JP2023092785A - 粉体塗料 - Google Patents
粉体塗料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2023092785A JP2023092785A JP2021207999A JP2021207999A JP2023092785A JP 2023092785 A JP2023092785 A JP 2023092785A JP 2021207999 A JP2021207999 A JP 2021207999A JP 2021207999 A JP2021207999 A JP 2021207999A JP 2023092785 A JP2023092785 A JP 2023092785A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- powder coating
- less
- mass
- coating
- particle size
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Paints Or Removers (AREA)
Abstract
【課題】 塗装性の悪化を抑制しつつ、優れた放熱性を塗膜に付与し得る粉体塗料を提供する。【解決手段】 以下では、(A):200g/eq以上1000g/eq以下の範囲にエポキシ当量を有するエポキシ化合物、(B):(A)と反応する硬化剤、(C):10W/(m・K)以上の熱伝導率、10μm以上60μm以下の粒子径(d50)、および3μm以上40μm以下の粒子径(d10)、を有する絶縁性無機充填剤、とする。このとき、本発明に係る粉体塗料は、硬化物を形成するための塗料であって、熱硬化性組成物の微粉砕物で構成してあり、熱硬化性組成物は、(A)、(B)、および(C)を含み、(C)は、組成物全体中に、72質量%以上85質量%以下の範囲で含有されていることを特徴とする。【選択図】 なし
Description
本発明は、電装部品用途、特にコイルの固着に用いて好適な、粉末状の熱硬化性組成物からなる粉体塗料に関する。
電動機や発電機等の回転子(電機子)のコア空間内には、巻成したコイルが設置されている。回転によりコイルの巻線がばらけること、または巻線とティース部との間や巻線どうしで、摩擦や衝突が生じることにより巻線の被覆が剥がれて短絡することを防止するため、コイルはコア空間内に固着されている。このようにコイルを固着させるために、エポキシ系の粉体塗料が用いられてきた(例えば特許文献1)。
特許文献1による粉体塗料は、溶融時の流れ性がよいため、コア空間内に良好に充填され得るものの、得られる硬化物(塗膜)は、放熱性に乏しいという課題があった。そこで近年、電動機や発電機等の高性能化・高電力化に伴う発熱量の増大による放熱対策を重視すべく、粉体塗料中への各種放熱剤の添加が検討されている。
硬化物の放熱性を高めるために組成物中へ放熱剤を配合すると、それに起因して粉体塗料の溶融時の流れ性が低下して塗装性が悪化し、平滑で良好な外観を備えた硬化物を得られないことがあった。硬化物に高い放熱性を付与すべく放熱剤の配合量を増やした場合、この傾向が強くなることの他に、組成物中での他の成分の配合割合が相対的に減り、その結果、硬化物の重要な特性である耐熱性等諸特性の低下を伴うという欠点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものである。本発明は、塗装性の悪化を抑制しつつ、優れた放熱性を塗膜に付与し得る粉体塗料と、該塗料から形成され、良好な外観と優れた放熱性を有する塗膜を備えた被塗装体と、を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、粉体塗料が、以下の要件を満たすことによって、良好な外観と優れた放熱性を有する塗膜の形成に有効であることを見出した。
・熱硬化性化合物として分子量が小さいエポキシ化合物(特定エポキシ化合物)を用いる。
・絶縁性無機充填剤として自身の熱伝導性が所定値以上で、かつ所定の粒子径(d50、d10)を備えたもの(特定充填剤)を用いる。
・上記特定充填剤の配合量が特定の範囲である。
本発明者らは、こうした新たな知見に基づき、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
・熱硬化性化合物として分子量が小さいエポキシ化合物(特定エポキシ化合物)を用いる。
・絶縁性無機充填剤として自身の熱伝導性が所定値以上で、かつ所定の粒子径(d50、d10)を備えたもの(特定充填剤)を用いる。
・上記特定充填剤の配合量が特定の範囲である。
本発明者らは、こうした新たな知見に基づき、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
以下では、
(A):200g/eq以上1000g/eq以下の範囲にエポキシ当量を有するエポキシ化合物、
(B):(A)と反応する硬化剤、
(C):10W/(m・K)以上の熱伝導率、10μm以上60μm以下の粒子径(d50)、および3μm以上40μm以下の粒子径(d10)、を有する絶縁性無機充填剤、
(D):1μm以下に一次粒子の平均粒子径を有する微粒子、
とする。
(A):200g/eq以上1000g/eq以下の範囲にエポキシ当量を有するエポキシ化合物、
(B):(A)と反応する硬化剤、
(C):10W/(m・K)以上の熱伝導率、10μm以上60μm以下の粒子径(d50)、および3μm以上40μm以下の粒子径(d10)、を有する絶縁性無機充填剤、
(D):1μm以下に一次粒子の平均粒子径を有する微粒子、
とする。
本発明によれば、硬化物を形成するための粉体塗料であって、
熱硬化性組成物の微粉砕物で構成してあり、
熱硬化性組成物は、(A)、(B)、および(C)を含み、
(C)は、組成物全体中に、72質量%以上85質量%以下の範囲で含有されている、粉体塗料が提供される。
本発明によれば、上記粉体塗料から形成された硬化物からなる塗膜が提供される。
本発明によれば、上記塗膜を有する被塗装体が提供される。
本発明によれば、コイルである上記被塗装体が提供される。
熱硬化性組成物の微粉砕物で構成してあり、
熱硬化性組成物は、(A)、(B)、および(C)を含み、
(C)は、組成物全体中に、72質量%以上85質量%以下の範囲で含有されている、粉体塗料が提供される。
本発明によれば、上記粉体塗料から形成された硬化物からなる塗膜が提供される。
本発明によれば、上記塗膜を有する被塗装体が提供される。
本発明によれば、コイルである上記被塗装体が提供される。
上記の粉体塗料は、以下の態様を含み得る。
