JPH09118346A - 粉末製剤用ゴム栓 - Google Patents

粉末製剤用ゴム栓

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JPH09118346A
JPH09118346A JP7336073A JP33607395A JPH09118346A JP H09118346 A JPH09118346 A JP H09118346A JP 7336073 A JP7336073 A JP 7336073A JP 33607395 A JP33607395 A JP 33607395A JP H09118346 A JPH09118346 A JP H09118346A
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JP
Japan
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rubber
rubber stopper
isobutylene
stopper
weight
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JP7336073A
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English (en)
Inventor
Yasuhiko Tatsumi
保彦 巽
Kazuo Nishikawa
和男 西川
Tetsuya Okamoto
哲也 岡本
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NANIWA GOMME KOGYO KK
Original Assignee
NANIWA GOMME KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 第12改正日本薬局方、輸液用ゴム栓試験に
適合し、かつ抗生物質等の製剤を常圧、または減圧、高
真空バイヤル内で保存中に、用時溶解時に変色、混濁、
沈殿等の原因となるゴム栓からの揮発物質をなくし、長
期保存でも製剤の変質を起こさない性能を有する粉末製
剤用ゴム栓の提供。 【解決手段】 イソブチレン(IB)パラメチルスチレ
ン(PMS)の共重合体に臭素を付加させたポリマ一を
主成分に無機補強剤が5〜60重量部、精製塩素化ポリ
エチレンを20重量部以下、平均分子量が1,000以
下の液状イソブチレンを2〜10重量部配合して、加硫
成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、医療用容器、特
に抗生物質等の粉末製剤を常圧または減圧保存するガラ
ス及び合成樹脂等からなるバイアルの開口部を密封・止
栓する粉末製剤用ゴム栓の改良に係り、ゴム栓の構造を
従来のごとく2層構造にすることなく、ゴム栓自体に特
定組成のポリマーを用いることにより、減圧下において
も揮発物質がなく、しかも成形性にすぐれ、安価にて提
供できる粉末製剤用ゴム栓に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、抗生物質等の粉末製剤を保存する
バイアルの開口部を密封・止栓し、製剤を外部空気中の
酸素、炭酸ガス及び水蒸気等から遮断、あるいはバイア
ル内部の気密度を維持するためのゴム栓として、ブチル
ゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエン
ゴム(BR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EP
DM)、シリコンゴム(SiR)及びエラストマー等を
主成分とするゴム栓が用いられている。
【0003】粉末製剤のバイアルへの保存方法を説明す
ると、バイアル内に所定量の注射用抗生物質等の粉末製
剤を充填し、バイアルを開口した状態でこれを庫内に入
れて庫内を常圧あるいは真空に保持したまま、押圧板に
てゴム栓を押圧して全打栓の状態となし施栓を完了す
る。その後、庫内より取り出してゴム栓にアルミキャッ
