JP2023097208A - 樹脂組成物、ならびにそれを用いた塗膜形成剤、塗膜および積層体 - Google Patents

樹脂組成物、ならびにそれを用いた塗膜形成剤、塗膜および積層体 Download PDF

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裕典 三枝
Hironori Saegusa
啓之 小西
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Abstract

【課題】 低温熱処理条件で高湿度下での酸素バリア性に優れる樹脂組成物、ならびにそれを用いた塗膜形成剤、塗膜および積層体を提供すること.【解決手段】 本発明の樹脂組成物は、無機アルコキシドの加水分解生成物(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)とを含有する。ここで、ポリビニルアルコール系樹脂(B)は65℃~80℃のガラス転移温度を有し、かつ分子構造中に1級水酸基を有する構成単位を含む。【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂組成物、ならびにそれを用いた塗膜形成剤、塗膜および積層体に関する。
ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある)は、透明性、耐油性、耐薬品性、および酸素等のガスバリア性に優れていることから、例えば、包装材料として広く用いられている。
PVAの酸素ガスバリア性はPVAの結晶性と大きく関係している。例えば、完全けん化PVAは乾燥条件下では優れた酸素ガスバリア性を示す一方、相対湿度が70%以上の高湿度条件下では激しく吸湿してバリア性が低下することが知られている
特許文献1はエチレン単位が導入されたPVAを記載している。当該PVAはエチレン単位導入により高湿条件下でのバリア性低下の原因である結晶性を低下しつつ、エチレン単位の疎水性の効果により高湿バリア性は改善されている。しかし、このPVAでは、十分な高湿バリア性は担保されていない。
特許文献2はPVA系樹脂とシラン化合物をゾル-ゲル法により複合化した組成物を記載している。当該組成物はPVA系樹脂とシラン化合物との複合化により相互貫入網目構造を形成させることにより、良好な高湿バリア性を提供できる。しかし、当該高湿バリア性を得るためには高温での熱処理が必要であった。
特開2000-309607号公報 特開平4-345841号公報
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、低温熱処理条件で高湿度下での酸素バリア性に優れる樹脂組成物、ならびにそれを用いた塗膜形成剤、塗膜および積層体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の発明を包含する。
[1]無機アルコキシドの加水分解生成物(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)とを含有する樹脂組成物であって、
該ポリビニルアルコール系樹脂(B)が65℃~80℃のガラス転移温度を有し、かつ分子構造中に1級水酸基を有する構成単位を含む、樹脂組成物;
[2]前記無機アルコキシドがシランアルコキシドである、[1]に記載の樹脂組成物;
[3]前記ポリビニルアルコール系樹脂(B)に対する前記無機アルコキシドの加水分解生成物に含まれる無機種の含有量が0.002モル/g~0.15モル/gである、[1]または[2]に記載の樹脂組成物;
[4]前記ポリビニルアルコール系樹脂(B)が、以下の式(I)で表される構造単位を主鎖に含む高分子から構成されている、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物、
Figure 2023097208000001
(式(I)中、
およびRはそれぞれ独立して、水素原子、あるいは炭素数1~3の直鎖アルキル基であり、
は、水素原子、または少なくとも1つの水素原子がRで置換されていてもよい-(CH-R(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、水酸基、ホルミルオキシ基または炭素数2~10を有するアシルオキシ基であり、mは1~5の整数である)であり、
は、-(CH-R(ここで、Rは水酸基、ホルミルオキシ基または炭素数2~10を有するアシルオキシ基であり、nは1~5の整数である)である);
[5]前記式(I)が以下の式(I’)で表される、[4]に記載の樹脂組成物、
Figure 2023097208000002
(式(I’)中、R、R、mおよびnは該式(I)に定義した通りである);
[6][1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物を含有する、塗膜形成剤;
[7]塗膜形成剤の製造方法であって、
(a)無機アルコキシドを酸および水の存在下で加水分解して加水分解生成物(A)を得る工程、
(b)該加水分解生成物(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)とを混合して樹脂組成物を得る工程、
を含み、
該ポリビニルアルコール系樹脂(B)が65℃~80℃のガラス転移温度を有し、かつ分子構造中に1級水酸基を有する構成単位を含む、方法;
[8]前記無機アルコキシドがシランアルコキシドである、[7]に記載の方法;
[9]前記ポリビニルアルコール系樹脂(B)に対する前記無機アルコキシドの加水分解生成物に含まれる無機種の含有量が0.002モル/g~0.15モル/gである、[7]または[8]に記載の方法;
[10]前記ポリビニルアルコール系樹脂(B)が、以下の式(I)で表される構造単位を主鎖に含む高分子から構成されている、[7]~[9]のいずれかに記載の方法、
Figure 2023097208000003
(式(I)中、
およびRはそれぞれ独立して、水素原子、あるいは炭素数1~3の直鎖アルキル基であり、
は、水素原子、または少なくとも1つの水素原子がRで置換されていてもよい-(CH-R(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、水酸基、ホルミルオキシ基または炭素数2~10を有するアシルオキシ基であり、mは1~5の整数である)であり、
は、-(CH-R(ここで、Rは水酸基、ホルミルオキシ基または炭素数2~10を有するアシルオキシ基であり、nは1~5の整数である)である);
[11]前記式(I)が以下の式(I’)で表される、[10]に記載の方法、
Figure 2023097208000004
(式(I’)中、R、R、mおよびnは該式(I)に定義した通りである);
[12][1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物を含有する、塗膜;
[13]基材と[12]に記載の塗膜とを含む、積層体;
[14]前記基材が延伸ポリプロピレンフィルムである、[13]に記載の積層体;
[15]食品包装材である、[13]または[14]に記載の積層体;
[16]積層体の製造方法であって、
基材上に、[6]に記載の塗膜形成剤を付与して予備積層体を得る工程、
該予備積層体を90℃~140℃下で乾燥する工程、
を含む、方法。
本発明によれば、比較的低い温度下で成形可能でありかつ優れた酸素バリア性を有する塗膜を提供することができる。このような比較的低い温度での成形性および優れた酸素バリア性の両立により、本発明の樹脂組成物は、食品用包装フィルムや電子部品などの様々な技術分野の製品に使用される塗膜として有用である。
