JP2023098425A - 情報処理装置、状態判定方法、制御決定方法、状態判定プログラム、および制御決定プログラム - Google Patents

情報処理装置、状態判定方法、制御決定方法、状態判定プログラム、および制御決定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】ホッパの内部の収容物の状態に応じた適切な処置を可能にする。【解決手段】情報処理装置(1)は、ホッパの内部に収容された収容物のうちホッパの上部に位置する収容物の移動状態を特定する移動状態特定部(101)と、ホッパからの収容物の排出状態を特定する排出状態特定部(102)と、前記移動状態と前記排出状態とに基づいて、ホッパの内部の収容物の状態を判定する状態判定部(105)と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、ホッパの内部における収容物の状態を判定する情報処理装置等に関する。
一般的なごみの焼却施設には、ホッパと呼ばれる漏斗状の装置が設けられている。ごみピットと呼ばれる貯留設備に貯留されたごみは、クレーン等により掴み上げられてホッパに投入され、ホッパから焼却炉に送り込まれて焼却される。このような焼却施設では、ホッパに投入されたごみが、ホッパ内で架橋状に詰まることがあり、この現象はブリッジと呼ばれている。
ブリッジが発生すると、ブリッジの上部のごみは同じ位置に留まり続けるため、ホッパ内に蓄積されているごみの高さ(ごみレベル)は高い状態が維持される。一般に、ごみレベルの下降をトリガとしてホッパへのごみの投入は行われるから、ブリッジが生じるとホッパへの新たなごみの投入は行われなくなる。その一方で、ブリッジの下方のごみは、焼却炉に送り込まれて順次焼却されるため、ブリッジを放置すると焼却炉内のごみの量が減少し、さらに放置すると焼却炉内に燃やすごみがない状態となってしまう。
焼却炉内のごみの量が減少したり、ごみが無くなったりすると、焼却炉内の温度が低下してバーナー等による加温が必要になったり、場合によっては焼却炉を停止させる必要が生じたりすることもある。このような事態を避けるための技術としては、例えば、下記の特許文献1が挙げられる。特許文献1には、周期的に計測したホッパレベルに基づいてブリッジを検出することが記載されている。
特開平10-238735号
しかしながら、ホッパレベルを安定して正確に計測することは難しい。これについて図9に基づいて説明する。図9は、ホッパAの状態(a)~(c)を示す図である。なお、図9には、状態(a)~(c)のそれぞれについて、ホッパAを上方から見下ろした様子を示す図と、ホッパAを側方から見た断面図とを示している。また、図9には、ホッパAに収容されたごみを焼却炉に排出する給じん装置Bについても示している。
図9に示す状態(a)では、ホッパの漏斗状の傾斜面にごみが引っ掛かっている。また、状態(b)では、ホッパの漏斗状の部分の下端部(縮径部)でごみが詰まっている。そして、状態(c)では、ホッパAの排出口付近でごみが詰まっている。これらの状態では、ホッパの内部におけるごみの状態がホッパレベルに反映されない。
このように、ホッパレベルを安定して正確に計測することは難しく、ホッパレベルがホッパの内部のごみの状態を反映したものとはならない場合があった。そして、このため、ホッパの内部のごみの状態に応じた適切な処置をとることも難しかった。なお、このような問題は、ごみの焼却炉に設置されたホッパに限られず、任意の収容物を収容する、任意の用途のホッパに共通して生じる問題点である。
本発明の一態様は、ホッパの内部の収容物の状態に応じた適切な処置をとることを可能にする情報処理装置等を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、ホッパの内部に収容された収容物のうちホッパの上部に位置する収容物の移動状態を特定する移動状態特定部と、前記ホッパからの前記収容物の排出状態を特定する排出状態特定部と、前記移動状態と前記排出状態とに基づいて、前記ホッパの内部の前記収容物の状態を判定する状態判定部と、を備える。
上記の課題を解決するために、本発明の他の態様に係る情報処理装置は、ホッパの内部に収容された収容物のうちホッパの上部に位置する収容物の移動状態を特定する移動状態特定部と、前記ホッパからの前記収容物の排出状態を特定する排出状態特定部と、前記移動状態と前記排出状態とに基づいて、前記ホッパの内部の前記収容物の状態を維持または改善するための制御を決定する制御決定部と、を備える。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る状態判定方法は、1または複数の情報処理装置が実行する状態判定方法であって、ホッパの内部に収容された収容物のうちホッパの上部に位置する収容物の移動状態を特定する移動状態特定ステップと、前記ホッパからの前記収容物の排出状態を特定する排出状態特定ステップと、前記移動状態と前記排出状態とに基づいて、前記ホッパの内部の前記収容物の状態を判定する状態判定ステップと、を含む。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御決定方法は、1または複数の情報処理装置が実行する制御決定方法であって、ホッパの内部に収容された収容物のうちホッパの上部に位置する収容物の移動状態を特定する移動状態特定ステップと、前記ホッパからの前記収容物の排出状態を特定する排出状態特定ステップと、前記移動状態と前記排出状態とに基づいて、前記ホッパの内部の前記収容物の状態を維持または改善するための制御を決定する制御決定ステップと、を含む。
本発明の一態様によれば、ホッパの内部の収容物の状態に応じた適切な処置をとることが可能になる。
本発明の実施形態1に係る情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。 上記情報処理装置を含む管理システムの概要を示す図である。 ホッパ画像の例とホッパ画像におけるモーション推定結果とを示す図である。 ホッパ画像の区分例を示す図である。 排出画像の例と、排出画像に写るごみの移動の様子とを示す図である。 状態予測モデルの例を示す図である。 上記情報処理装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施形態2に係る情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。 ホッパの状態を示す図である。
〔実施形態1〕
(システム概要)
本実施形態に係る管理システム5の概要を図2に基づいて説明する。図2は、管理システム5の概要を示す図である。管理システム5は、ホッパを管理するためのシステムであり、情報処理装置1、撮影装置2、および撮影装置3を含む。
