JP2023093119A - 離型フィルム及び粘着体 - Google Patents

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Hiroo Okada
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Abstract

【課題】ポリエステルフィルム基材とポリオレフィン系離型剤層との密着性に優れ、該離型剤層面を摩擦後も離型性能を担保できる離型フィルムを提供する。【解決手段】ポリエステルフィルム基材、樹脂層及び離型剤層を備え、前記ポリエステルフィルム基材と前記離型剤層との間に前記樹脂層を有し、前記樹脂層は、オレフィン系重合体(A)を含む重合体(X)の水性樹脂分散体を含有する樹脂組成物(I)から形成され、動的光散乱法により測定される、前記水性樹脂分散体のメディアン径が300nm以下であり、前記離型剤層は、ポリオレフィン系離型剤組成物(II)から形成される、離型フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、離型フィルム及び該離型フィルムの離型剤層上に粘着剤層を有する粘着体に関する。
工業材料、光学材料、電子部品材料、電池用包装材など様々な分野で、基材フィルムの少なくとも片面に離型層を設けた離型フィルムが使用されている。離型フィルムの基材フィルムとしては、ポリエステルフィルムとして代表的なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、特に2軸延伸PETフィルムが、透明性、機械強度、耐熱性、柔軟性などに優れることから広く使用されている。
離型フィルムは、粘着面あるいは接着面を保護するものとして広く使用されている。離型フィルムの離型面を構成する素材として最も一般的に使用されてきたのは、シロキサン単位を含有するシリコーン系ポリマーであった。
ところが、シリコーン系離型剤にはシロキサン系低分子物が内在するため、電子部材などの精密用途に適用された場合、これが揮散して空気中で酸化されたものが固着しトラブルを生じる場合があった。このためシロキサン源を持たず、かつ、シリコーン系離型フィルムと同等の離型性を有するフィルムが求められていた。
例えば、ハードディスク装置は、著しい勢いで高性能化、高密度化が進んでおり、今後もこのような高性能化、高密度化は、さらに進行するものと考えられる。
そして、ハードディスク装置の高性能化、高密度化がさらに進むと、前述したような微小なシリコーン化合物の堆積が、ハードディスクの読み込みや書き込みに悪影響を及ぼす可能性が指摘されている。
例えば、特許文献1には、非シリコーン系離型剤を用いた離型シート、具体的には、基材と、該基材上に設けられた離型剤層とで構成される離型シートであって、前記離型剤層は、少なくとも密度が0.80~0.90g/cmであるオレフィン系熱可塑性エラストマーと、ポリエチレン樹脂とからなることを特徴とする離型シートについて開示されている。
しかし、特許文献1に開示の離型シートは、ポリオレフィン系離型剤層と基材フィルムとの密着性が十分ではなく、粘着剤層から離型剤層を剥離する際に離型剤層が粘着剤層へ脱離する問題があった。
また、特許文献2には、耐熱性、耐溶剤性、離型層と基材との密着性及び帯電防止性に優れ、粘着層を離型層に直接塗工可能な離型シートとして、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に帯電防止層と離型層が順次設けられた離型フィルムが開示されている。該離型フィルムは、離型層が非反応性ポリオレフィン、反応性ポリオレフィン及び架橋剤を含有する樹脂組成物の硬化層であり、当該離型層の表面抵抗率が1×1012Ω/□以下である離型フィルムである。
また、特許文献3には、基材とポリプロピレン離型層との密着性改良を図った、少なくとも、基材層、接着層、離型層がこの順に積層された工程フィルムであって、接着層は、不飽和カルボン酸成分とオレフィン成分との共重合体である酸変性ポリオレフィン樹脂を含有し、オレフィン成分は、プロピレン成分が主成分であり、離型層が、プロピレン成分を70質量%以上含有するポリオレフィン樹脂であることを特徴とする工程フィルムについて開示されている。
特開2001-246697号公報 特開2019-111748号公報 特開2017-065115号公報
しかしながら、本発明者の検討によると、上記特許文献2及び3に開示の離型フィルムでは、離型層面を摩擦後に離型層が脱落し、離型性能を担保できないことが分かってきた。
このように、従来の非シリコーン系離型フィルムでは、依然としてポリエステルフィルム基材とポリオレフィン系離型剤層との密着性が十分ではなかった。
そこで、本発明の目的は、ポリエステルフィルム基材とポリオレフィン系離型剤層との密着性に優れ、該離型剤層面を摩擦後も離型性能を担保できる離型フィルムを提供することにある。
本発明のポリエステルフィルムは、上記課題を解決するために、次のいずれかの態様を有する。
[1]ポリエステルフィルム基材、樹脂層及び離型剤層を備え、前記ポリエステルフィルム基材と前記離型剤層との間に前記樹脂層を有し、前記樹脂層は、オレフィン系重合体(A)を含む重合体(X)の水性樹脂分散体を含有する樹脂組成物(I)から形成され、動的光散乱法により測定される、前記水性樹脂分散体のメディアン径が300nm以下であり、前記離型剤層は、ポリオレフィン系離型剤組成物(II)から形成される、離型フィルム。
[2]前記オレフィン系重合体(A)は、反応性基を有する変性オレフィン系重合体である、上記[1]記載の離型フィルム。
[3]前記反応性基が、カルボキシル基及びその無水物である、上記[2]記載の離型フィルム。
[4]前記重合体(X)の水性樹脂分散体は、オレフィン系重合体(A)と、反応性官能基を有するラジカル重合性単量体由来の構成単位を含む重合体(B)とが、水性媒体に分散している、上記[1]~[3]のいずれか記載の離型フィルム。
[5]前記樹脂組成物(I)は、さらに硬化剤を含む上記[1]~[4]のいずれかに記載の離型フィルム。
[6]前記硬化剤が、オキサゾリン系化合物である、上記[5]記載の離型フィルム。
[7]前記ポリオレフィン系離型剤組成物(II)は、α-オレフィン単独重合体又は共重合体を含む、上記[1]~[6]のいずれか記載の離型フィルム。
[8]前記α-オレフィン単独重合体又は共重合体が、エチレン-α-オレフィン共重合体である、上記[7]記載の離型フィルム。
[9]前記ポリオレフィン系離型剤組成物(II)は、さらに、ポリオレフィンポリオールを含有する上記[7]又は[8]記載の離型フィルム。
[10]前記ポリオレフィン系離型剤組成物(II)は、さらに、イソシアネート化合物を含有する上記[9]記載の離型フィルム。
[11]上記[1]~[10]のいずれか記載の離型フィルムの離型剤層上に粘着剤層を有する粘着体。
本発明の離型フィルムは、ポリエステルフィルム基材とポリオレフィン系離型剤層との間に、特定の材料を含む樹脂層を介在させることにより、ポリエステルフィルム基材と該離型剤層との密着性に優れ、該離型剤層面を摩擦後も離型性能を担保できるという利点がある。
<離型フィルム>
本発明の離型フィルム(以下、「本離型フィルム」と称する。)は、ポリエステルフィルム基材、樹脂層及び離型剤層を有する。
また、本離型フィルムにおいて、前記ポリエステルフィルム基材と前記離型剤層との間に前記樹脂層を備える。かかる構成において、前記ポリエステルフィルム基材上に前記樹脂層を備えることが好ましく、さらに、前記樹脂層上に前記離型剤層を備えることが好ましい。
なお、前記ポリエステルフィルム基材と前記樹脂層の間及び前記樹脂層と前記離型剤層との間には他の層が介在している構成でもよく、他の層を介在させず直接積層された構成でもよい。
<ポリエステルフィルム基材>
前記ポリエステルフィルム基材のポリエステルフィルムは、単層構成であっても2層以上の積層構成であってもよい。
また、積層構成の場合、各層の構成原料は同一であっても異なっていてもよく、例えば表層と中間層の原料を変えて、3層構成とすることも可能である。
本発明におけるポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよいが、延伸フィルムであることが好ましく、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。
前記ポリエステルフィルム基材に使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。
一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の一種又は二種以上が挙げられ、共重合ポリエステルのグリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種又は二種以上が挙げられる。
ポリエステルの重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用することができ、例えばアンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、マンガン化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等が挙げられる。これらの中でも、アンチモン化合物は安価で触媒活性が高いという利点がある。
