JP2023093154A - 医療用ゴム部品の滅菌方法 - Google Patents

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Yuichiro Matsutani
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Toshiki Onishi
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Abstract

【課題】ガンマ線滅菌後も非溶出特性が維持され、かつ、医療用品の製造工程でトラブルの少ない医療用ゴム部品の滅菌方法を提供することを目的とする。【解決手段】医療用ゴム部品の滅菌方法は、ポリエチレンを含有するエラストマー製の医療用ゴム部品が複数個収容されている医療用ゴム部品の包装体にガンマ線を照射することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本開示は、医療用ゴム部品の滅菌方法に関するものである。
シリンジ、バイアル瓶などの開口部を密封する医療用ゴム栓には、非溶出性、高清浄性、耐薬品性、耐針刺性、自己密封性、高摺動性など多くの項目が必須とされている。医療用ゴム栓に要求される品質特性は、その用途上、第17改正日本薬局方の輸液用ゴム栓試験に準拠すべきである。
例えば、特許文献1には、ハロゲン化ブチルゴム100重量部当り超高分子量ポリエチレン微粉末を5~25重量部配合したハロゲン化ブチルゴムを、亜鉛化合物の不存在下に、2-置換-4,6-ジチオール-s-トリアジン誘導体の少なくとも1種又は有機過酸化物を用いて加硫してなることを特徴とする医薬品容器用ゴム栓が開示されている。
医療用ゴム製品(シリンジ用ガスケットやバイアル栓など)を滅菌保証した状態で納入するレディトウユース(RTU:READY TO USE)の要求が高まっている。滅菌保証方法として、高圧蒸気滅菌、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌、ガンマ線滅菌がある。ガンマ線滅菌は、医療用ゴム製品を包装したまま滅菌できるので、包装を開封せずに納入できるメリットがある。EOG滅菌は、環境問題もあり、ガンマ線滅菌へ切り替わる傾向がある。
ガンマ線滅菌は、吸収線量の設定と実測値で滅菌保証している。複数個の医療用ゴム部品を包装袋へ袋詰めして、ガンマ線滅菌する場合、包装袋内で医療用ゴム部品の偏りが生じる場合がある。そのため、包装袋に所定の照射線量でガンマ線を照射しても、包装袋内でガンマ線の吸収線量のバラツキが生じて、ガンマ線の吸収線量が低くなるものと、ガンマ線の吸収線量が高くなるものが生じる。しかしながら、医療用ゴム部品のそれぞれについて滅菌できる最低吸収線量を確保する必要があり、包装袋には、最低吸収線量以上のガンマ線を照射する必要がある。そのため、包装袋の中には、ガンマ線滅菌時に過剰のガンマ線を吸収する医療用ゴム部品が生じる。
特許文献2には、イソブチレン共重合体を主成分とし、密度が0.95以下である、ゴム組成物であって放射線処理が容易な医療用ゴム栓又は医療用ゴム製品に用いるゴム組成物又はその架橋体が開示されている。
特許文献3には、医薬品容器の栓を始めとするエラストマー製の部品(1)を包装する方法であって、空気を実質上通さない材質の1次袋(10)の中に部品(1)を詰めるステップと、前記1次袋(10)の中に、少なくとも80%が窒素の雰囲気を適用するステップとを含み、前記1次袋(10)を2次袋(20)の中に入れ、前記1次袋(10)と前記2次袋(20)との間を真空状態にすることを特徴とする方法が開示されている。
特開平10-179690号公報 特開2002-301133号公報 特表2017-531604号公報
医療用ゴム部品にガンマ線を照射して滅菌すると、医療用ゴム部品を構成するポリマーの切断と架橋が同時に起こる。過剰のガンマ線を吸収すると、医療用ゴム部品を構成するポリマー主鎖の切断が促進されて、低分子成分が生成する。そのため、ガンマ線滅菌後の医療用ゴム部品の溶出性能が悪化する。また、切断した低分子成分がゴム部品表面にブリードアウトし、医療用ゴム部品同士が密着することによって、医療用品の製造工程で用いられるバーツフィーダ詰まりのトラブルが発生する。
過剰のガンマ線を吸収することに備えて、医療用ゴム部品に酸化防止剤を配合することも考えられるが、酸化防止剤の添加は、溶出特性の低下、薬剤への悪影響が懸念される。
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ガンマ線滅菌後も非溶出特性が維持され、かつ、医療用品の製造工程でトラブルの少ない医療用ゴム部品の滅菌方法を提供することを目的とする。
本開示の医療用ゴム部品の滅菌方法は、ポリエチレンを含有するエラストマー製の医療用ゴム部品が複数個収容されている医療用ゴム部品の包装体にガンマ線を照射することを特徴とする。
本開示によれば、ガンマ線滅菌後も非溶出特性が維持され、医療用品の製造工程でトラブルの少ない医療用ゴム部品の滅菌方法を提供できる。
本開示の医療用ゴム部品の包装態様の一例を模式的に示す説明図。 本開示の医療用ゴム部品の包装態様の別の一例を模式的に示す説明図。 本開示の医療用ゴム部品の粘着試験方法を模式的に示す説明図。
本開示の医療用ゴム部品の滅菌方法は、ポリエチレンを含有するエラストマー製の医療用ゴム部品が複数個収容されている医療用ゴム部品の包装体にガンマ線を照射することを特徴とする。