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は、無機アルコキシドの加水分解物(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)とを含有する。
(無機アルコキシドの加水分解生成物(A))
無機アルコキシドの加水分解生成物(A)は、無機アルコキシドを構成するアルコキシ基の加水分解により、水酸基に置換されたものである。当該生成物(A)は、分子間で脱水縮合反応する性質を有する。
無機アルコキシドとしては、例えば当該分野において周知のゾル-ゲル法に用いられるものが挙げられる。無機アルコキシドを構成する無機種はケイ素、ジルコニウムなどの4価元素;マグネシウム、カルシウムなどの2価金属;チタン、アルミニウムなどの3価金属;が挙げられる。本発明における無機アルコキシドはポリビニルアルコール系樹脂(B)と複合化した際に高いバリア性を得られる等の理由から、無機種として4価元素を使用したものであることが好ましく、さらに反応制御の観点からシランアルコキシド(すなわちアルコキシシラン)であることがさらに好ましい。
なお、本発明において、後述のポリビニルアルコール系樹脂(B)に対する上記無機アルコキシドの加水分解生成物(A)に含まれる無機種の含有量が好ましくは0.002モル/g~0.15モル/g、より好ましくは0.004モル/g~0.06モル/g、さらにより好ましくは0.007モル/g~0.04モル/gである。当該加水分解生成物(A)に含まれる無機種の含有量が0.002モル/gを下回ると、当該樹脂(B)を含む樹脂組成物から得られた塗膜が十分なガスバリア性を有さないことがある。当該加水分解生成物(A)に含まれる無機種の含有量が0.15モル/gを上回ると、当該樹脂(B)を含む樹脂組成物から得られた塗膜が脆くなり、塗膜の取り扱いが困難になることがある。
無機アルコキシドを構成するアルコキシ基は特に限定されないが、好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~6を有するアルコキシ基である。このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基、フェノキシ基等が挙げられる。好ましくは、メトキシ基またはエトキシ基である。
無機アルコキシドがシランアルコキシドである場合、当該シランアルコキシドを構成するアルコキシ基の数は特に限定されず、1つのアルコキシ基を有するもの、2つのアルコキシ基を有するもの、3つのアルコキシ基を有するもの、または4つのアルコキシ基を有するもの、あるいはそれらの組み合わせのいずれであってもよい。
1つのアルコキシ基を有するシランアルコキシドとしては、例えば、ビニルジメチルエトキシシランが挙げられる。
2つのアルコキシ基を有するシランアルコキシドとしては、例えば、ジメチルジメトキシシランなどのジアルキルジアルコキシシラン;ジアリールジアルコキシシラン;3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-[N-(2-アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ基含有ジアルコキシシラン;3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのメルカプト基含有ジアルコキシシラン;3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどの(メタ)アクリロイル基含有ジアルコキシシラン;ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルメチルジエトキシシランなどのアルケニル基含有ジアルコキシシラン;3-グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルエチルジエトキシシランなどのエポキシ基含有ジアルコキシシラン類;などが挙げられる。
3つのアルコキシ基を有するシランアルコキシドとしては、例えば、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン類;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどのアリールトリアルコキシシラン類;2-アミノエチルトリメトキシシラン、2-[N-(2-アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシランなどのアミノ基含有トリアルコキシシラン;3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有トリアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシランなどのアルケニル基含有トリアルコキシシラン;2-(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリロイル基含有トリアルコキシシラン;(グリシジルオキシアルキル)トリアルコキシシラン(例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどのエポキシ基含有トリアルコキシシラン;γ-イソシアノプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアノプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基を有するトリアルコキシシラン;などが挙げられる。
4つのアルコキシ基を有するシランアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン;などが挙げられる。
なお、上記シランアルコキシドが、1つ~3つのアルコキシ基を有する場合、ケイ素原子には、例えば炭素数1~3のアルキル基(例えばメチル基)、炭素数6~12のアリール基(例えばフェニル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)等が結合する。
本発明において、シランアルコキシドは、ポリビニルアルコール系樹脂(B)と複合化した際、高いバリア性を得られる等の理由から、2つ以上のアルコキシ基を有するものが好ましく、4つのアルコキシ基であることがより好ましい。後述のように、本発明の樹脂組成物が特に優れた塗膜を形成できるとの理由から、シランアルコキシドはテトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランであることが最も好ましい。
無機アルコキシドがシランアルコキシド以外のものである場合、当該無機アルコキシドとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネートなどのトリアルコキシアルミネート類などのアルミニウムアルコキシド;ジエチルジエトキシチタネートなどのジアルコキシチタネート、トリメトキシチタネートなどのトリアルコキシチタネート、エチルトリメトキシチタネートなどのアルキルトリアルコキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネートなどのアリールトリアルコキシチタネートなどのトリアルコキシチタネート類、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネートなどのテトラアルコキシチタネート類のチタンアルコキシド;などが挙げられる。
無機アルコキシドを加水分解する方法は特に限定されないが、例えば、無機アルコキシドを所定の溶媒に溶解することにより行われる。