本発明におけるポリエステルフィルム中には、易滑性の付与及び各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することも可能である。粒子を配合する場合、配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。
さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。
また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、好ましくは5μm以下、より好ましくは0.1~3μmの範囲である。平均粒径を上記範囲で用いることにより、フィルムに適度な表面粗度を与え、良好な滑り性と平滑性が確保できる。
さらに、ポリエステルフィルム基材中の粒子含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは0.0003~3質量%の範囲である。粒子がない場合又は非常に少ない場合は、フィルムの透明性が高くなり良好なフィルムとなり、また、粒子をある程度含有させることで、滑り性が十分となる。
ポリエステルフィルム基材中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、エステル化又はエステル交換反応終了後、添加することが好ましい。
また、押出機等によってポリエステルに粒子を溶融混練して配合することもできる。
ポリエステルフィルムが3層以上の積層構成である場合は、表層のみに粒子を含有させることも好ましい。
なお、ポリエステルフィルム基材中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
ポリエステルフィルム基材の厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、機械的強度、ハンドリング性及び生産性などの点から、好ましくは5~300μm、より好ましくは10~125μmの範囲である。
<ポリエステルフィルム基材の製造方法>
次にポリエステルフィルム基材の製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
ポリエステルフィルム基材の製造方法としては、ポリエステル原料を乾燥したペレットを、押出機を用いてダイから溶融シートとして押し出し、冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法及び/又は液体塗布密着法が好ましく採用される。
次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。この場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロール又はテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70~120℃、好ましくは80~110℃であり、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは3.0~6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、この場合、延伸温度は通常70~170℃であり、延伸倍率は通常3.0~7倍、好ましくは3.5~6倍である。
そして、引き続き180~270℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。
上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、ポリエステルフィルム基材の製造において、同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70~120℃、好ましくは80~110℃で温度コントロールされた状態で機械方向及び幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4~50倍、好ましくは7~35倍、さらに好ましくは10~25倍である。そして、引き続き、170~250℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に後述の樹脂層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に樹脂層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、好適な離型フィルムを製造することができる。
なお、本離型フィルムを構成する「ポリエステルフィルム」とは、予めフィルムとして成形されたもののみを意味するものではなく、離型フィルムにおいてポリエステル層を構成していればよい。すなわち、「ポリエステルフィルム」は「ポリエステル層」と同義である。
よって、ポリエステルフィルムの表面に樹脂層及び/又は離型剤層をラミネートする態様のみならず、ポリエステル層と樹脂層あるいはポリエステル層と樹脂層と離型剤層とを共押出成形することによってポリエステルフィルムとすることもできる。
<樹脂層>
本離型フィルムにおける前記樹脂層は、オレフィン系重合体の水性樹脂分散体を含有する樹脂組成物(I)から形成される。
前記樹脂層の形成方法としては、例えばポリエステルフィルム基材上に塗布し、必要に応じて熱処理することにより、形成することができる。熱処理は、例えば55~300℃、好ましくは70~290℃で行うとよい。
熱処理を行うことで、樹脂層の造膜性が良好となり、基材に対する接着性が良好となる。
また、硬化剤等を用いて硬化させてもよい。
また、前記樹脂層の形成方法としては、例えば基材であるポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。より好ましくはインラインコーティングにより形成される。
インラインコーティングは、基材であるポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻上前のフィルムの何れかにコーティングする。以下に限定するものではないが、例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と樹脂層形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また、コーティング後に延伸を行うために、樹脂層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。
また、延伸前に前記ポリエステルフィルム上に樹脂層を設けることにより、樹脂層を基材フィルムと共に延伸することができ、それにより樹脂層を基材フィルムに強固に密着させることができる。
さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦及び横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、樹脂層の造膜性が向上し、樹脂層と基材フィルムをより強固に密着させることができ、さらには、樹脂層自身も強固なものとすることができ、耐湿熱性等の性能を向上させることもできる。
前記樹脂層を形成する方法としては、例えばグラビアコート、リバースロールコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロールコート、スクイズコート、含浸コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコート、押出コート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
なお、フィルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布前に基材であるポリエステルフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
前記樹脂層の厚みは、通常0.005~1.5μm、好ましくは0.01~0.5μm、さらに好ましくは0.02~0.2μmである。樹脂層の厚みがこの範囲であると、ポリエステルフィルム基材と樹脂層との密着性を担保することができ、また、樹脂層の外観(特に塗布外観)の悪化やブロッキングを防止することができる。
<樹脂組成物(I)>
前記樹脂層を形成するための前記樹脂組成物(I)(以下、「本組成物」とも称する。)は、オレフィン系重合体(A)を含む重合体(X)の水性樹脂分散体を含む。
前記水性樹脂分散体は、少なくともオレフィン系重合体(A)の粒子が水性媒体中に分散しているものであり、オレフィン系重合体(A)の粒子以外の他の重合体の粒子を含んでいてもよい。
一方、上記水性樹脂分散体は、オレフィン系重合体(A)のみの水性樹脂分散体であってもよい。
また、水性樹脂分散体の動的光散乱法により測定したメディアン径は300nm以下である。水性樹脂分散体のメディアン径が300nm以下であることにより、樹脂層の離型剤層への密着性を良好にすることができる。
かかる観点より、水性樹脂分散体の動的光散乱法により測定したメディアン径は、250nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、150nm以下がさらに好ましく、120nm以下が最も好ましい。