図2の管理システム5の管理対象は、ホッパAである。ホッパAはその上部から投入されたごみを収容し、収容したごみをその下部から排出するごみホッパである。ホッパAには、ホッパA内のごみを焼却炉に排出するための排出装置である給じん装置Bが設けられている。また、ホッパAにはブリッジを解消するためのブリッジ解除装置Cも設けられている。
なお、管理システム5の管理対象はごみホッパに限られない。管理システム5は、任意の収容物を収容し、任意の排出装置によりその収容物を排出する、任意のホッパを管理対象とすることができる。例えば、ごみ焼却プラントで管理システム5を使用する場合、ごみホッパの代わりにあるいはごみホッパに加えて焼却灰ホッパを管理対象とすることもできる。無論、ごみ焼却プラント以外に設けられた任意のホッパを管理対象とすることが可能である。したがって、以下の説明における「ごみ」は任意の収容物に読み替えることができ、「給じん装置」は任意の排出装置に読み替えることができる。
撮影装置2は、ホッパAの上部にホッパAの投入口を見下ろすように配置されており、ごみの表面を撮影する。一方、撮影装置3は、ホッパAの排出口付近に配置されており、給じん装置BによってごみがホッパAから排出される様子を撮影する。一般に排出口付近は暗いため、撮影装置3としては、暗所での撮影が可能なIR(Infrared Radiation:赤外線)カメラ等を用いることが好ましい。
情報処理装置1は、撮影装置2および撮影装置3が撮影する画像を用いて、ホッパAの内部の収容物すなわちごみの状態を判定する。これにより、ホッパAの内部のごみの状態に応じた適切な処置をとることが可能になる。例えば、情報処理装置1は、ブリッジが発生していると判定したときに、状態ブリッジ解除装置Cを制御して、そのブリッジを自動で解消することもできる。
(情報処理装置の構成)
図1に基づいて情報処理装置1の構成を説明する。図1は、情報処理装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。図示のように、情報処理装置1は、情報処理装置1の各部を統括して制御する制御部10と、情報処理装置1が使用する各種データを記憶する記憶部11を備えている。また、情報処理装置1は、情報処理装置1が他の装置と通信するための通信部12、情報処理装置1に対する各種データの入力を受け付ける入力部13、および情報処理装置1が各種データを出力するための出力部14を備えている。
また、制御部10には、移動状態特定部101、排出状態特定部102、ホッパレベル推定部103、ホッパレベル補正部104、状態判定部105、制御決定部106、機器制御部107、対象収容物検出部108、および原因推定部109が含まれる。また、記憶部11には、ホッパ画像111、状態予測モデル113、および排出画像112が記憶されている。
なお、ホッパレベル推定部103およびホッパレベル補正部104については後記「ホッパレベルの推定」で説明する。また、制御決定部106および機器制御部107については後記「機器の制御」で説明する。そして、対象収容物検出部108および原因推定部109については後記「閉塞原因の推定」で説明する。
ホッパ画像111は、ホッパの上部に位置するごみを撮影した画像である。例えば、図2の撮影装置2が撮影する画像をホッパ画像111とすることもできる。詳細は後述するが、ホッパ画像111は、ホッパの上部に位置するごみの移動状態を特定するために用いられる。このため、記憶部11には、ホッパの上部に位置するごみを撮影した時系列の複数のホッパ画像111が記憶される。
排出画像112は、給じん装置によりホッパから排出されるごみを撮影した画像である。例えば、図2の撮影装置3が撮影する画像を排出画像112とすることもできる。詳細は後述するが、排出画像112は、ホッパからのごみの排出状態を特定するために用いられる。このため、記憶部11には、ホッパから排出されるごみを撮影した時系列の複数の排出画像112が記憶される。
状態予測モデル113は、ホッパの上部におけるごみの移動状態およびホッパからのごみの排出状態と、ホッパの内部のごみの状態との関係をモデル化したものである。詳細は後述するが、状態予測モデル113を用いることにより、ホッパ内部のごみの状態を予測することができる。
移動状態特定部101は、ホッパの内部に収容されたごみのうちホッパの上部に位置するごみの移動状態を特定する。また、排出状態特定部102は、ホッパからのごみの排出状態を特定する。そして、状態判定部105は、移動状態特定部101が特定する移動状態と、排出状態特定部102が特定する排出状態とに基づいて、ホッパの内部のごみの状態を判定する。
情報処理装置1は、上記の構成を備えていることにより、ホッパの内部のごみの状態を的確に判定し、これによりホッパの内部のごみの状態に応じた適切な処置をとることを可能にする。
上記の構成により、ホッパの内部のごみの状態を的確に判定できる理由としては、ホッパの上部におけるごみの移動状態と排出状態は、ホッパの内部のごみの状態に応じて変化することが挙げられる。例えば、ホッパの内部でブリッジが発生したときには、ホッパの上部のごみの移動速度や移動量は低下する一方、排出状態はブリッジの発生後もしばらくは変化がないか変化したとしてもその変化量は小さいものとなる。よって、上記の構成によれば、ブリッジの発生の検知を的確に行い、速やかにブリッジを解消するための措置をとることもできる。
(移動状態の特定方法)
図3に基づき、ホッパ画像111を用いてホッパの上部におけるごみの移動状態を特定する方法について説明する。図3は、ホッパ画像の例と、ホッパ画像におけるモーション推定結果とを示す図である。図3に示すホッパ画像111aと111bは時系列の画像である。つまり、これらの画像に写るホッパは、ホッパ画像111aに示される状態となった後、所定時間後にホッパ画像111bに示される状態となっている。
図3に示すモーション推定結果31は、ホッパ画像111aが撮影された時刻から111bが撮影された時刻までの期間におけるごみの移動を動きベクトル(矢印)で表したものである。また、モーション推定結果31における矩形部分について、これを拡大した拡大図311を同図に示している。拡大図311からごみが下方に移動していることがわかる。
ごみの移動を示すベクトルは、例えばブロックマッチングアルゴリズムを用いて算出することができる。この場合、移動状態特定部101は、ホッパ画像111aと111bのそれぞれを複数のブロックに区分し、対応するブロックを特定する。そして、移動状態特定部101は、対応するブロックの位置の差から、当該ブロックの移動量と移動方向を示す動きベクトルを算出する。移動状態特定部101は、このような処理を各ブロックについて行い、各ブロックの移動量と移動方向を示す動きベクトルを算出する。このようにして算出した動きベクトルを矢印として各ブロックの位置に表示させたものが図3のモーション推定結果31である。
