JP2023101873A - 表面被覆切削工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた耐久性を有する表面被覆切削工具を得る。【解決手段】被覆層は、順に、互いに接する層A2、層B3、層C4有し、これら3層の平均厚さの和は1.05~21.0μmで、層A2の平均厚さは0.05~2.00μmで、Tiの窒化物または炭窒化物であり、層B3の平均層厚は、0.50~7.00μmであり、(AlXBTi1-XB)(CYBN1-YB)(0.50≦XB≦0.75、0.00≦YB<0.05)の平均組成であって、NaCl型の面心立方晶構造を有する結晶粒が80面積%以上を占め、層C4の平均厚さは0.50~13.50μmであり、(AlXCTi1-XC)(CYCN1-YC)(0.53≦XC≦0.80、0.00≦YC<0.05)の平均組成であって、NaCl型の面心立方晶構造を有する結晶粒が80面積%以上を占め、0.03≦XC-XB≦0.10である表面被覆切削工具。【選択図】図1
Description
本発明は、表面被覆切削工具(以下、被覆工具ということがある)に関する。
従来、切削工具を高寿命とすべく、炭化タングステン(以下、WCということがある)基超硬合金等の基体の表面に、被覆層を被覆した被覆工具があり、この被覆工具は耐摩耗性等が向上している。
そして、被覆工具のより一層の切削性能を向上させるために、被覆層の組成や構造について、種々の提案がなされている。
そして、被覆工具のより一層の切削性能を向上させるために、被覆層の組成や構造について、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、2μmから25μmの厚さを有する単層又は多層の摩耗保護コーティングを有する工具であって、
該摩耗保護コーティングが、1μmから16μmの範囲の厚さを有し、85超体積%の面心立方結晶構造を有する、0.40≦x≦0.95、0≦y≦0.10かつ0.85≦z≦1.15の少なくとも一のTi1-xAlxCyNz層を含み、該Ti1-xAlxCyNz層が、結晶内部よりも高いAl含有量を有するTi1-xAlxCyNz結晶の粒界でTi1-oAloCpNqの析出物を含み、0.95≦o≦1.00、0≦p≦0.10、0.85≦q≦1.15且つ(0-x)≧0.05であり、さらに、前記Ti1-xAlxCyNz層のTC(111)が1.5超である被覆工具が記載され、該被覆工具は改善した耐摩耗性及び改善した櫛状亀裂に対する耐性を呈するとされている。
該摩耗保護コーティングが、1μmから16μmの範囲の厚さを有し、85超体積%の面心立方結晶構造を有する、0.40≦x≦0.95、0≦y≦0.10かつ0.85≦z≦1.15の少なくとも一のTi1-xAlxCyNz層を含み、該Ti1-xAlxCyNz層が、結晶内部よりも高いAl含有量を有するTi1-xAlxCyNz結晶の粒界でTi1-oAloCpNqの析出物を含み、0.95≦o≦1.00、0≦p≦0.10、0.85≦q≦1.15且つ(0-x)≧0.05であり、さらに、前記Ti1-xAlxCyNz層のTC(111)が1.5超である被覆工具が記載され、該被覆工具は改善した耐摩耗性及び改善した櫛状亀裂に対する耐性を呈するとされている。
また、例えば、特許文献2には、被覆層は、基体側に近い側から、下記式(1)で表される組成を有する化合物を含有する下部層と、前記下部層の上に形成され、下記式(2)で表される組成を有する化合物を含有する上部層と、を有し、
(AlxTi1-x)N(0.60≦x≦0.95)(1)
(AlyTi1-y)N(0.50≦y≦0.85)(2)
前記下部層の平均厚さが、1.0μm以上10.0μm以下であり、前記上部層の平均厚さが、1.0μm以上10.0μm以下であり、
前記下部層においてGOS値が1度以下を示す結晶粒の面積割合GOSiと、前記上部層においてGOS値が1度以下を示す結晶粒の面積割合GOSsとが、GOSi<GOSsを満たす被覆工具が記載され、該被覆工具は高速で負荷が作用するような切削加工条件下でも工具寿命を延長することができるとされている。
(AlxTi1-x)N(0.60≦x≦0.95)(1)
(AlyTi1-y)N(0.50≦y≦0.85)(2)
前記下部層の平均厚さが、1.0μm以上10.0μm以下であり、前記上部層の平均厚さが、1.0μm以上10.0μm以下であり、
前記下部層においてGOS値が1度以下を示す結晶粒の面積割合GOSiと、前記上部層においてGOS値が1度以下を示す結晶粒の面積割合GOSsとが、GOSi<GOSsを満たす被覆工具が記載され、該被覆工具は高速で負荷が作用するような切削加工条件下でも工具寿命を延長することができるとされている。
本発明は、前記事情や前記提案を鑑みてなされたもので、優れた耐久性を有する表面被覆切削工具を得ることを目的とする。
本発明の実施形態に係る表面被覆切削工具は、
基体と該基体の表面に被覆層を有し、
(a)前記被覆層は、前記基体の表面から工具表面に向かって、順に、互いに接する層A、層B、および、層C有し、これら3層の平均厚さの和は1.05~21.0μmであって、
(b)前記層Aの平均厚さは0.05~2.00μmであって、Tiの窒化物または炭窒化物であり、
