JP2023094277A - 非空気圧タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性の低減を抑制できる非空気圧タイヤを提供する。【解決手段】内側環状部20と、内側環状部20の外周側に同軸に配置される外側環状部30と、内側環状部20と外側環状部30とを連結し、タイヤ周方向Cに沿って配列される複数のスポーク40と、外側環状部30の外周面に設けられるトレッド50と、を備える非空気圧タイヤであって、スポーク40のタイヤ周方向Cの厚みである板厚tの最小値が、9.8mm以上10.5mm以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、非空気圧タイヤに関する。
近年、パンクの発生等の問題が起こらず、空気圧調整も不要な非空気圧タイヤが開発されている。一般に、非空気圧タイヤは、互いに同軸に配置される内周側環状部及び外周側環状部が、複数のスポークによって連結された構造を有する。複数のスポークはタイヤ周方向に間隔をおいて放射状に配列される。外側環状部の外周面には、路面と接地するトレッドが設けられる。
例えば、特許文献1には、タイヤ径方向に延びるスポークの長さ方向の途中部分に、内側環状部側から外側環状部側に向かうにつれて薄肉となるテーパ部を備えた非空気圧タイヤが開示されている。
この種の非空気圧タイヤは、スポークにかかる荷重の割合が高い。上記特許文献1のように、スポークが部分的に薄肉部を有すると、その薄肉部に応力が集中するため、耐久性が低減することが懸念される。
そこで本発明は、耐久性の低減を抑制できる非空気圧タイヤを提供することを目的としている。
本発明の非空気圧タイヤは、内側環状部と、前記内側環状部の外周側に同軸に配置される外側環状部と、前記内側環状部と前記外側環状部とを連結し、タイヤ周方向に沿って配列される複数のスポークと、前記外側環状部の外周面に設けられるトレッドと、を備える非空気圧タイヤであって、前記スポークのタイヤ周方向の厚みの最小値が、9.8mm以上10.5mm以下である。
本発明によれば、耐久性の低減を抑制できる非空気圧タイヤを提供することができる。
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の非空気圧タイヤ1をタイヤ回転軸(タイヤ子午線)と平行な方向、すなわち図1で紙面表裏方向に沿う方向から側面視した側面図である。図1に示す非空気圧タイヤ1は、無荷重状態である。図2は、図1のII-II断面図である。図3は、図2に示す部分を斜めから見た非空気圧タイヤ1の一部斜視図である。
図1及び図3において、矢印Cはタイヤ周方向を示している。図1~図3において、矢印Xはタイヤ径方向を示している。図2及び図3において、矢印Yはタイヤ幅方向を示している。図1においてのタイヤ幅方向Yは、紙面表裏方向である。図2の符号Eは、タイヤ赤道面である。図2においてのタイヤ周方向Cは、紙面表裏方向である。
タイヤ周方向Cは、タイヤ回転軸周りの方向であって非空気圧タイヤ1が回転する方向と同一の方向である。タイヤ径方向Xは、タイヤ回転軸に垂直な方向である。タイヤ幅方向Yは、タイヤ回転軸と平行な方向である。図2及び図3においては、タイヤ幅方向Yの一方側をY1として示し、タイヤ幅方向Yの他方側をY2として示している。図2に示すタイヤ赤道面Eは、タイヤ回転軸に直交する面で、かつ、タイヤ幅方向Yの中心に位置する面である。
本実施形態の非空気圧タイヤ1は、内側環状部20と、外側環状部30と、複数のスポーク40と、トレッド50と、を備える。
なお、以下において、内側環状部20及び外側環状部30の厚みとは、タイヤ径方向Xに沿った方向の寸法である。内側環状部20及び外側環状部30の幅とは、図2に示すタイヤ幅方向Yに沿った方向の寸法である。
内側環状部20は、非空気圧タイヤ1の内周部を構成するタイヤ周方向Cに沿った環状の部分である。内側環状部20の厚み及び幅は、ユニフォミティを向上させるために一定に設定される。内側環状部20の内周側の空間に、図示しないタイヤホイールが配置される。そのタイヤホイールのリムの外周部に、内側環状部20の内周部が嵌合して装着される。内側環状部20がリムに装着されて、非空気圧タイヤ1は当該タイヤホイールに装着される。内側環状部20の内周面には、当該リムとの嵌合のために、凸部や溝等で構成される嵌合部が設けられる場合がある。
内側環状部20は、例えば、弾性を有する樹脂材料によって形成することができるが、材料は樹脂に限定されない。
