JP3928709B2 - ごみ焼却炉の燃焼制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に都市ごみや産業廃棄物等を焼却処理する焼却炉に供給されるごみの燃焼制御を行うごみ焼却炉の燃焼制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、都市ごみや産業廃棄物等を燃焼処理する焼却炉にはホッパが付設されており、ごみ等はクレーンで掴み上げられそのホッパ内に投入された後、このホッパ下部に設けられる給じん装置により順次焼却炉内へ供給されるようになっている。ここで、給じん装置として多く用いられる形式としてプッシャータイプのものがあり、焼却炉として多く用いられている形式としてストーカ炉のものがある。
【0003】
このような焼却炉は、排出される様々な廃棄物を処理する上で重要な役割を果たしている。また、近年では、廃棄物であるごみの焼却処理によって発生する熱エネルギーの回収に関する関心が高まり、ボイラー発電設備が設置されたごみ焼却炉が増加し、ボイラーでの熱回収が効率的に行えるように焼却炉内において安定な燃焼状態を保つことが要求されている。その一方、大気中に放出される環境汚染物の規制が厳しくなるに従い、ダイオキシン類やNOxなどの発生を抑制する必要性が生じている。
【0004】
このため、ボイラー蒸発量や焼却炉内の温度が規定範囲内に収まるように燃焼制御を行い、ダイオキシン類やNOx等の発生を抑制するとともに、ボイラーでの熱回収を効率的に行うようにされている。
【0005】
ところで、このような燃焼制御は、焼却炉またはそれより下流側に設けられたセンサー等によってボイラー蒸発量、炉温、更には燃焼により発生するCO、ダイオキシン類、NOx等の発生量が検出され、それらが許容範囲から逸脱した場合に、例えば、一次燃焼空気の吹き込み量の増減や、一次燃焼空気の各ストーカ段への分配あるいはストーカそのものの移動速度を調整することによって行われる。こうした燃焼制御を行うことによって、ボイラー蒸発量、炉温、COの発生量、ダイオキシン類の発生量、NOx等の発生量が所定の範囲内になるようにされている。
【0006】
しかしながら、この従来の燃焼制御方式によれば、焼却炉あるいはそれより下流側に設けられたセンサー等で検出された情報に基づき、上流側の焼却炉の燃焼制御を行うという、下流側で検出されるデータを指標とした制御方法が採られているため、ホッパ内に貯留されているごみ質あるいはそのごみの質の変化にリアルタイムに対応することができないという問題点がある。そのため、水気が多いごみ等のイレギュラーなごみが焼却炉内に供給された場合、その焼却炉内の燃焼状態が不安定になり、ダイオキシン類やCO、NOx等の発生増加、未燃物の増加、炉温の異常上昇、炉温の異常下降などの原因となり、更には前記ボイラーによる熱回収の効率低下の要因になるという問題点がある。
【0007】
そこで、このような問題点を解決するために、ホッパにごみが投入される毎に、その投入ごみの重量および容積に係る情報を検出し、それらのデータに基づき投入ごみの単位時間あたりの供給熱量を求めるごみ供給熱量計測装置と、焼却炉に供給されるごみの供給熱量が一定になるように給じん手段を制御することによって焼却炉内の燃焼状態を安定させるごみ供給制御装置が本出願人によって特願2002−51970号にて提案されている。
【0008】
特願2002−51970号で提案されるごみ供給制御装置によれば、給じん手段よりも上流で得られる情報に基づき、単位時間あたりのごみの供給熱量が求められ、この供給熱量が一定になるように給じん手段が制御されるため、投入ごみの質が変化したとしても、焼却炉の燃焼状態を安定維持することができ、ダイオキシン類やCO、NOx等の発生を抑制し、ボイラーによる熱回収の効率を維持するとともに、焼却炉の炉温の異常上昇および異常下降を防止することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなごみ供給制御装置によれば、ホッパから焼却炉に供給されるごみの供給熱量が常に一定にされているため、水気を多く含み熱量が極端に低いごみの場合、大量に焼却炉内に供給されることになるため、炉温を急激に低下させて焼却炉の燃焼状態を不安定なものにし、ダイオキシン類のNOxやCOの発生増加を促し、ボイラーによる熱回収の効率を低下させるという問題点がある。