(c)前記層Bの平均層厚は、0.50~7.00μmであり、
(AlXBTi1-XB)(CYBN1-YB)(0.50≦XB≦0.75、0.00≦YB<0.05)の平均組成であって、NaCl型の面心立方晶構造を有する結晶粒が80面積%以上を占め、
(d)前記層Cの平均厚さは0.50~13.50μmであり、
(AlXCTi1-XC)(CYCN1-YC)(0.53≦XC≦0.80、0.00≦YC<0.05)の平均組成であって、NaCl型の面心立方晶構造を有する結晶粒が80面積%以上を占め、
(e)前記XBと前記XCは、0.03≦XC-XB≦0.10
である。
基体と該基体の表面に被覆層を有し、
(a)前記被覆層は、前記基体の表面から工具表面に向かって、順に、互いに接する層A、層B、および、層C有し、これら3層の平均厚さの和は1.05~21.0μmであって、
(b)前記層Aの平均厚さは0.05~2.00μmであって、Tiの窒化物または炭窒化物であり、
(c)前記層Bの平均層厚は、0.50~7.00μmであり、
(AlXBTi1-XB)(CYBN1-YB)(0.50≦XB≦0.75、0.00≦YB<0.05)の平均組成であって、NaCl型の面心立方晶構造を有する結晶粒が80面積%以上を占め、
(d)前記層Cの平均厚さは0.50~13.50μmであり、
(AlXCTi1-XC)(CYCN1-YC)(0.53≦XC≦0.80、0.00≦YC<0.05)の平均組成であって、NaCl型の面心立方晶構造を有する結晶粒が80面積%以上を占め、
(e)前記XBと前記XCは、0.03≦XC-XB≦0.10
である。
さらに、前記実施形態に係る表面被覆切削工具は、次の事項を満足してもよい。
前記層Bおよび前記層Cにおいて、前記NaCl型の面心立方晶構造の結晶粒(111)面の回折線強度値I(111)と同(200)面の回折線強度値I(200)は、
1.0≦I(111)/I(200)の関係を満たすこと。
1.0≦I(111)/I(200)の関係を満たすこと。
前記実施形態に係る表面被覆切削工具は、優れた耐久性を有する。
本発明者は、被覆層にAlとTiとの複合炭化物、複合窒化物(以下、(AlTi)CNと表すことがある)を有する被覆工具において、被削材の溶着および基体へ進展する亀裂(クラック)を抑制するための方策について鋭意検討した。
その結果、被覆工具の表面側に基体へ進展する亀裂を抑制する組成の(AlTi)CN層所定の平均厚さで設け、その下方(基体側)に耐摩耗性と耐溶着性に優れた組成の(AlTi)CN層を所定の平均厚さで設けることを見出し、さらには、両層間のAl含有量差を所定の範囲内とすることにより、両層間の連続的な結晶成長が達成されるとの知見を得た。
その結果、被覆工具の表面側に基体へ進展する亀裂を抑制する組成の(AlTi)CN層所定の平均厚さで設け、その下方(基体側)に耐摩耗性と耐溶着性に優れた組成の(AlTi)CN層を所定の平均厚さで設けることを見出し、さらには、両層間のAl含有量差を所定の範囲内とすることにより、両層間の連続的な結晶成長が達成されるとの知見を得た。
以下では、本発明の実施形態の被覆工具について詳細に説明する。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、数値範囲を「L~M」(L、Mは共に数値)で表現するときは、その範囲は上限値(M)および下限値(L)を含んでおり、上限値(M)のみに単位が記載されているときは、下限値の単位も同じである。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、数値範囲を「L~M」(L、Mは共に数値)で表現するときは、その範囲は上限値(M)および下限値(L)を含んでおり、上限値(M)のみに単位が記載されているときは、下限値の単位も同じである。
図1に、本発明の一実施形態に係る被覆工具の断面図(基体の表面の微小な凹凸を無視して基体の表面を水平面と扱いこの面に垂直な断面)を模式的に示す。この図1から明らかなように、この実施形態に係る被覆工具は、基体(1)の表面に層A(2)が接し、該層A(2)の工具表面側で該層A(2)と接する層B(3)と、さらに該層B(3)の工具表面側で該層B(3)と接する層C(4)を有している。そして、層A(2)、層B(3)および層C(4)のそれぞれの平均厚さの和は1.05~21.00μmであって、被覆層(6)を構成する。
以下、順に各層を説明する。
以下、順に各層を説明する。
1.被覆層
被覆層は、平均厚さが1.05~21.00μmであって、層A、層B、および、層Cを有することが好ましい。平均厚さは1.05μmより薄いと耐摩耗性が十分でなく、一方、21.00μmより厚いと内部欠陥に起因する被膜剥離や欠損を生じる。
被覆層は、平均厚さが1.05~21.00μmであって、層A、層B、および、層Cを有することが好ましい。平均厚さは1.05μmより薄いと耐摩耗性が十分でなく、一方、21.00μmより厚いと内部欠陥に起因する被膜剥離や欠損を生じる。
2.層A
基体表面に接する層Aは、Tiの窒化物もしくは炭窒化物からなり、基材と被覆層との密着性を与える層(密着層)として働くものである。
