JP2023096983A - 露光装置、露光方法、および、物品製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】LED素子を含む光源を備える露光装置において、LED素子の温度変化に起因して生じるレジスト像の線幅変化を抑制するために有利な技術を提供する。【解決手段】露光装置は、第1波長特性を有する第1固体発光素子からの光と第2波長特性を有する第2固体発光素子からの光との合成光で原版を照明する照明光学系と、前記原版からの光で基板に投影像を形成する投影光学系とを備え、前記第1波長特性の変化によって生じる、前記基板の上に転写されたパターンの線幅変化である第1線幅変化と、前記第2波長特性の変化に応じて生じる、前記パターンの線幅変化である第2線幅変化とが互いに異符号となるように、前記第1波長特性および前記第2波長特性が定められている。【選択図】 図4
Description
本発明は、露光装置、露光方法、および、物品製造方法に関する。
露光装置は、マスク(原版)に形成されているパターンをプレート(基板)に転写する装置であって、照明光学系を介して被照射面であるマスクに光を照明し、投影光学系を介してマスクのパターンの像をプレート上に投影する。露光装置の光源としては、一般に、紫外領域にスペクトルを有するものが用いられる。その一例が水銀ランプであり、輝線としてg線(435nm)、h線(405nm)、i線(365nm)などを含む紫外領域の照明光を発する。
近年、水銀ランプの代替として、固体発光素子である発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)への置換が期待されている。LED素子は発光を制御する基板回路に電流を流してから光の出力が安定するまでの時間が短く、水銀ランプのように常時発光させる必要がないため、省エネルギーかつ長寿命であるというメリットがある。
LED素子は、水銀ランプと比較して、一素子あたりの発光光量が小さいため、単体の素子では露光装置の光源として十分な生産性を持たせることができない。そこで、複数のLED素子が配列されたLEDアレイを光源として用いることが考えられている。しかし、LED素子をアレイ化した場合であっても、より生産性を高めるためにはLEDに投入する電力を大きくし、光出力を高めることが求められる。
LEDアレイの集積度が高いほど、また投入電力が大きいほど、LEDアレイ光源から生じる合計の熱量が大きくなる。熱によるLED素子の温度上昇を抑制するために冷却器が設けられるが、設計によってはLED素子の温度変化を完全に抑制することができない場合もある。
LED素子の温度上昇に伴い、発光波長特性の重心波長(もしくはピーク波長)が長波長側にシフトする現象が生じる。この波長シフト量は、UV-LED素子の場合は温度変化20~30度に対して1nm程度でありうる。
例えばレーザ光源においても、波長特性の変化が発生することが知られている。レーザ光源を用いた露光装置や画像記録装置の場合、この波長特性の変化が、生成されるパターンの線幅のばらつきや記録される画像のむらに影響する。発明者らの検討によれば、LEDを光源とした露光装置の場合でも、波長特性の変化に起因してレジスト像の線幅の不均一性が生じることが明らかとなった。
特許文献1には、レーザ光源により記録媒体に画像を記録する画像記録装置において、レジストフィルムの不均一性やレーザ光の波長の変化に起因して発生する感度むらを抑制するための技術が記載されている。同文献には、波長に対するレジストフィルムの光透過率の変動を平均化するため、波長に対する光透過率の変動周期内にわたる複数の波長を合波して露光することにより、感度むらを低減することが開示されている。
しかし、上記したような従来技術によってパターンの線幅誤差や画像のむらを抑制する場合、線幅誤差や感度が変動する周期内にわたって広く波長を分布させる必要がある。その場合、異なる発光波長の複数の光源が必要であることから、結果的に構成が複雑化する。また、このように近接した波長特性のLED素子を光源として用いる場合、ダイクロイックミラーなどのビームコンバイナによる合波効率が著しく低下し、露光装置として十分な生産性が得られない問題も生じる。
本発明は、LED素子を含む光源を備える露光装置において、LED素子の温度変化に起因して生じるレジスト像の線幅変化を抑制するために有利な技術を提供する。
本発明の一側面によれば、第1波長特性を有する第1固体発光素子からの光と第2波長特性を有する第2固体発光素子からの光との合成光で原版を照明する照明光学系と、前記原版からの光で基板に投影像を形成する投影光学系と、を備え、前記第1波長特性の変化によって生じる、前記基板の上に転写されたパターンの線幅変化である第1線幅変化と、前記第2波長特性の変化に応じて生じる、前記パターンの線幅変化である第2線幅変化とが互いに異符号となるように、前記第1波長特性および前記第2波長特性が定められている、ことを特徴とする露光装置が提供される。
本発明によれば、LED素子を含む光源を備える露光装置において、LED素子の温度変化に起因して生じるレジスト像の線幅変化を抑制するために有利な技術を提供することができる。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
<第1実施形態>
図1は、実施形態における露光装置100の概略構成を示す図である。露光装置100は、複数の波長域を含む光でマスク2(原版)を照明し、プレート8(基板)にマスク2のパターンを転写するリソグラフィ装置である。露光装置100は、フラットパネルディスプレイ、半導体素子、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などを製造するための装置である。
図1は、実施形態における露光装置100の概略構成を示す図である。露光装置100は、複数の波長域を含む光でマスク2(原版)を照明し、プレート8(基板)にマスク2のパターンを転写するリソグラフィ装置である。露光装置100は、フラットパネルディスプレイ、半導体素子、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などを製造するための装置である。
投影光学系POは、例えば、反射光学系であり、平面ミラー4、7、凹面ミラー5、凸面ミラー6を含む。投影光学系POは、マスク2からの光を平面ミラー4、凹面ミラー5、凸面ミラー6、凹面ミラー5、平面ミラー7の順に反射し、マスク2の投影像をプレート8に形成する。投影光学系POが反射光学系で構成される場合、光源からの光の色収差が屈折光学系よりも小さい。このような構成は、複数の波長域を含む広帯域光(ブロードバンド照明光)を用いる場合に好適である。ただし、本発明は投影光学系POがミラー光学系に限定されるものではなく、投影光学系POが屈折光学素子からなる屈折光学系であってもよい。
プレート8には感光材料からなるレジスト(感光剤)が塗布される。レジストが塗布された基板が露光された後、現像やベーキングなどの処理を行うことで、レジストには、マスク2に描画されたパターンに対応したレジスト像が形成される。通常、同一のマスクパターンを一つのプレートの複数箇所に対して露光が行われる。
制御部CNTは、露光装置100の各部、即ち、照明光学系1、投影光学系PO、マスクステージ3、プレートステージ9などを統括的に制御して露光装置100を動作させる。制御部CNTは、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Arrayの略。)などのPLD(Programmable Logic Deviceの略。)、又は、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略。)、又は、プログラムが組み込まれた汎用又は専用のコンピュータ、又は、これらの全部又は一部の組み合わせによって構成される。
図2は、一般的な構成を備える照明光学系1’を示す図である。照明光学系1’は、例えば、コンデンサレンズ12、15と、オプティカルインテグレータ13と、開口絞り14とを含み、光源11から射出された光を照明光として成形し、マスク2を照射する。
