JP3926173B2 - ごみ供給熱量計測装置およびごみ供給制御装置 - Google Patents

ごみ供給熱量計測装置およびごみ供給制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に都市ごみや産業廃棄物等を焼却処理する焼却炉に付設するホッパ内に貯留されるごみの供給熱量を計測するごみ供給熱量計測装置および、そのごみ供給熱量計測装置を用いるごみ供給制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、都市ごみや産業廃棄物等を焼却処理する焼却炉にはホッパが付設されており、ごみ等はクレーンで掴み上げられそのホッパ内に投入された後、このホッパ下部に設けられる給じん装置により順次焼却炉に供給されるようになっている。ここで、給じん装置として多く用いられる形式としてプッシャータイプのものがあり、焼却炉として多く用いられている形式としてストーカ炉がある。
【0003】
このような焼却炉は、排出される様々な廃棄物を処理する上で重要な役割を果たしている。また、近年では、廃棄物であるごみの焼却処理によって発生する熱エネルギーの回収に対する関心が高まり、ボイラ発電設備が設置されたごみ焼却炉が増加し、ボイラでの熱回収が効率的に行えるように焼却炉において安定な燃焼状態を保つことが要求されている。その一方、大気中に放出される環境汚染物質の規制が厳しくなるに従い、ダイオキシン類やNOx等の発生を抑制する必要性が生じている。
【0004】
このため、ボイラ蒸発量や焼却炉内の温度が規定範囲内に収まるように燃焼制御を行い、ダイオキシン類やNOx等の発生を抑制するとともにボイラでの熱回収を効率的に行うようにされている。
【0005】
ところで、このような燃焼制御は、焼却炉またはそれより下流側に設けられたセンサー等によってボイラ蒸発量、炉温、更には燃焼により発生するCO、ダイオキシン類、NOx等の発生量を検知し、それらが許容範囲から逸脱した場合、一次燃焼空気の吹き込み量の増減や、一次燃焼空気の各ストーカ段への分配あるいはストーカそのものの移動速度の調節などの燃焼制御等を行うようにされている。そうした燃焼制御を行うことによって、ボイラ蒸発量、炉温、更には燃焼により発生するCO、ダイオキシン類、NOx等の発生量が所定の範囲内になるようにされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような焼却炉でなされる燃焼制御によれば、焼却炉あるいはそれより下流側に設けられたセンサー等で検知された情報に基づき、上流側の焼却炉にて燃焼制御を行うという、下流側で検出されるデータを指標とした制御方法が採られているため、ホッパ内に貯留されているごみ質あるいはそのごみ質の変化にリアルタイムに対応することができないという問題点がある。
【0007】
そのため、焼却炉内の燃焼状態が不安定になることがあり、ダイオキシン類やCO、NOxなどの発生増加、未燃物の増加、炉温の異常上昇や異常下降の原因となり、更には前記ボイラーによる熱回収の効率低下の要因になるという問題点がある。
【0008】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、下流側の制御の指標となる、ホッパの下部に設けられる給じん装置より焼却炉に供給されるごみの供給熱量を計測することができるごみ供給熱量計測装置を提供するともに、焼却炉においてより安定した燃焼状態を実現させ、それによってダイオキシン類やCO、NOxなどの発生を抑制し、未燃物の発生を妨げ、炉温の異常上昇や異常下降を防止し、ボイラーによる熱回収の効率を向上することができるごみ供給制御装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成するために、第1発明によるごみの供給熱量計測装置は、
ホッパの下部から焼却炉に供給されるごみの供給熱量を計測するごみ供給熱量計測装置であって、