無機アルコキシドの加水分解に使用される溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの炭素数1~4の低級アルコール類、および水、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。溶媒に溶解する無機アルコキシドの濃度は特に限定されず、適切な量が当業者によって選択され得る。
無機アルコキシドの加水分解には、上記溶媒以外に触媒が添加されてもよい。使用され得る触媒の量は特に限定されず、当業者によって適切な量が選択され得る。
このような触媒としては、例えば有機または無機の酸触媒、および有機または無機の塩基触媒が挙げられる。
無機酸触媒としては、例えば、塩酸、フッ酸等、硫酸、硝酸などが挙げられる。有機酸触媒としては、例えば、酢酸、蟻酸、クエン酸、シュウ酸などが挙げられる。有機塩基触媒としては、例えばN,N-ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミンなどのアミン触媒が挙げられる。無機塩基触媒としては、例えば、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。緻密な構造を有する生成物を得ることができるという点で無機酸触媒が好ましく、硝酸および塩酸がさらに好ましい。
無機アルコキシドを上記溶媒および触媒の存在下で加水分解する場合の温度および反応時間は特に限定されない。適切な温度および反応時間が当業者によって適宜選択され得る。
本発明の樹脂組成物を構成する無機アルコキシドの加水分解生成物(A)は、例えば上記のようにして得られた化合物である。
(ポリビニルアルコール系樹脂(B))
ポリビニルアルコール系樹脂(B)は65℃~80℃、好ましくは70℃~79℃、より好ましくは75℃~78℃のガラス転移温度を有する。ポリビニルアルコール系樹脂(B)のガラス転移温度が65℃を下回ると、ポリビニルアルコール系樹脂(B)のバリア性が悪く、複合化した際の酸素バリア性が低下することがある。ポリビニルアルコール系樹脂(B)のガラス転移温度が80℃を上回ると、無機アルコキシドの加水分解生成物(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)の反応が抑制され、複合化した際の酸素バリア性が低下することがある。
上記ポリビニルアルコール系樹脂(B)は分子構造中にビニルアルコール構成単位と1級水酸基を有する構成単位を含む。1級水酸基を有する構成単位としては特に限定されないが、例えば以下の式(I)で表される構造単位を主鎖に含む高分子から構成されている:
Figure 2023097208000005
(式(I)中、
およびRはそれぞれ独立して、水素原子、あるいは炭素数1~3の直鎖アルキル基であり、
は、水素原子、または少なくとも1つの水素原子がRで置換されていてもよい-(CH-R(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、水酸基、ホルミルオキシ基または炭素数2~10を有するアシルオキシ基であり、mは1~5の整数である)であり、
は、-(CH-R(ここで、Rは、水酸基、ホルミルオキシ基または炭素数2~10を有するアシルオキシ基であり、nは1~5の整数である)である)。
ここで、RおよびRを構成し得る「炭素数2~10を有するアシルオキシ基」は、それぞれ独立して、炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい、2~10、好ましくは2~3の炭素数を有する直鎖、分岐鎖および環状のアシル基を包含する。「炭素数2~10を有するアシルオキシ基」の具体的な例としては、エタノイルオキシ基(アセチルオキシ基)、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、イソブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、イソペンタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基。オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、デカノイルオキシ基、ラクトイルオキシ基、グリセロイルオキシ基、トロポイルオキシ基、シクロヘキサンカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、サリチロイルオキシ基、アニソイルオキシ基、バニロイルオキシ基、ベラトロイルオキシ基、およびガロイルオキシ基が挙げられる。
1つの実施形態では、上記式(I)で表される構成単位は以下の式(I’)で表されるものであってもよい:
Figure 2023097208000006
(式(I’)中、R、R、mおよびnは上記式(I)に定義した通りである)。
ポリビニルアルコール系樹脂(B)における上記式(I)の構成単位の含有率は、好ましくは0.1モル%~30モル%、より好ましくは1モル%~20モル%、さらにより好ましくは5モル%~15モル%である。式(I)の構成単位の含有率が0.1モル%を下回ると、該樹脂(B)を含む樹脂組成物から得られた塗膜が十分なガスバリア性を有していないことがある。式(I)の構成単位の含有率が30モル%を上回ると、該樹脂(B)を含む樹脂組成物から塗膜を得る際の乾燥工程において塗膜が着色する場合がある。
(他の構成単位)
上記ポリビニルアルコール系樹脂(B)はまた、本発明の効果が阻害されない範囲内で、分子構造中に上記ビニルアルコール構成単位および1級水酸基を有する構成単位以外に他の構成単位を含んでいてもよい。他の構成単位の例としてはオレフィン構成単位および他のエチレン性不飽和単量体単位が挙げられる。
(オレフィン構成単位)
本発明において、オレフィン構成単位は、α-オレフィン、β-オレフィンなどの任意のオレフィンの重合によって構成され得る単位であり、好ましくは2~30、より好ましくは2~10、さらにより好ましくは2~5の炭素数で構成される。
オレフィン構成単位は、好ましくはエチレン性不飽和単量体に由来する構成単位である。エチレン性不飽和単量体に由来するオレフィン構成単位としては、例えば、エチレン、プロピレン単位、1-ブテン単位、cis-2-ブテン単位、trans-2-ブテン単位、2-メチルプロピレン単位、1-ペンテン単位、cis-2-ペンテン単位、trans-2-ペンテン単位、2-メチル-1-ブテン単位、2-メチル-2-ブテン単位、および3-メチル1-ブテン単位、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂(B)における上記オレフィン構成単位の含有率は、好ましくは50モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。オレフィン構成単位の含有率が50モル%を上回ると、溶媒への溶解性が著しく低下する場合がある。
(他のエチレン性不飽和単量体単位)
他のエチレン性不飽和単量体単位は、上記以外のエチレン性不飽和単量体を由来とする構成単位である。
