JP2017025309A - 封止材 - Google Patents

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Abstract

【課題】日本薬局方の規格を満たし、水や薬液のような接触する液体への溶出物が極めて少なく、塩化物の発生が防止又は抑制されており、医薬用及び医療用としての使用が可能であって、圧縮永久歪みが大幅に低減され優れた封止性能を有し品質が保持された封止材を提供する。
【解決手段】封止材は、ハロゲン化ゴムと、フィラーと、メルカプト基及び/又はメルカプト生成官能基を有するアルコキシシラン化合物と、下記化学式(1)
【化1】
Figure 2017025309

(式中、Rは、−SH、−OR、−SR、−NHR、又は−NR(R、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なり、アルキル基、アルケニル基、アリル基、アラルキル基、アルキルアリル基、又はシクロアルキル基を示す。))で示されるトリアジンジチオール誘導体と、有機酸亜鉛塩とを含むゴム組成物が、加硫硬化して成形されているものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、機械、器具、及び装置において液体や気体が外部に漏れないように封止するもので、特に医療用具に適し圧縮永久歪みが小さいゴム製の封止材に関するものである。
封止材は、一般的に圧縮されて使用されるため長時間にわたり変形された状態にあり、その一部の変形量が元に戻らない圧縮永久歪みを生じやすい。例えば注射器に用いられるガスケット、具体的にはプレフィルドシリンジ用ガスケットは、その大きさが注射筒内筒の口径よりも僅かに大きく設計されており、薬液が予め収容された内筒に、押付けられて嵌め込まれるように圧縮されて挿入され、薬液を遺漏しないよう封止している。ガスケットの側面には、全周にわたり外方向に突出したピークが軸方向に向かって単数又は複数形成されており、そのピークが内筒の内周面に押付けられ圧縮した状態で接触して液密になっている。その圧縮された状態においてオートクレーブによる高圧蒸気滅菌処理(AC滅菌)及び乾燥、冷却が施されるので、ガスケットの外径は変形し易い。特に内筒と接触するガスケット側面のピークが歪みやすく、ピークに歪みが生じると、密封度が変化してしまい、薬液充填後の保管時における密封性が低下してしまう。また、このガスケットは、密封性だけでなく投薬時における摺動性を備える必要があり、ピークが歪むことでその接触面積が増大すると抵抗値が変化してしまい、摺動抵抗に変化が生じて品質にばらつきを発生させてしまう。
さらに封止材を医療用具に用いるためには、圧縮永久歪みが小さいだけでなく、日本薬局方の規格を満たす必要がある。例えば前記のようなガスケットにおいて、薬液と接触する表面から薬液中へ封止材構成成分が溶出しないことが好ましく、日本薬局方の輸液用ゴム栓試験法に定められた溶出規格を満たす必要がある。医療用や医薬用の封止材としては、医薬注入器に用いられるガスケットの他、医薬用容器の開口部を密閉するためのゴム栓や、バイアルや点滴用パックにおいて注射針を貫通させるためのゴム栓などが挙げられる。
これらの封止材は、製品として出荷される前に、異物を除去して表面の清浄度を高めたり、毒性を低下させたりするために、洗浄される。しかし、その表面を洗浄処理したとしても長期間薬液と直接接触する状態で使用されるので、封止材に含まれる物質が薬液中に溶出して、薬液を変質させてしまう事がある。この為、封止材の構成成分として、薬液を変質させるような化合物を含まないことや低毒性の化合物を選択することが検討されている。
例えば、清浄性を考慮し加硫助剤である亜鉛化合物を使用しないものとして、特許文献1に超高分子量ポリエチレン微粉末を配合したハロゲン化ブチルゴムを、亜鉛化合物の非存在下で2−置換−4,6−ジチオール−s−トリアジン誘導体又は有機過酸化物を用いて加硫してなる医薬品容器用ゴム栓が開示されている。この医薬品容器用ゴム栓は、ハロゲン化ブチルゴムを有機過酸化物で加硫するか、そのハロゲン原子を利用してトリアジン誘導体を用いて加硫されており、不純異物となる亜鉛を溶出することがなく、日本薬局方で規格化されたその他の溶出物の規格値も満たすものである。