(a)前記ホッパにごみが投入される毎に、このホッパに投入された投入ごみ重量を検出する投入ごみ重量検出手段と、
(b)前記ホッパにごみが投入される毎に、このホッパ内のごみ表面の高さ位置からそのホッパに投入された投入ごみ容積を検出する投入ごみ容積検出手段と、
(c)前記ホッパ内にごみが投入されたときに生じるごみの移動量を検出するごみ移動量検出手段と、
(d)前記ホッパ内のごみ表面の高さ位置から求められるごみの総容積の単位時間あたりの変化より焼却炉内に供給されたごみの移動容積を検出するごみ移動容積検出手段と、
(e)前記ごみ移動量検出手段による検出値により前記投入ごみ容積検出手段による検出値を補正して最終的な投入ごみ容積を求めるとともに、この求められた投入ごみ容積と前記投入ごみ重量検出手段より検出される投入ごみ重量とに基づき、前記ホッパに投入された投入ごみ比重を演算し、かつその投入ごみ比重と前記ごみ移動容積検出手段より検出されるごみ移動容積とからごみの移動重量を演算するとともに、そのごみの移動重量とごみの熱量とから前記焼却炉に供給される単位時間あたりのごみの供給熱量を演算する演算手段を備えることを特徴とするものである。
【0010】
第1発明におけるごみ供給熱量計測装置によれば、ごみがホッパに投入される毎に、投入ごみ重量検出手段によりその投入されるごみの投入ごみ重量が検出される。その一方で、投入ごみ容積検出手段により、前記ホッパ内のごみ表面の高さ位置が検出され、この検出された高さ位置からホッパに投入されたごみの投入ごみ容積が算出される。また、こうした投入の際に生じるごみ圧縮等によるホッパ内部のごみの移動が前記ごみ移動量検出手段により検出される。一方で、ごみ移動容積検出手段により、ホッパ内のごみ表面の高さ位置から求められるごみの総容積の単位時間あたりの変化に基づき、焼却炉内に供給されたごみの移動容積が検出される。次いで、前記演算手段において、前記ごみ移動量検出手段による検出値により前記投入ごみ容積検出手段による検出値が補正されて最終的な投入ごみ容積が求められるとともに、この求められた投入ごみ容積と、前記投入ごみ重量検出手段より検出される投入ごみ重量とに基づき、前記ホッパに投入された投入ごみ比重が算出され、このごみ比重と、前記ごみ移動容積検出手段により検出された焼却炉内に供給されたごみの移動容積とからごみの移動重量を演算するとともに、そのごみの移動重量とごみの熱量とから、前記焼却炉に供給される単位時間あたりのごみの供給熱量が演算される。
【0011】
以上のようにして算出された単位時間あたりのごみの供給熱量は、ごみが前記焼却炉へ供給される前の状態で、しかもホッパあるいはそれよりも上流側で得られる情報に基づき算出されるため、ホッパより下流側にて行われるごみの供給制御や燃焼制御等の指標として用いたときに、ホッパ内のごみ質あるいはそのごみ質の変化にリアルタイムに適応した制御を行うことができる。
【0012】
前記第1発明のごみ供給熱量計測装置において、前記投入ごみ容積検出手段および前記ごみ移動容積検出手段は、前記ホッパの上方に設置されてそのホッパ内のごみ表面を走査することによりそのごみ表面までの距離を計測する走査型レーザー式レベル計であるのが好ましい(第2発明)。このようにすれば、ごみ表面の距離を一次元的、またはニ次元的に走査することができ、それによって正確なごみの容積(投入ごみ容積およびごみ移動容積)を検出することができる。
【0013】
また、第1または第2発明において、前記ごみ移動量検出手段は、前記ホッパの側壁からそのホッパ内に突出するように設けられるローラ型の回転式ごみ速度計であることが好ましい(第3発明)。このようにすれば、ホッパ内のごみの移動を回転式ごみ速度計の回転度合より精度良く検知することができる。
【0014】
次に、第4発明におけるごみ供給制御装置は、
ホッパに投入されたごみをそのホッパの下部から給じん手段により焼却炉内に供給するごみ供給制御装置であって、