プを被せて巻締めし、バイアルの開口部を密封する。
【0004】粉末製剤用のゴム栓10は構造上、図5、
図6に示すごとく、上面の笠部11と下面側の製剤と接
触する足部12とに分けられるが、足部12の材質が笠
部11の軟質ゴムとは別材質で、より揮発物質が少ない
材料から構成されている。しかし、これらのゴム栓に
は、原料ゴム製造の過程で酸化防止剤、未反応物及びオ
リゴマー(高沸点炭化水素物質)が含まれている。ま
た、ゴム栓中には、加硫成形する際に配合される含イオ
ウ化合物、ワックス等が同時に含まれている。従って、
これらのゴム栓中に含まれる物質が製剤を充填したバイ
アル内にて保存中に揮発し、この揮発物質がセファロス
ポリン系、ペニシリン系の抗生物質等に吸着され製剤の
変質、例えば混濁、沈殿の原因となることが確認されて
いる。
【0005】また、抗生物質等の製剤は、貯蔵安定性を
向上させるためにバイアル内を減圧にして保存する場合
が多く、このような状況下では揮発物質がますます増加
するため、種々の問題を起こすことになる。そこで、図
7に示すごとく、ゴム栓10の笠部11と足部12材質
を軟質ゴムで構成し、製剤と接触する足部12表面をフ
ッ素樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のフィルム
17でラミネー卜した構成がある。
【0006】さらに、抗生物質等の製剤を長期間、高品
質に保持するための保存方法として、凍結真空乾燥によ
る保存法が採用されている。詳述すると、バイアル内に
所定量の注射用抗生物質等の薬液を充填し、バイアルの
開口部内に薬液の水蒸気が通りやすいように脚部に開口
部を設けたゴム栓を半打栓した後、これを凍結真空乾燥
庫内に入れて庫内を所定の温度、真空条件に保持する。
【0007】薬液の種類により保存条件が異なるが、庫
内の凍結真空乾燥条件としては一般に、温度−30℃〜
−45℃、真空度1〜0.03Torrに保持して、1
〜4時間の凍結乾燥後、一次乾燥として、温度−20℃
〜+40℃、12〜72時間保持し、さらに、二次乾燥
として、温度30℃〜60℃、1〜6時間保持して、バ
イアル中の水分をゴム栓の前記脚部の開口部より除去す
ると、バイアル中に粉末結晶状の製剤が残る。
【0008】凍結真空乾燥後に、庫内で真空に保持した
まま、押圧板にてゴム栓を押圧して全打栓の状態となし
施栓を完了し、その後、庫内より取り出してゴム栓にア
ルミキャップを被せて巻締めし、バイアルの開口部を密
封して凍結真空乾燥製剤を得る。
【0009】従来、粉末製剤用ゴム栓は、主成分として
主にブチルゴム(IIR)が多用されてきたが、このブ
チルゴム(IIR)の組成はイソブチレンにイソプレン
を1〜5重量%共重合させたポリマーであり、このブチ
ルゴムにはその他、イソブチレンとイソプレンの共重合
体に塩素を付加した塩素化ブチルゴム、臭素を付加した
臭素化ブチルゴム及びジビニルベンゼンを付加した架橋
ブチルゴムがあり、各々低ガス透過性、低水分透過性、
耐熱性、耐老化性、耐薬品性等の粉末製剤用ゴム栓とし
ての特性を備えている。
【0010】これらのブチルゴムの製造方法は、高オク
タン価分解ガソリン(石油ナフサ)の製造過程において
抽出蒸留より分離精製されるC4溜分のi−ブテンと、
同じく抽出蒸留により分離精製されたC5溜分のイソプ
レンを1〜5%混合し、重合触媒に塩化アルミニウムを
加え、反応槽中を−95〜−98℃にして攪拌反応させ
た後、水分及び未反応物を除去してブチルゴム(II
R)を得ることができる。
【0011】しかし、イソブチレンとイソプレンの重合
時にイソプレンが一部、重合停止剤として作用するため
に共重合体中に少量の未反応物及びイソブチレン数分子
とイソプレンが結合した分子鎖の短いオリゴマー(高沸
点炭化水素C16〜C30)が残存する。すなわち、イソブ
チレンにイソプレンを共重合したブチルゴム(IIR)
を主成分とした粉末製剤用ゴム栓は、バイアル内に減圧
下で保存された製剤へオリゴマー等の物質が揮発し、吸
着されて製剤の変質、例えば用時溶解時に混濁を起こす
原因となり易い。
【0012】従来、ゴム栓材質が有している製剤との接
触性において、変質や品質の安定に支障を起こす欠点を