内側環状部20は、上記タイヤホイールの回転をスポーク40及び外側環状部30に伝達する。内側環状部20の厚みは、スポーク40に回転力を十分に伝達する機能を満たしつつ、軽量化及び耐久性も得られる観点から決定される。内側環状部20の厚みは特に限定されないが、例えば、図2に示すタイヤ断面高さHの2%以上7%以下であることが好ましく、3%以上6%以下であることがより好ましい。
内側環状部20の内径は、非空気圧タイヤ1が装着されるタイヤホイールのリムの寸法や車両の用途等に応じて決定される。例えば、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、内側環状部20の内径は、例えば、250mm以上500mm以下といった寸法が挙げられるが、これに限定されない。
内側環状部20の幅は、非空気圧タイヤ1が装着される車両の用途等に応じて適宜決定される。例えば、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、内側環状部20の幅は、100mm以上300mm以下といった寸法が挙げられるが、これに限定されない。
外側環状部30は、非空気圧タイヤ1の外周部を構成するタイヤ周方向Cに沿った環状の部分である。外側環状部30は、内側環状部20の外周側に、内側環状部20と同軸に配置される。外側環状部30の厚み及び幅は、ユニフォミティを向上させるために一定に設定される。
外側環状部30は、例えば、弾性を有する樹脂材料によって形成することができるが、材料は樹脂に限定されない。
外側環状部30は、内側環状部20及びスポーク40の回転を、トレッド50を介して路面に伝達する。外側環状部30の厚みは、スポーク40から路面に回転力を十分に伝達する機能を満たしつつ、軽量化及び耐久性も得られる観点から決定される。外側環状部30の厚みは特に限定されないが、例えば、図2に示すタイヤ断面高さHの2%以上7%以下であることが好ましく、2%以上5%以下であることがより好ましい。
外側環状部30の内径は、非空気圧タイヤ1が装着されるタイヤホイールのリムの寸法や車両の用途等に応じて適宜決定される。例えば、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、外側環状部30の内径は、420mm以上750mm以下といった寸法が挙げられるが、これに限定されない。
外側環状部30の幅は、非空気圧タイヤ1が装着される車両の用途等に応じて適宜決定される。例えば、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、外側環状部30の幅は、100mm以上300mm以下といった寸法が挙げられるが、これに限定されない。
複数のスポーク40は、内側環状部20と外側環状部30とを連結する。複数のスポーク40で連結された内側環状部20と外側環状部30とは、互いに同軸に配置される。複数のスポーク40のそれぞれは、タイヤ周方向Cに沿って各々独立して配列される。図1に示すように、複数のスポーク40は、非空気圧タイヤ1が無荷重状態では、側面視した場合においてタイヤ径方向Xと略平行でラジアル方向に直線状に延びている。複数のスポーク40は、タイヤ周方向Cに等間隔に配列されている。
図2及び図3に示すように、本実施形態の複数のスポーク40は、複数の第1のスポーク41と、複数の第2のスポーク42と、を含む。第1のスポーク41及び第2のスポーク42のいずれも、その延在方向は、タイヤ周方向Cに沿った方向で見た場合において、タイヤ径方向Xとは平行ではない。第1のスポーク41は、タイヤ軸方向すなわちタイヤ幅方向Yの一方側へ傾斜している。第2のスポーク42は、第1のスポーク41とは反対側へ傾斜している。第1のスポーク41と第2のスポーク42とは、タイヤ周方向Cに交互に配置されている。
図2及び図3に示すように、第1のスポーク41は、全体的に、外側環状部30のタイヤ幅方向Yの一方側であるY1側から、内側環状部20のタイヤ幅方向Yの他方側であるY2側へ向かって傾斜して延びている。第2のスポーク42は、全体的に、外側環状部30のタイヤ幅方向Yの他方側であるY2側から、内側環状部20のタイヤ幅方向Yの一方側であるY1側へ向かって傾斜して延びている。
第1のスポーク41及び第2のスポーク42の傾斜角度は同じである。このため、タイヤ周方向Cに隣接する第1のスポーク41と第2のスポーク42とは、タイヤ周方向Cに沿う方向から見た場合、略X字状に配置されている。図2に示すように、第1のスポーク41及び第2のスポーク42は、タイヤ幅方向Yに対して角度θで傾斜しており、その角度θは、例えば例えば39°以上49°以下が好ましい。