また、日本薬局方の規格を考慮しつつ圧縮永久歪み、特に加圧したまま冷却された場合の圧縮永久歪みを小さくしたものとして、特許文献2にハロゲン含有ブチルゴムと熱可塑性樹脂と加硫剤としてトリアジン誘導体とを含有し、さらに必要に応じてフィラーを含有する熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。この熱可塑性エラストマー組成物より成形された医療用ゴム用品は、特許文献1と同様に亜鉛化合物を使用しないので亜鉛を溶出することがなく、日本薬局方で規格化されたその他の溶出物の規格値を満たし、さらにJIS K6262に準拠して測定した圧縮永久歪みにおいて30%〜35%を示すものである。
これまで架橋助剤として配合されてきた亜鉛化合物を使用せずに加硫した封止材は、一般的に効率的な加硫速度が得られなかったり加硫度を十分に得られなかったりして、不良率が増加し生産性の低下を招き易い。さらに、加硫剤としてトリアジン誘導体を使用した封止材では、トリアジン誘導体が低毒性であるため溶出物の発生を抑制できるものの、その圧縮永久歪み率としてはせいぜい25%程度である。長期にわたって本来の封止性能を保つためには圧縮永久歪み率の値が低いことが好ましい。日本薬局方の規格を満たし、より一層溶出物を溶出させず、かつ、優れた封止性能を保つことができるよう圧縮永久歪みがさらに低減され品質が保持された封止材が、望まれている。
特開平10−179690号公報 特開2013−112703号公報
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、日本薬局方の規格を満たし、水や薬液のような接触する液体への溶出物が極めて少なく、塩化物の発生が抑制されているため、医薬用及び医療用としての使用が可能であって、圧縮永久歪みが大幅に低減され優れた封止性能を有し品質が保持された封止材を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた、本発明の封止材は、ハロゲン化ゴムと、フィラーと、メルカプト基及び/又はメルカプト生成官能基を有するアルコキシシラン化合物と、下記化学式(1)
Figure 2017025309
(式中、Rは、−SH、−OR、−SR、−NHR、又は−NR(R、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なり、アルキル基、アルケニル基、アリル基、アラルキル基、アルキルアリル基、又はシクロアルキル基を示す。))で示されるトリアジンジチオール誘導体と、有機酸亜鉛塩とを含むゴム組成物が、加硫硬化して成形されていることを特徴とする。
前記封止材は、前記ゴム組成物中の前記有機酸亜鉛塩の含有量が、前記ハロゲン化ゴム100質量部に対して、0.5質量部未満であることが好ましい。
前記封止材は、前記ゴム組成物が、前記ハロゲン化ゴム100質量部に対して、前記フィラーを20〜150質量部と、前記アルコキシシラン化合物を前記フィラーに対して0.2〜2.0質量%と、前記トリアジンジチオール誘導体を0.5〜2.0質量部と、前記有機酸亜鉛塩を0.1以上0.5質量部未満とを、含むことが好ましい。
前記封止材は、前記フィラーが、前記アルコキシシラン化合物で表面処理されていることが好ましい。
前記封止材は、前記ハロゲン化ゴムが、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、及びクロロプレンゴムから選ばれる少なくとも何れかであることが好ましい。
前記封止材は、前記アルコキシシラン化合物が、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及びビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィドから選ばれる少なくとも何れかであることが好ましい。
前記封止材は、医薬用及び医療用であることが好ましい。
前記封止材は、ガスケット、Oリング、パッキン、シール材、又はゴム栓であってもよい。
本発明の封止材は、常温から加熱滅菌温度における歪みの発生を抑制することができる。特に、滅菌処理のような加圧下で加熱や冷却が施される場合において、熱で加硫鎖が切れそれが加硫剤で再度反応するような再加硫反応を生じ難く、加硫鎖が切れ再変化することで内部構造が変化して、回復応力が減少し生じる圧縮永久歪みを大幅に低減させることができる。圧縮永久歪みを抑制することで、密封度や抵抗値の変化が極僅かであり、優れた封止性能を維持することができる。