上述のようにしてホッパ画像111aおよび111bから算出した動きベクトルは、ホッパの上部におけるごみの移動状態を示している。このため、移動状態特定部101が実行する、ホッパの上部におけるごみの移動状態を特定する処理は、この動きベクトルを算出する処理であってもよい。
また、移動状態特定部101は、算出した動きベクトルから、ホッパの上部におけるごみの移動状態を示す別の指標値を算出してもよい。例えば、移動状態特定部101は、ホッパの内部側にごみが飲み込まれる飲込速度を、ホッパの上部におけるごみの移動状態を示す情報として算出してもよい。ここで算出する飲込速度は、ホッパ画像111に基づくものであるから体積ベースの速度、つまり所定時間にホッパの内部側に飲み込まれたごみの体積を示す。
この場合、動きベクトルと飲込速度との関係を予めモデル化しておけば、移動状態特定部101は、そのモデルを用いて動きベクトルから飲込速度を算出することができる。このモデルは、例えば回帰モデル等の線形モデルであってもよいし、ニューラルネットワークモデル等の非線形モデルであってもよい。
例えば、移動状態特定部101は、ホッパ画像111aおよび111bを用いる場合、それらの画像の撮影時間間隔の間のごみの移動量から飲込速度を算出してもよい。この場合、移動状態特定部101は、動きベクトルの大きさ(絶対値)から飲込速度を算出してもよい。
なお、ホッパの形状等によっては、ごみの移動量の傾向がホッパ画像111上のエリアによって変わることがある。例えば、ホッパの外周部付近ではごみは比較的大きく移動する一方、ホッパの中央部付近ではごみの移動量は比較的小さくなる。なお、正確には、ホッパの中央部付近ではごみはホッパの深部側に移動するから、ホッパ画像111上でのみかけの移動量が小さくなる。
このため、移動状態特定部101は、ホッパ画像111上に複数のエリアを設定し、エリアごとに当該エリアのごみの移動量を示す指標値を算出し、各エリアの指標値を総合して飲込速度を算出してもよい。
例えば、図4に示すように、ホッパ画像111においてホッパが写る部分を格子状に区分して9つのエリアを設定してもよい。図4は、ホッパ画像の区分例を示す図である。図4では9つのエリアを破線で示している。エリアごとに指標値を算出することにより、エリアごとのごみの移動量の傾向を加味することができるため、エリアに区分しない場合と比べて飲込速度を精度よく算出することができる。
なお、ホッパの上部に位置するごみの移動状態を特定する方法は上述の例に限られない。例えば、ホッパ画像111を用いずに移動状態を特定してもよい。この場合、撮影装置2の代わりに、例えばLiDIA等のレーザスキャナを用いてもよい。そして、移動状態特定部101は、レーザスキャナの出力値からホッパの上部におけるごみの表面形状とその位置を特定し、その表面形状と位置の変化から移動状態を特定してもよい。
(排出状態の特定方法)
図5に基づき、排出画像112を用いてホッパからのごみの排出状態を特定する方法について説明する。図5は、排出画像の例と、排出画像に写るごみの移動の様子とを示す図である。より詳細には、図5には、排出画像112を示していると共に、排出画像112の一部(破線の枠囲み部)の領域におけるごみの移動の様子を示している(同図の拡大画像51)。拡大画像51は、時系列で撮影した複数の排出画像112を合成して生成したものである。
拡大画像51では、ホッパから排出されたごみの山の輪郭をL1~L3で示している。ホッパ内のごみは、給じん装置の往復動によりホッパ内からホッパ外へと順次押し出されるため、排出画像112ではこのような輪郭が観察される。そして、このような輪郭の位置は、給じん装置により新たなごみがホッパ外に押し出される毎に移動していく。
図5の拡大画像51は、ある時刻に撮影された排出画像112でL1の位置に現れた輪郭が、その次に撮影された排出画像112ではL2の位置に、さらにその次に撮影された排出画像112ではL3の位置に現れたことを示している。
排出状態特定部102は、このような排出画像112に写るごみ山の移動量を、排出状態を示す情報として算出してもよい。例えば、排出状態特定部102は、時系列の複数の排出画像112のそれぞれから上述のような輪郭線を画像解析や機械学習済みモデル等により検出し、検出した輪郭線の移動距離を算出してもよい。
また、排出状態特定部102は、算出した移動距離から、ごみの排出状態を示す別の指標値を算出してもよい。例えば、排出状態特定部102は、ホッパからごみが排出される排出速度を、排出状態を示す情報として算出してもよい。ここで算出する排出速度は、排出画像112に基づくものであるから体積ベースの速度、つまり所定時間にホッパから排出されたごみの体積を示す。
移動距離から排出速度を求める場合、移動距離と排出速度との関係を予めモデル化しておけばよい。これにより、排出状態特定部102は、そのモデルを用いて移動距離から排出速度を算出することができる。このモデルは、例えば回帰モデル等の線形モデルであってもよいし、ニューラルネットワークモデル等の非線形モデルであってもよい。
(ごみの状態の判定方法)
上述のように、状態判定部105は、移動状態特定部101が特定する移動状態と、排出状態特定部102が特定する排出状態とに基づいて、ホッパの内部のごみの状態を判定する。この判定は、例えば図6に示すような状態予測モデル113を用いて行うことができる。図6は、状態予測モデル113の例を示す図である。
図6に示す状態予測モデル113は、様々な状態のホッパにおける飲込速度と排出速度との関係を(a)~(d)の線分で表したものである。図6では、(a)~(d)は直線であるが、曲線としてもよい。
より詳細には、線分(a)は、ホッパ内に生じた空洞にごみが雪崩込む雪崩込みが発生したときの飲込速度と排出速度との関係を示している。線分(a)では、飲込速度の方が排出速度よりも大きい。つまり、飲込量の割に排出量が少ないことが線分(a)の特徴である。なお、ホッパの壁面にごみが付着する壁面付着状態においても同様の関係となる。
線分(b)は、正常な状態のホッパにおける飲込速度と排出速度との関係を示している。線分(b)では、飲込速度と排出速度が等しい。つまり、飲み込んだ分だけ排出していることが線分(b)の特徴である。
線分(c)は、軽度の閉塞(ブリッジ)が発生しているホッパにおける飲込速度と排出速度との関係を示している。線分(c)では、飲込速度よりも排出速度の方がやや大きい。つまり、飲込量の割に排出量がやや多いことが線分(c)の特徴である。
