JP2022151694A - 複合樹脂組成物、複合樹脂シート及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】隠蔽性を有し、機械的強度に優れ、加熱時の着色が少なく、加熱成形性に優れた複合樹脂組成物を提供する。【解決手段】(メタ)アクリル系共重合体(A)及びセルロース誘導体(B)を含む複合樹脂組成物であって、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して前記セルロース誘導体(B)の含有量が0.1質量部以上70質量部以下であり、前記セルロース誘導体(B)のアスペクト比が1以上20以下である、複合樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、複合樹脂組成物、前記複合樹脂組成物を含む複合樹脂シート、及び前記複合樹脂組成物又は前記複合樹脂シートを成形してなる成形体に関する。
複合材料は、2種以上の材料を組み合わせたものであり、連続相を形成するマトリクスと、連続相に混和しない充填材を含み、優れた弾性率を有する。
一般的に、複合材料のマトリクスには熱可塑性樹脂や硬化性樹脂が用いられ、充填材には、粉末状、粒子状又は繊維状の有機系化合物又は無機系化合物が用いられる。
充填材に用いる有機系化合物として、セルロース誘導体が注目されている。セルロース誘導体は、無機系化合物に比べ低密度であるため、複合材料を軽量化できる。
近年、照明用材料、建築用材料、デジタルサイネージ(電子看板)材料等の用途に、複合材料を用いる検討が行われている。これらの用途では、製品が隠蔽性を有し、加熱時の着色が少なく、加熱成形性及び機械的強度に優れることが要求されている。
充填材に有機系化合物を用いた複合材料として、例えば、特許文献1には、セルロース誘導体としてセルロースナノファイバーとエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂コンポジットが開示されている。
特許文献2には、セルロース誘導体としてセルロースナノファイバーにアミド結合を介して炭化水素基を導入したセルロースナノファイバー誘導体と、アクリル系重合体又は(メタ)アクリル樹脂を複合化したアクリル樹脂コンポジットが開示されている。
特許文献3には、セルロース誘導体としてパルプシート片と、合成樹脂を複合化した合成樹脂コンポジットが開示されている。
特開2018-70857号公報 特開2018-016817号公報 特開2003-191229号公報
しかしながら、特許文献1のエポキシ樹脂コンポジットは、マトリクスが熱硬化性樹脂であるため、複合材料の加熱成形性が不十分であった。
特許文献2のセルロースナノファイバーコンポジットは、透明であるため、隠蔽性が不十分であった。
特許文献3の合成樹脂コンポジットは、パルプシート片を加熱溶融状態の合成樹脂と複合化(混練)する際に、パルプシート片が加熱により変質して、着色するという問題があった。
本発明はこれらの問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明の課題は、隠蔽性と機械的強度に優れ、加熱時の着色が少なく、加熱成形性に優れた複合樹脂組成物、前記複合樹脂組成物を含む複合樹脂シート、及び前記複合樹脂組成物又は前記複合樹脂シートを含む成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため検討を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち、本発明の第一の要旨は、(メタ)アクリル系共重合体(A)及びセルロース誘導体(B)を含む複合樹脂組成物であって、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して前記セルロース誘導体(B)の含有量が0.1質量部以上70質量部以下であって前記セルロース誘導体(B)のアスペクト比が1~20である複合樹脂組成物にある。
本発明の第二の要旨は、前記複合樹脂組成物を含む複合樹脂シートにある。
本発明の第三の要旨は、前記複合樹脂組成物又は前記複合樹脂シートを含む成形体にある。
本発明の複合樹脂組成物は、特定形状のセルロース誘導体(B)を含むので、隠蔽性を有し、加熱時の着色が少なく、加熱成形性、及び機械的強度に優れる。
前記複合樹脂組成物を含む複合樹脂シート、及び前記複合樹脂組成物又は前記複合樹脂シートを含む成形体は、隠蔽性を有し、加熱時の着色が少なく、加熱成形性、及び機械的強度に優れるので、照明用材料、建築用材料、デジタルサイネージ(電子看板)材料等の用途に好適に使用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」は、各々「アクリレート」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも1種並びに「アクリル酸」及び「メタクリル酸」から選ばれる少なくとも1種を意味する。