本発明の封止材は、日本薬局方に定められた規格、例えば輸液用ゴム栓試験法の規格を満たし、水や薬液のような接触する液体への溶出物が極めて少なく、また、注射用水純度試験に定められているような、塩化物の発生が抑制されているので、医薬用及び医療用として使用することができる。
本発明の封止材は、その材料であるゴム組成物が金型上で加熱されてから加硫反応が開始するまでの時間や反応速度などが調整され加硫反応を制御することで平衡加硫が得られるように設計されているので、生産数に対して欠陥品が発生する割合である不良率が抑えられ生産性が高くその品質を保持することができる。
本発明の封止材は、医療用品及び工業用品として用いることができ、ガスケット、Oリング、パッキン、シール材、ゴム栓、特に医薬用ゴム栓やシリンジ用ガスケットやプレフィルドシリンジ用ガスケットとして使用することができる。
本発明を適用する実施例の封止材及び本発明の適用外である比較例の封止材の加硫におけるトルクと加硫時間との相関を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明の封止材は、ハロゲン化ゴムと、フィラーと、シランカップリング剤としてアルコキシシラン化合物と、加硫剤として前記化学式(1)で示されるトリアジンジチオール誘導体と、有機酸亜鉛塩とを含むゴム組成物が、加硫硬化して任意の形状に成形されているものである。この封止材は、ハロゲン化ゴムにより形成されたポリマーにフィラーがシランカップリング剤であるアルコキシシラン化合物を介して結合している構造を有する。具体的には、フィラーの表面に有する水酸基のような反応性官能基とアルコキシシラン化合物の加水分解基であるアルコキシ基とが反応して結合しており、さらにそのアルコキシシラン化合物のメルカプト基(SH基)又はジスルフィド基のようなメルカプト生成官能基がハロゲン化ゴムのハロゲン原子と反応し結合しているものである。本発明の封止材は、このような結合によりハロゲン化ゴムにより形成されたポリマーの主鎖に、アルコキシシラン化合物を介してフィラーが結合し、三次元的な網目構造を有する。
封止材は、ハロゲン化ゴム100質量部に対して、フィラーが20〜150質量部と、アルコキシシラン化合物がフィラーに対して0.2〜2.0質量%と、トリアジンジチオール誘導体が0.5〜2.0質量部と、有機酸亜鉛塩が0.1以上0.5質量部未満とを含むゴム組成物で成形されていることが好ましい。
ハロゲン化ゴムとしては、具体的に、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、クロロプレンゴムが挙げられる。
シランカップリング剤として配合されるアルコキシシラン化合物は、アルコキシ基を有しつつさらにメルカプト基及び/又はメルカプト生成官能基を有するものである。メルカプト生成官能基とは、還元や脱ブロック化によってSH基を生成する基である。例えば、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド(TESPT)のように、本来構造中にSH基を有していないものの、加硫の際に4つの硫黄原子が連結している鎖内(−S−S−S−S−)の途中でその一部の結合が切断されることで、−S−SHや−SHを生じるものである。
メルカプト生成官能基としては、具体的に、ジスルフィド基(−S−S−)が挙げられる。
アルコキシシラン化合物は、アルコキシ基及びメルカプト基を含有するアルコキシシラン化合物として、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、アルコキシ基及びメルカプト生成官能基を含有するアルコキシシラン化合物として、例えば、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィドが挙げられる。なかでも、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。これらのアルコキシシラン化合物は、単独で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