・(C)の質量比は、(A)と(B)の混合物:1に対して2.6以上6.0以下であることができる。
・(C)は、40μm以上200μm以下の範囲に最大粒子径(dmax)を有することができる。
・熱硬化性組成物は、さらに(D)を含むことができる。
・(D)は、組成物全体中に、0.02質量%以上0.5質量%以下の範囲で含有されていてもよい。
・(C)の質量比は、(A)と(B)の混合物:1に対して2.6以上6.0以下であることができる。
・(C)は、40μm以上200μm以下の範囲に最大粒子径(dmax)を有することができる。
・熱硬化性組成物は、さらに(D)を含むことができる。
・(D)は、組成物全体中に、0.02質量%以上0.5質量%以下の範囲で含有されていてもよい。
本発明によれば、特定のエポキシ化合物と充填剤(AおよびC)を含み、かつ後者の配合比率を調整したため、塗装性の悪化を抑制しつつ、優れた放熱性を塗膜に付与し得る粉体塗料と、該塗料から形成され、良好な外観と優れた放熱性を有する塗膜を備えた、コイル等の被塗装体と、が提供される。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し、適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲のものである。
1.(粉体塗料)
本発明の一形態に係る粉体塗料は、硬化物を形成するための粉末状の塗料であり、熱硬化性組成物の微粉砕物(粉体粒子)で構成してある。粉体塗料を形成する一形態に係る熱硬化性組成物(以下単に「組成物」ともいう。)は、熱硬化性化合物、(B)硬化剤、および充填剤、を含む。熱硬化性化合物、および充填剤は、それぞれ、(A)特定のエポキシ化合物、および(C)特定の絶縁性無機充填剤を、95質量%以上(好ましくは100質量%)含む。熱硬化性化合物、および充填剤は、それぞれ、(A)、および(C)以外の成分を含むことはあり得る。すなわち、一形態に係る組成物は、少なくとも(A)、(B)、および(C)を含んで構成される。以下、各成分を詳細に説明する。
本発明の一形態に係る粉体塗料は、硬化物を形成するための粉末状の塗料であり、熱硬化性組成物の微粉砕物(粉体粒子)で構成してある。粉体塗料を形成する一形態に係る熱硬化性組成物(以下単に「組成物」ともいう。)は、熱硬化性化合物、(B)硬化剤、および充填剤、を含む。熱硬化性化合物、および充填剤は、それぞれ、(A)特定のエポキシ化合物、および(C)特定の絶縁性無機充填剤を、95質量%以上(好ましくは100質量%)含む。熱硬化性化合物、および充填剤は、それぞれ、(A)、および(C)以外の成分を含むことはあり得る。すなわち、一形態に係る組成物は、少なくとも(A)、(B)、および(C)を含んで構成される。以下、各成分を詳細に説明する。
1-1.(熱硬化性化合物)
一形態に係る組成物では、熱硬化性化合物として特定の、具体的には(A)200g/eq以上1000g/eq以下の範囲にエポキシ当量を有するエポキシ化合物、を用いる。
エポキシ化合物は、粉体塗料の製造に原料として用いられ得るエポキシ化合物であれば、特に限定されない。例えば、ビスフェノール型エポキシ化合物(例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型、AD型エポキシ化合物等)、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン環含有エポキシ化合物等が挙げられる。エポキシ化合物としては、上記各エポキシ化合物の重合体であるエポキシ樹脂も含まれる。エポキシ化合物としては、この中でも、好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物である。
一形態に係る組成物では、熱硬化性化合物として特定の、具体的には(A)200g/eq以上1000g/eq以下の範囲にエポキシ当量を有するエポキシ化合物、を用いる。
エポキシ化合物は、粉体塗料の製造に原料として用いられ得るエポキシ化合物であれば、特に限定されない。例えば、ビスフェノール型エポキシ化合物(例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型、AD型エポキシ化合物等)、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン環含有エポキシ化合物等が挙げられる。エポキシ化合物としては、上記各エポキシ化合物の重合体であるエポキシ樹脂も含まれる。エポキシ化合物としては、この中でも、好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物である。
エポキシ化合物として、エポキシ当量が200g/eq以上1000g/eq以下のもの(すなわち(A))を用いる。エポキシ化合物のエポキシ当量を上記範囲内とすることにより、硬化物の靭性だけでなく、流動性に優れる。詳細には、エポキシ当量を200g/eq以上とすることで、硬化物に靭性を付与することができ、1000g/eq以下とすることで、塗装時に流動性が良好となる。
エポキシ化合物は、エポキシ当量が200g/eq以上1000g/eq以下の範囲となるように、エポキシ当量が異なる2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
エポキシ化合物は、エポキシ当量が200g/eq以上1000g/eq以下の範囲となるように、エポキシ当量が異なる2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
(A)の物性は、特に限定されないが、好ましくは、軟化点が70℃以上120℃以下である。エポキシ化合物の軟化点を上記範囲内とすることにより、塗装時に流動性が良好となる。また、ブロッキング発生を防止する効果にも優れる。
エポキシ化合物は、軟化点が70℃以上120℃以下の範囲となるように、軟化点が異なる2種類以上を組み合わせて使用してもよい。軟化点は、JIS K 7234の環球法で測定することができる。
(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ化合物は、軟化点が70℃以上120℃以下の範囲となるように、軟化点が異なる2種類以上を組み合わせて使用してもよい。軟化点は、JIS K 7234の環球法で測定することができる。
(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物中での(A)の含有量(総量)は特に限定されないが、他成分との配合バランスを考慮すると、組成物の全固形分総量(100質量%)に対して、好ましくは10質量%以上、30質量%以下である。