光源11は、例えば、固体発光素子であるLED素子を複数含むLEDアレイ光源であり、その詳しい構成については後述する。なお、光源11は、露光装置の一構成要素としての光源部である理解されてもよいし、露光装置の外部に配置された光源部であると理解されてもよい。いずれの構成にせよ、制御部CNTは、光源11の制御を行うように構成されているものとする。光源11から射出される光は、コンデンサレンズ12で集光され、オプティカルインテグレータ13を照射する。図2では、コンデンサレンズ12の前側焦点位置の近傍に光源11の射出面が位置し、コンデンサレンズ12の後側焦点位置の近傍にオプティカルインテグレータ13の入射面が位置するように示しているが、必ずしもこの構成に限定されない。
オプティカルインテグレータ13は、例えば、フライアイレンズであり、多数の同一のレンズエレメントから構成される。オプティカルインテグレータ13は、入射面上の光を波面分割し、その射出面で光源11の多重光源像を形成する。換言すると、オプティカルインテグレータ13を構成する多数のレンズエレメントの1つ1つの射出面に、光源11の光学像が形成され、これが2次光源となる。オプティカルインテグレータ13の射出面近傍に配置される開口絞り14は、マスク2を照明する光の角度分布を制御する。開口絞り14は、例えば、輪帯形状の透過領域や四重極状の透過領域を設けることで、輪帯や四重極などの変形照明を形成可能である。開口絞り14を透過した光は、コンデンサレンズ15によって集光され、照明光としてマスク2を照射する。
ここで、マスク2を照明する光の角度分布は、有効光源分布と呼ばれる。図2においては、有効光源分布は、開口絞り14を透過した後の光量分布に相当する。輪帯照明や四重極照明などの変形照明は、k1ファクター値が小さいリソグラフィ工程において、解像力や焦点深度を向上させる超解像技術として広く用いられる。変形照明においては、マスクを照明する角度を投影光学系の開口数(NA)で規格化したコヒーレンスファクターσ値によって特徴を記述される。例えば、輪帯照明においてσ0.45-0.90の様にマスクを照明する最小角に相当するσ値(例えばσ0.45)とマスクを照明する最大角に相当するσ値(例えばσ0.90)とによって記述されることがある。
図3を参照して、光源11の詳細な構成について説明する。図3(a)は、x方向から見た光源の断面の概略図であり、図3(b)は、z方向から見た光源の概略図である。光源11は、基台21に実装された複数のLED素子22を含む。LED素子は高圧水銀ランプと比べて素子1つあたりの放射エネルギーが小さいため、複数のLED素子を用いる必要がある。例えば、複数のLED素子22は、1000個程度のLED素子でありうる。複数のLED素子22は、基台21の上にXY方向に二次元的に配列されている。図3(b)では、複数のLED素子22は正方格子状に配列されているが、これに限定されるものではなく、例えば、千鳥状に配列されてもよい。
複数のLED素子22のそれぞれは、紫外光を放射するUV-LED素子であり、発光ピーク波長は、例えば、365nm、385nm、405nmなどである。複数のLED素子22には、互いに異なる発光ピーク波長のLEDが一つの基台上に混在していてもよい。あるいは、複数のLED素子22は、発光ピーク波長ごとのグループに分類され、グループごとに異なる基台に配置されてもよい。ただし後述するように、露光工程の生産性を高めるため、互いに発光ピーク波長の異なるLED素子群を異なるアレイ光源として構成し、それぞれの光源からの光をダイクロイックミラーなどのビームコンバイナによって合波するようにしてもよい。
複数のLED素子22から放射される光は、放射角度が半角で60~70度程度であり、一般的なフラットパネルディスプレイ向けの投影光学系の開口数NAが0.1前後(角度に換算すると5.7度前後)であることを考えると、非常に大きな角度分布である。そこで、複数のLED素子22からの放射光束を損失なく下流の光学系で取り込むため、複数のLED素子22それぞれの直上に、放射光束をコリメートする集光部23が配置されうる。集光部23には、LED素子に対応するようにコリメートレンズが設けられている。図3(b)の点線と点線が交わっている交点は、集光部23に含まれる各コリメートレンズの光軸を表している。
UV-LED素子において、投入した電力のうち所望の光として利用できるのは30~50%程度であり、その他の部分は熱に変換される。そこで、LED素子からの発熱を放熱し、LED素子の温度変化を抑制するため、冷却器24が設けられる。冷却器24は例えば液冷式のヒートシンクである。不図示の冷媒ポンプにより冷却器内に冷媒を循環させ、基台21を介してLEDから伝熱する熱を放熱し、LED素子を冷却することが可能である。冷却に関連するパラメータ(冷却条件)としては、冷媒の流速や冷媒の温度が挙げられる。冷媒の流速を上げるほど、また冷媒の温度を下げるほど冷却性能は向上し、LED素子からより多くの熱量を冷却することが可能であるが、冷媒の温度は光源の環境温度(室温)付近に設定することが一般的である。半導体・FPD製造用のクリーンルームの室温は一般的に22~24℃程度であることから、この温度域に含まれる温度を環境温度または室温とする。
図4を参照して、本実施形態における照明光学系1の構成を説明する。図2の照明光学系1’との差異は、複数のLEDアレイ光源が使用される点である。その他の構成は図2の照明光学系1’と同様である。図4では、第1光源11aからの光と第2光源11bからの光との合成光でマスク2を照明する。第1光源11aは、第1波長特性I1を有する第1LED素子(第1固体発光素子)が複数含まれる第1LEDアレイ光源である。第2光源11bは、第2波長特性I2を有する第2LED素子(第2固体発光素子)が複数含まれる第2LEDアレイ光源である。第1波長特性I1を有する第1LED素子は、例えば、365nmにピーク波長を有するLED素子であり、第2波長特性I2を有する第2LED素子は、例えば、405nmにピーク波長を有するLED素子である。
図4の構成では、第1光源11aおよび第2光源11bから放射される波長特性の異なる光を、ビームコンバイナ17で合成し、コンデンサレンズ12へ導光する。ビームコンバイナ17は、例えば、ダイクロイックミラーでありうる。一例において、このダイクロイックミラーは、365nm付近の光は透過し405nm付近の光は反射するような特性を有する光学薄膜が形成された平板ガラスでありうる。このような構成により、図2で説明した照明光学系1’と比較して、より多くの光量を照明光学系1の被照射面であるマスク2に導くことができる。
光学系における光の取り込みを考慮する際に用いられる物理量として、エタンデュが知られている。エタンデュは、光学系の一断面における光の断面積と立体角との積で表される。露光装置の設計においては、マスク2におけるエタンデュEinが装置仕様として決定される。エタンデュEinは、(光の損失がない前提においては)光学系内で不変であり、Einを超えるエタンデュの光は光学系で取り込むことができない。すなわち、光源のエタンデュをESとおくと、ES≦Einの関係が成り立つ。図3(b)のXY面内方向にLED素子を追加して構成することはESの増大に相当するが、Einを超える分は損失にしかなり得ず、その限界を超えると被照射面の照度を向上させることができない。しかし、波長合成においては原理的にエタンデュは増加しない。このため、波長合成を用いることで、より多くの光量をマスク2に導くことが可能となる。
図5に、ピーク波長が365nmのLED素子のスペクトル、ピーク波長が405nmのLED素子のスペクトル、および、ダイクロイックミラーの透過率特性の一例を示す。波長合成に伴う光量の損失を極力少なくし、効率よく導光するためには、両スペクトルがダイクロイックミラーの透過率特性における通過域と遮断域とに確実に分離されるように、両スペクトルを波長方向に離すことが望ましい。ダイクロイックミラーへの光線の入射角度(AOI)が変化すると、図5に示すように透過率特性も波長方向に変化する。したがって、ダイクロイックミラーへの入射角度分布に広がりがある場合は、その分だけ光源のスペクトル同士を離すことが望ましい。
