JP2023105597A - 樹脂組成物、成形体、および樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】隠匿性に優れ、耐風圧性を有し、破片がシャープエッジでない成形体を得ることができる樹脂組成物を提供する。【解決手段】(メタ)アクリル樹脂(A)、セルロース(B)、多段構造グラフト共重合体(C)およびリン酸エステル(D)を含む樹脂組成物。セルロース(B)、多段構造グラフト共重合体(C)およびリン酸エステル(D)の存在下で、(メタ)アクリル酸メチルを含有するモノマー混合物を重合する樹脂組成物の製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は樹脂組成物、成形体、および樹脂組成物の製造方法に関するものである。
セルロースはβ-グルコースを構成単位とする多糖類であり、植物の組織として天然に広く存在する。近年、セルロースは、植物が二酸化炭素を原料に光合成可能である点から、二酸化炭素の排出量と吸収量の合計が実質的にゼロである「カーボンニュートラル」を実現できる、環境にやさしい素材として注目されている。
セルロースは結晶性の剛直な分子であるため、樹脂に添加し、変形を抑制するフィラーとして利用されている。また、白色であり、光を拡散する性質から、透明樹脂に隠匿性を付与する顔料としても用いられている。さらに、素材の破壊時に破片の端面が繊維状となるため、鋭利(シャープエッジ)にならない特徴がある。しかしながら、セルロースは樹脂との親和性が低く、界面で容易に剥離が起こるため、脆く、特に風圧に対する耐性は十分とは言えない。
セルロースは結晶性の剛直な分子であるため、樹脂に添加し、変形を抑制するフィラーとして利用されている。また、白色であり、光を拡散する性質から、透明樹脂に隠匿性を付与する顔料としても用いられている。さらに、素材の破壊時に破片の端面が繊維状となるため、鋭利(シャープエッジ)にならない特徴がある。しかしながら、セルロースは樹脂との親和性が低く、界面で容易に剥離が起こるため、脆く、特に風圧に対する耐性は十分とは言えない。
一方、アクリル樹脂は靭性や耐候性に優れることから、照明用材料、建設用材料、デジタルサイネージ(電子看板)の面板に使用され、また工業用資材としても幅広く使用されている。しかしながら、アクリル樹脂は破壊されると破片がシャープエッジとなるため、上記用途では潜在的な危険性をはらんでいる。
樹脂の靭性を向上させる方法として、例えば、エラストマー層を含む多層構造重合体のゴム粒子をアクリル樹脂に添加し、これを注型重合する方法(特許文献1参照)が挙げられる。また、特許文献2には、セルロースエステルに、アクリル系樹脂、可塑剤およびアクリル系コアシェルグラフト共重合体のゴム粒子を複合化する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1で得られるキャスト板は、風圧に対する耐性(耐風圧性)は十分であるものの、隠匿性は無く、破壊された素材の破片はシャープエッジである。特許文献2で得られる成形体は、隠匿性はあるものの、非晶質のセルロースエステルを母材とするため、破壊された素材の破片はシャープエッジである。
本発明はこれらの問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明の課題は、優れた隠匿性、耐風圧性と、破損した際の破片がシャープエッジでない成形体を得ることができる樹脂組成物と、この樹脂組成物よりなる成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため検討を重ねた結果、(メタ)アクリル樹脂とセルロースおよび多段構造グラフト共重合体と共にリン酸エステルを併用して配合することで、隠匿性、耐風圧性に加えて、破片がシャープエッジでない成形体を得ることができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の第一の要旨は、(メタ)アクリル樹脂(A)、セルロース(B)、多段構造グラフト共重合体(C)およびリン酸エステル(D)を含む樹脂組成物、にある。
本発明の第二の要旨は、リン酸エステル(D)が、下記一般式(I)で表されるリン酸エステルの少なくとも1種を含有する樹脂組成物、にある。
(式中、Rは、置換基を有していてもよい、炭素数1~24の直鎖、環状または分岐アルキル基を示し、nは1または2である。nが2の場合、2つのRは同一であってもよく、異なるものであってもよい。)
本発明の第三の要旨は、この樹脂組成物を成形してなる成形体、にある。
本発明の第四の要旨は、セルロース(B)、多段構造グラフト共重合体(C)およびリン酸エステル(D)の存在下で、(メタ)アクリル酸メチルを含有するモノマー混合物を重合する樹脂組成物の製造方法、にある。
本発明の樹脂組成物は、セルロース、多段構造グラフト共重合体およびリン酸エステルを含むので、得られる成形体は、隠匿性に優れ、耐風圧性を有し、かつ破片がシャープエッジとならない。このため、本発明の樹脂組成物及び成形体は、照明用材料、建築用材料、デジタルサイネージ(電子看板)材料等の用途に好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本発明において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。また、「(メタ)アクリル樹脂」は、「アクリル樹脂」および「メタクリル樹脂」から選ばれる少なくとも1種を意味し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」および「メタクリル酸」から選ばれる少なくとも1種を意味する。「(メタ)アクリロイル」についても同様である。