本発明において、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「繰り返し単位」及び「構造単位」は単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する単位を意味する。繰り返し単位及び構造単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換されたものであってもよい。
本発明において、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる所定の成分の含有割合を示す。
特に断らない限り、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A~B」は、A以上B以下であることを意味する。
<複合樹脂組成物>
本発明の複合樹脂組成物は、後述する(メタ)アクリル系共重合体(A)及び後述するセルロース誘導体(B)を含む。
なお、本明細書において複合樹脂組成物とは、室温では固体の性状を有し、且つ、加熱・溶融して射出成形や押出成形に供することが可能な樹脂組成物のことをいう。
<複合樹脂組成物の製造方法>
本発明の複合樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、下記方法(1)~(4)を用いることができる。
方法(1):セルロース誘導体(B)を、(メタ)アクリル系共重合体(A)の原料である(メタ)アクリル酸アルキルエステルに混合し、加熱してバルク重合する。
方法(2):(メタ)アクリル系共重合体(A)とセルロース誘導体(B)を、二軸押し出し機やブレンダー等の公知の混練技術を用いて、加熱・溶融混合する。
方法(3):溶剤(1)に(メタ)アクリル系共重合体(A)を溶解して重合体含有溶液を得た後、前記重合体含有溶液中にセルロース誘導体(B)を分散させ、次いで、前記溶剤(1)を乾燥させる方法。
方法(4):溶剤(1)に(メタ)アクリル系共重合体(A)を溶解して重合体含有溶液を得た後、前記重合体含有溶液中にセルロース誘導体(B)を分散させ、次いで、溶剤(1)と相溶するが、(メタ)アクリル系共重合体(A)及びセルロース誘導体(B)を溶解しない他の溶剤(2)に注ぎ込む方法。なお、前記溶剤(1)及び溶剤(2)は、特に限定はされず、公知の有機溶剤を用いることができる。
<(メタ)アクリル系共重合体(A)>
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、本発明の複合樹脂組成物の構成成分の1つである。
本発明の複合樹脂組成物は、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)を含むので、加熱成形性と機械強度に優れる。
本発明における(メタ)アクリル系共重合体(A)は、好ましくは後述する(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の繰り返し単位を含む重合体である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、重合可能なビニル基を分子内に一つ以上有する単量体のことをいう。
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)が(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の繰り返し単位を含むことで、本発明の複合樹脂組成物を含む成形体(以下、「得られた成形体」いう。)の光沢感が良好となる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の直鎖状炭化水素基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸イソボロニル、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート等の環状炭化水素基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体の光学特性、耐候性が良好となることから、直鎖状炭化水素基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。また、得られた成形体の透明性が良好となることや、(メタ)アクリル系共重合体(A)の分子量分布が狭幅化して重合の均一性がよくなることから、特に、メタクリル酸メチルは、好適に用いることができる。