ここで、ダイクロイックミラーの透過率特性における遮断特性の急峻度を示す遷移域の波長幅をΔwd、ダイクロイックミラーに対する光線の入射角度変化による透過率特性のカットオフ波長の変動幅をΔwAOIとする。また、第2波長特性の重心波長が第1波長特性の重心波長よりも長波長側にあるとする。このときの、第1波長特性における強度がピーク強度の1/2になる波長のうち長波長側の波長をλ1d、第2波長特性における強度がピーク強度の1/2になる波長のうち短波長側の波長をλ2dとする。さらに、後述するLED素子の温度変化に起因して発生する波長特性の変化量をΔλtとする。発明者らの検討によれば、波長合成に伴う光量の損失を抑制するための条件は以下の通りとなる。
Δwd+ΔwAOI+Δλt≦λ2d-λ1d ・・・(1)
Δwd+ΔwAOI+Δλt≦λ2d-λ1d ・・・(1)
式(1)を満たすことで、波長合成に伴う光量の損失が例えば10%以下に抑制されうる。
設計の一例において、ダイクロイックミラーの透過率特性の遷移域の波長幅Δwdは4nm、ダイクロイックミラーに入射する光の角度分布は45度±3度(6度の広がり)である。ダイクロイックミラーへの入射角度が1度変わると波長特性が約1nm波長方向に変化するため、ダイクロイックミラーに対する光線の入射角度変化による透過率特性のカットオフ波長の変動幅ΔwAOIは6nmである。さらに、後述の通り温度変化に起因して発生する波長特性の変化量Δλtの最大値は5nm程度である。以上より、例えばλ2d-λ1dが15nm以上となるような第1波長特性および第2波長特性を選定することで、波長合成に伴う光量の損失を抑制し、露光装置の生産性を高めることが可能となる。以下では、LED素子の放射特性について、ピーク波長が30nm以上離間していれば式(1)を満たすものとする。
水銀ランプ光源の場合は、電圧を印加してから光出力が安定するまでに数十分の時間を要することから、水銀ランプは常時点灯される。そして、マスク2への照明光の照射/非照射を制御するために照明光学系内に構成される照明光シャッターの開閉により、露光を行うときのみマスク2を照明するよう制御される。一方、LED素子の場合は、電圧を印加してから光出力が安定するまでの時間がナノ秒~マイクロ秒オーダーと極めて短く、常時点灯する必要はない。したがって、照明光シャッターは必ずしも必要ではなく、LED素子の通電のタイミングを制御することによってマスク2への照明光の照射/非照射を制御することができる。すなわち、露光時にはLED素子に通電し、非露光時にはLED素子に通電をしないことにより、照明光の照射/非照射を制御してよい。このように、露光に必要なタイミングのみで通電する制御方法を採用することで、消費電力を抑制することができる。また、LED素子に通電する時間を短縮できることから、LED素子の寿命の観点でも有利である。
しかしながら、LED素子への通電の有無を断続的に行うことにより、露光動作中にLED素子の温度が変化してしまうこととなる。LED素子の温度変化による波長特性(スペクトル)の変化の例を図6に示す。LED素子の温度が23℃のときのピーク波長がそれぞれ365nm、405nmである2つのLED素子について、LED素子の温度が23℃の場合の発光スペクトルを実線で、LED素子の温度が83℃の場合の発光スペクトルを破線で示している。素子や発光波長にも依存するが、LED素子の温度が20℃上昇するにつれ、ピーク波長が約1nm長波長側にシフトしうる。したがって、露光動作中にLED素子の温度が23℃から83℃に上昇した場合、露光動作中にピーク波長が3nm変化することになる。
LED素子(UV-LED素子)の最大ジャンクション温度の定格は120~130度が一般的であり、この温度を超えるとLED素子の寿命の劣化や故障が発生しうる。室温からの差分としては100℃程度の温度の幅を取り得るため、室温~定格内で使用する場合は、ピーク波長が5nm程度変動しうる。LEDの素子の温度に影響するパラメータは、冷却器の冷却条件(冷媒の流量・温度)、LED素子の出力である。LED素子のジャンクション温度の定格以下で運用するために、冷却条件やLED素子への投入電力が適宜調整されうる。なお、LEDアレイ光源におけるLED素子の集積度や基板の熱伝導率等もLED素子の温度に影響するが、それらは露光装置の運用中に制御可能なパラメータではないため、ここでは除外する。
以下では、LED素子の温度が室温近く(22~24℃)の状態を定常状態と称する。それに対して、LED素子の温度が室温より高く、波長特性が定常状態から変化した状態を非定常状態と称する。LED素子の点灯と消灯を断続的に繰り返す場合、定常状態に戻らず、非定常状態のまま温度が上下することが考えられる。露光装置の運用上問題となるのは、露光プロセスの中でのLED素子の温度の最低値と最高値との間の変動である。温度の最低値をとる状態を基底状態、この時の温度および波長特性をそれぞれ基底温度および基底波長特性と称する。また、LED素子の温度の最高値をとる状態を最大遷移状態、この時の温度および波長特性をそれぞれ最高温度および最大遷移波長特性と称する。さらに、基底状態と最大遷移状態との間の状態を遷移状態と称する。特に断りがない限り、以下で「波長特性」と称する場合、それは基底波長特性を指すものとする。基底状態は定常状態と同一であってもよいが、同一でなくてもよい。遷移状態の諸量には´(ダッシュ)を付してその旨を表す場合があり、遷移状態と基底状態との差分に相当する諸量にはΔ(デルタ)を付してその旨を表すものとする。また、最大遷移状態の諸量は添え字maxを用いてその旨を表すものとする。
ここで、「波長特性」は光源の発光波長の強度分布を指し、「スペクトル」もしくは「発光スペクトル」を含意する。波長特性は波長λの関数であることを明示してI(λ)と表すことがあるが、単にIと表すこともある。「ピーク波長」はLED素子の発光スペクトルにおいて最大の強度をとる波長を指し、添え字pを用いてλpのように表す。「重心波長」は波長に発光スペクトルの強度に応じた重みづけをして平均化した波長を指し、添え字gを用いてλgのように表す。LED素子の温度変化によって波長特性が変化する場合、変化の前後で波長特性の分布は実質的に同じ形状のまま波長方向にシフトするものとみなしてよい。すなわち、LED素子の温度変化によって生じるピーク波長の変化量と、重心波長の変化量は、同一とみなしてよい。このような仮定のもとでは、基底波長特性I(λ)と遷移波長特性I´(λ)との間の差は、基底ピーク波長λpと遷移ピーク波長λp´との差として特徴づけられる。すなわち、基底波長特性I(λ)に対してΔλp=λp´-λpが与えられた場合に、遷移波長特性I´(λ)が一意に決定されるものとする。これは、ピーク波長を重心波長と置き換えた場合も同様であるため、波長特性の変化の度合いを示す際に(添え字なしで)Δλのように表すこととする。
LED素子の温度変化に起因する波長特性の変化は、プレート8(基板)に塗布されたレジストに形成されるレジスト像(基板上に転写されるパターン)の線幅の変化をもたらしうる。発明者らの検討によれば、線幅の変化は主として以下の3つの要因で起こり得る。
一つ目は、空中像のコントラストの波長依存性である。波長が長波長化することで回折角が大きくなり、結像に寄与しない光の割合が増えることから空中像のコントラストが低下する。しかし、例えば3nm程度の波長変化であれば、これが線幅に与える影響は軽微である。
二つ目は、レジストに含まれる感光材料の感度の波長依存性である。通常は波長が異なると感度が異なることから、露光に用いる照明光の波長特性が変化した場合には、所望の線幅のレジスト像を得るのに適切な露光量が変化する。逆に言えば、一定の露光量で露光を行っている中で照明光の波長特性が変化した場合、得られるレジスト像の線幅が変化する。
三つ目は、レジスト中の定在波効果によるものである。塗布されたレジストの膜厚や屈折率、照明光の波長によっては、レジスト中に定在波が形成される。照明光の波長特性が変化した場合には、定在波のモードが変化し、結果的にレジスト線幅の変化に影響する。