基体表面に接する層Aは、Tiの窒化物もしくは炭窒化物からなり、基材と被覆層との密着性を与える層(密着層)として働くものである。
(1)平均組成
層Aの組成は、Tiの窒化物もしくは炭窒化物であれば、特段の制約はない。例えば、組成式TiCZN1-Z(0.00≦Z≦0.05)であってよい。ここで、Zが、0.05より多く含まれると層Aの硬度が過度に上昇し、層Aと基材界面からの剥離が生じやすくなることがある。
層Aの組成は、Tiの窒化物もしくは炭窒化物であれば、特段の制約はない。例えば、組成式TiCZN1-Z(0.00≦Z≦0.05)であってよい。ここで、Zが、0.05より多く含まれると層Aの硬度が過度に上昇し、層Aと基材界面からの剥離が生じやすくなることがある。
(2)平均厚さ
層Aの平均厚さは、0.05~2.00μmであることが好ましい。その理由は、0.05μmより薄いと、密着層としての働きが不十分であり、一方、2.00μmを超えると被覆層に占める密着層の厚さが過多となり、十分な耐摩耗性能が得られないためである。層Aの平均厚さは0.10~1.50μmであることがより好ましい。
層Aの平均厚さは、0.05~2.00μmであることが好ましい。その理由は、0.05μmより薄いと、密着層としての働きが不十分であり、一方、2.00μmを超えると被覆層に占める密着層の厚さが過多となり、十分な耐摩耗性能が得られないためである。層Aの平均厚さは0.10~1.50μmであることがより好ましい。
3.層B
層Aの表面に接して設けられる層Bは、(AlTi)CN層であって、切削加工中の耐摩耗層を与える層として働くものである。
層Aの表面に接して設けられる層Bは、(AlTi)CN層であって、切削加工中の耐摩耗層を与える層として働くものである。
(1)平均組成
層Bの平均組成は、(AlXBTi1-XB)(CYBN1-YB)において、0.50≦XB≦0.75、0.00≦YB<0.05であることが好ましい。
その理由は、XBが0.50未満であると、(AlTi)CNが有する高い耐酸化特性が十分に得られず、一方、XBが0.75を上回ると、所望の耐摩耗性が得られないためである。
(AlTi)CNにおけるC成分には、硬さを向上させる作用があるため含有してもよい。しかし、YBが0.05以上では、高温強度が低下するため、0.00≦YB<0.05であることが好ましい。
XBは、0.65≦XB≦0.75であることがより好ましく、この範囲であれば前記耐摩耗性が顕著に発揮される。
層Bの平均組成は、(AlXBTi1-XB)(CYBN1-YB)において、0.50≦XB≦0.75、0.00≦YB<0.05であることが好ましい。
その理由は、XBが0.50未満であると、(AlTi)CNが有する高い耐酸化特性が十分に得られず、一方、XBが0.75を上回ると、所望の耐摩耗性が得られないためである。
(AlTi)CNにおけるC成分には、硬さを向上させる作用があるため含有してもよい。しかし、YBが0.05以上では、高温強度が低下するため、0.00≦YB<0.05であることが好ましい。
XBは、0.65≦XB≦0.75であることがより好ましく、この範囲であれば前記耐摩耗性が顕著に発揮される。
また、(AlXBTi1-XB)と(CYBN1-YB)との比は特に限定されるものではないが、(AlXBTi1-XB)を1とすると、(CYBN1-YB)は0.8~1.2が好ましい。その理由は、この範囲であれば確実に本発明の目的が達成できるからである。
このことは、層Cの(AlXCTi1-XC)(CYCN1-YC)においても同様である。
このことは、層Cの(AlXCTi1-XC)(CYCN1-YC)においても同様である。
(2)NaCl型面心立方構造の結晶粒
層Bでは、NaCl型面心立方構造を有する結晶粒の割合が80面積%以上であることが好ましい。その理由は、80面積%未満であること、層B中に(AlTi)CNの本来の安定相であり軟質なウルツ鉱型の六方晶構造の割合が増加し、被覆工具の十分な耐久性を得られないためである。
層Bでは、NaCl型面心立方構造を有する結晶粒の割合が80面積%以上であることが好ましい。その理由は、80面積%未満であること、層B中に(AlTi)CNの本来の安定相であり軟質なウルツ鉱型の六方晶構造の割合が増加し、被覆工具の十分な耐久性を得られないためである。
(3)平均厚さ
層Bの平均厚さは、0.50~7.00μmであることが好ましい。その理由は、0.50μm未満であると、所望の耐摩耗性が得られず、一方、7.00μmを超えると、切削加工中の基材方向へ進展する亀裂を起点とした層C中での皮膜損傷が大きくなり、工具異常損傷の原因となり得るためである。層Bの平均厚さは、2.00~5.00μmであることがより好ましい。
層Bの平均厚さは、0.50~7.00μmであることが好ましい。その理由は、0.50μm未満であると、所望の耐摩耗性が得られず、一方、7.00μmを超えると、切削加工中の基材方向へ進展する亀裂を起点とした層C中での皮膜損傷が大きくなり、工具異常損傷の原因となり得るためである。層Bの平均厚さは、2.00~5.00μmであることがより好ましい。
4.層C
層Bの表面に接して設けられる層Cは、(AlTi)CN層であって、切削加工中の亀裂の進展を抑制する抑制する層として働くものである。