線分(d)は、閉塞(ブリッジ)が発生しているホッパにおける飲込速度と排出速度との関係を示している。線分(d)では、飲込速度よりも排出速度が大きい。つまり、飲込量の割に排出量が多いことが線分(d)の特徴である。
このように、ホッパの内部のごみの状態は、飲込速度と排出速度の関係に反映される。したがって、状態判定部105は、飲込速度と排出速度の関係が何れの線分に近いかにより、ホッパの内部のごみの状態を判定することができる。
例えば、状態判定部105は、線分(a)~(d)の傾き、すなわち雪崩込み、正常、軽度閉塞、および閉塞の4つの状態における飲込速度と排出速度の比を示す状態予測モデル113を用いて状態を判定してもよい。この場合、移動状態特定部101は飲込速度を算出し、排出状態特定部102は排出速度を算出する。そして、状態判定部105は、算出された飲込速度と排出速度の比を算出し、算出した比が、状態予測モデル113に示される4つの状態に対応する各比のうち何れに近いかを判定する。
また、線分(a)~(d)が曲線である場合には、状態判定部105は、移動状態特定部101が算出する飲込速度および排出状態特定部102が算出する排出速度の経時変化のパターンが、曲線(a)~(d)の何れに近いかにより状態を判定してもよい。
また、状態判定部105は、線分(b)のみから判定を行うこともできる。この場合、状態判定部105は、算出された飲込速度と排出速度の比が、線分(b)の傾きより大きければ雪崩込みが発生する(あるいは発生している)可能性のある状態であると判定すればよい。また、状態判定部105は、算出された飲込速度と排出速度の比が、線分(b)の傾きより小さければ閉塞が発生する(あるいは発生している)可能性のある状態であると判定すればよい。
また、ホッパの各状態における飲込速度と排出速度の差を示す状態予測モデル113を用いてもよい。この場合、状態判定部105は、算出された飲込速度と排出速度の差を算出し、算出した差が、状態予測モデル113に示される状態に対応する各差のうち何れに近いかを判定する。
以上のように、状態判定部105は、ホッパの上部におけるごみの移動状態およびホッパからのごみの排出状態と、ホッパの内部のごみの状態との関係をモデル化した状態予測モデル113により、ホッパの内部のごみの状態を判定してもよい。ホッパの上部におけるごみの移動状態と排出状態は、ホッパの内部のごみの状態に応じて変化するから、この構成により、ホッパ内のごみの状態を的確に判定することができる。
また、以上のように、移動状態特定部101は、ホッパの内部側にごみが飲み込まれる飲込速度を、ホッパの上部におけるごみの移動状態を示す情報として算出してもよい。また、排出状態特定部102は、排出状態を示す情報として、ホッパからのごみの排出速度を算出してもよい。そして、状態判定部105は、飲込速度と排出速度との比または差から、ホッパの内部のごみの状態を判定してもよい。
上述のように、ホッパの内部で閉塞等が発生していない正常な状態では、ホッパの上部のごみが内部側に飲み込まれる飲込速度と、ごみの排出速度は概ね等しくなる。一方、ホッパの内部で閉塞が発生すると、飲込速度と排出速度とに差異が生じる。よって、上記の構成によれば、ホッパの内部の収容物の状態を的確に判定することができる。
なお、同様の状態予測モデルは、飲込速度と排出速度以外の指標値を用いて生成することができる。例えば、飲込速度の代わりに、時系列のホッパ画像111から生成した動きベクトルの絶対値の総和を用いてもよいし、排出速度の代わりに、時系列の排出画像112から生成したごみ山の輪郭線の移動距離を用いてもよい。
また、状態予測モデル113は、ホッパの上部におけるごみの移動状態およびホッパからのごみの排出状態と、ホッパの内部のごみの状態との関係をモデル化したものであればよく、上述の各例に限られない。例えば、上記の関係を機械学習することにより生成した機械学習済みモデルを状態予測モデル113としてもよい。
(判定結果の確信度)
状態判定部105は、判定結果の確からしさを示す指標(確信度)を算出してもよい。例えば、状態判定部105は、状態予測モデル113に示される飲込速度と排出速度の比または差と、算出した飲込速度と排出速度の比または差の乖離度に基づいて、判定結果の確信度を算出してもよい。
例えば、状態予測モデル113において、正常な状態の飲込速度と排出速度の比が1である場合に、状態判定部105が算出した飲込速度と排出速度の比が1.1であったとする。これらの比の間には0.1すなわち10%の差があるから、この場合、状態判定部105は、この判定結果の確信度を90%としてもよい。
(状態予測モデルの補正)
ホッパ内におけるごみは圧縮されて体積が変わるから、ホッパの上部におけるごみの移動状態およびホッパからのごみの排出状態と、ホッパの内部のごみの状態との関係は、ホッパ内にどのようなごみが収容されているかによっても変わる。このため、ホッパ内に投入されたごみの性状に応じて状態予測モデル113を補正してもよい。
ごみの性状としては、例えばごみの種別、大きさ、形状、細粒度、重量、および見かけ比重等が挙げられる。ごみの種別、大きさ、形状、細粒度等の性状は、例えば、ホッパ画像111の解析や、機械学習済みの性状判定モデル等により特定することができる。また、ごみの重量は、ホッパにごみを投入したクレーンにより計測可能であり、見かけ比重は当該重量を投入されたごみの体積(クレーンで一掴みされる体積)で割ることで算出可能である。
補正方法は、投入されたごみの性状が状態予測モデル113に反映されるような方法であればよく、特に限定されない。例えば、所定期間に投入されたごみの性状と、当該期間に投入されたごみを収容しているホッパについて予測を行うときの補正量との関係をモデル化しておいてもよい。この場合、状態判定部105は、判定を行う前の所定期間に投入されたごみの性状を特定し、上記モデルを用いて状態予測モデル113を補正すればよい。
例えば、判定を行う前の所定期間に投入されたごみの平均見かけ比重は、ピット内の当該ごみが圧縮される程度に影響を与え、ごみが圧縮される程度が変われば飲込量(体積)に対する排出量(体積)の比も変化する。このため、状態判定部105は、判定を行う前の所定期間に投入されたごみの平均見かけ比重に基づいて、状態予測モデル113に示される、各状態に対応する飲込速度と排出速度の比を補正してもよい。なお、補正は状態判定部105が行ってもよいし、補正を行う別の処理部を設けてもよい。
以上のように、状態判定部105は、ホッパの内部のごみの状態の判定を行う前の所定期間にホッパ内に投入されたごみの性状に応じて補正された状態予測モデル113により、ホッパの内部のごみの状態を判定してもよい。これにより、ホッパ内に投入されたごみの性状を考慮して、ホッパの内部のごみの状態を精度よく判定することができる。