図7は、レジスト膜厚1300nm、1400nm、1500nmに対し、露光波長を変化させた場合のレジスト線幅のシミュレーション結果を示している。シミュレーション条件を図16(a)に示す。露光波長は、分布を与えず単一波長とした。マスクパターンは1.5μmのライン&スペースであり、目標線幅も同様に1.5μmである。また、基板はシリコン、投影光学系の開口数であるNAは0.1、有効光源はσ0.45-0.90の輪帯である。露光量は365nmにおいて目標線幅となるよう各レジスト膜厚に対して設定し、波長を変化させても露光量は一定とした。波長変化に対して線幅の周期的な変化が確認できるが、これは上述の定在波効果によるものである。感光材料の感度の波長依存性が急峻でない場合は、図7の通り定在波の効果が支配的である。定在波の形成条件は膜厚によって変動するため、レジスト膜厚を変えるとレジスト線幅の増減の繰り返し周期も異なる。
図7のシミュレーション結果に基づき、基底状態からΔλ=3nmの波長変化が生じた場合の線幅変化ΔCDを計算した結果を図8に示す。露光波長によって、波長変化が生じた際の線幅変化の符号やその量が異なることが分かる。例えば、λ=365nmに着目すると、レジスト膜厚T=1500nmにおいてはΔCD=-80nmとなるのに対し、T=1400nmにおいてはΔCD=14nm、T=1300nmにおいてはΔCD=113nmと、膜厚によって変化する。一方、λ=405nmに着目すると、レジスト膜厚T=1500nmにおいてはΔCD=99nmとなるのに対し、T=1400nmにおいてはΔCD=-38nm、T=1300nmにおいてはΔCD=-129nmとなる。このように、線幅変化ΔCDは露光波長λとレジスト膜厚Tに依存して変化する。
第1波長特性の変化によって生じる線幅変化をΔCD1(第1線幅変化)、第2波長特性の変化によって生じる変幅変化をΔCD2とする。本実施形態の1つの特徴は、ΔCD1(第1線幅変化)とΔCD2(第2線幅変化)とが互いに異符号となるように、第1波長特性および第2波長特性が定められている点にある。ΔCDが互いに異符号となるような第1波長特性と第2波長特性を用いて露光を行うことにより、波長特性の変化が生じた場合であってもΔCDが互いに相殺され、波長特性の変化に伴う線幅変化が抑制されうる。前述の例で説明すると、T=1300nmにおいてΔλ=3nmの波長変化が生じる場合、λ=365nmではΔCD=113nm、λ=405nmではΔCD=-129nmである。これらの波長を混合して露光を行うことで、それぞれの波長における波長変化に伴う線幅変化が相殺され、結果的に線幅変化が抑制される。
一方、T=1300nmにおいてΔλ=3nmの波長変化が生じる場合、λ=395nmではΔCD=54nmであり、λ=365nmのΔCD=113nmとなり、ΔCDは同符号である。このように、それぞれの波長における波長変化に伴う線幅変化の符号が同一の場合は、混合して露光した際に線幅変化が十分抑制され得ない。
図7および図8は単一波長によるシミュレーション結果であるのに対し、実際の光源はある程度の範囲の波長方向の広がりをもった波長特性を有する。UV-LEDにおいては例えば半値幅で10nm程度の波長の広がりがある。実際にはこの波長方向の広がりのために、異なる定在波のモードが混在し、波長特性の重みとともに平均化される。したがって、実際の光源においては、図8のΔCDよりも小さい線幅変化となり、絶対値としては一致しない。しかしながら、図8の横軸をある波長特性における重心波長とみれば線幅変化の増減の傾向は図8と一致するため、露光波長の選定の際に図8のような単一波長のシミュレーション結果を用いて見積もってもよい。
なお、線幅変動の抑制という目的のみに則せば、図8のΔCD変動の一周期以上の波長を用いることで抑制可能であると考えられる。例えば、図8において、360~390nm付近におけるΔCDの増減変化は20~30nmを一周期としている。そこで、ピーク波長が365nm、375nm、385nmのLEDを混合して用いることで、20~30nmの領域にわたって広がる波長特性が得られ、波長変化が生じた場合であってもレジスト像の線幅変化を抑制可能と考えられる。
このように、ΔCDの増減の周期にわたって露光波長を分布させる場合は、近接したピーク波長を有する複数のLED素子を用いる必要がある。しかし、ピーク波長が近接している場合はダイクロイックミラーを用いた波長合成の効率が著しく低下する。したがって、1つのLEDアレイ光源の中で複数の波長特性のLED素子を混在させることになる。図2のように単一のLEDアレイ光源のみを用いる場合はこの方法で波長特性の変化に伴う線幅変化を抑制可能であるが、この場合は露光において十分な光量を得られないというデメリットがある。露光に十分な光量を得るためには、図4に示された構成のようにビームコンバイナを用いて複数のLEDアレイ光源からの光を合成することが望ましく、そのためにはLED素子の波長特性が互いに離間していることが必要である。
第1波長特性の変化によって生じるレジスト像の線幅変化ΔCD1(以下「第1線幅変化」ともいう。)と、第2波長特性の変化によって生じるレジスト像の線幅変化ΔCD2(以下「第2線幅変化」ともいう。)が互いに異符号であったとしても、その絶対量に差がある場合には線幅変化を相殺しきれず、ある程度の線幅変化が発生する場合がある。そこで本実施形態では、第1線幅変化と第2線幅変化との和が許容値より小さくなるように、第1LED素子からの光による露光量(第1露光量)および第2LED素子からの光による露光量(第2露光量)が設定される。具体的には、第1波長特性の光による露光量D1(第1露光量)と、第2波長特性の光による露光量D2(第2露光量)とを、線幅変化が相殺されるようΔCD1+ΔCD2が小さくなるように定めればよい。ここで、ΔCD1+ΔCD2は、第1線幅変化と第2線幅変化との和を示している。第1波長特性と第2波長特性とで露光量を異ならしめる方法としては、制御部CNTが、波長特性の異なるLED素子それぞれへ投入する電力を制御することにより、異なる光出力にすることが考えられる。すなわち、第1LED素子および第2LED素子のそれぞれへ投入する電力を制御することにより、第1LED素子による第1露光量の露光および第2LED素子による第2露光量の露光が実現される。しかし、この方法に限定されるものではなく、異なる波長特性の光によって露光時間(各LED素子に対する通電時間)を相対的に変化させてもよい。具体的には、第1波長特性を有するLED素子のみに通電した状態で第1露光時間で露光を行い、次に第2波長特性を有するLED素子のみに通電した状態で第2露光時間で露光を行うといった多重露光が考えられる。この場合は第1波長特性と第2波長特性の光出力が同一であったとしても、第1の露光時間と第2の露光時間を異ならしめることで積算露光量を異ならしめることができる。
図9は、波長変化量に対する線幅の変化量の関係を示す模式図である。ここで、第1波長特性I1の露光量D1(第1露光量)と、第2波長特性I2の露光量D2(第2露光量)に関して、D1:D2=1:1とする。図9は、この場合において、波長特性I1およびI2がそれぞれ独立にΔλの波長変化を起こした際の線幅変化ΔCDの関係を示している。図9において、実線は、第2波長特性I2が基底状態で、かつ第1波長特性I1がΔλだけ変化した際に発生する、目標線幅からの差異を示している。破線は、第1波長特性I1が基底状態で、かつ第2波長特性I2がΔλだけ変化した際に発生する、目標線幅からの差異を示している。Δλが0~3nm程度の範囲であれば、ΔCDは略線形的に変化する。
ここで、第1波長特性における単位波長変化あたりの線幅変化量を示す波長敏感度を(ΔCD/Δλ)1、第2波長特性における単位波長変化あたりの線幅変化量を示す波長敏感度を(ΔCD/Δλ)2とおく。これらはそれぞれ、図9における実線と破線の傾きに相当する。また、第1波長特性における露光中の波長変化量の最大値をΔλ1max、第2波長特性における露光中の波長変化量の最大値をΔλ2maxとおく。これらの量は、最大遷移状態における重心波長(ピーク波長)と基底状態における重心波長(ピーク波長)との差を表している。第1波長特性の波長変化に起因して発生する線幅変化は(ΔCD/Δλ)1とΔλ1maxとの積で見積もられ、第2波長特性の波長変化に起因して発生する線幅変化は(ΔCD/Δλ)2とΔλ2maxとの積で見積もられる。露光量比が等しい場合における第1波長特性の波長変化によって生じる線幅変化と、第2波長特性の波長変化によって生じる線幅変化との間に差がある場合、これらの比に応じて露光量比を設定すればよい。具体的には、