層Bの表面に接して設けられる層Cは、(AlTi)CN層であって、切削加工中の亀裂の進展を抑制する抑制する層として働くものである。
(1)平均組成
層Cの平均組成は、(AlXCTi1-XC)(CYCN1-YC)において、0.53≦XC≦0.80、0.00≦YC<0.05であることが好ましい。
その理由は、XCが0.53未満であると、AlTiN皮膜が本来持つ、高い耐酸化特性が十分に得られず、一方、XCが0.80を上回ると隣接する層Bとの良好な密着性が得られにくくなり、C層が剥離しやすくなって耐久性が劣り、亀裂の進展の抑制が損なわれるためである。XBは、0.70≦XB≦0.80であることがより好ましく、この範囲であれば、前記耐酸化特性が顕著に発揮される。
(AlTi)CNにおけるC成分には、硬さを向上させる作用があるため、含有してもよい。しかし、YCが0.05以上では、層Bの高温強度が低下するため、0.00≦YC<0.05とすることが好ましい。
層Cの平均組成は、(AlXCTi1-XC)(CYCN1-YC)において、0.53≦XC≦0.80、0.00≦YC<0.05であることが好ましい。
その理由は、XCが0.53未満であると、AlTiN皮膜が本来持つ、高い耐酸化特性が十分に得られず、一方、XCが0.80を上回ると隣接する層Bとの良好な密着性が得られにくくなり、C層が剥離しやすくなって耐久性が劣り、亀裂の進展の抑制が損なわれるためである。XBは、0.70≦XB≦0.80であることがより好ましく、この範囲であれば、前記耐酸化特性が顕著に発揮される。
(AlTi)CNにおけるC成分には、硬さを向上させる作用があるため、含有してもよい。しかし、YCが0.05以上では、層Bの高温強度が低下するため、0.00≦YC<0.05とすることが好ましい。
(2)NaCl型面心立方構造の結晶粒
層Cでは、NaCl型面心立方構造を有する結晶粒の割合が80面積%以上であることが好ましい。その理由は、80面積%未満であると、層C中に(AlTi)CNの本来の安定相であり軟質なウルツ鉱型の六方晶構造の割合が増加し、十分な被覆工具の耐久性を得られないためである。
層Cでは、NaCl型面心立方構造を有する結晶粒の割合が80面積%以上であることが好ましい。その理由は、80面積%未満であると、層C中に(AlTi)CNの本来の安定相であり軟質なウルツ鉱型の六方晶構造の割合が増加し、十分な被覆工具の耐久性を得られないためである。
(3)平均厚さ
層Cの平均厚さは、0.50~13.50μmであることが好ましい。その理由は、0.5μm未満であると前述の亀裂進展の抑制が十分に得られず、13.5μmを超えると、一方、層Bの結晶粒子がテーパー状に粗大化し、耐摩耗性は得られるものの、加工衝撃による硬質皮膜粒子の脱落を伴う損傷が生じやすく、被覆工具の異常損傷につながるためである。層Cの平均厚さは、2.00~7.00μmであることがより好ましい。
層Cの平均厚さは、0.50~13.50μmであることが好ましい。その理由は、0.5μm未満であると前述の亀裂進展の抑制が十分に得られず、13.5μmを超えると、一方、層Bの結晶粒子がテーパー状に粗大化し、耐摩耗性は得られるものの、加工衝撃による硬質皮膜粒子の脱落を伴う損傷が生じやすく、被覆工具の異常損傷につながるためである。層Cの平均厚さは、2.00~7.00μmであることがより好ましい。
5.層Bと層CのAl含有量の差
本実施形態では、層Bと層CのAl含有量の差を所定範囲内とすることによって、層Bと層Cの連続的な結晶成長を促し、さらに層Cは結晶格子歪みを蓄えながら成長することで層C自体の機械特性を高めている。
ここで、層Bと層Cの間の連続的な結晶成長とは、あたかも、図2に示すように、層Bと層Cとの界面(8)において、層Bの結晶粒(6)の先端に層Cの結晶粒(7)がはめ込まれるように、層Cの結晶粒が成長している状態をいう。
本実施形態では、層Bと層CのAl含有量の差を所定範囲内とすることによって、層Bと層Cの連続的な結晶成長を促し、さらに層Cは結晶格子歪みを蓄えながら成長することで層C自体の機械特性を高めている。
ここで、層Bと層Cの間の連続的な結晶成長とは、あたかも、図2に示すように、層Bと層Cとの界面(8)において、層Bの結晶粒(6)の先端に層Cの結晶粒(7)がはめ込まれるように、層Cの結晶粒が成長している状態をいう。
すなわち
層BのAl含有量XBと層CのAl含有量XCは、
0.03≦XC-XB≦0.10であることが好ましい。
その理由は、この差が0.03未満であると、層Bに蓄えられる結晶格子歪みによる層B自体の機械特性(亀裂の進展を抑制する特性)が十分に高められず、一方、0.10を超えると、層Bと層Cの間の連続的な結晶成長が困難になるためである。この差は、0.05≦XB-XC≦0.10であることがより好ましい。
層BのAl含有量XBと層CのAl含有量XCは、
0.03≦XC-XB≦0.10であることが好ましい。
その理由は、この差が0.03未満であると、層Bに蓄えられる結晶格子歪みによる層B自体の機械特性(亀裂の進展を抑制する特性)が十分に高められず、一方、0.10を超えると、層Bと層Cの間の連続的な結晶成長が困難になるためである。この差は、0.05≦XB-XC≦0.10であることがより好ましい。
