JP2023105554A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】トランジスタの耐圧低下を抑制可能な半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、基板1と、溝2と、溝2の内壁面に形成されたゲート絶縁膜3と、溝2の内部にゲート絶縁膜3を介して形成されたゲート電極4と、溝2の側面に接するように形成されたドリフト領域5と、溝2の側面及びドリフト領域5と接するように形成されたウェル領域6と、溝2の側面及びウェル領域6と接するように形成されたソース領域7と、ソース領域7と電気的に接続されたソース電極12と、ドリフト領域5に接するように形成されたドレイン領域8と、ドレイン領域8と電気的に接続されたドレイン電極13と、溝2、ソース領域7及びドレイン領域8と離れて、かつ少なくとも一部がドリフト領域5に形成された溝9と、溝9の内部に形成され、ドリフト領域5とユニポーラ型のダイオードをなすアノード電極10と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】半導体装置100は、基板1と、溝2と、溝2の内壁面に形成されたゲート絶縁膜3と、溝2の内部にゲート絶縁膜3を介して形成されたゲート電極4と、溝2の側面に接するように形成されたドリフト領域5と、溝2の側面及びドリフト領域5と接するように形成されたウェル領域6と、溝2の側面及びウェル領域6と接するように形成されたソース領域7と、ソース領域7と電気的に接続されたソース電極12と、ドリフト領域5に接するように形成されたドレイン領域8と、ドレイン領域8と電気的に接続されたドレイン電極13と、溝2、ソース領域7及びドレイン領域8と離れて、かつ少なくとも一部がドリフト領域5に形成された溝9と、溝9の内部に形成され、ドリフト領域5とユニポーラ型のダイオードをなすアノード電極10と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
従来より、ゲート電極を形成するため内部に形成されるトレンチと、ショットキーバリアダイオードを形成するため内部に形成されるトレンチを隣接して設け、ゲート電極とショットキーバリアダイオードの電極の間にチャネル領域を有する半導体装置が知られている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に記載された隣接するトレンチ構造では、ショットキーバリアダイオードの電極に印加された電圧によりチャネル領域にショットキーダイオードから空乏層が広がり、トランジスタの耐圧が低下するおそれがある。
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、その目的は、トランジスタの耐圧低下を抑制可能な半導体装置及びその製造方法を提供することである。
本発明の一態様に係る半導体装置は、基板と、基板の主面に形成された第1の溝と、第1の溝の内壁面に形成されたゲート絶縁膜と、第1の溝の内部にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、主面及び第1の溝の側面に接するように形成された第1導電型のドリフト領域と、主面、第1の溝の側面及びドリフト領域と接するように形成された第2導電型のウェル領域と、主面、第1の溝の側面及びウェル領域と接するように形成された第1導電型のソース領域と、ソース領域と電気的に接続されたソース電極と、ドリフト領域に接するように形成された第1導電型のドレイン領域と、ドレイン領域と電気的に接続されたドレイン電極と、第1の溝、ソース領域及びドレイン領域と離れて、かつ少なくとも一部がドリフト領域に形成された第2の溝と、第2の溝の内部に形成され、ソース電極と電気的に接続され、かつドリフト領域とユニポーラ型のダイオードをなすアノード電極と、を備える。