改善した凍結真空乾燥製剤用ゴム栓として、特公昭62
−13627号公報にゴム栓を二層構造とすることが提
案されている。すなわち、図8、図9に示すごとく、ゴ
ム栓10は構造上、上面の笠部11と下面側の製剤と接
触する足部12とに分けられるが、足部12の材質が笠
部11と別材質で、活性炭やシリカゲル等の吸着剤を配
合して加硫成形されたゴム組成物からなり、組成中の分
解オリゴマー、含硫黄化合物、脂肪酸等の揮発性物質を
組成中に吸着させ、製剤の変質の原因となる物質の揮発
を防ぐ構成からなる。なお、図中の13はリング部、1
4は半打栓用突起部である。
【0013】また、特公昭63‐43104号公報に
は、図10に示すごとく、ゴム栓10の上面の笠部11
を軟質ゴムで構成し、製剤と接触する下面足部15材質
を不活性なフッ素ゴムで構成した二層構造とし、笠部1
1の軟質ゴムからの揮発物質を防いでいる。
【0014】さらに、特公昭52−1335号、特公昭
54−9119号、特公昭57‐53184号、特開平
4−22362号、特公平5−64062号各公報にお
いて、ゴム栓10の笠部11と下面足部16材質を軟質
ゴムで構成し、製剤と接触する足部16表面をフッ素樹
脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のフィルム17で
ラミネー卜して、ゴム栓組成物中よりの揮発物質を遮断
する構成からなるラミネートゴム栓が提案されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】医療用容器ゴム栓にお
いて、製剤の変質、例えば用時溶解時の変色、混濁、沈
殿等を防止するために採用された上述の従来技術では、
いずれも構成が上面笠部の軟質ゴム材質と下面側の特殊
ゴム材質あるいは樹脂フィルムをラミネートする二層構
造からなっており、ゴム栓の成形工程が大変煩雑で、し
かも工程数が多いことから製品ばらつきが避けられず、
医療用ゴム栓としての品質の安定性を確保することが困
難である。さらには、下面材質のフッ素ゴムまたはフッ
素樹脂は比較的高価であること及び多大の工数を要する
ことにより、ゴム栓を安価に提供できない問題があっ
た。
【0016】また、当該ゴム栓は、医療用ゴム栓として
要求される低ガス及び低水分透過性、良好な気密性、針
刺性、耐熱性、耐老化性及びコアリング性等を満足する
必要はもちろん、日本薬局方輸液用ゴム栓試験規格に合
格する性状を具備していることが要求される。
【0017】この発明は、医療用ゴム栓として要求され
る諸特性や日本薬局方輸液用ゴム栓試験規格を満足しか
つゴム栓からの揮発物質をなくし、通常粉末、凍結乾燥
粉末などの製剤の貯蔵、特に減圧下の貯蔵安定性を向上
させることが可能なゴム栓の提供を目的とし、さらに、
簡単な工程で成形性よく、安価に提供できる構成からな
る粉末製剤用ゴム栓の提供を目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上述の課題
を解決するために、原料ポリマー、改質剤、各種配合剤
の種類及びその配合量について種々検討した結果、イソ
ブチレン(IB)とパラメチルスチレン(PMS)の共
重合体に臭素を付加させたポリマーを主成分とし、さら
に精製塩素化ポリエチレン、液状イソブチレン、無機補
強剤を配合する組成のポリマーを粉末製剤用ゴム栓に用
いることにより、特に容器内を減圧、さらには高真空化
して保存する場合に製剤の変質の原因となるゴム栓から
の揮発物質を完全に除去し、従来の一層型ゴム栓と同様
に凍結乾燥型、バイアル型、輸液型等の様々な形状が容
易に加硫成形でき、非常に優れた品質と衛生性を有する
こと、かつ、従来の二層構造のゴム栓よりも工程が簡単
で安価に提供できることを知見し、この発明を完成し
た。
【0019】詳述すると、従来の問題を解決するため、
医療用ゴム栓として適用されるエチレン・プロピレンゴ
ム(EPM、EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、イ
ソプレンゴム(IR)スチレン・ブタジエンゴム(SB
R)、シリコンゴム(SiR)、エビクロルヒドリンゴ