図2に示すように、タイヤ周方向Cに沿う方向から見た状態での第1のスポーク41及び第2のスポーク42のそれぞれは、タイヤ赤道面Eに対して対称な同一形状である。したがって、以下においては、第1のスポーク41及び第2のスポーク42を区別する必要がなく、まとめて説明できる場合には、第1のスポーク41及び第2のスポーク42を、スポーク40と総称する。
スポーク40は板状であって、内側環状部20から外側環状部30に向けて、上記のように角度θの角度で斜めに延びている。図3に示すように、スポーク40は、その厚みである板厚tが、板幅wよりも小さい。板厚tの方向は、タイヤ周方向Cに沿っている。すなわち、スポーク40は、タイヤ径方向X及びタイヤ幅方向Yの面内に沿って延びる板状に形成されている。なお、ここでいう板幅wは、図2にも示すように、スポーク40をタイヤ周方向Cに沿う方向から見た場合での、スポーク40が延在する傾斜方向に直交する方向の寸法である。
図4は、タイヤ1を側方から見た場合の1つのスポーク40の側面図である。図4に示すように、本実施形態のスポーク40の板厚tは、内側環状部20側の一端部である内側端部40aから外側環状部30側の他端部である外側端部40bにわたり一定である。本実施形態においては、全てのスポーク40の板厚tは同じである。また、全てのスポーク40の板幅wは同じである。
スポーク40は長尺板状であるため、板厚tを薄くしても、板幅wを広く設定することによってスポーク40の耐久性を向上させることができる。さらに、板厚tを薄くしてスポーク40の数を増やすことにより、非空気圧タイヤ1全体の剛性を維持しつつ、タイヤ周方向Cに隣接するスポーク40の間の間隔を小さくできる。これによって、スポーク40によるタイヤ転動時の接地圧が分散し、接地圧を小さくできる。
なお、本実施形態のスポーク40は側面視においてタイヤ径方向Xと平行であるが、スポーク40は側面視においてタイヤ径方向Xと交差するようにタイヤ径方向Xに対し斜めに配置されてもよい。
図2及び図3に示すように、第1のスポーク41は、内側環状部20のタイヤ幅方向Y2側に接続する第1の内側接続部411と、外側環状部30のタイヤ幅方向Y1側に接続する第1の外側接続部412と、を有する。第2のスポーク42は、内側環状部20のタイヤ幅方向Y1側に接続する第2の内側接続部421と、外側環状部30のタイヤ幅方向Y2側に接続する第2の外側接続部422と、を有する。
図2に示すように、第1のスポーク41の第1の内側接続部411は、内側環状部20に近付くにつれてタイヤ幅方向Yに沿って広がる形状を有している。第1の内側接続部411のタイヤ幅方向Y2側の側面411aは、内側環状部20のタイヤ幅方向Y2側の端部20bまでなだらかに湾曲しながら延びている。第1の内側接続部411のタイヤ幅方向Y1側の側面411bは、内側環状部20のタイヤ赤道面Eの位置までタイヤ幅方向Y1側に向かって湾曲して延びている。以下では、この湾曲する側面411bを、内側R部411Rという場合がある。
第1のスポーク41の第1の外側接続部412は、第1の内側接続部411と同様の形状であって、外側環状部30に近付くにつれてタイヤ幅方向に沿って広がる形状を有している。第1の外側接続部412のタイヤ幅方向Y1側の側面412aは、外側環状部30のタイヤ幅方向Y1側の端部30aまでなだらかに湾曲しながら延びている。第1の外側接続部412のタイヤ幅方向Y2側の側面412bは、外側環状部30のタイヤ赤道面Eの位置までタイヤ幅方向Y2側に向かって湾曲して延びている。以下では、この湾曲する側面412bを、外側R部412Rという場合がある。
第1の内側接続部411は、内側環状部20のタイヤ幅方向Y2側の半分の領域に設けられている。第1の外側接続部412は、外側環状部30のタイヤ幅方向Y1側の半分の領域に設けられている。
図2に示すように、第2のスポーク42の第2の内側接続部421は、内側環状部20に近付くにつれてタイヤ幅方向Yに沿って広がる形状を有している。第2の内側接続部421のタイヤ幅方向Y1側の側面421aは、内側環状部20のタイヤ幅方向Y1側の端部20aまでなだらかに湾曲しながら延びている。第2の内側接続部421のタイヤ幅方向Y2側の側面421bは、内側環状部20のタイヤ赤道面Eの位置までタイヤ幅方向Y2側に向かって湾曲して延びている。以下では、この湾曲する側面421bを、内側R部421Rという場合がある。
第2のスポーク42の第2の外側接続部422は、第2の内側接続部421と同様の形状であって、外側環状部30に近付くにつれてタイヤ幅方向に沿って広がる形状を有している。第2の外側接続部422のタイヤ幅方向Y2側の側面422aは、外側環状部30のタイヤ幅方向Y2側の端部30bまでなだらかに湾曲しながら延びている。第2の外側接続部422のタイヤ幅方向Y1側の側面422bは、外側環状部30のタイヤ赤道面Eの位置までタイヤ幅方向Y1側に向かって湾曲して延びている。以下では、この湾曲する側面422bを、外側R部422Rという場合がある。