1-2.(硬化剤)
組成物の形成に用いる(B)硬化剤は、熱硬化性化合物、特に(A)と反応するものであれば、特に限定されない。例えば、フェノール系硬化剤、ジアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、シアネート系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、イミダゾール系化合物、有機リン系化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等が挙げられる。ジアミン系硬化剤としては、例えば、ジエチルジアミノジフェニルメタンやジシアンジアミド(DICY)等が挙げられる。酸無水物系硬化剤としては、脂環族酸無水物(例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)等)、芳香族酸無水物(例えば、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等)が挙げられる。シアネート系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。イソシアネート系硬化剤としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、2,4-トルエンジイソシアナート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアナート(2,6-TDI)等が挙げられる。
(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物の形成に用いる(B)硬化剤は、熱硬化性化合物、特に(A)と反応するものであれば、特に限定されない。例えば、フェノール系硬化剤、ジアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、シアネート系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、イミダゾール系化合物、有機リン系化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等が挙げられる。ジアミン系硬化剤としては、例えば、ジエチルジアミノジフェニルメタンやジシアンジアミド(DICY)等が挙げられる。酸無水物系硬化剤としては、脂環族酸無水物(例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)等)、芳香族酸無水物(例えば、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等)が挙げられる。シアネート系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。イソシアネート系硬化剤としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、2,4-トルエンジイソシアナート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアナート(2,6-TDI)等が挙げられる。
(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物中の(B)の含有量は、特に限定されない。一形態において、(A)に対する(B)の当量比が0.3以上2.0以下となることが好ましく、0.5以上1.5以下となることがより好ましい。すなわち、(A)および(B)の各含有量は、上記当量比を満たす含有量であることが好ましい。(A)および(B)の各含有量が、上記当量比を満たすような含有量であれば、硬化物の耐熱性および機械特性により優れた組成物になる。このことは、(A)および(B)の硬化反応が好適に進行するためと考えられる。
1-2-1.(硬化促進剤)
組成物は、必要に応じて硬化促進剤を含有してもよい。使用可能な硬化促進剤の種類は特に限定されず、反応速度、反応温度、保存安定性等の観点から、適切なものを選択することができる。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール系化合物、有機リン系化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物が硬化促進剤を含む場合、組成物中の硬化促進剤の含有量は特に限定されない。保存安定性の観点から、硬化促進剤の(B):1に対する質量比は、例えば0.1以上、好ましくは0.2以上、例えば10以下、好ましくは5以下である。また、硬化促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、塗膜の平滑性も良好となる。
組成物は、必要に応じて硬化促進剤を含有してもよい。使用可能な硬化促進剤の種類は特に限定されず、反応速度、反応温度、保存安定性等の観点から、適切なものを選択することができる。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール系化合物、有機リン系化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物が硬化促進剤を含む場合、組成物中の硬化促進剤の含有量は特に限定されない。保存安定性の観点から、硬化促進剤の(B):1に対する質量比は、例えば0.1以上、好ましくは0.2以上、例えば10以下、好ましくは5以下である。また、硬化促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、塗膜の平滑性も良好となる。
1-3.(充填剤)
一形態に係る組成物では、充填剤として特定の、具体的には(C)10W/(m・K)以上の熱伝導率、10~60μmの粒子径(d50)、および3~40μmの粒子径(d10)、を有する絶縁性無機充填剤、を用いる。「絶縁性」とは、数百ボルト~数千ボルト程度の電圧をかけても無機充填剤自体が電流を流さない性質のことをいい、電子に占有された最もエネルギー準位の高い価電子帯からその上にある次のバンド(伝導帯)までが大きなエネルギーギャップで隔てられているために有する性質である。
特定充填剤としての(C)は、塗膜に高い熱伝導性を付与する観点から、自身の熱伝導率が、好ましくは20W/(m・K)以上、より好ましくは25W/(m・K)以上、であることが望ましい。