これらのアルコキシシラン化合物は、フィラー表面に結合しており、このアルコキシシラン化合物を介してフィラーとポリマーが結合している。アルコキシシラン化合物とフィラーとの結合は、フィラー表面においてその複数個所が点在していてもよく、フィラー表面をアルコキシシラン化合物で被覆するように結合していてもよい。アルコキシシラン化合物は、フィラーと共に含有されてフィラー表面に化学結合することで、圧縮永久歪みを生じる原因の一つであるフィラーとハロゲン化ゴムにより形成されたポリマーとの界面のズレを防ぐことができ、圧縮永久歪みを大幅に低減させることができる。また、共に含有される酸化マグネシウムや酸化亜鉛のような金属酸化物が塩化マグネシウムや塩化亜鉛のような金属塩化物となって封止材から溶出してしまうのを防ぐことができる。
アルコキシシラン化合物の含有量としては、配合中のフィラー質量に対して0.5〜2.0質量%の量が好ましい。
フィラーとしては、粒状又は粉状であり、例えば、タルク、シリカ、クレー、酸化チタン、カーボンブラック、炭酸カルシウム等が挙げられる。なかでも、第十七改正日本薬局方 タルク 純度試験により検出されるカルシウムが0.9%未満のタルクが好ましく、その中でも、カルシウムが0.1%以下のタルクがより好ましい。フィラーとしてのタルク粉末は、天然鉱物として産出されるタルク原石を粉砕して製造されていることから、不純物として、その随伴鉱物が含まれている。この不純物のうち、カルシウムを含む、ドロマイト(CaMg(CO)、やカルサイト(CaCO)を水に加えると強い塩基性を示すため、含有量が多いと、溶出物試験におけるΔpHの値に影響し、良好な溶出特性が得られなくなる。フィラーは、機械的強度の向上や着色を目的とした充填剤であってもよい。これらのフィラーは、単独で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
フィラーは、封止材中において、アルコキシシラン化合物を介してポリマー鎖に結合している。フィラー表面にアルコキシシラン化合物が結合していることで疎水化されるため、日本薬局方の輸液用ゴム栓試験法における溶出物試験などでも、過マンガン酸還元性物質が接触液側に抽出されにくくなる。また、これらのフィラーは、その表面にアルコキシシラン化合物が処理されていると好ましく、ハロゲン化ゴムとの界面においてズレを生じないため、圧縮永久歪みを大幅に低減させることができる。
フィラーの含有量としては、ハロゲン化ゴム100質量部に対して、20〜150質量部であると好ましい。
トリアジンジチオール誘導体は、加硫剤として配合されるものであって、下記化学式(1)に示されるものである。
Figure 2017025309
式中、Rは、−SH、−OR、−SR、−NHR、又は−NRである。R、R、R、R及びRは、アルキル基、アルケニル基、アリル基、アラルキル基、アルキルアリル基、シクロアルキル基を示す。R及びRは、同一であっても異なっていてもよい。これらR〜Rは例えば直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状であって最大で炭素数を20とするものである。
トリアジンジチオール誘導体としては、例えば2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンや、2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンや、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンが挙げられる。
トリアジンジチオール誘導体の含有量としては、ハロゲン化ゴム100質量部に対して、0.5〜2.0質量部であると好ましい。トリアジンジチオール誘導体の含有量が0.5未満であると、必要十分な加硫度を得ることができない。
有機酸亜鉛塩としては、炭素数10〜24の飽和又は不飽和脂肪酸の亜鉛塩や芳香族カルボン酸であり、例えば、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸亜鉛が挙げられる。有機酸亜鉛塩は、ゴム組成物を加硫する際に、加硫反応が始まるまでの時間や加硫反応の速度を調製し、加硫反応を制御することができる。