本明細書において、「単量体(モノマー)」は未重合の化合物を意味し、「繰り返し単位」は単量体が重合することによって重合体内に形成された前記単量体に由来する単位を意味する。繰り返し単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、重合体(ポリマー)を処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換されたものであってもよい。以下、「繰り返し単位」を単に「単位」と称す。
本明細書において、「質量%」および「質量部」と「重量%」および「重量部」はそれぞれ同義であり、「質量%」は、全体量100質量%中に含まれる所定の成分の含有割合を示す。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂(A)、セルロース(B)、多段構造グラフト共重合体(C)およびリン酸エステル(D)を含む。
本発明の樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂(A)、セルロース(B)、多段構造グラフト共重合体(C)およびリン酸エステル(D)を含む。
[(メタ)アクリル樹脂(A)]
(メタ)アクリル樹脂(A)は、本発明の樹脂組成物の構成成分の1つである。
(メタ)アクリル樹脂(A)は、本発明の樹脂組成物の構成成分の1つである。
本発明に係る(メタ)アクリル樹脂(A)の構成要素となる(メタ)アクリル酸エステル系単量体は特に限定されないが、重合可能な(メタ)アクリロイル基を分子内に一つ以上有するモノマーが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ナフチル、(メタ)アクリル酸フェノキシメチルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステル系単量体は単独で用いてもよく、複数を組み合わせてもよい。
これらの中でも、本発明において、重合中のセルロース(B)、多段構造グラフト共重合体(C)およびリン酸エステル(D)の分散状態を良好に維持できることから、直鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、アルキル基部分の炭素数が1~8個の(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。特に、(メタ)アクリル酸メチルは、樹脂組成物、樹脂シートおよび樹脂成形体の成形性、硬度のバランスに優れることから最も好ましく用いられる。
[セルロース(B)]
セルロース(B)は、本発明の樹脂組成物の構成成分の1つである。
本発明において、セルロース(B)とは、β-グルコース由来の繰り返し単位を含む化合物のことをいい、(メタ)アクリル樹脂(A)に相溶しないことから樹脂組成物の光を拡散させるため、樹脂組成物に隠匿性を付与することができる。また、成形体が破壊された際、繊維質の断面を生じ、シャープエッジとならない。
セルロース(B)は、本発明の樹脂組成物の構成成分の1つである。
本発明において、セルロース(B)とは、β-グルコース由来の繰り返し単位を含む化合物のことをいい、(メタ)アクリル樹脂(A)に相溶しないことから樹脂組成物の光を拡散させるため、樹脂組成物に隠匿性を付与することができる。また、成形体が破壊された際、繊維質の断面を生じ、シャープエッジとならない。
本発明で用いるセルロース(B)の形状には特に制限はなく、繊維状であってもよく粉粒状であってもよい。
セルロース(B)の平均繊維径は0.1μm以上、特に1μm以上で、50μm以下、特に20μm以下であることが好ましい。セルロース(B)の平均繊維径が上記下限以上であれば、成形体が破壊された際、十分に繊維質の断面を生じ、シャープエッジとならず、上記上限以下であれば、耐風圧性が良好となる。
また、セルロース(B)の平均繊維長は0.1μm以上、特に1μm以上で、1000μm以下、特に100μm以下であることが好ましい。セルロース(B)の平均繊維長が上記下限以上であれば、成形体が破壊された際、十分に繊維質の断面を生じ、シャープエッジとならず、上記上限以下であれば、樹脂組成物の成形性が良好である。
また、セルロース(B)のアスペクト比は1以上で、10000以下、特に100以下であることが好ましい。セルロース(B)のアスペクト比が上記上限以下であれば、成形体が破壊された際、十分に繊維質の断面を生じ、シャープエッジとならず、また、耐風圧性および成形性が良好となる。
セルロース(B)の平均繊維径は0.1μm以上、特に1μm以上で、50μm以下、特に20μm以下であることが好ましい。セルロース(B)の平均繊維径が上記下限以上であれば、成形体が破壊された際、十分に繊維質の断面を生じ、シャープエッジとならず、上記上限以下であれば、耐風圧性が良好となる。
また、セルロース(B)の平均繊維長は0.1μm以上、特に1μm以上で、1000μm以下、特に100μm以下であることが好ましい。セルロース(B)の平均繊維長が上記下限以上であれば、成形体が破壊された際、十分に繊維質の断面を生じ、シャープエッジとならず、上記上限以下であれば、樹脂組成物の成形性が良好である。
また、セルロース(B)のアスペクト比は1以上で、10000以下、特に100以下であることが好ましい。セルロース(B)のアスペクト比が上記上限以下であれば、成形体が破壊された際、十分に繊維質の断面を生じ、シャープエッジとならず、また、耐風圧性および成形性が良好となる。
ここで、セルロース(B)の平均繊維長とは、セルロース(B)を2枚の平行な板で挟んだ場合、この板の間隔が最も大きくなる部位の長さを示し、「平均長径」とも称される。また、セルロース(B)の平均繊維径とは、通常この繊維長の方向と直交する方向の長さをさし、「平均短径」とも称される。