本発明によれば、トランジスタの耐圧低下を抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。以下の記載において「上面」「下面」等の「上」「下」の定義は、図示した断面図上の単なる表現上の問題であって、例えば、半導体装置の方位を90°変えて観察すれば「上」「下」の称呼は、「左」「右」になり、180°変えて観察すれば「上」「下」の称呼の関係は逆になることは勿論である。本実施形態では、N型を第1導電型とし、P型を第2導電型として説明するが、P型を第1導電型とし、N型を第2導電型としてもよい。
(第1実施形態)
(半導体装置の構成)
図1~4を参照して第1実施形態に係る半導体装置100の構成を説明する。図1は半導体装置100の平面図を示す。図2は図1のA-A断面図を示す。図3は図1のB-B断面図を示す。図4は図1のC-C断面図を示す。図1~4に示すように半導体装置100は、基板1と、複数の溝2,9と、ゲート絶縁膜3と、ゲート電極4と、ドリフト領域5と、ウェル領域6と、ソース領域7と、ドレイン領域8と、アノード電極10と、ソース電極12と、ドレイン電極13とを備える。ただし説明の都合上、図1ではソース電極12及びドレイン電極13の図示は省略する。
(半導体装置の構成)
図1~4を参照して第1実施形態に係る半導体装置100の構成を説明する。図1は半導体装置100の平面図を示す。図2は図1のA-A断面図を示す。図3は図1のB-B断面図を示す。図4は図1のC-C断面図を示す。図1~4に示すように半導体装置100は、基板1と、複数の溝2,9と、ゲート絶縁膜3と、ゲート電極4と、ドリフト領域5と、ウェル領域6と、ソース領域7と、ドレイン領域8と、アノード電極10と、ソース電極12と、ドレイン電極13とを備える。ただし説明の都合上、図1ではソース電極12及びドレイン電極13の図示は省略する。
基板1は、炭化珪素の半絶縁性基板である。半絶縁性基板の抵抗率は数kΩ/cm以上である。炭化珪素には複数のポリタイプ(結晶多形)が存在するが、本実施形態では代表的な4Hとして説明する。図2に示すように、基板1は一方向(X軸方向)に延伸するように主面(上面)に形成された溝2(第1の溝)を有する。図1において溝2は3本形成されるがこれは一例であり3本に限定されない。図1~3に示すように基板1の主面には、ウェル領域6(P型)、ドリフト領域5(N型)、ドレイン領域8(高濃度N型)、ソース領域7(高濃度N型)が形成されている。
図2に示すように溝2の内壁面にはゲート絶縁膜3が形成されている。溝2の内部を埋め込むようにゲート絶縁膜3を介してゲート電極4が形成されている。またゲート電極4は、ソース領域7、ウェル領域6及びドリフト領域5とゲート絶縁膜3を介して接している。ドリフト領域5は、基板1の主面及び溝2の側面に接するように形成されている。ウェル領域6は、基板1の主面、溝2の側面及びドリフト領域5と接するように形成されている。図2に示すように上下方向(Z軸方向)におけるゲート電極4の深さはドリフト領域5の深さよりも深くなっており、ゲート電極4の端部(底面)は基板1に接している。
図1~3に示すようにソース領域7及びウェル領域6と層間絶縁膜14に形成した開口部で電気的に接続されたソース電極12が形成されている。ソース領域7は、基板1の主面、溝2の側面及びウェル領域6と接するように形成されている。図3に示すように基板1は、主面に形成された溝9(第2の溝)を有する。図1において溝9は4本形成されるがこれは一例であり4本に限定されない。溝9は、溝2、ソース領域7及びドレイン領域8と離れて形成され、かつ少なくとも一部がドリフト領域5に形成されている。図3に示すようにアノード電極10は、ソース電極12と電気的に接続され少なくともその一部がドリフト領域5に形成されている。ドレイン領域8は、ドリフト領域5に接するように形成されている。ドレイン電極13はドレイン領域8と電気的に接続されるように形成されている。またドレイン電極13はソース電極12と離れて形成されている。また図3に示すようにアノード電極10は、溝9の側面においてドリフト領域5に接し、ドリフト領域5とショットキー接合を形成する。アノード電極10はドリフト領域5とユニポーラ型のダイオードをなす。また図3に示すように上下方向におけるアノード電極10の深さはドリフト領域5の深さ及びウェル領域6の深さよりも深くなっており、アノード電極10の端部(底面)は基板1に接している。