(実排出量と設定排出量を考慮したごみの状態の判定)
上述のように、排出状態特定部102は、排出状態を示す情報として、給じん装置により排出されるごみを撮影した時系列の排出画像112から、ホッパから排出されたごみの量を算出してもよい。このごみの量は、ホッパから実際に排出されたごみの量を示すから、以下では実排出量と呼ぶ。
また、排出状態特定部102は、給じん装置の排出量の設定値についても特定してもよい。この設定値を以下では設定排出量と呼ぶ。この場合、状態判定部105は、移動状態特定部101が特定する移動状態と、排出状態特定部102が特定する実排出量および設定排出量とに基づいて、ホッパの内部のごみの状態を判定してもよい。
給じん装置による排出が問題なく行われているときには、設定排出量と実排出量は概ね等しくなるが、給じん装置にトラブルが発生した場合や、給じん装置で排出するごみの性状によっては、設定排出量と実排出量に差が生じることがある。
上記の構成によれば、収容物の排出状態を示す情報として、設定排出量と実排出量を算出し、これらの両方に基づいてホッパの内部のごみの状態を判定する。よって、給じん装置の状態や、排出するごみの性状についても考慮して、ホッパの内部のごみの状態を的確に判定することができる。
(ごみの状態の判定方法の他の例)
状態判定部105は、状態予測モデル113を用いずにホッパの内部のごみの状態を判定してもよい。例えば、状態判定部105は、移動状態特定部101が特定する移動状態と、排出状態特定部102が特定する排出状態との乖離度に基づいてごみの状態を判定してもよい。
この場合、移動状態特定部101は、移動状態を示す情報として移動速度を算出してもよく、排出状態特定部102は排出状態を示す情報として排出速度を算出してもよい。そして、状態判定部105は、算出された移動速度と排出速度の差または比を上記の乖離度として算出し、算出した乖離度が所定の範囲内であれば正常、所定の範囲外であれば異常と判定してもよい。
なお、状態判定部105は、異常と判定した際の移動速度が排出速度よりも大きければ(1)雪崩込みが既に発生した状態、(2)雪崩込みが近い将来に発生する可能性が高い状態、または(3)ホッパの壁面にごみが付着している状態と判定してもよい。また、状態判定部105は、異常と判定した際の移動速度が排出速度よりも小さければ、閉塞(ブリッジ)が発生したまたは発生する状態と判定してもよい。
また、状態判定部105は、ホッパの壁面にごみが付着している状態であると判定した場合、ごみの付着箇所についても判定してもよい。例えば、図4に示すようにホッパ画像111を複数のエリアに区分して移動状態の特定が行われていた場合、状態判定部105は、正常時と比べて移動状態が悪いエリアをごみの付着箇所と判定してもよい。なお、正常時と比べて移動状態が悪いエリアは、移動状態特定部101の特定結果(例えば各エリアの動きベクトルの大きさの総和や移動速度)から判定可能である。
このように、状態判定部105は、ホッパの壁面にごみが付着している状態であると判定した場合、移動状態特定部101が特定する移動状態に基づいてごみの付着箇所を判定してもよい。これにより、当該箇所からごみを取り除く等の適切な措置を速やかにとることが可能になる。
(機器の制御)
図1に示した制御決定部106と機器制御部107について説明する。制御決定部106は、状態判定部105の判定結果に応じて、ホッパの内部のごみの状態を維持または改善するための制御を決定する。そして、機器制御部107は、制御決定部106が決定した制御を所定の機器に実行させる。
情報処理装置1は、制御決定部106を備えていることにより、状態判定部105の判定結果に応じた制御であって、ホッパの内部のごみの状態を維持または改善するための制御を自動で決定することができる。そして、情報処理装置1は、機器制御部107を備えていることにより、ユーザの手を介さない自動制御により、ホッパの内部のごみの状態を維持または改善することができる。
例えば、状態判定部105が、ホッパが閉塞状態であると判定した場合、ホッパにブリッジ解除装置(図2のC参照)が設けられていれば、制御決定部106は、ブリッジ解除装置にブリッジ解除動作を実行させる、という制御を決定してもよい。この場合、機器制御部107は、ブリッジ解除装置を制御してブリッジ解除動作を実行させる。
なお、ブリッジ解除装置の制御は、制御決定部106が直接ブリッジ解除装置と通信することにより行ってもよいし、他の装置を介して制御してもよい。また、機器制御部107を省略してもよく、この場合、制御決定部106は、決定した制御内容をユーザに通知する構成とし、通知を受けたユーザがブリッジ解除装置を動作させてブリッジを解消させるようにすればよい。
無論、ホッパの内部のごみの状態を維持または改善するための制御の内容、および当該制御を実行させる機器は任意であり、上述の例に限られない。例えば、給じん装置の動作を制御することにより、ホッパの内部のごみの状態を維持または改善することも可能である。また、例えば、ホッパにごみを投入するクレーンを制御して、ホッパに投入するごみの量や性状を調整することにより、ホッパの内部のごみの状態を維持または改善することも可能である。このように、状態判定部105が判定する状態毎に、ホッパの内部のごみの状態を維持または改善するための制御を対応付けておけば、制御決定部106はその対応付けに従って制御を決定することができる。
(ホッパレベルの推定)
ホッパ内のごみは、後から投入されるごみによる圧縮の影響を受けるため、ホッパ内の位置によってごみの見かけ比重は異なったものとなる。このため、クレーンでホッパに投入したごみの重量のみから、ホッパ内のごみの体積や、ホッパ内に堆積しているごみの高さを正確に算出することは難しい。また、ホッパから排出されるごみの重量を測定することも難しいため、ホッパ内のごみの重量を求めることも難しい。
そこで、ホッパレベル推定部103は、以下説明する方法により、ホッパレベルを推定する。そして、ホッパレベル補正部104は、ホッパレベル推定部103が推定するホッパレベルを補正する。ここで「ホッパレベル」とはホッパ内に収容されているごみの量を意味する。ホッパレベルは、例えばホッパ内に収容されているごみの重量であってもよいし、体積であってもよく、ホッパ内に収容されているごみの高さであってもよい。ホッパレベルを推定および補正することにより、ホッパ内のごみの量や状態を的確に把握することができる。
ホッパレベルは、ホッパレベルに関連する各種情報を説明変数としたモデルにより推定することができる。このモデルは、例えばホッパ内における三次元のごみの流れ、つまりどのようなごみがホッパ内に入り、そのごみがどのように排出されるか、をモデル化したものであってもよい。