第2の内側接続部421は、内側環状部20のタイヤ幅方向Y1側の半分の領域に設けられている。第2の外側接続部422は、外側環状部30のタイヤ幅方向Y2側の半分の領域に設けられている。
上述したように、実施形態の全てのスポーク40の板厚tは同じである。板厚tの寸法は、スポーク40が内側環状部20及び外側環状部30からの回転力を十分受けつつ、荷重を受けた際には適度に撓み変形が可能な寸法が望ましい。
実施形態においてスポーク40の板厚tの最小値は、9.8mm以上10.5mm以下である。また、実施形態においては、スポーク40の板厚tの「最小値+最大値」は、21.5mm未満であることが好ましい。実施形態のスポーク40は板厚tが一定であることから、その板厚tは、最大で10.75mm未満であることが好ましい。
なお、スポーク40は、図5に示すように、タイヤ側面視において内側端部40aから外側端部40bに向かうにつれてしだいに大きくなるテーパ形状を有していてもよい。図5に示すスポーク40は、外周側が内周側よりも厚くなっている態様であって、内側端部40aから外側端部40bに向かうにつれて板厚tがしだいに大きくなっている。
このようにスポーク40の側面視がテーパ状である場合、板厚tの最小値である最も薄い内側端部40aの板厚t1が、9.8mm以上10.5mm以下とされる。また、その最小値t1と、板厚tの最大値である最も厚い外側端部40bの板厚t2との合計値「t1+t2」が、21.5mm未満であることが好ましい。例えば、内側端部40aの板厚t1が10mmの場合、外側端部40bの板厚t2は最大で11.5mm未満であることが好ましい。
上述したように、本実施形態の全てのスポーク40の板幅wは同じである。スポーク40の板幅wは特に限定されないが、内側環状部20及び外側環状部30からの回転力を十分受けつつ、荷重を受けた際には適度に撓み変形が可能なようにする上で、5mm以上25mm以下であることが好ましく、10mm以上20mm以下であることがより好ましい。また、板幅wは、耐久性を向上させつつ接地圧を分散させ得る観点から、板厚tの110%以上であることが好ましく、115%以上であることがより好ましい。
スポーク40の数としては、車両からの荷重を十分支持しつつ、軽量化が可能で、動力伝達性及び耐久性の向上をともに図ることを可能とする観点から、80個以上300個以下であることが好ましく、100個以上200個以下であることがより好ましい。
複数のスポーク40のタイヤ周方向Cの間隔は、例えば、1.0mm以上4.1mm以下で設定されることが好ましい。なお、実施形態では、複数のスポーク40のタイヤ周方向Cの間隔は等しいが、不等間隔であってもよい。
スポーク40は、下記に挙げる弾性材料によって形成することができる。まず、その弾性材料の特性としては、十分な耐久性を確保しながら、適度な剛性を付与する観点から、JIS K7312:1996に準じて行う引張試験を行い、10%伸び時の引張応力から算出した引張モジュラスが、3MPa以上12MPa以下が好ましい。
スポーク40において、10%伸び時の引張応力から算出した引張モジュラスが3MPaを下回る場合、十分な剛性が得られず、タイヤ周方向Dに隣接するスポーク40どうしが接触する可能性がある。一方、10%伸び時の引張応力から算出した引張モジュラスが12MPaを上回る場合、過度に剛性が高くなり、乗り心地が悪化する。
スポーク40の母材として用いられる弾性材料としては、熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマー、ポリ塩化ビニルエラストマー、ポリウレタンエラストマー等が例示される。
架橋ゴムを構成するゴム材料としては、天然ゴム及び合成ゴムのいずれを使用することもできる。合成ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(水添NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム、シリコンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等が例示される。これらのゴム材料は、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