図4に示すように上下方向(Z軸方向)におけるゲート電極4の深さとアノード電極10の深さは同じ深さとなるように形成されている。
(半導体装置の動作例)
半導体装置100の基本的な動作について説明する。半導体装置100は、ソース電極12の電位を基準として、ドレイン電極13に正の電位を印加した状態でゲート電極4の電位を制御することにより、トランジスタとして機能する。すなわち、ゲート電極4とソース電極12間の電圧を所定の閾値電圧以上にするとゲート電極4の側面のウェル領域6のチャネル領域に反転層が形成されるためオン状態となり、ドレイン電極13からソース電極12へ電流が流れる。一方、ゲート電極4とソース電極12間の電圧を所定の閾値電圧以下にすると反転層が消滅しオフ状態となり電流が遮断される。
半導体装置100の基本的な動作について説明する。半導体装置100は、ソース電極12の電位を基準として、ドレイン電極13に正の電位を印加した状態でゲート電極4の電位を制御することにより、トランジスタとして機能する。すなわち、ゲート電極4とソース電極12間の電圧を所定の閾値電圧以上にするとゲート電極4の側面のウェル領域6のチャネル領域に反転層が形成されるためオン状態となり、ドレイン電極13からソース電極12へ電流が流れる。一方、ゲート電極4とソース電極12間の電圧を所定の閾値電圧以下にすると反転層が消滅しオフ状態となり電流が遮断される。
半導体装置100のオフ時の動作(電流の流れ)について説明する。ソース電極12に正電圧が印加され、ドレイン電極13に負電圧が印加されたとき(MOSFETのオフ時)、ウェル領域6とドリフト領域5との間のpn接合及びアノード電極10とドリフト領域5との界面から空乏層が伸びる。このとき、アノード電極10がゲート電極4よりもドリフト領域5に近いため、アノード電極10から伸びる空乏層がゲート電極4を覆い、ゲート電極4端部の電界集中を緩和することが可能となる。またオン時には、ウェル領域6とドリフト領域5とで形成される寄生pnダイオードを介さずに、溝9の側面に形成された寄生ショットキーダイオードを介してソース側からドレイン側へ電流が流れる。すなわち、オン時には基板1に形成されるボディーダイオードのうち、寄生ショットキーダイオードのみが動作し、寄生pnダイオードは動作しない。このため、寄生pnダイオードがオンしてバイポーラ動作することによる経年劣化が生じない。
図5のL1はY軸方向におけるアノード電極10とゲート電極4との間の距離を示す。L2はX軸方向におけるアノード電極10とソース領域7との間の距離を示す。L2はXY軸平面においてX軸から所定偏角の座標系における、アノード電極10とゲート電極4(またはソース領域7)との間の距離を示す。図5の符号20はチャネルを示す。図6は図5のD-D部及びE-E部のバンド図を示す。図6の横軸は距離(μm)を示し、縦軸はエネルギーを示す。図6のL1及びL3は図5のL1及びL3に対応する。図6の符号40はフェルミ準位を示し、符号41はゲート絶縁膜界面を示し、符号42はD-D部の伝導帯を示し、符号43はE-E部の伝導帯を示し、符号44はゲート絶縁膜3の伝導帯を示す。第1実施形態に係るMOSFETは、ゲート電極4に正電圧を印加したときにゲート絶縁膜界面の伝導帯が下がり、それがフェルミ準位に達したとき電子が多数キャリアとなりチャネル20を形成する。D-D部とE-E部を比較すると、アノード電極10の準位に引っ張られる形態でD-D部のゲート絶縁膜界面伝導帯の方がフェルミ準位に近くなり、閾値電圧が小さくなっている。ゲート絶縁膜界面とアノード電極10との距離が近いほどアノード電極準位の引っ張りの影響が大きくなるため、L3>L1のとき、すなわちL2>0のとき(3平方の定理により導かれる)、E-E部の閾値電圧はD-D部よりも大きくなる。これにより閾値電圧低下が抑制され、トランジスタの耐圧低下が抑制される。なお距離L1の一例は0.3μmであり、距離L2の一例は0.95μmであり、距離L3の一例は1μmである。
(半導体装置の製造方法)