ガンマ線としては、例えば、コバルト60やセシウム137などから放射されるガンマ線を挙げることができ、コバルト60から放射されるガンマ線が好適である。
ガンマ線照射は、医療用ゴム部品のガンマ線の吸収線量が実際の滅菌バリデーション手順で確立される。通常の医療機器では15kGyを最小吸収線量として運用している場合は多い。包装体内の全ての医療用ゴム部品のガンマ線の吸収線量が15kGy以上となるようにするためのガンマ線の照射線量は、包装体内の医療用ゴム部品の個数及び入り方等によって変動することになるが、一般的には15kGyの1.4倍以上、2.0倍以下の範囲の線量で照射される。同様に、20kGyを最小吸収線量とする場合には、20kGyの1.4倍以上、2.0倍以下の範囲の線量で照射され、25kGyを最小吸収線量とする場合には、25kGyの1.4倍以上、2.0倍以下の範囲の線量で照射される。なお、ガンマ線の吸収線量は、被照射体に、線量測定計を取り付けることにより確認することができる。
ガンマ線照射前の医療用ゴム部品を収容する包装体は、酸素濃度が5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。包装体中の酸素濃度を5%以下とすることにより、ガンマ線照射による医療用ゴム部品の劣化を抑制することができるからである。
包装体中の酸素濃度を5%以下にする方法としては、包装体中の空気を不活性ガスで置換する方法、包装体に脱酸素剤を収容する方法を挙げることができる。
前記不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス、或いは、窒素ガスなどを挙げることができる。
前記脱酸素剤としては、鉄系の脱酸素剤エージレス(市販品)などを挙げることができる。
医療用ゴム部品を収容する包装体としては、ガンマ線を照射することができるものであれば、特に限定されない。包装体としては、袋、箱などの形状を挙げることができる。包装袋としては、例えば、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂フィルムまたはアルミニウムから形成された包装袋を挙げることができる。包装袋は、密閉できるものが好ましい。包装箱としては、特に限定されないが、紙箱、段ボール箱などを挙げることができる。
前記包装体としては、通気性を有する包装体と、非通気性(ガス密封性)を有する包装体とを挙げることができ、これらを組み合わせて使用することも好ましい。
医療用ゴム部品のガンマ線照射は、例えば、複数個の医療用ゴム部品が収容されている1次包装体(例えば、包装袋)が、さらに複数個収容されている包装体(例えば、ダンボール箱)に対して行ってもよい。
図1は、ガンマ線照射する包装態様の一例を模式的に示す説明図である。図1に示した態様では、複数個の医療用ゴム部品1が収容されている1次包装体3が、さらに2次帯電防止包装体5と3次帯電防止包装体7に収容されている。1次包装体3としては、通気性を有するものが好ましく、2次帯電防止包装体5および3次帯電防止包装体7は、ガスを密封できるものが好ましい。2次帯電防止包装体5と3次帯電防止包装体7は、それぞれヒートシール9により密封されることが好ましい。脱酸素剤11を使用する場合は、1次包装体3と2次包装体5との間に脱酸素剤11を配置して、脱酸素剤11が医療用ゴム部品1に直接接しないようにすることが好ましい。脱酸素剤11を2次包装体5に配置することにより、2次包装体5および1次包装体3内の酸素濃度5%以下にすることができる。複数個の前記3次帯電防止包装体7を4次包装体(例えば、段ボール箱)に収容して、ガンマ線照射を行うことができる。
図2は、ガンマ線照射する包装態様の別の一例を模式的に示す説明図である。図2に示した態様では、複数個の医療用ゴム部品1が収容されている1次包装体3が、さらに2次帯電防止包装体5と3次帯電防止包装体7に収容されている。2次帯電防止包装体5と3次帯電防止包装体7は、それぞれヒートシール9により密封されることが好ましい。1次包装体3としては、通気性を有するものが好ましく、2次帯電防止包装体5および3次帯電防止包装体7は、ガスを密封できるものが好ましい。1次包装体3が収容された2次包装体5内には、不活性ガスが充填されている。不活性ガスを充填することにより、2次包装体5および1次包装体3内の酸素濃度5%以下にすることができる。複数個の前記3次帯電防止包装体7を4次包装体(例えば、段ボール箱)に収容して、ガンマ線照射を行うことができる。
なお、ガンマ線照射に際しては、複数個の医療用ゴム部品が収容されている包装体は、例えば、アルミ合金製の収納容器に収納された状態で、ガンマ線を照射することが好ましい。
本開示の医療用ゴム部品としては、例えば、液剤、粉末製剤、凍結乾燥製剤等の各種薬剤用の容器(例えば、バイアル瓶)のゴム栓やシール部材、真空採血管用ゴム栓、プレフィルドシリンジ用のプランジャストッパー、あるいはノズルキャップなどの摺動もしくはシール部品等が挙げられる。
本開示の滅菌処理を行う医療用ゴム部品は、ポリエチレンを含有するエラストマー製である。前記エラストマーは、(a)ハロゲン化ブチルゴムを含有する基材ポリマーと、(b)ポリエチレンと、(c)架橋剤としてトリアジン誘導体とを含有する医療用ゴム組成物の硬化物であることが好ましい。以下、本開示の医療用ゴム組成物が含有する原料について説明する。