一形態に係る組成物では、充填剤として特定の、具体的には(C)10W/(m・K)以上の熱伝導率、10~60μmの粒子径(d50)、および3~40μmの粒子径(d10)、を有する絶縁性無機充填剤、を用いる。「絶縁性」とは、数百ボルト~数千ボルト程度の電圧をかけても無機充填剤自体が電流を流さない性質のことをいい、電子に占有された最もエネルギー準位の高い価電子帯からその上にある次のバンド(伝導帯)までが大きなエネルギーギャップで隔てられているために有する性質である。
特定充填剤としての(C)は、塗膜に高い熱伝導性を付与する観点から、自身の熱伝導率が、好ましくは20W/(m・K)以上、より好ましくは25W/(m・K)以上、であることが望ましい。
(C)は、横軸に粒子径(diameter)を、縦軸に頻度(frequency)をとった粒度分布曲線を描いた場合に単一のピークを有していてもよく、複数のピークを有していてもよい。複数のピークを有する(C)は、例えば、異なる粒子径を有する2種類以上の(C)を組み合わせることで構成できる。
(C)が粒度分布曲線を描いたとき、(C)の、重量累積粒度分布の小粒径側からの累積50%に対応する粒子径(d50)は、得られる塗膜の放熱性の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上、好ましくは60μm以下、より好ましくは55μm以下、さらに好ましくは50μm以下、である。
これに加え、(C)の、重量累積粒度分布の小粒径側からの累積10%に対応する粒子径(d10)は、塗料溶融時の流れ性の低下(すなわち塗装性の悪化)を抑制することにより塗膜に良好な外観を付与する観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、である。
(C)のd50とd10は、ともにレーザー回折法を用いて測定され、重量累積粒度分布曲線を小粒径側から描いた場合に、重量累積がそれぞれ50%、10%となる粒子径に対応する。レーザー回折法を用いた粒度分布測定は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター社製、LS230)を用いて行うことができる。
これに加え、(C)の、重量累積粒度分布の小粒径側からの累積10%に対応する粒子径(d10)は、塗料溶融時の流れ性の低下(すなわち塗装性の悪化)を抑制することにより塗膜に良好な外観を付与する観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、である。
(C)のd50とd10は、ともにレーザー回折法を用いて測定され、重量累積粒度分布曲線を小粒径側から描いた場合に、重量累積がそれぞれ50%、10%となる粒子径に対応する。レーザー回折法を用いた粒度分布測定は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター社製、LS230)を用いて行うことができる。
(C)の最大粒子径(dmax)は、200μmを超えても構わないが、得られる塗膜の塗装性および放熱性の観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは90μm以下、好ましくは40μm以上、である。d50とd10に加え、dmaxが所定範囲の(C)を用いることで、塗装性の悪化をより抑制でき、かつより優れた放熱性を塗膜に付与し得る粉体塗料とすることができる。
(C)のdmaxは、例えば、所定の篩網目のJIS標準篩等を用いて(C)を篩分けする方法等により計測することができる。
(C)のdmaxは、例えば、所定の篩網目のJIS標準篩等を用いて(C)を篩分けする方法等により計測することができる。
(C)の材質としては、例えば、アルミナ、マグネシア、酸化亜鉛、ベリリア、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン等が挙げられる。中でも、熱伝導性および電気絶縁性がいずれも高い点で、アルミナ、マグネシア、酸化亜鉛、ベリリア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素が好ましく、保存安定性および充填性が良くなる点で、アルミナが特に好ましい。
(C)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。熱伝導率の異なる2種以上の(C)を組み合わせて用いる場合、組み合わせ後の熱伝導率が上記条件(10W/(m・K)以上)を満たしていればよい。d50とdmaxの異なる2種以上の(C)を組み合わせて用いる場合、組み合わせ後のd50とdmaxが上記条件(d50が好ましくは10μm以上60μm以下、dmaxが好ましくは40μm以上200μm以下)を満たしていればよい。
(C)としては、市販品を使用してもよい。例えば、商品名 AX35-75(新日鉄住金マテリアルズ社製)、商品名 DAM-45(デンカ社製)等が挙げられる。
組成物中での(C)の含有量(総量)は、組成物の全固形分総量(100質量%)に対して、好ましくは72質量%以上、より好ましくは75質量%以上、好ましくは85質量%以下、より好ましくは83質量%以下、である。(C)の含有量が少なすぎると、放熱効果の発現が期待できず、一方で、(C)の含有量が多すぎると、塗膜の平滑性がなくなるため好ましくない。
(C)の質量比は、(A)と(B)の混合物:1に対して、好ましくは2.6以上、より好ましくは3.0以上、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.0以下、である。(C)の質量比が少なすぎると、放熱効果の発現が期待できず、一方で、(C)の質量比が多すぎると、塗膜の平滑性がなくなるため好ましくない。
(C)の質量比は、(A)と(B)の混合物:1に対して、好ましくは2.6以上、より好ましくは3.0以上、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.0以下、である。(C)の質量比が少なすぎると、放熱効果の発現が期待できず、一方で、(C)の質量比が多すぎると、塗膜の平滑性がなくなるため好ましくない。
1-4.(微粒子)
一形態に係る組成物は、必要に応じて、微粒子を含有してもよい。微粒子を組成物中に含有させる場合、微粒子は、(D)特定の微粒子を、95質量%以上(好ましくは100質量%)含むことが好ましい。
一形態に係る組成物は、必要に応じて、微粒子を含有してもよい。微粒子を組成物中に含有させる場合、微粒子は、(D)特定の微粒子を、95質量%以上(好ましくは100質量%)含むことが好ましい。