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、水気を多く含み熱量が極端に低いイレギュラーごみが、焼却炉の内部に大量に供給される場合であっても、焼却炉内の燃焼状態を安定維持可能な燃焼制御装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成するために、発明によるごみ焼却炉の燃焼制御装置は、
ホッパ内に投入されたごみをそのホッパの下部から給じん手段によって焼却炉内に供給し、この焼却炉内にて焼却処理するごみ焼却炉の燃焼制御装置であって、
(a)前記ホッパ内に投入されるごみの重量と、ホッパ内に貯留されている投入直前のごみの総容積と、投入直後のごみの総容積と、ホッパ内部で生じるごみ圧縮によるホッパ内部のごみの移動量と、ホッパへ投入される投入ごみ重量とによりごみ質を推定するごみ質推定手段、
(b)前記ごみ質推定手段からの出力に基づき、前記給じん手段により供給されるごみの供給熱量が一定になるようにその給じん手段を制御するごみ供給熱量制御手段、
(c)前記ごみ質の基準値を記憶する基準値記憶手段、
(d)前記ごみ質検出手段により求められる供給ごみのごみ質が前記基準値記憶手段に記憶されているごみ質の基準値以下であることを判定するごみ質判定手段および
(e)前記ごみ質判定手段からの出力に基づき、前記焼却炉の燃焼ストーカへ送られるごみが完全燃焼しやすい状態になるように前記燃焼手段を制御する燃焼状態制御手段
を備えることを特徴とするものである。
【0012】
本発明によれば、まず、ッパ内に投入されるごみの重量と、ホッパ内に貯留されている投入直前のごみの総容積と、投入直後のごみの総容積と、ホッパ内部で生じるごみ圧縮によるホッパ内部のごみの移動量と、ホッパへ投入される投入ごみ重量とにより、焼却炉に供給されるごみのごみ質が推定される。このご、得られた供給ごみ質に基づき、給じん手段により供給されるごみの供給熱量が一定になるようにその給じん手段が制御される。
【0013】
以上のような制御の場合、給じん手段が制御されて常に一定の供給熱量のごみが焼却炉に供給されるため、通常の質のごみが焼却炉に供給される場合には、その焼却炉の燃焼状態が安定状態を維持するものの、例えば水気を多く含み熱量が低いイレギュラーなごみが焼却炉に供給される場合には、そのごみが大量に焼却炉内に供給されるため、焼却炉の炉温を著しく下降させ、その焼却炉の燃焼状態を不安定する恐れがある。そこで、前述の給じん手段の制御と合わせて以下のような制御がおこなわれる。
【0014】
まず、自治体等から得られたごみ質のデータを統計処理することにより求められる投入ごみのごみ質の基準値を予め基準値記憶手段に記憶しておく。そして、前述のようにして求められた供給ごみ質と、このごみ質の基準値との比較を行い、前記供給ごみ質がごみ質の基準値以下かどうかの判定をごみ質判定手段にて行う。次に、このごみ質判定手段における出力に基づき、燃焼状態制御手段にて燃焼手段が制御され、前記焼却炉の燃焼ストーカへ送られるごみが完全燃焼しやすい状態にされる。
【0015】
このように、イレギュラーなごみが焼却炉に供給される場合には、給じん手段の制御に加えて、燃焼手段が制御されるため、通常のごみが投入される場合は勿論、水気を多く含み熱量が極端に低いイレギュラーなごみが焼却炉に大量に供給される場合であっても、焼却炉の燃焼状態を安定維持することができる。この結果、ダイオキシン類や、CO、NOx等の発生を抑制し、ボイラーによる熱回収の効率を安定維持するとともに、焼却炉の炉温を許容範囲内に納めることができる。
【0017】
前記燃焼状態制御手段は、前記焼却炉へ供給される乾燥空気の空気量を増やすことにより、ごみを完全燃焼しやすい状態にするものであるのが好ましくまた前記焼却炉へ供給される乾燥空気の温度を上げることにより、ごみを完全燃焼しやすい状態にするものであるのが好ましい。こうすることで、焼却炉内のごみが乾燥し易くなるため、水気を多く含み熱量が極端に低いイレギュラーなごみが供給される場合であっても、そのごみを完全燃焼しやすい状態にすることができる。