<セルロース誘導体(B)>
セルロース誘導体(B)は、本発明の複合樹脂組成物の構成成分の1つである。
本発明の複合樹脂組成物は、前記セルロース誘導体(B)を充填材として含むので、機械的強度に優れる。
本発明において、前記セルロース誘導体(B)とは、β―グルコース由来の繰り返し単位を含む化合物のことをいい、例えば、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、アセチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、得られた複合樹脂組成物への分散性が良好であることから、前記セルロース誘導体(B)としては、セルロースが好ましい。中でも、得られた成形体の隠蔽性がより優れることから、セルロースが好ましい。
また、セルロース誘導体(B)としては、(メタ)アクリル系共重合体(A)への分散性を向上させ、複合樹脂組成物を均一とするために、その表面水酸基が、アルキル基、アルカノイル基、アリール基、スルホ基、ホスホ基等で修飾された修飾セルロースであってもよい。
本発明におけるセルロース誘導体(B)のアスペクト比の上限は、20以下である。セルロース誘導体(B)のアスペクト比が20以下であれば、機械的強度及び真空成形等の加熱成形性に優れる。セルロース誘導体(B)の複合樹脂組成物への分散性が良好となり、機械的強度及び加熱成形性がより優れることから、セルロース誘導体(B)のアスペクト比はより好ましくは15以下であり、更に好ましくは10以下であり、特に好ましいのは5以下である。
一方、セルロース誘導体(B)のアスペクト比の下限は特に限定されるものではなく、複合樹脂組成物の取り扱い性が良好となることから、1.0に近いほど好ましく、1.0であってもよい。
なお、本発明において、「アスペクト比」とは、セルロース誘導体(B)における長軸長さ(最大長径)を短軸長さ(長径に垂直方向で最も長い部分の長さ)で除した値を意味する。具体的な測定方法については後述する。
このようなセルロース誘導体(B)としては市販品を用いることもできる。市販品として入手可能なセルロース誘導体(B)としては、レッテンマイヤージャパン(株)製ARBOCEL(登録商標)シリーズが挙げられる。
セルロース誘導体(B)は1種のみを用いてもよく、大きさや修飾の有無等の異なる2種以上を混合して用いてもよい。
前記複合樹脂組成物に含まれるセルロース誘導体(B)の含有量の上限は、複合樹脂組成物中におけるセルロース誘導体(B)の凝集に起因する品質のばらつきや外観の悪化を抑制できることから、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、70質量部以下であり、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。
前記複合樹脂組成物に含まれるセルロース誘導体(B)の含有量の下限は、複合樹脂組成物の機械的強度に優れることから、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以上であり、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。
上記と同様の観点から、後掲の実施例の項に記載の方法に従って求められる本発明の複合樹脂組成物100質量%中のセルロース誘導体(B)の含有量は0.1~50質量%、特に1~20質量%であることが好ましい。
<複合樹脂シート>
本発明の複合樹脂シートは前記複合樹脂組成物を含むシート形状の成形体である。
或いは又、本発明の複合樹脂シートは、前記複合樹脂組成物を、公知の成形方法で成形してなるシート形状の成形体である。
複合樹脂シートの厚さは特に限定されるものではなく、50mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましく、30mm以下が最も好ましい。一方、複合樹脂シートの厚さは0.1mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましい。
また、複合樹脂シートの短辺の長さも特に限定されるものではなく、5m以下が好ましく、4m以下がより好ましく、3m以下が最も好ましい。また、複合樹脂シートの長辺の長さも特に限定されるものではなく、5m以下が好ましく、4m以下がより好ましく、3m以下が最も好ましい。複合樹脂シートの短辺の長さの下限、長辺の長さの下限には特に制限はないが、通常1m以上である。
<複合樹脂シートの製造方法>
本発明の複合樹脂シートの製造方法は、特に限定されるものではなく、下記方法(5)~(6)を用いることができる。