他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸およびその塩;アクリル酸エステル基を有する不飽和単量体;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸エステル基を有する不飽和単量体;アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩(例えば4級塩);メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩(例えば4級塩);メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、i-ブチルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、2,3-ジアセトキシ-1-ビニルオキシプロパンなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、2,3-ジアセトキシ-1-アリルオキシプロパン、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩またはエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン化合物;酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂(B)における上記他のエチレン性不飽和単量体に由来する構成単位の含有率は、好ましくは5モル%以下、より好ましくは1モル%以下、である。他のエチレン性不飽和単量体に由来する構成単位の含有率が5モル%を上回ると、溶媒への溶解性が著しく低下する場合がある。
(その他の特性)
ポリビニルアルコール系樹脂(B)の数平均重合度(Pn)は、好ましくは100~5000、より好ましくは200~4000、さらにより好ましくは300~3000である。ポリビニルアルコール系樹脂(B)のPnが100を下回ると、例えば得られる樹脂組成物を塗膜の形態に成形した際に十分な強度が得られないことがある。ポリビニルアルコール系樹脂(B)のPnが5000を上回ると、ポリビニルアルコール系樹脂自体の工業的生産が困難になる場合や塗膜への加工性が低下することがある。なお、Pnは、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により重合体の数平均分子量(Mn)を測定し、以下の式(S)により算出される。
Figure 2023097208000007
ポリビニルアルコール系樹脂(B)のけん化度は特に限定されないが、50~99.99モル%であることが好ましい。けん化度が50モル%未満の場合には当該樹脂(B)を含む樹脂組成物から得られた塗膜が十分なガスバリア性を有していないことがある。けん化度は70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。一方、けん化度が99.99モル%を越えるものは工業的に得ることが困難である場合がある。けん化度は99.95モル%以下がより好ましく、99.90モル%以下がさらに好ましい。本発明においてけん化度は、以下の式(S)に示すDSで定義され、具体的には、H-NMRの測定結果から算出される:
Figure 2023097208000008
(ここで、式(S2)中、Dは、ポリビニルアルコール系樹脂(B)中の全水酸基のモル数であり、そしてEはポリビニルアルコール系樹脂(B)中の全水酸基のモル数と全エステル基のモル数の合計である)。
(ポリビニルアルコール系樹脂(B)の製造方法)
ポリビニルアルコール系樹脂(B)は、必ずしも限定されないが、例えばビニルエステル系単量体と、他の単量体とを共重合することにより製造できる。以下では、ポリビニルアルコール系樹脂(B)の製造方法として、1級水酸基を有する単量体と、オレフィン系単量体と、ビニルエステル系単量体とを共重合する場合について説明する。
(1級水酸基を有する単量体)
ポリビニルアルコール系樹脂(B)の製造方法において、1級水酸基を構成する単量体は特に限定されないが、例としては、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパン(DAMP)、1,3-ジプロピオニルオキシ-2-メチレンプロパン、1,3-ジブチロニルオキシ-2-メチレンプロパンなどが挙げられる。単量体自体の製造が容易であるとの理由から、DAMPが好ましい。
(オレフィン系単量体)
ポリビニルアルコール系樹脂(B)の製造方法において、オレフィン単量体は特に限定されないが、例えば、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン(すなわち、シス-2-ブテンおよびトランス-2-ブテン)、イソブテン、1-ペンテン、2-ペンテン(すなわち、シス-2-ペンテンおよびトランス-2-ペンテン)、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、ならびに3-メチル-1-ブテン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。汎用性に富みかつ入手が容易であるとの理由からエチレンまたはプロピレンが好ましい。
(ビニルエステル系単量体)
本発明の製造方法において、ビニルエステル系単量体としては特に限定されないが、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、イソ吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、エナント酸ビニル、カプリル酸ビニル、ペラルゴン酸ビニル、カプリン酸ビニル、乳酸ビニル、トロパ酸ビニル、シクロヘキサン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、アニス酸ビニル、バニリン酸、没食子酸ビニル、およびバーサチック酸ビニル、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。汎用性に富みかつ入手が容易であるとの理由から酢酸ビニルが好ましい。
(共重合)
1級水酸基を有する単量体と、オレフィン系単量体と、ビニルエステル系単量体との共重合は、回分重合、半回分重合、連続重合、または半連続重合のいずれの重合方式を用いて行われてもよい。また、重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が採用され得る。例えば、無溶媒またはアルコールなどの溶媒中で重合を進行させる塊状重合法または溶液重合法が、採用されてもよい。高重合度を有するポリビニルアルコール系樹脂(B)を得る場合には、乳化重合法の採用が選択肢の一つである。
溶液重合法において用いられる溶媒は特に限定されないが、アルコールが好適に用いられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコールがより好適に用いられる。重合反応液における溶媒の使用量は、目的とするポリビニルアルコール系樹脂(B)の粘度平均重合度や、溶媒の連鎖移動を考慮して選択され得、反応液に含まれる溶媒と全単量体との質量比(溶媒/全単量体)は、好ましくは0.01~10の範囲、より好ましくは0.05~3の範囲から選択される。
1級水酸基を有する単量体と、オレフィン系単量体と、ビニルエステル系単量体との共重合には例えば公知の重合開始剤が使用され得る。使用する重合開始剤の種類は、上記重合方法に応じて適宜選択され得る。このような重合開始剤の例としては、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、およびレドックス系開始剤が挙げられる。
アゾ系開始剤の例としては、2,2-アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。
過酸化物系開始剤の例としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート系化合物;t-ブチルパーオキシネオデカネート、α-クミルパーオキシネオデカネート、過酸化アセチルなどのパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4-トリメチルペンチル-2-パーオキシフェノキシアセテートなどが挙げられる。過酸化物系開始剤が使用される場合、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などを上記開始剤と組み合わせて使用してもよい。