(a)前記ホッパにごみが投入される毎に、このホッパに投入された投入ごみ重量を検出する投入ごみ重量検出手段と、
(b)前記ホッパにごみが投入される毎に、このホッパ内のごみ表面の高さ位置からそのホッパに投入された投入ごみ容積を検出する投入ごみ容積検出手段と、
(c)前記ホッパ内にごみが投入されたときに生じるごみの移動量を検出するごみ移動量検出手段と、
(d)前記ホッパ内のごみ表面の高さ位置から求められるごみの総容積の単位時間あたりの変化より焼却炉内に供給されたごみの移動容積を検出するごみ移動容積検出手段と、
(e)前記ごみ移動量検出手段による検出値により前記投入ごみ容積検出手段による検出値を補正して最終的な投入ごみ容積を求めるとともに、この求められた投入ごみ容積と前記投入ごみ重量検出手段より検出される投入ごみ重量とに基づき、前記ホッパに投入された投入ごみ比重を演算し、かつその投入ごみ比重と前記ごみ移動容積検出手段より検出されるごみ移動容積とからごみの移動重量を演算するとともに、そのごみの移動重量とごみの熱量とから前記焼却炉に供給される単位時間あたりのごみの供給熱量を演算する演算手段と、
(f)この演算手段より演算される単位時間あたりのごみの供給熱量に基づき、前記給じん手段により供給されるごみの供給熱量が一定となるようにその給じん手段を制御する制御手段と備えることを特徴とするものである。
【0015】
第4発明による供給制御装置によれば、ごみが前記給じん手段より焼却炉内へ供給される前の段階で、しかも前記給じん手段よりも上流側で得られる情報によって、そのごみの単位時間あたりの供給熱量が演算され、この供給熱量が一定となるように前記給じん手段が制御される。したがって、ホッパ内のごみの状態が変化したとしても、その状態にリアルタイムに対応して焼却炉に供給されるごみの供給熱量を一定にすることができる。こうして、極めて安定した燃焼状態を前記焼却炉内において実現させることができ、それに伴い、CO、ダイオキシン類、NOx等の発生量を抑制するとともに、未燃物の発生を低減させ、更には炉温の異常上昇・下降を妨げることができ、ボイラーによる熱回収の効率を向上させることができる。
【0016】
前記第4発明において前記給じん手段は、往復運動によりごみを押し出すプッシャーを含み、前記制御手段は、このプッシャーの速度もしくはストロークのうちいずれか一方を制御することによりごみの供給量を制御するものであるのが好ましい(第5発明)。このように給じん手段としてプッシャー装置を用いたものを採用した場合、このプッシャー装置の動作速度もしくはストロークのいずれか一方または、両方を制御することでごみの供給熱量を制御することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるごみ供給熱量計測装置およびごみ供給制御装置の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1には、本発明の一実施の形態に係るごみ供給制御装置のシステム構成図が示されている。
【0019】
本実施形態において、ごみ等を焼却するためのストーカ式焼却炉1が設けられ、この焼却炉1にはごみ貯留用のホッパ2が付設されている。また、このホッパ2の下部であって、乾燥ストーカ3a、燃焼ストーカ3bおよび後燃段ストーカ3cを備える階段式ストーカ3の最上流部には給じん装置4が設置されている。
【0020】
この給じん装置4はプッシャー式(往復運動式)の装置であって、平板状のステップ5の上面に沿って往復運動されるプッシャー(給じん装置)6と、このプッシャー6を往復運動させる駆動機構7とを備えて構成されている。また、ホッパの外部には、ごみ収集車などから収集された都市ごみ等を一旦貯留するごみピット(図示せず)が付設されており、このごみピットより掴み上げられたごみはホッパ2の上方からクレーン8によってホッパ2の内部へ投入される。こうして投入されたごみは順次ステップ5上に落下し、このステップ5上のごみがプッシャー6の往復運動によって順次乾燥ストーカ3a上に切り出される。