(D)は、粉体塗料に、流動性(流動浸漬法での塗装時に、空気が通り、粉体粒子が均一に流動する)、作業性(べたつきなく、さらさらとする)、保存安定性(ブロッキング防止)を付与する成分である。(D)として、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、親水性フュームドシリカ、疎水性フュームドシリカ、アクリル微粒子等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)の市販品としては、旭化成ワッカーシリコーン社、日本アエロジル社、エルケムジャパン社、DSL.ジャパン社、トクヤマ社等の製品が挙げられる。
一形態において、組成物が(D)を含む場合、組成物中での(D)の含有量(総量)は、組成物の全固形分総量(100質量%)に対して、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、である。(D)の含有量が少なすぎると、粉体塗料への、流動性、作業性、保存安定性の付与が期待できず、一方で、(D)の含有量が多すぎると、塗膜の平滑性がなくなるため好ましくない。
1-5.(補助成分)
粉体塗料を構成する組成物には、発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記成分((A)、(B)、(C)および(D))以外の、補助成分を適宜配合することができる。補助成分としては、例えば、(C)以外の充填剤、(D)以外の微粒子、レベリング剤、顔料、消泡剤、フロー調整剤等が挙げられる。補助成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜決定される。
粉体塗料を構成する組成物には、発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記成分((A)、(B)、(C)および(D))以外の、補助成分を適宜配合することができる。補助成分としては、例えば、(C)以外の充填剤、(D)以外の微粒子、レベリング剤、顔料、消泡剤、フロー調整剤等が挙げられる。補助成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜決定される。
2.(粉体塗料の製造例)
一形態に係る粉体塗料の製造方法は特に限定されないが、例えば以下の方法により製造することができる。
初めに、ミキサー等により配合成分を乾式混合した後、エクストルーダーを用いて溶融混合等を行う。混合温度や混合時間は、特に限定されず、原料の種類や組成比等に応じて設定される。通常、混合温度は、100℃~150℃が好ましく、105℃~120℃がより好ましい。その後、得られた混合物を冷却固化し、固化した混合物を微粉砕して、分級することにより粉体塗料が得られる。
一形態に係る粉体塗料の製造方法は特に限定されないが、例えば以下の方法により製造することができる。
初めに、ミキサー等により配合成分を乾式混合した後、エクストルーダーを用いて溶融混合等を行う。混合温度や混合時間は、特に限定されず、原料の種類や組成比等に応じて設定される。通常、混合温度は、100℃~150℃が好ましく、105℃~120℃がより好ましい。その後、得られた混合物を冷却固化し、固化した混合物を微粉砕して、分級することにより粉体塗料が得られる。
一形態に係る粉体塗料は、少なくとも(A)、(B)、および(C)を含有する。混合条件によっては、一部重合が進行し、(A)に由来する構造単位を含む重合体を含有する。
3.(粉体塗料の形態、特性)
3-1.(体積平均粒子径)
一形態に係る粉体塗料の粒子径は、特に限定されないが、レーザー回折・散乱法(JIS Z 8825)による体積平均粒子径が、例えば20μm以上、好ましくは30μm以上、例えば80μm以下、好ましくは70μm以下である。なお、上記体積平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置(SYMPATEC社製、HELOS and PRODOS 解析ソフト:WINDOX5)を用いて測定することができる。体積平均粒子径が上記範囲の粉体塗料を用いることにより、より優れた塗膜の平滑性が得られる。
3-1.(体積平均粒子径)
一形態に係る粉体塗料の粒子径は、特に限定されないが、レーザー回折・散乱法(JIS Z 8825)による体積平均粒子径が、例えば20μm以上、好ましくは30μm以上、例えば80μm以下、好ましくは70μm以下である。なお、上記体積平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置(SYMPATEC社製、HELOS and PRODOS 解析ソフト:WINDOX5)を用いて測定することができる。体積平均粒子径が上記範囲の粉体塗料を用いることにより、より優れた塗膜の平滑性が得られる。
3-2.(溶融水平流れ率)
一形態に係る粉体塗料は、その溶融水平流れ率が、例えば0%以上、好ましくは2%以上、例えば40%以下、好ましくは30%以下である。塗料の溶融水平流れ率が小さすぎると溶融時に塗料が流れなくなるため、小穴が生じる等の塗膜欠陥が起こりやすく、平滑な塗膜が得られない。塗料の溶融水平流れ率が大きすぎると硬化塗膜を得る際の溶融から硬化の過程においていわゆるタレと呼ばれる現象が生じ、所望の膜厚を形成することができなくなる。
なお、溶融水平流れ率とは、粉体塗料における加熱時の溶融性を示すものであり、この値が大きいと溶融時に低粘度であるため塗料が流れやすいことを示し、小さいと溶融時に高粘度であるため塗料が流れにくいことを示す。塗料の溶融水平流れ率の測定方法は後述する。
一形態に係る粉体塗料は、その溶融水平流れ率が、例えば0%以上、好ましくは2%以上、例えば40%以下、好ましくは30%以下である。塗料の溶融水平流れ率が小さすぎると溶融時に塗料が流れなくなるため、小穴が生じる等の塗膜欠陥が起こりやすく、平滑な塗膜が得られない。塗料の溶融水平流れ率が大きすぎると硬化塗膜を得る際の溶融から硬化の過程においていわゆるタレと呼ばれる現象が生じ、所望の膜厚を形成することができなくなる。
なお、溶融水平流れ率とは、粉体塗料における加熱時の溶融性を示すものであり、この値が大きいと溶融時に低粘度であるため塗料が流れやすいことを示し、小さいと溶融時に高粘度であるため塗料が流れにくいことを示す。塗料の溶融水平流れ率の測定方法は後述する。
3-3.(ゲル化時間)
一形態に係る粉体塗料は、JIS C 2104準拠による200℃におけるゲル化時間が、例えば120秒以下、好ましくは60秒以下となる硬化性を備えている。ゲル化時間が長すぎると、十分に硬化した塗膜を形成しないため、所望の耐熱性や機械特性が得られない。また、ゲル化時間が短すぎる(例えば10秒未満)と、溶融時に塗料が十分に流動せず、平滑な塗膜を形成することができなくなる。