レドックス系開始剤の例としては、上記の過酸化物系開始剤と亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L-アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤とを組み合わせたものが挙げられる。
重合開始剤の使用量は、併用する重合触媒の種類によって変動するために必ずしも限定されないが、例えば重合速度に応じて当業者によって任意の量が調整され得る。例えば、重合開始剤の使用量は、上記ビニルエステル系単量体に対して好ましくは0.01~0.2モル%、より好ましくは0.02~0.15モル%である。上記ビニルエステル系単量体に対して重合開始剤がこのような範囲内の量で使用されることにより、上記1級水酸基を有する単量体と、オレフィン系単量体と、ビニルエステル系単量体との共重合は一層効率良く行われ得る。なお、重合温度は特に限定されないが、例えば、室温~150℃程度が適切であり、好ましくは40℃以上かつ使用する溶媒の沸点以下の温度が選択され得る。
ポリビニルアルコール系樹脂(B)の製造方法では、上記共重合は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、連鎖移動剤の存在下で行われてもよい。
連鎖移動剤の例としては、アセトアルデヒド、プロピンアルデヒドなどのアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;2-ヒドロキシエタンチオールなどのメルカプタン類;ホスフィン酸ナトリウム一水和物などのホスフィン酸塩類などが挙げられる。重合反応液への連鎖移動剤の添加量は、連鎖移動剤の連鎖移動係数および目的とするビニルアルコール系共重合体の重合度に応じて決定され得るが、上記ビニルエステル系単量体100質量部に対して0.1~10質量部が好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂(B)の製造方法では、上記により得られた共重合体をけん化してもよい。このとき、共重合体中のビニルエステル系単量体に由来するビニルエステル単位はビニルアルコール単位に変換される。また、上記1級水酸基を有する単量体に由来するエステル結合も同時に加水分解してもよい。このように、一度のけん化反応によって種類の異なるエステル基を同時に加水分解してもよい。
こうしたけん化方法としては、公知の方法が採用され得る。けん化は、通常、アルコールまたは含水アルコールの溶液中で行われる。このとき好適に使用されるアルコールは、例えばメタノール、エタノールなどの低級アルコールであり、好ましくはメタノールである。けん化に使用されるアルコールまたは含水アルコールは、その質量の40質量%以下であれば、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼンなどの他の溶媒を含有していてもよい。けん化に使用される触媒としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物や、ナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒、鉱酸などの酸触媒が挙げられる。けん化を行う際、例えば20~120℃の温度に設定される。けん化の進行に従ってゲル状の生成物が析出してくる場合には、生成物を粉砕した後、洗浄および乾燥が行われてもよい。
このようにして、ポリビニルアルコール系樹脂(B)を製造することができる。
(他の成分)
本発明の樹脂組成物は、上記無機アルコキシドの加水分解物(A)およびポリビニルアルコール系樹脂(B)以外の他の重合体および/または他の添加剤を含有していてもよい。
他の成分としては、例えば上記1級水酸基を有する構成単位を含まないポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。他の添加剤の例としては、無機塩、有機塩、架橋剤、溶媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、防黴剤、および防腐剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。他の重合体および他の添加剤の含有量は特に限定されず、適切な量が当業者によって選択され得る。
本発明の樹脂組成物は、上記無機アルコキシドの加水分解物(A)およびポリビニルアルコール系樹脂(B)、ならびにその他の成分(上記他の重合体および/または他の添加剤)を任意の順序で混合することにより製造することができる。
(塗膜形成剤)
上記樹脂組成物では、各成分の混合によって徐々に反応が進み、反応生成物として硬化物が形成される。このような反応は例えば室温(例えば25℃)下で進行可能である。
このような樹脂組成物は後述する積層体におけるガスバリア層を形成するための塗膜形成剤としてそのまま使用することができる。すなわち、本発明の塗膜形成剤は、例えば上記樹脂組成物を含み、適切な手段を用いて所定の基材に付与することにより上記樹脂組成物の硬化物で構成される塗膜を形成することができる。
あるいは、本発明の塗膜形成剤には、必要に応じて別の添加剤を新たに添加してもよい。
別の添加剤の例としては、安定化剤(例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、結晶核剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、可塑剤、耐衝撃改良剤、補強剤、着色剤、分散剤、帯電防止剤、発泡剤、抗菌剤、滑剤(例えば、シリカ系微粉末、アルミナ系微粉末などの無機滑剤、ポリエチレン系微粉末、アクリル系微粉末などの有機滑剤など)、炭化水素系重合体(例えば、スチレン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、クマロンインデン樹脂などのクマロン樹脂、フェノール樹脂、ロジン又はその誘導体やそれらの水添樹脂など)、およびワックス類(例えば、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸又はその塩、高級脂肪酸エステル、鉱物系、植物系などの天然ワックス、ポリエチレンなどの合成ワックスなど)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。これらの別の添加剤の含有量は特に限定されず、当業者によって適切な量が適宜選択され得る。
(塗膜形成キット)
なお、上記塗膜形成剤を得るにあたり、本発明では、上記「無機アルコキシドの加水分解物(A)」を構成する無機アルコキシドと、上記ポリビニルアルコール系樹脂(B)とを別々に小分けしたものを塗膜形成キットとして製造し、保管し、かつ流通させてもよい。
すなわち、本発明の塗膜形成キットは、上記「無機アルコキシドの加水分解物(A)」を構成する無機アルコキシドと、上記ポリビニルアルコール系樹脂(B)とを含み、当該無機アルコキシドおよびポリビニルアルコール系樹脂(B)は別々に小分けされている。本発明の塗膜形成キットはまた、上記その他の成分(他の重合体および/または他の添加剤)や別の添加剤がポリビニルアルコール系樹脂(B)と一緒にされていてもよく、あるいは無機アルコキシドおよびポリビニルアルコール系樹脂(B)とさらに別々に小分けされていてもよい。
使用にあたり、まず無機アルコキシドには、上記溶媒および触媒が必要量添加され、溶液の形態に調製される。次いで、これをポリビニルアルコール系樹脂(B)および上記その他の成分を含む加熱溶解物に添加することにより、上記無機アルコキシドは無機アルコキシドの加水分解生成物(A)として、当該ポリビニルアルコール系樹脂(B)等と混合することができる。その結果、本発明の樹脂組成物、すなわち塗膜形成剤を得ることができる。