【0021】
前記クレーン8には掴み上げたごみの重量を測定し重量データとして発信する重量計9が取り付けられており、前記ホッパ2の上方には、ごみの表面までの距離を二次元的に走査し、(ごみまでの距離の)距離分布データを作成・発信する走査型レーザー式レベル計10が配置されている。また、ホッパの一側面にはホッパ内のごみの移動距離を測定し移動距離データとして発信する回転式ごみ速度計11が取り付けられている。
【0022】
前記ホッパ2の外部には、後述のごみ質や、供給熱量等の各種データを算出するごみ質・供給熱量算出装置12が設けられており、このごみ質・供給熱量算出装置12の入力部に、前記重量計9、走査型レーザー式レベル計10、回転式ごみ速度計11が電気的に接続されている。
【0023】
また、前記ごみ質・供給熱量算出装置12の出力部は、後述の各種制御信号を算出・発信する制御装置13の入力部と電気的に接続されている。この制御装置13の出力部は、前記プッシャー6の制御機構7および前記乾燥ストーカ3aおよび前記燃焼ストーカ3bの図示されない制御機構と電気的に接続されている。
【0024】
前記クレーン8に取り付けられている重量計9は、ごみピットのごみが掴み上げられる毎に、そのごみの重量を測定し、このデータ(重量データ)を、前記ごみ質・供給熱量算出装置12に送信するようにされている。
【0025】
前記ホッパ2の上方に配置される走査型レーザー式レベル計10は、図2に示されるように、一方向に偏向しつつレーザー光を物質に投光し、その反射光を受光することで物質を一次元的(直線的)に走査する機能を有する従来公知のレーザー式レベル計に、この偏向方向(図2(a)における±θx方向)に対して垂直方向の偏向(図2(b)における±θy方向)が可能なように改良したものである。この二次元走査型レーザー式レベル計10は、そのθx方向の偏向によって、ホッパの一辺に平行なラインの走査ができるように、そのθx方向の偏向方向が調節されている。そして、θx方向およびθy方向に対する偏向を行うことによって、物質までの距離を三次元的に知ることができる。
【0026】
前記走査型レーザー式レベル計10によれば、図2(a)で示されるように、まず従来公知のレーザー式レベル計と同じく+θx方向に対して偏向しながらのレーザー光の投・受光が行われる。こうすることで、図2(c)に示されるように、ホッパ2の一辺に平行なラインが走査される。次いで、図2(b)に示されるように、θy方向に対して+Δθy分の偏向が行われる。こうすることで、図2(c)に示されるように、θx方向の偏向による走査開始位置が変更される。次いで、−θx方向に偏向しながらのレーザー光の投・受光によって、偏向された走査ラインの距離が測定される。次いで、再びθy方向に対して+Δθy分の変更が行われた後、+θx方向に偏向しつつレーザー光の投・受光が行われる。このような作業が繰り返えし行われることにより、ごみの表面が二次元的に(平面的に)走査され、三次元的な距離分布データが作成される。なお、以上のような走査は連続的に行われ、その走査が終了する毎に、三次元的な距離分布データが作成され前記ごみ質・供給熱量算出装置12へ順次送信される。
【0027】
一方、前記回転式ごみ速度計11は、ホッパ2に新たにごみが投入された際のごみ圧縮によって生じるホッパ2内部のごみの移動量を検出するために設けられたものであり、具体的には投入されたごみの自重による移動距離Lが測定される。この回転式ごみ速度計11は、図3に示されているように、ホッパ2の側壁に設けられた切欠部から、ローラの一部がホッパ2内部に突設するように取り付けられており、新たなごみの投入によって、既にホッパ内に貯留されているごみが圧縮され、この圧縮時に生じるごみとローラとの摩擦によりローラが回転する。この回転量によって圧縮によるごみの移動距離L[m]が検出される。このごみの移動距離L[m]は移動距離データとして前記ごみ質・供給熱量算出装置12に送信される。