【0018】
また発明において、前記給じん手段と前記焼却炉の乾燥ストーカの速度比を調整することにより、ごみを完全燃焼しやすい状態にするものとすることもできるこのようにしたものでは、給じん装置と乾燥ストーカの速度比を調整して、乾燥ストーカ上のごみの厚みを薄くして乾燥しやすい状態にすることが可能であるため、焼却炉に水気を多く含むイレギュラーなごみが大量に供給される場合であっても完全燃焼しやすい状態にすることができる。
【0019】
図1には、本発明の一実施の形態に係るごみ焼却炉の燃焼制御装置のシステム構成図が示されている。
【0020】
本実施形態において、ごみ等を焼却するためのストーカ式焼却炉1が設けられ、この焼却炉1にはごみ貯留用のホッパ2が付設されている。また、このホッパ2の下部であって、乾燥ストーカ3a、燃焼ストーカ3bおよび後燃ストーカ3cを備える階段式ストーカ3の最上流部には給じん装置4が設置されている。なお、これら各ストーカ3a、3b、3cには、後述の速度制御信号を受信し、その制御信号に基づき各ストーカ3a、3b、3cの移動速度を制御するための制御機構(図示せず)が備えられている。
【0021】
前記給じん装置4はプッシャー式(往復運動式)の装置であって、平板状のステップ5の上面に沿って往復運動されるプッシャー(給じん装置)6と、このプッシャー6を往復運動させる駆動機構7とを備えて構成されている。また、ホッパ2の外部には、ごみ収集車などから収集された都市ごみ等を一旦貯留するごみピット(図示せず)が付設されており、このごみピットより掴み上げられたごみはホッパ2の上方からクレーン8によってホッパ2の内部へ投入される。こうしてホッパ2内に投入されたごみは順次ステップ5上に落下し、プッシャー6の往復運動によって順次焼却炉1内の乾燥ストーカ3aに切り出される。焼却炉1内に供給されたごみは乾燥ストーカ3a、燃焼ストーカ3b、後燃ストーカ3cと送られ、乾燥ストーカ3aにおける一部表面燃焼、燃焼ストーカ3bにおける燃焼、後燃ストーカ3cにおけるおき燃焼等の各種燃焼が順次行われる。
【0022】
前述の乾燥ストーカ3a、燃焼ストーカ3b、後燃ストーカ3cの下部には、空気ホッパ9a、9b、9cがそれぞれ設けられている。また、前記後燃ストーカ3cの下流には、灰排出装置(図示せず)が設けられており、燃焼によって生じる灰を外部に設けられた灰ピット(図示せず)に排出するようにされている。
【0023】
一方、前記焼却炉1の下部には、前記階段式ストーカ3へ供給される一次燃焼空気を送り出すための一次燃焼空気送風機10が設けられている。この一次燃焼空気送風機10にはダクト11が接続されており、このダクト11から分岐された分岐ダクト11a、11b、11cは、空気ホッパ9a、9b、9cにそれぞれ接続されている。前記一次燃焼空気送風機10より送風される一次燃焼空気は、一次燃焼空気送風機10に接続されているダクト11および、そのダクト11より分岐される分岐ダクト11a、11b、11cを通って、空気ホッパ9a、9b、9cに供給された後、各ストーカ3a、3b、3cに吹き込まれる。また、分岐ダクト11a、11b、11cの途中には、その分岐ダクト11a、11b、11c内の通過面積を調節し、その分岐ダクト11a、11b、11cを通過する一次燃焼空気の量を増減させて、前記各ストーカ3a、3b、3cへ吹き込む一次燃焼空気の供給量およびその一次燃焼空気の各ストーカ3a、3b、3cへの供給比率を制御するダンパー12a、12b、12cがそれぞれ配されている。
【0024】
一方、ごみをホッパ2内に投入する前記クレーン8には、このクレーン8によって掴み上げられ、前記ホッパ2内に投入される投入ごみの重量を測定し重量データとして発信する重量計13が取り付けられており、前記ホッパ2の上方には、ごみの表面までの距離を二次元的に走査し、(ごみまでの距離の)距離分布データを作成・発信する走査型レーザー式レベル計14が配置されている。また、ホッパ2の一側面にはホッパ内のごみの移動距離を測定し移動距離データとして発信する回転式ごみ速度計15が取り付けられている。