|(ΔCD/Δλ)2×Δλ2max|/|(ΔCD/Δλ)1×Δλ1max| ・・・(2)
で規定される特性値と、D1/D2との差が許容範囲内となるように、D1とD2の比を設定すればよい。
|(ΔCD/Δλ)2×Δλ2max|/|(ΔCD/Δλ)1×Δλ1max| ・・・(2)
で規定される特性値と、D1/D2との差が許容範囲内となるように、D1とD2の比を設定すればよい。
Δλ1maxおよびΔλ2maxは、第1LED素子への投入電力P1、第2LED素子への投入電力P2、および冷却器の冷却条件に依存する。投入電力が大きいほど発熱が大きく、LED素子の温度が上がりやすくなり波長特性の変化量(の最大値)が大きくなる。また、冷媒の流量を上げるなどして冷却器の冷却能力を向上させると、LED素子の温度が冷媒の温度に向けて下がりやすくなり、波長特性の変化量(の最大値)は小さくなる。
ここで、Δλ1maxとΔλ2maxが同一になるよう制御する場合を考える。露光量D1、D2を互いに異ならしめるために投入電力P1、P2を異ならしめ、LED素子の発熱量に差が生じる場合であっても、冷却条件を異にすることで波長変化の量を同等に制御することが可能である。この場合、式(2)は単純に、
|(ΔCD/Δλ)2/(ΔCD/Δλ)1| ・・・(3)
のように書ける。したがって、異なる波長特性間の最大遷移波長を同一となる様冷却条件を設定する場合は、式(3)とD1/D2の差分が小さくなるように露光量を設定すればよいことになる。
|(ΔCD/Δλ)2/(ΔCD/Δλ)1| ・・・(3)
のように書ける。したがって、異なる波長特性間の最大遷移波長を同一となる様冷却条件を設定する場合は、式(3)とD1/D2の差分が小さくなるように露光量を設定すればよいことになる。
(実施例1)
図10に、実施例1のシミュレーション結果を示す。実施例1は、基底ピーク波長が365nm(λ1p)の第1波長特性を有するLED素子と、基底ピーク波長が405nm(λ2p)の第2波長特性を有するLED素子を用いる(図10(a))。これらのLED素子からの光に関して、1:1の露光量比で混合した照明光が生成されるようにした。比較例1は、基底ピーク波長が365nm(λ1p)の第1波長特性を有するLED素子と、基底ピーク波長が395nm(λ2p)の第2波長特性を有するLED素子を用いる(図10(a))。これらのLED素子からの光に関して、1:1の露光量比で混合した照明光が生成されるようにした。その他の条件は図16(b)に示す。実施例1と比較例1のそれぞれで、1.5μmのレジスト線幅となる露光量を算出する。第1波長特性と第2波長特性のピーク波長がともに基底状態からΔλ1p=Δλ2p=3nmだけ変化した遷移状態の波長特性において、前述の基底状態と同一の露光量でのレジスト線幅を評価した。
図10に、実施例1のシミュレーション結果を示す。実施例1は、基底ピーク波長が365nm(λ1p)の第1波長特性を有するLED素子と、基底ピーク波長が405nm(λ2p)の第2波長特性を有するLED素子を用いる(図10(a))。これらのLED素子からの光に関して、1:1の露光量比で混合した照明光が生成されるようにした。比較例1は、基底ピーク波長が365nm(λ1p)の第1波長特性を有するLED素子と、基底ピーク波長が395nm(λ2p)の第2波長特性を有するLED素子を用いる(図10(a))。これらのLED素子からの光に関して、1:1の露光量比で混合した照明光が生成されるようにした。その他の条件は図16(b)に示す。実施例1と比較例1のそれぞれで、1.5μmのレジスト線幅となる露光量を算出する。第1波長特性と第2波長特性のピーク波長がともに基底状態からΔλ1p=Δλ2p=3nmだけ変化した遷移状態の波長特性において、前述の基底状態と同一の露光量でのレジスト線幅を評価した。
以下では、線幅の評価の前提条件を明記するため、第1波長特性の基底状態からの変化量Δλ1、第2波長特性の基底状態からの変化量Δλ2を用いてCD(Δλ1、Δλ2)のように表すこととする。基底状態における線幅はΔλ1=Δλ2=0nmよりCD(0、0)と表される。また、例えば第2波長特性は基底状態(Δλ2=0)で、第1波長特性は遷移状態(Δλ1≠0)の場合はCD(Δλ1、0)と表される。さらに、なんらかの波長特性の遷移が生じた場合の線幅と基底状態の線幅(CD(0、0))との差分を表す場合はΔを先頭に付す。
図10(b)から分かるように、比較例1では、波長特性の遷移に伴って50nmの線幅変化が生じる。これは目標線幅1.5μmに対して3.3%の差であり、線幅の管理上無視できない量である。一方、実施例1では、波長特性の遷移に伴って5nmの線幅変化しか生じない。これは目標線幅1.5μmに対して0.3%の差であり、比較例に対して1/10に抑制されていることが分かる。
ここで、第2波長特性は基底状態における波長特性とし、第1波長特性が基底状態からΔλ1=3nmだけ変化した遷移状態における波長特性とした条件における線幅を、CD(Δλ1,0)とする。また、第1波長特性は基底状態における波長特性とし、第2波長特性が基底状態からΔλ2=3nmだけ変化した遷移状態における波長特性とした条件における線幅を、CD(0,Δλ2)とする。これらCD(Δλ1,0)およびCD(0,Δλ2)を、図10(b)に示した。実施例1の場合、CD(Δλ1,0)は1540nmであり、目標線幅に対してプラス側に変化するが、CD(0,Δλ2)は1469nmとなり、目標線幅に対してマイナス側に変化する。このように、第1波長特性と第2波長特性で、波長特性の変化に対する線幅変化の符号が互いに逆である場合、これらの波長特性が同時に変化したとしても相殺され、結果として線幅の変化が抑制されうる。
一方、比較例1の場合、CD(Δλ1,0)は1539nmであり目標線幅に対してプラス側に変化するが、CD(0,Δλ2)は1510nmとなり同じく目標線幅に対してプラス側に変化する。このように、第1波長特性と第2波長特性で、波長特性の変化に対する線幅変化の符号が同じである場合、これらの波長特性が同時に変化したときに線幅の変化が抑制されず、大きくなる。結果的に、同一プロセス内の線幅のばらつきが生じ、線幅の管理上問題となり得る。
第1波長特性の変化に伴う線幅変化ΔCD(Δλ1,0)と、第2波長特性の変化に伴う線幅変化ΔCD(0,Δλ2)の符号が同一である場合を考察する。この場合、最大遷移波長特性における線幅と基底波長特性における線幅の誤差が、目標線幅に対して3%以上となり得る。一方の、第1波長特性の変化に伴う線幅変化ΔCD(Δλ1,0)と、第2波長特性の変化に伴う線幅変化ΔCD(0,Δλ2)の符号が互いに逆である場合を考察する。この場合、最大遷移波長特性における線幅と基底波長特性における線幅の誤差が、目標線幅に対して3%以下に低減しうる。よって、本発明を適用することで同一プロセス内の線幅のばらつきを抑制可能である。
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。図11(a)は、第1波長特性I1(λ)および第2波長特性I2(λ)がそれぞれ独立でΔλの波長変化を起こした際の線幅変化ΔCDを表している。ここで、第1波長特性I1(λ)は、基底状態で365nmのピーク波長を有し、その露光量をD1とする。また、第2波長特性I2(λ)、基底状態で405nmのピーク波長を有し、その露光量をD2とする。露光量の比は、D1:D2=1:1とする。図11(a)において、実線は、第2波長特性I2(λ)が基底状態でかつ第1波長特性I1(λ)がΔλだけ変化した際に発生する目標線幅からの差異を示し、前述の記法に従いΔCD(Δλ1,0)と表される。また、破線は、第1波長特性I1(λ)が基底状態でかつ第2波長特性I2(λ)がΔλだけ変化した際に発生する目標線幅からの差異を示し、前述の記法に従いΔCD(0,Δλ2)と表される。レジスト膜厚は1425nmであり、その他の条件は図16(b)に示したとおりである。