まず、(a)ハロゲン化ブチルゴムを含有する基材ポリマーについて説明する。ハロゲン化ブチルゴムとしては、例えば、塩素化ブチルゴム、および、臭素化ブチルゴム、イソブチレンとp-メチルスチレンの共重合体ゴムの臭素化物(臭素化イソブチレンパラメチレンスチレン共重合体ゴム)などが挙げられる。
前記ハロゲン化ブチルゴムとしては、塩素化ブチルゴムまたは臭素化ブチルゴムが好ましい。前記塩素化ブチルゴムまたは臭素化ブチルゴムは、例えば、ブチルゴム中のイソプレン構造部分、具体的には二重結合および/または二重結合に隣接する炭素原子に塩素または臭素を付加または置換反応させたものである。なお、ブチルゴムは、イソブチレンと少量のイソプレンとを重合して得られる共重合体である。
ハロゲン化ブチルゴム中のハロゲン含有率は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましく、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
前記塩素化ブチルゴムの具体例としては、例えば日本ブチル社製のCHLOROBUTYL1066〔安定剤:NS、ハロゲン含量率:1.26%、ムーニー粘度:38ML1+8(125℃)、比重:0.92〕;LANXESS社製のLANXESS X_BUTYL CB1240等の少なくとも1種が挙げられる。
前記臭素化ブチルゴムの具体例としては、例えば日本ブチル社製のBROMOBUTYL2255〔安定剤:NS、ハロゲン含量率:2.0%、ムーニー粘度:46ML1+8(125℃)、比重:0.93〕;LANXESS社製のLANXESS X_BUTYL BBX2等の少なくとも1種が挙げられる。
前記(a)基材ポリマーは、ハロゲン化ブチルゴム以外のゴム成分を含有してもよい。他のゴム成分としては、例えば、ブチル系ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムなどのニトリル系ゴム、水素化ニトリル系ゴム、ノルボルネンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、アクリルゴム、エチレン・アクリレートゴム、フッ素ゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、フォスファンゼンゴムまたは1,2-ポリブタジエン等が挙げられる。これらは1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて用いてよい。
他のゴム成分を使用する場合、(a)基材ポリマー中のハロゲン化ブチルゴムの含有率は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましい。また、(a)基材ポリマーがハロゲン化ブチルゴムのみからなることも好ましい態様である。
本開示の医療用ゴム組成物は、(b)ポリエチレンを含有する。ポリエチレンは、(a)基材ポリマーよりも、ガンマ線を吸収しやすく、ガンマ線照射による(a)基材ポリマーの鎖の切断を防ぐ効果がある。また、結晶化度の低いポリエチレンは、枝鎖を持ち、ガンマ線照射によっても主鎖が切断されずに、架橋が進むと考えられる。その結果、医療用ゴム組成物の溶出性能が向上すると考えられる。
このような観点から、本開示で使用する(b)ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)あるいは、低密度ポリエチレン(LDPE)を挙げることができる。高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)は、それぞれ単独で使用してもよいし、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)とを併用してもよい。
高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)とを併用する場合、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)との質量比(HDPE/LDPE)は、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、1.0以上がさらに好ましく、5.0以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.0以下がさらに好ましい。高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)との質量比(HDPE/LDPE)が、前記範囲内であれば、ガンマ線照射時のラジカル吸収効果及びゴムの適正な硬さを確保することができるからである。
(b)前記ポリエチレンは、結晶化度が70%以下のポリエチレンを含有することが好ましい。
高密度ポリエチレン(HDPE)の結晶化度は、60%~80%であることが好ましく、60%~75%であることがより好ましく、60%~70%であることがさらに好ましい。低密度ポリエチレン(LDPE)の結晶化度は30%~50%であることが好ましく、30%~45%であることがより好ましく、30%~40%であることがさらに好ましい。ポリエチレンの結晶化度が前記範囲内であれば、ガンマ線照射で発生したラジカルを有効に吸収し、ポリマー主鎖の切断を防ぐこととなるからである。
(b)ポリエチレンの結晶化度は、以下の式により決定される。
結晶化度(%)=(測定融解熱量(J/g)/完全結晶体融解熱量(J/g))×100
完全結晶体融解熱量(J/g)は、293J/g(文献値)であり、100%結晶時のポリエチレンの融解熱量である。ポリエチレンの融解熱量の測定方法については、後述する。