また、アスペクト比とは、平均繊維長/平均繊維径の比である。
セルロース(B)の平均繊維長、平均繊維径は、セルロース(B)の顕微鏡像において、任意に選択した100個程度のセルロース(B)について、それぞれ繊維長(長径)と繊維径(短径)を測定してその平均値として求めることができる。また、アスペクト比は、このようにして求められた平均繊維長と平均繊維径の比として算出することができる。
ただし、セルロース(B)の市販品については、平均繊維長、平均繊維径、アスペクト比はカタログ値を採用することができる。
また、アスペクト比とは、平均繊維長/平均繊維径の比である。
セルロース(B)の平均繊維長、平均繊維径は、セルロース(B)の顕微鏡像において、任意に選択した100個程度のセルロース(B)について、それぞれ繊維長(長径)と繊維径(短径)を測定してその平均値として求めることができる。また、アスペクト比は、このようにして求められた平均繊維長と平均繊維径の比として算出することができる。
ただし、セルロース(B)の市販品については、平均繊維長、平均繊維径、アスペクト比はカタログ値を採用することができる。
また、セルロース(B)は、(メタ)アクリル樹脂(A)への分散性を向上させ、樹脂組成物の外観を均一とするために、その表面水酸基が、アルキル基、アルカノイル基、アリール基、スルホ基、ホスホ基等で修飾されたセルロース誘導体であってもよい。
このようなセルロース(B)としては市販品を用いることもできる。市販品として入手可能なセルロース(B)としては、レッテンマイヤージャパン(株)製ARBOCEL(登録商標)UFC100(パウダーセルロース)が挙げられる。
セルロース(B)は1種のみを用いてもよく、大きさや修飾の有無等の異なる2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物に含まれるセルロース(B)の含有量の下限は、隠匿性に優れ、破壊された際、繊維質の断面を生じ、シャープエッジとならないという効果を確実に得る観点から、(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは5質量部以上であり、更に好ましくは10質量部以上である。
一方、本発明の樹脂組成物に含まれるセルロース(B)の含有量の上限は、特に規定されないが、(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対して、100質量部以下が好ましい。セルロース(B)を、100質量部を超えて用いることもできるが、添加量に見合う効果は発現しない。より好ましいセルロース(B)の含有量は50質量部以下であり、更に好ましくは20質量部以下である。
[多段構造グラフト共重合体(C)]
本発明に係る多段構造グラフト共重合体(C)は、ゴムの存在下に単量体又は単量体混合物を重合して得られるものである。本発明におけるゴムは、ガラス転移温度が10℃以下の重合体である。その種類は特に限定されないが、例えば、アクリル酸アルキルエステル系単量体を重合させたものから構成されるアクリル系ゴムが挙げられる。アクリル酸アルキルエステル系単量体としてはアクリル酸ブチル、アクリル酸2-ヘキシル等が挙げられる。これらは1種を単独で使用することができ、また2種以上を併用することもできる。
本発明に係る多段構造グラフト共重合体(C)は、ゴムの存在下に単量体又は単量体混合物を重合して得られるものである。本発明におけるゴムは、ガラス転移温度が10℃以下の重合体である。その種類は特に限定されないが、例えば、アクリル酸アルキルエステル系単量体を重合させたものから構成されるアクリル系ゴムが挙げられる。アクリル酸アルキルエステル系単量体としてはアクリル酸ブチル、アクリル酸2-ヘキシル等が挙げられる。これらは1種を単独で使用することができ、また2種以上を併用することもできる。
アクリル系ゴムにおけるアクリル酸アルキルエステル系単量体の使用量は、ゴム中、5~99.9質量%の範囲であることが好ましい。アクリル酸アルキルエステル系単量体の使用量が5質量%以上であれば、得られる樹脂組成物の耐風圧性がより向上する。一方、99.9質量%以下であれば、ゴムの製造に用いられる後述の架橋性単量体の含有量を確保することができる。アクリル酸アルキルエステル系単量体の使用量のより好ましい使用範囲は10~90質量%である。
ゴムの製造には上記アクリル酸アルキルエステル系単量体と共重合可能な他のビニル単量体を0~94.9質量%の範囲で使用することができる。かかる他のビニル単量体としては、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸アルキルエステル系単量体、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用することができ、また2種以上を併用することもできる。
ゴムの製造に使用される架橋性単量体としては、特に限定されず、例えば以下のものが挙げられる。
エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート等のアルキレングリコールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、フタル酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、マレイン酸ジアリル、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルシンナメート等。
これらは1種を単独で使用することができ、また2種以上を併用することもできる。
エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート等のアルキレングリコールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、フタル酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、マレイン酸ジアリル、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルシンナメート等。
これらは1種を単独で使用することができ、また2種以上を併用することもできる。
架橋性単量体は、ゴム中、0.1~10質量%の範囲で使用することが好ましい。架橋性単量体が0.1質量%以上であれば、ゴムの(メタ)アクリル樹脂(A)への分散性が向上する傾向がある。架橋性単量体を、10質量%を超えて使用することもできるが、添加量に見合う効果は発現しない。より好ましい架橋性単量体の使用範囲は0.3~7質量%である。
上記のゴムの存在下に重合される単量体としては、メタクリル酸アルキルエステル系単量体またはこれと共重合可能な他のビニル単量体を含む単量体混合物が挙げられる。メタクリル酸アルキルエステル系単量体としては、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸シクロへキシル等が挙げられる。これらは1種を単独で使用することができ、また2種以上を併用することもできる。特に好ましくはメタクリル酸メチルである。単量体混合物中におけるメタクリル酸アルキルエステル系単量体の使用量は50質量%以上であることが好ましい。
他のビニル単量体としては、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル系単量体、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用することができ、また2種以上を併用することもできる。特に好ましくはアクリル酸メチルである。
ゴムと上記単量体の使用割合は、ゴム100質量部に対して、単量体10~400質量部が好ましく、20~200質量部がより好ましい。
多段構造グラフト共重合体(C)は、1種を単独で用いてもよく、ゴム種や単量体組成等の異なるもの2種以上を併用することもできる。
多段構造グラフト共重合体(C)としては、市販品を用いることができ、市販品として入手可能な多段構造グラフト共重合体(C)としては、三菱ケミカル(株)製IR441(アクリル系ゴムビーズ(架橋アクリル系ゴム100質量部の存在下にアクリル系単量体を60質量部重合したもの))が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に含まれる多段構造グラフト共重合体(C)の含有量の下限は、良好な耐風圧性を発現するため、(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、より好ましくは5質量部以上であり、更に好ましくは10質量部以上である。
一方、本発明の樹脂組成物に含まれる多段構造グラフト共重合体(C)の含有量の上限は、樹脂組成物中におけるセルロース(B)の凝集に起因する品質のばらつきや外観の悪化を抑制できることから、(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対して、40質量部以下が好ましく、より好ましくは30質量部以下であり、更に好ましくは20質量部以下である。
<リン酸エステル(D)>
本発明に係るリン酸エステル(D)は、樹脂成形体の耐風圧性と隠匿性向上の観点から下記一般式(I)で表されるリン酸エステル(以下、「リン酸エステル(I)」と称す場合がある。)の少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明に係るリン酸エステル(D)は、樹脂成形体の耐風圧性と隠匿性向上の観点から下記一般式(I)で表されるリン酸エステル(以下、「リン酸エステル(I)」と称す場合がある。)の少なくとも1種を含有することが好ましい。
(式中、Rは、置換基を有していてもよい、炭素数1~24の直鎖、環状または分岐アルキル基を示し、nは1または2である。nが2の場合、2つのRは同一であってもよく、異なるものであってもよい。)
上記一般式(I)において、Rのアルキル基が有していてもよい置換基としては、炭素数1~24の直鎖、環状または分岐アルキル基等が挙げられる。
リン酸エステル(I)としては、具体的には、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、2-エチルへキシルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェートが挙げられる。
これらの中でも(メタ)アクリル樹脂(A)との相溶性が良好な、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、2-エチルへキシルアシッドホスフェートが好ましく、2-エチルへキシルアシッドホスフェートが最も好ましい。これらは1種を単独で使用することができ、また2種以上を併用することもできる。
リン酸エステル(I)としては、具体的には、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、2-エチルへキシルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェートが挙げられる。
これらの中でも(メタ)アクリル樹脂(A)との相溶性が良好な、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、2-エチルへキシルアシッドホスフェートが好ましく、2-エチルへキシルアシッドホスフェートが最も好ましい。これらは1種を単独で使用することができ、また2種以上を併用することもできる。