次に、実施例2について説明する。図11(a)は、第1波長特性I1(λ)および第2波長特性I2(λ)がそれぞれ独立でΔλの波長変化を起こした際の線幅変化ΔCDを表している。ここで、第1波長特性I1(λ)は、基底状態で365nmのピーク波長を有し、その露光量をD1とする。また、第2波長特性I2(λ)、基底状態で405nmのピーク波長を有し、その露光量をD2とする。露光量の比は、D1:D2=1:1とする。図11(a)において、実線は、第2波長特性I2(λ)が基底状態でかつ第1波長特性I1(λ)がΔλだけ変化した際に発生する目標線幅からの差異を示し、前述の記法に従いΔCD(Δλ1,0)と表される。また、破線は、第1波長特性I1(λ)が基底状態でかつ第2波長特性I2(λ)がΔλだけ変化した際に発生する目標線幅からの差異を示し、前述の記法に従いΔCD(0,Δλ2)と表される。レジスト膜厚は1425nmであり、その他の条件は図16(b)に示したとおりである。
図11(a)によれば、Δλが0~5nmの範囲でΔCDは略線形的に変化している。ここで、第1波長特性における単位波長変化あたりの線幅変化量を(ΔCD/Δλ)1、第2波長特性における単位波長変化あたりの線幅変化量を(ΔCD/Δλ)2とする。そうすると、(ΔCD/Δλ)1=19.4nm、(ΔCD/Δλ)2=-9.1nmである。また、第1波長特性における露光中の波長変化量の最大値Δλ1max、第2波長特性における露光中の波長変化量の最大値Δλ2maxがともに3nmであるとする。その場合、第1波長特性の波長変化起因で発生する線幅変化は、(ΔCD/Δλ)1とΔλ1maxの積で見積もられ、58.2nmである。同様に、第2波長特性の波長変化起因で発生する線幅変化は、(ΔCD/Δλ)2とΔλ2maxの積で見積もられ、-27.3nmである。本実施例における式(2)の特性値は0.47となることから、D1/D2が0.47に近くなるよう露光量比を設定すれば線幅変化が抑制可能となる。
図11(b)は、露光量比D1/D2と線幅変化ΔCDの関係についてのシミュレーション結果を示す。計算条件は図11(a)の線幅変化の算出時と同一である。総露光量D1+D2については、各条件において基底状態におけるレジスト線幅が1500nmとなるよう設定した。
第1波長特性と第2波長特性が同一露光量である場合、すなわちD1/D2=1である場合、波長特性の変化に伴ってΔCD=31nmとなり、目標線幅に対して約2%の線幅誤差が生じる。しかし、露光量比D1/D2を変化させることでΔCDが変化する。例えばD1/D2=0.5とすればΔCD=1nmとなり、波長特性の変化による線幅変化ΔCDをかなりの程度で抑制することが可能である。このように、同一露光量下で波長特性の変化によって生じる線幅変化が発生する場合であっても、異なる波長特性間で相対的な露光量を異ならしめることにより線幅変化を抑制することが可能である。また、その露光量比としては、式(2)で規定される特性値とD1/D2の差が小さくなるように設定されることが望ましいことがわかる。
<第2実施形態>
上述の第1実施形態では、定常状態と基底状態の差については特に限定はしていなかった。ロットの先頭の基板の露光の前には露光動作を行わない時間があり、この間はLED素子に通電しないことが基本である。したがってその間にLED素子の冷却が進行し、十分に時間が経過すればLED素子は冷媒と同じ温度となる。通常は冷媒の温度は環境温度(室温)と同一に設定されることが通常である。すなわち、ロットの先頭においては、LED素子は室温付近の温度となっている。この状態から露光動作を始めることを考えると、定常状態と基底状態は一致するのが通常である。
上述の第1実施形態では、定常状態と基底状態の差については特に限定はしていなかった。ロットの先頭の基板の露光の前には露光動作を行わない時間があり、この間はLED素子に通電しないことが基本である。したがってその間にLED素子の冷却が進行し、十分に時間が経過すればLED素子は冷媒と同じ温度となる。通常は冷媒の温度は環境温度(室温)と同一に設定されることが通常である。すなわち、ロットの先頭においては、LED素子は室温付近の温度となっている。この状態から露光動作を始めることを考えると、定常状態と基底状態は一致するのが通常である。
しかし、定常状態と基底状態を異ならしめることにより、露光中の波長特性の変化に伴うレジスト線幅変化を低減しうる。換言すれば、露光中のLED素子の最低温度を室温付近と異ならしめることにより、基底状態の波長特性と定常状態の波長特性とを異ならしめ、結果的にレジスト線幅変化の低減が可能な場合がある。露光中のLED素子の最低温度を室温付近と異ならしめる方法としては、例えば照明光シャッターを閉じた状態でLED素子に通電し、LED素子自身の発熱によりLED素子の温度を室温から上昇させることが考えられる。その他、冷媒の温度を室温付近から異ならしめてもよいし、冷却器の他に加熱器をさらに設けて加熱を行うことによりLED素子の温度を調整してもよい。
(実施例3)
第2実施形態に関する実施例3では、定常状態におけるピーク波長が365nmであるLED素子と、定常状態におけるピーク波長が395nmであるLED素子とが使用される。実施例3では、これら2つのLED素子を、それぞれ基底ピーク波長が367nm、397nmとなるように運用する。これは、各々のLED素子を常に室温から40度以上高い温度にすることで達成可能である。一方、比較例1は、定常状態におけるピーク波長が365nmであるLED素子と、定常状態におけるピーク波長が395nmであるLED素子とを、それぞれ基底ピーク波長が365nm、395nmとなるように運用するものである。これは、各LED素子の露光中の最小温度が室温程度である通常のケースに相当する。波長特性の変化量Δλは実施例3、比較例1ともに全て3nmとする。それぞれの波長特性の概要を図12(a)に示す。また、波長特性以外の計算条件は図16(b)に示したとおりである。
第2実施形態に関する実施例3では、定常状態におけるピーク波長が365nmであるLED素子と、定常状態におけるピーク波長が395nmであるLED素子とが使用される。実施例3では、これら2つのLED素子を、それぞれ基底ピーク波長が367nm、397nmとなるように運用する。これは、各々のLED素子を常に室温から40度以上高い温度にすることで達成可能である。一方、比較例1は、定常状態におけるピーク波長が365nmであるLED素子と、定常状態におけるピーク波長が395nmであるLED素子とを、それぞれ基底ピーク波長が365nm、395nmとなるように運用するものである。これは、各LED素子の露光中の最小温度が室温程度である通常のケースに相当する。波長特性の変化量Δλは実施例3、比較例1ともに全て3nmとする。それぞれの波長特性の概要を図12(a)に示す。また、波長特性以外の計算条件は図16(b)に示したとおりである。
シミュレーション結果を図12(b)に示す。比較例1では、前述の通りCD(Δλ1,0)とCD(0,Δλ2)がともに目標線幅に対してプラス側であり、その結果、目標線幅に対する誤差が50nmとなる。一方の実施例3では、CD(Δλ1,0)が1511nmであり、目標線幅に対してプラス側に変化するが、CD(0,Δλ2)が1493nmとなり、目標線幅に対してマイナス側に変化する。そのため、両者の変化は相殺されて結果的な線幅変化は6nmとなり、比較例1に比べて抑制される。このように、定常状態の波長特性と基底状態の波長特性とを異ならしめることにより、露光中の波長特性の変化に伴うレジスト像の線幅変化を低減させることができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態として、図13~15を参照して露光方法を説明する。図13は、本実施形態に係る露光装置によって実行される露光方法のフローチャートである。工程S1で、第1波長特性I1、第2波長特性I2、レジスト膜厚が決定される。工程S2で、第1波長特性の露光量D1と第2波長特性の露光量D2とが決定される。工程S3で、工程S1および工程S2で決定された条件で露光を行った際に発生する波長特性変化起因の線幅誤差が許容値内になったかどうかが判定される。判定がYESの場合、すなわち、線幅誤差が許容値内になった場合、工程S4で露光が行われる。一方、判定がNOの場合、すなわち、線幅誤差が許容値を超えている場合は、工程S1に戻り、再度、露光条件の検討が行われる。工程S1、S2、およびS3を露光条件の決定工程とも呼ぶ。工程S4を露光工程とも呼ぶ。