次に図7~10を参照して半導体装置100の製造方法の一例について説明する。まず図7に示すように低不純物濃度の炭化珪素である半絶縁性基板(基板1)に、マスク材でパターニングした箇所にP型のウェル領域6、N型のドリフト領域5、高濃度N型のドレイン領域8及び高濃度N型のソース領域7のそれぞれをイオン注入によって形成する。イオン注入の工程において、N型不純物としては窒素を用いることができ、またP型不純物としてはアルミニウム、ボロンを用いることができる。この際、基板温度を600℃程度に加熱した状態でイオン注入することで、注入領域に結晶欠陥が生じるのを抑制することができる。なおドリフト領域5とウェル領域6は濃度が1E15/cm^3~1E19/cm^3が好適である。次にイオン注入した不純物を熱処理することで活性化する。熱処理温度としては1700℃程度の温度を用いることができ、雰囲気としてはアルゴン、窒素を好適に用いることができる。
次に図7~10を参照して半導体装置100の製造方法の一例について説明する。まず図7に示すように低不純物濃度の炭化珪素である半絶縁性基板(基板1)に、マスク材でパターニングした箇所にP型のウェル領域6、N型のドリフト領域5、高濃度N型のドレイン領域8及び高濃度N型のソース領域7のそれぞれをイオン注入によって形成する。イオン注入の工程において、N型不純物としては窒素を用いることができ、またP型不純物としてはアルミニウム、ボロンを用いることができる。この際、基板温度を600℃程度に加熱した状態でイオン注入することで、注入領域に結晶欠陥が生じるのを抑制することができる。なおドリフト領域5とウェル領域6は濃度が1E15/cm^3~1E19/cm^3が好適である。次にイオン注入した不純物を熱処理することで活性化する。熱処理温度としては1700℃程度の温度を用いることができ、雰囲気としてはアルゴン、窒素を好適に用いることができる。
次に図8に示すように、パターニングしたマスク材を形成し、溝2をドライエッチングによって形成する。次に図9に示すように、ゲート絶縁膜3、ゲート電極4を溝2の内部に形成する。ゲート絶縁膜3は熱酸化法または堆積法で形成できる。熱酸化法の条件の一例として、基板1を酸素雰囲気中に温度を1100℃程度に加熱することで、基体が酸素に触れるすべての部分においてシリコン酸化膜が形成される。ゲート絶縁膜3を形成後、ウェル領域6とゲート絶縁膜3との界面の界面準位を低減するために、窒素、アルゴン、N2O等の雰囲気中で1000℃程度のアニールを行ってもよい。NOまたはN2O雰囲気中での熱酸化によるゲート絶縁膜3の形成も可能である。その場合の温度は1100℃~1400℃が好適である。形成されるゲート絶縁膜3の厚さは数十nmが好適である。
次にゲート電極4を堆積する。ゲート電極4の材料はポリシリコンが一般的であり、ここではポリシリコンを用いて説明する。ポリシリコンの堆積方法としては減圧CVD法を用いてもよい。ポリシリコンの堆積厚さは溝2の幅の二分の一より大きな値にし、溝2をポリシリコンで完全に埋める。例えば、溝2の幅が2μmの場合はポリシリコンの厚さは1μmより厚くする。また、ポリシリコン堆積後に、950℃でPOCl3中にアニールすることで、N型のポリシリコンが形成され、ゲート電極4に導電性を持たせる。次に層間絶縁膜14を堆積する。層間絶縁膜14の一例はシリコン酸化膜であるがこれに限定されず、シリコン窒化膜でも構わない。
次に図10に示すように、パターニングしたマスク材を形成し、溝9をドライエッチングによって形成する。次にアノード電極10を溝9の内部に形成する。溝9のマスク材のパターニングに用いたレジスト膜を残した状態で、レジスト膜の開口部に露出する溝9の内壁に沿ってアノード電極10を堆積する。次にここまでの各処理を行った基板1を例えばアセトンに浸し、レジスト膜とともに、レジスト膜上のアノード電極10を除去するリフトオフ処理を行う。アノード電極10には例えばチタン、モリブデン、ニッケルなどが適用できる。
次に、レジストによるパターニング及びドライエッチングによりソース電極コンタクトホール、ドレイン電極コンタクトホールを層間絶縁膜14に形成する。次に、コンタクトホールを埋め込むように基板1の主面上に例えばアルミニウムからなる金属材料を堆積し、パターニングによりソース電極12、ドレイン電極13を形成する。電極材料としてはメタル配線が一般的である。メタルはTiでも、Niでも、Moでもよい。また、Ti、Ni、Agなどからなる積層メタルでもよい。
(作用効果)
以上説明したように、第1実施形態に係る半導体装置100によれば、以下の作用効果が得られる。
以上説明したように、第1実施形態に係る半導体装置100によれば、以下の作用効果が得られる。
半導体装置100は、基板1と、基板1の主面に形成された第1の溝(溝2)と、第1の溝の内壁面に形成されたゲート絶縁膜3と、第1の溝の内部にゲート絶縁膜3を介して形成されたゲート電極4と、基板1の主面及び第1の溝の側面に接するように形成された第1導電型のドリフト領域5と、基板1の主面、第1の溝の側面及びドリフト領域5と接するように形成された第2導電型のウェル領域6と、基板1の主面、第1の溝の側面及びウェル領域6と接するように形成された第1導電型のソース領域7と、ソース領域7と電気的に接続されたソース電極12と、ドリフト領域5に接するように形成された第1導電型のドレイン領域8と、ドレイン領域8と電気的に接続されたドレイン電極13と、第1の溝、ソース領域7及びドレイン領域8と離れて、かつ少なくとも一部がドリフト領域5に形成された第2の溝(溝9)と、第2の溝に、ソース電極12と電気的に接続され、かつドリフト領域5とユニポーラ型のダイオードをなすアノード電極10と、を備える。図5に示すようにアノード電極10がソース領域7から離れているので(距離L2)、ソース領域7付近のチャネル20がダイオードから広がる空乏層によって空乏化されず、集積化したときの閾値電圧低下が抑制され、トランジスタの耐圧低下が抑制される。
第2の溝(溝9)は、第1の溝(溝2)よりドレイン領域8に近い位置に形成される。ここでいう「近い位置に形成される」とは、図1に示すX軸方向において第2の溝からドレイン領域8までの直線上の最短距離のほうが、第1の溝からドレイン領域8までの直線上の最短距離より短い、ということを意味する。アノード電極10がゲート電極4よりもドレイン領域8に近い位置に形成されるため、ゲート電極4のドレイン領域8側端部(X軸上の端部)の電界集中が緩和され、ドレイン、ゲート耐圧が向上する。
第2の溝(溝9)の深さは、第1の溝(溝2)の深さと同じまたは第1の溝の深さより深い。アノード電極10の深さをゲート電極4の深さより深くすることにより、ゲート電極4の深さ方向端部の電界集中が緩和され、ドレイン、ゲート耐圧が向上する。
基板1はドリフト領域5より低不純物濃度である。ウェル領域6の深さは、ドリフト領域5の深さより深い。これにより、ウェル領域6とドレイン領域8との界面の深さ方向端部の電界集中が緩和され、ドレイン、ソース耐圧が向上する。
基板1は、半絶縁性または絶縁性を有してもよい。これにより基板1の主面に形成された電極から裏面へのリーク電流を低減することが可能となる。
図2に示すように第1の溝(溝2)の深さは、ドリフト領域5の深さより深い。第1の溝の深さ方向端部の電界集中が緩和され、ドレイン、ゲート耐圧が向上する。
基板1は炭化珪素で形成されてもよい。これによりドレイン、ソース耐圧が向上する。
アノード電極10とゲート電極4は、ポリシリコンで形成されてもよい。これにより溝への電極埋め込み性が向上する。
半導体装置100を製造する際、アノード電極10とゲート電極4は一括して形成されてもよい。これにより製造工数を低減することが可能となる。
(第2実施形態)
(半導体装置の構成)
図11~12を参照して第2実施形態に係る半導体装置100の構成を説明する。第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、アノード電極10が形成される位置、アノード電極10のドレイン領域8側の側面を覆うように電界緩和領域11が形成されていることである。第1実施形態と重複する構成については符号を引用してその説明は省略する。以下、相違点を中心に説明する。
(半導体装置の構成)