リン酸エステル(I)としては、市販品を用いることができ、市販品として入手可能なリン酸エステル(I)としては、城北化学工業(株)社製JP-502(エチルアシッドホスフェート)、JP-504(ブチルアシッドホスフェート)、JP-508(2-エチルへキシルアシッドホスフェート)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に含まれるリン酸エステル(D)の含有量の下限は、良好な耐風圧性を発現するため、(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上であり、更に好ましくは1質量部以上である。
一方、本発明の樹脂組成物に含まれるリン酸エステル(D)の含有量の上限は、良好な耐風圧性を発現できることから、(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、より好ましくは30質量部以下であり、更に好ましくは20質量部以下である。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物を製造する方法には特に制限はないが、本発明の樹脂組成物の製造方法に従って、セルロース(B)、多段構造グラフト共重合体(C)およびリン酸エステル(D)の存在下で、前述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、好ましくは(メタ)アクリル酸メチルを含有するモノマー混合物を重合する方法が、(メタ)アクリル樹脂(A)の分子量が高くなりやすく、耐風圧性に優れた(メタ)アクリル樹脂組成物を得ることができ、好ましい。
本発明の樹脂組成物を製造する方法には特に制限はないが、本発明の樹脂組成物の製造方法に従って、セルロース(B)、多段構造グラフト共重合体(C)およびリン酸エステル(D)の存在下で、前述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、好ましくは(メタ)アクリル酸メチルを含有するモノマー混合物を重合する方法が、(メタ)アクリル樹脂(A)の分子量が高くなりやすく、耐風圧性に優れた(メタ)アクリル樹脂組成物を得ることができ、好ましい。
この方法は、具体的には、(メタ)アクリル樹脂(A)の原料となる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体にリン酸エステル(D)を溶解し、セルロース(B)、多段構造グラフト共重合体(C)を分散させ、鋳型の中に注入した後に塊状重合(注型重合)し、次いで得られた重合体を鋳型から取り出すことにより行うことができ、これにより本発明の樹脂組成物を得ることができる。
上記の注型重合法は、十分な靭性あるいは透明性が要求される用途において特に好ましい方法である。
注型重合法の重合反応形式としては、例えば、ラジカル重合およびアニオン重合が挙げられる。これらの中で、重合制御の面で、フリーラジカル重合が好ましい。
ラジカル重合を行う際に使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;およびラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等の有機過酸化物系化合物が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併せて使用できる。
ラジカル重合開始剤の添加量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体の重合性および得られる成形体の表面外観の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を含有する単量体混合物100質量部に対して0.02~1質量部が好ましい。
注型重合に使用される鋳型としては、例えば、無機ガラス、クロムメッキ金属板、ステンレス板等の一対の板状体の端部に配置された軟質ガスケットを介して対向させて構成した鋳型および同一方向へ同一速度で走行する一対のエンドレスベルトの両側の端部に設置されたガスケットで構成された鋳型が挙げられる。
本発明の樹脂組成物を得るための重合温度は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体の重合性を高める点で、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。また、本発明の樹脂組成物を得るための重合温度は、樹脂組成物の着色や外観不良の抑制の点で、180℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。
本発明の樹脂組成物を得るための重合時間は、重合の進行に応じて適宜決定される。
なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体はリン酸エステル(D)、セルロース(B)および多段構造グラフト共重合体(C)を添加する前にその一部を予めラジカル重合開始剤の存在下に重合し、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体の重合体5~30質量%と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体95~70質量%とを含むシラップを調製し、このシラップにリン酸エステル(D)、セルロース(B)および多段構造グラフト共重合体(C)を分散させてラジカル重合開始剤の存在下に更なる重合を行ってもよい。このようにすることで、得られる成形体の表面を平滑にすることができ、好ましい。