その他の樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
スポーク40には、上記の弾性材料のうち、成形、加工性及びコストの観点から、ポリウレタン樹脂が好ましく用いられる。なお、弾性材料としては、発泡材料を使用することもできる。すなわち、上記の熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂を発泡させたものを使用することができる。
なお、スポーク40の母材として用いられる弾性材料は、補強繊維により補強されていてもよい。補強繊維としては、長繊維、短繊維、織布、不織布等が挙げられる。補強繊維の種類としては、レーヨンコード、ナイロン-6,6等のポリアミドコード、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルコード、アラミドコード、ガラス繊維コード、カーボンファイバー、スチールコード等が挙げられる。
なお、弾性材料の補強は、補強繊維による補強に限らない。例えば、粒状フィラーの添加による補強が行われてもよい。添加される粒状フィラーとしては、カーボンブラック、シリカ、アルミナ等のセラミックス、その他の無機材料のフィラー等が挙げられる。
ところで、上述した内側環状部20及び外側環状部30は、スポーク40と同じ樹脂材料で形成されると好ましく、その場合には、例えば注型成形法によって、内側環状部20、外側環状部30及びスポーク40を一体成形することができる。
トレッド50は、外側環状部30の外周面に設けられている。トレッド50は、非空気圧タイヤ1の最外周部分を構成する。図2に示すように、トレッド50は、トレッドゴム51を含む。トレッドゴム51は、路面に接地する踏面51aを外周面に有する。トレッドゴム51のゴム材料としては、特にその種類に制限はなく、車両用タイヤのトレッドを構成するゴムとしての一般的な加硫ゴム等を使用することができる。トレッドゴム51の踏面51aには、従来の空気入りタイヤと同様にして、複数の溝及び陸部で形成されるトレッドパターンが設けられる。なお、トレッドゴム51は、成分や特性が異なる複数のゴム層が積層された構成(例えば、2層あるいは3層)でもよい。また、トレッド50は、樹脂で形成されてもよい。
路面に接地する踏面51aには、路面に沿って平坦になる接地領域が生じるが、その接地領域には複数のスポーク40が配置される。実施形態では、その接地領域には、例えば3本以上6本以下のスポーク40が配置される。
なお、本実施形態の非空気圧タイヤ1は、さらに不図示の補強層を備えていてもよい。補強層は、外側環状部30に埋設されていてもよい。あるいは、補強層は、外側環状部30とトレッド50との間に設けられていてもよい。補強層は、タイヤ周方向Cに沿って延びる円筒状の層である。
補強層は、外側環状部30がタイヤ幅方向Yの中央部でタイヤ径方向Xに撓む座屈の発生を抑制するために、タイヤ全周にわたって均等に配置される。補強層は、例えば、スチール製のコードがタイヤ幅方向Yと概ね平行になるように配置されて構成される。補強層として、円筒状の金属製リング、高モジュラス樹脂製リング等が用いられてもよい。例えば、補強層として、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)等の繊維強化プラスチック(FRP)製リングが用いられてもよい。
補強層が設けられることにより、非空気圧タイヤ1の剛性が確保され、路面に対するトレッド50の接地性が向上する。
補強層が設けられることにより、非空気圧タイヤ1の剛性が確保され、路面に対するトレッド50の接地性が向上する。
上記実施形態と同様の構成を備えたFEMによる解析モデルのスポークに縦荷重を与えたときの応力分布を調べたところ、圧縮変形する内側R部(内側R部411Rまたは内側R部421R)の応力値が最も高いことが判明した。なお、縦荷重は、路面に接地する部分におけるスポークが、上方から下方に向けて略長さ方向に沿った方向に受ける荷重である。そこで、解析モデルを用いて、スポークの内側R部に応力がかかって圧縮する際のスポークの縦剛性及び応力値をシミュレーションにより算出した。表1に、解析モデルである試験例1~6の、スポーク本数、スポークの板厚の最小値及び最大値、スポークの板厚の「最小値+最大値」を示す。なお、試験例1~5は、図4に示すような板厚tが一定のスポークであり、試験例6は、図5に示すような側面視がテーパ形状のスポークである。なお、試験例1~6のそれぞれにおいては、内側R部及び外側R部は同じ曲率半径とした。また、試験例1~6のスポークのタイヤ断面高さH及び板幅wは共通とした。