ム(CO.ECO)、弗素ゴム(FM)、及びイソブチ
レンとポリメチルスチレン共重合体等について鋭意研究
した結果、粉末製剤用ゴム栓として従来より用いられて
いるイソブチレンとイソプレン共重合体(IIR)の特
性である低ガス透過性、低水分透過性、耐熱性、耐老化
性等の性能を備え、なおかつ製剤の変質や用時溶解時の
混濁の原因となるオリゴマー等の炭素数C16〜C30の高
沸点炭化水素を含まないイソブチレンとポリメチルスチ
レンの共重合体に臭素を付加したポリマーを見い出し
た。
【0020】すなわち、製剤の変質、例えば用時溶解時
の混濁の原因となるオリゴマー等を生成する原因となる
イソブチレンとイソプレン共重合体(IIR)中のイソ
プレンに着眼し、このイソプレンに代えてイソブチレン
との重合時に重合停止剤として作用することなく、重合
反応を活発化させ、また、オリゴマー等を生成しないポ
リメチルスチレンを共重合体とし、さらに、この共重合
体に臭素を付加させて加硫成形を容易にした粉末製剤用
ゴム栓に適したポリマーを見出し、高真空下で製剤を長
期保存するのに最適なゴム栓が得られることを知見し、
この発明を完成した。
【0021】すなわち、この発明は、イソブチレン(I
B)とパラメチルスチレン(PMS)の共重合体に臭素
を付加させたポリマーを主成分とする粉末製剤用ゴム栓
であり、また、イソブチレン(IB)とパラメチルスチ
レン(PMS)の共重合体に臭素を付加させたポリマー
を主成分とし、精製塩素化ポリエチレンを20重量部以
下配合してなる粉末製剤用ゴム栓を提案する。
【0022】また、この発明は、上記構成の粉末製剤用
ゴム栓において、無機補強剤を5〜60重量部配合して
加硫成形してなること、無機補強剤が5〜60重量部と
液状イソブチレンを2〜10重量部配合して加硫成形し
てなること、ポリマーの構成比がイソブチレン(IB)
を主成分にパラメチルスチレン(PMS)が5〜7.5
重量%、臭素が0.8〜2重量%の範囲であること、液
状イソブチレンが平均分子量1000以下で平均溶液粘
度が30PA・S以下であることを、それぞれ特徴とす
る粉末製剤用ゴム栓を併せて提案する。
【0023】
【発明の実施の形態】この発明は、通常乾燥による顆粒
製剤や粉末製剤、あるいは凍結真空乾燥による粉末製剤
などの種々の粉末製剤を、常圧あるいは減圧、さらには
高真空下で保存する容器用ゴム栓としての性能に適した
主成分として、イソブチレンとパラメチルスチレン共重
合体に臭素を付加したポリマーに限定するが、このポリ
マーの代表的な性能例を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】この発明において、イソブチレンとパラメ
チルスチレン共重合体を主成分とする配合組成比は70
重量部以上とし、その他に改質剤として、揮発物質がな
くて、イソブチレンとポリメチルスチレンの共重合体の
ロール混練性、加硫成形性、早期加硫の防止、その他の
加工性等を改善させる目的で精製塩素化ポリエチレン、
エピクロルヒドリンゴム(CO.ECO)、超高分子ポ
リエチレン及び液状イソブチレン等を混合する。
【0026】特に、精製塩素化ポリエチレンは、ロール
加工時の非粘着性の改良、予備成形時の寸法安定性及び
加硫成形時の変形防止の効果がある。また、配合量とし
ては添加量が増すとともに硬さが高くなり、架橋密度が
低下し、ガス及び水分透過性が大となり、粉末製剤用ゴ
ム栓としての特性を損なうため、20重量部以下の配合
が好ましく、望ましくは5〜15重量部である。この発
明に用いる精製塩素化ポリエチレンは、有機溶媒、例え
ばケトン類やアルコール類でリンスし、組成物中の脂肪
酸、その他の不純物を除去し精製度を高めたものであ
る。
【0027】以上の改質剤の中でも特に液状イソブチレ
ンは、ゴム配合組成物の粘度を下げ、加硫成形時のゴム
生地の流動性を改善し、組成物の早期加硫を防止して貯
蔵安定性を向上させる等の特性を有し、石油系可塑剤の
如くブリード現像や溶剤抽出もなく物性の低下も少な
い。ここに用いる液状イソブチレンとは平均分子量1,
000 以下、平均溶液粘度が30Pa.s以下のもの