次に、第3実施形態として、図13~15を参照して露光方法を説明する。図13は、本実施形態に係る露光装置によって実行される露光方法のフローチャートである。工程S1で、第1波長特性I1、第2波長特性I2、レジスト膜厚が決定される。工程S2で、第1波長特性の露光量D1と第2波長特性の露光量D2とが決定される。工程S3で、工程S1および工程S2で決定された条件で露光を行った際に発生する波長特性変化起因の線幅誤差が許容値内になったかどうかが判定される。判定がYESの場合、すなわち、線幅誤差が許容値内になった場合、工程S4で露光が行われる。一方、判定がNOの場合、すなわち、線幅誤差が許容値を超えている場合は、工程S1に戻り、再度、露光条件の検討が行われる。工程S1、S2、およびS3を露光条件の決定工程とも呼ぶ。工程S4を露光工程とも呼ぶ。
工程S1およびS2は、実際の露光によって実施されてもよいし、シミュレーションによって実施されてもよい。実際の露光が行われる場合には、例えば複数の露光条件で露光を行い、現像後にレジスト像の線幅計測を行って目標線幅に近い露光量を採用する。ただし、実際の露光で行う場合、LED素子への投入電力が大きいと十分に冷却ができず、LED素子を所望の温度に設定できない可能性がある。この場合は、所望の温度に維持できる程度にLED素子への投入電力を落とし、露光量が補償されるように露光時間を延ばしてもよい。
図14を参照して、工程S1の詳細を説明する。工程S11では、基底状態における第1波長特性I1と基底状態における第2波長特性I2とによって、1:1の露光量比で露光を行う場合に適切な露光量が決定される。ここで、初めに用いる第1波長特性I1および第2波長特性I2、基底状態の定義(LED素子の温度)、レジスト膜厚については、特に限定されることなく、任意である。
工程S12では、遷移状態の第1波長特性(波長変化量Δλ1)と基底状態の第2波長特性とによって、S11で決定された露光量で露光を行った場合の目標線幅からの差ΔCD(Δλ1,0)が評価される。工程S13では、基底状態の第1波長特性と遷移状態の第2波長特性(波長変化量Δλ2)とによって、S11で決定された露光量で露光を行った場合の目標線幅からの差ΔCD(0,Δλ2)が評価される。
工程S14で、S12およびS13で評価された線幅誤差ΔCD(Δλ1,0)およびΔCD(0,Δλ2)が互いに異符号であるかが判定される。両者の線幅誤差が異符号であれば、工程S1は終了となる。両者の線幅誤差が異符号でなかった場合、処理は工程S15へ進む。工程S15では、レジスト膜厚を変更可能か否かが検討される。レジスト膜厚が変更可能な場合、工程S16でレジスト膜厚が変更された後、工程S11に戻って処理が繰り返される。
工程S15において、露光工程設定の関係上、レジスト膜厚の変更が不可能な場合は、処理は工程S17へ進む。工程S17では、第1波長特性I1もしくは第2波長特性I2が変更される。ここで、波長特性の変更は基底状態の変更も含む。すなわち、工程S17においては、異なるピーク波長の波長特性への変更が行われてもよいし、基底状態(露光プロセス中のLED素子の最低温度)の変更が行われてもよい。波長特性の変更は、例えば、第2実施形態で説明したような方法で行われうる。また、LEDアレイ光源に波長特性が異なる複数種類のLED素子が配置されている場合には、波長特性を変更するかわりに、所望の波長特性をもつLED素子を選択するようにしてもよい。
図15を参照して、露光量を決定する工程S2の詳細を説明する。工程S21で、第1波長特性における露光中の波長変化量の最大値Δλ1maxと、第2波長特性における露光中の波長変化量の最大値Δλ2maxが決定される。初期値は任意であるが、両者とも例えば3nmに仮決定されてもよい。工程S22では、工程S1で決定した線幅誤差ΔCD(Δλ1,0)、ΔCD(0,Δλ2)、および工程S21で決定したΔλ1max、Δλ2maxを用いて式(2)の特性値が評価される。
工程S23において、工程S22で評価した特性値と露光量比D1/D2との差が小さくなるように露光量比D1/D2が決定される。ここで、特性値と露光量比D1/D2との差は0となることが望ましいが、必ずしもその必要はなく、目標線幅との誤差が目標値以内となるような露光量比D1/D2になればよい。
工程S24において、露光量D1、D2が決定される。具体的には、工程S23で決定したD1/D2を満たす条件下でD1+D2を変えて露光した際の線幅の変化が評価され、目標線幅に近いD1+D2が決定される。
工程S25では、第1LED素子の基底温度T1および最高温度T1maxと、第2LED素子の基底温度T2および最高温度T2maxとを満たす、以下のパラメータが決定される。
・冷媒の流量、
・冷媒の温度、
・LED素子の投入電力P1、P2、
・露光時間。
ここで、基底温度T1およびT2は、工程S1で決定した基底状態によって決定され、最高温度T1maxおよびT2maxは、工程S21で決定したΔλ1max、Δλ2maxと、基底温度T1、T2によって決定される。
・冷媒の流量、
・冷媒の温度、
・LED素子の投入電力P1、P2、
・露光時間。
ここで、基底温度T1およびT2は、工程S1で決定した基底状態によって決定され、最高温度T1maxおよびT2maxは、工程S21で決定したΔλ1max、Δλ2maxと、基底温度T1、T2によって決定される。
例えば、冷却条件は標準的な条件とする。次に、P1/P2=D1/D2を満たす条件下で、最高温度T1maxおよびT2maxを超えない範囲で最大の光出力が得られるような投入電力としてP1およびP2が決定される。そして、露光量D1、D2とP1、P2に基づき、露光時間が決定される。
工程S26では、Δλ1max、Δλ2maxの妥当性が評価される。Δλ1max、Δλ2maxが妥当であれば、工程S2は終了となる。ここで、第1LED素子および第2LED素子の一方、またはその両方の温度が最高温度を下回る場合には、冷却条件を調整して最高温度となるようにしてもよい。また、工程S26でΔλ1max、Δλ2maxが妥当でないと判断された場合には、工程S21に戻り、工程S25の検討を基にΔλ1max、Δλ2maxが再検討されてもよい。
以上説明した実施形態によれば、露光中の第1LED素子および第2LED素子の最高温度が例えば定格温度以下になるように、第1LED素子への投入電力P1、第2LED素子への投入電力P2、および冷却器24の冷却条件が設定されうる。また、以上説明した実施形態によれば、露光中の第1LED素子および第2LED素子の最低温度が室温とは異なる温度になるように、第1LED素子への投入電力P1、第2LED素子への投入電力P2、および冷却器24の冷却条件が設定されうる。
<物品製造方法の実施形態>
本発明の実施形態に係る物品製造方法は、例えば、半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。本実施形態の物品製造方法は、基板に塗布された感光剤に上記の露光装置を用いて潜像パターンを形成する工程(基板を露光する工程)と、かかる工程で潜像パターンが形成された基板を現像する工程とを含む。更に、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む。本実施形態の物品製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
本発明の実施形態に係る物品製造方法は、例えば、半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。本実施形態の物品製造方法は、基板に塗布された感光剤に上記の露光装置を用いて潜像パターンを形成する工程(基板を露光する工程)と、かかる工程で潜像パターンが形成された基板を現像する工程とを含む。更に、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む。本実施形態の物品製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