一形態に係る粉体塗料は、JIS C 2104準拠による200℃におけるゲル化時間が、例えば120秒以下、好ましくは60秒以下となる硬化性を備えている。ゲル化時間が長すぎると、十分に硬化した塗膜を形成しないため、所望の耐熱性や機械特性が得られない。また、ゲル化時間が短すぎる(例えば10秒未満)と、溶融時に塗料が十分に流動せず、平滑な塗膜を形成することができなくなる。
4.(粉体塗料の塗装方法)
一形態に係る粉体塗料の塗装方法は、特に限定されず、公知の塗装方法が適用できる。具体的には、静電塗装、摩擦帯電塗装、無荷電塗装、流動浸漬等が挙げられる。必要に応じて塗装対象物に予め表面処理を施すことにより、硬化物の密着性等を向上させることもできる。
一形態に係る粉体塗料の塗装方法は、特に限定されず、公知の塗装方法が適用できる。具体的には、静電塗装、摩擦帯電塗装、無荷電塗装、流動浸漬等が挙げられる。必要に応じて塗装対象物に予め表面処理を施すことにより、硬化物の密着性等を向上させることもできる。
5.(塗膜(粉体塗料の硬化物))
一形態に係る粉体塗料から形成される塗膜(硬化物)の膜厚は特に限定されないが、50μm以上1mm以下であることが好ましい。
一形態に係る粉体塗料から形成される塗膜(硬化物)の熱伝導率が1.0W/(m・K)以上となるように調整する。塗膜の熱伝導率が1.0W/(m・K)未満であると、近年、各種機器の高性能化・高電力化に伴う発熱量の増大による放熱対策の観点から十分ではない。塗膜の熱伝導率の測定方法は後述する。
一形態に係る粉体塗料から形成される塗膜(硬化物)の膜厚は特に限定されないが、50μm以上1mm以下であることが好ましい。
一形態に係る粉体塗料から形成される塗膜(硬化物)の熱伝導率が1.0W/(m・K)以上となるように調整する。塗膜の熱伝導率が1.0W/(m・K)未満であると、近年、各種機器の高性能化・高電力化に伴う発熱量の増大による放熱対策の観点から十分ではない。塗膜の熱伝導率の測定方法は後述する。
6.(被塗装体)
一形態に係る被塗装体は、上記塗膜(粉体塗料の硬化物)を有する。被塗装体としては、例えば電機電子部品用の塗装後コイル等が挙げられる。塗装後コイルを製造するには、塗装対象物のコイル表面に粉体塗料を塗布し、該塗料をコイル中に溶融含浸させ、加熱硬化すればよい。このような、被塗装体の一例としての塗装後コイルは、例えば駆動用ステーター、ローターモーター類等の電機電子部品に使用される。
一形態に係る被塗装体は、上記塗膜(粉体塗料の硬化物)を有する。被塗装体としては、例えば電機電子部品用の塗装後コイル等が挙げられる。塗装後コイルを製造するには、塗装対象物のコイル表面に粉体塗料を塗布し、該塗料をコイル中に溶融含浸させ、加熱硬化すればよい。このような、被塗装体の一例としての塗装後コイルは、例えば駆動用ステーター、ローターモーター類等の電機電子部品に使用される。
以下、本発明を実験例(実施例および比較例を含む)に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されない。以下の記載において、「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示すものとする。
[組成物の構成成分]
A(エポキシ化合物)として、以下のものを準備した。
・A1: エポキシ当量630g/eqのビスフェノールA型(固形)エポキシ樹脂
(jER1002、三菱ケミカル社製)
・A2: エポキシ当量910g/eqのビスフェノールA型(固形)エポキシ樹脂
(jER1004、三菱ケミカル社製)
・A3: エポキシ当量210g/eqのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(EPICLON N-680、DIC社製)
A(エポキシ化合物)として、以下のものを準備した。
・A1: エポキシ当量630g/eqのビスフェノールA型(固形)エポキシ樹脂
(jER1002、三菱ケミカル社製)
・A2: エポキシ当量910g/eqのビスフェノールA型(固形)エポキシ樹脂
(jER1004、三菱ケミカル社製)
・A3: エポキシ当量210g/eqのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(EPICLON N-680、DIC社製)
B(硬化剤)として、以下のものを準備した。
・B1: ジシアンジアミド
(jERキュアDICY20、三菱ケミカル社製、固体分散型アミン系硬化剤)
・B1: ジシアンジアミド
(jERキュアDICY20、三菱ケミカル社製、固体分散型アミン系硬化剤)
硬化促進剤として、以下のものを準備した。
・イミダゾール系化合物1(キュアゾール2MZ-A、四国化成工業社製)
・イミダゾール系化合物2(キュアゾール2MZ-P、四国化成工業社製)
・イミダゾール系化合物1(キュアゾール2MZ-A、四国化成工業社製)
・イミダゾール系化合物2(キュアゾール2MZ-P、四国化成工業社製)
C(絶縁性無機充填剤)として、以下のものを準備した。
・C1: 球状アルミナ1 (熱伝導率:30W/(m・K))
(AX35-75、新日鉄住金マテリアルズ社製)
・C2: 球状アルミナ2 (熱伝導率:30W/(m・K))
(AX3-10、新日鉄住金マテリアルズ社製)
・C1: 球状アルミナ1 (熱伝導率:30W/(m・K))
(AX35-75、新日鉄住金マテリアルズ社製)
・C2: 球状アルミナ2 (熱伝導率:30W/(m・K))
(AX3-10、新日鉄住金マテリアルズ社製)
C1(AX35-75)とC2(AX3-10)はともに、横軸に粒子径(diameter)を、縦軸に頻度(frequency)をとった粒度分布曲線を描いたときにその描いた粒度分布曲線から読み取れる、d50はC1が37μm、C2が3μm、d10はC1が13μm、C2が0.7μm、dmaxはC1が85μm、C2が32μm、であった。
D(微粒子)として、以下のものを準備した。
・D1: 親水性フュームドシリカ (一次粒子の平均粒子径:12nm)
(アエロジル200、日本アエロジル社製)
・D1: 親水性フュームドシリカ (一次粒子の平均粒子径:12nm)
(アエロジル200、日本アエロジル社製)
補助成分として、以下のものを準備した。
・レベリング剤 (ニカライトXK-21、日本カーバイド工業社製)
・黒色顔料 (カーボンブラック、三菱ケミカル社製)
・レベリング剤 (ニカライトXK-21、日本カーバイド工業社製)
・黒色顔料 (カーボンブラック、三菱ケミカル社製)
1.粉体塗料の作製
[実験例1~9]