6.層Bと層Cの回折線強度
層Bおよび層Cにおいて、NaCl型の面心立方晶構造の結晶粒(111)の回折線強度値I(111)と同(200)の回折線強度値I(200)は、1.0≦I(111)/I(200)の関係を満たすことがより好ましい。
その理由は、C層は、B層を下地として結晶成長するものであるため、I(111)/I(200)が1.0未満となると、B層の所望の亀裂進展抑制や、B層からC層への連続的な結晶成長が得られないことがあるからである。
ここで、「層Bおよび層Cにおいて」とは、層Bおよび層Cに対してのX線回折に際し、層B、層CのX線回折ピークが、それぞれ単独ではなく、重なりあった状態で測定されて求められるX線回折ピークをいう。
層Bおよび層Cにおいて、NaCl型の面心立方晶構造の結晶粒(111)の回折線強度値I(111)と同(200)の回折線強度値I(200)は、1.0≦I(111)/I(200)の関係を満たすことがより好ましい。
その理由は、C層は、B層を下地として結晶成長するものであるため、I(111)/I(200)が1.0未満となると、B層の所望の亀裂進展抑制や、B層からC層への連続的な結晶成長が得られないことがあるからである。
ここで、「層Bおよび層Cにおいて」とは、層Bおよび層Cに対してのX線回折に際し、層B、層CのX線回折ピークが、それぞれ単独ではなく、重なりあった状態で測定されて求められるX線回折ピークをいう。
7.その他の層
(1)最外層
本実施形態では、Tiの窒化物層、炭化物層、炭窒化物層のうちの1層または2層以上のTi化合物層からなり、0.1~4.0μmの合計平均層厚を有する最外層を層Cの上部に設けてもよい。この最外層を設けると、明瞭な色彩色を呈するなどの効果によって、被覆工具がインサートの場合は切削使用後のコーナー識別(使用済み部位の識別)が容易となる。ここで、合計平均層厚が0.1μm未満であると、最外層を設けた効果が十分に発揮されず、一方、4.0μmを超えると、チッピングが発生しやすくなる。
(1)最外層
本実施形態では、Tiの窒化物層、炭化物層、炭窒化物層のうちの1層または2層以上のTi化合物層からなり、0.1~4.0μmの合計平均層厚を有する最外層を層Cの上部に設けてもよい。この最外層を設けると、明瞭な色彩色を呈するなどの効果によって、被覆工具がインサートの場合は切削使用後のコーナー識別(使用済み部位の識別)が容易となる。ここで、合計平均層厚が0.1μm未満であると、最外層を設けた効果が十分に発揮されず、一方、4.0μmを超えると、チッピングが発生しやすくなる。
(2)意図しない層
成膜ガスの切替え時に、意図せずに、TiCN層、Tiの炭化物、窒化物、炭酸化物および炭窒化酸化物層、(AlTi)CN層とは異なる層がごくわずかであるが製造されることがある。
成膜ガスの切替え時に、意図せずに、TiCN層、Tiの炭化物、窒化物、炭酸化物および炭窒化酸化物層、(AlTi)CN層とは異なる層がごくわずかであるが製造されることがある。
8.基体
本実施形態において、基体は、超硬合金(WC基超硬合金:WCの他、Coを含み、さらに、Ti、Ta、Nb等の炭窒化物を添加したものも含むもの等)、サーメット(TiC、TiN、TiCN等を主成分とするもの等)、セラミックス(窒化珪素、サイアロン、酸化アルミニウムなど)、または、cBN焼結体を用いることができるが、これらに限定されない。
本実施形態において、基体は、超硬合金(WC基超硬合金:WCの他、Coを含み、さらに、Ti、Ta、Nb等の炭窒化物を添加したものも含むもの等)、サーメット(TiC、TiN、TiCN等を主成分とするもの等)、セラミックス(窒化珪素、サイアロン、酸化アルミニウムなど)、または、cBN焼結体を用いることができるが、これらに限定されない。
9.組成の測定
TiAlCN層のAlの平均含有割合XB、XCは、オージェ電子分光法(Auger Electron Spectroscopy:AES)を用い、縦断面を研磨した試料において、電子線を縦断面側から照射し、被覆層の厚さ方向に5本の線分析を行って得られたオージェ電子の解析結果を平均したものである。また、Cの平均含有量YB、YCは、二次イオン質量分析(Secondary-Ion-Mass-Spectroscopy:SIMS)により求めることができる。すなわち、表面を研磨した試料において、(AlTi)CN層の表面側からイオンビームを70μm×70μmの範囲に照射し、イオンビームによる面分析とスパッタイオンビームによるエッチングとを交互に繰り返すことにより深さ方向の含有量分布測定を行う。試料の最表面から深さ方向への測定を0.05μm以下のピッチで基材表面まで実施する。そして、後述する方法により各層の平均厚さを決定し、各層のCの平均含有量YB、YCを求める。