なお、ここで測定したメディアン径はオレフィン系重合体(A)の粒子及び後述する反応性官能基を有するラジカル重合性単量体由来の構成単位を含む重合体(B)の粒子等を含む重合体(X)の粒子のメディアン径をいう。
また、「メディアン径」とは、粒度分布測定による、フィラーの体積基準のデータから、横軸に粒子径、縦軸に体積分布の累積(%)をとったときに、体積分布の累積が50%に相当するときの粒子径(d50)を意味し、実施例に記載の方法により測定することができる。
粒子径は、例えばオレフィン系重合体(A)を含む水性樹脂分散体の製造時の乳化重合条件や下述するオレフィン系重合体(A)以外の重合体(B)を製造する際の重合条件等により、調節することができる。
また、水性樹脂分散体の水性媒体は、水及び必要に応じて水以外の溶媒を含んでいてもよい。
水以外の溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフラン、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-メトキシプロパノール、2-エトキシプロパノール等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記オレフィン系重合体(A)としては、オレフィン系重合体を構成する全構成単位(100モル%)に対して、オレフィン由来の構成単位を50モル%以上含む重合体を挙げることができ、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。
なお、単に「共重合体」という場合は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
前記オレフィン系重合体(A)として、より具体的には、反応性基を有しないオレフィン系重合体(A1)(以下、「重合体(A1)」とも称する。)や、反応性基を有する変性オレフィン系重合体(A2)(以下、「重合体(A2)」とも称する。)等が挙げられる。
<重合体(A1)>
前記重合体(A1)としては、好ましくは融点[Tm]が125℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは90℃以下であるオレフィン系重合体が挙げられる。
なお、前記Tmの下限は、好ましくは60℃以上である。
前記重合体(A1)としてより具体的には、エチレン又はプロピレンの単独重合体、エチレン及びプロピレンの共重合体、エチレン及びプロピレンの少なくとも一方と、エチレン及びプロピレンと共重合可能な単量体との共重合体、後述する炭素数4以上のα-オレフィンからなる群から選択される2種以上からなる共重合体、炭素数2以上のα-オレフィンと、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のα-オレフィン以外の非芳香族系単量体との共重合体、炭素数2以上のα-オレフィンと、芳香族ビニルモノマー等の芳香族系単量体との共重合体又はその水素添加物、共役ジエンブロック共重合体又はその水素添加物等を挙げることができる。
また、前記エチレン及びプロピレンと共重合可能な単量体としては、例えば、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、ヘプテン-1、オクテン-1、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン等の炭素数4以上のα-オレフィン等が挙げられる。
共重合体としては、炭素数2~4のα-オレフィン、すなわちエチレン、プロピレン、ブテン-1から選ばれる少なくとも2種からなる共重合体が好ましい。
なお、重合体としては、前記したポリオレフィンを塩素化した塩素化ポリオレフィンを使用してもよい。
より詳細な具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、プロピレン-ヘキセン共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化エチレン-プロピレン共重合体、塩素化プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEPS)等が挙げられる。これらの重合体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合体は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
<重合体(A2)>
前記重合体(A2)は、反応性基を有する変性オレフィン系重合体であり、反応性基としては、例えばカルボキシル基及びその無水物、アミノ基、エポキシ基、イソシアナト基、スルホニル基、ヒドロキシル基等が挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基及びその無水物が好ましい。
前記重合体(A2)としては、オレフィンと、反応性基を有するラジカル重合性単量体とを共重合した共重合体(A21)や、反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物をオレフィン系重合体にグラフト重合したグラフト重合体(A22)等が挙げられる。
前記共重合体(A21)は、オレフィンと、反応性基を有するラジカル重合性単量体とを共重合して得られ、反応性基を有するラジカル重合性単量体由来の構成単位が主鎖に挿入された共重合体である。共重合体(A21)に用いるオレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、ブテン等のα-オレフィン等が挙げられる。オレフィンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体(A21)に用いる反応性を有するラジカル重合性単量体としては、例えばアクリル酸、無水マレイン酸等のα、β-不飽和カルボン酸又は無水物等が挙げられる。
反応性を有するラジカル重合性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記共重合体(A21)の具体例としては、例えばエチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。共重合体(A21)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記グラフト重合体(A22)は、オレフィン系重合体に、反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物を、例えばグラフト重合して結合させることにより得られる。
オレフィン系重合体としては、上述の重合体(A1)を使用することができる。
前記反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸又はその無水物、イタコン酸又はその無水物、クロトン酸等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の総称であり、他の化合物もこれに準ずる。
また、前記グラフト重合体(A22)としては、オレフィン系重合体に親水性高分子が結合したものであることが好ましく、具体例としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン及びその塩素化物、無水マレイン酸変性エチレン-プロピレン共重合体及びその塩素化物、無水マレイン酸変性プロピレン-ブテン共重合体、アクリル酸変性ポリプロピレン及びその塩素化物、アクリル酸変性エチレン-プロピレン共重合体及びその塩素化物、アクリル酸変性プロピレン-ブテン共重合体等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
グラフト重合に用いるラジカル重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤から適宜選択して使用することができ、例えば、有機過酸化物、アゾニトリル等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えばジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール;クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;ジ(t-ブチル)パーオキシド等のジアルキルパーオキシド;ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アゾニトリルとしては、例えば、アゾビスブチロニトリル、アゾビスイソプロピルニトリル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述のラジカル重合開始剤のうち、特に、ベンゾイルパーオキシド及びt-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートが好ましい。
前記グラフト重合体(A22)中の反応性基の含有量は、重合体(A22)に用いるオレフィン系重合体1g当たり0.01~1mmol、すなわち0.01~1mmol/gが好ましい。重合体(A22)中の反応性基の含有量は0.05mmol/g以上がより好ましく、0.1mmol/g以上がさらに好ましい。
また、重合体(A22)中の反応性基の含有量は、0.5mmol/g以下が好ましく、0.3mmol/g以下がより好ましい。