(積層体)
本発明の積層体は、上記塗膜形成剤を基材上に付与することにより得ることができる。
基材は例えば熱可塑性樹脂で構成されるものであり、例えばフィルム、シートの形態を有する。基材は、単層で構成されるものであっても、複数の層で構成されるものであってもよい。基材を構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂およびナイロン系樹脂が挙げられる。塗膜形成剤から得られる塗膜との密着性が特に良好である点で、ポリオレフィン系樹脂およびポリエステル系樹脂が好ましい。具体的には、本発明において、基材としては延伸ポリプロピレンフィルムおよびポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(以下、PETフィルムということがある)が好ましい。
基材の厚みは、得られる積層体の用途や、所望される機械的強度、可撓性などを考慮して適宜選択され得る。
本発明において積層体は例えば以下のようにして行われる。
まず基材上に上記塗膜形成剤が付与され、予備積層体が作製される。
基材上の上記塗膜形成剤の付与は、公知の方法を用いて行うことができる。このような方法としては、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ノズルコーティング法、ダイコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、カーテンコーティング法、フローコーティング法、スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法、これらを組み合わせた方法などが挙げられる。
基材上の上記塗膜形成剤の付与は、例えば常温(例えば25℃などの室温)で行われる。
次いで、この予備成形体が90℃~140℃、好ましくは100℃~130℃、より好ましくは110℃~120℃の温度下で乾燥される。
この乾燥には市販の乾燥機が使用されてもよい。乾燥に要する時間は特に限定されず、使用した基材の種類および大きさ、塗膜形成剤が付与された量または厚み等によって当業者に適切な時間が選択され得る。
これにより、基材上に硬化物である塗膜が形成された積層体を製造できる。
本発明の積層体は、形成された塗膜が優れた酸素バリア性を有し、例えば食品用包装フィルムや電子部品などの様々な技術分野の製品に使用され得る。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例中の「%」および「部」は特に断りのない限り、それぞれ「質量%」および「質量部」を表す。
(各単量体単位の含有率の算出)
実施例1~8、10、比較例1~3で得られたポリビニルアルコール系重合体(ポリビニルアルコール系樹脂(B))のH-NMRを、日本電子株式会社製核磁気共鳴装置「LAMBDA 500」を用い、重水素化ジメチルスルホキシド中で80℃にて測定し、当該重合体における各単量体単位の含有率(すなわち、オレフィン構成単位の含有率:a(モル%)、酢酸ビニル単量体単位およびビニルアルコール単量体単位の含有率合計:b’(モル%)、および1級水酸基を有する構成単位含有率:c(モル%))を以下の式に従って算出した。
<オレフィン構成単位の含有率:a>
a(モル%)=[(1.0-1.7ppmのピーク面積値)-(4.1ppm-4.6ppmのピーク面積値)×2+(3.0ppm-3.5ppmのピーク面積値)÷2]÷4α×100
<酢酸ビニル単量体単位およびビニルアルコール単量体単位の含有率の合計:b’>
b’(モル%)=b1(酢酸ビニル単量体単位)(モル%)+b2(ビニルアルコール単量体単位)(モル%)
b1=[(1.8-2.1ppmのピーク面積値)/3]÷α×100
b2=(4.1ppm-4.6ppmのピーク面積値)÷α×100
<1級水酸基を有する構成単位の含有率:c>
c(モル%)=[(3.0ppm-3.5ppmのピーク面積値)÷4]÷α×100
(ここで、
α=[(1.0-1.7ppmのピーク面積値)-(4.1ppm-4.6ppmのピーク面積値)×2+(3.0ppm-3.5ppmのピーク面積値)÷2]÷4+[(1.8-2.1ppmのピーク面積値)÷3]+(4.1ppm-4.6ppmのピーク面積値)+(3.0ppm-3.5ppmのピーク面積値)÷4]
である)。
また、実施例9で得られたポリビニルアルコール系重合体(ポリビニルアルコール系樹脂(B))のH-NMRを、日本電子株式会社製核磁気共鳴装置「LAMBDA 500」を用い、重水素化ジメチルスルホキシド中で80℃にて測定し、当該重合体における各単量体単位の含有率(すなわち、酢酸ビニル単量体単位およびビニルアルコール単量体単位の含有率合計:b’(モル%)、および1級水酸基を有する構成単位含有率:c(モル%))を以下の式に従って算出した。
<酢酸ビニル単量体単位およびビニルアルコール単量体単位含有率の合計:b’>
b’(モル%)=b3(酢酸ビニル単量体単位)(モル%)+b4(ビニルアルコール単量体単位)(モル%)
b3=[(1.9-2.1ppmのピーク面積値)÷3]÷β×100
b4=(4.1ppm-4.6ppmのピーク面積値)÷β×100
<1級水酸基を有する構成単位:c>
c(モル%)=[(0.8ppm-1.0ppmのピーク面積値)÷3]÷β×100
(ここで、
β=[(1.9-2.1ppmのピーク面積値)÷3]+(4.1ppm-4.6ppmのピーク面積値)+[(0.8ppm-1.0ppmのピーク面積値)÷3]
である)。
(数平均重合度)
東ソー株式会社製サイズ排除高速液体クロマトグラフィー装置「HLC-8320GPC」を用い、重合体の数平均分子量(Mn)を測定した。測定条件は以下の通りであった。
カラム:東ソー株式会社製HFIP系カラム「GMHHR-H(S)」2本直列接続
標準試料:ポリメチルメタクリレート
溶媒及び移動相:トリフルオロ酢酸ナトリウム-HFIP溶液(濃度20mM)
流量:0.2mL/分
温度:40℃
試料溶液濃度:0.1質量%(開口径0.45μmフィルターでろ過)
注入量:10μL
検出器:RI
重合体の数平均重合度Mnを以下の式(S)により求めた。
Figure 2023097208000009
(けん化度の算出)
H-NMRの測定結果から、下記式(S)に示すDSで定義されるけん化度を算出した。
Figure 2023097208000010
(式(S)中、Dは、ポリビニルアルコール系樹脂(B)中の全水酸基のモル数であり、そしてEはポリビニルアルコール系樹脂(B)中の全水酸基のモル数と全エステル基のモル数の合計である)
(ガラス転移温度測定)
製造例1~3および5~9で得られたポリビニルアルコール系重合体(ポリビニルアルコール系樹脂(B))10gに水90gを添加し、100℃で加熱溶解した後、25℃に冷却して塗工液を調製した。一方、製造例4で得られたポリビニルアルコール系重合体10gを水76.5g、2-プロパノール13.5gを添加し、80℃で加熱撹拌した後、25℃に冷却し塗工液を調製した。
次いで、アプリケーターを用いて厚み100μmの基材PETフィルムの表面に、これらの塗工液を室温で付与し、25℃で3日間風乾した後、真空乾燥機を用いて40℃で3日間乾燥を行い、その後PETフィルムを剥離してポリビニルアルコール系樹脂フィルムを作製した。
このポリビニルアルコール系樹脂フィルムをTA Instruments社製示差走査熱量計を用い、昇温速度温速度10℃/分で240℃まで昇温した後1分間保持し、降温速度10℃/分で0℃まで降温し、再び昇温速度10℃/分で240℃まで昇温した。この昇温-降温-昇温の工程における2回目の昇温時における熱流の変化から、融点およびガラス転移温度を測定した。
(酸素ガスバリア性)