[成形体]
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物を成形してなるものであり、その形状には特に制限はないが、本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物の特長である耐風圧性に優れる効果から、特にシート状成形体(樹脂シート)として有用である。
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物を成形してなるものであり、その形状には特に制限はないが、本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物の特長である耐風圧性に優れる効果から、特にシート状成形体(樹脂シート)として有用である。
本発明の樹脂組成物よりなる樹脂シートの厚さは、その用途に応じて適宜設計されるが、通常0.3~10mmである。樹脂シートの取り扱い性や実用上の観点から、樹脂シートの厚さは0.4~5mmが好ましい。
本発明の樹脂組成物よりなる樹脂シートの製造方法としては、例えば、樹脂組成物を得るための原料を注型重合して直接樹脂シートを得る方法、および樹脂組成物のペレット又は粉体を作成し、それを押出成形又は射出成形により樹脂シートを得る方法が挙げられる。これらの中で、得られる樹脂シートの耐風圧性および生産性の点で、前述の注型重合により直接樹脂シートを製造する方法が好ましい。
本発明の成形体、特に樹脂シートは、隠匿性、耐風圧性に優れ、破損した際の破片がシャープエッジでない特長を有するものであり、例えば、液晶モニター、パソコン、タブレット、スマートフォン、携帯電話、電子黒板等の背面板、サイネージやバスタブ、その他、医療診断用マイクロ流路等の構造材に好適に使用される。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下において「部」は「質量部」を意味する。
以下において「部」は「質量部」を意味する。
[原料]
以下の実施例および比較例で使用した化合物の略号は以下のとおりである。
MMA:メタクリル酸メチル(商品名:アクリエステル(登録商標)M、三菱ケミカル(株)製)
セルロース(B):アスペクト比1.0、平均繊維径9μm、平均繊維長9μmの修飾セルロース(商品名:ARBOCEL(登録商標) UFC100、レッテンマイヤージャパン(株)製)
多段構造グラフト共重合体(C):アクリル系ゴムビーズ(商品名:IR441、三菱ケミカル(株)製)
リン酸エステル(D):2-エチルへキシルアシッドホスフェート(商品名:JP-508、城北化学工業(株)製)
以下の実施例および比較例で使用した化合物の略号は以下のとおりである。
MMA:メタクリル酸メチル(商品名:アクリエステル(登録商標)M、三菱ケミカル(株)製)
セルロース(B):アスペクト比1.0、平均繊維径9μm、平均繊維長9μmの修飾セルロース(商品名:ARBOCEL(登録商標) UFC100、レッテンマイヤージャパン(株)製)
多段構造グラフト共重合体(C):アクリル系ゴムビーズ(商品名:IR441、三菱ケミカル(株)製)
リン酸エステル(D):2-エチルへキシルアシッドホスフェート(商品名:JP-508、城北化学工業(株)製)
[評価方法]
以下の実施例および比較例における評価は以下の方法により実施した。
以下の実施例および比較例における評価は以下の方法により実施した。
(耐風圧性)
耐風圧性の評価に関して、以下図面を参照しながら詳細に説明する。
耐風圧性の評価に関して、以下図面を参照しながら詳細に説明する。
実施例および比較例で得られた樹脂成形体(厚さ3mm)から170mm×170mmの樹脂板を切り出した。研究開発用圧空真空成形機(型式:EP-3361-A、(株)浅野研究所製)を使用して、80℃に調温した円柱状の金型(角部の角度:90度、底部の半径50mm)に対し、赤外線ヒーターで180℃に加熱した樹脂成形体を押し当てながら真空成形を行い、未成形部厚さ3mm、凸部高さ60mm、凸部コーナーR7mm、凸部底部厚さ0.5mmのハット状の成形体を得た。
図1のように、得られたハット状成形体1を、外寸350×350mm、厚さ5mm、開口部が150×150mmの2枚のステンレス製支持体2で、成形体1の凸部が支持体2の開口部から露出するように挟んだ。成形体1を挟んだ支持体2を、計測最大圧力が500kPaの圧力計5、開放圧力が200kPaの安全弁6を備え、開口面の外寸が350mm×350mm、開口部半径が125mmの圧力チャンバー7の開口部に、成形体1の凸面が内側になるように設置し、外寸が350mm×350mm、厚さ10mm、開口部半径125mmの押え板3を載せ、押えねじ4で固定した。
この際、圧力チャンバー7内部の気密性を確保するため、図2のように、成形体1の凸部側とステンレス製支持体2をホットメルト接着剤(ヘンケルジャパン社製ロックタイトローメルトスティックHMS-L1K)11で接合した。この時の成形体1の支持体2に対する掛かり代は各辺10mmであった。さらに、成形体1を挟んだ支持体2と圧力チャンバー7の間には、外寸300×300mm、厚さ2mm、開口部200×200mmのニトリルゴム製ガスケット12を挟んだ。
圧力チャンバー7の底部はバルブ8およびエアタンク9を介してエアーコンプレッサー10と接続されており、コンプレッサー10にて、エアタンク9内を500kPaに昇圧した後、空気注入バルブ8を徐々に開放し圧力チャンバー7内部を昇圧し、ハット状成形体1が破壊される、あるいは安全弁6から圧力漏れが生じたときの圧力計5のゲージ圧力を記録した。耐風圧性は以下の基準で判定した。
〇:昇圧によってハット状成形体は破壊せず、安全弁より圧力漏れした。