である。また、粉末製剤用ゴム栓として要求される揮発
物質もなく、低ガス透過性、低水分透過性、耐老化性等
に優れている。
【0028】液状イソブチレンのイソブチレンとポリメ
チルスチレン共重合体への配合量は2〜10重量部であ
り、2重量部未満では、組成物の加硫成形時の生地の流
動性、及び早期加硫の防止効果は見られず、逆に10重
量部以上では架橋反応が阻害されゴム弾性が低下し、ゴ
ム栓の気密性、変形及び表面粘着性が高くなり粉末製剤
用ゴム栓としては不適当である。
【0029】無機質補強剤としてはクレー、硫酸バリウ
ム、タルク、シリカ及びシリカゲルが用いられる。その
中でもクレー、タルク類が一般な補強剤として用いら
れ、シリカゲルなどは配合組成物中の揮発物質の吸着剤
として効果がある。無機補強剤は、その効果を得るため
少なくと5重量部の配合が必要であるが、60重量部を
越える配合では、配合組成物の粘度が高くなりすぎ、加
硫成形時の流動性が悪くなり、加硫成形品の変形や硬さ
が高くなるため、針刺時のコアリングが起こりやすく、
又、クレーなどの補強材には鉛、カドミウムなどの重金
属が含有し、日本薬局法、輸液用ゴム栓試験において不
適になるため、5〜60重量部の配合とする。望ましい
配合量は10〜50重量部である。
【0030】加硫剤としては、トリアジンチオール系、
有機イオウ系、アミン系、及びシランカップリング剤が
有り、その配合量は0.2 〜3重量部である。加硫活
性助剤としては酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ステアリ
ン酸亜鉛、及び合成ハイドロタルサイト等があり、その
配合量は0.2 〜5重量部である。着色剤としては酸
化チタン、カーボンブラック、弁柄及び、有機顔料等が
ありその配合量は0.01〜5重量部である。
【0031】
【実施例】
実施例1 以下、この発明の実施例として、イソブチレンとポリメ
チルスチレン共重合体を主成分とするポリマー、比較例
として従来の粉末製剤用ゴム栓組成物の主成分であるレ
ギュラーブチルゴム及び塩素化ブチルゴムについて説明
する。表2に示す各実施例及び比較例の配合表に準じ
て、原料ゴム、加硫剤及び、無機補強剤等の配合剤を秤
量し、密閉加圧型ニーダー(株式会社トウシン製)に
て、温度90℃〜120℃、時間15分の条件下で均一
に混合する。この後、加圧ニーダーより取出し、オープ
ンロールで加硫剤を添加し、試験用未加硫ゴム試料を作
成した。
【0032】
【表2】
【0033】表2における薬剤の製造元は以下のとおり
である。 (1) エクスプロ、EMDX93−5 エクソン化学(株)製 (2) MDB87−I 日本ブチル(株)製 (3) HT10−66 エクソン化学(株)製 (4) ジスネットF 三協化成(株)製 (5) アルカマイザー1 協和化学工業(株)製 (6) SH6062 トーレ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 (7) ノクセラーBZ 大内新興化学工業(株)製 (8) バルタックNo.5 エルフ・アトケム・ジャパン(株)製 (9) ニプシールVN−3 日本シリカ工業(株)製 (10) STカオリン 土屋カオリン(株)製 (11) オパノールB−3 BASFジャパン(株)製 (12) ダイソラックH−135 ダイソー(株)製
【0034】試験用未加硫ゴム試料の加硫は、SRIS
−3603に準じて作成し、加硫ゴムの物理的試験は、
加硫ゴム物理試験方法JIS.K−6301に準じて行
った。又、未加硫ゴム試料の粘度、及び早期加硫時間の
測定も行い、その結果を表3に示す。
【0035】表2の実施例1と比較例1の結果に示され
るようにトリアジン・チオール系の加硫品は硬さも高
く、引張強さも高いことがわかる。これは有機イオウ系
の加硫品に比べて架橋密度が高くなることを示してお
り、ゴム栓の加硫成形には有利である。しかし、トリア
ジン・チオール系の組成物は有機イオウ系に比べ早期加
硫時間が早い傾向にあり、実施例2で液状イソブチレン
を添加することにより、未加硫組成物の粘度も低くなり
早期加硫時間が長くなる効果が見られ、貯蔵安定性の増