【0025】
前記焼却炉1の外部には演算・制御装置16が設けられている。この演算・制御装置16は、各種電気信号を入力するための入力部と、前記ホッパ2の形状、前記走査型レーザー式レベル計14の設置座標、演算後のデータ、実測データ等の各種データを記録する記憶領域部と、投入されるごみの投入ごみ質および投入されたごみが前記焼却炉内に供給された際にその焼却炉の燃焼状態が安定するような燃焼度合い等の後述のフローに基づく演算を行う演算部と、この演算結果に基づく電気信号(制御信号)を出力するための出力部を有している。この演算・制御装置16の出力部は、前記プッシャー6を往復運動させる駆動機構7と、前記乾燥ストーカ3aおよび燃焼ストーカ3bおよび後燃ストーカ3cのそれぞれに設けられる図示されない制御機構と、前記ダンパー12a、12b、12cの制御機構に接続されている。
【0026】
前記ホッパ2の上方に配置される走査型レーザー式レベル計14は、図2に示されるように、一方向に偏向しつつレーザー光を物質に投光し、その反射光を受光することで物質を一次元的(直線的)に走査する機能を有する従来公知のレーザー式レベル計に、この偏向方向(図2(a)における±θx方向)に対して垂直方向の偏向(図2(b)における±θy方向)が可能なように改良したものである。この二次元走査型レーザー式レベル計14は、そのθx方向の偏向によって、ホッパ2の一辺に平行なラインの走査ができるように、そのθx方向の偏向方向が調節されている。そして、θx方向およびθy方向に対する偏向を行うことによって、物質までの距離を三次元的に知ることができる。
【0027】
前記走査型レーザー式レベル計14によれば、図2(a)で示されるように、まず従来公知のレーザー式レベル計と同じく+θx方向に対して偏向しながらのレーザー光の投・受光が行われることで、図2(c)に示されるように、ホッパ2の一辺に平行なラインが走査される。次いで、図2(b)に示されるように、θy方向に対して+Δθy分の偏向が行われることで、図2(c)に示されるように、θx方向の偏向による走査開始位置が変更される。次いで、−θx方向に偏向しながらのレーザー光の投・受光によって、偏向された走査ラインの距離が測定される。次いで、再びθy方向に対して+Δθy分の変更が行われた後、+θx方向に偏向しつつレーザー光の投・受光が行われる。このような作業が繰り返えし行われることにより、ごみの表面が二次元的に(平面的に)走査され、三次元的な距離分布データが作成される。なお、以上のような走査は連続的に行われ、その走査が終了する毎に、三次元的な距離分布データが作成され前記演算・制御装置16へ順次送信される。
【0028】
一方、前記回転式ごみ速度計15は、ホッパ2に新たにごみが投入された際のごみ圧縮によって生じるホッパ2内部のごみの移動量を検出するために設けられたものであり、具体的には投入されたごみの自重による移動距離Lが測定される。この回転式ごみ速度計15は、図3に示されているように、ホッパ2の側壁に設けられた切欠部から、ローラの一部がホッパ2内部に突設するように取り付けられており、新たなごみの投入によって、既にホッパ内に貯留されているごみが圧縮され、この圧縮時に生じるごみとローラとの摩擦によりローラが回転する。この回転量によって圧縮によるごみの移動距離L[m]が検出される。このごみの移動距離L[m]は移動距離データとして前記演算・制御装置16に送信される。
【0029】
次に、本実施形態における、ごみ質の判定と、ごみ供給制御と、ごみ燃焼制御の過程を図4に示されるフローチャートを参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、投入回数tにおける投入ごみ重量、投入ごみ容積、投入ごみ比重、投入ごみ質をそれぞれW(t)、Q(t)、R(t)、Hu(t)とする。また、焼却炉に供給されるごみの投入回数をt=n回目の投入ごみとする。
【0030】
A1: 投入ごみ容積Q(t)、投入ごみ重量W(t)、投入ごみ比重R(t)、投入ごみ質Hu(t)(t=1、2、3…、n、…)をごみがホッパに投入される毎に求め、それらの値を前記演算・制御装置16の記憶領域部に投入回数毎に分類して記憶する。なお、このステップA1の詳細内容については、図5に示されるフローチャートによって後述する。