(b)前記ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレンが好ましい。高密度ポリエチレンの密度(g/cm)は、0.930~0.960が好ましく、0.930~0.950がより好ましい。低密度ポリエチレンの密度(g/cm)は、特に限定されないが、0.910~0.925が好ましく、0.910~0.920がより好ましい。
(b)前記ポリエチレンとしては、微粉末状のものを使用することが好ましい。前記微粉末状のポリエチレンの体積平均粒子径は、10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましく、200μm以下が好ましく、160μm以下がより好ましく、120μm以下がさらに好ましい。微粉末状のポリエチレンの粒子径が、前記範囲内であると、ポリマー内に均一に混入及び分散がしやすくなるからである。
(b)前記ポリエチレンの配合量は、(a)基材ポリマー100質量部に対して、3質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることがさらに好ましく、30質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましい。(b)ポリエチレンの配合量が前記範囲内であれば、ガンマ線照射時に発生したラジカルを有効に吸収し、ポリマー主鎖の切断を防止できるからである。
本開示の医療用ゴム組成物は、(c)架橋剤として、トリアジン誘導体を含有することが好ましい。
前記トリアジン誘導体は、ハロゲン化ブチルゴムに対して、架橋剤として作用する。前記トリアジン誘導体としては、例えば一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023093154000001
[式中、Rは、-SH、-OR、-SR、-NHRまたは―NR(R、R、R、RおよびRは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基またはシクロアルキル基を示す。RおよびRは、同一であっても異なっていてもよい。)である。MおよびMは、H、Na、Li、K、1/2Mg、1/2Ba、1/2Ca、脂肪族1級アミン、2級アミンもしくは3級アミン、第4級アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。MおよびMは、同一または異なってもよい。]
一般式(1)において、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、1,1-ジメチルプロピル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、またはドデシル基等の炭素数1~12のアルキル基が挙げられる。アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、2-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、または2-ペンテニル基等の炭素数1~12のアルケニル基が挙げられる。アリール基としては、単環式または縮合多環式芳香族炭化水素基が挙げられ、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基またはアセナフチレニル基等の炭素数6~14のアリール基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、2,2-ジフェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、4-フェニルブチル基、5-フェニルペンチル基、2-ビフェニリルメチル基、3-ビフェニリルメチル基または4-ビフェニリルメチル基等の炭素数7~19のアラルキル基が挙げられる。アルキルアリール基としては、例えばトリル基、キシル基またはオクチルフェニル基等の炭素数7~19のアルキルアリール基が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基またはシクロノニル基等の炭素数3~9のシクロアルキル基等が挙げられる。
一般式(1)で表されるトリアジン誘導体の具体例としては、例えば2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-メチルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、2-(n-ブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、2-オクチルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、2-プロピルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、2-ジアリルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、2-ジメチルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、2-ジブチルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、2-ジ(iso-ブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、2-ジプロピルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、2-ジ(2-エチルヘキシル)アミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、2-ジオレイルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、2-ラウリルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンもしくは2-アニリノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、またはこれらのナトリウム塩もしくはジナトリウム塩が挙げられる。
これらのなかでも、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-ジアルキルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、2-アニリノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンが好ましく、入手の容易さから2-ジブチルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンが特に好ましい。
また、トリアジン誘導体としては、例えば、6-[ビス(2-エチルへキシル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、6-ジイソブチルアミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、6-ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、6-ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール・モノナトリウム、6-アニリノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオール等の1種または2種以上が挙げられる。
本開示において、トリアジン誘導体としては1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本開示の医療用ゴム組成物中の(c)前記トリアジン誘導体の含有量は、(a)基材ポリマー成分100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることがさらに好ましく、2.0質量部以下であることが好ましく、1.4質量部以下であることがより好ましく、1.2質量部以下であることがさらに好ましい。(c)前記トリアジン誘導体の含有量が、前記範囲内であれば、良好なゴム物性(硬度、引張、Cset)と溶出性能と加工性(ヤケの少ない)の良いゴムを得ることができるからである。
本開示の医療用ゴム組成物は、加硫促進剤を含まないことが好ましい。最終製品のゴム製品中に加硫促進剤が残存して、シリンジやバイアル瓶中の薬液へ溶出する場合があるからである。前記加硫促進剤としては、例えば、グアニジン系促進剤(例:ジフェニルグアニジン)、チウラム系促進剤(例:テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド)、ジチオカルバミン酸塩系促進剤(例:ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)、チアゾール系促進剤(例:2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド)、スルフェンアミド系促進剤(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド)が挙げられる。
本開示の医療用ゴム組成物は、ハイドロタルサイトを含有してもよい。ハイドロタルサイトは、ハロゲン化ブチルゴムの架橋時にスコーチ防止剤として、また、医療用ゴム部品の圧縮永久ひずみが大きくなるのを防止するためにも機能する。さらにハイドロタルサイトは受酸剤として、ハロゲン化ブチルゴムの架橋時に発生する塩素系ガスや臭素系ガスを吸収して、これらのガスによる架橋阻害等の発生を防止するためにも機能する。なお、先述した酸化マグネシウムも受酸剤として機能しうる。
ハイドロタルサイトとしては、例えば、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO、Mg4.5Al(OH)13CO、MgAl(OH)12CO・3.5HO、MgAl(OH)16CO・4HO、MgAl(OH)14CO・4HO、MgAl(OH)10CO・1.7HO等のMg-Al系ハイドロタルサイト等の1種または2種以上が挙げられる。
ハイドロタルサイトの具体例としては例えば協和化学工業社製のDHT-4A(登録商標)-2等が挙げられる。
本開示の医療用ゴム組成物において、ハイドロタルサイトを受酸剤として用いる場合、MgOとセットで用いることが好ましい。この場合、ハイドロタルサイトの配合量は、受酸剤(ハイドロタルサイトとMgO)の総量で考えることが好ましい。受酸剤(ハイドロタルサイトとMgO)としての含有量総量は、(a)基材ポリマー成分100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。受酸剤(ハイドロタルサイトとMgO)の含有量総量が、前記範囲内であれば、金型等への錆発生を抑制し、原料自体が白点異物となる不具合を減らすことができるからである。