方法(5):セルロース誘導体(B)を、(メタ)アクリル系共重合体(A)の原料である(メタ)アクリル酸アルキルエステルに混合し、鋳型の中で重合する公知の注型重合法。
方法(6):(メタ)アクリル系共重合体(A)とセルロース誘導体(B)を、二軸押し出し機やブレンダー等の公知の混練技術を用いて、加熱・溶融混合する方法。
複合樹脂シートの製造時に、加熱によるセルロース誘導体(B)の着色を抑制できることから、方法(5)に挙げた注型重合法が好適に用いられる。
注型重合法としては、セルキャスト法、連続キャスト法等の公知の注型重合法を用いることができる。
注型重合法では、まず、対向配置された2枚の無機ガラス板又は金属板(SUS板)の外周部を、軟質樹脂チューブ等のガスケットでシールして鋳型とする。次いで、後述する重合性原料を前記鋳型内に注入し、鋳型内で重合させることによりシート状又は板状の樹脂組成物を形成する。続いて、得られた樹脂組成物を鋳型から剥離して、シート状又は板状の樹脂成形体を得る方法である。
注型重合用の鋳型の形態は特に限定されず、公知の鋳型を用いることができる。例えば、セルキャスト用の鋳型、連続キャスト用の鋳型が挙げられる。
セルキャスト用の鋳型としては、例えば、無機ガラス板、クロムメッキ金属板、ステンレス鋼板等の2枚の板状体を任意の間隔で対向配置し、その縁部にガスケットを配置して、板状体とガスケットにより密封空間を形成させたものが挙げられる。
連続キャスト用の鋳型としては、例えば、同一方向へ同一速度で走行する一対のエンドレスベルトの対向する面と、エンドレスベルトの両側辺部においてエンドレスベルトと同一速度で走行するガスケットとにより密封空間を形成させたものが挙げられる。
注型重合法における重合方法は、特に制限されるものではなく、例えば、メタクリル系樹脂の製造に用いられる公知の重合方法を採用できる。具体的には、単量体を重合溶媒として用いるいわゆるバルク重合法(塊状重合法)を、公知のラジカル重合の条件下で行うことができる。
注型重合法を用いる場合、下記工程(1)~(3)を順次行うことができる。
工程(1):(メタ)アクリル系共重合体(A)の原料単量体及び重合開始剤とセルロース誘導体(B)を含む重合性原料を反応容器に注入し、次いで、第1加熱領域と第2加熱領域を有する重合装置に前記反応容器を導入する。
工程(2):反応容器中の重合性原料を、重合装置内の、第1加熱領域にて50℃以上100℃以下の温度範囲に加熱し、かつ、第2加熱領域にて100℃以上150℃以下の温度範囲に加熱して重合し、重合物を得る。
工程(3):得られた重合物を反応容器から取り出して、(メタ)アクリル系共重合体(A)とセルロース誘導体(B)を含有する、シート状又は板状の複合樹脂シートを得る。
複合樹脂シートにおける(メタ)アクリル系共重合体(A)の質量平均分子量、そのGPC分子量分布曲線における上述した面積割合は、重合時の重合開始剤の種類や添加量、連載移動剤の種類や添加量、重合温度、単量体の仕込み組成等を調整することにより制御できる。
注型重合法の重合反応形式としては、例えば、ラジカル重合およびアニオン重合が挙げられる。これらの中で、重合制御の面で、フリーラジカル重合が好ましい。
ラジカル重合を行う際に使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;およびラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等の有機過酸化物系化合物が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併せて使用できる。
ラジカル重合開始剤の添加量は、原料単量体の重合性および得られる複合樹脂シートの表面外観の観点から、原料単量体100質量部に対して0.02~1質量部が好ましい。
重合温度は、原料単量体の重合性を高める点で、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。また、得られる複合樹脂シートの着色や外観不良の抑制の点で、180℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。
本発明の複合樹脂シートを得るための重合時間は、重合の進行に応じて適宜決定される。
なお、上記注型重合に先立ち、原料(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一部を予めラジカル重合開始剤の存在下に重合し、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体5~30質量%と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル95~70質量%とを含むシラップを調製し、このシラップにセルロース誘導体(B)を分散させてラジカル重合開始剤の存在下に更なる重合を行ってもよい。このようにすることで、得られる複合樹脂シートの表面を平滑にすることができ、好ましい。