上記の説明変数としては、例えば、ホッパの容量、ホッパに投入されたごみの見かけ比重(投入したごみの重量/体積)、ホッパからのごみの排出量、ホッパの上部におけるごみの移動量(飲込量)、およびホッパへのごみの投入量等が挙げられる。ごみの移動量とごみの排出量は、それぞれ移動状態特定部101と排出状態特定部102が特定すればよい。また、投入したごみの重量は、クレーンに重量計を設けることで計測できる。また、投入したごみの体積は、ごみピットにおける当該ごみが掴まれた位置のごみの表面形状の変化から特定できる。
例えば、ホッパレベル推定部103は、下記の関係式によりホッパレベルを推定してもよい。なお、右辺の括弧内は関数fの変数である。ホッパレベルの変化率とホッパに投入されたごみの体積とには相関関係があり、ホッパレベルの変化率とホッパからのごみの排出量(給じん速度)とにも相関関係がある。また、ホッパに投入されたごみの重量とみかけ比重からホッパレベルの増加量を推定することもできる。したがって、ホッパ内に収容されているごみおよび投入されるごみのごみ質が一定範囲内で変動する場合、この関数fによりホッパレベル(あるいはホッパレベルの変動トレンドの平均値)を推定することができる。
(ホッパレベル)=f(ホッパ容量、見かけ比重、排出量、投入量、調整係数)
ただし、上述のように、ホッパ内におけるごみは圧縮されて体積が変わるから、ホッパレベルを正確に推定することは難しい。そこで、情報処理装置1にはホッパレベル補正部104を設けている。上述のように、ホッパレベル補正部104は、ホッパレベル推定部103が推定するホッパレベルを補正する。
ホッパレベルの補正には、例えばホッパレベル推定部103が推定するホッパレベルの誤差と、その誤差に関連のある各種情報との関係を機械学習したモデルを用いてもよい。この場合、ホッパレベル補正部104は、誤差に関連のある各種情報を当該モデルに入力して誤差を予測し、その誤差をキャンセルするように、ホッパレベル推定部103が推定するホッパレベルを補正すればよい。誤差に関連のある情報としては、例えば、ホッパに固有の特性、ホッパに投入されたごみの性状を示す情報等が挙げられる。
上記誤差を算出するために、ホッパレベル推定部103が推定するホッパレベルと比較する対象としては様々なものが適用できる。例えば、超音波レベル計等のセンサにより測定したホッパレベルや、ホッパ内を撮影したホッパ画像111を解析することによって算出したホッパレベルとホッパレベル推定部103が推定するホッパレベルとの差を上記誤差としてもよい。なお、ホッパの内壁に沿ってごみの高さが変わることもあるため、内壁沿いのごみの高さの平均値をホッパレベルとしてもよい。
また、例えば、ホッパレベル補正部104は、過去の事例においてホッパレベル推定部103が推定したホッパレベルの誤差の傾向から、ホッパレベル推定部103が推定するホッパレベルにどのような誤差が生じるかを統計的に予測してもよい。この場合、ホッパレベル補正部104は、予測した誤差をキャンセルするように、ホッパレベル推定部103が推定するホッパレベルを補正すればよい。
また、ホッパレベル推定部103は、上述したホッパレベルの推定と同様の手法により、ホッパに投入されたごみがホッパから排出されるまでの時間や、焼却されるまでの時間を推定することもできる。
以上のように、情報処理装置1は、排出状態特定部102が特定する排出状態と、ホッパに投入されたごみの量とに基づいて、ホッパに収容されているごみの量を推定するホッパレベル推定部103(収容量推定部)を備えていてもよい。ホッパに投入されたごみの量と、ホッパからのごみの排出状態は、ホッパに収容されているごみの量と関連性が高いから、上記の構成によれば、ホッパに収容されているごみの量を推定することができる。また、推定精度をさらに高めたい場合には、上述のように、ホッパレベル補正部104による補正を行えばよい。
(閉塞原因の推定)
図1に示した対象収容物検出部108と原因推定部109について説明する。対象収容物検出部108は、ホッパの閉塞の原因となり得る所定の対象収容物を検出する。対象収容物としては、例えば、ひも状のごみや枝のような細長い形状のごみなどの絡みやすいごみ、サイズが大きいごみ、見かけ比重が軽いごみ、および伸縮性や粘着性が高いごみが挙げられる。
ごみの形状や色、サイズ等については、例えばホッパ画像111を解析することにより特定することができる。また、ごみの種類や性状については、種類や性状が既知のごみを撮影した画像を教師データとした機械学習により構築されたモデルを用いて特定することができる。対象収容物検出部108は、対象収容物に応じた手法で検出を行えばよい。
原因推定部109は、対象収容物検出部108が対象収容物を検出した後の所定期間内に、状態判定部105が閉塞状態であると判定した場合に、閉塞状態となった原因が当該対象収容物であると推定する。上記所定期間は、ホッパに投入されたごみがホッパ内で閉塞を発生させるまでの標準的な時間を基準にする等して適宜設定すればよい。
なお、閉塞以外の状態についても、同様の処理によりその状態となった原因を推定することができる。この場合、原因推定の対象となる状態について、ホッパがその状態となる原因となり得る対象収容物を検出すればよい。例えば、ホッパの壁面にごみが付着した壁面付着状態の原因を推定する場合、対象収容物検出部108は、粘着性が高いごみを対象収容物として検出すればよい。
以上のように、情報処理装置1は、ホッパが所定の状態となる原因となり得る所定の対象収容物を検出する対象収容物検出部108と、対象収容物検出部108が対象収容物を検出した後の所定期間内に、状態判定部105がホッパの状態が所定の状態であると判定した場合に、当該状態となった原因が当該対象収容物であると推定する原因推定部109とを備えていてもよい。これにより、推定された対象廃棄物に応じた対処法を速やかに適用して、所定の状態を解消することが可能になる。また、次回以降に同じ対象廃棄物がホッパ内に投入されないようにする等の対処を行うことも可能になる。
(処理の流れ)
情報処理装置1が実行する処理(状態判定方法)の流れを図7に基づいて説明する。図7は、情報処理装置1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、この処理は、ごみ焼却施設の稼働期間中に継続して行われる。
S11(移動状態特定ステップ)では、移動状態特定部101が、ホッパの内部に収容されたごみのうちホッパの上部におけるごみの移動状態を特定する。例えば、移動状態特定部101は、ホッパを上方から撮影した時系列の複数のホッパ画像111に基づいて移動状態を特定してもよい。