【0028】
前記ごみ質・供給熱量算出装置12においては、前記重量計9により得られる重量データと、走査型レーザー式レベル計10により得られる、ごみ投入の直前・直後の距離分布データと、回転式ごみ速度計11により得られる移動距離データとに基づく後述のフローに従うデータ処理によって、投入されたごみの容積、重量、比重(発熱量)がその投入毎に算出されて記憶される。加えて走査型レーザー式レベル計10より作成され、順次送信される距離分布データに基づき、ホッパ2内に貯留されるごみの総容積が算出されて記憶される。
【0029】
この順次記憶されるごみの総容積より、単位時間あたりのごみの総容積の変化が算出され、この単位時間あたりのごみの総容積の変化からごみの移動容積(ホッパ内のごみ容積の変動度合)が導出され、この移動容積と、ごみが投入される毎に検出(または算出され)記憶される各種データとに基づく後述のフローに従うデータ処理によって、単位時間あたりの供給熱量が算出される。そしてこの供給熱量は供給熱量データとして送信される。
【0030】
次に、本実施形態における、ごみ質推定のフローを図4に示されるフローチャートを参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、クレーン8によるごみの投入回数を変数tで表し、投入回数tにおいて投入されたごみの容積、重量、比重、ごみ質(ごみの熱量)をそれぞれQ(t)、W(t)、R(t)、Hu(t)と示す。また、このフローの開始時点までに投入回数t=n−1のごみがクレーン8によりホッパ2に投入されており、ホッパ2の下部の給じん装置4には、クレーン8の投入回数t=n−i回目(n−i回目の投入回数とは、次に投入されるごみ、すなわち投入回数t=n回ごみよりi回前に投入されたごみの投入回数を示す。)のごみが供給される直前にあるものとする。
【0031】
A1:前記ホッパ2に貯留されているごみの表面を前記走査型レーザー式レベル計10を用いて走査し、投入回数t=n回目のごみが投入される直前のごみ表面の距離分布データを作成し、前記ごみ質・供給熱量算出装置12に送信する。A2:前記ごみ質・供給熱量算出装置12において、前のステップA1において走査型レーザー式レベル計10より作成された、ホッパに投入される直前の三次元的な距離分布データを受け取り、この距離分布データと予めインプットされているホッパ2の形状と前記走査型レーザー式レベル計8の設置座標とに基づき、投入直前のホッパ2内に貯留されているごみの表面断面形状を解析する。次いで、ごみの表面形状とホッパ2の形状とに基づきホッパ2内に貯留されている投入直前のごみの総容積Qtotal[m]を算出する(図3参照)。
【0032】
A3:クレーン8で掴み上げられる(投入回数t=n回目の)ごみの重量W(n)[kg]を前記重量計9にて検出し、重量データとしてごみ質・供給熱量算出装置12に送信する。
【0033】
A4:前記クレーン8で掴み上げられた(投入回数t=n回目の)ごみがホッパ2に投入された後、そのホッパ2に貯留されているごみの表面を走査し、投入回数t=n回目のごみが投入された直後の距離分布データを作成し、前記ごみ質・供給熱量算出装置12に送信する。
A5:前のステップ2と同様にして、投入直後の距離分布データに基づき投入直後のごみの表面断面形状を解析し、総容積Q'total[m]を算出する。
【0034】
A6:(投入回数t=n回目の)ごみの投入後に、ホッパ内部で生じるごみ圧縮によるごみの移動量を検出し、その移動距離L[m]を移動距離データとしてごみ質・供給熱量算出装置12に送信する。
A7:ごみの投入後に前記回転式ごみ速度計11より検出され発信された、ごみの移動距離データと(移動距離L[m])、回転式ごみ速度計11の取り付け部におけるホッパ2の断面積S[m](予めインプットされているホッパの形状により判明)と、計算式
V[m]=S[m]×L[m]
とに基づき、ごみ投入による、ごみ圧縮により移動したごみ量(ごみ移動体積)V[m]を算出する。