A2: 前記走査型レーザー式レベル計14より順次送信される距離分布データに基づき、ホッパ内部のごみの総容積Qtotalを順次演算し、そのごみ容積Qtotalを時間微分してホッパ2内のごみ容積の変化率dQを演算する。
A3: 次いで、このごみ容積の変化率dQと、前記演算・制御装置16の記憶領域部に投入回数毎に分類されて記憶されている投入ごみの情報に基づき、焼却炉に供給されるごみの投入回数t=nを割り出す
A4:前記演算・制御装置16の記憶領域部にて、投入回数t(tは1以上の整数)毎に分類して記憶されている投入ごみ質Hu(t)(t=1、2、3…、n、…)の中から、前のステップA3で割り出された投入回数t=n(焼却炉1に供給されるごみの投入回数)における投入ごみ質Hu(n)を求める。すなわち、投入回数t=nのごみが焼却炉1に供給されているかを判定して、焼却炉1に供給されるごみのごみ質を推定する。なお以下の説明において、焼却炉1に供給されるごみを供給ごみとし、上記投入ごみ質Hu(n)を供給ごみ質Hu(n)ということとする。
【0031】
A5:前のステップA2で求められるホッパ2内部のごみ容積の変化率dQ(ホッパ内部のごみ容積の変動率)および、ステップA3にて割り出された投入回数t=n(すなわち、焼却炉1に供給されるごみ)における供給ごみ比重R(n)[kg/m]と計算式
dW[kg/h]=dQ[m/h]×R(n)[kg/m
と基づき、ホッパ2内部のごみの移動重量dW[kg/h]を演算する。次いで、このごみの移動重量dW[kg/h]と前のステップA4で求められる供給ごみ質Hu(n)[MJ/kg]と計算式
dR[MJ/h]=dW[kg/h]×Hu(n)[MJ/kg]
とに基づき、ごみ焼却炉内に供給される直前の、単位時間あたりのごみの供給熱量dR[MJ/h]を演算する。
A6:単位時間あたりの供給熱量dRに基づき、この供給熱量が一定となるような前記プッシャー6の給じん速度を割り出し、その給じん速度に応じた電気信号(供給制御信号)を前記プッシャー6の駆動機構7に送信して、前記プッシャーの給じん速度を調整する。
A7:前記演算・制御装置16の記憶領域部に予め記憶されているごみ質の基準値Hu_svを呼び出す。このごみ質の基準値Hu_svは自治体などの実測データを統計処理することによって求められるものである。
A8:前記供給ごみ質Hu(n)がごみ質の基準値Hu_sv以下であるかどうかを判定する。
【0032】
A9:前記供給ごみ質Hu(n)がごみ質の基準値Hu_svより大きい値である場合は、ごみ質を'良い'と判定しこのフローを終了する。
【0033】
A10:前のステップA8で供給ごみ質Hu(n)がごみ質の基準値以下の値である場合には、この供給ごみの質を'悪い'と判定する。
A11:焼却炉1内のごみが完全燃焼しやすい状態になるような、一次燃焼空気量の増加量を割り出し、その一次燃焼空気量の増加に応じた電気信号(通過面積制御信号)を分岐ダクト11a、11b、11cの途中に設けられるダンパー12a、12b、12cに送信して、分岐ダクト11a、11b、11cにおける一次燃焼空気の通過面積を調整し、特に乾燥ストーカ3aに吹き込む一次燃焼空気を増加させる。
【0034】
次に、前のステップA1における、投入ごみ容積Q(t)、投入ごみ重量W(t)、投入ごみ比重R(t)、投入ごみ質Hu(t)を求め、前記演算・制御装置16の記憶領域部に記憶するまでの過程について、図5に示されるフローチャートを参照しつつ説明する。
【0035】
A101:前記ホッパ2に貯留されているごみの表面を前記走査型レーザー式レベル計14を用いて走査し、投入回数tのごみが投入される直前のごみ表面の距離分布データを作成し、前記演算・制御装置16に送信する。
A102:前記演算・制御装置16において、前のステップA101において走査型レーザー式レベル計14より作成された、ホッパ2に投入される直前の三次元的な距離分布データを受け取り、この距離分布データと予め入力され記憶されているホッパ2の形状と前記走査型レーザー式レベル計14の設置座標とに基づき、投入直前のホッパ2内に貯留されているごみの表面断面形状を解析する。次いで、ごみの表面形状とホッパ2の形状とに基づきホッパ2内に貯留されている投入直前のごみの総容積Qtotal[m]を演算する(図3参照)。