有機酸亜鉛塩の含有量としては、ハロゲン化ゴム100質量部に対して、0.5質量部未満であり、加硫反応を制御する観点から好ましくは0.2〜0.3質量部である。有機酸亜鉛塩の含有量を0.5質量部以上としても、添加量に比例した加硫反応開始時間の延長効果は得られず、さらに亜鉛溶出量も増加するので好ましくない。
本発明の封止材は、上記成分の他に必要に応じて添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、酸化マグネシウムや酸化亜鉛などの受酸剤、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)パウダーなどの樹脂粉、シリコーンオイルやパラフィンオイルなどの軟化剤が挙げられる。受酸剤としては、亜鉛の溶出や塩化物発生を抑制するためにBET(Brunauer-Emmett-Teller)法により求められるBET比表面積が30〜165m/gの酸化マグネシウムが好ましい。その中でもBET比表面積が30〜40m/gの中活性酸化マグネシウムを配合することにより、溶出物や圧縮永久歪みを低レベルに抑えたままで、さらに加硫開始時間が長く平衡加硫に到達するまでの時間が短い、生産性の高い加硫反応を得ることができる。
本発明の封止材は、ハロゲン化ゴム、フィラー、シランカップリング剤であるアルコキシシラン化合物、及び有機酸亜鉛塩と必要に応じて用いる添加剤とを混練し、加硫剤であるトリアジンジチオール誘導体をさらに添加して混練することでゴム組成物を調製し、加熱して加硫し、任意の形状に硬化させて成形することで製造することができる。ゴム組成物の調製としては、全ての成分を一度に配合して調製するインテグラルブレンド法であってもよく、前処理として先にフィラーとアルコキシシラン化合物とを反応させて表面処理されたフィラーを得た後、その表面処理されたフィラーを残りの各成分に添加して混練し、さらにトリアジンジチオール誘導体を添加して混練することで調製する方法であってもよい。
予めフィラーをアルコキシシラン化合物で表面処理する直接処理方法としては、アルコキシシラン化合物であるシランカップリング剤水溶液と粉状のフィラーを撹拌した後、加熱乾燥して反応させる方法が挙げられる。フィラーの表面に有する水酸基などの反応性官能基とアルコキシシラン化合物のアルコキシ基とを反応させて結合することで、フィラー表面にアルコキシシラン化合物を存在させることができる。
全ての成分を一度に配合して混練したゴム組成物であっても、予めアルコキシシラン化合物で表面処理されたフィラーを用いたゴム組成物であっても、同様に、加硫して成形されることで、フィラー表面にアルコキシシラン化合物が化学結合し、ハロゲン化ゴムにアルコキシシラン化合物を介してフィラーが結合している封止材を得ることができる。
ゴム組成物を加硫する際の条件としては、165〜180℃の間で7〜15分ほど加熱するのが好ましい。
得られた封止材の硬度は、40〜65、好ましくは50〜60(JIS K 6253 デュロA)である。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
クロロブチルゴム(JSRCHLOROBUTYL1066 JSR株式会社製)100質量部、ステアリン酸(精製ステアリン酸550V 花王株式会社製)0.3質量部、ステアリン酸亜鉛(Zn-St(植物性) 日東化成工業株式会社製)0.3質量部、高活性酸化マグネシウム(キョーワマグ150 BET比表面積125〜165m/g 協和化学工業株式会社製)2質量部、カーボンブラック(旭#35 旭カーボン株式会社製)0.3質量部、酸化チタン(タイペークR630 石原産業株式会社製)3質量部、パラフィンオイル(ダイアナプロセスオイルPW−380 出光興産株式会社製)5質量部、粒子径が3.3μm、カルシウム量0.8%のタルク(ミクロエースP−8 日本タルク株式会社製)60質量部、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Z−6062 東レ・ダウコーニング株式会社製)0.4質量部、超高分子量ポリエチレンパウダー(ミペロンXM−220 三井化学株式会社製)20質量部を配合し混練した後、6−(ジブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール(ZISNETDB 三協化成株式会社製)1質量部を配合してゴム組成物とした。これを混練し反応させて成形し、封止材を得た。
(実施例2)