すことを示している。
【0036】
【表3】
【0037】実施例2 この発明によるゴム栓1は、通常の粉末製剤用ゴム栓は
図1に、また、凍結真空乾燥製剤用ゴム栓は図3に示す
ごとく、上面の笠部2と下面側の製剤と接触する足部3
並びにリング部4、半打栓用突起部5も全て同一のポリ
マーからなり、一体化成形されている。溶出物試験は、
第12改正日本薬局方輸液用ゴム栓試験に準じて行い、
その結果を表4に示す。揮発性物質試験は図2及び図4
に示すバイアル6にシリカゲル1個を入れ、試験用ゴム
栓1を減圧密封止栓する。これを恒温槽中で50℃、1
ケ月間経時させた後、シリカゲルに吸着した物質を溶剤
抽出し、ガスクロマトグラフでこの抽出液中の高沸点炭
化水素を検出する。この結果を表5に示す。
【0038】表4の実施例1〜4、比較例1〜3の結果
に示されるように、溶出物試験において全て規格を満足
しているが、実施例1〜3、及び比較例1においてトリ
アジン・チオール系で架橋した場合、亜鉛の検出もな
く、紫外吸収スペクトルの値も低く、有機イオウ架橋に
比べ溶出物が少なく、架橋方法としては有利である。
【0039】表5の実施例1〜4に示されるようにイソ
ブチレンとポリメチルスチレンに共重合体の組成物は製
剤の変質や混濁の原因となる揮発物質(高沸点炭化水
素、C21定量値)の検出が見られず、比較例に示される
如くレギュラーブチルゴム及び塩素化ブチルゴムは多く
検出される。また、比較例のゴム栓の製剤接触面にテト
ラフロロエチレンフィルムをラミネートしたものはゴム
栓構造上、一部フィルムがラミネートされていない部分
からの揮発物質が微量に検出された。
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】実施例3 ガス透過性試験はASTM.D‐1434−75M法に
準じて行い、その結果を表6に示す。水分透過性試験は
JIS.K‐0208に準じて行い、その結果を表7に
示す。
【0043】実施例4 コアリング(フラグメント)試験は、バイアルに試験用
ゴム栓を密封止栓する。これを蒸留水10mlの入った
注射筒に試験針をセットし、ゴム栓の針刺部に5回刺突
した後、注射筒内の水をバイアル内に注入し、バイアル
内のフラグメントを目視で観察する。その結果を表8に
示す。
【0044】表6、表7、表8の実施例1〜4と比較例
1〜3に示されるようにガス透過性、水分透過性及び針
刺時のフラグメントについてはイソブチレンとバラメチ
ルスチレン共重合体と他のブチルゴムは主成分がイソブ
チレンで構成されているためほとんど差が見られない。
【0045】
【表6】
【0046】
【表7】
【0047】
【表8】
【0048】
【発明の効果】この発明による粉末製剤用ゴム栓は、イ
ソブチレンとバラメチルスチレンの共重合体を主成分と
する組成物を用いることによって、通常の粉末製剤の常
圧保存はもちろん、特に、凍結真空乾燥製剤のごとく、
高真空下での製剤の保存中に、バイアル等の容器中への
ゴム栓からの揮発物質をなくし、製剤の貯蔵安定性を向
上させることができ、また、医療用ゴム栓として要求さ
れる低ガス及び低水分透過性、良好な気密性、針刺性、
耐熱性、耐老化性及びコアリング性等の諸特性や日本薬
局方輸液用ゴム栓試験規格を満足し、さらに、簡単な工
程で成形性よく、安価に提供できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による粉末製剤用ゴム栓の縦断説明図
である。
【図2】この発明の粉末製剤用ゴム栓の止栓状態を示す
バイアルの縦断説明図である。
【図3】この発明による凍結真空乾燥製剤用ゴム栓の縦
断説明図である。
【図4】この発明の凍結真空乾燥製剤用ゴム栓の止栓状
態を示すバイアルの縦断説明図である。
【図5】従来の揮発物質防止対策した粉末製剤用ゴム栓
の縦断説明図である。
【図6】従来の揮発物質防止対策した他の粉末製剤用ゴ
ム栓の縦断説明図である。
【図7】従来の揮発物質防止対策した他の粉末製剤用ゴ
ム栓の縦断説明図である。
【図8】従来の揮発物質防止対策した凍結真空乾燥製剤
用ゴム栓の縦断説明図である。
【図9】従来の揮発物質防止対策した他の凍結真空乾燥