×:昇圧によってハット状成形体が破壊された。
〇:昇圧によってハット状成形体は破壊せず、安全弁より圧力漏れした。
×:昇圧によってハット状成形体が破壊された。
(隠匿性)
隠蔽性の指標として、実施例および比較例で得られた樹脂成形体(厚さ3mm)を用いて、下記の評価を行った。
45Wの蛍光灯から1.5m離れた距離に樹脂成形体を設置した。次いで、蛍光灯を点灯した状態で、樹脂成形体を介して蛍光灯のランプ形状の視認性を確認し、樹脂成形体を介して見たときの隠蔽性能を、以下の基準で判定した。
〇:蛍光灯のランプ形状を視認し難く、隠蔽性能が良好であった。
×:蛍光灯のランプ形状を明瞭に視認し易く、隠蔽性能が不良であった。
隠蔽性の指標として、実施例および比較例で得られた樹脂成形体(厚さ3mm)を用いて、下記の評価を行った。
45Wの蛍光灯から1.5m離れた距離に樹脂成形体を設置した。次いで、蛍光灯を点灯した状態で、樹脂成形体を介して蛍光灯のランプ形状の視認性を確認し、樹脂成形体を介して見たときの隠蔽性能を、以下の基準で判定した。
〇:蛍光灯のランプ形状を視認し難く、隠蔽性能が良好であった。
×:蛍光灯のランプ形状を明瞭に視認し易く、隠蔽性能が不良であった。
(シャープエッジ評価)
シャープエッジの有無は、実施例および比較例で得られた樹脂成形体(厚さ3mm)から50mm×50mmの樹脂板を切り出して、これを評価用の試験片とし、以下の方法で評価した。
デュポン式落錘衝撃試験機を用いて、所定の高さから重錘(2kg)を試験片上に落下させて、評価用の試験片を破壊した。その際に生じた破片の断面形状を以下の基準で評価した。
〇:破片の断面が鋭利ではなかった。
×:破片の断面が鋭利であった。
シャープエッジの有無は、実施例および比較例で得られた樹脂成形体(厚さ3mm)から50mm×50mmの樹脂板を切り出して、これを評価用の試験片とし、以下の方法で評価した。
デュポン式落錘衝撃試験機を用いて、所定の高さから重錘(2kg)を試験片上に落下させて、評価用の試験片を破壊した。その際に生じた破片の断面形状を以下の基準で評価した。
〇:破片の断面が鋭利ではなかった。
×:破片の断面が鋭利であった。
[製造例1:アクリルシラップの製造]
MMA100部、t-ヘキシルパーオキシピバレート0.2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.01部からなる単量体組成物を重合槽に供給し、均一な懸濁液となるように十分撹拌しながら、窒素ガスでバブリングした後、加熱を開始した。次いで、重合槽の単量体組成物の温度を100℃に維持して10分間重合を行い、重合体含有率20質量%のシラップ(1)を得た。
MMA100部、t-ヘキシルパーオキシピバレート0.2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.01部からなる単量体組成物を重合槽に供給し、均一な懸濁液となるように十分撹拌しながら、窒素ガスでバブリングした後、加熱を開始した。次いで、重合槽の単量体組成物の温度を100℃に維持して10分間重合を行い、重合体含有率20質量%のシラップ(1)を得た。
[実施例1]
製造例1で得られたシラップ(1)100部((メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に相当する。)にリン酸エステル(D)5部を、添加して溶解させた。その後セルロース(B)10部、多段構造グラフト共重合体(C)15部を添加し、真空中で脱気し、これを重合性組成物とした。
対向して配置した2枚のガラス板(厚み10mm)の端部に、軟質樹脂製ガスケットを設置して、鋳型を作製した。
次いで、上記の鋳型の中に前記重合性組成物を流し込んだ後、軟質樹脂製ガスケットで封止した。続いて、前記鋳型を、温水浴中で80℃まで昇温して60分間保持した後、加熱オーブン中で130℃まで昇温して30分間保持して、鋳型中の重合性組成物を重合させた。その後、室温まで冷却し、ガラス板を取り除いて厚さ3mmの板状の樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
製造例1で得られたシラップ(1)100部((メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に相当する。)にリン酸エステル(D)5部を、添加して溶解させた。その後セルロース(B)10部、多段構造グラフト共重合体(C)15部を添加し、真空中で脱気し、これを重合性組成物とした。
対向して配置した2枚のガラス板(厚み10mm)の端部に、軟質樹脂製ガスケットを設置して、鋳型を作製した。
次いで、上記の鋳型の中に前記重合性組成物を流し込んだ後、軟質樹脂製ガスケットで封止した。続いて、前記鋳型を、温水浴中で80℃まで昇温して60分間保持した後、加熱オーブン中で130℃まで昇温して30分間保持して、鋳型中の重合性組成物を重合させた。その後、室温まで冷却し、ガラス板を取り除いて厚さ3mmの板状の樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
[実施例2、3]
リン酸エステル(D)の添加量を、表1記載のとおりとした以外は、実施例1と同様の条件で板状の樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
リン酸エステル(D)の添加量を、表1記載のとおりとした以外は、実施例1と同様の条件で板状の樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