実施例1の3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Z−6062 東レ・ダウコーニング株式会社製)を0.60質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、封止材を得た。
(実施例3)
実施例1の3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Z−6062 東レ・ダウコーニング株式会社製)をビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド(Si69 エボニック株式会社製)に替えた事以外は実施例1と同様にして封止材を得た。
(実施例4)
実施例2の高活性酸化マグネシウムを中活性酸化マグネシウム(キョーワマグ30 BET比表面積30〜50m/g 協和化学工業株式会社製)に替えて、6−(ジブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールを0.7質量部としたこと以外は実施例2と同様にして封止材を得た。
(実施例5)
実施例4のタルクを、粒子径が3.3μm、カルシウム量が0.1%以下のタルク(GH3 林化成株式会社製)にしたこと以外は、実施例4と同様にして封止材を得た。
(比較例1)
実施例1のステアリン酸亜鉛と3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを加えないこと以外は実施例1と同様にして、封止材を得た。
実施例1〜5及び比較例1の各成分の配合について、単位を質量部として下記表1に示す。
Figure 2017025309
実施例1〜5及び比較例1で調製されたゴム組成物を加硫した際の経過時間に対するトルクを測定することで加硫度を評価した。その加硫特性を表2及び図1に示す。各ゴム組成物を174℃で15分間加熱し、最低トルクをML及び最高トルクをMHとし、そのMLからMHまでを100%とした際に10%加硫した時の時間(分)をt10、90%加硫した時の時間をt90とする。
Figure 2017025309
表2より、比較例1に比べて実施例1〜5は、MHの上昇かつt90の時間の短縮が見られており、それぞれ加硫開始から短時間で高い加硫度が得られることが明らかとなった。
さらに、図1より、有機酸亜鉛を含む各実施例は、材料を加熱し始めてから加硫反応が開始するまでに適度な時間を有するので、加硫反応の開始が速すぎることによる不良率の増加や生産率の低下を発生させることがなく、また反応開始から最高加硫度に達するまでに要する時間が短く加硫反応速度が速いので、優れた生産効率を有することが明らかとなった。一方、有機酸亜鉛を含まない比較例1は、加熱してから加硫反応が開始するまでの時間が速く、金型上で製品キャビティ部に十分に充填される前に反応が開始してしまい不良率が増加した。さらに最高加硫度に達するまでの時間が遅く、加硫の反応速度が遅いため生産効率が悪いことが明らかとなった。これらの結果より、有機酸亜鉛を含むことで材料を加熱し始めてから加硫反応の開始までの時間を調整することができ、かつ反応速度を向上させ反応開始から最高加硫度までにかかる時間を短縮できることが示された。
(物性評価)
実施例1〜5及び比較例1で得られた封止材を用いて、各物性評価試験を行った。各物性評価試験の結果を表3に示す。表3中、圧縮永久歪み(Compression Set)を略し、熱老化圧縮永久歪みを熱老化CSとして示す。
(硬さ試験)
JIS K 6253に準拠してタイプAデュロメーターにて硬さ試験を行った。試験方法としては、各実施例及び比較例で調製されたゴム組成物を174℃で15分加硫させることで得られた厚さ12mmの試験片を使用した。
(熱老化圧縮永久歪み)
JIS K 6262に準拠し熱老化における圧縮永久歪み試験を行った。試験方法としては、各実施例及び比較例で調製されたゴム組成物を174℃で15分加硫させることで得られた封止材を使用し、φ29mm及び厚み12.5mmの試験片としてそれを厚み9.38mmまで25%圧縮させ、70℃で72時間の加熱処理をした後、解放した。治具から解放して30分経過した後に、25%圧縮されたままで全く戻らなかった場合を圧縮永久歪み100%とし、元の厚さまで完全に戻った場合を0%とする。