TiAlCN層のAlの平均含有割合XB、XCは、オージェ電子分光法(Auger Electron Spectroscopy:AES)を用い、縦断面を研磨した試料において、電子線を縦断面側から照射し、被覆層の厚さ方向に5本の線分析を行って得られたオージェ電子の解析結果を平均したものである。また、Cの平均含有量YB、YCは、二次イオン質量分析(Secondary-Ion-Mass-Spectroscopy:SIMS)により求めることができる。すなわち、表面を研磨した試料において、(AlTi)CN層の表面側からイオンビームを70μm×70μmの範囲に照射し、イオンビームによる面分析とスパッタイオンビームによるエッチングとを交互に繰り返すことにより深さ方向の含有量分布測定を行う。試料の最表面から深さ方向への測定を0.05μm以下のピッチで基材表面まで実施する。そして、後述する方法により各層の平均厚さを決定し、各層のCの平均含有量YB、YCを求める。
10.NaCl型面心立方構造の結晶粒の割合の測定
NaCl型の面心立方晶構造を有する結晶粒の面積割合は、次のように測定する。層Bおよび層Cの(AlTi)CN層の縦断面において、これら層の厚さ方向に100μm、層厚方向に平均厚さの長さの範囲を測定範囲とする。この測定範囲を研磨し、電子線後方散乱回折像装置を用いて、この研磨面に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流で、電子線を0.01μm間隔で照射して得られる電子線後方散乱回折像に基づきNaCl型の面心立方晶構造を有する結晶粒個々の結晶構造を解析する。すなわち、隣接する測定点(ピクセル)間で5度以上の方位差がある場合、そこを粒界と定義し、粒界で囲まれた領域を1つの結晶粒と定義する。ただし、隣接するピクセル全てと5度以上の方位差がある単独に存在するピクセルは結晶粒とせず、2ピクセル以上が連結しているものを結晶粒として取り扱う。そして、層B、層Cの各層において、このNaCl型の面心立方晶構造を有する結晶粒が占める面積割合を層毎に求める。
NaCl型の面心立方晶構造を有する結晶粒の面積割合は、次のように測定する。層Bおよび層Cの(AlTi)CN層の縦断面において、これら層の厚さ方向に100μm、層厚方向に平均厚さの長さの範囲を測定範囲とする。この測定範囲を研磨し、電子線後方散乱回折像装置を用いて、この研磨面に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流で、電子線を0.01μm間隔で照射して得られる電子線後方散乱回折像に基づきNaCl型の面心立方晶構造を有する結晶粒個々の結晶構造を解析する。すなわち、隣接する測定点(ピクセル)間で5度以上の方位差がある場合、そこを粒界と定義し、粒界で囲まれた領域を1つの結晶粒と定義する。ただし、隣接するピクセル全てと5度以上の方位差がある単独に存在するピクセルは結晶粒とせず、2ピクセル以上が連結しているものを結晶粒として取り扱う。そして、層B、層Cの各層において、このNaCl型の面心立方晶構造を有する結晶粒が占める面積割合を層毎に求める。
11.平均層厚の測定
被覆層を構成する各層の平均厚さは、例えば、集束イオンビーム装置(FIB:Focused Ion Beam system)、クロスセクションポリッシャー装置(CP:Cross section Polisher)等を用いて、被覆層を任意の位置の縦断面の観察用の試料を作製し、その縦断面を走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査型透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)、あるいはSEMまたはTEM付帯のエネルギー分散型X線分析(EDX:Energy Dispersive X-ray spectrometry)を用いて複数箇所(例えば、5箇所)で観察して、厚さを求めこれらを平均することにより得ることができる。
被覆層を構成する各層の平均厚さは、例えば、集束イオンビーム装置(FIB:Focused Ion Beam system)、クロスセクションポリッシャー装置(CP:Cross section Polisher)等を用いて、被覆層を任意の位置の縦断面の観察用の試料を作製し、その縦断面を走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査型透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)、あるいはSEMまたはTEM付帯のエネルギー分散型X線分析(EDX:Energy Dispersive X-ray spectrometry)を用いて複数箇所(例えば、5箇所)で観察して、厚さを求めこれらを平均することにより得ることができる。
11.I(111)とI(200)の測定
X線回折装置を用いCuKα1線を用いて、被覆層に照射してI(111)とI(200)を測定し、I(111)/I(200)の値を得る。この値の求め方は、以下のとおりである。Cu-Kα1線をX線源として測定範囲(2θ):20~120度、スキャンステップ:0.013度、1ステップ辺り測定時間:0.48sec/stepの条件にて、基体表面に対して平行な被覆層表面において、X線回折を行い、JCPDS00-038-1420立方晶TiNとJCPDS00-046-1200立方晶AlN、各々に示される同一結晶面の回折角度の間(例えば、36.66~38.53°、43.59~44.77°、61.81~65.18°)に現れるX線回折ピークを確認する。そして、(111)回折線、および、(200)回折線におけるX線回折ピーク強度の測定値を測定し、200回折線の強度I(200)に対する111回折線の強度I(111)の比であるI(111)/I(200)を得る。