シミュレーションによる試験例1~6の算出結果を表1に併記する。なお、縦剛性は、路面に接地する部分におけるスポークが、上方から下方に向けて略長さ方向に沿った縦荷重を受けたときの剛性の度合いを示し、乗り心地の面から低いほど好ましい。表1の「縦剛性/目標縦剛性」は、目標縦剛性を「1」とした場合の指数評価であり、1を下回るほど好ましい。また、内側R部に生じる応力値は、圧縮による応力集中の度合いを示し、耐久性の面から低いほど好ましい。表1の「応力値/目標応力値」は、目標応力値を「1」とした場合の指数評価であり、1を下回るほど好ましい。また、試験例1~5の「スポークの板厚の最小値」と「内側R部の応力値/目標応力値」との関係を図6に示すようにグラフ化し、試験例1~6の「スポークの板厚の最小値+最大値」と「縦剛性/目標縦剛性」との関係を図7に示すようにグラフ化した。
表1及び図6によれば、板厚が一定のスポーク(試験例1~5)にあっては、板厚が9.75mmを上回ると、内側R部の応力値が目標値よりも小さくなり、内側R部への応力集中が低減する傾向にあることが判る。一方、縦剛性に関しては、板厚が10.5mmを上回ると縦剛性は目標値よりも大きくなる可能性がある。したがって、板厚の最小値が、9.8mm以上10.5mm以下で、応力値及び縦剛性の双方を低い値で両立させることができる。表1及び図7に示すスポークの板厚の「最小値+最大値」に関しては、試験例5のように21.5mmでは縦剛性が目標値を上回り、21.00mmでは目標値内である。したがって、スポークの板厚の「最小値+最大値」は21.5mm未満であることが好ましい。テーパ形状の試験例6は、応力値及び縦剛性の双方を満足している。これは、テーパ形状の場合のスポークの板厚の最小値が比較的小さくても、スポークの板厚の「最小値+最大値」が21.50mm未満の範囲で最大値を大きくすることにより、応力値及び縦剛性の双方を満足することを示唆している。なお、スポークの板厚の「最小値+最大値」は21.00mm以下であることがより好ましい。
図8は、試験例4の解析モデルの第2のスポーク42であって、左側が縦荷重を受ける前の第2のスポーク42を示し、右側が縦荷重を受けている状態の第2のスポーク42を示している。図9は、試験例2の解析モデルの第2のスポーク42であって、左側が縦荷重を受ける前の第2のスポーク42を示し、右側が縦荷重を受けている状態の第2のスポーク42を示している。図8及び図9では、内側R部421Rにかかる応力の大きさを、ドットの領域の大きさで示している。図9に示す試験例2は、図8に示す試験例4と比べて内側R部421Rの応力値が高く、板厚が規定値である9.8mm以上が確保されると、内側R部の圧縮変形の度合いが低くなって応力値も低くなることが推測される。
実施例の結果によれば、上記実施形態においては、板厚の最小値が、9.8mm以上10.5mm以下で、応力値及び縦剛性の双方を低い値で両立させることができ、これにより、タイヤの耐久性を向上できることが判る。
上述した実施形態のタイヤ1によれば、以下の効果を奏する。
(1)実施形態に係るタイヤ1は、内側環状部20と、内側環状部20の外周側に同軸に配置される外側環状部30と、内側環状部20と外側環状部30とを連結し、タイヤ周方向Cに沿って配列される複数のスポーク40と、外側環状部30の外周面に設けられるトレッド50と、を備える非空気圧タイヤであって、スポーク40のタイヤ周方向の厚みである板厚tの最小値が、9.8mm以上10.5mm以下である。
これにより、スポーク40の板厚tを適正な厚みに設定することができ、スポーク40にかかる応力集中を低減して耐久性の低減を抑制できる。スポーク40の板厚tの増大を抑えることにより、スポーク40が路面に踏み込む際に生じる路面打撃音に起因するノイズが抑制され、静粛性と剛性確保の両立が図られる。
(2)実施形態に係るタイヤ1においては、スポーク40のタイヤ周方向Cの厚みである板厚tの「最小値+最大値」が21.5mm未満であることが好ましい。
これにより、スポーク40の板厚tの最小値が比較的小さくてもスポーク40にかかる応力を低減できるため、耐久性の低減を抑制できる。
(3)実施形態に係るタイヤ1においては、スポーク40のタイヤ周方向Cの厚みである板厚tは、タイヤ径方向Xの一端部である内側端部40aから他端部である外側端部40bにわたり一定である形態を含む。
これにより、一定厚みのスポーク40の板厚tを適正な厚みに設定することができ、スポーク40にかかる応力集中を低減して耐久性の低減を抑制できる。
(4)実施形態に係るタイヤ1においては、スポーク40のタイヤ周方向Cの厚みである板厚tは、タイヤ径方向Xの一端部である内側端部40aから他端部である外側端部40bに向かうにつれてしだいに大きくなっている形態を含む。
