JP2023098183A - 電気化学セル - Google Patents
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Abstract
【課題】性能を向上することができる電気化学セルを提供する。【解決手段】電気化学セルは、電解質層、第1電極層および第2電極層を備える。電解質層は、イオン伝導性を有する。第1電極層および第2電極層は、電解質層を挟んで対向する。第1電極層は、第1触媒層と第2触媒層とを含む触媒層を有する。第1触媒層は、電解質層側に位置し、酸素発生触媒を含む。第2触媒層は、第1触媒層を挟んで電解質層の反対側に位置し、担体に酸素還元触媒を担持させた担持触媒を含む。【選択図】図1
Description
開示の実施形態は、電気化学セルに関する。
従来、単一の電気化学セルで水電解と発電とを可逆的に切り替える技術が提案されている。
しかしながら、従来技術では、例えば、水電解および発電に寄与する触媒など、電気化学セルの性能向上に改善の余地があった。
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、性能を向上することができる電気化学セルを提供することを目的とする。
実施形態の一態様に係る電気化学セルは、電解質層、第1電極層および第2電極層を備える。電解質層は、イオン伝導性を有する。第1電極層および第2電極層は、電解質層を挟んで対向する。前記第1電極層は、第1触媒層と第2触媒層とを含む触媒層を有する。第1触媒層は、前記電解質層側に位置し、酸素発生触媒を含む。第2触媒層は、第1触媒層を挟んで前記電解質層の反対側に位置し、担体に酸素還元触媒を担持させた担持触媒を含む。
実施形態の一態様によれば、性能を向上することができる電気化学セルが提供可能となる。
以下、添付図面を参照して、本願の開示する電気化学セルの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
<実施形態>
図1は、実施形態に係る電気化学セルの概略を示す図である。以下、電気化学セルを単にセルという場合がある。図1に示すように、セル1は、第1電極層2、電解質層3および第2電極層4を備える。第1電極層2および第2電極層4は、電解質層3を挟んで対向している。
図1は、実施形態に係る電気化学セルの概略を示す図である。以下、電気化学セルを単にセルという場合がある。図1に示すように、セル1は、第1電極層2、電解質層3および第2電極層4を備える。第1電極層2および第2電極層4は、電解質層3を挟んで対向している。
第1電極層2は、ガス拡散層5と触媒層6とを有する。ガス拡散層5は、撥水性およびガス透過性を有する。ガス拡散層5は、例えば、電子伝導性を有するカーボンペーパーの表面に撥水性材料を塗布し、撥水性を付与したものであってよい。かかる撥水性材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などを用いることができる。ガス拡散層5には、外部から気体が供給または触媒層6から気体が排出される。また、電解質層3は水などの液体を含み、第1電極層2および第2電極層4のいずれも介さずに、外部と液体のやり取りを行うことができる。
触媒層6は、発電時には酸素還元触媒が作用して、ガス拡散層5を介して供給された酸素を還元し、水を生成する。また、触媒層6は、水電解時には酸素還元触媒とは異なる酸素発生触媒が作用して、電解質層3を介して供給された水を分解し、酸素を発生させる。
触媒層6は、ガス拡散層5との間で酸素ガスのやり取りを行う。例えば、触媒層6は、水電解時に生成した酸素をガス拡散層5に排出する。また、ガス拡散層5は、発電時に不足する酸素を触媒層6に供給する。
触媒層6は、電解質層3との間で水のやり取りを行う。例えば、触媒層6は、発電時に生成した水の一部を電解質層3に排出する。また、電解質層3は、水電解時に不足する水を触媒層6に供給する。
従来のセルでは、例えば、酸素還元触媒および酸素発生触媒のうち、一方に他方を担持させた担持触媒や、酸素還元触媒と酸素発生触媒とを混ぜ合わせた混合触媒を有する触媒層が用いられてきた。しかしながら、担持触媒は、発電/水電解の性能に応じて最適化した構造物を新たに作製する必要がある。一方、混合触媒は、物質輸送抵抗が増大し、性能が向上しにくい懸念がある。
そこで、実施形態に係るセル1が有する触媒層6は、図1に示すように第1触媒層6aと第2触媒層6bとが積層された構造を有している。