表1に示す配合比(質量)で、実験例ごとのすべての材料をドライブレンドした後、エクストルーダーにより混練することによって混練物を得た。得られた混練物を冷却固化した後、微粉砕することにより粉体塗料を得た。
[実験例1~9]
表1に示す配合比(質量)で、実験例ごとのすべての材料をドライブレンドした後、エクストルーダーにより混練することによって混練物を得た。得られた混練物を冷却固化した後、微粉砕することにより粉体塗料を得た。
2.評価
各実験例で得られた粉体塗料について、下記に示す方法で各種特性(塗装性、硬化性)を評価した。また、各実験例で得られた粉体塗料の硬化物(熱硬化塗膜)について、下記に示す方法で各種特性(熱伝導性、平滑性)を評価した。結果を表1に示す。
各実験例で得られた粉体塗料について、下記に示す方法で各種特性(塗装性、硬化性)を評価した。また、各実験例で得られた粉体塗料の硬化物(熱硬化塗膜)について、下記に示す方法で各種特性(熱伝導性、平滑性)を評価した。結果を表1に示す。
(2-1)塗装性
粉体塗料の塗装性は、水平流れ率を測定することにより評価した。
各実験例で得られた粉体塗料1.0gを内径16mmφの錠剤成形用金型に入れ、荷重113MPaで60秒加圧し錠剤を得た後、該錠剤の直径(a)をノギスで測定した。次に、得られた錠剤をスライドガラスに載せ、熱風乾燥機中にて140℃で10分間加熱後取り出し、同様に錠剤の直径(b)を測定した。そして、加熱による直径の増加値(b-a)を加熱前の直径(a)で除した後、これに100を乗じることで、各実験例で得られた粉体塗料ごとに水平流れ率を算出した。評価基準は、以下のとおりである。
粉体塗料の塗装性は、水平流れ率を測定することにより評価した。
各実験例で得られた粉体塗料1.0gを内径16mmφの錠剤成形用金型に入れ、荷重113MPaで60秒加圧し錠剤を得た後、該錠剤の直径(a)をノギスで測定した。次に、得られた錠剤をスライドガラスに載せ、熱風乾燥機中にて140℃で10分間加熱後取り出し、同様に錠剤の直径(b)を測定した。そして、加熱による直径の増加値(b-a)を加熱前の直径(a)で除した後、これに100を乗じることで、各実験例で得られた粉体塗料ごとに水平流れ率を算出した。評価基準は、以下のとおりである。
〇:水平流れ率が2%以上
×:水平流れ率が2%未満
×:水平流れ率が2%未満
(2-2)硬化性
粉体塗料の硬化性は、ゲル化時間を測定することにより評価した。
各実験例で得られた粉体塗料の約0.05~0.1gを200℃に保持した熱板の円形凹部に入れ、かきまぜ棒でかきまぜ、糸がひかなくなるまでの時間、すなわちゲル化に至るまでの時間(秒)を測定した。JIS C 2104に準じて測定した。評価基準は、以下のとおりである。
粉体塗料の硬化性は、ゲル化時間を測定することにより評価した。
各実験例で得られた粉体塗料の約0.05~0.1gを200℃に保持した熱板の円形凹部に入れ、かきまぜ棒でかきまぜ、糸がひかなくなるまでの時間、すなわちゲル化に至るまでの時間(秒)を測定した。JIS C 2104に準じて測定した。評価基準は、以下のとおりである。
○:ゲル化時間が10秒以上60秒未満
×:ゲル化時間が60秒以上または10秒未満
×:ゲル化時間が60秒以上または10秒未満
(2-3)熱伝導性
硬化物の熱伝導性(放熱性)は、熱伝導率を求めることにより評価した。熱伝導率(W/(m・K))は、熱拡散率(m2/s)、密度(kg/m3)、および比熱(J/(kg・K))の積で算出される。熱拡散率は熱拡散係数とも呼ばれる。
各実験例で得た粉体塗料を、熱プレス機により0.5mm厚に成型後、200℃で10分間硬化させたもの(硬化物)を試験片とした。試験片の熱拡散係数は熱拡散率測定装置(アイフェイズ社製、ai-Phase Mobile1u)にて測定した。試験片の密度は電子比重計(アルファミラージュ社製、ED-120T)にて測定した。試験片の比熱は示差走査熱量計(セイコーインスツル社製、EXSTAR6000 DSC6220)により測定した。
硬化物の熱伝導性(放熱性)は、熱伝導率を求めることにより評価した。熱伝導率(W/(m・K))は、熱拡散率(m2/s)、密度(kg/m3)、および比熱(J/(kg・K))の積で算出される。熱拡散率は熱拡散係数とも呼ばれる。
各実験例で得た粉体塗料を、熱プレス機により0.5mm厚に成型後、200℃で10分間硬化させたもの(硬化物)を試験片とした。試験片の熱拡散係数は熱拡散率測定装置(アイフェイズ社製、ai-Phase Mobile1u)にて測定した。試験片の密度は電子比重計(アルファミラージュ社製、ED-120T)にて測定した。試験片の比熱は示差走査熱量計(セイコーインスツル社製、EXSTAR6000 DSC6220)により測定した。
各試験片に対する熱伝導性の評価基準は、以下のとおりである。
○:熱伝導率の平均値が1.0W/(m・K)以上
×:熱伝導率の平均値が1.0W/(m・K)未満
○:熱伝導率の平均値が1.0W/(m・K)以上
×:熱伝導率の平均値が1.0W/(m・K)未満
(2-4)平滑性
硬化物の平滑性は、以下のとおり、試験片の外観を目視することにより評価した。
各実験例で得た粉体塗料を、流動浸漬法により、200℃に予熱した鉄板の表面に塗装し、200℃で5分間加熱し硬化させ、鉄板の表面に塗膜を形成させて試験片を得た。
硬化物の平滑性は、以下のとおり、試験片の外観を目視することにより評価した。
各実験例で得た粉体塗料を、流動浸漬法により、200℃に予熱した鉄板の表面に塗装し、200℃で5分間加熱し硬化させ、鉄板の表面に塗膜を形成させて試験片を得た。
平滑性の評価基準は、以下のとおりである。
○:塗膜に凸凹や小穴がない
×:塗膜に凸凹や小穴がある
○:塗膜に凸凹や小穴がない
×:塗膜に凸凹や小穴がある
3.考察
表1で示すように、塗料中に(C)として(C1)を含めなかった場合(実験例6~8)、塗料の塗装性(水平流れ率)と塗膜(硬化物)の平滑性を満足させることができなかった。一方、(C1)を含めたとしても(実験例1~5、9、10)、組成物(塗料)全体(100質量%)に対する(C1)の含有率が、72質量%未満(実験例1)が、85質量%超(実験例5)であると、塗料の塗装性(水平流れ率)、塗膜の平滑性、および、塗膜の熱伝導性、の1つ以上を満足させることができなかった。
これに対し、組成物全体に対する(C1)の含有率が72質量%以上85質量%以下であると(実験例2~4、9、10)、塗料の塗装性および硬化性、並びに、塗膜の熱伝導性および平滑性、のすべてを満足させることができた。