<成形体>
本発明の成形体は、本発明の複合樹脂組成物又は本発明の複合樹脂シート含む成形体である。
或いは又、本発明の成形体は、本発明の複合樹脂組成物又は本発明の複合樹脂シートを公知の成形方法で成形して得られる成形体である。
本発明の成形体の成形方法は、特に限定されるものではなく、前記複合樹脂組成物又は前記複合樹脂シートを、軟化温度以上に加熱し、金型に押し付けた状態で吸引して、所望の形状に成形する真空成形方式を用いることができる。軟化した樹脂が大気圧によって金型内に押し付けられ、ゆっくり冷却されることで、所望の成形体を得ることができる。成形温度は(メタ)アクリル系共重合体(A)の軟化温度に応じて決定することができ、特に限定されるものではなく、100℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、180℃以上が最も好ましい。また、300℃以下が好ましく、250℃以下が好ましく、230℃以下が最も好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
以下において「部」は「質量部」を示す。
<原料>
実施例及び比較例で使用した化合物の略号は以下のとおりである。
MMA:メチルメタクリレート
セルロース誘導体(B-1):アスペクト比1.0、平均繊維径9μm、平均繊維長9μmのセルロース(商品名:ARBOCEL UFC100、レッテンマイヤージャパン(株)製)
セルロース誘導体(B-2):アスペクト比1.2、平均繊維径15μm、平均繊維長18μmのセルロース(商品名:ARBOCEL(登録商標) BE600-10TG、レッテンマイヤージャパン(株)製)
セルロース誘導体(B-3):アスペクト比1.5、平均繊維径18μm、平均繊維長30μmのセルロース(商品名:ARBOCEL(登録商標) BE600-30、レッテンマイヤージャパン(株)製)
セルロース誘導体(B-4):アスペクト比6.5、平均繊維径20μm、平均繊維長130μmのセルロース(商品名:ARBOCEL(登録商標) B800、レッテンマイヤージャパン(株)製)
セルロース誘導体(B-5):アスペクト比10.0、平均繊維径20μm、平均繊維長200μmのセルロース(商品名:ARBOCEL(登録商標) BWW40、レッテンマイヤージャパン(株)製)
セルロース誘導体(B-6):アスペクト比15.0、平均繊維径20μm、平均繊維長300μmのセルロース(商品名:ARBOCEL(登録商標) BC200、レッテンマイヤージャパン(株)製)
セルロース誘導体(B-7):アスペクト比35.0、平均繊維径20μm、平均繊維長700μmのセルロース(商品名:ARBOCEL(登録商標) BC1000、レッテンマイヤージャパン(株)製)
<評価方法>
実施例及び比較例における評価は以下の方法により実施した。
(全光線透過率)
透明性の指標として、ヘーズメーター(機種名「NDH-2000」、日本電色工業(株)製)を用い、ISO13468-1に準拠して、試験片の全光線透過率を測定した。実施例・比較例で得られた樹脂成形体(厚さ3mm)を試験片として、全光線透過率を測定した。試験片2点を用いて、各試験片につき1回測定を行い、その平均値を全光線透過率とした。さらに、以下の基準を用いて判定した。
(判定基準)
AA:全光線透過率が50.0%以上
A :全光線透過率が40.0%を超えて5.0%未満
B :全光線透過率が40.0%未満
(ヘーズ値)
透明性の指標として、ヘーズメーター(機種名「NDH-2000」、日本電色工業(株)製)を用い、ISO14782に準拠して、実施例・比較例で得られた樹脂成形体(厚さ3mm)を試験片として、ヘーズ値を測定した。試験片2点を用いて、各試験片につき1回測定を行い、その平均値をヘーズ値とした。さらに、以下の基準を用いて判定した。
(判定基準)
AA:ヘーズ値が99.0%以上
A :ヘーズ値が90.0%を超えて99.0%未満
B :ヘーズ値が90.0%未満
(隠蔽性)
隠蔽性の指標として、実施例・比較例で得られた樹脂成形体(厚さ3mm)を用いて、下記の評価を行った。
45Wの蛍光灯から1.5m離れた距離に樹脂成形体を設置した。次いで、蛍光灯を点灯した状態で、樹脂成形体を介して蛍光灯のランプ形状の視認性を確認し、樹脂成形体を介して見たときの隠蔽性能を、以下の基準で判定した。
AA:蛍光灯のランプ形状を視認し難く、隠蔽性能が良好であった。
A :蛍光灯のランプ形状を僅かに視認できたが、隠蔽性能が良好であった。
B :蛍光灯のランプ形状を明瞭に視認し易く、隠蔽性能が不良であった。
(引張弾性率)
機械的強度の指標として、引張弾性率を以下の方法で測定した。