第1触媒層6aは、電解質層3側に位置している。第1触媒層6aは、酸素発生触媒を有する。酸素発生触媒は、例えば、セル1の水電解時には電解質層3から触媒層6に供給された水を用いて酸素を発生させる。酸素発生触媒としては、例えば、イリジウム酸化物(IrOX)を使用することができる。酸素発生触媒は、例えば、触媒粒子として単体で用いられてもよく、担体に担持された担持触媒であってもよい。担体は、例えば、炭素材料であってもよく、SnO2その他の導電性酸化物であってもよい。
第2触媒層6bは、第1触媒層6aよりも電解質層3から離れたガス拡散層5側に位置している。第2触媒層6bは、酸素還元触媒を有する。酸素還元触媒は、例えば、セル1の発電時にはガス拡散層5から触媒層6に供給された酸素を用いて水を発生させる。酸素還元触媒としては、例えば、白金(Pt)を使用することができる。酸素発生触媒は、例えば、担体に担持された担持触媒であってもよい。担体は、例えば、炭素材料であってもよく、SnO2その他の導電性酸化物であってもよい。酸素発生触媒は、例えば、10体積%以上60体積%以下の割合でPtを担持させた担持触媒を有してもよい。
このように、触媒反応に供せられる成分の供給元に近い位置に酸素発生触媒および酸素還元触媒が配置されるよう第1触媒層6aおよび第2触媒層6bを積層させた触媒層6を用いることにより、例えば、混合触媒を利用した場合と比較して物質輸送抵抗が低減する。したがって、実施形態に係るセル1によれば、性能が向上する。特に、気体の物質輸送抵抗は、液体の物質輸送抵抗と比べて大きい。したがって、触媒層6が、気体が供給されるガス拡散層5側に酸素還元触媒含む第2触媒層6bを有し、液体が供給される電解質層3側に酸素発生触媒を有することで、混合触媒を利用した場合と比較して、特に水電解性能および発電性能の両方が向上する。なお、ガス拡散層5が触媒層6に水を供給してもよい。
第1触媒層6aは、第2触媒層6bよりも触媒粒子の平均粒径が大きくてもよい。第1触媒層6aは、例えば、酸素発生触媒を有する触媒粒子の平均粒径を50nm~500nmとすることができる。また、第2触媒層6bは、例えば、酸素還元触媒を有する触媒粒子の平均粒径を30nm~50nmとすることができる。これにより、第1触媒層6aでは、導電率を高めることができる。また、第2触媒層6bでは、酸素ガスの拡散性を高めることができる。なお、第1触媒層6aおよび/または第2触媒層6bが担持触媒を有する場合、触媒を担持する担体を含めて触媒粒子とみなす。また、粒径とは断面観察した触媒粒子の円相当径である。
また、第1触媒層6aの平均厚みは、第2触媒層6bの平均厚みよりも小さくてもよい。第1触媒層6aは、第2触媒層6bと比較して導電率が小さい場合がある。かかる場合、触媒層6全体としての電気抵抗を抑えることができることから、セル1の性能が向上する。
また、第1触媒層6aは、第2触媒層6bよりも空隙率が大きくてもよい。第1触媒層6aは、例えば、空隙率を20%~30%とすることができる。また、第2触媒層6bは、例えば、空隙率を35%~50%とすることができる。これにより、第1触媒層6aでは、導電率を高めることができる。また、第2触媒層6bでは、酸素ガスの拡散性を高めることができる。
また、触媒層6は、ガス拡散性を有する撥水性の基材を有してもよい。触媒層6は、例えば、ガス拡散層5の材料に酸素発生触媒および酸素還元触媒を直接保持させたものであってもよい。これにより、物質輸送抵抗を低減できることから、セル1の性能が向上する。
電解質層3は、イオン伝導性を有する電解質を含有する。イオン伝導性を有する電解質としては、例えば、固体高分子電解質、高分子ゲル電解質、無機固体電解質などを使用することができる。固体高分子電解質としては、例えば、プロトン(H+)伝導性を有する電解質、すなわち酸性の電解質であるナフィオン(登録商標)などのパーフルオロスルホン酸系の電解質を含有してもよい。また、電解質層3は水を含有してもよい。なお、電解質層3は緻密質であり、水素(H2)や酸素(O2)などの気体を基本的に通さない。電解質層3は、さらにバインダを含有してもよい。
第2電極層4は、ガス拡散層8と触媒層7とを有する。ガス拡散層8は、撥水性およびガス透過性を有する。ガス拡散層8は、例えば、電子伝導性を有するカーボンペーパーの表面に撥水性材料を塗布し、撥水性を付与したものであってよい。かかる撥水性材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などを用いることができる。ガス拡散層8の材料は、ガス拡散層5と同じであってもよく、異なってもよい。
触媒層7は、触媒粒子を有する。触媒層7は、例えば、発電時にはガス拡散層8を介して供給された水素を用いて水を生成する。また、触媒層7は、例えば、水電解時には電解質層3を介して供給された水を分解し、水素を発生させる。かかる触媒粒子としては、例えば、白金(Pt)を使用することができる。触媒粒子は、例えば、単体で用いられてもよく、担体に担持された担持触媒であってもよい。担体は、例えば、炭素材料であってもよく、SnO2その他の導電性酸化物であってもよい。