Figure 2017025309
表3より、比較例の圧縮永久歪みが20%台であるのに対し、実施例の圧縮永久歪みは、全て10%台まで大幅に低減されていることが明らかとなった。
(溶出物評価)
実施例1〜5及び比較例1で調製されたゴム組成物を174℃で10分加硫させることで得られたガスケット製品である封止材を試料として用いて溶出物試験を行った。
第十六改正日本薬局方の輸液用ゴム栓試験法における溶出物試験に準拠し、試料質量の十倍量の純水で121℃1時間加熱抽出した。抽出液について、過マンガン酸カリウム還元性物質、pH、亜鉛抽出量、紫外線吸収(UV)スペクトルについて測定した。各測定の規格値は、過マンガン酸カリウム液の消費量の差が2mL以下、pHの差が1以下、波長430mmの透過率が99.0%以上、亜鉛抽出量が1μg/mL以下、波長220〜350mmにおける吸光度が0.20以下である。
塩化物の試験は、封止材であるガスケット製品10個を100mLの水につけ、121℃で2時間AC処理し、これを3回繰り返し抽出して、その1回目及び3回目の液を試験して用い、塩化物の検出を行った。この結果としては、塩化物の発生について、発生が確認できなかった場合を○、稀に規格内で発生した場合を△、発生したものを×として評価した。これらの結果を表4に示す。
Figure 2017025309
表4より、比較例1に比べて実施例1〜5は、日本薬局方の基準を満たし、かつ溶出が極めて少なく、塩化物の発生が抑制されたものであるこが明らかとなった。
本発明の封止材は、機械、器具、及び装置において液体や気体が外部に漏れないように封止するガスケット、Oリング、パッキン、シール材、及びゴム栓として用いることができ、特に医薬用ゴム栓やシリンジ用ガスケットやプレフィルドシリンジ用ガスケットのような医薬・医療用封止材として有用である。

Claims (8)

  1. ハロゲン化ゴムと、フィラーと、メルカプト基及び/又はメルカプト生成官能基を有するアルコキシシラン化合物と、下記化学式(1)
    Figure 2017025309
    (式中、Rは、−SH、−OR、−SR、−NHR、又は−NR(R、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なり、アルキル基、アルケニル基、アリル基、アラルキル基、アルキルアリル基、又はシクロアルキル基を示す。))で示されるトリアジンジチオール誘導体と、有機酸亜鉛塩とを含むゴム組成物が、加硫硬化して成形されていることを特徴とする封止材。
  2. 前記ゴム組成物中の前記有機酸亜鉛塩の含有量が、前記ハロゲン化ゴム100質量部に対して、0.5質量部未満であることを特徴とする請求項1に記載の封止材。
  3. 前記ゴム組成物が、前記ハロゲン化ゴム100質量部に対して、前記フィラーを20〜150質量部と、前記アルコキシシラン化合物を前記フィラーに対して0.2〜2.0質量%と、前記トリアジンジチオール誘導体を0.5〜2.0質量部と、前記有機酸亜鉛塩を0.1以上0.5質量部未満とを、含むことを特徴とする請求項1に記載の封止材。
  4. 前記フィラーが、前記アルコキシシラン化合物で表面処理されていることを特徴とする請求項1に記載の封止材。
  5. 前記ハロゲン化ゴムが、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、及びクロロプレンゴムから選ばれる少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1に記載の封止材。
  6. 前記アルコキシシラン化合物が、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及びビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィドから選ばれる少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1に記載の封止材。
  7. 医薬用及び医療用であることを特徴とする請求項1に記載の封止材。
  8. ガスケット、Oリング、パッキン、シール材、又はゴム栓であることを特徴とする請求項1に記載の封止材。
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