1:照明光学系、2:マスク、11a:第1光源、11b:第2光源、12:コンデンサレンズ、13:オプティカルインテグレータ、14:開口絞り、15:コンデンサレンズ、17:ビームコンバイナ
Claims (15)
- 第1波長特性を有する第1固体発光素子からの光と第2波長特性を有する第2固体発光素子からの光との合成光で原版を照明する照明光学系と、
前記原版からの光で基板に投影像を形成する投影光学系と、
を備え、
前記第1波長特性の変化によって生じる、前記基板の上に転写されたパターンの線幅変化である第1線幅変化と、前記第2波長特性の変化に応じて生じる、前記パターンの線幅変化である第2線幅変化とが互いに異符号となるように、前記第1波長特性および前記第2波長特性が定められている、
ことを特徴とする露光装置。 - 前記第1線幅変化と前記第2線幅変化との和が許容値より小さくなるように、前記第1固体発光素子からの光による露光量である第1露光量および前記第2固体発光素子からの光による露光量である第2露光量が設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記第1露光量をD1、前記第2露光量をD2とし、D1:D2=1:1とした場合において、
前記第1波長特性の重心波長の変化に応じて生じる線幅変化量を示す波長敏感度を(ΔCD/Δλ)1、前記第2波長特性の重心波長の変化に応じて生じる線幅変化量を示す波長敏感度を(ΔCD/Δλ)2とし、
前記第1波長特性における露光中の重心波長の変化量の最大値をΔλ1max、前記第2波長特性における露光中の重心波長の変化量の最大値をΔλ2maxとするとき、
|(ΔCD/Δλ)2×Δλ2max|/|(ΔCD/Δλ)1×Δλ1max|
で規定される特性値と、D1/D2との差が許容範囲内となるように、前記第1露光量および前記第2露光量が決定される、
ことを特徴とする請求項2に記載の露光装置。 - 前記第1固体発光素子および前記第2固体発光素子を含む光源部を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記第1固体発光素子および前記第2固体発光素子のそれぞれへ投入する電力を制御することにより、前記第1固体発光素子による前記第1露光量の露光および前記第2固体発光素子による前記第2露光量の露光を実現する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の露光装置。 - 前記第1固体発光素子および前記第2固体発光素子を含む光源部を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記第1固体発光素子および前記第2固体発光素子のそれぞれに対する通電時間を制御することにより、前記第1固体発光素子による前記第1露光量の露光および前記第2固体発光素子による前記第2露光量の露光を実現する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の露光装置。 - 前記制御部は、露光中の前記第1固体発光素子および前記第2固体発光素子の最低温度が前記光源部の環境温度より高い温度になるように前記光源部を制御する、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の露光装置。 - 前記光源部は、前記第1固体発光素子および前記第2固体発光素子を冷却する冷却器を備える、
ことを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の露光装置。 - 露光中の前記第1固体発光素子および前記第2固体発光素子の最高温度が定格温度以下になるように、前記第1固体発光素子への投入電力、前記第2固体発光素子への投入電力、および前記冷却器の冷却条件が設定される、ことを特徴とする請求項7に記載の露光装置。
- 露光中の前記第1固体発光素子および前記第2固体発光素子の最低温度が室温とは異なる温度になるように、前記第1固体発光素子への投入電力、前記第2固体発光素子への投入電力、および前記冷却器の冷却条件が設定される、ことを特徴とする請求項7または8に記載の露光装置。
- 前記照明光学系は、前記第1固体発光素子からの光と、前記第2固体発光素子からの光とを合成するビームコンバイナを含む、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の露光装置。
- 前記ビームコンバイナはダイクロイックミラーである、ことを特徴とする請求項10に記載の露光装置。
- 前記第1波長特性における強度がピーク強度の1/2になる波長のうち長波長側の波長をλ1d、前記第2波長特性における強度がピーク強度の1/2になる波長のうち短波長側の波長をλ2dとするとき、
λ2d-λ1dが15nm以上となるように、前記第1波長特性および前記第2波長特性が定められている、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の露光装置。 - 第1波長特性を有する第1固体発光素子からの光と第2波長特性を有する第2固体発光素子からの光との合成光で原版を照明する照明光学系と、前記原版からの光で基板に投影像を形成する投影光学系とを備える露光装置によって実行される露光方法であって、
露光条件を決定する決定工程と、
前記決定された露光条件に従い露光を行う露光工程と、を有し、
前記決定工程は、前記第1波長特性の変化によって生じる、前記基板の上に転写されたパターンの線幅変化である第1線幅変化と、前記第2波長特性の変化に応じて生じる、前記パターンの線幅変化である第2線幅変化とが互いに異符号となるように、前記第1波長特性および前記第2波長特性を決定する工程を含む、
ことを特徴とする露光方法。 - 第1波長特性を有する第1固体発光素子からの光と第2波長特性を有する第2固体発光素子からの光との合成光で原版を照明する照明光学系と、前記原版からの光で基板に投影像を形成する投影光学系とを備える露光装置によって実行される露光方法であって、
露光条件を決定する決定工程と、
前記決定された露光条件に従い露光を行う露光工程と、を有し、
前記決定工程は、前記第1波長特性の変化によって生じる、前記基板の上に転写されたパターンの線幅変化である第1線幅変化と、前記第2波長特性の変化に応じて生じる、前記パターンの線幅変化である第2線幅変化とが互いに異符号となるように、前記基板に塗布される感光剤の膜厚を決定する工程を含む、
ことを特徴とする露光方法。 - 請求項1から12のいずれか1項に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
前記露光された基板を現像する工程と、
を含み、前記現像された基板から物品を製造する、ことを特徴とする物品製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2021213082A JP2023096983A (ja) | 2021-12-27 | 2021-12-27 | 露光装置、露光方法、および、物品製造方法 |
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JP2021213082A JP2023096983A (ja) | 2021-12-27 | 2021-12-27 | 露光装置、露光方法、および、物品製造方法 |
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JP2021213082A Pending JP2023096983A (ja) | 2021-12-27 | 2021-12-27 | 露光装置、露光方法、および、物品製造方法 |
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