S12(排出状態特定ステップ)では、排出状態特定部102が、ホッパからのごみの排出状態を特定する。例えば、排出状態特定部102は、給じん装置により排出されるごみを撮影した時系列の複数の排出画像112に基づいて排出状態を特定してもよい。
S13(状態判定ステップ)では、状態判定部105が、S11で特定された移動状態とS12で特定された排出状態とに基づいて、ホッパの内部のごみの状態を判定する。状態判定部105は、例えば図6に基づいて説明したような状態予測モデル113を用いてS13の判定を行ってもよい。
S14では、制御決定部106が、S13の判定結果に基づいて、ごみ焼却施設内の機器に対して制御を行うか否かを決定する。例えば、制御決定部106は、S13で正常な状態以外の状態(例えば閉塞等の異常な状態)と判定された場合に、制御を行うと決定する。S14でYESと判定された場合にはS15の処理に進む。一方、S14でNOと判定された場合にはS11の処理に戻る。
S15では、制御決定部106は、S13の判定結果に応じて、ホッパの内部のごみの状態を維持または改善するための制御を決定する。例えば、制御決定部106は、S13で閉塞状態と判定された場合、閉塞状態を改善するか、または悪化させないための制御(例えばブリッジ解除動作を実行させる等)を決定すればよい。
S16では、機器制御部107が、S15で決定された制御を所定の機器に実行させる。例えば、S15でブリッジ解除動作を実行させる制御が決定された場合、機器制御部107は、ブリッジ解除装置を制御してブリッジ解除動作を実行させる。この後、処理はS11に戻る。
以上のように、本実施形態に係る状態判定方法は、ホッパの内部に収容されたごみのうちホッパの上部に位置するごみの移動状態を特定する移動状態特定ステップ(S11)と、ホッパからのごみの排出状態を特定する排出状態特定ステップ(S12)と、特定した移動状態と排出状態とに基づいて、ホッパの内部のごみの状態を判定する状態判定ステップ(S13)と、を含む。これにより、ホッパの内部のごみの状態に応じた適切な処置をとることが可能になる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図8に基づいて本実施形態に係る情報処理装置1Aの構成を説明する。図8は、本発明の実施形態2に係る情報処理装置1Aの要部構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置1Aは、図1に示した情報処理装置1と比べて、状態判定部105を備えていない点、制御決定部106の代わりに制御決定部106Aを備えている点、状態予測モデル113の代わりに制御予測モデル113Aが記憶部11に記憶されている点で相違している。なお、図8にはホッパレベル推定部103、ホッパレベル補正部104、対象収容物検出部108、および原因推定部109を記載していないが、情報処理装置1Aはこれらの構成を備えていてもよい。
制御決定部106Aは、移動状態特定部101が特定する移動状態と、排出状態特定部102が特定する排出状態とに基づいて、ホッパの内部のごみの状態を維持または改善するための制御を決定する。制御決定部106Aは、例えば、制御予測モデル113Aを用いて制御を決定することができる。
制御予測モデル113Aは、ホッパの上部におけるごみの移動状態およびホッパからのごみの排出状態と、当該移動状態および当該排出状態のときに実行すべき制御との関係をモデル化したものである。この制御は、ホッパの内部のごみの状態を維持または改善するための制御である。よって、制御決定部106Aは、制御予測モデル113Aを用いることにより、移動状態特定部101が特定する移動状態と、排出状態特定部102が特定する排出状態からホッパの内部のごみの状態を維持または改善するための制御を決定することができる。
制御予測モデル113Aは、機械学習により構築されたものであってもよいし、統計を利用した手法により構築されたものであってもよく、ホッパの上部におけるごみの移動状態およびホッパからのごみの排出状態と、当該移動状態および当該排出状態のときに実行すべき制御とを対応付けたテーブルデータ等であってもよい。
例えば、制御予測モデル113Aは、ごみの飲込速度に対して排出速度が遅い場合に対して、実行すべき制御として雪崩込みを解消するための制御が対応付けられたモデルであってもよい。雪崩込みは、乾燥段上のごみが過剰供給されることにより発生するため、雪崩込みを解消するための制御は、例えば給じん速度を減速する制御としてもよい。
また、制御予測モデル113Aは、ごみの飲込速度に対して排出速度が速い場合に対して、実行すべき制御として閉塞を解消するための制御が対応付けられたモデルであってもよい。なお、ごみの飲込速度に対して排出速度が速いか遅いかは、飲込速度と排出速度の差または比を閾値と比較する等により判定すればよい。閉塞を解消するための制御としては、例えばブリッジ解除装置Cを動作させる、ホッパに新たなごみを投入して閉塞部の上方から荷重する等の制御が適用できる。
また、制御予測モデル113Aは、ホッパの上部におけるごみの移動状態を示す説明変数と、ホッパからのごみの排出状態を示す説明変数から、実行すべき制御を予測する学習済みモデルであってもよい。このようなモデルは、ホッパに対して行った制御により、ホッパの内部のごみの状態が維持または改善された事例を基に構築することができる。
以上のように、情報処理装置1Aは、情報処理装置1と同様に移動状態特定部101と排出状態特定部102を備えている。そして、情報処理装置1Aは、移動状態特定部101が特定する移動状態と、排出状態特定部102が特定する排出状態とに基づいて、ホッパの内部のごみの状態を維持または改善するための制御を決定する制御決定部106Aを備えている。
上述のように、ホッパの上部におけるごみの移動状態とホッパからのごみの排出状態は、ホッパの内部のごみの状態に応じて変化する。よって、移動状態と排出状態とに基づいて制御を決定する上記の構成によれば、ホッパの内部のごみの状態に応じた適切な制御を行うことができる。
本実施形態に係る制御決定方法は、図7と同様の流れである。図7との相違点は、S13で制御決定部106Aが制御を決定する処理を行う点と、S15の処理が省略される点である。すなわち、本実施形態に係る制御決定方法は、ホッパの上部に位置するごみの移動状態を特定する移動状態特定ステップと、ホッパからのごみの排出状態を特定する排出状態特定ステップと、前記移動状態と前記排出状態とに基づいて、前記ホッパの内部のごみの状態を維持または改善するための制御を決定する制御決定ステップと、を含む。この制御決定方法によれば、ホッパの内部のごみの状態に応じた適切な制御を行うことができる。
〔変形例〕