以上のように、重合体(A22)中の反応性基の含有量は、0.01mmol/g~1mmol/gが好ましく、0.05mmol/g~0.5mmol/gがより好ましく、0.1mmol/g~0.3mmol/gがさらに好ましい。
重合体(A22)中の反応性基の含有量が前記下限値以上であれば、十分な親水性を有し、分散粒子径が小さくなる傾向にある。
また、重合体(A22)中の反応性基の含有量が前記上限値以下であれば、ポリオレフィン離型剤層に対する十分な接着性が得られる傾向にある。
また、グラフト重合体(A22)中の反応性基が、例えばカルボキシル基又はその無水物、スルホニル基等の酸性基である場合、該酸性基を塩基性化合物で中和することにより、水性樹脂分散体の機械安定性が良好となる傾向にある。
<重合体(B)>
上記水性樹脂分散体は、上述したオレフィン系重合体(A)と、反応性官能基を有するラジカル重合性単量体由来の構成単位を含む重合体(B)とが、水性媒体に分散している態様も好ましい。
前記重合体(B)は、反応性官能基(以下、「反応性官能基(i)」と称する。)を含有するラジカル重合性単量体(b1)(以下、「ラジカル重合性単量体(b1)」と称する。)由来の構成単位を含む、前記オレフィン系重合体(A)以外の重合体である。
重合体(B)がラジカル重合性単量体(b1)由来の構成単位を含むことで、オレフィン系重合体(A)と重合体(B)が架橋構造を形成するため、高塗膜強度となる。そのため、本発明の水性樹脂分散体によって形成した塗膜のポリオレフィン系離型剤層への密着性が優れたものとなる。
反応性官能基(i)は、重合体(A2)が有する反応性基と反応する官能基である。反応性官能基(i)としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアナト基、スルホニル基等が挙げられ、ポリプロピレン基材等のポリオレフィン基材に対する接着性に優れる点から、ヒドロキシル基、エポキシ基が好ましい。
ラジカル重合性単量体(b1)としては、例えばアクリル酸2-ヒドロキシルエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシルエチル、アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、アクリル酸2-ヒドロキシブチル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチル、メタクリル酸2-ヒドロキシブチル、アクリル酸ポリプロピレングリコール、メタクリル酸ポリプロピレングリコール等のヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体;メタクリル酸グリシジル、メタクリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有ビニル系単量体が挙げられる。中でも、エポキシ基を含有するラジカル重合性単量体であることが好ましい。
反応性官能基(i)を含むラジカル重合性単量体(b1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(B)は、重合性に優れ、水性樹脂分散体の安定性が向上する点から、ラジカル重合性単量体(b1)由来の構成単位の他に、反応性官能基(i)を有しないラジカル重合性単量体(b2)(以下、「ラジカル重合性単量体(b2)」と称する。)由来の構成単位を有していることが好ましい。
ラジカル重合性単量体(b2)としては、ラジカル重合性単量体(b1)との共重合性に優れるものが好ましく、反応性官能基(i)を有しないビニル系単量体がより好ましい。
ラジカル重合性単量体(b2)としては、例えば、反応性官能基(i)を有しない(メタ)アクリル酸エステル、芳香族系単量体、アミド系単量体、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記反応性官能基(i)を有しない(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、炭素数6~12のアリール基又はアラルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸-2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸のポリエチレンオキサイドの付加物、炭素数1~20のフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。炭素数6~12のアリール基又はアラルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。炭素数1~20のフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2-トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸-2-ペルフルオロエチルエチル等が挙げられる。
上記反応性官能基(i)を有しない芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等が挙げられる。
反応性官能基(i)を有しないアミド系単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ラジカル重合性単量体(b2)としては、耐候性及び耐溶剤性の点から、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族系単量体が好ましい。中でも、ポリプロピレン基材への接着性の点から、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-t-ブチル、アクリル酸ブチル、スチレン、メタクリル酸シクロヘキシルがより好ましく、スチレン、アクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチルが特に好ましい。
上記水性樹脂分散体において、前記オレフィン系重合体(A)と前記重合体(B)は、それぞれ別々の粒子として分散していてもよく、前記オレフィン系重合体(A)と前記重合体(B)との複合粒子として分散していてもよい。水性樹脂分散体の安定性の観点から、水性樹脂分散体は、前記オレフィン系重合体(A)と前記重合体(B)との複合粒子を含むことが好ましく、複合粒子として分散していることが好ましい。
前記水性樹脂分散体に含まれる前記オレフィン系重合体(A)に対する前記重合体(B)の質量比(前記重合体(B)の質量(固形分)/前記オレフィン系重合体(A)の質量(固形分)、以下、重合体(B)/重合体(A)と記載する。)は、0.5~2が好ましい。
重合体(B)/重合体(A)が前記下限値以上であれば、水性樹脂分散体を安定に製造しやすく、また、水性樹脂分散体の貯蔵安定性が向上する傾向がある。重合体(B)/重合体(A)が前記上限値以下であれば、ポリオレフィン系離型剤層に対する初期密着性が良好となる傾向がある。
水性樹脂分散体中の前記オレフィン系重合体(A)と前記重合体(B)の合計の固形分濃度は、10~60質量%が好ましく、20~50質量%がより好ましい。この範囲内であると、水性樹脂分散体を安定に製造しやすく、また、水性樹脂分散体の貯蔵安定性が悪くなる虞がない。
なお、樹脂層中の前記オレフィン系重合体(A)と前記重合体(B)の状態は、一般的なゲル包埋法で作製した超薄切片をRuO4にて染色し、透過電子顕微鏡を用いて観測することで判別できる。
前記オレフィン系重合体(A)と前記重合体(B)の水性媒体に分散している水性樹脂分散体においては、例えば前記オレフィン系重合体(A)由来の不溶解物、前記重合体(B)由来の不溶解物、前記オレフィン系重合体(A)と重合体(B)が結合してなる不溶解物等の不溶解成分が存在する。
これらの中でも、前記オレフィン系重合体(A)と前記重合体(B)が結合してなる不溶解物は、塗膜の耐水性の向上に寄与する傾向があるので好ましい。
なお、前記不溶解成分とは、水性樹脂分散体の乾燥物中に含まれるテトラヒドロフラン(以下、「THF」と称する。)に対する不溶解成分である。
詳細には、1gの水性樹脂分散体を23℃で12時間乾燥して水性媒体中の分散媒を蒸発させ、さらに減圧乾燥機を用いて23℃、10Torrで6時間乾燥して得られる乾燥物を、1質量%の濃度となるようTHFを加え、23℃で24時間静置してTHFに可溶な成分を溶解させ、保持粒子径1μmの濾紙で濾別される成分である。
上記の観点から、水性樹脂分散体の乾燥物(100質量%)に含まれる不溶解成分の含有率は1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。水性樹脂分散体の乾燥物(100質量%)に含まれる不溶解成分の含有率が前記下限値以上であれば、塗膜の耐水性が良好となる傾向にある。
<水性樹脂分散体の任意成分>
上記水性樹脂分散体は、上述した以外にも任意成分を含んでいてもよい。
前記任意成分としては、例えば貯蔵安定性を向上させる等の目的で添加する界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤としては、各種のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤若しくはノニオン性界面活性剤又は高分子界面活性剤を挙げることができる。