【0036】
A103:クレーン8で掴み上げられる(投入回数tにおける)ごみの重量W(t)[kg]を前記重量計13にて検出し、重量データとして演算・制御装置16に送信する。
【0037】
A104:前記クレーン8で掴み上げられた(投入回数tの)ごみがホッパ2に投入された後、そのホッパ2に貯留されているごみの表面を走査し、投入回数tのごみが投入された直後の距離分布データを作成し、前記演算・制御装置16に送信する。
A105:前のステップ2と同様にして、投入直後の距離分布データに基づき投入直後のごみの表面断面形状を解析し、総容積Q'total[m]を演算する。
【0038】
A106:(投入回数tの)ごみの投入後に、ホッパ内部で生じるごみ圧縮によるホッパ2内部のごみの移動量を検出し、その移動距離L[m]を移動距離データとして演算・制御装置16に送信する。
A107:ごみの投入後に前記回転式ごみ速度計15より検出され発信された、ごみの移動距離データと(移動距離L[m])、回転式ごみ速度計15の取り付け部におけるホッパ2の断面積S[m](予めインプットされているホッパの形状により判明)と、計算式
V[m]=S[m]×L[m]
に基づき、ごみ投入による、ホッパ2内部のごみ圧縮により移動したごみ量(ごみ移動体積)V[m]を演算する。
【0039】
A108:投入前のごみレベルQtotal[m]と、投入後のごみレベルQ'total[m]と、ごみ投入時に移動したごみ量V[m]と計算式
Q(n)[m]=Q'total[m]−Qtotal [m]+V[m
に基づき、投入回数tにおける、投入ごみ容積Q(t)[m]を演算する。
【0040】
A109:投入回数t=nにおける投入ごみ容積Q(t)[m]と、クレーン8に設けられる重量計13より検出された、投入ごみ重量(投入されたごみの重量)W(t)[kg]と計算式
R(t)[kg/m]=W(t)[kg]/Q(t)[m
に基づき、投入ごみ比重R(t)を演算する。
A110:投入ごみ比重R(t)[kg/m]と、ごみ比重とごみ質(ごみ熱量)との相関を示す実測データとに基づき、投入ごみ質Hu(t)[MJ/kg]を推定する。
A111:以上のようなフローをホッパ2にごみが投入される毎に行い、投入ごみ容積Q(t)、投入ごみ重量W(t)、投入ごみ比重R(t)および投入ごみ質Hu(t)を投入回数ごとに分類して、前記演算・記憶装置16の記憶領域に記憶する。
【0041】
本実施形態においては、ホッパに供給されるごみの供給ごみ質Hu(n)と、ごみ質の基準値Hu_svの比較が行われ、供給ごみ質Hu(n)がごみ質の基準値Hu_svより大きな値である場合、その供給ごみの質が'良い'と判断され、供給ごみ質Hu(n)がHu_sv以下である場合には、逆に質が'悪い'と判断される。
【0042】
質の'良い'と判断された場合には、ごみの供給熱量が一定になるよう前記プッシャー6の供給量が制御されて、焼却炉1の燃焼状態が安定に保たれる。
【0043】
一方、質が'悪い'と判断されるごみ、すなわち、水気を多く含み熱量が低いイレギュラーなごみが焼却炉1内に供給される場合においても、ごみの供給熱量が一定になるようにプッシャー6の給じん速度が調整されるため、その水気を多く含み熱量の低いごみは、大量に焼却炉1に供給される。しかしながら、本実施形態においては、その水気を多く含む質の悪いごみが焼却炉1に供給される場合、通常のプッシャー6における給じん速度の調整に加えて、焼却炉1内に吹き込まれる一次燃焼空気量が増加するような電気信号(通過面積制御信号)が前記ダンパー12a、12b、12cに送信されて前記分岐ダクト11a、11b、11cの通過面積が調整される。そして、焼却炉1のごみが完全燃焼しやすい状態にされ、その焼却炉1の燃焼状態が安定維持される。したがって、水気を多く含み供給熱量が極端に低いイレギュラーなごみが供給されたとしても、焼却炉1の燃焼状態が安定維持され、それに伴ない、ダイオキシン類、CO、NOx等の発生防止、未燃物の減少、炉温の異常上昇または異常低下が防止され、更にはボイラー発電の効率が安定維持される。