本開示の医療用ゴム組成物は、共架橋剤を含有してもよい。前記共架橋剤は、多官能(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。前記多官能(メタ)アクリレート化合物は、二官能以上の(メタ)アクリレート系化合物であることがより好ましく、三官能以上の(メタ)アクリレート系化合物であることがさらに好ましく、八官能以下の(メタ)アクリレート系化合物であることが好ましく、六官能以下の(メタ)アクリレート系化合物であることが好ましい。二官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を少なくとも2個有する化合物を挙げることができる。なお、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および/または「メタクリレート」を意味する。
二官能以上の(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。共架橋剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示の医療用ゴム組成物には、(d)充填剤を配合してもよい。(d)前記充填剤としては、例えば、シリカ、クレー、タルクなどの無機充填剤が挙げられる。前記充填剤としては、クレーまたはタルクがさらに好ましい。前記充填剤は、医療用ゴム部品のゴム硬さを調整するために機能するとともに、増量材として医療用ゴム部品の生産コストを低減させるためにも機能する。
前記クレーとしては、焼成クレーやカオリンクレーを挙げることができる。前記クレーの具体例としては、例えばHOFFMANN MINERAL(ホフマンミネラル)社製のSILLITIN(登録商標)Z、ENGELHARD(エンゲルハード)社製のSATINTONE(登録商標)W、土屋カオリン工業社製のNNカオリンクレー、イメリス スペシャリティーズ ジャパン社製のPoleStar200Rなどが挙げられる。
前記タルクの具体例としては、例えば竹原化学工業社製のハイトロンA、日本タルク社製のMICRO ACE(登録商標)K-1、イメリス・スペシャリティーズ・ジャパン社製のミストロン(登録商標)ベーパー等が挙げられる。
本開示の医療用ゴム組成物には、さらに、酸化チタンやカーボンブラックなどの着色剤、加工助剤、架橋活性剤としてのポリエチレングリコール、可塑剤(例えば、パラフィンオイル)等を適宜の割合で配合してもよい。
本開示の医療用ゴム組成物は、(a)ハロゲン化ブチルゴムを含有する基材ポリマーと、(b)ポリエチレンと、(c)架橋剤としてトリアジン誘導体と、その他必要に応じて加える配合材料とを混練することにより得られる。混練は、例えば、オープンロール、密閉式ニーダーなどを用いて行うことができる。混練物は、リボン状、シート状、ペレット状などに成形することが好ましく、シート状に成形することがより好ましい。
リボン状、シート状、ペレット状の混練物をプレス成型することにより、所望の形状の医療用ゴム部品が得られる。プレス時に医療用ゴム組成物の架橋反応が進行する。成形温度は、例えば、130℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましく、200℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましい。成形時間は、2分間以上が好ましく、3分間以上がより好ましく、60分間以下が好ましく、30分間以下がより好ましい。成形圧力は、0.1MPa以上が好ましく、0.2MPa以上がより好ましく、10MPa以下が好ましく、8MPa以下がより好ましい。
プレス成型後の成形品から、不要部分を切除、除去して所定の形状にする。得られた成形品を、洗浄、乾燥、および、包装して、医療用ゴム部品が製造される。
また医療用ゴム部品には、樹脂フィルムが積層され、一体化されていてもよい。樹脂フィルムとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、およびこれらの変性体や、超高密度ポリエチレン(UHMWPE)等の不活性樹脂のフィルムが挙げられる。
樹脂フィルムは、例えばシート状としたゴム組成物上に重ねた状態でプレス成形することにより、プレス成形後によって形成される医療用ゴム部品と一体化すればよい。
以下、本開示を実施例によって詳細に説明するが、本開示は、下記実施例によって限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本開示の範囲内に含まれる。
[医療用ゴム組成物の調製]
表1に示した各成分のうち架橋成分以外の成分を配合して10L加圧式密閉ニーダーを用いて充填率75%で混練し、室温で熟成後、架橋成分を加えてオープンロールで混練してゴム組成物を調製した。
[医療用ゴム栓の製造]
前記のゴム組成物をシート状に成形し、上型と下型で挟んで180℃で10分間、真空プレス成形して、フランジ径:19.0mm、脚部径:13.2mm、フランジ穿刺部の厚み:2.5mmの凍結乾燥注射剤のバイアル用のゴム栓を上記シート1枚の上に複数個、連続形成した。次いで上記シートの両面にシリコーン系潤滑コート剤を塗布したのち外観検査、打ち抜き、洗浄、滅菌、乾燥の各工程を経てゴム栓を製造した。製造したゴム栓を溶出物試験及び粘着試験に使用した。