実施例・比較例で得られた樹脂成形体(厚さ3mm)を、スーパーダンベルカッター(商品名:SDK-100D、(株)ダンベル製)を用いて、ダンベル状の試験片を作製した。得られた試験片を、温度25℃、相対湿度50%RHの条件下に18時間静置した後、引張試験機(装置名:ストログラフTF、東洋精機(株)製)を使用し、JIS
K6251に準拠して、引張速度1mm/minで各試験片の引張試験を実施し、その時の応力歪み曲線の接線の平均値を求め、引張弾性率(MPa)とした。試験片3点を用いて、各試験片につき1回測定を行い、その平均値を引張弾性率とした。
なお、試験片を引張試験機の装置内に固定する前に、装置内を加熱乾燥時の熱風式乾燥機内と同じ温度に設定し、設定温度に到達したことを確認した後に試験片を装置内に固定し、2分間装置内に静置した。
(加熱成形性)
加熱成形性の指標として、研究開発用圧空真空成形機(型式:EP-3361-A、(株)浅野研究所製)を使用して、以下の評価を行った。
実施例・比較例で得られた樹脂成形体(厚さ3mm)から170mm×170mmの樹脂板を切り出して、これを評価用の試験片とした。80℃に調温した円柱状の金型(角部の角度:90度、底部の半径50mm)に対し、赤外線ヒーターで180℃に加熱した樹脂成形体を押し当てながら真空成形を行い、高さ30mmのハット状の成形体の成形を試みた。成形の可否から以下の基準で判定した。
○:ハット状の成形体が得られた。
×:ハット状の成形体が得られなかった。
(アスペクト比)
実施例で用いたセルロース誘導体(B)のアスペクト比を、以下の方法で計測した。
水5mlにセルロース誘導体(B)10mgを分散させた後、得られた分散液をガラス板の上に垂らした後、80℃に設定した乾燥機内に静置して、水分を完全に蒸発させた。次いで、光学顕微鏡を用いて、任意に選定したセルロース誘導体(B)100個について、セルロース誘導体(B)の長軸長さ(最大長径)と及び短軸長さ(長径に垂直方向で最も長い部分の長さ)を計測し、長軸長さ(最大長径)を短軸長さ(長径に垂直方向で最も長い部分の長さ)で除した値をアスペクト比とした。セルロース誘導体(B)100個について測定を行い、その平均値をアスペクト比とした。
(セルロース誘導体(B)の含有割合)
樹脂成形体中のセルロース誘導体(B)の含有割合を、以下の方法で測定した。
実施例・比較例で得られた樹脂成形体10gを精密に秤量し、これを、テトラヒドロフラン(東京化成工業(株)製)200mLともに、還流冷却管、攪拌翼及び温度計を備えた500mLのセパラブルフラスコに投入した。次いで、前記セパラブルフラスコの内容物を、温水浴を用いて60℃に加熱し24時間攪拌した。次いで、セパラブルフラスコ内の内容物を、減圧下で加熱してテトラヒドロフランを除去し、濃縮した。ろ紙(アドバンテック(株)製、5種C)を用いて、前記の濃縮物から固形分を回収した。次いで、得られた固形分を、テトラヒドロフラン200gを用いて3回洗浄し、一晩自然乾燥させた後、乾燥後の固形分の重量を精密に秤量した。乾燥後の固形分の重量を、樹脂組成物の重量(10g)で除してから百分率を算出し、セルロース誘導体(B)の含有割合(単位:質量%)とした。
[製造例1]
アクリルシラップの製造:MMA100部、セルロース誘導体(B-1)10部、t-ヘキシルパーオキシピバレート0.2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.01部からなる単量体組成物を重合槽に供給し、均一な懸濁液となるように十分撹拌しながら、窒素ガスでバブリングした後、加熱を開始した。次いで、重合槽の単量体組成物の温度を100℃に維持して10分間重合を行い、重合体含有率20質量%のシラップ(1)を得た。
[実施例1]
製造例1で得られたシラップ(1)100部((メタ)アクリル系共重合体(A)100部に相当する。)にt-ヘキシルパーオキシピバレート0.2部を添加し、真空中で脱気し、これを重合性組成物とした。対向して配置した2枚のガラス板(厚み10mm)の端部に、軟質樹脂製ガスケットを設置して、鋳型を作製した。次いで、上記の鋳型の中に前記重合性組成物を流し込んだ後、軟質樹脂製ガスケットで封止した。続いて、前記鋳型を、温水浴中で80℃まで昇温して60分間保持した後、加熱オーブン中で130℃まで昇温して30分間保持して、鋳型中の重合性組成物を重合させた。その後、室温まで冷却し、ガラス板を取り除いて厚さ3mmの板状の複合樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた複合樹脂組成物(樹脂成形体)の評価結果を表1に示す。
[実施例2、3]
セルロース誘導体(B-1)の添加量を、表1記載のとおりとした以外は、実施例1と同様の条件で板状の複合樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた複合樹脂組成物(樹脂成形体)の評価結果を表1に示す。