【0044】
本実施形態においては、前記ダンパ12a、12b、12cに通過面積制御信号を送信し、分岐ダクト11a、11b、11cの通過面積を調整して特に乾燥ストーカ3aに吹き込む一次燃焼空気の量を増加させて焼却炉1内の燃焼状態を安定にするようにされているが、乾燥ストーカ3a上のごみが乾燥しやすい状態になるような処理であれば、乾燥空気の空気量を増加したり、あるいは、空気温度を上げたり、あるいは、給じん装置と乾燥ストーカ3aの速度比を調整して、乾燥ストーカ3a上のごみの厚みを薄くするなど他の手段を用いることもできる。
【0045】
なお、本発明におけるごみ質推定手段、ごみ供給熱量制御手段、基準値記憶手段、ごみ質判定手段および燃焼状態制御手段は、本実施形態における演算・制御装置に対応する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に関わるごみ焼却炉の燃焼制御装置のシステム説明図である。
【図2】図2(a)は、本実施形態に係る走査型レーザー式レベル計のθx方向における同さ説明図であり、図2(b)は、走査型レーザー式レベル計のθy方向における同さ説明図であり、図2(c)は、走査型レーザー式レベルによる走査を説明する説明図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る、回転式のごみ移動検出装置による、ホッパ内部におけるごみの移動距離の検出を説明する説明図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る、プッシャー6の給じん速度の調整および、一次燃焼空気量の増加の過程を説明するフローチャートである。
【図5】図5は、本実施形態に係る投入ごみ重量、投入ごみ容積、投入ごみ比重、投入ごみ質を求め、記憶する過程を示すフローチャートである
【符号の説明】
1 焼却炉
2 ホッパ
3a 乾燥ストーカ
3b 燃焼ストーカ
3c 後燃ストーカ
4 給じん装置
6 プッシャー
8 クレーン
10 一次燃焼空気送風機
11 ダクト
11a、11b、11c 分岐ダクト
12a、12b、12c ダンパー
13 重量計
14 走査型レーザー式レベル計
15 回転式ごみ速度計
16 演算・制御装置

Claims (4)

  1. ホッパ内に投入されたごみをそのホッパの下部から給じん手段によって焼却炉内に供給し、この焼却炉内にて焼却処理するごみ焼却炉の燃焼制御装置であって、
    (a)前記ホッパ内に投入されるごみの重量と、ホッパ内に貯留されている投入直前のごみの総容積と、投入直後のごみの総容積と、ホッパ内部で生じるごみ圧縮によるホッパ内部のごみの移動量と、ホッパへ投入される投入ごみ重量とによりごみ質を推定するごみ質推定手段、
    (b)前記ごみ質推定手段からの出力に基づき、前記給じん手段により供給されるごみの供給熱量が一定になるようにその給じん手段を制御するごみ供給熱量制御手段、
    (c)前記ごみ質の基準値を記憶する基準値記憶手段、
    (d)前記ごみ質検出手段により求められる供給ごみのごみ質が前記基準値記憶手段に記憶されているごみ質の基準値以下であることを判定するごみ質判定手段および
    (e)前記ごみ質判定手段からの出力に基づき、前記焼却炉の燃焼ストーカへ送られるごみが完全燃焼しやすい状態になるように前記燃焼手段を制御する燃焼状態制御手段
    を備えることを特徴とするごみ焼却炉の燃焼制御装置。
  2. 前記燃焼状態制御手段は、前記焼却炉へ供給される乾燥空気の空気量を増やすことにより、ごみを完全燃焼しやすい状態にする請求項に記載のごみ焼却炉の燃焼制御装置。
  3. 前記燃焼状態制御手段は、前記焼却炉へ供給される乾燥空気の温度を上げることにより、ごみを完全燃焼しやすい状態にする請求項に記載のごみ焼却炉の燃焼制御装置。
  4. 前記燃焼状態制御手段は、前記給じん手段と前記焼却炉の乾燥ストーカの速度比を調整することにより、ごみを完全燃焼しやすい状態にする請求項に記載の燃焼制御装置。
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