【0035】
A8:投入前のごみレベルQtotal[m]と、投入後のごみレベルQ'total[m]と、ごみ投入時に移動したごみ量V[m]と計算式
Q(n)[m]=Q'total[m]−Qtotal[m]+V[m
とに基づき、投入回数t=nにおける、投入ごみ容積(投入されたごみの容積を示す。)Q(n)[m]を求める。
【0036】
A9:投入回数t=nにおける投入ごみ容積Q(n)[m]と、クレーン8に設けられる重量計9より検出された、投入ごみ重量(投入されたごみの重量)W(n)[kg]と計算式
R(n)[kg/m]=W(n)[kg]/Q(n)[m
とに基づき、投入ごみ比重R(投入されたごみの比重)(n)を算出する。
A10:投入ごみ比重R(n)[kg/m]と、ごみ比重とごみ質(ごみ熱量)との相関を示す実測データとに基づき、投入ごみ質(投入されたごみのごみ質)Hu(n)[MJ/kg]を推定する。
【0037】
このようなフローで示される計算をごみの投入毎に繰り返し行い前記ごみ質・ごみ供給熱量算出装置12にて投入ごみ容積Q(t)、投入ごみ重量W(t)、投入ごみ比重R(t)、投入ごみ質Hu(t)を投入回数毎にそれぞれ記憶する。
【0038】
次に、本実施形態における、ごみの供給熱量の算出、並びにごみの供給制御を図5に示されるフローチャートを参照しつつ詳細に説明する。
【0039】
前記ホッパ2の内部には、投入回数t=n回目のごみと投入回数t=n−1回目のごみ、投入回数t=n−2回目のごみ、…、および投入回数t=n−i回目のごみが貯留されて積層された状態であり、投入回数t=n−i回目のごみが給じん装置4のプッシャー6より焼却炉1に供給される直前の状態にある。また前述のように、前記ごみ質・供給熱量算出装置12には、投入回数t=nまでの、投入ごみの容積Q(t)、投入ごみ重量W(t)、投入ごみ比重R(t)、投入ごみ質Hu(t)が投入回数t毎にそれぞれ記憶されている。
【0040】
B1:前記ごみ質・供給熱量算出装置12において、前記走査型レーザー式レベル計10より順次送信される距離分布データに基づき、ホッパ2内のごみの総容積を算出し順次記憶する(ステップA1、ステップA2参照)。そして、このごみが投入されていない時のホッパ2内のごみの総容積のデータに基づいて、容積の時間微分を行いホッパ2内のごみの移動容積(総容積の変動度合)dQ[m/h]を算出する。
B2:こうして算出されたごみの移動容積dQ[m/h]のデータと、前記ごみ質・供給熱量算出装置12に記憶されている投入ごみ容積Q(t)のデータとに基づき、給じん装置4より焼却炉1に供給される直前のごみの投入回数を割り出す。(なお、本実施形態においては、投入回数t=n−i回目のごみが供給される直前のごみに相当する。)
B3:前のステップB1より算出された移動容積dQ[m/h]と、ごみ焼却炉1内に供給される直前のごみの比重R(n−i)[kg/m]と計算式
dW[kg/h]=dQ[m/h]×R(n−i)[kg/m
と基づき、ホッパ2内部のごみの移動重量dW[kg/h]を算出する。
B4:ごみの移動重量dW[kg/h]とごみ質(ごみの熱量)Hu(n−i)[MJ/kg]と計算式
dR[MJ/h]=dW[kg/h]×Hu(n−i)[MJ/kg]
とに基づき、ごみ焼却炉内に供給される直前の、単位時間あたりのごみの供給熱量dR[MJ/h]を算出し、供給熱量データとして制御装置13に送信する。
【0041】
B5:制御装置13において、前のステップB4で算出された単位時間あたりのごみの供給熱量dR[MJ/h]を受け取り、ごみの供給熱量が一定となるようなプッシャー6の動作速度(給じん速度)および、そのプッシャー6に隣接する乾燥ストーカ3aの動作速度を算出する。
【0042】
B6:算出されたプッシャー6の動作速度に基づき、プッシャー6の制御機構7に供給制御信号を発信し、同時に、算出された乾燥ストーカ3aの移動速度に基づき、乾燥ストーカ3aの図示されない制御機構に速度制御信号を発信する。