実施例1~9および比較例1~3で得られた積層フィルムを、温度20℃、相対湿度90%の状態で酸素ガス透過量測定装置OX-TRAN 2/21(モコン社製)を用い、当該積層フィルムの酸素透過量(OTR)として値A[cc/(m・day・atm)]を測定した。
一方、測定後の積層フィルムの膜厚を株式会社サンコウ電子研究所製の電磁式膜厚計SAMAC-PRоを用いて測定し、得られた厚みをT(μm)とした。また基材膜厚についても同様に測定し、得られた厚みをT(μm)とした。下記式(S)からFを算出した後、式(S)を用いて、ポリビニルアルコール系重合体層の厚みが20μmである場合の当該層の酸素透過量(OTR)として酸素バリア度の値B[cc/(m・day・atm)]を算出した。
以下の式(S)および(S)における各記号の意味は以下の通りである。
・ビニルアルコール系重合体層の厚み:T-T(μm)
・積層フィルム全体のOTR実測値:A[cc/(m・day・atm)]
・ビニルアルコール系重合体層のOTR:F[cc/(m・day・atm)]
・基材PETフィルムのOTR実測値:F[cc/(m・day・atm)]
・ビニルアルコール系重合体層の厚み20μm換算後のOTR:B[cc・20μm/(m・day・atm)]
(1/A)=(1/F)+(1/F) (S
B=F×(T-12)/20 (S
(製造例1:ポリビニルアルコール系重合体の製造)
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、開始剤添加口および溶液フィード口を備えた5Lの加圧反応槽に酢酸ビニル1.2kg、メタノール2.0kgおよび1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパン(DAMP)0.056kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間、窒素バブリングすることにより反応槽内を窒素置換した。
別途、フィード溶液用としてDAMPをメタノールに溶解した濃度40g/L溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを行った。さらに別途、ラジカル重合開始剤として2,2-アゾビス(イソブチロニトリル)をメタノールに溶解した濃度20g/Lの開始剤溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。
上記の加圧反応槽の内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液25mLを注入して重合を開始した。重合中は重合温度を60℃に維持し、DAMPのメタノール溶液をフィードして重合を継続した。重合率が40%となったことを確認した後、冷却して重合を停止した。重合停止までのDAMPのメタノール溶液(濃度40g/L)のフィード量は合計で1038mLであった。
減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去し、酢酸ビニル共重合体(以下「変性PVAc」という)のメタノール溶液とした。次に、これにメタノールを加えて調製した変性PVAcのメタノール溶液438質量部(溶液中の変性PVAc100質量部)に、62.0質量部の水酸化ナトリウムメタノール溶液(濃度15.0%)を添加して、40℃でけん化を行った(けん化溶液の変性PVAcの濃度は20%であり、変性PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比は0.2であった)。このアルカリ添加後約1分で反応系がゲル化したものを取り出して粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。
フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認した後、濾別して得られた白色固体のけん化物にメタノール900gと水100gの混合溶媒を加えて室温で3時間放置し、洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたけん化物を乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥されたビニルアルコール系重合体を得た。得られたビニルアルコール系重合体の数平均重合度Pnは430であり、けん化度は99.9モル%であり、DAMP由来の構成単位(1級水酸基を有する構成単位)の含有率cは6.3モル%であった。
(製造例2~8:ポリビニルアルコール系重合体の製造)
酢酸ビニルおよびメタノールの仕込み量、重合時に使用するコモノマーの添加量等の重合条件、けん化時における酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1に記載のものに変更したこと以外は、製造例1と同様にして、ビニルアルコール系重合体を製造した。
Figure 2023097208000011
(製造例9:ポリビニルアルコール系重合体の製造)
還流冷却管、温度計および撹拌翼を備え付けた500mLの三口セパラブルフラスコに、イオン交換水200gおよびポリビニルアルコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリビニルアルコール500(完全けん化型))10gを導入し、90℃で1時間撹拌してポリビニルアルコールを溶解させた。得られた水溶液を25℃に冷却し、特開2013-203689号公報に記載の方法により調製した4-メチル-2-ヒドロキシテトラヒドロフラン(MHF)13.6gを5分かけて滴下した。次いで、47%の硫酸水溶液3.3gを5分間かけて滴下した後、60℃で5時間保持して反応を行った。反応後の溶液を2Lのメタノールに滴下し、生成物を沈殿させた。ろ過により生成物を回収し、メタノールとイオン交換水との混合溶媒(体積比1:3)200mLで10回洗浄した。洗浄した生成物を60℃にて0.00MPaで24時間減圧乾燥し、ポリビニルアルコール系重合体を得た。
(実施例1)
(a)塗工液の調製
製造例1で得られたポリビニルアルコール系重合体1.00gに水9.00g添加し、100℃で加熱溶解後25℃まで冷却することにより溶液(1)を得た。次にテトラメトキシシラン(以下「TEOS」という)にメタノール10.00g、水0.06g添加した後、0.1M塩酸水溶液1.67gを滴下し、25℃で1時間反応させて溶液(2)を得た。溶液(1)10.00gと溶液(2)6.02gとを混合し、25℃で0.5時間反応させることにより溶液(3)を得た。
(b)積層フィルムの作製
アプリケーターを用いて厚み12μmの基材PETフィルムの表面に、上記で得られた溶液(3)を室温で塗工し、120℃にて1分間熱風乾燥機で乾燥させることにより、基材PETフィルム(12μm)およびポリビニルアルコール系樹脂/シリカ組成物層(1μm)からなる積層フィルムを得た。この積層フィルムについての評価結果を表2に示す。
(実施例2)
製造例2で得られたポリビニルアルコール系樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。結果を表2に示す。
(実施例3)
製造例3で得られたポリビニルアルコール系樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムについての評価結果を表2に示す。
(実施例4)
製造例4で得られたポリビニルアルコール系樹脂1.00gに水6.30gおよびメタノール2.7g添加し、100℃で加熱溶解した後25℃まで冷却することにより溶液(1)を調製したこと以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。結果を表2に示す。
(実施例5)