さらに、界面活性剤成分中にエチレン性不飽和結合を持つ、いわゆる反応性界面活性剤を使用することもできる。これらの中でも、水性樹脂分散体の貯蔵安定性向上の点から、アニオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されず、例えば反応性界面活性剤であるアデカリア(登録商標)ソープSR(商品名、ADEKA社製)、非反応性界面活性剤であるネオコール(登録商標)SW-C(商品名、第一工業製薬社製)等を用いることができる。
<水性樹脂分散体の製造方法>
上記水性樹脂分散体は、公知の方法により製造することができる。
例えば、上記重合体(A1)又は(A2)を用いる場合には、それぞれの重合体を構成する単量体成分を乳化重合させることによって製造することができ、また、水性樹脂分散体のメディアン径の調節は、乳化剤(界面活性剤)濃度を適宜変えることにより行うことができる。
さらに、上記重合体(A22)のように、分子構造中に、水に安定に分散させるために必要な親水部(親水性基)が導入された自己乳化型の重合体を用いることにより水性樹脂分散体を製造してもよい。
また、好ましい態様である、前記オレフィン系重合体(A)及び前記重合体(B)を使用する場合の水性樹脂分散体の製造方法については以下に詳述する。
かかる水性樹脂分散体は、まず、オレフィン系重合体(A)を含む水性媒体中で反応性官能基を有するラジカル重合性単量体(b1)を重合して反応性官能基を含有する重合体を含む水性樹脂分散体を得る(第1工程)。次に、水性樹脂分散体に反応性官能基を有さないラジカル重合性単量体(b2)を添加して、これを重合することにより反応性官能基を有するラジカル重合性単量体(b1)由来の構成単位を含む重合体(B)を含む水性樹脂分散体を得る(第2工程)。
以上の工程により、オレフィン系重合体(A)と、ラジカル重合性単量体(b1)由来の構成単位及びラジカル重合性単量体(b2)由来の構成単位を有する重合体(B)を含む水性樹脂分散体が得られる。
なお、上記第1工程で留めた場合には、オレフィン系重合体(A)と、ラジカル重合性単量体(b1)由来の構成単位を有する重合体(B)を含む水性樹脂分散体が得られる。
樹脂層の塗膜強度の向上のために、オレフィン系重合体(A)と重合体(B)の間に架橋構造を形成するためには、オレフィン系重合体(A)と重合体(B)のラジカル重合性単量体(b1)を反応させるとよい。本発明のオレフィン系重合体(A)とラジカル重合性単量体(b1)を反応させる方法は、特に限定されないが、オレフィン系重合体(A)の水性分散液の安定性の観点から、加熱する方法が好ましい。加熱する場合の温度は30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上が特に好ましい。また、加熱する場合の温度は120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。例えば、加熱する場合の温度は、30℃~120℃が好ましく、40℃~120℃がより好ましく、50℃~100℃がさらに好ましい。加熱する場合の温度が前記下限値以上であれば、十分な反応性を得やすい。加熱する場合の温度が前記上限値以下であれば、水性分散液の貯蔵安定性を良好にしやすい。
本発明のオレフィン系重合体(A)とラジカル重合性単量体(b1)との反応は、反応前後の単量体(b1)の量をガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)装置により測定することで確認できる。
<本組成物の任意成分>
本組成物には、上述したオレフィン系重合体(A)及び任意成分の上記重合体(B)以外にも他の重合体の分散粒子が配合されていてもよい。このような樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン樹脂、アルキド樹脂等が挙げられる。ポリオレフィン系離型剤層への密着性に優れることから、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂が好ましく、さらに樹脂層の外観が優れる点から、ポリウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂が好ましい。中でも、ポリオレフィン系離型剤層への密着性の観点からアクリルウレタン系樹脂が特に好ましい。
また、本組成物中には、硬化剤が配合されていてもよい。このような硬化剤としては、例えばアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、カルボキシル基含有化合物、カルボキシル基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、エポキシ基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。これらの中でもポリエステルフィルム基材との密着性の観点から、オキサゾリン系化合物が好ましい。
硬化剤の含有量としては、全固形分基準で10~50質量%であることが好ましく、25~40質量%の範囲であることがさらに好ましい。
前記オキサゾリン系化合物としては、分子内にオキサゾリン基を有する化合物を挙げることができ、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、当該重合体は、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独又は他のモノマーとの重合によって製造できる。
前記付加重合性オキサゾリン基含有モノマーとしては、例えば2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン及び2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2-イソプロペニル-2-オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
他のモノマーとしては、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基及びシクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の含ハロゲンα,β-不飽和モノマー類;スチレン、α-メチルスチレン等のα,β-不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上のモノマーを使用することができる。
なお、密着性向上の観点から、オキサゾリン化合物のオキサゾリン基量は、好ましくは0.5~10mmol/g、より好ましくは1~9mmol/g、さらに好ましくは3~8mmol/g、特に好ましくは4~6mmol/gの範囲である。
その他にも本組成物には各種添加剤が配合されていてもよい。添加剤としては、例えば顔料、樹脂ビーズ、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、硬化触媒、艶消し剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤、可塑剤、増粘剤、濡れ剤、溶剤等の各種添加剤が挙げられる。
添加剤は1種以上を使用できる。
<離型剤層>
本離型フィルムが有する離型剤層は、ポリオレフィン系離型剤組成物(II)(以下、「本離型剤組成物」とも称する。)から形成される。
前記離型剤層の厚みは、30~500nmが好ましく、より好ましくは45~400nm、最も好ましくは60~300nmである。離型剤層の厚さが30nm以上であれば、重剥離となる虞がなく、500nm以下であれば、ロール状に巻き取った時にブロッキングしたり、剥離力が大きくなったりする虞がない。
前記離型剤層の形成方法、すなわち、ポリエステルフィルム上の樹脂層上に離型剤層を形成して離型フィルムを製造する方法としては、上述した樹脂層の形成方法と同様の方法が採用でき、より好ましくはインラインコーティングである。
<ポリオレフィン系離型剤組成物(II)>
本離型剤組成物は、ポリオレフィン系離型剤成分を含有するものであれば、特に制限はなく、具体的には、ポリオレフィン系重合体を含むものを挙げることができる。
前記ポリオレフィン系重合体としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン等のα-オレフィンの単独重合体及び共重合体が挙げられる。これらの中でも、エチレンを主たる単量体とする共重合体(エチレン系α-オレフィン共重合体)及び/又はプロピレンを主たる単量体とする共重合体(プロピレン系α-オレフィン共重合体)が好ましい。
なお、α-オレフィン共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。
また、エチリデンノルボルネン、ノルボルネン等とエチレン等のα-オレフィンとの共重合体も挙げられる。
さらに、ポリイソプレンに代表されるリビング重合で得られたジエンゴム及びそれらを水素添加して得られたポリマー、環状オレフィンの開環重合によって得られたエラストマー等の炭化水素系エラストマーも使用することができる。
ポリオレフィン系重合体の密度は特に限定されないが、0.92g/cm以下であることが好ましく、0.90g/cm以下であるのがより好ましい。
また、ポリオレフィン系重合体の密度は通常、0.85g/cm以上である。ポリオレフィン系重合体の密度が上記範囲であることで、離型性が良好となる傾向がある。