【0043】
こうして算出された供給制御信号を受け取った駆動装置7において、その受け取った供給制御信号に基づきプッシャー6の給じん速度が調整されて、プッシャー6から乾燥ストーカ3aに供給されるごみの量が制御される。同様に、乾燥ストーカ3aにおいて、受け取った速度制御信号に基づき、乾燥ストーカ3aおよび燃焼ストーカ3bの移動速度が制御され、乾燥ストーカ3aに切り落されたごみの乾燥時間が制御される。
【0044】
このような制御を実行することによって、焼却炉1に供給されるごみの供給熱量を、ホッパ内のごみ質の変化に係り無く、常に一定にすることができるとともに、ごみの乾燥時間を供給熱量に適応するように調節することができ、焼却炉1におけるごみの燃焼状態を安定させることができる。そうすることにより、CO、NOx等の発生低減、未燃物の発生防止、ダイオキシン類の発生抑制を図ることができ、炉温を許容範囲に収めることができ、更にはボイラーによる熱回収の効率を向上させることができる。
【0045】
本実施形態においては、供給量を制御するために、プッシャー6の動作速度を制御するようにされているが、プッシャー6のストロークを制御するようにしても良い。
【0046】
本実施形態においては、プッシャー式の給じん手段を用いたものを説明したが、本発明の考え方は、他の給じん手段(例えばスクリュー式給じん装置)を用いた場合であっても適応することができる。
【0047】
また、本実施形態においては、ごみの供給熱量に基づく供給制御、具体的には、前記プッシャー6の給じん速度および、プッシャー6に隣接して設けられる乾燥ストーカ3aの速度制御に限定して説明したが、一次燃焼空気送風機と各ストーカ段とを接続するエアダクトにそれぞれ設けられるダンパを、ごみ供給熱量に基づき制御装置13より電気的に制御するようにして各ストーカ段への一次燃焼空気の吹き込み量およびその分配を制御しても良い。こうした場合であっても、ホッパ内のごみの質などのデータが、投入回数毎に記憶されているため、いつ、どのようなごみ質のごみが焼却炉1に供給されるかを容易に計算することができるため、リアルタイムに供給されるごみの質に最も適応する燃焼制御を行うことができる。
【0048】
また、本実施形態においては、二次元的にごみ表面を操作するタイプの走査型レーザー式レベル計10より検出される三次元な距離分布データに基づきホッパ内のごみ容積(投入ごみ容積およびごみ移動容積)を算出するようにされているが、一次元的に走査をする従来公知の走査型レーザー式レベル計を用いても良い。なお、こうした場合、二次元に走査するタイプに比べて厳密性にかけるため、正確なデータを求めるために、実測に基づく近似計算を実行する必要性がある。こうした場合であっても、ホッパ内のごみ容積を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るごみ供給制御装置のシステム構成図である。
【図2】図2(a)は、本実施形態に係る(二次元方向に走査するタイプの)走査型レーザー式レベル計のθx方向における動作説明図であり、図2(b)は走査型レーザー式レベル計のθy方向における動作説明図であり、図2(c)は、走査型レーザー式レベル計による走査を説明する説明図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る回転式のごみ移動距離検出装置による、ごみの移動距離の検出を説明する説明図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る、ごみ質を算出する過程を説明するフローチャートである。
【図5】図5は、本実施形態に係る、供給熱量の算出、および供給熱量に基づく制御の過程を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 焼却炉
2 ホッパ
3 ストーカ
3a 乾燥ストーカ
4 給じん装置
6 プッシャー
7 制御機構