上述の各実施形態で説明した各処理の実行主体は任意であり、上述の例に限られない。つまり、上述の各実施形態で説明した各処理を実行可能であれば、管理システム5を構成する装置は適宜変更することができる。例えば、図7に示した処理のうち、S11およびS12の処理を1つの情報処理装置に実行させ、S13の処理は別の情報処理装置に実行させてもよい。このように、上記各実施形態で説明した各処理の実行主体は、1つの情報処理装置であってもよいし、複数の情報処理装置であってもよい。
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置1および1A(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部10または10Aに含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラム(状態判定プログラム/制御決定プログラム)により実現することができる。
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1、1A 情報処理装置
101 移動状態特定部
102 排出状態特定部
103 ホッパレベル推定部(収容量推定部)
105 状態判定部
106、106A 制御決定部
108 対象収容物検出部
109 原因推定部
113 状態予測モデル

Claims (14)

  1. ホッパの内部に収容された収容物のうちホッパの上部に位置する収容物の移動状態を特定する移動状態特定部と、
    前記ホッパからの前記収容物の排出状態を特定する排出状態特定部と、
    前記移動状態と前記排出状態とに基づいて、前記ホッパの内部の前記収容物の状態を判定する状態判定部と、を備える情報処理装置。
  2. 前記状態判定部は、前記ホッパの上部における前記収容物の移動状態および前記ホッパからの前記収容物の排出状態と、前記ホッパの内部の前記収容物の状態との関係をモデル化した状態予測モデルにより、前記ホッパの内部の前記収容物の状態を判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記状態判定部は、前記判定を行う前の所定期間に前記ホッパ内に投入された前記収容物の性状に応じて補正された前記状態予測モデルにより、前記ホッパの内部の前記収容物の状態を判定する、請求項2に記載の情報処理装置。
  4. 前記移動状態特定部は、前記ホッパの内部側に前記収容物が飲み込まれる飲込速度を、前記ホッパの上部における前記収容物の移動状態を示す情報として算出し、
    前記排出状態特定部は、前記排出状態を示す情報として、前記ホッパからの前記収容物の排出速度を算出し、
    前記状態判定部は、前記飲込速度と前記排出速度との比または差から、前記ホッパの内部の前記収容物の状態を判定する、請求項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
  5. 前記排出状態特定部は、前記排出状態を示す情報として、前記収容物を前記ホッパの外部に排出する排出装置により排出される前記収容物を撮影した時系列の画像から、前記ホッパから実際に排出された前記収容物の量である実排出量を算出すると共に、前記排出装置の排出量の設定値である設定排出量を特定し、
    前記状態判定部は、前記移動状態と、前記実排出量および前記設定排出量とに基づいて、前記ホッパの内部の前記収容物の状態を判定する、請求項1から4の何れか1項に記載の情報処理装置。
  6. 前記状態判定部の判定結果に応じて、前記ホッパの内部の前記収容物の状態を維持または改善するための制御を決定する制御決定部を備える、請求項1から5の何れか1項に記載の情報処理装置。
  7. 前記状態判定部は、前記ホッパの壁面に前記収容物が付着している状態であると判定した場合、前記移動状態特定部が特定する前記移動状態に基づいて前記収容物の付着箇所を判定する、請求項1から6の何れか1項に記載の情報処理装置。
  8. 前記排出状態特定部が特定する前記排出状態と、前記ホッパに投入された前記収容物の量とに基づいて、前記ホッパに収容されている前記収容物の量を推定する収容量推定部を備える、請求項1から7の何れか1項に記載の情報処理装置。
  9. 前記ホッパが所定の状態となる原因となり得る所定の対象収容物を検出する対象収容物検出部と、
    前記対象収容物検出部が前記対象収容物を検出した後の所定期間内に、前記状態判定部が前記ホッパの状態を前記所定の状態であると判定した場合に、当該状態となった原因が当該対象収容物であると推定する原因推定部とを備える、請求項1から8の何れか1項に記載の情報処理装置。
  10. ホッパの内部に収容された収容物のうちホッパの上部に位置する収容物の移動状態を特定する移動状態特定部と、
    前記ホッパからの前記収容物の排出状態を特定する排出状態特定部と、
    前記移動状態と前記排出状態とに基づいて、前記ホッパの内部の前記収容物の状態を維持または改善するための制御を決定する制御決定部と、を備える情報処理装置。
  11. 1または複数の情報処理装置が実行する状態判定方法であって、
    ホッパの内部に収容された収容物のうちホッパの上部に位置する収容物の移動状態を特定する移動状態特定ステップと、
    前記ホッパからの前記収容物の排出状態を特定する排出状態特定ステップと、
    前記移動状態と前記排出状態とに基づいて、前記ホッパの内部の前記収容物の状態を判定する状態判定ステップと、を含む状態判定方法。
  12. 1または複数の情報処理装置が実行する制御決定方法であって、
    ホッパの内部に収容された収容物のうちホッパの上部に位置する収容物の移動状態を特定する移動状態特定ステップと、
    前記ホッパからの前記収容物の排出状態を特定する排出状態特定ステップと、
    前記移動状態と前記排出状態とに基づいて、前記ホッパの内部の前記収容物の状態を維持または改善するための制御を決定する制御決定ステップと、を含む制御決定方法。
  13. 請求項1に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるための状態判定プログラムであって、前記移動状態特定部、前記排出状態特定部、および前記状態判定部としてコンピュータを機能させるための状態判定プログラム。
  14. 請求項10に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるための制御決定プログラムであって、前記移動状態特定部、前記排出状態特定部、および前記制御決定部としてコンピュータを機能させるための制御決定プログラム。
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