図11~12を参照して第2実施形態に係る半導体装置100の構成を説明する。第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、アノード電極10が形成される位置、アノード電極10のドレイン領域8側の側面を覆うように電界緩和領域11が形成されていることである。第1実施形態と重複する構成については符号を引用してその説明は省略する。以下、相違点を中心に説明する。
図11は半導体装置100の平面図を示す。図12は図1のF-F断面図を示す。図11に示すようにアノード電極10は、溝9の側面においてドリフト領域5に接し、ドリフト領域5との間でヘテロ接合ダイオードを形成する。電界緩和領域11は、アノード電極10とドリフト領域5との界面の電界を緩和する機能を持つ。例えば、基板1と同じ材料である炭化珪素でドリフト領域5よりも低濃度の領域、または第2の導電型で形成された領域が採用可能である。また、絶縁材料を埋め込むことでもその機能を果たすことができる。ここでは、基板1と同じ材料で、かつ基板1と同じ半絶縁性の領域として説明する。
図12に示すようにゲート電極4とドレイン領域8との間に、ドリフト領域5よりも深く形成された溝9と、溝9に埋め込まれたアノード電極10を備える。さらに溝9のドリフト領域5側の側面を覆うように電界緩和領域11である半絶縁性領域を備える。
(半導体装置の動作例)
半導体装置100の基本的な動作について説明する。半導体装置100は、ソース電極12の電位を基準として、ドレイン電極13に正の電位を印加した状態でゲート電極4の電位を制御することにより、トランジスタとして機能する。すなわち、ゲート電極4とソース電極12間の電圧を所定の閾値電圧以上にするとゲート電極4の側面のウェル領域6のチャネル領域に反転層が形成されるためオン状態となり、ドレイン電極13からソース電極12へ電流が流れる。一方、ゲート電極4とソース電極12間の電圧を所定の閾値電圧以下にすると反転層が消滅しオフ状態となり電流が遮断される。
半導体装置100の基本的な動作について説明する。半導体装置100は、ソース電極12の電位を基準として、ドレイン電極13に正の電位を印加した状態でゲート電極4の電位を制御することにより、トランジスタとして機能する。すなわち、ゲート電極4とソース電極12間の電圧を所定の閾値電圧以上にするとゲート電極4の側面のウェル領域6のチャネル領域に反転層が形成されるためオン状態となり、ドレイン電極13からソース電極12へ電流が流れる。一方、ゲート電極4とソース電極12間の電圧を所定の閾値電圧以下にすると反転層が消滅しオフ状態となり電流が遮断される。
半導体装置100のオフ時の動作(電流の流れ)について説明する。ソース電極12に正電圧が印加され、ドレイン電極13に負電圧が印加されたとき(MOSFETのオフ時)、ウェル領域6とドリフト領域5との間のpn接合及びアノード電極10とドリフト領域5との界面から空乏層が伸びる。このとき、アノード電極10がゲート電極4よりもドリフト領域5に近いため、アノード電極10から伸びる空乏層がゲート電極4を覆い、ゲート電極4端部の電界集中を緩和することが可能となる。さらに、アノード電極10のドリフト領域5側の側面に低不純物濃度の電界緩和領域11があるため、空乏層の伸びが大きくなり、アノード電極10とドリフト領域5との界面の電界集中を緩和できる。また、オン時には、ウェル領域6とドリフト領域5とで形成される寄生pnダイオードを介さずに、溝9の側面に形成された寄生ショットキーダイオードを介してソース側からドレイン側へ電流が流れる。すなわち、オン時には、基板1に形成されるボディーダイオードのうち、寄生ショットキーダイオードのみが動作し、寄生pnダイオードは動作しない。このため、寄生pnダイオードがオンしてバイポーラ動作することによる経年劣化が生じない。
(半導体装置の製造方法)
次に図13~15を参照して半導体装置100の製造方法の一例について説明する。まず図13に示すように低不純物濃度の炭化珪素である半絶縁性基板(基板1)に、マスク材でパターニングした箇所にウェル領域6、ドリフト領域5、ドレイン領域8及びソース領域7のそれぞれをイオン注入によって形成する。このとき、電界緩和領域11の相当する箇所はマスク材を開口せず、低不純物濃度の半絶縁性領域のままとする。次に図14に示すように、パターニングしたマスク材を形成し、溝2及び溝9をドライエッチングによって形成する。