また、触媒層7は、ガス拡散性を有する撥水性の基材を有してもよい。例えば、触媒層7は、例えば、ガス拡散層8の材料に触媒粒子または担持触媒を直接保持させたものであってもよい。これにより、物質輸送抵抗を低減できることから、セル1の性能が向上する。
図1に示すセル1は、発電・水素発生装置として可逆的に使用することができる。図2は、実施形態に係る電気化学セルを備える発電・水素発生装置の概略を示す図である。
図2に示すように、発電・水素発生装置100は、セル1と、水槽9と、酸素ガス流路10と、水素ガス流路11と、リード線12a,12bとを備える。
水槽9は、水で満たされている。電解質層3の内部は、水槽9に面することにより湿潤している。水槽9の内部は、加圧されてもよい。水槽9の内部を適度に加圧することにより、例えば、セル1における電極反応が促進される。また、水槽9は、水を水槽9に供給、または水槽9から排出する流路と接続されていてもよい。
また、水槽9は、電解液で満たされてもよい。電解液としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)等の塩基を含む水溶液、塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)等の酸を含む水溶液を使用することができる。電解液は、電解質層3が有する電解質の性質(プロトン伝導性または水酸化物イオン伝導性)に応じ、適宜選択できる。
水電解モードでは、リード線12a,12bを介して第1電極層2および第2電極層4に電圧を印加する。その結果、触媒層7で発生した水素ガスは、水素ガス流路11から外部へ排出される。
一方、発電モードでは、外部から水素ガス流路11を介して供給される水素ガスを利用して発電する。第1触媒層6aで生成された余剰な水は、電解質層3を介して水槽9に排出され、触媒層6および電解質層3の内部は適度な湿潤状態を維持することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、図2に示す発電・水素発生装置100は、セル1に代えて、複数のセル1を有するセルスタックを備えてもよい。また、第1電極層2および第2電極層4は、リード線12a,12bと電気的に接続するための集電体をそれぞれ有していてもよい。
以上のように、実施形態に係るセル1は、電解質層3、第1電極層2および第2電極層4を備える。電解質層3は、イオン伝導性を有する。第1電極層2および第2電極層4は、電解質層3を挟んで対向する。第1電極層2は、第1触媒層6aと第2触媒層6bとを含む触媒層6を有する。第1触媒層6aは、電解質層3側に位置し、酸素発生触媒を含む。第2触媒層6bは、第1触媒層6aを挟んで電解質層3の反対側に位置し、担体に酸素還元触媒を担持させた担持触媒を含む。これにより、セル1の性能を向上することができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 セル
2 第1電極層
3 電解質層
4 第2電極層
5 ガス拡散層
6 触媒層
9 水槽
10 酸素ガス流路
11 水素ガス流路
100 発電・水素発生装置
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Claims (7)
- イオン伝導性を有する電解質層と、
該電解質層を挟んで対向する第1電極層および第2電極層と
を備え、
前記第1電極層は、前記電解質層側に位置し、酸素発生触媒を含む第1触媒層と、該第1触媒層を挟んで前記電解質層の反対側に位置し、担体に酸素還元触媒を担持させた担持触媒を含む第2触媒層とを含む触媒層を有する
電気化学セル。 - 前記第1触媒層は液体に接し、前記第2触媒層は気体に接する
請求項1に記載の電気化学セル。 - 前記担持触媒は、導電性を有する前記担体に対し、10体積%以上60体積%以下の割合で前記酸素還元触媒を担持させている
請求項1または2に記載の電気化学セル。 - 前記第1触媒層は、前記第2触媒層よりも触媒粒子の平均粒径が大きい
請求項1~3のいずれか1つに記載の電気化学セル。 - 前記第1触媒層の平均厚みは、前記第2触媒層の平均厚みよりも小さい
請求項1~4のいずれか1つに記載の電気化学セル。 - 前記第1触媒層は、前記第2触媒層よりも空隙率が大きい
請求項1~5のいずれか1つに記載の電気化学セル。 - 前記触媒層は、ガス拡散性を有する撥水性の基材を有する
請求項1~6のいずれか1つに記載の電気化学セル。
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