[実施例4~8]
セルロース誘導体(B-1)の種類を、表1記載のとおりとした以外は、実施例1と同様の条件で板状の複合樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた複合樹脂組成物(樹脂成形体)の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
セルロース誘導体(B-1)を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で板状の樹脂組成物(樹脂成形体)を得た。
得られた樹脂組成物(樹脂成形体)の評価結果を表1に示す。
[比較例2]
セルロース誘導体(B-1)のかわりにセルロース誘導体(B-7)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で板状の複合樹脂組成物を得た。
得られた複合樹脂組成物(樹脂成形体)の評価結果を表1に示す。
[比較例3]
セルロース誘導体(B-1)の添加量を、表1記載のとおりとした以外は実施例1と同様の条件で板状の複合樹脂組成物を得た。
得られた複合樹脂組成物(樹脂成形体)の評価結果を表1に示す。
Figure 2022151694000001
<評価結果>
実施例1~9の複合樹脂組成物は、隠蔽性を有し、加熱時の着色が少なく、加熱成形性及び機械的強度に優れていた。
特に、実施例1、2、3、4において、セルロース誘導体(B-1)の添加量が増加するにつれて引張弾性率が増加した。この理由は、分子として剛直なセルロースが多く充填されるほど引張弾性率が向上するためと考えられる。
比較例1の樹脂組成物は、セルロース誘導体を含まないため、機械的強度が不十分であった。
比較例2の複合樹脂組成物は、セルロース誘導体(B)の分散性が悪く、機械的強度が劣ると共に、加熱成形性が劣っていた。
これは、セルロース誘導体(B-7)のアスペクト比が35と大きいため、セルロース誘導体の絡み合いが起こり、複合樹脂組成物中でセルロース誘導体(B-7)が偏り、セルロース誘導体が疎な部分が生じたため、加熱成形時に均一に圧力がかからなかったためと考えられる。また、セルロース誘導体(B-7)の分散状態の偏りによって、光の散乱に偏りが生じたためと考えられる。
比較例3の複合樹脂組成物は、透明性と機械的強度が不十分であった。
これは、セルロース誘導体(B-1)の添加量が多すぎるために光の透過を妨げたと考えらえれる。また、セルロース誘導体(B-1)の添加量が増すぎたためメチルメタクリレートの重合反応が均一に進行せず、素材に強度むらが生じたためと考えられる。この比較例3では複合樹脂組成物が脆すぎて試験片に加工できなかったため引張弾性率の評価を行えなかった。
以上、本発明の好ましい実施形態、及び実施例を説明したが、本発明はこれらの実施形態、及び実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
本発明の複合樹脂樹脂組成物は、隠蔽性を有し、加熱時の着色が少なく、加熱成形性、及び機械的強度に優れる。
そのため、本発明の複合樹脂樹脂組成物、前記複合樹脂組成物を含む複合樹脂シート、及び前記複合樹脂組成物又は前記複合樹脂シートを含む成形体は、照明用材料、建築用材料、サイネージ等の用途に用いることができ、特に、建築用材料や、サイネージのカバー部分に好適に使用できる。

Claims (6)

  1. (メタ)アクリル系共重合体(A)及びセルロース誘導体(B)を含む複合樹脂組成物であって、
    前記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して前記セルロース誘導体(B)の含有量が0.1質量部以上70質量部以下であり、
    前記セルロース誘導体(B)のアスペクト比が1以上20以下である、複合樹脂組成物。
  2. 前記複合樹脂組成物の厚み3mmにおける全光線透過率が40%以上であり、且つ、ヘーズが90.0%以上99.9%以下である、請求項1に記載の複合樹脂組成物。
  3. 引張弾性率が3.0GPa以上である請求項1又は2に記載の複合樹脂組成物。
  4. 曲げ弾性率が3.0GPa以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物を含む複合樹脂シート。
  6. 請求項1~4のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物又は請求項5に記載の複合樹脂シートを含む成形体。
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