製剤用ゴム栓の縦断説明図である。
【図10】従来の揮発物質防止対策した他の凍結真空乾
燥製剤用ゴム栓の縦断説明図である。
【符号の説明】
1,10 ゴム栓 2,11 笠部 3,12,15,16 足部 4,13 リング部 5,15 半打栓用突起部 6 バイアル 7 キャップ 17 フィルム
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年1月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】しかし、これらのゴム栓には、原料ゴム製
造の過程で酸化防止剤、未反応物及びオリゴマー(高沸
点炭化水素物質)が含まれている。また、ゴム栓中に
は、加硫成形する際に配合される含イオウ化合物、ワッ
クス等が同時に含まれている。従って、これらのゴム栓
中に含まれる物質が製剤を充填したバイアル内にて保存
中に揮発し、この揮発物質がセファロスポリン系、ペニ
シリン系の抗生物質等に吸着され製剤の変質、例えば混
濁、沈殿の原因となることが確認されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】また、抗生物質等の製剤は、貯蔵安定性を
向上させるためにバイアル内を減圧にして保存する場合
が多く、このような状況下では揮発物質がますます増加
するため、種々の問題を起こすことになる。そこで、図
5〜図10に示すごとく、ゴム栓10の笠部11の材質
をブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等の軟
質ゴムで構成し、製剤と接触する足部12を吸着剤を添
加したゴム組成物やフッ素ゴムで2重構造としたゴム栓
10、又は足部12表面をフッ素樹脂、ポリエチレンや
ポリプロピレン等のフィルム17でラミネー卜した構成
がある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】粉末製剤のバイアルへの保存方法を説明す
ると、バイアル内に所定量の注射用抗生物質等の粉末製
剤を充填し、バイアルを開口した状態でこれを庫内に入
れて庫内を常圧あるいは真空に保持したまま、押圧板に
てゴム栓を押圧して全打栓の状態となし施栓を完了す
る。その後、庫内より取り出してゴム栓にアルミキャッ
プを被せて巻締めし、バイアルの開口部を密封する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】凍結真空乾燥後に、庫内で真空に保持した
まま、押圧板にてゴム栓を押圧して全打栓の状態となし
施栓を完了し、その後、庫内より取り出してゴム栓にア
ルミキャップを被せて巻締めし、バイアルの開口部を密
封して凍結乾燥製剤を得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】従来、ゴム栓材質が有している製剤との接
触性において、変質や品質の安定に支障を起こす欠点を
改善した凍結乾燥製剤用ゴム栓として、特公昭62−1
3627号公報にゴム栓を二層構造とすることが提案さ
れている。すなわち、図8、図9に示すごとく、ゴム栓
10は構造上、上面の笠部11と下面側の製剤と接触す
る足部12とに分けられるが、足部12の材質が笠部1
1と別材質で、活性炭やシリカゲル等の吸着剤を配合し
て加硫成形されたゴム組成物からなり、組成中の分解オ
リゴマー、含硫黄化合物、脂肪酸等の揮発性物質を組成
中に吸着させ、製剤の変質の原因となる物質の揮発を防
ぐ構成からなる。なお、図中の13はリング部、14は
半打栓用突起部である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】
【発明の効果】この発明による粉末製剤用ゴム栓は、イ
ソブチレンとバラメチルスチレンの共重合体を主成分と
する組成物を用いることによって、通常の粉末製剤の常
圧保存はもちろん、特に、凍結乾燥製剤のごとく、高真
空下での製剤の保存中に、バイアル等の容器中へのゴム
栓からの揮発物質をなくし、製剤の貯蔵安定性を向上さ
せることができ、また、医療用ゴム栓として要求される