その他にもポリオレフィン系エラストマー、特にメタロセン触媒によって重合して得られたポリオレフィン系エラストマーを使用することもできる。メタロセン触媒を使用して重合すれば、分子量分布が狭くて低分子量成分が少ないポリオレフィン系エラストマーを得ることができる。
また、メタロセン触媒を使用すれば、均一な共重合が可能であり、コモノマー含有量が平均組成と著しく離れた低分子量成分の生成を抑制することができる。このため、離型剤層(塗膜)とした際のべた付きを抑えることができる上、塗膜へ耐薬品性を付与するための架橋基の導入が均一にでき、その結果、効率的なゲル化が可能であり、耐薬品性、耐熱性、塗膜強度の高い離型剤層が得られる。
前記のポリオレフィン系エラストマーは変性ポリオレフィン系エラストマーであってもよい。
変性ポリオレフィン系エラストマーとしては、オレフィンモノマーの単独重合体又は共重合体に、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基などの環状エーテル基又はイソシアネート基などの官能基を有する化合物を反応させたものが挙げられる。
また、オレフィンを主たる成分として他の反応性モノマーと共重合した重合体なども挙げられる。
前記のポリオレフィンを製造するモノマーに対し、極性基を有するメタ(アクリレート)モノマーを共重合するか、又は上記のポリオレフィン系エラストマーを溶液中、溶融状態あるいは懸濁状態でラジカル開始剤の存在下に極性基を有するモノマーを反応させることにより、ポリオレフィン鎖に極性基を導入することができる。
<好ましいポリオレフィン系離型剤組成物(II)>
本離型剤組成物の好ましい態様としては、非反応性ポリオレフィンと、反応性ポリオレフィンと、硬化剤とを含む組成物を挙げることができる。
(非反応性ポリオレフィン)
前記非反応性ポリオレフィンとは、実質的に反応性を有さないポリオレフィンである。より具体的には、後述する硬化剤との反応性を有さないポリオレフィンを意味する。非反応性ポリオレフィンは単独で使用しても、2種以上を用いてもよい。離型性と耐熱性の観点からは、ポリエチレン共重合体を用いることが好ましい。
ポリエチレン共重合体を用いる場合は、チーグラーナッタ触媒、メタロセン触媒等の遷移金属触媒を用いて合成されたものを使用することが好ましい。中でもメタロセン触媒を用いて合成されたものを使用すれば、離型性及び耐熱性に優れた離型フィルムを得ることができるという利点がある。ポリエチレン共重合体としては、具体的にはエチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-オクテン共重合体等のエチレンとα-オレフィンの共重合体が挙げられる。
非反応性ポリオレフィンに含まれるエチレン単位の含有量は特に限定されないが、50質量%以上、80質量%以下が好ましい。エチレン単位の含有量が80質量%以下であることで塗工中のゲルの発生が少なく、フィルターの昇圧や、離型フィルムの外観の悪化が抑制され、生産性が良好となる傾向がある。
また、エチレン単位の含有量が50質量%以上であることで、十分な離型性が得られる傾向がある。
本離型剤組成物中(離型剤層中)の前記非反応性ポリオレフィンの含有量は、好ましくは80~99質量%、より好ましくは90~99質量%である。含有量が80質量%以上であることにより、剥離性が良好となり剥離力が小さい傾向があり、99質量%以下であることにより、硬化成分が少なくなり過ぎず十分な塗膜強度が得られる傾向がある。
(反応性ポリオレフィン)
反応性ポリオレフィンとは、他の成分、例えば硬化剤と反応し得るポリオレフィンであり、硬化剤と反応して3次元網目構造を形成することができるものを挙げることができる。3次元網目構造の形成により、離型剤層に耐熱性と耐薬品性を付与することができる。
前記反応性ポリオレフィンとしては、例えば溶融や溶液状態において官能基を有する化合物を用いてポリオレフィンを変性したものや、触媒の存在下にエチレン等と反応性を有する化合物を共重合する等の手法によって得られるもの等を挙げることができる。
反応性基としては特に限定されないが、例えばエポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、酸無水基等が挙げられる。
具体的には、分子中にヒドロキシル基、エポキシ基等を有するポリオレフィンや、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アリルコハク酸等により変性されたポリオレフィン、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミドを有するもの等が挙げられる。
これらの中でも入手しやすさや加熱後の剥離力の観点から好ましくは、ヒドロキシル基を少なくとも分子中に平均して1個以上有する化合物、具体的にはポリオレフィンポリオールが好ましい。
基材密着性の観点からは無水マレイン酸により変性され、これに由来する基を少なくとも分子中に平均1個以上有する酸変性ポリオレフィンが好ましい。
低剥離力と基材に対する密着性を両立するためには、反応性ポリオレフィンに含まれる官能基量は0.01~5質量%であることが好ましく、0.01~1質量%であることがより好ましい。この範囲であることにより、剥離力が小さく、かつ、基材と離型剤層の密着性が良好となる傾向がある。
また、剥離力の点から、反応性ポリオレフィンの密度は、1.0g/cm以下が好ましく、特に0.94g/cm以下が好ましく、特に0.90g/cm以下が好ましい。下限は特に限定されないが、通常、0.7g/cm以上である。
反応性ポリオレフィンの具体例として、エチレン-α-オレフィン共重合体のヒドロキシ(メタ)アクリレート変性物、ポリエチレンのヒドロキシ(メタ)アクリレート変性物、ポリプロピレンのヒドロキシ(メタ)アクリレート変性物、ポリオレフィンポリオール、エチレン-α-オレフィン共重合体のエポキシ基を有する(メタ)アクリレート変性物、ポリエチレンのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート変性物、核水添スチレンジエン共重合体のエポキシ基を有する(メタ)アクリレート変性物、ポリプロピレンのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート変性物、エチレン-α-オレフィン共重合体の酸変性物等挙げられる。これらの中でも市販品を容易に入手できるためポリオレフィンポリオールが好ましい。
また、密着性の観点からは無水マレイン酸変性エチレン-α-オレフィン共重合体が好ましい。
ポリオレフィンポリオールの具体例としては三菱ケミカル社製ポリテールH(末端水酸基化水添ポリブタジエン)、出光興産社製Poly bd R-45HT(水酸基末端液状ポリブタジエン)、出光興産社製Poly ip(水酸基末端液状ポリイソプレン)、出光興産社製エポール(水酸基末端液状水添ポリイソプレン)、日本曹達社製GI-1000(水酸基含有液状水添ポリブタジエン)、日本曹達社製GI-2000(水酸基含有液状水添ポリブタジエン)、日本曹達社製GI-3000(水酸基含有液状水添ポリブタジエン)などが挙げられる。
市販の無水マレイン酸変性ポリオレフィンとしては、三菱ケミカル社製モディックシリーズや、三井化学社製タフマーシリーズのMP-0620、MH-7020、MA-8510などが挙げられる。
反応性ポリオレフィンは分子中に異なる複数の種類の官能基を有していてもよい。
また、本発明で用いる反応性ポリオレフィンは、複数の反応性ポリオレフィンからなる組成物であってもよい。
また、本離型剤組成物中(硬化前の離型剤層中)の反応性ポリオレフィンの含有量は、0.2~20質量%、好ましくは0.5~10質量%である。含有量が0.2質量%以上であることで耐熱性や耐溶剤性が良好となる傾向がある。
また、20質量%以下であることで剥離性が良好となり剥離力が小さくなる傾向がある。
(硬化剤)
前記硬化剤としては、前記反応性ポリオレフィンの架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与することで、本離型剤組成物を硬化する化合物を挙げることができ、具体的には、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。これらの中でも特に、反応性の観点から、イソシアネート化合物が好ましい。
前記イソシアネート化合物としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トランス-シクロヘキサンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート等及びそれらの付加体等の多官能イソシアネート、多価アルキルアミン及びそれらの組成物が挙げられる。
また、離型剤層の強度及び耐熱性の観点より、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物が好ましい。
また、離型剤層の密着性の観点からは、エポキシ化合物が好ましい。
