数平均分子量1500)、及びエチルシクロヘキサン60部を混合し、柔軟層形成用溶液S1を作成した。この溶液S1から得られた柔軟層の25℃における貯蔵弾性率は0.005GPaであった。
次にこの溶液S1を離型PETフィルムに乾燥後の厚みが25μmになるように塗布し、塗布層を110℃のホットプレートにより乾燥させて、(柔軟層)/(離型PETフィルム)の層構成を有する積層フィルム1を得た。柔軟層を形成する樹脂中、重合体(a)は60重量%、ポリブテンは40重量%である。
(1-3.積層体の作製)
積層フィルム1と中間積層体1とを、硬質層と柔軟層とが対向するように貼り合わせて、離型PETフィルムをはぎとり、(柔軟層)/(硬質層)/(ガラス薄膜)の層構成を有する積層体(L1)を得た。
この積層体(L1)について、ペンドロップ高さ試験を実施したところ、14cmの高さまで割れが発生しなかった。また、積層体(L1)について、ヘイズの測定及び二点曲げ試験を行った。
[実施例2]
(2-1.硬質層の形成)
重合体(a)15部、フィラーとしてハイドロタルサイト15部、及びエチルシクロヘキサン70部を混合し、硬質層形成用溶液H2を作成した。この溶液H2から測定されたフィラーの体積平均粒子径は120nmであった。また、この溶液H2から得られた硬質層の25℃における貯蔵弾性率は0.61GPaであった。
硬質層形成用溶液H1の代わりに、この硬質層形成用溶液H2を用いて、実施例1の(1-1)と同様の手順により中間積層体2を得た。硬質層を形成する樹脂中、重合体(a)は50重量%、フィラーは50重量%である。
(2-2.柔軟層の形成)
実施例の(1-2)と同様の手順により、積層フィルム1を得た。
(2-3.積層体の作製)
積層フィルム1と中間積層体2とを用いて、実施例1の(1-3)と同様の手順により、(柔軟層)/(硬質層)/(ガラス薄膜)の層構成を有する積層体(L2)を得た。
この積層体(L2)について、ペンドロップ高さ試験を実施したところ、16cmの高さまで割れが発生しなかった。また、積層体(L2)について、ヘイズの測定及び二点曲げ試験を行った。
[実施例3]
(3-1.硬質層の形成)
重合体(a)11.2部、水素化C9系石油樹脂「アルコンP140」(荒川化学工業社製)4.8部、フィラーとしてハイドロタルサイト16部、及びエチルシクロヘキサン68部を混合し、硬質層形成用溶液H3を作成した。この溶液H3から測定されたフィラーの体積平均粒子径は120nmであった。また、この溶液H3から得られた硬質層の25℃における貯蔵弾性率は0.75GPaであった。
次に、硬質層形成用溶液H1の代わりに、この硬質層形成用溶液H3を用いて、実施例1の(1-1)と同様の手順により中間積層体3を得た。硬質層を形成する樹脂中、重合体(a)は35重量%、水素化C9系石油樹脂は15重量%、フィラーは50重量%である。
(3-2.柔軟層の用意)
柔軟層として厚み25μmの光学透明粘着フィルム(OCAフィルム)S3(日東電工製「CS9861US」)を用意した。この光学透明粘着フィルムの25℃における貯蔵弾性率は、0.0004GPaであった。
(3-3.積層体の作製)
光学透明粘着フィルムS3を、中間積層体3の硬質層に貼り合わせて、(柔軟層)/(硬質層)/(ガラス薄膜)の層構成を有する、積層体(L3)を得た。
この積層体(L3)について、ペンドロップ高さ試験を実施したところ、18cmの高さまで割れが発生しなかった。また、積層体(L3)について、ヘイズの測定及び二点曲げ試験を行った。
[実施例4]
(4-1.硬質層の形成)
製造例2で製造したノルボルネン系重合体(b)20部及びエチルシクロヘキサン80部を混合し、硬質層形成用溶液H4を作成した。この溶液H4から得られた硬質層の25℃における貯蔵弾性率は1.6GPaであった。
次にこの溶液H4を、厚み50μmのガラス薄膜上に、乾燥後の厚みが10μmになるように塗布し、塗布層を110℃のホットプレートにより乾燥させて、(硬質層)/(ガラス薄膜)の層構成を有する中間積層体4を得た。
(4-2.柔軟層の形成)
実施例1の(1-2)と同様にして、柔軟層形成用溶液S1を作成した。この溶液S1から得られた柔軟層の25℃における貯蔵弾性率は0.005GPaであった。
次にこの溶液S1を離型PETフィルムに乾燥後の厚みが40μmになるように塗布し塗布層を110℃のホットプレートにより乾燥させて、(柔軟層)/(離型PETフィルム)の層構成を有する積層フィルム4を得た。
積層フィルム4と中間積層体4とを、硬質層と柔軟層とが対向するように貼り合わせて、離型PETフィルムをはぎとり、(柔軟層)/(硬質層)/(ガラス薄膜)の層構成を有する積層体(L4)を得た。
この積層体(L4)について、ペンドロップ高さ試験を実施したところ、12cmの高さまで割れが発生しなかった。また、積層体(L4)について、ヘイズの測定及び二点曲げ試験を行った。
[比較例1]
(C1-1.柔軟層の形成)
実施例1の(1-2)と同様にして、柔軟層形成用溶液S1を作成した。この溶液S1から得られた柔軟層の25℃における貯蔵弾性率は0.005GPaであった。
次に、この溶液S1を離型PETフィルムに乾燥後の厚みが50μmになるように塗布し、塗布層を110℃のホットプレートにより乾燥させて、(柔軟層)/(離型PETフィルム)の層構成を有する積層フィルムC1を得た。
(C1-2.積層体の作製)