次に図13~15を参照して半導体装置100の製造方法の一例について説明する。まず図13に示すように低不純物濃度の炭化珪素である半絶縁性基板(基板1)に、マスク材でパターニングした箇所にウェル領域6、ドリフト領域5、ドレイン領域8及びソース領域7のそれぞれをイオン注入によって形成する。このとき、電界緩和領域11の相当する箇所はマスク材を開口せず、低不純物濃度の半絶縁性領域のままとする。次に図14に示すように、パターニングしたマスク材を形成し、溝2及び溝9をドライエッチングによって形成する。
次に図15に示すようにゲート絶縁膜3を溝2及び溝9の内部に形成する。次にレジストを基板1の主面に塗布し、フォトリソグラフィによって溝9の箇所のみ開口する。そしてウェットエッチングにより溝9の内部に形成されたゲート絶縁膜3を除去する。次にゲート電極4及びアノード電極10を堆積する。材料の一例はポリシリコンである。ポリシリコンの堆積方法としては減圧CVD法を用いてもよい。ポリシリコンの堆積厚さは溝の幅の二分の一より大きな値にし、溝をポリシリコンで完全に埋める。例えば、溝の幅が2μmの場合はポリシリコンの厚さは1μmより厚くする。また、ポリシリコン堆積後に、イオン注入によりボロンをドープし、950℃でアニールすることで、P型のポリシリコンが形成され、ゲート電極4及びアノード電極10に導電性を持たせる。
次に、異方性エッチングにより基板1の主面のポリシリコンを除去し、溝2及び溝9内部にのみポリシリコンが残るようにする。次に層間絶縁膜を堆積する。層間絶縁膜の一例はシリコン酸化膜であるがこれに限定されず、シリコン窒化膜でも構わない。そしてレジストによるパターニング及びドライエッチングによりソース電極コンタクトホール、ドレイン電極コンタクトホール、アノード電極コンタクトホール及びゲート電極コンタクトホールを層間絶縁膜14に形成する。次に、基板1の主面上に例えばアルミニウムからなる金属材料を層間絶縁膜14に形成したコンタクトホールを埋め込むようにして堆積し、パターニングによりソース電極12、ドレイン電極13及びゲート配線を形成する。電極材料としてはメタル配線が一般的である。メタルはTiでも、Niでも、Moでもよい。また、Ti、Ni、Agなどからなる積層メタルでもよい。
(作用効果)
以上説明したように、第2実施形態に係る半導体装置100によれば、以下の作用効果が得られる。なお第1実施形態と共通する作用効果については省略する。
以上説明したように、第2実施形態に係る半導体装置100によれば、以下の作用効果が得られる。なお第1実施形態と共通する作用効果については省略する。
第2の溝(溝9)は、ウェル領域6と離れて形成される。これにより、アノード電極10の寸法に関わらずゲート電極4の間隔を狭めて集積化できる。
ドレイン領域8と第1の溝(溝2)とを主面の平面視における最短距離で結んだ直線上に第2の溝(溝9)が形成される。これにより、ドレイン領域8とゲート電極4との間にアノード電極10が形成されるため、第1の溝のドレイン領域8側端部の電界集中が緩和され、ドレイン、ゲート耐圧が向上する。
第2の溝(溝9)におけるドリフト領域5側の側面に電界緩和領域11が形成される。これにより、ショットキーダイオードのドリフト領域5側の側面に電界緩和領域11が形成されるため、ドレイン、ソース耐圧が向上する。
電界緩和領域11は、基板1と同じ材料で形成され、かつ基板1と同じ不純物濃度である。これにより工程を追加することなくドレイン、ソース耐圧が向上する。
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
1 基板、2,9 溝、3 ゲート絶縁膜、4 ゲート電極、5 ドリフト領域、6 ウェル領域、7 ソース領域、8 ドレイン領域、10 アノード電極、11 電界緩和領域、12 ソース電極、13 ドレイン電極、14 層間絶縁膜