前記エポキシ化合物としては、例えばN,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製、商品名「テトラッドC」)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト1600」)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト1500NP」)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト40E」)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト70P」)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(日本油脂社製、商品名「エピオールE-400」)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(日本油脂社製、商品名「エピオールP-200」)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デナコールEX-611」)、グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デナコールEX-314」)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デナコールEX-512」)、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテル、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられる。
また、耐熱性や耐薬品性の点からは、メラミン化合物が好ましい。
前記メラミン化合物としては、例えばトリアジン環の3つの炭素原子にアミノ基がそれぞれ結合したいわゆるメラミン(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン)又はメラミンのアミノ基に種々の変性を施した化合物が挙げられ、トリアジン環が複数縮合したものも含む。
変性された化合物としては、3つのアミノ基の水素原子のいくつかがアルキル化又はメチロール化されたものが広く使用される。一般にアルキル化されたものよりもメチロール化又は置換されていない水素原子の方が、反応性が高く、用途に応じて適正な種類のメラミン化合物を選定することができる。これらの中で好ましいのは、トリアジン環の縮合数が平均3以下で、少なくとも1つ以上のアミノ基がアルキル化されたものであり、これらは溶剤への分散性と樹脂との反応性の点で優れている。メラミン化合物の市販品としては、例えば、三井化学社製のユーバン60R(イソブチル化メラミン樹脂)、日本サイテックインダストリー社製のサイメルシリーズ、住友化学社製のスミマール、DIC社製のアミディアなどが挙げられる。
以上から、前記硬化剤としては、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート、エポキシ化合物及びメラミン化合物からなる群から選ばれるのが好ましい。
本離型剤組成物中(硬化前の離型剤層中)の架橋剤の含有量は、0.05~20質量%であり、好ましい下限は0.1質量%、更に好ましくは0.5質量%であり、好ましい上限は10質量%である。
一方、含有量が0.05質量%以上であることで耐熱性及び耐溶剤性が良好となる傾向がある。
また、含有量が20質量%以下であることで、剥離性が良好となり剥離力が小さくなる傾向が強い。
(その他成分)
本離型剤組成物には、その他必要に応じて、前記反応性ポリオレフィン及び非反応性ポリオレフィン以外のオレフィン系樹脂、パラフィン、パラフィンワックス、プロセスオイル、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤等の光安定剤や帯電防止剤、カーボンブラック、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の充填剤、顔料、触媒等を適宜配合してもよい。
また、本離型剤組成物には、離型剤層の反応を促進させるために触媒を加えてもよい。触媒の種類は特に限定されないが、硬化剤としてイソシアネートを用いる場合は、これと反応性ポリオレフィンとの反応を促進させる上で、硬化触媒を用いることが好ましい。
硬化剤としてイソシアネートを用いる場合の硬化触媒としては、3級アミン、3級アミンのカルボン酸塩、カルボン酸金属塩(酢酸カリウム、オクチル酸カリウム及びスタナスオクトエート等)及び有機金属化合物(ジブチルチンジラウレート等)が挙げられ、3級アミンが好ましい。
前記3級アミンとしては、例えばトリエチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-メチルピペリジン、ピロリジン、キヌクリジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-ウンデセン-7(カルボン酸塩)及びビス(ジメチルアミノエチル)エーテル(カルボン酸塩)等が挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。
また、硬化剤としてエポキシ化合物を用いる場合の硬化触媒としては、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミンメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン等の第3級アミン類;2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-メチルイミダソール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール等のイミダゾール類;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のジアザビシクロアルケン類、及びそれらの塩類;オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫やアルミニウムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物;トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物等;第4級アンモニウム化合物等が挙げられる。
硬化触媒の含有量は特に限定されないが、反応促進の観点から0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましい。
一方、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
また、硬化剤としてメラミン化合物を用いる場合は、これと反応性ポリオレフィンとの反応を促進させる上で、酸硬化触媒を用いることが好ましい。
前記酸硬化触媒としては、例えば無水リン酸や無水アリールスルホン酸が好ましい。無水アリールスルホン酸としては、p-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、置換フェノールスルホン酸、キシレノールスルホン酸、置換キシレノールスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられ、これらは一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、硬化助剤として、レゾルシノール、クレゾール、サリゲニン(o-メチロールフェノール)、p-メチロールフェノール等を添加してもよい。
本離型剤組成物中(硬化前の離型剤層中)の酸硬化触媒の含有量は特に限定されないが、反応促進の観点から0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましい。
一方、上限は5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
<離型フィルムの物性>
本離型フィルムの常態剥離力は1mN/cm以上75mN/cm以下であることが好ましく、更に好ましくは1mN/cm以上、70mN/cm以下である。
常態剥離力が75mN/cm以下であることにより、粘着体としたときに種々の粘着剤を用いることができる。かかる観点から、粘着体用の軽剥離フィルムとしては、常態剥離力75mN/cm以下であることが好ましい。
<粘着体>
本離型フィルムは、離型剤層の上に粘着剤層を積層させた粘着体として提供することができる。
前記粘着体の粘着剤層に用いる粘着剤としては、特に限定されないが、ゴム系、アクリル系、ポリエステル系粘着剤等が挙げられ、このうちアクリル系粘着剤やポリエステル系粘着剤は、安定した剥離性が得られるため好ましい。
前記アクリル系粘着剤は、溶液重合法、エマルション重合法、UV重合法などの慣用の重合法により得られるアクリル系ポリマーを主剤とし、これに必要により、架橋剤、粘着付与剤、軟化剤、老化防止剤、充填剤などの各種の添加剤を加えることにより調製できる。
前記アクリル系ポリマーとしては、例えばブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートを主成分とし、必要により共重合可能な改質用モノマーとして、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸などのカルボキシ基含有モノマー、スチレン等のスチレン系モノマー、酢酸ビニル等のビニルエステル類等の他のモノマーを加えたモノマー混合物の共重合体が用いられる。
また、ポリエステル系粘着剤としては、脂肪族系カーボネートジオール(例えば、ブタンジオール等のジオール成分とエチレンカーボネートなどのカーボネート化合物との反応により得られるカーボネートジオールなど)を必須のポリオール成分としたポリエステル系重合体を主剤とする粘着剤が挙げられる。