リン酸エステル(D)、セルロース(B)および多段構造グラフト共重合体(C)を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で板状の樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
リン酸エステル(D)、セルロース(B)および多段構造グラフト共重合体(C)を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で板状の樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
[比較例2]
多段構造グラフト共重合体(C)およびリン酸エステル(D)を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で板状の樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
多段構造グラフト共重合体(C)およびリン酸エステル(D)を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で板状の樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
[比較例3]
リン酸エステル(D)を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で板状の樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
リン酸エステル(D)を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で板状の樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
[比較例4]
多段構造グラフト共重合体(C)を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で板状の樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
多段構造グラフト共重合体(C)を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で板状の樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
<評価結果>
実施例1~3の樹脂組成物は、耐風圧性に優れ、隠蔽性を有し、破壊時にシャープエッジを生じなかった。
実施例1~3の樹脂組成物は、耐風圧性に優れ、隠蔽性を有し、破壊時にシャープエッジを生じなかった。
比較例1の樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂(A)のみであるため、隠匿性は無く、破壊時にシャープエッジを生じた。
比較例2~4の樹脂組成物は、耐風圧性が不十分であった。
これは優れた耐風圧性の発現には、セルロース(B)、多段構造グラフト共重合体(C)およびリン酸エステル(D)が必要であることを意味する。
これは優れた耐風圧性の発現には、セルロース(B)、多段構造グラフト共重合体(C)およびリン酸エステル(D)が必要であることを意味する。
以上、本発明の好ましい実施形態、および実施例を説明したが、本発明はこれらの実施形態、および実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
本発明の樹脂組成物は、耐風圧性に優れ、隠蔽性を有し、破壊時にシャープエッジを生じない。
そのため、本発明の樹脂組成物、前記樹脂組成物を含む樹脂シート、および前記樹脂組成物又は前記樹脂シートを含む成形体は、照明用材料、建築用材料、サイネージ等の用途に用いることができ、特に、建築用材料や、サイネージのカバー部分に好適に使用できる。
そのため、本発明の樹脂組成物、前記樹脂組成物を含む樹脂シート、および前記樹脂組成物又は前記樹脂シートを含む成形体は、照明用材料、建築用材料、サイネージ等の用途に用いることができ、特に、建築用材料や、サイネージのカバー部分に好適に使用できる。
1 ハット状成形体
2 ステンレス製支持体
3 押え板
4 押えねじ
5 圧力計
6 安全弁
7 圧力チャンバー
8 バルブ
9 エアタンク
10 コンプレッサー
11 ホットメルト接着剤
12 ニトリルゴム製ガスケット
2 ステンレス製支持体
3 押え板
4 押えねじ
5 圧力計
6 安全弁
7 圧力チャンバー
8 バルブ
9 エアタンク
10 コンプレッサー
11 ホットメルト接着剤
12 ニトリルゴム製ガスケット
Claims (4)
- (メタ)アクリル樹脂(A)、セルロース(B)、多段構造グラフト共重合体(C)およびリン酸エステル(D)を含む樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
- セルロース(B)、多段構造グラフト共重合体(C)およびリン酸エステル(D)の存在下で、(メタ)アクリル酸メチルを含有するモノマー混合物を重合する樹脂組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022006525A JP2023105597A (ja) | 2022-01-19 | 2022-01-19 | 樹脂組成物、成形体、および樹脂組成物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2022006525A JP2023105597A (ja) | 2022-01-19 | 2022-01-19 | 樹脂組成物、成形体、および樹脂組成物の製造方法 |
Publications (1)
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