Figure 2023093154000002
使用した配合材料の詳細は以下の通りである。
ブチル化ゴム:エクソンモービル社製HT-1066(塩素含有率:1.26wt%)
ポリエチレン1:三井化学(株)製のミペロンXM-220(結晶化度69%)
ポリエチレン2:住友精化(株)製フローセンUF20S(結晶化度35%)
トリアジン誘導体:三協化成社製ジスネットDB
タルク:イメリススペシャリティーズ社製ミストロンベーパー
ハイドロタルサイト:協和化学工業社製アルカマイザー1
酸化マグネシウム:協和化学工業社製マグサラット150s
カーボンブラック:三菱ケミカル社製ダイアブラックG
酸化チタン:チタン工業社製KR-380
オイル:出光興産社製PW380
[評価方法]
(1)ポリエチレンの融解熱量の測定
ポリエチレンの融解熱量は、示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)の1次昇温試験から取得する。
DSC測定条件:20℃~200℃、昇温速度10℃/min
(2)溶出物試験
測定サンプル:医療用ゴム栓をポリエチレン袋に入れた状態で(図1および図2に示す包装形態で、表1に記載の包装体内部の環境で)吸収線量が、30kGyとなるようにガンマ線を照射して、ガンマ線照射後のゴム栓とした。
測定サンプルについて、第17改正日本薬局法「7.03輸液用ゴム栓試験法」所載の「溶出物試験」を実施した。適合条件は、以下の通りとした。
試験液の性状:無色澄明
UV透過率:層長10mmで、波長430nmおよび波長650nmの透過率が99.0%以上
紫外吸収スペクトル:波長220nm~350nmにおける吸光度が0.20以下
pH:試験液および空試験液の差が1.0以下
亜鉛:試料溶液の吸光度が、標準溶液の吸光度以下
過マンガン酸カリウム還元物質:2.0mL/100mL以下(薬局方の規格)
蒸発残留物:2.0mg以下
いずれかの項目を満足しない場合には、「不適合」とし、すべての項目を満足した場合には「適合」と評価した。
(3)TOC試験
(2)の溶出物試験を行った溶出液について、全有機体炭素値TOC(NPOC:酸性化通気処理によるTOC)を測定した。
測定分析装置:島津全有機体炭素計TOC-VCSH(燃焼酸化方式)
測定分析条件:燃焼管温度680度、高感度触媒使用、
キャリアガス:高純度空気150mL/min、
注入量200μL、
酸添加濃度1.5%、
通気処理時間90sec
ガンマ線照射前後の溶出特性について評価した。ガンマ線照射前のTOCを100%として、ガンマ線照射後のTOCを相対指数で評価した。数字が大きくなるほど、ガンマ線照射前に比べて溶出性能が悪化していることを意味する。
評価基準
〇:120%以下(照射前と同等)
△:120%超、150%以下(照射前よりやや悪化)
×:150%超(照射前より悪化の程度が大きい)
(3)粘着試験
島津製作所の卓上試験機EZ-SXを用いて、以下のように行った。図3のようにサンプル13を下側の固定治具15に固定し、上側の金属プローブ17をサンプル13の上に押し付け、設定した圧力に到達後10秒間保持した。その後、金属プローブ17を上に上昇させ、金属プローブ17とサンプル13間に発生した密着力のピーク値をタック値とした。測定は、各サンプルについて5回行って、得られた結果のうち、最大値と最小値を除いた3つの測定値の平均値を算出した。ガンマ線照射前のサンプルの密着力を100として、ガンマ線照射後のサンプルの密着力を指数化した。指数が小さいほど、低粘着性であり良好である。
測定条件:
押し付け速度:0.5mm/s
押し付け荷重:1000g重
押し付け保持時間:10秒
引き上げ速度:10mm/s
最終引き上げ距離:3mm
プローブの直径:10mm
評価基準:
〇:120%以下(照射前と同等)
△:120%超、150%以下(照射前よりやや悪化)
×:150%超(照射前より悪化大)
溶出物試験、TOC試験、粘着試験の結果を表1に併せて示した。
READY TO USEの適否については、以下のように判断した。
溶出物試験結果が適合である、TOC試験結果が△以上の評価結果である、かつ、粘着試験結果が△以上である場合には、READY TO USEに適合していると判断し、いずれか一つの評価結果を満足しない場合は、不適合とした。
表1の結果より、ポリエチレンを含有するエラストマー製の医療用ゴム部品の複数個を収容されている医療用ゴム部品の包装体にガンマ線を照射する滅菌方法によれば、非溶出特性が維持され、医療用品の製造工程でトラブルの少ない医療用ゴム部品が得られる。
本開示によれば、ガンマ線滅菌後も非溶出特性が維持され、医療用品の製造工程でトラブルの少ない医療用ゴム部品の滅菌方法を提供できる。
1:医療用ゴム部品、3:1次包装体、5:2次包装体、7:3次包装体、9:ヒートシール、11:脱酸素剤、13:サンプル、15:固定治具、17:金属プローブ
本開示(1)の医療用ゴム部品の滅菌方法は、ポリエチレンを含有するエラストマー製の医療用ゴム部品が複数個収容されている医療用ゴム部品の包装体にガンマ線を照射することを特徴とする。
本開示(2)の医療用ゴム部品の滅菌方法は、酸素濃度が5%以下である包装体にガンマ線を照射する本開示(1)に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法である。