低ガス及び低水分透過性、良好な気密性、針刺性、耐熱
性、耐老化性及びコアリング性等の諸特性や日本薬局方
輸液用ゴム栓試験規格を満足し、さらに、簡単な工程で
成形性よく、安価に提供できる利点がある。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による粉末製剤用ゴム栓の縦断説明図
である。
【図2】この発明の粉末製剤用ゴム栓の止栓状態を示す
バイアルの縦断説明図である。
【図3】この発明による凍結乾燥製剤用ゴム栓の縦断説
明図である。
【図4】この発明の凍結乾燥製剤用ゴム栓の止栓状態を
示すバイアルの縦断説明図である。
【図5】従来の揮発物質防止対策した粉末製剤用ゴム栓
の縦断説明図である。
【図6】従来の揮発物質防止対策した他の粉末製剤用ゴ
ム栓の縦断説明図である。
【図7】従来の揮発物質防止対策した他の粉末製剤用ゴ
ム栓の縦断説明図である。
【図8】従来の揮発物質防止対策した凍結乾燥製剤用ゴ
ム栓の縦断説明図である。
【図9】従来の揮発物質防止対策した他の凍結乾燥製剤
用ゴム栓の縦断説明図である。
【図10】従来の揮発物質防止対策した他の凍結乾燥製
剤用ゴム栓の縦断説明図である。
【符号の説明】 1,10 ゴム栓 2,11 笠部 3,12,15,16 足部 4,13 リング部 5,15 半打栓用突起部 6 バイアル 7 キャップ 17 フィルム

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イソブチレン(IB)とパラメチルスチ
    レン(PMS)の共重合体に臭素を付加させたポリマー
    を主成分とする粉末製剤用ゴム栓。
  2. 【請求項2】 イソブチレン(IB)とパラメチルスチ
    レン(PMS)の共重合体に臭素を付加させたポリマー
    を主成分とし、精製塩素化ポリエチレンを20重量部以
    下配合してなる粉末製剤用ゴム栓。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、無機
    補強剤を5〜60重量部配合して加硫成形してなる粉末
    製剤用ゴム栓。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2において、無機
    補強剤が5〜60重量部と液状イソブチレンを2〜10
    重量部配合して加硫成形してなる粉末製剤用ゴム栓。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2において、ポリ
    マーの構成比がイソブチレン(IB)を主成分にパラメ
    チルスチレン(PMS)が5〜7.5重量%、臭素が
    0.8〜2重量%の範囲である粉末製剤用ゴム栓。
  6. 【請求項6】 請求項4において、液状イソブチレンが
    平均分子量1000以下で、平均溶液粘度が30PA・
    S以下である粉末製剤用ゴム栓。
  7. 【請求項7】 請求項4、請求項5又は請求項6におい
    て、収容する粉末製剤が凍結乾燥製剤である粉末製剤用
    ゴム栓。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6822015B2 (en) * 2001-01-30 2004-11-23 Daikyo Seiko, Ltd. Rubber composition used for a rubber stopper for a medicament or for a medical treatment or its crosslinked product
JP2016023196A (ja) * 2014-07-16 2016-02-08 住友ゴム工業株式会社 医療用ゴム部品
JP2017025309A (ja) * 2015-07-21 2017-02-02 株式会社朝日ラバー 封止材
JP2021080370A (ja) * 2019-11-19 2021-05-27 住友ゴム工業株式会社 医療用ゴム組成物および医療用ゴム部品

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