X線回折装置を用いCuKα1線を用いて、被覆層に照射してI(111)とI(200)を測定し、I(111)/I(200)の値を得る。この値の求め方は、以下のとおりである。Cu-Kα1線をX線源として測定範囲(2θ):20~120度、スキャンステップ:0.013度、1ステップ辺り測定時間:0.48sec/stepの条件にて、基体表面に対して平行な被覆層表面において、X線回折を行い、JCPDS00-038-1420立方晶TiNとJCPDS00-046-1200立方晶AlN、各々に示される同一結晶面の回折角度の間(例えば、36.66~38.53°、43.59~44.77°、61.81~65.18°)に現れるX線回折ピークを確認する。そして、(111)回折線、および、(200)回折線におけるX線回折ピーク強度の測定値を測定し、200回折線の強度I(200)に対する111回折線の強度I(111)の比であるI(111)/I(200)を得る。
12.製造方法
本実施形態の被覆工具の被覆層は、化学蒸着法によって、例えば、以下のような製造条件によって製造することができる。
本実施形態の被覆工具の被覆層は、化学蒸着法によって、例えば、以下のような製造条件によって製造することができる。
(1)層Aの製造
例えば、以下のような製造条件1)、2)を例示できる。
1)製造条件1
TiN層の成膜
反応ガス組成(体積%)
TiCl4:3.0~6.0%、N2:25.0~35.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:4.0~12.0kPa
反応雰囲気温度:780~900℃
例えば、以下のような製造条件1)、2)を例示できる。
1)製造条件1
TiN層の成膜
反応ガス組成(体積%)
TiCl4:3.0~6.0%、N2:25.0~35.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:4.0~12.0kPa
反応雰囲気温度:780~900℃
2)製造条件2
TiCN層の成膜
反応ガス組成(体積%)
TiCl4:3.0~6.0%、N2:15.0~30.0%
CH4またはCH3CN:0.6~2.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:7.0~12.0kPa
反応雰囲気温度:780~900℃
TiCN層の成膜
反応ガス組成(体積%)
TiCl4:3.0~6.0%、N2:15.0~30.0%
CH4またはCH3CN:0.6~2.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:7.0~12.0kPa
反応雰囲気温度:780~900℃
(2)層Bの製造
反応ガス組成(容量%):
ガス群B1:TiCl4:0.01~0.04%、AlCl3:0.01~0.05%、
N2:0.0~10.0%、C2H4:0.0~0.5%、H2:残
ガス群B2:NH3:0.1~0.8%、H2:25.0~35.0%
反応雰囲気圧力:4.0~5.0kPa、
反応雰囲気温度:700~850℃
供給周期:1~5秒、
1周期当たりのガス供給時間:0.15~0.25秒、
ガス群B1の供給とガス群B2の供給の位相差:0.10~0.20秒
ガス群B2の予熱温度:50~250℃
反応ガス組成(容量%):
ガス群B1:TiCl4:0.01~0.04%、AlCl3:0.01~0.05%、
N2:0.0~10.0%、C2H4:0.0~0.5%、H2:残
ガス群B2:NH3:0.1~0.8%、H2:25.0~35.0%
反応雰囲気圧力:4.0~5.0kPa、
反応雰囲気温度:700~850℃
供給周期:1~5秒、
1周期当たりのガス供給時間:0.15~0.25秒、
ガス群B1の供給とガス群B2の供給の位相差:0.10~0.20秒
ガス群B2の予熱温度:50~250℃
(3)層Cの製造
反応ガス組成(体積%):
ガス群C1:TiCl4:0.01~0.04%、AlCl3:0.01~0.05%、
N2:0.0~10.0%、C2H4:0.0~0.5%、H2:残
ガス群C2:NH3:0.1~0.8%、H2:25.0~35.0%
反応雰囲気圧力:4.0~5.0kPa
反応雰囲気温度:700~850℃
供給周期:1~5秒、
1周期当たりのガス供給時間:0.15~0.25秒
ガス群C1の供給とガス群C2の供給の位相差:0.10~0.20秒
ガス群C2の予熱温度:300~450℃
反応ガス組成(体積%):
ガス群C1:TiCl4:0.01~0.04%、AlCl3:0.01~0.05%、
N2:0.0~10.0%、C2H4:0.0~0.5%、H2:残
ガス群C2:NH3:0.1~0.8%、H2:25.0~35.0%
反応雰囲気圧力:4.0~5.0kPa
反応雰囲気温度:700~850℃
供給周期:1~5秒、
1周期当たりのガス供給時間:0.15~0.25秒