これにより、スポーク40の板厚tの最小値が比較的小さくてもスポーク40にかかる応力を低減できるため、耐久性の低減を抑制できる。
(5)実施形態に係るタイヤ1においては、スポーク40は、タイヤ軸方向の一方側へ傾斜する第1のスポーク41と、第1のスポーク41とは反対側に傾斜する第2のスポーク42と、を含み、第1のスポーク41と第2のスポーク42とが、タイヤ周方向Cに交互に配置されていることが好ましい。
これにより、第1のスポーク41及び第2のスポーク42は、タイヤ周方向Cに沿った方向から見た場合に略X字状に配置される。第1のスポーク41及び第2のスポーク42は、それぞれがタイヤ軸方向に傾斜しているため過度に剛性が高くなることが抑えられ、乗り心地の向上が図られる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で変形、改良などを行っても、本発明の範囲に含まれる。
例えば、実施形態のスポーク40は、タイヤ周方向Cに沿う方向から見て略X字状に交差する第1のスポーク41及び第2のスポーク42を含むが、スポーク40はこれに限らず、タイヤ径方向Xに真っ直ぐ延びる板状の部分で構成されてよい。
1 非空気圧タイヤ
20 内側環状部
30 外側環状部
40 スポーク
40a スポークの内側端部(一端部)
40b スポークの外側端部(他端部)
50 トレッド
C タイヤ周方向
t 板厚(タイヤ周方向の厚み)
X タイヤ径方向
20 内側環状部
30 外側環状部
40 スポーク
40a スポークの内側端部(一端部)
40b スポークの外側端部(他端部)
50 トレッド
C タイヤ周方向
t 板厚(タイヤ周方向の厚み)
X タイヤ径方向
Claims (5)
- 内側環状部と、
前記内側環状部の外周側に同軸に配置される外側環状部と、
前記内側環状部と前記外側環状部とを連結し、タイヤ周方向に沿って配列される複数のスポークと、
前記外側環状部の外周面に設けられるトレッドと、を備える非空気圧タイヤであって、
前記スポークのタイヤ周方向の厚みの最小値が、9.8mm以上10.5mm以下である、非空気圧タイヤ。 - 前記スポークのタイヤ周方向の厚みにおける「最小値+最大値」が21.5mm未満である、請求項1に記載の非空気圧タイヤ。
- 前記スポークのタイヤ周方向の厚みは、タイヤ径方向の一端部から他端部にわたり一定である、請求項1または2に記載の非空気圧タイヤ。
- 前記スポークのタイヤ周方向の厚みは、タイヤ径方向の一端部から他端部に向かうにつれてしだいに大きくなっている、請求項1または2に記載の非空気圧タイヤ。
- 前記スポークは、
タイヤ軸方向の一方側へ傾斜する第1のスポークと、
前記第1のスポークとは反対側に傾斜する第2のスポークと、を含み、
前記第1のスポークと前記第2のスポークとが、タイヤ周方向に交互に配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の非空気圧タイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021209665A JP2023094277A (ja) | 2021-12-23 | 2021-12-23 | 非空気圧タイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021209665A JP2023094277A (ja) | 2021-12-23 | 2021-12-23 | 非空気圧タイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023094277A true JP2023094277A (ja) | 2023-07-05 |
Family
ID=87001572
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021209665A Pending JP2023094277A (ja) | 2021-12-23 | 2021-12-23 | 非空気圧タイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023094277A (ja) |
-
2021
- 2021-12-23 JP JP2021209665A patent/JP2023094277A/ja active Pending
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