製造例5で得られたポリビニルアルコール系樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。結果を表2に示す。
(実施例6)
溶液(1)10.00gと溶液(2)7.54gとを混合し、25℃で0.5時間反応させて溶液(3)を得たこと以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。結果を表2に示す。
(実施例7)
溶液(1)10.00gと溶液(2)11.30gとを混合し、25℃で0.5時間反応させて溶液(3)を得たこと以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。結果を表2に示す。
(実施例8)
溶液(1)10.00gと溶液(2)17.68gとを混合し、25℃で0.5時間反応させて溶液(3)を得たこと以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。結果を表2に示す。
(実施例9)
製造例9で得られたポリビニルアルコール系重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。結果を表2に示す。
(実施例10)
実施例1における基材を膜厚12μmのPETフィルムから膜厚20μmの延伸プロピレンフィルム(OPPフィルム)に変更した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。結果を表2に示す。
(比較例1)
製造例6で得られたポリビニルアルコール系重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。結果を表2に示す。
(比較例2)
製造例7で得られたポリビニルアルコール系重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。結果を表2に示す。
(比較例3)
製造例8で得られたポリビニルアルコール系重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。結果を表2に示す。
Figure 2023097208000012
表2に示すように、実施例1~10で作製された積層フィルムは、比較的低いガラス転移温度(Tg)を有する一方で、酸素バリア度の数値も低い値を示しており、適切な酸素バリア性を有していた。特に1級水酸基を有する構成単位のためにDAMPを使用した実施例1~4、6~8、および10で得られた積層フィルムは、特に優れた酸素バリア性を有していたことがわかる。
本発明の樹脂組成物は、例えば、食品および飲料分野、ペットフード分野、油脂工業分野、医薬品分野、電気・電子分野等の各技術分野において有用である。

Claims (16)

  1. 無機アルコキシドの加水分解生成物(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)とを含有する樹脂組成物であって、
    該ポリビニルアルコール系樹脂(B)が65℃~80℃のガラス転移温度を有し、かつ分子構造中に1級水酸基を有する構成単位を含む、樹脂組成物。
  2. 前記無機アルコキシドがシランアルコキシドである、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリビニルアルコール系樹脂(B)に対する前記無機アルコキシドの加水分解生成物に含まれる無機種の含有量が0.002モル/g~0.15モル/gである、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ポリビニルアルコール系樹脂(B)が、以下の式(I)で表される構造単位を主鎖に含む高分子から構成されている、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
    Figure 2023097208000013
    (式(I)中、
    およびRはそれぞれ独立して、水素原子、あるいは炭素数1~3の直鎖アルキル基であり、
    は、水素原子、または少なくとも1つの水素原子がRで置換されていてもよい-(CH-R(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、水酸基、ホルミルオキシ基または炭素数2~10を有するアシルオキシ基であり、mは1~5の整数である)であり、
    は、-(CH-R(ここで、Rは、水酸基、ホルミルオキシ基または炭素数2~10を有するアシルオキシ基であり、nは1~5の整数である)である)
  5. 前記式(I)が以下の式(I’)で表される、請求項4に記載の樹脂組成物。
    Figure 2023097208000014
    (式(I’)中、R、R、mおよびnは該式(I)に定義した通りである)
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物を含有する、塗膜形成剤。
  7. 塗膜形成剤の製造方法であって、
    (a)無機アルコキシドを酸および水の存在下で加水分解して加水分解生成物(A)を得る工程、
    (b)該加水分解生成物(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)とを混合して樹脂組成物を得る工程、
    を含み、
    該ポリビニルアルコール系樹脂(B)が65℃~80℃のガラス転移温度を有し、かつ分子構造中に1級水酸基を有する構成単位を含む、方法。
  8. 前記無機アルコキシドがシランアルコキシドである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記ポリビニルアルコール系樹脂(B)に対する前記無機アルコキシドの加水分解生成物に含まれる無機種の含有量が0.002モル/g~0.15モル/gである、請求項7または8に記載の方法。
  10. 前記ポリビニルアルコール系樹脂(B)が、以下の式(I)で表される構造単位を主鎖に含む高分子から構成されている、請求項7~9のいずれかに記載の方法。
    Figure 2023097208000015
    (式(I)中、
    およびRはそれぞれ独立して、水素原子、あるいは炭素数1~3の直鎖アルキル基であり、
    は、水素原子、または少なくとも1つの水素原子がRで置換されていてもよい-(CH-R(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、水酸基、ホルミルオキシ基または炭素数2~10を有するアシルオキシ基であり、mは1~5の整数である)であり、
    は、-(CH-R(ここで、Rは、水酸基、ホルミルオキシ基または炭素数2~10を有するアシルオキシ基であり、nは1~5の整数である)である)
  11. 前記式(I)が以下の式(I’)で表される、請求項10に記載の方法。
    Figure 2023097208000016
    (式(I’)中、R、R、mおよびnは該式(I)に定義した通りである)
  12. 請求項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物を含有する、塗膜。
  13. 基材と請求項12に記載の塗膜とを含む、積層体。
  14. 前記基材が延伸ポリプロピレンフィルムである、請求項13に記載の積層体。
  15. 食品包装材である、請求項13または14に記載の積層体。
  16. 積層体の製造方法であって、
    基材上に、請求項6に記載の塗膜形成剤を付与して予備積層体を得る工程、
    該予備積層体を90℃~140℃下で乾燥する工程、
    を含む、方法。
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