ガス群C1の供給とガス群C2の供給の位相差:0.10~0.20秒
ガス群C2の予熱温度:300~450℃
次に、実施例について説明する。
ここでは、実施例として、基体としてWC基超硬合金を用いたインサート切削工具に適用したものについて述べるが、基体として、前記したものを用いた場合であっても同様であるし、ドリル、エンドミルに適用した場合も同様である。
ここでは、実施例として、基体としてWC基超硬合金を用いたインサート切削工具に適用したものについて述べるが、基体として、前記したものを用いた場合であっても同様であるし、ドリル、エンドミルに適用した場合も同様である。
原料粉末として、いずれも1~3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr3C2粉末およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合した。ワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を5Paの真空中、1370~1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、ISO規格のRCMX1204M0形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A~Cをそれぞれ製造した。
次に、これら工具基体A~Cの表面に、層A、層B、層Cを、それぞれ、表2~4に示す製造条件に従って順に成膜し、表5に示す実施例の被覆工具1~8(以下、実施例1~8)を得た。
一方、比較のために、工具基体A~Cの表面に、層A、層B、層Cを、それぞれ、表2~4に示す製造条件に従って順に成膜し、表6に示す比較例の被覆工具1~8(以下、比較例1~8)を得た。
このようにして得た実施例1~8および比較例1~8に対して、以下の切削試験を行った。結果を表7に示す。
切削試験 :乾式転削断続切削試験
被削材 :FCD550 材
幅100mm、長さ400mm(穴あき材)
(Φ20mmの穴が等間隔に存在し、外周部にはレーザー溶断による変質層が存在)
回転速度 :637min-1
切削速度 :250m/min
切り込み :1.5mm
送り量 :0.2mm/rev
切削時間 :刃先が欠損に至るまで加工
被削材 :FCD550 材
幅100mm、長さ400mm(穴あき材)
(Φ20mmの穴が等間隔に存在し、外周部にはレーザー溶断による変質層が存在)
回転速度 :637min-1
切削速度 :250m/min
切り込み :1.5mm
送り量 :0.2mm/rev
切削時間 :刃先が欠損に至るまで加工
表7から明らかなように、実施例はいずれも刃先が欠損に至るまでの加工時間である最大加工時間が長く、優れた耐久性を有していた。これに対して、比較例は短時間で寿命に至った。
1 基体
2 層A
3 層B
4 層C
5 被覆層
6 層Bの結晶粒
7 層Cの結晶粒
8 層Bと層Cとの界面
2 層A
3 層B
4 層C
5 被覆層
6 層Bの結晶粒
7 層Cの結晶粒
8 層Bと層Cとの界面
Claims (2)
- 基体と該基体の表面に被覆層を有し、
(a)前記被覆層は、前記基体の表面から工具表面に向かって、順に、互いに接する層A、層B、および、層C有し、これら3層の平均厚さの和は1.05~21.0μmであって、
(b)前記層Aの平均厚さは0.05~2.00μmであって、Tiの窒化物または炭窒化物であり、
(c)前記層Bの平均層厚は、0.50~7.00μmであり、
(AlXBTi1-XB)(CYBN1-YB)(0.50≦XB≦0.75、0.00≦YB<0.05)の平均組成であって、NaCl型の面心立方晶構造を有する結晶粒が80面積%以上を占め、
(d)前記層Cの平均厚さは0.50~13.50μmであり、
(AlXCTi1-XC)(CYCN1-YC)(0.53≦XC≦0.80、0.00≦YC<0.05)の平均組成であって、NaCl型の面心立方晶構造を有する結晶粒が80面積%以上を占め、
(e)前記XBと前記XCは、0.03≦XC-XB≦0.10である、
ことを特徴とする表面被覆切削工具。 - 前記層Bおよび前記層Cにおいて、前記NaCl型の面心立方晶構造の結晶粒(111)面の回折線強度値I(111)と同(200)面の回折線強度値I(200)は、
1.0≦I(111)/I(200)の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022002063A JP2023101873A (ja) | 2022-01-11 | 2022-01-11 | 表面被覆切削工具 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2022002063A Pending JP2023101873A (ja) | 2022-01-11 | 2022-01-11 | 表面被覆切削工具 |
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Country | Link |
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