厚み50μmのガラス薄膜を用意した。ガラス薄膜に、柔軟層が対向するように貼り合わせて、離型PETフィルムをはぎとり、(柔軟層)/(ガラス薄膜)の層構成を有する積層体(CL1)を得た。
この積層体(CL1)について、ペンドロップ高さ試験を実施したところ、8cmの高さまで割れが発生しなかったが、9cmの高さで割れが発生した。また、積層体(CL1)について、ヘイズの測定及び二点曲げ試験を行った。
[比較例2]
(C2-1.硬質層の形成)
重合体(a)30部及びエチルシクロヘキサン70部を混合し、硬質層形成用溶液CH2を作成した。この溶液CH2から得られた硬質層の25℃における貯蔵弾性率は0.21GPaであった。
硬質層形成用溶液H1の代わりに、この硬質層形成用溶液CH2を用いて、実施例1の(1-1)と同様の手順により中間積層体C2を得た。
(C2-2.積層体の作製)
柔軟層として、実施例3の柔軟層と同様の、厚み25μmの光学透明粘着フィルムS3(日東電工製「CS9861US」)を用意した。
光学透明粘着フィルムS3を、中間積層体C2の硬質層に貼り合わせて、(柔軟層)/(硬質層)/(ガラス薄膜)の層構成を有する、積層体(CL2)を得た。
この積層体(CL2)について、ペンドロップ高さ試験を実施したところ、8cmの高さまで割れが生じなかったが、9cmの高さで割れが発生した。また、積層体(CL2)について、ヘイズの測定及び二点曲げ試験を行った。
[比較例3]
(C3-1.硬質層及び積層体の形成)
比較例2と同様にして、硬質層形成用溶液CH2を作成した。この溶液CH2から得られた硬質層の25℃における貯蔵弾性率は0.21GPaであった。
次に、この溶液CH2を厚さ50μmのガラスに乾燥後の厚みが50μmになるように塗布し、塗布層を110℃のホットプレートにより乾燥させて、(硬質層)/(ガラス薄膜)の層構成を有する積層体(CL3)を得た。
この積層体(CL3)について、二点曲げ試験を実施したところ、曲げ試験片の曲率半径Rが3mmに到達する前に、曲げ試験片の有するガラス薄膜が割れ、破損した。また、積層体(CL3)について、ヘイズの測定を行った。
[結果]
実施例及び比較例の層構成及び評価結果を、下表に示す。
下表において、略号は下記の意味を表す。
「HPR」:水素化C9系石油樹脂
「PB」:ポリブテン
「重合体(a)」:製造例1で製造した、ケイ素原子を含有する極性基を有する重合体(a)
「重合体(b)」:製造例2で製造した、ノルボルネン系重合体(b)
「CS9861」:日東電工製「CS9861US」
Figure 2023107107000002
Figure 2023107107000003
以上の結果から、実施例に係る積層体は、ペンドロップ試験高さ(ペンドロップ高さ)が、10cm以上であって、耐衝撃性に優れ、かつ、二点曲げ試験の評価が「合格(A)」であり、耐屈曲性に優れる。
一方、硬質層の25℃における貯蔵弾性率が、0.3GPa未満である比較例2に係る積層体は、ペンドロップ試験高さが、10cm未満であって、耐衝撃性に劣る。
硬質層を備えない比較例1に係る積層体及び柔軟層を備えない比較例3に係る積層体は、ペンドロップ試験高さ及び二点曲げ試験のいずれかの評価が不良であり、耐屈曲性及び耐衝撃性のいずれかが劣る。
100 積層体
110 ガラス薄膜
110U 主面
120 硬質層
120D 主面
120U 主面
130 柔軟層
130D 主面

Claims (9)

  1. 厚みが25μm以上75μm以下であるガラス薄膜と、
    25℃における貯蔵弾性率が0.3GPa以上3GPa以下である硬質層と、
    25℃における貯蔵弾性率が0.0001GPa以上0.1GPa以下である柔軟層とを、この順に含む、積層体。
  2. 前記ガラス薄膜と前記硬質層とが直接し、前記硬質層と前記柔軟層とが直接する、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記硬質層が、ケイ素原子を含有する基を有する重合体を含む熱可塑性樹脂、又は、有機ケイ素化合物を含む熱可塑性樹脂を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記ケイ素原子を含有する基を有する重合体が、水素化芳香族ビニル化合物-共役ジエン共重合体の、ケイ素原子を含有する化合物による変性体である、請求項3に記載の積層体。
  5. 前記有機ケイ素化合物が、シランカップリング剤である、請求項3に記載の積層体。
  6. 前記硬質層がフィラーを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 前記硬質層の50℃における貯蔵弾性率が0.25GPa以上3GPa以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体。
  8. 前記硬質層のtanδが25℃以上で極大値をもち、ここで、tanδは、損失弾性率の貯蔵弾性率に対する比率(損失弾性率/貯蔵弾性率)を表す、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体。
  9. 前記硬質層の厚み及び前記柔軟層の厚みの合計が100μm未満である、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層体。
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