8 クレーン
9 重量計
10 走査型レーザー式レベル計
11 回転式ごみ速度計
12 ごみ質・供給熱量算出装置
13 制御装置

Claims (5)

  1. ホッパの下部から焼却炉に供給されるごみの供給熱量を計測するごみ供給熱量計測装置であって、
    (a)前記ホッパにごみが投入される毎に、このホッパに投入された投入ごみ重量を検出する投入ごみ重量検出手段と、
    (b)前記ホッパにごみが投入される毎に、このホッパ内のごみ表面の高さ位置からそのホッパに投入された投入ごみ容積を検出する投入ごみ容積検出手段と、
    (c)前記ホッパ内にごみが投入されたときに生じるごみの移動量を検出するごみ移動量検出手段と、
    (d)前記ホッパ内のごみ表面の高さ位置から求められるごみの総容積の単位時間あたりの変化より焼却炉内に供給されたごみの移動容積を検出するごみ移動容積検出手段と、
    (e)前記ごみ移動量検出手段による検出値により前記投入ごみ容積検出手段による検出値を補正して最終的な投入ごみ容積を求めるとともに、この求められた投入ごみ容積と前記投入ごみ重量検出手段より検出される投入ごみ重量とに基づき、前記ホッパに投入された投入ごみ比重を演算し、かつその投入ごみ比重と前記ごみ移動容積検出手段より検出されるごみ移動容積とからごみの移動重量を演算するとともに、そのごみの移動重量とごみの熱量とから前記焼却炉に供給される単位時間あたりのごみの供給熱量を演算する演算手段を備えることを特徴とするごみ供給熱量計測装置。
  2. 前記投入ごみ容積検出手段および前記ごみ移動容積検出手段は、前記ホッパの上方に設置されてそのホッパ内のごみ表面を走査することによりそのごみ表面までの距離を計測する走査型レーザー式レベル計である請求項1に記載のごみ供給熱量計測装置。
  3. 前記ごみ移動量検出手段は、前記ホッパの側壁からそのホッパ内に突出するように設けられるローラ型の回転式ごみ速度計である請求項1または2に記載のごみ供給熱量計測装置。
  4. ホッパに投入されたごみをそのホッパの下部から給じん手段により焼却炉内に供給するごみ供給制御装置であって、
    (a)前記ホッパにごみが投入される毎に、このホッパに投入された投入ごみ重量を検出する投入ごみ重量検出手段と、
    (b)前記ホッパにごみが投入される毎に、このホッパ内のごみ表面の高さ位置からそのホッパに投入された投入ごみ容積を検出する投入ごみ容積検出手段と、
    (c)前記ホッパ内にごみが投入されたときに生じるごみの移動量を検出するごみ移動量検出手段と、
    (d)前記ホッパ内のごみ表面の高さ位置から求められるごみの総容積の単位時間あたりの変化より焼却炉内に供給されたごみの移動容積を検出するごみ移動容積検出手段と、
    (e)前記ごみ移動量検出手段による検出値により前記投入ごみ容積検出手段による検出値を補正して最終的な投入ごみ容積を求めるとともに、この求められた投入ごみ容積と前記投入ごみ重量検出手段より検出される投入ごみ重量とに基づき、前記ホッパに投入された投入ごみ比重を演算し、かつその投入ごみ比重と前記ごみ移動容積検出手段より検出されるごみ移動容積とからごみの移動重量を演算するとともに、そのごみの移動重量とごみの熱量とから前記焼却炉に供給される単位時間あたりのごみの供給熱量を演算する演算手段と、
    (f)この演算手段より演算される単位時間あたりのごみの供給熱量に基づき、前記給じん手段により供給されるごみの供給熱量が一定となるようにその給じん手段を制御する制御手段と備えることを特徴とするごみ供給制御装置。
  5. 前記給じん手段は、往復運動によりごみを押し出すプッシャーを含み、前記制御手段は、このプッシャーの速度もしくはストロークのうちいずれか一方を制御することによりごみの供給量を制御するものである請求項4に記載のごみ供給制御装置。
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