また、前記粘着剤層は、例えば粘着剤を含む溶液を離型フィルムの離型剤層上に塗布し、これを乾燥させることにより形成することができる。また、粘着剤層の厚みは、粘着性等を考慮して適宜選択することができ、通常3~100μm、好ましくは5~90μm、さらに好ましくは10~80μmである。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた測定法は次のとおりである。
(1)平均粒径(d50:μm)の測定
ゼータ電位・粒子径・分子量測定システム(大塚電子株式会社製、ELSZ-2000ZS)を使用して測定した。
(2)離型フィルムの常態剥離力の評価
試料フィルムの離型剤層表面に両面粘着テープ(日東電工社製「No.31B」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は、引張試験機(インテスコ社製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
(3)離型フィルムの離型剤層の密着性評価
塗工直後の試料フィルムの離型剤層面を触手により5回擦り、離型剤層の脱落程度及び離型性の保持を下記判断基準により評価した。
《判定基準》
○:塗膜の脱落が見られない、あるいは塗膜が白くなるが脱落せず、離型性は擦る前と同程度である。
△:塗膜が白くなり、離型性は、原反より良好だが、擦る前より悪化している
×:塗膜の脱落が確認され、離型性は原反並みの重剥離である。
(4)離型性の保持の評価
上記密着性評価後の離型剤層表面に両面粘着テープ(日東電工社製「No.31B」)の片面を貼り付けた後、室温にて手動で1時間放置後の剥離力を上記(2)に準じて測定した。
次に、実施例及び比較例で用いた材料は次のとおりである。
(1)ポリエステルフィルム基材の原料
(i)ポリエステルP1
・ポリエチレンテレフタレートホモポリマーのチップ(固有粘度:0.66dl/g)
(ii)ポリエステルP2
・平均粒径2μmの非晶質シリカを1000ppm含有するポリエチレンテレフタレートホモポリマーのチップ(固有粘度:0.62dl/g)
(2)樹脂層の原料
(i)オレフィン系重合体(A)の水性樹脂分散体
・三菱ケミカル株式会社社製、アプトロック(登録商標)BW-5635(反応性基としてカルボキシ基を有する変性オレフィン系重合体の水性分散液、メディアン径88nm、固形分濃度30%)
(ii)硬化剤
・日本触媒株式会社製、エポクロス(登録商標)WS500(オキサゾリン系化合物)
(iii)添加剤
・平均粒径が70nmの球状シリカ
(3)離型剤層の原料
(i)非反応性ポリオレフィン(C1)
・エチレン-プロピレン共重合体
メタロセン触媒によって得られたエチレン-プロピレンランダム共重合体(H-NMRによる組成質量比:エチレン/プロピレン=72/28、MFR(230℃,荷重2.16kg)2.0g/10分、密度0.86g/cm)。
(ii)反応性ポリオレフィン(C2)
・三菱ケミカル社製、ポリテールH(水酸基を有するポリブタジエンの水素化物、数平均分子量2700、NMRより求めた水酸基量1.5質量%、密度0.85g/cm
(iii)硬化剤(C3)
・三井化学社製、タケネートD160N(ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト付加物/%NCO 12.8%/固形分含有率75%)
(iv)硬化触媒(C4)
・富士フィルム和光純薬社製、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン
[実施例1]
(1)ポリエステルフィルム基材の作製
前記ポリエステルP1を中間層用の原料とし、前記ポリエステルP2を表層用の原料とし、各原料をそれぞれ別個の溶融押出機により溶融押出して、表層/中間層/表層の2種3層積層の無定形シートを冷却したキャスティングドラム上に共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。
次いで、機械方向(縦方向)に90℃で3.4倍に延伸した。
(2)樹脂層の形成
上記オレフィン系重合体(A)の水性樹脂分散体(以下、「水性樹脂分散体(A)」と記載する。)(59質量%)、上記硬化剤(33質量%)、上記添加剤(6質量%)、その他の添加剤(2質量%)からなる塗液(合計100質量%、全固形分基準)を上記ポリエステルフィルム基材上に塗布した後にテンター内で予熱工程を経て110℃で幅方向(横方向)に4.3倍に延伸を行い、230℃で熱処理を行い、ポリエステルフィルム基材上に樹脂層を形成した。
得られた樹脂層付きポリエステルフィルム基材の厚さは50μmであり、当該樹脂層の厚さは0.02μmであった。
(3)離型剤層の形成
前記非反応性ポリオレフィン(C1)としてのエチレン-プロピレン共重合体と、反応性ポリオレフィン(C2)としてのポリテールHとをそれぞれ、トルエンと共に加熱することによって、2%濃度のトルエン溶液を得た。
離型剤層形成用組成物(以下、「離型剤」と略することもある)中の固形分中の組成がエチレン-プロピレン共重合体(C1)/ポリテールH(C2)/タケネートD160N(C3)/1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(C4)=95/3/1/1(質量部)となるように混合して離型剤液を得た。
該離型剤液を、上記で得た樹脂層付きポリエステルフィルムの樹脂層上にマイヤーバーにより塗布し、150℃のドライヤーで30秒乾燥させ、厚み0.2μmの離型剤層を有する離型フィルムを得た。当該離型フィルムに関する評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の水性樹脂分散体(A)を水性樹脂分散体(A’1)に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。評価結果を表1に示す。
(水性樹脂分散体(A’1))
・無水マレイン酸変性ポリプロピレン(水性分散液、メディアン径3590nm、固形分濃度30%)
[比較例2]
実施例1の水性樹脂分散体(A)を水性樹脂分散体(A’2)に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。評価結果を表1に示す。
(水性樹脂分散体(A’2))
・ポリエステル及びポリアクリレート系(水性分散液、固形分濃度30%)
[比較例3]
実施例1の樹脂層を無しに変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。評価結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1の離型剤層を無しに変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。評価結果を表1に示す。
Figure 2023093119000001
本発明の離型フィルムは、非シリコーン系離型剤を使用しており、かつ、離型剤層の密着性が良好であることから、離型剤層面を摩擦後も離型性能を担保することができる。
したがって、本発明の離型フィルムは、電子部材などの精密用途、例えばハードディスク装置等に好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. ポリエステルフィルム基材、樹脂層及び離型剤層を備え、
    前記ポリエステルフィルム基材と前記離型剤層との間に前記樹脂層を有し、
    前記樹脂層は、オレフィン系重合体(A)を含む重合体(X)の水性樹脂分散体を含有する樹脂組成物(I)から形成され、
    動的光散乱法により測定される、前記水性樹脂分散体のメディアン径が300nm以下であり、
    前記離型剤層は、ポリオレフィン系離型剤組成物(II)から形成される、離型フィルム。
  2. 前記オレフィン系重合体(A)は、反応性基を有する変性オレフィン系重合体である、請求項1記載の離型フィルム。
  3. 前記反応性基が、カルボキシル基及びその無水物である、請求項2記載の離型フィルム。
  4. 前記重合体(X)の水性樹脂分散体は、オレフィン系重合体(A)と、反応性官能基を有するラジカル重合性単量体由来の構成単位を含む重合体(B)とが、水性媒体に分散している、請求項1~3のいずれか一項記載の離型フィルム。
  5. 前記樹脂組成物(I)は、さらに硬化剤を含む請求項1~4のいずれか一項記載の離型フィルム。
  6. 前記硬化剤が、オキサゾリン系化合物である、請求項5記載の離型フィルム。
  7. 前記ポリオレフィン系離型剤組成物(II)は、α-オレフィン単独重合体又は共重合体を含む、請求項1~6のいずれか一項記載の離型フィルム。
  8. 前記α-オレフィン単独重合体又は共重合体が、エチレン-α-オレフィン共重合体又はプロピレン-α-オレフィン共重合体である、請求項7記載の離型フィルム。
  9. 前記ポリオレフィン系離型剤組成物(II)は、さらに、ポリオレフィンポリオールを含有する請求項7又は8記載の離型フィルム。
  10. 前記ポリオレフィン系離型剤組成物(II)は、さらに、イソシアネート化合物を含有する請求項9記載の離型フィルム。
  11. 請求項1~10のいずれか一項記載の離型フィルムの離型剤層上に粘着剤層を有する粘着体。
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