表1で示すように、塗料中に(C)として(C1)を含めなかった場合(実験例6~8)、塗料の塗装性(水平流れ率)と塗膜(硬化物)の平滑性を満足させることができなかった。一方、(C1)を含めたとしても(実験例1~5、9、10)、組成物(塗料)全体(100質量%)に対する(C1)の含有率が、72質量%未満(実験例1)が、85質量%超(実験例5)であると、塗料の塗装性(水平流れ率)、塗膜の平滑性、および、塗膜の熱伝導性、の1つ以上を満足させることができなかった。
これに対し、組成物全体に対する(C1)の含有率が72質量%以上85質量%以下であると(実験例2~4、9、10)、塗料の塗装性および硬化性、並びに、塗膜の熱伝導性および平滑性、のすべてを満足させることができた。
Claims (8)
- 硬化物を形成するための粉体塗料であって、
熱硬化性組成物の微粉砕物で構成してあり、
熱硬化性組成物は、(A)、(B)、および(C)を含み、
(C)は、組成物全体中に、72質量%以上85質量%以下の範囲で含有されている、粉体塗料。
(A):200g/eq以上1000g/eq以下の範囲にエポキシ当量を有するエポキシ化合物
(B):(A)と反応する硬化剤
(C):10W/m・K以上の熱伝導率、10μm以上60μm以下の粒子径(d50)、および3μm以上40μm以下の粒子径(d10)、を有する絶縁性無機充填剤 - (C)の質量比は、(A)と(B)の混合物:1に対して2.6以上6.0以下である、請求項1に記載の粉体塗料。
- (C)は、40μm以上200μm以下の範囲に最大粒子径(dmax)を有するものを含む、請求項1または2に記載の粉体塗料。
- 熱硬化性組成物は、(D)を含む、請求項1~3のいずれかに記載の粉体塗料。
(D):1μm以下に一次粒子の平均粒子径を有する微粒子 - (D)は、組成物全体中に、0.02質量%以上0.5質量%以下の範囲で含有されている、請求項1~4のいずれかに記載の粉体塗料。
- 請求項1~5のいずれかに記載の粉体塗料から形成された硬化物からなる塗膜。
- 請求項6に記載の塗膜を有する被塗装体。
- コイルである請求項7に記載の被塗装体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021207999A JP2023092785A (ja) | 2021-12-22 | 2021-12-22 | 粉体塗料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021207999A JP2023092785A (ja) | 2021-12-22 | 2021-12-22 | 粉体塗料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023092785A true JP2023092785A (ja) | 2023-07-04 |
Family
ID=87000624
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021207999A Pending JP2023092785A (ja) | 2021-12-22 | 2021-12-22 | 粉体塗料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023092785A (ja) |
-
2021
- 2021-12-22 JP JP2021207999A patent/JP2023092785A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6804227B2 (ja) | 成形体、電気機器部品及び電気機器部品の製造方法 | |
JP5793494B2 (ja) | セラミックス混合物、及びそれを用いたセラミックス含有熱伝導性樹脂シート | |
CN102159614A (zh) | 环氧树脂组合物 | |
JPH02102274A (ja) | スロット絶縁に好適なエポキシ樹脂粉体塗料 | |
JP2023126257A (ja) | ステータコア絶縁用樹脂組成物 | |
JP2011246596A (ja) | シート状樹脂組成物、及びそれを用いて封止された回路部品 | |
JPS6230215B2 (ja) | ||
JP5383642B2 (ja) | 粉体塗装方法及びガス絶縁開閉装置 | |
JP6106389B2 (ja) | 先設置型半導体封止用フィルム | |
JP2023092785A (ja) | 粉体塗料 | |
BR112019014662B1 (pt) | Composição de resina epóxi termofixa isenta de anidrido com múltiplos componentes, processo para preparação de um artigo para engenharia elétrica, artigo para engenharia elétrica, e, uso do artigo | |
JP2008248100A (ja) | エポキシ樹脂粉体塗料組成物 | |
EP1387860B1 (en) | Moulding composition for producing bipolar plates | |
JP2008277768A (ja) | 絶縁性熱伝導シート | |
BR112020018692B1 (pt) | Composições de resina estável em armazenamento e de resina curável, processo para obter uma composição de resina estável em armazenamento e de resina curável, artigo curado, e, usos de um artigo curado e de uma composição de resina curável | |
JP6732657B2 (ja) | 粉体塗料 | |
JP6902839B2 (ja) | 粉体塗料 | |
JP7020825B2 (ja) | エポキシ樹脂粉体塗料組成物 | |
US6899917B2 (en) | Powdered epoxy composition | |
JP6765252B2 (ja) | 組成物、半導体封止用組成物、及びこれらの組成物の硬化物 | |
US6933332B2 (en) | Powdered epoxy composition | |
JP4126575B2 (ja) | 電子部品封止材料の製造方法 | |
JP6475585B2 (ja) | ロータ保護用樹脂組成物及びロータ | |
JPS6317286B2 (ja) | ||
JPS63230780A (ja) | スロツト絶縁に好適なエポキシ樹脂粉体塗料 |