本開示(3)の医療用ゴム部品の滅菌方法は、前記酸素濃度が5%以下である包装体は、窒素が封入された包装体である本開示(2)に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法である。
本開示(4)の医療用ゴム部品の滅菌方法は、前記酸素濃度が5%以下である包装体は、脱酸素剤が封入された包装体である本開示(2)に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法である。
本開示(5)の医療用ゴム部品の滅菌方法は、ガンマ線の吸収線量が15kGy以上となるようにガンマ線を照射する本開示(1)~(4)のいずれか一項に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法である。
本開示(6)の医療用ゴム部品の滅菌方法は、前記エラストマーは、(a)ハロゲン化ブチルゴムを含有する基材ポリマーと、(b)ポリエチレンと、(c)架橋剤としてトリアジン誘導体とを含有するゴム組成物の硬化物である本開示(1)~(5)のいずれか一項に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法である。
本開示(7)の医療用ゴム部品の滅菌方法は、前記ハロゲン化ブチルゴムは、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、臭素化イソブチレンパラメチルスチレン共重合体ゴムよりなる群から選択される少なくとも1種である本開示(6)に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法である。
本開示(8)の医療用ゴム部品の滅菌方法は、(b)前記ポリエチレンは、結晶化度が70%以下のポリエチレンを含有する本開示(1)~(7)のいずれか一項に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法である。
本開示(9)の医療用ゴム部品の滅菌方法は、(b)前記ポリエチレンの含有量は、(a)基材ポリマー100質量部に対して、3質量部以上、30質量部以下である本開示(1)~(8)のいずれか一項に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法である。
本開示(10)の医療用ゴム部品の滅菌方法は、医療用ゴム部品は、バイアル瓶のゴム栓、シリンジ用のキャップ、プランジャストッパー、または、真空採血管用ゴム栓である本開示(1)~(9)のいずれか一項に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法である。

Claims (10)

  1. ポリエチレンを含有するエラストマー製の医療用ゴム部品が複数個収容されている医療用ゴム部品の包装体にガンマ線を照射することを特徴とする医療用ゴム部品の滅菌方法。
  2. 酸素濃度が5%以下である包装体にガンマ線を照射する請求項1に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法。
  3. 前記酸素濃度が5%以下である包装体は、窒素が封入された包装体である請求項2に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法。
  4. 前記酸素濃度が5%以下である包装体は、脱酸素剤が封入された包装体である請求項2に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法。
  5. ガンマ線の吸収線量が15kGy以上となるようにガンマ線を照射する請求項1~4のいずれか一項に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法。
  6. 前記エラストマーは、(a)ハロゲン化ブチルゴムを含有する基材ポリマーと、(b)ポリエチレンと、(c)架橋剤としてトリアジン誘導体とを含有するゴム組成物の硬化物である請求項1~5のいずれか一項に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法。
  7. 前記ハロゲン化ブチルゴムは、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、臭素化イソブチレンパラメチルスチレン共重合体ゴムよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項6に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法。
  8. (b)前記ポリエチレンは、結晶化度が70%以下のポリエチレンを含有する請求項1~7のいずれか一項に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法。
  9. (b)前記ポリエチレンの含有量は、(a)基材ポリマー100質量部に対して、3質量部以上、30質量部以下である請求項1~8のいずれか一項に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法
  10. 医療用ゴム部品は、バイアル瓶のゴム栓、シリンジ用のキャップ、プランジャストッパー、または、真空採血管用ゴム栓である請求項1~9のいずれか一項に記載の医療用ゴム部品の滅菌方法。

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