Claims (13)
- 基板と、
前記基板の主面に形成された第1の溝と、
前記第1の溝の内壁面に形成されたゲート絶縁膜と、
前記第1の溝の内部に前記ゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記主面及び前記第1の溝の側面に接するように形成された第1導電型のドリフト領域と、
前記主面、前記第1の溝の側面及び前記ドリフト領域と接するように形成された第2導電型のウェル領域と、
前記主面、前記第1の溝の側面及び前記ウェル領域と接するように形成された第1導電型のソース領域と、
前記ソース領域と電気的に接続されたソース電極と、
前記ドリフト領域に接するように形成された第1導電型のドレイン領域と、
前記ドレイン領域と電気的に接続されたドレイン電極と、
前記第1の溝、前記ソース領域及び前記ドレイン領域と離れて、かつ少なくとも一部が前記ドリフト領域に形成された第2の溝と、
前記第2の溝の内部に形成され、前記ソース電極と電気的に接続され、かつ前記ドリフト領域とユニポーラ型のダイオードをなすアノード電極と、
を備えることを特徴とする半導体装置。 - 前記第2の溝は、前記第1の溝より前記ドレイン領域に近い位置に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。 - 前記第2の溝の深さは、前記第1の溝の深さと同じまたは前記第1の溝の深さより深い
ことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。 - 前記第2の溝は、前記ウェル領域と離れて形成される
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体装置。 - 前記ドレイン領域と前記第1の溝とを前記主面の平面視における最短距離で結んだ直線上に前記第2の溝が形成される
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置。 - 前記基板は、前記ドリフト領域より低不純物濃度であり、
前記ウェル領域の深さは、前記ドリフト領域の深さより深い
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体装置。 - 前記基板は、半絶縁性または絶縁性を有する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置。 - 前記第2の溝における前記ドリフト領域側の側面に電界緩和領域が形成される
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体装置。 - 前記電界緩和領域は、前記基板と同じ材料で形成され、かつ前記基板と同じ不純物濃度である
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。 - 前記第1の溝の深さは、前記ドリフト領域の深さより深い
ことを特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載の半導体装置。 - 前記基板は、炭化珪素で形成される
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の半導体装置。 - 前記アノード電極と前記ゲート電極は、ポリシリコンで形成される
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の半導体装置。 - 前記アノード電極と前記ゲート電極は一括して形成される
ことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
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JP2022006456A JP2023105554A (ja) | 2022-01-19 | 2022-01-19 | 半導体装置及びその製造方法 |
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